JP2009194398A - 磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トンネルバリアの絶縁破壊寿命と磁気抵抗比を向上させる。
【解決手段】磁気抵抗効果素子は、基板の上方に形成された第1の強磁性層102と、前記第1の強磁性層の上方に形成された第2の強磁性層104と、前記第1の強磁性層と前記第2の強磁性層との間に設けられ、金属酸化物で形成された絶縁層207と、前記絶縁層と前記第2の強磁性層との間に設けられ、前記絶縁層の前記第2の強磁性層側の面に接し、前記金属酸化物を構成する金属元素と同じ金属元素を含有する非磁性金属層208とを具備する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、2つの強磁性層間に絶縁層及び金属層を有する磁気抵抗効果素子とその製造方法、磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置とその製造方法に関する。
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)は、情報を記憶するセル部においてトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto Resistive)効果を持つ磁気抵抗効果素子を用いる。この磁気抵抗効果素子としては、2つの強磁性層の間に絶縁層(トンネルバリア層と称する)を挿入した構造を有する磁性トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)素子がある。
MRAMにMTJ素子を用いる場合、トンネルバリア層を挟む2つの強磁性層のうち、一方はその磁化の向きが変化しないように固定された磁化固着層として用いられ、他方はその磁化の向きが反転しやすい記憶層として用いられる。磁化固着層と記憶層の磁化の向きが平行な状態と反平行な状態を2進数の“0”と“1”に対応づけることで、情報を記憶することができる。
近年、MgOをトンネルバリア層として用いると、数100%のMR比(磁気抵抗比)が得られることが指摘された。その理由は、MgO(001)結晶の45度方向とFe(001)結晶とで格子定数が整合し、磁性層/MgO/磁性層が結晶構造について積層するためと言われている。
例えば、非特許文献1において、MgOの下にMgを設けてトンネルバリア層をMg/MgOの膜構成にすると、MgO厚が薄くバリア抵抗が低い領域で、MR比が向上することが報告されている。しかし、MgOの下にMgを設けるだけでは、今後必要とされるトンネルバリアの絶縁破壊寿命は達成されない。
また、特許文献1では、純金属層の成膜後、酸素混入金属層を成膜し、さらに酸素ガス処理することにより、下地磁性層の酸化を防止し、バリア抵抗の低減及びMR比の向上を図ることが提案されている。しかし、この方法では、酸素混入金属層中にある酸素原子がトンネルバリア層の上部で余剰になるので、伝導電子の通過時にトラップ源となって絶縁破壊しやすくなったり、成膜後のアニールでトンネルバリア層の上方に酸素原子が拡散して上側の磁性層とMgOとの界面近傍の磁性層を酸化し、バリア抵抗の増加やMR比の低下を引き起こしたりする。
また、特許文献2では、例えばMgO/Alのように、異なる化合物の積層バリア層を形成することにより、トンネルバリア層へのピンホール形成を防止し、低いバリア抵抗でMR比を向上することが提案されている。しかし、今後必要となる厚さ〜1nm以下の極薄のトンネルバリア層で異なる化合物を積層させると、磁性層/トンネルバリア層/磁性層の格子整合が崩れ、今後のMRAMで必要となる高いMR比が得られない。
また、特許文献3では、MgOと磁性層との界面の制御に関連する例として、バリア抵抗が〜1.5eV以下と低いトンネルバリア層を用いることにより、印加電圧が低いときにリーク電流を抑制し、印加電圧が高いときに比較的大きな電流を流すことが提案されている。しかし、バリア抵抗を下げるための具体的なトンネルバリア層の形成方法や界面制御方法は提示されていない。
以上のように、従来の磁気抵抗効果素子やその製造方法では、トンネルバリア層と磁性層との界面の制御が十分に考慮されていない。このため、伝導電子のエネルギー放出に伴う絶縁破壊の進行の抑制や、磁性層の酸化防止によるMR比の向上が不十分であり、絶縁破壊寿命やMR比が低下する。
米国特許第6841395号明細書 米国特許第6347049号明細書 米国特許出願公開第2004/0109347号明細書
Koji Tsunekawa, David D. Djayaprawira, Motonobu Nagai, Hiroki Maehara, Shinji Yamagata, Naoki Watanabe, Shinji Yuasa, Yoshishige Suzuki, and Koji Ando, APPLIED PHYSICS LETTERS誌第87巻072503号(2005)
本発明は、トンネルバリアの絶縁破壊寿命と磁気抵抗比を向上させることが可能な磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置を提供する。
本発明の第1の視点による磁気抵抗効果素子は、基板の上方に形成された第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層の上方に形成された第2の強磁性層と、前記第1の強磁性層と前記第2の強磁性層との間に設けられた第1のMgO層と、前記第1のMgO層と前記第2の強磁性層との間に設けられ、前記第1のMgO層の前記第2の強磁性層側の面に接し、前記第1のMgO層よりMgが多く含有された第2のMgO層とを具備する。
本発明の第2の視点による磁気抵抗効果素子の製造方法は、基板の上方に第1の強磁性層を形成する工程と、前記第1の強磁性層の上方に金属酸化物で形成された絶縁層を堆積する工程と、前記絶縁層上に前記金属酸化物を構成する金属元素と同じ金属元素を含有する第1の非磁性金属層を形成する工程と、前記第1の非磁性金属層上に第2の強磁性層を形成する工程とを具備する。
本発明によれば、トンネルバリアの絶縁破壊寿命と磁気抵抗比を向上させることが可能な磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置を提供できる。
