JP4480807B2 - アクリル系bmcの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生産性が高く、取り扱い性、成形加工性、保存安定性などに優れたアクリル系BMC(バルク・モールディング・コンパウンド)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系樹脂に水酸化アルミニウム等の無機充填剤を配合したアクリル系人工大理石は、優れた成形外観、温かみのある手触り及び耐候性等の各種の卓越した機能特性を有しており、キッチンカウンター等のカウンター類、洗面化粧台、防水パン、その他建築用途に広く使用されている。これらは一般に、メチルメタクリレートを主成分とするアクリル系単量体とアクリル系重合体からなるアクリル系シラップに、無機充填剤を分散させたいわゆるプレミックスを成形型内に充填し、これを比較的低温で硬化重合させる注型法で製造されている。しかし、このアクリル系シラップは沸点が低いので、硬化温度を低くせざるを得ず、これに起因して成形時間に長時間を要するため生産性が低い。また、プレミックスの型内への充填性に問題があるために、成形品の形状が制限される。
【0003】
これらの欠点を改良するため、アクリル系プレミックスを増粘剤で増粘させて得られるアクリル系BMCを加熱加圧硬化することによってアクリル系人工大理石を製造する検討が従来よりなされている。
【0004】
例えば、特公平5−13899号公報には、特定量の架橋剤を含有するアクリル系単量体に、特定の平均分子量を有するアクリル系樹脂粉末、硬化剤、及び無機充填剤を添加して、硬化温度未満の加温下に混練、熟成してアクリル系BMCを得る方法が開示されている。
【0005】
また、特開平10−218915号公報には、予め、アクリル系単量体とアクリル系重合体と無機充填剤とを二軸混練機中で所定の温度で混練して、一旦、粘土状物(餅状物)を得た後、該粘土状物に冷却後あるいは冷却過程中において硬化剤を混合して、アクリル系BMCを製造する方法が開示されている。
【0006】
また、特開平10−67906号公報では、本発明者らは、アクリル系単量体とアクリル系重合体からなるアクリル系シラップ、無機充填剤、及び、乳化重合したエマルションを噴霧乾燥することにより得られる、特定の嵩密度と、特定の吸油量と、特定の膨潤度とを有する重合体粉末とを、連続式二軸混練機中へ投入して、均一混合すると同時に、増粘させて押し出し、アクリル系BMCを所定の形状に連続的に賦型する方法を見い出した。
【0007】
しかし、特公平5−13899号公報に開示されている方法では、硬化温度未満の温度(60℃)ではあるものの、アクリル系樹脂粉末を溶解させて増粘させるために30分間以上かけて混練する必要があるため、アクリル系BMCに長時間の熱履歴がかかり、得られるアクリル系BMCの保存安定性が悪くなる。さらに、この方法において、着色樹脂粒子を配合して石目調のアクリル系BMCを得ようとすると、混練中に着色樹脂粒子が溶解してしまい、石目模様が極めて不鮮明になってしまうか、あるいは石目模様が無くなってしまい、外観が悪くなってしまう。
【0008】
また、特開平10−218915号公報に記載されている方法では、アクリル系BMCを得るために、増粘工程、冷却工程、硬化剤混合工程の3工程が必要となるので、製造ラインが複雑になり、生産性を上げるのは困難である。また、該公報に記載されている方法では、一旦、増粘工程で粘土状物とした後、硬化剤を混合してアクリル系BMCを製造するので、アクリル系BMC中での硬化剤の均一分散性が悪く、部分的に硬化不良が起こる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの課題を解決するために、本発明者らが見出した上述の製造方法(特開平10−67906号公報)を利用して、製造条件等をさらに改良すべくなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、石目の鮮明性等の外観が良好なアクリル系人工大理石の製造に有用で、保存安定性に優れ、なおかつ硬化性に優れたアクリル系BMCを製造するための方法であって、簡素な製造ラインで、高い生産効率で実施できるアクリル系BMCの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討した結果、アクリル系BMCを製造するにあたって、使用する硬化剤の分解温度に応じて特定の温度条件下で混練することによって、硬化剤の混練とBMCの増粘とを連続式二軸混練機中で一工程で行うことでき、製造ラインを簡素化することができることを見出し、この方法によって、保存安定性が良好で、硬化性に優れ、鮮明な石目模様を発現するアクリル系BMCを高い生産効率で製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、アクリル系単量体(A)、アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及び硬化剤(D)を含有してなるアクリル系BMCを製造するための方法であって、成分(A)〜(D)を、連続式二軸混練機中で、30℃〜[硬化剤(D)の10時間半減期温度−10]℃の範囲内の温度条件下にて、混練時間10秒以上3分以内で混練すると同時に増粘させることにより、混練と増粘とを一工程で行うことを特徴とするアクリル系BMCの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0014】
本発明で用いられるアクリル系単量体(A)は、本発明に係るアクリル系BMCを成形する際に、適度な流動性を付与する成分である。
【0015】
アクリル系単量体(A)としては、メタクリロイル及び/又はアクリロイル基を有する単量体又はそれらの混合物であり、特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロヘキサン環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート等のトリシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル構造を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、(メタ)アクリル酸アミド等のアクリル系単官能性単量体;及び、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリル酸と多価アルコール[例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等]との多価エステル、アリル(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性単量体等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
【0016】
特に、(A)成分中にメチルメタクリレートを含有させると、得られる成形品に大理石特有の深みを付与することができる傾向にあり、外観が良好となる傾向にあり、好ましい。メチルメタクリレートの含有量は特に限定されないが、アクリル系BMC全量中、1〜40重量%の範囲内であることが好ましい。この含有量の下限値については5重量%以上がより好ましく、また、上限値については30重量%以下がより好ましい。
【0017】
また、(A)成分は、アクリル系単量体以外にも、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、トリアリールイソシアヌレート等の単量体を含有してもよい。
【0018】
本発明に係るアクリル系BMCを成形して得られる成形品に、耐熱性、耐熱水性、強度、耐溶剤性、寸法安定性等の特性を付与するには、(A)成分中に多官能性単量体を含有させるのが好ましい。この場合、多官能性単量体の含有量は、特に制限されないが、上記効果をより有効に得るには、アクリル系BMC全量中1〜30重量%の範囲内が好ましい。この含有量の下限値については3重量%以上がより好ましく、また、上限値については25重量%以下がより好ましい。
【0019】
特に、多官能性単量体としてネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を使用すると、表面光沢及び耐熱水性の極めて優れた成形品が得られるので好ましい。この場合、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種と他の多官能性単量体を併用してもよい。
【0020】
(A)成分の含有量は、特に制限されないが、本発明に係るアクリル系BMC全量中、5〜95重量%の範囲内が好ましい。この含有量が5重量%以上の場合に、アクリル系BMCの成形時の流動性が良好となる傾向にあり、また、95重量%以下の場合に、硬化時の収縮率が低くなる傾向にある。この含有量の下限値については、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上が特に好ましい。この含有量の上限値については、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下が特に好ましい。
【0021】
本発明で用いられるアクリル系重合体(B)は、アクリル系BMCをべたつきのない取り扱い性の良好な餅状(バルク状)物まで増粘させる増粘剤成分であり、アクリル系単量体(A)を吸油した後、アクリル系重合体(B)の少なくとも一部が溶解して、系全体の粘度を上昇させることにより、増粘剤として作用するものである。
【0022】
アクリル系重合体(B)の構成成分(重合に使用する単量体等)としては、前述のアクリル系単量体(A)で列挙した単官能性単量体及び/又は多官能性単量体を使用することができ、必要に応じて単独で重合した単独重合体を使用してもよいし、2種以上を併用した共重合体を使用してもよい。
【0023】
アクリル系重合体(B)の形態は、特に制限されないが、重合体粉末であることが好ましい。アクリル系重合体(B)が重合体粉末である場合に、その取り扱い性が良好となる傾向にあり、また、アクリル系単量体(A)への溶解速度が速くなって、増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。
【0024】
