JP6087771B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に液処理を行う基板処理装置の洗浄技術に関する。
従来より、基板の製造工程において、薬液を用いた薬液処理および純水を用いたリンス処理などの基板の表面処理を行ってから乾燥処理を行う基板処理装置が使用されている。このような基板処理装置としては、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の装置と、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の装置とが用いられている。枚葉式の基板処理装置は、通常、スピンチャックに保持した基板を回転させつつその表面に薬液を供給しての薬液処理、純水を供給しての純水リンス処理を行った後、基板を高速回転させて振り切り乾燥を行う。
このような枚葉式の基板処理装置においては、回転する基板の周囲を取り囲むようにカップを配置し、スピンチャックおよび基板から遠心力によって飛散した処理液を受け止めて回収する。カップには薬液および汚染物を含んだ液の液滴が付着するため、処理した基板の枚数が増えるにつれてカップの汚染が進行する。また、遠心力によって飛散した処理液の一部はミスト状となってカップの外壁面やカップの周囲にまで飛散して付着することがある。このようなカップ外に飛散した処理液も乾燥すると汚染源となる。
このため、カップの内外壁面やカップ周囲の部材に付着した処理液を適宜に洗浄する必要がある。特許文献1には、基板を保持するためのスピンベースを回転させつつ、そのスピンベースの上面に洗浄液を供給し、回転するスピンベースから飛散した洗浄液によってカップを洗浄する技術が開示されている。特許文献1に開示の洗浄技術では、スピンベースの回転数を変化させることによって洗浄液の飛散距離を調整し、カップの内壁面のみならずカップの外壁面やカップよりも外側の部材をも洗浄している。
特開2012−231049号公報
しかしながら、特許文献1にも記載されるように、基板の外周端を機械的に把持して基板を保持する装置では、スピンベースの上面に突き出るように複数のチャックピンが設けられている。これらのチャックピンによって基板の外周端を把持することにより、スピンベース上に安定して基板を保持することができるのである。このようなスピンベースを回転させつつその上面に洗浄液を供給すると、洗浄液の一部はチャックピンに衝突して制御されない液はねが生じる。このようなランダムな液はねが生じると、洗浄液の液滴が装置内の意図しない部位に着液して新たな汚染源となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スピンベースを用いての洗浄時にチャックピンによる液はねを防止することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板処理装置において、平坦なベース面を有し、前記ベース面の上方に所定の間隔を隔てて基板を保持する基板保持手段と、前記基板保持手段を回転させる回転手段と、前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップと、前記ベース面上に配置され、基板の外周端を把持する複数のチャックピンと、前記基板保持手段の前記ベース面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記ベース面上に設けられ、前記ベース面の中心から外周に向けて上方に傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、を備え、前記傾斜部は、前記複数のチャックピンよりも前記ベース面の中心側に設けられ、前記洗浄液供給手段は、前記傾斜部よりも前記ベース面の中心側に洗浄液を供給することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記傾斜面の前記ベース面に対する傾斜角度は、前記傾斜部から飛散する洗浄液が前記複数のチャックピンと干渉しない角度とされることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記傾斜面の前記ベース面に対する傾斜角度は、前記傾斜部から飛散する洗浄液が前記カップの上端部に到達する角度とされることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記傾斜部は、前記複数のチャックピンと前記ベース面の中心とを結ぶ線上に設けられた複数の傾斜片を有することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る基板処理装置において、前記複数の傾斜片の前記ベース面の周方向に沿った側面は、前記ベース面と連続する曲面とされていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記傾斜部は、前記ベース面の周方向に沿って環状に形成されることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る基板処理装置において、前記傾斜部には、前記ベース面の中心から外周に向けて洗浄液が流れる開口が形成されることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記傾斜部の上端が前記複数のチャックピンによって把持される基板の下面よりも下方となるように前記傾斜部が設けられることを特徴とする。
請求項1から請求項8の発明によれば、ベース面の中心から外周に向けて上方に傾斜する傾斜面を有する傾斜部が複数のチャックピンよりもベース面の中心側に設けられ、その傾斜部よりもベース面の中心側に洗浄液が供給されるため、傾斜部からは斜め上方に向けてチャックピンを飛び越えるように洗浄液が飛散され、チャックピンによる洗浄液の液はねを防止することができる。
特に、請求項5の発明によれば、複数の傾斜片のベース面の周方向に沿った側面がベース面と連続する曲面とされているため、傾斜片による洗浄液の液はねを防止することができる。
