JP2004291360A - 人造大理石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができる人造大理石の製造方法を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を得て、これを注型用金型Aに注入して成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法である。これにおいて、注型用金型Aの金型面に透明樹脂のゲルコート層8を形成すると共に、柄模様パターンが印刷された柄シート9をゲルコート層8が硬化する前にゲルコート層8の上に設置し、しかる後、上記樹脂組成物11を注型用金型A内に注入充填する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を得て、これを注型用金型Aに注入して成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法である。これにおいて、注型用金型Aの金型面に透明樹脂のゲルコート層8を形成すると共に、柄模様パターンが印刷された柄シート9をゲルコート層8が硬化する前にゲルコート層8の上に設置し、しかる後、上記樹脂組成物11を注型用金型A内に注入充填する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の部材や建材として用いられる人造大理石の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱硬化性樹脂と、充填剤、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を所望の注型用金型に注入し、加熱硬化させることによって人造大理石を形成することが知られている。人造大理石を製造するための原料となる熱硬化性樹脂としては、従来よりポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などが用いられてきた。これらを活用した人造大理石の成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボールなどに広く利用されている。
【0003】
近年、意匠性やデザイン性の高い人造大理石を得るために、注型用金型の金型面に多数の色調の樹脂液をそれぞれスプレーで塗布して柄模様の形成が行われた後、樹脂組成物を注入して硬化させて人造大理石を得ることが行われている。しかし上記のように柄模様を形成した場合、人的即ち作業者の感性に頼るもので柄模様の均一性や再現性に欠けるものであった。
【0004】
この問題を解決するため注型用金型の金型面に柄模付きのシートを予め設置した後、樹脂組成物を注型用金型に注入して硬化させることにより人造大理石を製造する方法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記のように注型用金型の金型面に模様付きのシートを予め設置した後に樹脂組成物を注入して硬化させることにより人造大理石を製造するものでは、人造大理石の表面に色模様付きのシートを積層一体化して柄模様を付与でき、高意匠、高デザインで、しかも柄模様のばらつきがなく、均一性の高い柄模様を得ることができるが、表面に透明感が少なくて品位ある外観としては物足りないものであった。そこで確実に目的とする色柄模様が得られ、更に、より一層の透明感や意匠性やデザイン性、品位性を高める方法の出現が望まれていた。また、一方、人造大理石の性能として表面硬度上げて衝撃やキズに強いものが求めれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−321232号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、予め、注型用金型の表面に透明なゲルコート層を形成した後に、柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布を設置して、その後その注型用金型内に樹脂組成物を注入充填して成形するという方法によって透明感があり、均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができ、更に、ガラスクロスあるいはガラス不織布の補強効果とガラス自体が硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して、架橋密度の高い樹脂系を用いても従来のようなクラックが発生することもなく、非常に表面硬度の高い人造大理石成形品を得ることができる人造大理石の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1の人造大理石の製造方法は、熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を得て、これを注型用金型に注入して成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法において、注型用金型の金型面に透明樹脂のゲルコート層を形成すると共に、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置し、しかる後、上記樹脂組成物を注型用金型内に注入充填することを特徴とする。上記のように表面に透明樹脂のゲルーコート層を形成することで表面に透明感が得られ、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層に設置することにより、均一で再現性の高い高意匠で高デザインの柄模様が得られるものであって、透明感があり、均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができる。また表面のゲルコート層に硬質の樹脂を用いることにより、表面硬度を上げて衝撃や傷に強いものが得られ、さらに柄シートがゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置されることによりゲルコート層と柄シートが強固に一体化されて表面のゲルーコート層にクラックが入ったりするのを防止できる。
【0009】
また本発明の請求項2の人造大理石の製造方法は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラスクロスであることを特徴とする。ガラスクロスの補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られる。
