以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は、基板処理装置1の縦断面図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
この基板処理装置1は、半導体の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置であり、円形のシリコンの基板Wに薬液処理および純水を用いたリンス処理を行ってから乾燥処理を行う。なお、図1はスピンチャック20に基板Wが保持されていない状態を示し、図2はスピンチャック20に基板Wが保持されている状態を示している。
基板処理装置1は、チャンバー10内に、主たる要素として基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)に保持して回転させるスピンチャック20と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための上面処理液ノズル60と、処理液の液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する二流体ノズル80と、スピンチャック20の周囲を取り囲む処理カップ40と、を備える。また、チャンバー10内における処理カップ40の周囲には、チャンバー10の内側空間を上下に仕切る仕切板15が設けられている。なお、本明細書において、処理液は、薬液および純水の双方を含む総称である。
チャンバー10は、鉛直方向に沿う側壁11、側壁11によって囲まれた空間の上側を閉塞する天井壁12および下側を閉塞する床壁13を備える。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。また、チャンバー10の側壁11の一部には、チャンバー10に対して基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置1が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。ファンフィルタユニット14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を備えており、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けるようにしても良い。
スピンチャック20は、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定された円板形状のスピンベース21と、スピンベース21の下方に配置されて回転軸24を回転させるスピンモータ22と、スピンモータ22の周囲を取り囲む筒状のカバー部材23と、を備える。円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。よって、スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する保持面21aを有している。
スピンベース21の保持面21aの周縁部には複数(本実施形態では4個)のチャック部材26が立設されている。複数のチャック部材26は、円形の基板Wの外周円に対応する円周上に沿って均等な間隔をあけて(本実施形態のように4個のチャック部材26であれば90°間隔にて)配置されている。複数のチャック部材26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、複数のチャック部材26のそれぞれを基板Wの端縁に当接させて基板Wを挟持することにより、当該基板Wをスピンベース21の上方で保持面21aに近接した水平姿勢にて保持することができるとともに(図2参照)、複数のチャック部材26のそれぞれを基板Wの端縁から離間させて挟持を解除することができる。
スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバー10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。複数のチャック部材26による挟持によってスピンチャック20が基板Wを保持した状態にて、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部3によって制御される。
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に備えている。
内壁部45は、内カップ41が最も上昇された状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有している。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