また、重合体粉末の比表面積は、特に制限されないが、0.5m2/g以上であることが好ましい。重合体粉末の比表面積が0.5m2/g以上の場合に、アクリル系単量体(A)への溶解速度が速くなって、増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。この比表面積の下限値は、1m2/g以上がより好ましい。また、この比表面積の上限値は、特に制限されないが、100m2/g以下であることが好ましい。比表面積が100m2/g以下の場合に、重合体粉末のアクリル系単量体(A)に対する分散性が良好となる傾向にあり、アクリル系BMCの混練性が良好となる傾向にある。この比表面積の上限値は80m2/g以下がより好ましい。また、必要に応じて、比表面積が0.5m2/g以上の重合体粉末と、0.5m2/g未満の重合体粉末とを併用してもよい。
【0025】
また、重合体粉末の平均粒子径は、特に制限されないが、1〜500μmの範囲内であることが好ましい。この平均粒子径が1μm以上である場合に、重合体粉末が飛散しにくくなり、重合体粉末の取り扱い性が良好となる傾向にあり、500μm以下の場合に、得られる成形品の外観、特に、光沢と表面平滑性が良好となる傾向にある。この平均粒子径の下限値については、5μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。また、上限値については、350μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。
【0026】
また、重合体粉末は、一次粒子同士が凝集した二次凝集体であることが好ましい。重合体粉末が二次凝集体の形状を有する場合には、アクリル系単量体(A)を吸油する速度が速くなって増粘速度が速くなる傾向にある。
【0027】
また、この場合、重合体粉末の一次粒子の平均粒子径は0.03〜1μmの範囲内であることが好ましい。一次粒子の平均粒子径が0.03〜1μmの範囲内である場合に、アクリル系単量体(A)を吸油する速度が速くなって増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。この一次粒子径の下限値については、0.07μm以上がより好ましい。上限値については0.7μm以下がより好ましい。
【0028】
また、重合体粉末の嵩密度は、特に制限されないが、0.1〜0.7g/mlの範囲内であることが好ましい。この嵩密度が0.1g/ml以上の場合に、重合体粉末が飛散しにくくなり、重合体粉末の取り扱い性が良好となる傾向にある。また、0.7g/ml以下の場合に、アクリル系単量体(A)を吸油する速度が速くなって増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。嵩密度の下限値については0.15g/ml以上がより好ましく、0.2g/ml以上が特に好ましい。上限値については、0.65g/ml以下がより好ましく、0.6g/ml以下が特に好ましい。
【0029】
また、重合体粉末のアマニ油に対する吸油量は、特に制限されないが、60〜200ml/100gの範囲内であることが好ましい。この吸油量が60ml/100g以上の場合に、アクリル系単量体(A)を吸油する速度が速くなって増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。また、この吸油量が200ml/100g以下の場合に、重合体粉末のアクリル系単量体(A)に対する分散性が良好となる傾向にあり、アクリル系BMCの混練性が良好となる傾向にある。さらに、この場合、この重合体粉末を含むアクリル系BMCを御影石調人工大理石の製造に使用すると、石目模様の鮮明性が良くなる傾向にある。これは、この重合体粉末がアクリル系単量体(A)を多量に吸油するので、石目の模様材である無機充填剤含有樹脂粒子のアクリル系単量体(A)による膨潤が抑制されるからである。この吸油量の下限値については、70ml/100g以上がより好ましく、80ml/100g以上が特に好ましい。上限値については、180ml/100g以下がより好ましく、160ml/100g以下が特に好ましい。
【0030】
また、重合体粉末のメチルメタクリレートに対する膨潤度は、特に制限されないが、1倍以下または20倍以上が好ましい。この膨潤度が1倍以下または20倍以上である場合に、アクリル系単量体(A)への溶解速度が速くなって、増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。
【0031】
ここでいう膨潤度とは、100mlのメスシリンダーに重合体粉末を投入し、数回軽くたたいて5ml詰めた後、10℃以下に冷却したメチルメタクリレートを全量が100mlとなるように投入し、全体が均一になるように素早く攪拌し、その後、メスシリンダーを25℃の恒温槽で1時間保持し、その時の重合体層(メチルメタクリレートを含有する重合体)の体積を求めて、最初の重合体粉末層の体積(5ml)との比を求めたものである。
【0032】
従って、重合体粉末がこの条件内で膨潤のみをする場合には、この条件で保持した後の重合体層(メチルメタクリレートを含有した重合体粉末)は5mlより大きくなり、膨潤度は1より大きい有限の値をとる。
【0033】
また、重合体粉末がこの条件内で完全に溶解する場合には、この条件で保持した後の100ml全体がメチルメタクリレートを含有した重合体層とみなすことができ、また、このメチルメタクリレートを含有した重合体層は使用するメスシリンダーの体積に依存するため、この場合は、膨潤度を20倍以上と定義する。また、重合体粉末が、この条件内で一部が溶解して一部が溶け残った場合は、溶け残った重合体層(メチルメタクリレート含有した重合体層)の体積を膨潤後の体積とみなす。従って、この場合は膨潤度は1以下の値となる。
【0034】
また、この重合体粉末は非架橋重合体粉末でも架橋重合体粉末でもよいが、非架橋重合体粉末であることが好ましい。重合体粉末が非架橋重合体粉末である場合に、増粘速度が速くなる傾向にあり、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する傾向にある。なお、ここでいう非架橋重合体粉末とは、少なくとも表層部が非架橋重合体から構成されている重合体粉末を示す。
【0035】
また、重合体粉末は、それらを形成する重合体の化学的組成、構造又は分子量等が互いに異なったコア相とシェル相から構成された、いわゆるコア/シェル構造を有する重合体粉末を使用することができる。この場合、コア相は非架橋重合体であっても架橋重合体であってもよいが、シェル相は非架橋重合体であることが好ましい。
【0036】
アクリル系重合体(B)の含有量は、特に制限されないが、アクリル系BMC全量中、0.1〜30重量%の範囲内が好ましい。この含有量が0.1重量%以上の場合に、高い増粘効果が得られる傾向にあり、また、30重量%以下の場合に、アクリル系BMCを製造する際の混練性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値については、1重量%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。上限値については、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下が特に好ましい。
【0037】
アクリル系重合体(B)の重量平均分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量が大きいほど増粘効果が高くなるとともに、成形品の耐熱水性が良好となる傾向にあり、10万以上であることが好ましい。また、重量平均分子量の上限値も、特に制限はないが、アクリル系BMCの混練性の面から500万以下であることが好ましい。この重量平均分子量の下限値については、30万以上がより好ましく、50万以上が特に好ましい。上限値については450万以下がより好ましく、400万以下が特に好ましい。
【0038】
ここでいう重量平均分子量とは、GPC法によるポリスチレン換算値であり、具体的には、重量平均分子量の範囲に応じて、後述する実施例で採用した条件に従って測定した値である。
【0039】
また、アクリル系重合体(B)としては、組成、分子量、粒子径の少なくとも1つが異なる2種以上のアクリル系重合体を併用してもよい。
【0040】
アクリル系重合体(B)の製造方法は、特に制限されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合等、公知の重合方法で製造することができる。中でも、乳化重合で得られたエマルションに噴霧乾燥、酸/塩凝固等の処理を行って重合体粉末を得る方法が、前述の特定の比表面積と嵩密度と吸油量とを有する重合体粉末を効率よく製造できるので好ましい。
【0041】
本発明で用いられる無機充填剤(C)は、アクリル系BMCを成形して得られる成形品に大理石調の深みのある質感や耐熱性を与える成分である。
【0042】
無機充填剤(C)としては、特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、ガラスパウダー等が挙げられる。また、これらの無機充填剤はシラン処理等の表面処理をされていてもよい。これらは、必要に応じて、適宜選択して使用すればよく、2種以上を併用してもよい。中でも、得られる成形品の質感の面から、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、溶融シリカ、ガラスパウダーが好ましい。
【0043】
無機充填剤(C)の含有量は、特に制限されないが、アクリル系BMC全量中、5〜95重量%の範囲が好ましい。これは、(C)成分の含有量が5重量%以上の場合に、得られる成形品の質感や耐熱性が良好となる傾向にあり、また、硬化時の収縮率が低くなる傾向にある。一方、この含有量が95重量%以下の場合に、アクリル系BMCの成形時の流動性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値については、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上が特に好ましい。また、上限値については、80重量%以下が好ましく、70重量%以下が特に好ましい。
【0044】
本発明で用いられる硬化剤(D)は、アクリル系BMCを重合硬化させる成分である。
【0045】