本発明の参考例1及び参考例2のトンネルバリア層について、定電圧ストレス下におけるバリア抵抗のストレス印加時間の依存性を説明するための図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の記憶セル近傍の構造を示す断面図。 図2の磁気抵抗効果素子の詳細な断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造工程における成膜条件を示す図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例1の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例1の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例1の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子を有する磁気記憶装置の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子を有する磁気記憶装置の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子を有する磁気記憶装置の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係わる磁気抵抗効果素子を有する磁気記憶装置の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命に対するMgO上Mg膜厚の依存性を調べるために使用した条件を示す図。 図8Aの条件に基づき、MgO上Mgの膜厚を0から2.0nmまで変化させた場合の磁気抵抗比の変化を示す図。 図8Aの条件に基づき、MgO上Mgの膜厚を0から2.0nmまで変化させた場合の絶縁破壊寿命の変化を示す図。 図4に示した成膜条件(1)から(8)までの磁気抵抗比の違いを示す図。 図4に示した成膜条件(1)から(8)までの絶縁破壊寿命の違いを示す図。 本発明の一実施形態による磁気抵抗効果素子の効果を説明するための図。 本発明の参考例1及び2、実施例による中間層全体の[Mg]/[O]濃度比を示す図。
[1]バリア抵抗のストレス印加時間の依存性
本発明者等は、本発明の開発の過程において、磁気抵抗効果素子(MTJ素子)のトンネルバリア層について、定電圧ストレス下におけるバリア抵抗のストレス印加時間の依存性について研究した。その結果、本発明者等は、以下に述べるような知見を得た。
図1(a)乃至(d)は、本発明の参考例1及び参考例2のトンネルバリア層について、定電圧ストレス下におけるバリア抵抗のストレス印加時間の依存性を説明するための図である。各図には、ストレス印加時の電子eの通過方向が示されている。尚、図1(a)及び(b)において、紙面の下側に半導体基板(図示せず)が存在するものとする。
図1(a)に示すように、参考例1は、MgOからなる絶縁層(トンネルバリア層)207をCo−Fe−Bからなる強磁性層205、209で挟んでいる。このため、参考例1の積層構造は、強磁性層205/絶縁層207/強磁性層209となっている。尚、「Co−Fe−B」とはCoとFeとBとを有する合金を意味し、以下において、金属元素をハイフンでつないでいるものは合金を意味するものとする。「強磁性層205/絶縁層207/強磁性層209」とは、強磁性層205、絶縁層207、強磁性層209の順で積層された構造を意味し、以下において、スラッシュで区切った積層構造は左から右に順に積層した構造を意味するものとする。
図1(b)に示すように、参考例2は、MgOからなる絶縁層207をCo−Fe−Bからなる強磁性層205、209で挟み、さらに、強磁性層205と絶縁層207との間にMgからなる金属層206が設けられている。このため、参考例2の積層構造は、強磁性層205/金属層206/絶縁層207/強磁性層209となっている。
図1(c)及び(d)に示すように、参考例2は、電子eの通過方向が下から上の場合及び上から下の場合の双方とも、参考例1に比べてバリア抵抗変化が小さくなっている。このため、参考例2は、参考例1に比べて、定電圧ストレス下で劣化し難い良質なトンネルバリアになっていることが分かる。これは、MgO層の下にMg層を設けることで、MgOと下側の磁性層との界面の結晶性が改質しているためと考えられる。
しかし、参考例2において、図1(c)と図1(d)を比較すると、図1(c)に示す電子eが下から上に通過する場合は、図1(d)に示す電子eが上から下に通過する場合よりバリア抵抗変化が大きい。従って、参考例2において、上側の磁性層とMgOとの界面の制御がより重要であることが分かる。また、トンネルバリア層の絶縁破壊の源が、伝導電子が通過した先の正極側における電圧差分の余剰エネルギーの放出であると考えると、上側の磁性層とMgOとの界面を、余剰エネルギーの放出に対して強い構造に制御することが重要である。
以上のような知見から、磁気抵抗効果素子のトンネルバリア層において、上側の磁性層とMgOとの界面を良好な状態に制御することに着目し、伝導電子のエネルギー放出に伴う絶縁破壊の進行を抑制し、また磁性層の酸化を防止し、絶縁破壊寿命や磁気抵抗比を向上させる。
以下に、このような知見に基づいて構成された本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
[2]磁気抵抗効果素子とその周囲の構造
図2は、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の記憶セル近傍の構造の断面図を示す。以下に、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子とその周囲の構造について説明する。尚、本図は、例えば、磁気抵抗効果素子を磁気ランダムアクセスメモリのような磁気記憶装置に適用した場合の一部断面図である。
図2に示すように、半導体基板(図示せず)の上方に下部配線層101が設けられ、この下部配線層101上に磁気抵抗効果素子100が設けられている。この磁気抵抗効果素子100は、磁化固着層102と記憶層104と磁化固着層102及び記憶層104間に設けられた中間層103とを有する。この磁気抵抗効果素100は、例えばMTJ素子である。
記憶層104上には上部配線層105が設けられ、この上部配線層105は記憶層104に接続されている。上部配線層105と下部配線層101とは、絶縁層106、107によって絶縁されている。上部配線層105及び下部配線層101に用いる材料としては、例えば、Al、Al−Cu、Cu、Ta、W、Ag等があげられる。絶縁層106、107に用いる材料としては、例えば、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)等があげられる。
絶縁層107には、記憶層104に達するコンタクトホール108が形成されている。コンタクトホール108内には、導電材が埋め込まれている。この導電材からなるコンタクトプラグにより、上部配線層105と記憶層104とが電気的に接続される。
図3は、図2の磁気抵抗効果素子の詳細な断面図を示す。以下に、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の膜構成について説明する。
図3に示すように、磁気抵抗効果素子100における磁化固着層102、中間層103、記憶層104は、それぞれ多層構造である。従って、磁気抵抗効果素子100は、例えば、下部配線接続層201、反強磁性層202、強磁性層203、挿入層204、強磁性層205、金属層206、絶縁層(トンネルバリア層)207、金属層208、強磁性層209、キャップ層210、上部配線接続層211で構成されている。
