JP4191935B2 - エキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、紫外線、特にKrF、ArFエキシマレーザー光の高強度の照射に対して優れた光透過性、均質性、および安定性を有する光学用合成石英ガラス部材の製造方法に関するものである。具体的には、本発明の製造方法によって製造される合成石英ガラス部材は、特に半導体チップ製造用のエキシマレーザーを用いたリソグラフィーの露光装置のレンズやその他の光学部品、また、エキシマレーザー本体に用いられる狭帯化用のプリズム、その他KrF、ArFエキシマレーザー光に使用される一般的な光学部材、レンズ、ビームスプリッター、プリズム、などに好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、KrFエキシマレーザーリソグラフィーによるLSIの製造が本格的に行われ、次世代の露光技術としてArFエキシマレーザーリソグラフィーの実現化にむけて開発がすすめられている。KrFリソグラフィーにおいても、随時改良が進められており、より微少な回路パターンを描画する性能や時間当たりの処理能力(スループット)をアップさせるなどの改良が行われている。具体的には、微少な回路パターンの描画には変形照明法や位相シフトマスクなどの露光方法の改良技術が用いられるが、基本的に露光装置のレンズ材の性能自体もより高いレベルが要求されてきている。すなわち、正確な焦点を結ぶために、高均質性や低複屈折がレンズ材料に強く要求されている。またスループットの改善にはエキシマレーザーの繰り返し周波数やエネルギーの増大によって、露光量をアップするなどの手法が取られている。このような場合、露光機のレンズ材を透過する光量が増加するために、光学的なダメージが生じ易くなってしまう。いずれの場合でもレンズ材の石英ガラスに要求される品質は、露光機の性能アップにともない年々高くなってきており、従来技術による均質性の向上やレーザー耐性の向上策では不十分になりつつある。
【0003】
高均質の石英ガラスを得る技術は従来から多くの分野で研究されており、多くの特許も出願されている。一般的に光学用石英ガラスの均質性とは屈折率の均質性を意味し、通常、632.8nmのHe−Neレーザーを用いた干渉計によって位相の遅れを測定し、屈折率の分布を算出している。リソグラフィーに用いられるレンズは非常に高い結像性能が要求されるために、非常に高均質な石英ガラスのレンズ材が必要である。屈折率は石英ガラス中の不純物、例えば塩素や水酸基によって変化し、また、仮想温度によっても変化する。石英ガラス中に不純物の分布があれば屈折率もその分布に伴って変化する。例えば、SiOH基の量が多い部分は相対的に屈折率が低くなる。仮想温度は石英ガラスを熱処理する際の冷却速度に依存し、石英ガラス中に仮想温度分布が生じることによって屈折率分布も形成される。特開平3−88743号公報では高均質な光学用石英ガラス材を得るために、上記、屈折率変動を起こす個々の要因を積極的に組み合わせて、高均質のガラスを得るための製造方法が開示されている。更に該公報中には高いレーザー耐性を付与するために、水素含有雰囲気で熱処理し水素分子をドープすることが記載されている。すなわち、水素をドープすることで、高いエキシマレーザー性を維持しつつ、高均質なガラスを得る、という技術である。このように、SiOHや塩素などの不純物分布を制御して得られた高均質な石英ガラスに水素ドープを施すことによって、高いレーザー耐性を付与できることから、エキシマレーザーリソグラフィー用のレンズ材料として好適に使用できると考えられていた。しかしながら、実際には、1)近年のレーザーの高繰り返し化や高エネルギー化などで更に高いレーザー耐性が要求されていること、2)高NA化により更に大きな材料が要求されているため、水素分子を均一にドープすることが難しいこと、という実際的な問題点が浮上してきており、かならずしも上記公報に記載された方法で現在の要求レベルを十分に満足できる材料が得られていない。特に水素含有雰囲気で熱処理により水素分子が均一にドープされた大型材料を得ることは、水素分子の拡散係数を考慮するとかなり難しい。計算上非常に長時間処理が必要であったり、かなりの高温での水素処理が必要であったりというような難しさが現実には存在する。また、これまでの研究から、水素分子も屈折率分布に影響を及ぼすことがわかってきており、水素分子の均一なドープが重要であることもわかってきた。
【0004】
