JP3933098B2 - 液晶装置の製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置の製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶装置の製造方法として、特許文献1に記載されているような方法が知られている。該特許文献1では、一対の基板のうち少なくとも一方の基板上に封止材を形成するステップと、少なくとも一方の基板上にインクジェットを用いて液晶を滴下するステップと、前記一対の基板を貼り合わせるステップと、その後封止材を硬化するステップとを備えた液晶パネルの製造方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平05−281562号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような方法によって、基板上に極めて微小に、且つ緻密にスペーサー材を混入した液晶を滴下する事が出来る旨、記載されている。しかしながら、インクジェットを用いて単に液晶を滴下する方法においては、液晶滴下の方向について余り検討が行われていない。
【0005】
すなわち、インクジェットを用いて単に液晶を滴下したのみでは、液晶を滴下した基板上の着弾した位置に着弾痕が残り、この着弾痕が連続したすじ状となり、当該液晶装置を表示装置として用いた場合には、これがすじ状の影(着弾すじ)となって映し出されるという不具合が生じる場合がある。又、滴下した液晶は、その分子を一定の方向に配向させるラビング方向に沿って、液晶分子が配向する傾向がある。このラビング方向はラビング布が取り付けられたラビングロールで配向膜の表面を擦るラビング処理により決められる。しかし、ラビング処理時にラビングロール(ラビング布)と配向膜との間で発生する摩擦熱、及び配向膜の表面の凸凹状態により、液晶分子の配向を規制する配向規制力にむらが生じ、この配向規制力のむらにより配向乱れが生じて、ラビング方向に平行なすじが発生する。その結果、当該液晶装置を表示装置として用いた場合には、これがすじ状の影(ラビングすじ)となって映し出されるという不具合も生じる。
特に低輝度の画像を投射表示する場合には、この着弾すじ、ラビングすじが投射表示された画像の中ですじ状の影となって視認されるため、投射画像の表示品位を著しく低下させるという問題点もあった。さらに、低輝度の画像を投射表示する場合には、画像の一部に薄い緑色の色むら、薄いマゼンタ色の色むらが視認される場合もあり、問題となっていた。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、極めて表示品位の高い液晶装置の製造方法と、これにより得られる液晶装置、及び該液晶装置を備えた投射型表示装置とを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、ラビング処理された一対の基板がシール材を介して対向配置され、前記一対の基板と前記シール材とにより囲まれた空間に液晶が封入されるとともに、前記一対のうちの一方の基板上に複数のデータ線と複数の走査線とが互いに直交して設けられた液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板上に前記シール材を枠状に形成するシール材形成工程と、前記シール材の枠内に液滴吐出装置を用いて液晶を滴下する液晶滴下工程と、前記液晶を滴下した一方の基板と他方の基板とを、液晶が挟持されるように貼り合わせる基板貼り合わせ工程とを含み、前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板のラビング方向がデータ線と略平行に、かつ、他方の基板のラビング方向がデータ線と略垂直に形成され、前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下方向が前記ラビング方向と略45度の角度をなす方向に設定されていることを特徴とする。
尚、本明細書にて、液晶の滴下方向、とは、液晶を滴下しながら走査する方向、のことである。
【0008】
このような液晶装置の製造方法によると、液滴吐出装置を用いて液晶を基板上に滴下するものとしているため、例えばディスペンサー法により液晶を基板上に吐出する方法に比して、シール材枠内に液晶を均一に分散配置させ易くなるため、滴下された液晶の層に厚さムラが生じ難いものとなる。更に真空注入法により液晶を注入する際に、液晶の流動方向に沿って発生する液晶の注入スジについても、液滴吐出装置から滴下する事により、流動状態が発生しないため解消することができる。
その結果、製造される液晶装置の液晶層厚にムラが生じ難くなり、当該液晶装置を表示装置として用いた場合には、例えば液晶のリタデーション値が不均一となることに基づくコントラスト低下、表示むら等の表示特性低下を防止ないし抑制することが可能となる。
また、真空注入法を用いた場合に生じ得る液晶の流動方向に沿って発生する、注入スジという不具合を一掃することができるため、表示品位の向上のみならず、製造歩留り向上をも実現することができるようになる。
【0009】
さらに、前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板のラビング方向がデータ線と略平行に、かつ、他方の基板のラビング方向がデータ線と略垂直に形成され、前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下方向が前記ラビング方向と略45度の角度をなす方向に設定されている。この時、前記液晶の滴下方向は前記液晶装置の辺に対して斜め方向になっており、前記液滴吐出装置を用いれば斜め方向への液晶滴下も極めて容易に対応可能である。
【0010】
また、前記液晶装置において、前記着弾すじと前記ラビングすじとが略45度の角度にて交差する為、すじ状の影がお互いに斜め格子状に重なり合って視認し難くなり、表示品位の高い液晶装置を提供することが可能となる。
【0011】
