JP2018184312A - 合成石英ガラスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 徐冷を行う合成石英ガラスの大きさに応じて、適切な徐冷速度を選択することができ、該適切な徐冷速度で徐冷を行うことができる合成石英ガラスの製造方法を提供する。【解決手段】 母材である合成石英ガラスを熱処理炉に投入する工程と、前記熱処理炉内の温度を、徐冷点以上である所定の保持温度まで昇温させる工程と、前記保持温度で保持する工程と、前記合成石英ガラスを徐冷する工程と、合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出する工程とを含むアニール処理を含み、前記母材である合成石英ガラスの表面積をS[mm2]とし、体積をV[mm3]としたときのS/V[mm2/mm3]の値、及び、前記徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]に基づいて、前記徐冷工程の徐冷速度v[℃/時間]を決定する工程を有し、該決定した徐冷速度vで前記徐冷工程を行う合成石英ガラスの製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、合成石英ガラスの製造方法に関する。
近年、合成石英ガラスは露光装置用レンズなどに使用するために、複屈折値の制御が求められており、さらに様々な大きさや形状が求められている。一般的には昇温工程にて十分にガラス内部まで徐冷点以上まで昇温したのち、ゆっくりと合成石英ガラスを冷却することでガラス内部の温度分布を小さくし複屈折値を制御している。また、処理する合成石英ガラスより大きな比熱の部材で周囲を覆うことで熱分布をさらに小さくして複屈折値の低減を目指す方法も行われている。
例えば、特許文献1では、徐冷速度を徐々に遅くして複屈折値の小さなガラスを得る方法が記載されている。ただし、特許文献1には、処理するガラスのサイズについては記載がない。
また、特許文献2では、ガラス内の仮想温度をなるべく一定にするために、昇温工程と冷却工程で温度及び時間を制御している。ただし、特許文献2には、特許文献1と同じく処理するガラスのサイズについての記載はない。
さらに、特許文献3では、昇温工程と徐冷工程を指定することで複屈折値2nm/cm以下のガラスを得る方法が記載されている。ただし、特許文献3では、複屈折値の目標値が2nm/cm以下限定であり、さらに実施例では1サイズのガラスブロックによるデータしか記載されていない。
特開2010−155778号公報 特開2005−289801号公報 特開2015−155362号公報
上記のように、従来の方法では、熱分布が比較的小さい合成石英ガラスを処理する場合であっても、熱分布が大きな合成石英ガラスを処理する条件と同条件で処理する。そのため、過剰なアニール処理時間が掛かりコストの上昇につながっている。
さらに、比熱の大きい部材で周囲を覆うアニール処理は、放熱の方向の制御が可能なため複屈折進相軸の向きの制御に適しているが、昇温工程、徐冷工程ともに処理時間が長くなる傾向にありコストの上昇につながっている。
アニール処理後の複屈折値を決定する内部温度分布が合成石英ガラスのサイズおよび形状によって異なるにもかかわらず、処理する合成石英ガラスのサイズによって熱処理プログラムを選択する方法になっていない為、処理するガラスのサイズと目標とする複屈折値から適切なプログラムで効率よく処理が出来るような方法が必要とされている。
特許文献1〜3に記載されている熱処理方法は、低複屈折値とする方法もしくは複屈折進相軸の向きを制御する方法であるが、処理するガラスサイズ及び目標とする複屈折値によって適切なプログラムを選択する方法については一切言及されていない。
アニール処理後の複屈折値を決定する内部温度分布は、合成石英ガラスのサイズおよび形状によって異なる。しかしながら、従来は、合成石英ガラスの大きさに関わらず同一条件でアニール処理が行われている。そのため、熱分布が比較的小さい合成石英ガラスを処理する場合において、熱分布が大きな合成石英ガラスを処理する条件で処理した場合、過剰な処理時間が掛かりコストの上昇につながっているという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、徐冷を行う合成石英ガラスの大きさに応じて、適切な徐冷速度を選択することができ、該適切な徐冷速度で徐冷を行うことができる合成石英ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、合成石英ガラスのアニール処理を含む合成石英ガラスの製造方法であって、前記アニール処理を、母材である合成石英ガラスを熱処理炉に投入する工程と、前記熱処理炉内の温度を、前記合成石英ガラスの徐冷点以上である所定の保持温度まで昇温させる昇温工程と、前記熱処理炉内の温度を前記保持温度で保持する第1の保持工程と、前記第1の保持工程の後、前記熱処理炉内を加熱しながら、前記熱処理炉内の温度を徐々に低減し、所定温度まで冷却することにより、前記合成石英ガラスを徐冷する徐冷工程と、前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出する工程とを含むものとし、前記母材である合成石英ガラスの表面積をS[mm]とし、体積をV[mm]としたときのS/V[mm/mm]の値、及び、前記徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]に基づいて、前記徐冷工程において前記合成石英ガラスを徐冷する速度である徐冷速度v[℃/時間]を決定する工程を有し、該決定した徐冷速度vで前記徐冷工程を行うことを特徴とする合成石英ガラスの製造方法を提供する。
