JP4453936B2 - エキシマレーザー用光学部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線レーザー、特にKrF、ArF等のエキシマレーザーの照射に対する安定性に優れた石英ガラス光学部材の製造方法に関し、特に前記レーザーを光源とするレーザ加工装置やリソグラフィー装置の光学系を構成するレンズ、ミラー、プリズム等の石英ガラス製光学部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化に伴ない、ウェーハ上に集積回路パターンを描画する光リソグラフィー技術においては、より線幅の短い微細な描画技術が要求されており、これに対応するために、露光光源の短波長化が進められてきている。このため、例えばリソグラフィー用ステッパーの光源は従来用いられてきたG線(436nm)、i線(365nm)からKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)が用いられようとしており、ステッパーに用いられるレンズには、非常に優れた均質性と紫外線透過性が要求されてきている。
【0003】
そして前記i線(365nm)より短い波長領域においては、従来用いられてきた多成分系光学ガラスでは十分な光透過性が得られないため、石英ガラス、それも紫外線吸収を極力低減するために不純物含有量の少ない合成石英ガラス(合成シリカガラス)が用いられている。
この合成石英ガラスは、通常、紫外線吸収の原因となる金属不純物の混入を避けるために、化学的に合成され、蒸留によって純化された、高純度の揮発性珪素化合物、例えば四塩化けい素(SiCl4)等のハロゲン化けい素類、テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)等のアルコキシシラン類、更に例えばメチルトリメトキシシラン(SiCH3(OCH3)3)等のアルキルアルコキシシラン類の蒸気を、直接酸水素火炎中に導入して、酸水素炎にて火炎加水分解させ、ここで分解生成したガラス微粒子を、直接回転する耐熱性棒状芯部材上に溶融堆積して成長させることにより、透明な高純度石英ガラスに製造する。
【0004】
また、上記ガラス微粒子を直接溶融堆積せずに、耐熱性棒状芯部材上にそのまま微粒子として堆積せしめ多孔質シリカ母材を形成した後、該多孔質シリカ母材を電気炉で加熱透明化して石英ガラス体を得る方法もある。
このようにして製造された合成石英ガラスは、極めて高純度で、190nm程度の短波長領域まで良好な光透過性を示すので、紫外線レーザー光、特にKrF、ArF等のエキシマレーザー透過材料としてしばしば使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、合成石英ガラスの純度を向上して紫外線レーザーの透過率を向上させる方法は、ある程度効果的ではあるものの、KrF、ArF等の紫外線レーザーの長期照射に関しては信頼性に欠ける場合がある。これは、エキシマレーザー光が20ns(ナノ秒)程度のパルス幅を有するパルス光であるため、通常の水銀ランプ等から放射される紫外線と比べて時間当たりのエネルギーが非常に高い光であるため、ガラスに加わる負荷が極めて大きくなるためである。
かかる欠点を解消するため本出願人は、合成石英ガラス体中に水素ガスをドープする事により特に紫外線レーザー耐性を高める技術(日本国特願平1−145226、USP5,086,352)を開示している。これは極めて効果的な手段で、実際、水素を1×1017分子/cm3以上含有させた合成石英ガラスの場合、KrFリソグラフィー用の光学部材の素材として満足のいく領域に達しており、工業的にも有効な手段として実施されている。
【0006】
そして前記水素ガスをドープする手段として合成石英ガラスを常圧乃至加圧水素ガス雰囲気中で加熱する技術を前記出願で開示している。
又このような水素ガスドープ技術は日本国特開平1−201664号にも開示されており、特に該公報には常圧水素ガス雰囲気下800〜1000℃で加熱処理する事により前記ガスドープを可能にした技術が開示されている。
さて前記出願は水素ガス濃度やOH基濃度について着目した技術であるが、本発明者が、レーザー照射によって発生する常磁性欠陥の挙動についてより詳細に調べてみると、水素を所定濃度含有していれば、全ての石英ガラスで常磁性欠陥の生成が抑制されているわけではなく、素材によってバラツキを有することが判明した。そしてこのレーザ耐性の差は、そのまま光学部材の寿命のバラツキとなるために、工業的に不利益を生じる。
【0007】
更に、レーザー照射によって生じる常磁性欠陥は215nmに吸収のピークを有しているために、波長的に比較的離れているKrF(248nm)レーザーでは、さほど問題とならなかった場合でも、波長的に近いArF(193nm)レーザーの場合には大きな問題となる。
さてArF、KrFのようなエキシマレーザー光は光としてのエネルギーが非常に高いため、化学結合を直接切断することができ、この為、エキシマレーザー光を用いた穴あけ加工や、ワイヤーのストリッピング加工が、従来のYAGレーザーや、炭酸ガスレーザーに較べて早く、かつ熱を伴わないので正確にできるなどの利点があり、今後産業界での応用が期待される分野である。
【0008】
しかしながら、これらの用途で用いられる光学系を構成する材料は、これらの光が紫外線であるために透過性の良好な材料が、合成石英ガラスに限定される上、使用される光のエネルギー密度が非常に高いため、合成石英ガラスであっても、すぐに光学的ダメージを生じてしまい、耐久性の問題があった。
特にレーザーアブレーション加工において要求されるエキシマレーザー光のエネルギーは、アブレーションされるポリイミドや金属などが、光によって分解し気化するに足るエネルギーを要するので桁違いに強力なものとなっている。
