JP5959906B2 - 潜在捲縮性を有する原着複合繊維 - Google Patents

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本発明は、伸縮性、柔軟性に優れた伸縮性不織布を得るのに適する、優れた潜在捲縮性を有し、かつ顔料を含有する複合繊維に関するものである。
従来から、ポリエステル繊維は、衣料用、産業資材用等種々の用途に使用されているが、中でも立体捲縮を有するポリエステル繊維は、その伸縮性を生かし、パップ剤やサポーター等の医療衛生材の基布に適した不織布の構成繊維として広く用いられている。このような伸縮性に富んだ立体捲縮を有するポリエステル繊維として、熱収縮特性の異なるポリマーをサイドバイサイドまたは偏芯芯鞘構造に複合した潜在捲縮性能を有する複合繊維が数多く提案されている。
例えば、特許文献1、2には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの複合繊維が開示されている。
また、特許文献3にはイソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BAEO)とを共重合したポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの複合繊維が開示されている。
今般、伸縮性不織布の市場においては、より厚みの薄いものが要求されており、この要求を満たすためには、伸縮性不織布の目付を下げることが容易に考えられるが、従来の潜在捲縮性複合繊維は高々2デシテックス程度であり、目付を下げただけでは膏薬が裏側に浸み出すという問題が生じる。また、伸縮性不織布の構成繊維の繊度を小さくすることにより厚みを薄くすることも考えられるが、細繊度化するに従って繊維の潜在捲縮性能は劣る傾向となるため不織布の伸縮性が劣り、また細繊度化により紡糸操業性が悪化しやすくなって、この結果、糸斑や切糸が発生しやすく、このようにして得られた糸は延伸工程で十分に延伸がなされず未延伸糸となるため、これを原料繊維として用いた不織布中には繊維の膠着物が混入してしまい品質面でも問題があった。
また、着色された複合繊維が要求される場合、染色加工したものでは、染色工程を要することによるコストアップ、工程が長くなることによる納期の長期化、また、染色工程にて発生する排水による環境への問題を有していることから、有色顔料を含有させる原着繊維が広く用いられている。例えば、特許文献4,5号公報には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を共重合したポリエステルと、有色顔料を含有したポリエチレンテレフタレートから得られたサイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維が記載されており、これらの繊維を用いた不織布が開示されている。
しかしながら、ここで示されている潜在捲縮性複合繊維は、捲縮性能に劣り不織布の伸縮性が不十分であり、また、有色顔料を含有するため、製糸時の操業性が不満足なものであった。したがって、優れた潜在捲縮能を有し、かつ操業性よく得ることができる原着複合繊維は未だに提案されていない。
特公平4−5769号公報 特公平3−10737号公報 特開平7−54216号公報 特開昭60−9914号公報 特許第2815410号公報
本発明は上記のような問題点を解決し、染色加工を必要としないで使用することができる原着複合繊維であって、優れた伸縮性、柔軟性を有する不織布を得ることができる潜在捲縮能を有する複合繊維を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、細繊度の複合繊維であっても、特定の顔料を特定のポリエステルに含有させることにより、紡糸操業性を悪化させることなく、優れた伸縮性、柔軟性を有する不織布を得ることが可能な複合繊維を得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、単糸繊度が0.8〜1.5デシテックスであり、潜在捲縮性を有し、顔料を含む原着複合繊維であって、
該複合繊維は、ポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステル(A)と、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位としてイソフタル酸0〜9mol%およびビスフェノールAのエチレンオキシド付加物5〜11mol%を共重合した共重合ポリエステル(B)とが接合して配され、
