JP2010216039A - 布帛の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリマーアロイ繊維を紡糸操業性よく採取し、これを布帛となした後にナノファイバーを形成することで、ソフトであたかも手に吸い付くような風合いを発現する布帛の製造方法を提供する。
【解決手段】第一成分が融点230℃以下の芳香族ポリエステル、第二成分がポリ乳酸からなる二成分系ポリマーアロイ繊維を用いて布帛となした後、前記二成分系ポリマーアロイ繊維から前記ポリ乳酸を溶解除去して単繊維直径200nm以下のナノファイバーとなすことを特徴とする布帛の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】第一成分が融点230℃以下の芳香族ポリエステル、第二成分がポリ乳酸からなる二成分系ポリマーアロイ繊維を用いて布帛となした後、前記二成分系ポリマーアロイ繊維から前記ポリ乳酸を溶解除去して単繊維直径200nm以下のナノファイバーとなすことを特徴とする布帛の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ナノファイバーで構成される布帛の製法に関するものである。詳しくは、ソフトであたかも手に吸い付くような風合いを発現する布帛の製法を提供するものである。
従来から、芳香族ポリエステル成分と脂肪族ポリエステル成分とからなる分割型複合繊維を用いて布帛となした後、アルカリ水溶液を用いて分割型複合繊維から脂肪族ポリエステル成分を溶解除去して極細繊維を形成する布帛の製法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この布帛は、極細繊維により構成されるため、ソフトでしなやかな風合いを有するものである。ところが、アルカリ水溶液で溶解除去すべき成分として脂肪族ポリエステルを用いる場合、かかる脂肪族ポリエステルの融点は低く、255℃付近に融点を持つ芳香族ポリエステルと大きな差がある。このため、複合繊維と得る際、脂肪族ポリエステルが熱劣化又は熱分解し易く、紡糸操業性を著しく損ねてしまうという問題がある。また、分割型複合繊維は、通常、両成分を別々に溶融させた後、両者をノズルパック内で合流させて一本の繊維となすために、得られる極細繊維にはおのずと太さに限界がある。
そこで、ポリアミドとポリ乳酸とからなるポリマーアロイを溶融紡糸してポリマーアロイ繊維となし、次いで布帛形成後にポリ乳酸を溶解除去して、ポリアミドのナノファイバーからなる布帛を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ポリマーアロイとは、2種類以上のポリマーを分子サイズのレベルで相分離(ミクロ相分離)したものであり、単一ポリマーでは得られない各種機能を発揮する。
また、ナノファイバーとは、一般に直径がナノオーダーにある繊維をいい、分割型複合繊維から繊維形成成分の一部を溶解除去して得られる極細繊維と比べ直径が著しく細いことに特徴がある。
しかしながら、上記特許文献3に開示された布帛の場合、目的のポリマーアロイ繊維を得ようとしても、ポリアミドがポリ乳酸に比べ融点が著しく高いため、上記極細繊維のときと同じく紡糸操業性の維持に難点がある。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、ポリマーアロイ繊維を紡糸操業性よく採取し、これを布帛となした後にナノファイバーを形成することで、ソフトであたかも手に吸い付くような風合いを発現する布帛の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、芳香族ポリエステルのうち融点230℃以下のものを適用すれば、アルカリ水溶液で溶解除去すべき成分が脂肪族ポリエステルであっても両者の間には大きな融点差が生じないため、紡糸操業性よく繊維を採取でき、しかも、後に形成されるナノファイバーが芳香族ポリエステルよりなれば、布帛の機能、風合いの向上が一層期待できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、第一成分が融点230℃以下の芳香族ポリエステル、第二成分がポリ乳酸からなる二成分系ポリマーアロイ繊維を用いて布帛となした後、前記二成分系ポリマーアロイ繊維から前記ポリ乳酸を溶解除去して単繊維直径200nm以下のナノファイバーとなすことを特徴とする布帛の製造方法を要旨とするものである。
