JP2004173657A - 尾を振るルアー - Google Patents
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Abstract
【課題】本物の小魚の尾鰭を起点とした揺動による、通常の泳ぎと不規則で弱った動きを容易に再現可能な尾を振るルアーを提供することにより、スレた対象魚も効果的に誘引して、ルアー釣りを存分に楽しむことを課題とする。
【解決手段】揺動自在に分割して構成した尾鰭部を備える分割部に、水圧を受けて尾鰭部を揺動させる抵抗板を設ける。または尾鰭部を揺動自在に構成して、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部に設ける等の手段でルアーを構成することにより、容易にルアーが本物の小魚の泳ぎ(前記課題)を再現する。
【選択図】 図1
【解決手段】揺動自在に分割して構成した尾鰭部を備える分割部に、水圧を受けて尾鰭部を揺動させる抵抗板を設ける。または尾鰭部を揺動自在に構成して、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部に設ける等の手段でルアーを構成することにより、容易にルアーが本物の小魚の泳ぎ(前記課題)を再現する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣り用ルアーにおける、尾を振るルアーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な種類のルアーが提案、商品化されている。その中で最も一般的な、捕食される小魚の動きを模したルアーは、ルアー本体の前部に水の抵抗を受けるリップを設け、リップが受けた水圧の変化によりルアー本体が揺動する物である。そして、より小魚の動きを再現して釣りの対象魚を誘引するために、ルアー本体の後部を、分割して連結構造にしたり(以下ジョイントタイプ)、ルアー本体の後部に尾鰭に相当する物を連結したりしていた。
【0003】本物の捕食される小魚の通常の泳ぎは、主に尾鰭の左右への揺動(以下ヨーイング)によって水を後方に撹乱して推進力を得ると共に、尾鰭から後方に自発的に波動を発する。この時の小魚の頭部は、尾鰭の揺動とは逆方向に揺動を行ってバランスを取り、頭部から尾鰭に渡って緩やかなSの字を描くが、頭部のヨーイングは尾鰭のヨーイングに対して極めて小さい。そして、前記ヨーイングと共に、頭部から尾鰭までの体の軸をほぼ水平に保ちながら、少しだけ該体の軸を左右に傾けて(ローリングして)しなやかな尾鰭の揺動を可能にする。また、特に弱った小魚は、(主に浮き袋の浮力により)水面近くで頭部や体側部を上に向けたまま尾鰭や頭部を振ったり、急に大きく身をひるがえすようにローリングしてもだえたり、(ヨタ、ヨタ、ヨタッと)一定でない蛇行をしたりという不規則な動きをする。そして、前記の小魚の通常の泳ぎに、これらの不規則な動きが加わることにより、小魚を捕食するルアー釣りの対象魚を本能的に最も誘引する。更に、釣りの対象魚は、これらの小魚の動きを主に水中を伝わる波動として側線から感じ取る。
【0004】これに対し、従来のリップを設けた一体型のルアーは、釣り糸を引くことにより、頭部に設けたリップが水圧変化を受け、リップの付け根付近を中心にした、主にヨーイングによって水を揺動し、ルアーの全体から四方八方に波動を発している。この時のルアーの頭部にあたるリップの先端付近は、尾部のヨーイングとは逆方向に揺動するが、頭部の左右方向への動きは小魚の動きに対して直線的で極めて大きい。また、リップの設けられた頭部が水圧で押し下げられるため、前のめりに頭を下げて泳ぐ姿勢になり、小魚の通常の水平姿勢や、弱って頭部を上げる姿勢とは大きく異なる。他方、ジョイントタイプや尾鰭に相当する物を連結したルアーは、ルアー後部の分割連結部や尾鰭に相当する物が、該連結部を最大振幅にして左右に折り曲げながら、ルアー前部のヨーイングに振り回されるだけであるため、ルアーの頭部であるリップの先端付近と尾部の先端は同方向に揺動してしまう上に、頭部の左右方向への動きも小魚の動きに対して極めて大きいため、尾部から後方に波動は発せられない。また、前のめりに頭を下げて泳ぐ姿勢も一体型のルアーと同様に小魚とは大きく異なる。
【0005】つまり、従来のリップを設けたルアーは、(一体型でもジョイントタイプでも)ルアーの前端部に設けられたリップの付け根付近を起点とした揺動を行ない、そしてその波動を発するため、前記
【0003】段落の小魚の通常の泳ぎである尾鰭を起点とした揺動および波動とは大きく異なる。また、前記
【0003】段落の不規則な動きも、ルアーを引くだけでは再現できず、ルアー釣りの対象魚を誘引するには、高度な技術を必要とする。そして、釣りの対象魚は、これらの小魚の動きを主に水中を伝わる波動として側線から感じ取るため、釣果を上げるためには、前記の小魚の通常の泳ぎと不規則な動き再現して、小魚と同様な波動を発するルアーが必用になる。また、特に近年、ルアー釣り人口の増加も一因となって、釣りの対象魚が従来のルアーに簡単には誘引されなくなって(以下スレて)いる。このスレた対象魚を誘引するためにも、本物の小魚と同様に尾鰭を振って波動を発するルアーが必用になる。
【0006】次に、先行技術文献情報としては、ルアーの左右に張り出した胸鰭に連動して尾鰭を揺動する機構を設けたルアーが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】また、ルアーの最後端部に魚の尾部形状に近似した抵抗体を取り付けたルアーが提案されている(特許文献2参照)。
【0008】また、ルアーの内部にモーターの回転運動を尾鰭の往復運動にする機構を設けた電動式ルアーが提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−111号公報
【特許文献2】特開平9−313071号公報
【特許文献3】特開2000−125703号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】それらを纏めると、従来のルアーには、次のような問題があった。
(イ)ルアーの前部に設けられたリップの付け根付近を起点としたルアーの揺動および波動が、本物の小魚の通常の泳ぎである尾鰭を起点としたものと大きく異なる。
(ロ)水面近くで頭部や体側部を上にして泳いだり、急に大きくローリングしたり、一定でない蛇行をしたりする本物の小魚の不規則で弱った動きおよび波動をルアーが再現出来ない。
(ハ)よって、釣りの対象魚がルアーに誘引されないため、釣果が上がらず、釣りが楽しくなくなる。
(ニ)
【特許文献1】の前記公報は、胸鰭に連動して尾鰭を揺動するアームのリンク機構が複雑になり、壊れ易い上に、胸鰭と尾鰭のヤジロベエ式の水圧連動機構が受ける全体の水圧が物理的に釣り合う安定方向に作動するため、小魚が泳ぐような揺動に至らない。
(ホ)
【特許文献2】の前記公報は、ルアーの最後端部に取り付けた魚の尾部形状に近似した抵抗体が、前記
【0004】、
【0005】段落のジョイントタイプや後部に尾鰭に相当する物を装着した従来技術のルアーに該当するため、前記(イ)〜(ハ)の問題がある。
(ヘ)
【特許文献3】の前記公報は、電動式ルアーが機構上複雑で重く大きくなる上に、ルアーを操って対象魚を誘い出すという、ルアー釣り本来の楽しみが皆無である。
(ト)以上の問題点を解決するルアーを安価に作成する。
これらのため、前記従来技術は実用化されていない。本発明は、上記の問題を解決するためになされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係る尾を振るルアーは、ルアー本体を複数個に分割し、該分割部間を揺動または回動自在に連結する。そして、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部を少なくとも前(進行側)から2番目以降の分割部に、また釣り糸を結ぶアイレットを1番前(進行側)の分割部に設けるように構成したものである。
【0011】このような請求項1記載の発明によれば、抵抗部を設ける位置により、ルアーの揺動の起点を前部(進行側頭部)から後方へ移動可能なため、本物の小魚の動きである尾鰭を起点とした揺動に近付けることが出来る。
【0012】請求項2記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記抵抗部として、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗板(リップ)を、少なくとも前(進行側)から2番目以降の分割部に前方下方向きに突出して形成する。そして、最後尾の分割部に略尾鰭状の尾鰭部を設けるように構成したものである。
【0013】このような請求項2記載の発明によれば、ルアーの揺動沈降の起点を前部(進行側頭部)から後方へ移動し、沈降しながら尾鰭部を揺動可能にするため、本物の小魚の尾鰭を起点とした揺動および波動、および弱った小魚の頭部を上げて泳ぐ姿勢に近付けることが出来る。また、抵抗板を1番前(頭部)と2番目以降の複数の分割部に形成する場合、分割部同士の揺動の合成が不規則な動きを生み出すと共に、沈降能力を更に向上出来る。
【0014】請求項3記載の発明に係る尾を振るルアーは、回転部の前後両端のそれぞれに、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部と略尾鰭状の尾鰭部とを備えて成る揺動部を形成する。そして、該揺動部をルアー本体に対して揺動または回動自在にルアー本体に取り付け、釣り糸を結ぶアイレットを抵抗部近辺の揺動部またはルアー本体の少なくともどちらか一方に設けるように構成したものである。
【0015】このような請求項3記載の発明によれば、抵抗部による尾鰭部の揺動性能を最大限に活かすことが出来る。また、釣り糸を結ぶアイレットの位置を変えることにより、ルアー本体と尾鰭部の相対運動に変化を与えることが出来る。
【0016】請求項4記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記抵抗部として、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗板(リップ)を前記回転部の前端に前方下方向きに突出して形成すると共に、前記揺動部をルアー本体に対して左右(ヨー)方向に回動自在に軸着する。また、前記回転部の左右(ヨー)方向への可動範囲の左右外側のルアー本体に、ルアー本体と一体に外形形状を兼ねた縦壁を形成し、該縦壁前端部の内幅寸法よりも、その直前部の前記揺動部の左右幅寸法を大きく設ける。そして、上下に分割されたルアー本体で前記回転部を滑動可能に挟み込むように、前記縦壁部にてルアー本体の上下を接合するように構成したものである。
【0017】このような請求項4記載の発明によれば、抵抗板の沈降能力と左右への揺動性能を同時に最大限に活かせる上に、請求項3記載の発明を、現実的に安価に作成出来る。また、前記回転部とルアー本体との間に異物が侵入するのを防止することが出来る。
【0018】請求項5記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記回転部の外形状をルアー本体の外形状とほぼ等しく形成し、前記揺動部の左右(ヨー)方向への可動範囲を確保可能なように、前記回転部にその内側を上下方向に貫通する貫通孔と、ルアー本体に一体に前記貫通孔に内設する縦壁とを設ける。そして、上下に分割されたルアー本体で前記回転部を滑動可能に挟み込むように、前記縦壁部にてルアー本体の上下を接合するように構成したものである。
【0019】このような請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明を、現実的に更に安価に作成出来る。
【0020】請求項6記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記揺動部の材料に、ステンレススチール等の防錆性能の高い金属または合成樹脂を用いる。そして、金属材料を用いる場合は、前記尾鰭部を別対に形成して、回転部にカシメまたは溶接により接合するように構成したものである。
【0021】このような請求項6記載の発明によれば、請求項3〜5記載の発明を、より現実的に安価に作成出来る。
【0022】請求項7記載の発明に係る尾を振るルアーは、略尾鰭状の尾鰭部をルアー本体の最後尾に揺動または回動自在に取り付けると共に、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部に、また釣り糸を通すガイドをルアー本体に設ける。そして、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転と、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重または浮力による元位置復帰を可能にするように構成したものである。
