JP6340390B2 - 光ファイバの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバの製造方法に関する。
光ファイバ通信システムにおいて光伝送距離の長距離化や光伝送速度の高速化を図るためには、光信号ノイズ比が高められなければない。そのため、光ファイバの伝送損失の低減が求められている。光ファイバの製造方法が高度に洗練されている現在では、光ファイバに含まれる不純物による伝送損失はほぼ限界まで低下していると考えられている。残る伝送損失の主な原因は、光ファイバを構成するガラスの構造や組成の揺らぎに伴う散乱損失である。これは光ファイバがガラスで構成されているが故に不可避なものである。
ガラスの構造の揺らぎを低減する方法としては、溶融したガラスを冷却する際に緩やかに冷却することが知られている。このように溶融したガラスを緩やかに冷却する方法として、線引炉から線引きされた直後の光ファイバを徐冷することが試みられている。具体的には、線引炉から線引きした光ファイバを徐冷炉で加熱したり、線引きした直後の光ファイバを断熱材で囲んだりして、光ファイバの冷却速度を低下させることが検討されている。
下記特許文献1には、シリカガラスを主成分とするコア及びクラッドを有する光ファイバの外径が最終外径の500%より小さくなる位置から光ファイバの温度が1400℃になる位置までのうちの70%以上の領域において、漸化式で求められる目標温度に対して±100℃以下となるように加熱炉(徐冷炉)の温度を設定することが開示されている。このように光ファイバの温度履歴が制御されることによって、光ファイバを構成するガラスの仮想温度が低下して伝送損失が低減されるとしている。ここで仮想温度とは、ガラスの揺らぎの指標であり、溶融したガラスが冷却して流動性がなくなり実質的に固化したとみなせる温度におおむね対応しており、ガラスの実温度を下回ることはない。仮想温度がより低いということは、より熱揺らぎが小さいことを意味している。光ファイバの仮想温度は、徐冷を行わない通常の紡糸条件で作製した場合には1600℃よりも高い温度となる。
特開2014−62021号公報
しかし、上記特許文献1に開示されている技術では、漸化式で求められる理想的な温度変化に光ファイバの温度を合わせるために複雑な計算を繰り返すことが求められる。また、特許文献1に開示されている技術では、光ファイバの温度が漸化式で求められる目標温度に対して±50℃〜100℃もずれることを許容している。このような広い範囲で光ファイバの温度のずれが許容されると、温度履歴が十分に適正化されているとは言い難い。例えば、徐冷される光ファイバの温度が±100℃の範囲で変化し、光ファイバを構成するガラスの仮想温度も同様の範囲で変化し、漸化式で求められる目標温度で到達できる仮想温度よりも100℃高い仮想温度の光ファイバしか得られなかったとすると、得られる光ファイバの光散乱による伝送損失は0.007dB/km程度も増加することになる。このような光ファイバの温度履歴が十分に適正化されていない従来の製造方法では、徐冷炉を必要以上に長くする過剰な設備投資が行われたり、線引速度を必要以上に低下させて生産性が損なわれたりする。
本発明者は、徐冷条件を適切に設定することによって光ファイバを構成するガラスの仮想温度が低下されやすくなり、光ファイバのコアを構成するガラスの構造緩和が促進され、光ファイバの光散乱による伝送損失が低減され易くなることを見出した。
そこで、本発明は、光ファイバの伝送損失を低減させることが容易な光ファイバの製造方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、本発明の光ファイバの製造方法は、光ファイバ用母材を線引炉において線引きする線引工程と、前記線引工程において引き出された光ファイバを徐冷炉にて徐冷する徐冷工程と、を備え、前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が300℃以下であり、さらに好ましくは180℃以下であり、前記光ファイバの温度が1300℃以上1800℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.01秒以上徐冷されることを特徴とする。
本発明者らは、光ファイバの徐冷条件と光ファイバの伝送損失との関係について、以下のことを見出した。すなわち、光ファイバの温度が1300℃以上1800℃以下となるように当該光ファイバを0.01秒以上徐冷することによって、徐冷を開始するときの光ファイバの温度と光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が300℃以下であれば、コアを構成するガラスの構造緩和が促進されることを見出した。さらに好ましくは上記の温度差が180℃以下であれば、コアを構成するガラスの構造緩和がより促進されることを見出した。従って、徐冷を開始するときの光ファイバの温度と光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度とにある程度ばらつきがある場合であっても、コアを構成するガラスの構造緩和を促進させることができる。コアを構成するガラスの構造緩和が促進されることによって、コアに光が伝送される際にコアを構成するガラスの構造の揺らぎに起因する散乱損失が低減されるので、光ファイバの伝送損失が低減される。