均一な水素ドープを施すことは、高均質、かつ、高耐性を持つ石英ガラスを得るために重要であるが、特に大型の材料の場合、水素が内部まで十分に拡散するにはかなりの時間を要し、その結果、生産性が悪化する、という大きな問題がある。水素の拡散係数が大きくなる高温での水素ドープを施すことで、水素の拡散時間の短縮化は可能であるが、高温で水素にさらされた石英ガラスは新たな欠陥を生じ易く、これがレーザー耐性を悪化させる要因となることがわかっている。特開平6−166522号公報には、間接法で試作した合成石英ガラス部材を水素雰囲気中において各種温度で熱処理をし、水素をドープした材料のArFエキシマレーザー照射耐性について記載されているが、特に600℃を超える高温で熱処理を施したもののレーザー耐性が極端に悪化していることが示されている。これは高温で導入された水素分子により石英ガラス中に還元性欠陥が生じ、エキシマレーザーが照射されることによって紫外線領域に吸収が誘起されるためである。この誘起される吸収はE’センターと一般的に呼ばれている常磁性欠陥によるものであり、中心波長が210〜215nmの吸収帯を有している。したがって、該公報ではE’センターの生成を抑えるために、すなわち誘起吸収の発生を抑えるために600℃以下で水素処理を施すことが記載されているが、前述のように、低温での水素の拡散係数は小さくなる為に、大型材料を処理する場合、処理時間が長時間となり生産性が悪くなってしまう。そのため、該公報では、より多くの水素分子を石英ガラス中に導入するために、1気圧以上、好ましくは50気圧以上の高圧で処理することが記載されている。しかし、一般的にこのようにして得られた石英ガラスの水素分子濃度分布は、拡散現象の原理に基づく結果として、その周辺部の濃度は中心部の濃度と比べて高くなっており、特に高圧での処理の場合、その差が大きいため、均質性(屈折率分布)に多大な影響を及ぼすことが分かっている。
【0005】
均質性に影響を及ぼさないように、水素濃度分布があまり形成されないような高圧での水素ドープの方法が特開2000−95535号公報に示されている。この公報では10atm以上、好ましくは50atm以上の圧力で水素分子をドープし(第2工程)、その後、熱処理(第三工程)によって、周辺部の水素分子濃度の高い部分を選択的に脱ガスすることによって、均一な水素濃度分布をもつ石英ガラス材が得られる、という方法である。しかしながら、該特許による方法では、均質な水素含有成型体を得るためには、水素をドープする熱処理(第2工程)の後に、水素を含まない雰囲気中での熱処理(第3工程)という2段階の熱処理を施さなくてはならない。また、後者の熱処理においても、あまり高温に保持すると新たな欠陥生成のために、レーザー耐性が悪化することがわかっている。したがって、周辺部の水素濃度の高い部分のみを選択的に脱ガスする場合も、比較的低い温度で処理する必要があり、結果的に長い時間の熱処理が必要である。また、成型体のサイズや第2工程の条件次第によって導入される水素濃度およびその分布はかなり大きく変動するが、単純な第3工程のみの熱処理で、選択的に周辺部のみ適切に水素を脱ガスし、平坦な水素濃度を得ることはかなり困難であった。以上示したように、水素をドープした後で更に追加で熱処理を施すことは、レーザー耐性や生産性の点でもあまり好ましい方法とはいえなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、レーザー耐性を低下させる還元性欠陥の生成を抑えつつ高いレーザー耐性を得るに十分な水素分子を石英ガラス中に導入し、かつ、水素分子の濃度分布に起因する屈折率分布が平坦になるように水素分子を均一に導入するエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、本発明の下記(1)〜(5)のいずれかに記載の構成により達成される。
(1) 合成石英ガラス体を1気圧以上150気圧未満の圧力の水素含有雰囲気中で、処理温度600℃以下で熱処理して、該石英ガラス体に水素分子を含有させる工程を含むエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法であって、前記熱処理中の少なくとも一部において、前記水素含有ガスの圧力を連続的もしくは段階的(但し、2段階を除く。)に変化させることを特徴とするエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
(2) 前記水素含有ガスの圧力の変化が減少である上記(1)記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
(3) 合成石英ガラス体を、水素含有雰囲気中で、第1設定圧力で、第1設定時間、熱処理を施した後、前記第1設定圧力より低い第2設定圧力で、第2設定時間熱処理を施す上記(2)記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
(4) 前記水素含有雰囲気が、100%の水素ガス、もしくは、窒素、アルゴンまたはヘリウムと水素ガスの混合ガスである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
(5) 水素を含有させる前記合成石英ガラス体を、直接火炎加水分解法または間接火炎加水分解法によって作成する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
