JP2004111487A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬液などの処理液の使用量を低減できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】この基板処理装置は、ウエハWをほぼ水平に保持して回転するスピンチャック30と、平面視においてスピンチャック30を取り囲むように配されたスプラッシュガード3とを含んでいる。スプラッシュガード3の内方には、中心側に向かって開いた回収ポート11a〜11cが上下方向に積層するように配されている。最下部の回収ポート11cの下方には、スプラッシュガード3の中心側に向かって開いた断面がほぼコの字形の案内部3aが設けられている。回収ポート11a〜11cにより、スピンチャック30から側方に飛ばされた薬液を受けて回収することができ、案内部3aにより、スピンチャック30から側方に飛ばされた洗浄液を受けて回収することができる。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板や液晶表示装置用ガラス基板などの基板を保持する基板保持部を洗浄液で洗浄できる基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の基板処理装置の構成を示す図解的な断面図である。この基板処理装置は、半導体基板の一例である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの下面に処理液を供給して処理することができる。
この基板処理装置は、筒状のチャンバ51と、その内部に配されウエハWをほぼ水平に保持して回転するスピンチャック70と、平面視においてスピンチャック70を取り囲むように配されたスプラッシュガード53とを含んでいる。
【0003】
スピンチャック70は、円板状でほぼ水平に配されたスピンベース52と、スピンベース52の下面中心部に、スピンベース52にほぼ垂直に取り付けられた回転軸57とを備えている。スピンベース52の上面52aはほぼ水平な面となっており、上面52aの周縁部には複数のチャックピン56が周方向に間隔をあけて立設されている。チャックピン56は、ウエハWの下面周縁部を支持する支持部56aと、ウエハWの端面(周面)を挟持する挟持部56bとを有している。
【0004】
回転軸57には、回転軸57をその軸のまわりに回転させるための回転駆動機構58が結合されており、スピンベース52に保持されたウエハWを回転させることができるようになっている。
回転軸57は管状であり、回転軸57の内部には、処理液を流すための処理液供給路59を内部に有する処理液配管64が挿通されている。処理液配管64の上端は、スピンベース52の上面52aからわずかに突出している。
【0005】
処理液配管64の上端は、処理液供給路59に連通した吐出口を有する処理液ノズル63となっている。処理液供給路59には、薬液とウエハ用洗浄液(たとえば、純水)とを切り換えて導入可能であり、処理液ノズル63から、薬液またはウエハ用洗浄液を選択的に吐出できるようになっている。これにより、スピンチャック70に保持されたウエハWの下面に、薬液またはウエハ用洗浄液を供給して、薬液処理や洗浄ができるようになっている。
【0006】
スプラッシュガード53は、上下方向に配された2つの回収ポート61a,61bを含んでいる。回収ポート61a,61bは、いずれも、スプラッシュガード53の全周に渡って設けられており、スプラッシュガード53の中心部に向かって開口している。回収ポート61aは、回収ポート61bより高い位置に配されている。回収ポート61bの下には、スプラッシュガード53の中心部に向かって開口した断面がほぼコの字形の案内部61dが、スプラッシュガード53の全周に渡って設けられている。
【0007】
回収ポート61aの上には、洗浄ノズル62がほぼ水平に取り付けられている。洗浄ノズル62は吐出口を有しており、吐出口はスプラッシュガード53の中心部に向けられている。洗浄ノズル62には、純水などのチャック用洗浄液を導入可能であり、吐出口からチャックピン56やスピンベース52の上面52aに向けてチャック用洗浄液を吐出できるようになっている。これにより、チャックピン56や上面52aを洗浄可能である。
【0008】
スプラッシュガード53には昇降機構60が結合されており、スプラッシュガード53および洗浄ノズル62を同時に昇降できるようになっている。
処理液ノズル63から薬液を吐出させてウエハWの処理をするときは、昇降機構60により、上面52aの側方に、たとえば、回収ポート61aが位置するようにされる。この場合、回転するウエハWの遠心力により振り切られた薬液は、回収ポート61aを介して回収される。回収された薬液は、処理能力が低下していない場合には再利用される。
【0009】
上記の薬液と異なる種類の薬液を用いてウエハWの下面を処理するときは、スピンベース52の上面52aと回収ポート61bとがほぼ同じ高さになるようにされ、回収ポート61bを介して薬液を回収できる。回収ポート61bを用いることにより、回収ポート61aを介して回収された薬液と分別して、薬液を回収できる。
また、処理液ノズル63からウエハ用洗浄液を吐出させてウエハWの洗浄をするときは、昇降機構60により、上面52aの側方に案内部61dが位置するようにされる。この場合、回転するウエハWの遠心力により振り切られたウエハ用洗浄液は、案内部61dで受けられ下方に流れ落ちて回収された後、廃棄される。
【0010】
ウエハWを薬液で処理する際、スピンベース52の上面52aやチャックピン56も、薬液で汚れる。これらの薬液は、ウエハWをウエハ用洗浄液で洗浄する際には、完全に除去できない。そこで、スピンベース52の側方に配された洗浄ノズル62により、上面52aやチャックピン56が洗浄される。
この際、昇降機構60により、スプラッシュガード53が下降されて、洗浄ノズル62とチャックピン56とがほぼ同じ高さになるようにされる。この状態で、スピンベース52の上面52aは、スプラッシュガード53の上端よりわずかに高くなっている。
【0011】
続いて、洗浄ノズル62からチャック用洗浄液が吐出される。洗浄ノズル62から吐出されたチャック用洗浄液は、主として、スピンベース52の上面52aを流れ、回転するスピンベース52の遠心力により振り切られて、チャンバ51の内壁に当たる(図4に矢印B1,B2で示す。)。このようなチャック用洗浄液は、さらに、チャンバ51とスプラッシュガード53との間を流れ落ちて下方で回収されて廃棄される。
【0012】
以上のように、ウエハW処理時に使用される薬液、ウエハ用洗浄液、およびチャック用洗浄液を分別回収できるようになっている。
図5は、従来の基板処理装置の他の構成を示す図解的な断面図である。図4の基板処理装置の構成要素に対応する構成要素には、図5中に図4の場合と同一符号を付して説明を省略する。