【0023】このような請求項7記載の発明によれば、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重または浮力による元位置復帰を繰り返すことにより、ルアーの尾鰭を直接揺動させる動きを与えることが出来る。また、尾鰭部が水中にあるときにルアーを引くことにより、前記尾鰭の動きによるルアー本体の動きの変化をルアーに与えることが出来る。
【0024】請求項8記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記尾鰭部をルアー本体の最後尾に、ほぼ上下方向に回動自在に軸着し、該回転軸中心位置が水面近辺になるようにルアーに浮力を持たせると共に、前記尾鰭部の回動範囲が水面より下方に10度程度から水面より上方に70度程度までとなるように、該尾鰭部の回動を規制する上ストッパーと下ストッパーとを該回転軸の上下のルアー本体位置にそれぞれ形成する。更に、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部の上面に、また釣り糸を通すガイドをルアー本体の前端(頭部側)上部と前記上ストッパーの上部にそれぞれ設ける。そして、釣り糸を引くことによる尾鰭部の跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重による元位置復帰を可能にするように構成したものである。
【0025】このような請求項8記載の発明によれば、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重による元位置復帰を繰り返すことにより、ルアーの尾鰭に直接、連続水面叩きの動きを与えることが出来る。
【0026】請求項9記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記尾鰭部の一部または全部を分割して尾鰭分割部を別体に形成すると共に、該尾鰭分割部を元の分割位置に、前記尾鰭部の揺動方向に揺動または回動自在に取り付けて構成したものである。
【0027】このような請求項9記載の発明によれば、尾鰭部の動作の自由度を増して、尾鰭部の揺動をしなやかにすることが出来る。
【0028】請求項10記載の発明に係る尾を振るルアーは、略尾鰭状の羽を放射方向に複数枚以上設けた水車を、該水車のどちらか一方向の回転力が大きく、且つ該水車の回転軸がルアーを引く方向に対して垂直になるように、ルアー本体の最後尾に回動自在に取り付けるように構成したものである。
【0029】このような請求項10記載の発明によれば、釣り糸を引くことにより水車が回転し、略尾鰭状の羽をルアーの最後尾で回転させることが出来る。
【0030】請求項11記載の発明に係る尾を振るルアーは、ルアー本体の最後尾に、凹状の水車受けを、該水車受けの切欠き部が上下方向向きに且つその開放端が後方向きになるように形成する。更に、4枚のほぼ平坦な前記略尾鰭状の羽を90度間隔(羽平面間)に設けた前記水車を、前記水車受けの開放端の先端に回動自在に軸着する。そして、該水車の回転軸中心位置が水面より数mm程度上になるようルアーに浮力を持たせて構成したものである。
【0031】このような請求項11記載の発明によれば、釣り糸を引くことにより、ルアーの最後尾の水面で水車が回転し、回転軸の後側の羽が水中から跳ね上げた直後に、回転軸の前側の羽が水面を叩く動きをルアーに与えることが出来る。
【0032】請求項12記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記ルアーの材料に合成樹脂、ゴム、木、金属を用い、ルアーの構成部品毎に強度、比重、柔軟性を調整して構成したものである。
【0033】このような請求項12記載の発明によれば、ルアーの構成部品毎に適材適所の材料を選択出来るため、必要強度の確保やルアーの姿勢と動きを決める浮力バランスの最適化を容易に行なうことが出来る。また特に尾鰭に相当する部分に柔軟性の高いゴムや樹脂材料を一体又は別体に用いることにより、ルアーが発する波動を更に本物の小魚に近付けることが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1による尾を振るルアーの例を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)の側面図、図1(c)は図1(a)の動作説明図、図1(d)は図1(b)の動作説明図を示す。先ず、図1に示すように、実施の形態1のルアーは、ルアー本体を前分割部1と後分割部2の前後に分割し、前分割部1と後分割部2を揺動自在に前後(Y)方向に連結部3にて連結する。そして、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部として、揺動に加えて沈降能力のある抵抗板(リップ)4を後分割部2の前端(進行側)に前方下方向きに突出して形成する。ここで、前記抵抗部としては、ルアーを引くことによる抵抗部が受ける水圧変化により、抵抗部を設けた分割部が揺動可能であれば、従来から用いられているような様々な形状の物が適用可能である。また前記連結部3近辺のそれぞれの分割部の形状は、後分割部2を前記抵抗部の機能を発揮し易い形状に形成し、両分割部の揺動による干渉が無い程度に前分割部1の形状を後分割部2の形状に合わせるように隙間を詰めて形成する。次に釣り糸を結ぶアイレット5を前分割部1の前端(進行側)に設けると共に、前分割部1側の前記連結部3を前記アイレット5と一体に前分割部1の後端に突出するように、前分割部1に貫設する。また、後分割部2側の前記連結部3を後分割部2の前端に設けて、前期前分割部1側の連結部3に揺動自在に連結すると共に、その他端を釣り針連結部6として前記連結部3と一体に後分割部2の下端に突出するように後分割部2に貫設する。そして、後分割部2の最後尾に略尾鰭状の尾鰭部7を設ける。更に、別の釣り針連結部6aを、後分割部2下端の前記尾鰭部7の前近辺にも設けて、釣り針8を連結する。
【0035】(実施の形態1の作用)先ず、図2に本物の小魚の泳ぎを上面から見た動作説明図を、また図3(a)に従来のリップを設けた一体型のルアーを上面から見た動作説明図を、図3(b)に従来のリップを設けたジョイントタイプのルアーを上面から見た動作説明図を、図3(c)に図3(b)を側面から見た動作説明図を示し、前記
【0003】、
【0004】段落に記した本物の小魚と従来のリップを設けたルアーの動作を補足説明する。本物の小魚の通常の泳ぎは、図2のように、主に尾鰭部7の左右方向(X方向)への揺動(ヨーイング)によって水を後方に撹乱して尾鰭部7から後方に自発的に波動を発する。この時の小魚の頭部1aは、尾鰭部7の左右へのヨーイングとは逆方向にほんの少し揺動して頭部1aから尾鰭部7に渡って緩やかなSの字を描く。そして、前記ヨーイングと共に、頭部1aから尾鰭部7までの体の軸を体側側X方向から見てほぼ水平に保ちながら、該体の軸を少しだけ左右に傾けて(ローリングして)しなやかな尾鰭部7の揺動を可能にしている。また、特に弱った小魚は、水面近くで頭部1aや体側部を上に向けたまま尾鰭部7や頭部を振ったり、急に大きくローリングしたり、一定でない蛇行をしたりという不規則な動きをする。そして、これらの不規則な小魚の動きが、小魚を捕食するルアー釣りの対象魚を本能的に誘引することが知られている。
【0036】これに対し、従来のリップを設けた一体型のルアーは、図3(a)のように、頭部1a近辺に設けられたリップ4の付け根付近を中心にした、主に左右への揺動(ヨーイング)を行うため、本物の小魚に対して、頭部1aの左右方向への揺動は直線的で極めて大きい。また、尾鰭にあたる略円錐状の尾鰭部7の揺動も直線的で振幅の割りに振れ角が小さい。その結果、ルアーの全体から四方八方に発せられる波動も本物の小魚とは大きく異なる。他方、ジョイントタイプの(または尾鰭に相当する物を連結した)ルアーは、図3(b)のように、前分割部1の頭部1a近辺に設けられたリップ4の付け根付近を中心にしたヨーイングに、後分割部2(または尾鰭に相当する物)が連結部3を最大振幅としながら振り回されるようについていくだけである。よって、本物の小魚に対して、頭部1aの左右方向への揺動は前記一体型のルアーと同じく極めて大きい。また、尾鰭にあたる略円錐状の尾鰭部7の振幅幅と振れ角の双方が本物の小魚に対して非常に小さく、且つ尾鰭部7に対する頭部1aの揺動方向が反対(尾鰭部7と同方向)になってしまう。その結果、主にルアーの頭部1aから発せられる波動も本物の小魚とは大きく異なる。また、従来のリップが設けられたルアーの泳ぎは、図3(c)(図はジョイントタイプで代用)のように、リップ4の設けられた頭部1aが水圧で押し下げられるため、前のめりに尾鰭部7に対して頭部1aを下げる姿勢になり、小魚の通常の水平姿勢や、弱って頭部1aを上げる姿勢の泳ぎとは大きく異なる。
【0037】これらに対し、(実施の形態1の作用)を図1(c)と図1(d)において説明する。図1(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。また、図1(d)は図1(c)の側面図であり、2点鎖線はルアーの姿勢の適用例を示す。先ず、図1(c)ように、頭部1aである前分割部1が釣り糸9で引かれることにより、後分割部2の抵抗板(リップ)4が水圧変化を受け、前後の分割部の連結部3付近でもある前記抵抗板4の付け根付近を中心にした後分割部2の左右へのヨーイングが、後分割部2の後端である尾鰭部7の先端を最大振幅として小魚の尾鰭のように揺動させる。この時、頭部1aは、アイレット5に結ばれた釣り糸9の張力を、連結部3を介して前記後分割部2に伝える。そして、頭部1aは、前記後分割部2の揺動の中心付近にある連結部3の揺動自在な支点の効果と前分割部1自体の慣性力により、前記後分割部2の揺動を効果的に吸収するため、小魚と同様に尾鰭部7と反対方向にわずかに左右に揺動するだけである。更に、外観上、抵抗板(リップ)4が頭部1aから殆ど突出しないため、従来のルアーのように、頭部1aから大きく突出した抵抗板(リップ)4により頭でっかちに見えるルアー形状が、対象魚に違和感を与えて対象魚に嫌われることが無くなる。また、後分割部2に抵抗板(リップ)4部を水圧で押し下げようとする力が働くが、釣り糸9の張力が、連結部3を支点に頭部1aを持ち上げる方向の回転モーメント(力)として作用すると共に、該モーメントが前分割部1を介して後分割部2に伝わる。よって、頭部1aと共に抵抗板(リップ)4部を、尾鰭部7に対して前のめりに下げる姿勢をとることなく、図1(d)の実線に示すように、小魚の通常の水平に近い姿勢で泳ぐことが出来る。さらに、この頭部1aの動作の自由度を活かして、小魚のように尾鰭部7と頭部1aを揺動させながら泳ぐルアーの頭部1aの向きを、前記連結部3を支点にして釣り糸9を引く方向に向けることが出来るようになり、図1(d)の2点鎖線に示すように、特に頭部1aを上げながら尾鰭部7を振る弱った小魚特有の動きも、ルアーを引くだけで容易に再現出来る。この尾鰭部7に対して頭部1aを上げて傾く姿勢は、頭部1aである前分割部1に対して尾鰭部7のある後分割部2の材料の比重を大きくすることや、ルアー全体を(水に浮くフローティングタイプから)水に沈む比重を持つシンキングタイプに構成することによって、その傾きを大きくすることが出来る。また、前記後分割部2の揺動に対して該後分割部2と前分割部1の近接部が衝突する範囲まで両部材間の可動範囲である隙間を小さくすることによって、尾鰭部7の揺動の振幅の大きさを制御できる上に、後分割部2の揺動と共に該後分割部2と前分割部1が衝突音を発するため、(従来のルアーのラトル音の機能と同様に)対象魚に音でアピールして誘引効果を向上することが出来る。以上より、(実施の形態1)のルアーは、従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の小魚に極めて近い通常の泳ぎと弱った泳ぎを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0038】(実施の形態2)図4は本発明の実施の形態2による尾を振るルアーの例を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は図4(a)の断面AAにおける断面図、図4(c)は図4(b)と同断面の動作説明図を示す。先ず、図4(a)、図4(b)に示すように、実施の形態2のルアーは、ルアー本体を前分割部1と後分割部2の前後に分割し、前分割部1と後分割部2とを左右方向(X方向)に回動自在に連結部3にて軸着する。そして、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部として、揺動に加えて沈降能力のある抵抗板(リップ)4、4aをそれぞれ前分割部1と後分割部2の前端に前方下方向きに突出して形成する。ここで、前記連結部3は、後分割部2の抵抗板(リップ)4aの直後に設けた略丸孔状の貫通孔3aと、前記貫通孔3aに遊貫し、前分割部1の下端に軸止して設ける回転軸3bとから構成する。そして、前記抵抗部としては、ルアーを引くことによる抵抗部が受ける水圧変化により、抵抗部を設けた分割部が揺動可能であれば、従来から用いられているような様々な形状の物が適用可能である。また、前記連結部3近辺のそれぞれの分割部の形状は、両分割部の回動による摺動面を水平方向(XY平面上)に形成し、後分割部2が前記抵抗部の機能を発揮し易いように、後分割部2を該摺動面の下側に、また該後分割部2の最後尾に略尾鰭状の尾鰭部7を設ける。そして、両分割部の回動による衝突が無い程度に前分割部1の形状を後分割部2の形状に合わせるように隙間を詰めて形成する。次に釣り糸を結ぶアイレット5を前分割部1の前端に設けると共に、該アイレット5の他端を釣り針連結部6として、該アイレット5と一体に、該前分割部1の下端に突出するように前分割部1に貫設する。更に、前記回転軸3bの下端に、後分割部2が該回転軸3bから抜け落ちないように突起部を備えた釣り針連結部6aを設け、それぞれの釣り針連結部に釣り針8を連結する。