このような技術分野に、例えばエキシマレーザーリソグラフィーで使用されるような光学部材を使用する事は、たとえそれがリソグラフィー用のレンズ素材として充分なレーザー耐性を備えていても、充分な効果は得られない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、レーザー照射時の前記常磁性欠陥生成のバラツキを抑制し、より安定してレーザー耐性の優れた耐エキシマレーザ、特にArF、KrFエキシマレーザ用光学部材の製造方法を提供する事を目的としている。
本発明の他の目的とする処は、エキシマレーザーアブレーション加工機に使用される光学部材として好適な、特に長期使用によっても充分な光学的安定性を達成し得る光学部材の製造方法を提供する事にある。
本発明の他の目的とする処は、リソグラフィ装置に使用される光学部材として好適な光学部材を提供する事にある。
【0010】
本発明者らは、かかる問題を解決するため鋭意研究の結果、ガラス微粒子を溶融堆積してなる透明なガラスを出発母材とした耐紫外線レーザ用石英ガラスにおいては、水素含有によるレーザー耐性の向上効果が、水素濃度のみで単純に決められるのではなく、前記水素が導入(ドープ)される時点の石英ガラスの状態、及び水素が導入される温度に依存することをつきとめ、最適な水素濃度の設定に加えて、水素導入前の石英ガラスの状態の設定、及び水素の導入温度を規定すること、更には導入した水素の濃度分布の均一化をはかることによって、本発明の目的がはじめて達成されることを見出した。
【0011】
即ち、シリカ微粒子を基体上に直接溶融堆積して得られる合成石英は、酸水素火炎で合成する為に、製造された段階で既にかなりの濃度の水素が溶存している場合が多く、その濃度も、多い場合には1×1018分子/cm3以上の水素を含有している場合がある。
そしてこのような石英ガラスでは、水素が導入される温度が非常に高いため、合成石英製造時に水素による還元性の欠陥が生じてしまうことが判明した。
このため、この様な石英ガラスではたとえ水素濃度は高いもののエキシマレーザーを照射した際にE*センタと呼ばれる215nmに吸収ピークを有する欠陥が速やかに生成してしまい、レーザーの透過率が急激に低下してしまう。
【0012】
そこで本発明は、前記ハロゲン化けい素類、アルコキシシラン類、アルキルアルコキシシラン類等から得た出発母材を600℃以上、1500℃以下の温度領域で酸化熱処理し、水素濃度を5×1016分子/cm3以下に低減させると同時に前記した還元性欠陥を低減させることを第1の特徴とする。
一般的には還元性欠陥としては酸素欠損型欠陥が代表的であるが、この欠陥は245nmの波長領域に吸収を有しているので、この波長における内部透過率が、試料1cmあたり99%以上であれば実質的に還元性欠陥は排除できたと見なせることが分かった。
【0013】
ここにいう内部透過率とは試料厚さ1cm当たりの見かけ透過率を理論透過率で表わした値である。
又前記還元性欠陥除去に好適な温度条件においては、同時に石英ガラスの歪除去も可能であるためこの2つの工程を同時に行うと能率的である。
そこで本発明の好ましい実施例においては、第1工程として前記還元性欠陥特に酸素欠損除去を、酸素を有する雰囲気で800〜1500℃、好ましくは1000℃〜1300℃以下の温度領域で保持した後徐冷することにより、歪除去と共に、245nmの波長の紫外線に対する内部透過率が99.8%以上でかつ含有される水素濃度が5×1016分子/cm3以下に低減させるようにしているのが第1の特徴である。
【0014】
次に第2工程で水素濃度を1×1017分子/cm3以上含有せしめる訳であるが、この際ドープ速度を早めるために、高温域で水素導入を行なうと、新たな還元性の欠陥が生じることが実験によって判明した。
そこで本発明は、石英ガラスを水素含有雰囲気下で200℃以上600℃以下の温度領域に保持して水素濃度を1×1017分子/cm3以上含有せしめる事を第2の特徴とする。
即ち、600℃を超える高温で水素ドーピングを行なうと、石英ガラスと水素の反応による還元性欠陥が生成する事となり、又200℃未満の温度での水素ドーピングでは、石英ガラスに対する水素ガスの拡散速度が遅いために工業的に経済的な範囲でのドーピングが困難になる。
【0015】
尚、本発明で示されているような酸化処理を施した後、600℃以下の温度で水素をドープさせた場合は、水素濃度が高いほどレーザーに対する安定性は増すので、水素ドープの際の水素圧力は高いほど望ましい。実際には600℃以下の温度領域での水素ドーピングには、オートクレープ等の高圧炉内で10atm以上、好ましくは50atmを越える圧力で実施することが必要である。
さて本発明に類似する技術として本出願人が先に、日本国特開平3−23236号において、OH基濃度を有するインゴットを酸素ガス雰囲気で加熱処理した後、水素ガス雰囲気で約600乃至700℃で加熱処理する技術を提案している。
【0016】
しかしながら、前記技術は、単に酸化熱処理により酸素欠損を除去する事を目的とするもので、一方本発明は石英ガラスと水素の反応によって生じる還元性欠陥に着目してその欠陥を排除し、かつそれら欠陥が再度生成しないように水素ドーピングを行なうことを特徴としている。
更に本出願人は、日本国特開平3−88742号において、水素ガスをドープする手段として前記シリカガラスを常圧乃至加圧水素ガス雰囲気中で200乃至1200℃に加熱する技術を開示しているが、かかる技術は水素がドープし得る温度範囲を単に規制しているのに対し、本発明は、水素ドーピングに先だって、還元性欠陥を除去した後に、再度還元性欠陥が生成しない温度領域で水素ドーピングを行なうことを特徴としている。
