JP4727080B2 - スピン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は回転駆動される基板を第1の処理液で処理してから第2の処理液で処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置の製造過程においては、矩形状のガラス製の基板に回路パターンを形成するということが行われている。回路パターンを形成する場合、上記基板に対して現像処理、エッチング処理あるいはレジストの剥離処理などが行われる。これらの処理を行う場合、まず、基板に第1の処理液として現像液、エッチング液あるいは剥離液などを供給して所定の処理を行い、ついで第2の処理液として純水などの洗浄液を供給して洗浄処理するということが行われる。
【0003】
現像液、エッチング液あるいは剥離液などの第1の処理液は高価であるため、繰り返して使用するということが行われている。第1の処理液を繰り返して使用する場合、第1の処理液と第2の処理液とを混合させずに回収しなければならない。
【0004】
第1の処理液と第2の処理液との混合を避けるためには、基板に供給された第1の処理液と第2の処理液とをそれぞれ別々の経路で回収しなければならない。2種類の処理液を別々に回収することができる先行技術としては特開平8−262741号公報が知られている。
【0005】
上記公報に示された先行技術は、第1の容器内に基板を保持する回転チャックが設けられ、この回転チャックの下面側には上記第1の容器側に固定されてカバーが設けられている。このカバーは上記回転チャックよりも大きく形成されている。
【0006】
さらに、第1の容器内には第2の容器が上下駆動されるように設けられている。この第2の容器が上昇した状態で、回転駆動される基板に第1の処理液を供給すると、この第1の処理液はカバーの上面に滴下するとともに第2の容器の内周面に衝突するから、第2の容器の内部に回収される。
【0007】
上記第2の容器を、その上端が上記カバーの上面に接合するまで下降させれば、基板に供給されて滴下する第2の処理液の一部は、カバーの上面から第2の容器の外周面を伝わって第1の容器内に流れ、また基板から周囲に飛散した処理液は第1の容器の内周面に衝突するから、この第1の容器内に回収される。
【0008】
つまり、第2の容器を上昇あるいは下降させることで、第1の処理液と第2の処理液とを分離回収することができるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構成によると、基板に供給された処理液はカバーの上面に滴下する。そのため、処理液はカバーの上面に溜まり易いため、第1の処理液あるいは第2の処理液を回収するときに、上記カバーの上面に溜まった処理液が回収される処理液に混合してしまうということが発生し易い。
【0010】
上記カバーの上面を径方向周辺部にゆくにつれて低く傾斜させることで、このカバーの上面に処理液を溜まりにくくすることができる。しかしながら、カバーの直径寸法や高さ寸法は第1、第2の容器の大きさによって制限を受ける。そのため、上記カバーの上面の傾斜角度にも制限を受けることになるから、そのことによってもカバーの上面に処理液が溜まり易いということがある。
【0011】
たとえカバーの上面を傾斜させても、処理液はカバーの上面から確実に除去できるものでなく、付着残留することが避けられないから、その処理液が他の処理液に混合するということがある。
【0012】
さらに、第2の容器を下降させたときに、その上端部を上記カバーの上面に接合させて処理液が第2の容器内に入り込むのを防止している。しかしながら、第2の容器をカバーの上面に接合させるだけでは、カバーの上面を流れる処理液が第2の容器とカバーとの接合面間に浸入して第2の容器内に入り込んだり、カバー上面に残留することがあるから、その処理液が第2の容器に回収される処理液と混合するということがある。
【0013】
この発明は、第1の処理液と第2の処理液とを確実に分離して回収できるようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、矩形状の基板を第1の処理液と第2の処理液とで処理するスピン処理装置において、
装置本体と、
この装置本体内に設けられ上面が開口したカップ体と、
基部及びこの基部から外方に突設された複数のアームを有し、上記カップ体内に設けられ上記アームによって上記基板を保持して回転駆動される回転体と、
上記カップ体の上面開口よりもわずかに小径な円盤状であって、上記回転体にこの回転体に保持される基板の下面側に位置するとともに、上記回転体と一体に回転するように設けられた遮蔽部材と、
この遮蔽部材が上記カップ体内部に位置する下降位置と、上記カップ体の開口面よりも上方に位置する上昇位置とに上記回転体を上下駆動する上下駆動手段と、