【0039】(実施の形態2の作用)図4(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢を、実線とそれに線対称な2点鎖線で示す。実施の形態2のルアーは、実施の形態1の作用に示した、後分割部2後端の尾鰭部7の揺動に加えて、前分割部1に設けた抵抗板(リップ)4も水圧変化を受け、前記抵抗板4の付け根付近を中心にした前分割部1のヨーイングが同時に生じる。つまり、前分割部1のヨーイング運動の上で後分割部2がヨーイング運動を行なう。この時、双方のヨーイング運動に相対的な規定の動作が生じないため、尾鰭部7の動きは、双方のヨーイング運動の合成による非常に不規則な揺動となる。そして、前分割部1は、アイレット5に結ばれた釣り糸9の張力を前方に受けて揺動するが、揺動する後分割部2の後方向きの水圧抵抗力を連結部3で受けるため、前分割部1の揺動は、自由に揺動する後分割部2の揺動よりも左右への振幅は小さくなる。また、前後の抵抗板(リップ)4、4aの揺動性能(面積と形状と取り付け位置による)をそれぞれ調整することによっても頭部1aと尾鰭部7の揺動を調整することが出来る。よって、前記の頭部1aのわずかな揺動と、尾鰭部7の先端を最大振幅とした揺動が、小魚の通常の泳ぎに極めて近い上に、図4(c)に2点鎖線で示すように、ルアーを一定速で引くだけで、前記の不規則な揺動が、急に大きなローリングや一定でない蛇行を生じさせるため、弱った小魚に極めて近い泳ぎも容易に再現出来る。また、従来のルアーの前端だけ一箇所の抵抗板では、限界があった沈降能力を、前後の抵抗板(リップ)4、4aでそれぞれ発揮することにより、沈降能力をより向上することが出来る。また、該沈降能力が向上した分、前の抵抗板4の小型化が図れるため、大きな抵抗板により頭でっかちに見えるルアー形状が、対象魚に違和感を与えて対象魚に嫌われることが無くなる。また、前記後分割部2の回動に対して該後分割部2と前分割部1の近接部が衝突する範囲まで両部材間の可動範囲である隙間を小さくすることによって、尾鰭部7の揺動の振幅の大きさを制御できる上に、後分割部2の揺動と共に該後分割部2と前分割部1が衝突音を発するため、(従来のルアーのラトル音の機能と同様に)対象魚に音でアピールして誘引効果を向上することも可能である。以上より、(実施の形態2)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の小魚に極めて近い通常の泳ぎと弱った泳ぎを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0040】(実施の形態3)図5は本発明の実施の形態3による尾を振るルアーの例を示す図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は図5(a)の断面AAにおける断面図、図5(c)は図5(b)と同断面の動作説明図、また図5(d)は別構成の変形例の図5(b)と同断面の断面図を示す。先ず、図5(a)、図5(b)に示すように、実施の形態3のルアーは、回転部2bの前後両端のそれぞれに、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗部と略尾鰭状の尾鰭部7とを備えて成る揺動部2aを形成する。そして、前記抵抗部として抵抗板(リップ)4を前記回転部2bの前端に前方下方向きに突出して形成すると共に、前記揺動部2aをルアー本体1bに対して左右(ヨー)方向に回動自在に連結部3にて軸着する。ここで、前記連結部3は、前記揺動部2aの抵抗板(リップ)4の直後に設けた略丸孔状の貫通孔3aと、前記貫通孔3aに遊貫し、前記ルアー本体1bの前端に該ルアー本体1bと一体または別体に設けた回転軸3bとから構成する。また、前記抵抗部としては、ルアーを引くことによって抵抗部が受ける水圧変化により、抵抗部を設けた揺動部2aが揺動可能であれば、従来から用いられているような様々な形状の物が適用可能である。更に、前記回転部2bの左右(ヨー)方向への可動範囲の左右外側のルアー本体1bに、該ルアー本体1bと一体に外形形状を兼ねた縦壁1cを左右対称に形成し、該縦壁1c前端部の左右間の内幅寸法よりも、その直前部の前記揺動部2aの左右幅寸法を大きく設ける。そして、前記縦壁1cをどちらか一方に含む上下に分割されたルアー本体上部1dとルアー本体下部1eで前記回転部2bを滑動可能に挟み込むように、前記縦壁1c部にてルアー本体上部1dとルアー本体下部1eを接合して構成する。この時、前期回転軸3bをルアー本体1bと一体に形成する場合は、前記縦壁1c部の接合と同様に、該回転軸3bにおいてもルアー本体上部1dとルアー本体下部1eを接合して構成する。更に、釣り糸9を結ぶアイレット5、5aをそれぞれルアー本体上部1dおよび前記連結部3の直前の揺動部2aに設ける。そして、ルアー本体下部1eの下端に釣り針連結部6、6aをそれぞれ設け、それぞれの釣り針連結部に釣り針8を連結する。次に、以上の実施の形態3の前記回転部2bとルアー本体1bの構成の変形例を説明する。先ず、図5(d)に示すように、前記回転部2bの外形状をルアー本体1bの外形状とほぼ等しく形成すると共に、前記揺動部2aの左右(ヨー)方向への可動範囲を確保可能なように、前記回転部2bにその内側を上下方向に貫通する前端が半円形状の貫通孔3aと、該貫通孔3aの半円に楕円の一端の半円を合わせて内接する楕円断面形状の縦壁1cとを設ける。そして、前記縦壁1cを該縦壁1cと少なくともどちらか一方が一体に形成されたルアー本体上部1dとルアー本体下部1eで前記回転部2bを滑動可能に挟み込むように、該縦壁1c部にてルアー本体上部1dとルアー本体下部1eを接合して構成する。そして、前記揺動部2aの材料に、ステンレススチール等の防錆性能の高い金属または合成樹脂を用いる。ここで、前記揺動部2aに金属材料を用いる場合は、前記尾鰭部7を別対に形成して、前記回転部2bにカシメまたは溶接により接合して構成する。
【0041】(実施の形態3の作用)図5(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、前記揺動部2aの左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。図5(a)、図5(b)、図5(c)に示すように、頭部1aにあるアイレット5またはアイレット5aが、釣り糸9で引かれることにより、揺動部2aの抵抗板(リップ)4が水圧変化を受け、抵抗板(リップ)4の付け根付近でもある連結部3を中心にした左右へのヨーイングが、尾鰭部7を該尾鰭部7の先端を最大振幅として小魚の尾鰭のように揺動させる。ここで、ルアーを引く釣り糸9を結ぶ位置をアイレット5aに対してアイレット5にした場合、釣り糸9の張力の入力点が、前記揺動部2aから前記ルアー本体上部1dに移動し、該釣り糸9の張力による拘束力が前記揺動部2aにおいては減少し、ルアー本体1bにおいては増加するため、前記揺動部2aの揺動はより振動数が高く軽快に、またルアー本体1bの揺動は前記揺動部2aの振幅の割りに振幅が小さくなる。つまり、1つのルアーで2パターンの尾鰭部7の振動数、および尾鰭部7とルアー本体1bの相対運動の大きさを、釣り糸9を結ぶアイレット(5、5a)の位置によって、釣りの状況に合わせて選択することが出来る。そして、従来のルアーおよび、実施の形態1、2のルアーに対して、抵抗板4と尾鰭部7の間の回転部2bをステンレススチール等により薄く、軽く構成することにより、回転部2b周辺の慣性力と水の抵抗を格段に小さく出来る。
よって、尾鰭部7の揺動性能が高まり、ルアーを引く速度がより遅くても、尾鰭部7を活き活きと機敏で軽快に揺動させることが出来る。更に、尾鰭部7を含む揺動部2aの揺動によるルアー本体1bの振動が小さい上に、揺動部2aの揺動がルアー本体1bに伝わりにくいため、頭部1aは小魚と同様に尾鰭7と反対方向にわずかに左右に揺動するだけである。また、図5(d)に示す前記変形例においては、前記回転部2bの貫通孔3aに内接する縦壁1cが、前記揺動部2aの回転軸、およびルアー本体上部1dとルアー本体下部1eの接合部を兼用するため、図5(c)と同様なルアーの動きを確保しながら、ルアーを更に安価に作成することが出来る。更に、実施の形態3と前記変形例のどちらの場合においても、前記揺動部2aの形状により、前記回転部2bとルアー本体1bとの間に異物が侵入するのを防止することが出来る。更に、前記貫通孔3aと回転軸3b、および前記変形例の貫通孔3aと縦壁1cの孔と回転軸の関係において、双方間の左右方向の遊び(ガタ)を大きくすることによって、揺動部7の回転運動に左右方向への横滑り運動を合成することが出来るため、尾鰭部7の揺動をしなやかな小魚の動きに近付けることが出来る。そして、前記回転部2bと縦壁1c、および前記変形例の貫通孔3aと縦壁1cの回転部2bと縦壁1cによる可動範囲規制の関係において、回転部2bの揺動に縦壁1cが衝突する範囲まで両部材間の可動範囲を小さくすることによって、尾鰭部7の揺動の振幅の大きさを制御できる上に、回転部2bの揺動と共に回転部2bと縦壁1cが衝突音を発するため、(従来のルアーのラトル音の機能と同様に)対象魚に音でアピールして誘引効果を向上することが出来る。以上より、(実施の形態3)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の小魚に極めて近い機敏で軽快、且つしなやかな泳ぎを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0042】(実施の形態4)図6は本発明の実施の形態4による尾を振るルアーの例を示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は図6(a)の側面図、図6(c)は図6(b)の動作説明図である。先ず、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示すように、実施の形態4のルアーは、小魚が弓状に体を横に反らすように、ルアー本体1bの頭部1aと尾鰭部7が上に位置する姿勢に形成する。次に、略尾鰭状の尾鰭部7をルアー本体1bの最後尾の連結部に、ほぼ上下方向に回動自在に回転軸3bにて軸着する。そして、前記尾鰭部7の回転軸3bの中心位置が水面10近辺に、また頭部1aの最上部位置が水面10より上に位置して水に浮かぶようにルアーの浮力バランスを調整する。更に、ルアーが水に浮かんだ状態で、尾鰭部7の回動範囲が水面10より下方に10度程度から水面10より上方に70度程度までとなるように、該尾鰭部7の回動を規制する上ストッパー7aと下ストッパー7bを回転軸3bの上下のルアー本体1b位置にそれぞれ形成する。また、釣り糸9を結ぶアイレット5を尾鰭部7の上面に、釣力で該アイレット5が抜けないように、アイレット5の他端を尾鰭部7の裏面まで貫通させてカシメ等により締結する。また釣り糸9を通すリング状の前ガイド5bと後ガイド5cをそれぞれ頭部1aと上ストッパー7aの上部に設ける。そして、ルアー本体1bの下端に釣り針連結部6を、また下ストッパー7bの下端に釣り針連結部6aを設け、それぞれの釣り針連結部に釣り針8を連結する。
