JP2004145101A - スペーサ定点配置装置、液晶装置の製造方法、液晶装置、電子機器 - Google Patents

スペーサ定点配置装置、液晶装置の製造方法、液晶装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、スペーサ定点配置装置、液晶装置の製造方法、液晶装置、およびこの液晶装置を備えた電子機器に関し、高精度なノズルヘッドを用いることなくスペーサを微細に配置できるようにし、更には、ノズルヘッドを交換することなく様々な密度でスペーサを配置できるようにことを目的とする。
【解決手段】所定の走査方向に沿って走査しながら、スペーサ15を溶媒中に分散させたスペーサ分散溶液17を複数のノズル孔37から吐出する際、ノズル孔37の配列方向を、走査方向に垂直な方向に対して所定の角度で交差させる。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペーサ定点配置装置、液晶装置の製造方法、液晶装置、およびこの液晶装置を備えた電子機器に関し、特に、一対の基板間にスペーサを配設する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一対の基板間に液晶層を挟持して構成される液晶装置では、そのギャップを一定に保持するために、基板間に樹脂ボール、ガラスボール、もしくは樹脂で形成された柱状体等からなるスペーサが配されている。
【0003】
このような液晶装置は、通常、以下のような工程を経て製造される。まず、下基板、上基板のそれぞれに電極や配向膜等を積層形成した後、例えば下基板の周縁部に液晶注入口となる開口部を形成した形で未硬化のシール材を印刷し、同じ基板もしくはもう一方の基板の表面上にスペーサを配置する。そして、下基板と上基板とを貼り合わせた後シール材を硬化させて空の液晶セルを作製する。次に、このように作製した空の液晶セル内に真空注入法等により液晶を注入し、封止材によって注入口を封止する。最後に、下基板および上基板の外面に位相差板や偏光板等の光学フィルムを貼り合わせて液晶装置が製造される。
【0004】
上記の製造工程のうち、スペーサの配置工程については、インクジェット法を用いて液晶セル内の特定の領域にスペーサを配置する方法が、特許文献1に開示されている。図23は従来のインクジェット装置の概略構成を示す模式図であり、このインクジェット装置には、複数のノズル孔370を有するノズルヘッド260が向きを固定した状態で取り付けられている。ノズル孔370は、画素領域19の特定の一辺に平行な方向(X軸方向)に配されており、ノズルヘッド260がノズル370の配列方向に垂直な方向(Y方向)に走査される際に、スペーサ分散液を基板上に一定の間隔bで吐出するようになっている。そして、スペーサ分散液中の分散媒が蒸発することで、基板上にスペーサ15が配置されるようになっている。
なお、図23では、ヘッド走査中のノズル孔370の移動軌跡を仮想的に破線L(第1仮想線)で示しており、スペーサ15はこの第1仮想線Lに略沿うように一定間隔bで配置される。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−188235号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スペーサは基板間隔を均一に保持する役目を果たす一方、画素領域に配置された場合には光抜けの原因や液晶の配向不良の原因となるため、スペーサを非画素領域18にのみ配置することが望ましい。このため、ノズル孔370の配置間隔(ノズル間隔)を画素領域19の配置間隔(画素間隔)aと等しくし、ノズル孔370が非表示領域18上に配置されるようにしている。
【0007】
しかしながら、上述の方法では、液晶装置が高精細化された場合、それに応じてノズル間隔を狭くしなければならず、ノズルヘッド260には高い製造精度が要求されることになる。
また、画素構造や画素サイズの異なる液晶装置を製造する場合、画素間隔aに応じてノズル間隔の異なるノズルヘッド260を新たに製作しなければならず、開発時間がかかる上、高コストともなる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、高精度なノズルヘッドを用いることなくスペーサを微細に配置できるようにし、更には、ノズルヘッドを交換することなく様々な密度でスペーサを配置できるようにした、スペーサ定点配置装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このようなスペーサ定点配置装置を用いた液晶装置の製造方法、及び、液晶装置、並びに、この液晶装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のスペーサ定点配置装置は、所定の走査方向に沿って走査しながら、スペーサを溶媒中に分散させたスペーサ分散溶液を複数のノズル孔から吐出するノズルヘッドを備え、前記複数のノズル孔が前記走査方向に垂直な方向に対して所定の角度をもって配列されたことを特徴とする。
【0010】
スペーサはノズル孔の走査軌跡に沿ってライン状に配置される。また、スペーサの配置されるラインはノズル孔の数に応じて複数形成され、隣接するラインの間隔は、ノズル孔の間隔やノズルヘッドの走査方向に対する傾き角に応じて決まる。この際、本構成では、ノズル孔が走査方向に垂直な方向に対して所定の角度をなして配列しているため、隣接するラインの間隔をノズル孔の間隔より狭くすることができる。このため、ノズル孔の間隔の広く高い製造精度を必要としないノズルヘッドを用いてスペーサを微細に配置することができる。これにより、スペーサの配置密度と液滴1点あたりに存在するスペーサ個数を最適化して、セル厚ムラやスペーサによる光抜け等に起因する表示不良を効果的に抑制することができ、表示品位の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明のスペーサ定点配置装置は、所定の走査方向に沿って走査しながら、スペーサを溶媒中に分散させたスペーサ分散溶液を複数のノズル孔から吐出するノズルヘッドを備え、前記複数のノズル孔の配列方向が前記走査方向に垂直な方向に対して所定の角度を有するように、前記ノズルヘッドが回転可能に構成されたことを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、ノズルヘッドの回転量によってノズル孔の配列方向と走査方向との交差角度を調節することで、走査方向に沿ってライン状に配置されるスペーサのライン間隔を任意に調節することができる。