また、前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が0℃以上60℃以下である場合、前記徐冷炉の設定温度が前記光ファイバの温度よりも低くされ、前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が60℃より高く300℃以下である場合、前記徐冷炉において前記光ファイバを一旦昇温させた後に降温させることが好ましい。
徐冷炉に入線するときの光ファイバの温度と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が0℃以上60℃以下である場合は、光ファイバを単調に降温させることによって、光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度を効率良く低下させることができる。一方、徐冷炉に入線するときの光ファイバの温度と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が60℃より高く300℃以下である場合は、光ファイバを一旦昇温させた後に降温させることによって、光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度を効率良く低下させることができる。
また、前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が60℃より高く180℃以下である場合、前記光ファイバが前記徐冷炉に入線してから0.001秒以上0.1秒以下の間に前記光ファイバを前記徐冷炉の設定温度と同じ温度まで昇温させた後に降温させることが好ましい。
徐冷炉に入線する光ファイバの温度が低い場合、上記のように光ファイバを短時間でも昇温させることによって、光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度を効率良く低下させることができる。
また、前記光ファイバは、前記徐冷炉において0.1秒以上徐冷されることが好ましい。
光ファイバが0.1秒以上徐冷されることによって、徐冷を開始するときの光ファイバの温度や光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度のばらつきによらずに、コアを構成するガラスの構造緩和がより促進され易くなる。
また、前記光ファイバの温度が1450℃以上1630℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.02秒以上徐冷されることが好ましく、前記光ファイバの温度が1350℃以上1500℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.1秒以上徐冷されることがより好ましい。
このように光ファイバが徐冷されることによって、徐冷を開始するときの光ファイバの温度や光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度のばらつきによらずに、コアを構成するガラスの構造緩和がより促進され易くなる。
以上のように、本発明によれば、光ファイバの伝送損失を低減させることが容易な光ファイバの製造方法が提供される。
本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法の工程を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法に用いる装置の構成を概略的に示す図である。 ガラスの温度及び当該ガラスの仮想温度と徐冷時間との関係を示すグラフである。 ガラスの仮想温度とガラスの温度との温度差(T −T)と、ガラスの仮想温度の単位時間当たりの低下速度((T−T )/Δt)と、の関係を模式的に示すグラフである。 徐冷炉に入線するときの光ファイバの温度と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が0℃以上180℃以下の場合における光ファイバの温度の経時変化を示すグラフである。 徐冷炉に入線するときの光ファイバの温度と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が180℃以上300℃以下の場合における光ファイバの温度の経時変化を示すグラフである。 徐冷炉に入線するときの光ファイバの温度と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が0℃以上180℃以下の場合におけるコアを構成するガラスの仮想温度の経時変化を示すグラフである。 徐冷炉に入線するときの光ファイバの温度と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が180℃以上300℃以下の場合におけるコアを構成するガラスの仮想温度の経時変化を示すグラフである。 徐冷時間と構造緩和の時定数τの逆数(1/τ)との関係を示すグラフである。 徐冷開始時のガラスの仮想温度を1750℃から1600℃まで30℃刻みで変化させたときのガラスの仮想温度の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明に係る光ファイバの製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、一つの実施形態に係る本発明の光ファイバの製造方法の工程を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態の光ファイバの製造方法は、線引工程P1と予冷工程P2と徐冷工程P3と急冷工程P4とを備える。以下、これらの各工程について説明する。なお、図2は本実施形態の光ファイバの製造方法に用いる装置の構成を概略的に示す図である。
