実施の一形態について図面を参照して説明する。
(基本構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、テーブル20と、回転機構(回転駆動部)30と、処理液供給部40と、液供給部50と、流体供給部60と、制御部70とを備えている。
処理対象物Wは、図1及び図2に示すように、基板(例えば、デバイス)W1と、リングW2と、ダイシングテープW3とを有している。基板W1は、ダイシングテープW3の中央に貼り付けられる。リングW2は、環状に形成されており、ダイシングテープW3上の基板W1の周囲を囲むようにダイシングテープW3に貼り付けられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面の中央領域が基板W1により覆われ、ダイシングテープW3の粘着面の外縁領域が環状のリングW2により覆われている。このため、ダイシングテープW3の粘着面の中央領域と外縁領域の間の環状の領域、すなわち基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の上面は露出している。
テーブル20は、本体21と、支持体22と、複数のチャックピン23とを有している。このテーブル20は、カップ(不図示)により囲われており、カップ内の略中央に位置付けられ、水平面内で回転可能に回転機構30上に設けられている。テーブル20は、例えば、スピンテーブルと呼ばれる。
本体21は、中央が円柱状に盛り上がる凸形状に形成されている。この本体21の凸部の上面は、処理対象物Wの基板W1の下面にダイシングテープW3を介して対向した状態で基板W1を支持する。支持体22は、環状に形成されており、本体21の凸部(突出部)を囲むように本体21の環状の平坦部に設けられている。この支持体22は、処理対象物WのリングW2の下面にダイシングテープW3を介して対向した状態でリングW2を支持する。各チャックピン23は、それぞれ偏心回転可能に本体21の環状の平坦部に設けられている。これらのチャックピン23は、それぞれ同期して偏心回転することで、処理対象物WのリングW2の外周面を内側に押しつつ、処理対象物Wを水平状態に保持する。このとき、処理対象物Wの中心は、テーブル20の回転軸上に位置付けられる。
このテーブル20は、本体21及び支持体22により処理対象物Wを支持し、各チャックピン23により本体21及び支持体22に固定して、処理対象物WのリングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さより低くなるように(例えば2mm程度の数mm低くなるように)処理対象物Wを支持する。
回転機構30は、テーブル20を支持するように設けられ、そのテーブル20を水平面(平面の一例)内で回転させるように構成されている。この回転機構30は、回転軸31と、モータ32とを有している。回転軸31の一端はテーブル20の下方の中央に連結されており、回転軸31の他端はモータ32に連結されている。モータ32はその回転軸31を回転させる。回転機構30は、モータ32の駆動により回転軸31を介してテーブル20を水平面内で回転させる。
処理液供給部40は、ノズル41を有している。この処理液供給部40は、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近の上方(例えば、基板W1の中央付近の直上)にノズル41を位置付け、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近にノズル41から第1の処理液(例えば、p-メンタンやシクロペンタノンなどの溶剤)や第2の処理液(例えば、IPA:イソプロピルアルコール)を供給する。なお、第1の処理液は、例えば、DIW(超純水)と非相溶性の液体であり、基板W1に残留した接着物を基板W1から剥離するための液体である。
ノズル41は、例えば、ノズル移動機構(不図示)によりテーブル20の上方をテーブル20上の処理対象物Wに沿って水平方向に移動可能に形成されている。ノズル移動機構としては、例えば、アームを有する揺動機構やリニアガイドなどが用いられる。このノズル41は、テーブル20上の処理対象物Wの中央付近に対向し、その中央付近に向けて処理液を吐出する。ノズル41には、基板処理装置10外の二つのタンク(不図示)から二種類の処理液が個別に供給される。ノズル41から吐出される第1の処理液の吐出量は調整弁41aの開度調整により変更され、ノズル41から吐出される第2の処理液の吐出量は調整弁41bの開度調整により変更される。
液供給部50は、第1のノズル51と、第2のノズル52とを有している。この液供給部50は、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面の上方(例えば、リングW2の上面の直上)に第1のノズル51を位置付け、そのリングW2の上面に第1のノズル51から液体(例えば、DIW)を供給する。また、液供給部50は、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部の上方(例えば、基板W1の外周面の直上)に第2のノズル52を位置付け、その基板W1の外周端部に第2のノズル52から液体(例えば、DIW)を供給する。この液体は、第1の処理液に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい(第1の処理液よりも密度が大きい)ものである。
第1のノズル51及び第2のノズル52は、例えば、それぞれノズル移動機構(不図示)によりテーブル20の上方をテーブル20上の処理対象物Wに沿って水平方向に移動可能に形成されている。ノズル移動機構としては、例えば、アームを有する揺動機構やリニアガイドなどが用いられる。第1のノズル51は、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に対向し、その上面に向けて液体を吐出する。第2のノズル52は、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に対向し、その外周端部に向けて液体を吐出する。第1のノズル51及び第2のノズル52の水平離間距離は、例えば200mm程度である。これらの第1のノズル51及び第2のノズル52には、基板処理装置10外のタンク(不図示)から液体が供給される。第1のノズル51から吐出される液体の吐出量は調整弁51aの開度調整により変更され、第2のノズル52から吐出される液体の吐出量は調整弁52aの開度調整により変更される。
