JP2004123420A - 光学用合成石英ガラス部材の製造方法及び光学用合成石英ガラス部材 - Google Patents

光学用合成石英ガラス部材の製造方法及び光学用合成石英ガラス部材 Download PDF

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Abstract

【課題】特にエキシマレーザーなどの紫外線を用いた半導体露光装置に好適に用いられるために必要な特性を全て兼ね備えた光学用石英ガラス部材に係わる物品並びにその製造方法、具体的には、高均質、低複屈折及び高い紫外線照射耐性を兼ね備える光学用合成石英ガラス部材並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】a)揮発性珪素化合物を酸水素火炎により加水分解し、生成する微粒子シリカを耐熱性基体上に堆積させて多孔質母材を作成し、これを1723K以上に加熱して透明な石英ガラス体を得る工程、
b)該透明石英ガラス体を少なくとも軟化点以上の温度に加熱し、外力を掛けて変形させることによって脈理を除去する工程、
c)該脈理が除去された石英ガラス体を徐冷点以上の温度に一旦保持し、その後徐冷することにより、仮想温度を1273K以下に設定する工程、
d)該仮想温度を1273K以下に設定した石英ガラス体を水素ガス含有雰囲気中で、圧力を0.0098MPa〜0.98MPaの範囲で、かつ、773K以下の温度で熱処理を施し、水素分子を含有させる工程、からなるようにした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高均質かつ低複屈折であり、高い紫外線透過性及び紫外線照射耐性を有する光学用合成石英ガラス部材の製造方法及び光学用合成石英ガラス部材にに関し、特に、光リソグラフィー、例えばエキシマレーザー等の紫外線を使用するディープUVリソグラフィーの露光装置に使用される光学系に適した、極めて高均質かつ低複屈折であり、三方向に脈理を有せず、これらの紫外線に対して高い透過性を有すると共に、その照射に対して安定な光学部材用の合成石英ガラス部材の製造方法及び光学用合成石英ガラスに関するものである。本発明による光学用合成石英ガラス部材は紫外線用の光学系を構成する、例えばレンズ、プリズム、ビームスプリッター等の合成石英ガラス光学部材用として好適に用いられるものである。
【0002】
【関連技術】
LSIの高集積化は止まることなく、ウエハー上に描くパターンは微細化の一途をたどり、近年ではクォータミクロン(0.25μm)以下の超微細パターンが描画された超LSIが量産されている。特に最先端では0.2μm以下の微細パターンが描画されたLSIも製造されている。このような微細化を達成していくために、パターンを描画する露光装置も年々改良が進められ、具体的には露光光源の短波長化や超解像技術の駆使、レジストの改良、といった技術革新により超微細パターンの形成が達成されてきた。
【0003】
露光光源の短波長化は、従来、水銀ランプのi線(365nm)が用いられてきたが、近年ではKrFエキシマレーザー(248nm)が主流となり、試験的に更に波長の短いArFエキシマレーザー(193nm)の量産への導入が進められている。このような厳しい微細化要求に答えるための露光光源の短波長化は、露光装置のレンズやビームスプリッターなどの光学材料に対しても従来とは比較にならないほど高品質であることが要求されるようになってきた。
【0004】
例えば、クリアーな超微細パターンを形成するために露光装置のレンズ材料はあらゆる光学的な収差を小さくする必要があり、レンズ材料に対しても非常に高い屈折率均質性や低い複屈折特性が要求されている。また、露光装置光源の短波長化により、紫外線領域の高透過性、更には耐紫外線性が求められている。
【0005】
一般的に光は短波長になるほど光子エネルギーが高いため、石英ガラスなどの透過材料に対して光学的なダメージを与えやすくなる。したがって、i線よりもKrF、更にArFとより短波長になるほど高い紫外線耐性が要求される。このように、LSIの微細化に伴って、露光装置に用いられる光学材料のあらゆる光学特性が従来と比較して、より高い品質のものが要求されるようになってきた。
【0006】
露光装置の光学材料に求められる特性を下記に示す。
1)初期透過率
2)屈折率均質性
3)複屈折
4)脈理
5)レーザー耐性
従来、上記のそれぞれの特性、または複数の特性を向上させるために、多くの方法が考案されてきた。
【0007】
例えば、1)初期透過率は石英ガラス中のNa不純物が影響を与えることから、Na不純物濃度を低減させることが効果的な改善策であり、特許文献1及び2にはNa濃度をあるレベル以下に低減させることによって初期透過率を十分高く保つ方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−5432号公報
【特許文献2】
特開2000−290026号公報
【0009】
2)の屈折率均質性の向上については、かなり古くから研究されており、多くの方法が提案されている。屈折率は石英ガラス中の不純物、すなわちSiOHや塩素などの不純物量と、熱処理条件によって決定される仮想温度の2つの物性によって決定されることがわかっていた。特許文献3や4では、上記の不純物の分布と仮想温度の分布を考慮して、これらを適当に組み合わせることによって均一な屈折率分布を持つ石英ガラスを得る方法が開示されている。不純物の分布は石英ガラスの製造方法に依存するところが多く、一方、仮想温度の分布については熱処理条件に依存するところが多いため、これらの製造条件及び熱処理条件を最適化することにより、高均質な石英ガラスを得ることができる。その後の多くの高均質化の技術も、基本的には上記考察に基づいて得た方法であることが多い。
【0010】
【特許文献3】
特開平2−102139号公報
【特許文献4】
特開平2−239127号公報
【0011】
3)の複屈折の低減については、石英ガラスを一旦歪点以上の温度に保持した後、徐冷する方法が一般的である。材料の大きさや形状によって熱アニール処理の温度条件が異なるが、温度と保持時間などを最適化することにより、効果的に複屈折を低減することができる。
【0012】
4)の脈理を低減する方法についても従来から幾つか提案されている。脈理とはガラス中に生じた均質なマトリックス部分とは異なる屈折率を持った部分のことで、通常糸すじのような形状を示すため脈理と呼ばれている。光学用石英ガラスにおいては、脈理は光の透過を歪めるため、あってはならない欠陥のひとつである。
【0013】
しかしながら、光学用合成石英ガラスの場合、珪素含有原料を酸素・水素火炎中で加水分解させ、得られたシリカガラス微粒子を回転する耐熱性ターゲットに堆積させる方法で製造されるため、ターゲットの回転に起因する周期的な構造変動により、この影響が脈理となって観測されることが多い。
【0014】
石英ガラスの成長スピードを低下させたり、ターゲットの回転を高速にしたり、また、ガラス成長面の温度を高く設定するなど、脈理生成を抑制する方法がこれまでに幾つか開示されているが、脈理の強い・弱いの差はあるものの、脈理は製造条件を最適化するだけで完全に除去することは不可能である。
【0015】
この脈理は、露光装置のレンズ材やビームスプリッター等の材料として合成石英ガラスを使用する場合大きな障害となる(非特許文献1等参照)。したがって、脈理を実質的になくすためには、脈理除去の工程が必要であり、例えば、特許文献5には具体的な脈理除去の例が示されている。これは、合成石英ガラスインゴットの長手方向の両端を支持部材で支持し、その支持端を結ぶ軸を中心に回転させながら、合成石英ガラスインゴットにバーナーで溶融帯域を形成し、支持軸方向に加圧し溶融帯域で外方に突き出させ、次いでその側面を支持体に支持したのち、前と同様の均質化処理を行う方法がある。
【0016】
【非特許文献1】
APPLIED OPTICS Vol.31,No. 31,p6658〜6661
【特許文献5】
特開平7−267662号公報
【0017】
5)のレーザー耐性の向上に関しても従来から多くの方法が提案されている。石英ガラスの耐エキシマレーザー性を向上させるには水素分子を含有させることが有効であり、例えば、特許文献6にはSiOHが50ppm以上の石英ガラスに水素分子を5×1016(分子数/cm)以上含有させることによって優れた耐レーザー性を有する石英ガラス部材が得られることが示されている。以後、石英ガラスの耐レーザー性向上の為に多くの提案がされているが、基本的には水素分子を含有させることをベースとしている提案が多い。
【0018】
【特許文献6】
特開平3−88742号公報
【0019】