【0017】
即ち、本発明はシリカ微粒子を基体上に直接溶融堆積して得られる合成石英ガラス中に含まれる還元性欠陥と水素を先ず除去する工程と、第2工程で還元性欠陥が生じないように水素導入させる点を特徴とするもので、かかる2つの工程の組合せがまず必要となる。
しかしこのようにして得られた高濃度の水素を含有した石英ガラスの水素濃度分布は、拡散現象の原理に基づく結果として、その周辺部分の濃度は中心部の濃度より高くなっている。このことはとりもなおさず、屈折率の分布に比例的影響を及ぼし、本来必要とする均質性を阻害する。そこで本発明は第3工程により、導入水素濃度の均一化をはかることを特徴とする。
【0018】
即ち本発明の最終ステップである第3工程として空気、不活性ガス、水素又は水素と不活性ガスとの混合ガス若しくは空気と不活性ガスの混合ガス雰囲気中で500℃以上800℃以下の温度範囲において、屈折率の均一性(Δn)が5×10 −6 以下とならしめる水素濃度均一化処理を行う第3工程を含み、
前記第3工程を500℃以上800℃以下の温度範囲中、第2工程の温度より高い温度で行い、処理時間を第2工程と第3工程との処理温度差をΔTとしたとき「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×20%以上」で且つ「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×40%以下」の範囲とすることを第3の特徴とする。
本発明は前記第1、第2及び第3工程を順次行うことにより、本発明の目的をはじめて達成することができる。
このようにして本発明は還元性欠陥を排除しながら水素濃度を1×1017分子/cm3以上、好ましくは1×1019分子/cm3以上とし且つ均一な屈折率分布を持つ、紫外線レーザ用合成石英ガラス製光学部材の提供が可能となった。
【0019】
そして本発明者は前記光学部材を、特にエキシマレーザーアブレーション加工機に使用する場合において、特に高出力のエキシマレーザーに対する高耐久性を実現するために、鋭意研究を加えた結果、テトラメトキシシラン等の揮発性珪素化合物を酸素、水素火炎、あるいは酸素、メタン等の水素を含む可燃ガス火炎により、火炎加水分解して得られたシリカ微粒子を回転する基体上に堆積、溶融して得られるOH基濃度が500ppm以上の合成石英ガラスを出発母材として、場合に応じて該出発母材を溶融帯域法にて帯域溶融を行いながらひねりを加えて少なくとも1方向での均質化処理を行なった後に、これを酸素を含有する雰囲気にて(通常の大気雰囲気でも可である。)、800℃〜1500℃、好ましくは800℃〜1300℃の温度範囲にて加熱し、含有される水素濃度を1×1016分子/cm3以下に設定した後にオートクレープにて水素を10atm、好ましくは50atm以上の高圧で、かつ200℃以上600℃以下好ましくは300℃から500℃の温度で水素をドープし、含有水素濃度を1×1019分子/cm3以上とし、さらに空気、不活性ガス、水素又は水素と不活性ガスとの混合ガス若しくは空気と不活性ガスの混合ガス雰囲気中で300℃以上800℃以下の温度範囲に所定時間保持して、水素濃度均一化処理をすることにより、エキシマレーザーアブレーション加工機に用いた場合でも十分に耐久性を有する光学部材を得ることができることを見出した。
【0020】
出発物質の均質化処理は別の技術によれば、別段の処理ステップをとらず、酸水素炎中での直接加水分解物を回転基体上に溶融堆積する際、温度条件、その他の成長条件を制御することにより均一な屈折率分布を維持しつつ成長して得られた石英ガラスを用いてもよい。
この時、好ましくは石英ガラスに不純物として含有される塩素の影響を極力排除する目的で、合成石英ガラスの原料である揮発性珪素化合物としては、塩素を含まないシラン類、例えばメチルトリメトキシシランSiCH3(OCH3)3やテトラエトキシシランSi(OC2H5)4あるいはヘキサメチルジシロキサンSi2O(CH3)6などを利用するのがよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成材料の材質、形状、その組成などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0022】
先ず本発明に用いる合成石英ガラスの製造方法について説明する。合成に用いる揮発性珪素化合物には、化学的に合成され、蒸留に依って純化された高純度の発揮性珪素化合物、例えば四塩化けい素(SiCl4)等のハロゲン化けい素類、テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)等のアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン(SiCH3(OCH3)3)等のアルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシロキサン(Si2O(CH3)6)等のシロキサン類を用いる。
【0023】
この際四塩化けい素(SiCl4)等のCl含有の揮発性化合物を用いると生成された合成石英ガラスに塩素が残留し好ましくない。
そして例えば高純度のメチルトリメトキシシラン(SiCH3(OCH3)3 )を酸水素火炎にて火炎加水分解して得られたシリカ微粒子を回転するターゲット上に堆積、溶融して外径100mm、長さ800mmの合成石英ガラスインゴットを生成した。
この時インゴットに含有されるOH基濃度は赤外分光光度法による3800cm−1の吸収強度から600ppmであることが解った。また、このインゴットに含まれる水素分子濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ、含有される水素濃度は2×1018分子/cm3 であった。使用機器は日本分光工業製NR−1000、励起波長488nmのArレーザーで出力は700mW、浜松ホトニクス社製R943−02フォトマルチプライヤーを使用し、ホトンカウンティングにて測定を行なった。