本発明によれば、紡糸操業性よく採取されたポリマーアロイ繊維を使用して布帛となし、後にナノファイバーを形成することで、ソフトであたかも手に吸い付くような風合いを発現する布帛の製法を提供することができる。また、本発明では、ナノファイバーが芳香族ポリエステルよりなるため、布帛の機能、風合の向上が一層期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、まず二成分系ポリマーアロイ繊維を用意する。かかるポリマーアロイ繊維では、第一成分に融点230℃以下の芳香族ポリエステルを、第二成分にポリ乳酸をそれぞれ適用する。
第一成分たる芳香族ポリエステルは、紡糸性、耐熱性、強度などに優れていることが好ましく、特に耐溶剤性がポリ乳酸より優れていることが好ましい。かかる芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどの他、エチレンテレフタレートとブチレンテレフタレートとを共重合したもの、又はこれらに1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、イソフタル酸、ε−カプロラクトンなどを共重合したものがあげられる。
そして、本発明における芳香族ポリエステルは、融点230℃以下である必要がある。これは、融点が230℃を超えると、繊維を紡糸する際にポリ乳酸が熱劣化又は熱分解することがあるからである。芳香族ポリエステルの融点に関し下限値は、特に限定されないが、ポリマーアロイ繊維から構成される糸条を後に仮撚加工することや、布帛を染色加工することなどを考慮すれば、130℃以上が好ましい。
一方、第二成分たるポリ乳酸としては、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸などがあげられ、特にポリ−D,L−乳酸にあって一方の成分の含有量が12モル%を超えるものは、非晶性であり、アルカリ水溶液で溶解除去されやすいので好ましい。
また、上記したポリ乳酸以外にも、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合して得るポリ乳酸ステレオコンプレックスや、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペートなどの脂肪族ポリエステルを含むポリ乳酸、又は該脂肪族ポリエステルの繰り返し単位を共重合成分として含むポリ乳酸なども有効であり、これらも本発明にいうポリ乳酸に包含される。
本発明では、上記した芳香族ポリエステル、ポリ乳酸の中から目的に応じて選択されたポリマーを第一成分及び第二成分に適用するが、このとき両ポリマー間の融点差は紡糸操業性の観点から可能な限り小さいことが好ましい。この点、本発明において推奨されるポリマーの組み合わせとしては、例えば、第一成分としてエチレンテレフタレートとブチレンテレフタレートとを同じ割合で共重合させた芳香族ポリエステルを、第二成分としてポリ−L−乳酸を適用する組み合わせがあげられる。理由としては、当該芳香族ポリエステルの融点は180℃であり、ポリ−L−乳酸の170℃と比べ融点の差が小さく、しかも当該芳香族ポリエステルがアルカリ水溶液に溶解し難いのに対し、ポリ−L−乳酸がアルカリ水溶液により容易に溶解除去されやすいことなどがあげられる。
そして、本発明では、上記の芳香族ポリエステルとポリ乳酸とを用いて二成分系ポリマーアロイ繊維となす。この繊維においては、マトリックスたるポリ乳酸の中に芳香族ポリエステルが互いに相分離するミクロ相分離構造が形成されている。
芳香族ポリエステルの含有量としては、得られるポリマーアロイ繊維100質量%に対し30質量%以上とすることが好ましい。これは、当該含有量が30質量%未満になると、後に得られるナノファイバーに多くの空隙が形成され、結果、布帛の強度が低減する傾向にあるからである。
また、ポリマーアロイ繊維には、本発明の効果を損なわない範囲で、相溶化剤、酸化防止剤、安定剤、蛍光剤、顔料、抗菌剤、消臭剤又は強化剤などが含まれていてもよい。中でも、相溶化剤を繊維に含有させることは、良好なミクロ相分離構造を形成する上で好ましい。