以上説明したように、露光装置の石英光学部材に要求されている特性に関して、これまで各種の改良法が提案されてきた。しかし、実際の露光機用の石英光学部材は上記全ての光学特性が高いレベルで要求されており、また、LSIの微細化要求が高くなるに従って、石英材料に求められる個々の特性も従来からますます高いレベルのものが求められてきた。
【0020】
前記した特性のある1つの特性のみが良好であっても露光装置の光学材料には用いることができず、全ての特性を比較的高いレベル以上で満足させなければならない。従来から提案されている個々の特性を向上させるための技術は、場合によっては、他の特性を悪化させることや、不充分であったりするため、そのまま従来技術を踏襲して製造しても露光装置に好適な材料を得ることがかなり難しい。
【0021】
例えば、複屈折や均質性を良くするためには熱処理によるアニールが一般的であり、一旦、徐冷点まで加熱し、その後徐冷することによって低複屈折と高均質性を兼ね備えた石英材料が得られるが、長時間、高温度に曝された石英ガラスは、かなり高純度を維持した加熱炉を用いても金属不純物による汚染は避けられず、結果として処理透過率を低下させることが多い。
【0022】
また、レーザー耐性を向上させるために長時間水素含有雰囲気に石英ガラスを曝すことも提案されているが、この場合も、長時間の熱処理による金属不純物による汚染から初期透過率の悪化が懸念される。また、処理温度が高すぎると、石英ガラスを還元してしまい、ガラス中に還元性の構造欠陥が生じるため、これがレーザー照射によって吸収を持つ常磁性欠陥を生成し、レーザーの透過性を低下させるなど、レーザー耐性に大きな悪影響を及ぼす。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特にエキシマレーザーなどの紫外線を用いた半導体露光装置に好適に用いられるために必要な特性を全て兼ね備えた光学用石英ガラス部材に係わる物品並びにその製造方法、具体的には、高均質、低複屈折及び高い紫外線照射耐性を兼ね備える光学用合成石英ガラス部材並びにその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0024】
従来からの技術を鑑み、本発明者らは鋭意研究の結果、1)高い初期透過率、2)高い屈折率均質性、3)低い複屈折、4)脈理フリー、5)高いレーザー耐性、といった露光機用光学石英ガラス部材に必要な全ての特性を高いレベルで供え持つ光学用合成石英ガラス部材の製造方法を開発するに至った。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光学用合成石英ガラス部材の製造方法は、下記a)からd)の各工程を含むものである。
a)揮発性珪素化合物を酸水素火炎により加水分解し、生成する微粒子シリカを耐熱性基体上に堆積させて多孔質母材を作成し、これを1723K以上に加熱して透明な石英ガラス体を得る工程、
b)該透明石英ガラス体を少なくとも軟化点以上の温度に加熱し、外力を掛けて変形させることによって脈理を除去する工程、
c)該脈理が除去された石英ガラス体を徐冷点以上の温度に一旦保持し、その後徐冷することにより、仮想温度を1273K以下に設定する工程、
d)該仮想温度を1273K以下に設定した石英ガラス体を水素ガス含有雰囲気中で、圧力を0.0098MPa〜0.98MPaの範囲で、かつ、773K以下の温度で熱処理を施し、水素分子を含有させる工程。
【0026】
上記した本発明の製造方法を適用することによって、半導体製造用露光装置のレンズ材などに要求されている、1)高い初期透過率、2)高い屈折率均質性、3)低い複屈折、4)脈理フリー、5)高いレーザー耐性、といった特性を、一部だけではなく、全ての特性を高いレベルで供え持つ光学用石英ガラス部材を得ることが可能になった。
【0027】
工程a)の揮発性珪素化合物とは、例えば、四塩化珪素[SiCl]やメチルトリクロロシラン[CHSiCl]などの塩素を含有する珪素化合物が一般的であるが、もちろんこれらに限定されるものではなく、その他に、テトラメトキシシラン[Si(OCH]、メチルトリメトキシシラン[(CH)Si(OCH]などのアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン[(CHSiNHSi(CH]などの有機シラン化合物等を用いることができる。また、多孔質母材の形状であるが、これもVAD法やOVD法などによって形成される多孔質な母材であればどのような形状でも良い。
【0028】
多孔質母材の透明ガラス化は、加熱炉中で温度を1723K以上に保持することによって行う。一般的にはHeやArなどの不活性ガス雰囲気、または真空雰囲気中で処理されるが、特に限定されるものではない。光学用の石英ガラスでは高い均質性が要求されるため、石英ガラス中のSiOHや塩素などの不純物をコントロールすることが必要になることが多い。
【0029】
SiOHの含有量は透明ガラス化の条件で決定されるため、この時の処理条件を最適化することにより、光学用に好適な石英ガラス材料が得られる。例えば、SiOHを低く設定したい場合は何らかの脱水処理が必要である。脱水処理は塩素やフッ素含有雰囲気で多孔質母材を1073K程度の温度で処理することで可能である。また、脱水処理の温度やガスの濃度、処理時間を最適化することによりSiOHの含有量をコントロールすることが可能である。
【0030】
脈理を除去するための工程b)の具体的な方法として、耐火炉中で1800℃以上の高温に長時間保持ことが一般的であるが、このような脈理除去処理法では炉材、治具及び雰囲気からの不純物による汚染が起こり、特にArFエキシマレーザーの透過率を著しく低下させる恐れがあり、また、脈理が十分に除去できないことが多い。そのため炉材を使用しない方法、例えば、特許文献7に記載の脈理除去方法を採用するのが好ましい。
【0031】
【特許文献7】
特開平7−267662号公報
【0032】
前記脈理除去処理は、合成石英ガラスインゴットの長手方向の両端を支持部材で支持し、その支持端を結ぶ軸を中心に回転させながら、合成石英ガラスインゴットにバーナーで溶融帯域を形成し、支持軸方向に加圧し溶融帯域で外方に突き出させ、次いでその側面を支持体に支持したのち、前と同様の処理を施す方法である。
【0033】
この方法では溶融帯域中では石英ガラスが物理的に良く混ざり合うために、脈理構造自体も全体に混ざり合い、一定時間以上の処理を施すことによって脈理は実質的に消滅する。また、元来不均一に分布していた石英ガラス中のSiOHや塩素、その他の不純物も均一に混ざり合うことから、これらに起因する屈折率変化もより小さくなり、高均質な石英ガラス部材が得られる。
【0034】
特に屈折率均質性に大きな影響を及ぼす不純物はSiOHであり、この濃度分布をできるだけ均一にすることが望ましい。LSI製造用の露光装置のレンズ材に好適に用いられる石英材料の屈折率均質性は、屈折率の最大値と最小値の差として少なくとも2×10−6以下に設定する必要がある。この場合、SiOH濃度の最大値と最小値の差(ΔOH)を30ppm以下に抑えることが好ましい。
【0035】
SiOHの絶対値は均質性やレーザー耐性を考慮すると500ppm以下に設定することが好ましい。というのは、SiOHが500ppm以上であると、必然的に脈理除去工程後であってもΔOHも大きくなり易くなり、結果的に均質性を悪化させる原因となる。
【0036】
また、光学石英ガラスでは均質性を向上させるために長時間の熱アニール処理を施すことが一般的であるが、SiOH量によって構造が決定される温度(仮想温度)に違いが生じる。これは石英ガラスの粘性と関係しており、SiOHの高いものは相対的に粘性が低いため、その結果、仮想温度も低めに設定される。すなわち、石英ガラス中にSiOHの分布が存在することにより、仮想温度分布が形成され、これは密度分布が形成されることを意味している。
【0037】
この密度分布に起因して、屈折率均質性が悪化したり、また、密度差のある部分に応力が付与されることにより、複屈折を増大させたりする。したがって、SiOHの絶対値を低めに、好ましくは500ppm以下に設定するとともに、SiOHの濃度分布を30ppm以下に設定することが重要である。
【0038】
工程c)の加熱処理は主として、屈折率均質性を向上させることが主目的であるが、一方、仮想温度を1273K以下に設定することによって、水素分子を含有させた最終的な物品のArF照射時に生じる初期の急激な吸収増加を低減する効果を与えることも目的の1つである。
【0039】
具体的な処理としては、加熱炉中に石英ガラス部材を入れて、一旦徐冷点以上の温度まで加熱し、一定時間徐冷点以上の温度で保持、その後、1323K以下の温度まで徐冷することによって、仮想温度を1273K以下に設定することが可能である。徐冷点以上で保持するときの温度及び時間は、処理する石英ガラス部材の大きさによって最適化する。
