JP2004155268A - 伸縮式ステアリングコラム装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナーコラム3を摺動自在に通挿したアウターコラム3に、ロックハウジング部5を形成し、このロックハウジング部5内に形成したシリンダー孔6内に、一対の駒部材7,8が摺動自在に嵌合してある。運転者による操作レバー15の揺動に対応して、これら一対の駒部材7,8を相互に近付けてインナーコラム3を押圧する一方、一対の駒部材7,8を相互に離間させてインナーコラム3への押圧を解除するロック機構を備えている。ロックハウジング部5のシリンダー孔6は、その断面が三角形(非円形)に形成してあると共に、一対の駒部材7,8も、これに対応して、その断面が三角形(非円形)に形成してある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングシャフトを通挿したステアリングコラムの全長を伸縮して、ステアリングホイールの車両前後方向位置を調整する伸縮式ステアリングコラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ステアリング装置において、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングシャフトを通挿したステアリングコラムの全長を伸縮して、ステアリングホイールの車両前後方向位置を調整する伸縮式ステアリングコラム装置(所謂、テレスコピック式ステアリングコラム装置)がある。
【0003】
特許文献1では、インナーコラムを摺動自在に通挿したアウターコラムに、ロックハウジング部を形成し、このロックハウジング部内に形成したシリンダー孔内に、一対の駒部材が摺動自在に嵌合してある。運転者による操作レバーの揺動に対応して、これら一対の駒部材を相互に近付けてインナーコラムを押圧する一方、一対の駒部材を相互に離間させてインナーコラムへの押圧を解除するロック機構を備えている。
【0004】
図4には、この特許文献1に係る伸縮式ステアリングコラム装置のロックハウジング部の側面が示してあり、特許文献1の場合には、ロックハウジング部aに形成したシリンダー孔bは、その断面が円形に形成してあると共に、このシリンダー孔bに摺動自在に嵌合した一対の駒部材cも、これに対応して、その断面が円形に形成してある。
【0005】
【特許文献1】
実開平6−78155号公報(実用新案登録第2588338号)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の場合には、ロックハウジング部aのシリンダー孔bの断面が円形に形成してあると共に、一対の駒部材cの断面も円形に形成してあることから、操作レバーの揺動時には、一対の駒部材cにトルクがかかると、一対の駒部材cが夫々回転してしまうことがある。
【0007】
その結果、操作レバーの揺動時に駒部材cが回転していると、テレスコピック操作時には、駒部材cがインナーコラムにかじり付くといったことがある。
【0008】
また、シリンダー孔bと駒部材cは、その断面が円形であると、駒部材cがインナーコラムを押圧する箇所では、押圧面(摩擦面)が安定せず、摩擦力による押圧力(保持力)が不安定になるといったことがある。
【0009】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、駒部材の回転を確実に阻止して、テレスコピック操作時における駒部材のインナーコラムへのかじり付きを防止すると共に、駒部材によるインナーコラムへの押圧面を増大して、押圧力(保持力)の安定化を図った伸縮式ステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る伸縮式ステアリングコラム装置は、インナーコラムを摺動自在に通挿したアウターコラムに、ロックハウジング部を形成し、当該ロックハウジング部内に形成したシリンダー孔内に、一対の駒部材を摺動自在に嵌合し、操作レバーの揺動に対応して、前記一対の駒部材を相互に近付けて前記インナーコラムを押圧する一方、前記一対の駒部材を相互に離間させて前記インナーコラムへの押圧を解除するロック機構を備えた伸縮式ステアリングコラム装置において、
前記ロックハウジング部のシリンダー孔は、その断面が非円形に形成してあると共に、前記一対の駒部材も、これに対応して、その断面が非円形に形成してあることを特徴とする。
【0011】
このように、本発明によれば、ロックハウジング部のシリンダー孔は、その断面が非円形に形成してあると共に、一対の駒部材も、これに対応して、その断面が非円形に形成してあることから、操作レバーの揺動時に、一対の駒部材にトルクがかかったとしても、一対の駒部材の回転を確実に阻止することができ、テレスコピック操作時における駒部材のインナーコラムへのかじり付きを防止することができる。
【0012】