このようなポリマーアロイ繊維は、例えば以下のような方法により得ることができる。まず、2軸混練機などで芳香族ポリエステルとポリ乳酸とを溶融混合してポリマーアロイチップを作製する、又は2軸混練押出機を備えた紡糸装置に各チップを供給し押出機中で均一溶融混合するなどして、所定のポリマーアロイを得る。次に、これを溶融紡糸した後、横吹付や環状吹付などの従来公知の冷却装置を用いて糸条を冷却する。続いて、糸条に油剤を付与し、引き取りローラを介して未延伸糸として巻取る。そして、巻取った未延伸糸を、公知の延伸機を用いて周速の異なるローラ群間で延伸すると共に、途中必要に応じて油剤を付与するなどして、目的のポリマーアロイ繊維から構成される延伸糸を得る。
また、かかる延伸糸を得るにあたっては、紡糸、延伸を1工程で行うスピンドロー方式を採用することも、紡糸速度4000m/分程度以上の高速紡糸で一挙に延伸糸となす手段も有効である。
この他、繊維を長繊維として使用する場合は、糸条を捲き取った後、必要に応じて撚糸、仮撚加工してもよい。
一方、繊維を短繊維となすには、必要に応じてクリンパーなどで機械クリンプを付与しつつ、ECカッター、ギロチンカッターなどで所望の長さに繊維を切断すればよい。
ポリマーアロイ繊維の断面形状としては、一般に丸断面が好ましいが、目的に応じ扁平断面、三角断面、多葉断面、中空断面などを採用してもよい。
本発明におけるポリマーアロイ繊維は、一例として以上のようにして得ることができ、本発明では、その後、この繊維を用いて布帛を得る。本発明では、布帛として織物、編物、不織布などが採用される。
布帛として織物、編物を採用する場合、市販の織機、編機を用いることにより布帛となすことができる。特に織物は表面の形態が平滑であることから、本発明には好ましく採用される。採用しうる組織としては、平組織、綾組織、朱子組織などがあげられる。
また、布帛として不織布を採用する場合、カード機などを使用してポリマーアロイ繊維からなるウエブを作製し、これをニードルパンチ又は水流交絡(スパンレース)することにより、繊維を交絡させて不織布となす。この他、熱エンボスロールなどで圧熱処理する、別のバインダー繊維と混合して熱処理するなどして不織布となしてもよい。
布帛となすときは、基本的にポリマーアロイ繊維のみを使用するのが好ましいが、本発明の効果を損なわないのであれば他繊維との併用も可能である。この場合、交織、配列、混繊糸による併用が一般的であり、混率としてはタッチ、風合いの観点からポリマーアロイ繊維を布帛中に好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上含有させる。ポリマーアロイ繊維の混率が上記範囲を下回ると、結果的にナノファイバーの含有量も低下し、目的とするソフトで手に吸い付くような風合いが得難くなる。
布帛を得た後は、繊維中に含まれるポリ乳酸を溶解除去し、ナノファイバーを形成する。ポリ乳酸はアルカリ易溶性であるため、アルカリ水溶液を用いればポリ乳酸を容易に溶解除去することができる。
布帛中に形成されるナノファイバーは、一般の極細繊維に比べ直径が1/100〜1/100000程度と非常に細い。本発明では、特に単繊維直径200nm以下のナノファイバーを使用する必要があり、これにより、ソフトで手に吸い付くような風合いを発現する布帛が提供できる。
布帛が織編物の場合、一般にポリマーアロイ繊維は糸条の形態で使用されるので、ポリ乳酸を溶解除去した後も糸条の形態は残ることになる。この場合、かかる糸条のトータル繊度としては、特段制限はないものの、布帛風合いの点から10〜900dtexであることが好ましい。トータル繊度が10dtex未満になると、布帛の強度が低下する傾向にあり、一方、900dtexを超えると、布帛が重くなり、用途が限られてしまう傾向にあり、いずれも好ましくない。
以上の方法により、従来にない特異な風合いを持つ布帛を得ることができるが、布帛を得た後は、商品価値を高める目的で布帛を染色することが好ましい。この場合、染色温度としては90℃〜130℃が好ましい。90℃に満たない場合は、十分な発色性が得難く、一方、130℃を超える場合は、ナノファイバーの加水分解が進み過ぎて強力、風合いの点で不利となることがあるので、いずれも好ましくない。染色方法としては、無地染めのときは分散染料を用いて液流染色機にて染色するのが好ましい。他方、捺染の場合は染着性向上のため、印捺後に飽和蒸気のHPスチーマーを用いてスチーミングするのが好ましい。