【0040】
一般的に重量が大きな物品の場合、徐冷点以上で保持する時間を長く設定する。また、徐冷速度も0.1℃/時間〜5℃/時間の範囲で設定することにより、仮想温度を1323K以下に設定することができる。徐冷速度についても、重量の大きな物品は低く設定することが好ましい。
【0041】
工程a)〜c)では、1173K以上の高温雰囲気に物品が曝されるため、金属不純物による汚染が懸念される。金属不純物、特にNaに汚染されると、193nm領域の透過率が低下する。金属不純物は、例えば、炉の壁材料やカーボン材料などの耐熱性物品などが汚染源となる。Na汚染を低減するためには、a)〜c)の製造工程の高純度化が必須である。
【0042】
例えば、多孔質母材を作成するa)工程では、できるだけ炉の壁面や成長中の母材の近辺には、上記汚染源を設けないようにするなどの工夫をしておく。工程b)、c)においても同様であり、工程b)では高純度のカーボン材料を用い、工程c)では高純度合成石英ガラスのボックス内に物品を入れて熱アニール処理を施す、といった汚染物質を物品に近づけないようにする工夫が必要である。
【0043】
全ての工程において、上記のような工夫を施し、全工程を経た後の石英ガラス物品中のNaを10ppb以下にすることで、高い初期透過率を維持することが可能である。なお、工程d)については、熱処理温度が低いため、一般的には顕著な不純物汚染は認められない。上記のような厳密な工程管理を行うことにより、193.4nmにおける内部初期透過率が99.7%(/cm)以上の石英ガラス部材を得ることができる。
【0044】
工程d)はエキシマレーザー照射によるダメージ耐性を向上させるために行う水素分子を含有させる処理で、具体的には、圧力が0.0098MPa〜0.98MPaの範囲の水素含有雰囲気中で、773K以下の温度で熱処理を施すことによって達成される。ここで、圧力が0.0098MPa以下では十分量の水素を含有させることが難しいためレーザー耐性が不足し、一方、0.98MPa以上の圧力で処理した場合、多量の水素分子を含有させることができるものの、均質性や複屈折を悪化させやすくなるため、上記の圧力範囲で水素分子含有処理を行うことが望ましい。
【0045】
上記工程d)の水素処理の圧力条件の設定について、もう少し詳細にその理由を下記に説明を加えておく。工程d)の水素処理は水素分子を含有させることによってレーザー耐性を向上させるものであり、レーザー耐性の向上のみ考慮した場合、できるだけ多くの水素分子を含有させたほう効果的であり、一般的には高圧の条件で水素処理が施される。しかしながら、水素分子が均一にドープされなかった場合、均質性や複屈折を悪化させる原因となり、特に高圧で水素処理を施した場合、大きな水素分子の分布を形成しがちになる。
【0046】
最近の半導体露光装置のレンズ材料に求められている均質性や複屈折の要求レベルは非常に高くなっており、一方、レーザー耐性についても厳しい要求がなされている。このように、2つの相反する物性を満足させるためには、多量の水素分子を均一にドープすることが求められるため、工程d)の処理条件について工夫することが必要である。
【0047】
水素雰囲気処理による水素ドープは、水素分子を外部から石英ガラス中に拡散させることによって行われるが、外部から内部へのガスの拡散ということで、通常、外表面近傍の水素濃度が高くなりがちになる。この問題を回避するために、例えば、水素処理中に圧力を段階的、または、連続的に変化させることによって、水素分子を均一にドープする、といった工夫をすることが望ましい。
【0048】
また、より簡単な処理条件として、水素含有雰囲気中で熱処理後、表面近傍の高い水素濃度部分から脱水素を行うために、水素を含有しない雰囲気中で熱処理を施す、といった方法も選択される。具体的な圧力及び温度、処理時間などの条件は多くの選択肢が考えられ、実際には処理される石英ガラス体の形状やサイズによって最適化されるべきものである。
【0049】
例えば、直径350mm、厚さ55mmの石英ガラス体に水素をドープする条件として、1)0.59MPaの100%水素雰囲気中に400℃で500時間保持、2)0.098MPaの100%窒素雰囲気中に400℃で600時間保持、3)0.198MPaの100%水素雰囲気中に400℃で300時間保持、という水素処理条件を適用することにより、均質性や複屈折の特性を損なうことなく、5×1017(分子数/cm)程度の水素分子を均一に含有する石英ガラス体を得ることができる(記載した圧力は絶対圧力表示)。
【0050】
上記の水素処理は3つのステップで、圧力、ガスの種類、処理時間を変化させることによって、石英ガラス体に水素を均一にドープする条件の一例であるが、もちろん、水素処理はこの条件だけに限定されるものではない。水素分子を最終的にどの程度含有させるか、によってこれらの条件は適当に変化させるものである。
【0051】
例えば、第1ステップの圧力は0.0098〜0.98MPaの範囲で選択できるが、紫外線を用いた半導体露光装置に好適に使用される石英ガラス材料の適正水素濃度を考慮すると、処理圧力は0.098〜0.98MPaに設定することが好ましい。
【0052】
次の第2ステップは、表面近傍にドープされた水素分子を内部に拡散させるための工程で、水素ガスを含有しない雰囲気で熱処理することによって達成される。雰囲気は窒素やアルゴン等の不活性ガス、また、通常の空気、真空などでかまわない。
【0053】
第3ステップは、第2ステップで表面近傍の水素分子が減少しすぎた部分を補う意味合いを持ち、一般的には第1ステップと同様水素ガス含有雰囲気で、第1ステップより低圧で熱処理を行う。
【0054】
この例では3つのステップで、ガスの種類、圧力、処理時間などを変化させて水素ドープを行うが、これは処理する石英ガラスの大きさ、主として厚さによって、処理ステップを増減して、水素濃度分布のフラット化を図ることができる。
【0055】
厚さの薄いものに対しては、特に3ステップの処理を施すことなく、比較的簡単に1ステップ程度で水素分子が均一にドープされた石英ガラス体が得られるが、厚さが厚くなるにしたがって、上記のような多段階の水素ドープ処理を施すことが好ましくなってくる。このように圧力やガスの種類を段階的に変えることによって水素分子を均一にドープさせることができるが、水素ドープ工程の水素の圧力は最大0.98MPaに抑えておくことが望ましい。
【0056】
あまり高い圧力を設定すると、高濃度の水素分子をドープできる反面、均質性を悪化させる可能性が高くなってしまう。もちろん、あまり低い圧力設定では所望の水素濃度が確保できないため、レーザー耐性を悪化させる原因となる。
【0057】
工程d)の処理温度に関しては、処理温度が高すぎる場合、後述する還元性欠陥の生成によりレーザー耐性が悪化するため、処理温度を773K以下にすることが望ましい。下限温度については処理するサンプルの大きさと製造時間を考慮して最適値を決定すればよいが、温度が低すぎる場合、石英ガラス中への水素の拡散が極端に遅くなるため、生産性が非常に悪化する。実質的には、523K〜773Kに設定することが妥当である。下記に水素分子を上記条件で含有させる理由について、石英ガラスにエキシマレーザーを照射したときに起こるダメージメカニズムと合わせて、説明を記載しておく。
【0058】
エキシマレーザーが石英ガラスに照射されると、照射エネルギー密度や照射数によって、各種の光学的ダメージが生成する。光学的ダメージとして下記のものが挙げられる。
【0059】
1)紫外線領域の透過率の低下。
2)恒久的な屈折率上昇による均質性の低下とそれに伴う複屈折の増大(コンパクション)。
3)恒久的な屈折率低下による均質性の低下とそれに伴う複屈折の増大(レアファクション)。
【0060】
エキシマレーザー露光装置の光学部材として用いられる石英ガラスは、上記各種のレーザーダメージが十分に小さいものを用いなければならない。
【0061】
1)の透過率低下は、エキシマレーザー照射によって石英ガラスのSi−O−Si構造が破壊されて常磁性欠陥が生成すると考えられており、この欠陥が紫外線領域に吸収を持つために透過率の低下を引き起こすためである。
【0062】
【数1】
O−Si−O + hν → Si・ + Si−O・
【0063】
代表的な常磁性欠陥として、Si・構造を持つE’センター、及びSi−O・構造を持つNBOHC(Non−Bridging Oxygen Hole Center:非架橋酸素ホールセンター)と呼ばれるものがあり、特に前者は215nm近傍に強い吸収帯を有している。したがって、透過率に対する耐性を向上させるためには、上記常磁性欠陥が生成しにくい構造にするか、生成した常磁性欠陥を吸収の持たない構造体に変換する、といった手法が考えられる。
【0064】