これにより、ノズル孔の間隔の固定されたノズルヘッドを用いて、スペーサを様々な密度、或いは、様々なライン間隔で配置することができる。例えば、画素領域がマトリクス状に配置された液晶装置において、ノズルヘッドを画素領域の配列方向に沿って走査し、ノズル孔を画素配列方向に平行に延びる非画素領域にのみ配置した場合、液晶装置のコントラストを高めることができる。また、上述のように本構成では、走査方向に沿ってライン状に配置されるスペーサのライン間隔を容易に変更できるので、高精細化等により走査方向に沿ってライン状に延びる非画素領域のラインの間隔が狭くなった場合でも、ノズルヘッドを交換することなく共通のノズルヘッドを用いてスペーサを非画素領域にのみ配置することができる。
【0013】
本発明の液晶装置の製造方法は、一対の基板がシール材を介して対向配置され、前記一対の基板と前記シール材とにより囲まれた空間に液晶およびスペーサが封入されてなる液晶装置の製造方法であって、上述のスペーサ定点配置装置における前記ノズルの配列方向が前記走査方向と垂直な方向に対して所定の角度を有した状態で、前記ノズルヘッドにより前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板上を前記走査方向に沿って走査しながら、前記ノズル孔から前記スペーサ分散溶液を前記一方の基板上に間欠的に吐出する工程を備えたことを特徴とする。
【0014】
本製造方法によれば、基板上にライン状に配置されるスペーサのライン間隔をノズル孔の間隔よりも狭くすることができる。このため、ノズル孔の間隔の広く高い製造精度を必要としないノズルヘッドを用いてスペーサを微細に配置でき、セル厚の均一性等の観点からスペーサの配置密度等を最適化することができる。
【0015】
なお、スペーサ分散溶液を間欠的に吐出する工程において、前記液滴の吐出間隔を前記基板上に吐出された液滴の直径よりも大きくすることが望ましい。
基板上に吐出されたスペーサ分散溶液中のスペーサは、溶液周辺部の溶媒が蒸発するのに伴って液滴中央部に集められ、走査方向に沿ってライン状に配置されるため、基板上に吐出された液滴は個々に独立して存在していることが重要である。仮に複数の液滴がつながってしまうと、スペーサの位置は不確定になり、必ずしも各液滴の中心に位置しなくなってしまうが、本製造方法のように、スペーサ分散溶液の吐出間隔を液滴の直径よりも大きくすることで、スペーサの位置を液滴中央部に確定することができる。
【0016】
また、本発明の液晶装置は、一対の基板がシール材を介して対向配置され、前記一対の基板と前記シール材とにより囲まれた空間に液晶およびスペーサが封入されてなる液晶装置であって、一方の基板は、配列して設けられた複数の画素領域と、前記各画素領域の周辺に設けられた非画素領域とを有し、前記スペーサは、平面視で前記画素領域の配列方向に対して所定の角度をもって配列して配置されていることを特徴とする。
【0017】
本構成によれば、スペーサを画素の配列方向に対して所定の角度をもって配置できるので、上述のようにインクジェットヘッド等のスペーサ定点配置装置によってスペーサを定点に配置する場合に、そのノズルヘッドのノズル孔の構成等をフレキシブルに設計したとしても、非画素領域のみにスペーサを配置し、かつスペーサの配置密度を最適に設定でき、表示品質の高い表示をえることができる。
【0018】
このとき、前記スペーサが単体と凝集体とが混在した状態で存在し、前記スペーサの配置密度が50〜300個/mm2であり、かつ、前記状態で存在する1点あたりに前記スペーサが平均で0.2〜3個存在することが望ましい。
本発明者らは、最適なスペーサの配置個数(配置密度)について鋭意検討した結果、以下のような結果を得た。すなわち、スペーサの配置密度を50〜300個/mm2とし、かつ、単体もしくは凝集体もしくはこれら単体と凝集体とが混在した状態で存在する1点あたりにスペーサが平均で0.2〜3個存在する配置とすれば、スペーサによる表示品位の低下を充分に抑制し、表示品位を向上することができる。
【0019】
例えば、スペーサの配置密度が50個/mm2よりも小さくなると、スペーサによって基板間隔が充分に保持されず、セル厚ムラが顕著になって表示品位が著しく低下する。また、スペーサの配置密度が300個/mm2よりも大きくなると、低温時に液晶中に気泡が発生する。これは真空気泡と呼ばれる不良となる。その原因はスペーサに比べて液晶は熱膨張率が大きいため、低温状態では液晶層中に真空状態となる箇所が局所的に発生するが、スペーサが多すぎると、基板が内側に凹むように追従できず、真空状態の箇所が残ってしまうからである。
【0020】
また、スペーサが単体もしくは凝集体の状態で存在する1点あたりの平均が0.2個より少ないと、1点中にスペーサが存在しない点が多くなり過ぎてスペーサの配置にバラツキが生じ、セル厚ムラが顕著になることで表示品位が著しく低下する。また、1点あたりの平均が3個より多いと、スペーサが凝集体の形で存在するものが多くなり過ぎ、セル厚ムラの原因になるとともに光抜けが多く生じるようになり、表示品位が著しく低下する。
【0021】
前記スペーサは、非画素領域に配置されることが望ましい。
スペーサが表示領域内に存在していると、液晶の配向不良や光抜け等を引き起こし、表示品位を大きく低下させるため、表示に直接寄与しない非画素領域に配置することによって表示品位を飛躍的に向上させることができる。
上述したように、スペーサを非画素領域に配置することで表示品位が向上するが、その非画素領域に対応して遮光層を設けることによって、より確実に光抜け等の表示不良を防止することができる。
【0022】
また、スペーサは着色されたものであってもよい。
例えば当該液晶装置を表示装置として用いた場合、黒表示(暗表示)を行う際に、配設されたスペーサから光が抜け、その部分が白表示(明表示)となってしまう場合があるが、上記のようにスペーサに対して着色を施すことで、特に黒に着色したスペーサを用いることで黒表示(暗表示)を確実に行うことが可能となる。
【0023】