<線引工程P1>
線引工程P1は、線引炉110において光ファイバ用母材1Pの一端を線引きする工程である。まず、所望の光ファイバ1を構成するコア及びクラッドと同じ屈折率分布を持つガラスで構成される光ファイバ用母材1Pを準備する。光ファイバ1は、1つ又は複数のコア及びコアの外周面を隙間なく囲むクラッドを有する。また、コア及びクラッドはそれぞれシリカガラスからなり、コアの屈折率はクラッドの屈折率よりも高くされる。例えば、コアが屈折率を高くするゲルマニウム等のドーパントが添加されたシリカガラスから成る場合、クラッドは純粋なシリカガラスで構成される。また、例えば、コアが純粋なシリカガラスから成る場合、クラッドは屈折率を低くするフッ素等のドーパントが添加されたシリカガラスで構成される。
次に、光ファイバ用母材1Pを長手方向が垂直となるように懸架する。そして、光ファイバ用母材1Pを線引炉110に配置し、加熱部111を発熱させて光ファイバ用母材1Pの下端部を加熱する。このとき光ファイバ用母材1Pの下端部は、例えば2000℃に加熱されて溶融状態となる。そして、加熱された光ファイバ用母材1Pの下端部から溶融したガラスを所定の線引速度で線引炉110から引き出す。
<予冷工程P2>
予冷工程P2は、線引工程P1で線引炉110から引き出された光ファイバが後述する徐冷炉121へ送られるのに適した所定の温度になるように冷却する工程である。
本実施形態の光ファイバの製造方法において、予冷工程P2は線引炉110の直下に設けられた筒状体120の中空部に線引工程P1で線引きされた光ファイバが通されることによって行われる。線引炉110の直下に筒状体120を設けることによって、筒状体120の中空部内の雰囲気は線引炉110内の雰囲気とほぼ同じになる。そのため、線引きされた直後の光ファイバの周囲の雰囲気や温度が急激に変化することが抑制される。
徐冷炉121へ送られる光ファイバの温度は、主に線引速度と線引炉110内の雰囲気によって決められる。予冷工程P2を備えることによって、光ファイバの冷却速度を更に微調整し、徐冷炉121への光ファイバの入線温度を適切な範囲に調整し易くなる。線引炉110から引き出される光ファイバの温度と徐冷炉121へ送られるのに適した光ファイバの温度とに基づいて、徐冷炉121と線引炉110との距離や筒状体120の長さを適宜選択することができる。筒状体120は、例えば金属管等によって構成される。当該金属管が空冷されたり、当該金属管の周囲に断熱材が配置されたりして、光ファイバの冷却速度が調整されても良い。
<徐冷工程P3>
徐冷工程P3は、線引工程P1において引き出された光ファイバを徐冷炉にて徐冷する工程である。本実施形態の光ファイバの製造方法では、光ファイバは予冷工程P2を経て温度調整され、徐冷工程P3において徐冷される。本実施形態の徐冷工程P3では、光ファイバは複数の徐冷炉121a,121b,121c,121dに通される。以下の説明では、これら全ての徐冷炉を包括する場合や各徐冷炉を区別する必要がない場合は単に「徐冷炉121」という場合がある。なお、図2には、4つの徐冷炉121a,121b,121c,121dを示しているが、本発明において徐冷炉の数は特に限定されない。ただし、徐冷炉は複数備えられることが好ましい。徐冷炉が複数備えられるというのは、互いに異なる温度に設定することできる発熱部が複数備えられるという意味である。例えば、1つの筐体内に収められているとしても、互いに異なる温度に設定することができる発熱部が複数備えられていれば、徐冷炉が複数備えられるといえる。
徐冷炉121内は入線する光ファイバの温度とは異なる所定の温度とされており、徐冷炉121に入線する光ファイバは、周囲の温度により、温度が一時的に高められたり冷却速度が低下させられたりする。本実施形態の光ファイバの製造方法によれば、以下に説明するように、徐冷工程P3における光ファイバの徐冷条件が適切に設定されることによって、光ファイバのコアを構成するガラスの構造緩和が促進される。その結果、伝送損失が低減された光ファイバ1を得ることができる。また、本実施形態の光ファイバの製造方法によれば、上述した引用文献1に開示された技術のような複雑な計算を製造時に必要としない。
いわゆるストロングガラスに分類されるシリカガラスでは、ガラスの粘性流動によると考えられる構造緩和の時定数τ(T)はArrheniusの式に従う。そのため、時定数τ(T)はガラスの組成によって決まる定数A及び活性化エネルギーEactを用いて、ガラスの温度Tの関数として下記式(1)のように表される。なお、kはBoltzmann定数である。