また、シリンダー孔と駒部材は、その断面が非円形であることから、円形の場合に比べて、駒部材によるインナーコラムへの押圧面(摩擦面)を増大することができ、従って、摩擦力による押圧力(保持力)の安定化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る伸縮式ステアリングコラム装置を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る伸縮式ステアリングコラム装置の側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図3(a)は、図1に示したロックハウジングの拡大側面図であり、(b)は、変形例に係るロックハウジング部の拡大側面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、アウターコラム1は、アルミニウム材のダイキャスト成形或は合成樹脂の射出成形等により、軸方向に長い管状に形成してある。このアウターコラム1は、その両側に一体成形により突出した支持ブラケット2により、ダッシュボードの下方等に支持してある。
【0016】
アウターコラム1の内側には、軸方向に長い管状に形成したインナーコラム3が軸方向に摺動自在に挿入してある。このインナーコラム3の内側には、伸縮自在なステアリングシャフト4が回転自在に支持してある。
【0017】
図2に示すように、支持ブラケット2の下側部分には、ロックハウジング部5が一体成形により形成してある。このロックハウジング部5には、ロックハウジング部5を車幅方向に貫通するシリンダー孔6が形成してある。
【0018】
このシリンダー孔6の片半部(図2の右半部)には、第1駒部材7が摺動自在に挿入してある。第1駒部材7の中央寄りの上部には、第1傾斜面7aが形成してあり、この第1傾斜面7aは、インナーコラム3の外周面を押圧するようになっている。
【0019】
また、シリンダー孔6の他半部(図2の左半部)には、第2駒部材8が摺動自在に挿入してある。第2駒部材8の中央よりの上部には、第2傾斜面8aが形成してあり、この第2傾斜面8aは、インナーコラム3の外周面を押圧するようになっている。
【0020】
なお、第1及び第2傾斜面7a,8aは、平面でもよく、インナーコラム3の外周面に対応した曲面形状であってもよい。
【0021】
次に、これら第1及び第2駒部材7,8のロック機構は、以下のように構成してある。第1駒部材7には、雌ネジのネジ孔9が形成してある。第2駒部材8には、ネジ孔9と同心に貫通孔10が形成してある。第1駒部材7のネジ孔9と、第2駒部材9の貫通孔10とには、ネジ杆11が挿入してある。
【0022】
ネジ杆11は、一端側に、ネジ孔9に螺合する雄ネジのネジ部11aを有すると共に、他端側には、逆雄ネジの逆ネジ部11bを有している。尚、この逆ネジ部11bは、二条ネジ等、ピッチの粗いネジとしている。
【0023】
なお、ネジ杆11の一端側で、第1駒部材7の外端面から突出した部分には、ロックナット12が螺合してある。このロックナット12は、第1駒部材7の外端面に緊締して、ネジ杆11を非回転に維持している。尚、ネジ杆11の一端部外周面には、互いに平行な1対の平坦面13が形成してある。
【0024】
ネジ杆11の他端側で、第2駒部材8の外端面から突出した逆ネジ部11bには、調整ナット14が螺合してある。この調整ナット14に、操作レバー15の基端部が溶接等により結合固定してある。
【0025】
更に、第1及び第2駒部材7,8同士の間には、圧縮バネ16が挟持してある。この圧縮バネ16の付勢力により、テレスコピック調整時、両駒部材7,8同士を確実に離間させるようになっている。なお、圧縮バネ16は、必要に応じて設ければよく、必ずしも必須ではない。
【0026】
このように構成した伸縮式ステアリングコラム装置では、テレスコピック締付時、操作レバー15を一方向に揺動して、調整ナット14を一方向に回転すると、調整ナット14は、非回転のネジ杆11の逆ネジ部11bに螺合してあることから、送りネジ機構の作用により、非回転のネジ杆11には、図2の左方への引張力が作用する一方、調整ナット14には、図2の右方への反力が作用する。
【0027】
その結果、非回転のネジ杆11は、引張力により図2の左方に向けて変位し、これに伴って、第1駒部材7は、図2の左方に向けて変位する一方、第2駒部材8は、調整ナット14の反力により図2の右方に向けて変位する。従って、第1駒部材7と、第2駒部材8とが相互に近付いて、両駒部材7,8の両傾斜面7a,8aによりインナーコラム3の外周面を押圧する。これにより、テレスコピック締付することができる。
【0028】
一方、テレスコピック調整時には、操作レバー15を逆方向に揺動して、調整ナット14を逆方向に回転すると、送りネジ機構の作用により、非回転のネジ杆11には、図2の右方への押圧力が作用する一方、調整ナット14には、図2の左方への反力が作用する。
【0029】