この基板処理装置では、スプラッシュガード53の代わりにスプラッシュガード73が設けられている。スプラッシュガード73は、平面視において環状であり、スプラッシュガード73の内面上部には、断面がほぼコの字形でスプラッシュガード73の中心に向かって開口した溝状の第1案内部73aが形成されている。また、スプラッシュガード73の下方には、スプラッシュガード73の中心側および下方に開いた断面4分の1円弧状の第2案内部73bと、第2案内部73bの内方に鉛直方向に刻設され円環状の溝73cとが形成されている。
【0013】
溝73cの下方には、ほぼ鉛直方向に配された筒状の仕切部材75が配されている。溝73cは、スプラッシュガード73が下降されているときには、仕切部材75の上部に遊嵌し、スプラッシュガード73が上昇されているときには、仕切部材75から離れる。
スプラッシュガード73の上には、洗浄ノズル74が取り付けられている。洗浄ノズル74は、チャック用洗浄液Sを鉛直方向に広角に拡がるように吐出することができる。これにより、鉛直方向に延びるチャックピン56に均一にチャック用洗浄液Sが当てられるから、チャックピン56を効率的に洗浄できる。
【0014】
ウエハWの下面を薬液で処理するときには、昇降機構60によりスプラッシュガード73が移動されて、スピンベース52の上面52aの側方に第2案内部73bが位置するようにされる。ウエハWの遠心力により振り切られた薬液は、第2案内部73bに当たり、スプラッシュガード73を伝って下方へと流れ落ちて回収される。回収された薬液は、処理能力が低下していない場合には再利用される。
【0015】
ウエハWの下面をウエハ用洗浄液で洗浄するときは、昇降機構60によりスプラッシュガード73が移動されて、スピンベース52の上面52aの側方に第1案内部73aが位置するようにされる。ウエハWの遠心力により側方に振り切られたウエハ用洗浄液は、第1案内部73aに当たり、下方へ流れ落ちて回収され廃棄される。ウエハ用洗浄液と薬液とは、仕切部材75により分別して回収可能である。
【0016】
また、洗浄ノズル74からチャック用洗浄液を吐出して、チャックピン56やスピンベース52の上面52aを洗浄するときは、図5に示すように、昇降機構60によりスプラッシュガード73が移動されて、上面52aとスプラッシュガード73の上端とがほぼ同じ高さになるようにされる。この場合、回転するスピンベース52の遠心力により振り切られたりチャックピン56に跳ね返されたりしたチャック用洗浄液は、チャンバ51の内壁に当たって(図5に矢印C1で示す。)下方へと流れ落ちて回収され廃棄される。
【0017】
【特許文献1】
特開2000−185264号公報
【特許文献2】
特開平10−199852号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、洗浄ノズル62,74から吐出されたすべてのチャック用洗浄液がスプラッシュガード53,73とチャンバ51との間を流れて回収されるわけではない。チャック用洗浄液の一部は、たとえば、図4の基板処理装置において、斜め下方に飛んで回収ポート61aや回収ポート61bに入り込む(それぞれ、矢印B3,B4で示す。)。特に、スピンベース52が低速で回転している場合には、チャック用洗浄液には十分大きな遠心力が与えられず、下方へと落下しながら側方へと飛ばされるから、回収ポート61a,61bにチャック用洗浄液が混入しやすい。
【0019】
その結果、回収ポート61a,61bを介して回収された薬液に、チャック用洗浄液が混入することになる。回収された薬液は、後にウエハWの薬液処理を行う際に再利用されるので、チャック用洗浄液の混入により回収された薬液の組成が変化すると、薬液の処理能力が落ち再利用に適さなくなる。すなわち、薬液を再利用できる回数が少なくなり、薬液使用量(消費量)は多くなる。
また、図4および図5に示す基板処理装置において、スピンベース52の回転数を上げ、スピンベース52上のチャック用洗浄液を遠心力により効率的に側方へ振り切り、チャンバ51とスプラッシュガード53,73との間に入るようにすることも考えられる。しかし、この場合、チャック用洗浄液は、スピンベース52やチャックピン56に対して相対的に大きな速度でぶつかるため、ミスト(霧)となって上方に飛散しやすくなる。
【0020】
特に、図5に示す基板処理装置では、チャック用洗浄液が洗浄ノズル74から広い角度で吐出されるために、チャックピン56により跳ね返されるチャック用洗浄液も、広い角度で飛散しやすい。このため、上方に飛散するチャック用洗浄液の量も多くなる。
その結果、チャック用洗浄液は、チャンバ51の内壁などの構造物に付着する(図4および図5に、矢印B5,B6で示す。)。このようなチャック用洗浄液は薬液を溶解しているので、乾燥すると薬液成分が結晶化するからパーティクルの原因となる。特に、チャンバ51内を自動的に洗浄(セルフクリーニング)できない構造の基板処理装置では、一旦、チャンバ51内の構造物に付着したパーティクルは、容易に除去できず蓄積汚染となる。
【0021】
さらに、ミスト状のチャック用洗浄液は、基板の上方で滞留した後に、たとえば、洗浄後にウエハWを高速回転して乾燥させる際などに、ウエハWに付着し、乾燥によりパーティクルとなってウエハWを汚染するおそれもある。
そこで、この発明の目的は、薬液などの処理液の使用量を低減できる基板処理装置を提供することである。
この発明の他の目的は、蓄積汚染を低減できる基板処理装置を提供することである。
【0022】
この発明のさらに他の目的は、処理対象の基板がパーティクルに汚染されにくい基板処理装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、基板(W)をほぼ水平に保持する基板保持部(30)と、この基板保持部を回転させるための回転駆動機構(8)と、上記基板保持部に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出手段(12,18,18A,40,41,41A)と、上記基板保持部の側方を取り囲むように配置可能で、上記回転駆動機構による上記基板保持部の回転に伴って側方へ飛ばされる洗浄液を受けて回収するための洗浄液回収部(3a,38a)とを含み、上記洗浄液吐出手段が上記洗浄液回収部内に設けられた吐出口(12t,40t)を有することを特徴とする基板処理装置である。
【0024】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この基板処理装置は、たとえば、基板保持部に保持された基板に薬液を供給して基板の処理を行うものであってもよい。この場合、基板保持部は、薬液により汚れる。この発明によれば、洗浄液吐出手段により、このように汚れた基板保持部に洗浄液を吐出して洗浄できる。
【0025】
洗浄液吐出手段の吐出口は、洗浄液回収部に設けられているので、基板保持部の側方に洗浄液吐出手段の吐出口を配した場合、基板保持部の側方には洗浄液回収部が存在している。この状態で、回転駆動機構により基板保持部を回転させながら、洗浄液吐出手段から基板保持部に向けて洗浄液を吐出すると、洗浄液は測方へと飛ばされる。基板保持部の側方には、洗浄液回収部が存在しているので、このような洗浄液は洗浄液回収部に受けられる(トラップされる。)。