【0043】(実施の形態4の作用)図6(c)は、ルアーの動きを横から見た動作説明図で、尾鰭部7の上下方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。図6(c)に示すように、釣り糸9を前ガイド5b、後ガイド5cの順に通してから尾鰭部7上のアイレット5に結ぶ。そして、釣り糸9を引くことによる尾鰭部7の回転跳ね上げと、釣り糸9を緩めることによる尾鰭部7の自重による元位置復帰を繰り返すことが出来る。ここで、尾鰭部7が水に沈む大きな比重の場合は、尾鰭部7を回転軸3bより下の水中からパシャッという音と水しぶきを伴って水上に跳ね上げ、続いて尾鰭部7を回動範囲の最上点付近から位置エネルギーを最大に活かした回転落下により、水面をピシャッと叩いて入水させるという、派手な尾鰭部7の動きを再現出来る。逆に、尾鰭部7が水に浮かぶ小さな比重の場合は、水面10に浮かぶ尾鰭部7をヒラッと静かに跳ね上げ、続いて尾鰭部7を水面10に波紋をたてる程度にそっと着水させるという、繊細な尾鰭部7の動きも再現出来る。尚、上ストッパー7aと下ストッパー7bのそれぞれの位置角度は、前記の尾鰭部7の回動による機能を釣り糸9の操作で可能とするのに必要な設計値である。また、尾鰭部7を波打つ水面10に浮かべてヒラヒラと漂わせるだけでも、対象魚を誘引することが出来る。そして、尾鰭部7がいずれの比重においても、尾鰭部7の揺動を操り人形のように繊細に直接操ることが可能で、しかもその操作に必要な釣り糸9の張力が、抵抗部の水圧変化で揺動を得る従来のルアーに比べて非常に小さくて済む。よって、釣り糸9を引いてのルアーの揺動操作を、最小のルアーの移動量で可能にするため、対象魚の潜む位置に投入したルアーの移動量が数十センチ以内の範囲でしか釣果を得ることが出来ないことが多いルアー釣りにおいて、釣果の向上を図ることが出来る。更に、以上のような尾鰭部7の揺動の際に、ルアー本体1bは、体側部を上下に向けながら、尾鰭部7を操る釣り糸の張力の強弱を、頭部1aの前ガイド5bを通して伝えられるため、ルアー本体1bの前後を上下に揺動(ピッチング)させる。現実的には、このルアー本体のピッチングの動きと、以上の尾鰭部7の揺動が一緒に生じるため、主に回転軸3bの水面10に対する上下位置の変動により、尾鰭部7の水面10付近を上下する動きと水音に様々な変化を与えることが可能となり、弱った小魚の不規則な動きを容易に再現することが出来る。以上より、(実施の形態4)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の弱った小魚に極めて近い繊細で不規則な動きを自発的に可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0044】(実施の形態5)図7は本発明の実施の形態5による尾を振るルアーの例を示す図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は図7(a)の側面図、図7(c)は図7(b)の動作説明図である。先ず、図7(a)、図7(b)に示すように、実施の形態5のルアーは、前記尾鰭部7の一部または全部を分割して尾鰭分割部7cを別体に形成すると共に、該尾鰭分割部7cを元の分割位置に、回動自在に回転軸3bにて軸着する。
【0045】(実施の形態5の作用)図7(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。実施の形態5のルアーは、前記の尾鰭部7の揺動の際に、尾鰭分割部7cが揺動方向への水圧を受けて、揺動方向と反対側に回転軸を中心に回動する。よって、尾鰭部7の自由度が増した分、図2に示すように、本物の小魚の頭部から尾鰭に渡って緩やかなSの字を描くしなやかな泳ぎを再現することが出来る。その結果、より本物の小魚に近い波動をルアーから後方に発することが出来る。以上より、(実施の形態5)のルアーは、前記実施の形態1〜4に示したルアーを、更に本物の小魚に近い泳ぎにするため、より本物の小魚に近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0046】(実施の形態6)図9は本発明の実施の形態6による尾を振るルアーの例を示す図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は図9(a)の側面図、図9(c)は図9(b)の動作説明図である。先ず、図9(a)、図9(b)に示すように、実施の形態6のルアーは、小魚が弓状に体を横に反らすように、ルアー本体1bの頭部1aと尾鰭部7が上に位置する姿勢に形成する。
次に、ルアー本体1bの最後尾に、凹状の水車の連結部3を、該連結部3の切欠き部が上下方向向きに且つその開放端が後方向きになるように形成する。そして、4枚のほぼ平坦な略尾鰭状の羽7eを90度間隔(羽平面間)に設けた水車7dを、前記連結部3の開放端の先端に回動自在に回転軸3bにて軸着する。そして、前記水車7dの回転軸3bの中心位置が水面10より数mm程度上に位置して水に浮かぶようにルアーの浮力バランスを調整する。そして、釣り糸9を結ぶアイレット5を頭部1aの上部に、また釣り針連結部6をルアー本体1bの下端に設け、釣り針8を釣り針連結部6に連結する。
【0047】(実施の形態6の作用)図9(c)は、ルアーの動きを横から見た動作説明図で、水車7dが前転する姿勢を示す。図9(c)に示すように、アイレット5に結んだ釣り糸9を引くことにより、ルアーの最後尾の水面10で水車7dの羽7eが水圧を受けて前方向に回転し、パシャピシャ水音をたてながら水を跳ね上げて、前進することが出来る。この時、回転軸3bが水面10より少しだけ上に位置するため、4枚のうちの1枚の羽7eが回転軸3bの後側に水中から跳ね上げた直後には、該跳ね上げた直後の羽と180度反対位置の回転軸3bの前側の羽7eが水面を叩くように入水する。よって、ルアーを引き続けるだけで、羽7eの跳ね上げ(パシャ音)とその直後の叩き入水(ピシャ音)を繰り返すため、パシャピシャ、パシャピシャという弱った小魚の尾鰭の跳ね上げと入水の連続音を小魚と同様な音色とタイミングで再現することが出来る。そして、釣り糸9の張力に強弱を付けてルアーを引くことによって、羽7eの跳ね上げと叩き入水の勢いに強弱感を付けることが出来ると共に、ルアー本体は体側部を上下に向けながらルアー本体の前後を上下に揺動(ピッチング)させる。現実的には、このルアー本体のピッチングの動きと以上の水車7dの回動が一緒に生じるため、主に回転軸3bの水面10に対する上下位置の変動により羽7eの水面10付近を出入りする動きとタイミングと水音に様々な変化を与えることが可能となり、弱った小魚の不規則な動きを容易に再現することが出来る。以上より、(実施の形態6)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の弱った小魚に極めて近い繊細で不規則な動きを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0048】(実施の形態7)図8は本発明の実施の形態7による尾を振るルアーの例を示す側面図である。実施の形態7のルアーは、前記実施の形態1〜6のルアーの材料に、合成樹脂、ゴム、木、金属を用い、ルアーの構成部品毎に強度、比重、柔軟性を調整して構成する。特に、実施の形態1〜5のルアーにおいては、ルアー本体の前後または上下に分割された各構成部品、および尾鰭部7の分割部を構成する各構成部品に、隣接部品間で比重の異なる材料を使用することも出来る。また、異種材料の適用例として、図8に示すように、柔軟性の高いゴムや樹脂材料から成る略尾鰭形状のソフト尾鰭7fを形成し、ルアーの後端の尾鰭突起部7gに引っ掛けるように被せて覆設することも出来る。
【0049】(実施の形態7の作用)
ルアーの構成部品毎に適材適所の材料を選択出来るため、ルアーの必要強度の確保の他、水中における姿勢(ピッチ、ロール、ヨー)と動きを決める浮力バランスの最適化をバランスウェイトを頻繁に使用することなく容易に行なうことが出来る。また、異種材料の適用例のように、特に尾鰭に相当する部分に小魚と同様な柔軟性の高い材料を用いることにより、ルアーが発する波動を更に本物の小魚に近付けることが出来る。以上より、(実施の形態7)のルアーは前記実施の形態1〜6に示したルアーを、更に本物の小魚に近い泳ぎにするため、より本物の小魚に近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0050】
【発明の効果】以上の作用をまとめると、本発明は下記の効果を得ることが出来る。
(イ)本物の小魚の通常の泳ぎである尾鰭を起点とした揺動に極めて近い泳ぎを容易に再現可能なルアーを作成出来る。
(ロ)本物の小魚の不規則で弱った尾鰭の揺動に極めて近い動きを容易に再現可能なルアーを作成出来る。
(ハ)よって、ルアーが(イ)(ロ)の動きと共に発する波動が、スレた釣りの対象魚も効果的に誘引するため、釣果が上がり、ルアー釣りを存分に楽しむことが出来る。
(ニ)以上の効果を、容易な構成で安価に作成し、提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態1を示す図で、図1(a)〜(d)は、それぞれ上面図、側面図、上面図の動作説明図、側面図の動作説明図である。
【図2】本物の小魚の上面図の動作説明図である。
【図3】従来のルアーを示す図で、図3(a)〜(c)は、それぞれ一体型ルアーの上面図の動作説明図、ジョイントタイプルアーの上面図の動作説明図、ジョイントタイプルアーの側面図の動作説明図である。
【図4】本発明による実施の形態2を示す図で、図4(a)〜(c)は、それぞれ側面図、断面AAにおける断面図、断面AAにおける動作説明図である。
【図5】本発明による実施の形態3を示す図で、図5(a)〜(d)は、それぞれ側面図、断面AAにおける断面図、断面AAにおける動作説明図、変形例の断面AAにおける断面図である。
【図6】本発明による実施の形態4を示す図で、図6(a)〜(c)は、それぞれ上面図、側面図、側面図の動作説明図である。
【図7】本発明による実施の形態5を示す図で、図7(a)〜(c)は、それぞれ上面図、側面図、上面図の動作説明図である。
【図8】本発明による実施の形態7の異種材料の適用例を示す図である。
【図9】本発明による実施の形態6を示す図で、図9(a)〜(c)は、それぞれ上面図、側面図、側面図の動作説明図である。
【符号の説明】
1 前分割部
1a 頭部
1b ルアー本体
1c 縦壁
1d ルアー本体上部
1e ルアー本体下部
2 後分割部
2a 揺動部
2b 回転部
3 連結部
3a 貫通孔
3b 回転軸
4 抵抗板(リップ)
4a 抵抗板(リップ)
5 アイレット
5a アイレット
5b 前ガイド
5c 後ガイド
6 釣り針連結部
6a 釣り針連結部
7 尾鰭部
7a 上ストッパー
7b 下ストッパー
7c 尾鰭分割部
7d 水車
7e 羽
7f ソフト尾鰭
7g 尾鰭突起部
8 釣り針
9 釣り糸
10 水面
【発明の属する技術分野】本発明は、釣り用ルアーにおける、尾を振るルアーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な種類のルアーが提案、商品化されている。その中で最も一般的な、捕食される小魚の動きを模したルアーは、ルアー本体の前部に水の抵抗を受けるリップを設け、リップが受けた水圧の変化によりルアー本体が揺動する物である。そして、より小魚の動きを再現して釣りの対象魚を誘引するために、ルアー本体の後部を、分割して連結構造にしたり(以下ジョイントタイプ)、ルアー本体の後部に尾鰭に相当する物を連結したりしていた。
【0003】本物の捕食される小魚の通常の泳ぎは、主に尾鰭の左右への揺動(以下ヨーイング)によって水を後方に撹乱して推進力を得ると共に、尾鰭から後方に自発的に波動を発する。この時の小魚の頭部は、尾鰭の揺動とは逆方向に揺動を行ってバランスを取り、頭部から尾鰭に渡って緩やかなSの字を描くが、頭部のヨーイングは尾鰭のヨーイングに対して極めて小さい。そして、前記ヨーイングと共に、頭部から尾鰭までの体の軸をほぼ水平に保ちながら、少しだけ該体の軸を左右に傾けて(ローリングして)しなやかな尾鰭の揺動を可能にする。また、特に弱った小魚は、(主に浮き袋の浮力により)水面近くで頭部や体側部を上に向けたまま尾鰭や頭部を振ったり、急に大きく身をひるがえすようにローリングしてもだえたり、(ヨタ、ヨタ、ヨタッと)一定でない蛇行をしたりという不規則な動きをする。そして、前記の小魚の通常の泳ぎに、これらの不規則な動きが加わることにより、小魚を捕食するルアー釣りの対象魚を本能的に最も誘引する。更に、釣りの対象魚は、これらの小魚の動きを主に水中を伝わる波動として側線から感じ取る。