共重合ポリエステル(B)におけるイソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の合計量が10〜18mol%であり、
極限粘度は、共重合ポリエステル(B)の値がポリエステル(A)の値よりも高く、
少なくとも共重合ポリエステル(B)は白色顔料を含み、白色顔料の含有量が、ポリエステル(A)よりも共重合ポリエステル(B)が多く、
白色顔料以外の顔料を、ポリエステル(A)のみが含有し、ポリエステル(A)における白色顔料以外の顔料の含有量が0.1〜3質量%であることを特徴とする潜在捲縮性を有する原着複合繊維を要旨とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の潜在捲縮性を有する原着複合繊維(以下、単に「本発明の複合繊維」ともいう。)は、ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)とが接合して配されている。
ポリエステル(A)は、ポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルである。ホモポリマーであるポリエチレンテレフタレート(PET)を好ましく用いられるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸成分、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール成分を共重合したものでもよい。また、安定剤、蛍光剤、強化剤、難燃剤、酸化防止剤、分散剤等の改質剤が添加されたものを用いてもよい。
共重合ポリエステル(B)は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を0〜9mol%、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(BAEO)を5〜11mol%共重合し、さらにイソフタル酸とBAEOの合計量が10〜18mol%とした共重合ポリエステルである。
BAEOの共重合割合が5mol%未満であると、得られる複合繊維は潜在捲縮性能が不十分となり、このような複合繊維を不織布とした場合、伸長率や伸長回復率が小さく、伸縮性能が劣るものとなる。一方、11mol%を超えるとポリマーの融点が低下し、複合繊維を得るのが困難となり、また得られる繊維の強度が低下する。BAEOはビスフェノールA1molに対して、エチレンオキシドを2〜10mol付加したものが好ましく、さらには2〜5mol付加したものが好ましい。
また、イソフタル酸とBAEOの合計量は10〜18mol%である。合計量が10mol%未満であると、単糸繊度0.8〜1.5デシテックスという非常に繊度が小さく、細い複合繊維は潜在捲縮性能が不十分となり、この複合繊維を不織布とした場合、伸長率や伸長回復率が小さく、伸縮性能が劣るものとなる。一方、18mol%を超えるとポリマーの融点が低下し、複合繊維を得るのが困難となり、また得られる繊維の強度が低下する。
共重合ポリエステル(B)の極限粘度は、ポリエステル(A)の極限粘度よりも高い。より具体的には、ポリエステル(A)は0.50〜0.70、共重合ポリエステル(B)は0.55〜0.75の範囲とし、紡糸安定性に優れるためには、2種のポリマーの極限粘度差を0.25以下とすることが好ましく、また、後工程で十分に潜在捲縮性能を顕在化させて捲縮が発現し得る複合繊維とするためには、ポリエステル(A)の極限粘度より共重合ポリエステル(B)の極限粘度を高くする。極限粘度差が0.25より大きくなると口金直下の糸条の曲がりが大きくなり、紡糸が不安定になりやすい。ポリエステル(A)の極限粘度よりポリエステル(B)の極限粘度が低いと、潜在捲縮性能を十分に顕在化させにくい。なお、極限粘度差は少なくとも0.03程度以上であるとよい。
ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)とが接合した複合繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型や偏芯芯鞘型のものが挙げられ、断面形状は、円形断面、偏平、六葉、三角断面等の異形あるいは中空断面等のものが挙げられる。