1/τ(T)=A・exp(−Eact/k) ・・・(1)
(ここでは、Tはガラスの絶対温度である。)
上記式(1)より、ガラスの温度が高いほどガラスの構造が速く緩和し、その温度における平衡状態に速く達することがわかる。すなわち、ガラスの温度が高いほどガラスの仮想温度がガラスの温度に近づくのが速くなる。
ガラスを徐冷するときのガラスの温度及び当該ガラスの仮想温度と時間との関係を図3に示す。図3に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸は温度を示している。図3において、実線はある徐冷条件でのガラスの温度推移を示しており、破線はそのときのガラスの仮想温度の推移を示している。また、点線は実線で示す徐冷条件よりも冷却速度を緩やかにした場合のガラスの温度推移を示しており、一点鎖線はそのときのガラスの仮想温度の推移を示している。
図3に実線及び破線で示すように、高温域でガラスの温度が時間の経過と共に低下するときはガラスの仮想温度も同様に低下する。このようにガラスの温度が十分に高い状態では、ガラスの構造緩和の速度が非常に速い。しかし、ガラスの温度が低下するにつれてガラスの構造緩和の速度は遅くなる。やがてガラスの仮想温度の低下はガラスの温度の低下に追従できなくなる。そして、ガラスの温度とガラスの仮想温度との温度差が大きくなる。ここで、ガラスの冷却速度を緩やかにすると、冷却速度が速い場合に比べてガラスは相対的に温度の高い状態に長時間保持されることになる。そのため、図3に点線及び一点鎖線で示すように、ガラスの温度とガラスの仮想温度との温度差は小さくなり、ガラスの仮想温度は先に説明した例よりも低くなる。すなわち、ガラスの冷却速度を緩やかにすると、ガラスの構造緩和が促進されやすくなる。
上記のように、ガラスの温度が高いときはガラスの構造が速く緩和する。ただし、ガラスの仮想温度はガラスの温度よりも低くなることはないので、ガラスの温度が高いときはそのガラスの仮想温度も高いままとなる。すなわち、ガラスの温度が高すぎると徐冷することによる効果が少ない。一方、ガラスの温度が低い場合は仮想温度がより低い温度まで低下するが、仮想温度の低下速度は遅くなる。すなわち、ガラスの温度が低すぎると仮想温度を十分に低下させるための徐冷に時間を要する。
次に、ガラスの温度とガラスの仮想温度との関係から、光ファイバをどのように徐冷することによって当該光ファイバのコアを構成するガラスの構造緩和を促進し、光ファイバの伝送損失を低減できるのか説明する。なお、以下の説明において、光ファイバの温度は径方向に一様であると仮定する。すなわち、光ファイバの温度とは、光ファイバに含まれるコアの温度と同じである。
光ファイバのコアを構成するガラスの構造緩和の時定数をτ(T)、徐冷工程P3におけるある時点での光ファイバの温度をT、当該ある時点でのコアを構成するガラスの仮想温度をT としたとき、当該ある時点から時間Δt経過後のコアを構成するガラスの仮想温度Tは、上記式(1)から下記式(2)のように表される。なお、Δtは微小時間であって、その間のTは一定であると仮定している。
−T=(T −T)exp(−Δt/τ(T)) ・・・(2)
上記式(2)によれば、Δt経過後のコアを構成するガラスの仮想温度Tが構造緩和の時定数τ(T)に依存することがわかる。また、Δt経過後のコアを構成するガラスの仮想温度Tと光ファイバの温度Tとの温度差(T−T)が、Δt経過前のある時点におけるコアを構成するガラスの仮想温度T と光ファイバの温度Tとの温度差(T −T)に依存することもわかる。構造緩和の時定数τ(T)は、仮想温度がT であるガラスの温度がTであるときに、ガラスの仮想温度Tとガラスの温度Tとの温度差(T−T)が1/eになるまでの時間として定義されており、温度差(T −T)がある程度大きいほど単位時間当たりの仮想温度Tの変化が大きくなる。
仮想温度がT であるガラスで構成されるコアを含む光ファイバの温度をTにしたときの温度差(T −T)と、仮想温度Tの単位時間当たりの変化((T−T )/Δt)と、の関係を図4に模式的に示す。図4に示すように、コアを構成するガラスの仮想温度T と光ファイバの温度Tとが一致している条件(T =T)では、コアを構成するガラスの構造緩和は起こらず、仮想温度の単位時間当たりの変化は0である((T−T )/Δt=0)。ここから光ファイバの温度Tを低下させ、コアを構成するガラスの仮想温度T と光ファイバの温度Tとの温度差ΔTが大きくなる条件を考えると、コアを構成するガラスの構造緩和の時定数τ(T)は大きくなるものの単位時間当たりの仮想温度Tの変化率((T−T )/Δt)は負に大きくなる。しかし、さらに光ファイバの温度Tを低下させてコアを構成するガラスの仮想温度T と光ファイバの温度Tとの温度差(T −T)がさらに大きくなる条件を考えると、今度は次第にコアを構成するガラスの構造緩和の時定数τ(T)が大きくなるとともに単位時間当たりの仮想温度Tの変化((T−T )/Δt)の絶対値が小さくなる。すなわち、図4のグラフに表れている下向きのピークのように、コアを構成するガラスの仮想温度T と光ファイバの温度Tとの温度差(T −T)がある値のときに仮想温度の単位時間当たりの変化((T−T )/Δt)が極小値をとることがわかる。
