JP2004162244A - ナノファイバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】数平均による単糸繊度が1×10-7〜2×10-4dtexであり、繊度比率の60%以上が単糸繊度1×10-7〜2×10-4dtexの範囲であり、かつ、熱可塑性ポリマーからなるナノファイバー集合体。
【選択図】図1
Description
東洋精機キャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
Perkin Elmaer DSC−7を用いて2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
口金孔壁とポリマーとの間の剪断応力はハーゲンポワズユの式(剪断応力(dyne/cm2)=R×P/2L)から計算する。ここでR:口金吐出孔の半径(cm)、P:口金吐出孔での圧力損失(dyne/cm2)、L:口金吐出孔長(cm)である。またP=(8LηQ/πR4)であり、η:ポリマー粘度(poise)、Q:吐出量(cm3/sec)、π:円周率である。また、CGS単位系の1dyne/cm2はSI単位系では0.1Paとなる。ここで、ポリマー粘度は口金吐出孔の温度、剪断速度での値を用いる必要があるが、吐出孔径の大きな口金を用いた場合は剪断速度が100sec-1以下とかなり低くなるため、キャピログラフ測定の実測値としてポリマー粘度を決定することが難しい場合がある。この時は、より高剪断速度での実測値やより低温での実測値から外挿して粘度を見積もった。
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
F.ナノファイバーの数平均による単糸繊度、直径
単糸繊度の平均値は以下のようにして求める。すなわち、TEMによる繊維横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単糸直径および繊度を計算し、それの単純な平均値を求めた。これを「数平均による単糸繊度」とした。この時、平均に用いるナノファイバー数は同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単糸直径を測定したが、これをナノファイバー集合体長として互いに10m以上離れた5カ所で行い、合計1500本以上の単糸直径を用いて計算した。
ナノファイバーの単糸繊度ばらつきは、以下のようにして評価する。すなわち、上記数平均による単糸繊度を求める際に使用したデータを用い、ナノファイバーそれぞれの単糸繊度をdtiとしその総和を総繊度(dt1+dt2+…+dtn)とする。また、同じ単糸繊度を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総繊度で割ったものをその単糸繊度の繊度比率とする。
ナノファイバーの直径ばらつき幅は以下のようにして評価する。すなわち、ナノファイバーの単糸直径の中心値付近で単糸直径差が30nmの幅に入る単糸の繊度比率で評価する。これは、中心繊度付近へのばらつきの集中度を意味しており、この繊度比率が高いほどばらつきが小さいことを意味している。これも上記数平均による単糸繊度を求める際に使用したデータを用いた。
繊維に白金−パラジウム合金を蒸着し、走査型電子顕微鏡で繊維側面を観察した。
J.力学特性
ナノファイバー集合体10mの重量をn=5回測定し、これの平均値からナノファイバー集合体の繊度(dtex)を求めた。そして、室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
サンプルを秤量瓶に1〜2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算を行う。
MR90=[(W90−W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR90−MR65 ・・・・・・・・・・・・ (3)
L.可逆的水膨潤性および糸長手方向の膨潤率
繊維を60℃で4時間乾燥した後、原長(L0)を測定する。そしてこの繊維を25℃の水に10分間浸漬した後、水から取り出し素早く処理後長(L1)を測定する。さらにこの繊維を60℃で4時間乾燥後、乾燥後長(L2)を測定する。そして、乾燥/水浸漬の3回繰り返し、3回目の糸長手方向の膨潤率が1回目の糸長手方向の膨潤率に対して50%以上であれば可逆的水膨潤性を有しているとした。糸長手方向の膨潤率は以下のようにして計算した。なお、繊維の長さは、繊維の2カ所に色つきの糸を結びその間の距離を測定した。この距離は約100mmとなるようにした。
M.ポリマーの色調(b*値)
MINOLTA SPECTROPHOTOMETER CM-3700dでb*を測定した。このとき、光源としてはD65(色温度6504K)を用い、10°視野で測定を行った。
溶融粘度53Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度310Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押し出し混練機で260℃で混練してb*値=4のポリマーアロイチップを得た。なお、この共重合PETの262℃、1216sec-1での溶融粘度は180Pa・sであった。このときの混練条件は以下のとおりであった。
スクリュー 直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効長さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。
ポリマー供給 N6と共重合PETを別々に計量し、別々に混練機に供給した。
ベント 2個所
