JP2009283499A - 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッド、磁気記録再生装置および磁気メモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッド、磁気記録再生装置および磁気メモリ Download PDF

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Abstract

【課題】高いMR比の磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】磁化方向が実質的に一方向に固着された磁化固着層と、外部磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層と、前記磁化固着層と前記磁化自由層との間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に垂直にセンス電流を流すための一対の電極とを有し、前記磁化固着層および前記磁化自由層の少なくともいずれか一方は、Co,FeまたはNiを含む磁性層と、Mnを含有する金属材料および酸素を含有する機能層とを含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子、この磁気抵抗効果素子を搭載した磁気抵抗効果ヘッド、磁気記録再生装置および磁気メモリに関する。
近年、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)の急速な小型化・高密度化が進行し、今後もさらなる高密度化が見込まれている。記録トラック幅を狭くしてトラック密度を高めることで、HDDの高密度化を実現できる。しかし、トラック幅が狭くなると、記録される磁化の大きさ、すなわち記録信号が小さくなり、媒体信号を再生するMRヘッドの再生感度の向上が必要となる。
最近では、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto-Resistance effect)を利用した高感度なスピンバルブ膜を含むGMRヘッドが採用されている。スピンバルブ膜は、2層の強磁性層の間に非磁性スペーサ層を挟んだサンドイッチ構造を有する積層膜であり、抵抗変化を生ずる積層膜構造部位はスピン依存散乱ユニットとも呼ばれる。2層の強磁性層の一方の強磁性層(「ピン層」あるいは「磁化固定層」という)の磁化方向は反強磁性層などで固着される。他方の強磁性層(「フリー層」あるいは「磁化自由層」という)の磁化方向は外部磁界により変化可能である。スピンバルブ膜では、2層の強磁性層の磁化方向の相対角度の変化によって、大きな磁気抵抗効果が得られる。
スピンバルブ膜を用いた磁気抵抗効果素子には、CIP(Current In Plane)−GMR素子、CPP(Current Perpendicular to Plane)−GMR素子、TMR(Tunneling Magneto-Resistance)素子がある。CIP−GMR素子ではスピンバルブ膜の面に平行にセンス電流を通電し、CPP−GMR素子、TMR素子ではスピンバルブ膜の面にほぼ垂直方向にセンス電流を通電する。
膜面垂直に通電する方式において、通常のCPP−GMR素子ではスペーサ層として金属層を用い、TMR素子ではスペーサ層として絶縁層を用いる。
ここで、スピンバルブ膜が金属層で形成されたメタルCPP−GMR素子では、磁化による抵抗変化量が小さく、微弱磁界を検知するのは困難である。かかる問題に鑑み、スピン依存散乱ユニットを構成する磁化固着層および磁化自由層内にCr、V、Ta、Nb、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Hf、Y、Tc、Re、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、B、Al、In、C、Si、Sn、Ca、Sr、Ba、O、NおよびFからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された層を挿入し、CPP−GMRの抵抗変化量を増大させ、磁気抵抗効果を増大させる試みがなされている(特許文献1、特許文献2)。
一方、上述した試みとは別に、CPP−GMR素子を構成するスペーサ層を、単なる金属層ではなく、厚み方向への電流パスを含む酸化物層[NOL(nano-oxide layer)]から構成するCPP素子が提案されている(特許文献3)。この素子では、電流狭窄[CCP(Current-confined-path)]効果により素子抵抗およびMR変化率の双方を増大できる。このような素子は、CCP−CPP素子と呼ぶ。
また、磁気抵抗効果膜中に、スピンフィルタ層やハーフメタル層を挿入することが試みられている(特許文献4〜5)。
上述したような磁気ヘッドやMRAMデバイスの高密度化に伴う磁気抵抗効果素子のさらなる微細化の要求に伴って、磁気抵抗効果素子は微細化された場合においても十分に高いMR比を有することが求められる。
特開2003−133614号公報 特開2003−60263号公報 特開2002−208744号公報 特開2004−6589号公報 特開2003−8103号公報
本発明の目的は、高いMR比の磁気抵抗効果素子、およびこのような磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が実質的に一方向に固着された磁化固着層と、外部磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層と、前記磁化固着層と前記磁化自由層との間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の膜面に垂直にセンス電流を流すための一対の電極とを有し、前記磁化固着層および前記磁化自由層の少なくともいずれか一方は、Co,FeまたはNiを含む磁性層と、Mnを含有する金属材料および酸素を含有する機能層とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、高いMR比の磁気抵抗効果素子、およびこのような磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置を提供することができる。
本発明者らは、センス電流を膜面に対して垂直に通電する方式の磁気抵抗効果素子において、磁化固着層および磁化自由層の少なくともいずれか一方に、Co,Fe,Niを主成分とする磁性層と、Mnを含有する金属材料および酸素を含有する機能層との積層構成を用いることによって、大きなMR変化率を実現できることを見出した。
本発明の磁気抵抗効果素子においては、前記機能層の膜面垂直方向の格子間隔が、前記磁化固着層または前記磁化自由層を構成し前記機能層に隣接する磁性層の膜面垂直方向の格子間隔よりも大きいことが好ましい。また、前記磁気抵抗効果膜のうち前記センス電流が実質的に通電される部分の面積Aと、一対の電極間で得られる抵抗Rとの積ARが500mΩμm2以下であることが好ましい。このような条件では、機能層を介した磁性層の磁気結合を保持できることを見出した。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以後の説明では、同一の部分には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
図1から図6に示す磁気抵抗効果素子はいずれも、図示しない基板上に、下電極11、磁気抵抗効果膜SV、上電極20を積層した構造を有する。
図1〜図3はメタルスペーサのCPP−GMR膜に機能層21または22を設けた磁気抵抗効果素子の例を示す斜視図である。
図1の磁気抵抗効果膜SVは、下地層12、ピニング層13、ピン層14、スペーサ層16、フリー層18、キャップ層19を積層した構造を有する。ピン層14は下部ピン層141、磁気結合層142、上部ピン層143を積層した構造を有する。フリー層18は下部フリー層181、機能層21および上部フリー層182を積層した構造を有する。
図2の磁気抵抗効果膜SVは、上部ピン層143が第1の上部ピン層144、機能層22、第2の上部ピン層145を積層した構造を有し、フリー層18が機能層21を有していないこと以外は図1と同様の構成を有する。
図3の磁気抵抗効果膜SVは、上部ピン層が第1の上部ピン層144、機能層22および第2の上部ピン層145を積層した構造を有し、フリー層18が下部フリー層181、機能層21および上部フリー層182を積層した構造を有していること以外は図1と同様の構造を有する。
図4〜図6は電流狭窄(CCP:Current-Confined-Path)構造を有するCPP−GMR膜に、機能層21または22を設けた磁気抵抗効果素子の例を示す斜視図である。
図4の磁気抵抗効果膜SVは、下地層12、ピニング層13、ピン層14、下部金属層15、スペーサ層16、上部金属層17、フリー層18、キャップ層19を積層した構造を有する。ピン層14は下部ピン層141、磁気結合層142、上部ピン層143を積層した構造を有する。スペーサ層16は絶縁層161および絶縁層161を膜面垂直方向に貫通する電流パス162を含む電流狭窄(CCP:Current-Confined-Path)構造を有する。なお、CCP構造の場合、下部金属層15、スペーサ層16、上部金属層17をまとめて広義のスペーサ層として取り扱うことがある。フリー層18は下部フリー層181、機能層21および上部フリー層182を積層した構造を有する。
図5の磁気抵抗効果膜SVは、上部ピン層143が第1の上部ピン層144、機能層22、第2の上部ピン層145を積層した構造を有し、フリー層18が機能層21を有していないこと以外は図4と同様の構成を有する。
図6の磁気抵抗効果膜SVは、上部ピン層が第1の上部ピン層144、機能層22および第2の上部ピン層145を積層した構造を有し、フリー層18が下部フリー層181、機能層21および上部フリー層182を積層した構造を有していること以外は図4と同様の構造を有する。
以下,磁気抵抗効果素子の構成要素を説明する。
<電極>
下電極11は、スピンバルブ膜の垂直方向に通電するための電極である。下電極11と上電極20との間に電圧が印加されることで、スピンバルブ膜内部を膜面垂直方向に沿って電流が流れるようになる。この電流によって、磁気抵抗効果に起因する抵抗の変化を検出することで、磁気の検知が可能となる。下電極11には、電流を磁気抵抗効果素子に通電するために、電気抵抗が比較的小さい金属層が用いられる。
上電極20は、下電極同様に、スピンバルブ膜の垂直方向に通電するための電極である。下電極11と上電極20との間に電圧が印加されることで、スピンバルブ膜内部にその膜の垂直方向の電流が流れる。上電極20には、電気的に低抵抗な材料(例えば、Cu、Au)が用いられる。
<下地層>
下地層12は、例えば、バッファ層12a、シード層12bに区分することができる。バッファ層12aは下電極11表面の荒れを緩和したりするための層である。シード層12bは、その上に成膜されるスピンバルブ膜の結晶配向および結晶粒径を制御するための層である。
バッファ層12aとしては、Ta、Ti、V、W、Zr、Hf、Crまたはこれらの合金を用いることができる。バッファ層12aの膜厚は1〜10nm程度が好ましく、2〜5nm程度がより好ましい。バッファ層12aの厚さが薄すぎるとバッファ効果が失われる。一方、バッファ層12aの厚さが厚すぎるとMR変化率に寄与しない直列抵抗を増大させることになる。なお、バッファ層12a上に成膜されるシード層12bがバッファ効果を有する場合には、バッファ層12aを必ずしも設ける必要はない。好ましい一例として、Ta[3nm]を用いることができる。