本発明により得られる布帛は、織物、編物の場合、主として婦人衣料、紳士衣料、スポーツ衣料などに適用できる。具体的には、ブラウス、ワンピース、コート、パンツ、カジュアルシャツ、ブルゾン、ジャンパーなどに適用できる。一方、不織布の場合は、ワイピングクロスや人工皮基布などに適用できる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例及び比較例にかかる諸物性は、下記手段に準じて測定した。
1.相対粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、ポリマー濃度0.5質量%、温度20℃の条件で測定した。
2.融点
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度(ピーク温度)を融点とした。
3.単繊維の直径
布帛を1000倍に拡大し、一視野において最も太い繊維の直径が200μm以下又は200μmを超えているかを判定した。
1.相対粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、ポリマー濃度0.5質量%、温度20℃の条件で測定した。
2.融点
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度(ピーク温度)を融点とした。
3.単繊維の直径
布帛を1000倍に拡大し、一視野において最も太い繊維の直径が200μm以下又は200μmを超えているかを判定した。
(実施例1)
まず、相対粘度1.89、融点170℃のポリ−L−乳酸(ただしD体を1.3モル%含有)を57質量%、エチレンテレフタレートとブチレンテレフタレートとを同じ割合で共重合させた相対粘度1.49の芳香族ポリエステルを43質量%用いて、2軸混練機でこれらを220℃で混練しポリマーアロイチップを得た。次に、孔数850孔の丸断面複合紡糸口金を備えた紡糸装置から紡糸温度230℃、紡糸速度1100m/分なる条件で該ポリマーアロイチップを溶融紡糸し、ポリマーアロイ繊維からなる未延伸糸を得た。その後、得られた未延伸糸を延伸温度120℃、延伸倍率3.05倍なる条件で延伸し、押し込み式クリンパーで糸条に機械捲縮を与えた。そして、糸条に仕上げ油剤を付与した後、これを切断し、繊度2.8dtex、強度3.7cN/dtex、伸度45%、繊維長51mmのポリマーアロイ短繊維を得た。
まず、相対粘度1.89、融点170℃のポリ−L−乳酸(ただしD体を1.3モル%含有)を57質量%、エチレンテレフタレートとブチレンテレフタレートとを同じ割合で共重合させた相対粘度1.49の芳香族ポリエステルを43質量%用いて、2軸混練機でこれらを220℃で混練しポリマーアロイチップを得た。次に、孔数850孔の丸断面複合紡糸口金を備えた紡糸装置から紡糸温度230℃、紡糸速度1100m/分なる条件で該ポリマーアロイチップを溶融紡糸し、ポリマーアロイ繊維からなる未延伸糸を得た。その後、得られた未延伸糸を延伸温度120℃、延伸倍率3.05倍なる条件で延伸し、押し込み式クリンパーで糸条に機械捲縮を与えた。そして、糸条に仕上げ油剤を付与した後、これを切断し、繊度2.8dtex、強度3.7cN/dtex、伸度45%、繊維長51mmのポリマーアロイ短繊維を得た。
続いて、得られたポリマーアロイ短繊維をカード機で開繊し、目付80g/m2のウエブを作製した後、得られたウエブを100メッシュスクリーンからなるネットコンベアーに載置した。次いで、孔径0.12mm、孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する噴射ノズルを3段階に設けて、前段1960kPa、中段2940kPa、後段2940kPaの水圧で上記ウエブの表裏を水流交絡処理した。ウエブの構成繊維はこれにより交絡し、目付80g/m2 の不織布が得られた。
