JP2004175893A - 人造大理石用の樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱硬化性樹脂に充填材、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石成形品を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物である。これにおいて、比重の異なる複数種の柄材を添加配合する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の部材や建材として用いられる人造大理石成形品を製造する際に使用する材料である人造大理石用の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱硬化性樹脂と、充填材、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を所望の注型用金型に注入し、加熱硬化させることによって人造大理石を形成することが知られている。人造大理石を製造するための原料となる熱硬化性樹脂としては、従来よりポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などが用いられてきた。これらを活用した人造大理石の成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、トイレカウンターなどに広く利用されている。
【0003】
そして樹脂組成物を硬化成形して得られる人造大理石に高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現するために、色や形、粒度の異なる各種の柄材をその樹脂個組成物に添加し、これを成形することによって柄材含有の人造大理石を製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−219719号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、人造大理石成形品に透明感を与え、より高級感を付与することも行われている。この透明感を持った人造大理石用の樹脂組成物に柄材を入れてグラニット調の人造大理石成形品を得ようとすると、透明性が高い為に、添加配合した柄材が成形品の表面から透けて良く目立つ形になる。
【0006】
この時、添加配合した柄材が成形品の厚み方向に均一に分布しない状態では、柄材配合による柄の立体感が得られず、即ち、分布が偏った状態となる。成形品の表面側に柄材が偏ると柄材が極端に目立つ状態で透明感による柄の立体感の付与は低下する。また、成形品の裏面側に柄材が偏ると、柄材が目立たない状態でになり、この状態でも透明感による柄の立体感は低下してしまう。従来は、このような状況にあり、柄材の成形品の厚み方向に対して不均一で、得られる人造大理石成形品も柄の分布が極めて安定しないものであった。
【0007】
そこで、成形品の厚み方向の柄材分布を均一にして、しかも任意的に分布の操作ができれば、デザイン的、高意匠的に優れた柄材含有の人造大理石を得ることができる。そのような方法の出現が望まれていた。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、柄材含有の人造大理石成形品の製造で、添加配合する柄材に比重差を付けて、均一且つ任意的に人造大理石成形品の厚み方向に、色、形、大きさなどの異なる柄材を分布させ、透明感による柄の立体感に優れ、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる人造大理石用の樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の請求項1の人造大理石用の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂に充填材、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石成形品を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、比重の異なる複数種の柄材を添加配合したことを特徴とする。注型用金型に人造大理石用の樹脂組成物を注入して成形するとき、柄材の比重差により比重に見合う位置で柄材が定着するように成形される。これにより、均一且つ任意的に人造大理石成形品の厚み方向に、色、形、大きさなどの異なる柄材を分布させ、透明感による柄の立体感に優れ、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる。
【0010】
また本発明の請求項2の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1において、比重の異なる複数種の柄材は色、形、大きさ、厚さ、表面化粧などの少なくとも1つが異なっていることを特徴とする。
【0011】
また本発明の請求項3の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1または請求項2において、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填材との配合比(重量比)が100/50〜100/300であることを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項4の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂のうち、1種類、あるいは2種類以上の混合物であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の人造大理石用の樹脂組成物は、
熱硬化性樹脂に充填材、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石成形品を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、比重の異なる複数種の柄材を添加配合し、柄材に比重差をつけて用いるものである。
【0014】
柄材の比重は、およそそれを構成する樹脂の比重と充填剤の比重および樹脂と充填剤の配合比率によって決まってくる。本発明では、これらの構成要素を適宜操作して、色、形、大きさ、厚み、あるいは表面化粧などの少なくとも1つが異なり、且つ比重が異なる柄材を得て、これを人造大理石用の樹脂組成物に添加配合して用いるものである。
【0015】
柄材の比重が高い場合は、人造大理石用の樹脂組成物を注型用金型に注入充填して成形硬化させる段階で沈降現象が発生して柄材が沈降して注型用金型の下型表面部即ち成形品の表面側に多く分布することになり、一方柄材の比重が低い場合は浮き上がって注型用金型の上型面即ち成形品の裏面側に分布するようになる。従来は、添加配合する柄材は一定比重であるために、表面側に集まりすぎたり、裏面側に集まりすぎたりして、バラバラの状態で分布して柄表現の均一性に欠けるもので、特に透明感の高い人造大理石成形品では柄のバラツキが大きかった。
【0016】
本発明では、それらの柄材が適宜その比重を設定されて作られているため、それぞれの柄材が人造大理石成形品の厚み方向に、それぞれの比重に見合う位置で定着する形態をとる。即ち、任意的に柄材の立体配置を設定し制御することができるために、色、形、大きさ、厚み、あるいは表面化粧などの異なる柄材を成形品の厚み方向に均一に偏りなく定着分散させることが可能となるものである。これらの状況を図1に示す。