また、本発明における液晶滴下工程は、液滴吐出装置を用いて行うものであるが、前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下方向と前記ラビング方向とのなす角度を42度〜48度の範囲内にすることを特徴とする。近年、液晶のツイスト角度を90度からわずかに変えて、液晶表示装置のコントラスト値を最大にする方法が提案されている。例えば、特開2002−625369号公報には、ラビング処理された一対の基板の各ラビング方向の為す角度を84度〜89度に設定することで、最大コントラストが得られるとしている。特開2002−625369号公報にての図8はツイスト角とコントラストとの関係を示すグラフであるが、90度から最大6度変えてもコントラスト比が90度のときよりも向上することが示されている。このことから、本発明では6度の半分の角度即ち3度までを、45度から変えてもコントラスト比は向上するため、液晶の滴下方向と前記ラビング方向とのなす角度を42度〜48度の範囲内(45度±3度)にすることで、着弾すじとラビングすじとが42度〜48度の角度で交差し、すじ状の影がお互いに斜め格子状に重なり合って視認し難くなり、表示品位の高い、かつコントラストの高い液晶装置を提供することが可能となる。
この時、前記液滴吐出装置を用いれば斜め方向への精密な角度での液晶滴下も極めて容易に対応可能である。
【0012】
本発明における液晶滴下工程は、液滴吐出装置を用いて行うものであるが、この時、前記液晶の滴下ピッチが前記液晶装置の明視方向にて小さくなるように設定されていることを特徴とする。液晶装置の基板間隔(セルギャップ)は、該液晶装置の透過率が最大になる最適基板間隔に設定されるが、この最適基板間隔よりも大きくても、小さくても該液晶装置の透過率は低下することが知られている。3板式液晶プロジェクターでは、3枚の液晶装置を使用するが、3枚とも同一特性の液晶装置を使用する。この時、3枚の液晶装置の明視方向は同一であるが、G(緑色光)の液晶装置を透過した透過光とR(赤色光)及びB(青色光)の液晶装置を透過した透過光とでは、その後の反射回数がR及びBがGよりも1回多いため、投射画面上ではGとR及びBとの明視方向が左右逆になる。即ち投射画面上にてGの液晶装置の明視方向が1時30分の場合、R及びBの液晶装置の明視方向は10時30分になる。その結果、暗い低輝度の投射画面上では、右斜め上方の1時30分の方向に薄い緑色の色むらが視認され、左斜め上方の10時30分の方向に薄いマゼンタ色の色むらが視認される。この時、液晶の滴下ピッチを明視方向にて、最適な基板間隔(セルギャップ)が構成できるように設定された滴下ピッチよりも小さくする事で、滴下された液晶の量が増え、セルギャップが最適な基板間隔より大きくなり、その部分の部分透過率が低下して薄い緑色及び薄いマゼンタ色の色むらが視認し難くなり、色むらの見え難い表示品位の高い表示装置を提供することが可能になる。
【0013】
本発明における液晶滴下工程は、液滴吐出装置を用いて行うものであるが、この時、前記液晶の滴下ピッチが前記液晶装置の明視方向にて大きくなるように設定されていることを特徴とする。3板式液晶プロジェクターでは、3枚の液晶装置を使用するが、3枚とも同一特性の液晶装置を使用する。この時、3枚の液晶装置の明視方向は同一であるが、Gの液晶装置を透過した透過光とR及びBの液晶装置を透過した透過光との、その後の反射回数がR及びBがGよりも1回多いため、投射画面上ではGとR及びBとの明視方向が左右逆になる。即ち投射画面上にてGの液晶装置の明視方向が1時30分の場合、R及びBの液晶装置の明視方向は10時30分になる。その結果、暗い低輝度の投射画面上では、右斜め上方の1時30分の方向に薄い緑色の色むらが視認され、左斜め上方の10時30分の方向に薄いマゼンタ色の色むらが視認される。この時、液晶の滴下ピッチを明視方向にて、最適な基板間隔(セルギャップ)が構成できるように設定された滴下ピッチよりも大きくする事で、滴下された液晶の量が減少し、セルギャップが最適な基板間隔より小さくなり、その部分の部分透過率が低下して薄い緑色及び薄いマゼンタ色の色むらが視認し難くなり、色むらの無い表示品位の高い表示装置を提供することが可能になる。
【0014】
また、3板式液晶プロジェクターにおいて、3枚の液晶装置に対するR(赤色光)、G(緑色光)、B(青色光)の構成は、前述した構成に限定されるものではなく、例えば液晶装置を透過した透過光とのその後の反射回数が、G及びBがRよりも1回多い、又はR及びGがBよりも1回多いという構成でも、前記色むらの色調が別の色調になるだけで同様の不具合を生じるが、本発明により色むらの無い表示品位の高い表示装置を提供することが可能になる。
【0015】
本発明における液晶滴下工程は、液滴吐出装置を用いて行うものであるが、この場合、液晶のみを液滴として滴下するに限らず、例えば液晶とともに、基板間隔(セルギャップ)を規定するスペーサーを滴下することを特徴とする。この場合、スペーサーがシール材枠内に均一に分散配置される効果も生じるため、得られる液晶装置の基板間隔(セルギャップ)を一層均一なものとすることが可能となる。したがって、コントラスト低下、表示むら等の表示特性低下を防止ないし抑制する事が可能となる。
【0016】
次に、本発明の液晶装置は上記製造方法により得られたことを特徴とする。このような液晶装置によると、基板間に配設される液晶層の厚さを均一化することができるとともに、液晶のラビング処理に起因するラビングすじと液滴吐出装置で液晶を滴下する際に生じる着弾すじとが、お互いに略45度の角度で斜め格子状に重なり合うことで視認し難くなり、さらに液滴吐出装置で液晶を滴下する滴下ピッチを、明視方向にて最適ピッチからより小さいピッチ又はより大きいピッチに変えることで液晶装置の部分透過率を低下させ、明視方向に発生する色むらも視認し難くできるため、表示品位の高い液晶装置を提供することが可能である。そして、この液晶装置を表示装置として用いた場合には表示品位を一層向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る投射型表示装置は、光源と、本発明の液晶装置を用い入射光を画像信号に基づいて変調する光変調手段と、前記光源からの光を前記光変調手段に導く導光光学系と、前記光変調手段によって光変調された画像光を拡大投射する拡大投射光学系とを備えたことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、光源からの光は導光光学系によって光変調手段に導かれる。光変調手段は、入射光を画像信号に基づいて変調する。光変調手段は、本発明の液晶装置を用いており、表示品位の高い画像光を出射する。光変調手段からの画像光は拡大投射光学系によって拡大投射される。