このポリマーアロイを275℃の溶融部2で溶融し、紡糸温度280℃のスピンブロック3に導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、口金面温度262℃とした口金5から溶融紡糸した(図12)。この時、口金としては図13に示すように吐出孔上部に直径0.3mmの計量部12を備えた、吐出孔径14が0.7mm、吐出孔長13が1.75mmのものを用いた。そして、この時の単孔あたりの吐出量は2.9g/分とした。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.13MPa(ポリマーアロイの粘度は105Pa・s、262℃、剪断速度1248sec-1)と充分低いものであった。さらに、口金下面から冷却開始点(チムニー6の上端部)までの距離は9cmであった。吐出された糸条は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金5から1.8m下方に設置した給油ガイド8で給油された後、非加熱の第1引き取りローラー9および第2引き取りローラー10を介して900m/分で巻き取られた。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを第1ホットローラー17の温度を90℃、第2ホットローラー18の温度を130℃として延伸熱処理した(図14)。この時、第1ホットローラー17と第2ホットローラー18間の延伸倍率を3.2倍とした。得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%の優れた特性を示した。また、得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PETが海(薄い部分)、N6(濃い部分)が島の海島構造を示し(図2)、島N6の数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
N6を溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)として、実施例1と同様に2軸押出混練機を用いポリマーアロイチップを得た。そして、単孔あたりの吐出量は1.0g/分、口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.071MPa(ポリマーアロイの粘度は170Pa・s、262℃、剪断速度416sec-1)として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、ポリマーアロイ未延伸糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを延伸倍率を3.0倍として、やはり実施例1と同様に延伸し、128dtex、36フィラメント、強度4.1cN/dtex、伸度37%、U%=1.2%の優れた特性を有するポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は40nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
N6を溶融粘度500Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)として実施例2と同様に溶融紡糸を行った。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.083MPa(ポリマーアロイの粘度は200Pa・s、262℃、416sec-1)として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、ポリマーアロイ未延伸糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これをやはり実施例2と同様に延伸・熱処理して128dtex、36フィラメント、強度4.5cN/dtex、伸度37%の、U%=1.9%の優れた特性を有するポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は60nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
N6をブレンド比をポリマーアロイ全体に対し50重量%として、実施例3と同様に溶融紡糸を行った。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.12MPaとして実施例1と同様に溶融紡糸を行い、ポリマーアロイ未延伸糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これをやはり実施例2と同様に延伸・熱処理して128dtex、36フィラメント、強度4.3cN/dtex、伸度37%、U%=2.5%の優れた特性を有するポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は80nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度180Pa・s(290℃、剪断速度121.6sec-1)、融点255℃のPETを島成分に、溶融粘度100Pa・s(290℃、剪断速度121.6sec-1)、ビカット軟化温度107℃のポリスチレン(PS)を海成分に用いて、特開昭53−106872号公報の実施例1記載のように海島複合糸を得た。そして、これをやはり特開昭53−106872号公報の実施例記載のようにトリクロロエチレン処理によりPSを99%以上除去して超極細糸を得た。これの繊維横断面をTEM観察したところ、超極細糸の単糸直径は2.0μm(0.04dtex)と大きいものであった。
溶融粘度50Pa・s(280℃、121.6sec-1)、融点220℃のN6と溶融粘度210Pa・s(280℃、121.6sec-1)、融点255℃のPETをN6ブレンド比を20重量%となるようにチップブレンドした後、290℃で溶融し、紡糸温度を296℃、口金面温度280℃、口金孔数36、吐出孔径0.30mm、吐出孔長.50mmのずん胴口金として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、紡糸速度1000m/分で未延伸糸を巻き取った。ただし、単純なチップブレンドであり、ポリマー同士の融点差も大きいためN6とPETのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、第1ホットローラー17の温度を85℃、延伸倍率3倍として実施例1と同様に延伸を行い、100dtex、36フィラメントの延伸糸を得た。
