JP2003176149A - 光ファイバ素線の製造方法および装置 - Google Patents

光ファイバ素線の製造方法および装置

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JP2003176149A
JP2003176149A JP2001374320A JP2001374320A JP2003176149A JP 2003176149 A JP2003176149 A JP 2003176149A JP 2001374320 A JP2001374320 A JP 2001374320A JP 2001374320 A JP2001374320 A JP 2001374320A JP 2003176149 A JP2003176149 A JP 2003176149A
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JP2001374320A
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Kenji Okada
健志 岡田
Munehisa Fujimaki
宗久 藤巻
Koichi Harada
光一 原田
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産効率を高くすることができ、かつ伝送損
失を低減することができる光ファイバ素線の製造方法お
よび装置を提供する。 【解決手段】 光ファイバ母材1を紡糸炉2で溶融紡糸
して得られた光ファイバ裸線3を冷却し、その上に被覆
層を形成する光ファイバ素線の製造方法であって、紡糸
炉2内の温度を、1000℃以上となる領域の光ファイ
バ引取り方向距離が50cm以上、1m以下となるよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ素線の
製造方法および装置に関し、特に波長1.55μmにお
ける伝送損失を低減することができる光ファイバ素線を
製造する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ファイバ素線は、次のような方
法によって製造されている。光ファイバ母材を、紡糸炉
で溶融紡糸して光ファイバ裸線とし、この光ファイバ裸
線を引取り(線引き)しつつ、その上に1次被覆層およ
び2次被覆層を形成し、光ファイバ素線を得る。近年で
は、生産効率を高めることを目的として、光ファイバ裸
線の線引きを高速で行うことが要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、線引き
を高速で行う場合には、波長1.55μmにおける光フ
ァイバ素線の伝送損失が悪化する問題がある。特開平1
0−218635号公報には、ガラスの粘度に基づいて
定められた温度領域から所定の冷却速度で光ファイバを
徐冷する熱処理工程を行うことによって、レーリ散乱損
失の低減を図ることができる製造方法が開示されてい
る。しかしながら、従来技術では、伝送損失を十分に低
減するのが難しい問題があった。本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、生産効率を高くすることがで
き、かつ伝送損失を低減することができる光ファイバ素
線の製造方法および装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】伝送損失が悪化する原因
としては、レーリ散乱を挙げることができる。レーリ散
乱損失αdは、屈折率をn、光弾性係数をp、ボルツマ
ン定数をk、仮想温度をTF、仮想温度TFにおける等温
圧縮率をβTとすると、波長λに対して、αd=8π3
3λ4・n82kTFβTと表される。一般に、レーリ散
乱は、密度揺らぎおよび濃度揺らぎによって生じる。密
度揺らぎおよび濃度揺らぎの支配的要因は、製造過程に
おける熱履歴である。レーリ散乱損失に影響するパラメ
ータのうち、最も熱履歴の影響を受けるものは仮想温度
Fである。ガラスは高温の液体構造が凍結されたもの
