JP2004173678A - 低離水性ゲル状組成物及びその製造方法 - Google Patents

低離水性ゲル状組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】離水性が効果的に抑制され、良好な風味や食感、外観などを保持することができ、ゼリーなどのゲル状飲食品、特に増粘剤濃度の低い、柔らかくてくずし易いゼリー状飲食品などとして好適な低離水性ゲル状組成物を提供すること。
【解決手段】(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、(1)ゲル化開始からゲル化終了に至る冷却速度が3℃/min以下に制御されてなる、又は(2)気体を媒体として冷却されてなる低離水性ゲル状組成物である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低離水性ゲル状組成物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、離水性が効果的に抑制され、良好な風味や食感、外観などを保持することができ、ゼリーなどのデザート用ゲル状食品などとして好適な低離水性ゲル状組成物、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵庫や冷凍庫の普及に伴い、ゼリーやプリンなどのデザート用ゲル状食品は一般的なものとなっている。このようなゲル状食品には、ゲル化剤として、寒天、カラギーナン、ゼラチン、ジェランガム、ペクチンなどが用いられている。そして、前記ゲル状食品は、缶やカップなどに充填密封され、さらに殺菌処理されて市場に供給されるが、しばしば水分が流出する、いわゆる離水現象が生じる。その結果、風味や食感、外観が損なわれ、消費者に好ましくない印象を与え嗜好意欲を減退させたり、あるいは嚥下障害者にとっては、水分補給の際、むせる原因となるなどの問題が生じていた。
したがって、これまで、離水を減少させるために種々の方法が開示されている。例えば寒天にタマリンドガムを添加させる方法(例えば、特許文献1参照)、カラギーナンにタマリンドガムを添加させる方法(例えば、特許文献2参照)、カラギーナンにタラガムを添加させる方法(例えば、特許文献3参照)、硫酸セルロースに水溶性セルロース誘導体及び/又は天然多糖類と水溶性アルカリ金属塩を添加させる方法(例えば、特許文献4参照)、カラギーナンにε−ポリ−L−リジンを添加させる方法(例えば、特許文献5参照)、などが開示されている。
【0003】
また、工程的に離水を減少させる技術として、例えばジェランガムなどの熱不可逆性ゲル化剤に微粒化セルロースを添加して冷却固化後、加熱殺菌する方法(例えば、特許文献6参照)、カラギーナンなどの増粘性物質を含有したβ−1,3−グルカン(カードランなど)アルカリ水溶液を中和する方法(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
しかしながら、前記のゲル化剤を添加する方法では、離水減少効果が十分に満足し得るものではなく、一方、工程的な方法においては、製造工程を新たに追加しなければ、離水減少を達成することができないという問題があった。また、ゲル化剤濃度を高くすれば、離水は減少するが、食感が大幅に変化するのを免れないという新たな問題が生じる。
【0004】
さらに、近年、柔軟性容器に充填された柔らかいゼリーを、該容器を軽く押し該ゼリーをくずしながら直接飲み口から飲用する、いわゆるゼリー状飲食品があるが、このような柔らかくてくずし易いゼリー状飲食品は、一般に増粘剤の濃度が低く、そのため離水性の抑制が一層難しいという問題があった。
なお、冷却速度を規定してゲルの透明度を制御する方法(例えば、特許文献8参照)が提案されているが、冷却速度を規定して離水性を制御する方法は、これまで提案されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−43965号公報
【特許文献2】
特開昭61−43966号公報
【特許文献3】
特開昭63−52851号公報
【特許文献4】
特開昭57−206344号公報
【特許文献5】
特開平10−127236号公報
【特許文献6】
特開平11−127800号公報
【特許文献7】
特開平8−252069号公報
【特許文献8】
特開平5−68511号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、離水性が効果的に抑制され、良好な風味や食感、外観などを保持することができ、ゼリーなどのゲル状飲食品、特に増粘剤濃度の低い、柔らかくてくずし易いゼリー状飲食品などとして好適な低離水性ゲル状組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゲル化工程において、冷却速度をある値以下に規定する、あるいは気体を媒体として冷却することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、ゲル化開始からゲル化終了に至る冷却速度が3℃/min以下に制御されてなる低離水性ゲル状組成物、
(2)(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、ゲル化開始温度からゲル化終了温度までの冷却速度が3℃/min以下に制御されてなる低離水性ゲル状組成物、
(3)さらに、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む上記(1)又は(2)の低離水性ゲル状組成物、
(4)(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、気体を媒体として冷却されてなる低離水性ゲル状組成物、
【0008】
(5)さらに、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む上記(4)の低離水性ゲル状組成物、