シード層12bは、その上に成膜される層の結晶配向を制御できる材料であればよい。シード層12bとして、fcc構造(face-centered cubic structure:面心立方格子構造)、hcp構造(hexagonal close-packed structure:六方最密格子構造)、またはbcc構造(body-centered cubic structure:体心立方格子構造)を有する金属層などが好ましい。
例えば、シード層12bとして、hcp構造を有するRuや、fcc構造を有するNiFeを用いることにより、その上のスピンバルブ膜の結晶配向をfcc(111)配向にすることができる。また、ピニング層13がIrMnの場合には良好なfcc(111)配向が実現され、ピニング層13がPtMnの場合に規則化したfct(111)構造(face-centered tetragonal structure:面心正方構造)が得られる。また、磁性層としてfcc金属を用いたときには良好なfcc(111)配向を実現でき、磁性層としてbcc金属を用いたときには、良好なbcc(110)配向とすることができる。
結晶配向を向上させるシード層12bとしての機能を十分発揮するために、シード層12bの膜厚は1〜5nmが好ましく、1.5〜3nmがより好ましい。好ましい例としてRu[2nm]を用いることができる。
スピンバルブ膜やピニング層13の結晶配向性は、X線回折により測定できる。スピンバルブ膜のfcc(111)ピーク、ピニング層13(PtMn)のfct(111)ピークまたはbcc(110)ピークでのロッキングカーブの半値幅を3.5〜6度として、良好な配向性を得ることができる。なお、この配向の分散角は断面TEMを用いた回折スポットからも判別することができる。
シード層12bとして、Ruの代わりに、NiFeベースの合金(例えば、NixFe100-x(x=90〜50%、好ましくは75〜85%)や、NiFeに第3元素Xを添加して非磁性にした(NixFe100-x100-yy(X=Cr、V、Nb、Hf、Zr、Mo))を用いることもできる。NiFeベースのシード層12bでは、良好な結晶配向性を得るのが比較的容易であり、上記と同様に測定したロッキングカーブの半値幅を3〜5度とすることができる。
シード層12bには、結晶配向を向上させる機能だけでなく、スピンバルブ膜の結晶粒径を制御する機能もある。具体的には、スピンバルブ膜の結晶粒径を5〜20nmに制御することができ、磁気抵抗効果素子のサイズが小さくなっても、特性のばらつきを招くことなく高いMR変化率を実現できる。
スピンバルブ膜の結晶粒径は、シード層12bとスペーサ層16との間に配置された層の結晶粒の粒径によって判別できる(例えば、断面TEMなどによって決定できる)。例えば、ピン層14がスペーサ層16よりも下層に位置するボトム型スピンバルブ膜の場合には、シード層12bの上に形成される、ピニング層13(反強磁性層)や、ピン層14(磁化固着層)の結晶粒径によって判別することができる。
高密度記録に対応した再生ヘッドでは、素子サイズは確実に100nm以下の微細なサイズとなる。素子サイズに対する結晶粒径の比が大きいことは、素子の特性がばらつく原因となるため、スピンバルブ膜の結晶粒径が20nmよりも大きいことは好ましくない。
素子面積あたりの結晶粒の数が少なくなると、結晶数が少ないことに起因した特性のばらつきの原因となりうるため、結晶粒径を大きくすることはあまり好ましくない。特に電流パスを形成しているCCP−CPP素子では結晶粒径を大きくすることはあまり好ましくない。
一方、結晶粒径が大きいほうが結晶粒界による電子乱反射、非弾性散乱サイトが少なくなる。このため、大きなMR変化率を実現するためには、結晶粒径が大きいことが好ましく、少なくとも5nm以上であることが必要となる。このように、MR変化率の観点と素子ごとのばらつきをなくす観点のそれぞれでの結晶粒径への要求事項は、互いに矛盾し、トレードオフの関係にある。このトレードオフ関係を考慮した結晶粒径の好ましい範囲が、5〜20nmである。
上述した5〜20nmの結晶粒径を得るためには、シード層12bとして、Ru2nmや、(NixFe100-x100-yy(X=Cr、V、Nb、Hf、Zr、Mo)層の場合には、第3元素Xの組成yを0〜30%程度とすることが好ましい(yが0%の場合も含む)。
前述のように、シード層12bの膜厚は1nm〜5nm程度が好ましく、1.5〜3nmがより好ましい。シード層12bの厚さが薄すぎると結晶配向制御などの効果が失われる。一方、シード層12bの厚さが厚すぎると、直列抵抗の増大を招き、さらにスピンバルブ膜の界面の凹凸の原因となることがある。
なお、微細な結晶粒径での良好なシード層12bを実現できるならば、シード層12bにここで挙げた材料以外を用いても構わない。
<ピニング層>
ピニング層13は、その上に成膜されるピン層14となる強磁性層に一方向異方性(unidirectional anisotropy)を付与して磁化を固着する機能を有する。ピニング層13の材料としては、PtMn、PdPtMn、IrMn、RuRhMnなどの反強磁性材料を用いることができる。この内、高記録密度対応のヘッドの材料として、IrMnが有利である。IrMnは、PtMnよりも薄い膜厚で一方向異方性を印加することができ、高密度記録のために必要な狭ギャップ化に適している。
十分な強さの一方向異方性を付与するために、ピニング層13の膜厚を適切に設定する。ピニング層13の材料がPtMnやPdPtMnの場合には、膜厚として8〜20nm程度が好ましく、10〜15nmがより好ましい。ピニング層13の材料がIrMnの場合には、PtMnなどより薄い膜厚でも一方向異方性を付与可能であり、4〜18nmが好ましく、5〜15nmがより好ましい。好ましい一例として、Ir22Mn78[7nm]を用いることができる。
ピニング層13として、反強磁性層の代わりに、ハード磁性層も用いることができる。ハード磁性層として、例えば、CoPt(Co=50〜85%)、(CoxPt100-x100-yCry(x=50〜85%、y=0〜40%)、FePt(Pt=40〜60%)を用いることができる。ハード磁性層(特に、CoPt)は比抵抗が比較的小さいため、直列抵抗および面積抵抗RAの増大を抑制できる。
<ピン層:磁化固着層>
ピン層14は、下部ピン層141(例えば、Co90Fe10 3.6nm)、磁気結合層142(例えば、Ru)、および上部ピン層143(例えば、Fe50Co50[1nm]/Cu[0.25nm])×2/Fe50Co50[1nm])からなるシンセティックピン層とすることが好ましい一例である。ピニング層13(例えば、IrMn)とその直上の下部ピン層141は一方向異方性(unidirectional anisotropy)をもつように交換磁気結合している。磁気結合層142の上下の下部ピン層141および上部ピン層143は、磁化の向きが互いに反平行になるように強く磁気結合している。
下部ピン層141の材料として、例えば、CoxFe100-x合金(x=0〜100%)、NixFe100-x合金(x=0〜100%)、またはこれらに非磁性元素を添加したものを用いることができる。また、下部ピン層141の材料として、Co、Fe、Niの単元素やこれらの合金を用いてもよい。
下部ピン層141の磁気膜厚(飽和磁化Bs×膜厚t(Bs・t積))が、上部ピン層143の磁気膜厚とほぼ等しいことが好ましい。つまり、上部ピン層143の磁気膜厚と下部ピン層141の磁気膜厚とが対応することが好ましい。一例として、上部ピン層143が(Fe50Co50[1nm]/Cu[0.25nm])×2/Fe50Co50[1nm]の場合、薄膜でのFe50Co50の飽和磁化が約2.2Tであるため、磁気膜厚は2.2T×3nm=6.6Tnmとなる。Co90Fe10の飽和磁化が約1.8Tなので、上記と等しい磁気膜厚を与える下部ピン層141の膜厚tは6.6Tnm/1.8T=3.47nmとなる。したがって、膜厚が約3.6nmのCo90Fe10を用いることが望ましい。また、Co75Fe25を用いる場合は、同様の計算から、膜厚が約3.3nmとすることが望ましい。
下部ピン層141に用いられる磁性層の膜厚は2〜5nm程度が好ましい。ピニング層13(例えば、IrMn)による一方向異方性磁界強度および磁気結合層142(例えば、Ru)を介した下部ピン層141と上部ピン層143との反強磁性結合磁界強度の観点に基づく。下部ピン層141が薄すぎると、MR変化率に影響を与える上部ピン層143も薄くしなければならなくなるため、MR変化率が小さくなる。一方、下部ピン層141が厚すぎるとデバイス動作に必要な十分な一方向性異方性磁界を得ることが困難になる。好ましい一例として、膜厚3.3nmのCo75Fe25が挙げられる。
磁気結合層142(例えば、Ru)は、上下の磁性層(下部ピン層141および上部ピン層143)に反強磁性結合を生じさせてシンセティックピン構造を形成する機能を有する。磁気結合層142としてのRu層の膜厚は0.8〜1nmであることが好ましい。なお、上下の磁性層に十分な反強磁性結合を生じさせる材料であれば、Ru以外の材料を用いてもよい。RKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yoshida)結合の2ndピークに対応する膜厚0.8〜1nmの換わりに、RKKY結合の1stピークに対応する膜厚0.3〜0.6nmを用いることもできる。ここでは、より高信頼性の結合を安定して特性が得られる、0.9nmのRuが一例として挙げられる。
前述のように、上部ピン層143の一例として、(Fe50Co50[1nm]/Cu[0.25nm])×2/Fe50Co50[1nm]のような磁性層を用いることができる。上部ピン層143は、スピン依存散乱ユニットの一部をなす。上部ピン層143は、MR効果に直接的に寄与する磁性層であり、大きなMR変化率を得るために、この構成材料、膜厚の双方が重要である。特に、スペーサ層16との界面に位置する磁性材料は、スピン依存界面散乱に寄与する点で特に重要である。
上部ピン層143としてここで用いた、bcc構造をもつFe50Co50を用いる効果について述べる。上部ピン層143として、bcc構造をもつ磁性材料を用いた場合、スピン依存界面散乱効果が大きいため、大きなMR変化率を実現することができる。bcc構造をもつFeCo系合金として、FexCo100-x(x=30〜100%)や、FexCo100-xに添加元素を加えたものが挙げられる。そのなかでも、諸特性をすべて満たしたFe40Co60〜Fe80Co20が使いやすい材料の一例である。
上部ピン層143が、高MR変化率を実現しやすいbcc構造をもつ磁性層から形成されている場合には、この磁性層の全膜厚が1.5nm以上であることが好ましい。bcc構造を安定に保つためである。スピンバルブ膜に用いられる金属材料は、fcc構造またはfct構造であることが多いため、上部ピン層143のみがbcc構造を有することがあり得る。このため、上部ピン層143の膜厚が薄すぎると、bcc構造を安定に保つことが困難になり、高いMR変化率が得られなくなる。
ここでは、上部ピン層143として、極薄Cu積層を含むFe50Co50を用いている。ここで、上部ピン層143は、全膜厚が3nmのFeCoと、1nmのFeCo毎に積層された0.25nmのCuとからなり、トータル膜厚3.5nmである。
上部ピン層143の膜厚は、厚いほうが大きなMR変化率が得やすいが、大きなピン固着磁界を得るためには薄いほうが好ましく、トレードオフの関係が存在する。例えば、bcc構造をもつFeCo合金層を用いたときには、bcc構造を安定にする必要があるため、1.5nm以上の膜厚が好ましい。また、fcc構造のCoFe合金層を用いるときにも、大きなMR変化率を得るため、やはり1.5nm以上の膜厚が好ましい。一方、大きなピン固着磁界を得るためには、上部ピン層143の膜厚が最大でも、5nm以下であることが好ましく、4nm以下であることがより好ましい。以上のように、上部ピン層143の膜厚は、1.5nm〜5nmが好ましく、2.0nm〜4nm程度がより好ましい。