ここで上記式(2)を解くと、ガラスの仮想温度Tの低下速度が最大になるときのガラスの温度Tと仮想温度Tとの間に下記式(3)の関係が成り立つことがわかる。
+(Eact/k)×T−(Eact/k)×T=0 ・・・(3)
さらに上記式(3)を下記式(4)のようにTについて解くと、ガラスの仮想温度Tを最も効率良く低下させることができるときのガラスの温度Tを求めることができる。
Figure 0006340390
これまでに説明したように、ある時点におけるガラスの仮想温度T とガラスの温度Tとの温度差(T −T)が所定の値のときにガラスの仮想温度Tの単位時間当たりの変化が最も大きくなる。すなわち、仮想温度T のガラスの一定時間Δt経過後の仮想温度Tを考えるとき、仮想温度Tを最低値にすることができるガラスの温度Tが存在することになる。そして、ガラスの仮想温度Tの単位時間当たりの変化が最も大きくなるときの温度差(T −T)は60℃程度である。
次に、徐冷炉121に入線するとき(t=0[秒])の光ファイバの温度をT 、そのときの光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度をT 、T とT との温度差(T −T )をΔTとし、徐冷紡糸を行わない通常の紡糸条件の場合のシリカガラスの仮想温度が1600℃よりも高いことから、1600℃を下回らない範囲で、かつT が低下するにしたがってT との差ΔTが大きくなるよう、下記表1のような初期条件を設定した。また、これらの初期条件における光ファイバの温度Tの経時変化を以下に説明するようにして求めて図5および図6に示し、コアを構成するガラスの仮想温度Tの経時変化を以下に説明するように求めて図7および図8に示す。
Figure 0006340390
表1に示す初期条件(t=0[秒]のとき)の光ファイバの温度T と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度T とから、0.0005秒後(Δt=0.0005[秒])に到達可能なコアを構成するガラスの仮想温度Tは、上記式(2)にから求められる。次に、その仮想温度Tを最も効率良く低下させることができる理想的な光ファイバの温度Tは、上記式(4)から求められる。Δt=0.0005[秒]として順次式(2)及び式(4)を解くことで、光ファイバの温度Tとコアを構成するガラスの仮想温度Tとの経時変化を求めることができる。なお、式(2)及び式(4)を解くために必要な上記式(1)及び式(3)における定数A及び活性化エネルギーEactは、非特許文献1(K. Saito, et al., Journal of the American Ceramic Society, Vol.89, pp.65-69 (2006))に記載されている値を用いた。
しかし、実際の徐冷では、光ファイバの温度Tが上記計算によって求められる理想的な温度変化に追従できない可能性がある。従って、Δtの間における光ファイバの温度変化の上限値を設定した。当該上限値は、下記式(5)から求められる温度差(T −T)により求められる。式(5)においてΔt=0.0005[秒]とするときの温度差(T −T)を光ファイバの温度変化の上限値とすることによって、光ファイバの温度Tとして実現可能な条件を設定することができる。ここで、温度T の光ファイバのΔt経過後の温度Tは、温度Tの徐冷炉121からの放射と伝導により加熱されることとし、徐冷炉121内の雰囲気ガスからの放射を無視し、且つ、光ファイバの径方向での温度が一様であると仮定している。
Figure 0006340390
上記式(5)において、σはシュテファン=ボルツマン定数、εは光ファイバを構成するシリカガラスの放射率(0.95)、hは対流伝熱係数、Cpは光ファイバを構成するシリカガラスの熱容量、ρは光ファイバを構成するシリカガラスの密度、dは光ファイバの直径である。
以上のようにして求められる図5から図8に示す結果から以下のことがわかる。まず、図7および図8に示すように、いずれの初期条件であっても、コアを構成するガラスの仮想温度Tを単調に減少させることができる徐冷条件を得られることがわかる。また、図7から、徐冷開始時の温度差ΔTが0℃から180℃までの条件では、徐冷開始時の仮想温度T が低い程、徐冷により到達できる仮想温度Tを低くできることがわかる。一方図8から、徐冷開始時の仮想温度T が1600℃と同じで徐冷開始時の温度差ΔTが180℃を超える条件では、ΔTが大きくなるにつれて仮想温度Tの低下が顕著になり始めるまでの誘導期間が長くなるような変化を示し、徐冷により到達できる仮想温度Tが高くなることがわかる。
また、徐冷開始時の温度差ΔTが0℃から60℃までの条件では、図5に示すように、光ファイバの温度Tが単調に低下する場合にコアを構成するガラスの仮想温度Tが最も効率良く低下する。したがって、徐冷炉121に入線するときの光ファイバの温度T と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが0℃以上60℃以下である場合、徐冷炉121の設定温度は光ファイバの温度よりも常に低くされることが好ましい。