硬化剤(D)としては、特に制限はなく、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(化薬アクゾ(株)製、商品名「パーカドックス16」、10時間半減期温度=44℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキシルPV」、10時間半減期温度=53℃)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃)、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名「パーロイルL」、10時間半減期温度=62℃)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキシルO」、10時間半減期温度=70℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルO」、10時間半減期温度=72℃)、ベンゾイルパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、商品名「カドックスB−CH50」、10時間半減期温度=72℃)、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサMC」、10時間半減期温度=83℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサTMH」、10時間半減期温度=87℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサHC」、10時間半減期温度=87℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ3M」、10時間半減期温度=90℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサC」、10時間半減期温度=91℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサCD」、10時間半減期温度=95℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度=95℃)、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「カヤエステルAN」、10時間半減期温度=95℃)、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ(株)製、商品名「カヤレン6−70」、10時間半減期温度=97℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルL」、10時間半減期温度=98℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルI」、10時間半減期温度=99℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルE」、10時間半減期温度=99℃)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキシルZ」、10時間半減期温度=99℃)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「トリゴノックス42」、10時間半減期温度=100℃)、t−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「KD−1」、10時間半減期温度=100℃)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ22」、10時間半減期温度=103℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルZ」、10時間半減期温度=104℃)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサV」、10時間半減期温度=105℃)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名「パークミルD」、10時間半減期温度=116℃)、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「パーカドックス14」、10時間半減期温度=121℃)等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(大塚化学(株)製、商品名「ADVN」、10時間半減期温度=52℃)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)(大塚化学(株)製、商品名「OTAZO−15」、10時間半減期温度=61℃)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(大塚化学(株)製、商品名「AIBN」、10時間半減期温度=65℃)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学(株)製、商品名「AMBN」、10時間半減期温度=67℃)、ジメチル−2,2’−イソブチレート(大塚化学(株)製、商品名「MAIB」、10時間半減期温度=67℃)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカーボニトリル)(大塚化学(株)製、商品名「ACHN」、10時間半減期温度=87℃)等のアゾ化合物等の硬化剤を使用することができる。これらの硬化剤は、アクリル系BMCを成形する際の成形温度に応じて、適宜選択して使用することができるが、アクリル系BMCの保存安定性の面から、10時間半減期温度が55℃以上の硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤の10時間半減期温度については、65℃以上がより好ましく、75℃以上が特に好ましく、80℃以上が最も好ましい。
【0046】
また、硬化剤(D)は、1種又は10時間半減期温度の異なる2種以上を併用して使用してもよい。
【0047】
硬化剤(D)の含有量は、特に制限されないが、アクリル系BMC全量中、0.01〜10重量%の範囲内が好ましい。この含有量が0.01重量%以上の場合に、アクリル系BMCの硬化性が十分となる傾向にあり、10重量%以下の場合に、アクリル系BMCの保存安定性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値については、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上が特に好ましい。上限値については、5重量%以下がより好ましく、2重量%以下が特に好ましい。
【0048】
本発明におけるアクリル系BMCは、上記(A)〜(D)成分を基本構成成分とするものであるが、これらにさらに無機充填剤含有樹脂粒子(E)を配合し成形することにより、石目模様を有する御影石調人工大理石を得ることができる。無機充填剤含有樹脂粒子(E)の含有量は、特に制限されないが、アクリル系BMC全量中、0.1〜40重量%の範囲内であることが好ましい。この含有量が0.1重量%以上の場合に、意匠性の良好な石目模様が得られる傾向にあり、40重量%以下の場合に、アクリル系BMCを製造する際の混練性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値については、1重量%以上がより好ましく、5重量%以上が特に好ましい。上限値については、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下が特に好ましい。
【0049】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)を構成する樹脂は、メチルメタクリレートに溶解しない樹脂ならば制限はなく、例えば、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等を挙げることができる。本発明で使用するアクリル系単量体(A)との親和性が高く、美しい外観をした成形品が得られることから、架橋アクリル樹脂が好ましい。また、この架橋アクリル樹脂は、非架橋アクリル系重合体を含有するものでもよい。
【0050】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)を構成する無機充填剤としては、前記の無機充填剤(C)で列挙した無機充填剤を使用することができ、また、2種以上を併用することができる。また、無機充填剤含有樹脂粒子(E)と無機充填剤(C)で異なる無機充填剤を使用してもよい。
【0051】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)は、必要に応じて顔料を含有させてもよい。また、無機充填剤含有樹脂粒子(E)は、1種類を使用してもよいし、色や粒径の異なる2種以上を併用してもよい。
【0052】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)の製造方法は、特に制限されないが、例えば、熱プレス法、注型法などによって重合硬化して得られる無機充填剤入りの樹脂成形品を粉砕し、篩により分級する方法が挙げられる。例えば、アクリル系人工大理石を粉砕し、分級する方法が好ましい。
【0053】
また、本発明に係るアクリル系BMCには、必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維等の補強材、重合禁止剤、着色剤、低収縮剤、内部離型剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0054】
本発明においては、上述の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び所望により(E)成分をこれらに加えて、連続式二軸混練機中で、30℃〜[硬化剤(D)の10時間半減期温度−10]℃の範囲内の温度条件下にて混練すると同時に増粘させることにより、混練と増粘とを一工程で行ない、アクリル系BMCを製造する。この温度の下限値については35℃以上が好ましく、40℃以上が特に好ましい。また、上限値については[硬化剤(D)の10時間半減期温度−15]℃以下であることが好ましく、[硬化剤(D)の10時間半減期温度−20]℃以下であることが特に好ましい。