上記カップ体の内部に連通して設けられ上記回転体が上記下降位置の状態で上記基板に供給される上記第1の処理液を上記カップ体内から排出する内側排液部と、
上記カップ体の外部で上記装置本体の内部に連通して設けられ上記回転体が上記上昇位置の状態で上記基板に供給されて上記カップ体の外部を流れる上記第2の処理液を排出する外側排液部と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置にある。
【0015】
請求項2の発明は、上記装置本体には、
一端が上記カップ体内の内側空間部と、上記装置本体の内部で上記カップ体の外側の外側空間部との両方に連通した排気路と、
この排気路の上記内側空間部と外側空間部との連通状態をいずれか一方に選択的に切換える切換え手段と
が設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0016】
請求項3の発明は、上記回転体が下降位置にあるときに一端を支点として他端が上記回転体の回転中心方向に回動してこの回転体に保持された基板に薬液を供給する内部ノズル体が設けられ、
上記回転体が上昇位置にあるときに一端を支点として他端が上記回転体の回転中心方向に回動してこの回転体に保持された基板に純水を供給する外部ノズル体が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスピン処理装置にある。
【0017】
請求項4の発明は、上記第1の処理液は薬液で、上記第2の処理液は純水であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載のスピン処理装置にある。
【0019】
請求項5の発明は、上記内部ノズル体の一端を支点とする回動方向は、上記回転体に保持された基板の回転方向と交差する方向であることを特徴とする請求項3記載のスピン処理装置にある。
【0020】
この発明によれば、回転駆動及び上下駆動される回転体に、基板の下面側に位置するように遮蔽部材を設けたことで、基板に供給されて上記遮蔽部材上に滴下した処理液を、上記遮蔽部材の高さ位置によってカップ体の内部あるいは外部に振り分けることができる。上記遮蔽部材は回転体とともに回転するから、遮蔽部材の上面に滴下した処理液は遠心力によってその上面にほとんど残留することなく飛散する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1はこの発明のスピン処理装置の横断面図で、図2は基板を第1の処理液である薬液、たとえば剥離液などで処理している状態の側断面図で、図3は基板を第2の処理液である純水によって処理している状態の側断面図である。
【0023】
スピン処理装置はクリーンルームに設置され、このスピン処理装置は図2と図3に示すように架台1を有する。この架台1上には矩形箱型状で、上面が開口した装置本体2が設置されている。この装置本体2内には上面に上部開口部3aが形成され、底面に下部開口部3bが形成されたカップ体4が配設されている。
【0024】
このカップ体4内には回転体5が設けられている。回転体5は図1に示すように円盤状の基部6と、この基部6の外周面から外方に突設された4本のアーム7とからなる。各アーム7の先端部には、このアーム7の長手方向に沿って所定間隔で突設された一対の係合ピン8と、この一対の係合ピン8よりもアーム7の基端部寄り突設された支持ピン9とが設けられている。上記係合ピン8は支持ピン9よりも背が高く設定されている。
【0025】
そして、上記回転体5には、たとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の矩形状の基板10が角部の下面を上記支持ピン9によって支持され、角部の側面を上記一対の係合ピン8に係合させて保持される。それによって、上記回転体5が後述するごとく回転駆動されると、この回転体5に保持された基板10は、回転体5と一体的に回転するようになっている。
【0026】
上記架台1の上記カップ体4の下方に位置する部分には駆動機構13が配置されている。この駆動機構13は可動板14を有し、この可動板14は図2と図3に鎖線で示す上下駆動シリンダ15によって上下駆動されるようになっている。
【0027】
上記可動板14の下面には回転モータ16が取付けられている。この回転モータ16の回転軸17は上記可動板14の上面側に突出し、その上端は上記回転体5の基部6の下面に連結されている。
【0028】
したがって、上記回転体5は、上記回転モータ16によって回転駆動されるとともに、上記上下駆動シリンダ15によって図2に示す下降位置と、図3に示す上昇位置とに上下駆動されるようになっている。
【0029】