【0017】
図1は人造大理石成形品の比重差による柄材の分布例を示し、1は柄材A(比重=a)、2は柄材B(比重=b)、3は柄材C(比重=c)、4は柄材D(比重=d)、5は柄材E(比重=e)、6は柄材F(比重=f)、7は人造大理石表面側(注型用金型の下型面側)、8は人造大理石裏面側(注型用金型の上型面側)である。上記比重a乃至fはa>b>c>d>e>fの関係で図1に示すように人造大理石成形品の厚み方向にそれぞれ柄材が任意的に分布している。
【0018】
この柄材は比重差をつけて自由に設計できるため、特にそれを構成する樹脂および充填剤の種類や配合比を限定するものではなく、樹脂は熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもかまわないものである。しかし、柄材用の樹脂組成物の樹脂系および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の樹脂系は同一樹脂系とした方が性能の安定性確保の面から望ましい。
【0019】
本発明では、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の単独あるいは、これらの2種類以上の混合系で用いることができる。
【0020】
ポリエステル樹脂としては、熱硬化性のものとして無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸及び無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものである。また通常、この樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されていて、いわゆる、不飽和ポリエステル樹脂と称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0021】
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂あるいはノボラック型ビニルエステル樹脂あるいはその両方を混合して用いることができる。ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。また通常、このビニルエステル樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているものであるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0022】
熱硬化型アクリル樹脂としては、通常熱硬化型として、メチルメタアクリレートモノマーあるいは、多官能のアクリルモノマーあるいはプレポリマー、あるいはポりマーのそれぞれ2種以上の混合物で構成されたアクリルシロップと称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0023】
また、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の2種類以上の混合系とする場合は、樹脂それぞれの特性および充填剤との相互作用あるいは、目的とする製品品質に合った最適配合が求められるが、その配合量は特に限定されるものではない。充填剤は、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラスパウダーなどのうち1種類、あるいは2種類以上の混合物として用いることができる。これは特に限定するものではない。
【0024】
また、本発明では、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填剤の配合比(重量比)を100/50〜100/300とするものである。即ち、熱硬化性樹脂100重量部に対して50重量部以下では、製品の耐衝撃強度は優れるが特に耐熱性を十分に発揮できないおそれがあり、また300重量部以上では、耐熱性は優れるが耐衝撃強度が大きく低下するおそれがあるからである。
【0025】
充填剤の粒径は、小さいほど人造大理石の耐衝撃強度を向上することができるが、人造大理石用の樹脂組成物の粘度を急激に上昇させて製造が困難となる傾向になり、また一方、充填剤の粒径が大きくなると、人造大理石用の樹脂組成物の粘度は低下して製造での問題はなくなるが、人造大理石製品の耐衝撃強度が低下してしまう傾向になる。従って、充填剤の平均粒径の範囲を1μm〜50μmの範囲とすることが好ましい。
【0026】
また、充填剤や柄材の表面にあらかじめシランカップリング処理を施したものを用いると、その充填剤あるいは柄材と樹脂との密着性を向上できて、人造大理石製品の耐衝撃強度を向上させることができる。
【0027】
また、人造大理石用の樹脂組成物にはそれぞれ硬化剤を配合する。硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートやt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、例えばビニルエステル樹脂の場合は、樹脂と架橋剤との総量100重量部に対して0.5〜5重量部とするのが好ましい。硬化剤の配合量が0.5重量部未満では硬化反応が完結せず未反応物が残留する傾向があり、また5重量部を越えると樹脂組成物のポットライフが極端に短くなる傾向があって成形の途中でゲル化が起こって成形性が悪くなるおそれが発生する。
【0028】
また、人造大理石用の樹脂組成物には、上記配合物以外に、紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできる。
【0029】
こうして目的とする人造大理石用の樹脂組成物は、それぞれ、攪拌機等により混合攪拌して調製し、更に、この樹脂組成物を20〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡の処理をし、減圧状態から開放して注型用金型に注入する。注入後、加熱用配管内に加熱媒体を通して注型用金型を加熱する。加熱することにより、これらの樹脂組成物中の上記熱硬化性樹脂中の反応性不飽和基と、同じく樹脂中の重合性モノマーの反応性不飽和基との共重合反応を進行させて人造大理石用の樹脂組成物の硬化成形を行うことができる。
【0030】
柄材用として硬化成形された成形品は、その後クラッシャー等の粉砕機にかけられ、粉砕、分級され、またその後、シランカップリング剤等で表面処理されたりして、目的とする柄材へと加工されて用いられることになる。このようにして得られた本発明の人造大理石成形品は、高級感や自然感を与え、また透明感や深み感のあるグラニット調の人造大理石が得られ、さらに商品価値を高めることが可能となるものである。このような人造大理石成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、あるいはトイレカウンター、床材や壁面部材、家具の表面材等への商品化が容易となるものである。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0032】