本発明に係る基板処理装置の平面図である。 図1の基板処理装置の縦断面図である。 第1実施形態のスピンベースの平面図である。 図3のスピンベースをA−A線から見た部分断面図である。 回転するスピンベース上に供給された洗浄液の挙動を示す図である。 第2実施形態の傾斜片の形状を示す図である。 第3実施形態のスピンベースの平面図である。 図7のスピンベースをB−B線から見た部分断面図である。 図7のスピンベースをC−C線から見た部分断面図である。 傾斜部の断面形状の他の例を示す図である。 傾斜部の断面形状の他の例を示す図である。 複数の傾斜片を設けたスピンベースの他の例を示す平面図である。 図12のスピンベース21をD−D線から見た部分断面図である。 複数の傾斜片を設けたスピンベースの他の例を示す平面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は、基板処理装置1の縦断面図である。この基板処理装置1は、半導体用途の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置であり、円形のシリコンの基板Wに薬液処理および純水等のリンス液を用いたリンス処理を行ってから乾燥処理を行う。より具体的には、基板Wに、SC1液、DHF液、SC2液等の薬液を供給して基板Wを洗浄処理(薬液処理)した後、リンス液を用いてリンス処理を行い基板W上から薬液を除去し、最後に基板Wの乾燥処理を行う枚葉式の基板洗浄装置である。なお、図1はスピンチャック20に基板Wが保持されていない状態を示し、図2はスピンチャック20に基板Wが保持されている状態を示している。
基板処理装置1は、チャンバー10内に、主たる要素として基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)に保持するスピンチャック20と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための上面処理液ノズル30と、スピンチャック20の周囲を取り囲む処理カップ40と、を備える。また、チャンバー10内における処理カップ40の周囲には、チャンバー10の内側空間を上下に仕切る仕切板15が設けられている。なお、本明細書において、処理液は、薬液、リンス液および洗浄液のすべてを含む総称である。
チャンバー10は、鉛直方向に沿う側壁11、側壁11によって囲まれた空間の上側を閉塞する天井壁12および下側を閉塞する床壁13を備える。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。また、チャンバー10の側壁11の一部には、チャンバー10に対して基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置1が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。ファンフィルタユニット14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を備えており、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けるようにしても良い。
スピンチャック20は、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定された円板形状のスピンベース21を備える。スピンベース21の下方には回転軸24を回転させるスピンモータ22が設けられる。スピンモータ22は、回転軸24を介してスピンベース21を水平面内にて回転させる。また、スピンモータ22および回転軸24の周囲を取り囲むように筒状のカバー部材23が設けられている。
図3は、第1実施形態のスピンベース21の平面図である。図4は、図3のスピンベース21をA−A線から見た部分断面図である。円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。よって、スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する平坦な円形のベース面21aを有している。
スピンベース21のベース面21aの周縁部には複数(本実施形態では4本)のチャックピン26が立設されている。複数のチャックピン26は、円形の基板Wの外周円に対応する円周上に沿って均等な間隔をあけて(本実施形態のように4個のチャックピン26であれば90°間隔にて)配置されている。複数のチャックピン26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、複数のチャックピン26のそれぞれを基板Wの外周端に当接させて基板Wを把持することにより、当該基板Wをスピンベース21の上方でベース面21aから所定の間隔を隔てた水平姿勢にて保持することができるとともに(図2参照)、複数のチャックピン26のそれぞれを基板Wの外周端から離間させて把持を解除することができる。
また、スピンベース21のベース面21a上には複数の傾斜片71からなる傾斜部70が設けられている。第1実施形態では、傾斜部70としてチャックピン26と同数の4個の傾斜片71が設けられている。4本のチャックピン26と4個の傾斜片71とは、径の異なる同心円状に配置されている。具体的には、4本のチャックピン26が配置される円の径(基板Wの外径とほぼ同じ)よりも4個の傾斜片71が配置される円の径の方が小さい。それら双方の円の中心は、スピンベース21のベース面21aの中心CSと一致する。すなわち、第1実施形態の傾斜部70は、複数のチャックピン26よりもスピンベース21のベース面21aの中心CS側に設けられている。
4個の傾斜片71は、スピンベース21の周方向に沿って等間隔(つまり、90°間隔)にて設けられる。4個の傾斜片71は、4本のチャックピン26に1対1で対応する内側位置に設けられている。より正確には、4個の傾斜片71のそれぞれは、4本のチャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上(つまり、チャックピン26よりも内側のベース面21aの径上)に設けられている。
スピンベース21に設けられる複数の傾斜片71は互いに同一の大きさおよび形状を有しており、その材質はスピンベース21と同じである。各傾斜片71は、三角柱形状を有する。スピンベース21の径方向に沿って切断した各傾斜片71の断面は直角三角形である。よって、平坦なベース面21a上に設けられた傾斜片71は傾斜面71aを有することとなる(図4)。4個の傾斜片71のそれぞれは、傾斜面71aがベース面21aの中心CSから径方向外周に向かって上方に傾斜するように(次第に高さが高くなるように)設けられる。スピンベース21のベース面21aに対する傾斜面71aの傾斜角度αについては、さらに後述する。また、図4に示すように、4個の傾斜片71の最上端が複数のチャックピン26によって把持される基板Wの下面よりも下方となるように傾斜部70は設けられる。
図1,2に戻り、スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバー10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。複数のチャックピン26による把持によってスピンチャック20が基板Wを保持した状態にて、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部9によって制御される。