【0024】
尚、本発明における石英ガラス中の含有水素濃度は、Zhurmal Prikladonoi Spektroskopii Vol.46 No.6 pp987 to 991 june 1987に示される方法によった。
即ち、SiO2に関する波数800cm−1のラマンバンドの強度と石英ガラス中に含有される水素分子に関する4135cm−1の強度比により、石英ガラス中の水素分子濃度を求めるものであり、水素分子濃度Cは以下の式(1)により算出される。
C=K(I4135/I800)…(1)
式(1)中で
K:定数(1.22×1021)
I4135:4135cm−1のラマンバンドの面積強度である。
I800:800cm−1のラマンバンドの面積強度である。
この式により算出される水素分子濃度は1cm3の容積当りの石英ガラス中に含まれる水素分子の個数である。
【0025】
図5に示すようにこの合成石英ガラスインゴット30の両端に同径の石英ガラスの支持棒32を溶接し、図5に示す脈理除去装置のチャック31、31で両端把持した。この左右のチャック31、31の回転を同期させ、合成石英ガラスインゴット30を所定角度往復回転させつつ、その端部を酸素/水素バーナー34で強加熱し溶融帯域を形成した。溶融帯域30aが形成された後、前記左右のチャック31、31の回転をそれぞれが相対する方向に回転させることにより、溶融帯域30a内の石英ガラスに周方向に練り込み力を与え混練をした。35はチャック31を往復回転させるモ−タである。
【0026】
次に酸素/水素バーナー34をゆっくりと合成石英ガラスインゴット30の他端側に移動させることにより合成石英ガラスインゴット30全体を均質化した。
均質化後、合成石英ガラスインゴット30を支持棒32から切り放し、サンプルを切り出し脈理を観察したところ、インゴットの回転軸と垂直に見た場合の脈理は観察されたものの、インゴットの断面方向には脈理は観察されなかった。
この均質化を終わった合成石英ガラス体を、外径100mm、厚さ15mmの円盤状に複数枚切り出し、それぞれサンプルA群、B群に分けた。サンプルA群については大気雰囲気の電気炉内にて1000℃にて48時間加熱後200℃まで徐冷した後、放冷冷却して還元性欠陥除去処理を行った。サンプルB群は本還元性欠陥除去処理を施さず、次の工程に用いた。
【0027】
冷却後、ラマン散乱分光光度法にて各サンプルの水素濃度を測定したところ水素濃度は同測定法の検出限界である1×1016分子/cm3以下で、且つ245nmにおける内部透過率は99.9%/cmであった。
ついでサンプルA−9を図4に示すオートクレーブ炉内に設置し、略100 atm の高圧水素ガスで封入し、300℃まで昇温したところ内部気圧は略200atmまで昇圧していた。このままの状態で720時間保持した。処理後のサンプルA−9の水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ8.9×1019分子/cm3 であることが解った。
【0028】
オートクレープ炉は図4に示すように、ステンレス製の炉本体40と、その周囲を囲繞するヒータ41と、前記炉本体40の上面開口を封止するステンレス製のヘッド部42からなり、前記ヘッド部42には水素回路43と圧力計44が取り付けられている。45は水素処理をする為のサンプルである。
サンプルA−2については略50atmの高圧水素ガスで封入し、300℃まで昇温したところ内部気圧は略100atmまで昇圧していた。このままの状態で720時間保持した。処理後のサンプルA−2の水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ5.5×1019分子/cm3 であることが解った。
【0029】
サンプルA−3については、水素を略30atmの高圧水素ガスで封入し、炉内温を400℃まで昇温したところ内部気圧は略100atmまで昇圧していた。このままの状態で120時間保持後、徐冷した。処理後のサンプルの水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ5.1×1019分子/cm3であることが解った。
サンプルA−4については、水素を略30atmの高圧水素ガスで封入し、炉内温を400℃まで昇温したところ内部気圧は略100atmまで昇圧していた。このままの状態で、48時間保持後徐冷した。処理後のサンプルの水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ5.0×1019分子/cm3であることが解った。
【0030】
サンプルA−5については、水素を略25atmの高圧水素ガスで封入し、炉内温を800℃まで昇温したところ内部気圧は略100atmまで昇圧していた。このままの状態で24時間保持後徐冷した。処理後のサンプルの水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ5.2×1019分子/cm3であることが解った。
サンプルA−6については、水素を1atm 状態で流しながら炉内温を300℃まで昇温し、このままの状態で720時間保持後徐冷した。処理後のサンプルの水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ2.1×1017分子/cm3であることが解った。
【0031】