本発明によって得られた部材は、エキシマレーザー用、特にKrFやArFエキシマレーザー用の各種装置に好適に用いられるものであり、光学部材中に水素分子が高濃度かつ高均質に導入されているために、高いレーザー耐性と均質性を両立しており、上記のエキシマレーザーを用いた各種装置において、長期間安定して使用できる光学部材である。例えば、エキシマレーザーステッパーやレーザー加工装置、レーザーアニール装置などの光学部材として好適に使用できるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法においては、1気圧以上の水素含有雰囲気下で600℃以下の温度で熱処理を施し、上記熱処理中に水素雰囲気ガスの圧力を連続的もしくは段階的(但し、2段階を除く。)に変化させることによって、石英ガラス中に高濃度の水素分子を均一に含有させることができる。その結果、均質性、レーザー耐性の両特性が非常に優れている光学用石英ガラス材料が得られる。すなわち、比較的低温での水素分子を石英ガラス中に高濃度拡散させるためには長時間の処理が必要であるが、1気圧以上の高圧力に設定することにより高濃度の水素分子を含有させることが可能であり、更にこれを、圧力を変化させることによって積極的に石英ガラス中の水素濃度分布をコントロールでき、均一な水素濃度プロファイルが得られる。本発明の製造方法によれば、水素雰囲気での処理温度が比較的低く、かつ、処理時間が短いことから、石英ガラス中にレーザー耐性を悪化させる還元性欠陥の生成が見られず、また、高圧で処理することにより高濃度の水素分子が含有されることから、長期的なレーザー耐性が優れているものが得られ、更に、変圧処理により均一に水素分子が含有されることから、屈折率やレーザー耐性が極めて均質で安定しているものを得ることができる。
【0009】
以下に本発明の製造方法の一形態について詳細に説明する。本発明に用いられる石英ガラスは一般的にどのようなものでも良く、代表的なものは間接火炎加水分解法(スート法)もしくは直接火炎加水分解法(ダイレクト法)によって製造された合成石英ガラスが好適である。水素ガス含有雰囲気で処理する前に、熱アニール処理を施し、石英ガラス中に残留している水素ガスを脱ガスしておくことが重要である。一般的にスート法で得られた石英ガラス中にはほとんど水素分子が存在していない(多くは1×1016分子数/cm以下)が、ダイレクト法により得られた石英ガラス中には水素分子が残留していることが多い。水素分子は均一に残留しているわけではないので、本発明の水素含有雰囲気での水素ドープ処理前にアニールをして、石英ガラス中の水素分子を脱ガスしておくことが、均一な水素ドープを行うために必要である。また、一般的にダイレクト法に含有されている水素ガスは高温状態で導入されていることが多く、多くの還元性欠陥が生成している可能性が高い。したがって、ダイレクト法で製造された石英ガラスを用いる場合、水素ドープする前に熱処理し脱ガスをしておく。
【0010】
水素雰囲気処理は水素ガス100%、もしくはHeや窒素ガスなどと混合した水素含有雰囲気中で行っても良い。水素雰囲気処理をする石英ガラスの大きさや形状に特に制限はないが、水素分子を表面から石英ガラス内部に拡散させるために、あまり厚さの厚いものだと長い時間を要する。現実的には厚さ50mm以下が好ましいが、もちろんこのサイズに限定されるものではない。
【0011】
水素処理圧力は、1気圧以上であるが、石英ガラス中に所望の水素濃度が得られるように圧力を調整する。所望する水素濃度が高い場合、処理圧力も必然的に高くなる。しかし、圧力があまり高くなった場合、変圧の制御が難しく、均一な水素濃度分布を得ることが難しくなってくる。処理する石英ガラス体の形状やサイズにもよるが、一般的には5気圧〜100気圧程度の条件を選択することが多い。水素処理は一定時間保持することによって水素分子が表面から石英ガラス内部に拡散していくが、時間が短いと表面近傍の水素濃度が内部より高く設定される。石英ガラス中の水素分子濃度の最大値と最小値の差がどのような形状になるのかは、処理するサンプルの形状、処理温度、処理時間などの条件によって異なる。一般に石英ガラスの形状が平行平板の場合(図1に示した円盤形状など)、特に外周部近傍では側面からの水素の拡散も生じるが、外周部から少し内部に入ると、2つの平行平面から厚さ方向に向むかう水素分子の拡散が支配的になる。したがって、一般的には水素分子の分布は厚さ方向で著しく生じる。このように、厚さ方向に水素分子濃度の最大値と最小値の差が生じ、平行平板面近傍の水素濃度が高くなった場合、一般的には屈折率も高くなり、側面からのみた屈折率分布が平坦ではなくなる。このような材料を高精度が要求されるプリズムや各種レンズに使用した場合、光学特性に影響を与えるために、好ましくない。したがって、高精度の光学用石英ガラスには極めて均一に水素分子をドープすることが好ましい。しかしながら、一定圧力で均一に水素分子をドープするためには十分に長い時間、処理する必要があり、また、処理時間は石英ガラスの厚さの2乗に比例して長くなっていく。本発明は、水素分子濃度が一定に拡散するまで処理することなく、水素処理途中の水素濃度分布が大きいときに、適当に水素処理圧力を変化させることによって、積極的に石英ガラス中の水素分子濃度を平坦化させ、短い処理時間で水素分子を均一にドープし、均質性が高く、かつ、高いレーザー耐性をもつ光学用石英ガラス体を得る。