本発明の複合繊維は、単糸繊度が0.8〜1.5デシテックスである。この範囲の単糸繊度を選択することにより、一般に使用されている単糸繊度(1.7〜4.4デシテックス程度のもの)の潜在捲縮性能を有する繊維からなる伸縮性不織布と比較して、非常に柔らかい風合いとなる。特に高圧液体流処理により繊維同士が三次元交絡した不織布の場合は、その効果が顕著である。ただし、前述したようにイソフタル酸とBAEOを特定量共重合してなる共重合ポリエステル(B)を用いることによる相乗効果でもある。なお、単糸繊度は小さいほど風合いの優れた不織布となるが、0.8デシテックスを下回ると紡糸操業性の悪化、スパイラル捲縮の発現能力が劣るものとなるため好ましくない。
本発明において、少なくとも共重合ポリエステル(B)は、白色顔料を含んでおり、その含有量は、ポリエステル(A)よりも共重合ポリエステル(B)が多い。ポリエステル(A)は白色顔料を含まなくてもよいが、含む場合は多くとも0.5質量%とする。
本発明においては、極限粘度の高い共重合ポリエステル(B)に、より多くの白色顔料を含有させることによって、複合繊維の製造工程において、紡糸時の冷却固化を遅らせ、得られる未延伸糸における伸度を高くすることができ、これによって、延伸工程で高倍率で延伸することが可能となり、より細い繊維径の繊維を安定的に生産することができる。
また、本発明の複合繊維は、白色顔料を含むことにより、繊維の重量感を増すと同時に、繊維表面に顔料である微粒子が部分的に露出することとなり、表面摩擦抵抗を下げる効果も、これらの相乗効果により、伸縮性不織布としたときに良好なドレープ感や高級感を発現することが可能となる。
本発明で使用する白色顔料は、成形、焼成等の工程を経て得られる無機材料を微粒化したものを用いるとよく、酸化チタン、酸化珪素、酸化亜鉛等の無機酸化物微粒子が代表的であり、ポリエステルとの界面における表面張力が小さく、溶融時に凝集し難いものが操業上及び品位上から好ましい。
白色顔料は、平均粒径が0.2〜2μmの範囲にあるものを用いるとよい。なお、平均粒経とは、セラミック微粒子をエチレングリコール溶液に微分散させた後、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD―2000Jを用い、体積分布基準換算、屈折率1.70〜0.20iの条件で測定するものである。平均粒径がこの範囲にある白色顔料が繊維表面に部分的に露出することにより、繊維表面の滑りがよくなる。平均粒径がこの範囲より小さいと繊維表面を改質する効果が乏しい。一方、この範囲より大きいと粒子が局部的に大きく露出してしまうため摩擦抵抗が大きくなり、さらには、粒子が局在するために、紡糸時に応力の偏りによる糸切れが発生したり、延伸時に毛羽が発生する等、操業的な問題が発生する場合がある。
白色顔料の密度は3.5g/cm以上のものを用いるとよい。密度が3.5g/cmより小さいと、繊維の密度を増す効果が乏しく、不織布としたときに良好なドレープ性や高級感を発現しにくい傾向となり、一方、密度を増すために多量に含有させ過ぎた場合は紡糸時に糸切れが発生したり、延伸、加工時に毛羽が発生する等、操業性に問題があり、好ましくない。白色顔料の密度の上限は特に限定されるものではないが、凝集によるトラブルや操業性を考慮すると、5g/cm程度がよい。
共重合ポリエステル(B)の総質量に対する白色顔料の含有量は、1.5〜8質量%、好ましくは1.5〜6質量%である。含有量が1.5質量%未満であると、重量感の付与や表面摩擦を低下する効果は乏しくなる傾向にある。一方、含有量が8質量%を超えると、紡糸、延伸時に糸切れや毛羽等が発生しやすく、品位の低下した繊維となりやすい。
白色顔料は、ポリエステルの重合時あるいは紡糸時の溶融段階で添加することが可能であるが、凝集を防ぎ、より均一に分散させることを考慮すると、重合時に添加することが好ましい。
本発明の複合繊維は、所望の色を付与するために、ポリエステル(A)のみに有色顔料を含有させる本発明において有色顔料とは、白色顔料以外の色を呈する顔料をいう。ポリエステル(A)に有色顔料を添加することにより、見かけの溶融粘度が高くなり、ポリエステル(A)とポリエステル(B)の見かけの溶融粘度差が小さくなるため、紡糸性が向上する。またポリエステル(A)としては、有色顔料を添加することにより見かけの溶融粘度を高くすることができることから低い極限粘度のものを用いることができるため、共重合ポリエステル(B)との極限粘度差をより大きく設けることができ、潜在捲縮性能がより向上することとなり好ましい。
有色顔料の含有量は、ポリエステル(A)に対して0.1〜3質量%であり、好ましくは0.5〜2質量%である。含有量が0.1質量%未満であると、所望する十分な発色が得られない。一方、含有量が3質量%を超えると、繊維製造工程における溶融紡糸を円滑に行い難くなり操業性が悪化する。