流体供給部60は、複数のノズル61を有している。この流体供給部60は、各ノズル61からテーブル20の中央側に向けて流体を吐出し、各チャックピン23の個々の上部(上面や外周面の上側)の周囲にそれぞれ流体を供給する。ノズル61としては、チャックピン23の上部及びチャックピン23の周囲を覆うように流体を拡散させて吐出する拡散ノズルが用いられる(図5参照)。流体としては、液体又は気体が用いられ、例えば、第1の処理液と親和性のない液体又は気体が用いられる。液体としては、第1の処理液に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい液体が用いられ、例えば、DIW(超純水)が用いられる。また、気体としては、例えば、N2や空気が用いられる。
各ノズル61は、各チャックピン23に個別に設けられており、それらのチャックピン23によりテーブル20に固定された処理対象物Wの基板W1の中央側に向けて流体をそれぞれ吐出する。具体的には、各ノズル61は、それぞれの吐出口がテーブル20の中央側、すなわち回転軸31に向けられ、各チャックピン23の個々の上面及び外周面に沿うように設けられている。各ノズル61には、それぞれ基板処理装置10外のタンク(不図示)から供給管(不図示)を介して流体が供給される。供給管は、テーブル20の回転を阻害しないようにノズル61に流体を供給可能に形成されており、例えば、回転軸31に設置されたロータリージョイントを介して各ノズル61に流体を供給可能に形成されている。ノズル61から吐出される流体の吐出量は調整弁61aの開度調整により変更される。
制御部70は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも不図示)を具備している。この制御部70は、基板処理情報や各種プログラムに基づいて、テーブル20の各チャックピン23による処理対象物保持動作、回転機構30によるテーブル20の回転動作、処理液供給部40による処理液供給動作、液供給部50による液供給動作、流体供給部60による流体供給動作などの制御を行う。例えば、モータ32は制御部70に電気的に接続されており、それらの駆動は制御部70により制御される。また、各調整弁41a、41b、51a、52a、61aは、例えば電磁弁であり、制御部70に電気的に接続されており、その駆動は制御部70により制御される。
(基板処理工程)
次に、前述の基板処理装置10が行う基板処理工程の流れについて説明する。この基板処理工程は、処理対象物Wの基板W1上に残留した接着物を除去する工程である。なお、下記の各種数値はあくまでも例示である。
図3に示すように、例えば、ステップ1から6までの工程が連続して実行される。ノズル41の第1の処理液としては溶剤(洗浄液の一例)が用いられ、ノズル41の第2の処理液としてはIPAが用いられる。第1のノズル51及び第2のノズル52の液体、また、各ノズル61の流体としては、DIWが用いられる。なお、処理対象物Wは各チャックピン23によりテーブル20に固定され、基板処理工程中、テーブル20は回転している。テーブル20の回転数や処理時間は制御部70により変更される。また、各ノズル41、51、52、61の個々の吐出量は、各調整弁41a、41b、51a、52a、61aが制御部70により制御されて変更される。
ステップ1では、DIWが第1のノズル51から吐出され、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に供給される。このステップ1では、第1のノズル51から吐出されるDIWの吐出量は380ml/minであり、テーブル20の回転数(第1の回転数)は20rpmであり、処理時間(吐出時間)は10sである。
DIWの吐出量はチャックピン23の上部及びチャックピン23の周囲を被液できる量であり、基板W1上には供給されない量であることが望ましい。ただし、例えば、第1のノズル51からのDIWの供給だけでは、チャックピン23をDIWで被覆している状態でもチャックピン23に接着物が付着することがあり、また、DIWの被覆が不十分でチャックピン23に接着物が付着することがある。このため、後述するステップ2において各ノズル61によるDIWの供給動作が必要となる。また、テーブル20の回転数(回転速度)は、DIWを液膜の状態で保持できる回転速度に設定されている。DIWは、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に到達し、リングW2の上面に広がる。このとき、リングW2は回転しており、リングW2の上面に供給されたDIWは、リングW2の外側及び内側に広がる。この時のテーブル20の単位時間当たりの回転数、すなわち、処理対象物WのリングW2の単位時間当たりの回転数(第1の回転数)は、リングW2の上面における遠心力の働きが弱い回転数であるため、第1のノズル51から吐出されて処理対象物WのリングW2の上面に到達したDIWが、回転するテーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に流れるように設定されている。また、処理時間は、設定されたDIWの吐出量により基板W1とリングW2の間を被液するのに要する時間に設定されている。例えば、処理時間は、設定されたDIWの吐出量が380ml/minとすると10sである。DIWの吐出量、テーブル20の回転数及び処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