【0012】
水素含有雰囲気ガスの圧力は連続的、もしくは段階的(但し、2段階を除く。)に変化させる。連続的に変化させるほうがより細かな水素濃度分布のコントロールが可能であるが、一般的な厚さの石英ガラスの場合、3段階程度の圧力変化で実質的には問題のないレベルで水素が均一にドープされる。
【0013】
水素雰囲気処理の温度は600℃以下、好ましくは200℃〜400℃以下で行うことが良い。処理温度が高すぎると還元性欠陥が多く生成しレーザー耐性が悪化し、処理温度が低すぎると処理時間が長くなり生産性が極端に悪化する。還元性欠陥が生成することにより、ArFやKrFレーザーを照射すると215nm近傍に吸収バンドが誘起され、透過性を著しく低下させる。還元性欠陥の生成量は水素雰囲気処理の温度や時間と関係している。一般的にはできるだけ低い温度で短時間の処理を施すことが好ましいが、個々のサンプルにおける処理条件の設定はサンプルサイズや所望の水素分子濃度によって適当に選択されるべきものである。
【0014】
以上説明した本製造方法によれば、均一に水素が含有されているエキシマレーザー用合成石英ガラス部材が得られる。
本発明によるエキシマレーザー用合成石英ガラス部材は、水素分子濃度の平均値が1×1018分子数/cm3以上であり、水素分子濃度の最大値と最小値の差ΔHが1.2×1018分子数/cm3以下であるあることが好ましい。以上のような水素分子濃度と水素分子濃度の最大値と最小値の差ΔHを満足することにより、以下のような高いエキシマレーザー耐性と、高均質を兼ね備えたエキシマレーザー用合成石英ガラス部材が得られる。
すなわち、本発明によれば、ArFエキシマレーザーを、1パルスあたりのエネルギー密度2mJ/cm、周波数200Hz、照射数2×105パルス照射したときの照射中の215nmにおける誘起吸収量が、厚さ1cmあたりの吸光度で0.003以下であるエキシマレーザー用合成石英ガラス部材が得られる。また、KrFエキシマレーザーを、1パルスあたりのエネルギー密度100mJ/cm、周波数200Hz、照射数2×105パルス照射したときの照射中の210nmにおける誘起吸収量が、厚さ1cmあたりの吸光度で0.0075以下であるエキシマレーザー用合成石英ガラス部材が得られる。
そして、本発明のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材においては、632.8nmにおける屈折率の均質性が±4×10-6(/cm)以下、複屈折が2nm/cm以下を達成できる。
【0015】
本製造方法で得られた石英ガラスの各種物性の評価方法について以下に記載しておく。
1)水素濃度測定
本発明における石英ガラス中の含有水素濃度は、Zhurmal Prikladonoi Spektroskopii Vol. 46 No.6 pp987 to 991 June 1987に示される方法によって測定した。この方法はラマン散乱スペクトルを用いるもので、SiOに関するラマンシフト800cm−1のバンド強度と石英ガラス中に含有する水素分子に関する4137cm−1のバンドの強度の比率から水素濃度を求めるものであり、水素分子濃度C(分子数/cm)は以下の式により算出される。
C=K×(I(4137)/I(800)
ここでKは水素分子量をガスマススペクトロスコピーによって測定された絶対値と合わせるために用いる係数であり、本実験では1.22×1021が用いられた。I(4137)およびI(800)は4137cm−1および800cm−1のラマンバンドの面積強度である。この式から算出される水素分子濃度は1cmの容積あたりの石英ガラスに含まれる水素分子の個数である。
使用機器は日本分光製のNR−1100ダブルモノクロメーター、波長488nmのArイオンレーザーを出力700mWで使用、浜松フォトニクス製のR943−02光電子増倍管を使用している。
【0016】
2)屈折率分布
フィゾー型干渉計による測定法。632.8nmにおける屈折率の最大値と最小値(Δn)を測定する。図1に示したように、石英ガラス体が円盤形状の場合、側面から測定する場合は厚さ方向の屈折率分布が、また、上下面方向から測定する場合は直径方向の屈折率分布を測定する。なお、円盤状石英ガラス体の側面からの測定は、図1に示すように、斜線部分をカットし、両方の面を平行に研削して行う。
【0017】
3)複屈折量
オーク製作所 自動複屈折測定装置 ADR−100使用
【0018】
4)レーザー耐性評価方法および評価用装置
