JP2008214826A - 繊維構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶解性の異なる複数のポリマーからなるポリマーアロイ繊維を含む繊維構造体を形成し、該溶解性の異なるポリマーの少なくとも1種を除去することによって繊維径10〜1000nmの極細繊維を発現せしめることによって得られた、該極細繊維が集合した繊維束を含む繊維構造体に0.1〜20Mpaの高圧流体流を噴射する。
【選択図】図3
Description
しかし、このワイピングクロスに含まれるナノファイバーは、1本1本の直径はナノオーダーであるが、かかるナノファイバーは凝集力が非常に強いために、繊維構造体としてはそれらが数百本〜数万本凝集した直径数μmの束となって存在している。従って上記マイクロファイバーを用いてなるワイピングクロスの問題点をある程度は解決しているものの、完全に満足いくレベルには至っていない。
一方、ハードディスク、シリコンウエハ、集積回路基盤や精密機器、光学部品については、ますます要求される性能が高度化しており、それに伴って、基板表面加工の一層の高精度化が必要となっている。ここでいう基板表面加工の高精度化とは、具体的には主として基板表面の平滑性の向上とスクラッチの低減であり、これらの問題を解決する手段として、例えば極細繊維(ミクロンレベル)を用いて織物状としたもの(例えば特許文献3)や、不織布状としたもの(例えば特許文献4)が開示されている。極細繊維を用いることにより、砥粒にかかる力が分散されたり、スクラッチの原因となる砥粒の凝集や研磨屑の生成が抑制されることにより、これらの技術はある程度の効果はあるものの、さらなる改善が求められている。
ところで、極細繊維を含んでなる布帛に高圧流体流を噴射することは公知であるが、いずれも本発明とはその目的、効果が異なるものである。
円孔の直径をR、円孔のピッチ(中心の間隔)をPとすると、カバーファクターは下記の式1で求めることが出来る。
円孔の直径をR、円孔のピッチ(中心の間隔)をP、シートの進行方向に対して円孔からの水流の軌跡が為す角度をθとすると、カバーファクターは下記の式2で求めることが出来る。
1列のノズルで複数回処理を行う場合は処理ごとのカバーファクターを上述の方法で求め、得られたカバーファクターの和を処理全体のカバーファクターとする。また、1つのノズルに2列、3列等、複数の列で孔が存在する場合は、それぞれの列を1回の処理と見なしてカバーファクターを求め、得られたカバーファクターの和を処理全体のカバーファクターとする。
東洋精機キャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
パーキンエルマー(Perkin Elmer) DSC−7を用いて2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
TEM装置 : 日立社製H−7100FA型
D.極細繊維の数平均による単繊維直径
上記D項のTEMで少なくとも300本の単繊維を1視野中に観察できる倍率で観察し、観察による写真から画像処理ソフトを用いて、単繊維のそれぞれの直径の単純な平均値を求めた。この際、同一視野内で無作為に抽出した、300本の直径を解析し、計算に用いた。
繊維に白金−パラジウム合金を蒸着し、走査型電子顕微鏡(SEM)で繊維側面を観察した。
SEM装置 : 日立社製S−4000型
F.力学特性
室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JISL1013 8.5.1に基づき、つかみ間隔20cm、引っ張り速度20cm/分で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
シリコーンオイルSH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を注射針で約5mgガラス板上に落とし、直径45mm、重さ1Kgfの円柱状荷重の一端面に固定した試料(ワイピングクロス)をガラス板上に乗せ1m/minの速度で移動し、シリコーンを拭き取る。次に、乾式複写機用トナー(SF−76T:シャープ株式会社製)をガラス板上に振りかけ、そのトナーを圧縮空気(1kgf/m2)で吹き飛ばす。ガラス板表面に“セロテープ”(積水化学工業株式会社製、登録商標)を張り付けてガラス板上の残留トナーを剥ぎ取り、“セロテープ”に付着したトナーの程度を判定する。トナーが全く付着しないもの(ガラス板のシリコーンを完全に拭き取ったもの)を5級、トナーが極めて多量に残るものを1級として5段階で肉眼判定した。
JIS L−1096に規定の方法(フラジール形法)に基づき測定を行った。
5cm角のサンプルを準備し、分光光度計U−3410((株)日立製作所製)にφ60積分球130−063((株)日立製作所製)および10°傾斜スペーサーを取付けた状態で380〜780nmの反射率を測定した。これを3つのサンプルで行い、560nmの値を単純平均して反射率を求めた。尚、標準白色板は装置に添付のもの((株)日立製作所製)を用いた。
繊維構造体(シート)をスリットして38mm幅のテープとし、以下の条件で研磨加工を行った。すなわち、アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、研磨布表面に1次粒子径1〜10nmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを10ml/分の供給量で滴下し、ディスクの回転数を300rpm、テープのディスクへの押付圧を1.0kg/cm2、テープ走行速度を6cm/分の条件で30秒間研磨を実施した。