一方、徐冷開始時の温度差ΔTが60℃を超えた条件では、図5および図6に示すように、徐冷炉に入線した直後に光ファイバの温度Tが上昇してその後単調に減少するという条件で、仮想温度Tが最も効率良く低下し、温度差ΔTが大きくなるに従って温度上昇に要する時間が長くなる。特に図6に示すように、ΔTが180℃を超えた条件では、温度上昇に必要な時間が長くなるだけでなく、Tが到達する極大温度が、同じ経過時間におけるよりΔTが低い条件でのTと比べて高くなっていることがわかる。したがって、徐冷炉121に入線するときの光ファイバの温度T と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが60℃より高い場合、徐冷炉121において光ファイバを一旦昇温させた後に降温させることが好ましい。徐冷炉121に入線するときの光ファイバの温度T と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが180℃を超える場合、徐冷炉121において光ファイバを一旦昇温させる時間が長く必要であるだけでなく、温度差ΔTが60℃の場合とほぼ同程度の仮想温度まで低下させるのにより長い時間が必要になる。一方、温度差ΔTが60℃より高く180℃以下である場合、徐冷炉121において光ファイバを一旦昇温させた後に降温させることにより、温度差ΔTが60℃の場合とほぼ同程度の仮想温度まで同じ時間で低下させることができるため好ましい。このように徐冷炉121において光ファイバを再加熱する場合、上記式(5)において徐冷炉121の温度Tを光ファイバの徐冷開始時の温度T より100℃高く設定したと仮定して計算した。図5および図6に示すように、徐冷開始時の温度差ΔTが大きい程、光ファイバの再加熱に要する時間が長くなり、光ファイバの温度上昇幅が大きくなる。例えばΔT=180℃、T =1425℃、T =1605℃の条件では、0.04秒程度の加熱で光ファイバの温度Tを1450℃程度まで上昇させることによって、温度差(T−T)が53℃程度まで小さくなり、それ以降は徐冷開始時の温度差ΔTが60℃以下の場合と同ように、仮想温度Tが単調且つ緩やかに低下する。ΔT=240℃、T =1360℃、T =1600℃の条件では、0.1秒程度の加熱で光ファイバの温度Tを1432℃程度まで上昇させることによって、温度差(T−T)が54℃程度まで小さくなるが、ΔT=60℃における0.1秒経過後の光ファイバの温度T=1422℃より10℃高い温度まで過剰に加熱する必要があり、仮想温度Tも10℃程度高くなる。
ΔTが大きい場合、すなわち、光ファイバの徐冷開始時の温度T が低い場合は、上記のように、徐冷炉121において光ファイバの温度を一旦高めることが好ましい。図6および図8からわかるように、このように光ファイバの温度を上昇させている間は仮想温度Tの低下量が小さく、徐冷開始から概ね0.01秒経過後に仮想温度Tの低下が顕著になり始める。なお、ΔTが大きい場合において徐冷初期でも仮想温度Tが低下していることをわかりやすくするため、ΔT=180℃(実線)および300℃(破線)の条件における徐冷時間と構造緩和の時定数τの逆数(1/τ)との関係を図9に示す。図9から、ΔT=180℃の場合、徐冷開始から0.01秒で構造緩和の時定数τは約0.06秒となり、徐冷開始から0.03秒で構造緩和の時定数τは約0.03秒と最も短くなる。ΔT=300℃の場合は、徐冷開始から0.01秒で構造緩和の時定数τは約0.75秒となり、徐冷開始から0.08秒で構造緩和の時定数τは約0.04秒と最も短くなることがわかる。したがって、ΔT=60℃を超える場合であっても、徐冷初期から仮想温度Tが低下していることがわかる。これらの結果から、徐冷炉121において光ファイバを一旦昇温させる場合、その加熱時間はΔT=180℃以下の場合0.01秒以上であることが好ましく0.04秒以下でもよいことがわかり、180℃を超える場合0.04秒以上であることが好ましく0.2秒以下でも良いことがわかる。したがって、徐冷炉121に入線するときの光ファイバの温度T と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが60℃より高く180℃以下である場合、光ファイバが徐冷炉121に入線してから0.01秒以上0.04秒以下の間に光ファイバを徐冷炉121の設定温度と同じ温度まで昇温させた後に降温させることが好ましい。徐冷炉121に入線するときの光ファイバの温度T と光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが180℃より高く300℃以下である場合、光ファイバが徐冷炉121に入線してから0.04秒以上0.2秒以下の間に光ファイバを徐冷炉121の設定温度と同じ温度まで昇温させた後に降温させることが好ましい。
次に、徐冷開始時の温度差ΔTを60℃で一定とし、徐冷開始時のガラスの仮想温度T を1750℃から1600℃まで30℃刻みで変化させたときのガラスの仮想温度Tの経時変化を図10に示す。図7に示す結果と同様に、徐冷開始時のガラスの仮想温度T が低い程、徐冷により到達できる仮想温度Tを低くできることがわかる。また、徐冷開始時の仮想温度T が1600℃以上の場合、徐冷開始から概ね0.1秒経過すると仮想温度Tの低下の傾向がほぼ一致することがわかる。