ステップ1において、図4に示すように、第1のノズル51から吐出されたDIW(図4中のクロスハッチングによる塗りつぶし領域により示す)は、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に到達し、リングW2の外側及びリングW2の内側(基板W1側)に広がる。このため、リングW2の内側に広がるDIWは、基板W1とリングW2との間に流れ込み、基板W1、リングW2及びダイシングテープW3により囲まれる環状の空間に溜まる。これにより、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面にはDIWの液膜が形成され、また、リングW2の上面にもDIWの液膜が形成される。
ステップ2では、まず、図5に示すように、全てのノズル61がDIW(図5中のドットによる塗りつぶし領域により示す)の吐出を開始する。次いで、全てのノズル61がDIWを吐出している状態で、ステップ2において(図3参照)、溶剤がノズル41から吐出され、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に供給され、また、DIWが第1のノズル51から吐出され(ステップ1から継続)、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に供給される。このステップ2では、第1のノズル51から吐出されるDIWの吐出量は380ml/minであり、テーブル20の回転数(第1の回転数)は20rpmであり、処理時間(吐出時間)は240sである。なお、ノズル41から吐出される溶剤の吐出量は480ml/minであり(不図示)、各ノズル61の個々の吐出量はステップ2、3において同じで一定である(不図示)。
テーブル20の回転数(回転速度)は、基板W1上に溶剤を液膜の状態で保持できる回転速度に設定されているため、接着物を溶剤に反応させやすくなる。処理時間は、溶剤が後述するレーザ吸収層を溶解するために要する時間に設定されている。溶剤の吐出量は、前述の設定された処理時間内に、レーザ吸収層を十分に溶かすことができる供給量に設定されている。テーブル20の回転数、処理時間及び溶剤の吐出量は、予め実験などで求められ設定されている。
ステップ2において、図6に示すように、基板W1とリングW2の間やリングW2の上面、チャックピン23の上部(上面や外周面の上側)などにDIWの液膜が存在した状態で、ノズル41から吐出された溶剤は、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に到達し、処理対象物Wの回転による遠心力によって基板W1の上面の全体に広がる。基板W1の上面には溶剤の液膜が形成され、基板W1から接着物(図4中の基板W1上の太黒線により示す)が溶剤によって徐々に溶融される。ステップ2は、基板W1上の接着物を溶融するためのステップである。接着物は溶融し、基板W1から剥がれる。基板W1から剥がれた接着物は、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する。なお、基板W1上の接着物は、溶融の進行が速い部分から先に剥がれていき、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊することになる。
ここで、例えば、接着物は、レーザ吸収層が基板W1上に積層され、基板W1上のレーザ吸収層上にレーザ反応層が積層されて構成されている。基板W1側のレーザ吸収層が溶剤により溶かされ、接着物は基板W1から剥がされて除去される。支持基板の剥離工程前において、デバイス(基板W1)は接着層を介して支持基板に支持されている。この接着層は2層構造(レーザ反応層とレーザ吸収層)である。支持基板との剥離時は、支持基板側からレーザを照射すると、レーザ光により反応層が破壊される。レーザ吸収層によりレーザ光は、吸収されてデバイス側には影響を与えないようにしている。レーザ反応層が破壊されると、支持基板を剥離することができる。デバイス側には、破壊されたレーザ反応層及びレーザ吸収層、すなわち、接着層が残る状態になる。デバイスは破壊された接着層の上部(レーザ反応層)が上面で露出した状態でダイシングテープW3に支持される状態となる。第1の処理液である溶剤は、この2層の接着層にうち、レーザ吸収層を溶解させ、レーザ吸収層の上に形成するレーザ反応層ごと一緒に除去する。
また、ステップ2において、第1のノズル51から吐出されたDIWは、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けて進行するが、基板W1の上面から流れてくる溶剤に混和することなく、リングW2の上面に到達してリングW2の外側及び内側に広がる。DIWは、溶剤に混和せず溶剤よりも比重が大きい液体である。リングW2の内側に広がるDIWは、基板W1とリングW2との間に流れ込み、基板W1、リングW2及びダイシングテープW3により囲まれる空間に溜まる。これにより、基板W1及びリングW2の間にはDIWの液膜が維持され、また、リングW2の周囲にもDIWの液膜が維持される。なお、上述したようにDIWは、溶剤に混和せず溶剤よりも比重が大きいものである。そのため、基板W1の上面から排出された溶剤は、基板W1の上面から基板W1とリングW2の間に形成されるDIWに流れ込んだとき、基板W1とリングW2との間に形成されるDIWの液膜と混和せず、DIWの液膜の上を流れることになる(図6参照)。
また、各ノズル61から吐出されたDIWは、各チャックピン23の個々の上部を覆うように流れるため、チャックピン23の周囲にDIWの液膜が形成される。詳しくは、ノズル61から吐出されたDIWは、チャックピン23の上面を伝って(回転により伝わらない場合もあり)、リングW2側に流れ落ちることになる(図5及び図6参照)。これにより、DIWはチャックピン23の上部だけでなくチャックピン23の外周面にも流れ、つまり、チャックピン23の周囲に液膜が存在することになる。これにより、基板W1から剥離された接着物がチャックピン23に付着しないよう、チャックピン23をDIWの液膜でカバーすることができる。DIWの一部は、基板W1から排出される処理液の流れに逆らうことになるため、接着物をチャックピン23に寄せ付けない。