上記可動板14の上面には支持部材21が設けられ、この支持部材21には主カバー22が設けられている。この主カバー22は頂部に上記回転軸17が挿通される通孔23を有する円錐状に形成されていて、図2に示すように回転体5が下降位置にあるときにはカップ体4の下部開口部3bを閉塞するようになっている。
【0030】
上記回転軸17には、上記カバー22の通孔23を覆う補助カバー24と、この補助カバー24よりも上方に上記カップ体上部開口部3aよりもわずかに小径な円盤状の遮蔽部材25とが設けられている。この遮蔽部材25は、図3に示すように回転体5が上昇位置にあるときにカップ体4の上部開口部3aよりもわずかに上方に位置するようになっている。
【0031】
図1に示すように、上記カップ体4内の上記遮蔽部材25よりも径方向外方には、周方向に180度ずれて一対の支柱軸26が突設されている。各支柱軸26の下端部はカップ体4の外底部に突出し、この支柱軸26を所定の角度で回転駆動するたとえばロータリシリンダなどの回転機構27に取付けられている。
【0032】
各支柱軸26の上端にはそれぞれ内部ノズル体28の基端部が取付けられている。この内部ノズル体28は上記遮蔽部材25の半径とほぼ同じ曲率半径で湾曲したパイプ材によって形成されたシャワーノズルからなり、上記回転機構27によって図1に破線で示す退避位置から鎖線で示す供給位置まで矢印Aで示す反時計方向に回転駆動されるようになっている。それによって、内部ノズル体28は先端部が上記回転体5に保持された基板10のほぼ中心部分の上方に対向位置するようになっている。
【0033】
上記内部ノズル体28には第1の処理液として剥離液やエッチング液などの薬液が供給され、その薬液が回転体5に保持された基板10に向けてシャワー状に噴射される。
【0034】
上記回転体5に保持された上記基板10は、図1に矢印Aで示す上記内部ノズル体28の回転方向と逆方向に回転駆動される。つまり、基板10の一対の内部ノズル体28に対向する部分は、矢印Aで示す内部ノズル体28の回転方向に向かう矢印B方向に回転する。
【0035】
それによって、内部ノズル体28から基板10に噴射される第1の処理液は、基板10の上面に先に噴射塗布された第1の処理液を攪拌する作用が大きくなるから、第1の処理液を活性化し、その反応を促進させることになる。
【0036】
上記装置本体2の内周面の高さ方向中途部には、周方向全長にわたってリング状部材31が設けられている。このリング状部材31の一辺には回転機構32が設けられている。この回転機構32にはアーム33の基端部が取付けられ、このアーム33の先端部には外部ノズル体34が設けられている。
【0037】
上記アーム33を上記回転機構32によって回転させることで、図3に示すように上昇位置にある回転体5に保持された基板10の中心部分に上記外部ノズル体34を対向させることができるようになっている。
【0038】
上記外部ノズル体34にはたとえば純水などの第2の処理液が供給される。外部ノズル体34に供給された第2の処理液は、このノズル体34内に設けられた図示しない超音波振動子によって超音波振動を与えられてから基板10に向けて噴射される。したがって、基板10を第2の処理液によって洗浄処理することができるようになっている。
【0039】
上記カップ体4の底部の周辺部の4箇所には内側排液部としての内部排液口35が形成されている。各内部排液口35には第1の排液管36が接続され、これら第1の排液管36は貯液タンク37に連通している。
【0040】
したがって、回転体5が図2に示す下降位置で、上記内部ノズル体28から基板10に向けて第1の処理液が供給されると、その第2の処理液はカップ体4に滴下して上記内部排液口35から第1の排液管36を通じて上記貯液タンク37に回収されるようになっている。貯液タンク37に回収された第1の処理液は上記内部ノズル体28に供給されるようになっている。つまり、第2の処理液は繰り返して使用される。
【0041】
上記カップ体4の外部で、上記装置本体2の底部の4箇所には外側排液部としての外部排液口38が形成されている。各外部排液口38には第2の排液管39が接続されている。
【0042】
したがって、図3に示すように回転体5が上昇した状態で回転する基板10に上記外部ノズル体34から第2の処理液が供給されると、その第2の処理液は回転体5の下側に設けられた遮蔽部材25によってカップ体4内に滴下するのが阻止されてカップ体4の外側に滴下するから、そこから上記外部排液口38に流入し、第2の排液管39を通って適所に排出されるようになっている。
【0043】
上記装置本体2の側壁内面には、その内面と所定間隔で離間して設けられた仕切り板41によって上下方向に沿う排気路42が区画形成されている。この排気路42の下端部は通気管43を介して上記カップ体4の内側空間部に連通し、上記仕切り板41の下端部に形成された通気口44を介して上記カップ体4の外側空間部に連通している。