また、スペーサの表面に、液晶の配向を規制する処理を施してもよい。
すなわち、スペーサの表面付近においては液晶の配向乱れが生じ、コントラストの低下が生じる場合があるが、このようにスペーサの表面に配向規制手段を具備させることで、スペーサ表面付近においても液晶を配向させることが可能となる。その結果、光抜けの発生を防止し、ひいてはコントラスト低下等の不具合の生じ難い液晶装置を提供することができる。なお、配向規制手段としては、例えばシランカップリング剤等を用いて、スペーサ表面に長鎖のアルキル基を付与したもの等を例示することができる。
【0024】
さらに、スペーサの表面に、スペーサ自身が基板上に固着されるための固着層を設けてもよい。固着層の材料の一例としては、熱硬化型樹脂を用いることができる。
このように熱硬化型樹脂をスペーサの表面に形成し、例えば基板間の所定位置にスペーサを配設した後に熱処理を施すことにより、基板に対しスペーサを安定して固着させることが可能となる。これにより、例えばスペーサが浮遊して所定位置からズレてギャップの均一性が損なわれたり、スペーサがずれて配向膜が傷ついたりする等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【0025】
本発明の電子機器は、上記本発明の液晶装置を例えば表示装置として備えることを特徴とする。本発明の液晶装置を備えることにより、ギャップむら等の少ない表示品位に優れた表示部を有する電子機器を提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[液晶装置]
以下に示す本実施の形態の液晶装置は、スイッチング素子としてTFT(ThinFilm Transistor)素子を用いたアクティブマトリクスタイプの透過型液晶装置である。図1は本実施形態の透過型液晶装置のマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。図2はデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す要部平面図である。図3は図2のA−A’線断面図で、図4は本実施形態の透過型液晶装置全体の平面構造について示す全体平面図である。なお、図3においては、図示上側が光入射側、図示下側が視認側(観察者側)である場合について図示している。また、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0027】
本実施の形態の液晶装置において、図1に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
【0028】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0029】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
【0030】
次に、図2に基づいて、本実施形態の液晶装置の要部の平面構造について説明する。図2に示すように、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(IndiumTin Oxide, 以下、ITOと略記する)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(点線部9Aにより輪郭を示す)が複数、マトリクス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。各画素電極9は、走査線3aとデータ線6aとの各交差部に対応して設けられたTFT素子30に電気的に接続されおり、各画素毎に表示を行うことが可能な構造になっている。
なお、本明細書では、画素電極9の形成された領域を「画素」或いは「画素領域」といい、データ線6a,走査線3a,容量線3b等の配線やTFT素子30が形成されて実質的に表示が行われない領域(即ち、画素領域以外の領域)を「非画素領域」という。
【0031】
データ線6aは、TFT素子30を構成する例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
【0032】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。
なお、非画素領域の内、斜線で示す一部領域には、第1遮光膜11aが設けられている。
【0033】
次に、図3に基づいて、本実施の形態の液晶装置の断面構造について説明する。図3は上述した通り、図2のA−A’線断面図であり、TFT素子30が形成された領域の構成について示す断面図である。本実施の形態の液晶装置においては、TFTアレイ基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に液晶層50が挟持されている。
【0034】
TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aとその液晶層50側表面に形成されたTFT素子30、画素電極9、配向膜40を主体として構成されており、対向基板20はガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20Aとその液晶層50側表面に形成された共通電極21と配向膜60とを主体として構成されている。そして、各基板10,20は、スペーサ15を介して所定の基板間隔(ギャップ)が保持されている。図3においては、データ線6aの上方に単体で存在しているスペーサ15を図示しているが、本実施の形態ではこのようにスペーサ15が非画素領域に単体と凝集体とが混在した状態で配置されている。
【0035】
TFTアレイ基板10において、基板本体10Aの液晶層50側表面には画素電極9が設けられ、各画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT素子30が設けられている。画素スイッチング用TFT素子30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0036】
上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む基板本体10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