通常、Si−O−Si構造の結合エネルギーはレーザーの光子エネルギーより高いため光によって結合が切断されることは考えられないが、パルスレーザーであるエキシマレーザーでは短時間で非常に高強度の光が発生するため非線型の吸収(多光子吸収)が認められ、これによって結合が切断され、常磁性欠陥が生成する。
【0065】
実際に215nmの吸収の増加量はレーザーのエネルギー密度の約2乗に比例することから、多くの反応は2光子吸収により進んでいると推察される。しかし全て正常なO−Si−O結合からなる石英ガラスであれば、どのようなタイプの石英ガラスであってもレーザーダメージはほぼ等しくなるはずであるが、実際はガラスの製造方法によって大きな差が認められる。本発明の脈理除去工程を経た石英ガラスのArFレーザー照射耐性が相対的に高いということも、そのような例の1つと考えられる。
【0066】
このことについては、石英ガラスの製造方法によっては、ある割合で正常でないO−Si−O結合が存在しており(結合距離や結合角度などが正常値からずれて歪んだ構造体)、その割合の多いほどレーザーダメージが顕著に現れるものと考えている。
【0067】
透過率の低下を抑制する他の方法として、生成した常磁性欠陥を吸収の持たない構造体に変化させる方法がある。例えば水素分子を含有させることも、生成した常磁性欠陥を効果的に減少させる方法である。水素分子を含有する石英ガラスにおいては下記の反応が進むと考えられている。
【0068】
【数2】
O−Si−O + H + hν → Si・ + Si−O・ + 2H
Si・ + H → SiH
Si−O・ + H → SiOH
【0069】
すなわち、生成したE’センターとNBOHCはそれぞれSiH及びSiOHに変化するため、結果として吸収増加が認められない。したがって、レーザー照射を続けていると、水素分子はどんどん消費され、水素分子溶存量は減少する。水素分子が無くなった時点で急激な透過率低下が観測されるため、ある意味では、含有水素量がその材料の寿命を決定している。必要な水素分子の量は生成する常磁性欠陥の量に依存するため、レーザーの照射条件(エネルギー密度や繰り返し周波数、照射パルス数など)によって大きく変化する。
【0070】
実際の露光装置に期待される寿命から逆算していった場合、露光レンズ系材料の場合、5×1017(分子数/cm)、照射エネルギー密度の高い照明系材料の場合、2×1018(分子数/cm)程度必要と算出される。実際のArFやKrF露光装置に使用される石英ガラス部材に要求される寿命を評価するためには、エネルギー密度を実際の使用条件と比べてかなり高い条件で照射し、透過率低下を測定する、という、いわゆる加速試験条件で行われる。
【0071】
この場合、まず最初にダメージの生成とレーザーのエネルギー密度との関係を調べておいて、高エネルギー密度照射で透過率低下を実測し、実際の使用コンディションにおける透過率低下量を上記関係から導き出す、という手法が用いられる。我々のこれまでの研究結果から、加速試験において下記の評価条件を満たす材料で、実際のArF露光装置に好適であることがわかった。
【0072】
すなわち、ArFレーザー露光装置に好適に用いられる石英材料とは、ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度20mJ/cmp、周波数200Hzで10,000,000パルス照射したときの215nmでの吸光度低下量が0.01(/cm)以下であること、という条件を満たす材料である。
【0073】
本発明において、工程a)〜d)で製造された石英ガラスで、SiOHの量が500ppm以下、かつ、含有水素濃度が2×1018(分子数/cm)以下、好ましくは5×1017〜2×1018(分子数/cm)である石英ガラスは、上記加速試験に合格するものであり、したがって、露光装置の石英ガラス部材として好適なものであることが確認された。
【0074】
しかしながら、水素分子のドープは上記したE’センターの生成を抑制する方向だけではなく、場合によってはE’センターの生成を助長してしまう場合もある。一般的に水素分子を石英ガラス中にドープするには、水素含有雰囲気中に高温で曝し、水素分子を石英ガラス内部に拡散させる方法が考えられる。
【0075】
しかし、石英ガラス中の水素分子の拡散係数はそれほど高いわけではないため、特に露光装置用の大型の石英材料に均一に水素分子を拡散させるためには、かなり長時間の処理を要する。処理温度を上げることによって拡散係数を増大させ、処理を短時間化できるため、実際の製造の効率を考えた場合、比較的処理温度を高く設定することが好ましい。
【0076】
しかしながら、高温の水素分子に石英ガラスが曝された場合、新たなE’センターの生成原因となる欠陥が生成する。今のところこの欠陥構造については詳しい構造は分かっていないが、水素の高温処理で生成するということから、何らかの還元種でないかと予想している。蛍光分光の結果から、シリコン原子に2つの不対電子が存在する構造(・Si・)ではないかとの予想もあるが、正確に確かめられたわけではない。
【0077】
いずれにしても、高温で水素分子に曝された石英ガラスは還元性の欠陥を生じることから、エキシマレーザーを照射することでE’センターが生成するため、透過率を低下させてしまう。この還元種から生成するE’センターは、前述したSiOネットワークの分解から生じるE’センターとは異なる挙動を示し、レーザー照射中はE’センターが生成するが、レーザー照射を中断すると速やかに緩和する可逆的な性質を持っている。
【0078】
その為、レーザー照射中に透過率を測定する必要があったため、しばらくの間その挙動が明らかにはされてこなかった。上記、可逆的E’センターの生成を抑制するには、石英ガラス中の還元性欠陥の量を低くすることが必要であり、低い温度で水素含有処理を施こすと同時に、含有させる水素分子量を低めに設定することが好ましい。水素処理の温度は773Kを超えると、レーザー照射時に生じる可逆的E’センターに起因する吸収が増大することから、このあたりの温度領域以上で還元性欠陥の生成が顕著になると考えられる。
【0079】
水素分子の含有量を多めに設定することは長期耐性の向上には有効であるが、可逆的なE’センターの生成抑制には好ましくない。更に、多くの水素分子を含有させることによって、水素分子が均一にドープされなかった場合、均質性が悪化するなどのデメリットも発生する。上記の特性(可逆的E’センターの生成)を評価する方法は、石英ガラスにエキシマレーザーを照射しながら同時に透過率を測定する方法、もしくは、石英ガラス中を透過したエキシマレーザー光の強度を直接測定する方法、が用いられる。
【0080】
実際のArF、KrF露光装置用に好適に用いられるかどうかを評価する方法は、前述した長期耐性の評価と同様に加速試験条件で行われる。もちろんこの場合も、エネルギー密度依存性を最初に調べておく必要がある。我々のこれまでの研究結果により、下記の条件を満たす石英材料で実際の露光装置に好適に用いられることが確認された。
【0081】
すなわち、ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度2mJ/cmp、周波数200Hzで100,000パルス照射したときの215nmでの吸光度低下量が0.003(/cm)以下であれば、実際の露光装置に好適に使用できることがわかった。
【0082】
2)の恒久的な屈折率上昇による均質性の低下とそれに伴う複屈折の増大は、一般的にはレーザーコンパクションと呼ばれており、実際にレーザーを照射した部位で石英ガラスの緻密化が観察されている。この現象は照射エネルギー密度が0.2〜0.3mJ/cmp以上の高エネルギー密度照射時に観測されるダメージで、基本的には多光子吸収によって進行すると考えられているが、詳細なメカニズムについては良く分かっていない。レーザーコンパクションを抑制する方法として、透過率低下を抑制する方法と同様、水素分子をある濃度以上含有させることが効果的である。
【0083】
3)の恒久的な屈折率低下による均質性の低下とそれに伴う複屈折の増大はコンパクションとまったく逆の現象が認められるArF照射時のレーザーダメージで、一般的にレアファクション、またはデコンパクションなどと呼ばれている。この現象は、特に0.3mJ/cmp以下の低いエネルギー密度で長期間照射したときに現れるダメージで、最近になって発見された。
【0084】
というのは、この現象を観測するためには極低エネルギー密度で長期間レーザーを照射しなければならなかったため、これまで確認されなかったからである。しかしながら、実際の露光装置の光学部材中を透過するレーザーのエネルギー密度はまさにレアファクションが生じるエネルギー密度値であり、無視できない現象といえる。
【0085】