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、2432sec−1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を45重量%とし、混練温度を220℃として溶融混練し、ポリマーアロイチップを得た。なお、ポリ乳酸の重量平均分子量は以下のようにして求めた。試料のクロロホルム溶液にTHF(テトラヒドロフラン)を混合し測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。また、このポリL乳酸の215℃、1216sec−1での溶融粘度は86Pa・sであった。
水流を噴射しない以外は実施例1と同様の方法で織物を作成した。この織物を用いて拭き取り性を評価した結果を表1に示す。該織物はある程度良好なワイピング性を有しているものの、実施例1の織物には劣るものであった。また、通気性、光反射率は一般的な織物の範疇に入るものであった。
特開平9−19393号公報の実施例1に準じ、海成分に実施例1で用いた共重合ポリエステル、島成分として実施例1で用いたN6を用い、海島の比率は10/90、極細繊維は50デニール(55.5dtex)9フィラメント、70島/フィラメントの海島型繊維を得た。
溶融粘度1200poise(262℃、121.6sec−1)、融点225℃のポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリアルキレングリコール誘導体の熱水可溶性ポリマーである第一工業製薬株式会社製“パオゲンPP−15”((登録商標)溶融粘度3500poise、262℃、121.6sec −1、融点55℃)を、実施例1同様に混練、溶融紡糸した。このときのポリマーのブレンド比はPBTが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、PBTの溶融温度は255℃、熱水可溶性ポリマーの溶融温度は80℃、紡糸温度は265℃、とし、60dtex36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PBTが島の海島構造を示し、島PBTの数平均による直径は62nmであり、PBTが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
水流の噴射する処理を2回繰り返す以外は実施例2と同様の方法で織物を得た。この場合のカバーファクターは122%であった。この処理により極細繊維の集合した繊維束はほぐされて、極細繊維は単繊維状に分散されていることがSEMによる観察で確認された。この織物を用いて拭き取り性、通気性、反射率を評価した結果を表1に示す。該織物は拭き取り性が良好であり、ワイパーに好適であると同時に、通気性が低いので衣料に用いた場合の防風性、防寒性に優れ、さらに高い光反射率を有していることから液晶ディスプレーバックライト用反射板や紙の代替としての印刷用基材に優れている。
実施例1で用いたポリマーアロイチップを紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率16%のエンボスロールで、温度80℃、線圧20kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度2.0dtex、目付150g/m2の長繊維不織布を得た。
ポリマーアロイ繊維を水酸化ナトリウム水溶液で処理した後に水流を噴射しない以外は実施例4と同様の方法で複合シートを作製した。
実施例4のニードルパンチ不織布の代わりに横糸に流体により嵩高性を付与したPET加工糸織物を積層し、0.25mmφの穴が2.5mm間隔で開いているノズルから圧力10MPaの水流を噴射する処理を2回行うことにより一体化せしめ、複合シートを得た。なお、処理速度は3m/分であり、ノズルは幅方向に振幅6mmで24Hzで揺動させながら処理を行った。この場合のカバーファクターは117%であった。
Claims (4)
- 溶解性の異なる複数のポリマーからなるポリマーアロイ繊維を含む繊維構造体を形成し、
該ポリマーアロイ繊維の溶解性の異なる複数のポリマーのうちの少なくとも1種を除去して繊維径10〜1000nmの極細繊維を発現せしめて該極細繊維が集合した繊維束とし、
該極細繊維が集合した繊維束を含む繊維構造体に0.1〜20MPaの高圧流体流を噴射する、
ことを特徴とする繊維構造体の製造方法。 - 前記溶解性の異なる複数のポリマーを、押出混練機および/ または静止混練器でポリマーアロイとなしてから、紡糸してポリマーアロイ繊維を得ることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造体の製造方法。
- 前記極細繊維が集合した繊維束が、数平均による繊維直径が10〜300nmであり、かつ繊維直径が10〜300nmの極細繊維の数比率が60%以上である繊維束であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維構造体の製造方法。
- 高圧流体流を噴射した後に、100℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造体の製造方法。
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