JP2009007713A - シート状物 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨布として用いた場合に砥粒を効率よく利用できると同時に、スクラッチなどの欠点の非常に少ない研磨を行うことができる、平滑性に優れた研磨布として有用なシート状物を得る。
【解決手段】(A)繊維径3μm以上の単繊維および/または繊維束径3μm以上の繊維束並びに(B)繊維径1μm以下の単繊維を有するシート状物であり、前記(A)の数平均繊維径および/または数平均繊維束径が4μm以上であり、かつ、前記シート状物を厚み方向に切断した断面において、前記(B)の少なくとも一部は(A)の間に単繊維状に分散され、かつ前記単繊維状に分散された(B)の少なくとも一部は屈曲および/または絡合により空隙を形成しており、さらに少なくとも一方の表面が前記(B)により覆われていることを特徴とするシート状物。
【選択図】図1
【解決手段】(A)繊維径3μm以上の単繊維および/または繊維束径3μm以上の繊維束並びに(B)繊維径1μm以下の単繊維を有するシート状物であり、前記(A)の数平均繊維径および/または数平均繊維束径が4μm以上であり、かつ、前記シート状物を厚み方向に切断した断面において、前記(B)の少なくとも一部は(A)の間に単繊維状に分散され、かつ前記単繊維状に分散された(B)の少なくとも一部は屈曲および/または絡合により空隙を形成しており、さらに少なくとも一方の表面が前記(B)により覆われていることを特徴とするシート状物。
【選択図】図1
Description
本発明は、眼鏡拭きなどのワイピングクロス、さらにはハードディスク、シリコンウエハ、集積回路基盤や精密機器、光学部品などの製造工程で用いられる研磨布やクリーニングテープに好適に用いることができるシート状物に関する。
ハードディスク、シリコンウエハ、集積回路基盤や精密機器、光学部品は、要求される性能がますます高度化しており、それに伴って、基板表面加工の一層の高精度化が必要となっている。ここでいう基板表面加工の高精度化とは、具体的には主として基板表面の平滑性の向上とスクラッチの低減であり、これらの問題を解決する手段として、例えば、繊維径がμmオーダーの繊維を用いて織物状としたもの(例えば、特許文献1参照)や、不織布状としたもの(例えば、特許文献2参照)からなる研磨布が提案されている。かかる細い繊維径の繊維を用いることにより、砥粒にかかる力が分散されたり、スクラッチの原因となる砥粒の凝集や研磨屑の生成が抑制される。このように、これらの技術は、上記基板加工の高精度化にある程度の効果はある。しかしながら、近年、さらなる改善が求められている。
また、さらに細い繊維とし繊維径がnmオーダーの繊維を用いた研磨布も提案されているが(例えば特許文献3)、この場合、上記、繊維径がμmオーダーの繊維を用いた場合と比較した場合、優位な改善効果は得られるものの、繊維が束状になっているため本来の繊維径の細さを十分活かしきれておらず、さらなる性能の向上が求められている。細い繊維が分散した状態のシート状物として、繊維径がnmオーダーの繊維を用いてなる合成紙が研磨材として好適に用いることができるとの報告もあるが(特許文献4)、かかる合成紙は、短い繊維の凝集によりその形態を保持しているため、研磨条件や被研磨物によっては、研磨布としての強力や耐摩耗性が不十分となる場合がある。さらに、該特許文献には、太い繊維を混抄することにより、合成紙に嵩高性を付与することができることが記載されている。しかし、かかる方法では、合成紙の嵩高性は向上するものの、太い繊維の合成紙における分布を制御できず、該太い繊維がシートの表面にも存在するため、研磨布として用いた場合には、かかる太い繊維がスクラッチを発生させる原因となる。また、かかる合成紙は、繊維を分散させた、いわゆる白液を濾過して水分を除去するという工程により製造されるため、繊維が水平方向に並んだ密な構造になりやすい。したがって、厚み方向のクッション性に乏しく、表面が硬いため、研磨布として用いた場合、被研磨物の表面にスクラッチが発生することや、十分な平滑性が得られないという欠点がある。
さらに、これまで述べてきた全ての研磨布等に共通して、研磨布の表面に繊維の隙間や微孔が存在し、実際に研磨に作用している部分は限られており、その限られた部分に研磨の荷重がかかるため、研磨により得られる被研磨物の平滑性には限界があった。
特開平11−90810号公報
特開2003−236739号公報
特開2005−329534号公報
特開2005−264420号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消することにあり、研磨布として用いた場合に、平滑性および研磨レートに優れた研磨布として有用なシート状物であり、また、汚れ除去性に優れたワイピングクロスとしても有用なシート状物を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち、
1.(A)繊維径3μm以上の単繊維および/または繊維束径3μm以上の繊維束並びに(B)繊維径1μm以下の単繊維を有するシート状物であり、前記(A)の数平均繊維径および/または数平均繊維束径が4μm以上であり、かつ、前記シート状物を厚み方向に切断した断面において、前記(B)の少なくとも一部は(A)の間に単繊維状に分散され、かつ前記単繊維状に分散された(B)の少なくとも一部は屈曲および/または絡合により空隙を形成しており、さらに少なくとも一方の表面が前記(B)により覆われていることを特徴とするシート状物。
2.前記(A)の繊維束が数平均繊維径1μm以下の単繊維からなることを特徴とする前記1に記載のシート状物。
3.光反射率が80%以上であることを特徴とする前記1または2に記載のシート状物。
4.通気度が2cc/cm2/sec以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のシート状物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のシート状物を用いてなることを特徴とする研磨布。
1.(A)繊維径3μm以上の単繊維および/または繊維束径3μm以上の繊維束並びに(B)繊維径1μm以下の単繊維を有するシート状物であり、前記(A)の数平均繊維径および/または数平均繊維束径が4μm以上であり、かつ、前記シート状物を厚み方向に切断した断面において、前記(B)の少なくとも一部は(A)の間に単繊維状に分散され、かつ前記単繊維状に分散された(B)の少なくとも一部は屈曲および/または絡合により空隙を形成しており、さらに少なくとも一方の表面が前記(B)により覆われていることを特徴とするシート状物。
2.前記(A)の繊維束が数平均繊維径1μm以下の単繊維からなることを特徴とする前記1に記載のシート状物。
3.光反射率が80%以上であることを特徴とする前記1または2に記載のシート状物。
4.通気度が2cc/cm2/sec以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のシート状物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のシート状物を用いてなることを特徴とする研磨布。
本発明のシート状物は、従来の研磨布等に用いられるシート状物に比べて、微小の空隙を繊維間に多数有し、緻密である。従って、微粒子がシート状物内部に浸透しにくく、研磨布として用いた場合に、シート状物の表面に保持される砥粒の割合が多いため、均一かつ効率の高い研磨を行うことが出来る。また、内部に微細な空間を有しているため、適度な柔軟性、クッション性を有しており、被研磨物の平滑性向上、スクラッチ低減に有利である。また、シート状物の内に太い単繊維または繊維束が存在するため、強力に優れている。
本発明のシート状物における(A)の繊維は、繊維径3μm以上かつ数平均繊維径4μm以上の単繊維あるいは繊維束径3μm以上かつ数平均繊維束径4μm以上の繊維束またはこれらの両方(以下、通常繊維および/または繊維束ということがある)を指すものである。
さらに、(B)の繊維は、繊維径1μm以下の単繊維(以下、極細繊維ということがある)を指すものである。
かかる(A)並びに(B)を有する構造体がシート状に形成されてなるものであり、さらには、シート状物を厚み方向に切断した断面において、(B)の少なくとも一部が(A)の通常繊維および/または繊維束の間に単繊維状に分散(単分散)されて存在するものである。
(A)の単繊維または繊維束は細すぎると、本発明の目的である繊維シート状物の強度向上効果が得られないため、(A)の繊維は単繊維径または繊維束径が3μm以上であり、かつ数平均繊維径または数平均繊維束径が4μm以上である必要がある。また、(A)の単繊維または繊維束は太すぎると、繊維シート状物の表面の平滑性が低下する傾向にあるため、(A)の数平均繊維径または数平均繊維束径は20μm以下であることが好ましい。また、(A)の繊維のみからなる繊維シート状物はその表面の平滑性が不十分となったり、研磨布として用いた場合に、繊維間の空隙が大きくなって砥粒の均一保持性が低下したり、砥粒にかかる研磨圧力が分散されにくくなるため、本発明に係るシート状物は、単繊維径が1μm以下である極細繊維(B)を有する必要がある。また、(B)の繊維は細すぎると、表面の耐摩耗性が低下する傾向があるため、(B)の数平均繊維径は10nm以上であることが好ましい。
なお、本発明では、単繊維径または繊維束径は、シート状物表面または断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像処理ソフト等を用いるか、印刷した写真上で直接、計測するかして求める。また、数平均繊維径または数平均繊維束径は、同様の方法で、同一表面、または断面内で無作為抽出した30本の単繊維直径または繊維束直径を測定し、その単純平均値を求め、これを数平均繊維径または数平均繊維束径とする。なお、繊維の断面が真円形でない場合は、その繊維の断面積を求め、その面積に相当する円の直径をその繊維の繊維径とする。