【0037】
さらに、データ線6a上および第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。すなわち、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。
【0038】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0039】
また、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの液晶層50側表面において、各画素スイッチング用TFT素子30が形成された領域には、TFTアレイ基板10を透過し、TFTアレイ基板10の図示下面(TFTアレイ基板10と空気との界面)で反射されて、液晶層50側に戻る戻り光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’および低濃度ソース、ドレイン領域1b、1cに入射することを防止するための第1遮光膜11aが設けられている。
【0040】
また、第1遮光膜11aと画素スイッチング用TFT素子30との間には、画素スイッチング用TFT素子30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。さらに、図2に示したように、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
【0041】
さらに、TFTアレイ基板10の液晶層50側最表面、すなわち、画素電極9および第3層間絶縁膜7上には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜40が形成されている。したがって、このようなTFT素子30を具備する領域においては、TFTアレイ基板10の液晶層50側最表面、すなわち液晶層50の挟持面には複数の凹凸ないし段差が形成された構成となっている。
【0042】
他方、対向基板20には、基板本体20Aの液晶層50側表面であって、データ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT素子30の形成領域(非画素領域)に対向する領域に、入射光が画素スイッチング用TFT素子30の半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するための第2遮光膜23が設けられている。さらに、第2遮光膜23が形成された基板本体20Aの液晶層50側には、その略全面にわたって、ITO等からなる共通電極21が形成され、その液晶層50側には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜60が形成されている。
【0043】
図4は、本実施の形態の液晶装置100の全体構成について一例の概略を示す平面模式図である。図4に示すように、本実施形態の液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20の間には、閉環状のシール材93により封止された領域に液晶が充填されて液晶層50が形成されている。すなわち、本実施形態では、液晶を基板間に充填する方法として所謂液晶滴下方法を採用しており、基板上に液晶を滴下した後、両基板10,20を貼り合わせることで液晶層50を形成している。
【0044】
ところで、上述したように、基板10,20間の非画素領域にはギャップを保持するためにスペーサ15が配置されている。このスペーサ15は単体もしくは凝集体の状態で存在しており、図4に示すシール材93の内側の領域において、その配置密度が50〜300個/mm2で、かつ、上記状態で存在する1点あたりに平均で0.2〜3個存在することが望ましい。
【0045】
これは、例えば、スペーサ15の配置密度が50個/mm2よりも小さくなると、基板間隔がスペーサ15によって充分に保持されず、セル厚ムラが顕著になることで表示品位が著しく低下する。逆に、スペーサ15の配置密度が300個/mm2よりも大きくなると、低温時に真空気泡と呼ばれる不良が発生する。また、液滴1点あたりの平均個数が0.2個より少ないと、1点中にスペーサ15が存在しない点が多くなり過ぎてスペーサ15の配置にバラツキが生じ、セル厚ムラが顕著になることで表示品位が著しく低下する。逆に、1点あたりの平均個数が3個より多いと、例えば図12に示すように、スペーサ15が凝集体の形で存在するものが多くなりすぎ、巨大なスペーサ凝集体15Aが非画素領域18からはみ出して画素領域19に位置する場合がある。その結果、セル厚ムラの原因になるばかりでなく、光抜けや配向不良の度合がひどくなり、表示品位が著しく低下してしまう。
【0046】
図5は基板面内におけるスペーサ15の配置を示す図であって、スペーサ15を溶媒中に分散させたスペーサ分散溶液を基板上に吐出した際に、1点あたりの液滴17に平均で2個のスペーサが存在しているイメージを示している。また、図5(a)は吐出直後、図5(b)はスペーサ分散溶液中の溶媒を蒸発させた後の状態である。
【0047】
図5に示すように、スペーサ15は、後述するスペーサ定点配置装置を用いて配置されるので全く不規則に配置されることはなく、矩形の画素領域19の各端辺がX軸又はY軸に沿って配列する液晶装置の非画素領域において、図5中に仮想的に設けられた第1仮想線L及び第2仮想線Kに沿うように配置されている。この第1仮想線Lは後述のスペーサ定点配置装置のノズルヘッドをY軸方向に走査した際のノズル孔の移動軌跡を示しており、第2仮想線Kはスペーサ分散溶液を吐出する際のノズル孔の配列方向を示している。すなわち、スペーサ15は、Y軸に平行な走査方向に沿って(即ち、第1仮想線Lに沿って)一定間隔bで配置されるとともに、走査方向に垂直な方向に対して所定の角度を有する(即ち、X軸と所定の角度θを有する)第2仮想線Kに沿って一定間隔cで配置されている。なお、上述のθは任意の値に設定することができ、液滴一点当たりのスペーサの平均個数やスペーサ15の配置間隔b,cが一定の場合、θを変えることでスペーサ15の面内での配置密度を変化させることができる。
【0048】