現在のところあまり多くの実験結果は存在していないが、レアファクションは石英ガラス中のSiOHと水素濃度に強く依存していることがわかっている。SiOHが900ppm前後から多くなるとレアファクションが観測される。また、水素濃度が高いもの、具体的には2×1018(分子数/cm)を超えると、レアファクションが観測されやすくなることがわかっている。
【0086】
このようなことから、露光機用の石英ガラス部材のSiOHは900ppm以下、水素分子は2×1018(分子数/cm)以下に設定することが好ましい。なお、SiOHが少ない場合はレアファクションが観測されないことから、その他、均質性などを考慮してSiOHは500ppm以下に設定することが最も好ましいといえる。
【0087】
以上、エキシマレーザーを照射したときに生じる、1)吸収の増加、2)コンパクション、3)レアファクション、の3つのダメージのメカニズムを総合的に考慮した場合、水素濃度を2×1016〜2×1018(分子数/cm)に設定した本発明によって製造された光学用合成石英ガラスは優れたレーザー耐性を示す。
【0088】
更に、SiOHを500ppm以下で、かつ、ΔOHを30ppm以下に設定することにより、高均質、かつ、優れたレーザー耐性を有する石英ガラス材料が得られる。このような合成石英ガラスはエキシマレーザーを用いた半導体露光装置の透過材料などに好適に用いられる。
【0089】
本発明の光学用合成石英ガラス部材は、上記した本発明方法によって製造され、SiOHが500ppm以下、石英ガラス中のSiOHの最大値と最小値の差が30ppm以内、水素濃度の範囲が2×1016〜2×1018分子数/cm、水素分子の最大値と最小値の差が5×1017分子数/cm以内、及び仮想温度が1273K以下のものである。
【0090】
上記した本発明の光学用合成石英ガラス部材は、波長632.8nmにおける屈折率の最大値と最小値の差が2×10−6以下、波長632.8nmにおける複屈折が0.5nm/cm以下、かつ、193.4nmにおける内部透過率が99.7%以上であるのが好ましい。
【0091】
上記した本発明の光学用合成石英ガラス部材は、ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度2mJ/cmp、周波数200Hzで100,000パルス照射したときの215nmでの吸光度低下量が0.003(/cm)以下であるのが好適である。
【0092】
上記した本発明の光学用合成石英ガラス部材は、ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度20mJ/cmp、周波数200Hzで10,000,000パルス照射したときの215nmでの吸光度低下量が0.01(/cm)以下であるのが更に好適である。
【0093】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下、例を挙げて説明するが、本発明は、以下の説明及び例示によって、何等制限されるものではない。
【0094】
本明細書の実施例及び比較例中に示された物性の測定値は以下の測定法による。
【0095】
i)レーザー耐性の評価;
図1はエキシマレーザー照射による透過率の低下を評価する装置(レーザー耐性評価装置)の概略説明図である。図1において、該装置10はエキシマレーザー12を有している。該エキシマレーザー12は、ラムダフィジック社製LPX220iを用い、エネルギー密度を適当に調節したエキシマレーザー光(ArFまたはKrF)を繰り返し周波数200Hzで試料14に照射する。エネルギー密度の調節は調節器16にレーザービームを通じることによって行われる。該調節器16は複数枚のレンズによりビームを拡大、または縮小することによってエネルギー密度を変化させるものである。試料14は10mm×10mm×50mmの四角柱形状であり、側面(10mm×50mmの面)は4面全てを光が透過できるように光学研磨されている。
【0096】
エキシマレーザー光は研磨面の1面から入射される。一方、215nmもしくは210nmの透過率を測定する装置は、紫外線の光源としてD2ランプ18、その光を215nmに分光する第1のモノクロメータ20、ビームスプリッター22を介して入射光の光量を測定するための第1のホトマル24、及び試料14を挟んで第2のモノクロメータ26及び透過してくる光量を測定するための第2のホトマル28によって構成されている。
【0097】
D2ランプ18より照射された光はビームスプリッター22を介して一部は第1のホトマル24に入射すると共に、他の光は第1のモノクロメータ20により215nmに分光され、試料14、第2のモノクロメータ26を経て第2のホトマル28に受光され、第1のホトマル24と第2のホトマル28の受光比により透過率が測定できる。ここで第1のホトマル24と第2のホトマル28の受光量の計測はエキシマレーザーの発振パルスと同期しているために、レーザー照射を行いながら同時に透過率の測定を行うことができる。
【0098】
ArFの長期耐久性は、エネルギー密度20mJ/cmpで1×10パルス、また、可逆的なE’センター生成による透過率低下の測定は、エネルギー密度2mJ/cmpで1×10パルスの条件でArFエキシマレーザーを照射しつつ、215nmの透過率変化を測定する。
【0099】
ii)脈理;
直交ニコルの偏光板にて目視観察。
【0100】
iii)均質性;
He−Neレーザー波長(632.8nm)での屈折率差の測定による評価。フィゾー型干渉計(Zygo Mark IV)にて測定。
【0101】
iv)水素分子濃度の測定;
レーザーラマン散乱スペクトロスコピーによる測定(非特許文献2参照)。この方法は、SiOに関する波数800cm−1のラマンバンドの強度と合成石英ガラス中に含有される水素分子に関する4135cm−1の強度との比により、合成石英ガラス中の水素分子濃度を求めるものであり、水素分子濃度Cは、次の式(1)により算出される。
【0102】
【非特許文献2】
V. S. Khotomchenko et al, J. Appl. Spectroosec., 4,632−635(1987)
【0103】
【数3】
C=k × I(4135)/I(800)・・・・(1)
(式(1)中、I(4135)は、4135cm−1のラマンバンドの面積強度である。I(800)は、800cm−1のラマンバンドの面積強度である。kは、定数で、1.22×1021である。)
【0104】
この式により算出される水素分子濃度は、1cmの容積当たりの水素分子の個数で示される。下記実施例において、ラマン散乱法による水素分子濃度の測定に使用した測定機器は、日本分光株式会社製のラマン散乱分光器NR−1100ダブルモノクロタイプであり、検出器は浜松フォトニクス株式会社製の光電子増倍管R943−02であり、測定に使用したレーザー光はArイオンレーザー(488nm)である。
【0105】
v)複屈折;
HINDS Exicor350AT複屈折自動測定装置による測定。
【0106】
vi)193.4nmでの初期透過率;
Varian Cary4E可視・紫外分光光度計による測定。厚さ10mmで両面研磨した試料で測定。193.4nmにおける石英ガラスの理論透過率90.86%(表面の多重反射によるロスを100%から差し引いた値)を用い、厚さ10mmにおける見掛け透過率T%に対し、(T/90.68)×100より求める。
【0107】
vii)不純物分析;フレームレス原子吸光分析法による測定。
【0108】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。なお、以下に示す実施例及び比較例により得られた石英ガラス部材の特性を表1にまとめて示した。
【0109】
(実施例1)
四塩化珪素を蒸留処理して不純物を除去した後、これを原料として、CVD法で外形300mm,長さ1200mmの円柱状の多孔質石英ガラス母材を作製した。該多孔質石英ガラス母材を、カーボンヒーター仕様の真空炉にいれ、10−2トール真空度の条件にて1853Kまで加熱し、透明ガラス化を行った。得られた透明ガラス体は、外径180mm、長さ800mmの円柱状の透明ガラス体が得られた。
【0110】
得られた透明ガラス体の両端を石英ガラス加工旋盤のチャックに把持された石英ガラス製の支持棒に溶接し、合成石英ガラスインゴットを回転させた。回転しているインゴットをバーナーで局部加熱して溶融帯域を形成しつつ、ゆっくりと延伸することで、直径120mmのガラス体に成型した。その後、連続して、再度バーナーにより局部的過熱を行い溶融帯域を形成しつつ、チャックの回転方向及び回転数を独立に変動させ、溶融帯域に応力を発生させ、インゴットの脈理除去及び均質化を図った。
【0111】