また、本発明でいう繊維束とは、複数の単繊維が繊維長手方向に実質的に同じ方向に揃って、かつ、実質的に隙間無く並んでいる状態の繊維集合体をいう。ここでいう、単繊維が実質的に隙間無く並んでいる状態とは、繊維集合体における繊維の横断面において、単繊維間の隙間の面積の合計が、繊維集合体の断面積の10%以下である状態をいう。なお、シート状物の横断面を切断して観察する場合、繊維同士の融着を抑えるために、シート状物を液体窒素中に浸漬して凍結させた後に、できるだけ鋭利な刃物を使用することが必要である。
なお、単繊維が非常に密に集合してなる繊維束であって、かつ、繊維束を構成する単繊維が、非常に細い場合や、比較的融点の低いポリマーで構成されている場合、例えば極細繊維束の場合は、断面を切断する際に、繊維同士が融着して繊維束内に隙間が全く見られない場合があるが、このような場合は、繊維間の隙間がゼロであると見なす。
本発明のシート状物は、(A)の通常繊維および/または繊維束が存在することにより、研磨布やワイピングクロスとして十分な強力を得ることができ、かつ、単繊維状に分散した(B)極細繊維と、通常繊維および/または繊維束が混在してなることにより、研磨布やワイピングクロスとして使用する際に、極細繊維の脱落を抑えることができる。また、かかる極細繊維の脱落をより抑える目的で、ポリウレタン等の樹脂をバインダーとして含有することもできるが、むしろ極細繊維同士は絡合や融着により固定されていることにより、スクラッチの原因となる凝集した砥粒や、研磨屑が存在したとき、繊維が動くことにより、被研磨物にかかる力を緩和することができ、その結果、平滑性の高い、スクラッチなどの欠陥の少ない研磨を行うことができるので、極細繊維は樹脂で固定されていないことが好ましい。
また、ここでいう、単繊維状に分散した繊維とは、実質的にそれぞれの単繊維がばらばらに存在している繊維をいう。本発明において、繊維が単繊維状に分散しているか否かは、以下のようにして判断する。シート状物の表面をTEMあるいはSEMで観察し、1000倍以上の倍率で拡大した画像から、1つの繊維を選び、その繊維の繊維径が2μm未満の場合は20μm以上、繊維径が2μm以上の場合は繊維径の10倍の長さ以上の長さで、他の繊維と連続して接していない場合、その繊維は単繊維状に分散しているとする。本発明においては、シート状物を厚み方向に切断した断面において見たとき、上述した(B)の極細繊維が(A)の通常繊維および/または繊維束の間に単分散状に分散していることが重要である。かかる細い繊維が単繊維状に分散していることにより、繊維の柔軟性が発揮されると同時に、シート状物の構造的な均一性も向上する。かかる、単分散した繊維の割合は多い方が好ましい。具体的には、シート状物の断面において、(A)の間に単分散している繊維の、単分散していない繊維に対する本数の割合は、10:1以上が好ましく、50:1以上がより好ましい。
また、ここでいう、単繊維状に分散した繊維とは、実質的にそれぞれの単繊維がばらばらに存在している繊維をいう。本発明において、繊維が単繊維状に分散しているか否かは、以下のようにして判断する。シート状物の表面をTEMあるいはSEMで観察し、1000倍以上の倍率で拡大した画像から、1つの繊維を選び、その繊維の繊維径が2μm未満の場合は20μm以上、繊維径が2μm以上の場合は繊維径の10倍の長さ以上の長さで、他の繊維と連続して接していない場合、その繊維は単繊維状に分散しているとする。本発明においては、シート状物を厚み方向に切断した断面において見たとき、上述した(B)の極細繊維が(A)の通常繊維および/または繊維束の間に単分散状に分散していることが重要である。かかる細い繊維が単繊維状に分散していることにより、繊維の柔軟性が発揮されると同時に、シート状物の構造的な均一性も向上する。かかる、単分散した繊維の割合は多い方が好ましい。具体的には、シート状物の断面において、(A)の間に単分散している繊維の、単分散していない繊維に対する本数の割合は、10:1以上が好ましく、50:1以上がより好ましい。
また、シート状物を厚み方向に切断した断面において見たとき、前記(A)の単繊維または繊維束の断面積が、シート状物断面積に占める割合は、少なすぎるとシート状物の強力や形態安定性が不十分となり、逆に多すぎるとシート状物の柔軟性やクッション性が不十分となるため、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。一方で、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。
また、シート状物を厚み方向に切断した断面において見たとき、これらの単繊維状に分散した繊維の少なくとも一部が、屈曲あるいは絡合、または屈曲および絡合(以下、屈曲および/または絡合ということがある)により、微小な空隙を形成していることが好ましい。かかる空隙により、本発明のシート状物に適度なクッション性を与えることができ、研磨布として使用する場合、研磨圧力の特定箇所への集中を抑制し、スクラッチを低減できるのである。前記(B)の繊維の内で、かかる、屈曲および/または絡合した繊維の割合は、以下のようにして測定する。すなわち、シート状物断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、前記(B)の単繊維の中から任意に選んだ100本の単繊維のうち、屈曲および/または絡合した単繊維の本数の割合を求めるものとする。かかる屈曲および/または絡合した繊維の割合は(B)の繊維全体の20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。
また、本発明のシート状物を構成するもう1つの要素である、(A)の繊維束は、数平均繊維径が1μm以下の単繊維からなることが好ましい。かかる細い単繊維からなる繊維束であることにより、シート状物の強力や形態安定性を十分高いものとすることができる。また、かかる、(A)の繊維束の最表面に存在する細い繊維と(A)の繊維束間に存在する(B)の単繊維状に分散した極細繊維との間に絡合が形成されることにより、(A)の繊維束と(B)の単繊維状に分散した繊維が一体化するが、この一体化によってシート状物の強力、形態安定性が向上する効果もある。かかる(A)の繊維束を構成する繊維と(B)の単繊維状に分散した繊維は、両者が一体化しやすい点から、同一の素材からなる繊維であることが好ましい。
また、単繊維の屈曲および/または絡合により形成される空隙について説明する。シート状物の中には、一般に空隙が存在するが、この空隙は以下の2種類に分類できる。1つは、繊維同士が完全に密着できないことにより生じる単なる繊維間の隙間であり、3本以上の繊維の断面に囲まれて繊維の長手方向に沿ってできる。一方、それ以外に、1本の単繊維がループを形成したり、複数の繊維の交差点により囲まれてなる空隙があり、これを本発明における単繊維の屈曲および/または絡合により形成される空隙という。上記2種類を区別する方法は以下の通りである。
すなわち、シート状物の断面をSEM等で拡大して観察すると、その横断面が観察できる繊維と、この横断面が観察されない繊維が存在する。本発明における単繊維の屈曲および/または絡合により形成される空隙とは、後者である「横断面の観察されない繊維」のみによって囲まれた空隙のことをいう。なお、ここで、横断面の観察されない繊維と横断面の観察される繊維の両方により囲まれた空隙は、本発明の目的とする、シート状物の弾力性付与の効果が低いため、単繊維の屈曲および/または絡合により形成される空隙とは見なさない。
本発明のシート状物においては、比較的太い(A)の単繊維または繊維束の間に細い(B)の単繊維が存在しており、結果としてシート状物は、従来の研磨布等に用いるシート状物に比較して、全体として大きな空隙は殆ど存在しないが、微小の空隙が多く存在する構造となっている。従って、研磨布として使用した場合、砥粒がシート状物の内部に移動せず、シート状物の表面に残るため、効率良く、かつ均一に研磨を行うことができる。かかる効果は、本発明のシート状物において、通常繊維または繊維束の間を埋めるように単繊維状に分散した極細繊維が混在することによるものである。ところで、通常、研磨は、砥粒を水等の液体に分散させたスラリーを供給しながら行うが、その場合、スラリーに含まれる液体の研磨布に対する通液性が低いと、研磨布の表面に膜状の液体の層が形成され、研磨布と被研磨物の接触が少なくなり、研磨の効率が大幅に低下する場合がある。しかしながら、本発明においては、上記微小な空隙により、スラリー中の液体を吸収・排出することができ、かかる研磨効率の低下を防ぐことが出来る。また、かかる微小な空隙が存在することにより、シート状物の柔軟性、特に厚み方向のクッション性が改善され、研磨布として用いた場合に、平滑性に優れ、スクラッチの少ない研磨を行うことが出来る。
また、本発明のシート状物は、少なくとも一方の表面が(B)の極細繊維で覆われているシート状物である必要がある。
本発明におけるシート状物の表面が(B)の極細繊維で覆われている状態は、以下の方法で判定する。まず、シート状物の表面の任意の場所をTEMあるいはSEMで観察し、画像処理ソフト等を用いるか、印刷した写真上で直接、計測するかして、無作為抽出した30本の単繊維直径を測定し、その繊維径が1μm以下であることを確認する。次に、シート状物の表面をSEMまたは光学顕微鏡で50倍の倍率で観察し、表面に実質上空隙が無いことを確認する。ここでいう、表面に実質上空隙がないというのは、上記50倍の倍率で観察して、10μm2以上の大きさの空隙が2mm角の領域内に10個以下であることをいう。
本発明においては、上記、表面を覆っている(B)の繊維は単繊維状に分散していることが好ましい。ここでいう、単繊維状に分散した繊維の定義は、上記と同じである。