と考えられ、仮想温度TFは凍結された構造に対応する
温度である。従って、仮想温度TFは、紡糸時の光ファ
イバ温度に大きな影響を受けると考えられる。
【0005】本発明者は、紡糸時の光ファイバ温度と伝
送損失との関係について検討を加え、以下の知見を得
た。紡糸炉内の温度分布は、紡糸炉のヒータの長さや紡
糸炉の断熱構造などによって定められ、一般に、炉内温
度分布が狭いと炉内最高温度が高くなり、温度分布が広
いと炉内最高温度が低くなる。炉内温度分布が狭すぎる
場合には、得られる光ファイバ素線の伝送損失が悪化す
る。また温度分布が広すぎる場合には、光ファイバ母材
のネックダウン部が長くなりすぎるため、製造開始時の
条件設定が難しくなるとともに、製造終了時の光ファイ
バ母材の残留量(引き残り)が多くなる。
【0006】本発明は、この知見に基づいてなされたも
ので、本発明の光ファイバ素線の製造方法は、紡糸炉内
の温度を、1000℃以上となる領域の光ファイバ引取
り方向距離が50cm以上、1m以下となるようにする
ことを特徴とする。これによって、光ファイバの熱履歴
を最適化し、仮想温度TFを低く抑え、レーリ散乱を低
減し、レーリ散乱に起因する伝送損失を低減することが
できる。さらには、製造開始時の条件設定を容易にする
とともに、製造終了時の光ファイバ母材の残留量(引き
残り)を最小限に抑え、製造コスト低減を図ることがで
きる。
【0007】光ファイバ裸線を冷却するにあたっては、
光ファイバ裸線の温度が1100℃以上となる領域にお
いて、光ファイバ裸線の冷却速度が大きすぎると、波長
1.55μmにおける伝送損失が大きくなる。従って、
冷却速度は、4000℃/sec以下とするのが好まし
い。冷却速度をこの範囲とすることによって、熱履歴を
さらに改善し、仮想温度T Fを低く抑え、伝送損失をさ
らに低減することができる。冷却速度は、小さいほど伝
送損失の点で有利となるが、小さすぎれば徐冷部を大型
化することが必要となり、設備コストや装置の設置スペ
ースの点で不利となる。従って、冷却速度は、1000
℃/sec以上とするのが好ましい。
【0008】本発明の光ファイバ素線の製造装置は、光
ファイバ母材を溶融紡糸して光ファイバ裸線とする紡糸
炉と、光ファイバ裸線を徐冷する徐冷装置と、光ファイ
バ裸線上に被覆層を形成する樹脂被覆装置とを備え、紡
糸炉が、炉内温度が1000℃以上となる領域の光ファ
イバ引取り方向距離を50cm以上、1m以下とするこ
とができるように構成されていることを特徴とする。徐
冷装置は、光ファイバ裸線が導入される徐冷部と、温度
調整用ガスによって徐冷部内の温度を調整する温度調整
手段とを備えた構成とすることができる。温度調整用ガ
スの導入によって、徐冷部内の対流伝熱を調整し、光フ
ァイバ裸線の冷却速度を調整することができる。温度調
節手段は、温度調整用ガスを加熱する加熱部を備えた構
成とすることができる。徐冷装置は、徐冷部内を加熱す
るヒータを備えた構成とすることができる。本発明の光
ファイバ素線は、上記製造方法によって製造されたもの
であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の光ファイバ素線
の製造装置の一実施形態を示すものである。ここに示す
製造装置は、光ファイバ母材1を加熱して溶融紡糸する
紡糸炉2と、得られた光ファイバ裸線3を徐冷する徐冷
装置4と、光ファイバ裸線3上に1次被覆樹脂液を塗布
する第1の樹脂被覆装置5と、1次被覆樹脂液を硬化さ
せて1次被覆層とする架橋筒6と、1次被覆層上に2次
被覆樹脂液を塗布する第2の樹脂被覆装置7と、2次被
覆樹脂液を硬化させて2次被覆層とする架橋筒8と、タ
ーンプーリー10と、引き取り機11と、ダンサー12
と、巻き取り機13とを備えている。紡糸炉2は、内部
を加熱するヒータ(図示略)を備えている。紡糸炉2
は、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で光
ファイバ母材1を溶融紡糸することができるように構成
するのが好ましい。
【0010】徐冷装置4は、光ファイバ裸線3が導入さ
れる徐冷部14と、温度調整用ガスによって徐冷部14