このような合成石英ガラスの製造方法であれば、徐冷を行う合成石英ガラスの大きさ及び目標とする複屈折値に応じて、適切な徐冷速度を選択して、該適切な徐冷速度で合成石英ガラスの徐冷を行い、合成石英ガラスの製造を行うことができる。
本発明に係る合成石英ガラスの製造方法では、前記徐冷速度v[℃/時間]を決定する工程において、前記S/V[mm/mm]の値及び前記目標とする複屈折値Re[nm/cm]から、下記式(1)
v≦(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(1)
を満たすように前記徐冷速度vを決定することが好ましい。
このような式(1)を満たすように徐冷速度vを決定することにより、より適切な徐冷速度を設定して徐冷を行うことができる。
さらにこの場合、前記式(1)及び下記式(2)
v≧0.8×(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(2)
のいずれも満たす範囲で前記徐冷速度vを決定することが好ましい。
このような式(2)及び上記の式(1)のいずれも満たす範囲で徐冷速度vを決定することで、さらに適切な徐冷速度を設定して徐冷を行うことができる。
また、本発明に係る合成石英ガラスの製造方法では、前記アニール処理において、前記合成石英ガラスの周囲に保温材を用いない方法とすることができる。
このように、保温材を用いないことで、昇温時間及び徐冷処理時間を短くすることができる。
また、前記母材である合成石英ガラスの形状を円柱形状又は円板形状とすることができる。
本発明は、母材である合成石英ガラスの形状が円柱形状又は円板形状である場合に特に好適に適用することができる。
また、前記母材である合成石英ガラスを、前記S/Vの値が0.012mm/mm以上0.4mm/mm以下のものとすることが好ましい。
本発明は、このようなS/V値の合成石英ガラスを母材として用いる場合に特に好適に適用することができる。
また、前記徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]を、1.0nm/cm以上10.0nm/cm以下とすることが好ましい。
このような範囲を目標とする複屈折値Reの範囲とする場合に、本発明を特に好適に適用することができる。
また、前記第1の保持工程における保持温度を1040℃以上1300℃以下の範囲内とし、前記徐冷工程において、前記第1の保持工程における保持温度から、前記第1の保持工程における保持温度よりも低くかつ950℃以上1160℃以下の範囲内の温度まで徐冷することが好ましい。
このような温度で第1の保持工程及び徐冷工程を行うことにより、適切な条件で徐冷を行うことができる。
また、本発明に係る合成石英ガラスの製造方法では、前記徐冷工程の後に、前記熱処理炉内の加熱を停止して前記熱処理炉内の温度を低下させる放冷工程を有し、該放冷工程の後、前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出することができる。
また、本発明に係る合成石英ガラスの製造方法では、前記徐冷工程の後に、該徐冷工程の終了する温度で保持する第2の保持工程を有し、前記第2の保持工程の後に、前記熱処理炉内の加熱を停止して前記熱処理炉内の温度を低下させる放冷工程を有し、該放冷工程の後、前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出することもできる。
このように、本発明の合成石英ガラスの製造方法では、徐冷の後に放冷を行い、徐冷後の合成石英ガラスを搬出することもできるし、徐冷の後にさらに所定温度で保持する工程を有し、その後、放冷を行って合成石英ガラスを搬出することもできる。
本発明の合成石英ガラスの製造方法であれば、徐冷を行う合成石英ガラスの大きさに応じて、適切な徐冷速度を選択して、該適切な徐冷速度で合成石英ガラスの徐冷を行い、所望の複屈折値を有する合成石英ガラスの製造を行うことができる。その結果、徐冷時間の最適化が見込め、特に、徐冷時間が短すぎて徐冷が不十分となることを防ぐことができ、また、徐冷時間が長すぎてコストが増大することを防ぐことができる。
本発明に係る合成石英ガラスの製造方法の工程順序を示すフロー図である。 式(1)を求めるために用いた実験結果を示すグラフである。 本発明に係る合成石英ガラスの製造方法のアニール処理におけるアニールプログラムの一例を示すグラフである。 本発明に係る合成石英ガラスの製造方法のアニール処理におけるアニールプログラムの別の一例を示すグラフである。
本発明者は、上記課題を解決するため、実験及び検討を行った。その結果、徐冷を行う母材合成石英ガラスの表面積を体積で割った値であるS/V値と、徐冷後の合成石英ガラスの複屈折値と、徐冷速度の間に、特定の関係があることを見いだした。さらに、この相関関係に基づけば、アニール処理の前に、目標とする複屈折値と母材のS/V値とに基づいて適切な徐冷速度vを設定することができることを見いだし、本発明を完成させた。
以下、本発明に係る合成石英ガラスの熱処理方法を具体的に説明する。
本発明は、合成石英ガラスのアニール処理を含む合成石英ガラスの製造方法であり、下記の工程を含むアニール処理を行う。
・母材である合成石英ガラスを熱処理炉に投入する工程、
・前記熱処理炉内の温度を、前記合成石英ガラスの徐冷点以上である所定の保持温度まで昇温させる昇温工程、
・前記熱処理炉内の温度を前記保持温度で保持する第1の保持工程、
・前記第1の保持工程の後、前記熱処理炉内を加熱しながら、前記熱処理炉内の温度を徐々に低減し、所定温度まで冷却することにより、前記合成石英ガラスを徐冷する徐冷工程、