【0055】
ここでいう温度は、連続式二軸混練機中での混練物の温度である。この温度を30℃以上とすることによって、アクリル系重合体(B)のアクリル系単量体(A)への溶解速度が極めて速くなり、増粘速度が速くなって、増粘が短時間で可能となり、アクリル系BMCの生産性が向上する。また、この温度を[硬化剤(D)の10時間半減期温度−10]℃以下とすることによって、硬化剤(D)の存在下でも、混練すると同時に増粘させることが可能となり、混練と増粘とを一工程で行うことが可能となる。また、この場合、連続式二軸混練機の長時間の安定した連続運転が可能となり、さらには、得られるアクリル系BMCの保存安定性が良好となる傾向にある。また、本発明においては、硬化剤(D)の存在下で混練と同時に増粘させるので、アクリル系BMC中での硬化剤(D)の均一分散性が良好となり、硬化性が良好となる。
【0056】
従って、上記の温度条件下で連続式二軸混練機を運転することにより、アクリル系BMCの生産速度が極めて高くなり、連続式二軸混練機の生産効率[BMC吐出速度(kg/h)/スクリュー径の2乗(mm2)]を高くすることができる。この連続式二軸混練機の生産効率は、0.025kg/h・mm2以上が好ましく、0.03kg/h・mm2以上がより好ましく、0.035kg/h・mm2以上が特に好ましい。
【0057】
本発明においては、成分(A)〜(D)、並びに所望により成分(E)を連続式二軸混練機中へ投入する方法については、特に制限されず、各成分を同時に投入してもよいし、予め、各成分を予備混合した後、投入してもよい。
【0058】
例えば、予め、成分(B)の一部を成分(A)に溶解させて、ある程度粘度を上昇させて取り扱い性の良好なアクリル系シラップとした後、該アクリル系シラップ、成分(B)の残り、成分(C)、成分(D)、並びに所望により成分(E)を連続式二軸混練機へ投入してもよい。また、この場合、成分(B)の一部を成分(A)に溶解させる代わりに、成分(A)を予め部分重合することによって成分(A)中にその重合体である成分(B)を生成させてアクリル系シラップとしたものを用いてもよい。
【0059】
また、例えば、成分(D)の分散をより均一にするために、成分(A)に成分(D)を溶解させた後、該溶液、成分(B)、成分(C)、並びに所望により成分(E)を連続式二軸混練機へ投入してもよい。また、この場合、成分(A)に成分(D)を溶解させる代わりに、成分(B)の一部を成分(A)に溶解させたアクリル系シラップに成分(D)を溶解させてもよいし、成分(A)を部分重合することによって得られたアクリル系シラップに成分(D)を溶解させてもよい。
【0060】
また、例えば、粉体状成分である、成分(B)、成分(C)、並びに所望により成分(E)を予め予備混合して、この混合物を連続式二軸混練機へ投入してもよい。
【0061】
混練時間(材料が連続式二軸混練機中に滞在する時間)は、3分以内である。混練時間が3分以内の場合に、混練する際にアクリル系BMCが受ける熱履歴が少なくなるので、アクリル系BMCの保存安定性が良好となる傾向にある。また、この場合、無機充填剤含有樹脂粒子(E)を配合して石目調のアクリル系BMCを製造する際には、無機充填剤含有樹脂粒子(E)のアクリル系単量体(A)中での膨潤及び溶解が抑制される傾向にあり、得られる人工大理石の石目模様が鮮明となって外観が良好となる傾向にある。混練時間の上限値については、2分以内がより好ましく、1分以内が特に好ましい。下限値は、10秒以上であり、20秒以上がより好ましい。
【0062】
本発明に係るアクリル系BMCは、このように短い時間内でもべたつきのないレベルまで増粘するので、連続式二軸混練機から吐出した直後でも取り扱い性が良好である。また、このアクリル系BMCは、連続式二軸混練機から吐出した後、そのまま熟成せずに加熱加圧硬化させて成形してもよいし、必要に応じて、連続式二軸混練機から吐出した後、熟成させてから加熱加圧硬化させて成形してもよい。
【0063】
連続式二軸混練機とは、内部に混練機能と押し出し機能を有する二軸の混練機であり、原料を連続的に供給して、装置内部で混練を行い、混練物を連続的に押し出す装置である。例えば、装置内部にスクリュを担持するものが挙げられるが、これに限定されるものではない。このスクリュは内部に温調用の熱媒を通すことができる構造が好ましく、バレルも温調可能な構造が好ましい。
【0064】
混練する際に使用する温調(加温又は冷却)用の熱媒としては、特に制限はないが、水、エチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。連続式二軸混練機から吐出されるアクリル系BMCの温度は、組成、原料温度、混練時間、BMCの粘度、シェアー発熱等の条件によって異なるため、熱媒温度より高くなる場合もあるし、低くなる場合もある。
【0065】
また、スクリュの直径、長さ、溝深さ、回転数は要求される混合物の処理量や粘度により適宜選択すればよい。
【0066】
この連続式二軸混練機としては、公知の装置を使用することができ、例えば、(株)栗本鐵工所のKRCニーダーが挙げられる。
【0067】
本発明においては、前述の各構成成分を混練して増粘させたアクリル系BMCをそのまま連続式二軸混練機の先端から円柱状に押し出してもよく、また、連続式二軸混練機の先端にダイを取り付けて、所定の形状に連続的に賦型して、混練、増粘、押し出し賦型を一工程で行うこともできる。
【0068】
次に、本発明のアクリル系BMCの製造方法の一例について、図を用いて説明する。
【0069】
図1に示す装置を用い、アクリル系BMCの構成成分のうち、液状成分をタンク1に投入する。ここで用いる液状成分としては、送液ポンプ3、送液管4を通過するものであればよい。
【0070】
タンク1、送液ポンプ3、送液管4は、接液部が液状成分に化学的に侵されない材質及び/又は液状成分を変質させない材質を選定することが好ましい。また、送液ポンプ3は、例えば、ギアポンプやスネークポンプに代表されるような定量供給性能を有するものであればよく、液状成分の粘度等の物性を考慮して選定することが好ましい。また、液状成分の種類に応じて、別のタンク1、送液ポンプ3、送液管4の組み合わせをさらに追加してもよい。
【0071】
一方、アクリル系BMCの構成成分のうち、粉体状成分を容器5に投入する。ここで用いる粉体状成分としては、定量フィーダ6、配管7を通過するものであればよい。容器5は粉体状成分によって化学的、物理的に影響されない材質及び/又は粉体状成分を変質させない材質を用いることが好ましい。また、粉体成分の種類に応じて、別の容器5、定量フィーダ6、配管7の組み合わせをさらに追加してもよい。
【0072】
定量フィーダ6は、例えば、スクリュフィーダのようなものであり、このような粉体移送能力を有するものであればよい。定量フィーダ6の供給量と、送液ポンプ3の供給量の比率(重量比率)はできる限り一定となることが好ましい。従って、液状成分と粉体状成分とは、常に重量を計量しながらホッパ8への投入量を制御することが好ましい。制御方法は、例えば、タンク1及び容器5の重量を計測する方法や、その他公知の方法を用いることができる。
【0073】
配管7は、粉体状成分をホッパ8へ投入するためのものである。ホッパ8に供給された液状成分及び粉体状成分は、連続式二軸混練機9に供給される。供給された液状成分及び粉体状成分は、連続式二軸混練機9によって混練されると同時に、増粘して、連続式二軸混練機9の先端から押し出される際には、べたつきのない取り扱い性の良好なBMC餅状物となっている。
【0074】
BMC餅状物は、連続式二軸混練機9の先端部の前方から押し出してもよいし、先端部の下方から押し出してもよい。
【0075】
押し出しダイ10は、連続式二軸混練機9の先端部前方又は先端部下方に設置されており、連続的に押し出された餅状物の断面形状を規制する。連続式二軸混練機9中で増粘した餅状物は、ダイ10より押し出されることにより、所定の形状に賦型される。この賦型物は、カッタ11により所定の長さに切断される。カッタ11は、例えば、ギロチンカッタのようなものであり、また、同等の機能を有するものであれば、これに限定されるものではない。
【0076】
図2は、シート状に賦型されたアクリル系BMCの一例を模式図的に示したものである。図2中、Pは長さ、Qは厚さ、Rは幅を示す。P、Q、Rはそれぞれ所望の寸法に適宜調整すればよい。このアクリル系BMC賦型物は、得られた直後に成形金型に搬送し、成形してもよい。
【0077】
また、このアクリル系BMCは賦型物は、図1に示すように、ダイ10より吐出された後は、コンベア12で搬送してもよい。成形までに時間を要する場合には、図1に示すように、上下をカバーフィルム13、14にて覆い、密封することが好ましい。このカバーフィルム13、14は、アクリル系BMC賦型物に含有される単量体などに対し、バリア性のあるものを使用することが好ましい。バリア性のあるフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、セロファン、ポバールフィルム、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体フィルム、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体フィルム等が挙げられる。また、このカバーフィルムは、2層以上のフィルムを積層したラミネートフィルムであってもよい。
【0078】
また、カバーフィルムで密封したアクリル系BMC賦型物を搬送する場合には、賦型形状を保持するために、容器等に収納しておくことが好ましい。
【0079】
次に、本発明のアクリル系人工大理石の製造方法について述べる。
【0080】
本発明においては、前述のアクリル系BMCを成形型内に充填し、これを加熱加圧硬化することによって、アクリル系人工大理石を得ることができる。この加熱加圧硬化の具体的な方法としては、プレス成形法、射出成形法、押し出し成形法等があるが、特に限定されるものではない。
【0081】
この場合、加熱温度としては、特に制限はないが、80〜150℃の範囲内が好ましい。加熱温度を80℃以上の場合に、硬化時間を短縮することができ、生産性が高くなる傾向にあり、150℃以下の場合に、得られる成形品の外観が良好となる傾向にある。加熱温度の下限値については、85℃以上がより好ましく、また上限値については、140℃以下がより好ましい。また、この温度範囲内において上金型と下金型に温度差をつけて加熱してもよい。