上面処理液ノズル30は、ノズルアーム32の先端に吐出ヘッド31を取り付けて構成されている。ノズルアーム32の基端側はノズル基台33に固定して連結されている。ノズル基台33は図示を省略するモータによって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。ノズル基台33が回動することにより、上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31はスピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で水平方向に沿って円弧状に移動する。上面処理液ノズル30には、複数種の処理液(少なくとも純水を含む)が供給されるように構成されている。処理位置にて上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの上面に着液する。また、ノズル基台33の回動によって、上面処理液ノズル30はスピンベース21のベース面21aの上方にて揺動可能とされている。
一方、回転軸24の内側を挿通するようにして鉛直方向に沿って下面処理液ノズル28が設けられている。下面処理液ノズル28の上端開口は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面中央に対向する位置に形成されている。下面処理液ノズル28にも複数種の処理液が供給されるように構成されている。下面処理液ノズル28から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの下面に着液する。
また、基板処理装置1には、上面処理液ノズル30とは別に二流体ノズル60が設けられている。二流体ノズル60は、純水などの処理液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体(二流体)を基板Wに噴射するノズルである。二流体ノズル60は、ノズルアーム62の先端に図示省略の液体ヘッドを取り付けるとともに、ノズルアーム62から分岐するように設けられた支持部材に気体ヘッド64を取り付けて構成されている。ノズルアーム62の基端側はノズル基台63に固定して連結されている。ノズル基台63は図示を省略するモータによって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。ノズル基台63が回動することにより、二流体ノズル60はスピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で水平方向に沿って円弧状に移動する。液体ヘッドには純水などの処理液が供給され、気体ヘッド64には加圧された不活性ガス(本実施形態では窒素ガス(N))が供給される。処理位置にて二流体ノズル60から噴出された処理液の混合流体はスピンチャック20に保持された基板Wの上面に吹き付けられる。
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に備えている。
内壁部45は、内カップ41が最も上昇された状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有している。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
廃棄溝49には、この廃棄溝49に集められた処理液を排出するとともに、廃棄溝49内を強制的に排気するための図示省略の排気液機構が接続されている。排気液機構は、例えば、廃棄溝49の周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。また、内側回収溝50および外側回収溝51には、内側回収溝50および外側回収溝51にそれぞれ集められた処理液を基板処理装置1の外部に設けられた回収タンクに回収するための回収機構(いずれも図示省略)が接続されている。なお、内側回収溝50および外側回収溝51の底部は、水平方向に対して微少角度だけ傾斜しており、その最も低くなる位置に回収機構が接続されている。これにより、内側回収溝50および外側回収溝51に流れ込んだ処理液が円滑に回収される。
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを一体的に備えている。
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状をなす下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部52cとを有している。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部52bの先端を下方に折り返して形成される折返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なるような長さとされている。
また、第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されており、処理液分離壁53は上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有している。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cとを有している。
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。また、上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cは、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折返し部43cが第2案内部52の折返し部52cと水平方向に重なるように形成されている。
また、内カップ41、中カップ42および外カップ43は互いに独立して昇降可能とされている。すなわち、内カップ41、中カップ42および外カップ43のそれぞれには個別に昇降機構(図示省略)が設けられており、それによって別個独立して昇降される。このような昇降機構としては、例えばボールネジ機構やエアシリンダなどの公知の種々の機構を採用することができる。
仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であっても良いし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであっても良い。また、仕切板15には、厚さ方向に貫通する貫通孔や切り欠きが形成されていても良く、本実施形態では上面処理液ノズル30および二流体ノズル60のノズル基台33,63を支持するための支持軸を通すための貫通穴が形成されている。
仕切板15の外周端はチャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
また、チャンバー10の側壁11の一部であって、床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に連通接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15との間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
基板処理装置1に設けられた制御部9のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部9は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどを備えて構成される。制御部9のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、基板処理装置1の各動作機構が制御部9に制御され、基板処理装置1における処理が進行する。
次に、基板処理装置1における動作について説明する。まず、通常の処理対象となる基板Wの処理手順について概説する。基板処理装置1における一般的な基板Wの処理手順の概略は、基板Wの表面に薬液を供給して所定の薬液処理を行った後、純水を供給して純水リンス処理を行い、その後基板Wを高速回転させて振り切り乾燥処理を行うというものである。基板Wの処理を行う際には、スピンチャック20に基板Wを保持するとともに、処理カップ40が昇降動作を行う。スピンチャック20が基板Wを保持するに際して、傾斜片71の最上端が複数のチャックピン26によって把持される基板Wの下面よりも下方となるように傾斜部70は設けられているため、傾斜部70が基板Wの保持の支障となることは無い。なお、スピンチャック20に基板Wが渡された時点(複数のチャックピン26によって把持される直前)では、基板Wの下面の一部が傾斜部70によって支持されていても良い。
基板Wに薬液処理を行うときには、例えば外カップ43のみが上昇し、外カップ43の上端部43bと中カップ42の第2案内部52の上端部52bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口が形成される。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル30および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に薬液が供給される。供給された薬液は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの薬液処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した薬液は外カップ43の上端部43bによって受け止められ、外カップ43の内面を伝って流下し、外側回収溝51に回収される。
また、純水リンス処理を行うときには、例えば、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが上昇し、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲が内カップ41の第1案内部47によって取り囲まれる。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル30および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に純水が供給される。供給された純水は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの純水リンス処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した純水は第1案内部47の内壁を伝って流下し、廃棄溝49から排出される。なお、純水を薬液とは別経路にて回収する場合には、中カップ42および外カップ43を上昇させ、中カップ42の第2案内部52の上端部52bと内カップ41の第1案内部47の上端部47bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口を形成するようにしても良い。
また、振り切り乾燥処理を行うときには、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが下降し、外カップ43の上端部43bの外側上面43dがスピンチャック20に保持された基板Wよりも下方に位置する。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに高速回転され、基板Wに付着していた水滴が遠心力によって振り切られ、乾燥処理が行われる。
このような通常の基板Wの処理が進行するにつれて、飛散した処理液中に含まれる汚染物質が付着して処理カップ40に徐々に汚染が蓄積される。特に、内カップ41、中カップ42および外カップ43の上側湾曲部分、つまり内カップ41の上端部47b、中カップ42の上端部52bおよび外カップ43の上端部43bの内側には比較的汚染が蓄積されやすい。処理カップ40に蓄積した汚染をそのまま放置すると、処理対象となる基板Wに付着して処理不良の原因となるおそれがある。
また、処理中に回転する基板Wから飛散した処理液の一部はミスト状となって処理カップ40の外部にまで拡散することがある。このような処理液は処理カップ40の外側上面や仕切板15にまで到達して付着する。ここで処理カップ40の外側上面とは、最も外側に位置する外カップ43の上端部43bの外側上面43dである。処理カップ40の外側上面43dや仕切板15の上面に付着した処理液が乾燥するとパーティクルなどを発生する汚染源となるおそれがある。
このため、本実施形態においては、傾斜部70を設けたスピンベース21を利用して処理カップ40の内外の洗浄を行っている。処理カップ40の内外の洗浄は、処理対象となる基板Wの処理を行っていないとき、例えば処理ロット間のタイミングにて行うのが好ましい。