有色顔料としては、酸化鉄、カーボンブラック、弁柄、群青等の無機系顔料、シアニン系、ポリアゾ系、アンスラキノン系等の有機系顔料等が挙げられ、目的とする発色を得るためには、これらの有色顔料を適宜選定し、単独またはブレンドして使用すればよい。貼付材等の衛生材料用不織布に用いる場合は、皮膚への刺激が少ない無機系顔料を使用するのが好ましい。
有色顔料の添加方法については、ポリエステル(A)の重合段階あるいは複合繊維の製糸段階のいずれかの過程で添加すればよく、特に限定はしないが、設備の汚染、制御等取扱性から製糸段階に添加するのが好ましい。添加方法としては、マスターバッチ方式、リキッドカラー方式等が挙げられるが、溶融紡糸時の安定性、有色顔料の取扱性等より、マスターバッチ方式が好ましい。なお、マスターバッチ方式を採用する場合、原料ペレットの段階で計量混合して溶融紡糸する方法、別々に溶融させたポリマーを計量混合して紡糸する方法等が挙げられるが、いずれの方法で行ってもよい。また、マスターバッチ方式で複合繊維を得る場合、有色顔料を練り混むベースポリマーは、製糸性、潜在捲縮性能等から、着色する側のポリマーと同じ組成のポリマーを使用することが好ましい。
次に、本発明の複合繊維の製造方法について説明する。まず、上記したポリエステル(A)および共重合ポリエステル(B)を準備し、通常の複合紡糸装置により複合紡糸し、得られた未延伸糸に延伸、熱処理を施す。本発明においては、未延伸糸の繊度は特に限定されるものではなく、長繊維を得る場合には、30〜200デシテックスの糸条とし、紡績糸用や不織布用の短繊維を得る場合には、50〜100万デニールの糸束に集束してから延伸を行うことが好ましい。このとき、熱処理時の条件としては、潜在捲縮を後工程の熱処理で顕在化させるため、高温で熱処理を行うことは好ましくなく、100〜160℃で熱処理することが好ましい。また、長繊維を得る場合は、延伸、熱処理後巻き取り機で巻き取る。紡績糸用や不織布用の短繊維を得る場合には、延伸、熱処理後、8〜18個/25mm程度の機械捲縮を付与し、仕上げ油剤を付与した後、糸条束を切断して短繊維とする。
本発明の複合繊維は、熱処理によって潜在捲縮性能を顕在化してスパイラル状の立体捲縮を発現する。潜在捲縮性能を良好に顕在化させるためには、弛緩状態で熱処理することが好ましい。熱処理条件としては、例えば、160〜190℃に設定した熱風乾燥機中にて30秒〜2分間程度処理することにより良好に立体捲縮を発現させることができる。
本発明の不織布は、上記した本発明の複合繊維により構成されるものであり、本発明の複合繊維が有する特徴が活かされ、伸縮性、嵩高性および柔軟性により優れた不織布である。本発明の不織布は、本発明の複合繊維のみからなるものとすることが好ましいが、他の繊維を含有してもよく、この場合は、本発明の複合繊維の割合を70質量%以上とすることが好ましい。
本発明の不織布は、構成繊維同士が三次元的に交絡することにより不織布としての形状を保持しているものが好ましい。この構成繊維同士が三次元的に交絡してなる不織布は、多数の繊維が堆積してなる不織ウエブに高圧液体流を噴射することによって構成繊維同士を三次元的に交絡させることにより得られる。この構成繊維同士の三次元的な交絡により、形態保持性と実用上十分な強力そして柔軟性が不織布に具備される。不織布の目付は、用途に応じて適宜選択すればよいが、20〜200g/m2程度がよい。
次に、本発明の不織布の製造方法の一例を挙げる。不織布の構成繊維となる繊維(本発明の複合繊維)を、カード機等を用いてカーディングしてカードウエブを作製し、得られたカードウエブに高圧液体流処理を施して構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化し、不織布を得る。本発明の複合繊維の潜在捲縮性能を発現させるには、高圧液体流処理により不織布に含まれる液体を除去するための乾燥工程において、乾燥熱処理を施し、液体除去と同時に潜在捲縮性能を発現させてスパイラル状の立体捲縮を顕在化させるとよい。
本発明の複合繊維は、優れた潜在捲縮能を有しており、製糸性よく得ることができ、伸縮性、柔軟性に優れた不織布を得ることが可能である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における特性値等の測定法は次のとおりである。
(1)極限粘度〔η〕
フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
(2)製糸性