【0004】これに対し、従来のリップを設けた一体型のルアーは、釣り糸を引くことにより、頭部に設けたリップが水圧変化を受け、リップの付け根付近を中心にした、主にヨーイングによって水を揺動し、ルアーの全体から四方八方に波動を発している。この時のルアーの頭部にあたるリップの先端付近は、尾部のヨーイングとは逆方向に揺動するが、頭部の左右方向への動きは小魚の動きに対して直線的で極めて大きい。また、リップの設けられた頭部が水圧で押し下げられるため、前のめりに頭を下げて泳ぐ姿勢になり、小魚の通常の水平姿勢や、弱って頭部を上げる姿勢とは大きく異なる。他方、ジョイントタイプや尾鰭に相当する物を連結したルアーは、ルアー後部の分割連結部や尾鰭に相当する物が、該連結部を最大振幅にして左右に折り曲げながら、ルアー前部のヨーイングに振り回されるだけであるため、ルアーの頭部であるリップの先端付近と尾部の先端は同方向に揺動してしまう上に、頭部の左右方向への動きも小魚の動きに対して極めて大きいため、尾部から後方に波動は発せられない。また、前のめりに頭を下げて泳ぐ姿勢も一体型のルアーと同様に小魚とは大きく異なる。
【0005】つまり、従来のリップを設けたルアーは、(一体型でもジョイントタイプでも)ルアーの前端部に設けられたリップの付け根付近を起点とした揺動を行ない、そしてその波動を発するため、前記
【0003】段落の小魚の通常の泳ぎである尾鰭を起点とした揺動および波動とは大きく異なる。また、前記
【0003】段落の不規則な動きも、ルアーを引くだけでは再現できず、ルアー釣りの対象魚を誘引するには、高度な技術を必要とする。そして、釣りの対象魚は、これらの小魚の動きを主に水中を伝わる波動として側線から感じ取るため、釣果を上げるためには、前記の小魚の通常の泳ぎと不規則な動き再現して、小魚と同様な波動を発するルアーが必用になる。また、特に近年、ルアー釣り人口の増加も一因となって、釣りの対象魚が従来のルアーに簡単には誘引されなくなって(以下スレて)いる。このスレた対象魚を誘引するためにも、本物の小魚と同様に尾鰭を振って波動を発するルアーが必用になる。
【0006】次に、先行技術文献情報としては、ルアーの左右に張り出した胸鰭に連動して尾鰭を揺動する機構を設けたルアーが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】また、ルアーの最後端部に魚の尾部形状に近似した抵抗体を取り付けたルアーが提案されている(特許文献2参照)。
【0008】また、ルアーの内部にモーターの回転運動を尾鰭の往復運動にする機構を設けた電動式ルアーが提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−111号公報
【特許文献2】特開平9−313071号公報
【特許文献3】特開2000−125703号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】それらを纏めると、従来のルアーには、次のような問題があった。
(イ)ルアーの前部に設けられたリップの付け根付近を起点としたルアーの揺動および波動が、本物の小魚の通常の泳ぎである尾鰭を起点としたものと大きく異なる。
(ロ)水面近くで頭部や体側部を上にして泳いだり、急に大きくローリングしたり、一定でない蛇行をしたりする本物の小魚の不規則で弱った動きおよび波動をルアーが再現出来ない。
(ハ)よって、釣りの対象魚がルアーに誘引されないため、釣果が上がらず、釣りが楽しくなくなる。
(ニ)
【特許文献1】の前記公報は、胸鰭に連動して尾鰭を揺動するアームのリンク機構が複雑になり、壊れ易い上に、胸鰭と尾鰭のヤジロベエ式の水圧連動機構が受ける全体の水圧が物理的に釣り合う安定方向に作動するため、小魚が泳ぐような揺動に至らない。
(ホ)
【特許文献2】の前記公報は、ルアーの最後端部に取り付けた魚の尾部形状に近似した抵抗体が、前記
【0004】、
【0005】段落のジョイントタイプや後部に尾鰭に相当する物を装着した従来技術のルアーに該当するため、前記(イ)〜(ハ)の問題がある。
(ヘ)
【特許文献3】の前記公報は、電動式ルアーが機構上複雑で重く大きくなる上に、ルアーを操って対象魚を誘い出すという、ルアー釣り本来の楽しみが皆無である。
(ト)以上の問題点を解決するルアーを安価に作成する。
これらのため、前記従来技術は実用化されていない。本発明は、上記の問題を解決するためになされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係る尾を振るルアーは、ルアー本体を複数個に分割し、該分割部間を揺動または回動自在に連結する。そして、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部を少なくとも前(進行側)から2番目以降の分割部に、また釣り糸を結ぶアイレットを1番前(進行側)の分割部に設けるように構成したものである。
【0011】このような請求項1記載の発明によれば、抵抗部を設ける位置により、ルアーの揺動の起点を前部(進行側頭部)から後方へ移動可能なため、本物の小魚の動きである尾鰭を起点とした揺動に近付けることが出来る。
【0012】請求項2記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記抵抗部として、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗板(リップ)を、少なくとも前(進行側)から2番目以降の分割部に前方下方向きに突出して形成する。そして、最後尾の分割部に略尾鰭状の尾鰭部を設けるように構成したものである。
【0013】このような請求項2記載の発明によれば、ルアーの揺動沈降の起点を前部(進行側頭部)から後方へ移動し、沈降しながら尾鰭部を揺動可能にするため、本物の小魚の尾鰭を起点とした揺動および波動、および弱った小魚の頭部を上げて泳ぐ姿勢に近付けることが出来る。また、抵抗板を1番前(頭部)と2番目以降の複数の分割部に形成する場合、分割部同士の揺動の合成が不規則な動きを生み出すと共に、沈降能力を更に向上出来る。
【0014】請求項3記載の発明に係る尾を振るルアーは、回転部の前後両端のそれぞれに、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部と略尾鰭状の尾鰭部とを備えて成る揺動部を形成する。そして、該揺動部をルアー本体に対して揺動または回動自在にルアー本体に取り付け、釣り糸を結ぶアイレットを抵抗部近辺の揺動部またはルアー本体の少なくともどちらか一方に設けるように構成したものである。
【0015】このような請求項3記載の発明によれば、抵抗部による尾鰭部の揺動性能を最大限に活かすことが出来る。また、釣り糸を結ぶアイレットの位置を変えることにより、ルアー本体と尾鰭部の相対運動に変化を与えることが出来る。
【0016】請求項4記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記抵抗部として、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗板(リップ)を前記回転部の前端に前方下方向きに突出して形成すると共に、前記揺動部をルアー本体に対して左右(ヨー)方向に回動自在に軸着する。また、前記回転部の左右(ヨー)方向への可動範囲の左右外側のルアー本体に、ルアー本体と一体に外形形状を兼ねた縦壁を形成し、該縦壁前端部の内幅寸法よりも、その直前部の前記揺動部の左右幅寸法を大きく設ける。そして、上下に分割されたルアー本体で前記回転部を滑動可能に挟み込むように、前記縦壁部にてルアー本体の上下を接合するように構成したものである。
【0017】このような請求項4記載の発明によれば、抵抗板の沈降能力と左右への揺動性能を同時に最大限に活かせる上に、請求項3記載の発明を、現実的に安価に作成出来る。また、前記回転部とルアー本体との間に異物が侵入するのを防止することが出来る。
【0018】請求項5記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記回転部の外形状をルアー本体の外形状とほぼ等しく形成し、前記揺動部の左右(ヨー)方向への可動範囲を確保可能なように、前記回転部にその内側を上下方向に貫通する貫通孔と、ルアー本体に一体に前記貫通孔に内設する縦壁とを設ける。そして、上下に分割されたルアー本体で前記回転部を滑動可能に挟み込むように、前記縦壁部にてルアー本体の上下を接合するように構成したものである。
【0019】このような請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明を、現実的に更に安価に作成出来る。
【0020】請求項6記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記揺動部の材料に、ステンレススチール等の防錆性能の高い金属または合成樹脂を用いる。そして、金属材料を用いる場合は、前記尾鰭部を別対に形成して、回転部にカシメまたは溶接により接合するように構成したものである。
【0021】このような請求項6記載の発明によれば、請求項3〜5記載の発明を、より現実的に安価に作成出来る。
【0022】請求項7記載の発明に係る尾を振るルアーは、略尾鰭状の尾鰭部をルアー本体の最後尾に揺動または回動自在に取り付けると共に、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部に、また釣り糸を通すガイドをルアー本体に設ける。そして、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転と、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重または浮力による元位置復帰を可能にするように構成したものである。
【0023】このような請求項7記載の発明によれば、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重または浮力による元位置復帰を繰り返すことにより、ルアーの尾鰭を直接揺動させる動きを与えることが出来る。また、尾鰭部が水中にあるときにルアーを引くことにより、前記尾鰭の動きによるルアー本体の動きの変化をルアーに与えることが出来る。
【0024】請求項8記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記尾鰭部をルアー本体の最後尾に、ほぼ上下方向に回動自在に軸着し、該回転軸中心位置が水面近辺になるようにルアーに浮力を持たせると共に、前記尾鰭部の回動範囲が水面より下方に10度程度から水面より上方に70度程度までとなるように、該尾鰭部の回動を規制する上ストッパーと下ストッパーとを該回転軸の上下のルアー本体位置にそれぞれ形成する。更に、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部の上面に、また釣り糸を通すガイドをルアー本体の前端(頭部側)上部と前記上ストッパーの上部にそれぞれ設ける。そして、釣り糸を引くことによる尾鰭部の跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重による元位置復帰を可能にするように構成したものである。
【0025】このような請求項8記載の発明によれば、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重による元位置復帰を繰り返すことにより、ルアーの尾鰭に直接、連続水面叩きの動きを与えることが出来る。
【0026】請求項9記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記尾鰭部の一部または全部を分割して尾鰭分割部を別体に形成すると共に、該尾鰭分割部を元の分割位置に、前記尾鰭部の揺動方向に揺動または回動自在に取り付けて構成したものである。
【0027】このような請求項9記載の発明によれば、尾鰭部の動作の自由度を増して、尾鰭部の揺動をしなやかにすることが出来る。
【0028】請求項10記載の発明に係る尾を振るルアーは、略尾鰭状の羽を放射方向に複数枚以上設けた水車を、該水車のどちらか一方向の回転力が大きく、且つ該水車の回転軸がルアーを引く方向に対して垂直になるように、ルアー本体の最後尾に回動自在に取り付けるように構成したものである。
【0029】このような請求項10記載の発明によれば、釣り糸を引くことにより水車が回転し、略尾鰭状の羽をルアーの最後尾で回転させることが出来る。
【0030】請求項11記載の発明に係る尾を振るルアーは、ルアー本体の最後尾に、凹状の水車受けを、該水車受けの切欠き部が上下方向向きに且つその開放端が後方向きになるように形成する。更に、4枚のほぼ平坦な前記略尾鰭状の羽を90度間隔(羽平面間)に設けた前記水車を、前記水車受けの開放端の先端に回動自在に軸着する。そして、該水車の回転軸中心位置が水面より数mm程度上になるようルアーに浮力を持たせて構成したものである。
