JP2007023092A - イオン伝導性隔膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 イオン伝導性に優れるとともに膨潤性が低く、分子遮断性能にもすぐれ、また機械的性質、耐熱性、耐薬品性、物理化学的機能や耐久性にも優れるイオン伝導性隔膜を提供する。
【解決手段】 カチオン伝導性を与えるイオン交換基の濃度が0.01以上1.0meq/g以下である厚さ10ミクロン以下の緻密膜の少なくとも片側の面を、直径10nm以上1000nm以下のナノファイバー及び/又はナノチューブからなる積層帯で補強されていることを特徴とするイオン伝導性隔膜及び緻密膜がイオン交換基としてスルホン酸、カルボン酸およびリン酸のうち少なくとも一種類を含む含フッ素高分子からなることを特徴とする前記イオン伝導性隔膜。

Description

本発明は、イオン交換、食塩電気分解用イオン交換、センサー、電池、燃料電池等に用いられるカチオン伝導性隔膜に関する。
従来、食塩電気分解用のイオン交換膜や燃料電池用のイオン交換膜は、複雑かつ多段階にわたる合成経路を経て得られるスルホン酸基やカルボン酸基を含む特殊なパーフルオロビニルモノマーをテトラフルオロエチレン等と共重合させて得られるイオン交換基を有するフッ素系高分子を成膜して得ている。
しかし、一般にそれらの特殊なモノマーの合成が大変で非常に高価なものになるために、得られる機能性含フッ素高分子材料も非常に高価なものになる。また、実用的に有用なイオン伝導性を得るためには高いイオン交換基濃度を必要とし、通常1meq/g程度以上が必要とされている。
また、できるだけイオンの伝導性を高めるために、より高濃度のイオン交換基濃度を実現しようとするが、一般的には膨潤等による水素、酸素、メタノール等の分子透過性も増加し、電気分解や電池の性能の低下が避けられず、イオン伝導性能と分子遮断性能はトレードオフの関係にある解決困難な問題とされている。
燃料電池用隔膜に適用する例として、フッ素系高分子固体電解質膜の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これは耐熱性を向上させることが目的で、膜の機械的な強度の向上を図るものではない。
さらに、イオン交換基の増大は膨潤等による膜強度の低下を招き、装着時や耐久性の点で実用上の大きな問題となっている。これらを解決するために補強布との複合化や架橋など種々の補強の方法が提案されている。
例えば、含弗素系高分子に微粉状の無機化合物を均一に分散し、これを膜状物として燃料電池の電解膜とする方法(特許文献2参照)、あるいはパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜をパーフルオロカーボン重合体のテープヤーンの織布補強する方法がある(特許文献3参照)。しかし、これらは必ずしも充分な特性を実現できるものではないと考えられる。
近年センサー、電池、燃料電池等の発展は目覚しいものがあるが、それらの趨勢は小型化、薄型化であって、内部に使用されるイオン伝導性の隔膜にも小型化、薄膜化が求められているが、性能、強度や耐久性の点で必ずしもこれらの要求に応えられていないのが現状である。
特開2003−321558号公報 特開2003−77492号公報 特開平11−67246号公報
本発明は、上記のような従来技術の欠点や問題を解決し、イオン伝導性に優れるとともに膨潤性が低く、分子遮断性能にもすぐれ、また機械的性質、耐熱性、耐薬品性、物理化学的機能や耐久性にも優れるイオン伝導性隔膜を提供することを課題としている。
本発明者らは上記の課題を達成するために種々検討を重ねた結果、従来採られて来た発想を転換し、隔膜を極限まで薄膜化することにより、これまで解決困難とされてきたイオン伝導性とガス分子のクロスオーバーの相容れない要求や膨潤による機械的強度や耐久性の低下等の各種の問題を一挙に解決できるという新たな技術概念に到達したものである。
上記の技術概念の実現には、薄膜化や補強手段等に関する新たな技術要素の開発が必要であって、これらが本発明の根幹をなしている。
本発明によれば、隔膜を形成する材料は有機物あるいは無機物であっても良く、またそれらの混合物であっても良い。これらは、目的や用途に応じて選択することができる。