溶融粘度395Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点220℃のN6と溶融粘度56Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点105℃のPEとをN6ブレンド比を65重量%となるようにチップブレンドした後、図15の装置を用い、1軸押出混練機21の温度を260℃として溶融した後、口金孔数12、吐出孔径0.30mm、吐出孔長.50mmのずん胴口金として実施例1と同様に溶融紡糸を行った。ただし、N6とPEのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、実施例1と同様に延伸・熱処理を行い、82dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。この時の延伸倍率は2.0倍とした。
溶融粘度150Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点220℃のN6と溶融粘度145Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点105℃のPEとをN6ブレンド比を20重量%となるようそれぞれのポリマーを計量しながら2軸押し出し混練機に導く図17の装置を用い、比較例3と同様に溶融紡糸を行った。ただし、N6とPEのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、
安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、実施例1と同様に延伸・熱処理を行い、82dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。この時の延伸倍率は2.0倍とした。
特公昭60−28922号公報第11図記載の紡糸パックおよび口金を用いて、比較例1記載のPSおよびPETを用い、比較例1と同様に海島複合糸を得た。この時、海島複合糸の島成分はPSとPETの2:1(重量比)のブレンドポリマー、海成分としてPSを用いた(海島複合比は重量比で1:1)。具体的には該公報第11図においてA成分をPET、BおよびC成分をPSとした。そして、これをやはり比較例1と同様にトリクロロエチレン処理してPSを99%以上除去して超極細糸を得た。これの繊維横断面を観察したところ、最小で単糸直径100nm程度の単糸もごく微量存在したが、PS中へのPETの分散が悪いため、これの数平均による単糸繊度は9×10-4dtex(単糸直径326nm)と大きいものであり、超極細糸の単糸繊度ばらつきも大きなものであった(図9、10)。
実施例1で用いたN6と共重合PETを図16の装置を用いて別々に270℃で溶融した後、ポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導いた。そして、紡糸パック4内に装着した静止混練器22(東レエンジニアリング社製“ハイミキサー”)を用いて2種のポリマーを104万分割して充分混合した後、実施例1同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%であった。この未延伸糸にやはり実施例1と同様に延伸・熱処理を施した。得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は52nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
実施例1で用いたN6と共重合PETを図17の装置を用いて270℃の2軸押出混練機で溶融混練した後、ポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導いた。そして、実施例1同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%であった。この未延伸糸にやはり実施例1同様に延伸・熱処理を施した。得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は54nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
共重合PETを熱水可溶性ポリマーである第一工業製薬株式会社製“パオゲンPP−15”(溶融粘度350Pa・s、262℃、121.6sec-1、融点55℃)、紡糸速度を5000m/分として実施例5と同様に混練、溶融紡糸を行った。得られたポリマーアロイ繊維は70dtex、12フィラメント、強度3.8cN/dtex、伸度50%、U%=1.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。なお、この“パオゲンPP−15”の262℃、1216sec-1での溶融粘度は180Pa・sであった。