また、本発明のシート状物は、光反射率が80%以上であることが好ましい。ここで光反射率が高いということは、シート状物の表層が緻密であり、かつ、細い繊維が束(バンドル)を形成せず、単分散に近い状態で開繊していることを意味している。すなわち、シート状物を研磨布として用いる場合、かかる光反射率の高い構造であることにより、研磨の際に砥粒が研磨布の内層に移動せずに表面に留まり、かつ、砥粒がしっかり繊維に把持されて凝集砥粒が少ないため、平滑性に優れた研磨を行うことができる。光反射率が80%未満の場合、上記砥粒を保持するための繊維の開繊度合いが不十分であるため、光反射率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。なお、本発明の光反射率はJIS P8152(2005年度版)で規定される、標準白色板の光反射率を100%とした場合の相対値であり、理論上、上限は無く、本発明のシート状物によっては、光反射率が100%を超える場合もある。ただ、後述のように光反射率を高めようとして繊維径を細くしすぎると、繊維が切れやすくなり、研磨が不安定になる場合もあるため、光反射率は110%以下が好ましい。かかる光反射率の高いシート状物は、表層の繊維を非常に細くし、かつ、緻密な状態で存在せしめることにより達成できる。ここで、光反射率はシート状物表面の繊維の比表面積の大きさによって決まる。即ち、比表面積が大きいほど、反射率は高くなる。本発明においては、表層は実質的に繊維のみからなり、光反射率を80%以上にするには、一見、隙間無く繊維が表層を覆っているように見える位に、緻密に、細い繊維を表層に存在させる必要がある。隙間無く繊維が表層を覆っているように見える位に、繊維を緻密に存在させるには、全ての繊維を直線状にまっすぐ並べるとよいが、そのような状態では、繊維同士を固定する力が存在しないため、形態を保つことができず、研磨布として用いることが可能なシート状物とすることができない。従って、繊維同士を交差させて織ったり、編んだり、或いは絡合させたりして、繊維間の摩擦により、形態を維持する必要がある。この繊維同士の交差点間の距離が短いほど、繊維間の距離が小さくなり、結果として光反射率を高くすることが出来る。この繊維同士の交差点間の距離は、繊維が曲がりやすいほど、小さくすることができるため、表層の繊維を細くすることが重要である。その他、繊維を強い力で曲げることによって達成することもできる。すなわち、例えば、単繊維の径を1μm以下と細くすることや、高圧流体流の力で強制的に繊維をランダムに曲げて絡合間距離を小さくする方法により、光反射率を高くすることができる。特に、高圧流体流を噴射する方法は、繊維の束をばらけさせて、単繊維状にすることにより、実質的に繊維を細くする効果もあるので、好ましい方法である。
ここで、本発明における光反射率とは、次の方法で測定した値を言う。すなわち、分光光度計を用いて380〜780nmの1nmごとに測定した反射率の平均反射率を、シート状物の任意の位置の表層部分より採取した3点のサンプルについて測定し、それらの値を単純平均して求めた反射率である。標準白色板は装置に添付のものを用いる。
また、本発明のシート状物は通気度が2cc/cm2/sec以下であることが好ましい。
ここでいう通気度はJIS L−1096(1999年度版)に規定の方法(フラジール形法)に基づき測定した値を用いる。なお、本発明のシート状物は、繊維を主体として構成されており、該シート状物内に微小な空隙が多数存在しているため、理論上は通気度はゼロとはならないが、上記JIS L−1096(1999年度版)に規定の方法では、装置の測定限界以下になる場合もある。よって、本発明においては、シート状物の通気度の下限を指定することは困難であり、実質上、ゼロが下限となる。
また、かかる通気度を測定する場合、シート状物の表面が表になるように、測定装置にセットして測定を行う。通気度が低いということは、シート状物の緻密さ、繊維間の空隙の小ささ、特に、大きな空隙が少ないことを意味している。すなわち、かかる通気度の低い構造であることにより、研磨の際に砥粒がシート状物の内層に移動せずに表面に留まり、効率の良い研磨を行うことができる。従来は研磨布として発泡ポリウレタンや、不織布にポリウレタンを含浸したもの、織編物などが用いられてきたが、これらの研磨布においては、通気度が小さいと凝集した砥粒や研磨屑を排出できないとされていた。そこで、発泡構造の孔や、繊維間の空隙を大きくして、通気度を高くする技術が知られていた(例えば、特開2001−198797号公報)が、通気度を低くして高性能の研磨布を得るという発想は存在しなかった。本発明は実質的に少なくとも一方の表面が繊維で覆われた、繊維のみの構造とすることにより、凝集砥粒や研磨屑が存在しても繊維の動く自由度が高いために過剰な荷重が分散され、大きな繊維間の空隙がなくても、スクラッチの発生を抑えられるということを見出した。
ここでいう通気度はJIS L−1096(1999年度版)に規定の方法(フラジール形法)に基づき測定した値を用いる。なお、本発明のシート状物は、繊維を主体として構成されており、該シート状物内に微小な空隙が多数存在しているため、理論上は通気度はゼロとはならないが、上記JIS L−1096(1999年度版)に規定の方法では、装置の測定限界以下になる場合もある。よって、本発明においては、シート状物の通気度の下限を指定することは困難であり、実質上、ゼロが下限となる。
また、かかる通気度を測定する場合、シート状物の表面が表になるように、測定装置にセットして測定を行う。通気度が低いということは、シート状物の緻密さ、繊維間の空隙の小ささ、特に、大きな空隙が少ないことを意味している。すなわち、かかる通気度の低い構造であることにより、研磨の際に砥粒がシート状物の内層に移動せずに表面に留まり、効率の良い研磨を行うことができる。従来は研磨布として発泡ポリウレタンや、不織布にポリウレタンを含浸したもの、織編物などが用いられてきたが、これらの研磨布においては、通気度が小さいと凝集した砥粒や研磨屑を排出できないとされていた。そこで、発泡構造の孔や、繊維間の空隙を大きくして、通気度を高くする技術が知られていた(例えば、特開2001−198797号公報)が、通気度を低くして高性能の研磨布を得るという発想は存在しなかった。本発明は実質的に少なくとも一方の表面が繊維で覆われた、繊維のみの構造とすることにより、凝集砥粒や研磨屑が存在しても繊維の動く自由度が高いために過剰な荷重が分散され、大きな繊維間の空隙がなくても、スクラッチの発生を抑えられるということを見出した。
かかる通気度の低いシート状物は、表層の繊維間の空隙を非常に小さくし、かつ緻密な状態で存在させることにより、シート状物の表層の通気度を低くすることがさらに重要であり、したがって、表層の通気度が2cc/cm2/sec以下であることが好ましい。ここでいう表層の通気度は以下のようにして測定する。
シート状物の厚さが0.3mmを超える場合は、シート状物の厚みをスライスまたはバフなどの研削により調節し、表層側のシート状物の厚さが0.3mmとなるように試料を調整し、JIS L−1096(1999年度版)に規定の方法(フラジール形法)に基づき測定した値を用いる。この場合、シート状物が損傷し、穴が開いたり、極端に薄い部分が存在しないようにしなければならない。また、シート状物の厚さが0.3mm以下の場合は上記スライスや研削は行わずにそのまま測定した通気度を表層の通気度とする。なお、後述するように、本発明のシート状物と他のシート状物、板状体、フィルムなどを複合一体化している場合は、複合した他のシート状物、板状体、フィルム等を剥離または研削等した上で、通気度を測定する。
本発明のシート状物に用いられる繊維を構成する物質としては、熱可塑性ポリマーが成型性の点から好ましい。中でもポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、より好ましい。また、後述する溶解性の異なる2以上のポリマー成分をブレンドしたものについては、少なくとも1成分を除去した後に発現する繊維となるポリマーの融点が165℃以上であると、繊維の耐熱性が良好であるため、好ましい。例えば、ポリ乳酸(PLA)は170℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)は255℃ 、ナイロン6(N6)は220℃であるため、好適に用いられる。また、ポリマーには粒子、難燃剤、帯電防止剤などの添加物を含有させていてもよい。また、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合、混合されていてもよい。
かかる繊維を製造する方法としては、特に限定されず、例えば直接極細繊維を紡糸する方法、通常繊維であって極細繊維を発生することができる繊維、いわゆる、極細繊維発生型繊維を紡糸し、次いで極細繊維を発生させる方法で製造することができる。極細繊維発生型繊維を用いる方法としては、例えば海島型繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、分割型繊維を紡糸してから分割して極細化する方法、などが挙げられる。
本発明でいう海島型繊維とは、2以上のポリマー成分を任意の段階で複合、混合して断面を海島状態とした繊維をいう。かかる繊維を得る方法としては、特に限定されず、例えば(1)2以上のポリマー成分をチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)予め2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内の静止混練器などで混合する方法、(4)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報などに記載の口金を用いて製造する方法、などが挙げられる。本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することができるが、極細繊維の細さや、後述する高圧流体流を噴射した際の極細繊維の分散性が優れる点で上記(1)および(2)の方法が好ましく、特に(2)の方法が好ましく採用される。