・前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出する工程。
本発明の合成石英ガラスの製造方法では、さらに、母材である合成石英ガラスの表面積をS[mm]とし、体積をV[mm]としたときのS/V[mm/mm]の値、及び、徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]に基づいて、徐冷工程において合成石英ガラスを徐冷する速度である徐冷速度v[℃/時間]を決定する工程を有する。さらに、この工程で決定した徐冷速度vで上記の徐冷工程を行う。
以上のような工程を有する合成石英ガラスの製造方法であれば、徐冷を行う合成石英ガラスの大きさに応じて、適切な徐冷速度を選択して、該適切な徐冷速度で合成石英ガラスの徐冷を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る合成石英ガラスの製造方法をより具体的に説明する。図1は、本発明に係る合成石英ガラスの製造方法の工程順序を示すフロー図である。
まず、図1の(a)に示したように、徐冷速度vを決定する工程を行う(工程a)。この工程では、徐冷処理を行う対象である、母材である合成石英ガラスのS/V値(表面積S[mm]を体積V[mm]で割った値であり、単位は[mm/mm]である。)、及び、徐冷後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]から、徐冷速度v(vの単位は「℃/時間」である。)を決定する。なお、以下、徐冷処理を行う対象である、母材である合成石英ガラスを、単に「母材」、「母材合成石英ガラス」とも表記することがある。
工程aにおいて、より具体的には、S/V[mm/mm]の値及び目標とする複屈折値Re[nm/cm]から、下記式(1)を満たすように徐冷速度v[℃/時間]を決定することができる。
v≦(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(1)
この式(1)の導き方は後述する。
このような式(1)を満たすように徐冷速度vを決定することにより、より適切な徐冷速度を設定して徐冷を行うことができる。すなわち、目標とする複屈折値を得るために必要な徐冷速度を決定することができるので、徐冷速度が速すぎて徐冷時間が不足することに起因して目標の複屈折値を満たさないということを防ぐことができる。一方、必要以上に徐冷速度を遅くして長時間の徐冷時間を選択することもなくなるという利点もある。尚、この徐冷速度の決定は、徐冷工程を行う前までに決定していればよい。
また、本発明では、式(1)及び下記式(2)のいずれも満たす範囲で、徐冷速度v[℃/時間]を決定することが好ましい。
v≧0.8×(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(2)
このような式(2)及び上記の式(1)のいずれも満たす範囲で徐冷速度vを決定することで、さらに適切な徐冷速度を設定して徐冷を行うことができる。徐冷後の合成石英ガラスにおいて複屈折値を小さくするという観点では、徐冷速度は遅い方がよいが、目標とする複屈折を得るために十分な時間だけ徐冷を行う場合には、式(2)により徐冷速度の下限を定めることが好ましい。
上記式(2)では、v≧0.8×(Re+390×S/V)/1.0としているが、この「0.8」という係数は、0.85以上とすることがより好ましく、0.9以上とすることが特に好ましい。徐冷速度vを、式(1)を満たす範囲で大きくする(すなわち、式(1)と式(2)をともに満たすようにする)ことにより、目標とする複屈折値を得るために十分な速度で徐冷を行うことができるとともに、必要以上の長時間で徐冷をしないようにすることができる。その結果、アニール処理に必要な投入エネルギーを小さくすることができ、目標とする複屈折値を得るための製造コストを低減することができる。また、徐冷時間を短くできるので生産性を向上させることもできる。
本発明の方法では、母材である合成石英ガラスの形状を円柱形状又は円板形状とすることができる。この場合、徐冷後の合成石英ガラスの形状も円柱形状又は円板形状となる。本発明は、母材である合成石英ガラスの形状及び徐冷後の合成石英ガラスの形状が円柱形状又は円板形状である場合に特に好適に適用することができる。なお、「円板形状」とは、「円柱形状」と比べて、上面及び下面の大きさに対する厚みが薄いものを指すが、上面及び底面が円形状の立体形状という点で、実質的に同じ立体形状を指す。便宜上、上面及び下面の直径よりも厚みが薄い立体形状を「円板形状」、厚みが上面及び下面の直径以上である立体形状を「円柱形状」ということもできるが、これに限定されることはない。
工程aで徐冷速度を決定した後、図1(b)に示したように、母材である合成石英ガラスを熱処理炉に投入(搬入)する(工程b、投入工程)。投入時の熱処理炉内の温度は常温であってもよいし、予め多少加熱された状態等の常温以外の温度であってもよい。
工程bの投入工程の後、図1(c)に示したように、熱処理炉内の温度を、合成石英ガラスの徐冷点以上である所定の保持温度(t[℃]とする。)まで昇温させる(工程c、昇温工程)。この工程cでは、合成石英ガラスの温度も追随して上昇する。
次に、図1(d)に示したように、熱処理炉内の温度を所定の保持温度で保持する(工程d、第1の保持工程)。なお、このときの保持温度tは完全に一定でなくてもよく、合成石英ガラスの歪除去のための熱処理において行われる通常の範囲内で変動させてもよい。この工程dでは、合成石英ガラスの温度も、保持温度tまで上昇した後、温度tで保持される。