磁化固着層102の膜構成は、次のようになっている。磁化固着層102は、下部配線接続層201と反強磁性層202と強磁性層203と挿入層204と強磁性層205とを有する積層構造で形成されている。
下部配線接続層201は、例えば膜厚が5nmのTaからなる。反強磁性層202は、例えば膜厚が15nmのPt−Mnからなる。強磁性層203は、例えば膜厚が2nmのCo−Feからなる。強磁性層203の磁化の方向は、反強磁性層202によって固定されている。挿入層204は、例えば膜厚が1nmの非磁性金属、例えばRuからなる。強磁性層205は、例えば膜厚が2nmのCo−Fe−Bからなる。強磁性層203、挿入層204、強磁性層205は、積層フェリピン構造を構成する。強磁性層205の磁化は挿入層204によって強磁性層203の磁化と結合しているため、強磁性層205の磁化方向は固定されている。
記憶層104の膜構成は、次のようになっている。記憶層104は、強磁性層209とキャップ層210と上部配線接続層211とを有する積層構造で形成されている。
強磁性層209は、例えば膜厚が2nmのCo−Fe−Bからなる。強磁性層209の磁化の方向は、可変である。キャップ層210は、例えば膜厚が5nmのTaからなる。上部配線接続層211は、例えば膜厚が7nmのRuからなり、エッチングマスク、磁気抵抗効果素子100の表面保護の機能も担う。
中間層103の膜構成は、次のようになっている。中間層103は、金属層206と絶縁層207と金属層208とを有する積層構造で形成されている。
絶縁層207は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物のいずれかで形成されることが望ましい。金属層206、208は、絶縁層207を構成する金属元素と同じ金属元素を含有することが望ましい。金属層206、208及び絶縁層207の構成金属を同じにすることで、金属層206と絶縁層207との界面及び金属層208と絶縁層207との界面における格子整合が崩れ難くなる。尚、金属層206、208は、絶縁層207を構成する金属元素と同じ金属元素単体で形成することに限定されず、この金属元素を主成分として含有していればこの金属元素を含む化合物で形成してもよい。金属層206、208及び絶縁層207は、非磁性層である。
本例では、絶縁層207は、例えばMgOからなり、金属層206、208は、例えばMgからなる。但し、絶縁層207は、AlO、AlN、AlON、AlHfO、AlZrO、AlFOで形成されてもよく、この場合、金属層206、208はAlで形成することが望ましい。
金属層206と金属層208は、一方を金属単体で形成して他方を金属化合物で形成する等のように、互いに異なる材料で形成することも可能である。但し、この場合も、金属層206、208は、絶縁層207を構成する金属元素と同じ金属元素を主成分として含有していることが望ましい。
絶縁層207の膜厚は、例えば1nmである。金属層206の膜厚は、例えば0.4nmである。金属層208の膜厚は、例えば0.6nmである。尚、金属層206、208の膜厚は、後述するように、0.2から2.0nmにすることが望ましい。
金属層206、208は同じ厚さでもよいし、金属層206が金属層208より厚くてもよいし、金属層208が金属層206より厚くてもよい。金属層206、208と絶縁層207は同じ厚さでもよいし、金属層206、208が絶縁層207より厚くてもよいし、絶縁層207が金属層206、208より厚くてもよい。
絶縁層207の金属層206側の面は、金属層206に直接接していることが望ましく、絶縁層207の金属層208側の面は、金属層208に直接接していることが望ましい。これは、金属層206、208により、金属層206と絶縁層207との界面及び金属層208と絶縁層207との界面における結晶性が向上するからである。
本図の中間層103では、絶縁層207を2つの金属層206、208で挟み込んでいるが、これに限定されない。例えば、半導体基板(図示せず)を基準とした場合、絶縁層207の下側の金属層206を省略し、中間層103を絶縁層207と上側の金属層208との2層で構成してもよい。これにより、絶縁層207内に余剰にある非金属元素(例えば、MgO中のO)を金属層208の構成元素と反応させ、化合物として安定化し、リークスポット発生の抑制によって絶縁層207の絶縁破壊寿命を向上したり、磁気抵抗比を向上したりするという効果が得られる。この効果は、参考例2(図1(b))にあるような、絶縁層207の下に金属層206を形成する構成では不十分である。なぜなら、絶縁層207を形成する際、その下の金属層206に対して絶縁層207を構成する非金属元素が衝突して反応し、下地の金属層206の大半が絶縁層になってしまうためである。このことは、参考例2が開示されている非特許文献1において、MgO下のMgの有無(参考例2と参考例1)でMgOのTEM(Transmission Electron Microscopy:透過型電子顕微鏡)による断面像に差が見られないという結果に現れている。以上により、絶縁層207の下側のみに金属層206を形成する構成よりも、絶縁層207の上側のみに金属層208を形成する構成が有効であると言える。
尚、絶縁層207の「上側」の金属層208とは、プロセス上、絶縁層207の形成後に堆積される金属層208という意味である。従って、磁気抵抗効果素子100を形成した後、磁気抵抗効果素子100の上下を反対にして別の基板Xに張り合わせる等により最終構造において金属層208が基板Xを基準として絶縁層207の「下側」に位置する場合も含まれる。
磁気抵抗効果素子100の磁化固着層102及び記憶層104の磁化方向は、膜面に対して平行方向に向く面内磁化型(平行磁化型)でもよいし、膜面に対して垂直方向を向く垂直磁化型でもよい。
上述した磁気抵抗効果素子100は、種々変更することが可能である。例えば、磁気抵抗効果素子100を構成する各層の膜厚は、0.1nmから数10nmの範囲で適宜調整してもよい。また、磁気抵抗効果素子100の各層は、上記と異なる材料で構成してもよい。また、磁気抵抗効果素子100を基板に対して上下反対にし、いわゆるトップピン構造にしてもよい。また、磁化固着層102を単層にしてもよい。また、記憶層104を複数の強磁性層で形成してもよい。また、トンネルバリア層を複数有する強磁性2重トンネル接合構造にしてもよい。この場合、2つトンネルバリア層のうち、一方を例えばMgO等の絶縁層で形成し、他方を例えばCu等の金属層で形成した場合は、少なくとも絶縁層で形成されたトンネルバリア層の上面(半導体基板と反対側の面)に金属層208を形成するとよい。
尚、他の図では、簡略化のため、下部配線接続層201から強磁性層205までの積層構造を磁化固着層102として示し、金属層206から金属層208までの積層構造を中間層103として示し、強磁性層209から上部配線接続層211までの積層構造を記憶層104として示す場合もある。また、図3に示すような、下部配線接続層201から上部配線接続層211からなる積層構造を、以下、フルスタック構造と呼ぶ。