まず、洗浄を行う対象となる部位に応じて、処理カップ40を適宜昇降させる。処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。処理カップ40の外側上面43dや仕切板15の洗浄を行う場合には、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てをスピンベース21のベース面21aよりも下方にまで下降させる。一方、処理カップ40の内側を洗浄する場合には、3つのカップのうち洗浄処理の対象となるカップを上昇させる。例えば、外カップ43の上側湾曲部分を洗浄する場合には、外カップ43のみを上昇させ、外カップ43の上端部43bと中カップ42の第2案内部52の上端部52bとの間に開口を形成する。また、中カップ42の上側湾曲部分を洗浄する場合には、中カップ42および外カップ43を上昇させ、中カップ42の第2案内部52の上端部52bと内カップ41の第1案内部47の上端部47bとの間に開口を形成する。さらに、内カップ41の上側湾曲部分を洗浄する場合には、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てを上昇させる。
本実施形態では、外カップ43の内側、特に汚染が蓄積されやすい湾曲部分である上端部43bを洗浄するべく、外カップ43のみを上昇させる。外カップ43の高さ位置は適宜のものとすることができるが、少なくともスピンベース21のベース面21aよりも上端部43bが上となるように外カップ43を上昇させる。この状態にてスピンモータ22の駆動によってスピンチャック20のスピンベース21が回転軸CXのまわりで回転する。スピンベース21の回転数は、特に限定されるものではなく適宜の値とすることができ、その値は制御部9によって制御される。
スピンベース21を回転させつつ、上面処理液ノズル30のノズル基台33がノズルアーム32を回動させて吐出ヘッド31を回転するスピンベース21の上方に移動させる。そして、回転するスピンベース21のベース面21a上に吐出ヘッド31から洗浄液(本実施形態では純水)を供給する。このとき、上面処理液ノズル30の吐出ヘッド31は、傾斜部70よりもベース面21aの中心側、例えばベース面21aの中心CS近傍に洗浄液を供給する。また、制御部9の制御によってノズル基台33がノズルアーム32を揺動させ、洗浄液を供給する吐出ヘッド31を傾斜部70よりも内側の範囲内で往復移動させるようにしても良い。
図5は、回転するスピンベース21上に供給された洗浄液の挙動を示す図である。回転するスピンベース21のベース面21a上に洗浄液を供給すると、遠心力によってベース面21aの中心側から外周へと向けて洗浄液が流れる。そして、外周へと向けて流れる洗浄液の一部は複数の傾斜片71によって導かれ、スピンベース21の径方向斜め上方に向けて飛散される。傾斜片71によって斜め上方に向けて飛散された洗浄液は、図5に示すように、外カップ43の上端部43bに吹き付けられる。洗浄液が吹き付けられることによって、外カップ43の湾曲部分である上端部43bに付着していた汚染物が洗い流されて洗浄される。
また、傾斜部70を構成する4個の傾斜片71は、4本のチャックピン26に1対1で対応する内側位置に設けられている。よって、傾斜片71によって斜め上方に向けて飛散された洗浄液は、図5に示すように、チャックピン26の上方を飛び越えて外カップ43の上端部43bに向けて飛翔する。従って、供給された洗浄液が複数のチャックピン26に衝突してランダムな液はねが生じることを防止することができる。その結果、液はねに起因した基板処理装置1内の汚染を防止することができる。
換言すれば、スピンベース21のベース面21aに対する傾斜片71の傾斜面71aの傾斜角度α(図4)は、傾斜片71から飛散する洗浄液がチャックピン26と干渉しない角度とされている。また、傾斜角度αは、傾斜片71から飛散する洗浄液が外カップ43の上端部43bに到達する角度とされている。
一方、ベース面21aの中心側から外周へと向けて流れる洗浄液の一部(傾斜片71によって斜め上方に向けて飛散されなかった残部)は、ベース面21aの外周端から略水平方向に向けて飛散され、外カップ43の内側壁面に吹き付けられる。このようにして、外カップ43の内側の広い範囲にわたって洗浄液が吹き付けられて洗浄処理が行われる。特に汚染が蓄積されやすい外カップ43の湾曲部分である上端部43bは、傾斜部70から斜め上方に向けて飛散された洗浄液が吹き付けられることにより効果的に洗浄されることとなる。
また、スピンベース21からの洗浄液の飛散とあわせて、外カップ43を上下に往復移動させるようにしても良い。さらには、スピンベース21の回転数を調整して外カップ43に吹き付ける洗浄液の速度を変化させるようにしても良い。このようにすることにより、外カップ43の内側壁面の広い範囲を効率良く洗浄することができる。特に汚染が蓄積されやすい外カップ43の上端部43bに対して強い勢いで洗浄液が吹き付けられるように、外カップ43の高さ位置およびスピンベース21の回転数を調整することが好ましい。
図5には、外カップ43を洗浄する場合について例示したが、中カップ42および内カップ41を洗浄する場合であっても、対象となるカップを上昇させることによって同様にして洗浄を行うことができる。また、処理カップ40の外側上面43dや仕切板15の洗浄を行う場合には、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てをスピンベース21のベース面21aよりも下方にまで下降させるとともに、スピンベース21の回転数を上記よりもさらに高回転とすることによって洗浄を行うことができる。すなわち、スピンベース21の回転数をより高回転とすることによって、処理カップ40の外側上面43dや仕切板15にまで洗浄液を到達させて洗浄することができる。
このように、第1実施形態では、スピンベース21のベース面21a上に複数の傾斜片71からなる傾斜部70を設け、そのスピンベース21を回転させつつベース面21a上の傾斜部70よりも中心側に洗浄液を供給することによって、処理カップ40の内外を洗浄することができる。複数の傾斜片71のそれぞれは、傾斜面71aがベース面21aの中心CSから径方向外周に向かって上方に傾斜するように設けられているため、傾斜片71によって洗浄液を斜め上方に飛散させることができ、処理カップ40の上側湾曲部分に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄することができる。
また、4個の傾斜片71のそれぞれは、4本のチャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上に設けられているため、傾斜片71によって斜め上方に向けて飛散された洗浄液は、チャックピン26と干渉することなくチャックピン26の上方を飛び越えて飛翔することとなる。このため、チャックピン26による液はねを防止して、新たな汚染源が発生するのを防止することができる。