N6の代わりに溶融粘度100Pa・s(280℃、121.6sec-1)、融点250℃のN66を用い、図16の装置を用いてN66を270℃、実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを80℃で溶融した後、ポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導いた。そして、実施例5同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーのブレンド比はN66が20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、単孔あたりの吐出量は2.9g/分とした。この時の紡糸速度は5000m/分とした。そして、70dtex、12フィラメント、強度4.5cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、N66が島の海島構造を示し、島N66の数平均による直径は58nmであり、N66が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度300Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点235℃の共重合PET(PEG1000を8重量%、イソフタル酸を7mol%共重合)と実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを実施例6同様に混練、溶融紡糸した。この時のポリマーのブレンド比は共重合PETが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、単孔あたりの吐出量は1.0g/分、紡糸速度は6000m/分とした。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.11MPa(ポリマーアロイの粘度は240Pa・s、262℃、剪断速度475sec-1)と充分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度55%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、共重合PETが島の海島構造を示し、島共重合PETの数平均による直径は52nmであり、共重合PETが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度190Pa・s(280℃、121.6sec-1)、融点255℃のPETと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを実施例9同様に混練、溶融紡糸した。この時のポリマーのブレンド比はPETが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、PETの溶融温度は285℃、熱水可溶性ポリマーの溶融温度は80℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.12MPa(ポリマーアロイの粘度は245Pa・s、262℃、剪断速度475sec-1)と充分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PETが島の海島構造を示し、島PETの数平均による直径は62nmであり、PETが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度120Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点225℃のPBTと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを実施例9同様に混練、溶融紡糸した。この時のポリマーのブレンド比はPBTが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、PBTの溶融温度は255℃、熱水可溶性ポリマーの溶融温度は80℃、紡糸温度は265℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.12MPaと充分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PBTが島の海島構造を示し、島PBTの数平均による直径は62nmであり、PBTが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度220Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点225℃のPTTと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを実施例9同様に混練、溶融紡糸した。この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.13MPaと充分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PTTが島の海島構造を示し、島PTTの数平均による直径は62nmであり、PTTが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度350Pa・s(220℃、121.6sec-1)、融点170℃のPLAと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを実施例9同様に混練、溶融紡糸した。この時のポリマーのブレンド比はPLAが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、紡糸温度235℃、口金面温度220℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。そして、60dtex、36フィラメント、強度2.5cN/dtex、伸度35%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PLAが島の海島構造を示し、島PLAの数平均による直径は48nmであり、PLAが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度300Pa・s(262℃、121.6sec-1)、熱変形温度140℃のポリカーボネート(PC)と実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーとを実施例8同様に混練、溶融紡糸した。