[3]磁気抵抗効果素子の製造方法
図4は、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の製造工程における成膜条件を示す。本図において、「MgO上Mg」又は「上Mg」は例えば図3におけるMgからなる金属層208に対応し、「MgO」は例えば図3におけるMgOからなる絶縁層207に対応し、「下Mg」は例えば図3におけるMgからなる金属層206に対応し、「下CoFeB」は例えば図3におけるCo−Fe−Bからなる強磁性層205に対応し、「上CoFeB」は例えば図3におけるCo−Fe−Bからなる強磁性層209に対応している。
図4に示すように、磁気抵抗効果素子100を形成するにあたり、8つの成膜条件を用いた。図4の成膜プロセスの丸印(○)は、実際に行った工程を示す。
8つの成膜条件は、(1)参考例2、(2)MgO上Mg、(3)MgO−O処理、(4)下CoFeB平滑化、(5)O処理+上Mg、(6)平滑化+上Mg、(7)平滑化+O処理、(8)平滑化+O処理+上Mgである。
ここで、条件(1)は、図1(b)に示す構造の成膜工程に対応する。条件(2)は、図5A乃至図5Cの成膜工程に対応する。条件(8)は、図6A乃至図6Fの成膜工程に対応する。その他の条件は、図6B、図6D、図6Eのいずれかを省略した成膜工程に対応する。
尚、以下の製造方法例における磁気抵抗効果素子100の各層の成膜工程は、スパッタリング法を用いたが、適宜変更可能であり、例えば、蒸着法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いることも可能である。
[3−1]製造方法例1
図5A乃至図5Cは、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の製造方法例1の製造工程の断面図を示す。この製造方法例1は、図4の成膜条件(2)を用いたものである。
まず、図5Aに示すように、下部配線層101(図示せず)上に、Taからなる下部配線接続層201、Pt−Mnからなる反強磁性層202、Co−Feからなる強磁性層203、Ruからなる挿入層204、Co−Fe−Bからなる強磁性層205が順次成膜される。これにより、積層構造の磁化固着層102が形成される。
次に、図5Bに示すように、強磁性層205上に、Mgからなる金属層206、MgOからなる絶縁層207、Mgからなる金属層208が順次成膜される。これにより、積層構造の中間層103が形成される。
次に、図5Cに示すように、金属層208上に、Co−Fe−Bからなる強磁性層209、Taからなるキャップ層210、Ruからなる上部配線接続層211が順次成膜される。これにより、積層構造の記憶層104が形成される。以上により、磁気抵抗効果素子100のフルスタック構造が形成される。
上記図5Bの工程において、絶縁層207のスパッタリングによる成膜は、例えば次のように行われる。
絶縁層207が酸化物層の場合は、化合物ターゲット(例えばMgOターゲット)の直接スパッタ、金属ターゲット(例えばMgターゲット)の反応性スパッタ(例えばOガス導入)、あるいは金属層(例えばMg層)成膜後にバリア酸化を行ってもよい。このバリア酸化では、酸素プラズマ、酸素ラジカル、オゾン、あるいは酸素ガス雰囲気を用いる。
絶縁層207が窒化物層の場合は、窒素プラズマ、窒素ラジカル、窒素、アンモニア、一酸化一窒素、二酸化一窒素、一酸化二窒素といった窒化雰囲気を用い、これを金属ターゲットの反応性スパッタや金属層成膜後のバリア窒化に用いてもよい。
絶縁層207が酸窒化物層の場合は、金属酸化物層の窒化、金属窒化物層の酸化、酸窒化雰囲気の併用を適宜組み合わせてもよい。
[3−2]製造方法例2
図6A乃至図6Fは、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の製造方法例2の製造工程の断面図を示す。この製造方法例2は、図4の成膜条件(8)を用いたものである。
まず、図6Aに示すように、下部配線層101(図示せず)上に、Taからなる下部配線接続層201、Pt−Mnからなる反強磁性層202、Co−Feからなる強磁性層203、Ruからなる挿入層204、Co−Fe−Bからなる強磁性層205が順次成膜される。これにより、積層構造の磁化固着層102が形成される。
次に、図6Bに示すように、中間層103の下地となる強磁性層205の表面の平滑化処理301が行われる。この平滑化処理301により、次工程で形成される中間層103を平滑化及び高純度化し、絶縁破壊耐性を向上させる。
平滑化処理301の方法としては、例えば、次の3つがあげられる。第1の方法は、気相エッチング処理であり、例えば、60秒間でシリコン酸化膜〜2nm相当の低速エッチング条件で、アルゴンガスプラズマによるエッチング処理を行う。第2の方法は、ガス曝露処理であり、例えば、水素ガス、窒素ガス等のガス雰囲気に晒し、強磁性層205の表面状態の変化や、水分、有機物等の表面汚染の除去を行う。第3の方法は、ランプ光照射による基板(図示せず)の高速昇温アニール(RTA:Rapid Thermal Annealing)やヒーター加熱を行い、強磁性層205の結晶構造を変化させる。尚、処理ガス種、ガス混合比、圧力、温度、プラズマ使用時の放電出力、処理時間等のプロセスパラメータは、適宜変更してもよい。
次に、図6Cに示すように、強磁性層205の平滑化された表面上に、Mgからなる金属層206、MgOからなる絶縁層207が順次成膜される。ここで、絶縁層207のスパッタリングによる成膜は、上記製造方法例1で説明した方法と同様の方法を用いることが可能である。
次に、図6Dに示すように、絶縁層207の表面の酸素処理302が行われる。この酸素処理302により、MgOからなる絶縁層207中の酸素原子欠陥を修復し、中間層103の絶縁破壊耐性を向上させる。
酸素処理302の方法としては、酸素ガス、オゾン、酸素プラズマ等の酸化性雰囲気に、絶縁層207の表面を晒す。例えば、圧力〜2Paの酸素ガス雰囲気に30秒間晒す。尚、酸化性ガスと酸素原子欠陥との反応性を向上させるため、RTAやヒーターで試料を加熱してもよい。また、絶縁層207が金属窒化物で形成されている場合は、酸化雰囲気の代わりに上述の窒化雰囲気を用いてもよい。また、絶縁層207が金属酸窒化物で形成されている場合は、(a)スパッタリングで形成した酸化膜を窒素雰囲気に晒す、(b)スパッタリングで形成した窒化膜を酸素雰囲気に晒す、(c)スパッタリングで形成した酸化膜、窒化膜、又は金属膜を酸窒化雰囲気に晒す等、いずれの方法を用いてもよい。また、処理ガス種、ガス混合比、圧力、温度、プラズマ使用時の放電出力、処理時間等のプロセスパラメータは、適宜変更してもよい。
次に、図6Eに示すように、絶縁層207の酸素処理302がされた表面上に、Mgからなる金属層208が成膜される。これにより、積層構造の中間層103が形成される。