その後、石英ガラス加工用旋盤のチャック間を狭め、合成ガラスインゴットを押圧しボール状の合成石英ガラスに変形し、ボール状合成石英ガラスを切り離し、切り離し面を上下にして合成石英ガラスインゴットを支持台の支持棒に取り付け回転しながらバーナーで加熱軟化させ、再度均質化して棒状合成石英ガラスインゴットを製造した。得られたインゴットには3方向で脈理や層状構造は認められなかった。
【0112】
前記合成石英ガラスインゴットを所望の形状に成型するために、Naの灰分20ppm以下のグラファイトルツボ中にインゴットを入れ、ルツボ内を窒素雰囲気で置換したのち炉内温度を1900℃に保温し、10分間保持し成型した。得られた石英ガラス部材の寸法は、外径400mm、厚さ100mmであった。
【0113】
成型工程は石英ガラス部材の表面が直接グラファイトツルボに接していることから、特に表面近傍で金属不純物による汚染が懸念されたため、次の熱処理工程の前に、上下及び外周部分の全ての面から10mm研削して表面を除去し、直径380mm、厚さ80mmの石英ガラス部材に加工した。
【0114】
その後、この石英ガラス部材を純度99%以上のアルミナを炉材とする電気炉内に設置し、1423Kで50時間保持したのち、0.2℃/時間の冷却速度で1223Kまで徐冷し、ついで自然冷却して、除歪操作を行った。この熱処理後の仮想温度を測定したところ、中心部で1243K、外周部近傍で1223Kであった。
【0115】
得られた石英ガラス部材に水素を含有させるために、上下面を12.5mmずつ研削し、直径380mm、厚さ55mmの石英ガラス体に加工した。この石英ガラス体を圧力0.15MPaの100%水素ガス雰囲気中、温度673Kで、1500時間静置し、水素分子を含有させた。このままでは水素分子は石英ガラスの表面近傍に高濃度に存在しているため、水素含有処理後、雰囲気を窒素に置換し、温度673Kで400時間静置し、表面近傍の水素を脱ガスすることにより、石英ガラス中の水素分子濃度分布を平坦化した。
【0116】
この石英ガラス体の中心部の水素濃度をラマンスペクトル測定装置によって測定したところ、約5.0×1017(分子数/cm)であり、石英ガラス中の水素濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は約1.0×1017(分子数/cm)であった。また、不純物分析の結果、Na、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの金属不純物濃度は全て5ppb以下であった。
【0117】
不純物分析を行った部分の近傍より、直径60mm、厚さ10mmの試験片を切り出し、両面(対面)に光学研磨を施し、可視紫外分光光度計にて波長193.4nmの内部透過率を測定したところ、99.75%以上であり、良好な初期透過率を示した。
【0118】
更にこの合成石英ガラス部材のSiOH濃度を測定したところ、平均濃度は約300ppmであり、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は15ppmであった。また、屈折率均質性及び複屈折を調べたところ、光学軸と直交する面内の直径280mm以上の領域で632.8nmにおける屈折率の最大値と最小値の差(Δn)が0.8×10−6以下であり、複屈折は0.2nm/cm以下であった。
【0119】
この石英ガラス体からレーザー耐性評価用の試験片を切り出し、10×10×50mmの四角柱状の側面に光学研磨を施した。図1に示すエキシマレーザー照射耐性を評価する装置にて、長期耐久性及び初期挙動について測定した。図2に長期耐性の評価結果を、また、図3に初期挙動について、全ての実施例及び比較例の評価結果をまとめて示した。
【0120】
長期耐久性の評価は、ArFエキシマレーザーをエネルギー密度20mJ/cmp、周波数200Hzで照射し、同時に215nmにおける透過率変化を測定する。図2は上記条件でレーザーを1.2×10パルスまで照射したときの215nmにおける透過率の低下量を厚さ1cmあたりの吸光度で示したものである。本実施例のサンプルでは、照射とともに215nmの吸光度が緩やかに増加し、1×10パルス照射した時点では約0.0058(/cm)の吸光度を示した。
【0121】
また、照射初期においても急激な吸光度の増加は認められなかった。照射エネルギー密度を2mJ/cmp、周波数200Hzとしてサンプルに照射したときに、特に照射初期の215nmにおける吸光度の変化を図3に示した。1×10パルス照射時の215nm吸光度は約0.0011(/cm)であった。
【0122】
本実施例により得られた石英ガラス体は優れたArFエキシマレーザー耐性を備えもち、かつ、高均質、低服屈折という光学ガラスに必要な特性をも兼ね備え、更に紫外線領域の初期透過率もきわめて良好であり、半導体製造用のエキシマレーザー露光装置のレンズ材に好適に用いることのできる大型の石英ガラス部材である。
【0123】
(実施例2)
実施例1と同様の多孔質ガラス母材を作成し、これを900℃窒素雰囲気中にて10時間熱処理を施し、多孔質ガラス母材中の水分を一部脱水した後、炉内を10−2トールの真空度に維持して1853Kまで加熱し、実施例1と同サイズの透明ガラス体を得た。
【0124】
得られた透明ガラス体を、実施例1の場合と異なる処理条件で水素分子を含有させる工程を施した以外、実施例1と同じ方法で石英ガラス部材を製造した。アニール熱処理後の石英ガラス部材の仮想温度分布は実施例1と同じものが得られた。水素処理前に石英ガラス部材の上下両面を研削除去し、直径380mm、厚さ35mmに加工した。この石英ガラス部材を、温度573K、圧力0.3MPaの100%水素ガス中に1800時間静置した。その後、雰囲気を窒素に置換し、温度573Kで400時間静置し、水素分子濃度分布の平坦化を図った。
【0125】
この石英ガラス体の中心部の水素濃度は約1.0×1018(分子数/cm)であり、石英ガラス中の水素濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は約2.0×1017(分子数/cm)であった。また、不純物分析の結果、Na、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの金属不純物濃度は全て5ppb以下であった。
【0126】
実施例1の場合と同様に波長193.4nmの内部透過率を測定したところ、99.75%以上であった。SiOH平均濃度は約250ppmであり、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は20ppmであった。屈折率均質性及び複屈折は、光学軸と直交する面内の直径280mm以上の領域で632.8nmにおける屈折率の最大値と最小値の差(Δn)が1.3×10−6以下であり、複屈折は0.3nm/cm以下であった。
【0127】
レーザーの長期耐性評価結果を図2に示したが、実施例1と同様、レーザー照射とともに215nmの吸光度が緩やかに増加し、1×10パルス照射した時点では約0.0073(/cm)の吸光度を示した。また、照射初期においても急激な吸光度の増加は認められなかった。図3に示された初期吸収も非常に小さく、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.001(/cm)以下であった。
【0128】
本実施例により得られた石英ガラス体は優れたArFエキシマレーザー耐性を備えもち、かつ、高均質、低服屈折という光学ガラスに必要な特性をも兼ね備え、更に紫外線領域の初期透過率もきわめて良好であり、半導体製造用のエキシマレーザー露光装置のレンズ材に好適に用いることのできる大型の石英ガラス部材である。
【0129】
(比較例1)
本発明方法における軟化点以上の温度に加熱し、外力を掛けることによって変形させて脈理を除去する工程b)を施さずに、その他は実施例1とまったく同様の方法で同じサイズの合成石英ガラス部材を作成した。すなわち、実施例1における旋盤による脈理除去工程を含まない製造方法で試作を行った。得られた合成石英ガラス部材には層状の脈理が観察された。SiOH平均濃度は約300ppmで実施例1と同じレベルであったが、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は60ppm程度あり、平坦な分布が得られなかった。
【0130】
水素濃度及びその分布形、仮想温度分布、初期透過率は実施例1で得られた石英ガラス部材と同じものが得られた。屈折率均質性(Δn)は4.0×10−6、複屈折は0.8nm/cmであった。図2に示されたレーザー長期耐性評価の結果は、照射とともに215nm吸光度が緩やかに増加していくものの、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0124(/cm)に達し、実施例1、2と比較して大きな吸収が生じていた。