【0031】このような請求項11記載の発明によれば、釣り糸を引くことにより、ルアーの最後尾の水面で水車が回転し、回転軸の後側の羽が水中から跳ね上げた直後に、回転軸の前側の羽が水面を叩く動きをルアーに与えることが出来る。
【0032】請求項12記載の発明に係る尾を振るルアーは、前記ルアーの材料に合成樹脂、ゴム、木、金属を用い、ルアーの構成部品毎に強度、比重、柔軟性を調整して構成したものである。
【0033】このような請求項12記載の発明によれば、ルアーの構成部品毎に適材適所の材料を選択出来るため、必要強度の確保やルアーの姿勢と動きを決める浮力バランスの最適化を容易に行なうことが出来る。また特に尾鰭に相当する部分に柔軟性の高いゴムや樹脂材料を一体又は別体に用いることにより、ルアーが発する波動を更に本物の小魚に近付けることが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1による尾を振るルアーの例を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)の側面図、図1(c)は図1(a)の動作説明図、図1(d)は図1(b)の動作説明図を示す。先ず、図1に示すように、実施の形態1のルアーは、ルアー本体を前分割部1と後分割部2の前後に分割し、前分割部1と後分割部2を揺動自在に前後(Y)方向に連結部3にて連結する。そして、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部として、揺動に加えて沈降能力のある抵抗板(リップ)4を後分割部2の前端(進行側)に前方下方向きに突出して形成する。ここで、前記抵抗部としては、ルアーを引くことによる抵抗部が受ける水圧変化により、抵抗部を設けた分割部が揺動可能であれば、従来から用いられているような様々な形状の物が適用可能である。また前記連結部3近辺のそれぞれの分割部の形状は、後分割部2を前記抵抗部の機能を発揮し易い形状に形成し、両分割部の揺動による干渉が無い程度に前分割部1の形状を後分割部2の形状に合わせるように隙間を詰めて形成する。次に釣り糸を結ぶアイレット5を前分割部1の前端(進行側)に設けると共に、前分割部1側の前記連結部3を前記アイレット5と一体に前分割部1の後端に突出するように、前分割部1に貫設する。また、後分割部2側の前記連結部3を後分割部2の前端に設けて、前期前分割部1側の連結部3に揺動自在に連結すると共に、その他端を釣り針連結部6として前記連結部3と一体に後分割部2の下端に突出するように後分割部2に貫設する。そして、後分割部2の最後尾に略尾鰭状の尾鰭部7を設ける。更に、別の釣り針連結部6aを、後分割部2下端の前記尾鰭部7の前近辺にも設けて、釣り針8を連結する。
【0035】(実施の形態1の作用)先ず、図2に本物の小魚の泳ぎを上面から見た動作説明図を、また図3(a)に従来のリップを設けた一体型のルアーを上面から見た動作説明図を、図3(b)に従来のリップを設けたジョイントタイプのルアーを上面から見た動作説明図を、図3(c)に図3(b)を側面から見た動作説明図を示し、前記
【0003】、
【0004】段落に記した本物の小魚と従来のリップを設けたルアーの動作を補足説明する。本物の小魚の通常の泳ぎは、図2のように、主に尾鰭部7の左右方向(X方向)への揺動(ヨーイング)によって水を後方に撹乱して尾鰭部7から後方に自発的に波動を発する。この時の小魚の頭部1aは、尾鰭部7の左右へのヨーイングとは逆方向にほんの少し揺動して頭部1aから尾鰭部7に渡って緩やかなSの字を描く。そして、前記ヨーイングと共に、頭部1aから尾鰭部7までの体の軸を体側側X方向から見てほぼ水平に保ちながら、該体の軸を少しだけ左右に傾けて(ローリングして)しなやかな尾鰭部7の揺動を可能にしている。また、特に弱った小魚は、水面近くで頭部1aや体側部を上に向けたまま尾鰭部7や頭部を振ったり、急に大きくローリングしたり、一定でない蛇行をしたりという不規則な動きをする。そして、これらの不規則な小魚の動きが、小魚を捕食するルアー釣りの対象魚を本能的に誘引することが知られている。
【0036】これに対し、従来のリップを設けた一体型のルアーは、図3(a)のように、頭部1a近辺に設けられたリップ4の付け根付近を中心にした、主に左右への揺動(ヨーイング)を行うため、本物の小魚に対して、頭部1aの左右方向への揺動は直線的で極めて大きい。また、尾鰭にあたる略円錐状の尾鰭部7の揺動も直線的で振幅の割りに振れ角が小さい。その結果、ルアーの全体から四方八方に発せられる波動も本物の小魚とは大きく異なる。他方、ジョイントタイプの(または尾鰭に相当する物を連結した)ルアーは、図3(b)のように、前分割部1の頭部1a近辺に設けられたリップ4の付け根付近を中心にしたヨーイングに、後分割部2(または尾鰭に相当する物)が連結部3を最大振幅としながら振り回されるようについていくだけである。よって、本物の小魚に対して、頭部1aの左右方向への揺動は前記一体型のルアーと同じく極めて大きい。また、尾鰭にあたる略円錐状の尾鰭部7の振幅幅と振れ角の双方が本物の小魚に対して非常に小さく、且つ尾鰭部7に対する頭部1aの揺動方向が反対(尾鰭部7と同方向)になってしまう。その結果、主にルアーの頭部1aから発せられる波動も本物の小魚とは大きく異なる。また、従来のリップが設けられたルアーの泳ぎは、図3(c)(図はジョイントタイプで代用)のように、リップ4の設けられた頭部1aが水圧で押し下げられるため、前のめりに尾鰭部7に対して頭部1aを下げる姿勢になり、小魚の通常の水平姿勢や、弱って頭部1aを上げる姿勢の泳ぎとは大きく異なる。
【0037】これらに対し、(実施の形態1の作用)を図1(c)と図1(d)において説明する。図1(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。また、図1(d)は図1(c)の側面図であり、2点鎖線はルアーの姿勢の適用例を示す。先ず、図1(c)ように、頭部1aである前分割部1が釣り糸9で引かれることにより、後分割部2の抵抗板(リップ)4が水圧変化を受け、前後の分割部の連結部3付近でもある前記抵抗板4の付け根付近を中心にした後分割部2の左右へのヨーイングが、後分割部2の後端である尾鰭部7の先端を最大振幅として小魚の尾鰭のように揺動させる。この時、頭部1aは、アイレット5に結ばれた釣り糸9の張力を、連結部3を介して前記後分割部2に伝える。そして、頭部1aは、前記後分割部2の揺動の中心付近にある連結部3の揺動自在な支点の効果と前分割部1自体の慣性力により、前記後分割部2の揺動を効果的に吸収するため、小魚と同様に尾鰭部7と反対方向にわずかに左右に揺動するだけである。更に、外観上、抵抗板(リップ)4が頭部1aから殆ど突出しないため、従来のルアーのように、頭部1aから大きく突出した抵抗板(リップ)4により頭でっかちに見えるルアー形状が、対象魚に違和感を与えて対象魚に嫌われることが無くなる。また、後分割部2に抵抗板(リップ)4部を水圧で押し下げようとする力が働くが、釣り糸9の張力が、連結部3を支点に頭部1aを持ち上げる方向の回転モーメント(力)として作用すると共に、該モーメントが前分割部1を介して後分割部2に伝わる。よって、頭部1aと共に抵抗板(リップ)4部を、尾鰭部7に対して前のめりに下げる姿勢をとることなく、図1(d)の実線に示すように、小魚の通常の水平に近い姿勢で泳ぐことが出来る。さらに、この頭部1aの動作の自由度を活かして、小魚のように尾鰭部7と頭部1aを揺動させながら泳ぐルアーの頭部1aの向きを、前記連結部3を支点にして釣り糸9を引く方向に向けることが出来るようになり、図1(d)の2点鎖線に示すように、特に頭部1aを上げながら尾鰭部7を振る弱った小魚特有の動きも、ルアーを引くだけで容易に再現出来る。この尾鰭部7に対して頭部1aを上げて傾く姿勢は、頭部1aである前分割部1に対して尾鰭部7のある後分割部2の材料の比重を大きくすることや、ルアー全体を(水に浮くフローティングタイプから)水に沈む比重を持つシンキングタイプに構成することによって、その傾きを大きくすることが出来る。また、前記後分割部2の揺動に対して該後分割部2と前分割部1の近接部が衝突する範囲まで両部材間の可動範囲である隙間を小さくすることによって、尾鰭部7の揺動の振幅の大きさを制御できる上に、後分割部2の揺動と共に該後分割部2と前分割部1が衝突音を発するため、(従来のルアーのラトル音の機能と同様に)対象魚に音でアピールして誘引効果を向上することが出来る。以上より、(実施の形態1)のルアーは、従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の小魚に極めて近い通常の泳ぎと弱った泳ぎを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0038】(実施の形態2)図4は本発明の実施の形態2による尾を振るルアーの例を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は図4(a)の断面AAにおける断面図、図4(c)は図4(b)と同断面の動作説明図を示す。先ず、図4(a)、図4(b)に示すように、実施の形態2のルアーは、ルアー本体を前分割部1と後分割部2の前後に分割し、前分割部1と後分割部2とを左右方向(X方向)に回動自在に連結部3にて軸着する。そして、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部として、揺動に加えて沈降能力のある抵抗板(リップ)4、4aをそれぞれ前分割部1と後分割部2の前端に前方下方向きに突出して形成する。ここで、前記連結部3は、後分割部2の抵抗板(リップ)4aの直後に設けた略丸孔状の貫通孔3aと、前記貫通孔3aに遊貫し、前分割部1の下端に軸止して設ける回転軸3bとから構成する。そして、前記抵抗部としては、ルアーを引くことによる抵抗部が受ける水圧変化により、抵抗部を設けた分割部が揺動可能であれば、従来から用いられているような様々な形状の物が適用可能である。また、前記連結部3近辺のそれぞれの分割部の形状は、両分割部の回動による摺動面を水平方向(XY平面上)に形成し、後分割部2が前記抵抗部の機能を発揮し易いように、後分割部2を該摺動面の下側に、また該後分割部2の最後尾に略尾鰭状の尾鰭部7を設ける。そして、両分割部の回動による衝突が無い程度に前分割部1の形状を後分割部2の形状に合わせるように隙間を詰めて形成する。次に釣り糸を結ぶアイレット5を前分割部1の前端に設けると共に、該アイレット5の他端を釣り針連結部6として、該アイレット5と一体に、該前分割部1の下端に突出するように前分割部1に貫設する。更に、前記回転軸3bの下端に、後分割部2が該回転軸3bから抜け落ちないように突起部を備えた釣り針連結部6aを設け、それぞれの釣り針連結部に釣り針8を連結する。
