JP2004153248A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法、磁気ヘッド並びに磁気再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及びその製造方法、磁気ヘッド並びに磁気再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 垂直通電型の磁気抵抗効果素子において、適当な抵抗値と、大きなMR変化量をもち、かつ磁気的に高感度となるようなスピンバルブ膜を磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
【解決手段】 磁化方向が一方向に固着された第1の強磁性体膜を含む磁化固着層(4)と、磁化方向が外部磁界に対応して変化する第2の強磁性体膜を含む磁化自由層(6)と、前記磁化固着層と前記磁化自由層との間に設けられた中間層と、を有する磁気抵抗効果膜を備え、前記中間層は、相分離層(9)を含み、前記相分離層は、2種類以上の元素からなる合金の相分離により形成された第1及び第2の相を有し、前記第1の相(9A)と前記第2の相(9B)との電気抵抗の差による電流狭窄効果を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子及びその製造方法、磁気ヘッド並びに磁気再生装置に関し、より詳細には、磁気抵抗効果膜の膜面に対して垂直方向にセンス電流を流す構造の磁気抵抗効果素子及びその製造方法、およびこれを用いた磁気ヘッド並びに磁気再生装置に関する。
近年、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)の磁気記録密度は飛躍的に向上しているが、更なる高記録密度化が望まれている。高記録密度化に伴う記録ビットサイズの微小化により、従来の薄膜ヘッドでは再生感度が不充分となり、現在では磁気抵抗効果(MagnetoResistive effect)を利用した磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)が主流となっている。その中でも、特に大きな磁気抵抗効果を示すものとして、スピンバルブ(spin-valve)型巨大磁気抵抗効果型ヘッド(SVGMRヘッド)が注目されている。
図29は、スピンバルブ膜の概略断面構造を例示する概念図である。すなわち、スピンバルブ膜100は、強磁性層F、非磁性層S、強磁性層P及び反強磁性層Aをこの順に積層した構成を有する。非磁性層Sを挟んで、磁気的に非結合な状態にある2つの強磁性層F、Pのうち、一方の強磁性層Pは反強磁性体Aを用いた交換バイアス等により磁化を固着しておき、もう片方の強磁性層Fは外部磁界(信号磁界等)により容易に磁化回転できるようにされている。そして、外部磁場によって強磁性層Fの磁化のみを回転させ、2つの強磁性層P、Fの磁化方向の相対的な角度を変化させ、大きな磁気抵抗効果を得ることができる(例えば、非特許文献1参照。)。
ここで、強磁性層Fは、「フリー層」、「磁場感受層」あるいは「磁化自由層」などと称され、強磁性層Pは、「ピン層」あるいは「磁化固着層」などと称され、非磁性層Sは、「スペーサ層」、「磁気結合遮断層」などと称される場合が多い。
スピンバルブ膜は、低磁場でも、フリー層すなわち強磁性層Fの磁化を回転させることができるため、高感度化が可能であり、MRヘッド用のMR素子に適している。
このようなスピンバルブ素子に対しては、磁界による抵抗の変化を検出するために「センス電流」を流す必要がある。
このために、センス電流を膜面に対して平行に流し、膜面平行方向の抵抗を測定する方式が一般に用いられている。この方法は一般に「CIP(current-in-plane)」方式と呼ばれている。
CIP方式の場合、MR変化率としては10乃至20%程度の値を得ることが可能となっている。また、現在一般に用いられているシールドタイプのMRヘッドでは、スピンバルブ素子はほぼ正方形に近い平面形状で用いられるため、MR素子の抵抗は、ほぼMR膜の面電気抵抗値に等しくなる。このため、CIP方式のスピンバルブ膜では、面電気抵抗値を5乃至30Ωにすることにより良好なS/N特性を得ることが可能となる。この程度の抵抗値は、スピンバルブ膜全体の膜厚を薄くすることによって、比較的簡単に実現することができる。これらの利点から、現時点ではCIP方式のスピンバルブ膜がMRヘッド用のMR素子として一般的に用いられている。
一方、30%を越えるような大きなMRを得る方法として、磁性体と非磁性対を積層した人工格子において膜面に垂直方向(current perpendicular to plane:CPP)にセンス電流を流す形式の磁気抵抗効果素子(以下、「CPP型人工格子」と称する)が提案されている。
CPP型人工格子型の磁気抵抗効果素子では、強磁性層と非磁性層とを交互に積層した人工格子の上下に電極がそれぞれ設けられ、センス電流が膜面に対して垂直方向に流れる。この構成では、センス電流が、磁性層/非磁性層界面を横切る確率が高くなるため、良好な界面効果を得ることが可能となり大きなMR変化率が得られることが知られている。
しかし一方で、MR素子をMRヘッドに用いる場合には、磁性層の磁化の制御を行い、効率よく外部磁場の計測を行えるようにしながら、同時にバルクハウゼンノイズ等が発生しないように、各磁性層を単磁区化することが必要となってくる。しかし、上述したように、CPP型のMR素子では抵抗値を稼ぐために磁性層と非磁性層を交互に何度も積層する必要があり、そのような多くの磁性層に対して、個別に磁化の制御を行うことは技術上非常に困難となっている。
一方、FeMn/NiFe/Cu/NiFe、FeMn/CoFe/Cu/CoFe等を用いたスピンバルブ構造においてCPP方式を採用することも考えられる。
すなわち、スピンバルブ構造を有する積層膜に対して、膜面に垂直方向にセンス電流を流す。しかし、人工格子タイプに比べてピン層とフリー層の数が大幅に減るために、抵抗値がさらに低下してしまうこと、また抵抗変化率も低下してしまう。
この点に関して、絶縁体と導電体との混合物より成る非磁性膜を挿入した磁気抵抗効果素子が提案されている(特許文献1参照。)。
特許文献1の図1には、導電体Cを絶縁体Iが取り巻く構造を有する非磁性膜が挿入されたCPP型の磁気抵抗効果素子が記載されている。しかしながら、このような非磁性膜の具体例として同公報に記載されているものは、AlとCuの複合ターゲットを用いて非磁性膜を2ナノメートルまたは5ナノメートルの厚みに蒸着する、という実施例のみであり、具体的にどのような構造の非磁性膜ができるのか不明であった。
Phys.Rev.B.,Vol.45, 806(1992), J. Appl. Phys. Vol.69, 4774(1991) 特許第3293437号公報
以上説明したように、CIP型のスピンバルブ膜、CPP型の人工格子、CPP型のスピンバルブなど、様々な構造が提案されている。しかしながら、現在磁気記録密度は、年率60%以上の上昇を続けており、今後更なる出力増大が求められている。しかし、現時点では100Gbit/inch2 を超えるような高記録密度で用いることができる、適当な抵抗値と、大きなMR変化量をもち、かつ磁気的に高感度となるようなスピンバルブ膜は実現が困難となっている。
本発明は、このような課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、スピン依存散乱効果を有効に用いつつ、適当な抵抗値を有する実用的な磁気抵抗効果素子及びその製造方法、それを用いた磁気ヘッド並びに磁気再生装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の具体例としての磁気抵抗効果素子は、磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層と、を有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、複数種の元素からなる合金が固相内分離した第1及び第2の相を有し、前記第1及び第2の相の一方は他方よりも酸素、窒素、フッ素、及び炭素よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を高い濃度で含有する、前記一対の電極間に形成された相分離層と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、スピン依存散乱効果を有効に用いつつ、適当な抵抗値を有する実用的な磁気抵抗効果素子を実現できる。
また、本発明の第2の具体例のとしての磁気抵抗効果素子は、磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層と、を有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、酸素、窒素、フッ素、及び炭素よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を高い濃度で含有する第1の領域と低い濃度で含有する第2の領域とを有し、前記一対の電極間に形成された第3の磁性層と、前記第1または第2の強磁性層と第3の磁性層との間に形成された磁気結合遮断層と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によっても、スピン依存散乱効果を有効に用いつつ、適当な抵抗値を有する実用的な磁気抵抗効果素子を実現できる。
また、本発明の第3の具体例としての磁気抵抗効果素子は、磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、酸素、窒素、フッ素及び炭素よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を高い濃度で含有する第1の領域と低い濃度で含有する第2の領域とを有し、前記一対の電極間に形成された第3の磁性層と、前記第1または第2の強磁性層と第3の磁性層との間に形成され、膜厚が1ナノメートル以上3ナノメートル以下の、銅、金、銀、レニウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、クロム、マグネシウム、アルミニウム、ロジウム及び白金よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含有する層と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によっても、スピン依存散乱効果を有効に用いつつ、適当な抵抗値を有する実用的な磁気抵抗効果素子を実現できる。
一方、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、を有する磁気抵抗効果素子の製造方法であって、2種類以上の元素からなる合金層を相分離させて互いに組成が異なる第1及び第2の相を膜面内に分布させる工程を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、スピン依存散乱効果を有効に用いつつ、適当な抵抗値を有する実用的な磁気抵抗効果素子を確実且つ容易に製造できる。
上記第1乃至第3の磁気抵抗効果素子を搭載することにより、高感度の磁気ヘッド及び高密度記録が可能な磁気再生装置が実現できる。
本発明によれば、以上説明したように、独特の構成を有する相分離層を設けることにより、センス電流を狭窄し、実効的な素子サイズを縮小させて大きな抵抗変化を得ることができる。
また一方、磁気結合遮断層を設けることにより、磁化固着層と磁化自由層との間の磁気的な結合を確実に遮断し、さらにバッファ層として作用させることにより、磁性層の磁性特性を改善することも可能となる。
その結果として、大きなMR変化量と適当な抵抗値を有する磁気抵抗効果素子を提供することが可能となる。そして、この磁気抵抗効果素子を磁気ヘッド化することで、高面記録密度を有するHDDや、高集積が可能な磁気メモリが実現可能となり産業上のメリットは多大である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。同図において、1は基板電極、2は下地層、3は反強磁性膜、4は磁化固着層(ピン層)、5Aは磁気結合遮断層、5Bは界面調整層、6は磁化自由層(フリー層)、7は保護層、8は上部電極層、9は相分離層である。すなわち、この素子は、基板電極1と上部電極層9との間でセンス電流I(同図の矢印方向、または矢印とは反対の方向)が通電されるCPP型の磁気抵抗効果素子である。
そして、磁気結合遮断層5Aと界面調整層5Bと、相分離層9は、磁化固着層4と磁化自由層6との磁気的な結合を遮断する、中間層(スペーサー層)としての役割を有する。
また、相分離層9は、センス電流Iの電流経路を絞り込むことにより、実効的に素子サイズを小さくして抵抗変化量を大きくするという作用効果を奏する。このような電流狭窄効果は、図2に概念的に例示したように、相分離層9がその膜面内において、抵抗の2次元的な「揺らぎ」を持っていることにより、電流が集中する部分を有することに由来する。
図2は、相分離層9がセンス電流を狭窄する様子を概念的に表す説明図である。すなわち、相分離層9は、その電気抵抗値が2次元的に揺らいでおり、抵抗が相対的に高い領域9Aと、抵抗が相対的に低い領域9Bと、を有する。そして、電極からスピンバルブ膜に供給されたセンス電流Iは、相分離層9において、抵抗が高い領域9Aに阻止され、局所的に形成された低抵抗の領域9Bを介して流れる。そして、本実施形態においては、電流がこのような低抵抗の領域9Bを流れるので、相分離層9に関する電流特性は、あくまで「オーミック性」を維持する。
いわゆるTMR(tunneling magnetoresistance effect)素子の場合、一対の磁性体層の間に絶縁層が設けられ、センス電流は、この絶縁層をトンネリングにより通過する。従ってTMR素子における絶縁層に対する電流特性は、いわゆる「トンネル特性」を示す。
これに対して、本実施形態の磁気抵抗効果素子においては、相分離層9の低抵抗の領域9Bをセンス電流が通過する点で、本質的にオーミック性を示し、例えば、電流の温度特性などが大きく異なる。
膜の特性がTMR的であるか、オーミック性の電流経路によるものかを調べる方法のひとつの方法は、センス電流と磁気抵抗効果の関係を調べることである。すなわち、TMRの場合、抵抗が低いと容易にブレークダウンを起こすため安定性が得られない。磁気抵抗変化率がセンス電流の増大により減少する傾向が見られた場合、TMRである可能性が非常に高い。
また、抵抗の温度依存性を調べることでも、区別することができる。すなわち、オーミックな系では、摂氏マイナス200度程度まで温度を下げると、室温時と比べて抵抗が有意に減少する様子が見られるが、TMRでは有意に増大する様子が見られる。
図3は、相分離層9の平面的な構成の具体例を表す概念図である。同図に表したように、相分離層9としては、抵抗が高い領域9Aと、抵抗が低い領域9Bとが、分離した状態として形成されている。
このような2次元的な分離構造は、「スピノーダル分解」や「GPゾーン(Guinier-Preston zone)」などの固相内相分離を利用することにより実現できる。すなわち、磁化固着層4と磁化自由層6との間に設けられた相分離層9は、2種類以上の元素からなる合金がスピノーダル分解やGPゾーンの形成などのメカニズムにより2相以上の相に固相内相分離した組織を有する。
また、本実施形態においては、酸素雰囲気中への暴露や酸素ラジカル照射等の前処理や熱処理等により、このような相分離した複数の相のうちのいずれかの相を優先的に酸化させる。すなわち、スピノーダル分解やGPゾーンの形成などのメカニズムにより固相内相分離した相分離層の一部を酸化処理することにより、抵抗が相対的に高い領域9A(絶縁相)を形成する。そして、これら領域9Aの間に、抵抗が相対的に低い未酸化状態の領域9B(導電相)が分布した構造を形成する。
従って、例えば、スピノーダル分解などのメカニズムによって2相に相分離した場合、一方の相が他方の相に比べて優先的に酸化されやすいように相分離すれば、絶縁相の中に導電相が分布した構造を形成することが容易となる。このためには、例えば、酸化されやすい元素が多く含まれた相と、酸化されにくい元素が多く含まれた相とに相分離するような合金系を選択することが望ましい。
「酸化物便覧(サムソノフ監修:日・ソ通信社刊 1969年)」によると、本発明に関わる主な元素の酸化生成自由エネルギーは、表1に表した如くである。