ArF及びKrFレーザー耐性を評価する装置の概略図を図2に示した。水素雰囲気処理によって還元性欠陥の生成した石英ガラスにエキシマレーザーを照射すると約215nm(KrFの場合210nm)に中心を持つ吸収バンドが生成し、このバンドの裾が193nm(ArF)や248nm(KrF)の波長に重なるために、レーザーの透過性が低下する。すなわち、215nmの吸収量を測定することによってもレーザー耐性の評価が可能である。上記吸収バンドはレーザー照射中に出現し、照射を中断すると緩和してしまうので、レーザー照射中に同時に測定しなければいけない。図2にレーザー耐性を評価するための透過率測定装置の概略を示した。図中、符号2は評価試料で、通常10mm×10mm×50mmのサイズで、側面の全面(10mm×50mmの面)を鏡面に研磨している。試料2に所定のエネルギー密度のエキシマレーザー光を照射しつつ、レーザー照射部位に同時にレーザー光と直交する方向から215nmの透過率測定用の光を通じることによって、レーザー照射と同時に215nmの吸光度を測定できるようなっている。紫外線の光源として重水素ランプ3、その光を215nmの単色光に分光する第一のモノクロメータ61、ビームスプリッター4を介して入射光の光量を測定するための第一のフォトマル51、および試料2を挟んで第二のモノクロメータ62及び試料中を透過してくる光量を測定するためのフォトマル52によって構成されている。重水素ランプ3より照射された光は第一のモノクロメータ61によって215nmの光に単色化され、該215nm単色光はビームスプリッター4を介して一部フォトマル52に入射すると共に、他の光は試料2を通じ、モノクロメータ62を経てフォトマル52に受光される。ここでフォトマル51と52で測定される光量の比率から透過率が測定できる。ここでフォトマル51と52の受光量の計測はエキシマレーザーの発振パルスと同期しているため、レーザー照射を行いながら、同時に透過率の測定が行える。なお、レーザー照射に伴う215nmの誘起吸収量は試料1cmあたりの誘起される吸光度の値で表される。すなわち、誘起吸収量Dは、
D= −Log(レーザー照射中の透過率/レーザー照射前の透過率)
で算出ができる。
誘起吸収は、ArFの場合、1パルスあたりの照射エネルギー密度を2mJ/cmで照射した場合、2×105ショットあたりで吸光度が安定するため、この時の吸光度の値を測定する。なお、KrFの場合、ArFと比較してダメージが小さいため、1パルスあたりの照射エネルギー密度を100mJ/cmに設定する。
【0019】
【実施例】
それぞれの参考例、実施例、比較例に記載している石英ガラス体の各種物性の測定値や簡単な製造条件などはまとめて図3の表に示した。
参考例1
四塩化珪素を酸素、水素火炎中に導入し、火炎加水分解して得られる合成シリカ微粒子をそのまま回転する基体上に堆積させ、多孔質シリカ母材を作成した(間接火炎加水分解法)。次に前記多孔質シリカ母材を真空炉で10−4torrの高真空下で1600℃以上に加熱して、透明なインゴットを得た。次に得られたインゴットをカーボンヒータを用いた電気炉で窒素中にて1800℃に保持し、溶融、円盤状に成型した。成型体のサイズは直径260mm、厚さ60mmである。該成型体の外表面を10mmの深さで研削し、直径240mm、厚さ40mmの石英ガラス体を得た。次に、上記石英ガラス体の歪み除去、均質化のために、大気雰囲気中の電気炉内で1150℃で50時間加熱した後、5℃/時間の降温速度で900℃まで徐冷を行い、その後炉の通電を停止し、自然冷却を行った。この時の水素濃度は検出限界以下、厚さ方向の屈折率の均質性(側面から測定)は、屈折率の最大値と最小値の差(Δn)で±1.2×10−6、直径方向の屈折率の均質性(上下面からの測定)はΔnで±0.7×10−6であった。
【0020】
上記成型体に水素分子を導入するために、水素処理炉で熱処理を施した。処理条件は、水素分子100%の雰囲気中で、加熱保持温度は350℃、圧力(p1)30気圧で600時間(t1)保持し、続いて、加熱保持温度は350℃、圧力(p2)を8気圧に減圧し550時間(t2)保持した。該水素処理済み成型体を取り出し、屈折率の均質性を厚さ方向および直径方向で測定を行った。厚さ方向の屈折率の最大値と最小値の差(Δn)は±1.5×10−6、直径方向では±0.9×10-6であり、水素分子の導入後も高い均質性が維持されていた。また厚さ方向で複屈折を測定したところ、<1.5nm/cmであった。
【0021】
次に上記水素処理済成型体の中央部から水素分子濃度分布測定用サンプルおよびレーザー耐性評価用サンプルを切り出し、それぞれ、ラマン分光測定およびレーザー透過率測定装置を用いて、水素分子濃度分布およびレーザー耐性評価を行った。厚さ方向の水素分子濃度分布は少なく、平均水素分子濃度が4.5×1018(分子数/cm)、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は5.0×1017(分子数/cm)であった。
【0022】