【0010】
また本発明の請求項3の人造大理石の製造方法は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラス不織布であることを特徴とする。ガラス不織布の補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られる。
【0011】
また本発明の請求項4の人造大理石の製造方法は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の内の1種類、あるいは、2種類以上の混合物であることを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項5の人造大理石の製造方法は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、柄模様パターンが印刷された柄シートの厚みが0.1〜1.5mmであることを特徴とする。この場合、注入する樹脂組成物が容易に浸透できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1に本発明の人造大理石の製造方法に用いる注型用金型Aを示しており、この注型用金型Aは上金型1と下金型2とで構成されている。下金型2の上面の周囲にはガスケット5が装着されており、下金型2の上に上金型1をセットすることによりこれらの間に成形品形成空間部7が形成されるようになっている。上金型1及び下金型2にはこれらを加熱するとき温水を通す加熱用温水配管3を設けてある。また上金型1には樹脂組成物11を注入するための注入口4を設けてあり、ガスケット5にはベントノズル6を設けてある。
【0014】
本発明の人造大理石の製造方法は、予め、注型用金型Aの下金型2の表面に透明なゲルコート層8を形成した後に、柄模様パターンが印刷された柄シート9(即ち柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布)を設置して、その後、注型用金型Aを閉じて熱硬化性樹脂と充填剤、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した人造大理石用の樹脂組成物を注型用金型A内に注入し加熱硬化させて、柄模様付きの人造大理石成形品12を得るものである。
【0015】
これを図1乃至図6により説明する。先ず、本発明では、図2に示すように下金型2の金型面である成形面に透明ゲルコート樹脂のゲルコート層8を形成する。
透明ゲルコート樹脂によるゲルコート層8の形成は、通常のスプレーガンにより塗布する方法や一定量の樹脂を直接流し込んで薄い樹脂層としてゲルコート層8を形成する方法などいずれの方法も用いることができる。このゲルコート層8の形成方法は特に限定するものではない。また、透明ゲルコート樹脂液にシリカ、水酸化アルミニウム、ガラスパウダーなどの充填剤成分を適当量添加配合して、透明性の度合いを調整したり、あるいは、ゲルコート樹脂組成に顔料や染料などの着色成分を添加配合して色付のゲルコートとして使用することも可能である。
【0016】
次いで図3に示すようにゲルコート層8の上に、柄模様パターンが印刷された柄シート9を設置する。柄シート9は具体的には柄模様が印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布である。柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布などの柄シート9の設置は、透明のゲルコート層8の上面に、即ちその透明のゲルコート層8が半ゲル状態で行う為、その粘着性を利用して容易に固定することができる。柄模様が印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布の種類や厚みは特に限定するものではないが、厚みについては注入する樹脂組成物11がその中に容易に含浸できるものが良く、0.1〜1.5mm厚みの範囲のものが望ましい。
【0017】
次に、この状態で図4に示すように上金型1を閉じて、図5に示すように注入口4から、注型用金型A内の樹脂組成物充填空間部10へ樹脂組成物11を注入充填し、加熱用温水配管3に温水を通しながら金型温度を徐々に上昇させ成形硬化させる。成形硬化後、再び上金型1を開いて脱型し、柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布とが一体化された人造大理石成形品12を図6に示すように取り出す。
【0018】
次に柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布を設置後、上金型1を閉じて樹脂組成物充填空間部10に注入充填する人造大理石用の樹脂組成物11について説明する。樹脂組成物11を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の単独あるいは、これらの2種類以上の混合系で用いることができる。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、熱硬化性のものとして無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸および無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものである。また通常、この樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されていて、いわゆる、不飽和ポリエステル樹脂と称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0020】
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂あるいはノボラック型ビニルエステル樹脂あるいはその両方を混合して用いることができる。ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。また通常、このビニルエステル樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているものであるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0021】