上記いずれの材料においても、重要なことは隔膜の厚みが機械的性質や耐久性等の観点から支障をきたさない限り、薄いことが望ましく、10ミクロン以下、好ましくは5ミクロン以下の膜厚が望ましい。
上記のごとき薄膜においては、実質的にピンホール等の欠陥がないことが重要であり、そのために用いる材料の薄膜形成性や薄膜形成の方法や環境が非常に重要である。
上記のごとき薄膜の形成には、用いる材料としてカチオン伝導性を可能にするイオン交換基等の導入が可能で、緻密な連続相を形成するものが望ましく、無機物であれば粒界や空隙欠点を生じ難い非晶質あるいは結晶質の化合物が好ましく、また有機物であれば高分子化合物が望ましい
また使用条件に耐える、化学的、熱的安定性や耐久性にすぐれるものが好ましく、例えば含フッ素高分子やカーボン等が目的や用途に応じて利用可能であり、また有用である。
これらの材料を薄膜化する手段としては、蒸着、無電解メッキ、溶液コーティング、スピンコーティング等の手段が可能であり、また有用である。
さらに、これらの薄膜にピンホール等の欠陥を減少せしめあるいは強度を高めるために、加熱、高周波加熱、架橋等の後処理も可能であり、有用であるとともに欠陥を生じる可能性のある不純物等を含まないように、当該材料の精製を行うことが望まれる。
上記のような薄膜においては、所定のイオン伝導性を実現するために、従来必要とされていたようなイオン交換基の濃度は必要とされないばかりか、かえって水素、酸素等の分子の透過を招き易く好ましくない。所謂イオン伝導性のクラスターの形成に関しても低濃度で差し支えない。
かかる観点から、イオン交換基濃度は、0.01meq/g以上1.0meq/g以下の範囲、更に好ましくは0.05meq/g以上0.50meq/gの範囲が好適であって、この範囲に満たないイオン交換基濃度では十分なカチオン伝導性を得ることが難しい。
また、この範囲を超えるイオン交換基濃度ではガス分子等のクロスオーバーや膨潤による膜強度の低下を招き易い。
薄膜基材となる含フッ素高分子材料としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロビニルエーテル等を含む高分子が有用であり、特にこれらの共重合体等のパーフルオロポリマーを含む場合には得られる機能性材料の耐熱性、耐薬品性や耐久性の点で特に有用である。
また、適宜炭化水素部位等を全体の化学的・熱的特性を損なわない範囲で導入することもできる。さらに、上記のごとき基材となるフッ素系高分子が架橋高分子を含む場合には機械的強度や耐熱性等の点で有用である。
イオン交換基としては、移動させるイオンの種類や用途・目的に応じてスルホン酸、カルボン酸あるいはリン酸等を用いることが可能であり、好適である。
これらのイオン交換基を有する緻密薄膜基材が有効に機能するための、今ひとつの重要な技術要素としての補強についても、種々の方法が考えられるが、隔膜としての性能や取り扱いに支障をきたさないことが重要である。これらのことから、極細のファイバーやチューブからなる不織布が有効かつ適切であり、特にいわゆるナノファイバーやナノチューブと呼ばれる領域のファイバーやチューブからなる不織布が望ましい。
ここに言うナノファイバーやナノチューブとは、太さが直径5ミクロン以下でアスペクト比が10以上のものを指し、断面形状は円形、楕円形、矩形あるいは異形を問わない。
これらナノファイバーやナノチューブの太さや長さは目的に応じて選択可能であるが、特に直径10nm以上1000nm以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは直径50nm以上500nmの範囲が好ましい。
この範囲よりも細い場合には充分な補強効果を発揮することが出来ず、逆にこの範囲よりも太い場合には薄膜との歪応力のバランスが取れ難く、隔膜の使用時に薄膜の損傷を招いたりする恐れがある。
補強層の厚みとしては片面補強の場合と両面補強の場合では異なるが、概ね片側で10nm以上100μ以下が好適であり、更に好ましくは100nm以上10μ以下が有用である。この範囲に満たない厚みでは補強の効果が得られ難く、逆にこの範囲を超える場合には不必要な厚みとなって、薄膜本来の機能や特徴を損なう恐れがある。
また、上記のごときいわゆるナノファイバーやナノチューブの素材としては各種物質が採用可能であるが、例えばフッ素樹脂やカーボン等が機械的強度、熱的・化学的安定性、耐久性等の補強材としての特性の観点からこのましい。また、それらがイオン伝導性薄膜基材と同様にイオン交換基等を付与されていても差し支えないし、望ましい場合もある。