【0039】(実施の形態2の作用)図4(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢を、実線とそれに線対称な2点鎖線で示す。実施の形態2のルアーは、実施の形態1の作用に示した、後分割部2後端の尾鰭部7の揺動に加えて、前分割部1に設けた抵抗板(リップ)4も水圧変化を受け、前記抵抗板4の付け根付近を中心にした前分割部1のヨーイングが同時に生じる。つまり、前分割部1のヨーイング運動の上で後分割部2がヨーイング運動を行なう。この時、双方のヨーイング運動に相対的な規定の動作が生じないため、尾鰭部7の動きは、双方のヨーイング運動の合成による非常に不規則な揺動となる。そして、前分割部1は、アイレット5に結ばれた釣り糸9の張力を前方に受けて揺動するが、揺動する後分割部2の後方向きの水圧抵抗力を連結部3で受けるため、前分割部1の揺動は、自由に揺動する後分割部2の揺動よりも左右への振幅は小さくなる。また、前後の抵抗板(リップ)4、4aの揺動性能(面積と形状と取り付け位置による)をそれぞれ調整することによっても頭部1aと尾鰭部7の揺動を調整することが出来る。よって、前記の頭部1aのわずかな揺動と、尾鰭部7の先端を最大振幅とした揺動が、小魚の通常の泳ぎに極めて近い上に、図4(c)に2点鎖線で示すように、ルアーを一定速で引くだけで、前記の不規則な揺動が、急に大きなローリングや一定でない蛇行を生じさせるため、弱った小魚に極めて近い泳ぎも容易に再現出来る。また、従来のルアーの前端だけ一箇所の抵抗板では、限界があった沈降能力を、前後の抵抗板(リップ)4、4aでそれぞれ発揮することにより、沈降能力をより向上することが出来る。また、該沈降能力が向上した分、前の抵抗板4の小型化が図れるため、大きな抵抗板により頭でっかちに見えるルアー形状が、対象魚に違和感を与えて対象魚に嫌われることが無くなる。また、前記後分割部2の回動に対して該後分割部2と前分割部1の近接部が衝突する範囲まで両部材間の可動範囲である隙間を小さくすることによって、尾鰭部7の揺動の振幅の大きさを制御できる上に、後分割部2の揺動と共に該後分割部2と前分割部1が衝突音を発するため、(従来のルアーのラトル音の機能と同様に)対象魚に音でアピールして誘引効果を向上することも可能である。以上より、(実施の形態2)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の小魚に極めて近い通常の泳ぎと弱った泳ぎを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0040】(実施の形態3)図5は本発明の実施の形態3による尾を振るルアーの例を示す図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は図5(a)の断面AAにおける断面図、図5(c)は図5(b)と同断面の動作説明図、また図5(d)は別構成の変形例の図5(b)と同断面の断面図を示す。先ず、図5(a)、図5(b)に示すように、実施の形態3のルアーは、回転部2bの前後両端のそれぞれに、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗部と略尾鰭状の尾鰭部7とを備えて成る揺動部2aを形成する。そして、前記抵抗部として抵抗板(リップ)4を前記回転部2bの前端に前方下方向きに突出して形成すると共に、前記揺動部2aをルアー本体1bに対して左右(ヨー)方向に回動自在に連結部3にて軸着する。ここで、前記連結部3は、前記揺動部2aの抵抗板(リップ)4の直後に設けた略丸孔状の貫通孔3aと、前記貫通孔3aに遊貫し、前記ルアー本体1bの前端に該ルアー本体1bと一体または別体に設けた回転軸3bとから構成する。また、前記抵抗部としては、ルアーを引くことによって抵抗部が受ける水圧変化により、抵抗部を設けた揺動部2aが揺動可能であれば、従来から用いられているような様々な形状の物が適用可能である。更に、前記回転部2bの左右(ヨー)方向への可動範囲の左右外側のルアー本体1bに、該ルアー本体1bと一体に外形形状を兼ねた縦壁1cを左右対称に形成し、該縦壁1c前端部の左右間の内幅寸法よりも、その直前部の前記揺動部2aの左右幅寸法を大きく設ける。そして、前記縦壁1cをどちらか一方に含む上下に分割されたルアー本体上部1dとルアー本体下部1eで前記回転部2bを滑動可能に挟み込むように、前記縦壁1c部にてルアー本体上部1dとルアー本体下部1eを接合して構成する。この時、前期回転軸3bをルアー本体1bと一体に形成する場合は、前記縦壁1c部の接合と同様に、該回転軸3bにおいてもルアー本体上部1dとルアー本体下部1eを接合して構成する。更に、釣り糸9を結ぶアイレット5、5aをそれぞれルアー本体上部1dおよび前記連結部3の直前の揺動部2aに設ける。そして、ルアー本体下部1eの下端に釣り針連結部6、6aをそれぞれ設け、それぞれの釣り針連結部に釣り針8を連結する。次に、以上の実施の形態3の前記回転部2bとルアー本体1bの構成の変形例を説明する。先ず、図5(d)に示すように、前記回転部2bの外形状をルアー本体1bの外形状とほぼ等しく形成すると共に、前記揺動部2aの左右(ヨー)方向への可動範囲を確保可能なように、前記回転部2bにその内側を上下方向に貫通する前端が半円形状の貫通孔3aと、該貫通孔3aの半円に楕円の一端の半円を合わせて内接する楕円断面形状の縦壁1cとを設ける。そして、前記縦壁1cを該縦壁1cと少なくともどちらか一方が一体に形成されたルアー本体上部1dとルアー本体下部1eで前記回転部2bを滑動可能に挟み込むように、該縦壁1c部にてルアー本体上部1dとルアー本体下部1eを接合して構成する。そして、前記揺動部2aの材料に、ステンレススチール等の防錆性能の高い金属または合成樹脂を用いる。ここで、前記揺動部2aに金属材料を用いる場合は、前記尾鰭部7を別対に形成して、前記回転部2bにカシメまたは溶接により接合して構成する。
【0041】(実施の形態3の作用)図5(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、前記揺動部2aの左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。図5(a)、図5(b)、図5(c)に示すように、頭部1aにあるアイレット5またはアイレット5aが、釣り糸9で引かれることにより、揺動部2aの抵抗板(リップ)4が水圧変化を受け、抵抗板(リップ)4の付け根付近でもある連結部3を中心にした左右へのヨーイングが、尾鰭部7を該尾鰭部7の先端を最大振幅として小魚の尾鰭のように揺動させる。ここで、ルアーを引く釣り糸9を結ぶ位置をアイレット5aに対してアイレット5にした場合、釣り糸9の張力の入力点が、前記揺動部2aから前記ルアー本体上部1dに移動し、該釣り糸9の張力による拘束力が前記揺動部2aにおいては減少し、ルアー本体1bにおいては増加するため、前記揺動部2aの揺動はより振動数が高く軽快に、またルアー本体1bの揺動は前記揺動部2aの振幅の割りに振幅が小さくなる。つまり、1つのルアーで2パターンの尾鰭部7の振動数、および尾鰭部7とルアー本体1bの相対運動の大きさを、釣り糸9を結ぶアイレット(5、5a)の位置によって、釣りの状況に合わせて選択することが出来る。そして、従来のルアーおよび、実施の形態1、2のルアーに対して、抵抗板4と尾鰭部7の間の回転部2bをステンレススチール等により薄く、軽く構成することにより、回転部2b周辺の慣性力と水の抵抗を格段に小さく出来る。
よって、尾鰭部7の揺動性能が高まり、ルアーを引く速度がより遅くても、尾鰭部7を活き活きと機敏で軽快に揺動させることが出来る。更に、尾鰭部7を含む揺動部2aの揺動によるルアー本体1bの振動が小さい上に、揺動部2aの揺動がルアー本体1bに伝わりにくいため、頭部1aは小魚と同様に尾鰭7と反対方向にわずかに左右に揺動するだけである。また、図5(d)に示す前記変形例においては、前記回転部2bの貫通孔3aに内接する縦壁1cが、前記揺動部2aの回転軸、およびルアー本体上部1dとルアー本体下部1eの接合部を兼用するため、図5(c)と同様なルアーの動きを確保しながら、ルアーを更に安価に作成することが出来る。更に、実施の形態3と前記変形例のどちらの場合においても、前記揺動部2aの形状により、前記回転部2bとルアー本体1bとの間に異物が侵入するのを防止することが出来る。更に、前記貫通孔3aと回転軸3b、および前記変形例の貫通孔3aと縦壁1cの孔と回転軸の関係において、双方間の左右方向の遊び(ガタ)を大きくすることによって、揺動部7の回転運動に左右方向への横滑り運動を合成することが出来るため、尾鰭部7の揺動をしなやかな小魚の動きに近付けることが出来る。そして、前記回転部2bと縦壁1c、および前記変形例の貫通孔3aと縦壁1cの回転部2bと縦壁1cによる可動範囲規制の関係において、回転部2bの揺動に縦壁1cが衝突する範囲まで両部材間の可動範囲を小さくすることによって、尾鰭部7の揺動の振幅の大きさを制御できる上に、回転部2bの揺動と共に回転部2bと縦壁1cが衝突音を発するため、(従来のルアーのラトル音の機能と同様に)対象魚に音でアピールして誘引効果を向上することが出来る。以上より、(実施の形態3)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の小魚に極めて近い機敏で軽快、且つしなやかな泳ぎを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0042】(実施の形態4)図6は本発明の実施の形態4による尾を振るルアーの例を示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は図6(a)の側面図、図6(c)は図6(b)の動作説明図である。先ず、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示すように、実施の形態4のルアーは、小魚が弓状に体を横に反らすように、ルアー本体1bの頭部1aと尾鰭部7が上に位置する姿勢に形成する。次に、略尾鰭状の尾鰭部7をルアー本体1bの最後尾の連結部に、ほぼ上下方向に回動自在に回転軸3bにて軸着する。そして、前記尾鰭部7の回転軸3bの中心位置が水面10近辺に、また頭部1aの最上部位置が水面10より上に位置して水に浮かぶようにルアーの浮力バランスを調整する。更に、ルアーが水に浮かんだ状態で、尾鰭部7の回動範囲が水面10より下方に10度程度から水面10より上方に70度程度までとなるように、該尾鰭部7の回動を規制する上ストッパー7aと下ストッパー7bを回転軸3bの上下のルアー本体1b位置にそれぞれ形成する。また、釣り糸9を結ぶアイレット5を尾鰭部7の上面に、釣力で該アイレット5が抜けないように、アイレット5の他端を尾鰭部7の裏面まで貫通させてカシメ等により締結する。また釣り糸9を通すリング状の前ガイド5bと後ガイド5cをそれぞれ頭部1aと上ストッパー7aの上部に設ける。そして、ルアー本体1bの下端に釣り針連結部6を、また下ストッパー7bの下端に釣り針連結部6aを設け、それぞれの釣り針連結部に釣り針8を連結する。
【0043】(実施の形態4の作用)図6(c)は、ルアーの動きを横から見た動作説明図で、尾鰭部7の上下方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。図6(c)に示すように、釣り糸9を前ガイド5b、後ガイド5cの順に通してから尾鰭部7上のアイレット5に結ぶ。そして、釣り糸9を引くことによる尾鰭部7の回転跳ね上げと、釣り糸9を緩めることによる尾鰭部7の自重による元位置復帰を繰り返すことが出来る。ここで、尾鰭部7が水に沈む大きな比重の場合は、尾鰭部7を回転軸3bより下の水中からパシャッという音と水しぶきを伴って水上に跳ね上げ、続いて尾鰭部7を回動範囲の最上点付近から位置エネルギーを最大に活かした回転落下により、水面をピシャッと叩いて入水させるという、派手な尾鰭部7の動きを再現出来る。逆に、尾鰭部7が水に浮かぶ小さな比重の場合は、水面10に浮かぶ尾鰭部7をヒラッと静かに跳ね上げ、続いて尾鰭部7を水面10に波紋をたてる程度にそっと着水させるという、繊細な尾鰭部7の動きも再現出来る。尚、上ストッパー7aと下ストッパー7bのそれぞれの位置角度は、前記の尾鰭部7の回動による機能を釣り糸9の操作で可能とするのに必要な設計値である。また、尾鰭部7を波打つ水面10に浮かべてヒラヒラと漂わせるだけでも、対象魚を誘引することが出来る。そして、尾鰭部7がいずれの比重においても、尾鰭部7の揺動を操り人形のように繊細に直接操ることが可能で、しかもその操作に必要な釣り糸9の張力が、抵抗部の水圧変化で揺動を得る従来のルアーに比べて非常に小さくて済む。よって、釣り糸9を引いてのルアーの揺動操作を、最小のルアーの移動量で可能にするため、対象魚の潜む位置に投入したルアーの移動量が数十センチ以内の範囲でしか釣果を得ることが出来ないことが多いルアー釣りにおいて、釣果の向上を図ることが出来る。更に、以上のような尾鰭部7の揺動の際に、ルアー本体1bは、体側部を上下に向けながら、尾鰭部7を操る釣り糸の張力の強弱を、頭部1aの前ガイド5bを通して伝えられるため、ルアー本体1bの前後を上下に揺動(ピッチング)させる。現実的には、このルアー本体のピッチングの動きと、以上の尾鰭部7の揺動が一緒に生じるため、主に回転軸3bの水面10に対する上下位置の変動により、尾鰭部7の水面10付近を上下する動きと水音に様々な変化を与えることが可能となり、弱った小魚の不規則な動きを容易に再現することが出来る。以上より、(実施の形態4)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の弱った小魚に極めて近い繊細で不規則な動きを自発的に可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0044】(実施の形態5)図7は本発明の実施の形態5による尾を振るルアーの例を示す図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は図7(a)の側面図、図7(c)は図7(b)の動作説明図である。先ず、図7(a)、図7(b)に示すように、実施の形態5のルアーは、前記尾鰭部7の一部または全部を分割して尾鰭分割部7cを別体に形成すると共に、該尾鰭分割部7cを元の分割位置に、回動自在に回転軸3bにて軸着する。