ここで、酸化生成自由エネルギーの値が小さいほど、酸化されやすいことを意味する。つまり、表1において、上方に挙げられた元素ほど酸化されにくく、下方に挙げられた元素ほど酸化されやすい。
本発明で低抵抗相として用いる金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの貴金属元素は、他の元素よりも酸化生成自由エネルギーが大きく、酸化物を形成しにくい低抵抗相に適している。また、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)なども、貴金属元素に比べれば酸化物を形成し易いが、それよりも下位の、例えば、タンタル(Ta)やニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)などと比べると、酸化されにくい。
従って、このように、酸化生成自由エネルギーの大小関係を考慮して相分離させる合金系の元素を適宜選択することが有効である。
なお、酸化の代わりに、後に詳述するように、窒化、フッ化、炭化などを利用してもよい。また、相分離層9の材料の種類によっては、この相分離のみでも高導電相9Bの比抵抗に対して絶縁相9Aの比抵抗が10倍から100倍以上も大きな相に分離することもあり、この状態でも相分離層としての機能を兼ね備えている場合もある。
本実施形態によれば、スピノーダル分解やGPゾーンの形成などの固相内相分離を利用することにより、これら領域9A及び9Bに対応する相分離構造の形成が容易となる。なおかつ、その相分離の割合や分布の制御も確実且つ容易となる。
本発明者の検討によれば、相分離した高導電相9Bの粒径は、相分離層9の膜厚に対して0.8〜4倍の範囲で、高導電相の間隔は1nm以上10nm未満の範囲とすると、スピン依存散乱効果を有効に用いつつ、適当な抵抗値を有する実用的なCPP型の磁気抵抗効果素子が得られることが分かった。このような粒径や高導電相の間隔は、例えば、TEM(transmission electron microscopy:透過型電子顕微鏡)による観察によって測定できる。
スピノーダル分解やGPゾーン形成などの相分離メカニズムを利用すると、高導電相の粒径や間隔は、相分離層9の材料組成や相分離促進プロセス条件(例:基板温度、Arなどの希ガスのプラズマ照射、Arなどの希ガスのイオン照射など)などにより上記範囲内の所望の値に規則正しく制御できる。また、その分散すなわち「ばらつき」も少ない。このために、相分離層9の内に高導電相の占める割合(1〜20%の範囲)を、上記した適切な範囲内になるよう、高精度で制御でき、安定した特性を有する磁気抵抗効果素子の製造が可能となる。
一方、比較例として検討したAl絶縁部とCu導電部からなる相分離層では、導電部の間隔はその下の磁化固着層や磁化自由層の粒径で決まるために10nm以上になりやすく導電部がまばらとなる。その結果、特に記録密度が向上して素子サイズが微細になると導電部の個数も減るので、相分離層内に高導電層の占める割合の制御が困難になり、素子抵抗や抵抗変化量の制御が困難になってしまう。
図4は、本発明の実施の形態における相分離層9の形成プロセスの一部を表すフローチャートである。
また、図5は、相分離層9の平面的な構造の変化を例示する概念図である。
相分離層9の形成にあたっては、まず、ステップS1において、母材料Mを形成する。母材料Mは、例えばスパッタなどの方法により薄膜状に堆積することができる。
堆積中あるいは堆積直後で、母材料Mがまだスピノーダル分解されずあるいはGPゾーンが形成されていない状態では、図5(a)に表したように、組織はほぼ均一である。
そして、本実施形態においては、この薄膜堆積プロセスと同時に、あるいは、その後に、相分解プロセスS2を実施することができる。高温で長時間のアニール、イオンビームの照射などが挙げられる。
ステップS2として、このようなアニールあるいはイオンビーム照射などの相分解プロセスを施すと、図5(b)に表したように、母材料Mに濃度変調が生じて、相D1と相D2とに分解する。一般に、スピノーダル分解の場合、核生成が必要とされず、組成のゆらぎが連続的に大きくなってゆくために、潜伏期間を示さず、母相と完全に整合性を保ちながら分解が生ずるとされている。また、アルミニウム(Al)−4%銅(Cu)合金などの場合、室温あるいは昇温状態での時効処理により、銅の組成が高い析出相が形成して相分離が生ずる。例えば、室温で時効処理を施した後に昇温で析出時効させる、いわゆる「2段時効」を実施すると、銅の組成が高い微細な領域が均一に分散した相分離構造が得られる。
以上説明したように、分解プロセスの実施により、母材料Mに組成の「ゆらぎ」が生じ、その結果として、図5(b)に例示したような相分離構造が形成される。
次に、ステップS3として、酸化プロセスを実施する。酸化プロセスS3としては、例えば、成膜チャンバー内に酸素を導入した雰囲気中へ暴露する方法や、酸素ラジカルを照射する方法などを挙げることができる。なお、用いる材料に応じて、酸化の代わりに、窒化、フッ化、炭化などのプロセスを実施してもよい。
このような酸化プロセスを実施すると、分離した相D1とD2のうちで、酸化されやすい組成の相が優先的に酸化される。例えば、図5(c)に示した例では、相D1が酸化されて抵抗が高い領域9Aが形成される。一方、酸化があまり進まなかった相D2は、抵抗が低い領域9Bを構成することとなる。
図6は、相分離層9を形成するもうひとつの方法を表すフローチャートである。
すなわち、相分解プロセスと酸化プロセスとは、必ずしも別々に実施する必要はなく、同時に実施してもよい。
例えば、相分離のためのアニールと同時に、酸素雰囲気に暴露したり、あるいは酸素ラジカルを照射することにより、これらプロセスS2及びS3を同時に実施することが可能である。
またさらに、このような分解及び酸化のプロセスは、母材料Mの堆積プロセスと同時に実施することもできる。例えば、母材料Mの成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射することによって、堆積プロセスと、相分解及び酸化プロセスを同時に実施することも可能である。
以上説明したように、分解プロセスS2と酸化プロセスS3とを同時に実施した場合には、母材料Mが酸化されて残留し、抵抗が高い領域9Aの一部を構成することもある。
図7は、このように母材料を形成する構成元素の種類によっては、2種類以上の固相内相分離した例を表す概念断面図である。この具体例の場合、相分離層9の母材が2種類以上の固相内相分離する元素からなっているため、相分離層9は2種類のスピノーダル分解が進行し、相D1と相D2が酸化されて抵抗が高い領域9A(D1)と9A(D2)、ならびにこれら抵抗が高い領域9A(D1)と9A(D2)とは異なる金属元素により抵抗が低い導電相9Bを構成している。このようなに2種類以上の抵抗が高い相と抵抗が低い相からなる3相以上の構造であっても、本実施形態の相分離層9として用いることが可能である。
一方、本実施形態においては、スピノーダル分解やGPゾーン形成を生じさせる分解プロセスS2として、図8に例示した如く、イオンビームを照射する方法も有効である。すなわち、薄膜状に形成された母材料Mの内部において組成のゆらぎを生じさせ、相分離させるためのエネルギーを、イオンビームの照射によって与えることができる。
この場合に用いるイオンビームとしては、例えば、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)などの希ガス元素などを用いることができる。また、酸化(または、窒化、フッ化、炭化)プロセスと同時に実施する場合には、酸素(または、窒素、フッ素、炭素)を用いることもできる。
一方、その照射条件としては、相分離層9の母材料Mのエッチングが顕著に生じない範囲で適宜選択することができる。具体的には、例えば、アルゴンイオンビームを、加速電圧50ボルト(V)、投入電力50ワット(W)程度で照射することができる。
次に、本実施形態の相分離層の母材料Mの具体例について説明する。
このような固相内相分離構造を有する具体的な相分離層9の母材料Mのひとつとしては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)及び銅(Cu)によりなる一群から選択されたいずれか一種以上の貴金属−ニッケル(Ni)−鉄(Fe)−コバルト(Co)合金を挙げることができる。
そして、このようにして形成された貴金属−Ni−Fe合金ならびに貴金属−Ni−Co合金の相分離層を先に述べた酸素ラジカル等を用いた酸化処理を施すことでNi−FeならびにNi−Coリッチな相(D1)が選択的に酸化されて絶縁性の高い相(領域9A)となる。さらに、磁気抵抗効果膜の積層構造を形成した以降の熱処理によって、相分離層9の導電相(貴金属)と絶縁相(Ni−Fe−OxとNi−Co−Ox)との相分離が進み、導電相である貴金属の純度が増し、より低抵抗が進む。
このような相分離と選択的な酸化は、組成式が貴金属元素をQとして、Q(Ni100‐y(Fe100‐zCo100‐xであり、xが1%以上で50%以下、yが50%以下で0%以上、0%≦z≦100%、zが0%以上で100%以下の範囲で表される貴金属−ニッケル(Ni)−鉄(Fe)−コバルト(Co)合金の上記組成範囲において得られる。もしくは、Q(Co100‐y(Fe100‐zNi100‐xからなる化学式において、組成xが1原子%以上で50原子%以下、組成yが0原子%以上で50原子%以下、組成zが0原子%以上で100原子%以下の範囲において得られる。
ここで、「貴金属元素」としては、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)及び銅(Cu)のうちの少なくともいずれかを用いることが望ましい。また、その場合、これら貴金属のうちのいずれか1つのみには限定されず、2種類以上の元素を組み合わせてもよい。そして、この場合、組成xは、これら貴金属元素として選択されたものの合計の組成をいうものとする。例えば、貴金属元素Qとして銀と白金が選択された場合、組成xは、銀の組成と白金の組成の合計値であるものとする。
本願において、「合計の組成」という時は、このように、所定の選択範囲から選択されたそれぞれの元素の組成を合計したものであるものとする。
また、相分離層9の他の母材料としては、組成式が(Al100−y100−xで表され、元素Mとして銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成xが1%以上で40%以下、そして元素Qとしてマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ボロン(B)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ガリウム(Ga)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲で表されるアルミニウム(Al)合金を挙げることができる。
この合金においては、アルミニウム組成が高い相と、アルミニウム組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、アルミニウムと元素Qが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低い金属(M)相(領域9B)とを得ることが可能である。さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。この組成xは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
図9(a)は、Al90Ag10合金を母材料として相分離させ、酸化処理を施して形成した相分離層の断面TEM像の模式図である。また、同図(b)は、この相分離層のナノEDX(Energy Dispersive X-ray photoelectron spectroscopy)による元素分析のプロファイルを表す模式図である。
アルミニウム(Al)の組成が高い領域が酸化されて電気抵抗が高い相D1が形成され、銀(Ag)の組成が高い領域は抵抗が低い相D2を形成している。
また一方、相分離層9の他の母材料としては、組成式が(Mg100−y100−xで表され、元素Mとして銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成xが原子1%以上で40原子%以下、そして元素Qとしてカルシウム(Ca)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ガリウム(Ga)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲で表されるマグネシウム(Mg)合金を挙げることができる。
この合金において、マグネシウム組成が高い相と、マグネシウム組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、マグネシウムと元素Qが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低い金属(M)相(領域9B)とを得ることが可能である。さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。この組成xは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
または、相分離層9の他の母材料としては、組成式が(Si100−y100−xで表せれ、元素Mとして銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成xが1原子%以上で40原子%以下、そして元素Qは、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ガリウム(Ga)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲で表されるシリコン(Si)合金を挙げることができる。
この合金において、シリコン組成が高い相と、シリコン組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、シリコンと元素Xが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低い金属(M)相(領域9B)とを得ることが可能である。さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。この組成xは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
または、相分離層9の他の母材料としては、組成式が(Mn100−y100−xで表せれ、元素Mとして銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成xが1原子%以上で40原子%以下、そして元素Qとしてマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)よりなる群から選択されたいずれか一種以上からなり、組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲で表されるマンガン(Mn)合金を挙げることができる。
この合金において、マンガン組成が高い相と、マンガン組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、マンガンと元素Xが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低い金属(M)相(領域9B)とを得ることが可能である。さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。このxは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
また、相分離層9の他の母材料としては、鉄(Fe)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)及びシリコン(Si)よりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xFeにより表した場合に、鉄の組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金を挙げることができる。
この合金において、鉄組成の高い相と、鉄組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、主に元素Mが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低い鉄相(領域9B)とを得ることが可能である。何故ならば、表1に関して前述したように、第2の群を構成するこれら元素は、いずれも酸化物生成自由エネルギーが鉄(Fe)よりも小さく、鉄(Fe)よりも酸化されやすいからである。
さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。このxは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
また、相分離層9の他の母材料としては、ニッケル(Ni)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)及びシリコン(Si)よりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xNiにより表した場合に、ニッケルの組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金を挙げることができる。
この合金において、ニッケル組成の高い相と、鉄組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、主に元素Mが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低いニッケル相(領域9B)とを得ることが可能である。何故ならば、表1に関して前述したように、第2の群を構成するこれら元素は、いずれも酸化物生成自由エネルギーがニッケル(Ni)よりも小さく、ニッケル(Ni)よりも酸化されやすいからである。
さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。このxは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