なお、スペーサが液滴1点あたりに平均で0.2個存在しているとは、つまり、任意の液滴10点に対して1個のスペーサが含まれている液滴が2点あり、残りの8点の液滴にはスペーサが含まれていないことを意味する。また、図5からも明らかなように、1点毎の液滴17に含まれるスペーサ15の数は制御できず、例えば平均2個といっても全ての液滴に2個ずつのスペーサ15が含まれるわけではない。そして、液滴1点中のスペーサ15は、単体もしくは凝集体もしくはこれら単体と凝集体とが混在した状態で存在している。
【0049】
ここで、スペーサ定点配置装置としてのインクジェット装置のノズルヘッド26の構造の一例を図6および図7に示す。当該ノズルヘッド26は、図6に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート31と振動板32とを備え、両者は仕切部材(リザーバプレート)33を介して接合されている。
【0050】
ノズルプレート31と振動板32との間には、一定の間隔cで配された複数の仕切部材33によって複数の空間34と液溜まり35とが形成されている。各空間34と液溜まり35の内部はスペーサ分散溶液で満たされており、各空間34と液溜まり35とは供給口36を介して連通している。また、ノズルプレート31には、空間34からスペーサ分散溶液を噴射するためのノズル孔37が形成されている。このノズル孔37は、各空間34内にそれぞれ一つずつ設けられており、ノズルヘッド26には平面視でこのようなノズル孔37が長手方向に平行に一定の間隔cで複数配列されている。
【0051】
一方、振動板32には液溜まり35にスペーサ分散溶液を供給するための孔38が形成され、空間34内の容積変化に応じて外部からスペーサ分散溶液が供給されるようになっている。
【0052】
また、図7に示すように、振動板32の空間34に対向する面と反対側の面上には圧電素子39が接合されている。この圧電素子39は一対の電極41の間に位置し、通電すると圧電素子39が外側に突出するように撓曲し、同時に圧電素子39が接合されている振動板32も一体となって外側に撓曲する。これによって空間34の容積が増大する。したがって、空間34内に増大した容積分に相当するスペーサ分散溶液が液溜まり35から供給口36を介して流入する。次に、圧電素子39への通電を解除すると、圧電素子39と振動板32はともに元の形状に戻る。これにより、空間34も元の容積に戻るため、空間34内部のスペーサ分散溶液の圧力が上昇し、ノズル孔37から基板に向けてスペーサ分散溶液の液滴27が吐出される。
【0053】
さらに、図8に示すように、ノズルヘッド26は基板に水平な面内で回転可能に構成されており、ノズル孔37の配列方向とX軸との交差角度θを連続的或いは複数段階で調整できるようになっている。例えば、図9に示すように、ノズルヘッド26をY軸方向に走査しながらノズル孔37から所定間隔bでスペーサ分散溶液を基板上に間欠的に吐出した場合、基板上にはスペーサ15がY軸に平行な第1仮想線Lに沿って一定間隔bでライン状に配置されるとともに、X軸に角度θで交差する(即ち、ノズル孔37の配列方向に平行な)第2仮想線Kに沿って一定間隔c(すなわち、ノズル孔37の配置間隔)でライン状に配置されることになる。
【0054】
このようにノズル孔37の配列方向がX軸方向(即ち、ノズルヘッド26の走査方向に垂直な方向)に対して所定の角度θだけ傾いた場合、隣接する第1仮想線Lの間隔はc・cosθで表される。このため、高精細化等により走査方向に垂直な方向(X軸方向)の画素ピッチaがノズル孔37の配置間隔cよりも小さくなった場合に、ノズルヘッド26の回転角度θを調節することで、ノズル孔37を非画素領域18に確実に配置することができる。これにより、スペーサ15は非画素領域18にのみ配置され、コントラストの高い高品質な表示が得られる。
【0055】
なお、スペーサ分散溶液の吐出間隔bは、基板上に吐出された液滴17の直径よりも大きくなるように設定することが望ましい。基板上に吐出されたスペーサ分散溶液中のスペーサ15は、溶液周辺部の溶媒が蒸発するのに伴って液滴17の中央部に集められ、第1仮想線L及び第2仮想線Kに沿って配置されるため、基板上に吐出された液滴17は個々に独立して存在していることが重要である。仮に液滴17の直径よりも小さな間隔で液滴17を吐出し、図20(a)に示すように、隣り合う液滴17同士がつながってしまうと、スペーサ15は必ずしも各液滴17の中心に位置しなくなり、図20(b)に示すように、画素領域19に配置されるものも生じる。これに対して、上述のように液滴17の吐出間隔を液滴17の直径よりも大きくした場合、隣接する液滴17同士がつながることが防止され、スペーサ15の位置が液滴中央部に確定される。これにより、スペーサ15を非画素領域18にのみ配置することができるのである。
【0056】
図10及び図11は、画素ピッチaに対してノズル孔37が2aの間隔で配置されたノズルヘッド26を用いて、第1仮想線Lに沿うように一定間隔bでスペーサ15を定点配置した場合のスペーサ15の配置状態を示している。
【0057】
図10はX軸に対する第2仮想線Kの交差角度を0°(即ち、ノズル37の配列方向をX軸に平行に配した状態)としてスペーサ15をY軸方向に一定間隔bで配置した状態を示している。図10では、スペーサ15は非画素領域18を一本ずつ飛ばした状態で配置された状態となっている。また、スペーサ15は非画素領域18にのみ配置され、スペーサ15が表示に与える影響が極力排除されるようになっている。
【0058】
これに対して、図11はX軸に対する第2仮想線Kの交差角度θを60°(即ち、ノズル37の配列方向をX軸に対して60°傾けた状態)としてスペーサ15をY軸方向に一定間隔bで配置した状態を示している。図11では、スペーサ15はY軸方向にライン状に延びる非画素領域18のそれぞれに配置されており、スペーサ15の配置密度は図10のものの二倍となっている。この場合にも、スペーサ15は非画素領域18にのみ配置され、画素領域にスペーサ15に起因した光抜け等が生じないようになっている他、スペーサ15の配置密度が大きくなり、セル厚の均一性が高まるようになっている。
【0059】
したがって、本発明のスペーサ定点配置装置によれば、ノズル孔37の配列方向をX軸に交差させた状態でヘッドを走査することにより、隣接する第1仮想線Lの間隔をノズル孔37の配置間隔(ノズル間隔)cよりも狭くすることができる。このため、高い製造精度が要求されるノズルヘッド26を用いることなくスペーサ15を微細に配置できる。