上部ピン層143には、bcc構造をもつ磁性材料の代わりに、従来の磁気抵抗効果素子で広く用いられているfcc構造を有するCo90Fe10合金や、hcp構造をもつCoや、コバルト合金を用いることができる。上部ピン層143として、Co、Fe、Niなどの単体金属、またはこれらのいずれか一つの元素を含む合金材料はすべて用いることができる。上部ピン層143の磁性材料として、大きなMR変化率を得るのに有利なものから並べると、bcc構造をもつFeCo合金材料、50%以上のコバルト組成をもつコバルト合金、50%以上のNi組成をもつニッケル合金の順になる。
また、上部ピン層143として、Co2MnGe、Co2MnSi、Co2MnAlなどのホイスラー磁性合金層を用いることも可能である。
ここでの一例として挙げたものは、上部ピン層143として、磁性層(FeCo層)と非磁性層(極薄Cu層)とを交互に積層したものを用いている。このような非磁性元素材料との積層構造を有する上部ピン層143では、極薄Cu層によって、スピン依存バルク散乱効果と呼ばれるスピン依存散乱効果を向上させることができる。
「スピン依存バルク散乱効果」は、スピン依存界面散乱効果と対の言葉として用いられる。スピン依存バルク散乱効果とは、磁性層内部でMR効果を発現する現象である。スピン依存界面散乱効果は、スペーサ層と磁性層の界面でMR効果を発現する現象である。
以下、磁性層と非磁性層の積層構造によるバルク散乱効果の向上につき説明する。
CCP−CPP素子においては、スペーサ層16の近傍で電流が狭窄されるため、スペーサ層16の界面近傍での抵抗の寄与が非常に大きい。つまり、スペーサ層16と磁性層(ピン層14、フリー層18)の界面での抵抗が、磁気抵抗効果素子全体の抵抗に占める割合が大きい。このことは、スピン依存界面散乱効果の寄与がCCP−CPP素子では非常に大きく、重要であることを示している。つまり、スペーサ層16の界面に位置する磁性材料の選択が従来のCPP素子の場合と比較して、非常に重要な意味をもつ。これが、上部ピン層143として、スピン依存界面散乱効果が大きいbcc構造をもつFeCo合金層を用いた理由であり、前述したとおりである。
しかしながら、スピン依存バルク散乱効果の大きい材料を用いることも無視できず、より高MR変化率を得るためにはやはり重要である。スピン依存バルク散乱効果を得るための極薄Cu層の膜厚は、0.1nm〜1nmが好ましく、0.2nm〜0.5nmがより好ましい。Cu層の膜厚が薄すぎると、スピン依存バルク散乱効果を向上させる効果が弱くなる。Cu層の膜厚が厚すぎると、スピン依存バルク散乱効果が減少することがあるうえに、非磁性のCu層を介した上下磁性層の磁気結合が弱くなり、ピン層14の特性が不十分となる。そこで、好ましい例として挙げたものでは、0.25nmのCuを用いた。
磁性層間の非磁性層の材料として、Cuの換わりに、Hf、Zr、Tiなどを用いてもよい。一方、これら極薄の非磁性層を挿入した場合、FeCoなど磁性層の一層あたりの膜厚は0.5nm〜2nmが好ましく、1nm〜1.5nm程度がより好ましい。
上部ピン層143として、FeCo層とCu層との交互積層構造に換えて、FeCoとCuを合金化した層を用いてもよい。このようなFeCoCu合金として、例えば、(FexCo100-x100-yCuy(x=30〜100%、y=3〜15%程度)が挙げられるが、これ以外の組成範囲を用いてもよい。ここで、FeCoに添加する元素として、Cuの代わりに、Hf、Zr、Tiなど他の元素を用いてもよい。
上部ピン層143には、Co、Fe、Niや、これらの合金材料からなる単層膜を用いてもよい。例えば、最も単純な構造の上部ピン層143として、従来から広く用いられている、2〜4nmのCo90Fe10単層を用いてもよい。この材料に他の元素を添加してもよい。
本実施形態では、図2,図3,図5および図6に示すように、上部ピン層143に機能層22を挿入することにより、MR変化率を増大できる。また、図2,図3のようにスペーサ層が金属層の場合でも、図5,図6のようにスペーサ層がCCP構造である場合のどちらにおいてもMR変化率の増大することができる。なお、図2,図3,図5,図6には、機能層21は、上部ピン層143の内部に形成するようにしているが、その表面部分、例えば上部ピン層143とスペーサ層(広義)の下部金属層15との間、上部ピン層143とオールメタルスペーサ層16との間、上部ピン層143と磁気結合層142の間に形成するようにすることもできる。また、機能層22はピン層中に複数層設けてもよい。また、機能層は図1,図4のようにフリー層18にのみに設けて上部ピン層143に設けなくともよい。機能層22の詳細は後述する。
<スペーサ層>
スペーサ層16には、図1,図2,図3に示すように金属層からなるものと、図4,図5,図6に示すように絶縁層161および絶縁層161を貫通する電流パス162を有するCCP構造のものが用いられる。
まず、下部金属層15、スペーサ層16および上部金属層17を含むCCP構造のスペーサ層(広義)について説明する。
下部金属層15は、電流パス162の形成に用いられ、電流パス162の供給源である。下部金属層15は、その上部の絶縁層161を形成するときに、下部に位置する上部ピン層143の酸化を抑制するストッパ層としての機能も有する。
電流パス162の構成材料がCuの場合には、下部金属層15の構成材料も同一(Cu)であることが好ましい。電流パス162の構成材料を磁性材料とする場合には、この磁性材料はピン層14の磁性材料と同一、別種のいずれでも構わない。電流パス162の構成材料として、Cu以外に、Au、Agなどを用いてもよい。
電流狭窄層16は、絶縁層161、電流パス162を有する。絶縁層161は、酸化物、窒化物、酸窒化物等から構成される。スペーサ層としての機能を発揮するために、絶縁層161の厚さは、1nm〜3nmが好ましく、1.5nm〜2.5nmの範囲がより好ましい。
絶縁層161に用いられる典型的な材料としては、Al23およびこれに添加元素を加えたものが挙げられる。例として、膜厚約2nmのAl23を用いることができる。添加元素としては、Ti、Hf、Mg、Zr、V、Mo、Si、Cr、Nb,Ta、W、B、Cなどがある。これらの添加元素の添加量は0〜50%程度の範囲で適宜変化させることができる。
絶縁層161には、Al23のようなAl酸化物の代わりに、Ti酸化物、Hf酸化物、Mn酸化物、Zr酸化物、Cr酸化物、Ta酸化物、Nb酸化物、Mo酸化物、Si酸化物、V酸化物なども用いることができる。これらの酸化物に対しても上述した添加元素を用いることができる。添加元素の添加量は0〜50%程度の範囲で適宜変えることができる。
絶縁層161として、酸化物の代わりに、Al、Si、Hf、Ti、Mg、Zr、V、Mo,Nb、Ta、W、B、Cをベースとする窒化物または酸窒化物を用いてもよい。
電流パス162は、電流狭窄層16の膜面垂直に電流を流すパス(経路)であり、電流を狭窄するためのものである。絶縁層161の膜面垂直方向に電流を通過させる導電体として機能し、例えば、Cu等の金属層から構成できる。即ち、電流狭窄層16では、電流狭窄構造(CCP構造)を有し、電流狭窄効果によりMR変化率を増大可能である。電流パス162(CCP)を形成する材料は、Cu以外には、Au、Agや、Ni、Co、Fe、またはこれらの元素を少なくとも一つは含む合金層を挙げることができる。一例として、電流パス162を、Cuを含む合金層で形成することができる。CuNi、CuCo、CuFeなどの合金層も用いることができる。ここで、50%以上のCuを有する組成とすることが、高MR変化率と、ピン層14とフリー層18の層間結合磁界(interlayer coupling field、Hin)を小さくするためには好ましい。
電流パス162は絶縁層161と比べて著しく酸素、窒素の含有量が少ない領域であり(少なくとも2倍以上の酸素や窒素の含有量の差がある)、結晶相である。結晶相は非結晶相よりも抵抗が小さいため、電流パス162として機能しやすい。
上部金属層17は、電流狭窄層16を構成する酸素・窒素がフリー層18中に拡散することを抑制するためのバリア層、およびフリー層18の良好な結晶成長を促進するためのシード層として機能する。具体的には、上部金属層17は、その上に成膜されるフリー層18が電流狭窄層16の酸化物・窒化物・酸窒化物に接して酸化や窒化されないように保護する。即ち、上部金属層17は、電流パス162の酸化物層中の酸素とフリー層18との直接的な接触を制限する。また、上部金属層17は、フリー層18の結晶性を良好にし、例えば、絶縁層161の材料がアモルファス(例えば、Al23)の場合には、その上に成膜される金属層の結晶性が悪くなるが、結晶性を良好にする極薄のシード層(例えば、Cu層)を配置することで、フリー層18の結晶性を著しく改善することが可能となる。
上部金属層17の材料は、電流狭窄層16の電流パス162の材料(例えば、Cu)と同一であることが好ましい。上部金属層17の材料が電流パス162の材料と異なる場合には界面抵抗の増大を招くが、両者が同一の材料であれば界面抵抗の増大は生じないためである。なお、電流パス162の構成材料を磁性材料とする場合には、この磁性材料はフリー層18の磁性材料と同一、別種のいずれでも構わない。上部金属層17の構成材料として、Cu以外に、Au、Agなどを用いることができる。
一方、図1,図2,図3に示すようにスペーサ層16を金属層で形成するオールメタルスペーサ層の場合について説明する。オールメタルスペーサ層16は、Au、AgおよびCuからなる群より選択される元素で形成することが好ましい。また、オールメタルスペーサ層の膜厚は、1.5〜5nm程度が好ましい。
<フリー層:磁化自由層>
フリー層18は、磁化方向が外部磁界によって変化する強磁性体を有する層である。例えば、界面にCoFeを挿入してNiFeを用いたCo90Fe10[1nm]/Ni83Fe17[3.5nm]という二層構成がフリー層18の一例として挙げられる。この場合、電流狭窄層16との界面には、NiFe合金よりもCoFe合金を設けることが大きなMR変化率を実現するために好ましい。高いMR変化率を得るためには、電流狭窄層16の界面に位置するフリー層18の磁性材料の選択が重要である。なお、NiFe層を用いない場合には、Co90Fe10[4nm]単層も用いることができる。また、CoFe/NiFe/CoFeなどの三層構成からなるフリー層18を用いても構わない。また、後述するように、フリー層18の一部にCoZrNbなどのアモルファス合金層を用いても構わない。
CoFe合金のなかでも、軟磁気特性が安定であることから、Co90Fe10が好ましい。Co90Fe10近傍のCoFe合金を用いる場合には、膜厚を0.5nm〜4nmとすることが好ましい。その他、CoxFe100-x(x=70〜90)も用いることができる好ましい組成範囲である。
また、フリー層18として、1nm〜2nmのCoFe層またはFe層と、0.1nm〜0.8nm程度の極薄Cu層とを、複数層交互に積層したものを用いてもよい。
電流狭窄層16を形成する材料のうち、電流が流れる電流パス層162がCu層から形成される場合には、ピン層14と同様に、フリー層18でも、bccのFeCo層を電流狭窄層16との界面材料として用いると、MR変化率が大きくなる。電流狭窄層16との界面材料として、fccのCoFe合金に換えて、bccのFeCo合金を用いることもできる。この場合、bcc層が形成されやすい、FexCo100-x(x=30〜100)や、これに添加元素を加えた材料を用いることができる。例えば、Co50Fe50[1nm]/Ni85Fe15[3.5nm]を用いることができる。