廃棄溝49には、この廃棄溝49に集められた処理液を排出するとともに、廃棄溝49内を強制的に排気するための図示省略の排気液機構が接続されている。排気液機構は、例えば、廃棄溝49の周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。また、内側回収溝50および外側回収溝51には、内側回収溝50および外側回収溝51にそれぞれ集められた処理液を基板処理装置1の外部に設けられた回収タンクに回収するための回収機構(いずれも図示省略)が接続されている。なお、内側回収溝50および外側回収溝51の底部は、水平方向に対して微少角度だけ傾斜しており、その最も低くなる位置に回収機構が接続されている。これにより、内側回収溝50および外側回収溝51に流れ込んだ処理液が円滑に回収される。
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを一体的に備えている。
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状をなす下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部52cとを有している。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部52bの先端を下方に折り返して形成される折返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なるような長さとされている。
また、第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されており、処理液分離壁53は上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有している。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cとを有している。
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。また、上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cは、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折返し部43cが第2案内部52の折返し部52cと水平方向に重なるように形成されている。
また、内カップ41、中カップ42および外カップ43は互いに独立して昇降可能とされている。すなわち、内カップ41、中カップ42および外カップ43のそれぞれには個別に昇降機構(図示省略)が設けられており、それによって別個独立して昇降される。このような昇降機構としては、例えばボールネジ機構やエアシリンダなどの公知の種々の機構を採用することができる。
図3は、上面処理液ノズル60の側面図である。また、図4は、上面処理液ノズル60を先端側から見た正面図である。上面処理液ノズル60は、互いに平行に設けられた3本のノズルアーム62のそれぞれの先端に吐出ヘッド61を取り付けて構成されている。3本のノズルアーム62の基端側は旋回駆動部63に連結されている。旋回駆動部63には、3本のノズルアーム62が水平方向に沿って互いに平行となるように連結されている。旋回駆動部63は、処理カップ40よりも外側に設置されている。旋回駆動部63は、内蔵する旋回モータ(図示省略)によって鉛直方向軸まわりに旋回動作が可能とされており、水平面内(XY平面内)にて3本のノズルアーム62を一括して旋回させることができる。
図5は、上面処理液ノズル60の旋回動作の様子を示す図である。図5に示すように、旋回駆動部63は、スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で吐出ヘッド61が円弧状に移動するようにノズルアーム62を水平面内にて旋回させる。吐出ヘッド61が処理位置に到達しているときの3本のノズルアーム62の位置を図5の点線にて示す。また、吐出ヘッド61が待機位置に到達しているときの3本のノズルアーム62の位置を図5の実線にて示す。なお、処理位置と待機位置との間で吐出ヘッド61が移動するようにノズルアーム62を旋回させる動作を、処理位置と待機位置との間でノズルアーム62を旋回させるとも表記する。
図3に示すように、3本のノズルアーム62のそれぞれは、旋回駆動部63から水平方向に沿って延びるように基端側が旋回駆動部63に連結される。各ノズルアーム62の先端側は滑らかな円弧を描きつつ下側に向かう。そして、鉛直方向下側((−Z)側)に向かう各ノズルアーム62の先端に、スピンチャック20に保持された基板Wに処理液を吐出する吐出ヘッド61が取り付けられる。吐出ヘッド61には、図外の処理液供給機構からノズルアーム62の内側を経由して複数種の処理液(少なくとも純水を含む)が供給されるように構成されている。吐出ヘッド61に供給された処理液は、吐出ヘッド61から鉛直方向下方に向けて吐出される。スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置にて吐出ヘッド61から吐出された処理液は当該基板Wの上面に着液する。一方、吐出ヘッド61が処理カップ40よりも外側の待機位置に移動しているときには、ノズルアーム62も処理カップ40よりも外側にてY方向に沿って待機している(図1,図5参照)。