【0082】
加圧圧力としては、特に制限はないが、1〜20MPaの範囲内が好ましい。加圧圧力が1MPa以上の場合に、アクリル系BMCの金型内への充填性が良好となる傾向にあり、20MPa以下の場合に、良好な成形外観が得られる傾向にある。加圧圧力の下限値については、2MPa以上がより好ましく、また上限値については、15MPa以下がより好ましい。
【0083】
なお、成形時間は、成形品の厚みによって適宜選択すればよい。
【0084】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。例中の部及び%は、全て重量基準である。
【0085】
<重合体粉末の物性>
・平均粒子径:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所)を用いて測定した。
・膨潤度:100mlのメスシリンダーに重合体粉末を投入し、数回軽くたたいて5ml詰めた後、10℃以下に冷却したメチルメタクリレートを全量が100mlとなるように投入し、全体が均一になるように素早く攪拌し、その後、メスシリンダーを25℃の恒温槽で1時間保持し、膨潤後の重合体層(メチルメタクリレートを含有する重合体)の体積を求めて、最初の重合体粉末層の体積(5ml)との比を求めたものである。
・重量平均分子量:GPC法によるポリスチレン換算値であり、重量平均分子量の範囲によって、以下の条件で測定したものである。
【0086】
重量平均分子量が10万以下の場合;
装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8120
カラム:東ソー(株)製、TSKgelG2000HXLとTSKgel
G4000HXLとを2本直列に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.4重量%
流速:1ml/分
注入量:0.1ml
検出器:RI(示差屈折計)
重量平均分子量が10万を越えて100万未満の場合;
装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3本直列に連結
オーブン温度:38℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.4重量%
流速:1ml/分
注入量:0.1ml
検出器:RI(示差屈折計)
重量平均分子量が100万以上の場合;
装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
カラム:東ソー(株)製、TSKgel、GMHHR−H(30)を2本
直列に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.4重量%
流速:1ml/分
注入量:0.1ml
検出器:RI(示差屈折計)
なお、ポリスチレン基準ポリマーとしては、重量平均分子量が2000万のものまでしかないため、重量平均分子量が100万以上のものを測定する場合は、ポリスチレン検量線を重量平均分子量が50億の点まで外挿して換算した。
・嵩密度:JIS R 6126−1790に基づいて測定した。
・吸油量:JIS K 5101−1991に基づいて測定し、パテ状塊がアマニ油の最後の一滴で急激に柔らかくなる直前を終点とした。
【0087】
<連続式二軸混練機の連続運転性>
○:連続式二軸混練機を3時間以上運転をしても、安定してアクリル系BMC賦型物を吐出することができ、長時間の連続運転が可能であった。
×:連続式二軸混練機内で硬化が起こり、アクリル系BMCを連続的に長時間吐出することができなかった。
【0088】
<アクリル系BMCの増粘性>
○:連続式二軸混練機先端から押し出された直後、あるいはバッチ式ニーダーから取り出した直後に、べた付きがない状態まで増粘しており、取り扱い性が良好なBMC餅状物になっていた。
×:連続式二軸混練機先端から押し出された直後、あるいはバッチ式ニーダーから取り出した直後には、ある程度増粘してBMC餅状物になっていたものの、べたつきがあり、取り扱い性が悪かった。
【0089】
<アクリル系BMCの保存安定性>
◎:23℃の雰囲気下で放置したところ、3ヶ月以上経っても硬化せず、保存安定性が極めて良好であった。
○:23℃の雰囲気下で放置したところ、1ヶ月間は硬化せず、保存安定性が良好であった。
×:23℃の雰囲気下で放置したところ、2週間で硬化した。
【0090】
<アクリル系BMCの均一硬化性>
○:アクリル系BMCからランダムに5箇所サンプリングし、サンプリングしたアクリル系BMCを成形したところ、5個の成形品全てに硬化不良は全く認められなった。
×:アクリル系BMCからランダムに5箇所サンプリングし、サンプリングしたアクリル系BMCを成形したところ、硬化不良のある成形品が1個以上認められた。
【0091】
<石目模様の鮮明性>
○:極めて鮮明で、非常に意匠性に優れた。
△:石目がぼやけており、意匠性に劣った。
×:石目の模様材である無機充填剤含有樹脂粒子が溶解しており、御影石調の外観が得られず、意匠性が極めて悪かった。
【0092】
(1)重合体粉末(P−1)の製造例
冷却管、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、純水750部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名「ペレックスSS−H」)4部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム1部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、70℃に昇温した。これに、メチルメタクリレート500部及び界面活性剤ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名「ペレックスOT−P」)5部からなる混合物を3時間かけて滴下した後、1時間保持し、さらに80℃に昇温して1時間保持した後、室温まで冷却して、乳化重合を終了して、エマルションを得た。得られたエマルションの重合体の一次粒子の平均粒子径は、0.10μmであった。
【0093】
次いで、このエマルションを、噴霧乾燥装置(大川原化工機社製L−8型)を用いて、入口温度/出口温度=150℃/90℃で噴霧乾燥処理して、重合体粉末(P−1)を得た。
【0094】
得られた重合体粉末(P−1)の平均粒子径は30μmであり、比表面積は50m2/gであり、嵩密度は0.40であり、アマニ油に対する吸油量は100ml/100gであり、重量平均分子量は60万であった。また、MMAに対する膨潤度を評価したところ、完全に溶解したため、膨潤度は20倍以上であった。
【0095】
(2)重合体粉末(P−2)の製造例
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、純水1150部、界面活性剤として特殊カルボン酸型界面活性剤(花王(株)製、商品名「ラテムルASK」)5部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム1部を、単量体としてメチルメタクリレート400部及びエチルメタクリレート100部を、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.15部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、50℃に昇温した。そのまま5時間保持した後、冷却して、乳化重合を終了して、エマルションを得た。得られたエマルションの重合体の一次粒子の平均粒子径は、0.20μmであった。
【0096】
温度計、攪拌機、蒸気導入管を備えた容器に、純水300部及び硫酸0.2部を仕込んだ。次に、この硫酸水溶液を攪拌しながら、蒸気を導入して40℃に昇温した後、上述のエマルション150部を加え、40℃のまま5分間保持して、重合体粒子を凝析させた。次に、65℃に昇温した後、n−ヘプタンを加え、65℃のまま5分間保持して、凝析した重合体粒子を凝集させた。この後、徐々に昇温してn−ヘプタンを揮発させ、95℃まで昇温して5分間保持して固化させ、凝固を終了した。凝固した重合体粒子を濾過して、乾燥させて、重合体粉末(P−2)を得た。
【0097】
得られた重合体粉末(P−2)の平均粒子径は150μmであり、比表面積は15m2/gであり、嵩密度は0.37であり、アマニ油に対する吸油量は150ml/100gであり、重量平均分子量は55万であった。また、MMAに対する膨潤度を評価したところ、一部は溶解したものの、一部未溶解部が残ったため、膨潤度は0.8であった。
【0098】
(3)重合体粉末(P−3)の製造例
乳化重合に使用する単量体をメチルメタクリレート400部及びn−ブチルアクリレート100部に、連鎖移動剤の量を0.004部に変更すること以外は、重合体粉末(P−2)の製造例と同じ条件で乳化重合を実施し、得られたエマルションを重合体粉末(P−2)の製造例と同じ条件で凝固して、重合体粉末(P−3)を得た。
【0099】
得られた重合体粉末(P−3)の平均粒子径は130μmであり、比表面積は15m2/gであり、嵩密度は0.34であり、アマニ油に対する吸油量は145ml/100gであり、重量平均分子量は380万であった。また、MMAに対する膨潤度を評価したところ、一部は溶解したものの、一部未溶解部が残ったため、膨潤度は0.8であった。
【0100】
(4)重合体粉末(P−4)の製造例
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、純水800部及びポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメタクリレート392部及びメチルアクリレート8部からなる単量体混合物に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.8部及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1.2部を溶解させた溶液を投入し、窒素雰囲気下、300rpmで攪拌しながら1時間で80℃に昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇温し2時間加熱した後、室温まで冷却して、懸濁重合を終了した。得られたサスペンジョンを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径が350μmの重合体粉末(P−4)を得た。