また、フリー層18の一部として、CoZrNbなどのアモルファス磁性層を用いても構わない。ただし、アモルファス磁性層を用いる場合でも、MR変化率に大きな影響を与えるスペーサ層16と接する界面は結晶構造を有する磁性層を用いることが必要である。フリー層18の構造としては、スペーサ層16側からみて、次のような構成が可能である。即ち、フリー層18の構造として、(1)結晶層のみ、(2)結晶層/アモルファス層の積層、(3)結晶層/アモルファス層/結晶層の積層、などが考えられる。ここで重要なことは、(1)〜(3)のいずれでもスペーサ層16との界面に必ず結晶層が接するようにしていることである。
本実施形態では、フリー層18内に、図1,図3,図4,図6に示すように、Mnを含有する金属材料および酸素を含有する機能層21を挿入(形成)することにより、MR変化率を増大することができる。また、図1,図3のようにスペーサ層が金属層の場合でも、図4,図6のようにスペーサ層がCCP構造である場合のどちらにおいてもMR変化率の増大することができる。なお、図1,図3,図4,図6には、機能層21は、フリー層18の内部に形成するようにしているが、その表面部分、例えばフリー層18とスペーサ層(広義)の上部金属層17との間、フリー層18とオールメタルスペーサ層16との間、フリー層18とキャップ層19の間に形成するようにすることもできる。また、機能層21はフリー層中に複数層設けてもよい。機能層21の詳細は後述する。また、機能層は図2,図5のようにピン層のみに設けてフリー層に設けなくともよい。
<キャップ層>
キャップ層19は、スピンバルブ膜を保護する機能を有する。キャップ層19は、例えば、複数の金属層、例えば、Cu層とRu層の2層構造(Cu[1nm]/Ru[10nm])とすることができる。また、キャップ層19として、Ruをフリー層18側に配置したRu/Cu層なども用いることができる。この場合、Ruの膜厚は0.5〜2nm程度が好ましい。この構成のキャップ層19は、特に、フリー層18がNiFeからなる場合に望ましい。RuはNiと非固溶な関係にあるので、フリー層18とキャップ層19の間に形成される界面ミキシング層の磁歪を低減できるからである。
キャップ層19が、Cu/Ru、Ru/Cuのいずれの場合でも、Cu層の膜厚は0.5〜10nm程度が好ましく、Ru層の膜厚は0.5〜5nm程度とすることができる。Ruは比抵抗値が高いため、あまり厚いRu層を用いることは好ましくないため、このような膜厚範囲にしておくことが好ましい。
キャップ層19として、Cu層やRu層の代わりに他の金属層を設けてもよい。キャップ層19の構成は特に限定されず、キャップとしてスピンバルブ膜を保護可能なものであれば、他の材料を用いてもよい。但し、キャップ層の選択によってMR変化率や長期信頼性が変わる場合があるので、注意が必要である。CuやRuはこれらの観点からも望ましいキャップ層の材料の例である。
なお、本実施形態では、図1〜図6に、ボトム型のCCP−GMR膜を示しているが、トップ型のCCP−GMR膜を形成し、これに対して上述した実施形態に従って、適宜に機能層を挿入することもできる。
<機能層>
本実施形態では、前記磁化固着層および前記磁化自由層の少なくともいずれか一方を、Co,FeまたはNiを含む磁性層と、Mnを含有する金属材料および酸素を含有する機能層との積層構成とすることによって、大きなMR変化率を実現できることを見出した。
MR変化率が向上した理由は現段階では明確になっていないが、現時点での推察を説明する。
本実施形態における機能層の挿入によってMR変化率が向上した理由として、機能層が高いスピン分極率を発現したことによるスピンフィルタリング効果の発現が考えられる。
スピン分極率とは、電気伝導の担い手となるフェルミ準位におけるアップスピン電子とダウンスピン電子の状態密度の差異の比率である。スピンフィルタリング効果とは前述した状態密度の差異が大きい場合に、片方のスピンがもう片方のスピンに比べて極端に通過しにくい(フィルタリング)現象であり、スピンフィルタリング効果が大きいほど高いMR変化率が得られる。
本実施形態でMRの増大を確認した機能層は、Mnを含む金属材料と酸素を含有している。Mnは、Co,Fe,Niのような室温で強磁性を有する3d遷移金属に近い電子構造を持っており反強磁性を有する。Mnの酸化物や窒化物はその価数によって強磁性やフェリ磁性や反強磁性など様々な磁性を有することがバルクで確認されており、Mn元素のバンド構造が隣接する元素および結晶構造によって大きく変化して、その磁性が大きく変化することが知られている。
ここで、本実施形態の機能層は、フリー層またはピン層に挿入された形態であるため、機能層であるMnの酸化物は、強磁性3d遷移金属であるCo,Fe,Niを含む磁性層に接した構造となっている。機能層と磁性層の界面において、Mnの酸化物と磁性3d遷移金属が結合した場合、Mnの酸化物のバンド構造が変化して強磁性が誘発され、バルクでは確認されていない高いスピン分極率を発現したと考えられる。
また、機能層の膜面垂直方向の格子間隔が、磁化固着層または前記磁化自由層を構成し機能層に隣接する磁性層の膜面垂直方向の格子間隔よりも大きいことが好ましい。機能層が結晶間隔の異なる磁性層と接することによる格子歪によってバンド構造が変調されることにより、Mnの酸化物が高いスピン分極率を発現すると考えられる。後述するように、本実施形態の機能層は結晶構造を有しており、その膜面垂直方向の格子間隔は、隣接する磁性層の格子間隔よりも大きいことが確認できている。格子間隔の異なる機能層と磁性層とが積層されることにより、機能層内部に歪による格子間隔のグラデーションが形成される。前述したように、Mnの酸化物は結晶構造によって磁性が大きく変化する系であるため、磁性層と接することによりバルクとは異なる原子間距離となり、バルクとは異なる電子状態に変調されて高いスピン分極率が発現したと考えられる。
本実施形態の機能層の挿入によるMR変化率の増大は、上述した2つの現象の複合効果でMnの酸化物が高いスピン分極率を発現して、スピンフィルタリング効果が得られたためと考えられる。
なお、上述した作用はあくまで本発明者らの考察によるものであり、本発明の成立性に何ら影響を及ぼすものではない。本発明は、いわゆるCPP−GMR素子において、上述したような要件を満足する機能層を設けることにより、そのMR変化率を向上させることが可能となることによって特徴づけられる。
本実施形態の機能層21および22の構造について述べる。本実施形態の機能層21および22は、Mnを含む金属材料と、酸素とを含有する。
Mnを含む金属材料のMn含有量は、スピンフィルタリング効果によるMR変化率の増大を得るためには、25at.%以上であることが好ましく、50at.%以上であることがさらに好ましい。Mnの含有量が低すぎると、上述したMnと酸素の結合によるバンド変調によるスピンフィルタリング効果を効果的に得ることができなくなるため好ましくない。
機能層21の膜厚は0.2nm〜3nm程度が好ましく、0.5nm〜2nmがより好ましい。機能層21が薄すぎた場合、機能層21によるスピンフィルタリング効果を十分に得ることができないため、0.2nm以上とすることが好ましく、0.5nm以上とすることがさらに好ましい。一方、機能層21が厚すぎた場合、機能層の上下に存在する磁性層の磁気結合を分断する可能性がある。機能層21を介した磁気結合を十分大きな値として保つためには、3nm以下が好ましく、2nm以下がさらに好ましい。
機能層は、上部ピン層143の層中、上部ピン層143と磁気結合層142の界面および上部ピン層143とスペーサ層16の界面、フリー層18の層中、フリー層18とスペーサ層16の界面およびフリー層18とキャップ層19の界面に配置することができる。
スペーサ層(広義)として、CCP構造(下部金属層15/CCP層16/上部金属層17)を用いる場合、スペーサ層(広義)からあまり離れた位置に配置することは望ましくない。この理由は、スペーサ層からあまり離れた位置に配置すると、CCP層で狭窄された電流がピン層14、およびフリー層18の内部で広がってしまい、機能層によるスピンフィルタリング効果を有効に利用することができない。機能層をピン層14に挿入する場合は、ピン層14とスペーサ層(広義)との界面から膜面に対してピン層14の方向に3nm以内の領域に配置することが望ましい。また、機能層をフリー層18、キャップ層19に挿入する場合は、スペーサ層(広義)とフリー層18の界面から膜面に対してフリー層18の方向に3nm以内の領域に配置することが望ましい。
機能層21および22は、上部ピン層143、フリー層18に複数層挿入しても構わない。例えば、フリー層18に複数層挿入する場合、Fe50Co50[1nm]/機能層第一層Mn酸化物[1nm]/Ni90Fe10[1.5nm]/機能層第二層Mn酸化物[1nm]/Ni90Fe10[1.0nm]/機能層第三層Mn酸化物[1nm]/Ni90Fe10[1.0nm]のようにすることができる。これら第1層と第2層、または第2層と第3層との間の距離は、1nmから2nm程度が望ましい範囲である。
機能層を複数層用いるメリットとして、機能層の挿入によるスピンフィルタリング効果を増大することができる。機能層を複数層挿入するのは、上部ピン層143の場合でもよいし、フリー層18の場合でもよい。また、上部ピン層143、フリー層18の両方に複数層挿入してもよい。
複数層の機能層を用いるデメリットとして、機能層を介した磁性層間の磁気結合が弱まることで、磁気特性が悪くなる可能性がある。磁気特性の劣化を防止するためには、上部ピン層143、およびフリー層18内での機能層21の膜厚の総量が一層の場合と同等の膜厚範囲であることが好ましい。また、一つの磁性層内での複数の機能層21間の距離としては、上述したように、1〜2nmが好ましい範囲となる。
本実施形態で機能層を挿入した磁気抵抗効果膜は、後述するように磁気抵抗効果膜のうちのセンス電流が実質的に通電される部分の面積Aと、一対の電極間で得られる抵抗Rとの積ARが500mΩμm2以下において、機能層を介した磁性層の磁気結合を保持できる。
酸化物からなる機能層をピン層またはフリー層中に挿入する場合に機能層を介した上下の磁性層の磁気結合が分断されると、フリー層挿入の場合には外部磁界に対する線形応答の悪化および磁気ノイズの発生、ピン層挿入の場合はピン磁界の低下などの問題が生ずる。上述したように、Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の場合、素子抵抗RAが500mΩμm2以上の条件において磁気結合の分断が確認された。ここで、機能層としてTiやVの酸化物のようにMn酸化物に比べて磁性の弱い化合物を用いた場合、Mn酸化物よりも低い素子抵抗RAにおいて、機能層を介した上下の磁性層の磁気結合がきれてしまう。本実施例により、機能層材料としてMnを含む金属材料と酸素を含有する機能層を用いることにより、他の元素からなる機能層よりも高い素子抵抗RAまで、磁気結合がとれることがわかった。
素子抵抗RAが低すぎるとスピントランスファー起因のノイズが増大するため、素子抵抗RAはある程度高いことが好ましい。Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の場合、他の機能層材料よりも高い素子抵抗RAまで、機能層を介した上下の磁性層の磁気結合を維持することができる。
上述したように、機能層の格子間隔は磁性層の格子間隔に比べて大きいことが望ましい。たとえば、Co,Fe,Niを主成分とする磁性層の格子間隔が2.0〜2.2Åであるのに対し、機能層の膜面垂直方向の格子間隔は2.4〜2.7Åであることが望ましい。機能層の結晶構造は、Mnを有する酸化物であるため、ルチル構造またはスピネル構造となっていると考えられる。
機能層が挿入された磁気抵抗効果膜SVの構造は、3次元アトムプローブにより確認することができる。3次元アトムプローブとしては、例えばImago Scientific Instruments社のLocal Electrode Atom Probeを用いることができる。