また、旋回駆動部63は昇降駆動部64に取り付けられている。昇降駆動部64は、内蔵する昇降モータ(図示省略)によって、旋回駆動部63とともに3つの吐出ヘッド61および3本のノズルアーム62を一括して鉛直方向に沿って昇降する。
吐出ヘッド61およびノズルアーム62の待機位置の近傍にはアーム洗浄部70およびアーム乾燥部75が設けられている。アーム洗浄部70はシャワーノズル71を備える。シャワーノズル71は、待機位置のノズルアーム62よりもスピンチャック20側((−X)側)の斜め上方に固定設置されている。シャワーノズル71は、待機位置のノズルアーム62と平行に、つまりY方向に沿って延設されている。シャワーノズル71のY方向長さは、ノズルアーム62のY方向長さよりも長い。そして、シャワーノズル71には、複数の噴出孔がY方向に沿って列設されている。これら複数の噴出孔の噴出方向は、上面処理液ノズル60へと向かう斜め下方である。
シャワーノズル71には、図外の洗浄液供給機構から洗浄液(本実施形態では純水)が供給されるように構成されている。シャワーノズル71に洗浄液が供給されると、シャワーノズル71に設けられた複数の噴出孔から斜め下方の上面処理液ノズル60に向けて洗浄液が噴出される(図3〜図5参照)。これによって上面処理液ノズル60の3本のノズルアーム62が洗浄される。
アーム乾燥部75は2本の乾燥ガスノズル76を備える。乾燥ガスノズル76は、待機位置のノズルアーム62よりも(+Y)側であって、ノズルアーム62とほぼ同じ高さ位置に固定設置されている。本実施形態においては、待機位置の3本のノズルアーム62のうちの最もスピンチャック20側((−X)側)のノズルアーム62に対向する位置に2本の乾燥ガスノズル76が設けられている。アーム乾燥部75の2本の乾燥ガスノズル76は、鉛直方向に所定間隔を隔てて並べて配置されている(図3参照)。各乾燥ガスノズル76は水平方向に沿って設けられている。
2本の乾燥ガスノズル76には、図外の乾燥ガス供給源から乾燥用ガス(本実施形態では窒素ガス(N2))が供給されるように構成されている。乾燥ガスノズル76に乾燥用ガスが供給されると、乾燥ガスノズル76の先端から上面処理液ノズル60に向けて乾燥用ガスが噴出される(図3,5参照)。乾燥ガスノズル76は、ノズルアーム62の先端よりもさらに前方((+Y)側)に設けられているため、ノズルアーム62の先端側から乾燥用ガスを吹き付ける。
基板処理装置1には、上面処理液ノズル60とは別に二流体ノズル80が設けられている。図6は、二流体ノズル80の側面図である。また、図7は、二流体ノズル80を先端側から見た正面図である。二流体ノズル80は、純水などの処理液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する洗浄ノズルである。二流体ノズル80は、ノズルアーム82の先端に吐出ヘッド81を取り付けるとともに、ノズルアーム82から分岐するように設けられた支持部材86に気体ヘッド85を取り付けて構成されている。ノズルアーム82の基端側は旋回駆動部83に連結されている。旋回駆動部83は、処理カップ40よりも外側に配置されている。旋回駆動部83は、内蔵する旋回モータ(図示省略)によって鉛直方向軸まわりに旋回動作が可能とされており、水平面内(XY平面内)にてノズルアーム82を旋回させることができる。
図8は、二流体ノズル80の旋回動作の様子を示す図である。図8に示すように、旋回駆動部83は、スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で吐出ヘッド81が円弧状に移動するようにノズルアーム82を水平面内にて旋回させる。吐出ヘッド81が処理位置に到達しているときのノズルアーム82を位置を図8の点線にて示す。また、吐出ヘッド81が待機位置に到達しているときのノズルアーム82の位置を図8の実線にて示す。なお、上記の上面処理液ノズル60についてと同様に、処理位置と待機位置との間で吐出ヘッド81が移動するようにノズルアーム82を旋回させる動作を、処理位置と待機位置との間でノズルアーム82を旋回させるとも表記する。
図6に示すように、ノズルアーム82は、旋回駆動部83から水平方向に沿って延びるように基端側が旋回駆動部83に連結される。ノズルアーム82の先端側は滑らかな円弧を描きつつ下側に向かう。そして、鉛直方向下側((−Z)側)に向かうノズルアーム82の先端に、スピンチャック20に保持された基板Wに向けて処理液を吐出する吐出ヘッド81が取り付けられる。吐出ヘッド81には、図外の処理液供給機構からノズルアーム82の内側を経由して処理液(本実施形態では純水)が供給されるように構成されている。