また、相分離層9の他の母材料としては、コバルト(Co)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)及びバナジウム(V)よりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xCoにより表した場合に、コバルトの組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金を挙げることができる。
この合金において、コバルト組成の高い相と、鉄組成が低い相とに相分離が生ずる。従って、酸化処理を施すことにより、主に元素Mが酸化された電気抵抗の高い相(領域9A)と比較的純度が高く電気抵抗の低いコバルト相(領域9B)とを得ることが可能である。何故ならば、表1に関して前述したように、第2の群を構成するこれら元素は、いずれも酸化物生成自由エネルギーがコバルト(Co)よりも小さく、コバルト(Co)よりも酸化されやすいからである。
さらに、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。このxは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。組成xをこの範囲内とすれば、電気抵抗が高い相(領域9A)の中に電気抵抗が低い相(領域9B)が点在し、センス電流の経路を効率的に制限して、良好な電流狭窄効果が得られるからである。
また、GPゾーンを形成させるためには、アルミニウム(Al)−銅(Cu)系合金、アルミニウム(Al)−銀(Ag)系合金、アルミニウム(Al)−亜鉛(Zn)−マグネシウム(Mg)系合金などを用いることができる。
また、以上説明した相分離層9の母材料合金において、酸素吸収量の制御、スピノーダル分解や析出相の粒径制御のために、添加物として、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、すず(Sn)、リチウム(Li)、亜鉛(Zn)等の元素を数原子%程度添加しても良い。
また一方、相分離層9の他の母材として、これまで挙げてきたスピノーダル分解等の固相内相分離による母材を2種以上を含んだ材料、ならびに、スピノーダル分解等の固相内相分離による母材と固相内分離を伴わない合金とを積層しても良い。このように、スピノーダル分解等の固相内相分離によって絶縁相と導電相を所定の割合で均一に形成することができ、なおかつ、前記絶縁相とは異なる金属元素からなる絶縁相を形成することで、相分離層9の絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。
また、2種以上の異なる母材を積層することによって、ピンホールの発生が大幅に減少すると共に、スピノーダル分解等の固相内相分離を伴う母材と固相内相分離を伴わない合金を積層することで、スピノーダル分解等によって形成された導電相を核として固相内相分離を伴わない合金の相分離層の導電相が優先的に形成され、その結果、センス電流を流したときの相分離層の絶縁耐圧が大幅に向上し、磁気抵抗効果素子としての信頼性が大幅に向上する。
図10は、積層構造を有する相分離層9の断面構造を例示する模式図である。 すなわち、本具体例の相分離層9は、第1の相分離層9’と第2の相分離層9”とを積層した構造を有する。第1の相分離層9’は、抵抗が高い領域9A’と抵抗が低い領域9B’を有する。また、第2の相分離層9”も、抵抗が高い領域9A”と抵抗が低い領域9B”を有する。
領域9B’の平均的なサイズは、領域9B”よりも大きく、また、これら領域は膜の厚み方向に見て、ほぼ重なるように形成されている。このような構造は、例えば、相分離層9’と相分離層9”の母材料の組成を適宜ずらしたり、母材の種類を変えることにより形成可能である。つまり、上下の層の母材料の組成をずらしたり、母材の種類を変えることにより、相分解した後の各相のサイズを変えることができる。
例えば、上述したようなスピノーダル分解性に優れた材料からなる相分離層9”の上に、結晶質に成り易いクロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ボロン(B)、ゲルマニウム(Ge)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)等の元素の酸化物(窒化物、硼化物、炭化物でも良い)を主成分とする相分離層9’を積層すると、スピノーダル分解による制御性のよい高導電相が形成できることに加えて、相分離層の上に形成される磁性層の結晶性制御が可能となり軟磁気特性の向上を図ることができる。
あるいは、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などの磁性酸化物(窒化物、硼化物、炭化物でも良い)を含むスピノーダル分解性に優れた材料からなる相分離層と、非磁性の酸化物(窒化物、硼化物、炭化物でも良い)からなるか相分離層を積層することにより、後者の非磁性相分離層が磁気結合遮断層として作用して、磁性層間の磁気結合の抑制とスピノーダル分解による制御性のよい高導電相形成が同時に可能になる。
また、このような積層構造において分解プロセスを実施した場合、上下のいずれか一方の層でスピノーダル分解が生ずると、分解形成された相(D1、D2)が、他方の層におけるスピノーダル分解の「きっかけ」となる場合がある。
その結果として、上下の層9’、9”において形成される領域9A’、9A”の位置が、厚み方向に見てほぼ重なるように形成することができる。
なお、図10には、2層構造の相分離層を例示したが、本発明はこれに限定されず、相分離層は、3層以上の層を積層したものであってもよい。さらに、各層の境界が必ずしも明瞭ではなく、相分離層の膜厚方向に沿って、組成が連続的に変調しているような構造であってもよい。
さらに、これら相分離層9の母材料は、磁気特性向上、電気抵抗の調整ならびに結晶性向上を目的として、中間層以外の磁化自由層6や磁化固着層4のいずれか一方もしくは両方の層間や基板電極1ならびに上部電極8のいずれか一方もしくは両方の層間に挿入しても良い。例えば、磁化固着層4/相分離層9/磁化固着層4’、磁化固着層4/相分離層9/磁化固着層4’のような構成を挙げることができる。
また一方、相分離層9において、相分離した一方の相を高抵抗化させて抵抗が相対的に高い領域9Aを形成するためには、酸化の代わりに、窒化、フッ化あるいは炭化のプロセスを用いることも可能である。すなわち、相分離した一方の相を、窒素(N)、フッ素(F)あるいは炭素(C)と反応させることにより、抵抗率を上げることができる場合には、窒化、フッ化あるいは炭化のプロセスを用いることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態として、磁化固着層、磁化自由層、中間層ならびに電極と強磁性膜の間のいずれかに相分離層9を設け、前記相分離層に接した磁気結合遮断層を含む磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施形態の磁気抵抗効果素子においては、図1に例示した如く、相分離層9の少なくとも片方に磁気結合遮断層5Aを設けることができる。磁気結合遮断層5Aは、磁化固着層4と磁化自由層6との磁気的な結合を確実に遮断する役割を有する。すなわち、相分離層9のみでは、磁化固着層4と磁化自由層6との磁気的な結合が十分に遮断できないような場合、磁気結合遮断層5Aを設けることにより、これらの磁気的な結合を確実に遮断することができる。
このような磁気結合遮断層5Aは、相分離層9の母材料として、貴金属元素をQとした時に、Q(Ni100‐y(Fe100‐zCo100‐xで表される合金を用いる場合に特に有効である。すなわち、この合金を相分離させて領域9Aを形成する場合に、例えば酸化が不十分な領域9Aにおいて、若干の磁性が残留することがあり得る。このような場合には、近接する磁化自由層6、磁化固着層4との間の磁気的な結合を遮断するために、磁気結合遮断層5Aが特に有効である。
磁気結合遮断層5Aの材料としては、例えば、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)などを用いることができる。
磁気結合遮断層5Aの膜厚は、相分離層9を介した磁化固着層4と磁化自由層6との間の磁気結合が十分に遮断できる程度に厚いことが望ましい。つまり、相分離層9には上記の如く磁性が残留する場合があるので、その上下に設ける磁気結合遮断層5のいずれか一方には、その磁気的な結合を確実に遮断できる膜厚を与えることが必要である。
この観点からは、磁気結合遮断層5Aの膜厚が0.5nm以下だと、この磁気結合の遮断ができなくなり、磁化自由層6もしくは磁化固着層4の磁化方向を乱してしまうため、0.5nm以上とすることが望ましい。
但し、磁気結合遮断層5Aの膜厚が厚くなると、相分離層9において狭窄された電流が、磁気結合遮断層5Aにおいて広がってしまうため、電流狭窄効果が低減してしまう。この観点からは、磁気結合遮断層5Aの膜厚は5nm以下であることが望ましい。
そして、磁気的結合の遮断と電流の拡がりの抑制を両立する好適な範囲としては、磁気結合遮断層5Aの膜厚は、1nm以上3nm以下とすることがさらに望ましい。磁気結合遮断層を相分離層の上下に設けても良い。
また、相分離層の上側には磁気結合遮断層5Aを、相分離層の下側には界面調整層5Bを設けても良い。界面調整層5Bは、その上の相分離層9や磁化自由層6などの粒径や膜質を制御するバッファ層としての役割を担う。界面調整層5Bは、電流の拡がりを考えると、その膜厚は薄いことが望ましい。このため界面調整層5Bの膜厚は、1nm未満であることが望ましく、さらに、0.25nm以下であることがより望ましい。
このとき、界面調整相分離層5B層は、膜面内にみて必ずしも連続的な膜である必要はなく、部分的に欠落していても良い。すなわち、磁化自由層6に対するバッファ効果を有する限り、不連続な薄膜でもよい。
また一方、別の積層構造として、磁化自由層の上下に磁化固着層がそれぞれ設けられた、いわゆる「デュアルスピンバルブ構造」の磁気抵抗効果素子の場合にも、上述と同様である。
なお、本実施形態の磁気抵抗効果素子の磁化自由層6の材料としては、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)を主成分とする金属磁性体を主として用いることができる。これらは、磁気センサーに用いる際に、感度を高め、バルクハウゼンノイズ(Barkhausen noise)を減少させるために、良好な軟磁気特性を持つことが必要である。この観点から、磁化自由層6は、面心立方格子の最密面である結晶軸[111]方向に積層されていることが望ましい。しかし、部分的に体心立方格子であったり、六方細密格子やその他の結晶構造を含んでいても良い。
また、本実施形態の磁気抵抗効果素子の磁化固着層4としては、2層以上の磁性体がルテニウム(Ru)などの非磁性体を介して反強磁性的に結合した、いわゆる、「シンセティック反強磁性構造」を用いても良い。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態として、磁化自由層と電極との間に相分離層を設けた磁気抵抗効果素子について説明する。
図11は、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。同図については、図1乃至図10に関して前述したものと同一の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本具体例においては、磁化固着層4と磁化自由層6との間には、非磁性金属層10が設けられている。この非磁性金属層は、磁化固着層4と磁化自由層6との磁気的な結合を遮断する役割を有する。
そして、磁化自由層6と上部電極8との間に、相分離層9が設けられている。この相分離層9については、第1実施形態に関して前述したものと同様のものを用いることができる。すなわち、スピノーダル分解やGPゾーン形成などのメカニズムを利用して形成された相分離構造によって電流狭窄効果が得られる相分離層9を用いる。
このように、磁化自由層6とそれに隣接した電極8との間に相分離層9を設けると、電極から磁化自由層6への電流を収束させ、素子抵抗を適度に高くするとともに、大きな磁気抵抗変化を得ることができる。
なお、本発明においては、第1実施形態乃至第3実施形態を適宜組み合わせてもよい。すなわち、第1実施形態に関して前述したように、磁化固着層4と磁化自由層6との間に相分離層9を設け、さらに、第2実施形態に関して説明したように、磁気結合遮断層5Aを設け、さらに第3実施形態に関して説明したように磁化自由層とそれに隣接する電極との間にも相分離層9を設けてもよい。
このようにすれば、それぞれの電流狭窄効果を相乗させ、さらに高い素子抵抗と磁気抵抗変化を得ることが可能である。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態として、磁化固着層と磁化自由層とが微小な磁性領域により接続されたBMR(ballistic magnetoresistance effect)型の抵抗効果素子について説明する。
図12は、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の要部断面構造を表す模式図である。すなわち、本実施形態の磁気抵抗効果素子は、基板(電極)1の上に、第1の磁性層4、相分離相9、第2の磁性層6、上部電極8がこの順に積層された構造を有する。第1及び第2の磁性層4、6のいずれか一方は、磁化固着層として作用し、他方は磁化自由層として作用する。
そして、相分離層9は、非磁性領域9Cと、その中に点在して設けられた磁性領域9Dとを有する。非磁性領域9Cは、実質的に磁性を有しない材料からなる。また、磁性領域9Dは、磁性を有する材料からなる。これら非磁性領域9Cと磁性領域9Dは、第1乃至第3実施形態に関して前述したように、スピノーダル分解や、その他の各種の相分離メカニズムにより、母材料が相分離を生じたことにより形成されている。典型的には、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの磁性元素と、非磁性元素との合金系を用いることができる。
このように、磁性領域9Dによって第1及び第2の磁性層4、6を接続した構造は、「磁気微小接点」あるいは「磁性ポイントコンタクト」などと称され、BMR(ballistic magnetoresistance)による大きな磁気抵抗効果が得られる。
例えば、100%以上の磁気抵抗効果を示すものとして、2つの針状のニッケル(Ni)を付き合わせた「磁気微小接点」、あるいは2つのマグネタイトを接触させた磁気微小接点が、それぞれ、文献 N. Garcia, M. Munoz, and Y. -W. Zhao, Physical Review Letters, vol.82, p2923 (1999) およびJ. J. Versluijs, M. A. Bari and J. M. D. Coey, Physical Review Letters, vol.87, p26601 -1 (2001 ) に開示された。これらは、大きな磁気抵抗変化率を示しているものの、その磁気微小接点の作製方法は、いずれも2つの針状あるいは三角形状に加工した強磁性体を角付き合わせるというものである。
これに対して、本実施形態によれば、スピノーダル分解などのメカニズムを利用することにより、相分離を生じさせ、非磁性領域9Cの中に微小な磁性領域9Dが点在した構造を容易に形成することができる。そして、この微小な磁性領域9Dが第1及び第2の磁性層4、6の間で、「磁気微小接点」あるいは「磁性ポイントコンタクト」として作用することにより、BMRによる大きな磁気抵抗効果を得ることが可能となる。
相分離層9の母材料としては、鉄(Fe)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)及びシリコン(Si)よりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xFeにより表した場合に、鉄の組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金を挙げることができる。
この合金において、鉄組成の高い相と、鉄組成が低い相とに相分離が生ずる。非磁性領域9Cと磁性領域9Dとを形成することが可能である。酸化処理を施すことにより、主に元素Mが酸化された非磁性領域9Cと、鉄(Fe)の含有量が高い磁性領域Dとを得ることが可能である。
この場合にも、組成xの範囲が1%以上で40%以下の範囲とし、スパッタ法などに薄膜形成手法を用いることにより、低温でスピノーダル分解ならびに核生成が促進される。このxは、より好ましくは5%から20%の範囲とするとよい。
また、相分離層9の他の母材料としては、ニッケル(Ni)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)及びシリコン(Si)よりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xNiにより表した場合に、ニッケルの組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金を挙げることができる。
また、相分離層9の他の母材料としては、コバルト(Co)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)及びバナジウム(V)よりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xCoにより表した場合に、コバルトの組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金を挙げることができる。
以上、本発明の第1乃至第3の実施形態について説明した。
以下、実施例を参照しつつ、本発明の磁気抵抗効果素子についてさらに詳細に説明する。
(第1の実施例)
まず、本発明の第1の実施例として、アルミニウム(Al)−銀(Ag)系のスピノーダル分解を利用して形成した磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においては、図1に表した磁気抵抗効果素子を製作した。そして、相分離層9としてAlAg合金に酸化処理を施した。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/10nmPtMn(3)/3nmCoFe(4)/0.2nmCu(5A)/0.8nmAlAg合金(9)/0.2nmCu(5B)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