ここまでの説明では、無限段数で温度調整可能な理想的な徐冷炉を用いる場合を仮定して計算している。しかし、実際の光ファイバの製造装置では、有限複数個の徐冷炉の温度を設定することにより、光ファイバに階段状の温度変化が与えられる。従って、実際の徐冷工程P3における光ファイバの温度の経時変化は、理想的な温度変化から乖離し、上記計算結果で示される仮想温度Tまでは低下しないことが予想される。
しかし、図5から図8に示される結果からは以下のことがわかる。すなわち、徐冷開始時の光ファイバの温度T 、徐冷開始時のコアを構成するガラスの仮想温度T 、さらにこれらの温度差ΔTにある程度のばらつきがあったとしても、上記のように適切な温度で光ファイバが0.01秒以上徐冷されることによって、仮想温度Tの低下を促進させることができる。つまり、光ファイバのコアを構成するガラスの構造緩和を促進させることができる。より具体的には、光ファイバの温度Tが1300℃以上1800℃以下となるように当該光ファイバを0.01秒以上徐冷することによって、徐冷を開始するときの光ファイバの温度T と光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが300℃以下であれば、コアを構成するガラスの構造緩和が促進される。従って、徐冷を開始するときの光ファイバの温度T と光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度T とにある程度ばらつきがある場合であっても、コアを構成するガラスの構造緩和を促進させることができる。コアを構成するガラスの構造緩和が促進されることによって、コアに光が伝送される際にコアを構成するガラスの構造の揺らぎに起因する散乱損失が低減されるので、光ファイバの伝送損失が低減される。
また、徐冷を開始するときの光ファイバの温度T と光ファイバに含まれるコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTが180℃以下の場合、光ファイバが上記のように適切な温度で0.1秒以上徐冷されることによって、最適な徐冷条件と考えられる徐冷開始時の温度差ΔTが60℃程度である場合と比べて同等に、仮想温度Tを低下させられることが分かる。さらに、図10に示される結果から、光ファイバが0.1秒以上徐冷されることによって、徐冷開始時のガラスの仮想温度T が1600℃以上1750℃以下である場合は、徐冷開始時のガラスの仮想温度T によらず同程度に仮想温度Tを低下させられることがわかる。温度差ΔTが180℃を超える場合、光ファイバが上記のように適切な温度で0.1秒以上徐冷されることによって、仮想温度Tを低下させられるものの、最適な徐冷条件と考えられる徐冷開始時の温度差ΔTが60℃程度である場合と比べてやや高い仮想温度までしか低下できない。
以上のように、光ファイバが0.01秒以上徐冷されることによって、徐冷開始時の光ファイバの温度T とガラスの仮想温度T に関わらず、徐冷することによってコアを構成するガラスの構造緩和が促進される。また、光ファイバが0.1秒以上徐冷されることによって、徐冷開始時の光ファイバの温度T とガラスの仮想温度T とに関わらず、徐冷によって同程度にコアを構成するガラス構造緩和を促進することができる。なお、徐冷時間は、0.1秒以上であることがより好ましい。また、光ファイバは、1300℃以上1700℃以下となるように0.01秒以上徐冷されることが好ましく、1350℃以上1500℃以下となるように0.1秒以上徐冷されることがより好ましい。
なお、徐冷炉121に入線する光ファイバの温度T とコアを構成するガラスの仮想温度T との温度差ΔTは適切に調整されることが好ましいが、製造される光ファイバの品種、紡糸速度、光ファイバの張力などの条件によってそのための条件は異なる。例えば、線引炉110と徐冷炉121との配置を最適化するためには、いずれかを移動可能な形態とすることが好ましい。あるいは、本実施形態のように線引工程P1と徐冷工程P3との間に予冷工程P2を設けて徐冷炉121に入線する時の光ファイバの温度T とコアを構成するガラスの仮想温度T とを制御することが好ましい。
<急冷工程P4>
徐冷工程P3後、光ファイバは耐外傷性などを高めるために被覆層で覆われる。この被覆層は通常、紫外線硬化性樹脂で構成される。このような被覆層を形成するためには、被覆層の焼損などが起こらないようにするため、光ファイバが十分に低い温度に冷却されている必要がある。光ファイバの温度は塗布される樹脂の粘度に影響を与え、結果として被覆層の厚さに影響を与える。被覆層を形成する際の適切な光ファイバの温度は、被覆層を構成する樹脂の性質に応じて適宜決定される。
本実施形態の光ファイバの製造方法では、徐冷炉121により冷却速度が低下されているのみならず、線引炉110とコーティング装置131の間に徐冷炉121が設けられることによって、光ファイバを十分に冷却させるための区間が短くなる。特に本実施形態の光ファイバの製造方法では予冷工程P2も備えるため、光ファイバを十分に冷却させるための区間が更に短くなる。従って、本実施形態の光ファイバの製造方法では、徐冷炉121を出た光ファイバを冷却装置122によって急冷させる急冷工程P4を備える。急冷工程P4では、徐冷工程P3よりも急速に光ファイバが冷却される。このような急冷工程P4を備えることによって、短い区間で光ファイバの温度を十分に低下させることができるので、被覆層を形成し易くなる。冷却装置122を出るときの光ファイバの温度は、例えば40℃〜50℃となる。