次に、第1の保持工程(工程d)の後、図1(e)に示したように、熱処理炉内を加熱しながら、熱処理炉内の温度を徐々に低減し、所定温度(t[℃]とする。)まで冷却することにより、合成石英ガラスを徐冷する(工程e、徐冷工程)。本発明では、この工程eにおいて、工程aで決定した徐冷速度vで徐冷を行う。第1の保持工程(工程d)における保持温度tは、徐冷の開始温度でもあり、徐冷工程では、温度tから温度tまで徐冷を行う。tおよびtは母材石英ガラスの徐冷点および歪点に応じて選択できる。
この工程eでは、ヒーターパワーを減少させるなどして、徐々に熱処理炉内の温度を低減する。徐冷工程における温度の低減は、通常、一定の勾配で行われる。ただし、これに限定されず、徐冷工程では、熱処理炉内を加熱する状態、すなわち、熱処理炉のヒーターから熱エネルギーが与えられている状態で、熱処理炉内の温度を徐々に低減すればよい。このとき、熱処理炉内の温度とともに合成石英ガラスの温度も徐々に低減する。徐冷を終える温度は、歪点以下としてもよいし、歪点よりも高い温度であってもよい。
徐冷工程(工程e)の後は、放冷(工程g)を行い、図1(h)に示したように、徐冷を行った合成石英ガラスを熱処理炉から搬出する工程(工程h、搬出工程)を行ってもよい。ただし、徐冷工程の後、搬出工程を行う前に、任意の工程として、図1(f)に示したように、第2の保持工程(工程f)を行ってもよく、図1(g)に示したように、放冷工程を行ってもよい(工程g)。放冷工程(工程g)では、熱処理炉内の加熱を停止して熱処理炉内の温度を低下させる。より具体的には、ヒーターから熱処理炉内に与えられる熱エネルギーの供給が停止される。放冷を行い、搬出可能な温度まで温度が低下した後、徐冷を行った合成石英ガラスを熱処理炉から搬出することができる。
本発明に係る合成石英ガラスの製造方法のアニール処理におけるアニールプログラムの具体例の1つとして、図3を示した。これは上記第2の保持工程を有さず、徐冷工程(工程e)の後、放冷工程(g)を行い、その後熱処理炉内から徐冷後の合成石英ガラスを搬出する場合のアニールプログラムである。このアニールプログラムの場合、昇温工程、第1の保持工程、徐冷工程、放冷工程を経る。図3には、徐冷速度vも示している。本発明において事前に決定する徐冷速度vとは、徐冷工程の温度勾配である。
また、本発明に係る合成石英ガラスの製造方法のアニール処理におけるアニールプログラムの別の具体例を、図4を示した。図4では、徐冷工程(工程e)の後に、該徐冷工程(工程e)の終了する温度(t)で保持する第2の保持工程(工程f)を有し、第2の保持工程の後に、放冷工程(工程g)を有し、該放冷工程の後、徐冷を行った合成石英ガラスを熱処理炉から搬出する(工程h)。この場合も、徐冷速度vとは、図4に示したように、徐冷工程の温度勾配である。なお、第2の保持工程における保持温度(t)も、第1の保持工程における保持温度tと同様に、完全に一定でなくてもよく、通常行われる範囲内で変動させてもよい。このとき、合成石英ガラスの温度も、保持温度tまで下降した後、温度tで保持される。
図3のアニールプログラムは、比較的小さなガラスを短時間で処理できるという利点を有し、図4のアニールプログラムは、比較的大きなガラスの均熱をより効果的に行い複屈折値を制御しやすくなるという利点を有する。
この一連のアニール処理(工程b〜工程h)において、合成石英ガラスの周囲に保温材を用いないことが好ましい。保温材を用いないことで、昇温時間及び徐冷処理時間を短くすることができるためである。ただし、必要に応じて、保温材を用いることもできる。
本発明では、アニール処理する対象である、母材合成石英ガラスを、S/Vの値が0.012mm/mm以上0.4mm/mm以下のものとすることが好ましい。このようなS/V値の合成石英ガラスを母材として用いる場合に、本発明を好適に適用することができる。本発明を好適に適用することができる範囲として、母材合成石英ガラスのS/Vの値の下限が、0.018mm/mm以上であることがより好ましく、0.025mm/mm以上であることが特に好ましい。また、このS/Vの値の上限は、大きいほど好ましい。
なお、本発明では、母材合成石英ガラスは、種々の方法で製造された合成石英ガラスとすることができる。例えば、直接法で製造された合成石英ガラス又はVAD法で製造された合成石英ガラスに対してアニール処理を行う場合に本発明を適用することができる。
また、徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]を、1.0nm/cm以上10.0nm/cm以下とすることが好ましい。この範囲の複屈折値を目標とする場合に、本発明を好適に適用することができる。
また、本発明の合成石英ガラスの製造方法では、第1の保持工程(工程d)における保持温度を1040℃以上1300℃以下の範囲内とするとともに、徐冷工程(工程e)において、第1の保持工程における保持温度から、第1の保持工程における保持温度よりも低くかつ950℃以上1160℃以下の範囲内の温度まで徐冷することが好ましい。このような温度で第1の保持工程及び徐冷工程を行うことにより、適切な条件で徐冷を行うことができる。
以下では、上記式(1)の導出について説明する。複数の母材合成石英ガラスのサイズとアニール処理後の複屈折値を測定しグラフにプロットした。具体的には以下の通りである。
まず、円柱形状又は円板形状の、母材である合成石英ガラスを準備した。ここで、母材合成石英ガラスは、表1に示したように様々な直径及び厚みを有する物を準備した。直径及び厚みから表面積及び体積を計算することができ、S/V値も計算することができる。このS/V値も表1に示した。