(6)離水率が1質量%以下である上記(1)〜(5)の低離水性ゲル状組成物、
(7)(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むゲル形成性組成物を、ゲル化開始からゲル化終了に至るまで、3℃/min以下の速度で冷却してゲル化させることを特徴とする低離水性ゲル状組成物の製造方法、
(8)(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むゲル形成性組成物を、ゲル化開始温度からゲル化終了温度まで3℃/min以下の速度で冷却してゲル化させることを特徴とする低離水性ゲル状組成物の製造方法、
【0009】
(9)ゲル形成性組成物が、さらに(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む上記(7)又は(8)の低離水性ゲル状組成物の製造方法、
(10)(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むゲル形成性組成物を、気体を媒体として冷却し、ゲル化させることを特徴とする低離水性ゲル状組成物の製造方法、
(11)ゲル形成性組成物が、さらに(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む上記(10)の低離水性ゲル状組成物の製造方法、及び
(12)低離水性ゲル状組成物の離水率が1質量%以下である上記(7)〜(11)の低離水性ゲル状組成物の製造方法、
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の低離水性ゲル状組成物は、ある種の増粘剤を、全増粘剤濃度が1質量%以下になるように含むと共に、(1)ゲル化開始からゲル化終了に至る、あるいはゲル化開始温度からゲル化終了温度までの冷却速度が3℃/min以下に制御されてなる、又は(2)気体を媒体として冷却されてなる、離水率が1質量%以下程度に低減されたゲル状組成物である。
ここで、ゲル化開始及びゲル化終了は、試験管を用いて簡便に判定することができる。具体的には、直径1.5cmの試験管に対象とする組成物5mLを採取し、これを倒立させたとき、ゲル状片が試験管底に残り始める時点がゲル化開始であり、組成物の全量が落下しなくなるとともに、その表面が動かなくなる時点がゲル化終了である。これを本発明における試験管倒立法と定義する。本発明においては、そのようなゲル化開始からゲル化終了に至るまでの組成物の平均の温度降下の度合い、すなわち冷却速度を3℃/min以下に制御するものである。実際の製造条件下においてそのようなゲル化開始及びゲル化終了の発現する温度、すなわちゲル化開始温度及びゲル化終了温度が確認された後は、具体的には、ゲル化開始温度からゲル化終了温度までの冷却速度を3℃/min以下に制御すればよい。
ゲル化開始からゲル化終了に至る、あるいはゲル化開始温度からゲル化終了温度までの冷却速度が3℃/minを超えると所望の離水率が得られず、本発明の目的が達せられない。該冷却速度は、好ましくは2.5℃/min以下である。また、冷却媒体として気体を用いることにより所望の離水率を容易に実現することができる。冷却媒体として使用される気体としては、空気、窒素ガス、炭酸ガス、不活性ガスなどがあげられるが、好ましくは空気があげられる。
なお、前記冷却速度及び離水率の測定方法については、後で詳述する。
本発明においては、増粘剤として、(a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種が用いられる。また、必要に応じて、上記(a)成分の増粘剤と共に、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を併用することができる。
【0011】
本発明の低離水性ゲル状組成物においては、これらの増粘剤は、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように加えられる。このような低濃度の増粘剤を含む場合、柔らかくてくずし易いゲル状組成物が得られるが、従来技術では、このように増粘剤濃度が低いと、離水性の抑制は極めて困難であった。これに対し、本発明の技術では、離水率を1質量%以下程度に、容易に低減することができる。さらに、風味や食感などの点から好ましい場合には、全増粘剤の濃度を0.3質量%以下とすることも可能である。
本発明の低離水性ゲル状組成物には、必要に応じ、各種添加成分、例えば砂糖、果糖、ブドウ糖、液糖、ソルビット、水あめ、アスパルテーム、ステビオサイド、アセスルファムK、スクラロース、キシリトール、エリスリトール、ソーマチンなどの甘味料;クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの酸味料;オレンジフレーバー、コーヒーフレーバー、ココアフレーバーなどのフレーバー類;食用赤色色素、食用緑色色素、カラメル、β−カロチン、くちなし黄色色素などの着色料;食塩、グルタミン酸ナトリウム、リボヌクレオチド類、みりん、酒、動植物タンパク質加水分解物、果実や野菜や海藻類などの細断品等の調味料;グリシン、アラニン、アルギニンなどのアミノ酸類;ガーリック、オニオン、ペッパーなどの香料;ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、リコペンなどのビタミン類;炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ピロリン酸第二鉄などのミネラル類;タピオカでん粉、コーンスターチ、ばれいしょでん粉、小麦でん粉、米でん粉、これらの加工でん粉などのでん粉類;大豆タンパク、卵白粉末、乳清タンパクなどのタンパク質、さらには天然果汁、水溶性食物繊維などを、適宜含有させることができる。
【0012】
次に、本発明の低離水性ゲル状組成物の製造方法について説明する。