内の温度を調整する温度調整部(温度調整手段)15
と、徐冷部14内を加熱するヒータ16とを備えてい
る。温度調整部15は、温度調整用ガス供給源17と、
ガス供給源17からの温度調整用ガスを加熱する加熱部
18とを備えており、ガス供給源17からの温度調整用
ガスを、導入経路19を通して徐冷部14に導入するこ
とができるようになっている。徐冷部14は、筒状に形
成するのが好ましい。徐冷部14は、断熱材からなる断
熱層を備えた構造とすることができる。徐冷装置4は、
紡糸炉2の下部に、紡糸炉2と一体となるように設ける
のが好ましい。
【0011】以下、図1に示す製造装置を用いた場合を
例として、本発明の光ファイバ素線の製造方法の一実施
形態を説明する。気相軸付け法(VAD法)、外付け法
(OVD法)、内付け法(CVD法、MCVD法、PC
VD法)、ロッドインチューブ法等で得られた光ファイ
バ母材1を、紡糸炉2で加熱して溶融紡糸し、矢印で示
す引取り方向(線引き方向)に光ファイバ裸線3を引き
取る。
【0012】本実施形態の製造方法においては、紡糸炉
2内の温度を、1000℃以上となる領域の線引き方向
(光ファイバ引取り方向)距離が、50cm以上、1m
以下となるように設定する。1000℃以上の温度領域
の線引き方向距離が50cm未満である場合には、波長
1.55μmにおける伝送損失が悪化する。また、この
距離が1mを越えると、光ファイバ母材1のネックダウ
ン部1aが長くなりすぎるため、製造開始時に所定の線
引き条件に安定させるための調整が難しくなる。また製
造終了時の光ファイバ母材1の残留量(引き残り)が多
くなるため好ましくない。紡糸炉2内の温度分布は、ヒ
ータの長さ(線引き方向長さ)や紡糸炉2の断熱構造を
調整することによって設定することができる。光ファイ
バ母材1を溶融紡糸する際の線引き速度(紡糸線速)は
特に制限がなく、100〜1000m/minとするこ
とができる。
【0013】次いで、光ファイバ裸線3を徐冷装置4の
徐冷部14内に導き、冷却する。徐冷装置4では、ガス
供給源17からの温度調整用ガスを、導入経路19を通
して徐冷部14内に導入することができる。この温度調
整用ガスの種類や導入流量を適宜設定することによっ
て、徐冷部14内の対流伝熱を調整し、光ファイバ裸線
3の冷却速度を調整することができる。温度調整用ガス
としては、空気より熱伝導率が低いガス、例えばヘリウ
ム、アルゴン、窒素等が使用可能であり、特に熱伝導率
が低いアルゴンを用いるのが好適である。温度調整用ガ
スは、必要に応じて加熱部18で加熱し、温度を調整し
た後に徐冷部14に導入することもできる。
【0014】徐冷部14では、光ファイバ裸線3の温度
が1100℃以上となる領域において、その冷却速度が
1000℃/sec以上、4000℃/sec以下とな
るようにするのが好ましい。この冷却速度を1000℃
/sec未満とする場合には、徐冷部14を大型化する
ことが必要となり、設備コストや装置の設置スペースの
点で不利となる。冷却速度が4000℃/secを越え
ると、波長1.55μmにおける伝送損失が大きくな
る。
【0015】次いで、光ファイバ裸線3を第1の樹脂被
覆装置5に導き、光ファイバ裸線3上に、ウレタンアク
リレート系紫外線硬化型樹脂などの1次被覆樹脂液を塗
布する。1次被覆樹脂液は、架橋筒6で紫外線照射、加
熱等により硬化され、1次被覆層が形成される。次い
で、第2の樹脂被覆装置7において、1次被覆層上にウ
レタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂などの2次被覆
樹脂液が塗布され、この樹脂液が架橋筒8で硬化され、
1次被覆層上に2次被覆層が形成された光ファイバ素線
9が得られる。光ファイバ素線9は、ターンプーリー1
0、引き取り機11、ダンサー12を経て、巻き取り機
13に巻き取られる。
【0016】本実施形態の製造方法では、紡糸炉2内の
温度を、1000℃以上となる領域の線引き方向距離が
50cm以上、1m以下となるように設定するので、線
引き速度を高く設定した場合でも、光ファイバ素線9の
波長1.55μmにおける伝送損失を低減することがで