次に、図6Fに示すように、金属層208上に、Co−Fe−Bからなる強磁性層209、Taからなるキャップ層210、Ruからなる上部配線接続層211が順次成膜される。これにより、積層構造の記憶層104が形成される。以上により、磁気抵抗効果素子100のフルスタック構造が形成される。
このような製造方法例2において、MgOからなる絶縁層207の酸素原子がもともと多い場合は、図6Dにおける酸素処理302により、絶縁層207に余剰の酸素原子が存在することになる。このような状態で熱処理を行った場合、この余剰の酸素原子は金属層208のMgと結合するため、強磁性層209への酸素拡散は抑制できる。
尚、上記製造方法例1及び上記製造方法例2では、図4の条件(2)及び条件(8)の成膜工程に対応するが、その他の条件による成膜工程は、製造方法例2において図6B、図6D、図6Eのいずれかを省略したものである。つまり、図4の条件(1)は、製造方法例2において図6B、図6D、及び図6Eを省略したものである。図4の条件(3)は、製造方法例2において図6B及び図6Eを省略したものである。図4の条件(4)は、製造方法例2において図6D及び図6Eを省略したものである。図4の条件(5)は、製造方法例2において図6Bを省略したものである。図4の条件(6)は、製造方法例2において図6Dを省略したものである。図4の条件(7)は、製造方法例2において図6Eを省略したものである。
[4]磁気記憶装置の製造方法
図7A乃至図7Dは、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を有する磁気記憶装置の製造工程の断面図を示す。これらの図は、図2の構造の製造工程図に対応する。以下に、上述する磁気抵抗効果素子の成膜工程以降の周辺の製造方法について説明する。
まず、図7Aに示すように、例えばCVD法やスパッタリング法等により、半導体基板(図示せず)の上方に下部配線層101が形成される。次に、図4に示すいずれかの成膜条件を用いて、下部配線層101上に磁化固着層102、中間層103、記憶層104が成膜され、フルスタック構造が形成される。
尚、このフルスタック成膜後、必要に応じて、基板を磁場中又は無磁場中でアニールしてもよい。例えば、360℃、2h、1Tの条件を用いるが、別の温度、時間、磁場でもよい。また、RTA加熱を用いてもよい。
次に、図7Bに示すように、例えば、CVD法及びリソグラフィ工程を用いて、磁気抵抗効果素子100の所望の平面パターンを有するマスク材(図示せず)が記憶層104上に形成される。次に、このマスク材を用いてイオンミリング法や反応性イオンエッチング(RIE)法により、磁化固着層102、中間層103、記憶層104が選択的にエッチングされる。これにより、磁化固着層102、中間層103、記憶層104が所定の平面パターンに加工され、磁気抵抗効果素子100が形成される。この後、マスク材が除去される。
尚、磁化固着層102、中間層103、記憶層104のエッチングは、上述するような一括加工に限定されない。例えば、中間層103を構成する絶縁層207の上面まででエッチングを止め、磁化固着層102をエッチングしないで残してもよい。
次に、図7Cに示すように、例えばスパッタリング法やCVD法により、磁気抵抗効果素子100を覆うように絶縁層106が形成される。この絶縁層106は、続く工程で磁気抵抗効果素子100を保護する機能を有し、例えば、SiOやSiNで形成されている。
次に、例えばCVD法及びリソグラフィ工程を用いて、下部配線層101の平面パターンに応じた平面パターンを有するマスク材(図示せず)が絶縁層106上に形成される。次に、このマスク材を用いて、例えばRIE法により、絶縁層106及び下部配線層101が選択的にエッチングされる。このエッチングにより除去される部分は、図7Cの紙面の手前と奥に位置しており、図7C上ではその変化は示されていない。このエッチングの際、磁気抵抗効果素子100は、絶縁層106により保護されている。
次に、図7Dに示すように、例えばスパッタリング法やCVD法を用いて、全面に絶縁層107が形成される。この絶縁層107は、例えばSiOで形成されている。次に、リソグラフィ工程及びRIE法を用いて、絶縁層106、107が選択的に除去される。これにより、絶縁層107内の磁気抵抗効果素子100上の部分に、磁気抵抗効果素子100に達するコンタクトホール108が形成される。
次に、図2に示すように、例えばCVD法等により、コンタクトホール108内が導電材で埋め込まれるとともに、絶縁層107上に導電材が堆積される。次に、リソグラフィ及びRIEを用いて、絶縁層107上の導電材が選択的にエッチングされる。これにより、上部配線層105が形成される。
尚、上部配線層105の形成方法については、コンタクトホール108を導電材で埋め込み、絶縁層107が露出するまで平坦化してコンタクトプラグを形成し、その後、絶縁層107及びコンタクトプラグ上に導電材を成膜し、エッチング加工してもよい。
[5]MgO上Mgの膜厚変化に対する磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命
図8A乃至図8Cは、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命に対するMgO上Mg膜厚の依存性を説明するための図を示す。ここでは、図5A乃至図5Cに示す製造方法例1を用いてMgOからなる絶縁層207上にMgからなる金属層208を形成した磁気抵抗効果素子100と、参考のために図1(b)に示す参考例2の磁気抵抗効果素子とを用いている。各図において、「MgO上Mg」又は「上Mg」は例えば図3におけるMgからなる金属層208に対応し、「MgO」は例えば図3におけるMgOからなる絶縁層207に対応し、「下Mg」は例えば図3におけるMgからなる金属層206に対応し、「下CoFeB」は例えば図3におけるCo−Fe−Bからなる強磁性層205に対応し、「上CoFeB」は例えば図3におけるCo−Fe−Bからなる強磁性層209に対応している。
図8Aの条件では、MgO上Mgの膜厚を、0.2nm、0.4nm、0.6nm、0.8nm、1.0nm、1.5nm、2.0nmと変化させている。参考例2は、Mgからなる金属層208が存在しないため、MgO上Mgの膜厚が0nmの場合を示す。尚、MgOの膜厚は1nmと一定であり、下Mgの膜厚は0.4nmと一定である。
図8Bは、MgO上Mgの膜厚を0から2.0nmまで変化させた場合の磁気抵抗比の変化を示す。図示するように、グラフは、MgO上Mgの膜厚が0.8nmの場合を頂点として山なりになっている。すなわち、MgO上Mgの膜厚が0の場合(MgO上Mgがない場合)を基準として、MgO上Mgが厚くなるにしたがって磁気抵抗比は増加し、MgO上Mgの膜厚が0.8nmの場合に磁気抵抗比は最も高くなる。さらに、MgO上Mgを厚くすると磁気抵抗比は低下するが、MgO上Mgの膜厚が2.0nmの場合はMgO上Mgの膜厚が0の場合よりも磁気抵抗比を高く維持できている。