その結果、非回転のネジ杆11は、引張力により図2の右方に向けて変位し、これに伴って、第1駒部材7は、図2の右方に向けて変位する一方、第2駒部材8は、インナーコラム3の反力により図2の左方に向けて変位する。従って、第1駒部材7と、第2駒部材8とが相互に離間して、両駒部材7,8の両傾斜面7a,8aがインナーコラム3の外周面から離れる。この時、圧縮バネ16が両駒部材7,8の離間動作を助成する。これにより、テレスコピック解除して、テレスコピック調整することができる。
【0030】
本実施の形態では、図1及び図3(a)に示すように、ロックハウジング部5のシリンダー孔6は、その断面が三角形(非円形)に形成してあると共に、一対の駒部材7,8も、これに対応して、その断面が三角形(非円形)に形成してある。
【0031】
また、シリンダー孔6と駒部材7,8は、その断面が非円形であればよく、図3(b)に示すように、四角形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
【0032】
従って、操作レバー15の揺動時に、一対の駒部材7,8にトルクがかかったとしても、一対の駒部材7,8の回転を確実に阻止することができ、テレスコピック操作時における駒部材7,8のインナーコラム3へのかじり付きを防止することができる。
【0033】
また、シリンダー孔6と駒部材7,8は、その断面が非円形であることから、円形の場合に比べて、駒部材7,8によるインナーコラム3への押圧面(摩擦面)を増大することができる。
【0034】
すなわち、図3(a)に示すように、シリンダー孔6と駒部材7,8は、その断面が三角形である場合、インナーコラム3に接触する軸方向長さが(D1)であり、図3(b)に示すように、その断面が四角形である場合、インナーコラム3に接触する軸方向長さが(D2)であり、図4に示すように、その断面が円形である場合には、インナーコラム3に接触する軸方向長さが(d)であるとすると、これら図から明らかなように、D1>dであり、D2>dである。
【0035】
従って、シリンダー孔6と駒部材7,8は、その断面が非円形であることから、円形の場合に比べて、駒部材7,8によるインナーコラム3への押圧面(摩擦面)を増大することができ、摩擦力による押圧力(保持力)の安定化を図ることができる。
【0036】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態では、テレスコピック式ステアリングコラムについて説明したが、チルト・テレスコピック式ステアリングコラムにも、本発明を適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ロックハウジング部のシリンダー孔は、その断面が非円形に形成してあると共に、一対の駒部材も、これに対応して、その断面が非円形に形成してあることから、操作レバーの揺動時に、一対の駒部材にトルクがかかったとしても、一対の駒部材の回転を確実に阻止することができ、テレスコピック操作時における駒部材のインナーコラムへのかじり付きを防止することができる。
【0038】
また、シリンダー孔と駒部材は、その断面が非円形であることから、円形の場合に比べて、駒部材によるインナーコラムへの押圧面(摩擦面)を増大することができ、従って、摩擦力による押圧力(保持力)の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る伸縮式ステアリングコラム装置の側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】(a)は、図1に示したロックハウジングの拡大側面図であり、(b)は、変形例に係るロックハウジング部の拡大側面図である。
【図4】従来に係るロックハウジング部の拡大側面図である。
【符号の説明】
1 アウターコラム
2 支持ブラケット
3 インナーコラム
4 ステアリングシャフト
5 ロックハウジング部
6 シリンダー孔
7 第1駒部材
7a 第1傾斜面
8 第2駒部材
8a 第2傾斜面
9 ネジ孔
10 貫通孔
11 ネジ杆
11a ネジ部
11b 逆ネジ部
12 ロックナット
13 平坦面
14 調整ナット
15 操作レバー
16 圧縮バネ
Claims (1)
- インナーコラムを摺動自在に通挿したアウターコラムに、ロックハウジング部を形成し、当該ロックハウジング部内に形成したシリンダー孔内に、一対の駒部材を摺動自在に嵌合し、操作レバーの揺動に対応して、前記一対の駒部材を相互に近付けて前記インナーコラムを押圧する一方、前記一対の駒部材を相互に離間させて前記インナーコラムへの押圧を解除するロック機構を備えた伸縮式ステアリングコラム装置において、
前記ロックハウジング部のシリンダー孔は、その断面が非円形に形成してあると共に、前記一対の駒部材も、これに対応して、その断面が非円形に形成してあることを特徴とする伸縮式ステアリングコラム装置。
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