孔数1038孔の丸断面複合紡糸ノズルを用い、8錘で7日間紡糸し、1日当たりの糸切れ回数が5回以下を合格(○)とし、糸切れ回数が5回を越えるものを不合格(×)とした。
(3)不織布の伸縮性(伸長回復率)
25mm(機械方向と直交する方向)×150mm(機械方向)の試料片を5枚作製し、定速伸長形引張試験機を用い、つかみ間隔100mmとして、機械方向に100mm/分の速度でつかみ間隔が150mmとなるまで伸ばし、この状態で1分間保持した後、100mm/分の速度で元に戻し、3分間放置後、再び100mm/分の速度で伸ばし、荷重がかかるまでの伸びAを測定し、下記式により、それぞれの伸長回復率を算出し、その平均値を求めた。
伸長回復率%=〔(50−A)/50〕×100なお、伸長回復率が60%以上のものを合格とした。
(4)風合い
得られた不織布について10人のパネラーによる官能評価を行った。それぞれの性能について、10段階で評価(10を最も優れているものとする)させ、これらの評価値の10人の平均値を求め、以下の4段階で評価した。◎と○を合格とした。
◎ 非常に良好:平均値が8点以上
○ 良好 :平均値が6点〜8点未満
△ やや劣る :平均値が5点〜6点未満
× 劣る :平均値が5点未満
(5)不織布の品位
幅1m、長さ100mの不織布を製造し、1平方mm以上の繊維膠着による欠点を目視で確認した。欠点数が30ケ以下を合格(○)、30ケを超えるものを不合格(×)とした。
実施例1
ポリエステル(A)として、白色顔料である密度3.9g/cm、平均粒径0.7μmの二酸化チタン微粒子を重合時に添加し、二酸化チタン微粒子の含有量が0.3質量%である〔η〕0.64のポリエチレンテレフタレートを用い、そして、〔η〕0.67のポリエチレンテレフタレートをベースポリマーとして、有色顔料として、酸化鉄(レッド、イエロー)、カーボンブラックを練り込んだマスターバッチを共重合ポリエステル(A)中の有色顔料濃度が1質量%となるように混合した。
共重合ポリエステル(B)として、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸4mol%、BAEO7mol%共重合した共重合ポリエステルであって、白色顔料である密度3.9g/cm、平均粒径0.7μmの二酸化チタン微粒子を2.0質量%含有する〔η〕0.70の共重合ポリエステルを用いた。
ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)とを、複合質量比を1:1として複合溶融紡糸装置を用いて、孔数1038孔の丸断面口金孔から、紡糸温度300℃、引取速度900m/分、吐出量386g/分でサイドバイサイド型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を、延伸温度73℃、延伸倍率3.60倍に延伸し、次いで140℃で緊張熱処理を行い、スタッフィングボックスで機械捲縮(捲縮数12個/25mm)を付与した後、仕上げ油剤を付与し、繊維長44mmに切断し、単糸繊度1.3dtexの複合繊維を得た。得られた複合繊維のみを用い、カード機にて開繊し、目付70g/mの不織ウェブを作製した。この不織ウェブをネットコンベアー上に供給し、孔径0.12mm、孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する噴射ノズルを3段階に設け、前段20kg/cm、中段40kg/cm、後段100kg/cmの水圧で不織ウェブに高圧液体流処理を施しウェブの交絡化を行った。次いで180℃×1分の乾熱処理を行って潜在捲縮性能を顕在化させ、スパイラル状の立体捲縮を発現させ、不織布を得た。
実施例2〜、比較例1
ポリエステル(A)の有色顔料濃度が表1に示す値となるようにマスターバッチを添加した以外は、実施例1と同様に行った。
実施例、比較例2〜3
共重合ポリエステル(B)の共重合量が表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
実施例、比較例4〜5
複合繊維の単糸繊度を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
比較例6
ポリエステル(A)における二酸化チタン微粒子の含有量を2.0質量%、ポリエステル(B)における二酸化チタン微粒子の含有量を0.3%としたこと以外は、実施例1と同様に行った。
比較例7
ポリエステル(A)に有色顔料を添加せず、ポリエステル(B)に有色顔料を添加したこと以外は実施例1と同様に行った。
比較例8