かかる(2)の方法において、海島型繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、また用いるポリマー成分の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性を考慮すると2〜3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。また、このときの成分比は、島繊維の海島型繊維に対する重量比として、0.1以上であることが好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。一方で、0.8以下であることが好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。0.1未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また0.8を超えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
本発明において、海成分と島成分は、海成分のみを選択的に除去するため、水、アルカリ溶液や酸性溶液、また有機溶媒、さらには超臨界流体などの溶媒に対して溶解性が異なることが重要であり、かかる溶解性の差は、他の特性に影響がない範囲において、大きければ大きいほど、海成分のみを選択的に除去できるので、工程の安定性の点で好ましい。
かかる、海成分、島成分を、混練してアロイ化したポリマーアロイ溶融体となし、これを紡糸した後、冷却固化して繊維化、さらに必要に応じて延伸・熱処理を施し、海島型繊維を得る。かかる海島型繊維の形態としては、単純な単成分からなる丸断面繊維の他にも、異種のポリマーからなる複合繊維、捲縮繊維、異形断面繊維、中空繊維、仮撚加工繊維など、短繊維からなる紡績糸、カバリング糸、強撚糸など目的に応じて適宜選択することができる。このようにして得られた海島型繊維を用いて、前述したシート状物を形成する。また、メルトブロー法や、スパンボンド法により、アロイ溶融体から海島型繊維からなる不織布を直接得ることもできる。また、海成分を除去する前後のいずれかにて0.1mm程度の長さにカットし、通常のパルプから紙を製造する方法に準じた方法によって紙を得ることもできる。
上記シート状物の製造途中あるいは製造後に海成分を除去して極細繊維を発現させる。海成分を除去する方法としては、海成分を溶解するが、島成分を実質的に溶解しないか、ほとんど溶解しない溶媒を用いて、海成分を抽出除去する方法を採用することが好ましい。特にアルカリ易分解性海成分を用いて成る極細繊維発生型繊維で短繊維不織布を作製し、次いで中性〜アルカリ性の水溶液で処理して極細化する方法は、溶剤を使用せず作業環境上好ましい。ここでいう中性〜アルカリ性の水溶液とは、pH6〜14を示す水溶液であり、使用する薬剤などは特に限定されるものではない。例えば、有機または無機塩類を含む水溶液で上記範囲のpHを示すものであればよく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。中でも水酸化ナトリウムが価格や取り扱いの容易さなどの点で好ましい。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアミンや減量促進剤、キャリアーなどを併用することもできる。さらに、シート状物に上述の中性〜アルカリ性の水溶液処理を施した後、必要に応じて中和、洗浄して残留する薬剤や分解物などを除去してから乾燥を施すことが好ましい。
本発明のシート状物は、例えば、実質的に繊維のみからなるシート状物の表面に高圧流体流を噴射し、表面の繊維を分散させて表面を覆わせしめることにより得ることができる。
ここでいう高圧流体流とは、0.1MPa以上の液体を指す。高圧流体流を噴射してシート状物に衝突させることにより、極細繊維を単分散・開繊することが目的である。かかる処理に用いる液体としては、作業性、コスト、衝突エネルギー量、効率などの点から、水が好ましい。水の中に他の成分、例えば、有機溶剤、アルカリ、酸、染料、樹脂、平滑剤、柔軟剤、シリコーン、ウレタンなどを混合した水溶液、分散液、乳化液などでもよい。ただし、一般に高圧流体流で処理を行う場合、多量の流体を必要とするため、他の成分を添加すると、排水処理の負荷が大きくなるので、できれば水単独で処理することが好ましい。かかる高圧流体の圧力は、0.1MPa以上であるが、1MPa以上が好ましい。一方で、20MPa以下とすることが好ましく、10MPa以下がさらに好ましい。圧力が低いと、上記の極細繊維の分散効果が十分でなく、圧力が高すぎると、極細繊維が処理中に脱落したり、シート状物が破断するので好ましくない。なお、ここでいう流体流の圧力とは、流体流を噴射するためのノズル内部での流体の圧力をさす。また、かかる圧力を測定するにあたっては、流体が通る配管やノズル内部での圧損を考慮し、できるだけ、流体の吐出口に近い位置で測定した圧力を、流体流の圧力とする。
ノズルから高圧流体を噴射する孔の形状としては、円あるいは、スリットを例示することができる。形状が円孔の場合の孔径は、50μm以上、好ましくは100μm以上、また700μm以下、好ましくは500μm以下の程度のものであり、シート状物の処理方向に対して、垂直または斜めに、1列または複数列設けることができる。特に、シート状物に対して、高圧流体流を均一に噴射したい場合は、孔が複数列並んだノズルを好適に用いることが出来る。また、噴射時間、回数については、任意に選択できる。複数回の処理を行う場合は、処理ごとに圧力、処理速度を変えることもできる。
ノズルから高圧流体を噴射する孔の形状としては、円あるいは、スリットを例示することができる。形状が円孔の場合の孔径は、50μm以上、好ましくは100μm以上、また700μm以下、好ましくは500μm以下の程度のものであり、シート状物の処理方向に対して、垂直または斜めに、1列または複数列設けることができる。特に、シート状物に対して、高圧流体流を均一に噴射したい場合は、孔が複数列並んだノズルを好適に用いることが出来る。また、噴射時間、回数については、任意に選択できる。複数回の処理を行う場合は、処理ごとに圧力、処理速度を変えることもできる。
なお、シート状物の密度が低いと、高圧流体流が素通りしてしまい、シート状物の繊維を分散させる効果が十分得られない場合がある。そのような場合、高圧流体流を噴射する前に、シート状物を水等に浸漬させたり、あるいは、水を散布したり、または、シート状物をプレスしたりすることにより、流体流のエネルギーがシート状物に吸収されやすくすることにより、高圧流体流による処理の効果を高めることが出来る。また、高圧流体流による処理後のシート状物の表面の平滑性を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を相対的に移動させる方法、高圧流体流による処理を行う際に、シート状物とノズルの間に金網などを挿入する方法などを採用することもできる。
また、シート状物が緻密過ぎて繊維の可動性がない場合、高圧流体流を噴射しても、繊維が動いて分散されないため、ある程度の可動性を有するシート状物に高圧流体流の噴射処理を施す必要がある。なお、シート状物が緻密な状態、例えば、ポリマーアロイチップを細孔から紡出した状態であっても、他の不織布と一体化させる目的で高圧流体流を噴射することがある。例えば、異なる2成分のポリマーアロイチップを紡出してなる海島型の繊維に、高圧流体流処理を施して他の不織布と一体化し、その後、海成分を除去して、繊維の可動性を有した状態のシート状物に再度高圧流体流処理を施すことによって繊維を分散させる方法を採ることも可能である。
かかる処理においては、シート状物の表面に均一に高圧流体流が噴射されることが好ましい。具体的には、水流が衝突したシート状物の表面の面積をシート状物の全表面積により除したカバーファクターが80%以上であることが好ましい。カバーファクターを高める方法としては、ノズルヘッドをシート状物の幅方向に揺動させたり、ノズルを千鳥上に配置させたり、パターンの異なるノズルで複数回処理することにより達成することができる。かかるカバーファクターは例えば以下の方法で計算することができる。
(1)1列に並んだ円孔を有するノズルを固定して用いる場合
円孔の直径をR、円孔のピッチ(中心の間隔)をPとすると、カバーファクターは下記の式1で求めることができる。
円孔の直径をR、円孔のピッチ(中心の間隔)をPとすると、カバーファクターは下記の式1で求めることができる。
(2)1列に並んだ円孔を有するノズルを揺動して用いる場合
円孔の直径をR、円孔のピッチ(中心の間隔)をP、シートの進行方向に対して円孔からの水流の軌跡が為す角度をθとすると、カバーファクターは下記の式2で求めることができる。
円孔の直径をR、円孔のピッチ(中心の間隔)をP、シートの進行方向に対して円孔からの水流の軌跡が為す角度をθとすると、カバーファクターは下記の式2で求めることができる。
ここで、揺動の幅をL(mm)、シートの走行速度をS(mm/秒)、揺動の周波数をC(Hz)とすると、上記式2は下記の式3で求めることができる。
(3)複数回処理を行う場合など
1列のノズルで複数回処理を行う場合は処理ごとのカバーファクターを上述の方法で求め、得られたカバーファクターの和を処理全体のカバーファクターとする。また、1つのノズルに2列、3列など、複数の列で孔が存在する場合は、それぞれの列を1回の処理と見なしてカバーファクターを求め、得られたカバーファクターの和を処理全体のカバーファクターとする。