ノズルアーム82の途中には支持部材86が取り付けられている。支持部材86には気体ヘッド85が取り付けられる。気体ヘッド85は、吐出ヘッド81の側方に位置するように支持部材86に設けられる。気体ヘッド85には加圧された不活性ガス(本実施形態では窒素ガス)が供給される。処理位置にて吐出ヘッド81から処理液を吐出しつつ、気体ヘッド85から加圧された不活性ガスを噴出して吐出ヘッド81からの処理液に混合することにより、処理液の液滴が生成され、その液滴と不活性ガスとの混合流体がスピンチャック20に保持された基板Wの上面に噴射される。一方、吐出ヘッド81が処理カップ40よりも外側の待機位置に移動しているときには、ノズルアーム82も処理カップ40よりも外側にてX方向に沿って待機している(図1,図8参照)。
また、旋回駆動部83は昇降駆動部84に取り付けられている。昇降駆動部84は、内蔵する昇降モータ(図示省略)によって、旋回駆動部83とともに吐出ヘッド81、気体ヘッド85およびノズルアーム82を一括して鉛直方向に沿って昇降する。
吐出ヘッド81およびノズルアーム82の待機位置の近傍にはアーム洗浄部90およびアーム乾燥部95が設けられている。アーム洗浄部90はシャワーノズル91を備える。シャワーノズル91は、待機位置のノズルアーム82よりもスピンチャック20側((+Y)側)の斜め上方に固定設置されている。シャワーノズル91は、待機位置のノズルアーム82と平行に、つまりX方向に沿って延設されている。シャワーノズル91のX方向長さは、ノズルアーム82のX方向長さよりも長い。そして、シャワーノズル91には、複数の噴出孔がX方向に沿って列設されている。これら複数の噴出孔の噴出方向は、二流体ノズル80へと向かう斜め下方である。
シャワーノズル91には、図外の洗浄液供給機構から洗浄液(本実施形態では純水)が供給されるように構成されている。シャワーノズル91に洗浄液が供給されると、シャワーノズル91に設けられた複数の噴出孔から斜め下方の二流体ノズル80に向けて洗浄液が噴出される(図6〜図8参照)。これによって二流体ノズル80のノズルアーム82が洗浄される。
アーム乾燥部95は2本の乾燥ガスノズル96を備える。乾燥ガスノズル96は、待機位置のノズルアーム82よりも(−X)側であって、ノズルアーム82とほぼ同じ高さ位置に固定設置されている。アーム乾燥部95の2本の乾燥ガスノズル96は、鉛直方向に所定間隔を隔てて並べて配置されている(図6参照)。各乾燥ガスノズル96は水平方向に沿って設けられている。
また、2本の乾燥ガスノズル96とは別に乾燥ガスノズル97および乾燥ガスノズル98が設けられている。これらの乾燥ガスノズル97,98は、ノズルアーム82が待機位置に待機しているときの支持部材86および気体ヘッド85に向けて設けられている。
2本の乾燥ガスノズル96および乾燥ガスノズル97,98には、図外の乾燥ガス供給源から乾燥用ガス(本実施形態では窒素ガス)が供給されるように構成されている。乾燥ガスノズル96に乾燥用ガスが供給されると、乾燥ガスノズル96の先端から二流体ノズル80に向けて乾燥用ガスが噴出される(図6,8参照)。乾燥ガスノズル96は、ノズルアーム82の先端よりもさらに前方((−X)側)に設けられているため、ノズルアーム82の先端側から乾燥用ガスを吹き付ける。また、乾燥ガスノズル97,98に乾燥用ガスが供給されると、これら乾燥ガスノズル97,98の先端からも二流体ノズル80に向けて乾燥用ガスが噴出される。
一方、上面処理液ノズル60および二流体ノズル80に加えて、回転軸24の内側を挿通するようにして鉛直方向に沿って下面処理液ノズル28が設けられている(図2参照)。下面処理液ノズル28の上端開口は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面中央に対向する位置に形成されている。下面処理液ノズル28にも複数種の処理液が供給されるように構成されている。下面処理液ノズル28から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの下面に着液する。
図1,2に示すように、仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であっても良いし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであっても良い。また、仕切板15には、厚さ方向に貫通する貫通孔や切り欠きが形成されていても良く、本実施形態では上面処理液ノズル60および二流体ノズル80の昇降駆動部64,84を支持するための支持軸を通すための貫通穴が形成されている。