【0060】
また、ノズルヘッド26を基板に水平な面内で回転してノズル孔37の配列方向とX軸との交差角度θを調節することで、第1仮想線Lに沿ってライン状に配置されるスペーサ15のライン間隔を調節することができる。このため、製造する液晶装置の精細度等が変わっても、ノズルヘッド26を交換することなく、ノズル間隔が固定された共通のノズルヘッド26により、スペーサ15を非画素領域18上にのみ確実に配置することができる。
【0061】
また、本実施の形態の液晶装置では、第2仮想線Kがノズルヘッド26の走査方向に垂直なX軸方向に対して所定の角度をもって配置できるので、上述のようなノズルヘッド26を用いてスペーサ15を定点に配置する場合に、そのノズルヘッド26のノズル孔37の構成をフレキシブルに設計したとしても、スペーサ15を非画素領域18にのみ配置し、かつスペーサ15の配置密度を最適に設定でき、表示品質の高い表示を得ることができる。例えば、スペーサ15の配置密度を50〜300個/mm2とし、且つ、液滴1点あたりに平均で0.2〜3個のスペーサ15を配置することで、スペーサ15による光抜けによるコントラスト低下などの不具合が充分に抑制され、表示品位を向上させることができる。
【0062】
なお、本実施の形態では白黒表示を前提とした構成としているが、カラー表示を行うべく、カラーフィルタ層を形成することもできる。すなわち、上基板(対向基板)20の内面に、着色層と遮光層(ブラックマトリクス)とを備えたカラーフィルタ層を設け、カラーフィルタ層を保護する保護層を順次形成し、さらに保護層上に共通電極21を形成することができる。表示領域においては、各々異なる色、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の着色層を備えており、したがって、各色の表示領域により画素が構成され、画素毎にカラー表示が可能となる。また、本実施の形態ではアクティブマトリクスタイプの液晶装置を例示したが、例えば単純マトリクスタイプの液晶装置にも本発明に係る構成を採用することも可能である。
【0063】
次に、本実施の形態の液晶装置に用いるスペーサ15の構成について説明する。スペーサ15は、例えば二酸化珪素やポリスチレン等からなる球状部材にて構成することができる。スペーサ15の直径は、液晶装置に封入される液晶層50の厚み(セル厚、すなわち基板間のギャップ)に合わせて設定され、例えば2〜10μmの範囲内から選択される。
【0064】
スペーサ15としては、図13に示すように、表面に熱硬化性樹脂層150が付与された構成のものを採用することができる。この場合、熱硬化性樹脂の硬化によりスペーサ15が下基板(TFTアレイ基板)10と上基板(対向基板)20に対して確実に固着されるようになる。例えば、当該液晶装置の製造工程において、液晶を滴下した基板(例えばTFTアレイ基板10)とは異なる基板(対向基板20)上にスペーサ15を散布した後に熱処理を行い、熱硬化性樹脂を硬化させることにより、対向基板20に対してスペーサ15を固着させることができる。
【0065】
また、スペーサ15の表面には、例えば図14のように、長鎖のアルキル基を付与した表面処理層151を設けることができる。長鎖のアルキル基を付与した表面処理層151を設ける手段としては、例えばシランカップリング剤を用いて表面処理を行うことが挙げられる。図16(a)に示すように、表面処理層151の設けられていないスペーサ15を用いた場合、スペーサ15表面付近において液晶分子の配向が乱れ、その部分において光漏れが生じる場合がある。一方、図16(b)に示すように、表面処理層151の設けられたスペーサ15aを用いた場合には、スペーサ15a表面付近において液晶分子を所定の方向に配向(本実施の形態の場合は垂直配向)することが可能となり、その部分において光漏れが生じ難いものとなる。
【0066】
さらに、スペーサには着色を施すことが可能で、図15に示したスペーサ15bは、黒色に着色されたスペーサの一例を示している。例えば図17(a)に示すように、無着色スペーサ15を用いると、黒表示(暗表示)時にスペーサに対応して白色の点表示が発生することとなり、場合によってはコントラスト低下の一因となる場合がある。これに対して、図17(b)に示すように、図15に示したような着色スペーサ15bを用いることで、黒表示(暗表示)時にスペーサに対応する白色の点表示が発生しないものとなる。なお、白表示(明表示)時にスペーサに対応する黒色の点表示が発生することとなるが、黒表示(暗表示)時の白色の点表示発生に比してコントラスト低下に対する影響は小さいものとなる。
【0067】
[液晶装置の製造方法]
次に、本実施の形態に示した液晶装置の製造方法について、その一例を図18を参照しつつ説明する。
まず、図18のステップS1に示すように、ガラス等からなる下側の基板本体10A上に遮光膜11a、第1層間絶縁膜12、半導体層1a、チャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1d、高濃度ドレイン領域1e、蓄積容量電極1f、走査線3a、容量線3b、第2層間絶縁膜4、データ線6a、第3層間絶縁膜7、コンタクトホール8、画素電極9、配向膜40を形成し、下基板(TFTアレイ基板)10を作成する。また、これと並行して、上側の基板本体20A上にも遮光膜23、対向電極21、配向膜60を形成し、上基板(対向基板)20を作成する。
【0068】
次に、ステップS2において、下基板(TFTアレイ基板)10上に、当該液晶装置のギャップに見合った所定量の液晶を滴下し、ステップS3において、上基板20上にシール材93を液晶注入口を有しない閉口枠形状に印刷する。
【0069】
次に、ステップS4で、ノズル孔37が非画素領域18に配置されるように、ノズルヘッド26を基板に水平な面内で回転する。そして、ステップS5で、ノズルヘッド26を上基板20上に走査させながら、液滴1点あたりに平均で0.2〜3個のスペーサ15が存在するように濃度調整の行われたスペーサ分散溶液を、ノズル孔37から上基板上に所定間隔bで間欠的に吐出する。この際、上記所定間隔bは、スペーサ15の配置密度が50〜300個/mm2となり、且つ、上記間隔bが基板上に吐出された液滴17の直径よりも大きくなるように設定する。そして、このように上基板20上に吐出されたスペーサ分散溶液の溶媒は自然に又は所定の乾燥手段により蒸発し、スペーサ15が非画素領域18上に配置される。