3次元アトムプローブ顕微鏡は、材料の原子オーダーでの組成情報を3次元でマッピング可能な測定手法である。具体的には、先端の極率半径30〜100nm、高さ100μm程度のニードル状のポストに加工された測定対象サンプルに高電圧を印加する。そして、測定対象サンプルの先端から電解蒸発された原子の位置を2次元ディテクターで検知する。2次元ディテクターで検知された(x、y)2次元平面内での原子の位置情報の時間経過(時間軸)を追うことで、z方向の深さ情報を得て(x、y、z)3次元の構造が観察可能となる。
なお、Imago Scientific Instruments社の装置のほかに、Oxford Instruments社やCameca社、または同等の機能を有する3次元アトムプローブを用いても分析することが可能である。また、一般には電圧パルスを印加して電界蒸発を生じさせるが、電圧パルスの換わりにレーザーパルスを用いてもよい。どちらの場合にも、バイアス電界を付加するためにDC電圧を用いる。電圧パルスの場合、電圧によって、電界蒸発に必要な電界を印加する。レーザーパルスの場合、局所的に温度を上昇させ、電界蒸発を起こりやすい状態にすることで、電界蒸発を生じさせる。
また、上記のような機能層が挿入された磁気抵抗効果膜SVの構造は、断面TEM像において、局所的にEDXによる元素分析をすることによっても、特定することができる。
<機能層の製造方法>
Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層の製造方法について述べる。ここでは、図1,図3,図4,図6に示す磁気抵抗効果素子を製造するに当たり、下部フリー層181上に機能層21を形成するための製造方法を例にとり述べる。
まず、下部フリー層181上に、機能層21に変換されるMnを含む金属材料層を成膜する。次に、Mnを含む金属材料に変換処理を施し、酸素を含む機能層21を形成する。この変換処理は、希ガスなどのイオンビームまたはプラズマを金属材料層に照射しながら、酸素を供給して行う、イオンアシスト酸化(IAO:Ion assisted Oxidation)を用いることができる。また、上記のイオンアシスト変換処理において、酸素ガスをイオン化またはプラズマ化してもよい。イオンビームの照射による金属材料層へのエネルギーアシストにより、安定で均一な酸化物層を機能層として形成することができる。また、一層の機能層を形成するに当たり、上述した金属材料層の成膜と変換処理を数回繰り返して行ってもよい。また、Mnを含む金属材料層を酸素雰囲気に晒す自然酸化を用いてもよい。ただし、安定な酸化物を形成するためには、エネルギーアシストを用いた酸化方法のほうが望ましい。酸化工程において、酸素ガスを供給する際に、同時に窒素ガスを供給して酸窒化行程としてもよい。酸窒化工程では、単純な酸化工程に比べて、均一な機能層が形成できる場合がある。
また、エネルギーアシストの方法として、イオンビームの照射以外に加熱処理などを行ってもよい。この場合、たとえば、金属材料層を成膜後に100℃〜300℃の温度で加熱しながら、酸素を供給してもよい。
以下、機能層形成の変換処理において、イオンビームアシスト処理を行った場合のビーム条件について説明する。変換処理により、機能層を形成する際に前述した希ガスをイオン化またはプラズマ化して照射する場合、その加速電圧Vを30〜130V、ビーム電流Ibを20〜200mAに設定することが好ましい。これらの条件は、イオンビームエッチングを行う場合の条件と比較すると著しく弱い条件である。イオンビームの代わりにRFプラズマなどのプラズマを用いても同様に機能層を形成することができる。イオンビームの入射角度は、膜面に対して垂直に入射する場合を0度、膜面に平行に入射する場合を90度と定義して、0〜80度の範囲で適宜変更する。この工程による処理時間は15秒〜1200秒が好ましく、制御性などの観点から30秒以上がより好ましい。処理時間が長すぎると、CPP素子の生産性が劣るため好ましくない。これらの観点から、処理時間は30秒から600秒が最も好ましい。
イオンまたはプラズマを用いた酸化処理の場合、酸素暴露量はIAOの場合には1×103〜1×104L(1L=1×10-6Torr×sec)が好ましい。自然酸化の場合には3×103〜3×104Lが好ましい。
図7は、本実施形態の磁気抵抗効果素子の製造に用いられる成膜装置の一例の概略を示す模式図である。
図7に示すように、搬送チャンバー(TC)50を中心として、ロードロックチャンバー51、プレクリーニングチャンバー52、第1の金属成膜チャンバー(MC1)53、第2の金属成膜チャンバー(MC2)54、酸化物層形成チャンバー(OC)60がそれぞれゲートバルブを介して設けられている。この成膜装置では、ゲートバルブを介して接続された各チャンバーの間で、真空中において基板を搬送することができるので、基板の表面は清浄に保たれる。
金属成膜チャンバー53、54は多元(5〜10元)のターゲットを有する。成膜方式は、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ等のスパッタ法、イオンビームスパッタ法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、およびMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
(磁気抵抗効果膜の製造方法)
次に、本実施形態における磁気抵抗効果素子の製造方法の一例について詳細に説明する。
図8に実施形態の磁気抵抗効果素子の製造工程のフロー図を示す。基本的な製造プロセスは、基板(図示せず)上に、下電極11、下地層12、ピニング層13、ピン層14、下部金属層15、スペーサ層16、上部金属層17、フリー層18、キャップ層19、上電極20を順に形成する。この際、基板はロードロックチャンバー51にセットし、金属の成膜を金属成膜チャンバー53、54で、酸化を酸化物層形成チャンバー60でそれぞれ行う。金属成膜チャンバーの到達真空度は1×10-8Torr以下とすることが好ましく、5×10-10Torr〜5×10-9Torr程度が一般的である。搬送チャンバー50の到達真空度は10-9Torrオーダーである。酸化物層形成チャンバー60の到達真空度は8×10-8Torr以下である。
次に、各層の製造工程について説明する。
(1)下地層12の形成(ステップS11)
基板(図示せず)上に、下電極11を微細加工プロセスによって前もって形成しておく。
下電極11上に、下地層12として、例えば、Ta[1nm]/Ru[2nm]を成膜する。既述のように、Taは下電極の荒れを緩和したりするためのバッファ層12aである。Ruはその上に成膜されるスピンバルブ膜の結晶配向および結晶粒径を制御するシード層12bである。
(2)ピニング層13の形成(ステップS12)
下地層12上にピニング層13を成膜する。ピニング層13の材料としては、PtMn、PdPtMn、IrMn、RuRhMnなどの反強磁性材料を用いることができる。
(3)ピン層14(および機能層21)の形成(ステップS13)
ピニング層13上にピン層14を形成する。ピン層14は、例えば、下部ピン層141(Co90Fe10[4nm])、磁気結合層142(Ru)、および上部ピン層143(Co90Fe10[4nm])からなるシンセティックピン層とすることができる。
ここで、例えば上部ピン層143の成膜の途中で、前述した方法により、機能層22を形成することができる。具体的には、成膜材料をCo90Fe10からMnに切り替え、酸化物層形成チャンバーへ搬送して、IAO処理を行い、再度成膜チャンバーに戻して、Co90Fe10を成膜することにより、上部ピン層143中にMn酸化物からなる機能層22が形成される。また、Co90Fe10からMn成膜およびIAO工程に切り替え、再度Co90Fe10に切り替えない場合は、上部ピン層143の表面上にMn酸化物からなる機能層22が形成されることになる。
(4)スペーサ層15〜17の形成(ステップS14)
次に、電流狭窄構造(CCP構造)を有する電流狭窄層16を含む、スペーサ層15〜17を形成する。スペーサ層15〜17を形成するには、酸化物層層形成チャンバー60を用いる。
電流狭窄層16を形成するには、以下のような方法を用いる。ここでは、アモルファス構造を有するAl23からなる絶縁層161中に金属結晶構造を有するCuからなる電流パス162を含む電流狭窄層を形成する場合を例に説明する。
1)上部ピン層143(あるいは機能層21)上に、電流パスの供給源となる下部金属層15(例えばCu)を成膜した後、下部金属層15上に絶縁層に変換される被酸化金属層(例えばAlCuやAl)を成膜する。次いで、前記被酸化金属層に希ガス(例えばAr)のイオンビームを照射して前処理を行う。この前処理をPIT(Pre-ion Treatment)という。このPITの結果、被酸化金属層中に下部金属層の一部が吸い上げられて侵入した状態になる。
2)酸化ガス(例えばO2)を供給して被酸化材料を酸化する。この酸化により、被酸化金属層をAl23からなる絶縁層161に変換するとともに、絶縁層161を貫通する電流パス162を形成して、電流狭窄層16を形成する。例えば、希ガス(Ar、Xe、Kr、Heなど)のイオンビームを照射しながら酸化ガス(例えば酸素)を供給して被酸化金属層を酸化することができる。この方法をIAO(Ion Assisted Oxidation)という。この酸化処理により、絶縁層161であるAl23と電流パス162であるCuとが分離した形態の電流狭窄層16が形成される。Alが酸化されやすく、Cuが酸化されにくいという、酸化エネルギーの差を利用した処理である。次いで、電流狭窄層16の上に、上部金属層17(たとえばCu)を成膜する。
金属層からなるメタルスペーサを形成する場合は、金属性膜チャンバーにおいて、Cu、Au、Agなどを成膜することによって形成することができる。
(5)フリー層18(および機能層22)の形成(ステップS15)
上部金属層17の上に、フリー層18として、例えば、Co90Fe10[4nm]を成膜する。
ここで、例えばフリー層18の成膜の途中で、前述した方法により、機能層21を形成することができる。具体的には、成膜材料をCo90Fe10からMnに切り替え、酸化物層形成チャンバーへ搬送して、IAO処理を行い、再度成膜チャンバーに戻して、Co90Fe10を成膜することにより、フリー層18中にMn酸化物からなる機能層21が形成される。
(6)キャップ層19(および機能層23)、および上電極20の形成(ステップS16)
フリー層18の上に、キャップ層19として例えば、Cu[1nm]/Ru[10nm]を積層する。
次いで、キャップ層19の上にスピンバルブ膜へ垂直通電するための上電極20を形成する。
(実施例1)
以下、実施例1につき図面を参照しつつ説明する。本実施例では、図1に示す構造の磁気抵抗効果素子を作製した。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Co90Fe10[4nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:Mn[0.6nm]の酸化物層
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
ここで機能層21を含むフリー層18の形成方法を説明する。まず、下部フリー層181を成膜し、次いで機能層へと変換されるMn[0.6nm]を成膜する。次いで、IAO工程によりMn酸化物に変換する。次いで、上部フリー層182を成膜する。本実施例では、機能層のIAO工程における酸素暴露量を変えて様々な面積抵抗RAを有する磁気抵抗素子を作製した。
(比較例1)