【0044】
上記排気路42の上端部は絞られて図示しない排気管に接続されている。この排気管には同じく図示しない排気ファンが接続されている。したがって、この排気ファンの吸引力によって上記カップ体4の内側空間部や外側空間部を排気できるようになっており、排気された雰囲気はクリーンルームの外部に排出されるようになっている。
【0045】
なお、排気路42は装置本体2の一側壁内面だけであってもよいが、カップ体4に設けられる通気管43の数に応じて二側壁以上の内面に形成するようにしてもよく、最大四側壁内面に形成してもよい。
【0046】
上記通気管43と通気口44とは切換え機構46によっていずれか一方が選択的に開閉される。この切換え機構46は切換えシリンダ47を有し、このシリンダ47のロッド48にはシャッタ49が取付けられている。
【0047】
上記ロッド48が突出方向に駆動されているときには上記シャッタ49は通気口44を閉塞して通気管43を開放し、後退方向に駆動されているときには通気口44を開放して通気管43を閉塞する。
【0048】
したがって、上記排気ファンの吸引力を上記排気路42を通じてカップ体4の内側空間部と外側空間部とのいずれか一方に選択的に作用させることができるから、どちらか一方の空間部を効率よく排気することができる。
【0049】
上記装置本体2の一側壁には、図3に示すように回転体5が上昇した状態において、この回転体5に図示しないロボットによって未処理の基板10を供給したり、処理された基板10を取り出すための出し入れ口51が上記一側壁に幅方向に沿って形成されている。
【0050】
上記出し入れ口51はシャッタ52によって開閉される。このシャッタ52は上記リング状部材31の一辺とともにシリンダ53によって上下駆動される。それによって、上記出し入れ口51が開閉されるようになっている。
【0051】
上記カップ体4の上方には基板10の帯電を防止するためのコロナ放電を発生するイオナイザ53が配置され、さらにこのイオナイザ53の上方には装置本体2の上面開口から内部に流入するダウンフローを清浄化するためのHEPAなどのフィルタ54が配置されている。
【0052】
つぎに、上記構成のスピン処理装置によってレジストが付着した基板10を洗浄処理する工程について説明する。
【0053】
図3に示すように、回転体5が上昇した状態で、この回転体5に出し入れ口51からレジストが付着した未処理の基板5が供給されると、図2に示すように上記回転体5が下降するとともに、出し入れ口51がシャッタ52によって閉塞される。また、シャッタ49が通気口44を閉塞し、排気路42がカップ体4の内側空間部に連通することで、このカップ体4内が排気される。
【0054】
ついで、回転体5が回転駆動され、基板10が回転体5と一体的に図1に矢印Bで示す反時計方向に回転するとともに、カップ体4内に設けられた一対の内部ノズル体28から第1の処理液を噴射させながら、この内部ノズル体28を矢印Aで示すように基板10の回転方向Bに対して交差する方向に回動する。それによって、基板10に付着したレジストが剥離されることになる。
【0055】
基板10に供給された第1の処理液は、基板10の上面からカップ体4内へ直接滴下したり、基板10の下面側に位置して回転体5と一体に回転する遮蔽部材25の上面に滴下し、この上面から遮蔽部材25の回転によって生じる遠心力でカップ体4内に滴下する。
【0056】
つまり、遮蔽部材25が回転体5と一体的に回転しているため、第1の処理液が遮蔽部材25上に滴下しても、その第1の処理液は回転によって生じる遠心力で遮蔽部材25の上面から確実にカップ体4内に滴下するから、第1の処理液が遮蔽部材25に付着残留するのが防止できる。
【0057】
カップ体4内に滴下した第1の処理液は、このカップ体4の底部の4箇所に形成された内部排液口35から第1の排液管36を通って貯液タンク37に回収され、この貯液タンク37から上記内部ノズル体28に供給されることで、繰り返して使用することができる。
【0058】
カップ体4内に内部ノズル体28を回動可能に設け、この内部ノズル体28によって基板10に付着したレジストを剥離する第1の処理液を供給するようにしたことで、第1の処理液がカップ体4の外部に滴下するようなことがない。
【0059】
つまり、従来はカップ体4の外部に回動可能に設けられたノズル体によって基板10に第1の処理液を供給するようにしていたから、たとえば第1の処理液の供給停止後に、ノズル体がカップ体4の上方から退避する位置まで回動する間に、このノズル体から第1の処理液がカップ体4の外部や上面に滴下し、装置本体2内の汚染を招くということがあった。
【0060】