サンプルA−7については、水素を略5atmの水素ガスで封入し、炉内温を300℃まで昇温したところ内部気圧は略10atmまで昇圧していた。このままの状態で720時間保持後徐冷した。処理後のサンプルの水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ1.2×1018分子/cm3であることが解った。
サンプルA−8については、水素を略25atmの高圧水素ガスで封入し、炉内温を300℃まで昇温したところ内部気圧は略50atmまで昇圧していた。このままの状態で720時間保持後徐冷した。処理後のサンプルの水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ3.2×1019分子/cm3であることが解った。
【0032】
サンプルB−1については、前記還元性欠陥除去処理と水素ドープ処理のいずれも行なわない比較例で、この場合酸素/水素バーナーで強加熱し溶融帯域を形成した為に、水素濃度は1×1018分子/cm3であった。
次に前記サンプルB−2についてサンプルA−2と同様に、略50atm の高圧水素ガスで封入し、300℃まで昇温したところ内部気圧は略100atm まで昇圧していた。このままの状態で720時間保持した。処理後のサンプルB−2の水素濃度をラマン散乱分光光度法にて測定したところ5.4×1019分子/cm3であることが解った。
【0033】
次に前記各試料について耐レーザー特性を評価するために、前記各試料にArFエキシマレーザー光を照射し常磁性欠陥(E*センタ)の吸収である215nmにおける吸光度の変化を測定した。215nmの吸光度は−log(1cm当たりの内部透過率)を用いて計算した。
次に前記透過率測定方法について詳細に説明する。
図6は透過率測定装置の概略図で、1はエキシマレーザで、ラムダフィジック社製LPX2000を用い、パルス当たりのエネルギー密度200mJ/cm2p、100Hzにて、各試料75のレーザ照射面に直角にレーザ照射を行うように構成している。
【0034】
透過率測定装置は、紫外線の光源としてD2ランプ73、その光を215nmに分光する第1のモノクロメータ71、ビームスプリッター72を介して入射光の光量を測定するための第1のフォトマルチプライヤー74、及び試料75を挟んで第2のモノクロメータ76及び透過してくる光量を測定するためのフォトマルチプライヤー78によって構成されている。
D2ランプ73より照射された光はビームスプリッター72を介して一部フォトマルチプライヤー74に入射すると共に、他の光はモノクロメータ71により215nmに分光され、試料75、モノクロメータ76を経てフォトマルチプライヤー78に受光され、フォトマルチプライヤー78と74の受光比により透過率が測定できる。ここでフォトマルチプライヤー78と74の受光量の計測はエキシマレーザーの発振パルスと同期しているために、レーザー照射を行ないながら同時に透過率の測定が行なえる。
【0035】
そして前記装置を用いて各試料についてレーザ照射方向の側面より各照射パルス毎に測定を行い、その内部透過率変化を図1乃至図3に示す。
尚、測定した透過率は、照射レーザと同じ193nmの波長では、装置が破損してしまうので、E*センタの吸収波長である215nmの透過率を測定した。けだし、実際には215nmの吸光度と、193nmの吸光度の間には比例関係があるので、前記測定方法によって、実際にレーザ照射中の石英ガラスの内部透光率を得る事が出来る。
【0036】
図2は水素処理炉内の処理温度の違いに基づく、サンプルA−2乃至サンプルA−5の内部透過率変化を示し、本図等より理解される通り、ドープ温度が300乃至400℃のサンプルA−2、Aー3については初期特性(照射パルス数:2×104〜6×104)においても又中期特性(照射パルス数:1×105)においても内部透過率が0.98以上(◎)で更に図1に示すように長期特性(照射パルス数:1×107)においても内部透過率が0.96〜0.98(○)であり好ましい耐レーザ評価を得る事が出来た。
【0037】
尚内部透過率が0.98以上を(◎)内部透過率が0.96〜0.98を(○)、内部透過率が0.94〜0.96を(△)内部透過率が0.94以下を(×)とする。
又ドープ温度が800℃のもの(サンプルA−5)については初期特性において内部透過率が0.94〜0.96(△)に低下し、その後、図1に示すように長期特性においても内部透過率が0.94〜0.96(△)にとどまった。
また水素ドープを行なわずに還元性欠陥除去処理のみを行なったもの(サンプルA−1)については初期特性において内部透過率が0.94〜0.96(△)の範囲であったが、その後徐々に内部透過率が低下し、図1に示すように長期特性においては内部透過率が0.94(×)以下に低下しており、いずれも耐レーザ評価を得る事が出来なかった。
【0038】
又600℃のもの(サンプルA−4)については初期特性において内部透過率が0.96〜0.98(○)に低下し、又、図1に示すように長期特性においては内部透過率も0.96〜0.98(○)と同じレベルにとどまった。
サンプルB−1及びサンプルB−2については、いずれも還元性欠陥除去処理を行なっていない為に、初期特性(照射パルス数:2×104〜6×104)において内部透過率が大幅に低下しているが、その後急速に回復していることが理解され、その回復の程度は水素濃度に対応して前記サンプルB−2(5.4×1019分子/cm3)の方がサンプルB−1(1.0×1018分子/cm3)より良好なことが確認された。
【0039】
そして前記サンプルB−2については107パルス照射後の215nmにおける内部透過率はサンプルA−8と同程度まで回復していることが図1により確認された。