【0026】
これにより、たとえば、基板保持部が収容されたチャンバの内壁などに、薬液を含んだ洗浄液が付着することを抑制できる。したがって、チャンバ内壁などの構造物の表面でこのような薬液が乾燥して生じるパーティクル、すなわち、蓄積汚染を低減できる。
洗浄液回収部は、たとえば、溝状の凹所として形成されていてもよく、この場合、一旦凹所で受けられた洗浄液は、さらに下方へと流れ落ちて回収されるように構成されていてもよい。
【0027】
請求項2記載の発明は、上記基板保持部に保持された基板に向けて処理液を吐出する処理液ノズル(13,34)をさらに含み、上記洗浄液回収部が、上記処理液ノズルから吐出され上記回転駆動機構による遠心力により側方へ飛ばされた処理液を受けるためのスプラッシュガード(3,38)に形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。
処理液ノズルは、たとえば、基板保持部に保持された基板の下面または/および上面中心部に向けて、薬液や洗浄液などの処理液を吐出可能なものであってもよい。この場合、回転駆動機構により、基板保持部に保持された基板を回転させることにより、基板中心部に吐出された処理液を遠心力により、基板の下面または/および上面に沿って外方に向かって流れるようにすることができる。これにより、基板の下面または/および上面が処理液により処理される。
【0028】
基板周縁部に至った処理液は、側方へと振り切られて、スプラッシュガードに受けられる。
洗浄液吐出手段から吐出された洗浄液を受けるための洗浄液回収手段は、スプラッシュガードに形成されているので、スプラッシュガードを利用して、洗浄液を受けることもできる。したがって、装置の構造を簡単にすることができる。
請求項3記載の発明は、上記スプラッシュガードが、処理液を回収するための処理液回収部(11a,11c,11c,38b)を含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置である。
【0029】
この発明によれば、処理液回収部により、処理液ノズルから吐出され側方に飛ばされた処理液を回収できる。これにより、回収された処理液が薬液である場合など、この薬液を再利用することができる。再利用する処理液は、たとえば、エッチング液などの薬液とすることができる。
請求項4記載の発明は、上記処理液回収部が、上下方向に複数個積層されて設けられていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置である。
【0030】
この発明によれば、基板保持部に対する処理液回収部の高さ位置を変えることにより、使用される処理液の種類ごとに異なる処理液回収部を用いて、分別回収できる。
請求項5記載の発明は、上記洗浄液回収部が、最下部の上記処理液回収部(11c)より低い高さ位置に設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の基板処理装置である。
【0031】
この発明によれば、洗浄液回収部より低い高さ位置には、処理液回収部は設けられていない。このため、洗浄液が洗浄液回収部で受けられた後、下方へ流れ落ちて回収される場合や、洗浄液が基板保持部から斜め下方に飛び出し、洗浄液回収部より低い高さ位置でスプラッシュガードに当たった場合でも、洗浄液が処理液回収部に入ることはない。
このため、回収された処理液の有効成分の濃度が薄くなるなどの事態を回避することができる。すなわち、この基板処理装置によれば、処理液の処理能力が低下することを抑制できるから、処理液の再利用可能な回数を増やすことができ、処理液の使用量(消費量)を低減できる。
【0032】
請求項6記載の発明は、上記洗浄液回収部に、上記回転駆動機構の回転中心に向かって開いた開口(3a,38a)が形成されており、上記洗浄液吐出手段が、先端に上記吐出口を有する洗浄ノズル(12,40)を含み、この洗浄ノズルの吐出口が、上記開口の内部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置である。
この発明によれば、吐出口、すなわち、洗浄ノズルの先端は開口内に配されているので、洗浄ノズルの先端が他の部材と干渉することはない。
【0033】
洗浄ノズルは、たとえば、1本であってもよく、この場合、回転駆動機構により基板保持部を回転させることにより、洗浄液が基板保持部に当たる領域を、基板保持部の周方向に移動させて、基板保持部を良好に洗浄できる。洗浄ノズルは、複数本備えられていてもよい。
請求項7記載の発明は、上記基板保持部に保持された基板に近接して対向配置可能な遮断板(27)をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置である。
【0034】
この発明によれば、遮断板により、基板保持部で跳ね返され、たとえば、ミストとなって上方に飛散する洗浄液の量を低減できる。これにより、洗浄液が基板の上方で滞留した後、基板に付着してパーティクルとなることや、チャンバ内壁などの構造物の表面に生じる蓄積汚染を抑制できる。
遮断板は、基板より大きいことが好ましい。これにより、基板の上方に飛散する洗浄液の量を効率的に低減できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す図解的な断面図である。この基板処理装置は、半導体基板の一例である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの下面に薬液を供給して処理することができる。
【0036】
この基板処理装置は、ほぼ鉛直方向に沿った中心軸を有する円筒状のチャンバ1と、その内部に配されウエハWをほぼ水平に保持してウエハWのほぼ中心を通る鉛直軸線まわりに回転するスピンチャック30と、平面視においてスピンチャック30を取り囲むように配されたスプラッシュガード3とを含んでいる。
スプラッシュガード3は、チャンバ1と同心状に外方から内方に向かって配された4つの円筒部材48a〜48dを含んでいる。4つの円筒部材48a〜48dは、最外部の円筒部材48aから最内部の円筒部材48dに向かって、順に高さが低くなるようになっている。円筒部材48a〜48dの上端からは、中心側(スピンベース2側)に向かって斜め上方に突出部49a〜49dがそれぞれ突出している。突出部49a〜49dの先端は、ほぼ鉛直な面にのる。
【0037】
突出部49aと突出部49bとにより、回収ポート11aが形成されており、突出部49bと突出部49cとにより、回収ポート11bが形成されており、突出部49cと突出部49dとにより、回収ポート11cが形成されている。回収ポート11a〜11cは、上下方向に積層されている。
円筒部材48bの下部は、同心状の2つの円筒体48e,48fとなっている。円筒体48eは円筒体48fより外側にある。同様に、円筒部材48cの下部は、同心状の2つの円筒体48g,48hとなっている。円筒体48gは円筒体48hより外側にある。円筒部材48cの下部は、同心状の2つの円筒体48i,48jとなっている。円筒体48iは円筒体48jより外側にある。