【0070】
次に、ステップS5において、これら下基板10と上基板20とを貼り合わせ、さらに下基板10および上基板20の外側に図示しない位相差板、偏光板等の光学フィルムを貼り合わせて、図3に示したセル構造を備える液晶装置を製造する。
【0071】
一方、製造方法の異なる例として、図19に示すような工程によって上記実施の形態の液晶装置を得ることもできる。
まず、ステップS11に示すように、上述したステップS1と同様、ガラス等からなる下側の基板本体10A上に配向膜40等を形成し、下基板(TFTアレイ基板)10を作成する。また、これと並行して、上側の基板本体20A上にも配向膜60等を形成し、上基板(対向基板)20を作成する。
【0072】
次に、ステップS12において、下基板(TFTアレイ基板)10上に上記同様、液晶注入口を有しない閉口枠形状のシール材93を印刷し、更に、ステップS13において、閉口枠形状のシール材93の内側に所定量の液晶を滴下する。
【0073】
次に、ステップS14において、ノズル孔37が非画素領域18に配置されるように、ノズルヘッド26を基板に水平な面内で回転し、ステップS15において、ノズルヘッド26を上側基板20上で走査させながら、液滴1点あたりに平均で0.2〜3個のスペーサ15が存在するように濃度調整の行われたスペーサ分散溶液をノズル孔37から上基板20上に間欠的に吐出する。この場合も、上記所定間隔bは、スペーサ15の配置密度が50〜300個/mm2となり、且つ、上記間隔bが基板上に吐出された液滴17の直径よりも大きくなるように設定する。そして、このように上基板20上に吐出されたスペーサ分散溶液の溶媒は自然に又は所定の乾燥手段により蒸発し、スペーサ15が非画素領域18上に配置される。
【0074】
そして、ステップS16において、これら下基板10と上基板20とを貼り合わせ、さらに下基板10および上基板20の外側に図示しない位相差板や偏光板等の光学フィルムを貼り合わせ、図3に示したセル構造を備える液晶装置を製造する。
【0075】
したがって、本実施形態の液晶装置の製造方法によれば、上述のスペーサ定点配置装置を用いてスペーサ15を定点配置しているため、共通のノズルヘッド26を用いてスペーサ15の密度や配置を様々に変えることができ、セル厚の均一性等の観点からスペーサ15が最適に配置された液晶装置を製造することができる。また、画素ピッチaがノズル間隔cよりも狭い液晶装置に対してもスペーサ15を非画素領域18上に確実に配置することができるため、光り抜け等の少ない表示品質の高い液晶装置を製造することができる。
【0076】
[電子機器]
次に、上記実施形態で示した液晶装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図22(a)は携帯電話の一例を示した斜視図である。図22(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記実施の形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0077】
図22(b)はワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図22(b)において、符号600は情報処理装置、符号601はキーボードなどの入力部、符号603は情報処理本体、符号602は上記実施の形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0078】
図22(c)は腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図22(c)において、符号700は時計本体を示し、符号701は上記実施の形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0079】
このように、図22(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、上記実施形態の液晶装置のいずれかを備えたものであるので、表示品位に優れた表示部を有する電子機器となる。
【0080】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0081】
例えば、上述の実施形態のスペーサ定点配置装置では、ノズル孔37はノズルヘッド26の長手方向に平行に配列して設けられているが、図21に示すように、ノズル孔37′をノズルヘッド26′の長手方向に対して斜めに配列して設け、このノズル孔37′の配列方向とX軸とが所定の角度θで交差するようにしてもよい。上述の構成において、ノズルヘッド26′の長手方向をX軸に平行に配した状態で、ノズルヘッド26′をY軸方向に走査し、ノズル孔37′から一定間隔bでスペーサ分散溶液を基板上に吐出した場合には、上記実施形態と同様に、基板上にはスペーサ15が第1仮想線Lに沿って一定間隔bで配置されるとともに、X軸に角度θで交差する方向に延在する第2仮想線Kに沿って一定間隔cで配置されることになる。したがって、この場合でも、画素間隔aがノズル間隔cよりも狭い液晶装置に対して、スペーサ15を非画素領域18上に確実に配置することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ノズル孔が走査方向に垂直な方向に対して所定の角度をなして配列しているため、走査方向に沿ってライン状に配置されるスペーサの隣接するラインの間隔をノズル孔の間隔より狭くすることができる。このため、ノズル孔の間隔の広く高い製造精度を必要としないノズルヘッドを用いてスペーサを微細に配置することができ、スペーサの配置密度と液滴1点あたりに存在するスペーサ個数を最適化して、セル厚ムラやスペーサによる光抜け等に起因する表示不良を効果的に抑制することができる。
また、ノズルヘッドを基板に水平な面内で回転可能に構成した場合、ノズル孔の配列方向とノズルヘッドの走査方向との交差角度を調節することで、走査方向に沿ってライン状に配置されるスペーサのライン間隔を任意に調節することができる。このため、ノズル孔の間隔の固定されたノズルヘッドを用いて様々な密度、或いは、様々なライン間隔でスペーサを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の液晶装置におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。