図3は、水素処理圧力の変化に基づく水素濃度と内部透過率の変化量[ArFレーザ(200mJ/cm2p、100Hz)で107パルス照射前後の215nmにおける内部透過率の変化量(レーザ照射前の透過率と長期照射後の透過率の差ΔT%)]を示し、本図等より理解される通り、ドープ圧力が100atm以上(サンプルA−2、サンプルA−9)では好ましい内部透過率を得る事が出来、又ドープ圧力が50atmのサンプルA−8でも実用上差し支えない範囲の低下であったが、ドープ圧力が10atm以下のもの(サンプルA−6、Aー7)については内部透過率の低下が大きく、特にサンプルA−6については内部透過率が0.94(×)以下に、又サンプルA−7についても内部透過率が0.94以下(×)に低下していた。
【0040】
さてエキシマレーザーアブレーション加工機に使用する場合、そのレーザ出力は100〜700mJ/cm2p前後必要とされるために、前記した酸素を含有する雰囲気にて、好ましくは800℃〜1300℃の温度範囲にて加熱して還元性欠陥除去処理(含有される水素濃度を1×1016分子/cm3以下に設定する)をした後に水素を50atm、好ましくは100atm以上の高圧で、かつ600℃以下好ましくは略300〜500℃前後の温度で水素をドープし、含有水素濃度を1×1019分子/cm3以上に設定することにより、エキシマレーザーアブレーション加工機に用いた場合でも十分に耐久性を有する光学部材を得ることができるが、一方リソグラフィ装置に使用する光学部材については、そのレーザ出力は1〜10mJ/cm2p前後でよい為に、必ずしも前記した高出力耐レーザ性を有する光学部材は必要としない。
【0041】
そこで、本発明は前記評価試験で好ましくないとされたサンプルA−4、サンプルA−5、サンプルA−6、サンプルA−7、サンプルB−2について、水素処理圧力/温度の変化及び水素ドープ処理前の還元性欠陥処理の有無の状態に基づく水素濃度と内部透過率の変化量を、前回よりレーザビームのエネルギーを1/10のレーザ出力で[ArFレーザ(20mJ/cm2p、100Hz)で107パルス照射後の215nmにおける内部透過率の変化を確認したところ、図1に示すように、ドープ温度が600℃のもの(サンプルA−4)でも好ましい内部透過率(◎→◎)を得る事は出来たが、800℃のもの(サンプルA−5)については初期特性時から僅かに回復した(△→○)が好ましい耐レーザ評価を得る事が出来なかった。
【0042】
又ドープ温度が300乃至600℃であればドープ圧力が10atm以上(サンプルA−7)では好ましい内部透過率(◎→○)を得る事が出来、又ドープ圧力が1atmのサンプルA−6でも初期特性(◎)から長期特性(△)へと低下したがなんとか使用できる範囲の低下であった。
又水素ドープ処理前の還元性欠陥処理の有無の状態についても還元性欠陥処理を行なわずに水素ドープ処理のみを行なったサンプルB−2については5×1019分子/cm3以上の水素濃度を有していても初期特性時に大幅に低下(×)し、高精度のリソグラフィ装置としては好ましい耐レーザ評価を得る事が出来なかった。
【0043】
前記したごとく、光学部材は使用波長における良好な透過性とその持続性(いわゆる耐性)が必要なだけでなく、透過する光に対して屈折率がその光路のいずれの部分においても均一(同一)であることが、解像度の点で重要な要素であり、この三要素が揃って初めて光学部品としての要求を満たしたことになる。
前記までの実施例で本発明者が主張する第1工程、第2工程の必要性(透過性と持続性)は明確になったので、次に低温高濃度水素ドープによって再び還元性欠陥を生成させることなく水素濃度を高めた光学部材が、第3工程によって水素濃度分布を均一化する操作を必要とするところをさらに実施例によって説明する。
【0044】
即ち、揮発性珪素化合物を直接揮発性珪素化合物を火炎加水分解し、生成するシリカ微粒子をそのまま回転する基体上に溶融・堆積して得られる合成石英を帯域溶融法によって均質化処理を行い窒素置換した炉内でグラファイト型を用い1800℃で加熱成型し、外径100mm、厚さ50mmの石英ガラス成型体複数個を得た。この成型体を1150℃で10時間加熱後徐冷し、使用方向に脈理のない屈折率の均質性Δnが5×10−6の高均質な石英ガラス部材を得た。これをサンプルC群とする。図10に均質な屈折率が現れているサンプルC群の内の一つの状態を示す。
【0045】
ついで、サンプルC群を大気中1150℃で50時間加熱後、時間当たり5℃の冷却速度で徐冷した。部材の水素濃度は5×1016分子/cm3以下であった。(第1工程)
第1工程を経たサンプルC群を加圧水素炉中で100atm、500℃で500時間加熱した。得られた石英ガラス部材の水素濃度を測定してみると中央部は7×1018分子/cm3であったが、外周から20mmの部分では2.5×1019分子/cm3と3.5倍の濃度差が認められた。これに伴い屈折率分布も周辺部が非常に高くなり、Δnは2×10−5のと光学部品としては実用上使用出来ないレベルになった。その状態を図11に示す。(第2工程)
【0046】
第1工程及び第2工程を経たサンプルC群を大気中500℃で50時間〜400時間の熱処理を行った(第3工程)。それぞれ処理時間に対応してサンプルC−1、C−2、C−3、 C−4、 C−5とし、その水素濃度分布の結果を図8に示した。サンプルC−1に相当する50時間では処理不足のためΔnの改善が不十分であり、300時間を超えると屈折率分布の改善がこれ以上認められず、しかも水素濃度が低下しているのが分かる。図12は第3工程の干渉縞パターン図であって、均一な水素濃度分布が得られる状態を示している。
同様に大気中600℃で熱処理を行ったが、それぞれの処理時間を60時間、120時間、180時間、240時間にしたとき、同様に満足すべきΔnの改善が得られた。
【0047】