ポリエステル(A)に二酸化チタン微粒子を2.0%、ポリエステル(B)に二酸化チタン微粒子を0.3%含有させ、ポリエステル(A)に有色顔料を添加せず、ポリエステル(B)に有色顔料(酸化鉄(レッド、イエロー)、カーボンブラック)を有色顔料濃度1質量%となるように添加したこと以外は実施例1と同様に行った。
比較例9
顔料の含有量として、ポリエステル(A)に二酸化チタン微粒子を1.0質量%、有色顔料(酸化鉄(レッド、イエロー)、カーボンブラック)を0.5質量%とし、ポリエステル(B)に二酸化チタン微粒子を1.0質量%、有色顔料(酸化鉄(レッド、イエロー)、カーボンブラック)を0.5質量%としたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
比較例10
ポリエステル(A)に有色顔料を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施し、得られた不織布をビーム染色機で染色した。染料(三菱化成社製 Dianix Blue UN-SE(1%omf))を使用し、浴比1:20、100℃で30分間染色を行った。
上記の実施例1〜、比較例1〜10で得られた複合繊維の潜在捲縮発現性、不織布の伸縮性及び製糸性の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜8では製糸性よく複合繊維を得ることができ、得られた複合繊維は優れた潜在捲縮能を有していた。さらに、この複合繊維より得られた不織布は優れた伸縮性、風合いを有するものであった。
一方、比較例1は、ポリエステル(A)中の有色顔料の含有量が多すぎたため、製糸性が悪く、不織布の品位も劣るものとなった。
比較例2は、ポリエステル(B)中のBAEO量が少なすぎたため、不織布の伸長回復率が劣るものとなった。
比較例3は、イソフタル酸とBAEOの合計共重合量が多すぎたため、製糸性が悪く、不織布の品位も劣るものとなった。
比較例4は、単糸繊度が細すぎたため、風合いは優れているが、製糸性や不織布の品位に劣るものとなった。
比較例5は、単糸繊度が太すぎたため、風合いに劣るものとなった。
比較例6は、ポリエステル(A)中に二酸化チタンを高濃度に含有させたため、未延伸糸伸度が低くなり、製糸性や不織布の品位に劣るものとなった。
比較例7〜9は、ポリエステル(B)中に有色顔料を添加したため、製糸性が悪く、品位も劣るものとなった。
比較例10は、染色による熱を受けたため二次収縮が発生し、不織布の伸長回復率が劣るものとなった。

Claims (4)

  1. 単糸繊度が0.8〜1.5デシテックスであり、潜在捲縮性を有し、顔料を含む原着複合繊維であって、
    該複合繊維は、ポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステル(A)と、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位としてイソフタル酸0〜9mol%およびビスフェノールAのエチレンオキシド付加物5〜11mol%を共重合した共重合ポリエステル(B)とが接合して配され、
    共重合ポリエステル(B)におけるイソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の合計量が10〜18mol%であり、
    極限粘度は、共重合ポリエステル(B)の値がポリエステル(A)の値よりも高く、
    少なくとも共重合ポリエステル(B)は白色顔料を含み、白色顔料の含有量が、ポリエステル(A)よりも共重合ポリエステル(B)が多く、
    白色顔料以外の顔料を、ポリエステル(A)のみが含有し、ポリエステル(A)における白色顔料以外の顔料の含有量が0.1〜3質量%であることを特徴とする潜在捲縮性を有する原着複合繊維。
  2. 共重合ポリエステル(B)における白色顔料の含有量が1.5〜8質量%、ポリエステル(A)における白色顔料の含有量が多くとも0.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の潜在捲縮性を有する原着複合繊維。
  3. 白色顔料が酸化チタンであることを特徴とする請求項1または2記載の潜在捲縮性を有する原着複合繊維。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の潜在捲縮性を有する原着複合繊維よりなることを特徴とする不織布。
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