レーザー耐性の評価を行うために、上記成型体の中心に近い部分から評価用試料を切り出し、前記された評価方法にてArF及びKrFレーザー照射耐性を評価した。ArFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度2mJ/cm、周波数200Hzで2×105ショット照射したときの、215nmにおける誘起された吸光度は0.0015(/cm)であった。図4にArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度の変化を示した。また、KrFレーザーを1パルスあたりのエネルギー密度100mJ/cm、周波数200Hzで2×105ショット照射したときの210nmにおける誘起された吸光度は0.0035(/cm)であった。このレベルはエキシマレーザー光学用の石英ガラス材料としては十分に小さいものであり、高いレーザー耐性が備わっているといえる。
【0023】
以上のように、高圧水素雰囲気処理中の処理圧力を変化させることによって、水素分子の濃度分布を生じさせることなく均一にドープされることから、屈折率の均質性が高く、かつ、レーザー耐性の優れた光学用石英ガラスを得ることができる。参考例、実施例及び比較例の評価結果をまとめて図3の表に示した。
【0024】
参考例2
四塩化珪素を酸素、水素火炎中に導入し、火炎加水分解して得られる合成シリカ微粒子をそのまま回転する基体上に溶融、堆積させ、透明ガラス体のインゴットを作成した(直接火炎加水分解法)。次に前記透明ガラスインゴットをカーボンヒータを用いた電気炉で窒素中にて1800℃に保持し、溶融、円盤状に成型した。成型体のサイズは直径260mm、厚さ65mmである。該成型体の最初から含有している水素分子を一旦脱ガスするために、大気雰囲気中の電気炉内で温度1150℃で250hr保持し、続いて、歪み除去および均質化のために、前記加熱処理に引き続き、5℃/minの降温速度で900℃までは徐冷を行い、その後炉の通電を停止し、自然冷却を行った。次いで、該成型体の外表面を10mmの深さで研削し、直径240mm、厚さ40mmの石英ガラス体を得た。この石英ガラス体の水素濃度は検出限界以下、厚さ方向の屈折率の均質性(側面から測定)は、Δnで±1.0×10−6、直径方向(上下面から測定)はΔnで±0.7×10−6であった。
【0025】
上記成型体に水素分子を導入するために、水素処理炉で熱処理を施した。処理条件は、水素分子100%の雰囲気中で、加熱保持温度は400℃、圧力(p1)10気圧で350時間(t1)保持し、続いて、加熱保持温度は400℃、圧力(p2)を2.5気圧に減圧し300時間(t2)保持した。該水素処理済み成型体を取り出し、屈折率の均質性を厚さ方向および直径方向で測定を行った。厚さ方向の屈折率の均質性(側面から測定)は、Δnで±1.2×10−6、直径方向(上下面から測定)はΔnで±0.9×10−6であり、水素分子の導入後も高い均一性が維持されていた。また厚さ方向で複屈折を測定したところ、<1.5nm/cmであった。参考例1と同様、水素分子濃度分布、ArF及びKrFのエキシマレーザー耐性の評価を行った。平均水素分子濃度が1.7×1018(分子数/cm)、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は3.5×1017(分子数/cm)であった。また、ArFレーザー照射時の215nm誘起吸光度は0.002(/cm)、KrFレーザーを照射したときの210nmの誘起吸光度は0.0045(/cm)であった。図4にArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度の変化を示した。このレベルはエキシマレーザー光学用の石英ガラス材料としては十分に小さいものであり、参考例1の場合と同様、高いレーザー耐性が備わっているといえる。
【0026】
実施例
直接火炎加水分解法により得られた石英ガラスインゴットから脱水素熱アニール処理まで参考例2に示した同様の方法を用いて、直径240mm、厚さ25mmの円盤状の透明ガラス体を作成した。この石英ガラス体の水素濃度は検出限界以下、厚さ方向の屈折率の均質性(側面から測定)は、Δnで±1.2×10−6、直径方向(上下面から測定)では±0.9×10−6であった。
【0027】
上記成型体に水素分子を導入するために、水素処理炉で熱処理を施した。処理条件は、水素分子100%の雰囲気中で、加熱保持温度は350℃、圧力(p1)100気圧で120時間(t1)保持し、続いて、加熱保持温度は350℃、圧力(p2)50気圧に減圧し85時間(t2)保持、次いで加熱保持温度350℃にて、圧力(p3)を25気圧に減圧し135時間(t3)保持した。該水素処理済み成型体を取り出し、屈折率の均質性を厚さ方向および直径方向で測定を行った。厚さ方向(側面より測定)の屈折率の最大値と最小値の差(Δn)は±1.8×10−6、直径方向(上下面から測定)は±1.5×10−6であり、水素分子の導入後も高い均質性が維持されていた。また厚さ方向で複屈折を測定したところ、<2nm/cmであった。参考例1と同様、水素分子濃度分布、ArF及びKrFのエキシマレーザー耐性の評価を行った。平均水素分子濃度が1.6×1019(分子数/cm)、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は1.2×1018(分子数/cm)であった。また、ArFレーザー照射時の215nm誘起吸光度は0.0023(/cm)、KrFレーザーを照射したときの210nmの誘起吸光度は0.0050(/cm)であった。図4にArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度の変化を示した。このレベルはエキシマレーザー光学用の石英ガラス材料としては十分に小さいものであり、参考例1の場合と同様、高いレーザー耐性が備わっているといえる。