また、スピンベース21のベース面21a上に傾斜部70を設け、そのスピンベース21に直接に洗浄液を供給することによって処理カップ40の内外を洗浄することができるため、洗浄用の専用の基板や治具を設ける必要が無い。このため、専用の基板や治具を保管しておくスペースも不要となる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の基板処理装置の全体構成および処理動作は第1実施形態と概ね同様である。第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、傾斜部70を構成する複数の傾斜片の形状である。
図6は、第2実施形態の傾斜片171の形状を示す図である。図6は、スピンベース21の外周側から傾斜片171を見た図である。同図において、点線で示したのは、第1実施形態の傾斜片71の形状であり、参考のために図示している。また、図6においてチャックピン26の側面図示は省略されている。
第1実施形態と同じく、スピンベース21のベース面21a上に複数の傾斜片171からなる傾斜部70が設けられる。複数の傾斜片171の配置構成は第1実施形態と同様である。すなわち、複数の傾斜片171は複数のチャックピン26と同心円状に設けられ、各傾斜片171はチャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上に設けられている。
第1実施形態では傾斜片71が三角柱形状であったため、スピンベース21の外周側から見たときには、図6の点線で示すように、傾斜片71は四角形となる。第2実施形態においては、図6に実線で示すように、スピンベース21のベース面21aの周方向に沿った各傾斜片171の側面をベース面21aと連続する曲面としている。
上述した通り、回転するスピンベース21のベース面21a上に吐出ヘッド31から洗浄液を供給すると、その洗浄液は遠心力によってベース面21a上を中心から外周へと向けて流れる。このとき、吐出ヘッド31から供給された直後の洗浄液は回転する方向の速度成分を有していない。その一方、ベース面21aの中心から外周へと向けて流れる洗浄液は、回転するスピンベース21のベース面21aとの摩擦によって徐々にスピンベース21の回転方向の速度成分をも有するようになる。その結果、スピンベース21の中心から外周へと向けて流れる洗浄液は、ベース面21aの径方向に沿って直線的には流れず、ベース面21aの径方向から湾曲するような軌跡を描きつつ流れる。
このようにスピンベース21のベース面21a上を流れる洗浄液の軌跡が径方向から湾曲していると、洗浄液の一部はベース面21aの周方向に沿った傾斜片171の側面に当たることとなる。第2実施形態においては、スピンベース21のベース面21aの周方向に沿った各傾斜片171の側面をベース面21aと連続する曲面としているため、そのような側面から当たる洗浄液も円滑に傾斜片171に案内されることとなり、傾斜片171による洗浄液の液はねを防止することができる。
各傾斜片171の形状を除く第2実施形態の残余の点は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様に、処理カップ40の上側湾曲部分に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄することができるとともに、チャックピン26による液はねを防止することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1および第2実施形態では傾斜部70を複数の傾斜片71(または171)で構成していたが、第3実施形態では傾斜部270を円環形状に形成している。第3実施形態において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。
図7は、第3実施形態のスピンベース21の平面図である。図8は、図7のスピンベース21をB−B線から見た部分断面図である。また、図9は、図7のスピンベース21をC−C線から見た部分断面図である。円板形状のスピンベース21の外径は基板Wの径よりも大きく、スピンベース21の上面は平坦なベース面21aとされている。第1実施形態と同様に、ベース面21aの周縁部には4本のチャックピン26が立設されている。
第3実施形態においては、スピンベース21のベース面21a上に円環形状の傾斜部270を設けている。円環形状の傾斜部270の中心は、スピンベース21のベース面21aの中心CSと一致する。すなわち、傾斜部270は、ベース面21aの周方向に沿って環状に形成されているものである。
また、円環形状の傾斜部270は、4本のチャックピン26が配置される円とも同心円状となるように設けられている。傾斜部270の外径よりも4本のチャックピン26が配置される円の径の方が大きい。よって、第3実施形態の傾斜部270は、複数のチャックピン26よりもスピンベース21のベース面21aの中心CS側に設けられている。
図8に示すように、スピンベース21の径方向に沿って切断した傾斜部270の断面は第1実施形態の傾斜片71の断面と同じく直角三角形である。よって、平坦なベース面21a上に設けられた傾斜部270は傾斜面271aを有することとなる。傾斜部270の傾斜面271aは、ベース面21aの中心CSから径方向外周に向かって上方に傾斜するように(次第に高さが高くなるように)形成される。スピンベース21のベース面21aに対する傾斜面271aの傾斜角度αは第1実施形態と同じである。また、傾斜部270は、その最上端が複数のチャックピン26によって把持される基板Wの下面よりも下方となるように設けられる。
さらに、第3実施形態の傾斜部270には、4箇所に開口部272が設けられている。4箇所の開口部272は、円環形状の傾斜部270の周方向に沿って等間隔(90°間隔)に設けられる。図9に示すように、各開口部272は、傾斜部270の底部において、スピンベース21のベース面21aの中心CS側から外周側へと貫通するように設けられた流路である。4箇所の開口部272は、4本のチャックピン26とは対向しない位置に設けられている。より正確には、4箇所の開口部272は、4本のチャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上から外れた位置に設けられている。
傾斜部270を除く第3実施形態の装置の残余の構成は第1実施形態と同じである。また、第3実施形態における処理動作も第1実施形態と概ね同じである。第3実施形態においても、回転するスピンベース21のベース面21a上に吐出ヘッド31から洗浄液を供給する。このとき、吐出ヘッド31は、円環形状の傾斜部270よりもベース面21aの中心側に洗浄液を供給する。回転するスピンベース21のベース面21a上に洗浄液を供給すると、遠心力によってベース面21aの中心側から外周へと向けて洗浄液が流れる。