このような液晶装置を備えた投射型表示装置は低輝度の投射画面にてもコントラストが高く、色むらの無い、かつ表示品位の高い表示を供するものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[液晶装置]
以下に示す本実施の形態の液晶装置は、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクスタイプの透過型液晶装置である。図1は本実施形態の透過型液晶装置のマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。図2はデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す要部平面図である。図3は図2のA−A’線断面図で、図4 (a)は本実施形態の透過型液晶装置全体の平面構造について示す全体平面図である。図4 (b)は本発明の他の実施形態の透過型液晶装置全体の平面構造について示す全体平面図である。なお、図3においては、図示上側が光入射側、図示下側が視認側(観察者側)である場合について図示している。また、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0020】
本実施の形態の液晶装置において、図1に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と、当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
【0021】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0022】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
【0023】
次に、図2に基づいて、本実施形態の液晶装置の要部の平面構造について説明する。図2に示すように、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(点線部9Aにより輪郭を示す)が複数、マトリクス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施の形態において、各画素電極9および各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域が画素であり、マトリクス状に配置された各画素毎に表示を行うことが可能な構造になっている。
【0024】
データ線6aは、TFT素子30を構成する例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
【0025】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図2中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。
【0026】
次に、図3に基づいて、本実施の形態の液晶装置の断面構造について説明する。図3は、上述した通り図2のA−A’線断面図であり、TFT素子30が形成された領域の構成について示す断面図である。本実施の形態の液晶装置においては、TFTアレイ基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に液晶層50が挟持されている。
【0027】
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の配向膜40及び60の間で、所定の配向状態をとる。TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aと、その液晶層50側表面に形成されたTFT素子30、画素電極9、配向膜40を主体として構成されており、対向基板20はガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20Aと、その液晶層50側表面に形成された共通電極21、配向膜60、を主体として構成されている。そして、各基板10,20は、シール材(図示せず)を介して所定の基板間隔が保持されている。
【0028】
TFTアレイ基板10において、基板本体10Aの液晶層50側表面には画素電極9が設けられ、各画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT素子30が設けられている。画素スイッチング用TFT素子30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0029】
上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む基板本体10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
【0030】
さらに、データ線6a上および第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。すなわち、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。
【0031】