さて、このように水素濃度均一化処理の適切な条件を実験的に探ってみると、当然、水素の石英中での拡散速度の温度依存性に関係しており、第2工程での温度と第3工程との温度差で第3工程の適切な処理時間範囲のあることも本発明者は見出した。拡散理論から定量的に規定すると、第3工程を500℃以上800℃以下の温度範囲中、第2工程の温度より高い温度で行い、処理時間を第2工程と第3工程との処理温度差をΔTとしたとき「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×20%以上」で且つ「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×40%以下」の範囲が適切であった。
図7は本発明の光学部材が適用されるエキシマレーザによりアブレーション加工機の一例を示す。
【0048】
図7は多層配線基板の層間絶縁膜に配線層間接続用の穴明け(VIA穴加工)を行なう装置で、図中51はレーザ発振器、52はミラー、53は集束レンズ、54はコリメートレンズ、55は石英ガラス基板で、該ガラス基板55上にスパッタにより厚さ2μmの銅(Cu)膜56を被着し、その上に厚さ40μmの樹脂膜57としてポリイミド膜を被覆する。
この上にマスク58を0.4mmの間隔をおいて重ね、X−Yステージ59上に固定する。
尚、前記マスク58は合成石英基板58A上に直径40μmの穴パターンを有する誘電体多層膜58Bを形成している。
【0049】
そしてかかる装置において、前記ミラー52、集束レンズ53、及びコリメートレンズ54を本実施例のサンプルC−2若しくはサンプルC−4により形成した光学部材で製造したものを組み付けて、前記レーザ発振器51より発振波長248nm(KrF)、出力300mJ/cm2p、周波数200Hzでエキシマレーザを発振させるとともに、前記ミラー52及びレンズ系53、54を介して、該レーザの変向、集束及びコリメート化を行なって前記マスク58の穴パターンに従ってX−Yステージ59を移動しながら前記ガラス基板55にステップアンドリピート方式により走査加工を行ない、そして前記走査加工を繰り返し多数枚のガラス基板について行なったが、前記樹脂膜57に下地銅膜56に損傷が生じる事なく精度良い貫通孔が生成する事が確認出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の試料グループの水素濃度、ドープ温度、ドープ圧力、ドープ時間及びレーザ評価結果の関係を示す表である。
【図2】 前記試料の内、サンプルA−1〜サンプルA−5の試料を用いてエキシマレーザーアブレーション加工機に対応するArFレーザを出力した場合の内部透過率変化を示すグラフである。
【図3】 第二の試料グループサンプルA−2、サンプルA−6〜サンプルA−9、サンプルB−1、サンプルB−2の水素濃度、ドープ圧力及びレーザ評価結果の関係を示す表である。
【図4】 本発明の実施例を製造するために用いたオートクレープ炉の概略図である。
【図5】 本発明の実施例を製造するために用いた脈理除去装置の概略図である。
【図6】 透過率測定装置の概略図である。
【図7】 本発明の光学部材が組込まれたエキシマレーザーアブレーション加工機の概略図である。
【図8】 本発明の実施例の最終工程の条件に対応する結果の関係を示す表である。
【図9】 本発明の実施例の最終工程の条件に対応する結果の関係を示す表である。
【図10】 本発明の実施例の内第1工程からついで第2工程さらに第3工程を続けて実施した場合の屈折率の均一性の変化を示すための、第1工程終了後の干渉縞パターン図である。
【図11】 本発明の実施例の内第1工程からついで第2工程さらに第3工程を続けて実施した場合の屈折率の均一性の変化を示すための、第2工程終了後の干渉縞パターン図である。
【図12】 本発明の実施例の内第1工程からついで第2工程さらに第3工程を続けて実施した場合の屈折率の均一性の変化を示すための、第3工程終了後の干渉縞パターン図である。
Claims (18)
- 揮発性珪素化合物を火炎加水分解し、生成するシリカ微粒子をそのまま回転する基体上に溶融・堆積して得られる合成石英を出発母材として耐紫外線エキシマレーザー用光学部材を製造する方法において、
前記出発母材を600℃以上1500℃以下の温度範囲で酸化熱処理し、水素濃度を5×1016分子/cm3以下に低減させる第1工程と、第1工程で得られる石英ガラスを10atm以上の水素含有雰囲気下で200℃以上600℃以下の温度範囲に保持して水素を1×1017分子/cm3以上の濃度として含有せしめる第2工程と、第2工程で得られる石英ガラスを空気、不活性ガス、水素又は水素と不活性ガスの混合ガスもしくは空気と不活性ガスの混合ガス雰囲気中500℃以上800℃以下の温度範囲において、屈折率の均一性(Δn)が5×10 −6 以下とならしめる水素濃度均一化処理を行う第3工程を含み、
前記第3工程を500℃以上800℃以下の温度範囲中、第2工程の温度より高い温度で行い、処理時間を第2工程と第3工程との処理温度差をΔTとしたとき「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×20%以上」で且つ「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×40%以下」の範囲とする事を特徴とする耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。 - 第1工程の酸化熱処理を1000℃以上1300℃以下の温度範囲で行う請求項1記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気の圧力が少なくとも50atmである請求項1または2記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気の圧力が少なくとも100atmである請求項1〜3のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気下に保持する温度範囲が300℃以上500℃以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程で水素を1×1019分子/cm3以上の濃度として含有せしめる請求項1〜5のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 揮発性珪素化合物を火炎加水分解し、生成するシリカ微粒子をそのまま回転する基体上に溶融・堆積して得られる合成石英を均質化処理、除歪処理をすることにより屈折率の均質な石英部材を出発母材として耐紫外線エキシマレーザー用光学部材を製造する方法において、
前記出発母材を600℃以上1500℃以下の温度範囲で酸化熱処理し、水素濃度を5×1016分子/cm3以下に低減させる第1工程と、第1工程で得られる石英ガラスを10atm以上の水素含有雰囲気下で200℃以上600℃以下の温度範囲に保持して水素を1×1017分子/cm3以上の濃度として含有せしめる第2工程と、第2工程で得られる石英ガラスを空気、不活性ガス、水素又は水素と不活性ガスの混合ガスもしくは空気と不活性ガスの混合ガス雰囲気中500℃以上800℃以下の温度範囲において、屈折率の均一性(Δn)が5×10 −6 以下とならしめる水素濃度均一化処理を行う第3工程を含み、
前記第3工程を500℃以上800℃以下の温度範囲中、第2工程の温度より高い温度で行い、処理時間を第2工程と第3工程との処理温度差をΔTとしたとき「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×20%以上」で且つ「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×40%以下」の範囲とする事を特徴とする耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。 - 第1工程の酸化熱処理を1000℃以上1300℃以下の温度範囲で行う請求項7記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気の圧力が少なくとも50atmである請求項7または8記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気の圧力が少なくとも100atmである請求項7〜9のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気下に保持する温度範囲が300℃以上500℃以下である請求項7〜10のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程で水素を1×1019分子/cm3以上の濃度として含有せしめる請求項7〜11のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 揮発性珪素化合物を火炎加水分解し、生成するシリカ微粒子をそのまま回転する基体上に溶融・堆積する際、温度条件等の成長条件を制御して均一な屈折率分布を維持しつつ清澄して得られた光学用石英部材を出発母材として耐紫外線エキシマレーザー用光学部材を製造する方法において、
前記出発母材を600℃以上1500℃以下の温度範囲で酸化熱処理し、水素濃度を5×1016分子/cm3以下に低減させる第1工程と、該第1工程で得られる石英ガラスを10atm以上の水素含有雰囲気下で200℃以上600℃以下の温度範囲に保持して水素を1×1017分子/cm3以上の濃度として含有せしめる第2工程と、第2工程で得られる石英ガラスを空気、不活性ガス、水素又は水素と不活性ガスの混合ガスもしくは空気と不活性ガスの混合ガス雰囲気中500℃以上800℃以下の温度範囲において、屈折率の均一性(Δn)が5×10 −6 以下とならしめる水素濃度均一化処理を行う第3工程を含み、
前記第3工程を500℃以上800℃以下の温度範囲中、第2工程の温度より高い温度で行い、処理時間を第2工程と第3工程との処理温度差をΔTとしたとき「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×20%以上」で且つ「第2工程の処理時間×(0.6) ΔT/100 ×40%以下」の範囲とする事を特徴とする耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。 - 第1工程の酸化熱処理を1000℃以上1300℃以下の温度範囲で行う請求項13記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気の圧力が少なくとも50atmである請求項13または14記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気の圧力が少なくとも100atmである請求項13〜15のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程の水素含有雰囲気下に保持する温度範囲が300℃以上500℃以下である請求項13〜16のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
- 第2工程で水素を1×1019分子/cm3以上の濃度として含有せしめる請求項13〜17のいずれか1項記載の耐紫外線エキシマレーザー用光学部材の製造方法。
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