次に、この母材合成石英ガラスにアニール処理を行い、徐冷を経た合成石英ガラスを得た。すべて同じアニールプログラムで処理したのち複屈折値を測定した。具体的には、以下のような工程を経た。まず、母材合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した後、第1の保持温度1200℃まで上昇させたのち1時間保持した。その後、第2の保持温度1030℃まで11時間かけて徐冷し、第2の保持温度で2時間保持した。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した。得られた合成石英ガラスにおける最大複屈折値を表1に示した。また、得られた合成石英ガラスにおける最大複屈折値を縦軸に、母材合成石英ガラスのS/V値を横軸にとってプロットし、図2に示した。図2中の斜線は、プロットしたデータの回帰直線であり、傾きは約−390である。複屈折値5.0nm/cm以下を合格とした。
Figure 2018184312
得られた複屈折値Reと母材のS/V値は、図2に示すように比例しており、更にグラフの切片が、アニールプログラムの徐冷速度(15.5℃/時間)に反比例するとしてReとS/Vとvの関係式を求めた。これにより、下記式(1)が得られる。
v≦(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(1)
また、別の温度プログラムでも、同じ結果が得られた。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
直径320mm、厚さ130mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.028mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、5.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦15.9[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を15.5℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度(第1の保持工程における保持温度t)である1200℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度(第2の保持工程における保持温度t)である1030℃まで11時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例2)
直径210mm、厚さ200mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.029mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、5.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦16.3[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を15.5℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1200℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度1030℃まで11時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例3)
直径180mm、厚さ270mmの円柱形状の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.030mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、5.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦16.6[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を15.5℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1200℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度1030℃まで11時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例4)
直径240mm、厚さ225mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.026mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、5.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦15.0[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を14.2℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1200℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度1030℃まで12時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例5)