この時のポリマーのブレンド比はPCが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。そして、70dtex、36フィラメント、強度2.2cN/dtex、伸度35%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PCが島の海島構造を示し、島PCの数平均による直径は85nmであり、PCが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度300Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点220℃ポリメチルペンテン(PMP)と溶融粘度300Pa・s(262℃、121.6sec-1)、ビカット軟化温度105℃のPSを紡糸速度1500m/分で実施例8同様に混練、溶融紡糸し、延伸倍率を1.5倍として実施例1と同様に延伸、熱処理した。この時のポリマーのブレンド比はPMPが20重量%、PSが80重量%、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。そして、77dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度40%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、PSが海、PMPが島の海島構造を示し、島PMPの数平均による直径は70nmであり、PMPが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度300Pa・s(220℃、121.6sec-1)、融点162℃のPPと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを実施例15同様に混練、溶融紡糸、延伸・熱処理した。この時のポリマーのブレンド比はPPが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、紡糸温度235℃、口金面温度220℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。そして、77dtex、36フィラメント、強度2.5cN/dtex、伸度50%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PPが島の海島構造を示し、島PPの数平均による直径は48nmであり、PPが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
溶融粘度200Pa・s(300℃、121.6sec-1)、融点280℃のPPSと溶融粘度200Pa・s(300℃、121.6sec-1)を実施例15同様に混練、溶融紡糸、延伸・熱処理した。この時のポリマーのブレンド比はPPSが20重量%、N6が80重量%、PPSの溶融温度は320℃、N6の溶融温度は270℃、紡糸温度320℃、口金面温度300℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。そして、77dtex、36フィラメント、強度5.2cN/dtex、伸度50%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、N6が海、PPSが島の海島構造を示し、島PPSの数平均による直径は65nmであり、PPSが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
実施例1〜6で作製したポリマーアロイ繊維を用いて平織りを製織した。そして、界面活性剤(三洋化成“グランアップ”)および炭酸ナトリウムをそれぞれ濃度2g/リットルとした100℃の熱水中(浴比は1:100)で精練を施した。精練時間は40分とした。そして、140℃で中間セットを施した。その後、10%の水酸化ナトリウム水溶液(90℃、浴比1:100)でアルカリ処理を90分間施し、海成分である共重合PETの99%以上を除去した。さらに、これに140℃で最終セットを施した。得られた布帛に常法により染色を施したが、染色斑の無い美しい物であった。ここで得られたナノファイバー集合体からなる織物は、絹のような「きしみ感」やレーヨンのような「ドライ感」を有する風合いに優れた物であった。また、ΔMR=6%と吸湿性にも優れるため快適衣料に好適なものであった。さらに、この織物をバフィング処理を施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。
比較例2〜4で作製したN6ブレンド繊維を用いて実施例18と同様に平織りを作製したが、紡糸が不安定であったため糸の長手方向の太細斑や毛羽が多いことに起因し、毛羽の多い表面品位の悪い織物しかできなかった。これらに精練を施し、続いて中間セットを施した。そして、比較例2の糸を用いたものは実施例18と同様にアルカリ処理を施した後、最終セットを施し、やはり常法に従い染色を施した。一方、比較例3および4の糸を用いたものには、85℃のトルエンに60分間浸漬し、PEを99%以上溶解除去した。その後、これらに最終セットを施し、やはり常法に従い染色を施した。これらの布帛は、染色斑や毛羽の多い品位の悪い物であった。また、風合いとしては従来の極細糸の範疇でありきしみ感やドライ感はなく、吸湿性も通常N6繊維並(ΔMR=2%)であった。
実施例4で作製したポリマーアロイ繊維を用いて高密度平織りを製織した。そして、実施例18に準じナノファイバー集合体からなる平織りを得た。さらにこれのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10-5dtex)と従来にない細さであり、また単繊維繊度が1×10-7〜1×10-4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。そして、これにバフィングを施した。これは、従来の極細糸を用いたワイピングクロスよりも拭き取り性が良く、ワイピングクロスとして好適なものであった。