1列のノズルで複数回処理を行う場合は処理ごとのカバーファクターを上述の方法で求め、得られたカバーファクターの和を処理全体のカバーファクターとする。また、1つのノズルに2列、3列など、複数の列で孔が存在する場合は、それぞれの列を1回の処理と見なしてカバーファクターを求め、得られたカバーファクターの和を処理全体のカバーファクターとする。
また、高圧流体の流体温度としては常温〜100℃までの任意の温度が適用可能である。シート状物は、有孔メツシュの金網や開口部のあるドラムなどに乗せ、ベルトコンベアなどの運搬方式で走行させ、連続的に処理を行なうのが好ましい。ノズルを編織物の長さ方向、あるいは幅方向に揺動させることができ、また、片面だけでなく両面処理を行うこともできる。また、同様の目的で、ノズルではなく、ベルトコンベアごとシート状物を揺動してもよい。
上記処理を施すシート状物としては、以下の編物、織物、不織布等のシート状物を使用することができる。編物としては、サテントリコット編、ゴム編、ハーフトリコット編、パイル編、平編、両面編などが代表例として挙げられるが、特にこれらに限定されない。織物としては、1重、2重、3重、多重組織の平織、綾織、朱子織など、さらには2重ビロード、単・複パイル2重ビロード、両面ビロード、チンチラ織などが代表例として挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、不織布としては、ウェブをカードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて得る乾式法や、抄紙法などによる湿式法により得られる不織布を採用することができる。また、スパンボンド法、メルトブロー法など、繊維形成とシート状物形成を同時に行う方法により得られる不織布も採用することができる。
また、強度、クッション性、厚み、保水性などを向上させる目的で、これらのシート状物と他のシート状物、板状体、フィルムなどを複合一体化した積層シート状物とすることができる。そのような場合は、研磨面とならない側の表面は実質的に繊維のみからなる必要はないため、先に例示したシート状物のみからなるものの他、ポリウレタンやメラミン系樹脂、ポリアクリル樹脂などを含有するシート状物、あるいは全く繊維を含まない樹脂板やフィルムと積層した積層シート状物とすることができる。かかる積層を行う手段としては、特に制限はないが、接着剤を用いて貼り合わせる方法や、高圧流体流あるいはニードルパンチなどの手段によりシート状物同士を絡合して一体化せしめる方法などを採用することができる。また、スパンボンド法、メルトブロー法、エレクトロスピニング法を採用する場合は、上記シート状物、樹脂等を含有するシート状物、樹脂板、フィルム上に直接、表層として不織布層を形成してもよい。
本発明のシート状物を複数の層からなる構成とし、目的に応じた特性とすることもできる。例示すると、表層の下層に、より繊維径の太い繊維からなる不織布層を配することにより、クッション性を付与することができる。また、織物を複合することにより強力を向上せしめ形態安定性を改善することができる。また、表層を親水性ポリマー、下層を疎水性ポリマーとすることにより、基板と接している表層に選択的に水分を保持させ、研磨やクリーニングの効率を向上させることができる。
上記複数のシート状物を積層する方法としては特に限定はなく、以下に例示する方法を採用することができる。例えば、複数のシート状物を積層した状態でニードルパンチや高圧流体流の噴射を行うことにより、シート状物を繊維の絡合によって一体化させる方法を採用することができる。かかる方法はバインダーを用いる必要がないため、シート状物の通気性や通液性、柔軟性を損なわず、好ましい。かかる方法を採用する場合、シート状物を構成する繊維がある程度自由に動けることが望ましいことから、シート状物としては短繊維織編物、短繊維不織布、糸長差のある複合糸を用いた長繊維織編物、ニードルパンチなどで部分的に切断された長繊維不織布などであると特に好適である。上記方法により積層して得られるシート状物の内、高圧流体流の噴射によりシート状物同士を絡合せしめて一体化して得られるシート状物は、柔軟性に優れると同時に、下層の繊維が表面に露出することがほとんどないため、好ましい態様の一つである。また、シート状物同士を接着剤を介して一体化することもできる。接着剤として特に制限はなく、一般のアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ビニル系接着剤を用いることができる。また接着剤を付与するに当たっては、接着剤をグラビアロールなどで塗布する方法、スプレーで付与する方法、接着剤を含んでなるシートを積層する方法などを採用し、適宜、圧力や熱を加えて一体化することができる。
このようにして得られた本発明のシート状物について、表面に凹部が形成されていることが本発明の好ましい態様の1つである。本発明のシート状物は表面で粒子を保持する能力が高いために、研磨布として用いた場合、凝集した砥粒や研磨屑がシート状物の表面から排出されずに残り、スクラッチなどの欠陥を生じる場合がある。そこで、シート状物の表面に凹部を形成させることにより、かかる凝集した砥粒や研磨屑が凹部内に取り込まれ、スクラッチなどの欠陥の発生を抑制することができる。
かかる凹部の形状、大きさは、砥粒の種類、スラリーの供給量、研磨布の移動速度などに合わせて適切に選択する必要がある。
例えば、凹部の形状としては、独立した円、多角形、不定形、であっても良いし、格子状、同心円状または放射線状の溝であってもかまわない。また、それぞれの凹部の一部または全部が連結していてもかまわないし、完全に独立した状態で存在していても良い。さらには、研磨布として使用する際のスラリーの供給や研磨屑の排出のために、凹部が繊維構造の端までつながっていてもかまわない。また、溝状の凹部同士が交差する形状も採用することができる。かかる凹部が表面に占める割合も適宜選択することができるが、少なすぎると本発明の効果が得られず、逆に多すぎると研磨の効率が低下するため、目的とする研磨の条件に合わせる必要があり、一般的には表面の全面積の中で凹部の占める面積割合は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、一方で80%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。また、凹部の深さについては、浅すぎると凝集砥粒や研磨屑を取り込むことができないため、1μm以上が好ましく、10μm以上がさらに好ましく、100μm以上がさらに好ましい。
また、かかる凹部はあまり小さいと本発明の効果が得られないので、凹部が円孔の場合は、直径が1mm以上であることが好ましい。また、かかる凹部はあまり大きいと研磨の圧力が均一に被研磨物に作用しないので、凹部が円孔の場合は、直径が5cm以下であることが好ましい。その他の形状の孔の場合は、上記範囲に相当する面積を有するものであることが好ましい。
また、かかる凹部はあまり小さいと本発明の効果が得られないので、凹部が円孔の場合は、直径が1mm以上であることが好ましい。また、かかる凹部はあまり大きいと研磨の圧力が均一に被研磨物に作用しないので、凹部が円孔の場合は、直径が5cm以下であることが好ましい。その他の形状の孔の場合は、上記範囲に相当する面積を有するものであることが好ましい。
かかる凹部を形成する方法としては、エンボス加工、高圧流体流の噴射処理、薬品によるエッチングなどの方法を採用することができる。
以下、エンボス加工により本発明の凹部を形成する方法について説明する。
エンボス加工とは凹凸模様を彫刻した金属製ロールと弾力性のある圧縮コットン、圧縮ペーパーもしくはゴム製などのロール間にシート状物を通してシート状物の表面に凹凸模様を形成させることをいう。本発明においては、シート状物の表面に凹部を形成させることが目的であるため、彫刻ロールの形状としては、その鏡面に凸部を有する形状のロールが好ましい。この彫刻ロールの凸部がエンボス加工されたシート状物の凹部に相当する。この凸部の平面形状は、正方形、長方形、円形、楕円形などが好ましく、その厚さ方向の断面形状としては、正方形、長方形、台形やその上部が球面状のもの、楕円形、半円形状などが好ましい。また、彫刻ロールの幅方向あるいは円周方向に連続した直線状の凸部を有する彫刻ロールを用いることにより、溝状の凹部を形成させることも可能である。また、エンボス加工と同様の効果を得る目的で、上記彫刻ロールの代わりに凹凸を有する平板、針状の突起を有するロールや平板を使用することもできる。
彫刻ロールの温度については、加工速度、シート状物の厚さ、処理回数によって最適条件を選定すれば良い。この中でエンボス加工における好ましい条件範囲を例示するならば、加工温度は、構成する繊維を構成するポリマーのうち、最も融点の低いポリマーの軟化点以上で融点より10℃低い温度以下とすることが好ましい。ロールの温度が高すぎると、繊維が激しく融着し、シート状物の表面が硬くなり、研磨布やワイピングクロスとして用いた場合にスクラッチなどの欠陥を生じやすくなるので好ましくない。また、ロール温度が低すぎる場合は、エンボス加工の効果が低く、所望の形状の凹部を形成することができないため、必要に応じてロールを加熱する必要がある(ただし、しかしながら、繊維の径が非常に小さい場合は、ロール間の圧力を高めるだけで、本発明の効果を達成できるためにロール温度は常温、すなわち、あえて加熱しなくてもかまわない)。
また、エンボス加工におけるロール間の圧力(線圧)は一般的には5〜400kg/cmであることが好ましい。ロール間の圧力が高すぎると、シート状物の表面が硬く、研磨布やワイピングクロスとして用いた場合にスクラッチなどの欠陥を生じやすくなるので好ましくなく、反対に、圧力が低すぎる場合は、エンボス加工の効果が低く、所望の形状の凹部を形成することができないため、ロール温度や加工速度、シート状物の特性に合わせて適宜選択する必要がある。また、一般的に、加工速度は0.1〜10m/分で加工、加工回数は1〜10回とすると良い。