【0038】
円筒体48jは、円筒部材48dから中心側斜め下方に延びる傾斜部48kの先端に下方に延びるように設けられている。突出部49d、円筒部材48d、および傾斜部48kにより、スプラッシュガード3の中心部に向かって開口した断面がほぼコの字形の案内部3aが形成されている。案内部3aは、回収ポート11cの下方に位置している。
スプラッシュガード3の下方には、チャンバ1の下部を塞ぐように底板35がほぼ水平に配されている。底板35からは、円筒状の5つの分離壁25a〜25eが立設されている。分離壁25a〜25eは同心状に、外方から内方に向かって、分離壁25a、分離壁25b、分離壁25c、分離壁25d、分離壁25eの順で配されている。平面視において、分離壁25eの径はスピンベース2の径よりわずかに小さい。
【0039】
分離壁25aおよび分離壁25bを側壁として、第1薬液回収槽21が形成されており、分離壁25bおよび分離壁25cを側壁として、第2薬液回収槽22が形成されており分離壁25cおよび分離壁25dを側壁として、第3薬液回収槽23が形成されており、分離壁25dおよび分離壁25eを側壁として、洗浄液回収槽26が形成されている。また、チャンバ1および分離壁25aを側壁として、洗浄液回収槽24が形成されている。
【0040】
スプラッシュガード3には、昇降機構10が結合されている。昇降機構10は、スプラッシュガード3に結合された結合部材10a、結合部材10aに結合されほぼ鉛直方向に沿う昇降軸10b、および昇降軸10bに結合され昇降軸10bを昇降可能な昇降駆動部10cを含んでいる。分離壁25aには、案内部材10dが結合されており、昇降軸10bは案内部材10dに挿通されている。昇降駆動部10cにより昇降軸10cを昇降させて、スプラッシュガード3をほぼ鉛直方向に昇降できるようになっている。
【0041】
スプラッシュガード3が下降されると、円筒部材48aの下部および円筒体48eが、分離壁25aと分離壁25bとの間に挿入され、円筒体48f,48gが、分離壁25bと分離壁25cとの間に挿入され、円筒体48h,48iが、分離壁25cと分離壁25dとの間に挿入され、円筒体48jが分離壁25dと分離壁25eとの間に挿入される。
図2は、図1の基板処理装置の構造および制御を説明するための図解的な断面図である。
【0042】
チャンバ1の上端を塞ぐようにフィルタ4が取り付けられている。チャンバ1の下部を貫通して排液/排気配管5が設けられている。排液/排気配管5は、チャンバ1の外で、図示しない気液分離部を介して排気用のポンプPに接続されている。ポンプPを作動させることにより、チャンバ1外の空気は、フィルタ4で異物が除去されてチャンバ1内に導かれ、ポンプPからチャンバ1外に排出されるようになっている。
【0043】
スピンチャック30は、円板状でほぼ水平に配されたスピンベース2と、スピンベース2の中心下部に鉛直方向に沿って取り付けられた回転軸7とを含んでいる。スピンベース2の上面2aはほぼ水平な面となっており、上面2aの周縁部には複数のチャックピン6が周方向に間隔をあけて立設されている。チャックピン6は、ウエハWの下面周縁部を支持する支持部6aと、この支持部6aよりもスピンベース2の半径方向外方側において鉛直に立ち上がり、ウエハWの端面(周面)に当接し、他のチャックピン6と協働してウエハWを挟持する挟持部6bとを有している。
【0044】
回転軸7には、回転軸7をその軸のまわりに回転させる回転駆動機構8が結合されている。以上の構成により、回転駆動機構8により、スピンベース2に保持されたウエハWを回転させることが可能である。
回転軸7は管状であり、回転軸7の内部には、処理液配管14が挿通されている。処理液配管14の内部は処理液供給路9となっている。処理液配管14の上端は、スピンベース2の上面2aからわずかに突出しており、処理液供給路9に連通した開口を有して処理液を吐出する下ノズル13となっている。下ノズル13の先端には、回転半径方向外方側へと張り出した鍔部が形成されている。
【0045】
処理液配管14の下端は、第1薬液配管16、第2薬液配管19、第3薬液配管20、および洗浄液配管17に分岐している。第1薬液配管16は第1の薬液が収容された第1の薬液供給源に接続されており、第2薬液配管19は第2の薬液が収容された第2の薬液供給源に接続されており、第3薬液配管20は第3の薬液が収容された第3の薬液供給源に接続されている。洗浄液配管17は純水などのウエハ用洗浄液が収容されたウエハ用洗浄液供給源に接続されている。第1ないし第3の薬液は、たとえば、エッチング液であってもよく、互いに種類が異なるものとすることができる。
【0046】
第1薬液配管16にはバルブ16Aが介装されており、第2薬液配管19にはバルブ19Aが介装されており、第3薬液配管20にはバルブ20Aが介装されており、洗浄液配管17にはバルブ17Aが介装されている。
バルブ19A,20A,17Aを閉じバルブ16Aを開くことにより、第1の薬液を処理液供給路9に導入することができる。バルブ16A,20A,17Aを閉じバルブ19Aを開くことにより、第2の薬液を処理液供給路9に導入することができる。バルブ16A,19A,17Aを閉じバルブ20Aを開くことにより、第3の薬液を処理液供給路9に導入することができる。そして、バルブ16A,19A,20Aを閉じバルブ17Aを開くことにより、ウエハ用洗浄液を処理液供給路9に導入することができる。したがって、バルブ16A,19A,20A,17Aの開閉により、第1ないし第3の薬液、およびウエハ用洗浄液を切り換えて下ノズル13からウエハWの下面中央に向けて吐出できる。
【0047】
スピンチャック30の上方には、円板状の遮断板27が配されている。遮断板27の径は、ウエハWの径より大きい。遮断板27の中心上部には、回転軸28が取り付けられており、回転軸28には、回転軸28をその軸のまわりに回転させる回転駆動機構29が結合されている。回転駆動機構29により、遮断板27を、たとえば、スピンベース2と同一方向に同じ回転数で同期回転させることが可能である。
【0048】
回転軸28は管状であり、回転軸28の内部には、処理液配管31が挿通されている。処理液配管31の内部は、処理液を流すための処理液供給路32となっている。処理液配管31の下端は、処理液供給路32に連通した開口を有し、ウエハWの上面中央に向けて処理液を吐出する上ノズル34となっている。処理液供給路32には、図示しない処理液供給源から、薬液や洗浄液などの処理液を導入できるようになっている。
【0049】
上ノズル34からは、処理液として、たとえば、ウエハ用洗浄液のみを吐出可能に構成されていてもよく、下ノズル13と同様、第1ないし第3の薬液、およびウエハ用洗浄液を切り換えて吐出可能に構成されていてもよい。
回転軸28には昇降機構33が結合されており、回転軸28に結合された遮断板27を昇降できるようになっている。
スプラッシュガード3を貫通して、洗浄ノズル12がほぼ水平に取り付けられている。洗浄ノズル12は、円筒部材48dを貫通して案内部3a内に突出しており、その先端には吐出口12tが形成されている。吐出口12tは、たとえば、円形のものとすることができ、この場合、吐出口12tの直径は8mm以下とすることが好ましい。