きる。この伝送損失は、例えば0.188〜0.200
dB/kmとすることができる。従って、生産効率を高
くし、かつ伝送損失を低減することができる。
【0017】紡糸炉2内の温度領域の線引き方向距離を
上記範囲とすることによって、伝送損失を低減すること
ができる理由については、次の推測が可能である。伝送
損失が悪化する原因としては、レーリ散乱を挙げること
ができる。レーリ散乱損失αdは、屈折率をn、光弾性
係数をp、ボルツマン定数をk、仮想温度をTF、仮想
温度TFにおける等温圧縮率をβTとすると、波長λに対
して、αd=8π3/3λ4・n82kTFβTと表される
(D. A. Pinnow et. al., Appl. Phys. Lett., Vol.22,
1973, pp.527参照)。一般に、レーリ散乱は、密度揺
らぎおよび濃度揺らぎによって生じる。密度揺らぎおよ
び濃度揺らぎの支配的要因は、製造過程における熱履歴
である。レーリ散乱損失に影響するパラメータのうち、
最も熱履歴の影響を受けるものは仮想温度TFである。
ガラスは高温の液体構造が凍結されたものと考えられ、
仮想温度TFは凍結された構造に対応する温度である。
従って、仮想温度TFは、紡糸時の光ファイバ温度に大
きな影響を受けると考えられる。
【0018】本実施形態の製造方法では、紡糸炉2内の
1000℃以上の温度領域の線引き方向距離を上記範囲
とすることによって、光ファイバの熱履歴を最適化し、
仮想温度TFを低く抑えることができる。従って、レー
リ散乱を低減し、レーリ散乱に起因する伝送損失を低減
することができる。
【0019】また、徐冷部14において、光ファイバ裸
線3の温度が1100℃以上となる領域における光ファ
イバ裸線3の冷却速度が1000℃/sec以上、40
00℃/sec以下となるようにすることによって、熱
履歴をさらに改善し、仮想温度TFを低く抑え、伝送損
失をさらに低減することができる。さらには、製造開始
時の条件設定を容易にするとともに、製造終了時の光フ
ァイバ母材の残留量(引き残り)を最小限に抑え、製造
コスト低減を図ることができる。
【0020】本発明の製造方法では、気相軸付け法(V
AD法)、外付け法(OVD法)、内付け法(CVD
法、MCVD法、PCVD法)、ロッドインチューブ法
等で得られた光ファイバ母材を用いることができる。本
発明は、シングルモード光ファイバ、分散シフト、カッ
トオフシフト、分散補償光ファイバなど、いかなる種類
の光ファイバにも適用できる。
【0021】
【実施例】(実施例1)徐冷装置4を備えていないこと
以外は図1に示す製造装置と同じ構成の製造装置を用い
て、次のようにして光ファイバ素線9を作製した。波長
多重伝送用光ファイバ母材1(ITU−T G655準
拠)を、紡糸炉2で加熱して溶融紡糸して光ファイバ裸
線3(外径0.125μm)とした。紡糸張力は150
gfに設定した。第1の樹脂被覆装置5において、光フ
ァイバ裸線3上にウレタンアクリレート系紫外線硬化型
樹脂を塗布し、これを架橋筒6で紫外線照射により硬化
させ、1次被覆層を形成した。第2の樹脂被覆装置7に
おいて、1次被覆層上にウレタンアクリレート系紫外線
硬化型樹脂を塗布し、これを架橋筒8で硬化させ、1次
被覆層上に2次被覆層が形成された光ファイバ素線9
(外径0.250μm)を得た。本実施例では、紡糸炉
2内温度を、1000℃以上となる領域の線引き方向距
離が25cmとなるように設定した。紡糸線速(線引き
速度)は、800m/minとした。紡糸炉2の出口付
近において、光ファイバ裸線3の温度が1100℃以上
となる領域における光ファイバ裸線3の冷却速度は10
000℃/secであった。光ファイバ素線9の波長
1.55μmにおける伝送損失を測定したところ、0.
200dB/kmであった。
【0022】(実施例2)紡糸炉2内温度を、1000
℃以上となる領域の線引き方向距離が50cmとなるよ
うに設定すること以外は実施例1と同様にして光ファイ
バ素線9を作製した。光ファイバ裸線3の冷却速度は1
0000℃/secであった。波長1.55μmにおけ
る光ファイバ素線9の伝送損失を測定したところ、0.