シート状物の表面を平滑化する目的で、かかるエンボス加工と、彫刻していない鏡面ロールを用いたプレス加工を組み合わせて用いることもできる。
また、シート状物の表面に高圧流体流を噴射することにより凹部を形成することもできる。かかる方法においては高圧流体流を噴射する孔の形状、パターン、ノズルの移動方法の選択により、所望の形状の凹部を形成することがきる。
本発明のシート状物をクリーニングクロスや研磨布として水の存在下で使用する場合は、かかる凹部が水中でも形態を維持していることが重要である。かかる要求特性を満たすため、例えば表面層を形成する繊維の数平均繊維径を1μm以下、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下とすることにより、繊維自身の凝集力が高まり、凹部の形態保持性を高めることができるので好ましい。また、シート状物表面に凹部を形成させる際に、あるいは凹部を形成させた後に、熱処理を施すことも凹部の形態保持性を高める点で好ましい。かかる熱処理の温度は100℃以上、好ましくは120℃以上、さらには130℃以上が好ましい。また、繊維を構成するポリマーが溶融すると、極細繊維の特徴である柔軟性が損なわれて、研磨布やワイピングクロスとして用いた場合にスクラッチが発生するため、上記ポリマーの融点以下、好ましくは融点よりも10℃以上低い温度で処理することが好ましい。
かかる熱処理の方法は特に制限はなく、以下に例示する方法から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、温度の高い空気に曝す方法、赤外線を照射する方法、高温の水蒸気に曝す方法、熱水に浸漬する方法などを採用することができる。また、その際の装置としては、被処理物をコンベアなどで移送させる連続式乾燥機や、タンブラーなどのバッチ式の乾燥機、スチーマー、液流染色機などを例示することができる。
本発明においては、得られるシート状物の効果を損なわない範囲でウレタンなどの高分子弾性体をバインダーとして、含浸、コーティング等の手段により付与してもよい。かかる高分子弾性体としては、適宜目的とする風合い、物性、品位が得られるものを種々選択して使用することができ、例えばポリウレタン、アクリル、スチレン−ブタジエンなどが挙げられる。この中で柔軟性の点でポリウレタンを用いることが好ましい。ポリウレタンの製造方法としては、特に限定されるものではなく、従来から知られている方法、すなわち、ポリマーポリオール、ジイソシアネート、鎖伸張剤を適宜反応させて製造することができる。また、溶剤系であっても水分散系であってもよいが、作業環境の点で水分散系の方が好ましい。
高分子弾性体を含浸する際には、実質的に表面に高分子弾性体が露出しないように、十分注意する必要がある。その観点から、高分子弾性体が含まれる量は、全重量の10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。また、溶剤系高分子弾性体を用いる場合は湿式凝固法を採用し、水分散型高分子弾性体を用いる場合は、感熱凝固性のものを用いるなど、表面への高分子弾性体のマイグレーションを抑制することが好ましい。
さらに、これまで説明してきた本発明のシート状物もしくは積層シート状物に、貫通した穴を形成することもできる。かかる穴を形成することにより、凝集砥粒や研磨屑の排出が促進されたり、シート状物もしくは積層シート状物の柔軟性が向上する効果があり、好ましい。かかる穴の形状は特に制限は無く、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形等々、適宜選択し、必要に応じて選択することが出来る。また、穴の大きさは、小さすぎると凝集砥粒や研磨屑の排出の効果が現れず、反対に大きすぎると研磨レートが低下したり、研磨が不均一になることもあるため、1つの穴の面積としては、1μm2〜5cm2が好ましい。同様に、表面の中で穴の占める割合が小さすぎると、凝集砥粒や研磨屑の排出の効果が現れず、反対に大きすぎると研磨レートが低下したり、研磨が不均一になることもあるため、表面の中で穴の占める割合は面積比率で10〜50%が好ましい。
本発明によって得られるシート状物は非常に緻密であるため、表面の柔軟さに優れるとともに、微粒子の保持性も良好であるという、これまでのシート状物にない特徴を有している。そのため、例えば、眼鏡拭きなどのワイピングクロスに用いた場合、拭き取り性に優れるのみならず、対象物に傷を生じさせないという特長がある。さらにはハードディスク、シリコンウエハ、集積回路基盤や精密機器、光学部品などの製造工程で用いられる研磨布として用いる場合、砥粒を把持する効果が高いために砥粒の凝集が起こりにくいことから、スクラッチの発生を防ぎつつ、研磨のレートを高くすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.ポリマーの溶融粘度
東洋精機(株)製のキャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
東洋精機(株)製のキャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
B.融点
(株)パーキンエルマー(Perkin Elmer)製の DSC−7を用いて2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
(株)パーキンエルマー(Perkin Elmer)製の DSC−7を用いて2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
C.TEMによる繊維横断面観察
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、下記に示す透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
TEM装置 : 日立社製H−7100FA型
D.SEM観察
シート状物に白金−パラジウム合金を蒸着し、下記に示す走査型電子顕微鏡(SEM)で繊維断面を観察した。なお、シート状物の断面を観察する場合は、シート状物を液体窒素中に10分間浸漬して凍結せしめた後、取り出して直ちにシート状物を厚み方向にカミソリの刃で切断した後、上記の方法で蒸着・SEM観察を行った。
SEM装置 : 日立社製S−4000型
E.単繊維、繊維束の繊維径および数平均繊維径
上記C項のTEMまたはD項のSEMを用いて、少なくとも300本の単繊維を1視野中に観察できる倍率として観察し、観察による写真より画像処理ソフトを用いて、同視野内で無作為に抽出した300本の単繊維あるいは繊維束のそれぞれの直径を0.01μmの位まで測定した。また、数平均繊維径は、得られた値の単純な平均値を0.01μmの位まで求めて算出した。
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、下記に示す透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
TEM装置 : 日立社製H−7100FA型
D.SEM観察
シート状物に白金−パラジウム合金を蒸着し、下記に示す走査型電子顕微鏡(SEM)で繊維断面を観察した。なお、シート状物の断面を観察する場合は、シート状物を液体窒素中に10分間浸漬して凍結せしめた後、取り出して直ちにシート状物を厚み方向にカミソリの刃で切断した後、上記の方法で蒸着・SEM観察を行った。
SEM装置 : 日立社製S−4000型
E.単繊維、繊維束の繊維径および数平均繊維径
上記C項のTEMまたはD項のSEMを用いて、少なくとも300本の単繊維を1視野中に観察できる倍率として観察し、観察による写真より画像処理ソフトを用いて、同視野内で無作為に抽出した300本の単繊維あるいは繊維束のそれぞれの直径を0.01μmの位まで測定した。また、数平均繊維径は、得られた値の単純な平均値を0.01μmの位まで求めて算出した。
F.通気度
JIS L−1096(1999年度版)に規定の方法(フラジール形法)に基づき測定を行った。
JIS L−1096(1999年度版)に規定の方法(フラジール形法)に基づき測定を行った。
G. 光反射率
5cm角のサンプルを準備し、分光光度計U−3410((株)日立製作所製)にφ60積分球130−063((株)日立製作所製)および10°傾斜スペーサーを取付けた状態で380〜780nmの反射率を測定した。これを3つのサンプルで行い、560nmの値を単純平均して反射率を求めた。尚、標準白色板は装置に添付のもの((株)日立製作所製)を用いた。
5cm角のサンプルを準備し、分光光度計U−3410((株)日立製作所製)にφ60積分球130−063((株)日立製作所製)および10°傾斜スペーサーを取付けた状態で380〜780nmの反射率を測定した。これを3つのサンプルで行い、560nmの値を単純平均して反射率を求めた。尚、標準白色板は装置に添付のもの((株)日立製作所製)を用いた。
H.研磨加工特性
シート状物(シート)をスリットして38mm幅の長さのテープとし、以下の条件で研磨加工を行った。すなわち、アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、1次粒子径1〜10nmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを研磨布表面に10ml/分の供給量で滴下し、ディスク回転数300rpm、テープのディスクへの押付圧98.1kPaおよびテープ走行速度6cm/分の条件で30秒間研磨を実施した(テクスチャー加工)。
シート状物(シート)をスリットして38mm幅の長さのテープとし、以下の条件で研磨加工を行った。すなわち、アルミニウム基板にNi−Pメッキ処理した後、ポリッシング加工し平均表面粗さ0.2nmに制御したディスクを用い、1次粒子径1〜10nmのダイヤモンド結晶からなる遊離砥粒スラリーを研磨布表面に10ml/分の供給量で滴下し、ディスク回転数300rpm、テープのディスクへの押付圧98.1kPaおよびテープ走行速度6cm/分の条件で30秒間研磨を実施した(テクスチャー加工)。