実施例1で作製したポリマーアロイ繊維を合糸し4万dtexのトウとした後、機械捲縮を施し捲縮数15山/25mmの捲縮糸とした。これを繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを3000本/cm2施し、750g/m2の繊維絡合不織布とした。この不織布にポリビニルアルコールを付与した後、3%の水酸化ナトリウム水溶液(60℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去した。なお、このナノファイバー構造体からナノファイバー集合体を抜き取り解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nm(3×10-5dtex)と従来にない細さであり、また単繊維繊度が1×10-7〜1×10-4dtexの繊度比率は90%であり、特に単繊維直径で55〜84nmの間に単繊維繊度比率は70%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。さらに、ポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗し、N6ナノファイバー集合体とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。この1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。得られた製品は外観が極めて良好で染色斑もなく、力学特性にも問題はなかった。また、従来の超極細糸を用いた人工皮革に比べ、さらに柔らかできめの細かいタッチであった。また、吸湿性にも優れるため、従来の人工皮革では持ち得なかった人肌のようなみずみずしさも併せ持つ優れた風合いであった。
比較例3で作製したN6/PEブレンド繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、500g/m2の繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布にパークレン処理を行い、N6超極細糸とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。この1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。これの風合いは、単なるスエードの模造品であり従来の超極細繊維を用いた人工皮革を超えるものではなかった。
実施例1で作製したポリマアロイ繊維を用いて実施例20と同様の操作により、PU含有率が40重量%のN6ナノファイバー集合体とPUからなるナノファイバー構造体からなる研磨布基材を得た。なお、このナノファイバー構造体からナノファイバー集合体を抜き取り解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nm(3×10-5dtex)と従来にない細さであり、また単繊維繊度が1×10-7〜1×10-4dtexの繊度比率は90%であり、特に単繊維直径で55〜84nmの間に単繊維繊度比率は70%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。これを2分割するように切断した後、表面をJIS#240、#350、#500番のサンドペーパーでバフイングした。さらに、これを隙間が1.0mmの表面温度150℃の上下2本のフッ素加工した加熱ローラーでニップし、0.7kg/cm2の圧力でプレスした後、表面温度15℃の冷却ローラーで急冷し表面を平滑化した研磨布を得た。そして、この研磨布を以下の方法で評価した結果を表9に示すが、従来超極細糸を用いたものに比べ被研磨物の平滑性が高くまた欠点であるスクラッチ数も少なく、優れた研磨特性を示した。
被研磨物:市販アルミニウム板にNi−Pメッキ後ポリッシュ加工した基板
(平均表面粗さ=0.28nm)
研磨条件:以下の条件で、該基板をテキスチャー装置に取り付け、研磨を行った。
滴下速度 :4.5ml/分
回転数 :1000rpm
テープ速度:6cm/分
研磨条件 :振幅1mm−横方向振動300回/分
評価枚数 :該基板30枚/水準
<被研磨物の平均表面粗さRa>
温度20℃、相対湿度50%のクリーン室に設置された防音装置付きのVeeco社製原糸間力顕微鏡(AFM)を用いて基板30枚/水準の表面粗さを測定し、その平均表面粗さRaを求める。測定範囲は各基板のディスク中心を基準とし半径の中央点2カ所を対称に選定し、各点5μm×5μmの広さで測定を行う。
ZYGO社製干渉型顕微鏡で表面観察し、各サンプルの表面スクラッチ数(X)を測定する。スクラッチは0.1μm×100μm以上の大きさのものをカウントする。これを基板30枚/水準測定し、傷の数による点数yからスクラッチ数βを定義する。
X≧5の時 y=5
β=Σyi (i=1〜30)
ここでΣyiはサンプル30枚分のスクラッチ総数である。
比較例3で作製したN6/PEブレンド繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで開繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、500g/m2の繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布にパークレン処理を行い、N6超極細糸とPUからなるナノファイバー構造体からなる研磨基材を得た。これを用い、実施例21と同様の操作により研磨布を得た。そして、この研磨布の評価を行ったが、Ra=1.6nm、β=32とナノファイバー集合体を用いたものに比べ被研磨物の平滑性が低くまた欠点であるスクラッチ数も多くなり、劣った研磨特性を示した。