本発明の実施例に対する比較例1として、機能層を挿入していないCPP−GMR素子を作製した。膜構成を下記に示す。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Co90Fe10[4nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
フリー層18:Co90Fe10[4nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
(比較例2)
本発明の実施例に対する比較例2として、機能層としてメタルMn層を挿入したCPP−GMR素子を作製した。膜構成を下記に示す。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Co90Fe10[4nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:Mn[0.6nm]
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
実施例1および比較例1、2の磁気抵抗効果膜は、280℃、5時間のアニール後、上電極および下電極のパターニングを行い、垂直通電特性の評価を行った。
図9に、実施例1および比較例1,2の磁気抵抗効果素子の面積抵抗RAとMR変化率の関係を示す。比較例1では、RA=0.08Ωμm2、MR=0.7%であった。また、比較例2では、RA=0.09Ωμm2、MR=0.6%であった。
一方、実施例1において、IAO工程の酸素暴露量を変えることにより、実施例1A〜1Eの異なる面積抵抗RAを有する磁気抵抗素子が作製できた。実施例1Aは、RA=0.12Ωμm2、MR=1.1%であり、実施例1Bは、RA=0.16Ωμm2、MR=1.2%であり、実施例1Cは、RA=0.3Ωμm2、MR=2.1%であり、実施例1Aから1Cの素子において比較例1および2を上回るMR比を確認でき、Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の挿入によりMR変化率の向上を確認することができた。った。ここで、図9には図示していないが、実施例1D、および実施例1Eとして、RA=0.56Ωμm2、RA=3.7Ωμm2、の素子を作製できたが、両実施例とも素子抵抗の磁場依存性の形状が異常であり、正しいMR変化率を評価できなかった。この磁場依存性の形状の異常は、機能層上下の磁気結合の分断に起因しており、以降に詳細を述べる。。 図10に、実施例1A〜1Eの磁気抵抗効果素子の磁場に対する素子抵抗の変化を示す。磁場は磁気抵抗効果膜のピニング方向に平行に掃印している。面積抵抗が500mΩμm2以下である実施例1A〜1Cの素子では、負の磁場で低抵抗、正の磁場で高抵抗となる通常の磁気抵抗効果素子のループ形状となっている。一方、面積抵抗が500mΩμm2以上である実施例1D〜1Eの素子では、負の磁場で低抵抗、正の磁場で高抵抗となる以外にゼロ磁場付近に角状の高抵抗領域が存在する。この角状の磁気抵抗効果は、フリー層内部に挿入した機能層により、機能層を介した下部フリー層と上部フリー層の磁気結合が分断してしまい、下部フリー層と上部フリー層の磁化アライメントがゼロ磁場付近のみ平行とならないために生じたものと考えられる。フリー層またはピン層内部における磁気結合の分離は外部磁界に対する線形応答および磁気ノイズの観点で問題があるため、機能層を介した磁性層の磁気結合が保たれる素子抵抗RAが500mΩμm2以下とすることが好ましい。
酸化物からなる機能層をピン層またはフリー層中に挿入する場合、機能層を介した上下の磁性層の磁気結合が分断され、フリー層の場合は外部磁界に対する線形応答および磁気ノイズ場合、ピン層の場合はピン磁界が低下する場合がある。上述したように、Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の場合、素子抵抗RAが500mΩμm2以上の条件において磁気結合の分断が確認された。ここで、機能層としてTiやVの酸化物ようなMn酸化物に比べて磁性の弱い化合物を用いた場合、Mn酸化物よりも低い素子抵抗RAにおいて、機能層を介した上下の磁性層の磁気結合がきれてしまう。本実施例により、機能層材料としてMnを含む金属材料と酸素を含有する機能層を用いることにより、他の元素からなる機能層よりも高い素子抵抗RAまで、磁気結合がとれることがわかった。
素子抵抗RAが低すぎるとスピントランスファー起因のノイズが増大するため、素子抵抗RAはある程度高いことが好ましい。Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の場合、他の機能層材料よりも高い素子抵抗RAまで、機能層を介した上下の磁性層の磁気結合を維持することができる。
図11に、実施例1Bの磁気抵抗効果膜について、断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)像を観察した結果を示す。図11より、機能層21のMn酸化物が明瞭な結晶構造を有していることが確認できる。また、機能層21の上下に存在するフリー層Co90Fe10の膜面垂直方向の格子間隔が2.1Åであるのに対し、機能層21の膜面垂直方向の格子間隔は2.5Åであり、機能層21の格子間隔が磁性層の格子間隔に比べて大きいという特徴が確認された。
MR変化率が向上した理由は現段階では明確になっていないが、現時点での推察を説明する。
本実施形態における機能層の挿入によってMR変化率が向上した理由として、機能層が高いスピン分極率を発現したことによるスピンフィルタリング効果の発現が考えられる。スピン分極率とは、電気伝導の担い手となるフェルミ準位におけるアップスピン電子とダウンスピン電子の状態密度の差異の比率である。スピンフィルタリング効果とは前述した状態密度の差異が大きい場合に、片方のスピンがもう片方のスピンに比べて極端に通過しにくい(フィルタリング)現象であり、スピンフィルタリング効果が大きいほど高いMR変化率が得られる。
本実施形態でMRの増大を確認した機能層は、Mnを含む金属材料と酸素を含有している。Mnは、Co,Fe,Niのような室温で強磁性を有する3d遷移金属に近い電子構造を持っており反強磁性の磁性を有する。Mnの酸化物はその価数によって強磁性やフェリ磁性や反強磁性など様々な磁性を有することがバルクで確認されており、Mn元素が隣接する元素および結晶構造によってバンド構造が大きく変化してその磁性が大きく変化する系であることが知られている。
ここで、本実施形態の機能層は、フリー層またはピン層に挿入された形態であるため、機能層であるMnの酸化物は、強磁性3d遷移金属であるCo,Fe,Niを含む磁性層に接した構造となっている。機能層と磁性層の界面において、Mnの酸化物と磁性3d遷移金属が結合した場合、Mnの酸化物のバンド構造が変化して強磁性が誘発され、バルクでは確認されていない高いスピン分極率を発現したと考えられる。
また、機能層が結晶間隔の異なる磁性層と接することによる格子歪によってバンド構造が変調されることにより、Mnの酸化物が高いスピン分極率を発現したと考えられる。本実施例の機能層は結晶構造を有しており、その膜面垂直方向の格子間隔は、隣接する磁性層の格子間隔よりも大きい。格子間隔の異なる機能層と磁性層とが積層されることにより、機能層内部に歪による格子間隔のグラデーションが形成される。Mnの酸化物は結晶構造によって磁性が大きく変化する系であるため、磁性層と接することによりバルクとは異なる原子間距離となり、バルクとは異なる電子状態に変調されて高いスピン分極率が発現したと考えられる。
本実施例における、機能層の挿入によるMR変化率の増大は、上述した2つの現象の複合効果でMnの酸化物が高いスピン分極率を発現して、スピンフィルタリング効果が得られたためと考えられる。
(実施例2)
以下、実施例2につき図面を参照しつつ説明する。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Co90Fe10[4nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:Mn[0.6nm]の酸窒化物
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
ここで機能層21を含むフリー層18の形成方法を説明する。まず、下部フリー層181を成膜し、次いで機能層へと変換されるMn[0.6nm]を成膜する。次いで、IAON工程によりMn酸窒化物に変換する。次いで、上部フリー層182を成膜する。
実施例2の磁気抵抗効果膜は、280℃、5時間のアニール後、上電極および下電極のパターニングを行い、垂直通電特性の評価を行った。
実施例2では、RA=0.13Ωμm2、MR=1.1%であり、比較例1および2を上回るMR比を確認でき、Mnを含む金属材料と酸素および窒素を含有する機能層21の挿入によりMR変化率の向上を確認することができた。
(実施例3)
以下、実施例3につき図面を参照しつつ説明する。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Co90Fe10[4nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:Mn50Fe50[0.6nm]の酸化物
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
ここで機能層21を含むフリー層18の形成方法を説明する。まず、下部フリー層181を成膜し、次いで機能層へと変換されるMn50Fe50[0.6nm]を成膜する。次いで、IAO工程によりMn50Fe50の酸化物に変換する。次いで、上部フリー層182を成膜する。
(実施例4)
以下、実施例5につき図面を参照しつつ説明する。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Co90Fe10[4nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:Mn25Fe75[0.6nm]の酸化物
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
ここで機能層21を含むフリー層18の形成方法を説明する。まず、下部フリー層181を成膜し、次いで機能層へと変換されるMn25Fe75[0.6nm]を成膜する。次いで、IAO工程によりMn25Fe75の酸化物に変換する。次いで、上部フリー層182を成膜する。
実施例4および5の磁気抵抗効果膜は、280℃、5時間のアニール後、上電極および下電極のパターニングを行い、垂直通電特性の評価を行った。
実施例4は、実施例1および2と同等の特性を確認でき、Mnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の挿入によりMR変化率の向上を確認することができた。
実施例5は、実施例1および2よりもMR変化率は劣るものの、比較例1および2に対するMR変化率の向上は確認できた。
(実施例5)
本実施例では、図2に示す構造の磁気抵抗効果素子を作製した。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
下部ピン層141:Co90Fe10[4nm]
磁気結合中間層142:Ru[0.9nm]
第1の上部ピン層144:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜5のいずれかの材料
第2の上部ピン層145:Co90Fe10[2nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
フリー層18:Co90Fe10[4nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
(実施例6)