しかしながら、この実施の形態では、基板10に第1の処理液を供給する内部ノズル体28をカップ体4の内部に設けたから、第1の処理液がカップ体4の外部や上面などに滴下して汚れの原因になるのを防止することができる。
【0061】
したがって、基板10を後述するごとく洗浄してから乾燥処理する際に、第1の処理液による汚れが基板10に付着するのを防止できる。
【0062】
基板10に第1の処理液を供給する際、排気路42はカップ体4の内部に連通している。そのため、装置本体2内にフィルタ54を通して流入するダウンフローを効率よく確実にカップ体4内に導入して排気路42から排気することができるから、基板10が処理されるカップ体4内の気流に乱れが生じるのを防止できる。つまり、内部ノズル体28から基板10に第1の処理液を供給することで、たとえばミストが発生しても、そのミストは排気路42を通じて確実に排出できるから、カップ体4や装置本体2内で浮遊して基板10に再付着するのを防止できる。
【0063】
基板10に第1の処理液を供給する際、第1の処理液を噴射している内部ノズル体28を基板10と逆方向に回転させて先端部を基板10の径方向内方に向かって移動させている。
【0064】
そのため、内部ノズル体28から基板10に噴射される第1の処理液は、基板10の上面に先に噴射塗布された第1の処理液を攪拌する作用が大きくなるから、第1の処理液を活性化し、その反応を促進させることになる。つまり第1の処理液によるレジストの剥離作用が促進されることになる。
【0065】
このようにして、基板10への第1の処理液の供給を所定時間行ったならば、内部ノズル体28を基板10の上方から退避する方向へ回動させるとともに、回転体5の回転を停止した後、この回転体5を図2に示す下降位置から図3に示す上昇位置へ駆動する。回転体5を上昇位置に位置決めすると、この回転体5の下方に設けられた遮蔽部材25がカップ体4の上部開口部3aの端面よりもわずかに上方に位置決めされる。
【0066】
また、切換え機構46のシリンダ47を作動させて通気口44を閉塞していたシャッタ49を下降させ、上記通気口44を開放して通気管43を閉塞する。それによって、排気路42は上記通気口44を介してカップ体4の外側空間部に連通し、その外側空間部を排気することになる。
【0067】
つぎに、回転体5を回転させ、外部ノズル体34から第2の処理液としての純水を噴射させるとともに、アーム33の先端に設けられた外部ノズル体34を回転体5に保持された基板10の径方向に沿って往復駆動する。それによって、基板10の上面は、外部ノズル体34から噴射される第2の処理液によって洗浄処理されることになる。
【0068】
基板10を洗浄処理した第2の処理液は、基板10がカップ体4の上部開口部3aよりも上方に位置しているから、回転する基板10の遠心力によってカップ体4の外側に飛散滴下し、装置本体2の底部に形成された外部排液口38から第2の排液管39を通じて排出される。
【0069】
また、基板10に供給された第2の処理液の一部は、基板10が矩形状であるため、遮蔽部材25の上面に滴下するものの、遮蔽部材25の上面に滴下した第2の処理液は、この遮蔽部材25が回転体5と一体に回転するため、その遠心力によって上面から周辺部に飛散する。
【0070】
上記遮蔽部材25はカップ体4の上部開口部3aよりもわずかに小径であるが、カップ体4の上面よりも上方に位置している。そのため、遮蔽部材25の周辺部から遠心力によって周辺部に飛散する第2の処理液がカップ体4内に入り込むことがない。つまり、遮蔽部材25から飛散した第2の処理液は装置本体2の底部に形成された外部排液口38から第2の排液管39を通じて排出される。
【0071】
したがって、基板10を洗浄処理し、カップ体4の外側空間部を通じて排出される第2の処理液が、基板10に塗布されたレジストを剥離し、カップ体4の内側空間部を通じて回収される第1の処理液に混合するのを防止することができる。
【0072】
また、排気路42を通じて行われる排気は、この排気路42が通気口44を介してカップ体4の外側空間部に連通している。そのため、基板10を第2の処理液で洗浄することで、外側空間部にミストが発生しても、そのミストとともに外側空間部を確実に排気することができる。
【0073】
第2の処理液による洗浄を所定時間行ったならば、外部ノズル体34を基板10上から退避させる。ついで、回転体5を数千回転の高速度で回転させる。それによって、基板10の上面に付着した第2の処理液が遠心力で飛散するから、基板10を乾燥処理することができる。
【0074】
基板10を乾燥処理するために高速回転させると、基板10から飛散した第2の処理液が装置本体2の内周面に勢いよく衝突するから、装置本体2内におけるミストの発生が増大する。
【0075】
しかしながら、第2の装置本体2の内側空間部は排気路42に連通しているから、装置本体2内で発生するミストを上記排気路42を通じて排出することができる。