193dB/kmであった。
【0023】(実施例3)紡糸炉2内温度を、1000
℃以上となる領域の線引き方向距離が75cmとなるよ
うに設定すること以外は実施例1と同様にして光ファイ
バ素線9を作製した。光ファイバ裸線3の冷却速度は1
0000℃/secであった。波長1.55μmにおけ
る光ファイバ素線9の伝送損失を測定したところ、0.
192dB/kmであった。
【0024】(実施例4)紡糸炉2内温度を、1000
℃以上となる領域の線引き方向距離が100cmとなる
ように設定すること以外は実施例1と同様にして光ファ
イバ素線9を作製した。光ファイバ裸線3の冷却速度は
10000℃/secであった。波長1.55μmにお
ける光ファイバ素線9の伝送損失を測定したところ、
0.191dB/kmであった。
【0025】実施例1〜4で得られた光ファイバ素線9
の波長1.55μmにおける伝送損失を図2に示す。ま
た紡糸炉2内の温度分布を図3に示す。図3において、
横軸は基準点からの線引き方向距離(相対位置)を示
し、縦軸は炉内温度を示す。図2より、紡糸炉2内温度
を、1000℃以上となる領域の線引き方向距離が50
cm以上となるように設定することによって、伝送損失
を低減することができたことがわかる。また、1000
℃以上となる領域の線引き方向距離が1mを越える場合
には、光ファイバ母材1のネックダウン部1aが長くな
りすぎ、製造開始時の条件設定が難しくなるとともに、
製造終了時の光ファイバ母材1の残留量(引き残り)が
多くなった。以上より、紡糸炉2内の温度は、1000
℃以上となる領域の線引き方向(光ファイバ引取り方
向)距離が、50cm以上、1m以下となるように設定
するのが好ましいことがわかる。
【0026】(実施例5)図1に示す製造装置(徐冷装
置4を備えたもの)を用いて、次のようにして光ファイ
バ素線9を作製した。実施例1で用いたものと同様の光
ファイバ母材1を、紡糸炉2で加熱して溶融紡糸して光
ファイバ裸線3(外径0.125μm)とし、これを徐
冷装置4の徐冷部14に導入して徐冷した。樹脂被覆装
置5、7、架橋筒6、8によって光ファイバ裸線3上に
1次被覆層および2次被覆層を形成し、光ファイバ素線
9(外径0.250μm)を得た。紡糸炉2内温度は、
1000℃以上となる領域の線引き方向距離が50cm
となるように設定した。徐冷装置4では、常温のアルゴ
ンガスをガス供給源17から徐冷部14内に導入するこ
とによって、光ファイバ裸線3の温度が1100℃以上
となる領域における光ファイバ裸線3の冷却速度を60
00℃/secとした。その他の試験条件は実施例1に
準じた。波長1.55μmにおける光ファイバ素線9の
伝送損失を測定したところ、0.191dB/kmであ
った。
【0027】(実施例6)徐冷装置4において、アルゴ
ンガスを加熱部18で加熱した後に徐冷部14に導入す
ることによって、光ファイバ裸線3の冷却速度を400
0℃/secとすること以外は実施例5と同様にして光
ファイバ素線9を作製した。波長1.55μmにおける
光ファイバ素線9の伝送損失を測定したところ、0.1
89dB/kmであった。
【0028】(実施例7)徐冷装置4において、加熱部
18で加熱したアルゴンガスを徐冷部14に導入すると
ともに、ヒータ16によって徐冷部14内を加熱するこ
とによって、光ファイバ裸線3の冷却速度を1000℃
/secとすること以外は実施例5と同様にして光ファ
イバ素線9を作製した。波長1.55μmにおける光フ
ァイバ素線9の伝送損失を測定したところ、0.188
dB/kmであった。
【0029】実施例2、5〜7で得られた光ファイバ素
線9の波長1.55μmにおける伝送損失を図4に示
す。実施例2、5〜7において、紡糸炉2内の最高温度
位置(ピーク温度位置)から光ファイバ裸線3温度が1
100℃になった位置(1100℃位置)までの距離を
表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】図4より、光ファイバ裸線3の冷却温度を
4000℃/sec以下とすることによって、伝送損失
を低く抑えることができることがわかる。冷却速度は、
小さいほど伝送損失の点で有利であるが、表1に示すよ
うに、冷却速度を1000℃/sec未満とする場合に