【0050】
この吐出口12tは、案内部3aの内壁(円筒部材48d)からわずかに突出した位置にあり、案内部3aの内部(好ましくは、奥まった位置)に配置され、この位置から、スピンチャック30の回転半径方向内方へ向けて、ほぼ水平にチャック用洗浄液を吐出する。このような吐出口12tの配置により、スプラッシュガード3が昇降されても、洗浄ノズル12の先端がスピンベース2などの他の部材と干渉することはない。
【0051】
洗浄ノズル12は、洗浄液配管18を介して純水などのチャック用洗浄液が収容されたチャック用洗浄液供給源に接続されている。ウエハ用洗浄液とチャック用洗浄液とが同種のもの(たとえば、純水)である場合、ウエハ用洗浄液供給源とチャック用洗浄液供給源とは同じものであってもよい。
洗浄液配管18にはバルブ18Aが介装されており、バルブ18Aを開くことにより、洗浄ノズル12からチャックピン6やスピンベース2の上面2aに向けてチャック用洗浄液を棒状に吐出できるようになっている。
【0052】
バルブ16A〜20Aの開閉や、回転駆動機構8,29および昇降機構10,33の動作は、制御部15により制御される。
この基板処理装置でウエハWの処理をするときは、先ず、制御部15の制御によりすべてのバルブ16A〜20Aが閉じた状態とされる。また、制御部15により昇降機構33が制御されて、遮断板27がスピンチャック30に保持されたウエハW上方に近接して対向配置される。そして、制御部15により、回転駆動機構8,29が制御されて、スピンチャック30に保持されたウエハWおよび遮断板27が回転される。
【0053】
その後、制御部15により昇降機構10が制御されて、スピンベース2の上面2aと回収ポート11aとがほぼ同じ高さになるように、スプラッシュガード3が移動される。
この状態で、制御部15の制御により、バルブ16Aが開かれて第1の薬液が下ノズル13から吐出される。第1の薬液は、ウエハWの遠心力により、ウエハWの下面に沿って外方に向かって流れる。これにより、ウエハWの下面が処理される。第1の薬液がエッチング液であるときは、この工程は、ウエハWの上面周縁部に第1の薬液を回り込ませてエッチングまたは洗浄する、いわゆる、ベベルエッチングまたはベベル洗浄であってもよい。
【0054】
ウエハWの外周部に達した第1の薬液は、回転しているウエハWの遠心力により側方に振り切られ、回収ポート11aに入って、円筒部材48aと円筒部材48bとの間を通り、第1薬液回収槽21に回収される。一定時間、第1の薬液によるウエハWの処理が継続された後、制御部15の制御によりバルブ16Aが閉じられ、第1の薬液の吐出が停止される。
処理対象のウエハWの種類によっては、第1の薬液の代わりに、第2の薬液によりウエハWの下面が処理される。その場合は、先ず、制御部15により昇降機構10が制御されて、スピンベース2の上面2aと回収ポート11bとがほぼ同じ高さになるように、スプラッシュガード3が移動される。この状態で、制御部15の制御によりバルブ19Aが開かれて、第2の薬液が下ノズル13から吐出される。第2の薬液はウエハWの下面に沿って外方に向かって流れる。これにより、ウエハWの下面が第2の薬液により処理される。この工程も、ベベルエッチングまたはベベル洗浄であってもよい。
【0055】
回転しているウエハWの遠心力により側方に振り切られた第2の薬液は、回収ポート11bに入り、円筒部材48bと円筒部材48cとの間を通り、第2薬液回収槽22に回収される。一定時間、このような操作が継続された後、制御部15の制御によりバルブ19Aが閉じられる。
さらに、処理対象のウエハWの種類によっては、第1または第2の薬液の代わりに、第3の薬液によりウエハWの下面が処理される。その場合は、先ず、制御部15により昇降機構10が制御されて、スピンベース2の上面2aと回収ポート11cとがほぼ同じ高さになるように、スプラッシュガード3が移動される。この状態で、制御部15の制御によりバルブ20Aが開かれて、第3の薬液が下ノズル13から吐出される。第3の薬液はウエハWの下面に沿って外方に向かって流れる。これにより、ウエハWの下面が第3の薬液により処理される。この工程も、ベベルエッチングまたはベベル洗浄であってもよい。
【0056】
回転しているウエハWの遠心力により側方に振り切られた第3の薬液は、回収ポート11cに入り、円筒部材48cと円筒部材48dとの間を通り、第3薬液回収槽23に回収される。一定時間、このような操作が継続された後、制御部15の制御によりバルブ20Aが閉じられる。
ウエハWが第1、第2、または第3の薬液により処理される際、第1、第2、または第3の薬液の一部はスピンベース2の上面2aに落ちる。したがって、第1、第2、または第3の薬液による処理が終了した後、スピンベース2の上面2aおよびチャックピン6は、第1、第2、または第3の薬液により汚れた状態となっている。
【0057】
その後、制御部15により昇降機構10が制御されて、スプラッシュガード3が移動され、スピンベース2の上面2aと案内部3aとがほぼ同じ高さになるようにされる。この状態で、遮断板27と突出部49dの先端(案内部3aの上端)とはほぼ同じ高さ位置になり近接する。回転駆動機構8,27によるウエハWおよび遮断板27の回転は維持される。
そして、制御部15の制御によりバルブ17Aが開かれて、ウエハ用洗浄液が下ノズル13から吐出される。同様に、上ノズル34からもウエハ用洗浄液が吐出される。ウエハ用洗浄液は、ウエハWの遠心力により、ウエハWの下面および上面に沿って外方に向かって流れる。これにより、ウエハWの下面および上面が洗浄される。ウエハWの周縁部に至ったウエハ用洗浄液は、側方へと振り切られて、スプラッシュガード3の案内部3aに受けられ(トラップされ)、さらに、下方へと流れて洗浄液回収槽26に回収される。
【0058】
続いて、制御部15により回転駆動機構8,29が制御されて、スピンチャック30および遮断板27の回転数が小さくされる。その結果、下ノズル13から吐出されたウエハ用洗浄液は、ウエハWにより十分大きな遠心力が与えられなくなり、下ノズル13に向かって落ちるようになる。これにより、下ノズル13がウエハ用洗浄液で洗浄される。
スピンチャック30が低速回転されることにより、スピンベース2の上面2aやウエハWの上面を流れるウエハ用洗浄液には大きな遠心力が働かなくなる。このため、スピンベース2やウエハWから振り切られるウエハ用洗浄液は、十分大きな速度で側方へと飛び出すことができず、図1に矢印A1で示すように、案内部3aに届かずに下方へと落下する。しかし、回収ポート11a〜11cは、案内部3aより低い高さ位置には配されていないので、ウエハ用洗浄液が第1、第2、または第3の薬液に混入することはない。
【0059】
以上の工程により、チャックピン6やスピンベース2の上面2aの大部分も、ウエハ用洗浄液により洗浄されるが、上面2aの中心部から見て、チャックピン6の反対側の部分およびその近傍の上面2aなどは、十分洗浄されずに第1、第2、または第3の薬液が残った状態となる。