尚、図8Bのグラフより、上Mgがあれば0.8nmの膜厚まで磁気抵抗比が単調に増加する傾向があるため、上Mgの膜厚が0.1nmでも磁気抵抗比向上の効果があると考えられる。
図8Cは、MgO上Mgの膜厚を0から2.0nmまで変化させた場合おける定電圧ストレス下でのトンネルバリアの絶縁破壊寿命の変化を示す。図示するように、グラフは、MgO上Mgの膜厚が0.2nmの場合を頂点として、MgO上Mgの膜厚が増加するにしたがって絶縁破壊寿命が低下していく。但し、MgO上Mgの膜厚が2.0nmの場合は、MgO上Mgの膜厚が0の場合よりも絶縁破壊寿命を高く維持できている。
以上、図8A乃至図8Cの結果の下、MgO上Mgの膜厚は、磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命の観点から、次のように規定できる。
MgO上Mgの膜厚は、0.2nmから2.0nmの範囲が望ましい。この範囲であれば、磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命の両方を、MgO上Mgを形成しない場合よりも、高く維持できるからである。
MgO上Mgの膜厚は、0.4nm〜1.0nmが望ましい。磁気抵抗比を最も高く維持できるからである。さらに望ましくは、MgO上Mgの膜厚は0.8nmである。
MgO上Mgの膜厚は、0.2nm〜0.6nmが望ましい。絶縁破壊寿命を最も高く維持できるからである。さらに望ましくは、MgO上Mgの膜厚は0.2nmである。
[6]成膜条件変化に対する磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命
図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の磁気抵抗比及び絶縁破壊寿命に対する成膜条件の依存性を説明するための図を示す。ここでは、図4に示す成膜条件を用いている。本図において、「MgO上Mg」又は「上Mg」は例えば図3におけるMgからなる金属層208に対応し、「MgO」は例えば図3におけるMgOからなる絶縁層207に対応し、「下CoFeB」は例えば図3におけるCo−Fe−Bからなる強磁性層205に対応している。
図9Aは、図4に示した成膜条件(1)から(8)までの磁気抵抗比を示す。図示するように、条件(1)の参考例2と比べて、条件(2)、(5)、(6)、(8)で成膜した場合は、磁気抵抗比が向上することが分かる。つまり、条件(2)、(5)、(6)、(8)は、「平滑化」や「O処理」と組合せた場合も含め、MgO上にMgを成膜した場合である。条件(2)、(5)、(6)、(8)を互いに比較すると、「平滑化」と「O処理」のいずれも行わない条件(2)と比べて、「平滑化」と「O処理」のうち少なくとも一方を行う条件(5)、(6)、(8)の方が、磁気抵抗比がより高いことが分かる。
図9Bは、図4に示した成膜条件(1)から(8)の場合における定電圧ストレス下でのトンネルバリアの絶縁破壊寿命を示す。図示するように、条件(1)の参考例2と比べて、条件(2)から(8)で成膜した場合は、絶縁破壊寿命が向上することが分かる。すなわち、「MgO上Mg」、「下CoFeB平滑化」、「MgO−O処理」の3つの処理のうち少なくとも一つの処理を行うことで、この3つの処理のいずれも行わない参考例2よりも絶縁破壊寿命を向上できる。
上記のように、条件(2)から(8)における絶縁破壊寿命が向上する原因は、以下のように考えられる。
「MgO上Mg」により絶縁破壊寿命が向上するのは、図10(a)乃至(d)で後述する。
「MgO−O処理」により絶縁破壊寿命が向上するのは、上述したように、絶縁層207のMgO中の酸素原子欠陥がOのO原子で修復されるためである。
「下CoFeB平滑化」により絶縁破壊寿命が向上するのは、平滑処理した強磁性層205の直上に形成される絶縁層207が平滑化するため、ラフネスによる局所的な電界集中が抑制されるためである。
[7]MgO上Mgによる効果
図10(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子のMgO上Mgによる効果を説明するための図を示す。
磁気抵抗効果素子100においてMgO上にMgを成膜することにより、2つの効果が得られると考えられる。
[7−1]効果1
効果1としては、図10(a)に示すように、MgOからなる絶縁層207上にMgからなる金属層208を成膜することにより、成膜後のアニール時にO原子が絶縁層207から強磁性層209へ拡散することに伴って強磁性層209が酸化されることを防止できる。これにより、磁気抵抗比の低下や、伝導電子からのエネルギー放出によるトラップ源の形成が抑制できる。
尚、MgOからなる絶縁層207下にMgからなる金属層206を設けることにより、成膜後のアニール時にO原子が絶縁層207から強磁性層205へ拡散することに伴って強磁性層205が酸化されることを防止できる。
[7−2]効果2
効果2としては、図10(b)に示すように、Mgからなる金属層208の成膜後のアニール時にMgOからO原子が拡散し、金属層208がMg−rich MgO層に変化すると考えられる。このMg−rich MgO層とは、通常のMgOよりもMgが多く含有された層である。尚、ここでは、金属層208がMgからMg−rich MgO層に変化した例にあげるが、このときも、例えばMgからなる金属層208の膜厚が厚い場合やMgO中の酸素濃度が低い場合等により、Mg−rich MgO層上にMg層を残すこともできる。
このように、Mgからなる金属層208がMg−rich MgO層に変化することで、MgO/磁性層界面構造になり、伝導電子からのエネルギー放出によるトラップ源の形成が抑制できる。ここで、O原子を供給するMgOの絶縁層207はO原子が拡散する前より実効的な膜厚が小さくなると推定され、MgO/磁性層界面構造を良好な状態に保ったままバリア抵抗を低減できる。
Mgからなる金属層208がMg−rich MgO層になることの具体的な効果は、以下の通りである。
金属層(上Mg)208が下地の絶縁層(MgO)207から余剰O原子を奪うと、負に帯電し易い余剰O原子の濃度が低下するため、絶縁層(MgO)207のバリア高さ(伝導電子に対するエネルギー障壁の高さ)は小さくなる。
一方、金属層(上Mg)208は、絶縁層(MgO)207からO原子が拡散したとしても、元々O−richであった絶縁層(MgO)207のバリア高さよりは小さい。
この結果、本例のバリア全体(中間層103)の平均バリア高さは、金属層(上Mg)208がない場合に比べて低くなる。これにより、本例では、伝導電子がバリアを通過し易くなるので、同じバリア抵抗に対応する物理膜厚が、参考例1及び2に比べて大きくなる。
印加電圧が一定かつバリア抵抗が一定で物理膜厚が大きくなると、バリア中の電界が小さくなり、電界によるバリアの劣化や破壊が抑制され、絶縁破壊寿命が向上する。あるいは、物理膜厚を小さくすることなくバリア抵抗を下げることが可能になる。