なお、本発明の実施例で用いたSi基板(1)は、熱酸化処理によりSiO2が表面に約100ナノメータ程度形成された基板である。また、AlAg合金は、組成式 Al100−xAg において組成x=0、5、10、20、40原子%とした。
成膜は、DCマグネトロンスパッタ方式を用い、到達真空度が10−5Pa(パスカル)以下となるまで排気し、各膜の成膜速度は、0.02〜0.1[nm/秒]で行った。また、上部電極8は、直径1μmの略円形状とした。また、酸化処理は、相分離層9の成膜後に、酸素ラジカルを照射することにより行った。また、熱処理は、5kOe(エルステッド)の磁界印加した状態で、270℃で10時間行った。
一方、比較例として、相分離層9の材料として、0.8nmAlAg合金の代わりに3nmCuを用いたものを作成した。
Al90Ag10(x=10)を用いた本実施例と、比較例の磁気抵抗効果素子について磁気抵抗効果MRと面積抵抗RAを測定したところ、以下の結果が得られた。

相分離層9の材料 MR RA
Cu 0.5% 0.08Ωμm
Al90Ag10(酸化処理あり) 6.0% 0.25Ωμm

Al90Ag10合金を母材料として用いた相分離層9の酸化処理有無の試料について、断面TEM(tansmission electron microscopy:透過型電子顕微鏡)観察でその結晶性をそれぞれ調べた。
図9(a)及び(b)は、前述したように、酸化処理有りの試料について、その断面TEM像の模式図と、そのナノEDXによる元素分析のプロファイルを模式的に示した図である。
酸化処理なしの場合、スピノーダル分解に伴うAlと幅約1.5nmAgの相分離が不明確ではあるが確認された。一方、酸化処理有りの場合、図9からも分かるように処理なしと同様にスピノーダル分解に伴う幅約9nmAlと幅約1.5nmAgの相分離が明確に確認され、また、それぞれの相について酸素分析を行った結果、ほとんどの酸素がAl部分に存在していることも合わせて確認できた。
本発明者は、本実施例におけるAl90Ag10(原子%)膜の相分離の状態を平面TEMで観察することを目的として、シリコン基板の上に、以下のような薄膜の積層体を作製した。

Si(1)/5nmTa(1)/200nmCu(1)/5nmTa(2)/2nmRu(2)/15nmPtMn(3)/4nmCoFe(4)/1nmRu(4)/4nmCoFe(4)/[0.2nmCu(5B)/50nmAlAg(9)