【0131】
また、図3に示された照射初期の吸光度の増加についても、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0027(/cm)と実施例1、2よりも若干大きなものとなった。なお、石英ガラス中の金属不純物は実施例1と同レベルであった。
【0132】
本比較例では、本発明方法における工程b)を施さなかったことにより、得られた合成石英ガラス部材には脈理が観察され、また、屈折率均質性や複屈折も悪くなってしまった。また、エキシマレーザー耐性も実施例と比較して若干悪くなっていることが観測された。したがって、本比較例により得られた石英ガラス部材は、半導体製造用の露光装置のレンズ材として用いることができないものであった。
【0133】
(比較例2)
水素分子を含有させる工程d)の処理条件を変更した以外、実施例1とまったく同様の方法で同じサイズの合成石英ガラス部材を作成した。上記ガラス部材のサイズは直径380mm、厚さ55mmで、水素分子を下記の処理条件で含有させた。圧力0.15MPaの100%水素ガス雰囲気中、温度823Kで、500時間静置した後、表面近傍の水素を脱ガスするために、次いで雰囲気を窒素に置換し、温度823Kで120時間静置し、石英ガラス中の水素分子濃度分布を平坦化した。
【0134】
処理後の石英ガラス部材の中心部における水素濃度は約4.0×1017(分子数/cm)で、水素濃度の高い部分と低い部分の差(ΔH)が約1.0×1017(分子数/cm)以下であった。SiOH平均濃度は約300ppmで実施例1と同じレベルであったが、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は25ppm程度あり、比較的平坦な分布が得られた。仮想温度の分布は実施例1で得られた石英ガラス部材と同じであった。
【0135】
193.4nmにおける初期透過率が若干低下しており、内部透過率で99.70%であった。屈折率均質性(Δn)は1.5×10−6、複屈折は0.3nm/cmであった。図2に示されたレーザー長期耐性評価の結果は、照射とともに215nm吸光度が急激に増加し、その後ゆっくりと増加傾向を示したが、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0215(/cm)に達し、実施例1、2と比較して非常に大きな吸収が認められた。
【0136】
これは照射初期の急激な吸収が大きな原因である。また、図3に示された照射初期の吸光度の増加についても、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0092(/cm)と実施例1、2よりもかなり大きな値となった。なお、石英ガラス中の金属不純物は実施例1と同レベルであった。
【0137】
本比較例では、本発明方法における工程d)の水素処理の温度が823Kと高かったため、水素含有工程において還元性欠陥を生成させてしまい、これがレーザー耐性を悪化させることになってしまった。レーザー耐性以外の一般的な光学特性に関してはまったく問題ないものの、レーザー照射の長期耐性及び初期吸収特性が非常に悪くなったため、本比較例により得られた石英ガラス部材は、半導体製造用の露光装置のレンズ材として用いることができないものであった。
【0138】
(比較例3)
本発明方法における水素分子を含有させる工程d)を施さずに、その他は実施例1の場合とまったく同様の条件で石英ガラス部材を作成した。得られた石英ガラス部材にはラマン分光測定に検出できるほどの水素分子は含有されていなかった。SiOH平均濃度は約300ppmで実施例1と同じレベルであり、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は15ppm程度と比較的平坦な分布が得られた。仮想温度の分布は実施例1で得られた石英ガラス部材と同じであった。
【0139】
また、193.4nmにおける初期透過率も99.75%以上の高透過性を維持していた。屈折率均質性(Δn)は1.0×10−6、複屈折は0.2nm/cmと非常に高い均質性と低い複屈折を維持していた。しかしながら、図2に示されたレーザー長期耐性評価の結果は、照射とともに215nm吸光度が増加し、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.074(/cm)に達し、実施例1、2と比較して非常に大きな吸収が認められた。
【0140】
これは水素を含有していないため、レーザー照射によって生じたE’センターを緩和することができないため、エキシマレーザーの照射によって非常に多くのE’センターが生成したためである。一方、図3に示された照射初期の吸光度の増加はほとんど認められず、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.001(/cm)以下であった。これは水素を含有させるための水素処理を施さなかったため、石英ガラス中に還元性欠陥が生じなかったためである。なお、石英ガラス中の金属不純物は実施例1と同レベルであった。
【0141】
本比較例では、本発明方法における工程d)の水素処理を施さなかったことにより、長期耐久試験のレーザー照射によって多くのE’センターが生成し、215nmの吸光度が大きく増加してしまった。一般的な光学特性も良好で、還元性欠陥による照射初期の吸収増加はほとんど認められないものの、長期耐性が極めて悪くなったため、本比較例により得られた石英ガラス部材は、半導体製造用の露光装置のレンズ材として用いることができないものであった。
【0142】
(比較例4)
本発明方法における水素分子を含有させる工程d)の処理条件を変更した以外、実施例1とまったく同様の方法で同じサイズの合成石英ガラス部材を作成した。上記ガラス部材のサイズは直径380mm、厚さ55mmで、水素分子を下記の処理条件で含有させた。圧力0.004MPaの100%水素ガス雰囲気中、温度673Kで、1500時間静置した後、表面近傍の水素を脱ガスするために、次いで雰囲気を窒素に置換し、温度673Kで400時間静置し、石英ガラス中の水素分子濃度分布を平坦化した。
【0143】
処理後の石英ガラス部材の中心部における水素濃度は約1.0×1016(分子数/cm)で、水素濃度の最も高い部分と低い部分の差(ΔH)は1.0×1016(分子数/cm)以下であった。SiOH平均濃度は約300ppmで実施例1と同じレベルであり、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は15ppm程度と比較的平坦な分布が得られた。仮想温度の分布は実施例1で得られた石英ガラス部材と同じであった。
【0144】
また、193.4nmにおける初期透過率も99.75%以上の高透過性を維持していた。屈折率均質性(Δn)は1.0×10−6、複屈折は0.3nm/cmと非常に高い均質性と低い複屈折を維持していた。レーザーの長期耐性評価結果を図2に示したが、水素分子を含有しない比較例3の場合と同様、照射とともに215nm吸光度が増加し、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.072(/cm)に達し、実施例1、2と比較して非常に大きな吸収が認められた。
【0145】
これは水素分子の含有量が少なすぎるため、レーザー照射によって生じたE’センターを全て修復できないため、エシマレーザーの照射によって非常に多くのE’センターが生成したためである。一方、図3に示した照射初期における吸収の増加は、実施例2と同様、初期吸収も非常に小さく、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.001(/cm)以下であった。
【0146】
(比較例5)
四塩化化珪素を蒸留処理して不純物を除去した後、この原料とArの混合ガスを酸素、水素ガスにより燃焼しているバーナーに導入しシリカ微粒子を生成させ、このシリカ微粒子を酸素・水素火炎で高温に維持されている回転する石英ガラスターゲット材に堆積、更に溶融し、直径140mm、長さ1400mmの透明な石英ガラスインゴットを得た。得られた透明ガラス体を実施例1とまったく同様の条件で均質化、アニール、水素分子含有処理を施し、直径380mm、厚さ55mmの石英ガラス部材を得た。
【0147】
SiOH平均濃度は約600ppmで実施例1の場合と比較してかなり高い濃度になり、更に、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は45ppm程度になったため、SiOHの平坦な分布が得られなかった。水素濃度及びその分布形、仮想温度の分布は実施例1で得られた石英ガラス部材と同じであった。193.4nmにおける初期透過率が若干低下しており、内部透過率で99.70%であった。屈折率均質性(Δn)は2.5×10−6、複屈折は0.5nm/cmと実施例1と比較して悪くなった。