実施例1で作製したポリマーアロイ繊維を用い実施例20と同様に、350g/m2の繊維絡合不織布とした後、10%の水酸化ナトリウム水溶液(90℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去し、N6ナノファイバー不織布を得た。なお、この不織布からナノファイバー集合体を抜き取りさらにこれのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nm(3×10-5dtex)と従来にない細さであり、また単繊維繊度が1×10-7〜1×10-4dtexの繊度比率は90%であり、特に単繊維直径で55〜84nmの間に入る単繊維繊度比率は70%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。これを直径4.7cmの円形に切断したもの5枚を重ねて円形のフィルターカラムに白血球(5700個/μリットル)を含む牛血を2mリットル/分の流速で通液したところ、圧力損失が100mmHgに達するまでの時間は100分間であり、その時の顆粒球除去率は99%以上、リンパ球除去率は60%と炎症性の白血球である顆粒球を選択できるものであった。これは、ナノファイバー同士の隙間による効果であると考えられる。
実施例22で作製したナノファイバー不織布0.5gをオートクレーブで減菌し、15mリットルのエンドトキシンを含む牛血清で吸着能力の評価(37℃、2時間)をしたところエンドトキシン濃度LPSが10.0ng/mリットルから1.5ng/mリットルまで減少しており、優れた吸着能力を示した。これはナイロンナノファイバーは活性表面が通常のナイロン繊維に比べはるかに多いため、アミノ末端が通常よりもはるかに多く存在しているためと考えられる。
実施例13と同様のポリマーの組み合わせで、図18の装置を用いてスパンボンド不織布を得た。この時、2軸押し出し機23での溶融温度は225℃、紡糸温度は230℃、口金面温度は217℃とした。また、口金は実施例1で用いたものと同スペック、単孔吐出量は0.8g/分、口金下面から冷却開始までの距離は12cmとした。
実施例1〜4で作製したN6ナノファイバー集合体からなる丸編みは自重160%以上の含水率、また自重の80%以上の保水率を示し、吸水、保水性に優れたものであった。ここで、含水率、保水率はサンプルを60分間水槽に充分浸漬した後、これを引き上げ表面付着水を除去した物の重量(Ag)を測定し、その後これを遠心脱水機(3000rpmで7分間)で脱水した物の重量(Bg)を測定し、さらにこれを105℃で2時間乾燥させた物の重量(Cg)を測定し、以下の式で計算した。
保水率(%)=(B−C)/C×100(%)
さらに、このN6ナノファイバー集合体からなる丸編みは、特に水を15%以上含んだ状態では特異的な粘着性が発現した。
実施例22で作製したN6ナノファイバー集合体からなる不織布を用いて貼布材基布を作製した。これに薬剤を塗布したところ、薬剤の吸尽性は良好であり、しかも優れた粘着性を示し、優れた貼布材とすることができた。
実施例1で作製したN6ナノファイバー集合体からなる丸編で袋を作製し、これに中袋で包んだ保冷剤を入れた。この熱冷まし用具は袋に用いた丸編に結露した水が吸収され、優れた粘着性を示すため、熱冷まし用具が患部からずれにくく、取り扱い性に優れる物であった。
実施例1で作製したN6ナノファイバー集合体からなる丸編のケミカル汚染物質の除去能力を以下のようにして評価した。0.005m3 (5リットル)のテドラーバッグ中央に、サンプル片1gを置き、これに大気を流入させ、さらにケミカル汚染物質を所望の濃度となるように注入した。この汚染空気を経時的にサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにてテドラーバッグ中のケミカル汚染物質濃度をモニタリングした。
市販のN6丸編を用いて実施例28と同様にケミカル汚染物質の除去能力を評価したが、ほとんど除去能力は無かった。
実施例3で作製した丸編みにシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、この丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
実施例1で用いたN6と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、2432sec-1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を20重量%とし、混練温度を220℃として実施例1と同様に溶融混練し、b*値=3のポリマーアロイチップを得た。なお、ポリ乳酸の重量平均分子量は以下のようにして求めた。試料のクロロホルム溶液にTHF(テトロヒドロフラン)を混合し測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。なお、実施例1で用いたN6の240℃、2432sec-1)での溶融粘度は57Pa・sであった。また、このポリL乳酸の215℃、1216sec-1での溶融粘度は86Pa・sであった。
実施例9で用いた共重合PETと2−エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリスチレン(co−PS)を、共重合PETの含有率を20重量%とし、混練温度を235℃として実施例1と同様に溶融混練し、b*値=2のポリマーアロイチップを得た。この時、co−PSの262℃、121.6sec-1での溶融粘度は140Pa・s、245℃、1216sec-1での溶融粘度は60Pa・sであった。
実施例11で用いたPBTと実施例31で用いたco−PSを、PBTの含有率を20重量%とし、混練温度を240℃として実施例1と同様に溶融混練し、b*値=2のポリマーアロイチップを得た。