このようにして作製した試料に、磁気抵抗効果素子膜と同様の熱処理を施した後、平面TEM観察ならびにナノEDXによる組成分析を行った。
図13は、TEM観察の結果を表す写真である。すなわち、同図は、AlAg層の表面の直径1マイクロメータの範囲から得られた制限視野電子線回折像である。多結晶体の存在に対応するデバイリングが観察され、AlAg層が他数の結晶粒からなることが分かる。
図14は、AlAg層のTEM像である。粒径が30〜200nmの比較的黒く見える粒状体Aと、粒径が50nm以下の白く見える粒状体Bとに分離している状態が観察される。
図15は、同一のサンプルについてTEM観察により得られたHAADF(high angle annular dark field)像である。同図においては、黒く見える部分が図13(b)における粒状体Bに対応し、白く見える部分が図14における粒状体Aに対応する。
これらTEM像において、粒状体Aと粒状体BについてそれぞれナノEDXにより組成分析を行ったところ、粒状体Aは、Al40Ag60[原子%]のAgリッチな相であり、粒状体BはAl95Ag[原子%]のAlリッチな相であることが分かった。つまり、母材料であるAl90Ag10が、Agリッチな粒状体Aと、Alリッチな粒状体Bとに組成分離したことが確認できた。
図16は、Agリッチな粒状体Aから得られた制限視野電子線回折像である。同図から分かるように、明瞭な回折スポットが規則的に配列した回折像が得られ、粒状体Aがほぼ単一な結晶粒からなり、その結晶性も良好であることが分かった。
このことから、スピノーダル分解と酸化処理によって、相分離層は導電性の高いAgリッチな相D2(領域9B)と、Alリッチであり酸化処理によってAlに近い酸化物絶縁体相D1(領域9A)とに分離して存在しているとともに、スピノーダル分解によってそれぞれの相がきれいに膜面内で分布していることが平面TEM観察でも確認され、そのAg相の占有面積が大体10%前後であった。
すなわち、図15から分かるように、Agリッチな粒状体Aが占める面積は、全体のおよそ10%前後であった。
一方、Al80Ag20(x=20)合金を母材料として用いた場合には、酸化処理を施した後の磁気抵抗効果MRと、面積抵抗RAとして以下の値が得られた。

相分離層9の材料 MR RA
Al80Ag20(酸化処理あり)4.5% 0.17Ωμm

AlAg合金においては、Agの割合が1%未満では、高導電相の領域が大幅に少ないので1平方ミクロン当りの面積抵抗RAが1Ωμm以上に増大してしまい、TMRと同様な高抵抗に起因するノイズや周波数応答性が低下してしまう。一方、Agの割合が40%を越えると、高導電相の領域が広すぎて電流狭窄効果がもはや得られず、Cu等の金属中間層を用いた場合と同様な低R、低ARとなってしまう。その組成xは、1原子%〜40原子%Agの範囲内とすることが望ましく、その最適組成は、必要とされる磁気抵抗効果MRや抵抗値Rによって適宜決定することができる。また、Alをマグネシウム(Mg)やシリコン(Si)ならびにマンガン(Mn)に置換した母材を用いた場合についても調べたが、MRやRに多少の差が見られるもの、その効果や断面TEMでの組織は、Alの場合と同様の傾向が見られた。
さらに、図10に例示した如く、このAl−Ag合金相分離層とCr−Cu合金を母材料とした相分離層とを組み合せた相分離層を用いても、Al−Ag合金のAgとCr−Cu合金のCuが電流パスの役目を担い同様の効果が得られた。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例として、アルミニウム(Al)−金(Au)系のスピノーダル分解を利用した磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においても、図1に表した磁気抵抗効果素子を製作した。但し、本実施例においては、磁化固着層4をいわゆる「シンセティック構造」とした。
また、本実施例の作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。ただし、相分離層9の形成にあたっては、成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射しながら形成した。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.2)78Cr22(2)/10nmPtMn(3)/2.5nmCoFe(4)/0.9nmRu(4)/2.5nmCoFe(4)/0.2nmCu(5A))/0.8nmAlAu合金(9)/0.2nmCu(5B)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

相分離層9の母材料として、Al90Au10合金を用いた場合の磁気抵抗効果MRと面積抵抗Rは、如くであった。

MR RA
酸化処理あり 7.5% 0.18Ωμm

また、Al100−xAu合金の組成x=0、5、10、20、40原子%とした相分離層9の酸化処理の有無の試料について、断面TEM観察でその結晶性を調べた。処理なしの場合、スピノーダル分解に伴うAlと幅約1.5nmAuの相分離が不明確ではあるが確認された。一方、処理有りの場合、処理なしと同様にスピノーダル分解に伴うAlと幅約1.5nmAuの相分離が明確に確認され、また、それぞれの相について酸素分析を行った結果、ほとんどの酸素がAl部分に存在していることも合わせて確認できた。
このことから、スピノーダル分解と酸化処理によって、相分離層は導電性の高い純金属のAuとAlに近い酸化物絶縁体に分離して存在しているとともに、スピノーダル分解によってそれぞれの相がきれいに膜面内で分布していることが平面TEMでも確認され、そのAu相の占有面積が大体10%前後であった。
また、Al80Au20合金(x=20)を母材料とした場合には、磁気抵抗効果MRと面積抵抗RAは以下の如くであった。

MR RA
酸化処理あり 5.5% 0.13Ωμm

このようにAlAu合金においても、Auの割合が1%未満では、高導電相の領域が大幅に少ないので1平方ミクロン当りの面積抵抗RAが1Ωμm以上に増大してしまい、TMRと同様な高抵抗に起因するノイズや周波数応答性が低下してしまう。一方、Auの割合が40%を越えると、高導電相の領域が広すぎて電流狭窄効果がもはや得られず、Cu等の金属中間層を用いた場合と同様な低R、低ARとなってしまう。
また、Alの一部をマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ボロン(B)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、ガリウム(Ga)で置換した場合も調べたが、その置換量にもよるがほぼ同様な効果が得られた。
実際のヘッドへの適用を考えると、その組成は1原子%〜40原子%Auの範囲において、必要とされる磁気抵抗効果MRや抵抗値Rによって適宜決めることができる。
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例として、銅(Cu)−ニッケル(Ni)−鉄(Fe)系のスピノーダル分解を利用した磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においても、図1と類似した断面構造を有する磁気抵抗効果素子を製作した。但し、界面調節層5Bは設けなかった。また、本実施例においては、磁化固着層4をいわゆる「シンセティック構造」とした。
本実施例の作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.2)78Cr22(2)/10nmPtMn(3)/2.5nmCoFe(4)/0.9nmRu(4)/2.5nmCoFe(4)/0.8nmCuNiFe合金(9)/2.0nmCu(5)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

ここで、相分離層9の母材料として用いたCuNiFe合金は、組成式がCu(Ni1−yFe100−x(原子%)で表され、x=0.5、1、10、20、50、60、y=0、0.2、0.5、0.7とした。また、相分離層9と磁化自由層6との間に、2.0nmCuからなる磁気結合遮断層5を挿入した。この磁気結合遮断層5は、CuNiFe合金からなる相分離層9と磁化自由層6との間の磁気的なカップリングを遮断する程度の厚さが必要であり、その最適膜厚は、1〜3nm程度が望ましい。
また、相分離層9の形成にあたっては、成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射しながら堆積した。
比較のために、相分離層9の代わりに、Cu20(Ni0.8Fe0.280(原子%)の組成の合金層を設けた磁気抵抗効果素子も作成した。
素子の形成後に、真空中で、5キロエルステッド(kOe)の磁界を印加して300℃で10時間の熱処理を施した。
また、これらの磁気抵抗効果素子について磁気抵抗効果MRと抵抗値Rを調べたところ、x=0.1、60としたもの、y=0.7としたものを除いて磁気抵抗効果MRが3〜10%で、抵抗値Rも0.15〜1.0[Ω]と良好な特性であった。これに対して、x=5、60としたもの、y=0.7としたものは、MRが0.5%以下であり、そのRAも非常に小さくて、実用に向かない特性であることが分かった。そして、磁気遮断層5としてCu以外の、Au、Ag、Pt、Pd、Ir、及びOs等についても調べたが、ほぼ同様の磁気遮断効果が確認された。
また一方、本実施例においては、磁化固着層4が若干酸化しても、磁気抵抗効果素子の特性の劣化がほとんど見られないことも分かった。
さらにまた、磁気結合遮断層5を形成しない場合の磁気抵抗効果素子を作成したが、若干の磁性を有する相分離層9の影響で、磁化自由層6の磁界応答性が悪くなり、そのためMR感度が低下した。
以上の結果から、スピノーダル分解とNi−Fe相の酸化を両立する組成領域の合金を相分離層9の母材料と、磁気結合遮断層5を用いることで、良好な特性の磁気抵抗効果素子を提供することが可能となることが分かった。
さらにまた、Cu(Ni1−yFe100−x(原子%)の組成式において、Fe部分をCoに置き換えた合金を用いた磁気抵抗効果素子についても一部調べたが、Cu(Ni1−yFe100−x(原子%)とほぼ同様の結果が得られた。
さらに、図10に例示した如く、このCu(Ni1−yFe100−x(原子%)相分離層と、Al−Ag合金を母材料として用いた相分離層とを組み合わせた相分離層を用いても同様な効果が得られた。
(第4の実施例)
次に、本発明の第4の実施例として、磁化2層の相分離層を設けた磁気抵抗効果素子について説明する。
図17及び図18は、本実施例の磁気抵抗効果素子の断面構造を表す模式図である。同図についても、図1乃至図16に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、図17の構造においては、スペーサー層の部分のみならず、磁化固着層4の中にも相分離層9が挿入されている。
また、図18の構造においては、スペーサー層の部分のみならず、磁化自由層6の中にも相分離層9が挿入されている。
本実施例の作成方法も、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。図17に表した磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図17に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.2)78Cr22(2)/10nmPtMn(3)/2nmCoFe(4)/0.5nmCuNiFe合金(9)/2.5nmCoFe(4)/0.5nmCu(5)/0.8nmCuNiFe合金(9)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

また、図18に表した磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図18に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.2)78Cr22(2)/10nmPtMn(3)/4nmCoFe(4)/0.2nmCu(5)/0.8nmCuNiFe合金(9)/1nmCu(5)/1nmCoFe(6)/0.3nmAlAg合金(9)/3nmNiFe
(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

いずれの素子についても、作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。ただし、磁化固着層4と磁化自由層6との間の磁気相分離層9は成膜後に、酸素イオンを含んだイオンビームを照射することにより酸化して形成した。また、磁化固着層4と磁化自由層6の中に挿入した相分離層9は、成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射しながら形成した。
また、相分離層9の母材料であるCuNiFeは、組成式がCu(Ni100−yFe100−x(原子%)で表され、組成x=1、10、20、50、y=0、0.2、0.5からなり、AlAg合金は、Al90Ag10(原子%)からそれぞれ形成されている。
試料作製後に真空中で5(kOe)の磁界を印加して300℃で10時間の熱処理を施した。
このようにして作成した磁気抵抗効果素子の特性を評価した結果、第3実施例と概ね同程度の良好な磁気抵抗変化MR及び抵抗値Rが得られた。また、図17の構造と図18の構造のいずれについても、同程度の良好な特性が得られた。
一方、相分離層9の母材料として、Al90Au10を用いたところ、やはり同様の良好な特性が得られた。
(第5の実施例)
次に、本発明の第5の実施例として、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた磁気抵抗効果素子について説明する。
図19は、本実施例の磁気抵抗効果素子の断面構造を表す模式図である。同図についても、図1乃至図18に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例の構造は、基板電極1の側からみて、磁化自由層6が下側に設けられた、いわゆる「トップ型」の積層構造を有する。そして、この積層構造において、スペーサー層の部分には、相分離層9−3と9−4が設けられ、また、電極1と磁化自由層6との間にも相分離層9−1と9−2が挿入されている。
本実施例の磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図19に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/3nmTa(2)/200nmCu(2)/2nmAl70Ag30合金(9−1)/0.8nmCr80Cu20合金(9−2)/4nmCo90Fe10(6)/1nmAl70Cu30合金(9−3)/1nmCu20Ni40Co20合金(9−4)/0.5nmCu(5)/4nmCo90Fe10(4)/15nmPtMn(3)/2nmRu(7)/200nmCu(8)