アクリル樹脂としては、通常熱硬化型として、メチルメタアクリレートモノマーあるいは、多官能のアクリルモノマーあるいはプレポリマー、あるいはポリマーのそれぞれ2種以上の混合物で構成されたアクリルシロップと称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0022】
また、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の2種類以上の混合系とする場合は、樹脂それぞれの特性および充填剤との相互作用あるいは、目的とする製品品質に合った最適配合が求められるが、その配合量は特に限定されるものではない。
【0023】
充填剤は、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラスパウダーの内の1種類、あるいは2種類以上の混合物として用いることができる。充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して100〜300重量部とすることが好ましく、この範囲に満たないと、製品の耐衝撃強度は優れるが耐熱性を十分に発揮できないおそれがあり、またこの範囲を越えると耐熱性は優れるが耐衝撃強度が低下するおそれがある。しかし、これを特に限定するものではない。充填剤の粒径は、小さいほど人造大理石の耐衝撃強度を向上することができるが、人造大理石の樹脂組成物11の粘度を急激に上昇させて製造が困難となる傾向になり、また一方、充填剤の粒径が大きくなると、人造大理石の樹脂組成物11の粘度は低下して製造での問題はなくなるが、人造大理石成形品12の耐衝撃強度が低下してしまう傾向になる為、平均粒径は5μm〜50μm程度の範囲のものを用いるのが望ましい。しかし、特にこれを限定するものではない。
【0024】
また、充填剤の表面にあらかじめシランカップリング処理を施したものを用いると、その充填剤と樹脂との密着性を向上できて、人造大理石成形品12の耐衝撃強度を向上させることができる。
【0025】
また、樹脂組成物11には硬化剤を配合する。硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートやt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、例えばビニルエステル樹脂の場合は樹脂と架橋剤との総量100重量部に対して0.5〜5重量部とするのが好ましい。
【0026】
また、樹脂組成物11には紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできるし、より高級感を付与するために柄材を添加配合することも可能である。
【0027】
注入する人造大理石用の樹脂組成物11は、これらの配合物を所定の割合で配合し、攪拌機等により混合攪拌して配合調製し、更に、この樹脂組成物11を20〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡の処理をし、減圧状態から開放して注型用金型Aに注入する。注入後、加熱用温水配管3内に加熱水を通して注型用金型Aを加熱する。加熱することにより、これらの樹脂組成物11中の上記熱硬化性樹脂中の反応性不飽和基と、同じく樹脂中の重合性モノマーとの共重合反応を進行させて人造大理石用の樹脂組成物11の硬化成形を行うことができる。このようにして得られた本発明の人造大理石成形品12は、柄模様のパターンが均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や高級感を高めた人造大理石を得ることができ、更に、ガラスクロスあるいはガラス不織布の補強効果とガラス自体が硬度が高いという性質とのが相互効果を発揮して、架橋密度の高い樹脂系を用いても従来のようなクラックが発生することもなく、非常に表面硬度の高い人造大理石成形品12を得ることができるものである。このような柄模様付き人造大理石成形品12は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、あるいは、床材や家具の表面材等への商品化が容易となるものである。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
(実施例1)
ゲルコ一ト樹脂{昭和高分子(株)製リゴラックG−2141T}に、硬化剤{日本油脂(株)製パーメックN}を1.0重量%添加し、さらに硬化促進剤{武田薬品(株)製ポリマール促進剤P−106)を0.3重量%添加して樹脂液を得て、これを図1に示すような注型用金型の下金型面にスプレーガンにより塗布して600〜700μm膜厚の透明ゲルコート層を図2のように形成した。形成した透明ゲルコート樹脂が半ゲル状になった段階で、天然の大理石模様(パターンA)を印刷したガラスクロス{ユニチカグラスファイバー(株)製、厚み0.2mm}をその上に設置した。
【0029】
一方、熱硬化性樹脂として、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、また充填剤として、水酸化アルミニウム{昭和電工(株)製H−310 平均粒径17μm}を用いて、配合比率(重量比);樹脂/充填剤=100/120で配合し、更に着色剤として、グレー色のトナーを添加し、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}2.0重量部添加して、20Torrの減圧下で60分間真空脱泡処理しながら攪拌混合して注型用の樹脂組成物を得た。この注型用の樹脂組成物を金型を閉じて、図4に示す樹脂組成物充填空間部に注入充填した。その後、加熱用温水配管に加熱水を流し、金型温度を85℃として110分間加熱して硬化させ、図7(a)に示すように表面に透明ゲルコート層を持った天然の大理石柄模様の人造大理石成形品を得た。図7(a)でaは透明ゲルコート層、bは天然の大理石模様(パターンAを印刷したガラスクロス)、cは注型樹脂組成物硬化部である。
(実施例2)