通常、ステップ2では、基板W1から除去された接着物は、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊して留まっているが、浮遊する接着物の中には、溶剤の流れによって溶剤と共に基板W1から排出されるものもある。つまり、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する接着物のうち一部は、基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面、各チャックピン23の周囲に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから排出される。このとき、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態で、処理対象物Wから接着物が溶剤と共に排出されるので、接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。また、基板W1から除去された接着物は溶剤と共に流れるが、各チャックピン23の周囲がDIWの液膜により覆われるので、接着物が各チャックピン23に付着することも抑えることができる。DIWが基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面を覆うこと及びDIWは溶剤と混和せず、かつ、比重が大きい関係であるため、溶剤と共に流れる接着物は、基板W1とリングW2の間においてDIWの液膜上を流れる。このため、接着物が基板W1とリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑制できる。また、チャックピン23の周囲にDIWの液膜を形成することにより、溶剤と共に流れる接着物は、チャックピン23の周囲においてDIWの液膜上を流れるため、チャックピン23への接着物の付着を抑制できる。
また、テーブル20は、リングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さより低くなる位置で処理対象物Wを支持している。これにより、基板W1から除去された接着物がリングW2に引っかかり残留することが抑制されるので、接着物の排出効率を向上させることができる。なお、テーブル20が、リングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さ以上となる位置で処理対象物Wを支持する場合、基板W1から除去された接着物がリングW2に引っかかり残留することがある。
ステップ3では、DIWが全てのノズル61から吐出されている状態で、溶剤がノズル41から吐出され(ステップ2から継続)、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に供給され、DIWが第1のノズル51から吐出され(ステップ2から継続)、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に供給され、さらに、DIWが第2のノズル52から吐出され、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に供給される。このステップ3では、第1のノズル51から吐出されるDIWの吐出量は380ml/minであり、第2のノズル52から吐出されるDIWの吐出量は200ml/minであり、テーブル20の回転数(第2の回転数)は400rpmであり、処理時間(吐出時間)は60sである。なお、ノズル41から吐出される溶剤の吐出量は480ml/minである(不図示)。
DIWの吐出量は、テーブル20の回転数が第2の回転数に変更された際に、基板W1とリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面を被液できる吐出量に設定されている。テーブル20の回転数(回転速度)は、基板W1上で浮遊する接着物を基板W1外に排出させることができる速度に設定されている。処理時間は、設定されたテーブル20の回転数とともに、接着物が基板W1上からすべて排出される時間に設定されている。DIWの吐出量、テーブル20の回転数及び処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
ステップ3において、図7に示すように、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間にDIWの液膜が形成され続け、また、基板W1の上面には溶剤の液膜が形成され続ける。テーブル20の回転数が上がり(20→400rpm)、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は、基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから流れ落ちる。ステップ3は、ステップ2で溶融して基板W1上の溶剤に浮遊する接着物を処理対象物Wから排出するためのステップである。
なお、ステップ3において、ノズル41による溶剤の供給、第1のノズル51によるDIWの供給、各ノズル61によるDIWの供給は、前述のステップ2と同じであるが、加えて、第2のノズル52によるDIWの供給が行われる。第2のノズル52から吐出されたDIWは、基板W1の上面から流れてくる溶剤に混和することなく、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に到達し、基板W1とリングW2との間に流れ込み、基板W1、リングW2及びダイシングテープW3により囲まれる空間に溜まる。テーブル20の回転数が上がると(20→400rpm)、遠心力が働いて、第1のノズル51から吐出されたDIWが基板W1及びリングW2の間に流れ込み難くなり、ダイシングテープW3の露出面(粘着面)に形成される液膜が薄くなる。また、露出面の一部では、液膜が完全にない状態になる。ところが、第2のノズル52から吐出されたDIWが基板W1及びリングW2の間に供給され、基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さ(膜厚)が維持されるので、溶剤の供給中、基板W1とリングW2との間のダイシングテープW3の粘着面はDIWの液膜により確実に覆われる。これにより、テーブル20の回転数を上げても、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態となる。結果として、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は、基板W1基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから接着物が溶剤と共に排出される。したがって、基板W1から除去された接着物が、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。