次に、水酸化ナトリウム7%水溶液を用いて、浴比1:10、温度70℃で上記不織布(試料10g)を15分間アルカリ処理し、その後、洗浄、乾燥することで目的の不織布を得た。なお、このときのアルカリ減量率は57%であり、ポリ乳酸成分がほぼ完全に溶解除去されているのが確認できた。また、得られた不織布を構成するナノファイバーの単繊維直径は200μm以下であり、当該不織布は非常にソフトで、手に吸い付くような風合いを発現するものであった。
(実施例2)
孔数24孔の丸断面複合紡糸口金を備えた紡糸装置から、実施例1で使用したポリマーアロイチップを紡糸温度230℃で溶融紡糸し、糸速900m/分で未延伸糸を巻き取った。そして、第1ホットローラー温度を90℃、第2ホットローラー温度を130℃としながら延伸倍率3.2倍で上記未延伸糸を延伸熱処理し、ポリマーアロイ繊維からなる延伸糸を得た。かかる延伸糸は、繊度56dtex24f、強度4.1cN/dtex、伸度33%、U%2.3%であった。
孔数24孔の丸断面複合紡糸口金を備えた紡糸装置から、実施例1で使用したポリマーアロイチップを紡糸温度230℃で溶融紡糸し、糸速900m/分で未延伸糸を巻き取った。そして、第1ホットローラー温度を90℃、第2ホットローラー温度を130℃としながら延伸倍率3.2倍で上記未延伸糸を延伸熱処理し、ポリマーアロイ繊維からなる延伸糸を得た。かかる延伸糸は、繊度56dtex24f、強度4.1cN/dtex、伸度33%、U%2.3%であった。
次に、この延伸糸を経緯糸に配し、幅162cm、経糸密度185本/2.54cm、緯糸密度120本/2.54cmの平織組織物を製織した。
そして、得られた生機を常法に基づき精練した後、水酸化ナトリウム2.5%水溶液を用いて液流染色機にて90℃で30分間アルカリ処理した。その後、乾燥して目的の織物を得た。なお、このときのアルカリ減量率は57%であり、ポリ乳酸成分がほぼ完全に溶解除去されているのが確認できた。また、織物中の糸条を構成するナノファイバーの単繊維直径は200μm以下であり、当該織物は非常にソフトで、手に吸い付くような風合いを発現するものであった。
(実施例3、4)
芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.50、融点218℃のポリブチレンテレフタレート(実施例3)、相対粘度1.53、融点220℃のポリプロピレンテレフタレート(実施例4)をそれぞれ適用すると共に、2軸混練機での混練を245℃で行うこと、紡糸温度を240℃とすること以外は、実施例1と同様に行い、目的の不織布を得た。
芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.50、融点218℃のポリブチレンテレフタレート(実施例3)、相対粘度1.53、融点220℃のポリプロピレンテレフタレート(実施例4)をそれぞれ適用すると共に、2軸混練機での混練を245℃で行うこと、紡糸温度を240℃とすること以外は、実施例1と同様に行い、目的の不織布を得た。
得られた不織布は、実施例1のときと同様、ソフトで手に吸い付くような風合いを発現するものであった。
(比較例1)
芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.39、融点255℃のポリエチレンテレフタレートを適用し、2軸混練機での混練を275℃で行う以外、実施例1と同様の手段でポリマーアロイチップの作製を試みた。しかしながら、ポリ−L−乳酸が熱分解し、チップが黒く変色したため、試験を取止めた。
芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.39、融点255℃のポリエチレンテレフタレートを適用し、2軸混練機での混練を275℃で行う以外、実施例1と同様の手段でポリマーアロイチップの作製を試みた。しかしながら、ポリ−L−乳酸が熱分解し、チップが黒く変色したため、試験を取止めた。
Claims (1)
- 第一成分が融点230℃以下の芳香族ポリエステル、第二成分がポリ乳酸からなる二成分系ポリマーアロイ繊維を用いて布帛となした後、前記二成分系ポリマーアロイ繊維から前記ポリ乳酸を溶解除去して単繊維直径200nm以下のナノファイバーとなすことを特徴とする布帛の製造方法。
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