【0028】
参考
水素分子ドープのための熱処理で、ヘリウムガスと水素ガスの混合ガスを使用する以外は、参考例1と同様の条件で成型体を作成した。水素分子を導入するための熱処理条件は、第一段階の処理として、処理温度350℃、100%の水素ガス雰囲気中で、圧力(p1)30気圧で600時間(t1)保持した。次いで第二段階の処理は、ヘリウムガスと水素ガスの混合ガスを用いた。混合ガス中のヘリウムガスの分圧は22気圧、水素ガスの分圧を8気圧に設定し、この30気圧の混合ガス中に、温度350℃で550hr保持した。参考例1の場合と同様に均質性、水素分子濃度分布、レーザー耐性の評価を行った。厚さ方向の屈折率の均質性は、最大値と最小値の差(Δn)で±1.5×10−6、直径方向では±1.0×10−6であり、水素分子の導入後も高い均質性が維持されていた。また厚さ方向で複屈折を測定したところ、<1.5nm/cmであった。平均水素分子濃度は4.0×1018(分子数/cm)、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は4.0×1017(分子数/cm)であった。また、ArFレーザー照射時の215nm誘起吸光度は0.0015(/cm)、KrFレーザーを照射したときの210nmの誘起吸光度は0.0035(/cm)と、参考例1と同様の結果が得られた。図4にArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度の変化を示した。
【0029】
実施例
参考例1と同様の方法で、直径240nm、厚さ50mmの成型体を作成した。水素分子を導入するための熱処理は処理圧力を3段階に変化させ、第三段階の処理圧力は第二段階の処理圧力より高く設定した。具体的な処理条件は、第一段階の熱処理は、処理温度350℃、100%の水素ガス雰囲気中で、圧力(p1)30気圧で550時間(t1)保持した。次いで第二段階の処理は、処理温度350℃で保持し、圧力(p2)を4気圧に設定し、500時間(t2)保持した。更に第三段階の処理として、圧力(p3)を10気圧に設定し、120時間(t3)保持した。参考例1の場合と同様に均質性、水素分子濃度分布、レーザー耐性の評価を行った。厚さ方向の屈折率の均質性は、最大値と最小値の差(Δn)で±1.2×10−6、直径方向では±0.9×10−6であり、水素分子の導入後も高い均質性が維持されていた。水素処理の圧力を3段階に設定することにより、厚さの比較的厚いものでも均一に水素分子をドープすることができ、したがって、十分に均質性の高い石英ガラスが得られることがわかった。また厚さ方向で複屈折を測定したところ、<2nm/cmであった。平均水素分子濃度は3.0×1018(分子数/cm)、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は3.0×1017(分子数/cm)であった。また、ArFレーザー照射時の215nm誘起吸光度は0.0012(/cm)、KrFレーザーを照射したときの210nmの誘起吸光度は0.0032(/cm)と、かなり低い値が得られた。図4にArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度の変化を示した。
【0030】
比較例1
実施例1と同様の方法で、同一サイズの成型体を作成した。この成型体は実施例1の水素雰囲気処理前に得られたものとまったく同一の方法で作成されたものである。該成型体に水素分子をドープするために、圧力30気圧の水素ガス100%の雰囲気中で、処理温度400℃で、600時間保持した。得られた成型体の均質性、水素分子濃度分布、レーザー耐性を測定した。直径方向(上下面からの測定)の均質性は、屈折率の最大値と最小値の差(Δn)で±2.5×10−6で多少悪くなっている程度であったが、厚さ方向の均質性はΔnで1.8×10−5と、実施例と比較して非常に大きな屈折率分布が生じてしまった。平均水素分子濃度は7.5×1018(分子数/cm)と比較的高い濃度であったが、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は1.1×1019(分子数/cm)と非常に大きく、特に外表面近傍の水素分子濃度が高くなっており、そのため屈折率の分布も表面近傍で急激に増加している。なおArFレーザー照射時の215nm誘起吸光度は0.003(/cm)、KrFレーザーを照射したときの210nmの誘起吸光度は0.007(/cm)と極端に悪いことはない。水素分子のドープ処理時に雰囲気ガスの圧力を変えなかったため、不十分な処理時間の場合、石英ガラス内部まで水素分子が拡散していくことがなく、極端な水素分子濃度分布が生じ、その結果、屈折率の分布がひどく大きくなっている。