前述したように、第1のノズル51による供給だけでは、DIWの液膜が薄くなる状態及び液膜が無くなる状態になるので、第2のノズル52により、更に液量をアシストすることでDIWの液膜の形成を維持するようにする。さらに、第2のノズル52は、処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けてDIWを吐出することで、遠心力の影響を考慮して、基板W1とリングW2の間にDIWの液膜を形成できるようにしている。リングW2の上面に第2のノズル52からDIWを供給しても、回転数が第2の回転数になることで遠心力が増えるので、DIWがリングW2の内側に流れず外側に排出されてしまう。このため、第2のノズル52によって、基板W1の外周端部にDIWを供給し、その外周端部の外側に位置する、基板W1とリングW2の間のダイシングテープの粘着面にDIWが流れ、そこにDIWの液膜を形成するようにしている。なお、ステップ3でも溶剤(第1の処理液)を供給しており、ステップ4で溶剤の供給を停止する。
また、処理対象物Wから接着物を排出するため、テーブル20の回転数をステップ2より上げる(20→400rpm)。これにより、処理対象物W上での遠心力が強くなり、処理対象物Wからの接着物排出が促進されるので、溶剤と共に流れる接着物を排出する排出性能(接着物の排出性能)を向上させることができる。つまり、ステップ2で基板W1上に溶剤の液膜を形成し、基板W1の接着物を溶融して溶剤の液膜に浮遊させ、ステップ3でテーブル20の回転数を上げ、溶剤に浮遊する接着物を処理対象物W上から溶剤と共に排出する。テーブル20の回転数を上げることによって、接着物の排出性能を向上させることが可能である。つまり、基板W1の回転数(回転速度)を上昇させることで、遠心力を発生させ、基板W1の表面上に浮遊した接着物を遠心力で基板W1の外側に排出する。これにより、基板W1の表面上から接着物を除去することができる。なお、基板W1の回転数を上昇した際にも、基板W1中央に溶剤の供給を継続している。これは、基板W1の表面上の液膜が遠心力により薄くなり、基板W1の表面上から剥離した接着物が、再度基板W1の表面上に付着することを抑えるためである。さらに、基板W1上から接着物を排出する排出性能を補助もする。
ステップ4では、全てのノズル61がDIWの吐出を停止し(全ての液供給が無い状態で)、IPAだけがノズル41から回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に供給される。このステップ4では、テーブル20の回転数は400rpmであり、処理時間(吐出時間)は60sである。なお、ノズル41から供給されるIPAの量は200ml/minである(不図示)。
ステップ4において、基板W1上に残留する溶剤を除去するため、IPAを供給する。なお、溶剤を排出するためには、溶剤と混和可能であり揮発性が高い液体を用いることが好ましい。テーブル20の回転数(回転速度)は、基板W1上に残留する処理液を基板W1外に排出させることができる速度に設定されている。処理時間は、設定されたテーブル20の回転数とともに、溶剤の残留が基板W1上からすべて無くなる時間に設定されている。テーブル20の回転数及び処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
ステップ5では、全ての液供給が無い状態で、高速回転により乾燥が行われる。このステップ5では、テーブル20の回転数は1000rpmであり、処理時間は50sである。基板W1上が乾燥するのに必要な回転数、処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
ステップ6では、高速回転により乾燥を停止するため、全ての液供給が無い状態で、回転速度が遅くされる。このステップ6では、テーブル20の回転数は50rpmであり、処理時間は10sである。
前述の基板処理工程では、ステップ2及びステップ3において、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の上面に溶剤が供給されている状態で、各ノズル61はそれぞれDIWを吐出する。基板W1から除去された接着物は、溶剤と共に流れるが、各チャックピン23がDIWの液膜により覆われているため、接着物がチャックピン23に付着することが抑えられる。したがって、チャックピン23に付着した接着物が、搬送工程などでチャックピン23から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を向上させることができる。詳しくは、チャックピン23の上部にDIWが供給されると、その上部で広がり、チャックピン23の周囲にもDIWが供給されることになる。これにより、チャックピン23の周囲にDIWの液膜が形成されることになる。結果として、接着物はチャックピン23に付着せずに、チャックピン23の上部もしくは、チャックピン23の周囲を流れていくことになる。なお、例えば、接着物がチャックピン23に付くと、次に搬送されてきた未処理の処理対象物Wが、汚染されたチャックピン23によって保持されることになる。これにより、リングW2に接着物が付着してしまい、そのまま処理が進むと搬送工程やダイシング工程などで基板W1に影響を与えることがある。