チャックピン6やスピンベース2の上面に残った第1、第2、または第3の薬液が乾燥すると、薬液成分が結晶化してパーティクルとなり汚染の原因となるので、次に、チャックピン6やスピンベース2の上面2aのうち第1、第2、または第3の薬液が残った部分が洗浄される。
【0060】
先ず、制御部15により回転駆動機構8,29が制御されて、ウエハWおよび遮断板27の回転数が、ウエハW洗浄時の回転数に戻される。そして、制御部15の制御によりバルブ18Aが開かれ、洗浄ノズル12からチャック用洗浄液が吐出される。洗浄ノズル12から吐出されるチャック用洗浄液の流量は、3リットル/分以下とされることが好ましい。
回転駆動機構8,29によるスピンベース2および遮断板27の回転、ならびに下ノズル13および上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出は継続される。洗浄ノズル12が、たとえば、1本のみ設けられていた場合でも、スピンベース2が回転することにより、すべてのチャックピン6およびその近傍の上面2aにチャック用洗浄液が当てられる。これにより、スピンベース2の上面2aおよびチャックピン6において、第1、第2、または第3の薬液が残っている部分が洗浄される。
【0061】
この際、遠心力によりスピンベース2から側方に振り切られたりチャックピン6に当たって洗浄ノズル12側に跳ね返されたチャック用洗浄液は、案内部3a内の洗浄ノズル12近傍で受けられ(トラップされ;図1に矢印A2〜A4で示す。)た後、下方へと流れ落ちて洗浄液回収槽26に回収される。また、チャックピン6で跳ね返り、ミストとなって上方へと飛散しようとするチャック用洗浄液も、遮断板27の下面で受けられ(トラップされ;図1に矢印A5で示す。)、側方へ振り切られて、案内部3aを経て洗浄液回収槽26に回収される。遮断板27の径はウエハWの径より大きいので、チャックピン6から斜め上方に飛散したチャック用洗浄液も効率的に受けることができる。
【0062】
このように、この基板処理装置は第1ないし第3の薬液および洗浄液(ウエハ用洗浄液、チャック用洗浄液)を個別に回収できるようになっている。また、チャック用洗浄液を受けるための案内部3aが、第1ないし第3の薬液およびウエハ用洗浄液を受けるためのスプラッシュガードに設けられていることにより、この基板処理装置は構造が単純になっている。
また、回収ポート11a〜11cは、案内部3aより低い高さ位置には配されていないので、チャック用洗浄液が回収ポート11a〜11cに入ることはほとんどない。したがって、第1ないし第3薬液回収槽21〜23に回収された第1ないし第3の薬液に、チャック用洗浄液が混入しないから、第1ないし第3の薬液の有効成分の濃度が薄くなるなどの事態を回避することができる。すなわち、この基板処理装置によれば、第1ないし第3の薬液の再利用可能な回数を増やすことにより、第1ないし第3の薬液の使用量を低減できる。
【0063】
また、第1、第2、または第3の薬液を溶解したチャック用洗浄液が、チャンバ1の内壁やフィルタ4下面などの構造物に付着し、乾燥して薬液成分の結晶を生じることもほとんどない。これにより、蓄積汚染の量も低減できる。
一定時間、チャック用洗浄液によるチャックピン6や上面2aの洗浄が続けられた後、制御部15の制御によりバルブ18Aが閉じられて、チャック用洗浄液の吐出が停止される。そして、一定時間、下ノズル13および上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出が継続された後、制御部15の制御によりバルブ17Aが閉じられて、下ノズル13からのウエハ用洗浄液の吐出が停止される。同様に、上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出も停止される。
【0064】
その後、制御部15により昇降機構10が制御されて、スプラッシュガード3が下降され、スプラッシュガード3の上端がスピンベース2の上面2aより低い位置にされる。この状態で、制御部15により回転駆動機構8,29が制御され、スピンチャック30に保持されたウエハWおよび遮断板27が、一定時間高速回転されて振り切り乾燥される。回転するウエハWやスピンベース2の遠心力によって側方に振り切られたウエハ用洗浄液やチャック用洗浄液は、チャンバ1の内壁に当たり、チャンバ1とスプラッシュガード3との間の空間と通って下方へと流れ落ち、洗浄液回収槽24に回収される。
【0065】
ウエハW、上面2a、チャックピン6などの洗浄時に生じたウエハ用洗浄液およびチャック用洗浄液のミストは、遮断板27に遮られるため、遮断板27の上方にはほとんど滞留していない。これらのミストは、主にスプラッシュガード3の内部に存在している。このため、上述のようにスプラッシュガード3の上端より高い位置で乾燥を行うと、ウエハ用洗浄液やチャック用洗浄液のミストがウエハWに付着することはない。したがって、ウエハW上でウエハ用洗浄液やチャック用洗浄液が乾燥することにより、薬液成分の結晶によるパーティクルが発生することはない。
【0066】
以上で、1枚のウエハWの処理が終了する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図解的な断面図である。図1および図2の基板処理装置の構成要素に対応する構成要素には、図3に図1および図2の場合と同一符号を付して説明を省略する。
この実施形態の基板処理装置は、スプラッシュガード3の代わりにスプラッシュガード38が設けられている。図3では、スピンチャック30およびスプラッシュガード38に関係する部分のみ示すが、これら以外の部分は第1の実施形態の基板処理装置と同様である。
【0067】
スプラッシュガード38は平面視において環状の形状を有している。スプラッシュガード38の内面上部には、断面がほぼコの字形で内方に開いた溝状の第1案内部38aが全周に渡って形成されている。第1案内部38aの内面は、ほぼ鉛直方向に沿う内壁面38d、内壁面38dの上端からスプラッシュガード38の中心側に向かって斜め上方に延びる天井38e、および内壁面38dの下端からスプラッシュガード38の中心側に向かって斜め下方に延びる底面38fを含んでいる。
【0068】
また、スプラッシュガード38の下部には、内方および下方に開いた断面がほぼ4分の1円弧状の第2案内部38bと、第2案内部38bの内方に鉛直方向に刻設され円環状の溝38cとが形成されている。
平面視において、スプラッシュガード38の内縁近傍には、円筒状の仕切部材39aがほぼ鉛直方向に沿って立設されている。仕切部材39aの内側には、円筒状で仕切部材39aと同心状の仕切部材39bがほぼ鉛直方向に沿って立設されている。また、仕切部材39aの外側には、円筒状で仕切部材39aと同心状の仕切部材39cがほぼ鉛直方向に沿って立設されている。仕切部材39cは、平面視においてスプラッシュガード38の外側に位置している。仕切部材39aおよび仕切部材39cを側壁として、薬液回収槽42が形成されており、仕切部材39aおよび仕切部材39bを側壁として、洗浄液回収槽43が形成されている。
【0069】