ゲルコート樹脂{大日本インキ化学工業(株)製ポリライトGC−230}に、硬化剤{日本油脂(株)製パーメックN}を1.0重量%添加し、さらに硬化促進剤{武田薬品(株)製ポリマール促進剤P−106}を0.3重量%添加して樹脂液を得て、これに茶色の染料を添加して色づけした色付きのゲルコートを図1に示すような注型用金型の下金型面にスプレーガンにより塗布して500〜700μm膜厚の色付き透明ゲルコート層を図2のように形成した。形成した色付き透明ゲルコート樹脂が半ゲル状になった段階で、天然の大理石模様(パターンB)を印刷したガラスクロス{ユニチカグラスファイバー(株)製 厚み0.15mm}を図3に示すようにその上に設置した。
【0030】
一方、熱硬化性樹脂として、アクリルシロップ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、また充填剤として、シリカ{龍森(株)製CRYSTALITE M−3K 平均粒径20μm}を用いて、配合比率(重量比);樹脂/充填剤=100/150で配合し、更に着色剤として、白色のトナーを添加し、硬化剤{化薬アクゾ(株)製パーカドックス16)を2.0重量部添加して、20Torrの減圧下で60分間真空脱泡処理しながら攪拌混合して注型用樹脂組成物を得た。この注型用樹脂組成物を、金型を閉じて図4に示す樹脂組成物充填空間部に注入充填した。その後、加熱用温水配管に加熱水を流し、金型温度を80℃として100分間加熱して硬化させ、図7(b)に示すように表面に色付き透明ゲルコート層を持った天然の大理石柄模様の人造大理石成形品を得た。図7(b)でa′は色付き透明ゲルコート層、b′は天然の大理石模様(パターンBを印刷したガラスクロス)、c′は注型樹脂組成物硬化部である。
(実施例3)
ゲルコート樹脂{日本ユピカ(株)製ユピカUG−514}に、ガラスパウダー{日本フリット(株)製CF0007−05B}を2重量部添加して、硬化剤{日本油脂(株)製パーメックN}を1.0重量%添加し、さらに硬化促進剤{武田薬品(株)製ポリマール促進剤P−106}を0.3重量%添加した樹脂液を得て、これに水色の染料を添加して色づけした色付きのゲルコートを図1に示すような注型用金型の下金型面にスプレーガンにより塗布して700〜800μm膜厚のゲルコート層を図2に示すように形成した。形成した色付き透明ゲルコート樹脂が半ゲル状になった段階で、天然の大理石模様(パターンC)を印刷したガラス不織布{ユニチカグラスファイバー(株)製 厚み0.25mm}を図3に示すようにその上に設置した。
【0031】
一方、熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、アクリルシロップ樹脂{三井化学(株)XE924−1}を95/5の配合比(重量比)で混合したものを用い、また充填剤として、水酸化アルミニウム{昭和電工(株)製H−320 平均粒径10μm}とガラスパウダー{日本フリット(株)製GF−2−30A 平均粒径30μm)を、90/10で混合したものを用いて、配合比率(重量比);樹脂/充填剤=100/130で配合し、更に着色剤として、白色、グレー色のトナーを適量添加し、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を3.0重量部添加して、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理しながら攪拌混合して注型用樹脂組成物を得た。この注型用樹脂組成物を、金型を閉じて図4に示す樹脂組成物充填空間部に注入充填した。その後、加熱用温水配管に加熱水を流し、金型温度を85℃として120分間加熱して硬化させ、図7(c)に示すように表面に少し透明性を低下させた色付き透明ゲルコート層を持った天然の大理石柄模様の人造大理石成形品を得た。図7(c)でa″は色付き透明ゲルコート層、b″は天然の大理石模様(パターンCを印刷したガラス不織布)、c″は注型樹脂組成物硬化部である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、叙述のように表面に透明樹脂のゲルーコート層を形成することで表面に透明感が得られ、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層に設置することにより、均一で再現性の高い高意匠で高デザインの柄模様が得られるものであって、透明感があり、均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができるものであり、また表面のゲルコート層に硬質の樹脂を用いることにより、表面硬度を上げて衝撃や傷に強いものが得られるものであり、さらに柄シートがゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置されるので、ゲルコート層と柄シートが強固に一体化されて表面のゲルーコート層にクラックが入ったりするのを防止できるものである。
【0033】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラスクロスであるので、ガラスクロスの補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られるものである。
【0034】
また本発明の請求項3の発明は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラス不織布であるので、ガラス不織布の補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られるものである。
【0035】
また本発明の請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4において、柄模様パターンが印刷された柄シートの厚みが0.1〜1.5mmであるので、注入する樹脂組成物が容易に浸透できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる注型用金型を示す断面図である。
【図2】同上の製造過程の断面図である。
【図3】同上の製造過程の断面図である。
【図4】同上の製造過程の断面図である。
【図5】同上の製造過程の断面図である。
【図6】同上の製造過程の断面図である。
【図7】(a)(b)(c)は同上の実施例に得られて成形品を示す断面図である。
【符号の説明】
A 注型用金型
1 上金型
2 下金型
3 加熱用温水配管
4 注入口
5 ガスケット
6 ベントノズル
7 成形品形成空間部
9 ゲルコート層
10 柄シート
11 樹脂組成物