上記のようにして冷却装置122を経て所定の温度まで冷却された光ファイバは、光ファイバを覆う被覆層となる紫外線硬化性樹脂が入ったコーティング装置131を通過し、この紫外線硬化性樹脂で被覆される。更に紫外線照射装置132を通過し、紫外線が照射されることで、紫外線硬化性樹脂が硬化して被覆層が形成され、光ファイバ1となる。なお、被覆層は通常は2層からなる。2層の被覆層を形成する場合、各層を構成する紫外線硬化性樹脂で光ファイバを被覆した後にそれらの紫外線硬化性樹脂を一度に硬化させて2層の被覆層を形成することができる。また、1層目の被覆層を形成した後に2層目の被覆層を形成しても良い。そして、光ファイバ1は、ターンプーリ141により方向が変換され、リール142により巻取られる。
以上、本発明について好適な実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の光ファイバの製造方法は、上述した線引工程P1及び徐冷工程P3を備えていれば良く、予冷工程P2や急冷工程P4は必須の構成要素ではない。また、本発明の光ファイバの製造方法はあらゆる種類の光ファイバの製造に適用可能である。例えば、本発明の光ファイバの製造方法は、シリカガラスを主成分とする光ファイバだけではなく、カルコゲナイドガラス、フッ素系ガラスなど、他の材料を主成分とする光ファイバの製造方法にも、上記式(1)における定数A、および活性化エネルギーEactが求められれば適用可能である。
本発明によれば、伝送損失が低減された光ファイバを製造可能な光ファイバの製造方法が提供され、光ファイバ通信の分野に利用することができる。また、ファイバレーザ装置やその他光ファイバを利用したデバイスに用いられる光ファイバの製造にも利用することができる。
1・・・光ファイバ
1P・・・光ファイバ用母材
110・・・線引炉
111・・・加熱部
120・・・筒状体
121・・・徐冷炉
122・・・冷却装置
131・・・コーティング装置
132・・・紫外線照射装置
141・・・ターンプーリ
142・・・リール
P1・・・線引工程
P2・・・予冷工程
P3・・・徐冷工程
P4・・・急冷工程

Claims (5)

  1. 光ファイバ用母材を線引炉において線引きする線引工程と、
    前記線引工程において引き出された光ファイバを徐冷炉にて徐冷する徐冷工程と、
    を備え、
    前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が300℃以下であり、
    前記光ファイバの温度が1300℃以上1800℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.01秒以上徐冷され
    前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が0℃以上60℃以下である場合、前記徐冷炉の設定温度が前記光ファイバの温度よりも低くされ、
    前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が60℃より高く300℃以下である場合、前記徐冷炉において前記光ファイバを一旦昇温させた後に降温させる
    ことを特徴とする光ファイバの製造方法。
  2. 光ファイバ用母材を線引炉において線引きする線引工程と、
    前記線引工程において引き出された光ファイバを徐冷炉にて徐冷する徐冷工程と、
    を備え、
    前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が300℃以下であり、
    前記光ファイバの温度が1300℃以上1800℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.01秒以上徐冷され
    前記徐冷炉に入線するときの前記光ファイバの温度と前記光ファイバのコアを構成するガラスの仮想温度との温度差が60℃より高く180℃以下である場合、前記光ファイバが前記徐冷炉に入線してから0.001秒以上0.1秒以下の間に前記光ファイバを前記徐冷炉の設定温度と同じ温度まで昇温させた後に降温させる
    ことを特徴とする光ファイバの製造方法。
  3. 前記光ファイバが前記徐冷炉において0.1秒以上徐冷される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記光ファイバの温度が1450℃以上1630℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.02秒以上徐冷される
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  5. 前記光ファイバの温度が1350℃以上1500℃以下となるように、前記光ファイバが前記徐冷炉において0.1秒以上徐冷される
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
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