【0148】
図2に示されたレーザー長期耐性評価の結果は、照射とともに215nm吸光度が緩やかに増加し、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0075(/cm)と良好な長期耐性を示した。同様に、図3に示された照射初期の吸光度の増加についても、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0019(/cm)と良好な結果であった。なお、石英ガラス中の金属不純物は実施例1と同レベルであった。
【0149】
本比較例では、本発明方法における工程a)の多孔質ガラス母材から透明ガラス体を得る際に水蒸気雰囲気でガラス化することによって高濃度のSiOHを有する材料が得られたが、そのような材料を用いて光学用部材を作成した場合、SiOHの濃度分布が顕著に表れたため、ΔOHが45ppmと、実施例と比較しても大きくなったため、均質性や複屈折を悪化させることになった。
【0150】
(比較例6)
本発明方法における工程c)の処理条件を変更した以外、実施例1とまったく同様の方法で同じサイズの合成石英ガラス部材を作成した。工程c)の熱処理条件として、1423Kで50時間保持したのち、10℃/時間の冷却速度で1383Kまで徐冷し、ついで自然冷却する、という加熱条件で処理を行った。
【0151】
熱処理後の石英ガラス部材の仮想温度を測定したところ、中心部で1385K、外周部近傍で1373Kであった。SiOH平均濃度は約300ppmで、SiOHの最も高い部分と低い部分の差(ΔOH)は20ppm程度と、実施例1の場合とほぼ同じ濃度分布であった。水素濃度及びその分布形は実施例1で得られた石英ガラス部材と同じであった。
【0152】
193.4nmにおける初期透過率は、内部透過率で99.75%と非常に高い透過性を示した。屈折率均質性(Δn)は3.0×10−6、複屈折は1.2nm/cmと実施例1と比較して非常に悪くなった。図2に示されたレーザー長期耐性評価の結果は、照射とともに215nm吸光度が急激に増加し、その後ゆっくりと増加傾向を示したが、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0132(/cm)に達し、実施例1、2と比較して非常に大きな吸収が観測された。これは照射初期の急激な吸収が大きな原因である。
【0153】
また、図3に示された照射初期の吸光度の増加についても、1×10パルス照射時の215nm吸光度は0.0044(/cm)と実施例1、2よりもかなり大きな値となった。なお、石英ガラス中の金属不純物は実施例1と同レベルであった。
【0154】
本比較例では、本発明方法における工程c)の熱処理条件を変更したことによって、最終的に得られた石英ガラス部材の仮想温度が高く設定されてしまったため、均質性や複屈折の特性が悪化し、更にArFレーザー耐性も悪くなってしまった。
【0155】
【表1】
Figure 2004123420
【0156】
表1における注)は次の通りである。
注1)初期透過率は193.4nmでの測定置を示す。
注2)ArF長期耐久は、ArFレーザーをエネルギー密度20mJ/cmp、周波数200Hzの条件で1.0×10パルス照射したときの215nm吸光度を示す。
注3)ArF初期吸収は、ArFレーザーをエネルギー密度2mJ/cmp、周波数200Hzの条件で1.0×10パルス照射したときの215nm吸光度を示す。
【0157】
【発明の効果】
本発明による光学用合成石英ガラス部材は、
a)揮発性珪素化合物を酸水素火炎により加水分解し、生成する微粒子シリカを耐熱性基体上に堆積させて多孔質母材を作成し、これを1723K以上に加熱して透明な石英ガラス体を得る工程、
b)該透明石英ガラス体を少なくとも軟化点以上の温度に加熱し、外力を掛けることによって変形させて脈理を除去する工程、
c)該脈理が除去された石英ガラス体を徐冷点以上の温度に一旦保持し、その後徐冷することにより、仮想温度を1323K以下に設定する工程、
d)該仮想温度を1323K以下に設定した石英ガラス体を水素ガス含有雰囲気中で、773K以下の温度で熱処理を施し、水素分子を含有させる工程、
上記a)からd)の各工程を含む方法で製造されたものである。
【0158】
本発明の光学用合成石英ガラス部材は、従来の合成石英ガラス光学部材に比較して、大型、かつ、優れた高均質性及び低複屈折という特性を兼ね備えており、更にArFエキシマレーザー(波長193.4nm)のような紫外線レーザー光の照射下において、光の透過性が低下することなく使用できる。もちろんArFエキシマレーザーに好適な材料であることは、ArFより波長の長いKrFエキシマレーザー(波長248.3nm)にも何ら問題なく使用することができるため、現在の半導体リソグラフィ装置として一般的に用いられているKrFエキシマレーザー露光機や、一部試験的に導入されている次世代のArFエキシマレーザー露光機のレンズ材等の光学材料に好適に使用されるものである。本発明の光学用合成石英ガラス部材は優れたレーザー耐性を有するため、露光機において長期間の使用が可能となるため、光学部材を交換する回数を減らして、安定した露光を行うことができ、半導体リソグラフィの処理効率を向上することができる。
【0159】
また、本発明の光学用合成石英ガラス部材は高い均質性と低い複屈折を有しているため、露光機のレンズ材料として用いることで、光学部材全体に渡っての均一な紫外レーザーの透過を行うことができることとなり、例えば、半導体リソグラフィ装置において、長時間に亙って均一な露光を行うことができ、半導体リソグラフィの歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー耐性評価装置を示す概略説明図である。
【図2】実施例1、2及び比較例1〜6におけるArFエキシマレーザー照射による長期耐性評価結果を示すグラフである。
【図3】実施例1、2及び比較例1〜6におけるArFエキシマレーザー照射による初期吸収挙動評価結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10:装置、12:エキシマレーザー、14:試料、16:調節器、18:ランプ、20:第1モノクロメータ、22:ビームスプリッター、24:第1ホトマル、26:第2モノクロメータ、28:第2ホトマル。

Claims (5)

  1. 下記a)からd)の各工程を含む光学用合成石英ガラス部材の製造方法。
    a)揮発性珪素化合物を酸水素火炎により加水分解し、生成する微粒子シリカを耐熱性基体上に堆積させて多孔質母材を作成し、これを1723K以上に加熱して透明な石英ガラス体を得る工程、
    b)該透明石英ガラス体を少なくとも軟化点以上の温度に加熱し、外力を掛けて変形させることによって脈理を除去する工程、
    c)該脈理が除去された石英ガラス体を徐冷点以上の温度に一旦保持し、その後徐冷することにより、仮想温度を1273K以下に設定する工程、
    d)該仮想温度を1273K以下に設定した石英ガラス体を水素ガス含有雰囲気中で、圧力を0.0098MPa〜0.98MPaの範囲で、かつ、773K以下の温度で熱処理を施し、水素分子を含有させる工程。
  2. SiOHが500ppm以下、石英ガラス中のSiOHの最大値と最小値の差が30ppm以内、水素濃度の範囲が2×1016〜2×1018分子数/cm、水素分子の最大値と最小値の差が5×1017分子数/cm以内、及び仮想温度が1273K以下である請求項1記載の方法によって製造された光学用合成石英ガラス部材。
  3. 波長632.8nmにおける屈折率の最大値と最小値の差が2×10−6以下、波長632.8nmにおける複屈折が0.5nm/cm以下、かつ、193.4nmにおける内部透過率が99.7%以上である請求項2記載の光学用合成石英ガラス部材。
  4. ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度2mJ/cmp、周波数200Hzで100,000パルス照射したときの215nmでの吸光度低下量が0.003(/cm)以下である請求項2または3記載の光学用合成石英ガラス部材。
  5. ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度20mJ/cmp、周波数200Hzで10,000,000パルス照射したときの215nmでの吸光度低下量が0.01(/cm)以下である請求項2または3記載の光学用合成石英ガラス部材。
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