直径240mm、厚さ225mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.026mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、2.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を徐冷速度vを計算すると、v≦12.0[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を12.0℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1250℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度1070℃まで15時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例6)
直径240mm、厚さ225mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.026mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、10.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦20.0[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を18.9℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1150℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度980℃まで9時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例7)
直径300mm、厚さ150mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.027mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図4で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、10.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦20.4[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を19.2℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1250℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度1020℃まで12時間かけて徐冷し(工程e)、第2の保持温度で2時間保持した(工程f)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(実施例8)
直径150mm、厚さ250mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラス(母材である合成石英ガラス)を準備した。この母材合成石英ガラスのS/V値は0.035mm/mmである。この母材合成石英ガラスに図1及び図3で示したアニール処理を行い、徐冷後の合成石英ガラスを得ることとした。徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Reを、2.0nm/cm以下とした。上記S/V値及び複屈折値から、式(1)を用いて徐冷速度vを計算すると、v≦15.5[℃/時間]となった(工程a)。このことから、実際の徐冷速度を14.2℃/時間と決定した。これは式(2)も満たしている。この合成石英ガラスを、常温の電気炉内に投入した(工程b)。投入後、第1の保持温度1200℃まで上昇させた(工程c)のち1時間保持した(工程d)。その後、第2の保持温度1030℃まで12時間かけて徐冷した(工程e)。その後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行い(工程g)、熱処理炉内から合成石英ガラスを搬出した(工程h)。すなわち、この実施例8では、第2の保持工程(工程f)を行っていない。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たしていることがわかる。
(比較例1)
直径240mm、厚さ225mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラスを常温の電気炉内で第1の保持温度1200℃まで上昇させたのち1時間保持し、第2の保持温度1030℃まで10時間かけて徐冷し、第2の保持温度で2時間保持した後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行った。すなわち、このときの徐冷速度は、17.0[℃/時間]である。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。このアニール処理により目標とした複屈折値は5.0nm/cm以下であったが、徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たせていなかったことがわかる。式(1)に基づいて計算すると、この直径240mm、厚さ225mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラスの徐冷において必要な徐冷速度vは、v≦15.0[℃/時間]である。実際の徐冷速度はこの範囲を満たしていなかった。
(比較例2)