また、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの液晶層50側表面において、各画素スイッチング用TFT素子30が形成された領域には、TFTアレイ基板10を透過し、TFTアレイ基板10の図示下面(TFTアレイ基板10と空気との界面)で反射されて、液晶層50側に戻る戻り光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’および低濃度ソース、ドレイン領域1b、1cに入射することを防止するための第1遮光膜11aが設けられている。
【0032】
また、第1遮光膜11aと画素スイッチング用TFT素子30との間には、画素スイッチング用TFT素子30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。さらに、図2に示したように、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
【0033】
さらに、TFTアレイ基板10の液晶層50側最表面、すなわち、画素電極9および第3層間絶縁膜7上には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜40が形成されている。したがって、このようなTFT素子30を具備する領域においては、TFTアレイ基板10の液晶層50側最表面、すなわち液晶層50の挟持面には複数の凹凸ないし段差が形成された構成となっている。
【0034】
他方、対向基板20には、基板本体20Aの液晶層50側表面であって、データ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT素子30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域以外の領域に、入射光が画素スイッチング用TFT素子30の半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するための第2遮光膜23が設けられている。さらに、第2遮光膜23が形成された基板本体20Aの液晶層50側には、その略全面にわたって、ITO等からなる共通電極21が形成され、その液晶層50側には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜60が形成されている。
【0035】
次に、図4(a)は、本実施の形態の明視方向103が10時30分方向に形成された液晶装置100の全体構成について概略を示す平面模式図であって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、閉環状のシール材93により封止する形にて液晶層50が形成されている。すなわち、本実施の形態の液晶装置100において、シール材93は、液晶を注入するための注入口を具備しておらず、基板10,20の面内領域において閉ざされた枠形状であって、基板10,20の外縁に露出することなく、基板10,20の外縁に向けた開口を具備しない閉口枠形状に形成されている。図4(a)において、紙面上方を12時方向、紙面下方を6時方向、紙面右方を3時方向、紙面左方を9時方向と定義している。又、TFTアレイ基板10のラビング方向101は、図4(a)の下方から上方に向かい、y軸(液晶表示装置の短辺と平行、かつ、データ線と平行)と平行に設定されている。さらに、対向基板20のラビング方向102は、図4(a)において右方から左方に向かい、y軸と−90度の角度をなしている。この時明視方向103は10時30分明視方向となっている。
【0036】
図4(b)は、本発明の他の実施形態の液晶装置100の全体構成について概略を示す平面模式図であって、明視方向103が1時30分方向に形成されている。この時TFTアレイ基板10のラビング方向101は、図4(b)の下方から上方に向かい、y軸(液晶表示装置の短辺と平行、かつ、データ線と平行)と平行に設定されている。さらに、対向基板20のラビング方向102は、図4(b)において左方から右方に向かい、y軸と90度の角度をなしている。この時明視方向103は1時30分明視方向となっている。
【0037】
ここで、本実施の形態の液晶装置100では、シール材93枠内に液晶を分散配置する方法として、インクジェットを採用しているため、液晶層50の層厚が、基板面内において極めて均一なものとなっている。また、例えばシール材に注入口を設け、注入法により液晶をシール材93の枠内に注入した場合に生じ得る注入スジや、ディスペンサー法により液晶を基板上に配設した場合に生じ得る円環状の滴下痕も、基板上に残存しない構成となっている。したがって、該注入スジが視認されることなく、表示品位の高い液晶装置として構成されている。
【0038】
[液晶装置の製造方法]
次に、本実施の形態に示した上記液晶装置100の製造方法について、その一例を図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態の液晶装置100の製造方法について、そのプロセスフローを示す説明図である。すなわち、本製造方法は、配向膜を形成した一対の基板のうちのいずれか一方の基板のラビング方向がy軸と平行に、かつ、他方の基板のラビング方向がy軸と垂直になるように、ラビング処理が施された該一対の基板の一方に対して枠状シール材を形成した後、このシール材枠内に液晶を滴下し、該滴下した後に、他方の基板を貼り合せる工程とを含み、前記液晶の滴下方向が前記シール材の枠内のラビング方向と略45度の角度をなす方向に設定され、連続して滴下されていることを特徴としている。以下、各フローについて詳細を説明する。
【0039】
まず、図5のステップS1に示すように、ガラス等からなる下側の基板本体10A上に遮光膜11a、第1層間絶縁膜12、半導体層1a、チャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1d、高濃度ドレイン領域1e、蓄積容量電極1f、走査線3a、容量線3b、第2層間絶縁膜4、データ線6a、第3層間絶縁膜7、コンタクトホール8、画素電極9、配向膜40を形成し、さらに該配向膜40に所定の方向(例えばy軸に対して平行な方向)にラビング処理を施し、下基板(TFTアレイ基板)10を作成する。また、上側の基板本体20A上にも遮光膜23、対向電極21、配向膜60を形成し、さらに前記配向膜60に所定の方向(液晶装置として完成状態にて、例えばy軸に対して−90度になる方向)にラビング処理を施し上基板(対向基板)20を作成する。