また、本実施例の作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。相分離層9−1、9−2、9−3の酸化処理としては、母材料を成膜後にRF50ワット(W)で加速電圧100ボルト(V)のビームエネルギーで流量4SCCMの酸素を酸素ラジカルにして約30秒照射した。但し、相分離層9−4のCuNiCo合金については、母材料の堆積後に低エネルギーのArイオン照射でスピノーダル分解を促進した後に、上述したものと同様の方法でRFパワーを70Wにて酸化処理を施した。
このような膜構成で作製した素子の熱処理後の磁気特性は、1平方ミクロン面積あたりの面積抵抗が350(mΩ・μm)、磁気抵抗変化率が5.5%であり良好な特性が得られ、実際のヘッドへの適応が十分可能な磁化抵抗効果素子であることが確認された。
(第6の実施例)
次に、本発明の第6の実施例として、第5実施例と同様に、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた磁気抵抗効果素子について説明する。
図20は、本実施例の磁気抵抗効果素子の断面構造を表す模式図である。同図についても、図1乃至図19に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例の構造は、基板電極1の側からみて、磁化固着層4が下側に設けられた、いわゆる「ボトム型」の積層構造を有する。そして、この積層構造においても、スペーサー層の部分に相分離層9−1と9−2が設けられ、磁化自由層6と電極8との間にも相分離層9−3と9−4が挿入されている。
本実施例の磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図20に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/2nmRu(2)/15nmPtMn(3)/4nmCo90Fe10(4)/1nmCuNiFe合金(9−1)/0.7nmAl70Cu30合金(9−2)/0.2nmCu(5)/4nmCo90Fe10(6)/0.5nmAl80Au20合金(9−3)/1nmAl70Cu30合金(9−4)/200nmCu(8)

また、本実施例の作成方法は、第5実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。
このような膜構成で作製した素子の熱処理後の磁気特性は、1平方ミクロン面積あたりの面積抵抗が250(mΩ・μm)、磁気ヘッド出力に相当する1平方ミクロン面積あたりの面積抵抗変化量(AΔR)が25(mΩ・μm)と非常に大きく、実際のヘッドへの適応が十分可能な磁化抵抗効果素子であることが確認された。
(第7の実施例)
次に、本発明の第7の実施例として、アルミニウム(Al)−銀(Ag)−タンタル(Ta)系とアルミニウム(Al)−銅(Cu)系をそれぞれ用いた磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においても、図1に表した磁気抵抗効果素子を製作した。但し、本実施例においては、磁化固着層4をいわゆる「シンセティック構造」とした。
また、本実施例の作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。ただし、相分離層9の形成にあたっては、成膜後に加速電圧50Vで投入電力50Wのアルゴンイオンを照射して相分離を行い、次いでと酸素イオンを含んだイオンビームを照射しながら酸化処理した。更に、磁気抵抗効果効果素子形成後、磁気特性を向上するために270℃−10時間の磁界中熱処理を施した。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.2)78Cr22(2)/10nmPtMn(3)/3.5nmCoFe(4)/1.0nmRu(4)/3.5nmCoFe(4)/0.2nmCu(5A))/1.1nmAlAgTa合金(9)/0.5nmCu(5B)/3.5nmCoFe(6)/2nmRu(7)/200nmCu(8)

相分離層9の母材料として、(Al80Ta2080Ag20合金を用いた。
この磁気抵抗効果素子を作成するにあたり、(Al80Ta2080Ag20合金の相分離層9と同一条件でSi基板(1)/5nmTa(2)/10nmPtMn(3)/3.5nmCoFe(4)上に0.2nmCu(5A))/1.1nmAlAgTa合金(9)を2回積層し熱処理を施した試料を形成し、この相分離層9の形態を平面TEMならびに断面TEM、組成ならびにその分布をSIMS(Secondary ion mass spectroscopy :二次イオン質量分析法)で調べた。
その結果、相分離層9の形態は、図8に示した模式図に近い構造であった。具体的には、平面TEMとSIMSからスピノーダル分解した粒径が2から3nmの純度が高い銀(Ag)相9B(D2)とAlに近い酸化物絶縁体相9A(D1)ならびにTaに近い酸化物絶縁体相9A(D2)が形成されており、断面TEMから高い銀(Ag)相9Bは膜厚方向に柱状であることから良好な電流パスが形成されていることが合わせて確認された。
また、同様の層構造で、相分離層9の母材料をAl−Cu合金としたサンプルを作成して評価した結果、AlAgTaを用いた場合と類似した相分離構造が観察された。Al−Cu系合金は、Al70Cu30 の組成領域において相分離を生ずる。従って、母材料(9)としてAl70Cu30 を用いてもよいが、上下に積層されるCu層(4)からCuが相分離層(9)に拡散するので、母材料の組成としては、Al70Cu30 よりもCuの組成が低いものを用いてもよい。
このような膜構成で作製した素子の熱処理後の磁気特性は、Al−Ag−Taを用いたサンプルでもAl−Cuを用いたサンプルでも、単位面積あたりの電気抵抗が250(mΩ・μm)、磁気抵抗変化率が6.5%であり良好な特性が得られ、実際のヘッドへの適応が十分可能な磁化抵抗効果素子であることが確認された。
(第8の実施例)
次に、本発明の第8の実施例として、鉄(Fe)−マグネシウム(Mg)系合金の相分離を利用した磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においても、図1に表したものと同様の積層構造を有する磁気抵抗効果素子を製作した。但し、本実施例においては、磁化固着層4をいわゆる「シンセティック構造」とした。
また、本実施例の作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。ただし、相分離層9の形成にあたっては、成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射しながら形成した。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.278Cr22(2)/10nmPtMn(3)/2.5nmCoFe(4)/0.9nmRu(4)/2.5nmCoFe(4)/0.5nmCu(5A))/1.0nmFeMg合金(9)/1.0nmCu(5B)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

相分離層9の母材料として、Mg90Fe10合金を用いた場合の磁気抵抗効果MRと面積抵抗RAは、如くであった。

MR RA
酸化処理あり 8.0% 0.25Ωμm

また、Mg100−xFe合金の組成x=0、5、10、20、40原子%とした相分離層9の酸化処理の有無について、それぞれの試料を作成し、断面TEM観察でその結晶性を調べた。酸化処理なしの場合、相分解に伴うMgと幅約2nmFeの相分離が不明確ではあるが確認された。一方、酸化処理有りの場合も、処理なしと同様に相分解に伴うMgと幅約2nmFeの相分離が明確に確認され、また、それぞれの相について酸素含有量の分析を行った結果、Fe相に若干の酸素が見られるものの、ほとんどの酸素がMg相の部分に存在していることが確認できた。
すなわち、スピノーダル分解と酸化処理によって、相分離層9は導電性の高い純金属のFe相とMgOに近い酸化物絶縁体相とに相分離していることが確認できた。また、平面TEM観察の結果、スピノーダル分解によってそれぞれの相がきれいに膜面内で分離して分布しており、そのFe相の占有面積は大体10%前後であることが分かった。
一方、Mg80Fe20合金(x=20)を母材料とした場合には、磁気抵抗効果MRと面積抵抗RAは以下の如くであった。

MR RA
酸化処理あり 6.5% 0.2Ωμm

また、FeMg系合金においても、Feの割合が1%未満では、高導電相の領域が大幅に少ないので1平方ミクロン当りの面積抵抗RAが1Ωμm以上に増大してしまい、TMRと同様な高抵抗に起因するノイズや周波数応答性が低下してしまう。
一方、Feの割合が40%を越えると、高導電相の領域が広すぎて電流狭窄効果がもはや得られず、Cu等の金属中間層を用いた場合と同様にRとARともに低下してしまう。 従って、Feの組成を1原子%〜40原子%の範囲内とすることが望ましい。
また、FeMg合金のMgの一部をアルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ボロン(B)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)またはガリウム(Ga)で置換した合金系、ならびに、Feの一部をニッケル(Ni)またはコバルト(Co)で置換した合金系についても調べた結果、置換量を適宜調整することにより、ほぼ同様な効果が得られることが判明した。
また一方、FeMg合金のMgの代わりにモリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、アルミニウム(Al)またはシリコン(Si)を用いた場合においても同様の効果が得られた。
実際の磁気ヘッドへの適用を考えると、FeMg系合金におけるFeの組成は1原子%〜40原子%の範囲において、必要とされる磁気抵抗効果MRや抵抗値Rに応じて適宜決めることができる。
(第9の実施例)
次に、本発明の第9の実施例として、アルミニウム(Al)−ニッケル(Ni)系合金の相分離を利用した磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においても、図1と類似した断面構造を有する磁気抵抗効果素子を製作した。ただし、界面調節層5Bは設けなかった。また、本実施例においては、磁化固着層4をいわゆる「シンセティック構造」とした。
本実施例の作成方法も、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.278Cr22(2)/10nmPtMn(3)/2.5nmCoFe(4)/0.9nmRu(4)/2.5nmCoFe(4)/1.2nmAlNi合金(9)/2.0nmCu(5)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

ここで、相分離層9の母材料として用いたAlNi合金は、組成式がAl100−xNi(原子%)で表され、x=0.5、1、10、20、50、60、とした。また、相分離層9と磁化自由層6との間に、2.0nmCuからなる磁気結合遮断層5を挿入した。この磁気結合遮断層5は、AlNi合金からなる相分離層9と磁化自由層6との間の磁気的なカップリングを遮断する程度の厚さが必要であり、その最適膜厚は、1〜3nm程度が望ましい。
また、相分離層9の形成にあたっては、成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射しながら堆積した。
素子の形成後に、真空中で、5キロエルステッド(kOe)の磁界を印加して300℃で10時間の熱処理を施した。
また、これらの磁気抵抗効果素子について磁気抵抗効果MRと抵抗値Rを調べたところ、x=0.1、60としたものを除いて磁気抵抗効果MRが3〜10%で、抵抗値Rも0.15〜1.0[Ω]と良好な特性であった。これに対して、x=5、60としたものは、MRが0.5%以下であり、そのAΔRも非常に小さくて、実用に向かない特性であることが分かった。磁気結合遮断層6の材料として、Cu以外に、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、及びオスミウム(Os)についても調べた結果、ほぼ同様の磁気遮断効果が確認された。
また一方、本実施例においては、磁化固着層4が若干酸化しても、磁気抵抗効果素子の特性の劣化がほとんど見られないことも分かった。
さらにまた、磁気結合遮断層5を形成しない構造の磁気抵抗効果素子を作成したが、若干の磁性を有する相分離層9の影響で、磁化自由層6の磁界応答性が悪くなり、そのためMR感度が低下した。
以上の結果から、スピノーダル分解とAl−Ni相の酸化とを両立する組成領域の合金を母材料とした相分離層9を用い、さらに、磁気結合遮断層5を設けることで、良好な特性の磁気抵抗効果素子を提供することが可能となることが分かった。
さらにまた、組成式 Al100−xNi(原子%)により表される合金系において、Ni部分をCoやFeに置き換えた合金を用いた磁気抵抗効果素子についても調べたが、Al100−xNi(原子%)とほぼ同様の結果が得られた。
また、Alの代わりにモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)またはシリコン(Si)を用いた場合も、Alと同様の効果が得られた。
さらに、図10に例示した如く、このAl100−xNi(原子%)系合金からなる相分離層と、Al−Ag合金を母材料として得られる相分離層とを組み合わせた相分離層を用いても同様な効果が得られた。
(第10の実施例)
次に、本発明の第10の実施例として、アルミニウム(Al)−コバルト(Co)系合金の相分離を利用した磁気抵抗効果素子について説明する。
本実施例においても、図1と類似した断面構造を有する磁気抵抗効果素子を製作した。但し、界面調節層5Bは設けなかった。また、本実施例においても、磁化固着層4をいわゆる「シンセティック構造」とした。
本実施例の作成方法も、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図1に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si基板(1)/5nmTa(2)/200nmCu(2)/5nm(Ni0.8Fe0.278Cr22(2)/10nmPtMn(3)/2.5nmCoFe(4)/0.9nmRu(4)/2.5nmCoFe(4)/1.0nmAlCo合金(9)/2.0nmCu(5)/3nmCoFe(6)/2nmTa(7)/200nmCu(8)