仕切板15の外周端はチャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
また、チャンバー10の側壁11の一部であって、床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に連通接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15と間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
基板処理装置1に設けられた制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、基板処理装置1の各動作機構が制御部3に制御され、基板処理装置1における処理が進行する。
次に、上記の構成を有する基板処理装置1における動作について説明する。基板処理装置1における一般的な基板Wの処理手順の概略は、基板Wの表面に薬液を供給して所定の薬液処理を行った後、純水を供給して純水リンス処理を行い、その後基板Wを高速回転させて振り切り乾燥処理を行うというものである。基板Wの処理を行う際には、スピンチャック20に基板Wを保持するとともに、処理カップ40が昇降動作を行う。薬液処理を行うときには、例えば外カップ43のみが上昇し、外カップ43の上端部43bと中カップ42の第2案内部52の上端部52bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口が形成される。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル60および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に薬液が供給される。上面処理液ノズル60は、ノズルアーム62を旋回させて吐出ヘッド61をスピンチャック20に水平姿勢に保持されて回転される基板Wの上方の処理位置に移動させ、その吐出ヘッド61から基板Wに薬液を吐出する。供給された薬液は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの薬液処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した薬液は外カップ43の上端部43bによって受け止められ、外カップ43の内面を伝って流下し、外側回収溝51に回収される。
また、純水リンス処理を行うときには、例えば、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが上昇し、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲が内カップ41の第1案内部47によって取り囲まれる。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに回転され、上面処理液ノズル60および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に純水が供給される。上記と同様に、上面処理液ノズル60は、ノズルアーム62を旋回させて吐出ヘッド61をスピンチャック20に水平姿勢に保持されて回転される基板Wの上方の処理位置に移動させ、その吐出ヘッド61から基板Wに純水を吐出する。供給された純水は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの端縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの純水リンス処理が進行する。回転する基板Wの端縁部から飛散した純水は第1案内部47の内壁を伝って流下し、廃棄溝49から排出される。なお、純水を薬液とは別経路にて回収する場合には、中カップ42および外カップ43を上昇させ、中カップ42の第2案内部52の上端部52bと内カップ41の第1案内部47の上端部47bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口を形成するようにしても良い。
また、振り切り乾燥処理を行うときには、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが下降し、内カップ41の第1案内部47の上端部47b、中カップ42の第2案内部52の上端部52bおよび外カップ43の上端部43bのいずれもがスピンチャック20に保持された基板Wよりも下方に位置する。この状態にて基板Wがスピンチャック20とともに高速回転され、基板Wに付着していた水滴が遠心力によって振り切られ、乾燥処理が行われる。