スプラッシュガード38には昇降機構10が結合されており、昇降自在とされている。スプラッシュガード38が下降されているときには、溝38cは仕切部材39の上部に遊嵌する。
スプラッシュガード38を貫通し第1案内部38aの天井28eから突出するように、ほぼ水平に第1洗浄ノズル40が設けられている。第1洗浄ノズル40の先端には、直径が8mm以下の円形の吐出口40tが形成されている。この吐出口40tは、天井38eからわずかに突出した位置にあり、第1案内部38aの内部に配置され、この位置から、スピンチャック30の回転半径方向内方へ向けて、ほぼ水平にチャック用洗浄液を吐出する。
【0070】
第1洗浄ノズル40は、洗浄液配管41を介して純水などのチャック用洗浄液が収容されたチャック用洗浄液供給源に接続されている。洗浄液配管41にはバルブ41Aが介装されており、バルブ41Aを開くことにより、第1洗浄ノズル40の吐出口40tからスピンベース2の上面2aやチャックピン6に向けてチャック用洗浄液を棒状に吐出できるようになっている。
回転軸7の周囲には、処理液などから回転軸7等を保護するための保護部材45が設けられている。
【0071】
この基板処理装置は、さらに、遮断板27の上方に配置可能で、遮断板27の上面にセルフクリーニング用洗浄液を供給するための第2洗浄ノズル46を備えている。第2洗浄ノズル46には、洗浄液配管47を介してセルフクリーニング用洗浄液供給源が接続されている。セルフクリーニング用洗浄液供給源には、純水などのセルフクリーニング用洗浄液が収容されている。洗浄液配管47には、バルブ47Aが介装されており、バルブ47Aを開くことにより、第2洗浄ノズル46から、セルフクリーニング用洗浄液を吐出することが可能である。バルブ41A,47Aの開閉は、制御部15により制御される。
【0072】
この基板処理装置でウエハWの処理をするときは、先ず、制御部15の制御により、遮断板27がスピンチャック30に保持されたウエハW上方に近接して対向配置される。そして、制御部15の制御により、スピンチャック30に保持されたウエハWおよび遮断板27が回転される。
その後、制御部15により昇降機構10が制御されて、スピンベース2の上面2aと第2案内部38bとがほぼ同じ高さになるように、スプラッシュガード38が移動される。仕切部材39の高さ位置は変わらないので、この状態で、上面2aと第2案内部38bとの間には、仕切部材39は存在しない。
【0073】
続いて、制御部15の制御により、下ノズル13および上ノズル34から薬液が吐出される。ウエハWの遠心力により、薬液はウエハWの下面および上面に沿って外方に向かって流れる。これにより、ウエハWの下面および上面が処理される。
ウエハWの外周部に達した薬液は、回転しているウエハWの遠心力により側方に振り切られてスプラッシュガード38の第2案内部38bに受けられ(トラップされ)た後、下方に流れ落ち薬液回収槽42に回収される。一定時間、ウエハW上下面の薬液処理が継続された後、制御部15の制御により、下ノズル13および上ノズル34からの薬液の吐出は停止される。
【0074】
ウエハWが薬液により処理される際、薬液の一部はスピンベース2の上面2aに落ちる。したがって、薬液による処理が終了した後、スピンベース2の上面2aおよびチャックピン6は、薬液により汚れた状態となっている。
その後、制御部15により昇降機構10が制御されて、スプラッシュガード3が下降され、チャックピン6と第1洗浄ノズル40とがほぼ同じ高さになるようにされる。この状態で、スピンベース2の上面2aの側方には、第1案内部38aが存在しており、仕切部材39は溝38cに遊嵌する。また、遮断板27は、第1案内部38aの上端に近接し、遮断板27の上面とスプラッシュガード38の上端とは、ほぼ同じ高さになる。ウエハWおよび遮断板27の回転は維持される。
【0075】
そして、制御部15の制御により、下ノズル13および上ノズル34から、ウエハ用洗浄液が吐出される。ウエハ用洗浄液は、ウエハWの遠心力により、ウエハWの下面および上面に沿って外方に向かって流れる。これにより、ウエハWの下面および上面が洗浄される。ウエハWの周縁部に至ったウエハ用洗浄液は、側方へと振り切られて、スプラッシュガード38の第1案内部38aに受けられ、さらに、下方へと流れて洗浄液回収槽43に回収される。洗浄液は、薬液を回収するのに用いられる第2案内部38bより高い位置に配された第1案内部38aに案内されて回収されるが、仕切部材39により、薬液回収槽42に回収された薬液に洗浄液が混入しないようにされている。
【0076】
続いて、制御部15の制御により、スピンチャック30および遮断板27の回転数が小さくされる。その結果、下ノズル13から吐出されたウエハ用洗浄液は、ウエハWにより十分大きな遠心力が与えられなくなり、下ノズル13に向かって落ちるようになる。これにより、下ノズル13がウエハ用洗浄液で洗浄される。このときも、ウエハ用洗浄液は洗浄液回収槽43に回収される。
次に、制御部15の制御により、ウエハWおよび遮断板27の回転数が、ウエハW洗浄時の回転数に戻される。そして、制御部15の制御によりバルブ41Aが開かれ、第1洗浄ノズル40からチャック用洗浄液が吐出される。第1洗浄ノズル40から吐出されるチャック用洗浄液の流量は、3リットル/分以下とされることが好ましい。スピンベース2および遮断板27の回転、ならびに下ノズル13および上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出は継続される。これにより、スピンベース2の上面2aおよびチャックピン6において、薬液が残っている部分が洗浄される。
【0077】
この際、チャックピン6に当たって洗浄ノズル40側に跳ね返されたチャック用洗浄液は、第1案内部38a内で受けられ(トラップされ;図3に矢印D1〜D4で示す。)た後、下方へと流れ落ちて洗浄液回収槽43に回収される。また、チャックピン6で跳ね返り、ミストとなって上方へと飛散しようとするチャック用洗浄液も、遮断板27の下面で受けられ(トラップされ;図3に矢印D5で示す。)、側方へ振り切られて、第1案内部38aを経て洗浄液回収槽43に回収される。
【0078】
このように、この基板処理装置は1種類の薬液と、洗浄液(ウエハ用洗浄液、チャック用洗浄液)とを個別に回収できるようになっている。また、チャック用洗浄液は薬液回収槽42に回収された薬液に混入することはないから、回収された薬液の組成が変化することを回避することができる。したがって、この実施形態の基板処理装置によっても、再利用可能な薬液の量を増やすことができるから、薬液の使用量(消費量)を低減できる。
【0079】
また、薬液を溶解したチャック用洗浄液は、チャンバ1の内壁などの構造物に付着し、乾燥して薬液成分の結晶を生じることもほとんどない。これにより、蓄積汚染の量も低減できる。
スピンベース2の上面2aやチャックピン6がチャック用洗浄液により洗浄された後、制御部15の制御によりバルブ41Aが閉じられて、チャック用洗浄液の吐出が停止される。そして、一定時間、下ノズル13および上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出が継続された後、制御部15の制御により、ウエハ用洗浄液の吐出が停止される。