また、ステップ2において、第1のノズル51は、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けてDIWを吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間にDIWを供給する。これにより、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面がDIWの液膜により覆われる。この状態で、ノズル41は、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に向けて溶剤を吐出する。また、ステップ3において、テーブル20の回転数が上昇すると、第2のノズル52は、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けてDIWを吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間にDIWを供給する。これにより、テーブル20の回転数が例えば100rpm以上に上昇し(高速回転)、基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さが薄くなっても、その基板W1及びリングW2の間にDIWが供給され、基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さが保持される。したがって、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態が確実に維持される。
このようにして、溶剤の供給中、基板W1とリングW2との間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面は、DIWの液膜により確実に覆われている。これにより、基板W1から除去された接着物が溶剤と共に基板W1から排出されても、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着することが抑えられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程(例えば後工程)などでダイシングテープW3やリングW2から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を確実に向上させることができる。
ここで、例えば、第1のノズル51が基板W1の外周端部に供給すると、DIWが基板W1の端面側から中心方向に広がってしまう。つまり、第1の回転数では、遠心力が弱いから基板W1の外周に排出する性能が出ない。このため、基板W1の中心方向にDIWが広がると、ステップ2で基板W1の中心に供給される溶剤が基板W1の外周に広がるのを阻害し、溶剤が基板W1の外周部における接着物と反応することができなくなる。前述したように、DIWと第1の処理液である溶剤は混和しないものであり、DIWの方が第1の処理液である溶剤より比重が大きい。そのため、DIWが基板W1の外周端部から中心方向に広がると、基板W1の中心から供給された溶剤が、基板W1の外周付近で、DIWとは混和せずにDIWの上を流れる状態になる。つまり、基板W1の外周付近は、溶剤が基板W1上の接着物に接触することが難しくなり、基板W1上の接着物に対して溶剤を供給することができない。つまり、テーブル20の回転数に応じてDIWの供給位置を変えている理由は、上記したように、基板W1上に供給される第1の処理液である溶剤が、DIWによって阻害されることなく、基板W1の外周までに広がり、基板W1上の接着物の剥離を確実に行うことと、基板W1とリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に接着物の付着を抑制するためである。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、処理液供給部40により第1の処理液(例えば、溶剤)が処理対象物Wに供給されている状態で、流体供給部60により全てのチャックピン23の周囲に流体(例えば、DIW)を供給する。基板W1から除去された接着物は第1の処理液と共に流れるが、各チャックピン23の少なくとも個々の上部やその外周面が流体により覆われるため、接着物がチャックピン23に付着することが抑えられる。したがって、チャックピン23に付着した接着物が、搬送工程などでチャックピン23から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、処理対象物Wをテーブル20により支持し、そのテーブル20を回転機構30により回転させ、テーブル20の回転数に応じて、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面、又は、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて、第1の処理液(例えば、溶剤)に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい液体(例えば、DIW)を吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に液体を供給し、液体が処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に供給されている状態で、回転するテーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の上面に処理液を供給する。
つまり、第1の処理液に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい液体が基板W1及びリングW2の間に流れ込み、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われる。このため、基板W1から除去された接着物は、基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる第1の処理液と共に処理対象物Wから排出されるので、その際に基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することが抑えられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程などでダイシングテープW3から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を確実に向上させることができる。