このような処理液を基板Wに供給しての表面処理を行うときには、回転する基板Wから飛散した処理液の大半は処理カップ40によって回収されるものの、一部はミスト状となって処理カップ40の外部にまで飛散することがある。処理カップ40の外部に飛散した処理液は処理カップ40の外側上面や仕切板15上面の他に、上面処理液ノズル60のノズルアーム62および二流体ノズル80のノズルアーム82にも付着する。特に、処理液を基板Wに吐出するときには、上面処理液ノズル60のノズルアーム62または二流体ノズル80のノズルアーム82が基板Wの上方の処理位置にまで移動しており、それらに処理液が付着しやすい。ノズルアーム62,82に付着した処理液をそのまま放置すると、次の基板Wの処理を行うに際してノズルアーム62,82が処理位置に移動したときに、付着した処理液が基板Wの上面に落下(いわゆるボタ落ち)して汚染源となるおそれがある。
このため、本実施形態においては、以下のようにして上面処理液ノズル60のノズルアーム62および二流体ノズル80のノズルアーム82の乾燥処理を行ってアームに処理液が付着した状態を解消している。このようなアームの乾燥処理を行うタイミングとしては、1枚の基板Wに処理液を吐出する処理が終了して吐出ヘッド61(または吐出ヘッド81)が処理位置から待機位置に帰還する毎に行うことが好ましい。1枚の基板Wを処理する毎にノズルアーム62,82の乾燥処理を行うようにすれば、ある基板Wに処理液を吐出したときにアームに付着した処理液が次の基板Wを処理するときに汚染源となるのを防止することができる。
上面処理液ノズル60の3本のノズルアーム62の乾燥処理を行うときには、旋回駆動部63によって3本のノズルアーム62および吐出ヘッド61が処理カップ40よりも外側の待機位置に移動されている。すなわち、1枚の基板Wの処理が終了して吐出ヘッド61が処理位置から待機位置に帰還したときに、その待機位置にてアーム乾燥が行われる。なお、待機位置は、ノズルアーム62の高さ位置に関わらず、旋回駆動部63による旋回動作によって3本のノズルアーム62が処理カップ40よりも外側に到達する所定位置である。また、処理カップ40よりも外側であれば、待機位置はノズルアーム62の水平面内での若干の旋回角度を許容する幅を有するものであっても良い。
乾燥処理は、待機位置に帰還している3本のノズルアーム62に対して、アーム乾燥部75の2本の乾燥ガスノズル76から乾燥用ガス(窒素ガス)を吹き付けることによって行われる。乾燥ガスノズル76からは、水平方向の(−Y)側に向けて乾燥用ガスが噴出される。乾燥ガスノズル76から噴出された乾燥用ガスは上面処理液ノズル60のノズルアーム62に吹き付けられる。これによって基板Wの処理後に処理液が付着していたノズルアーム62が乾燥され、その付着していた処理液が取り除かれることとなる。
図3に示したように、アーム乾燥部75の2本の乾燥ガスノズル76は、鉛直方向に所定間隔を隔てて並べて配置されている。上側の乾燥ガスノズル76からはノズルアーム62の水平方向に延びる部分に乾燥用ガスが吹き付けられるとともに、下側の乾燥ガスノズル76からはノズルアーム62が滑らかな円弧を描きつつ下側に向かう部分に乾燥用ガスが吹き付けられるように、昇降駆動部64がノズルアーム62の高さ位置を調整する。これにより、ノズルアーム62の全体にわたって乾燥用ガスが吹き付けられる。その結果、ノズルアーム62のうち、少なくとも吐出ヘッド61が処理位置に移動したときにスピンチャック20に保持された基板Wに対向する部位、つまり当該基板Wの上方に到達する部位については確実に乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させることができる。
しかし、鉛直方向に所定間隔を隔てて並べて配置された2本の乾燥ガスノズル76は、1本のノズルアーム62の全体に乾燥用ガスを吹き付けることが可能であるものの、旋回駆動部63に接続された3本のノズルアーム62に同時に乾燥用ガスを吹き付けることは困難である。
このため、本実施形態においては、固定設置された乾燥ガスノズル76から水平方向に噴出される乾燥用ガスの流れをノズルアーム62の先端側が横切るように旋回駆動部63がノズルアーム62を揺動させている。図9は、3本のノズルアーム62を揺動させつつ乾燥する様子を模式的に説明するための図である。固定設置された乾燥ガスノズル76から水平方向の(−Y)側に向けて乾燥用ガスを噴出しつつ、旋回駆動部63が3本のノズルアーム62を水平面内にて揺動させる。これにより、乾燥ガスノズル76から噴出された乾燥用ガスは3本のノズルアーム62に順次に吹き付けられることとなる。その結果、上面処理液ノズル60の3本のノズルアーム62の全てに乾燥用ガスを吹き付けて乾燥することができる。なお、ノズルアーム62の乾燥を行うときに、旋回駆動部63がノズルアーム62を揺動させる角度は、乾燥ガスノズル76から噴出される乾燥用ガスの流れを3本のノズルアーム62の全てが横切る程度とすれば良い。そして、この角度に対応するノズルアーム62の移動範囲は待機位置であり、ノズルアーム62は待機位置内にて揺動されることとなる。