【0076】
しかも、排気路42を、切換え機構46のシャッタ49によってカップ体4の外側空間部だけに連通させ、内側空間部との連通状態を遮断しているため、乾燥処理時に第2の処理液が飛散する外側空間部を効率よく排気することができる。したがって、乾燥処理された基板10にミストが再付着して汚染の原因になるのを確実に防止することができる。
【0077】
この発明は上記一実施の形態に限定されるものでなく、たとえば基板としては液晶表示装置用のガラス基板に限られず、半導体ウエハであってもよく、要は複数種の処理液によって順次処理することが要求される基板であれば、この発明を適用することができる。
【0078】
【発明の効果】
この発明によれば、基板を保持して回転駆動及び上下駆動される回転体に、上記基板の下面側に位置するように遮蔽部材を設けたから、基板に供給されて上記遮蔽部材上に滴下した処理液を、上記遮蔽部材の高さ位置によってカップ体の内部あるいは外部に振り分けることができる。
【0079】
そのため、基板を第1の処理液と第2の処理液とで順次処理する際、遮蔽部材の高さ位置を処理液の種類に応じて変えることで、上記第1の処理液と第2の処理液とを分離して回収することができる。
【0080】
しかも、上記遮蔽部材は回転体とともに回転するから、遮蔽部材の上面に滴下した処理液は遠心力によってその上面にほとんど残留することなく飛散するから、遮蔽部材の上面に処理液が残留し、その処理液が他の処理液に混ざるということもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示すスピン処理装置の横断面図。
【図2】回転体を下降位置にして基板を第1の処理液で処理する状態を示すスピン処理装置の縦断面図。
【図3】回転体を上昇位置にして基板を第2の処理液で処理する状態を示すスピン処理装置の縦断面図。
【符号の説明】
2…装置本体
4…カップ体
5…回転体
10…基板
25…遮蔽部材
28…内部ノズル体
34…外部ノズル体
35…内部排液口(内側排液部)
38…外部排液口(外側排液部)
42…排気路
43…通気管
44…通気口
Claims (5)
- 矩形状の基板を第1の処理液と第2の処理液とで処理するスピン処理装置において、
装置本体と、
この装置本体内に設けられ上面が開口したカップ体と、
基部及びこの基部から外方に突設された複数のアームを有し、上記カップ体内に設けられ上記アームによって上記基板を保持して回転駆動される回転体と、
上記カップ体の上面開口よりもわずかに小径な円盤状であって、上記回転体にこの回転体に保持される基板の下面側に位置するとともに、上記回転体と一体に回転するように設けられた遮蔽部材と、
この遮蔽部材が上記カップ体内部に位置する下降位置と、上記カップ体の開口面よりも上方に位置する上昇位置とに上記回転体を上下駆動する上下駆動手段と、
上記カップ体の内部に連通して設けられ上記回転体が上記下降位置の状態で上記基板に供給される上記第1の処理液を上記カップ体内から排出する内側排液部と、
上記カップ体の外部で上記装置本体の内部に連通して設けられ上記回転体が上記上昇位置の状態で上記基板に供給されて上記カップ体の外部を流れる上記第2の処理液を排出する外側排液部と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置。 - 上記装置本体には、
一端が上記カップ体内の内側空間部と、上記装置本体の内部で上記カップ体の外側の外側空間部との両方に連通した排気路と、
この排気路の上記内側空間部と外側空間部との連通状態をいずれか一方に選択的に切換える切換え手段と
が設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。 - 上記回転体が下降位置にあるときに一端を支点として他端が上記回転体の回転中心方向に回動してこの回転体に保持された基板に第1の処理液を供給する内部ノズル体が設けられ、
上記回転体が上昇位置にあるときに一端を支点として他端が上記回転体の回転中心方向に回動してこの回転体に保持された基板に第2の処理液を供給する外部ノズル体が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスピン処理装置。 - 上記第1の処理液は薬液で、上記第2の処理液は純水であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載のスピン処理装置。
- 上記内部ノズル体の一端を支点とする回動方向は、上記回転体に保持された基板の回転方向と交差する方向であることを特徴とする請求項3記載のスピン処理装置。
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