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の部材や建材として用いられる人造大理石の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱硬化性樹脂と、充填剤、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を所望の注型用金型に注入し、加熱硬化させることによって人造大理石を形成することが知られている。人造大理石を製造するための原料となる熱硬化性樹脂としては、従来よりポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などが用いられてきた。これらを活用した人造大理石の成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボールなどに広く利用されている。
【0003】
近年、意匠性やデザイン性の高い人造大理石を得るために、注型用金型の金型面に多数の色調の樹脂液をそれぞれスプレーで塗布して柄模様の形成が行われた後、樹脂組成物を注入して硬化させて人造大理石を得ることが行われている。しかし上記のように柄模様を形成した場合、人的即ち作業者の感性に頼るもので柄模様の均一性や再現性に欠けるものであった。
【0004】
この問題を解決するため注型用金型の金型面に柄模付きのシートを予め設置した後、樹脂組成物を注型用金型に注入して硬化させることにより人造大理石を製造する方法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記のように注型用金型の金型面に模様付きのシートを予め設置した後に樹脂組成物を注入して硬化させることにより人造大理石を製造するものでは、人造大理石の表面に色模様付きのシートを積層一体化して柄模様を付与でき、高意匠、高デザインで、しかも柄模様のばらつきがなく、均一性の高い柄模様を得ることができるが、表面に透明感が少なくて品位ある外観としては物足りないものであった。そこで確実に目的とする色柄模様が得られ、更に、より一層の透明感や意匠性やデザイン性、品位性を高める方法の出現が望まれていた。また、一方、人造大理石の性能として表面硬度上げて衝撃やキズに強いものが求めれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−321232号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、予め、注型用金型の表面に透明なゲルコート層を形成した後に、柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布を設置して、その後その注型用金型内に樹脂組成物を注入充填して成形するという方法によって透明感があり、均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができ、更に、ガラスクロスあるいはガラス不織布の補強効果とガラス自体が硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して、架橋密度の高い樹脂系を用いても従来のようなクラックが発生することもなく、非常に表面硬度の高い人造大理石成形品を得ることができる人造大理石の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1の人造大理石の製造方法は、熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を得て、これを注型用金型に注入して成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法において、注型用金型の金型面に透明樹脂のゲルコート層を形成すると共に、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置し、しかる後、上記樹脂組成物を注型用金型内に注入充填することを特徴とする。上記のように表面に透明樹脂のゲルーコート層を形成することで表面に透明感が得られ、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層に設置することにより、均一で再現性の高い高意匠で高デザインの柄模様が得られるものであって、透明感があり、均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができる。また表面のゲルコート層に硬質の樹脂を用いることにより、表面硬度を上げて衝撃や傷に強いものが得られ、さらに柄シートがゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置されることによりゲルコート層と柄シートが強固に一体化されて表面のゲルーコート層にクラックが入ったりするのを防止できる。
【0009】
また本発明の請求項2の人造大理石の製造方法は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラスクロスであることを特徴とする。ガラスクロスの補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られる。
【0010】
また本発明の請求項3の人造大理石の製造方法は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラス不織布であることを特徴とする。ガラス不織布の補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られる。
【0011】
また本発明の請求項4の人造大理石の製造方法は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の内の1種類、あるいは、2種類以上の混合物であることを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項5の人造大理石の製造方法は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、柄模様パターンが印刷された柄シートの厚みが0.1〜1.5mmであることを特徴とする。この場合、注入する樹脂組成物が容易に浸透できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1に本発明の人造大理石の製造方法に用いる注型用金型Aを示しており、この注型用金型Aは上金型1と下金型2とで構成されている。下金型2の上面の周囲にはガスケット5が装着されており、下金型2の上に上金型1をセットすることによりこれらの間に成形品形成空間部7が形成されるようになっている。上金型1及び下金型2にはこれらを加熱するとき温水を通す加熱用温水配管3を設けてある。また上金型1には樹脂組成物11を注入するための注入口4を設けてあり、ガスケット5にはベントノズル6を設けてある。