【0101】
得られた重合体粉末(P−4)の比表面積は0.07m2/gであり、嵩密度は0.73であり、アマニ油に対する吸油量は50ml/100gであり、重量平均分子量は11万であった。また、MMAに対する膨潤度を評価したところ、膨潤度は1.2であった。
【0102】
各重合体粉末(P−1)〜(P−4)の物性等を表1に示す。
【0103】
【表1】
表1中の略号を以下に示す。
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート。
【0104】
(5)無機充填剤含有樹脂粒子(E)の製造例
メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)23部及びエチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルED」)2部からなる単量体混合物に、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学(株)製、商品名、「スミライザーBHT」)0.025部、硬化剤としてt−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名、「カヤエステルAN」、10時間半減期温度=95℃)0.5部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.15部、無機充填剤として水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名「CWL−325J」)60部、着色剤として白色無機顔料又は黒色無機顔料0.05部、及び増粘剤として製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)15部を添加し、バッチ式ニーダー((株)森山製作所製、MS式双腕型ニーダー、G30−10型)で10分間混練してアクリル系BMCを得た。
【0105】
次に、このアクリル系BMCを200mm角の平板成形用金型に700g充填し、上金型温度130℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの条件で10分間加熱加圧硬化させ、厚さ10mmの白色又は黒色のアクリル系人工大理石を得た。
【0106】
得られたアクリル系人工大理石をクラッシャーで粉砕し、篩で分級して、白色又は黒色の無機充填剤含有樹脂粒子(E)を得た。
【0107】
[実施例1]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)6.5部、イソボルニルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルIBX」)6.5部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村科学(株)製、商品名「NKエステルNPG」)10.4部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学(株)製、商品名「スミライザーBHT」)0.01部からなる混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて、410g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0108】
アクリル系重合体(B)として、重合体粉末(P−1)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、273g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0109】
無機充填材(C)として、水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名「CWL−325J」)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Cに付属するSUS製容器5C内に仕込み、1068g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0110】
硬化剤(D)として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ3M」、10時間半減期温度=90℃)をタンク1Dに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Dにて、10.5g/分の速度で、連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0111】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、45℃に温調した熱媒を通した。
【0112】
上記の方法で、成分(A)〜(D)を連続式二軸混練機中へ同時に投入して、連続式二軸混練機中で混練と増粘とを一工程で行い、連続式二軸混練機9の先端部下方に取り付けたダイ10より、シート状のアクリル系BMCを105kg/hの速度で連続的に製造した。連続式二軸混練機中に材料が滞在する時間は約2分であった。押し出したBMCの温度は、60℃であり、問題なく押し出せた。この条件でシート状のアクリル系BMCを連続的に製造したところ、3時間以上運転をしても、安定してシート状のアクリル系BMCが得られた。
【0113】
得られたシート状のアクリル系BMCは、連続式二軸混練機先端より吐出された直後でも、べたつきのない取り扱い性の良好なBMCであった。
【0114】
このアクリル系BMCを、ポリオレフィン/ポリアミド/ポリオレフィンの3層構造を有する厚み80μmのラミネートフィルム(スタープラスチック工業(株)製、商品名「エスラップHB」)で密封し、23℃の雰囲気下で放置した。このアクリル系BMCは、放置後、3ヶ月以上経っても硬化せず、保存安定性が極めて良好であった。
【0115】
次に、このシート状のアクリル系BMCから、700gずつをランダムに5箇所サンプリングをした。このサンプリングしたアクリル系BMC700gを200mm角の平板成型用金型に充填し、上金型温度130℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの条件で10分間加熱加圧硬化させてプレス成形し、厚さ10mmのアクリル系人工大理石の平板を5枚得た。得られた5枚の人工大理石は、いずれも表面光沢が高く、また、硬化不良の部分が全くなく、外観が極めて良好であった。
【0116】
[実施例2]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート6.5部、イソボルニルメタクリレート6.5部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート10.4部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01部からなる混合物に、硬化剤(D)としてt−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「カヤエステルAN」、10時間半減期温度=95℃)0.6部を予備混合して溶解させ、該予備混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて、600g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0117】
アクリル系重合体(B)として、重合体粉末(P−2)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、390g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0118】
無機充填材(C)として、水酸化アルミニウムをクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Cに付属するSUS製容器5C内に仕込み、1525g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0119】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、55℃に温調した熱媒を通した。
【0120】
上記の方法で、成分(A)〜(D)を連続式二軸混練機中へ投入して、連続式二軸混練機中で混練と増粘とを一工程で行い、連続式二軸混練機9の先端部下方に取り付けたダイ10より、シート状のアクリル系BMCを150kg/hの速度で連続的に製造した。このとき連続式二軸混練機中に材料が滞在する時間は約1分であった。押し出したBMCの温度は、51℃であり、問題なくシート状に押し出せた。
【0121】
この条件でシート状のアクリル系BMCを連続的に製造したところ、3時間以上運転をしても、安定してシート状のアクリル系BMCが得られた。
【0122】
得られたシート状のアクリル系BMCは、連続式二軸混練機先端ダイより吐出された直後でも、べたつきのない取り扱い性の良好なBMCであった。
【0123】
このアクリル系BMCを実施例1と同様の条件下で放置したところ、3ヶ月以上経っても硬化せず、保存安定性が極めて良好であった。
【0124】
次にこのアクリル系BMCを実施例1と同様の方法でサンプリングしてプレス成形し、厚さ10mmのアクリル系人工大理石の平板を5枚得た。得られた5枚の人工大理石は、いずれも表面光沢が高く、また、硬化不良の部分が全くなく、外観が極めて良好であった。
【0125】