上記のごとき補強された薄膜の形成方法としては各種考えられるが、例えば平滑・平坦なガラス、金属等表面エネルギーの高い材質からなる基材にイオン伝導性隔膜を形成する材料を溶液もしくは懸濁液の状態でスピンコート等の方法で薄膜コーティングし、溶媒や懸濁媒体を揮化除去した後、必要に応じて熱処理や電子線照射等の操作を施し、所定の薄膜を形成させ、場合により架橋を施し、しかる後にナノファイバーやナノチューブをその上に所定の厚み分散・積層する方法が可能であり、有効である。
さらに、必要に応じて、上記の補強された薄膜反転し、裏面にもナノファイバーやナノチューブを所定の厚み分散・積層し、両面補強膜を得ることも可能であり、有用である。
上記のナノファイバーやナノチューブの分散・積層に際し、電場等を利用して、ナノファイバーやナノチューブの形成や分散・積層等を促進する方法も可能であり、有用な場合がある。
得られた補強薄膜は隔膜として、電極間に挿入され、イオン伝導性隔膜として用いられる。燃料電池の場合には白金や白金−ルテニウム系の触媒を担持したカーボン電極の間にバインダー層を介してプロトン伝導隔膜として設置することが多い。また、食塩電気分解に用いる場合にはカーボン等の電極を設置した食塩水相と水相との間にナトリウム伝導隔膜として設置されることが多い。
本発明のカチオン伝導性隔膜は、イオン伝導における高い伝導度と選択性を両立するとともに膜の膨潤による装着や使用における破損や耐久劣化の問題を軽減でき、食塩水の電気分解による苛性ソーダと塩素の併産に有用かつ安価で耐久性に優れるイオン交換膜を提供するばかりでなく、燃料電池において従来困難とされていたプロトンの伝導性と水素や酸素等の遮断性の両立を可能とする安価で耐久性に優れる隔膜を提供し、また小型電池やセンサー等においても同様に優れた特性を発揮する隔膜を提供できるという優れた効果を有する。
次に、本発明の特徴を具体的に説明する。なお、以下の説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に含まれるものである。
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびパーフルオロビニルエーテル等からなる高分子であって、テトラフルオロエチレン単独の高分子であってもよく、またテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンおよびパーフルオロビニルエーテル等との共重合体であってもよく、側鎖にカルボン酸、スルホン酸およびリン酸もしくはその誘導体を有する高分子若しくはそれら高分子の混合物を溶媒に溶解し、あるいは媒体に分散する。
用いる溶媒や媒体は上記のような高分子やその他のイオン伝導性を示す薄膜形成材料をよく溶解もしくは分散し、均一な薄膜を形成するものが好ましく、そのような観点から、炭酸ガス等の超臨界媒体、含フッ素媒体、DMF等の極性溶媒等を適切な温度、圧力等の下で用いることが可能かつ有用である。
上記溶媒や媒体に、イオン伝導性を示す薄膜形成材料を溶解・分散した溶液もしくは分散液を平滑・平坦で表面エネルギーの高い、また好ましくは導電性のある、例えばステンレスのような基板上にスピンコート、ブレードコート等の方法により乾燥膜厚が5ミクロン以下になるように塗布したのち、厚みむらや欠陥を生じないように注意して乾燥し、薄膜を得る。さらに、得られた薄膜を加熱アニールするなどしてピンホール等の除去を行ってもよい。
得られた薄膜の上にエレクトロスプレー法等によりポリテラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やイオン交換基を有する含フッ素高分子から成る直径10nmから100nm程度のナノファイバーを厚み0.5〜2ミクロン程度積層する。
上記ナノファイバーの積層時にステンレス基板上の薄膜を適宜含水状態に保つことは、エレクトロスプレー法によるナノファイバーの積層の均一性や隔膜の装着や使用時の薄膜と補強用ファイバー間の歪の低減という観点から可能かつ有用である。
上記ナノファイバーとして、カーボンファイバーやカーボンナノチューブ等を用いることも可能であり、また、フッ素樹脂等のナノファイバーの上に更にカーボンナノファイバーを積層して補強効果を高めたり、触媒層との密着性を高めることも可能かつ有用である。