実施例12で用いたPTTと新日鐵化学社製共重合PS(“エスチレン”KS−18、メチルメタクリレート共重合、溶融粘度110Pa・s、262℃、121.6sec-1)を、PTTの含有率を20重量%とし、混練温度を240℃として実施例1と同様に溶融混練し、b*値=2のポリマーアロイチップを得た。また、この共重合PSの245℃、1216sec-1での溶融粘度は76Pa・sであった。
実施例30で用いたPLAと実施例31で用いたco−PSを、PLAの含有率を20重量%とし、混練温度を215℃として実施例31と同様に溶融混練し、b*値=2のポリマーアロイチップを得た。
実施例30で作製したナノファイバー集合体からなる丸編み5gを110℃で1時間乾燥させ、下記組成の処理液に2時間浸漬し、ジフェニルジメトキシシランをナノファイバー集合体に十分含浸させた。処理布帛を純水で十分洗浄後、140℃で3分間キュアすることにより、ナノファイバー集合体の内部でジフェニルジメトキシシランを重合させた。これに家庭洗濯を10回を施し、110℃で1時間乾燥させ重量を測定したところ、未処理に比べ38%の重量増加であった。このように、ナノファイバー集合体にジフェニルシリコーンを坦持させハイブリッド材料を得ることができ、ジフェニルシリコーンの洗濯耐久性も良好であった。
ジフェニルジメトキシシラン 100ml
純水 100ml
エタノール 300ml
10%塩酸 50滴
実施例36
実施例32で作製したPBTナノファイバー集合体からなる編地に鮫の肝臓から抽出した天然油成分であり、保湿によるスキンケア効果のあるスクワランを吸尽させた。このときの処理条件は、スクワラン60%と乳化分散剤40%を混合した物を水に濃度7.5g/リットルで分散させ、浴比1:40、温度130℃、処理時間60分間である。処理後80℃で2時間洗浄を行い、このときのスクワランの付着量は布帛に対して21重量%であった。その後、家庭洗濯を20回施した後のスクワランの付着量は、布帛に対して12重量%であり、充分な洗濯耐久性を示した。
N6の含有率を35%として実施例30と同様に溶融紡糸を行い、400dtex、144フィラメントのN6/PLAポリマーアロイ高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸を実施例30と同様に延伸熱処理した。得られた延伸糸は288dtex、96フィラメントであり、強度3.6cN/dtex、伸度40%、沸騰水収縮率9%、U%=0.7%の優れた特性を示した。
実施例3で用いたN6と共重合PETをN6と共重合PETのブレンド比を80重量%/20重量%として、実施例1と同様に溶融混練を行いマスターペレットを作製した。このマスターペレットと溶融混練に用いたN6バージンペレットを独立のホッパー1に仕込み、計量部24で独立に計量してブレンド槽29(容量7kg)に供給した(図23)。このとき、マスターペレットとN6バージンペレットのブレンド比は重量で1:1とし、ブレンド槽壁面へのペレット付着を防止するため静電防止剤(三洋化成工業(株)社製 エマルミン40)を20ppmを含有させた。そして、このブレンド槽でペレット同士が攪拌された後、二軸押出混練機23に供給され、溶融混練されN6の含有率が40重量%のポリマーアロイとされた。このとき、混練部長さをスクリュー有効長さの33%、混練温度は270℃とした。その後、ポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導いた。そして、実施例3同様に溶融紡糸を行った。この未延伸糸にやはり実施例3同様に延伸・熱処理を施した。得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度30%、U%=3.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は110nmであり、やや島N6の直径が大きく、ばらつきも大きいものであった。
2:溶融部
3:スピンブロック
4:紡糸パック
5:口金
6:チムニー
7:糸条
8:集束給油ガイド
9:第1引き取りローラー
10:第2引き取りローラー
11:巻き取り糸
12:計量部
13:吐出孔長
14:吐出孔径
15:未延伸糸
16:フィードローラー
17:第1ホットローラー
18:第2ホットローラー
19:第3ローラー(室温)
20:延伸糸
21:1軸押出混練機
22:静止混練器
23:2軸押出混練機
24:チップ計量装置
25:イジェクター
26:開繊板
27:開繊糸条
28:捕集装置
29:ブレンド槽
Claims (12)
- 数平均による単糸繊度が1×10-7〜2×10-4dtexであり、繊度比率の60%以上が単糸繊度1×10-7〜2×10-4dtexの範囲であり、かつ、熱可塑性ポリマーからなるナノファイバー集合体。
- 長繊維および/または紡績糸形状である請求項1記載のナノファイバー集合体。
- 熱可塑性ポリマーが重縮合系ポリマーである請求項1または2記載のナノファイバー集合体。
- 繊度比率で50%以上のナノファイバーが単糸直径差で30nmの幅に入る請求項1〜3のうちいずれか1項記載のナノファイバー集合体。
- 融点が165℃以上である請求項1〜4のうちいずれか1項記載のナノファイバー集合体。
- ポリエステルあるいはポリアミドあるいはポリオレフィンを少なくとも一部に含む請求項1〜5のうちいずれか1項記載のナノファイバー集合体。
- 強度が1cN/dtex以上である請求項1〜6のうちいずれか1項記載のナノファイバー集合体。
- 吸湿率が4%以上である請求項1〜7のうちいずれか1項記載のナノファイバー集合体。
- 糸長手方向の吸水膨潤率が5%以上である請求項1〜8のうちいずれか1項記載のナノファイバー集合体。
- 請求項1〜9記載のナノファイバーを少なくとも一部に有する繊維製品。
- 繊維製品が織編物あるいはフェルトあるいは不織布である請求項10記載の繊維製品。
- 繊維製品が衣料、インテリア製品、生活資材製品、環境・産業資材製品、メディカル製品である請求項10または11記載の繊維製品。
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