ベース面21aの外周へと向けて流れる洗浄液の一部は、傾斜部270の傾斜面271aに沿って案内され、スピンベース21の径方向斜め上方に向けて飛散される。ベース面21aに対する傾斜面271aの傾斜角度αは第1実施形態と同じであるため、傾斜部270から飛散された洗浄液は、チャックピン26と干渉することなくその上を飛び越えて処理カップ40の上側湾曲部分に到達する。これにより、処理カップ40の上側湾曲部分に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄することができる。
一方、ベース面21aの外周へと向けて流れる洗浄液の一部は、開口部272を通過してベース面21aの外周端から略水平方向に向けて飛散され、処理カップ40の内側壁面に吹き付けられる。これにより、処理カップ40の広い範囲にわたって洗浄液が吹き付けられて洗浄処理が行われる。また、開口部272がチャックピン26とは対向しない位置に設けられているため、開口部272を通過した処理液がチャックピン26に衝突することは防がれる。このため、チャックピン26による液はねを防止して、新たな汚染源が発生するのを防止することができる。
このように、円環形状の傾斜部270を設けた第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、処理カップ40の上側湾曲部分に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄することができるとともに、チャックピン26による液はねを防止することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態における傾斜部の断面形状は直角三角形であったが、これに限定されるものではなく、図10または図11に示すような形状であっても良い。図10に断面形状を示す傾斜部370は、上記実施形態の直角三角形の角を丸めて外周を滑らかな曲面としたものである。また、図11に断面形状を示す傾斜部470は、上記実施形態の傾斜面を湾曲面としたものである。いずれの例においても、傾斜部370,470の傾斜面は、ベース面21aの中心CSから径方向外周に向かって上方に傾斜するように(次第に高さが高くなるように)形成される。すなわち、傾斜部は、スピンベース21のベース面21aの中心CSから径方向外周に向かって上方に傾斜する傾斜面を有していれば良い。
また、第1実施形態では、スピンベース21のベース面21a上に4個の傾斜片71を設けていたが、傾斜片71の個数は4個に限定されるものではなく、適宜の数とすることができる。例えば、ベース面21a上に60°間隔で6個の傾斜片71を設けるようにしても良いし、45°間隔で8個の傾斜片71を設けるようにしても良い。但し、チャックピン26による液はねを防止する観点からは、傾斜片71の個数をチャックピン26の本数以上とし、少なくとも複数のチャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上には傾斜片71を設けるのが好ましい。このようにすれば、複数の傾斜片71の少なくとも一部が複数のチャックピン26に対向するように設けられるため、洗浄液がチャックピン26に衝突して液はねが生じるのを防止することができる。なお、スピンチャック20に設けられるチャックピン26の本数は、典型的には4本または6本である。
なお、複数の傾斜片71の傾斜角αは異なる角度に設定してもよい。様々な傾斜角の傾斜片71をベース面21aに配置すると、各傾斜片71からは洗浄液が異なる角度で斜め上方に飛翔するため、処理カップ40の内面の洗浄範囲を上下に拡大することができる。
また、図14に示すように、複数のチャックピン26よりもベース面21aの中心側であって、チャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上から外れた位置に1個または複数個の傾斜片710を追加しても良い。
この傾斜片710はチャックピン26と対向しておらず傾斜片710から飛翔する液とチャックピン26との干渉を考慮する必要がないため、傾斜角αを他の傾斜片71の傾斜角αよりも小さな角度に設定することができる。このような傾斜片710をベース面21aに配置すると、洗浄液の飛翔方向をさらに上下に拡大することができる。
また、第3実施形態では、傾斜部270の4箇所の開口部272を設けていたが、開口部272の個数も4個に限定されるものではなく、適宜の数とすることができる。但し、チャックピン26による液はねを防止する観点からは、開口部272は、チャックピン26とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上から外れた位置に設ける必要がある。好ましくは、図7に示したように、スピンベース21のベース面21aの周方向に沿って隣り合うチャックピン26の中間位置とベース面21aの中心CSとを結ぶ線上に開口部272を設けるのが良い。
また、第3実施形態において、開口部272は必ずしも形成する必要はない。傾斜部270に開口部272を形成しない場合には、スピンベース21のベース面21aに供給された洗浄液の全てを傾斜部270から斜め上方に向けて飛散させることができる。よって、全ての洗浄液がチャックピン26と干渉することなくその上を飛び越えて処理カップ40の上側湾曲部分に到達することとなる。このようにしても、処理カップ40の上側湾曲部分に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄することができるとともに、チャックピン26による液はねを防止することができる。もっとも、傾斜部270に開口部272を形成しない場合には、処理後に円環形状の傾斜部270の内側に洗浄液溜まりが形成される可能性がある。このような液溜まりが形成されると不都合である場合には、第3実施形態のように傾斜部270に開口部272を設けて、液の流路を確保しておく方が望ましい。
また、第1実施形態では複数の傾斜片71の長手方向がベース面21aの径方向と一致するように設けていたが、傾斜片71の長手方向がベース面21aの径方向に対して傾斜するようにしても良い。第2実施形態に記述したように、吐出ヘッド31から供給されてスピンベース21の中心から外周へと向けて流れる洗浄液は、ベース面21aの径方向に沿って直線的には流れず、ベース面21aの径方向から湾曲するような軌跡を描きつつ流れる。傾斜片71の長手方向がベース面21aの径方向に対して傾斜していれば、傾斜片71の傾斜面71aによって案内される洗浄液が当該傾斜面71aから流れ落ちるのを低減することができる。その結果、複数の傾斜片71によって洗浄液を効率良く斜め上方に向けて飛散させることができる。