【0040】
次に、図5のステップS2において、上記上基板20又は下基板10(本実施形態ではTFTアレイ基板10)上に枠状のシール材93を形成する。なお、シール材93としては紫外線硬化樹脂等を用いることができ、これを印刷法等で枠状に形成するものとしており、この場合、図4(a)及び図4(b)に示したように液晶注入口を有しない閉口枠形状に形成する。この時、所定の基板間隔を保持する為に、シール材93中にスペーサー(図示せず)を分散させて、所定の基板間隔を保持するようにしてもよい。
【0041】
次に、図5のステップS3において、シール材93を形成した下基板10上に、当該液晶装置100の最適な基板間隔(セルギャップ)に見合った所定量の液晶を滴下する。液晶装置の基板間隔(セルギャップ)は、該液晶装置の透過率が最大になる最適な基板間隔に設定されるが、この最適基板間隔よりも大きくても、小さくても該液晶装置の透過率は低下することが知られている。本実施形態では、例えば図6に示すような液滴吐出装置300を用いて液晶滴下が行われている。
【0042】
図6は、液滴吐出装置300(以下、インクジェット装置300とも言う)の概略構成を示す斜視図である。このインクジェット装置300は、ベース31、基板移動手段32、ヘッド移動手段33、インクジェットヘッド(ヘッド)34、インク(液状体)供給手段35等を有して構成されたものである。ベース31は、その上に前記基板移動手段32、ヘッド移動手段33を設置したものである。
【0043】
基板移動手段32は、ベース31上に設けられたもので、Y軸方向(主走査方向)に沿って配置されたガイドレール36を有したものである。この基板移動手段32は、例えばリニアモータにより、スライダ37をガイドレール36、36に沿って移動させるよう構成されたものである。スライダ37には、θ軸用のモータ(図示せず)が備えられている。このモータは、例えばダイレクトドライブモータからなるものであり、これのロータ(図示せず)はテーブル39に固定されている。このような構成のもとに、モータに通電するとロータおよびテーブル39は、θ方向に沿って回転し、テーブル39をY軸に対して所定の角度θ回転固定するようになっている。
【0044】
テーブル39は、基板S(下基板10に該当)を位置決めし、保持するものである。すなわち、このテーブル39は、公知の吸着保持手段(図示せず)を有し、この吸着保持手段を作動させることにより、基板Sをテーブル39の上に吸着保持するようになっている。基板Sは、テーブル39の位置決めピン(図示せず)により、テーブル39上の所定位置に正確に位置決めされ、保持されるようになっている。テーブル39には、インクジェットヘッド34がインク(液状組成物)を捨打ちあるいは試し打ちするための捨打ちエリア41が設けられている。この捨打ちエリア41は、X軸方向(副走査方向)に延びて形成されたもので、テーブル39の後端部側に設けられたものである。
【0045】
ヘッド移動手段33は、ベース31の後部側に立てられた一対の架台33a、33aと、これら架台33a、33a上に設けられた走行路33bとを備えてなるもので、該走行路33bをX軸方向(副走査方向)、すなわち前記の基板移動手段32のY軸方向(主走査方向)と直交する方向に沿って配置したものである。走行路33bは、架台33a、33a間に渡された保持板33cと、この保持板33c上に設けられた一対のガイドレール33d、33dとを有して形成されたもので、ガイドレール33d、33dの長さ方向にインクジェットヘッド34を保持させるスライダ42を移動可能に保持したものである。スライダ42は、リニアモータ(図示せず)等の作動によってガイドレール33d、33d上を走行し、これによりインクジェットヘッド34をX軸方向に移動させるよう構成されたものである。
【0046】
インクジェットヘッド34には、揺動位置決め手段としてのモータ43、44、45、46が接続されている。そして、スライダ42とインクジェットヘッド34とに接続されているモータ43を作動させると、インクジェットヘッド34はZ軸に沿って上下動し、Z軸上での位置決めが可能になっている。なお、このZ軸は、前記のX軸、Y軸に対しそれぞれに直交する方向(上下方向)である。また、モータ44を作動させると、インクジェットヘッド34は図6中のβ方向に沿って揺動し、位置決め可能になり、モータ45を作動させると、インクジェットヘッド34はγ方向に揺動し、位置決め可能になり、モータ46を作動させると、インクジェットヘッド34はα方向に揺動し、位置決め可能になる。
【0047】
このようにインクジェットヘッド34は、スライダ42上において、Z軸方向に直線移動して位置決め可能となり、かつ、α、β、γに沿って揺動し、位置決め可能となっている。したがって、インクジェットヘッド34のインク吐出面を、テーブル39側の基板Sに対する位置あるいは姿勢を、正確にコントロールすることができるようになっている。
【0048】
ここで、インクジェットヘッド34は、図7(a)に示すように例えばステンレス製のノズルプレート112と振動板113とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)114を介して接合したものである。ノズルプレート112と振動板113との間には、仕切部材114によって複数の空間115と液溜まり116とが形成されている。各空間115と液溜まり116の内部はインク(液晶組成物)で満たされており、各空間115と液溜まり116とは供給口117を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート112には、空間115からインク(液晶組成物)を噴射するためのノズル孔118が一列に配列された状態で複数形成されている。一方、振動板113には、液溜まり116にインク(液晶組成物)を供給するための孔119が形成されている。
【0049】