本実施例では、図3に示す構造の磁気抵抗効果素子を作製した。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
下部ピン層141:Co90Fe10[4nm]
磁気結合中間層142:Ru[0.9nm]
第1の上部ピン層144:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜5のいずれかの材料
第2の上部ピン層145:Co90Fe10[2nm]
スペーサ層16:Cu[3nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜5のいずれかの材料
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
実施例1〜5に示した磁気抵抗効果素子においては、機能層21はフリー層にのみ挿入していたが、実施例6では機能層22をピン層のみに、実施例7では機能層22をピン層およびフリー層の両方に挿入している。
実施例6および7でも、実施例1〜5と同様にMnを含む金属材料と酸素窒素を含有する機能層21の挿入によりMR変化率の向上を確認することができた。
(実施例7)
本実施例では、図4に示す構造の磁気抵抗効果素子を作製した。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
下部ピン層141:Co90Fe10[4nm]
磁気結合中間層142:Ru[0.9nm]
上部ピン層143:Co90Fe10[4nm]
下部金属層15:Cu[0.6nm]
CCP層16:Al23絶縁層161およびCu電流パス162[2nm]
上部金属層15:Cu[0.4nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜3のいずれかの材料
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
(実施例8)
本実施例では、図5に示す構造の磁気抵抗効果素子を作製した。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
下部ピン層141:Co90Fe10[4nm]
磁気結合中間層142:Ru[0.9nm]
第1の上部ピン層144:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜5のいずれかの材料
第2の上部ピン層145:Co90Fe10[2nm]
下部金属層15:Cu[0.6nm]
CCP層16:Al23絶縁層161およびCu電流パス162[2nm]
上部金属層15:Cu[0.4nm]
フリー層181:Co90Fe10[4nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
(実施例9)
本実施例では、図6に示す構造の磁気抵抗効果素子を作製した。
下電極11
下地層12:Ta[1nm]/Ru[2nm]
ピニング層13:Ir22Mn78[7nm]
下部ピン層141:Co90Fe10[4nm]
磁気結合中間層142:Ru[0.9nm]
第1の上部ピン層144:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜5のいずれかの材料
第2の上部ピン層145:Co90Fe10[2nm]
下部金属層15:Cu[0.6nm]
CCP層16:Al23絶縁層161およびCu電流パス162[2nm]
上部金属層15:Cu[0.4nm]
下部フリー層181:Co90Fe10[2nm]
機能層21:実施例1〜5のいずれかの材料
上部フリー層182:Co90Fe10[2nm]
キャップ層19:Cu[1nm]/Ta[2nm]
上電極20。
実施例1〜6に示した磁気抵抗効果素子においては、スペーサ層16がCuであったが、ここではスペーサ層16としてNOL(Nano Oxide Layer)を有する磁気抵抗効果素子においても本発明の効果が得られるかどうかを検討した。ここで用いたNOLは、Al23中にCuからなるメタルパスを持つ。Cuメタルパスは絶縁部分であるAl−Oを貫通しており、磁化自由層と磁化固着層をオーミックに接続している。
実施例4〜9でも、実施例1〜5と同様にMnを含む金属材料と酸素を含有する機能層21の挿入によりMR変化率の向上を確認することができた。
以下、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の応用について説明する。
本発明の実施形態において、磁気抵抗効果素子の素子抵抗RAは、高密度対応の観点から、500mΩ/μm2以下が好ましく、300mΩ/μm2以下がより好ましい。素子抵抗RAを算出する場合には、CPP素子の抵抗Rにスピンバルブ膜の通電部分の実効面積Aを掛け合わせる。ここで、素子抵抗Rは直接測定できる。一方、スピンバルブ膜の通電部分の実効面積Aは素子構造に依存する値であるため、その決定には注意を要する。
例えば、スピンバルブ膜の全体を実効的にセンシングする領域としてパターニングしている場合には、スピンバルブ膜全体の面積が実効面積Aとなる。この場合、素子抵抗を適度に設定する観点から、スピンバルブ膜の面積を少なくとも0.04μm2以下にし、200Gbpsi以上の記録密度では0.02μm2以下にする。
しかし、スピンバルブ膜に接してスピンバルブ膜より面積の小さい下電極11または上電極20を形成した場合には、下電極11または上電極20の面積がスピンバルブ膜の実効面積Aとなる。下電極11または上電極20の面積が異なる場合には、小さい方の電極の面積がスピンバルブ膜の実効面積Aとなる。この場合、素子抵抗を適度に設定する観点から、小さい方の電極の面積を少なくとも0.04μm2以下にする。
後述する図12、図13の実施例の場合、図12でスピンバルブ膜10の面積が一番小さいところは上電極20と接触している部分なので、その幅をトラック幅Twとして考える。また、ハイト方向に関しては、図12においてやはり上電極20と接触している部分が一番小さいので、その幅をハイト長Dとして考える。スピンバルブ膜の実効面積Aは、A=Tw×Dとして考える。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子では、電極間の抵抗Rを100Ω以下にすることができる。この抵抗Rは、例えばヘッドジンバルアセンブリー(HGA)の先端に装着した再生ヘッド部の2つの電極パッド間で測定される抵抗値である。
(磁気ヘッド)
図12および図13は、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに組み込んだ状態を示している。図12は、磁気記録媒体(図示せず)に対向する媒体対向面に対してほぼ平行な方向に磁気抵抗効果素子を切断した断面図である。図13は、この磁気抵抗効果素子を媒体対向面ABSに対して垂直な方向に切断した断面図である。
図12および図13に例示した磁気ヘッドは、いわゆるハード・アバッテッド(hard abutted)構造を有する。磁気抵抗効果膜10は上述した磁気抵抗効果膜である。磁気抵抗効果膜10の上下には、下電極11と上電極20とがそれぞれ設けられている。図12において、磁気抵抗効果膜10の両側面には、バイアス磁界印加膜41と絶縁膜42とが積層して設けられている。図13に示すように、磁気抵抗効果膜10の媒体対向面には保護層43が設けられている。
磁気抵抗効果膜10に対するセンス電流は、その上下に配置された下電極11、上電極20によって矢印Aで示したように、膜面に対してほぼ垂直方向に通電される。また、左右に設けられた一対のバイアス磁界印加膜41、41により、磁気抵抗効果膜10にはバイアス磁界が印加される。このバイアス磁界により、磁気抵抗効果膜10のフリー層18の磁気異方性を制御して単磁区化することによりその磁区構造が安定化し、磁壁の移動に伴うバルクハウゼンノイズ(Barkhausen noise)を抑制することができる。
磁気抵抗効果膜10のS/N比が向上しているので、磁気ヘッドに応用した場合に高感度の磁気再生が可能となる。
(ハードディスクおよびヘッドジンバルアセンブリー)
図12および図13に示した磁気ヘッドは、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込んで、磁気記録再生装置に搭載することができる。
図14は、このような磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本実施形態の磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。同図において、磁気ディスク200は、スピンドル152に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方向に回転する。本実施形態の磁気記録再生装置150は、複数の磁気ディスク200を備えてもよい。
磁気ディスク200に格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は、薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ヘッドスライダ153は、上述したいずれかの実施形態に係る磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドをその先端付近に搭載している。
磁気ディスク200が回転すると、ヘッドスライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気ディスク200の表面から所定の浮上量をもって保持される。あるいはスライダが磁気ディスク200と接触するいわゆる「接触走行型」でもよい。
サスペンション154はアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は、ボビン部に巻かれた図示しない駆動コイルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
アクチュエータアーム155は、ピボット157の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。
図15は、アクチュエータアーム155から先のヘッドジンバルアセンブリーをディスク側から眺めた拡大斜視図である。すなわち、アセンブリ160は、アクチュエータアーム155を有し、アクチュエータアーム155の一端にはサスペンション154が接続されている。サスペンション154の先端には、上述したいずれかの実施形態に係る磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドを具備するヘッドスライダ153が取り付けられている。サスペンション154は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164を有し、このリード線164とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。図中165はアセンブリ160の電極パッドである。
本実施形態によれば、上述の磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドを具備することにより、高い記録密度で磁気ディスク200に磁気的に記録された情報を確実に読み取ることが可能となる。
(磁気メモリ)
次に、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を搭載した磁気メモリについて説明する。すなわち、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を用いて、例えばメモリセルがマトリクス状に配置されたランダムアクセス磁気メモリ(MRAM:magnetic random access memory)などの磁気メモリを実現できる。