また、上記各実施形態における傾斜部は、スピンベース21に対して着脱自在に装着されたものであっても良いし、固定設置されたものであっても良い。
また、上記各実施形態では複数のチャックピン26の内側に傾斜部を設けていたが、これを複数のチャックピン26よりも外側に設けるようにしても良い。図12は、複数の傾斜片71を設けたスピンベース21の他の例を示す平面図である。図13は、図12のスピンベース21をD−D線から見た部分断面図である。円板形状のスピンベース21の外径は基板Wの径よりも大きく、スピンベース21の上面は平坦なベース面21aとされている。第1実施形態と同様に、ベース面21aの周縁部には4本のチャックピン26が立設されている。スピンベース21のベース面21a上には4個の傾斜片71からなる傾斜部70が設けられている。図12の例では、4本のチャックピン26が配置される円の径よりも4個の傾斜片71が配置される円の径の方が大きい。すなわち、複数のチャックピン26よりもスピンベース21のベース面21aの外周端側に4個の傾斜片71からなる傾斜部70が設けられている。傾斜片71の形状は第1実施形態と同じである。
このようにしても、ベース面21aの中心側から外周へと向けて流れる洗浄液の一部は、傾斜片71の傾斜面71aに沿って案内され、スピンベース21の径方向斜め上方に向けて飛散される。これにより、処理カップ40の上側湾曲部分に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄することができる。もっとも、チャックピン26による液はねを防止する観点からは、上記各実施形態のように、複数のチャックピン26よりもスピンベース21のベース面21aの中心CS側に傾斜部を設けるのが好ましい。なお、複数のチャックピン26よりも外側に円環形状に傾斜部を設けるようにしても良い。
また、上記各実施形態においては、処理カップ40に互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えていたが、3つのカップが一体に構成されて昇降するものであっても良い。さらに、処理カップ40はスピンベース21を取り囲む1段のカップのみを備えるものであっても良い。
また、基板洗浄装置1によって処理対象となる基板は半導体用途の基板に限定されるものではなく、太陽電池用途の基板や液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板であっても良い。
さらに、基板処理装置1は、スピンチャックに保持した基板を回転させつつ、その表面に処理液を供給し、基板から飛散した処理液をカップによって受け止める装置であれば良く、枚葉式の洗浄処理装置やエッチング処理装置の他に、例えばレジストなどを塗布する回転塗布装置(スピンコータ)や回転現像装置(スピンデベロッパー)であっても良い。回転塗布装置のように、カップに容易に塗布液が付着して汚染源となる装置には、本発明に係るカップ洗浄技術を好適に適用することができる。或いは、基板処理装置1は、回転する基板の表面に洗浄液を供給しつつブラシを当接または近接させてスクラブ洗浄処理を行うスピンスクラバであっても良い。
1 基板処理装置
9 制御部
10 チャンバー
20 スピンチャック
21 スピンベース
21a ベース面
22 スピンモータ
26 チャックピン
28 下面処理液ノズル
30 上面処理液ノズル
31 吐出ヘッド
40 処理カップ
41 内カップ
42 中カップ
43 外カップ
43b 上端部
43c 折返し部
70,270,370,470 傾斜部
71,171 傾斜片
71a,271a 傾斜面
272 開口部
W 基板

Claims (8)

  1. 平坦なベース面を有し、前記ベース面の上方に所定の間隔を隔てて基板を保持する基板保持手段と、
    前記基板保持手段を回転させる回転手段と、
    前記基板保持手段の周囲を取り囲むカップと、
    前記ベース面上に配置され、基板の外周端を把持する複数のチャックピンと、
    前記基板保持手段の前記ベース面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
    前記ベース面上に設けられ、前記ベース面の中心から外周に向けて上方に傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、
    を備え、
    前記傾斜部は、前記複数のチャックピンよりも前記ベース面の中心側に設けられ、
    前記洗浄液供給手段は、前記傾斜部よりも前記ベース面の中心側に洗浄液を供給することを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1記載の基板処理装置において、
    前記傾斜面の前記ベース面に対する傾斜角度は、前記傾斜部から飛散する洗浄液が前記複数のチャックピンと干渉しない角度とされることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2記載の基板処理装置において、
    前記傾斜面の前記ベース面に対する傾斜角度は、前記傾斜部から飛散する洗浄液が前記カップの上端部に到達する角度とされることを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記傾斜部は、前記複数のチャックピンと前記ベース面の中心とを結ぶ線上に設けられた複数の傾斜片を有することを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項4記載の基板処理装置において、
    前記複数の傾斜片の前記ベース面の周方向に沿った側面は、前記ベース面と連続する曲面とされていることを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記傾斜部は、前記ベース面の周方向に沿って環状に形成されることを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項6記載の基板処理装置において、
    前記傾斜部には、前記ベース面の中心から外周に向けて洗浄液が流れる開口が形成されることを特徴とする基板処理装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記傾斜部の上端が前記複数のチャックピンによって把持される基板の下面よりも下方となるように前記傾斜部が設けられることを特徴とする基板処理装置。
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