また、リングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さより低くなる位置でテーブル20が処理対象物Wを支持することで、接着物の排出性能を向上させることが可能になり、また、リングW2の上面を液膜により覆うことが可能になる。これにより、基板W1から除去された接着物が、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着することが確実に抑えられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着した接着物が、搬送途中やダイシング工程などの後工程でダイシングテープW3やリングW2から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが確実に抑制されるので、基板品質をより確実に向上させることができる。
また、第2のノズル52によるDIWの供給が行われる。第1のノズル51による供給だけでは、DIWの液膜が薄くなる状態及び液膜が無くなる状態になるので、第2のノズル52により、更に液量をアシストすることでDIWの液膜を維持する。さらに、第2のノズル52は、処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けてDIWを吐出することで、遠心力の影響を考慮して、基板W1とリングW2の間にDIWの液膜を形成する。これにより基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さ(膜厚)が維持されるので、溶剤の供給中、基板W1とリングW2との間のダイシングテープW3の粘着面はDIWの液膜により確実に覆われる。これにより、テーブル20の回転数を上げても、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態となる。結果として、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は、基板W1基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから接着物が溶剤と共に排出される。したがって、基板W1から除去された接着物が、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。
なお、処理液供給部40により第1の処理液が処理対象物Wに供給されていない状態で、流体供給部60により全てのチャックピン23に流体を当てることがある。例えば、基板W1から除去された接着物がチャックピン23に付着した場合でも、ステップ4以降において、流体として液体を用い、各ノズル61から液体を吐出することで、チャックピン23に付着した接着物を洗い流し、そのチャックピン23から洗浄して除去することが可能である。あるいは、流体として気体を用い、各ノズル61から気体を吐出することで、チャックピン23に付着した接着物を乾燥させ、乾燥した接着物をチャックピン23から吹き飛ばして除去することも可能である。この除去された接着物は、ステップ4で処理対象物Wから排出される。このようにして、接着物がチャックピン23に付着することを確実に抑えることができる。例えば、接着物がチャックピン23に付着した場合、基板処理が終了し、処理対象物Wがチャンバから搬送され、次の処理対象物Wがチャンバに搬送される間で、チャックピン23に対して気体を供給し、チャックピン23から接着物を吹き飛ばして除去することが可能である。なお、ステップ4まで、ノズル61からDIWが供給されているので、この供給をステップ5まで延長することも可能である。供給延長により、接着物がチャックピン23に付着することをより抑えることができる。
<他の実施形態>
前述の説明においては、各ノズル61を各チャックピン23の上面や外周面に沿わして各チャックピン23に個別に設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、各チャックピン23の内部を通過させて個別に設けるようにしてもよく(内蔵)、また、各チャックピン23の周囲に個別に設けるようにしてもよい。
ここで、チャックピン23の上部、その周囲に流体を供給することが望ましいが、少なくとも、各チャックピン23の個々の周囲の基板W1側に供給する。また、予め実験などでチャックピン23に接着物が付着しやすいエリアが判っているのであれば、そのエリアだけに供給することも可能である。流体が気体である場合には、チャックピン23の上部に気体を供給することは可能であるが、その上部から拡散しても、チャックピン23の周囲(下部)に対して供給することは難しい。気体に関しては、チャックピン23の上方(離れた位置)から、チャックピン23の上部及びその周囲に狙って気体を供給することが可能である。例えば、チャックピン23の上部とその周囲(周囲を流れる液面に対して)に気体を噴射するノズルを個別に設けても良く、そのノズルをチャックピン23に内蔵させてもよい。
また、前述の説明においては、全てのノズル61から同時に流体を吐出させることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、各ノズル61から順番に流体を吐出させることも可能であり、所定の順序で各ノズル61から流体を吐出させるようにしてもよく、また、不規則に吐出させるようにしてもよい。つまり、各ノズル61から選択的に流体を吐出させても、また、各ノズル61から同時に流体を吐出させるようにしてもよい。