【0080】
次に、制御部15の制御により、スピンチャック30に保持されたウエハWおよび遮断板27が、一定時間高速回転されて振り切り乾燥される。回転するウエハWやスピンベース2の遠心力によって側方に振り切られたウエハ用洗浄液やチャック用洗浄液は、第1案内部38aに受けられ、下方へと流れ落ちて洗浄液回収槽43に回収される。
以上で、1枚のウエハWの処理が終了する。
【0081】
上述のように、この基板処理装置によれば蓄積汚染を低減できるが、この基板処理装置は、チャンバ1内壁等を洗浄して蓄積汚染を除去するセルフクリーニングも可能である。セルフクリーニングは、スピンチャック30にウエハWは保持されていない状態で行われる。
先ず、制御部15の制御により、スピンチャック30および遮断板27が回転され、スプラッシュガード38が、ウエハW洗浄時と同じ高さ位置に、すなわち、スピンベース2の上面2aと第1案内部38aとがほぼ同じ高さ位置になるようにされる。続いて、制御部15の制御により、遮断板27がスピンベース2に近接される。これにより、遮断板27の上面とスプラッシュガード38の上端とがほぼ同じ高さ位置にされる。
【0082】
次に、制御部15の制御により、バルブ47Aが開かれて、第2洗浄ノズル46から遮断板27の上面に向けて、セルフクリーニング用洗浄液が吐出される。また、下ノズル13および上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出、ならびに第1洗浄ノズル40からのチャック用洗浄液の吐出も開始される。
セルフクリーニング用洗浄液は、遮断板27の遠心力により側方へと振り切られて、チャンバ1の内壁に当たり(図3に、矢印Eで示す。)、下方へと流れ落ちる。これにより、チャンバ1の内壁が洗浄される。スピンベース2の上面2aやチャックピン6などの表面は、ウエハ用洗浄液やチャック用洗浄液に覆われているので、セルフクリーニング用洗浄液のミスト等が付着することはない。
【0083】
一定時間、このような処理が行われた後、制御部15の制御により、第2洗浄ノズル46からのセルフクリーニング用洗浄液の吐出、下ノズル13および上ノズル34からのウエハ用洗浄液の吐出、ならびに、第1洗浄ノズル40からのチャック用洗浄液の吐出が停止される。続いて、制御部15の制御により、スピンチャック30および遮断板27が、一定時間高速回転されて振り切り乾燥される。
【0084】
スピンベース2の上面2aやチャックピン6の洗浄は、ウエハWを1枚処理するごとに行われるが、セルフクリーニングは、ウエハWが所定枚数処理されるごとに行うものとすることができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、たとえば、第1の実施形態において、回収ポート11a〜11cの数は、使用する薬液の種類の数に応じて、任意に構成することができる。この場合でも、案内部3aを最も低い位置にある回収ポート11cより低い位置に設けることにより、回収ポート11a〜11cを経て回収された薬液に洗浄液が混入することを防止できる。
【0085】
洗浄液が、常に十分大きな初速度で側方に飛び出すようにされる場合は、洗浄液は、回収ポート11a〜11cのいずれかを介して回収されるものとしてもよい。
第1および第2の実施形態において、スプラッシュガード3,38が固定されており、スピンチャック30が昇降するように構成されていてもよい。また、スプラッシュガード3,38およびスピンチャック30の双方が昇降可能に構成されていてもよい。
【0086】
洗浄ノズル12および第1洗浄ノズル40は、案内部3a内や第1案内部38a内に、複数本備えられていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す図解的な断面図である。
【図2】図1の基板処理装置の構造および制御を説明するための図解的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図解的な断面図である。
【図4】従来の基板処理装置の構成を示す図解的な断面図である。
【図5】従来の基板処理装置の他の構成を示す図解的な断面図である。
【符号の説明】
2  スピンベース
3,38  スプラッシュガード
3a  案内部
6  チャックピン
8  回転駆動機構
11a〜11c  回収ポート
12  洗浄ノズル
12t,40t  吐出口
13  下ノズル
15  制御部
27  遮断板
30  スピンチャック
34  上ノズル
38a  第1案内部
38b  第2案内部
40  第1洗浄ノズル
W  ウエハ

Claims (7)

  1. 基板をほぼ水平に保持する基板保持部と、
    この基板保持部を回転させるための回転駆動機構と、
    上記基板保持部に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出手段と、
    上記基板保持部の側方を取り囲むように配置可能で、上記回転駆動機構による上記基板保持部の回転に伴って側方へ飛ばされる洗浄液を受けて回収するための洗浄液回収部とを含み、
    上記洗浄液吐出手段が上記洗浄液回収部内に設けられた吐出口を有することを特徴とする基板処理装置。
  2. 上記基板保持部に保持された基板に向けて処理液を吐出する処理液ノズルをさらに含み、
    上記洗浄液回収部が、上記処理液ノズルから吐出され上記回転駆動機構による遠心力により側方へ飛ばされた処理液を受けるためのスプラッシュガードに形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 上記スプラッシュガードが、処理液を回収するための処理液回収部を含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
  4. 上記処理液回収部が、上下方向に複数個積層されて設けられていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
  5. 上記洗浄液回収部が、最下部の上記処理液回収部より低い高さ位置に設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の基板処理装置。
  6. 上記洗浄液回収部に、上記回転駆動機構の回転中心に向かって開いた開口が形成されており、
    上記洗浄液吐出手段が、先端に上記吐出口を有する洗浄ノズルを含み、
    この洗浄ノズルの吐出口が、上記開口の内部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
  7. 上記基板保持部に保持された基板に近接して対向配置可能な遮断板をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
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