は、紡糸炉2のピーク温度位置から、1100℃位置ま
での距離を4mを越える値とすることが必要となり、設
備コストや装置の設置スペースの点で実用的でない。以
上より、光ファイバ裸線3の冷却速度は、1000℃/
sec以上、4000℃/sec以下とするのが好まし
いことがわかる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ファイ
バ素線の製造方法では、紡糸炉内の温度を、1000℃
以上となる領域の光ファイバ引取り方向距離が50cm
以上、1m以下となるように設定するので、光ファイバ
引取り速度を高く設定した場合でも、波長1.55μm
における伝送損失を低減することができる。従って、生
産効率を高くし、かつ伝送損失を低減することができ
る。
【0033】また、光ファイバ裸線の温度が1100℃
以上となる領域における光ファイバ裸線の冷却速度が1
000℃/sec以上、4000℃/sec以下となる
ようにすることによって、波長1.55μmにおける伝
送損失をさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ファイバ素線の製造装置の一実
施形態を示す概略構成図である。
【図2】 試験結果を示すグラフである。
【図3】 試験結果を示すグラフである。
【図4】 試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・光ファイバ母材、2・・・紡糸炉、3・・・光ファイバ
裸線、4・・・徐冷装置、5、7・・・樹脂被覆装置、6、8
・・・架橋筒、9・・・光ファイバ素線、14・・・徐冷部、1
5・・・温度調整部(温度調整手段)、16・・・ヒータ、1
8・・・加熱部
フロントページの続き (72)発明者 原田 光一 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ母材を紡糸炉で溶融紡糸し
    て得られた光ファイバ裸線を冷却し、その上に被覆層を
    形成する光ファイバ素線の製造方法であって、 紡糸炉内の温度を、1000℃以上となる領域の光ファ
    イバ引取り方向距離が50cm以上、1m以下となるよ
    うにすることを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
  2. 【請求項2】 光ファイバ裸線を冷却するにあたり、
    光ファイバ裸線の温度が1100℃以上となる領域にお
    いて、その冷却速度を1000℃/sec以上、400
    0℃/sec以下とすることを特徴とする請求項1記載
    の光ファイバ素線の製造方法。
  3. 【請求項3】 光ファイバ母材を溶融紡糸して光ファ
    イバ裸線とする紡糸炉と、光ファイバ裸線を徐冷する徐
    冷装置と、光ファイバ裸線上に被覆層を形成する樹脂被
    覆装置とを備え、 紡糸炉は、炉内温度が1000℃以上となる領域の光フ
    ァイバ引取り方向距離を50cm以上、1m以下とする
    ことができるように構成されていることを特徴とする光
    ファイバ素線の製造装置。
  4. 【請求項4】 徐冷装置は、光ファイバ裸線が導入さ
    れる徐冷部と、温度調整用ガスによって徐冷部内の温度
    を調整する温度調整手段とを備えていることを特徴とす
    る請求項3記載の光ファイバ素線の製造装置。
  5. 【請求項5】 温度調節手段は、温度調整用ガスを加
    熱する加熱部を備えていることを特徴とする請求項4記
    載の光ファイバ素線の製造装置。
  6. 【請求項6】 徐冷装置は、徐冷部内を加熱するヒー
    タを備えていることを特徴とする請求項4または5記載
    の光ファイバ素線の製造装置。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の光ファイバ素
    線の製造方法によって製造されたものであることを特徴
    とする光ファイバ素線。
JP2001374320A 2001-12-07 2001-12-07 光ファイバ素線の製造方法および装置 Pending JP2003176149A (ja)

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