また、乾燥ガスノズル76は、待機位置のノズルアーム62の先端よりもさらに前方側((+Y)側)に設けられているため、吐出ヘッド61が待機位置に位置しているときにノズルアーム62の先端側から乾燥用ガスが吹き付けられる。これにより、乾燥用ガスの吹き付けによってノズルアーム62に付着していた処理液が吹き飛ばされた場合であっても、ノズルアーム62の基端側((−Y)側)に飛ばされることとなるため、吐出ヘッド61およびノズルアーム62の先端側に処理液の液滴が付着することは防止される。その結果、ノズルアーム62のうち、吐出ヘッド61が処理位置に移動したときにスピンチャック20に保持された基板Wに対向する部位を清浄に保つことができる。
乾燥ガスノズル76から水平方向に乾燥用ガスを噴出しつつ、旋回駆動部63が3本のノズルアーム62を水平面内にて揺動させることによって、それら3本のノズルアーム62の全ての乾燥処理が終了した後、乾燥ガスノズル76からの乾燥用ガスの噴出を停止する。このようにして、上面処理液ノズル60のノズルアーム62の乾燥処理が完了する。その後、次の基板Wの処理が開始される。
本実施形態のようにすれば、基板Wの処理中に上面処理液ノズル60のノズルアーム62に処理液が付着したとしても、ノズルアーム62に乾燥ガスノズル76から乾燥用ガスを噴出して乾燥させて付着した処理液を取り除いている。このため、基板Wの処理中に処理液が付着したノズルアーム62による汚染を防止することができる。
特に、1枚の基板Wに処理液を吐出する処理が終了して吐出ヘッド61が処理位置から待機位置に帰還する毎に、ノズルアーム62に乾燥用ガスを吹き付けて乾燥処理を行うようにすれば、ある基板Wの処理中に処理液が付着したノズルアーム62によって次に処理される基板Wが汚染されるのを防止することができる。
また、本実施形態においては、乾燥用ガスを噴出する乾燥ガスノズル76が固定設置されている。乾燥ガスノズル76を稼働する上面処理液ノズル60自体に取り付けた場合には、乾燥ガスノズル76に乾燥用ガスを供給する配管を可動対応のものとしなければならず、設置スペースや上面処理液ノズル60との干渉などの制約を受けざるを得ない。乾燥ガスノズル76を固定設置すれば、それらに流体を供給する配管も固定配管とすることができ、かかる制約は受けない。
二流体ノズル80のノズルアーム82の乾燥処理についても上記の上面処理液ノズル60と概ね同じである。すなわち、1枚の基板Wの処理が終了して吐出ヘッド81が処理位置から待機位置に帰還したときに、その待機位置にてノズルアーム82の乾燥処理が行われる。乾燥処理は、待機位置に帰還しているノズルアーム82に対して、アーム乾燥部95の2本の乾燥ガスノズル96から乾燥用ガスを吹き付けることによって行われる。乾燥ガスノズル96からは、水平方向の(+X)側に向けて乾燥用ガスが噴出される。乾燥ガスノズル96から噴出された乾燥用ガスは二流体ノズル80のノズルアーム82に吹き付けられる。これによって基板Wの処理後に処理液が付着していたノズルアーム82が乾燥され、その付着していた処理液が取り除かれることとなる。また、乾燥ガスノズル97および乾燥ガスノズル98からもそれぞれ支持部材86および気体ヘッド85に向けて乾燥用ガスが吹き付けられる。これにより、支持部材86および気体ヘッド85に付着している処理液も乾燥されることとなる。
図6に示したように、アーム乾燥部95の2本の乾燥ガスノズル96は、鉛直方向に所定間隔を隔てて並べて配置されている。上側の乾燥ガスノズル96からはノズルアーム82の水平方向に延びる部分に乾燥用ガスが吹き付けられるとともに、下側の乾燥ガスノズル96からはノズルアーム82が滑らかな円弧を描きつつ下側に向かう部分に乾燥用ガスが吹き付けられるように、昇降駆動部84がノズルアーム82の高さ位置を調整する。これにより、ノズルアーム82の全体にわたって乾燥用ガスが吹き付けられる。その結果、ノズルアーム82のうち、少なくとも吐出ヘッド81が処理位置に移動したときにスピンチャック20に保持された基板Wに対向する部位、つまり当該基板Wの上方に到達する部位については確実に乾燥用ガスを吹き付けて乾燥させることができる。
また、二流体ノズル80のノズルアーム82の乾燥処理を行うときにも、上述の上面処理液ノズル60の乾燥と同様に、固定設置された乾燥ガスノズル96から水平方向に噴出される乾燥用ガスの流れをノズルアーム82の先端側が横切るように旋回駆動部83がノズルアーム82を揺動させる。図10は、二流体ノズル80のノズルアーム82を揺動させつつ乾燥する様子を模式的に説明するための図である。固定設置された乾燥ガスノズル96から水平方向の(+X)側に向けて乾燥用ガスを噴出しつつ、旋回駆動部83がノズルアーム82を水平面内にて揺動させる。これにより、乾燥ガスノズル96から噴出された乾燥用ガスはノズルアーム82および支持部材86に順次に吹き付けられることとなる。その結果、二流体ノズル80のノズルアーム82および支持部材86の双方に乾燥用ガスを吹き付けて乾燥することができる。なお、ノズルアーム82の乾燥を行うときに、旋回駆動部83がノズルアーム82を揺動させる角度は、乾燥ガスノズル96から噴出される乾燥用ガスの流れをノズルアーム82および支持部材86の双方が横切る程度とすれば良い。そして、この角度に対応するノズルアーム82の移動範囲は待機位置であり、ノズルアーム82は待機位置内にて揺動されることとなる。