【0045】(実施の形態5の作用)図7(c)は、ルアーの泳ぎを上から見た動作説明図で、左右方向への揺動の振幅が最大になった時の姿勢をそれぞれ、実線と2点鎖線で示す。実施の形態5のルアーは、前記の尾鰭部7の揺動の際に、尾鰭分割部7cが揺動方向への水圧を受けて、揺動方向と反対側に回転軸を中心に回動する。よって、尾鰭部7の自由度が増した分、図2に示すように、本物の小魚の頭部から尾鰭に渡って緩やかなSの字を描くしなやかな泳ぎを再現することが出来る。その結果、より本物の小魚に近い波動をルアーから後方に発することが出来る。以上より、(実施の形態5)のルアーは、前記実施の形態1〜4に示したルアーを、更に本物の小魚に近い泳ぎにするため、より本物の小魚に近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0046】(実施の形態6)図9は本発明の実施の形態6による尾を振るルアーの例を示す図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は図9(a)の側面図、図9(c)は図9(b)の動作説明図である。先ず、図9(a)、図9(b)に示すように、実施の形態6のルアーは、小魚が弓状に体を横に反らすように、ルアー本体1bの頭部1aと尾鰭部7が上に位置する姿勢に形成する。
次に、ルアー本体1bの最後尾に、凹状の水車の連結部3を、該連結部3の切欠き部が上下方向向きに且つその開放端が後方向きになるように形成する。そして、4枚のほぼ平坦な略尾鰭状の羽7eを90度間隔(羽平面間)に設けた水車7dを、前記連結部3の開放端の先端に回動自在に回転軸3bにて軸着する。そして、前記水車7dの回転軸3bの中心位置が水面10より数mm程度上に位置して水に浮かぶようにルアーの浮力バランスを調整する。そして、釣り糸9を結ぶアイレット5を頭部1aの上部に、また釣り針連結部6をルアー本体1bの下端に設け、釣り針8を釣り針連結部6に連結する。
【0047】(実施の形態6の作用)図9(c)は、ルアーの動きを横から見た動作説明図で、水車7dが前転する姿勢を示す。図9(c)に示すように、アイレット5に結んだ釣り糸9を引くことにより、ルアーの最後尾の水面10で水車7dの羽7eが水圧を受けて前方向に回転し、パシャピシャ水音をたてながら水を跳ね上げて、前進することが出来る。この時、回転軸3bが水面10より少しだけ上に位置するため、4枚のうちの1枚の羽7eが回転軸3bの後側に水中から跳ね上げた直後には、該跳ね上げた直後の羽と180度反対位置の回転軸3bの前側の羽7eが水面を叩くように入水する。よって、ルアーを引き続けるだけで、羽7eの跳ね上げ(パシャ音)とその直後の叩き入水(ピシャ音)を繰り返すため、パシャピシャ、パシャピシャという弱った小魚の尾鰭の跳ね上げと入水の連続音を小魚と同様な音色とタイミングで再現することが出来る。そして、釣り糸9の張力に強弱を付けてルアーを引くことによって、羽7eの跳ね上げと叩き入水の勢いに強弱感を付けることが出来ると共に、ルアー本体は体側部を上下に向けながらルアー本体の前後を上下に揺動(ピッチング)させる。現実的には、このルアー本体のピッチングの動きと以上の水車7dの回動が一緒に生じるため、主に回転軸3bの水面10に対する上下位置の変動により羽7eの水面10付近を出入りする動きとタイミングと水音に様々な変化を与えることが可能となり、弱った小魚の不規則な動きを容易に再現することが出来る。以上より、(実施の形態6)のルアーは従来のルアーでは出来ていなかった、
【0003】段落に示す、本物の弱った小魚に極めて近い繊細で不規則な動きを可能とするため、本物の小魚に極めて近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0048】(実施の形態7)図8は本発明の実施の形態7による尾を振るルアーの例を示す側面図である。実施の形態7のルアーは、前記実施の形態1〜6のルアーの材料に、合成樹脂、ゴム、木、金属を用い、ルアーの構成部品毎に強度、比重、柔軟性を調整して構成する。特に、実施の形態1〜5のルアーにおいては、ルアー本体の前後または上下に分割された各構成部品、および尾鰭部7の分割部を構成する各構成部品に、隣接部品間で比重の異なる材料を使用することも出来る。また、異種材料の適用例として、図8に示すように、柔軟性の高いゴムや樹脂材料から成る略尾鰭形状のソフト尾鰭7fを形成し、ルアーの後端の尾鰭突起部7gに引っ掛けるように被せて覆設することも出来る。
【0049】(実施の形態7の作用)
ルアーの構成部品毎に適材適所の材料を選択出来るため、ルアーの必要強度の確保の他、水中における姿勢(ピッチ、ロール、ヨー)と動きを決める浮力バランスの最適化をバランスウェイトを頻繁に使用することなく容易に行なうことが出来る。また、異種材料の適用例のように、特に尾鰭に相当する部分に小魚と同様な柔軟性の高い材料を用いることにより、ルアーが発する波動を更に本物の小魚に近付けることが出来る。以上より、(実施の形態7)のルアーは前記実施の形態1〜6に示したルアーを、更に本物の小魚に近い泳ぎにするため、より本物の小魚に近い波動を発し、スレた釣りの対象魚を効果的に誘引することが出来る。また、それを現実的に安価に作成可能である。
【0050】
【発明の効果】以上の作用をまとめると、本発明は下記の効果を得ることが出来る。
(イ)本物の小魚の通常の泳ぎである尾鰭を起点とした揺動に極めて近い泳ぎを容易に再現可能なルアーを作成出来る。
(ロ)本物の小魚の不規則で弱った尾鰭の揺動に極めて近い動きを容易に再現可能なルアーを作成出来る。
(ハ)よって、ルアーが(イ)(ロ)の動きと共に発する波動が、スレた釣りの対象魚も効果的に誘引するため、釣果が上がり、ルアー釣りを存分に楽しむことが出来る。
(ニ)以上の効果を、容易な構成で安価に作成し、提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態1を示す図で、図1(a)〜(d)は、それぞれ上面図、側面図、上面図の動作説明図、側面図の動作説明図である。
【図2】本物の小魚の上面図の動作説明図である。
【図3】従来のルアーを示す図で、図3(a)〜(c)は、それぞれ一体型ルアーの上面図の動作説明図、ジョイントタイプルアーの上面図の動作説明図、ジョイントタイプルアーの側面図の動作説明図である。
【図4】本発明による実施の形態2を示す図で、図4(a)〜(c)は、それぞれ側面図、断面AAにおける断面図、断面AAにおける動作説明図である。
【図5】本発明による実施の形態3を示す図で、図5(a)〜(d)は、それぞれ側面図、断面AAにおける断面図、断面AAにおける動作説明図、変形例の断面AAにおける断面図である。
【図6】本発明による実施の形態4を示す図で、図6(a)〜(c)は、それぞれ上面図、側面図、側面図の動作説明図である。
【図7】本発明による実施の形態5を示す図で、図7(a)〜(c)は、それぞれ上面図、側面図、上面図の動作説明図である。
【図8】本発明による実施の形態7の異種材料の適用例を示す図である。
【図9】本発明による実施の形態6を示す図で、図9(a)〜(c)は、それぞれ上面図、側面図、側面図の動作説明図である。
【符号の説明】
1 前分割部
1a 頭部
1b ルアー本体
1c 縦壁
1d ルアー本体上部
1e ルアー本体下部
2 後分割部
2a 揺動部
2b 回転部
3 連結部
3a 貫通孔
3b 回転軸
4 抵抗板(リップ)
4a 抵抗板(リップ)
5 アイレット
5a アイレット
5b 前ガイド
5c 後ガイド
6 釣り針連結部
6a 釣り針連結部
7 尾鰭部
7a 上ストッパー
7b 下ストッパー
7c 尾鰭分割部
7d 水車
7e 羽
7f ソフト尾鰭
7g 尾鰭突起部
8 釣り針
9 釣り糸
10 水面
Claims (12)
- ルアー本体を複数個に分割し、該分割部間を揺動または回動自在に連結すると共に、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部を少なくとも前(進行側)から2番目以降の分割部に、また釣り糸を結ぶアイレットを1番前(進行側)の分割部に設けて構成することを特徴とする尾を振るルアー。
- 前記抵抗部として、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗板(リップ)を、少なくとも前(進行側)から2番目以降の分割部に前方下方向きに突出して形成すると共に、略尾鰭状の尾鰭部を最後尾の分割部に設けて構成することを特徴とする請求項1記載の尾を振るルアー。
- 回転部の前後両端のそれぞれに、水圧を受けてルアーを揺動させる抵抗部と略尾鰭状の尾鰭部とを備えて成る揺動部を形成し、該揺動部をルアー本体に揺動または回動自在に取り付け、釣り糸を結ぶアイレットを抵抗部近辺の揺動部またはルアー本体の少なくともどちらか一方に設けて構成することを特徴とする尾を振るルアー。
- 前記抵抗部として、水圧を受けてルアーを揺動沈降させる抵抗板(リップ)を前記回転部の前端(進行側)に前方下方向きに突出して形成すると共に、前記揺動部をルアー本体に対して左右(ヨー)方向に回動自在に軸着し、また前記回転部の左右(ヨー)方向への可動範囲の左右外側のルアー本体に、外形形状を兼ねた縦壁を形成し、該縦壁前端部の内幅寸法よりも、その直前部の前記揺動部の左右幅寸法を大きく設け、上下に分割されたルアー本体で前記回転部を滑動可能に挟み込むように、前記縦壁部にてルアー本体の上下を接合して構成することを特徴とする請求項3記載の尾を振るルアー。
- 前記回転部の外形状をルアー本体の外形状とほぼ等しく形成し、前記揺動部の左右(ヨー)方向への可動範囲を確保可能なように、該回転部にその内側を上下方向に貫通する貫通孔と、ルアー本体に前記貫通孔に内設する縦壁とを設け、上下に分割されたルアー本体で前記回転部を滑動可能に挟み込むように、前記縦壁部にてルアー本体の上下を接合して構成することを特徴とする請求項3記載の尾を振るルアー。
- 前記揺動部の材料は、ステンレススチール等の防錆性能の高い金属または合成樹脂を用い、金属材料の場合は、前記尾鰭部を別対に形成して、回転部にカシメまたは溶接により接合して構成することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の尾を振るルアー。
- 略尾鰭状の尾鰭部をルアー本体の最後尾に揺動または回動自在に取り付けると共に、釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部に、また釣り糸を通すガイドをルアー本体に設けて、釣り糸を引くことによる尾鰭部の回転と、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重または浮力による元位置復帰を可能に構成することを特徴とする尾を振るルアー。
- 前記尾鰭部をルアー本体の最後尾に、ほぼ上下方向に回動自在に軸着し、該回転軸中心位置が水面近辺になるようにルアーに浮力を持たせると共に、前記尾鰭部の回動範囲が水面より下方に10度程度から水面より上方に70度程度までとなるように、該尾鰭部の回動を規制する上ストッパーと下ストッパーとを該回転軸の上下のルアー本体位置にそれぞれ形成し、更に釣り糸を結ぶアイレットを尾鰭部の上面に、また釣り糸を通すガイドをルアー本体の前端上部と前記上ストッパーの上部にそれぞれ設け、そして、釣り糸を引くことによる尾鰭部の跳ね上げと、釣り糸を緩めることによる尾鰭部の自重による元位置復帰を可能に構成することを特徴とする請求項7記載の尾を振るルアー。
- 前記尾鰭部の一部または全部を分割して尾鰭分割部を別体に形成すると共に、該尾鰭分割部を元の分割位置に、前記尾鰭部の揺動方向に揺動または回動自在に取り付けて構成することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の尾を振るルアー。
- 略尾鰭状の羽を放射方向に複数枚以上設けた水車を、該水車の回転軸がルアーを引く方向に対して垂直になるように、ルアー本体の最後尾に回動自在に取り付けて構成することを特徴とする尾を振るルアー。
- ルアー本体の最後尾に、凹状の水車受けを、該水車受けの切欠き部が上下方向向きに且つその開放端が後方向きになるように形成すると共に、4枚のほぼ平坦な前記略尾鰭状の羽を90度間隔(羽平面間)に設けた前記水車を前記水車受けの開放端の先端に回動自在に軸着し、そして該水車の回転軸中心位置が水面より数mm程度上になるようルアーに浮力を持たせて構成することを特徴とする請求項10記載の尾を振るルアー。
- 前記ルアーの材料は、合成樹脂、ゴム、木、金属を用いて、ルアーの構成部品毎に強度、比重、柔軟性を調整して構成することを特徴とする請求項1〜5、7〜11のいずれか1項に記載の尾を振るルアー。
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