また、振動板113の空間115に対向する面と反対側の面上には、図7(b)に示すように圧電素子(ピエゾ素子)120が接合されている。この圧電素子120は、一対の電極121の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そして、このような構成のもとに圧電素子120が接合されている振動板113は、圧電素子120と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間115の容積が増大するようになっている。したがって、空間115内に増大した容積分に相当するインク(液晶組成物)が、液溜まり116から供給口117を介して流入する。また、このような状態から圧電素子120への通電を解除すると、圧電素子120と振動板113はともに元の形状に戻る。したがって、空間115も元の容積に戻ることから、空間115内部のインク(液晶組成物)の圧力が上昇し、ノズル孔118から基板に向けてインク(液晶組成物)の液滴122が吐出される。なお、インクジェットヘッド34のインクジェット方式としては、前記の圧電素子120を用いたピエゾジェットタイプ以外の方式のものとしてもよい。例えば、バブルジェット(登録商標)方式でも良い。
【0050】
図6に戻り、インク供給手段35は、インクジェットヘッド34にインク(液晶組成物)を供給するインク供給源47と、このインク供給源47からインクジェットヘッド34にインク(液晶組成物)を送るためのインク供給チューブ48とからなるものである。すなわちステンレス製等の容器からなるインク供給源47にインク(液晶組成物)を一時保管して、そこよりインク(液晶組成物)をインク供給チューブ48によりヘッドまで供給する方式を採用している。
【0051】
なお、このようなインクジェット装置300を用いて吐出する液晶組成物として、本実施形態では、液晶のみから構成される液晶組成物を用いたが、液晶とスペーサーとが混ざった液状体を用いてもよい。液晶のみから構成される液晶組成物を用いた場合、シール材形成工程にて、スペーサをシール材に分散させたシール材を、印刷法によりいずれか一方の基板上に枠状に形成しても良い。さらに、液晶のみの吐出工程を行った後、別個にスペーサーを配設しても良い。また、液晶組成物として、液晶と、該液晶を分散させるための分散媒体とからなる液状体を用いることも可能である。
【0052】
また、このようなインクジェット装置300を用いて液晶組成物の滴下工程を行った場合、従来は図8に示すように該ヘッド34をY方向(正のY方向)に走査しつつ、所定のピッチで液滴(液晶組成物)を吐出していく。そして、走査方向の終点(シール材93の枠形状によって定まる)に到達したら、走査時のピッチと等しい間隔でヘッド34の改行が行われ、再びY方向(負のY方向)にヘッド34が走査され、所定のピッチで液滴(液晶組成物)が吐出されていく。その結果、図9に示したように、X方向(改行方向)及びY方向(走査方向)へのピッチx及びyが等しい液滴122が基板(本実施形態では下基板10)上に着弾されることとなる。
【0053】
この場合、前述したようにラビング方向をy軸と平行な方向に設定した液晶装置では、ラビング方向は図8においてY方向に対して平行な方向になっており、ラビング方向と液滴(液晶組成物)の吐出方向は平行になっている。
【0054】
本発明により、インクジェット装置300を用いて液晶組成物の滴下工程を行った場合を、図10及び図14(a)に示す。図14(a)は図6のインクジェット装置300のテーブル39をY軸に対して所定の角度−θ回転固定した状態を示している。テーブル39はスライダ37に対して角度−θ回転固定され、スライダ37とともにガイドレール36、36に沿ってY軸方向(主走査方向)に移動する。従って、基板Sもテーブル39とともにY軸方向に移動することとなる。
【0055】
図10は図4(a)の10時30分明視の場合であり、図14(a)においてテーブル39及び基板SをY軸に対して−θ(例えば−45度)の角度をなすように回転させて固定し、該ヘッド34をY軸方向(正のY軸方向)に走査しつつ、最適な基板間隔に対応する所定のピッチで液滴(液晶組成物)を吐出していく。そして、走査方向の終点(シール材93の枠形状によって定まる)に到達したら、走査時のピッチと等しい間隔でヘッド34の改行が行われ、再びY軸方向(負のY軸方向)にヘッド34が走査され、所定のピッチで液滴(液晶組成物)が吐出されていく。その結果、図10に示したように、左上方向(改行方向)及びY方向に対してθの角度を為す方向(走査方向)へのピッチが等しい液滴122が基板(本実施形態では下基板10)上に着弾されることとなる。即ち、ラビング方向と略45度の角度をなす方向に液滴(液晶組成物)が着弾していき、図10に示す実線の矢印のように着弾すじが形成される。この着弾すじとラビングすじが45度の角度で交差するため、お互いに斜め格子状に重なってラビングすじ、着弾すじが見え難くなり、従って表示品位の高い液晶装置を提供出来る。
【0056】
図11は本発明の他の実施例であり、図4(a)の10時30分明視の場合であって、図14(b)においてテーブル39及び基板SをY軸に対してθ(例えば45度)の角度をなすように回転させて固定し、該ヘッド34をY軸方向(正のY軸方向)に走査しつつ、所定のピッチで液滴(液晶組成物)を吐出していく場合である。その結果、図11に示したように、左下方向(改行方向)及びY方向に対して−θの角度を為す方向(走査方向)へのピッチが等しい液滴122が基板(本実施形態では下基板10)上に着弾されることとなる。即ち、ラビング方向と略−45度の角度をなす方向に液滴(液晶組成物)が着弾していき、図11に示す実線の矢印のように着弾すじが出来る。この場合も、この着弾すじとラビングすじが−45度の角度で交差するため、お互いに斜め格子状に重なり合ってラビングすじ、着弾すじが見え難くなり、従って表示品位の高い液晶装置を提供出来る。
尚、図14(a)、図14(b)は、テーブル39及び基板SをY軸に対して傾けた形態であるが、基板Sをテーブル39に対して傾ける事も出来る。
【0057】