(実施例1)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{武田薬品(株)製プロミネートP−311}を用い、充填剤として硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製B−54;平均粒径1.2μm}を、そのビニルエステル樹脂100重量部に対して、それぞれ(ア)100重量部、(イ)120重量部、(ウ)140重量部、(エ)150重量部、(オ)165重量部を添加した5種類の配合物に、更に、着色剤として黒色のトナーをそれぞれ0.5重量部、0.7重量部、0.2重量部、0.3重量部、1.0重量部添加配合し、それぞれに硬化剤{日本油脂(株)製パーキュァWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。
【0033】
このそれぞれの柄材用の樹脂組成物を20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で80分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、それぞれの粒径が、2.8mm(6.5メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、2.0mm(8.6メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)の黒色の5種類の柄材を得た。
【0034】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のビニルエステル樹脂{武田薬品(株)製プロミネートP−311}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重:2.4、住友化学(株)製CW−308B;平均粒径8μm}を150重量部、上記5種類の柄材をそれぞれ3重量部、5重量部、1重量部、1重量部、2重量部添加し、更に、着色剤として白色のトナーを0.05重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で12mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で120分加熱して硬化させ、透明調で立体感のあるグラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0035】
(実施例2)
熱硬化性樹脂として、アクリルシロップ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、充填剤として硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH;平均粒径2.5μm}を、そのアクリルシロップ樹脂100重量部に対して、それぞれ(カ)110重量部、(キ)120重量部、(ク)130重量部、(ケ)150重量部、(コ)170重量部を添加した5種類の配合物に、更に、着色剤として(カ)=黒色のトナーを0.8重量部、(キ)=茶色のトナーを0.5重量部、(ク)=茶色のトナーを0.3重量部、(ケ)=黄色のトナーを0.1重量部、(コ)=黒色のトナーを1.2重量部添加配合し、それぞれに硬化剤{化薬アクゾ(株)製パーカドックス16}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。
【0036】
このそれぞれの柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して注型用金型を90℃で80分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、それぞれの粒径が、3.35mm(5.5メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、2.0mm(8.6メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)の5種類の柄材を得た。
【0037】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のアクリルシロップ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として、シリカ{化学式=SiO2、比重2.2、龍森(株)製CRYSTALITE M−3K;平均粒径20μm}を、同様樹脂分100重量部に対して120重量部、上記5種類の柄材をそれぞれ4重量部、4重量部、2重量部、1重量部、3重量部添加し、更に、着色剤として白色のトナーを0.05重量部、硬化剤{化薬アクゾ(株)製パーカドックス16}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で12mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、透明調で立体感のあるグラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0038】
(実施例3)
熱硬化性樹脂として、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、充填剤として、硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH−D;平均粒径3.5μm}と、水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}を90/10で混合したものを、ポリエステル樹脂100重量部に対して、それぞれ(サ)130重量部、(シ)150重量部、(ス)160重量部、(セ)180重量部、(ソ)200重量部を添加した5種類の配合物に、更に、着色剤として(サ)=黒色のトナーを1.0重量部、(シ)=茶色のトナーを0.6重量部、(ス):黒色のトナーを0.5重量部、(セ)=黄色のトナーを0.2重量部、(ソ)=黒色のトナーを1.5重量部添加配合し、それぞれに硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。
【0039】
このそれぞれの柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、それぞれの粒径が、2.0mm(8.6メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)の5種類の柄材を得た。
【0040】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}を150重量部、上記5種類の柄材をそれぞれ、5重量部、3重量部、1重量部、2重量部、3重量部添加し、更に、着色剤として白色のトナーを0.05重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で12mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、透明調で立体感のあるグラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0041】