得られた片面ナノファイバーやナノチューブで補強されたイオン伝道性の薄膜を、表面が破損・欠損等を起こさないように注意して反転し、未補強の膜表面をナノファイバーやナノチューブで補強し、両面補強された隔膜を得ることも可能であり、有用である。
また、別の実施の形態として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のディスパージョンを基材にコーティングし、厚み1〜5ミクロン程度の薄膜を形成し、これを融点以上の温度に保ちながら電子線照射を施し、PTFEの架橋薄膜を調製した後、テトラフルオロエチレンモノマーと臭素やヨウ素などのハロゲンを含むフルオロカーボンなどを電子線などの放射線を用いてグラフト反応させて、ハロゲンを側鎖に導入し、当該ハロゲンを、亜硫酸ソーダなどを用いてスルフィン酸基に転換し、さらに酸化させてスルホン化するなどの手段によって架橋構造を有するカチオン伝導性の薄膜を形成し、得られた薄膜にPTFEなどのナノファイバーを積層することも可能であり、有用である。
また、フッ素系高分子材料の他に、フラーレン等の各種カーボンの薄膜を蒸着等の方法によって形成し、水酸基、カルボン酸、スルホン酸基等を導入し、カーボンナノファイバー等を積層する方法も可能であり、その他同様に蒸着等の手段によってカチオン伝導性の材料を薄膜形成し、カーボンナノファイバー等で補強することも可能であり、有用である。
燃料電池の場合には、得られた薄膜に電極を形成するペースト或いは電極と隔膜の繋ぎとなるバインダー等を塗布して実用に供するが、その際ペーストやバインダーは直接塗布しても良いし、塗布性を上げるためにナノファイバーで補強した隔膜を水、イオン性水溶液、有機溶媒等に浸漬し、加熱、減圧等を加え、適宜前処理を施すことも可能であり、また有用である。さらに、ナノファイバーとして、例えばスルホン酸基を含有するフッ素系高分子を用いることも特に混合ガス型の燃料電池の場合に有効である。
テトラフルオロエチレンと4メチル3,6ジオキサ7オクテン1スルホニルフルオライドをモル比95対5で含む共重合体を1−プロパノール(25%)、2−プロパノール(25%)および純水(45%)の混合溶液に分散し、濃度1%のディスパージョンを調製し、基材として用いる平滑・平坦なステンレス鋼板の上にスピンコーティングし、媒体を除去した後、厚さ2ミクロンの薄膜を得た後、加水分解によってスルホニルフルオライドをスルホン酸に転換する。得られた薄膜のイオン交換基濃度は0.15meq/gであった。
上記基材上の薄膜にエレクトロスプレー法によってPTFEのディスパージョンから平均直径110nmのPTFEナノファイバーを厚み3ミクロン積層し、次いで直径500nmのカーボンナノファイバーを5ミクロン積層する。
得られた片面ナノファイバーで補強した薄膜を破損等が生じないように注意して反転し、再度エレクトロスプレー法により、薄膜形成ポリマーとPTFEの混合ナノファイバーを厚み3ミクロンまで積層し、次いでカーボンナノファイバーを5ミクロン積層した両面PTFEナノファイバーとカーボンナノファイバーで補強した隔膜を得る。
得られたナノファイバー補強隔膜は十分な自己支持性と取り扱い上充分な強度を有し、水を平衡状態まで含浸させた膜のプロトン伝導性を25°C及び80°Cで測定したところ、1.0×10−2S/cm及び6.0×10−2S/cmであった。
また、水素ガス透過性を25°C及び80°Cで測定したところ、それぞれ0.25×10-9cm STP・cm/cm・cmHg・sec及び0.7×10-9cm STP・cm/cm・cmHg・secであった。さらに平衡膨潤率は5.5%であった。
得られたナノファイバー補強隔膜に、白金、ルテニウム等を担持したスルホン酸基含有フッ素高分子で処理したカーボンペーストを、スクリーン印刷法を用いて塗布したところ、良好な塗布性と密着性を示した。
比較のため、市販ナフィオン(#117)の、厚さ20ミクロンの膜の特性を測定したところ、プロトン伝導性の25°C及び80°Cの値は、1.1×10−2S/cm及び7.0×10−2S/cmであり、水素ガス透過性の25°C及び80°Cの値はそれぞれ1.7×10-9cmSTP・cm/cm・cmHg・sec及び8.5×10-9cmSTP・cm/cm・cmHg・secであった。この膜の平衡膨潤率は25.0重量%であった。