ここで、Mg−rich MgOにおいて、余剰のMgは、絶縁破壊寿命や磁気抵抗比といったバリア特性に対して問題を引き起こさないと考えている。理由は次の通りである。MgはMgOより格子定数が大きい。従って、金属層(上Mg)208に絶縁層(MgO)207から余剰O原子が拡散してMg−rich MgOバリアが形成される際は、結晶格子が収縮することになる。
Mg−rich MgO中のMgOは、下地の絶縁層(MgO)207と同様に、bcc(001)構造のMgO結晶格子となる。一方、余剰のMg原子は、結晶格子の収縮に伴い、MgO結晶格子の格子間に存在し、価電子をMgO結晶格子と共有した状態となる。Mg原子はO原子より重いので、O−rich MgO中の余剰O原子に比べると余剰Mg原子がMgO結晶格子間を動き難く、MgO結晶格子の変形が起こり難い。孤立したMg2+イオンとなり、トラップ源やリークスポットとなることはない。上側の磁性層209と絶縁層(MgO)207との界面にこのような良好なMg−rich MgOが形成されると、従来のO−rich MgOよりMgO中にトラップ源が形成され難い。従って、MgOバリアを通過した伝導電子が、通過後に印加電圧分の余剰エネルギーを放出しても、そのエネルギーによるトラップ発生が抑制され、絶縁破壊寿命が向上する。
効果2から、中間層103は、次のような膜組成が望ましい。
中間層103が金属層208と絶縁層207の2層構造である場合、中間層103と強磁性層209との上側界面にはMg−rich MgO層が形成される。このため、中間層103の上層部(金属層208)の金属存在比が、この中間層103の下層部(絶縁層207)の金属存在比より高くなる。より好ましくは、中間層103の上層部(金属層208)の金属存在比が、この中間層103の下層部(絶縁層207)の金属存在比より1.001倍以上になると特に効果がある。
中間層103が金属層208、206と絶縁層207の3層構造である場合、中間層103と強磁性層209との上側界面にはMg−rich MgO層が形成され、中間層103と強磁性層205との下側界面にはMg−rich MgO層が形成される。このため、中間層103の上層部(金属層208)及び下層部(金属層206)の金属存在比が、この中間層103の中間部(絶縁層207)の金属存在比より高くなる。より好ましくは、中間層103の上層部(金属層208)及び下層部(金属層206)の金属存在比が、この中間層103の中間部(絶縁層207)の金属存在比の1.001倍以上になると特に効果がある。
中間層103の全体として考えると、MgがMgOに添加されるので、中間層103の平均金属存在比が化学量論比より高い層(Mg>1<1)に近づく。より好ましくは、中間層103の平均金属存在比が化学量論比の1.001倍以上になると特に効果がある。
図11は、参考例1及び2、実施例による中間層103全体の[Mg]/[O]濃度比を示している。実施例(上Mg0.6)は膜厚が0.6nmの上Mgを形成した例であり、実施例及び参考例2の下Mgの膜厚は0.4nmである。参考例1及び2は、図1(a)及び(b)に対応する。
図11は、EDX(Energy dispersive x-ray spectroscopy:エネルギー分散型X線分析)方法を用いた物理分析結果の一例である。このEDX方法では、試料に電子線を照射し、断面TEM(transmission electron microscopy:透過型電子顕微鏡)により試料中の元素から放出される特性X線を分析し、元素の定量を行う。
図11に示すように、MgO上Mgを設けた実施例は、参考例1及び2に比べて、金属存在比が高く、中間層103の平均金属存在比が化学量論比より高い層(Mg>1<1)に近づいていると言える。
図11に示されている上Mgの効果は、次の通りである。
図11に示すように、参考例1及び2のMgOは、O−richになっている。これは、Mg原子より軽い原子であるO原子の方が、スパッタターゲット表面や成膜装置内壁から脱離し易く、基板表面に供給されるO原子濃度がMg原子濃度より高いためと考えられる。
図9Aには、MgOのO処理による磁気抵抗比の向上が示されている。これは、MgOのbcc(001)結晶格子中のO原子欠陥をOで修復したので、リークスポットが減少したためと考えられる。しかし、このようなMgOの酸化雰囲気中処理は、MgO中の余剰O原子を減少させる効果はない。
基板表面に形成されるMgOがO−richの状態では、負イオンになり易い余剰O原子が電子捕獲により電子トラップ源となったり、伝導電子を通過させるリークスポット源となったりして、MgOの絶縁破壊寿命や磁気抵抗比の低下を引き起こす。
図11に示す本例の上Mg0.6では、依然として[O]>[Mg]ではあるものの、Mg濃度が参考例1及び2より向上している。これは、上Mgによる絶縁破壊寿命や磁気抵抗比の向上と対応している。つまり、O−rich MgO中の余剰O原子の一部をMgOとして安定化させたので、トラップ源やリークスポットが減少したためと考えられる。
尚、MgO成膜条件をO−richであり、Mg:O=1:1に近い条件に最適化し、対応する上Mg成膜や酸化雰囲気処理や平滑化等、各成膜条件を最適化することで、[Mg]>[O]となった理想的なMgOを形成することも可能である。
[8]磁気ランダムアクセスメモリへの適用
上述する磁気抵抗効果素子100は、磁気ランダムアクセスメモリの記憶素子として使用することが可能である。磁気ランダムアクセスメモリでは、上述する磁気抵抗効果素子を備えたメモリセルが複数個設けられ、メモリセルアレイが形成される。
例えば、図2の下部配線層101にトランジスタを接続し、このトランジスタをオンにすることで磁気抵抗効果素子100の磁化固着層102及び記憶層104間に電流が流れるようにする。
磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法としては、大別して2種の方法がある。1つは、磁場書き込み方式と呼ばれ、磁気抵抗効果素子100の近傍に設けられた書込み配線に電流を流して発生する磁場により、記憶層104の磁化の向きを反転させる。もう1つは、スピン注入書き込み方式と呼ばれ、磁気抵抗効果素子100に書込み電流を印加し、磁化固着層102によってスピンの向きを揃えた伝導電子を記憶層104に供給して記憶層104の磁化を反転させる。本例の磁気抵抗効果素子100は、磁場書き込み方式及びスピン注入書き込み方式のどちらにも適用可能であるが、後者に適用する方が望ましい。本例による効果をより得やすいからである。
スピン注入書き込み方式では、磁化固着層102及び記憶層104の間に流す電流の向きに応じて、磁化固着層102及び記憶層104の磁化方向が平行状態又は反平行状態となる。このため、電流の流す方向を以下のように規定する。
“1”データを書き込む場合、磁化固着層102から記憶層104の方向に電流を流す。すなわち、電子を記憶層104側から磁化固着層102側へ注入する。これにより、磁化固着層102及び記憶層104の磁化は、逆方向に向き、反平行状態となる。この高抵抗状態Rapを“1”データと規定する。