(実施例4)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)ポリマール5250}を85/15の配合比で混合したものを用い、充填剤として、酸化チタン{化学式=TiO2、比重=4.1、堺化学工業(株)製R−25;平均粒径0.20μm}と、水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、昭和電工(株)製H−320;平均粒径10μm}を85/15で混合したものを、その混合樹脂100重量部に対して、それぞれ(タ)140重量部、(チ)150重量部、(ツ)160重量部、(テ)190重量部、(卜)210重量部を添加した5種類の配合物に、更に、着色剤として(タ)=黒色のトナーを1.5重量部、(チ)=茶色のトナーを0.5重量部、(ツ)=黒色のトナーを1.5重量部、(テ)=黄色のトナーを0.1重量部、(ト)=茶色のトナーを1.0重量部添加配合し、それぞれに硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。
【0042】
このそれぞれの柄材用樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、それぞれの粒径が、2.8mm(6.5メッシュ)、2.0mm(8.6メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)の5種類の柄材を得た。
【0043】
次に、熱硬化性樹脂として、上記同様の混合樹脂を用い、この混合樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=A1(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}とガラスパウダー{化学式=SiO2、比重=2.2、日本フリット(株)製GF−2−30A;平均粒径30μm}を、それぞれ100重量部、50重量部、それに上記5種類の柄材をそれぞれ、4重量部、5重量部、1重量部、3重量部、2重量部添加し、更に、着色剤として白色のトナーを0.03重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で12mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、透明調で立体感のあるグラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0044】
(実施例5)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、アクリルシロップ樹脂{三井化学(株)製XE924−1}を95/5の配合比で混合したものを用い、充填剤として、酸化チタン{化学式=TiO2、比重=4.1、堺化学工業(株)製SR−1;平均粒径0.25μm}と硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH−D;平均粒径3.5μm}と、水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、昭和電工(株)製H−320;平均粒径10μm}を50/30/20で混合したものを、その混合樹脂100重量部に対して、それぞれ(ナ)160重量部、(ニ)140重量部、(ヌ)180重量部、(ネ)200重量部、(ノ)230重量部を添加した5種類の配合物に、更に、着色剤として(ナ)=黒色のトナーを1.5重量部、(ニ)=茶色のトナーを0.4重量部、(ヌ)=黒色のトナーを1.2重量部、(ネ)=黄色のトナーを0.1重量部、(ノ)=茶色のトナーを1.3重量部添加配合し、それぞれに硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。
【0045】
このそれぞれの柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によってそれぞれの粒径が、3.35mm(5.5メッシュ)、2.8mm(6.5メッシュ)、2.0mm(8.6メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、3.35mm(5.5メッシュ)、の5種類の柄材を得た。
【0046】
次に、熱硬化性樹脂として、上記同様の混合樹脂を用い、この混合樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.42、住友化学(株)製CW−316;平均粒径15μm}と、ガラスパウダー{化学式=SiO2、比重=2.2、日本フリット(株)製GF−2−30A;平均粒径30μm}を、それぞれ100重量部、40重量部、それに上記5種類の柄材をそれぞれ、5重量部、4重量部、2重量部、3重量部、2重量部添加し、更に、着色剤として白色のトナーを0.03重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で12mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、透明調で立体感のあるグラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0047】
(実施例6)
実施例1〜実施例5の柄材の比重(α)および柄材を添加する前の人造大理石用の樹脂組成物をそれぞれ実施例1〜実施例5と同一条件で硬化成形した成形品の比重(β)を測定した。結果を次の表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明は熱硬化性樹脂に充填材、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石成形品を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、比重の異なる複数種の柄材を添加配合したので、注型用金型に人造大理石用の樹脂組成物を注入して成形するとき、柄材の比重差により比重に見合う位置で柄材が定着するように成形されるものであって、従って均一且つ任意的に人造大理石成形品の厚み方向に、色、形、大きさなどの異なる柄材を分布させ、透明感による柄の立体感に優れ、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】人造大理石成形品の比重差で柄材が分布した状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
1〜6 柄材
7 人造大理石表面側
8 人造大理石裏面側
Claims (4)
- 熱硬化性樹脂に充填材、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石成形品を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、比重の異なる複数種の柄材を添加配合したことを特徴とする人造大理石用の樹脂組成物。
- 比重の異なる複数種の柄材は色、形、大きさ、厚さ、表面化粧などの少なくとも1つが異なっていることを特徴とする請求項1記載の人造大理石用の樹脂組成物。
- 柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填材との配合比(重量比)が100/50〜100/300であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の人造大理石用の樹脂組成物。
- 柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂のうち、1種類、あるいは2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の人造大理石用の樹脂組成物。
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