PTFEディスパージョンから厚さ3ミクロンのPTFE薄膜をアルミ板上に調製し、ついで、このPTFE塗布膜に融点以上で加熱下に電子線を照射し、架橋PTFE薄膜を調製し、得られた架橋PTFEに0°Cで電子線を再び照射してラジカルを発生させ、1,3ジブロモヘキサフルオロプロパン存在下にテトラフルオロエチレンをグラフト重合させ、テトラフルオロエチレンユニットをグラフト鎖として有し、その末端ユニットに臭素を持つ架橋PTFEフィルムを得た後、ナトリウムジサルファイト(Na)5gをDMF25mlと水12.5mlの混合溶液に溶解した溶液中80°Cで8時間反応させると、ほぼ選択的に臭素部分がスルフィン酸化され、グラフト鎖末端にスルフィン酸基を有する架橋含フッ素高分子膜が得られた。
得られた上記グラフト鎖末端にスルフィン酸基を有する主鎖およびグラフト鎖がPTFEからなる架橋含フッ素高分子膜をさらに濃硫酸に100°Cで6時間浸漬、酸化反応を行わせてスルフィン酸基のスルホン酸基への変換を行ったところ、得られたスルホン酸基含有架橋PTFEグラフト高分子膜のイオン交換基濃度は、0.08meq/gであった。
得られたイオン交換基含有薄膜に実施例1と同様の手法でPTFEと上記ポリマーのブレンドのナノファイバーを両面2重積層補強した膜を調製した。
そして、得られたナノファイバー補強隔膜は十分な自己支持性と取り扱い上充分な強度を有し、水を平衡状態まで含浸させた膜のプロトン伝導性を25°C及び80°Cで測定したところ、0.6×10−2S/cm及び3.0×10−2S/cmであった。
また、水素ガス透過性を25°C及び80°Cで測定したところ、それぞれ0.10×10-9cm STP・cm/cm・cmHg・sec及び0.2×10-9cm STP・cm/cm・cmHg・secであった。さらに平衡膨潤率は2.0重量%であった。
また、得られたナノファイバー補強隔膜にカーボンペーストを塗布した後、 白金、ルテニウム等の触媒を担持したスルホン酸基含有フッ素高分子で処理したカーボンペーストをスクリーン印刷法を用いて塗布したところ、良好な塗布性と密着性を示した。
本発明のカチオン伝導性隔膜は、イオン伝導における高い伝導度と選択性を両立するとともに膜の膨潤による装着や使用における破損や耐久劣化の問題を軽減でき、食塩水の電気分解による苛性ソーダと塩素の併産に有用かつ安価で耐久性に優れるイオン交換膜を提供するばかりでなく、燃料電池において従来困難とされていたプロトンの伝導性と水素や酸素等の遮断性の両立を可能とする安価で耐久性に優れる隔膜を提供し、また小型電池やセンサー等においても同様に優れた特性を発揮する隔膜として有用である。
このように、イオン交換、食塩電気分解用イオン交換、センサー、電池、燃料電池等に用いられるカチオン伝導性隔膜に最適である。

Claims (6)

  1. カチオン伝導性を与えるイオン交換基の濃度が0.01meq/g以上1.0meq/g以下である厚さ10ミクロン以下の緻密膜の少なくとも片側の面が、直径10nm以上1000nm以下のナノファイバー及び/又はナノチューブからなる積層帯で補強されていることを特徴とするイオン伝導性隔膜。
  2. 緻密膜がイオン交換基としてスルホン酸、カルボン酸およびリン酸のうち少なくとも一種類を含む含フッ素高分子からなることを特徴とする請求項1に記載のイオン伝導性隔膜
  3. ナノファイバーが含フッ素高分子からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン伝導性隔膜
  4. ナノファイバー又はナノチューブがカーボンからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン伝導性隔膜
  5. 両面をナノファイバー及び/又はナノチューブで補強されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイオン伝導性隔膜
  6. ナノファイバーがイオン交換基を含む含フッ素高分子からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン伝導性隔膜
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