JIS B0601(2001年度版)に準拠して、シュミットメジャーメントシステム社(Schmitt Measurement Systems,Inc)製TMS−2000表面粗さ測定器を用いて、テクスチャー加工後のディスク基板サンプル表面の任意の10カ所について表面粗さを測定し、10カ所の測定値を平均することにより基板表面粗さを算出した。数値が低いほど高性能であることを示す。研磨加工後の基板5枚の両面、すなわち計10表面の全領域を測定対象として、Candela5100光学表面分析計を用いて、深さ3nm以上の溝をスクラッチとし、スクラッチ点数を測定し、10表面の測定値の平均値で評価した。数値が低いほど高性能であることを示す。
[実施例1]
<不織布の製造>
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6(以下、N6)と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、2432sec−1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を45重量%とし、混練温度を220℃として溶融混練し、ポリマーアロイチップを得た。
[実施例1]
<不織布の製造>
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6(以下、N6)と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、2432sec−1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を45重量%とし、混練温度を220℃として溶融混練し、ポリマーアロイチップを得た。
なお、ポリL乳酸の重量平均分子量は以下のようにして求めた。試料のクロロホルム溶液にTHF(テトラヒドロフラン)を混合し測定溶液とした。このときのポリ乳酸の濃度は0.4重量%とした。これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。また、このポリL乳酸の215℃、1216sec−1での溶融粘度は86Pa・sであった。
このようにして得られたポリマーアロイチップを紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し、圧着率16%のエンボスロールで、温度80℃、線圧20kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度2.0dtex、目付150g/m2の長繊維不織布を得た。
<複合シートの製造>
このポリマーアロイ繊維からなる不織布に油剤(SM7060:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を繊維重量に対し2重量%付与し、1000本/cm2のパンチ本数でニードルパンチを施すことで、目付120g/m2、密度0.09g/cm3のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。この不織布を単繊維繊度0.1dtexのポリエステル短繊維からなるニードルパンチ不織布と積層した状態で0.1mmφの円孔が0.6mm間隔で開いているノズルから圧力12MPaの水流を噴射することにより上記2種類の不織布を一体化せしめ、複合シートを得た。
<複合シートの製造>
このポリマーアロイ繊維からなる不織布に油剤(SM7060:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を繊維重量に対し2重量%付与し、1000本/cm2のパンチ本数でニードルパンチを施すことで、目付120g/m2、密度0.09g/cm3のポリマーアロイ繊維からなる不織布を得た。この不織布を単繊維繊度0.1dtexのポリエステル短繊維からなるニードルパンチ不織布と積層した状態で0.1mmφの円孔が0.6mm間隔で開いているノズルから圧力12MPaの水流を噴射することにより上記2種類の不織布を一体化せしめ、複合シートを得た。
なお、処理速度は1m/分であり、ノズルはシート状物の幅方向に振幅4mmで18.6Hzで揺動させながら処理を行った。また、ノズルから噴射した水流の向きは概略、シートに対して直角になるようにした。この場合のカバーファクターは150%であった。このシート状物を3重量%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)で2時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中の海ポリマーであるポリL乳酸の99%以上を加水分解除去した。こうして得られたシートを複合シート1とする。この複合シート1をSEMで観察したところ、極細繊維が500本以上集合した繊維束を形成していた。複合シートから繊維を引き出し、繊維横断面をTEM観察することで繊維の単繊維直径(数平均繊維径)を求めたところ、110nmであった。
その後、再び、上記と同じ条件で水流を噴射し、繊維束を構成する繊維の一部を単繊維状に分散してシート状物を得た。こうして得られたシートを複合シート2とする。この複合シート2をSEMにて観察したところ、数平均繊維径110nmの繊維(B)が、単繊維状に分散した状態で、シート状物の表面の全面を隙間無く覆っていた。また、断面においては、単繊維状に分散した繊維径1μm以下(数平均繊維径110nm)の繊維(B)が絡合や屈曲による微細な空隙を形成し、かつ、繊維束径3μm以上の繊維束(A)(数平均繊維束径8.3μm)と混在している状態であった。
このシート状物の厚みは0.5mmであった。このシート状物の通気度は0.5cc/cm2/secであった。また、このシート状物の光反射率は96%であった。
このシート状物の厚みは0.5mmであった。このシート状物の通気度は0.5cc/cm2/secであった。また、このシート状物の光反射率は96%であった。
さらに、得られた複合シートをスリットして38mm幅の長さのテープとし、研磨加工特性を評価した。その結果、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.30nm、スクラッチ点数は1.1と非常に平滑性、低スクラッチ性に優れるものであった。図1に、実施例1で作成したシート状物表面のSEM写真を示す。
[実施例2]
実施例1で得られた複合シート1に、水流の圧力を1MPaとする以外は実施例1と同様の条件で水流を噴射する処理を行うことにより、2種類の不織布を一体化した。こうして得られたシートを複合シート3とする。複合シート3をSEMにて観察したところ、表面は数平均繊維径110nmの繊維(B)が、単繊維状に分散した状態で、シート状物の表面の全面を隙間無く覆っていた。また、断面においては、単繊維状に分散した繊維径1μm以下(数平均繊維径110nm)の繊維(B)が絡合や屈曲による微細な空隙を形成し、かつ、繊維束径3μm以上の繊維束(A)(数平均繊維束径15.5μm)と混在している状態であった。
[実施例2]
実施例1で得られた複合シート1に、水流の圧力を1MPaとする以外は実施例1と同様の条件で水流を噴射する処理を行うことにより、2種類の不織布を一体化した。こうして得られたシートを複合シート3とする。複合シート3をSEMにて観察したところ、表面は数平均繊維径110nmの繊維(B)が、単繊維状に分散した状態で、シート状物の表面の全面を隙間無く覆っていた。また、断面においては、単繊維状に分散した繊維径1μm以下(数平均繊維径110nm)の繊維(B)が絡合や屈曲による微細な空隙を形成し、かつ、繊維束径3μm以上の繊維束(A)(数平均繊維束径15.5μm)と混在している状態であった。
この様にして得られた複合シートをスリットして38mm幅の長さのテープとし、研磨加工特性を評価した。また、この複合シートの厚みは0.6mmであった。このシート状物の通気度は0cc/cm2/sec(測定限界以下)であった。また、このシートの反射率は97%であった。
実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.26nm、スクラッチ点数は0.9と非常に平滑性、低スクラッチ性と非常に平滑性に優れるものであった。図2に、実施例2で作成したシート状物表面のSEM写真を示す。
[実施例3]
実施例1で得られたシート状物にエンボス加工を施し、ランダムな筋状の凹部を形成した。なお、処理速度は1.5m/分であり、彫刻ロールの温度は140℃であった。エンボス後の表面には概略500μmの領域を取り巻く、深さ数μmの筋状の窪みが形成されていた。実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.27nm、スクラッチ点数は1.2と非常に平滑性、低スクラッチ性と非常に平滑性に優れるものであった。また、研磨レートは4.6mg/分と高い研磨レートが得られた。
[比較例1]
実施例1で長繊維不織布を作製にするにあたり、ポリマーアロイチップの代わりにN6のみを使用した以外は実施例1と同様の方法で長繊維不織布を作製した。次に、上記長繊維不織布を実施例1と同様の方法でポリエステル単繊維ニードルパンチ不織布と一体化した。その後、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬は行わなかった。さらに、実施例1と同様の条件で水流を噴射する処理を行った。
[実施例3]