直径320mm、厚さ220mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラスを常温の電気炉内で第1の保持温度1200℃まで上昇させたのち1時間保持し、第2の保持温度1030℃まで12時間かけて徐冷し、第2の保持温度で2時間保持した後、ヒーターをOFFにして室温まで自然放冷を行った。すなわち、このときの徐冷速度は、14.2[℃/時間]である。取り出したガラスの複屈折値を複屈折測定装置で測定した。結果を表2に示す。このアニール処理により目標とした複屈折値は5.0nm/cm以下であったが、徐冷後の合成石英ガラスにおける複屈折値は、目標とした複屈折値を満たせていなかったことがわかる。式(1)に基づいて計算すると、この直径320mm、厚さ220mmの円柱形状(円板形状)の合成石英ガラスの徐冷において必要な徐冷速度vは、v≦13.4[℃/時間]である。実際の徐冷速度はこの範囲を満たしていなかった。
Figure 2018184312
表2で示されているように、実施例1〜8では、必要最小限の徐冷時間で目標とした複屈折値を満たしている合成石英ガラスが得られた。一方、比較例1、2では、徐冷時間が足りず、目標とする複屈折値を満たしている合成石英ガラスを得ることができなかった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (10)

  1. 合成石英ガラスのアニール処理を含む合成石英ガラスの製造方法であって、
    前記アニール処理を、
    母材である合成石英ガラスを熱処理炉に投入する工程と、
    前記熱処理炉内の温度を、前記合成石英ガラスの徐冷点以上である所定の保持温度まで昇温させる昇温工程と、
    前記熱処理炉内の温度を前記保持温度で保持する第1の保持工程と、
    前記第1の保持工程の後、前記熱処理炉内を加熱しながら、前記熱処理炉内の温度を徐々に低減し、所定温度まで冷却することにより、前記合成石英ガラスを徐冷する徐冷工程と、
    前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出する工程と
    を含むものとし、
    前記母材である合成石英ガラスの表面積をS[mm]とし、体積をV[mm]としたときのS/V[mm/mm]の値、及び、前記徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]に基づいて、前記徐冷工程において前記合成石英ガラスを徐冷する速度である徐冷速度v[℃/時間]を決定する工程を有し、該決定した徐冷速度vで前記徐冷工程を行うことを特徴とする合成石英ガラスの製造方法。
  2. 前記徐冷速度v[℃/時間]を決定する工程において、
    前記S/V[mm/mm]の値及び前記目標とする複屈折値Re[nm/cm]から、下記式(1)
    v≦(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(1)
    を満たすように前記徐冷速度vを決定することを特徴とする請求項1に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  3. 請求項2に記載の合成石英ガラスの製造方法において、
    前記式(1)及び下記式(2)
    v≧0.8×(Re+390×S/V)/1.0 ・・・(2)
    のいずれも満たす範囲で前記徐冷速度vを決定することを特徴とする合成石英ガラスの製造方法。
  4. 前記アニール処理において、前記合成石英ガラスの周囲に保温材を用いないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  5. 前記母材である合成石英ガラスの形状を円柱形状又は円板形状とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  6. 前記母材である合成石英ガラスを、前記S/Vの値が0.012mm/mm以上0.4mm/mm以下のものとすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  7. 前記徐冷を行った後の合成石英ガラスにおいて目標とする複屈折値Re[nm/cm]を、1.0nm/cm以上10.0nm/cm以下とすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  8. 前記第1の保持工程における保持温度を1040℃以上1300℃以下の範囲内とし、
    前記徐冷工程において、前記第1の保持工程における保持温度から、前記第1の保持工程における保持温度よりも低くかつ950℃以上1160℃以下の範囲内の温度まで徐冷することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  9. 前記徐冷工程の後に、前記熱処理炉内の加熱を停止して前記熱処理炉内の温度を低下させる放冷工程を有し、該放冷工程の後、前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
  10. 前記徐冷工程の後に、該徐冷工程の終了する温度で保持する第2の保持工程を有し、前記第2の保持工程の後に、前記熱処理炉内の加熱を停止して前記熱処理炉内の温度を低下させる放冷工程を有し、該放冷工程の後、前記徐冷を行った合成石英ガラスを前記熱処理炉から搬出することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の合成石英ガラスの製造方法。
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