【0031】
比較例2
水素分子ドープの熱処理条件が異なっていること以外、実施例1と同じ方法で成型体を作成した。すなわち、間接法によって直径240mm、厚さ40mmの石英ガラス成型体を作成し、この成型体に水素分子を導入するために、水素ガス雰囲気中で熱処理を施した。熱処理の条件は、水素100%の雰囲気中で、加熱保持温度が650℃、処理圧力(p1)30気圧で130時間(t1)保持した後、次いで、温度は650℃に保持したまま、水素ガスの圧力(p2)を8気圧に設定し、120時間(t2)熱処理を施した。
【0032】
得られた成型体の均質性、水素分子濃度分布、レーザー耐性を測定した。直径方向(上下面からの測定)の均質性は、屈折率の最大値と最小値の差(Δn)で±1.0×10−6、厚さ方向の均質性はΔnで1.5×10−6と良好な結果を示した。また、平均水素分子濃度は4.0×1018(分子数/cm)、水素分子濃度の最大値と最小値の差(ΔH)は4.5×1017(分子数・cm)とかなり均一に水素分子が導入されていることが確認された。しかしながら、ArFレーザー照射時の215nm誘起吸光度は0.013(/cm)、KrFレーザーを照射したときの210nmの誘起吸光度は0.031(/cm)と極端に悪化している。図4にArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度変化を示しているが、特に比較例2の試料では急激な吸収の増加が生じていることがわかる。これは水素分子ドープのための熱処理が高温で処理されたために石英ガラス中に還元性欠陥が生成し、レーザー照射により吸収が増加したためである。水素分子濃度の最大値と最小値の差や均質性には問題がないものの、レーザー耐性が悪いため、エキシマレーザーの光学用には不適当なものである。
【0033】
【発明の効果】
以上、記載のごとく本発明によれば、石英ガラスのエキシマレーザーに対する耐性を向上させるために導入する水素分子を均一にドープすることがでるため、屈折率の均質性、複屈折などの光学特性を損なうことなく、レーザー耐性の高い石英ガラス部材を得ることができる。したがって、本発明により製造された石英ガラスは、すぐれた光学特性を維持しつつ、特にエキシマレーザーのような高エネルギー紫外線パルスレーザーにも長期間、安定して使用できるレーザー耐性を備えており、半導体製造用リソグラフィー装置やその他の紫外線光学系に好適に使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】屈折率分布の測定方法とその方向を説明するための図である。
【図2】レーザー耐性を評価するための透過率測定装置の概略図である。
【図3】実施例、比較例の各種物性評価結果の表を示す図である。
【図4】実施例、比較例のArFレーザー照射に伴う215nmの吸光度の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 エキシマレーザー
2 試料
3 重水素ランプ
4 ビームスプリッター
51 モノクロメータ
52 モノクロメータ
61 フォトマル
62 フォトマル
7 エキシマレーザー光

Claims (5)

  1. 合成石英ガラス体を1気圧以上150気圧未満の圧力の水素含有雰囲気中で、処理温度600℃以下で熱処理して、該石英ガラス体に水素分子を含有させる工程を含むエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法であって、前記熱処理中の少なくとも一部において、前記水素含有ガスの圧力を連続的もしくは段階的(但し、2段階を除く。)に変化させることを特徴とするエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
  2. 前記水素含有ガスの圧力の変化が減少である請求項1記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
  3. 合成石英ガラス体を、水素含有雰囲気中で、第1設定圧力で、第1設定時間、熱処理を施した後、前記第1設定圧力より低い第2設定圧力で、第2設定時間熱処理を施す請求項2記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
  4. 前記水素含有雰囲気が、100%の水素ガス、もしくは、窒素、アルゴンまたはヘリウムと水素ガスの混合ガスである、請求項1〜3のいずれかに記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
  5. 水素を含有させる前記合成石英ガラス体を、直接火炎加水分解法または間接火炎加水分解法によって作成する、請求項1〜4のいずれかに記載のエキシマレーザー用合成石英ガラス部材の製造方法。
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