実施例1で得られたシート状物にエンボス加工を施し、ランダムな筋状の凹部を形成した。なお、処理速度は1.5m/分であり、彫刻ロールの温度は140℃であった。エンボス後の表面には概略500μmの領域を取り巻く、深さ数μmの筋状の窪みが形成されていた。実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.27nm、スクラッチ点数は1.2と非常に平滑性、低スクラッチ性と非常に平滑性に優れるものであった。また、研磨レートは4.6mg/分と高い研磨レートが得られた。
[比較例1]
実施例1で長繊維不織布を作製にするにあたり、ポリマーアロイチップの代わりにN6のみを使用した以外は実施例1と同様の方法で長繊維不織布を作製した。次に、上記長繊維不織布を実施例1と同様の方法でポリエステル単繊維ニードルパンチ不織布と一体化した。その後、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬は行わなかった。さらに、実施例1と同様の条件で水流を噴射する処理を行った。
得られたシート状物の表面をSEMで観察し、表面に存在する繊維の繊維径を測定したところ、15.0μmであった。また、断面は、表面と同様の繊維が存在していたが、繊維径が太いため、繊維の絡合や屈曲による空隙は観察されなかった。
また、このシート状物の厚みは0.7mmであった。このシート状物の通気度は24cc/cm2/secであった。このシートの反射率は67%であった。実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.42nm、スクラッチ点数は3.1と非常に平滑性、低スクラッチ性に劣るものであった。
[実施例4]
実施例1で作製したポリマーアロイチップを用いて溶融紡糸を行い92dtex36フィラメントの高配向未延伸糸を得、さらに延伸熱処理することにより、67dtex、36フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。このポリマーアロイ繊維中、海の部分であるポリL乳酸の中で、島の部分であるN6は均一に分散しており、その数平均による直径は110nmであった。得られたポリマーアロイ繊維を用いて綾織物を作成し、3重量%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)で2時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中の海ポリマーの99%以上を加水分解除去した。こうして得られた織物を織物1とする。織物1の繊維の数平均繊維径は120nmであった。織物1に、実施例2と同様の条件で水流を噴射した。こうして得られた織物を織物2とする。織物2をSEMにて観察したところ、数平均繊維径120nmの繊維(B)が、単繊維状に分散した状態で、シート状物の表面の全面を隙間無く覆っていた。また、断面においては、単繊維状に分散した繊維径1μm以下(数平均繊維径120nm)の繊維(B)が絡合や屈曲により微細な空隙を形成し、かつ、繊維束径3μm以上の繊維束(A)(数平均繊維束径7.3μm)と混在している状態であった。図2に織物2の断面のSEM写真を、図4には同断面の高倍率のSEM写真を示す。織物2の通気度は0cc/cm2/sec(測定限界以下)であった。また織物2の光反射率は95%であった。この織物を、ポリエステルフィルム上に両面テープで貼り付け、さらにスリットして38mm幅の長さのテープとし実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.30nm、スクラッチ点数は0.7と非常に平滑性、低スクラッチ性と平滑性に優れていた。
[比較例2]
実施例4において織物2の代わりに織物1をポリエステルフィルムに貼り付けたものを用いた以外は実施例4と同様の方法で研磨を行った。この織物1をSEMにて観察したところ、表面は数平均繊維径120nmの繊維が、強固な束を形成した状態で、織物の経糸、緯糸の隙間が多数存在していた。図3に織物1の断面のSEM写真を示す。また、断面は、繊維径1μm以下(数平均繊維径120nm)の繊維の束のみが存在し、繊維が絡合や屈曲により形成される空隙は観察されなかった。織物1の通気度は33cc/cm2/secであった。また織物1の光反射率は60%であった。この織物を、ポリエステルフィルム上に両面テープで貼り付け、さらにスリットして38mm幅の長さのテープとし実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.43nm、スクラッチ点数は3.5と非常に平滑性、低スクラッチ性に劣るものであった。
[実施例4]
実施例1で作製したポリマーアロイチップを用いて溶融紡糸を行い92dtex36フィラメントの高配向未延伸糸を得、さらに延伸熱処理することにより、67dtex、36フィラメントのポリマーアロイ繊維を得た。このポリマーアロイ繊維中、海の部分であるポリL乳酸の中で、島の部分であるN6は均一に分散しており、その数平均による直径は110nmであった。得られたポリマーアロイ繊維を用いて綾織物を作成し、3重量%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)で2時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中の海ポリマーの99%以上を加水分解除去した。こうして得られた織物を織物1とする。織物1の繊維の数平均繊維径は120nmであった。織物1に、実施例2と同様の条件で水流を噴射した。こうして得られた織物を織物2とする。織物2をSEMにて観察したところ、数平均繊維径120nmの繊維(B)が、単繊維状に分散した状態で、シート状物の表面の全面を隙間無く覆っていた。また、断面においては、単繊維状に分散した繊維径1μm以下(数平均繊維径120nm)の繊維(B)が絡合や屈曲により微細な空隙を形成し、かつ、繊維束径3μm以上の繊維束(A)(数平均繊維束径7.3μm)と混在している状態であった。図2に織物2の断面のSEM写真を、図4には同断面の高倍率のSEM写真を示す。織物2の通気度は0cc/cm2/sec(測定限界以下)であった。また織物2の光反射率は95%であった。この織物を、ポリエステルフィルム上に両面テープで貼り付け、さらにスリットして38mm幅の長さのテープとし実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.30nm、スクラッチ点数は0.7と非常に平滑性、低スクラッチ性と平滑性に優れていた。
[比較例2]
実施例4において織物2の代わりに織物1をポリエステルフィルムに貼り付けたものを用いた以外は実施例4と同様の方法で研磨を行った。この織物1をSEMにて観察したところ、表面は数平均繊維径120nmの繊維が、強固な束を形成した状態で、織物の経糸、緯糸の隙間が多数存在していた。図3に織物1の断面のSEM写真を示す。また、断面は、繊維径1μm以下(数平均繊維径120nm)の繊維の束のみが存在し、繊維が絡合や屈曲により形成される空隙は観察されなかった。織物1の通気度は33cc/cm2/secであった。また織物1の光反射率は60%であった。この織物を、ポリエステルフィルム上に両面テープで貼り付け、さらにスリットして38mm幅の長さのテープとし実施例1と同様の条件でディスクを研磨したところ、研磨加工後のディスクの表面粗さは0.43nm、スクラッチ点数は3.5と非常に平滑性、低スクラッチ性に劣るものであった。
本発明のシート状物は、例えば、眼鏡拭きなどのワイピングクロス、さらにはハードディスク、シリコンウエハ、集積回路基盤や精密機器、光学部品などの製造工程で用いられる研磨布やクリーニングテープに好適に用いることができる。
(A)実施例1で作成した複合シート2内の繊維束の例
(B)実施例1で作成した複合シート2内の単繊維状に分散した繊維の例
(C)実施例1で作成した複合シート2内の単繊維不織布中の繊維の例
(D)実施例4で作成した織物2内の繊維束の例(黒い部分)
(E)実施例4で作成した織物2内の単繊維状に分散した繊維の例(白く見える部分)
(F)実施例4で作成した織物2内の繊維束の集合体
(G)実施例4で作成した織物2内の繊維束の例
(H)実施例4で作成した織物2内の単繊維状に分散した繊維及びそれらの屈曲/絡合により形成される空隙の例
(B)実施例1で作成した複合シート2内の単繊維状に分散した繊維の例
(C)実施例1で作成した複合シート2内の単繊維不織布中の繊維の例
(D)実施例4で作成した織物2内の繊維束の例(黒い部分)
(E)実施例4で作成した織物2内の単繊維状に分散した繊維の例(白く見える部分)
(F)実施例4で作成した織物2内の繊維束の集合体
(G)実施例4で作成した織物2内の繊維束の例
(H)実施例4で作成した織物2内の単繊維状に分散した繊維及びそれらの屈曲/絡合により形成される空隙の例
Claims (5)
- (A)繊維径3μm以上の単繊維および/または繊維束径3μm以上の繊維束並びに(B)繊維径1μm以下の単繊維を有するシート状物であり、前記(A)の数平均繊維径および/または数平均繊維束径が4μm以上であり、かつ、前記シート状物を厚み方向に切断した断面において、前記(B)の少なくとも一部は(A)の間に単繊維状に分散され、かつ前記単繊維状に分散された(B)の少なくとも一部は屈曲および/または絡合により空隙を形成しており、さらに少なくとも一方の表面が前記(B)により覆われていることを特徴とするシート状物。
- 前記(A)の繊維束が数平均繊維径1μm以下の単繊維からなることを特徴とする請求項1に記載のシート状物。
- 光反射率が80%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物。
- 通気度が2cc/cm2/sec以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物を用いてなることを特徴とする研磨布。
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