本発明の方法においては、まずゲル形成性組成物を調製する。該ゲル形成性組成物は、水媒体に、前記(a)成分の増粘剤の中から選ばれる少なくとも一種と、場合により用いられる前記(b)成分の増粘剤の中から選ばれる少なくとも一種を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように加えると共に、必要に応じ、前記の各種添加成分を加え、70〜100℃程度の温度に加熱することにより、水溶液の形態で調製することができる。
本発明の方法においては、このようにして調製されたゲル形成性組成物を所定の容器に充填し、(1)ゲル化開始からゲル化終了に至るまで、あるいはゲル化開始温度からゲル化終了温度まで3℃/min以下の冷却速度で冷却してゲル化することにより、又は(2)気体、好ましくは空気を媒体として冷却することにより、離水率が1質量%以下程度の所望の低離水性ゲル状組成物が得られる。
前記ゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、冷却方法や条件、使用する増粘剤の種類などに応じて左右されるが,一般的には、ゲル化開始温度は70〜20℃程度であり、ゲル化終了温度は65〜15℃程度である。
このようにして得られた低離水性ゲル状組成物は、必要に応じて従来公知の手段を用い、加熱方式などの殺菌処理を行うことができる。
【0013】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率は、以下に示す方法に従って測定した。
(1)ゲル形成性組成物の冷却速度
(イ)冷却に伴う試料(170×100×4mmの平板状)の経時的な温度変化を、データコレクタ「AM−7002」(安立計器社製)で測定する。
(ロ)他方、試験管倒立法でゲル化開始及びゲル化終了の時点とそのときの温度を確認する。
(ハ)上記(イ)、(ロ)の結果を用い、下記の式
冷却速度(℃/min)={ゲル化開始温度(℃)−ゲル化終了温度(℃)}/{ゲル化開始からゲル化終了までの時間(min)}
より、冷却速度を算出する。
(2)ゲル状組成物の離水率
(イ)8メッシュの篩上にゲル状組成物の試料(170×100×4mmの平板状)を静かに置き、ゲル状組成物の重量を測定してこれをA(g)とする。
(ロ)篩を45度に傾けて1分間保持後、篩の下に落ちた離水重量を測定してこれをB(g)とし、下記の式
離水率(%)=(B/A)×100
より、離水率を算出する。
【0014】
実施例1及び比較例1
ジェランガム0.15質量%、κ−カラギーナン0.15質量%、乳酸カルシウム0.20質量%、乳酸0.17質量%、塩化カリウム0.10質量%、クエン酸0.08質量%及び残余水からなる、温度95℃の水溶液状ゲル形成性組成物を調製し、次いでこれを第1表に示す温度の空気(実施例1)又は水(比較例1)により、冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を製造した。ゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率を第1表に示す。なお、冷却媒体として水を用いた比較例1においては、急速にゲル化開始からゲル化終了に至るため、ゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、冷却媒体として同温度の空気を用いた実施例1におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度で代用した。
【0015】
【表1】
Figure 2004173678
【0016】
実施例2及び比較例2
ジェランガム0.20質量%、クエン酸0.20質量%、乳酸カルシウム0.20質量%、塩化カリウム0.10質量%、クエン酸ナトリウム0.03質量%及び残余水からなる温度95℃の水溶液状ゲル形成性組成物を調製し、次いでこれを20℃の空気(実施例2)又は20℃の水(比較例2)により、冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を製造した。ゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率を第2表に示す。なお、比較例2におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、実施例2におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度で代用した。
実施例3及び比較例3
κ−カラギーナン0.53質量%、クエン酸0.20質量%、乳酸カルシウム0.20質量%、塩化カリウム0.10質量%、クエン酸ナトリウム0.03質量%及び残余水からなる温度95℃の水溶液状ゲル形成性組成物を調製し、次いでこれを20℃の空気(実施例3)又は20℃の水(比較例3)により、冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を製造した。ゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率を第2表に示す。なお、比較例3におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、実施例3におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度で代用した。
【0017】
実施例4及び比較例4
ジェランガム0.15質量%、キサンタンガム0.03質量%、乳酸カルシウム0.20質量%、乳酸0.17質量%、クエン酸0.08質量%及び残余水からなる温度95℃の水溶液状ゲル形成性組成物を調製し、次いでこれを20℃の空気(実施例4)又は20℃の水(比較例4)により、冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を製造した。ゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率を第2表に示す。なお、比較例4におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、実施例4におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度で代用した。