図12は、図10の実施例での吐出された液滴(液晶組成物)の着弾後の具体的態様を示す説明図である。図12において、着弾すじ104はラビング方向101とθ(45度)の角度をなすように形成されている。図13は、図11の実施例での吐出された液滴(液晶組成物)の着弾後の具体的態様を示す説明図である。図13において、着弾すじ104はラビング方向101と−θ(−45度)の角度をなすように形成されている。このように、本発明の実施形態は、液滴の滴下方向が一つの液晶装置において複数方向可能であり、いずれの方向に液滴を滴下しても良い。
【0058】
図5に戻り、液晶を滴下した後はステップS4において、液晶を滴下した下基板10と、他方の上基板20とを該液晶を挟持するように貼り合わせ、さらに下基板10及び上基板20の外面側に、図示しない位相差板、偏光板等の光学フィルムを貼り合わせて、図3に示したセル構造を備える液晶装置が製造される。
【0059】
本発明による製造方法により、前記シール材93の枠内において液晶が均一に分散配置された液晶層50(図4(a)、図4(b)参照)を形成することができるようになり、さらに滴下した液滴(液晶組成物)の着弾すじにより、ラビングすじという本質的な不具合を視認し難くでき、さらに後述するように液晶の滴下ピッチを最適ピッチから部分的に変えて滴下することにより、色むらも解消出来るため、表示品位の高い液晶装置を提供できる。
【0060】
一方、本発明では上基板と下基板の各ラビング方向のなす角度を90度としたが、この角度はネマティック液晶の種類、特性により最適な性能が出せるように設定されるため、90度に限定されるものではない。
【0061】
また、液晶組成物を滴下する工程において、ヘッド34の走査方向(Y軸方向)と改行方向(X軸方向)が略90度となるように設定し、且つ改行ピッチxを固定して走査ピッチyを可変としたが、改行ピッチxを可変として走査ピッチyを固定しても、さらに改行ピッチx、走査ピッチyを同時に可変しても、本発明は表示品位の高い液晶装置を提供出来る。
【0062】
[投射型表示装置]
図15は、本発明に係る投射型表示装置の実施の形態の概略構成図を示している。本実施形態に係る投射型表示装置は、本発明の液晶装置を光変調手段として備えている。
図15において、光源210は、超高圧水銀ランプ等のランプ211とランプ211の光を反射するリフレクタ212とによって構成される。光源210からの出射光路上に、青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー213及び反射ミラー217が配設される。ダイクロイックミラー213は、光源210からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。反射ミラー217は、ダイクロイックミラー213を透過した赤色光を反射する。
【0063】
ダイクロイックミラー213の反射光の光路上には、緑色光反射のダイクロイックミラー214及び反射ミラー215が配設され、ダイクロイックミラー214は、入射光のうち緑色光を反射し、青色光を透過させる。反射ミラー215はダイクロイックミラー214の透過光を反射する。反射ミラー215の反射光の光路上には反射ミラー216が配設されており、反射ミラー216は、反射ミラー215の反射光(青色光)を更に反射する。
【0064】
反射ミラー217、ダイクロイックミラー214及び反射ミラー216の出射光路上には、夫々液晶光変調装置である液晶装置222、223、224が配設されている。液晶装置222乃至224には、夫々赤色光、緑色光又は青色光が入射し、液晶装置222乃至224は、夫々R、G、B画像信号に応じて、入射光を変調し、各R、G、Bの画像光をダイクロイックプリズム225に出射する。
【0065】
ダイクロイックプリズム225は、4つの直角プリズムが貼り合わされて構成され、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。ダイクロイックプリズム225は、これらの誘電体層によって、3つのR、G、B色光を合成して、カラー画像の画像光を出射する。
【0066】
ダイクロイックプリズム225の出射光路上には投射光学系を構成する投射レンズ226が配設されており、投射レンズ226は、合成された画像光をスクリーン227上に投射する。こうして、スクリーン227には、拡大された画像が表示される。
【0067】
図15において、液晶装置222、223、224の左側に入射する赤色光、緑色光、青色光を各々222L、223L、224Lとすると、222L、224Lはダイクロイックプリズム225の内面の誘電体多層膜で反射されて、投射レンズ226の右側に入射する。また、223Lはダイクロイックプリズム225を透過して、投射レンズ226の左側に入射する。即ち、明視方向が同一の液晶装置を3枚使用しても、スクリーン227上に表示される画像においては、明視方向に対応する画像エリアは左右に分離することになる。
【0068】
図16は、従来の液晶装置を使用した投射型表示装置における、スクリーン227上に表示された低輝度の時の投射画像を示す模式図である。図16において、右上に緑色光の明視方向に対応する位置に薄い緑色の色むらが視認され、この時左上に赤色光、青色光の明視方向に対応する位置に薄いマゼンタ色の色むらが視認され、低輝度の画像においては充分視認できる色むらとなっている。ここで図12及び図13の着弾後の液晶組成物の具体的態様を示す説明図において、明視方向10時30分方向に対応する左上部分に図示するように、液晶の滴下ピッチy’を最適値yよりも小さくすると、滴下される液晶量が増加するので、基板間隔(セルギャップ)が最適値よりも大きくなり、その結果該液晶装置の部分透過率が低下して、色むらを低減することが可能になり、色むらの視認出来ない表示品位の高い表示装置を提供することが可能になる。