[実施例3]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート7部、イソボルニルメタクリレート4.5部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート13部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01部からなる混合物に重合体粉末(P−1)1.5部を予備混合し、室温で5分間攪拌して溶解させて、20℃における粘度が1000mPa・sのアクリル系シラップを調整した。このアクリル系シラップ26部に硬化剤(D)として、t−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「KD−1」、10時間半減期温度=100℃)0.6部を予備混合して溶解させ、該予備混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて、465.5g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0126】
アクリル系重合体(B)として、重合体粉末(P−1)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、227.5g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0127】
無機充填材(C)として、水酸化アルミニウムをクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Cに付属するSUS製容器5C内に仕込み、945g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0128】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)として、製造例(5)で製造した白色の無機充填剤含有樹脂粒子と黒色の無機充填剤含有樹脂粒子の混合物(重量比1対1)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Eに付属するSUS製容器5E内に仕込み、122.5g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0129】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、45℃に温調した熱媒を通した。
【0130】
上記の方法で、成分(A)〜(E)を連続式二軸混練機中へ投入して、連続式二軸混練機中で混練と増粘とを一工程で行い、連続式二軸混練機9の先端部下方に取り付けたダイ10より、シート状のアクリル系BMCを105kg/hの速度で連続的に製造した。連続式二軸混練機中に材料が滞在する時間は約2分であった。押し出したBMCの温度は、52℃であり、問題なくシート状に押し出せた。
【0131】
この条件でシート状のアクリル系BMCを連続的に製造したところ、3時間以上運転をしても、安定してシート状のアクリル系BMCが得られた。
【0132】
得られたシート状のアクリル系BMCは、連続式二軸混練機先端ダイより吐出した直後でも、べたつきのない取り扱い性の良好なBMCであった。
【0133】
このアクリル系BMCを実施例1と同様の条件下で放置したところ、3ヶ月以上経っても硬化せず、保存安定性が極めて良好であった。
【0134】
次にこのアクリル系BMCを実施例1と同様の方法でサンプリングしてプレス成形し(ただし、成形温度は、上金型温度135℃、下金型温度120℃に変更)、厚さ10mmの御影石調のアクリル系人工大理石の平板を5枚得た。得られた5枚の御影石調の人工大理石は、いずれも表面光沢が高く、石目模様を鮮明であり、また、硬化不良の部分が全くなく、外観が極めて良好であった。
【0135】
[実施例4]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート6部、イソボルニルメタクリレート4部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート12部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01部からなる混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて660g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0136】
アクリル系重合体(B)として、重合体粉末(P−3)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、360g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0137】
無機充填材(C)として、水酸化アルミニウムをクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Cに付属するSUS製容器5C内に仕込み、1380g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0138】
硬化剤(D)として、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名「パーブチルZ」、10時間半減期温度=104℃)をタンク1Dに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Dにて、18g/分の速度で、連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0139】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)として、製造例(5)で製造した白色の無機充填剤含有樹脂粒子と黒色の無機充填剤含有樹脂粒子の混合物(重量比1対1)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Eに付属するSUS製容器5E内に仕込み、600g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0140】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、60℃に温調した熱媒を通した。
【0141】
上記の方法で、成分(A)〜(E)を連続式二軸混練機中へ同時に投入して、連続式二軸混練機中で混練と増粘とを一工程で行い、連続式二軸混練機9の先端部下方に取り付けたダイ10より、シート状のアクリル系BMCを180kg/hの速度で連続的に製造した。連続式二軸混練機中に材料が滞在する時間は約40秒であった。押し出したBMCの温度は、55℃であり、問題なくシート状に押し出せた。
【0142】
この条件でシート状のアクリル系BMCを連続的に製造したところ、3時間以上運転をしても、安定してシート状のアクリル系BMCが得られた。
【0143】
得られたシート状のアクリル系BMCは、連続式二軸混練機先端ダイより吐出した直後でも、べたつきのない取り扱い性の良好なBMCであった。
【0144】
このアクリル系BMCを実施例1と同様の条件下で放置したところ、3ヶ月以上経っても硬化せず、保存安定性が極めて良好であった。
【0145】
次にこのアクリル系BMCを実施例1と同様の方法でサンプリングしてプレス成形し(ただし、成形温度は、上金型温度135℃、下金型温度120℃に変更)、厚さ10mmの御影石調のアクリル系人工大理石の平板を5枚得た。得られた5枚の御影石調の人工大理石は、いずれも表面光沢が高く、石目模様を鮮明であり、また、硬化不良の部分が全くなく、外観が極めて良好であった。
【0146】
[実施例5]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート5.5部、イソボルニルメタクリレート4部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート11部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01部からなる混合物に重合体粉末(P−4)4.5部を予備混合し、60℃で30分間攪拌して溶解させて、20℃における粘度が5000mPa・sのアクリル系シラップを調整した。このアクリル系シラップ25部に硬化剤(D)として、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名「トリゴノックス42」、10時間半減期温度=100℃)0.6部を予備混合して溶解させ、該予備混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて、750g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0147】
アクリル系重合体(B)として、重合体粉末(P−1)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、270g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0148】
無機充填材(C)として、水酸化アルミニウムをクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Cに付属するSUS製容器5C内に仕込み、1380g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0149】
無機充填剤含有樹脂粒子(E)として、製造例(5)で製造した白色の無機充填剤含有樹脂粒子と黒色の無機充填剤含有樹脂粒子の混合物(重量比1対1)をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Eに付属するSUS製容器5E内に仕込み、600g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0150】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、45℃に温調した熱媒を通した。
【0151】
上記の方法で、成分(A)〜(E)を連続式二軸混練機中へ投入して、連続式二軸混練機中で混練と増粘とを一工程で行い、連続式二軸混練機9の先端部下方に取り付けたダイ10より、シート状のアクリル系BMCを180kg/hの速度で連続的に製造した。連続式二軸混練機中に材料が滞在する時間は約40秒であった。押し出したBMCの温度は、62℃であり、問題なくシート状に押し出せた。