実施例5及び比較例5
κ−カラギーナン0.50質量%、グルコマンナン0.03質量%、クエン酸0.20質量%、乳酸カルシウム0.20質量%、塩化カリウム0.10質量%、クエン酸ナトリウム0.03質量%及び残余水からなる温度95℃の水溶液状ゲル形成性組成物を調製し、次いでこれを20℃の空気(実施例5)又は20℃の水(比較例5)により、冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を製造した。ゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率を第2表に示す。なお、比較例5におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、実施例5におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度で代用した。
【0018】
実施例6及び比較例6
寒天0.50質量%、ローカストビーンガム0.09質量%、クエン酸0.20質量%、乳酸カルシウム0.20質量%、塩化カリウム0.10質量%、クエン酸ナトリウム0.03質量%及び残余水からなる温度95℃の水溶液状ゲル形成性組成物を調製し、次いでこれを20℃の空気(実施例6)又は20℃の水(比較例6)により、冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を製造した。ゲル形成性組成物の冷却速度及びゲル状組成物の離水率を第2表に示す。なお、比較例6におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度は、実施例6におけるゲル化開始温度及びゲル化終了温度で代用した。
【0019】
【表2】
Figure 2004173678
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、離水性が効果的に抑制され、良好な風味や食感、外観などを保持し、ゼリーなどのデザート用ゲル状飲食品、特に増粘剤濃度の低い、柔らかくてくずし易いゼリー状飲食品などとして好適な低離水性ゲル状組成物を提供することができる。

Claims (12)

  1. (a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、ゲル化開始からゲル化終了に至る冷却速度が3℃/min以下に制御されてなる低離水性ゲル状組成物。
  2. (a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、ゲル化開始温度からゲル化終了温度まで冷却速度が3℃/min以下に制御されてなる低離水性ゲル状組成物。
  3. さらに、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む請求項1又は2記載の低離水性ゲル状組成物。
  4. (a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むと共に、気体を媒体として冷却されてなる低離水性ゲル状組成物。
  5. さらに、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む請求項4記載の低離水性ゲル状組成物。
  6. 離水率が1質量%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の低離水性ゲル状組成物。
  7. (a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むゲル形成性組成物を、ゲル化開始からゲル化終了に至るまで、3℃/min以下の速度で冷却してゲル化させることを特徴とする低離水性ゲル状組成物の製造方法。
  8. (a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むゲル形成性組成物を、ゲル化開始温度からゲル化終了温度まで、3℃/min以下の速度で冷却してゲル化させることを特徴とする低離水性ゲル状組成物の製造方法。
  9. ゲル形成性組成物が、さらに、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む請求項7又は8記載の低離水性ゲル状組成物の製造方法。
  10. (a)寒天、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセレラン、タマリンド種子ガム、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、ペクチン及びグルコマンナンの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含むゲル形成性組成物を、気体を媒体として冷却し、ゲル化させることを特徴とする低離水性ゲル状組成物の製造方法。
  11. ゲル形成性組成物が、さらに、(b)λ−カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、プルラン及びアラビアガムの中から選ばれる少なくとも一種の増粘剤を、全増粘剤の濃度が1質量%以下になるように含む請求項10記載の低離水性ゲル状組成物の製造方法。
  12. 低離水性ゲル状組成物の離水率が1質量%以下である請求項7ないし11のいずれかに記載の低離水性ゲル状組成物の製造方法。
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