また、図示しないが液晶の滴下ピッチy’を最適値yよりも大きくした場合は、滴下される液晶量が減少するので、基板間隔(セルギャップ)が最適値よりも小さくなり、その結果この場合も液晶装置の部分透過率が低下して、色むらを低減することが可能になり、色むらの視認出来ない表示品位の高い表示装置を提供することが可能になる。即ち、該液晶装置において最適な基板間隔(セルギャップ)よりも、基板間隔を大きくしても小さくしても、どちらの場合も該液晶装置の透過率は減少するためである。この基板間隔の変化量は所定の基板間隔の1パーセント以下であり、透過率の低下割合はさらに少ないが、図15に示す投射型表示装置において、画像を拡大投射する時に視認される薄い色むらという不具合を解消して表示品位を向上させることが可能である。
【0069】
このように構成された投射型表示装置においては、液晶装置222,223,224が本発明の実施の形態と同様に設定されているので、極めて良好な表示品位が得られる
【0070】
次に、上記実施形態で示した液晶装置を備えた投射型表示装置の具体例について説明する。図17は投射型表示装置の一例を示した斜視図である。図17において、符号500は投射型表示装置本体を示し、破線で示した符号501は上記実施の形態の液晶装置を備えた投射型表示装置であって、投射型表示装置本体500の内部に収納されている。このように、図17に示すそれぞれの投射型表示装置は、上記実施形態の液晶装置のいずれかを備えたものであるので、表示品位に優れた投射型表示装置となる。又、上記実施形態で示した液晶装置を備えた投射型表示装置としては、液晶プロジェクター、リアプロジェクションTV、リアプロジェクションモニターなどが挙げられ、視認性の良い、表示品位に優れた表示部を備えた投射型表示装置となる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲にて実施例を適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の液晶装置を示す等価回路図。
【図2】図1の液晶装置について画素群の構造を示す平面図。
【図3】図1の液晶装置の要部を示す断面図。
【図4】図1の液晶装置の全体平面模式図。
【図5】図1の液晶装置の製造方法について一例を示す工程説明図。
【図6】液晶滴下工程で用いる液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図7】図6の要部斜視図及び要部断面図。
【図8】従来の基板に対して液晶組成物を滴下する具体的態様を示す説明図。
【図9】図8において滴下した液晶組成物の具体的態様を示す説明図。
【図10】図1の液晶装置の基板に対して液晶組成物を滴下する具体的態様を示す説明図。
【図11】図1の液晶装置の基板に対して液晶組成物を滴下する他の具体的態様を示す説明図。
【図12】図10において滴下した液晶組成物の具体的態様を示す説明図。
【図13】図11において滴下した液晶組成物の具体的態様を示す説明図。
【図14】図6の液滴吐出装置の具体的態様を示す要部平面図。
【図15】本発明の液晶装置を用いた投射型表示装置を示す概略構成図。
【図16】従来の液晶装置を用いた投射型表示装置のスクリーンに投射表示された画像を示す模式図。
【図17】本発明に係る投射型表示装置の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
10…下基板、20…上基板、40…配向膜、60…配向膜、50…液晶層、93…シール材、101…下基板ラビング方向、102…上基板ラビング方向、103…明視方向
Claims (7)
- ラビング処理が施された一対の基板がシール材を介して対向配置され、前記一対の基板と前記シール材とにより囲まれた空間に液晶が封入されるとともに、前記一対のうちの一方の基板上に複数のデータ線と複数の走査線とが互いに直交して設けられた液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板上に、前記シール材を枠状に形成するシール材形成工程と、
前記シール材の枠内に液滴吐出装置を用いて液晶を滴下する液晶滴下工程と、前記液晶を滴下した一方の基板と、他方の基板とを液晶が挟持されるように貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、
を含み、前記一対の基板のうちのいずれか一方の基板のラビング方向が前記データ線と略平行に、かつ、他方の基板のラビング方向が前記データ線と略垂直に形成され、
前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下方向が前記ラビング方向と略45度の角度をなす方向に設定されていることを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下方向と前記ラビング方向とのなす角度を42度〜48度の範囲内にすることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下ピッチが前記液晶装置の明視方向にて小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし2に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記液晶滴下工程において、前記液晶の滴下ピッチが前記液晶装置の明視方向にて大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし2に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記液晶滴下工程において、前記液晶とともにスペーサーを滴下することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法により得られたことを特徴とする液晶装置。
- 光源と、
請求項6に記載の液晶装置を用い、入射光を画像信号に基づいて光変調する光変調手段と、
前記光源からの光を前記光変調手段に導く導光光学系と、
前記光変調手段によって光変調された画像光を拡大投射する拡大投射光学系とを備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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