一方、“0”データを書き込む場合、MTJ素子MTJの記憶層104から磁化固着層102の方向に電流を流す。すなわち、電子を磁化固着層102側から記憶層104側へ注入する。これにより、磁化固着層102及び記憶層104の磁化は、同じ方向に向き、平行状態となる。この低抵抗状態Rpを“0”データと規定する。
読み出し動作は、図2の下部配線層101に接続するトランジスタをオンにし、選択セルのビット線を選択し、磁気抵抗効果素子100の中間層103をトンネルする読み出し電流を流す。ここで、接合抵抗値は磁化固着層102及び記憶層104の磁化の相対角の余弦に比例して変化し、磁気抵抗効果素子100の磁化が平行状態(例えば“0”データ)の場合は低抵抗となり、反平行状態(例えば“1”データ)の場合は高抵抗となる、トンネル磁気抵抗(TMR)効果が得られる。このため、この抵抗値の違いを読み取ることで、磁気抵抗効果素子100の“1”、“0”状態を判別する。
[9]効果
本発明の一実施形態の磁気抵抗効果素子100によれば、例えばMgOからなる絶縁層207上に例えばMgからなる金属層208が設けられている。また、中間層103の最下層(金属層206)の形成前に磁化固着層102の最上層(強磁性層205)の表面を平滑化処理している。また、絶縁層207の表面に酸化雰囲気処理を行った後に、この表面上に金属層208を形成している。
これにより、中間層103の上側強磁性層209との界面が伝導電子のエネルギー放出によるトラップ源の形成が抑制される状態に制御され、平滑性が高く、かつ、酸素原子欠損が修復されたトンネルバリアが形成できる。このため、高MR比、高耐圧で絶縁破壊寿命が長く、低耐圧マイノリティ不良素子の発生が抑制された磁気抵抗効果素子が実現する。
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 基板の上方に形成された第1の強磁性層と、
前記第1の強磁性層の上方に形成された第2の強磁性層と、
前記第1の強磁性層と前記第2の強磁性層との間に設けられ、金属酸化物で形成された絶縁層と、
前記絶縁層と前記第2の強磁性層との間に設けられ、前記絶縁層の前記第2の強磁性層側の面に接し、前記金属酸化物を構成する金属元素と同じ金属元素を含有する第1の非磁性金属層と
を具備することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
[2] 前記絶縁層と前記第1の強磁性層との間に設けられ、前記絶縁層の前記第1の強磁性層側の面に接し、前記金属酸化物を構成する金属元素と同じ金属元素を含有する第2の非磁性金属層と
をさらに具備することを特徴とする[1]に記載の磁気抵抗効果素子。
[3] 前記第1の非磁性金属層の厚さは、0.2nmから2nmであることを特徴とする[1]に記載の磁気抵抗効果素子。
[4] 前記絶縁層はMgOで形成され、前記第1の非磁性金属層はMgで形成されることを特徴とする[1]又は[3]に記載の磁気抵抗効果素子。
[5] 前記[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の前記磁気抵抗効果素子を記憶素子として備えたメモリセルを具備することを特徴とする磁気記憶装置。
[6] 基板の上方に第1の強磁性層を形成する工程と、
前記第1の強磁性層の上方に金属酸化物で形成された絶縁層を堆積する工程と、
前記絶縁層上に前記金属酸化物を構成する金属元素と同じ金属元素を含有する第1の非磁性金属層を形成する工程と、
前記第1の非磁性金属層上に第2の強磁性層を形成する工程と
を具備することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
[7] 前記第1の強磁性層を形成する工程と前記絶縁層を堆積する工程との間に、前記第1の強磁性層の上面を平滑化する工程をさらに具備することを特徴とする[6]に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
[8] 前記絶縁層を堆積する工程と前記第1の非磁性金属層を形成する工程との間に、前記絶縁層を酸化雰囲気に晒す工程をさらに具備することを特徴とする[6]又は[7]に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
[9] 前記絶縁層を堆積する前に、前記第1の強磁性層上に前記金属酸化物を構成する金属元素と同じ金属元素を含有する第2の非磁性金属層を形成する工程をさらに具備することを特徴とする[6]乃至[8]のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
[10] 下部配線層を形成する工程と、
前記[6]乃至[9]のいずれか1つに記載の前記磁気抵抗効果素子の製造方法を用いて前記磁気抵抗効果素子を前記下部配線層上にメモリセルの記憶素子として形成する工程と、
前記磁気抵抗効果素子上に上部配線層を形成する工程と
を具備することを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
101…下部配線層、102…磁化固着層、103…トンネルバリア層、104…記憶層、105…上部配線層、106、107…絶縁層、108…コンタクトホール、201…下部配線接続層、202…反強磁性層、203、205…強磁性層(磁化固着層)、204…挿入層、206、208…金属層、207…絶縁層、209…強磁性層(記憶層)、210…キャップ層、211…上部配線接続層、301…平滑化処理、302…酸素処理。

Claims (5)

  1. 基板の上方に形成された第1の強磁性層と、
    前記第1の強磁性層の上方に形成された第2の強磁性層と、
    前記第1の強磁性層と前記第2の強磁性層との間に設けられた第1のMgO層と、
    前記第1のMgO層と前記第2の強磁性層との間に設けられ、前記第1のMgO層の前記第2の強磁性層側の面に接し、前記第1のMgO層よりMgが多く含有された第2のMgO層と
    を具備することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第1のMgO層と前記第1の強磁性層との間に設けられ、前記第1のMgO層の前記第1の強磁性層側の面に接し、前記第1のMgO層よりMgが多く含有された第3のMgO層と
    をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第2、第3のMgO層のMg存在比は、前記第1のMgO層のMg存在比の1.001倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2のMgO層の厚さは、0.2nmから2nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の前記磁気抵抗効果素子を記憶素子として備えたメモリセルを具備することを特徴とする磁気記憶装置。
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