ここで、相分離層9の母材料として用いたAlCo合金は、組成式がAl100−xCo(原子%)で表され、x=0.5、1、10、20、50、60、とした。また、相分離層9と磁化自由層6との間に、2.0nmCuからなる磁気結合遮断層5を挿入した。この磁気結合遮断層5は、AlCo合金からなる相分離層9と磁化自由層6との間の磁気的なカップリングを遮断する程度の厚さが必要であり、その最適膜厚は、1〜3nm程度が望ましい。
また、相分離層9の形成にあたっては、成膜と同時に酸素イオンを含んだイオンビームを基板上に照射しながら堆積した。
素子の形成後に、真空中で、10キロエルステッド(kOe)の磁界を印加して300℃で10時間の熱処理を施した。
また、これらの磁気抵抗効果素子について磁気抵抗効果MRと抵抗値Rを調べたところ、x=0.1、60としたものを除いて磁気抵抗効果MRが3〜10%で、抵抗値Rも0.15〜1.0[Ω]と良好な特性であった。これに対して、x=5、60としたものは、MRが0.5%以下であり、そのAΔRも非常に小さくて、実用に向かない特性であることが分かった。そして、磁気遮断層5としてCu以外の、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)についても調べた結果、ほぼ同様の磁気遮断効果が確認された。
また一方、本実施例においては、磁化固着層4が若干酸化しても、磁気抵抗効果素子の特性の劣化がほとんど見られないことも分かった。
さらにまた、磁気結合遮断層5を設けない構造の磁気抵抗効果素子を作成したが、若干の磁性を有する相分離層9の影響で、磁化自由層6の磁界応答性が悪くなり、そのためMR感度が低下した。
以上の結果から、スピノーダル分解とAl−Co相の酸化を両立する組成領域の合金を母材料とした相分離層9を用い、さらに、磁気結合遮断層5を設けることで、良好な特性の磁気抵抗効果素子を提供することが可能となることが分かった。
さらにまた、組成式 Al100−xCo(原子%)により表される合金系において、Co部分をNiやFeに置き換えた合金を用いた磁気抵抗効果素子についても調べた結果、Al100−xCo(原子%)とほぼ同様の結果が得られた。
また、Alの代わりにモリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ボロン(B)、クロム(Cr)またはバナジウム(V)を用いた場合も、Alと同様の効果が得られた。
(第11の実施例)
次に、本発明の第11の実施例として、相分離層として組成式 Al100−xAgにより表されるAlAg系合金を用いた場合の「スペキュラリティーdGs」を、以下に示す膜構成で膜面内の磁気抵抗変化率(CIP−MR)と膜の比抵抗(Rs)から算出した。スペキュラリティーdGs(1/Ω)は、電子の鏡面反射率を表す一つの指標であり、CIP型MRではこの値が大きくなるほどMR変化率も大きくなる傾向にある。また、スペキュラリティーdGsは、膜構成によってその絶対値は若干異なるが、その傾向(例えば、電子反射層の膜質の優越など)が大きく異なることは少ない。

基板/Ta5/Ru2/PtMn15/CoFe2/Ru1.0/CoFe2/Cu2.5/CoFe2/Cu0.2/Al100−xAg1.0/Cu0.2/Ru2(元素記号の後の数字は膜厚を表し、その単位はナノメートルである。)

相分離層を構成する合金系 Al100−xAgにおける組成xは、0、2、10、20、30、40、50の範囲であり、膜形成後に270℃で10時間の磁界中熱処理を施した。得られた磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化率を測定し、スペキュラリティーdGsを評価した。
図21は、スペキュラリティーdGs(×10−3: 1/Ω)と組成xとの関係を表すグラフ図である。
同図から分かるように、アルミニウム(Al)に対する銀(Ag)の添加量をゼロから2原子%と微量添加するだけで、スペキュラリティーdGs(×10−3: 1/Ω)は2.1から3.1へと大きく増加する。アルミニウム(Al)に対する銀(Ag)の添加量をさらに増加すると、このAl−Ag系合金で最もスピノーダル分解し易い組成領域である20原子%付近において、スペキュラリティーdGs(×10−3: 1/Ω)は約4.3とピークとなる。銀(Ag)の添加量をさらに増加すると、スペキュラリティーdGsは再び減少し、40原子%を超えると、スペキュラリティーdGsは3.0(×10−3: 1/Ω)以下となる。
スペキュラリティーdGsが、組成xに対してこのように変化するAl−Ag系相分離材料に対して、酸化処理やイオン照射等によって更なる相分離を促進させ、低抵抗相を形成してCPP型素子を作成すると、第1の実施例として前述したような素子特性が得られる。つまり、CIP型のMR素子を用いて酸化処理や相分離処理を施さない状態でのスペキュラリティーdGsとMRの組成xに対する依存性を調べた結果と、CPP型の素子を用いてMRとRAの組成xに対する依存性を調べた結果とは、概ね一致した。
本発明者の試作検討の結果によれば、上述の方法によりスペキュラリティーdGsが3.0(×10−3: 1/Ω)以上を示す組成範囲の材料をCPP素子の電流狭窄層として用いることで特性の優れた素子が得られる傾向が見られた。
(第12の実施例)
次に、本発明の第12の実施例として、一対の強磁性層の間に磁性を有する相分離層を設けることにより形成されたBMR(ballistic magnetoresistance effect)型の抵抗効果素子について説明する。
図22は、本実施例において製作した磁気抵抗効果素子の要部断面構造を表す模式図である。本実施例の作成方法は、第1実施例に関して前述した方法と概ね同様とした。磁気抵抗効果素子を構成する各層の膜厚と材料は、以下の如くである。なお、図22に表した符号を、対応する各層にカッコ書きで付した。

Si(1)/100nmSiO(1)/10nmTa(2)/200nmCu(2)/5nmTa(2)/2.5nmCoFe(6)/1.5nmNi0.8Fe0.2(6)/5nmAl0.8Ni0.2(9)/3nmCo0.9Fe0.1(4)/15nmPtMn(3)/5nmTa(8)/200nmCu(8)/100Au(8)

積層構造の形成後に、真空中で、10キロエルステッド(kOe)の磁界を印加して300℃で10時間の熱処理を施した。
相分離ならびに酸化処理等を施さなかったAl−Ni層を形成した素子も比較のために作製して、その素子特性も合わせて評価した。
この素子のMR変化率をプラスマイナス500エルステッドの磁場で測定したところ、相分離ならびに酸化処理を施した本実施例のMRは約20%と大きなMR変化率を示したの対して、これらの処理を施さなかった比較例の試料のMR変化率は2%以下であり、本発明によりMR変化率が大幅に増加したことが確認された。この大幅なMR変化率の増加の理由として、設けた相分離層9の磁性元素であるニッケル(Ni)あるいは、ニッケルリッチの相が上下の磁性層4、6と微小面積で接したことによりBMRが発現したものと考えられる。
なお、本実施例の素子の断面TEMを観察したところ、不鮮明ではあるがNiと思われる格子像が上下磁性層間につながっているような像が見られ、このことからBMRが発現したものと考えられる。
(第13の実施例)
次に、本発明の第13の実施例として、本発明の磁気抵抗効果素子を搭載した磁気再生装置について説明する。すなわち、図1乃至図22に関して以上説明した本発明の実施形態の磁気抵抗効果素子あるいは磁気ヘッドは、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込まれ、磁気記録再生装置に搭載することができる。
図23は、このような磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の実施形態の磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。同図において、記録用媒体ディスク200は、スピンドル152に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方向に回転する。本発明の実施形態の磁気記録再生装置150は、複数の媒体ディスク200を備えたものとしてもよい。
媒体ディスク200に格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は、薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ここで、ヘッドスライダ153は、例えば、前述したいずれかの実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子あるいは磁気ヘッドをその先端付近に搭載している。
媒体ディスク200が回転すると、ヘッドスライダ153の媒体対向面(ABS)は媒体ディスク200の表面から所定の浮上量をもって保持される。あるいはスライダが媒体ディスク200と接触するいわゆる「接触走行型」であってもよい。
サスペンション154は、図示しない駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
アクチュエータアーム155は、スピンドル157の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。
図24は、アクチュエータアーム155から先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた拡大斜視図である。すなわち、磁気ヘッドアッセンブリ160は、例えば駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155を有し、アクチュエータアーム155の一端にはサスペンション154が接続されている。
サスペンション154の先端には、図1乃至図22に関して前述したいずれかの磁気抵抗効果素子を具備するヘッドスライダ153が取り付けられている。サスペンション154は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164を有し、このリード線164とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。図中165は磁気ヘッドアッセンブリ160の電極パッドである。
本実施形態によれば、図1乃至図22に関して前述したような本発明の実施形態の磁気抵抗効果素子を具備することにより、従来よりも高い記録密度で媒体ディスク200に磁気的に記録された情報を確実に読み取ることが可能となる。
(第14の実施例)
次に、本発明の第14の実施例として、本発明の実施形態の磁気抵抗効果素子を搭載した磁気メモリについて説明する。すなわち、図1乃至図22に関して説明した本発明の実施形態の磁気抵抗効果素子を用いて、例えば、メモリセルがマトリクス状に配置されたランダムアクセス磁気メモリ(magnetic random access memory)などの磁気メモリを実現できる。
図25は、本実施例の磁気メモリのマトリクス構成を例示する概念図である。
すなわち、同図は、メモリセルをアレイ状に配置した場合の実施形態の回路構成を示す。アレイ中の1ビットを選択するために、列デコーダ350、行デコーダ351が備えられており、ビット線334とワード線332によりスイッチングトランジスタ330がオンになり一意に選択され、センスアンプ352で検出することにより磁気抵抗効果素子321を構成する磁気記録層に記録されたビット情報を読み出すことができる。
ビット情報を書き込むときは、特定の書込みワード線323とビット線322に書き込み電流を流して発生する磁場により行われる。
図26は、本実施例の磁気メモリのマトリクス構成のもうひとつの具体例を表す概念図である。すなわち、本具体例の場合、マトリクス状に配線されたビット線322とワード線334とが、それぞれデコーダ360、361により選択されて、アレイ中の特定のメモリセルが選択される。それぞれのメモリセルは、磁気抵抗効果素子321とダイオードDとが直列に接続された構造を有する。ここで、ダイオードDは、選択された磁気抵抗効果素子321以外のメモリセルにおいてセンス電流が迂回することを防止する役割を有する。
書き込みは、特定のビット線322と書き込みワード線323とにそれぞれに書き込み電流を流して発生する磁場により行われる。
図27は、本発明の実施の形態にかかる磁気メモリの要部断面構造を表す概念図である。また、図28は、図27のA−A’線断面図である。
すなわち、これらの図に表した構造は、図25に例示した磁気メモリに含まれるひとつのメモリセルに対応する。つまり、ランダムアクセスメモリとして動作する磁気メモリの1ビット部分のメモリセルである。このメモリセルは、記憶素子部分311とアドレス選択用トランジスタ部分312とを有する。
記憶素子部分311は、磁気抵抗効果素子321と、これに接続された一対の配線322、324とを有する。磁気抵抗効果素子321は、図1〜図22に関して前述したような本発明の実施形態の磁気抵抗効果素子である。
ビット情報読み出しの際には磁気抵抗効果素子321にセンス電流を流してその抵抗変化を検出すればよい。
一方、選択用トランジスタ部分312には、ビア326及び埋め込み配線328を介して接続されたトランジスタ330が設けられている。このトランジスタ330は、ゲート332に印加される電圧に応じてスイッチング動作をし、磁気抵抗効果素子321と配線334との電流経路の開閉を制御する。
また、磁気抵抗効果素子321の下方には、書き込み配線323が、配線322と略直交する方向に設けられている。これら書き込み配線322、323は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)あるいはこれらいずれかを含む合金により形成することができる。
このような構成のメモリセルにおいて、ビット情報を磁気抵抗効果素子321に書き込むときは、配線322、323に書き込みパルス電流を流し、それら電流により誘起される合成磁場を印加することにより磁気抵抗効果素子の記録層の磁化を適宜反転させる。
また、ビット情報を読み出すときは、配線322と、磁気記録層を含む磁気抵抗効果素子321と、下部電極324とを通してセンス電流を流し、磁気抵抗効果素子321の抵抗値または抵抗値の変化を測定することにより行われる。
本具体例の磁気メモリは、図1〜図22に関して前述したような磁気抵抗効果素子を用いることにより、安定した磁気抵抗変化率が得られる。その結果として、セルサイズを微細化しても、記録層の磁区を確実に制御して確実な書き込みが確保され、且つ、読み出しも確実に行うことができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気抵抗効果膜の具体的な構造や、その他、電極、バイアス印加膜、絶縁膜などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる。
例えば、磁気抵抗効果素子を再生用磁気ヘッドに適用する際に、素子の上下に磁気シールドを付与することにより、磁気ヘッドの検出分解能を規定することができる。
また、本発明は、長手磁気記録方式のみならず垂直磁気記録方式の磁気ヘッドあるいは磁気再生装置についても同様に適用して同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明の磁気再生装置は、特定の記録媒体を定常的に備えたいわゆる固定式のものでも良く、一方、記録媒体が差し替え可能ないわゆる「リムーバブル」方式のものでも良い。
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気ヘッド及び磁気記憶再生装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記憶再生装置及び磁気メモリも同様に本発明の範囲に属する。
本発明の第1の実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。 相分離層9がセンス電流を狭窄する様子を概念的に表す説明図である。 相分離層9の平面的な構成の具体例を表す概念図である。 本発明の実施の形態における相分離層9の形成プロセスの一部を表すフローチャートである。 相分離層9の平面的な構造の変化を例示する概念図である。 相分離層9を形成するもうひとつの方法を表すフローチャートである。 母材料の酸化物が残留したもうひとつの例を表す概念図である。 スピノーダル分解を生じさせる分解プロセスS2として、イオンビームを照射する方法を表す概念図である。 スピノーダル分解後の断面TEM像の模式図とその元素分析のプロファイルを模式的に示した図である。 積層構造を有する相分離層9の断面構造を例示する模式図である。 本発明の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。 本発明の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。 相分離層の制限視野電子線回折像である。 相分離層のTEM像である。 相分離層の制限視野電子線回折像である。 相分離層のHAADF像である。 本発明の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。 本発明の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。 本発明の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。 本発明の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する模式図である。 組成xとスペキュラリティーdGs(×10−3: 1/Ω)との関係を表すグラフ図である。 BMR型の磁気抵抗効果素子の実施例を表す模式断面図である。 本発明の実施形態の磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。 アクチュエータアーム155から先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた拡大斜視図である。 本発明の実施形態の磁気メモリのマトリクス構成を例示する概念図である。 本発明の実施形態の磁気メモリのマトリクス構成のもうひとつの具体例を表す概念図である。 本発明の実施の形態にかかる磁気メモリの要部断面構造を表す概念図である。 図21のA−A’線断面図である。 スピンバルブ膜の概略断面構造を例示する概念図である。
符号の説明
1 基板電極
2 下地層
3 反強磁性層
4 磁化固着層
5、5A 磁気結合遮断層
5B 界面調整相分離層
6 磁化自由層
7 保護層
8 上部電極
9 相分離層
10 中間層
150 磁気記録再生装置
152 スピンドル
153 ヘッドスライダ
154 サスペンション
155 アクチュエータアーム
156 ボイスコイルモータ
157 スピンドル
160 磁気ヘッドアッセンブリ
164 リード線
200 磁気記録媒体ディスク
311 記憶素子部分
312 アドレス選択用トランジスタ部分
312 選択用トランジスタ部分
321 磁気抵抗効果素子
322 ビット線
322 配線
323 ワード線
323 配線
324 下部電極
326 ビア
328 配線
330 スイッチングトランジスタ
332 ゲート
332 ワード線
334 ビット線
334 ワード線
350 列デコーダ
351 行デコーダ
352 センスアンプ
360 デコーダ