【0152】
この条件でシート状のアクリル系BMCを連続的に製造したところ、3時間以上運転をしても、安定してシート状のアクリル系BMCが得られた。
【0153】
得られたシート状のアクリル系BMCは、連続式二軸混練機先端ダイより吐出した直後でも、べたつきのない取り扱い性の良好なBMCであった。
【0154】
このアクリル系BMCを実施例1と同様の条件下で放置したところ、3ヶ月以上経っても硬化せず、保存安定性が極めて良好であった。
【0155】
次にこのアクリル系BMCを実施例1と同様の方法でサンプリングしてプレス成形し(ただし、成形温度は、上金型温度135℃、下金型温度120℃に変更)、厚さ10mmの御影石調のアクリル系人工大理石の平板を5枚得た。得られた5枚の御影石調の人工大理石は、いずれも表面光沢が高く、石目模様を鮮明であり、また、硬化不良の部分が全くなく、外観が極めて良好であった。
【0156】
[比較例1]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート10.8部及びネオペンチルグリコールジメタクリレート8.2部からなる混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて、166.5g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0157】
アクリル系重合体(B)として重合体粉末(P−4)20部、無機充填剤(C)として水酸化アルミニウム52部、及び無機充填剤含有樹脂粒子(E)として製造例(5)で製造した白色の無機充填剤含有樹脂粒子と黒色の無機充填剤含有樹脂粒子の混合物(重量比1対1)9部を予備混合し、該混合物をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、710.1g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0158】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、90℃に温調した熱媒を通した。
【0159】
上記の方法で、成分(A)、(B)、(C)、及び(E)を連続式二軸混練機中へ投入して、連続式二軸混練機中で増粘させて、餅状物(粘土状物)を52.6kg/時間の速度で連続的に製造した(増粘工程)。連続式二軸混練機中に材料が滞在する時間は約2分であった。押し出したBMCの温度は、82℃であった。
【0160】
次に、この餅状物を40℃まで冷却した(冷却工程)。冷却には30分を要した。
【0161】
この冷却したBMCを押し出し機((株)池貝鉄工所製、PCM10型)に供給し、同時に、硬化剤(D)として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ3M」、10時間半減期温度=90℃)を餅状物100部当たり0.6部供給し、シート状のアクリル系BMCを得た(硬化剤混合工程)。硬化剤の混合時間は2分であった。
【0162】
上記のように、アクリル系BMCを製造するのに、増粘工程、冷却工程、硬化剤混合工程の3工程を必要とし、製造ラインが複雑であった。また、3工程で合計34分を要した。
【0163】
次にこのアクリル系BMCを実施例1と同様の方法でサンプリングしてプレス成形し、厚さ10mmの御影石調のアクリル系人工大理石の平板を5枚得た。得られた5枚の御影石調の人工大理石のうち、1枚に硬化不良の部分があった。
【0164】
[比較例2]
アクリル系単量体(A)として、メチルメタクリレート10.8部及びネオペンチルグリコールジメタクリレート8.2部からなる混合物をタンク1Aに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Aにて、166.5g/分の速度で連続式二軸混練機9((株)栗本鐵工所製S−2型KRCニーダー、スクリュ直径=50mm、L/D=13.7)に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0165】
アクリル系重合体(B)として重合体粉末(P−4)20部、無機充填剤(C)として水酸化アルミニウム52部、及び無機充填剤含有樹脂粒子(E)として製造例(5)で製造した白色の無機充填剤含有樹脂粒子と黒色の無機充填剤含有樹脂粒子の混合物(重量比1対1)9部を予備混合し、該混合物をクマエンジニアリング製スクリュフィーダ6Bに付属するSUS製容器5B内に仕込み、710.1g/分の速度で連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0166】
硬化剤(D)として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ3M」、10時間半減期温度=90℃)をタンク1Dに仕込み、兵神装備(株)製スネークポンプ3Dにて、10.5g/分の速度で、連続式二軸混練機9に付属するホッパ8に連続的に投入した。
【0167】
また、連続式二軸混練機9のバレルのジャケットには、90℃に温調した熱媒を通した。
【0168】
上記の方法で、成分(A)〜(E)を連続式二軸混練機中へ投入して、連続式二軸混練機中で混練と増粘とを一工程で行ったが、混練中に連続式二軸混練機内で硬化が起こり、アクリル系BMCを連続的に長時間吐出することができなかった。
【0169】
[比較例3]
アクリル系単量体(A)として、トリメチロールプロパントリメタクリレート7.5部及びスチレン(三菱化学(株)製)7.5部からなる混合物、アクリル系重合体(B)として重合体粉末(P−4)23部、無機充填剤(C)として水酸化アルミニウム42部、硬化剤(D)としてジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名「パークミルD」、10時間半減期温度=116℃)0.6部、及び無機充填剤含有樹脂粒子(E)として製造例(5)で製造した白色の無機充填剤含有樹脂粒子と黒色の無機充填剤含有樹脂粒子の混合物(重量比1対1)20部を、バッチ式のニーダー((株)森山製作所製、MS式双腕型ニーダー、G30−10型)に投入した。ニーダーのジャケットに60℃に温調した熱媒を通して、30分間混練してアクリル系BMCを得た。得られたアクリル系BMCの温度は60℃で、混練終了直後にはある程度増粘してBMC餅状物になっていたものの、べたつきがあり取り扱い性が悪かった。
【0170】
次に、このアクリル系BMCを用いて、実施例1と同様の方法(ただし、成形温度は、上金型温度145℃、下金型温度130℃に変更)で、厚さ10mmのアクリル系人工大理石を得た。得られた人工大理石は、石目の模様材である無機充填材含有樹脂粒子が溶解しており、御影石調の外観が得られず、外観が極めて悪かった。
【0171】
各実施例及び比較例の組成等を下記表2に示し、条件及び評価を下記表3に示す。
【0172】
【表2】
表2中の略号を下記に示す。
MMA:メチルメタクリレート
IBX:イソボルニルメタクリレート
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート
St:スチレン
パーヘキサ3M:1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン
カヤエステルAN:t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノ
エート
KD−1:t−アミルパーオキシベンゾエート
パーブチルZ:t−ブチルパーオキシベンゾエート
トリゴノックス42:t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノ
エート
パークミルD:ジクミルパーオキサイド。
【0173】
【表3】
【0174】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、アクリル系BMCを製造するにあたって、使用する硬化剤の分解温度に応じて特定の温度条件下で混練することによって、硬化剤の混練とBMCの増粘とを連続式二軸混練機中で一工程で行うことが可能となり、アクリル系BMCの製造ラインを簡素化することができる。しかも、この特定の温度条件下で混練することによって、連続式二軸混練機の生産効率を高くすることが可能となり、非常に高い生産速度でアクリル系BMCを製造することが可能となる。
【0175】
また、本発明の製造方法で得られたアクリル系BMCは、保存安定性が良好で、硬化性に優れる。さらにこれを用いて製造されるアクリル系人工大理石は、鮮明な石目模様を発現し、優れた外観を有しており、工業上非常に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する連続式二軸混練機を模式的に示す図である。
【図2】シート状に賦型したアクリル系BMCの一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 タンク
3 送液ポンプ
4 送液管
5 容器
6 定量フィーダ
7 配管
8 ホッパ
9 連続式二軸混練機
10 押し出しダイ
11 カッタ
12 コンベア
13 上カバーフィルム
14 下カバーフィルム
P 長さ
Q 厚さ
R 幅
Claims (4)
- アクリル系単量体(A)、アクリル系重合体(B)、無機充填剤(C)、及び硬化剤(D)を含有してなるアクリル系BMCを製造するための方法であって、成分(A)〜(D)を、連続式二軸混練機中で、30℃〜[硬化剤(D)の10時間半減期温度−10]℃の範囲内の温度条件下にて、混練時間10秒以上3分以内で混練すると同時に増粘させることにより、混練と増粘とを一工程で行うことを特徴とするアクリル系BMCの製造方法。
- 成分(A)〜(D)、及び、無機充填剤含有樹脂粒子(E)を、連続式二軸混練機中で、30℃〜[硬化剤(D)の10時間半減期温度−10]℃の範囲内の温度条件下にて、混練時間10秒以上3分以内で混練すると同時に増粘させることにより、混練と増粘とを一工程で行う請求項1記載のアクリル系BMCの製造方法。
- アクリル系重合体(B)が重合体粉末である請求項1または2記載のアクリル系BMCの製造方法。
- 重合体粉末の比表面積が0.5m2/g以上である請求項3記載のアクリル系BMCの製造方法。
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