また、前述の説明においては、全てのノズル61から流体を吐出させてからテーブル20上の処理対象物Wに対する処理液の供給を開始することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、テーブル20上の処理対象物Wに対する処理液の供給を開始してから、全てのノズル61から流体を吐出させるようにしてもよい。すなわち、処理液の供給開前に各ノズル61からの流体吐出を開始するようにしてもよく、また、処理液の供給開始後に各ノズル61からの流体吐出を開始するようにしてもよいが、いずれの場合でも、処理液が処理対象物Wに供給されている状態で、各ノズル61から流体を吐出させる。
また、前述の説明においては、各ノズル61の個々の吐出量を同じで一定にすることを例示したが、これに限るものではなく、各ノズル61の個々の吐出量を異ならせてもよく、あるいは、一定ではなく変化させるようにしてもよい。例えば、各ノズル61の個々の吐出量を全て異ならせたり、組ごとに異ならせたりする。また、テーブル20の回転数に応じて各ノズル61の個々の吐出量を変える。例えば、テーブル20の回転数の上昇に応じて各ノズル61の個々の吐出量を上げ、テーブル20の回転数の下降に応じてノズル61の個々の吐出量を下げる。これにより、基板W1から除去された接着物が処理液と共に流れるときの速さに応じ、ノズル61の個々の吐出量を調整することが可能になるので、接着物がチャックピン23に付着することを確実に抑えることができる。なお、テーブル20の回転数に応じて、ノズル61の吐出量を変えることに加え、流体を吐出させるノズル61の個数を変えることも可能である。
なお、テーブル20の回転数を応じてノズル61の吐出量を変化させる理由として、テーブル20の回転数に応じて遠心力による影響に変化が生じるからである。テーブル20の回転数が第1の回転数である場合、前述したように、遠心力の働きが弱いため、ノズル61から吐出したDIWは遠心力には負けない。DIWはチャックピン23の上部及びその周囲に供給される。しかし、テーブル20の回転数が第2の回転数になると、ノズル61から吐出されるDIWは、遠心力の影響を受けるので、吐出されたDIWがチャックピン23の周囲には届かず、吐出した後すぐに、チャックピン23外(テーブル20の外方)に排出されてしまうことがある。つまり、テーブル20の回転数が第2の回転数である場合、遠心力の影響を考慮して、チャックピン23の周囲にもDIWを確実に供給できるように、第1の回転数のときよりもノズル61の吐出量を多くする必要がある。また、ノズル61からの吐出量を、テーブル20の回転数に応じて変化させるとしているが、言い変えると、処理ステップごとにノズル61の吐出量を変化させることができる。剥離された接着物がチャックピン23に向かって付着しやすい環境の時だけ、吐出量を多くするが、それ以外は、吐出量を少なくできる。つまり、DIWの消費を抑制することができる。
また、前述の説明においては、テーブル20の回転数に応じて、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面、あるいは、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて液供給部50により液体を吐出することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に向けて吐出するようにしてもよい。なお、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面及び基板W1の外周端部の両方に同時に液体を供給することも可能であり、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の外周端部及び基板W1とリングW2との間の両方に、また、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面、基板W1の外周端部及び基板W1とリングW2との間の三個所に同時に液体を供給することも可能である。
また、前述の説明においては、第1のノズル51及び第2のノズル52の二本のノズルを設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、第1のノズル51だけを設け、その第1のノズル51を移動機構により移動させて第2のノズル52のかわりに用いるようにしても良い。すなわち、第1のノズル51は、テーブル20の回転数が第1の回転数である場合、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けて液体を吐出し、テーブル20の回転数が第2の回転数である場合、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて液体を吐出する。なお、第1のノズル51は、テーブル20の回転数が第1の回転数から第2の回転数に変更される前に、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けて液体を吐出する位置から、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて液体を吐出する位置に移動する。また、第1のノズル51及び第2のノズル52のどちらか一方又は両方をリングW2及び基板W1の周方向に所定の間隔で複数設けることも可能である。
また、前述の説明においては、第1のノズル51及び第2のノズル52は、鉛直方向に対して傾いていてもよく、鉛直方向に平行であってもよい。また、第1のノズル51の傾斜角度及び第2のノズル52の傾斜角度は同じであっても、異なっていてもよい。第1のノズル51及び第2のノズル52の個々の傾斜角度をテーブル20の回転数に応じて変更するようにしてもよく、例えば、連結部材やモータなどを有する角度変更機構(角度変更部)によりテーブル20の回転数に応じて変更するようにしてもよい。また、テーブル20の回転数ごとに傾斜角度の異なる複数のノズルを設けておき、それらのノズルをテーブル20の回転数に応じて選択して用い、テーブル20の回転数に応じてノズルの傾斜角度を変更するようにしてもよい。このようにして、第1のノズル51や第2のノズル52などのノズルがテーブル20上の処理対象物Wに対して液体を吐出する角度(吐出角度)を変更することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。