【図2】同、液晶装置におけるTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す平面図である。
【図3】同、液晶装置において、その非画素領域における構造を示す断面図である。
【図4】同、液晶装置において、全体構成の概略を示す全体平面模式図である。
【図5】同、液晶装置のスペーサ配置工程において、液滴1点あたりの平均で2個のスペーサが存在している状態の一例を示す平面図であって、図5(a)は吐出直後、図5(b)は溶媒を蒸発させた後の状態を示している。
【図6】同、スペーサ配置工程で用いるインクジェット装置のヘッドの構成を示す斜視図である。
【図7】同、インクジェット装置のヘッドの断面図である。
【図8】同、インクジェット装置のヘッドの平面図である。
【図9】同、インクジェット装置のヘッドの作用を説明するための図である。
【図10】同、インクジェット装置のヘッドによるスペーサの配置例を示す図である。
【図11】同、インクジェット装置のヘッドによるスペーサの配置例を示す図である。
【図12】同、液晶装置のスペーサ配置工程において、スペーサ凝集体が形成された状態を示す平面図である。
【図13】同、スペーサの構成を示す模式図である。
【図14】同、スペーサに表面処理層を設けた場合の構成を示す模式図である。
【図15】スペーサに着色を施した場合の構成を示す模式図である。
【図16】図14のスペーサを用いた場合の効果を説明するための図であり、(a)はスペーサに配向機成膜を設けない例、(b)はスペーサに配向規制膜を設けた例を示す図である。
【図17】図15のスペーサを用いた場合の効果を説明するための図であり、(a)は透明なスペーサを用いた例、(b)は着色スペーサを用いた例を示す図である。
【図18】同、液晶装置の製造方法の一例を示す工程説明図(フローチャート)である。
【図19】同、製造方法の一変形例を示す工程説明図(フローチャート)である。
【図20】同、スペーサ配置工程において、液滴の直径よりも小さな寸法間隔で液滴を吐出した状態を示す模式図であり、(a)はスペーサ分散溶液を吐出した直後の様子を示す図であり、(b)は溶媒乾燥後のスペーサの配置を示す図である。
【図21】同、インクジェット装置のヘッドの他の構成及びその作用を説明するための平面図である。
【図22】本発明に係る電子機器の幾つかの例を示す斜視図である。
【図23】従来のインクジェット装置のヘッドの構成及びその作用を説明するための平面図である。
【符号の説明】
10 下側基板(TFTアレイ基板)
15 スペーサ
18 非画素領域
19 画素領域
20 上側基板(対向基板)
26 ノズルヘッド
37 ノズル孔
50 液晶層
93 シール材
K 第2仮想線
L 第1仮想線

Claims (12)

  1. 所定の走査方向に沿って走査しながら、スペーサを溶媒中に分散させたスペーサ分散溶液を複数のノズル孔から吐出するノズルヘッドを備え、
    前記複数のノズル孔が前記走査方向に垂直な方向に対して所定の角度をもって配列されたことを特徴とする、スペーサ定点配置装置。
  2. 所定の走査方向に沿って走査しながら、スペーサを溶媒中に分散させたスペーサ分散溶液を複数のノズル孔から吐出するノズルヘッドを備え、
    前記複数のノズル孔の配列方向が前記走査方向に垂直な方向に対して所定の角度を有するように、前記ノズルヘッドが回転可能に構成されたことを特徴とする、スペーサ定点配置装置。
  3. 一対の基板がシール材を介して対向配置され、前記一対の基板と前記シール材とにより囲まれた空間に液晶およびスペーサが封入されてなる液晶装置の製造方法であって、
    請求項1又は2記載のスペーサ定点配置装置における前記ノズルの配列方向が前記走査方向と垂直な方向に対して所定の角度を有した状態で、前記ノズルヘッドにより前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板上を前記走査方向に沿って走査しながら、前記ノズル孔から前記スペーサ分散溶液を前記一方の基板上に間欠的に吐出する工程を備えたことを特徴とする、液晶装置の製造方法。
  4. 前記スペーサ分散溶液を間欠的に吐出する工程において、前記液滴の吐出間隔が、前記基板上に吐出された液滴の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の液晶装置の製造方法。
  5. 一対の基板がシール材を介して対向配置され、前記一対の基板と前記シール材とにより囲まれた空間に液晶およびスペーサが封入されてなる液晶装置であって、
    一方の基板は、配列して設けられた複数の画素領域と、前記各画素領域の周辺に設けられた非画素領域とを有し、
    前記スペーサは、平面視で前記画素領域の配列方向に対して所定の角度をもって配列して配置されていることを特徴とする、液晶装置。
  6. 前記スペーサが単体と凝集体とが混在した状態で存在し、前記スペーサの配置密度が50〜300個/mm2であり、かつ、前記状態で存在する1点あたりに前記スペーサが平均で0.2〜3個存在することを特徴とする、請求項5記載の液晶装置。
  7. 前記スペーサが非画素領域に配置されていることを特徴とする、請求項5又は6記載の液晶装置。
  8. 前記スペーサが配置される非画素領域に対応して遮光層が設けられていることを特徴とする、請求項7記載の液晶装置。
  9. 前記スペーサが着色されていることを特徴とする、請求項5ないし8のいずれか一項に記載の液晶装置。
  10. 前記スペーサの表面に、前記液晶の配向を規制する処理が施されていることを特徴とする、請求項5ないし9のいずれか一項に記載の液晶装置。
  11. 前記スペーサの表面に、スペーサ自身が基板上に固着されるための固着層が設けられていることを特徴とする、請求項5ないし10のいずれか一項に記載の液晶装置。
  12. 請求項5ないし11のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする、電子機器。
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