【0014】
本発明の人造大理石の製造方法は、予め、注型用金型Aの下金型2の表面に透明なゲルコート層8を形成した後に、柄模様パターンが印刷された柄シート9(即ち柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布)を設置して、その後、注型用金型Aを閉じて熱硬化性樹脂と充填剤、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した人造大理石用の樹脂組成物を注型用金型A内に注入し加熱硬化させて、柄模様付きの人造大理石成形品12を得るものである。
【0015】
これを図1乃至図6により説明する。先ず、本発明では、図2に示すように下金型2の金型面である成形面に透明ゲルコート樹脂のゲルコート層8を形成する。
透明ゲルコート樹脂によるゲルコート層8の形成は、通常のスプレーガンにより塗布する方法や一定量の樹脂を直接流し込んで薄い樹脂層としてゲルコート層8を形成する方法などいずれの方法も用いることができる。このゲルコート層8の形成方法は特に限定するものではない。また、透明ゲルコート樹脂液にシリカ、水酸化アルミニウム、ガラスパウダーなどの充填剤成分を適当量添加配合して、透明性の度合いを調整したり、あるいは、ゲルコート樹脂組成に顔料や染料などの着色成分を添加配合して色付のゲルコートとして使用することも可能である。
【0016】
次いで図3に示すようにゲルコート層8の上に、柄模様パターンが印刷された柄シート9を設置する。柄シート9は具体的には柄模様が印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布である。柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布などの柄シート9の設置は、透明のゲルコート層8の上面に、即ちその透明のゲルコート層8が半ゲル状態で行う為、その粘着性を利用して容易に固定することができる。柄模様が印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布の種類や厚みは特に限定するものではないが、厚みについては注入する樹脂組成物11がその中に容易に含浸できるものが良く、0.1〜1.5mm厚みの範囲のものが望ましい。
【0017】
次に、この状態で図4に示すように上金型1を閉じて、図5に示すように注入口4から、注型用金型A内の樹脂組成物充填空間部10へ樹脂組成物11を注入充填し、加熱用温水配管3に温水を通しながら金型温度を徐々に上昇させ成形硬化させる。成形硬化後、再び上金型1を開いて脱型し、柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布とが一体化された人造大理石成形品12を図6に示すように取り出す。
【0018】
次に柄模様パターンが印刷されたガラスクロスあるいはガラス不織布を設置後、上金型1を閉じて樹脂組成物充填空間部10に注入充填する人造大理石用の樹脂組成物11について説明する。樹脂組成物11を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の単独あるいは、これらの2種類以上の混合系で用いることができる。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、熱硬化性のものとして無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸および無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものである。また通常、この樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されていて、いわゆる、不飽和ポリエステル樹脂と称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0020】
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂あるいはノボラック型ビニルエステル樹脂あるいはその両方を混合して用いることができる。ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。また通常、このビニルエステル樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているものであるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0021】
アクリル樹脂としては、通常熱硬化型として、メチルメタアクリレートモノマーあるいは、多官能のアクリルモノマーあるいはプレポリマー、あるいはポリマーのそれぞれ2種以上の混合物で構成されたアクリルシロップと称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0022】
また、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の2種類以上の混合系とする場合は、樹脂それぞれの特性および充填剤との相互作用あるいは、目的とする製品品質に合った最適配合が求められるが、その配合量は特に限定されるものではない。
【0023】
充填剤は、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラスパウダーの内の1種類、あるいは2種類以上の混合物として用いることができる。充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して100〜300重量部とすることが好ましく、この範囲に満たないと、製品の耐衝撃強度は優れるが耐熱性を十分に発揮できないおそれがあり、またこの範囲を越えると耐熱性は優れるが耐衝撃強度が低下するおそれがある。しかし、これを特に限定するものではない。充填剤の粒径は、小さいほど人造大理石の耐衝撃強度を向上することができるが、人造大理石の樹脂組成物11の粘度を急激に上昇させて製造が困難となる傾向になり、また一方、充填剤の粒径が大きくなると、人造大理石の樹脂組成物11の粘度は低下して製造での問題はなくなるが、人造大理石成形品12の耐衝撃強度が低下してしまう傾向になる為、平均粒径は5μm〜50μm程度の範囲のものを用いるのが望ましい。しかし、特にこれを限定するものではない。