また、乾燥ガスノズル96は、待機位置のノズルアーム82の先端よりもさらに前方側((−X)側)に設けられているため、吐出ヘッド81が待機位置に位置しているときにノズルアーム82の先端側から乾燥用ガスが吹き付けられる。これにより、乾燥用ガスの吹き付けによってノズルアーム82に付着していた処理液が吹き飛ばされた場合であっても、ノズルアーム82の基端側((+X)側)に飛ばされることとなるため、吐出ヘッド81、気体ヘッド85およびノズルアーム82の先端側に処理液の液滴が付着することは防止される。その結果、ノズルアーム82のうち、吐出ヘッド81が処理位置に移動したときにスピンチャック20に保持された基板Wに対向する部位を清浄に保つことができる。
乾燥ガスノズル96から水平方向に乾燥用ガスを噴出しつつ、旋回駆動部83がノズルアーム82を水平面内にて揺動させることによって、ノズルアーム82の乾燥処理が終了した後、乾燥ガスノズル96からの乾燥用ガスの噴出を停止する。このようにして、二流体ノズル80のノズルアーム82の乾燥処理が完了する。その後、次の基板Wの処理が開始される。
本実施形態のようにすれば、基板Wの処理中に二流体ノズル80のノズルアーム82に処理液が付着したとしても、ノズルアーム82に乾燥ガスノズル96から乾燥用ガスを噴出して乾燥させて付着した処理液を取り除いている。このため、基板Wの処理中に処理液が付着したノズルアーム82による汚染を防止することができる。
特に、1枚の基板Wに処理液を吐出する処理が終了して吐出ヘッド81が処理位置から待機位置に帰還する毎に、ノズルアーム82に乾燥用ガスを吹き付けて乾燥処理を行うようにすれば、ある基板Wの処理中に処理液が付着したノズルアーム82によって次に処理される基板Wが汚染されるのを防止することができる。
また、本実施形態においては、乾燥用ガスを噴出する乾燥ガスノズル96が固定設置されている。乾燥ガスノズル96を稼働する二流体ノズル80自体に取り付けた場合には、乾燥ガスノズル96に乾燥用ガスを供給する配管を可動対応のものとしなければならず、設置スペースや二流体ノズル80との干渉などの制約を受けざるを得ない。乾燥ガスノズル96を固定設置すれば、それらに流体を供給する配管も固定配管とすることができ、かかる制約は受けない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、1枚の基板Wの処理が終了して吐出ヘッド61が処理位置から待機位置に帰還したときに、シャワーノズル71から斜め下方のノズルアーム62に洗浄液を噴出して洗浄処理を行った後に、乾燥ガスノズル76から乾燥用ガスを吹き付けてノズルアーム62の乾燥処理を行うようにしても良い。同様に二流体ノズル80についても、1枚の基板Wの処理が終了して吐出ヘッド81が処理位置から待機位置に帰還したときに、シャワーノズル91から斜め下方のノズルアーム62に洗浄液を噴出して洗浄処理を行った後に、乾燥ガスノズル96から乾燥用ガスを吹き付けてノズルアーム82の乾燥処理を行うようにしても良い。このように、洗浄液を噴出しての洗浄処理を行ってから乾燥用ガスを吹き付けてノズルアーム62,82の乾燥処理を行うようにすれば、基板Wの処理中にノズルアーム62,82に付着した処理液を確実に取り除くことができる。但し、1枚の基板Wの処理が終了する毎に洗浄液を噴出しての洗浄処理と乾燥用ガスを吹き付けての乾燥処理とを全て行うと、相応の時間を要するために基板Wの処理間時間が長くなり、基板処理装置1のスループットが低下することとなる。このため、基板Wの処理間では本実施形態のようなノズルアーム62,82の乾燥処理のみを行い、例えばロット間で洗浄液を噴出しての洗浄処理および乾燥用ガスを吹き付けての乾燥処理の双方を行うのが好ましい。
また、上記実施形態においては、乾燥ガスノズル76から噴出される乾燥用ガスの流れをノズルアーム62の先端側が横切るように揺動させて3本のノズルアーム62の全てを乾燥するようにしていたが、これに代えて、待機位置に停止している3本のノズルアーム62のそれぞれに対向する位置に乾燥ガスノズル76を設け、それらから個別に乾燥用ガスを噴出して3本のノズルアーム62を乾燥するようにしても良い。
また、基板処理装置1によって処理対象となる基板は半導体基板に限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板であっても良い。