図16は、本発明の実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の一例を示す図である。この図は、メモリセルをアレイ状に配置した場合の回路構成を示す。アレイ中の1ビットを選択するために、列デコーダ350、行デコーダ351が備えられており、ビット線334とワード線332によりスイッチングトランジスタ330がオンになり一意に選択され、センスアンプ352で検出することにより磁気抵抗効果膜10中の磁気記録層(フリー層)に記録されたビット情報を読み出すことができる。ビット情報を書き込むときは、特定の書き込みワード線323とビット線322に書き込み電流を流して発生する磁場を印加する。
図17は、本発明の実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の他の例を示す図である。この場合、マトリクス状に配線されたビット線322とワード線334とが、それぞれデコーダ360、361により選択されて、アレイ中の特定のメモリセルが選択される。それぞれのメモリセルは、磁気抵抗効果素子10とダイオードDとが直列に接続された構造を有する。ここで、ダイオードDは、選択された磁気抵抗効果素子10以外のメモリセルにおいてセンス電流が迂回することを防止する役割を有する。書き込みは、特定のビット線322と書き込みワード線323とにそれぞれに書き込み電流を流して発生する磁場により行われる。
図18は、本発明の実施形態に係る磁気メモリの要部を示す断面図である。図19は、図18のA−A’線に沿う断面図である。これらの図に示した構造は、図16または図17に示した磁気メモリに含まれる1ビット分のメモリセルに対応する。このメモリセルは、記憶素子部分311とアドレス選択用トランジスタ部分312とを有する。
記憶素子部分311は、磁気抵抗効果素子10と、これに接続された一対の配線322、324とを有する。磁気抵抗効果素子10は、上述した実施形態に係る磁気抵抗効果素子である。
一方、アドレス選択用トランジスタ部分312には、ビア326および埋め込み配線328を介して接続されたトランジスタ330が設けられている。このトランジスタ330は、ゲート332に印加される電圧に応じてスイッチング動作をし、磁気抵抗効果素子10と配線334との電流経路の開閉を制御する。
また、磁気抵抗効果素子10の下方には、書き込み配線323が、配線322とほぼ直交する方向に設けられている。これら書き込み配線322、323は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)あるいはこれらいずれかを含む合金により形成することができる。
このような構成のメモリセルにおいて、ビット情報を磁気抵抗効果素子10に書き込むときは、配線322、323に書き込みパルス電流を流し、それら電流により誘起される合成磁場を印加することにより磁気抵抗効果素子の記録層の磁化を適宜反転させる。
また、ビット情報を読み出すときは、配線322と、磁気記録層を含む磁気抵抗効果素子10と、下電極324とを通してセンス電流を流し、磁気抵抗効果素子10の抵抗値または抵抗値の変化を測定する。
本発明の実施形態に係る磁気メモリは、上述した実施形態に係る磁気抵抗効果素子を用いることにより、セルサイズを微細化しても、記録層の磁区を確実に制御して確実な書き込みを確保でき、且つ、読み出しも確実に行うことができる。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
磁気抵抗効果膜の具体的な構造や、その他、電極、バイアス印加膜、絶縁膜などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる。
例えば、磁気抵抗効果素子を再生用磁気ヘッドに適用する際に、素子の上下に磁気シールドを付与することにより、磁気ヘッドの検出分解能を規定することができる。また、本発明の実施形態は、長手磁気記録方式のみならず、垂直磁気記録方式の磁気ヘッドあるいは磁気再生装置についても適用できる。さらに、本発明の磁気再生装置は、特定の記録媒体を定常的に備えたいわゆる固定式のものでもよく、一方、記録媒体が差し替え可能ないわゆる「リムーバブル」方式のものでもよい。
その他、本発明の実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記憶再生装置および磁気メモリも同様に本発明の範囲に属する。
一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を示す斜視図。 他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を示す斜視図。 他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を示す斜視図。 他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を示す斜視図。 他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を示す斜視図。 他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を示す斜視図。 実施形態の磁気抵抗効果素子の製造に用いられる成膜装置の概略を示す模式図。 実施形態の磁気抵抗効果素子の製造工程を示すフロー図。 実施例1および比較例1,2の磁気抵抗効果素子の面積抵抗RAとMR変化率の関係を示す図。 実施例1A〜1Eの磁気抵抗効果素子の磁場に対する素子抵抗の変化を示す図。 実施例1Bの磁気抵抗効果膜の断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)像。 実施形態に係る磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに組み込んだ状態を示す断面図。 実施形態の磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに組み込んだ状態を示す断面図。 実施形態の磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図。 実施形態のヘッドジンバルアセンブリーをディスク側から眺めた拡大斜視図。 実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の一例を示す図。 実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の他の例を示す図 実施形態に係る磁気メモリの要部を示す断面図。 図18のA−A’線に沿う断面図。
符号の説明
10…磁気抵抗効果膜(SV)、11…下電極、12…下地層、13…ピニング層、14…ピン層、141…下部ピン層、142…磁気結合層、143…上部ピン層、144…第1の上部ピン層、145…第2の上部ピン層、15…下部金属層、16…スペーサ層、161…メタルパス、162…絶縁体、17…上部金属層、18…フリー層、181…下部フリー層、182…上部フリー層、19…キャップ層、20…上電極、21、22…機能層、41…バイアス磁界印加膜、42…絶縁膜、43…保護層43、50…搬送チャンバー(TC)、51…ロードロックチャンバー、52…プレクリーニングチャンバー、53…第1の金属成膜チャンバー(MC1)、54…第2の金属成膜チャンバー(MC2)、60…酸化物層・窒化物層形成チャンバー(OC)、150…磁気記録再生装置、152…ロータリーアクチュエータ、153…ヘッドスライダ、154…サスペンション、155…アクチュエータアーム、156…ボイスコイルモータ、157…ピボット、160…アセンブリ、164…リード線、165…電極パッド、200…磁気ディスク、311…記憶素子部分、312…選択用トランジスタ部分、322…ビット線、322…配線、323…ワード線、323…配線、324…下部電極、326…ビア、328…配線、330…スイッチングトランジスタ、332…ゲート、332…ワード線、334…ビット線、334…ワード線、350…列デコーダ、351…行デコーダ、352…センスアンプ、360…デコーダ。

Claims (13)

  1. 磁化方向が実質的に一方向に固着された磁化固着層と、外部磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層と、前記磁化固着層と前記磁化自由層との間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果膜と、
    前記磁気抵抗効果膜の膜面に垂直にセンス電流を流すための一対の電極とを有し、
    前記磁化固着層および前記磁化自由層の少なくともいずれか一方は、Co,FeまたはNiを含む磁性層と、Mnを含有する金属材料および酸素を含有する機能層とを含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記磁気抵抗効果膜のうち前記センス電流が実質的に通電される部分の面積Aと、前記一対の電極間で得られる抵抗Rとの積ARが500mΩμm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記機能層の膜面垂直方向の格子間隔が、前記磁化固着層または前記磁化自由層を構成し前記機能層に隣接する磁性層の膜面垂直方向の格子間隔よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記機能層はMnを50at.%以上含有する金属材料、および酸素を含有することを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記機能層の結晶構造がスピネル構造またはルチル構造であることを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記機能層の結晶配向分散角度が5度以下であることを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記中間層はCu、AuおよびAgからなる群より選択される元素を含有する金属層であることを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記中間層は酸素または窒素を含有する絶縁層と前記絶縁層を膜面垂直方向に貫通する電流パスを含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記電流パスはCu,AuおよびAgからなる群より選択される元素を含有することを特徴とする請求項8に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 前記絶縁層はAl、Si、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Hf、Taからなる群より選択される元素を含有することを特徴とする請求項8に記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を具備することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  12. 請求項11に記載の磁気抵抗効果ヘッドを具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
  13. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を具備することを特徴とする磁気メモリ。
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