【0024】
また、充填剤の表面にあらかじめシランカップリング処理を施したものを用いると、その充填剤と樹脂との密着性を向上できて、人造大理石成形品12の耐衝撃強度を向上させることができる。
【0025】
また、樹脂組成物11には硬化剤を配合する。硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートやt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、例えばビニルエステル樹脂の場合は樹脂と架橋剤との総量100重量部に対して0.5〜5重量部とするのが好ましい。
【0026】
また、樹脂組成物11には紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできるし、より高級感を付与するために柄材を添加配合することも可能である。
【0027】
注入する人造大理石用の樹脂組成物11は、これらの配合物を所定の割合で配合し、攪拌機等により混合攪拌して配合調製し、更に、この樹脂組成物11を20〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡の処理をし、減圧状態から開放して注型用金型Aに注入する。注入後、加熱用温水配管3内に加熱水を通して注型用金型Aを加熱する。加熱することにより、これらの樹脂組成物11中の上記熱硬化性樹脂中の反応性不飽和基と、同じく樹脂中の重合性モノマーとの共重合反応を進行させて人造大理石用の樹脂組成物11の硬化成形を行うことができる。このようにして得られた本発明の人造大理石成形品12は、柄模様のパターンが均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や高級感を高めた人造大理石を得ることができ、更に、ガラスクロスあるいはガラス不織布の補強効果とガラス自体が硬度が高いという性質とのが相互効果を発揮して、架橋密度の高い樹脂系を用いても従来のようなクラックが発生することもなく、非常に表面硬度の高い人造大理石成形品12を得ることができるものである。このような柄模様付き人造大理石成形品12は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、あるいは、床材や家具の表面材等への商品化が容易となるものである。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
(実施例1)
ゲルコ一ト樹脂{昭和高分子(株)製リゴラックG−2141T}に、硬化剤{日本油脂(株)製パーメックN}を1.0重量%添加し、さらに硬化促進剤{武田薬品(株)製ポリマール促進剤P−106)を0.3重量%添加して樹脂液を得て、これを図1に示すような注型用金型の下金型面にスプレーガンにより塗布して600〜700μm膜厚の透明ゲルコート層を図2のように形成した。形成した透明ゲルコート樹脂が半ゲル状になった段階で、天然の大理石模様(パターンA)を印刷したガラスクロス{ユニチカグラスファイバー(株)製、厚み0.2mm}をその上に設置した。
【0029】
一方、熱硬化性樹脂として、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、また充填剤として、水酸化アルミニウム{昭和電工(株)製H−310 平均粒径17μm}を用いて、配合比率(重量比);樹脂/充填剤=100/120で配合し、更に着色剤として、グレー色のトナーを添加し、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}2.0重量部添加して、20Torrの減圧下で60分間真空脱泡処理しながら攪拌混合して注型用の樹脂組成物を得た。この注型用の樹脂組成物を金型を閉じて、図4に示す樹脂組成物充填空間部に注入充填した。その後、加熱用温水配管に加熱水を流し、金型温度を85℃として110分間加熱して硬化させ、図7(a)に示すように表面に透明ゲルコート層を持った天然の大理石柄模様の人造大理石成形品を得た。図7(a)でaは透明ゲルコート層、bは天然の大理石模様(パターンAを印刷したガラスクロス)、cは注型樹脂組成物硬化部である。
(実施例2)
ゲルコート樹脂{大日本インキ化学工業(株)製ポリライトGC−230}に、硬化剤{日本油脂(株)製パーメックN}を1.0重量%添加し、さらに硬化促進剤{武田薬品(株)製ポリマール促進剤P−106}を0.3重量%添加して樹脂液を得て、これに茶色の染料を添加して色づけした色付きのゲルコートを図1に示すような注型用金型の下金型面にスプレーガンにより塗布して500〜700μm膜厚の色付き透明ゲルコート層を図2のように形成した。形成した色付き透明ゲルコート樹脂が半ゲル状になった段階で、天然の大理石模様(パターンB)を印刷したガラスクロス{ユニチカグラスファイバー(株)製 厚み0.15mm}を図3に示すようにその上に設置した。
【0030】
一方、熱硬化性樹脂として、アクリルシロップ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、また充填剤として、シリカ{龍森(株)製CRYSTALITE M−3K 平均粒径20μm}を用いて、配合比率(重量比);樹脂/充填剤=100/150で配合し、更に着色剤として、白色のトナーを添加し、硬化剤{化薬アクゾ(株)製パーカドックス16)を2.0重量部添加して、20Torrの減圧下で60分間真空脱泡処理しながら攪拌混合して注型用樹脂組成物を得た。この注型用樹脂組成物を、金型を閉じて図4に示す樹脂組成物充填空間部に注入充填した。その後、加熱用温水配管に加熱水を流し、金型温度を80℃として100分間加熱して硬化させ、図7(b)に示すように表面に色付き透明ゲルコート層を持った天然の大理石柄模様の人造大理石成形品を得た。図7(b)でa′は色付き透明ゲルコート層、b′は天然の大理石模様(パターンBを印刷したガラスクロス)、c′は注型樹脂組成物硬化部である。
(実施例3)