Claims (20)

  1. 磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層と、を有する磁気抵抗効果膜と、
    前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、
    複数種の元素からなる合金が固相内分離した第1及び第2の相を有し、前記第1及び第2の相の一方は他方よりも酸素、窒素、フッ素、及び炭素よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を高い濃度で含有する、前記一対の電極間に形成された相分離層と、
    を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記複数種の元素からなる合金は、銀、金、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム及び銅よりなる第1の群から選択されたいずれか少なくとも一つの元素と、ニッケル、鉄及びコバルトよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第1の群から選択された元素をMとして組成式 M(Ni100‐y(Fe100‐zCo100‐x により表した場合に、前記第1の群から選択された元素の合計の組成xが1原子%以上で50原子%以下、組成yが0原子%以上で50原子%以下、組成zが0原子%以上で100原子%以下の範囲に含まれる合金、もしくは、組成式 M(Co100‐y(Fe100‐zNi100‐x により表した場合に、組成xが1原子%以上で50原子%以下、組成yが0原子%以上で50原子%以下、組成zが0原子%以上で100原子%以下の範囲に含まれる合金であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記複数種の元素からなる合金は、銀、金、白金、銅、パラジウム、イリジウム及びオスミウムよりなる第1の群から選択された少なくとも一つの元素と、マグネシウム、カルシウム、シリコン、ゲルマニウム、ボロン、タンタル、タングステン、ニオブ、ジルコニウム、チタン、クロム、亜鉛、リチウム及びガリウムよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素と、アルミニウムと、を含む合金であって、
    前記第1の群から選択された元素をM、前記第2の群から選択された元素をQとして組成式 (Al100−y100−x により表した場合に、前記第1の群から選択された元素の合計の組成xが1原子%以上で40原子%以下、前記第2の群から選択された元素の合計の組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲に含まれる合金であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記複数種の元素からなる合金は、銀、金、白金、銅、パラジウム、イリジウム及びオスミウムよりなる第1の群から選択された少なくとも一つの元素と、アルミニウム、カルシウム、シリコン、ゲルマニウム、亜鉛、リチウム及びガリウムよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素と、マグネシウムと、を含む合金であって、
    前記第1の群から選択された元素をM、前記第2の群から選択された元素をQとして組成式 (Mg100−y100−x により表した場合に、前記第1の群から選択された元素の合計の組成xが1原子%以上で40原子%以下、前記第2の群から選択された元素の合計の組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲に含まれる合金であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記複数種の元素からなる合金は、銀、金、白金、銅、パラジウム、イリジウム及びオスミウムよりなる第1の群から選択された少なくとも一つの元素と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ゲルマニウム、亜鉛、リチウム及びガリウムよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素と、シリコンと、を含む合金であって、
    前記第1の群から選択された元素をM、前記第2の群から選択された元素をQとして組成式 (Si100−y100−x により表した場合に、前記第1の群から選択された元素の合計の組成xが1原子%以上で40原子%以下、前記第2の群より選択された元素の合計の組成yが0原子%以上で30原子%以下の範囲に含まれる合金であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第1及び第2の相の前記他方は、前記一方よりも磁性元素を高い濃度で含有することを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記第1及び第2の相の前記他方は、前記一方の相の中に点在し、前記第1の強磁性層と前記第2の強磁性層とを接続する磁性領域を形成してなることを特徴とする請求項6記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記複数種の元素からなる合金は、鉄(Fe)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ボロン、アルミニウム及びシリコンよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xFeにより表した場合に、鉄の組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金であることを特徴とする請求項1、6及び7のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記複数種の元素からなる合金は、ニッケル(Ni)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン、マグネシウム、タングステン、チタン、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ボロン、アルミニウム及びシリコンよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xNiにより表した場合に、ニッケルの組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金であることを特徴とする請求項1、6及び7のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 前記複数種の元素からなる合金は、コバルト(Co)を主成分とした磁性を有する低抵抗相とモリブデン、マグネシウム、タングステン、チタン、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ボロン、アルミニウム、クロム及びバナジウムよりなる第2の群から選択された少なくとも一つの元素とを含む合金であって、前記第2の群から選択された元素をMとして組成式M100−xCoにより表した場合に、コバルトの組成xが1原子%以上で50原子%以下の範囲である合金であることを特徴とする請求項1、6及び7のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 前記相分離層は、第1の合金が前記固相内分離した第1の層と、前記第1の合金とは異なる第2の合金が前記固相内分離した第2の層と、を積層してなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つ記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 前記第1及び第2の相のうちの前記他方の相を前記相分離層の粒径の平均値は、前記相分離層の厚みの0.8倍以上4倍以下であり、隣接する前記他方の相の間隔の平均値は、1nm以上10nm未満の範囲にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 前記第1及び第2の相のうちの前記他方の相どうしの間隔の平均値は、前記第1の強磁性層及び前記第2の強磁性層の結晶粒径の平均値よりも小さいことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  14. 磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層と、を有する磁気抵抗効果膜と、
    前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、
    酸素、窒素、フッ素、及び炭素よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を高い濃度で含有する第1の領域と低い濃度で含有する第2の領域とを有し、前記一対の電極間に形成された第3の磁性層と、
    前記第1または第2の強磁性層と第3の磁性層との間に形成された磁気結合遮断層と、
    を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  15. 磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、
    前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、
    酸素、窒素、フッ素及び炭素よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を高い濃度で含有する第1の領域と低い濃度で含有する第2の領域とを有し、前記一対の電極間に形成された第3の磁性層と、
    前記第1または第2の強磁性層と第3の磁性層との間に形成され、膜厚が1ナノメートル以上3ナノメートル以下の、銅、金、銀、レニウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、クロム、マグネシウム、アルミニウム、ロジウム及び白金よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含有する層と、
    を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  16. 磁化方向が実質的に一方向に固定された第1の強磁性層と、磁化方向が外部磁界に応じて変化する第2の強磁性層と、前記第1及び第2の強磁性層の間に形成された中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略垂直な方向にセンス電流を通電可能とする、前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極と、を有する磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    2種類以上の元素からなる合金層を相分離させて互いに組成が異なる第1及び第2の相を膜面内に分布させる工程を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  17. 酸素、窒素、フッ素及び炭素よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を、前記第1及び第2の相のいずれか一方の相に対して優先的に反応させることを特徴とする請求項16記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  18. 前記元素のプラズマあるいはラジカルを形成し前記反応させることを特徴とする請求項17記載の磁気抵抗効果素子。
  19. 請求項1〜15のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子を備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
  20. 請求項19記載の磁気ヘッドを備え、磁気記録媒体に磁気的に記録された情報の読み取りを可能としたことを特徴とする磁気再生装置。

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