ゲルコート樹脂{日本ユピカ(株)製ユピカUG−514}に、ガラスパウダー{日本フリット(株)製CF0007−05B}を2重量部添加して、硬化剤{日本油脂(株)製パーメックN}を1.0重量%添加し、さらに硬化促進剤{武田薬品(株)製ポリマール促進剤P−106}を0.3重量%添加した樹脂液を得て、これに水色の染料を添加して色づけした色付きのゲルコートを図1に示すような注型用金型の下金型面にスプレーガンにより塗布して700〜800μm膜厚のゲルコート層を図2に示すように形成した。形成した色付き透明ゲルコート樹脂が半ゲル状になった段階で、天然の大理石模様(パターンC)を印刷したガラス不織布{ユニチカグラスファイバー(株)製 厚み0.25mm}を図3に示すようにその上に設置した。
【0031】
一方、熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、アクリルシロップ樹脂{三井化学(株)XE924−1}を95/5の配合比(重量比)で混合したものを用い、また充填剤として、水酸化アルミニウム{昭和電工(株)製H−320 平均粒径10μm}とガラスパウダー{日本フリット(株)製GF−2−30A 平均粒径30μm)を、90/10で混合したものを用いて、配合比率(重量比);樹脂/充填剤=100/130で配合し、更に着色剤として、白色、グレー色のトナーを適量添加し、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を3.0重量部添加して、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理しながら攪拌混合して注型用樹脂組成物を得た。この注型用樹脂組成物を、金型を閉じて図4に示す樹脂組成物充填空間部に注入充填した。その後、加熱用温水配管に加熱水を流し、金型温度を85℃として120分間加熱して硬化させ、図7(c)に示すように表面に少し透明性を低下させた色付き透明ゲルコート層を持った天然の大理石柄模様の人造大理石成形品を得た。図7(c)でa″は色付き透明ゲルコート層、b″は天然の大理石模様(パターンCを印刷したガラス不織布)、c″は注型樹脂組成物硬化部である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、叙述のように表面に透明樹脂のゲルーコート層を形成することで表面に透明感が得られ、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層に設置することにより、均一で再現性の高い高意匠で高デザインの柄模様が得られるものであって、透明感があり、均一で再現性が高く、目的とする柄模様を確実に得ることができて、意匠性やデザイン性、透明感や品位性を高めた人造大理石を得ることができるものであり、また表面のゲルコート層に硬質の樹脂を用いることにより、表面硬度を上げて衝撃や傷に強いものが得られるものであり、さらに柄シートがゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置されるので、ゲルコート層と柄シートが強固に一体化されて表面のゲルーコート層にクラックが入ったりするのを防止できるものである。
【0033】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラスクロスであるので、ガラスクロスの補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られるものである。
【0034】
また本発明の請求項3の発明は、請求項1において、柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラス不織布であるので、ガラス不織布の補強効果とガラス自体の硬度が高いという性質とが相互効果を発揮して架橋密度の高い樹脂系を用いても表面にクラックが発生することなく、表面硬度の高い人造大理石が得られるものである。
【0035】
また本発明の請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4において、柄模様パターンが印刷された柄シートの厚みが0.1〜1.5mmであるので、注入する樹脂組成物が容易に浸透できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる注型用金型を示す断面図である。
【図2】同上の製造過程の断面図である。
【図3】同上の製造過程の断面図である。
【図4】同上の製造過程の断面図である。
【図5】同上の製造過程の断面図である。
【図6】同上の製造過程の断面図である。
【図7】(a)(b)(c)は同上の実施例に得られて成形品を示す断面図である。
【符号の説明】
A 注型用金型
1 上金型
2 下金型
3 加熱用温水配管
4 注入口
5 ガスケット
6 ベントノズル
7 成形品形成空間部
9 ゲルコート層
10 柄シート
11 樹脂組成物
Claims (5)
- 熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した樹脂組成物を得て、これを注型用金型に注入して成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法において、注型用金型の金型面に透明樹脂のゲルコート層を形成すると共に、柄模様パターンが印刷された柄シートをゲルコート層が硬化する前にゲルコート層の上に設置し、しかる後、上記樹脂組成物を注型用金型内に注入充填することを特徴とする人造大理石の製造方法。
- 柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラスクロスであることを特徴とする請求項1記載の人造大理石の製造方法。
- 柄模様パターンが印刷された柄シートが、ガラス不織布であることを特徴とする請求項1記載の人造大理石の製造方法。
- 樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の内の1種類、あるいは、2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の人造大理石の製造方法。
- 柄模様パターンが印刷された柄シートの厚みが0.1〜1.5mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の人造大理石の製造方法。
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