JP2004107654A - 亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面処理鋼板などの被塗物に電着塗装すると高い耐食性が得られる、めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物を提供する。
【解決手段】カチオン性エポキシ樹脂、その硬化剤および顔料を含むカチオン電着塗料組成物において、ケイ酸化合物、アルミニウム化合物またはムグネシウム化合物が1質量%含有PH12のアルカリ性水溶液中に溶出したイオンの平衡濃度が50ppm〜3000ppmであるケイ酸化合物、アルミニウム化合物またはムグネシウム化合物を含有する、めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物。
【選択図】なし

Description

 本発明は、亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物に関し、特に無鉛性の亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物に関する。
 工業材料として使用される亜鉛鋼板の種類には、一般に電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、及び亜鉛−ニッケル鋼板等がある。この中で、例えば、電気亜鉛めっき鋼板は、めっきされた亜鉛の純度が高く活性であり、亜鉛−ニッケル鋼板等よりも特にアルカリ性条件下での耐食性に劣るという問題がある。
 そのため、屋外で風雨に晒され、高い耐食性が要求される、例えば、自動車車体等の用途には、これまで亜鉛−ニッケル鋼板が主として使用されてきた。しかし、近年の経済情勢から原料コストの低減が重要な課題となりつつあり、そのため、亜鉛−ニッケルめっき鋼板よりもコスト的に安価な電気亜鉛めっき鋼板の使用が検討されるようになってきた。従って、このようなアルカリ条件下でも耐食性を向上させることができる電気亜鉛めっき鋼板の処理方法が求められていた。
 電着塗装は導電性基材の上に塗装する技術であり、その非常に重要な性能は防錆性である。塗装された基材は、多種多様な腐食環境にさらされるが、どのような環境下においても高い防錆性が要求される。
 一方、これまで電着塗料には、耐食性を付与するため、鉛を含む耐食性付与剤が添加されてきた。近年、鉛は環境に対して悪影響を与えることから、使用量の削減が要求されており、そうした鉛を含む耐食性付与剤を含まない、いわゆる無鉛性カチオン電着塗料が主として利用されつつある。しかし、鉛を使用しないことにより耐食性が低下することが多く、特に電気亜鉛めっき鋼板を無鉛性電着塗料組成物で電着塗装した基材は、耐食性が劣ることとなる。
 本発明の目的は、従来あまり検討の対象になっていない基材、即ち亜鉛めっき鋼板に対して高い防錆性能を発揮する実質上鉛化合物もしくは鉛イオンを含まない電着塗料を提供することにある。
 即ち、本発明は、ケイ酸化合物を1質量%含有するpH12のアルカリ性水溶液中に溶出したケイ酸イオンの平衡濃度が50ppm〜3000ppmであるケイ酸化合物を含有する、亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物を提供するものであり、そのことにより上記課題を解決することができる。
 上記カチオン電着塗料組成物は、さらにアルミニウム化合物を含んでもよく、このアルミニウム化合物はアルミニウム化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したアルミニウムイオンの平衡濃度50ppm〜3000ppmを有するものである。
 上記カチオン電着塗料組成物は、さらにマグネシウム化合物を含んでもよく、このマグネシウム化合物はマグネシウム化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したマグネシウムイオンの平衡濃度50ppm〜3000ppmを有するものである。
 さらに、カチオン電着塗料組成物において、これらのケイ酸化合物、アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物を含有していてもよい。
 ここで平衡濃度とは、前記化合物からイオンが溶出してその濃度が平衡に達したときの濃度をいうが、具体的には各化合物1gをpH12のアルカリ水溶液100g中に添加した場合の、50℃、3日間後における溶出濃度をいう。また、単に「亜鉛めっき鋼板」との記載は、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、またはこれらに有機コートを施した電気亜鉛めっき鋼板を意味するものとする。
 本明細書では、「カチオン電着塗料組成物」との記載は無鉛性カチオン電着塗料組成物を意味する。ここで「無鉛性」とは、実質上鉛化合物もしくは鉛イオンを含まないことをいい、環境に悪影響を与えるような量で鉛を含まないことを意味する。具体的には、カチオン電着浴中の鉛化合物濃度が100ppm、好ましくは50ppmを超える量で含まないことをいう。
 カチオン電着塗料組成物にケイ酸化合物等を含有させることにより、亜鉛めっき鋼板の被塗物に電着塗装すると高い耐食性が得られるカチオン電着塗料組成物が得られる。
発明までの過程
 本発明が成立するまで種々の実験と考察が必要であるが、発明の理解に役立つので、ここで説明する。
 本発明者等は、まず自動車などの基材に使用されている鋼板を三種類選択して、その腐食環境におけるpHの影響について実験を行った。その実験は実験1として後述する。選択した鋼板は自動車の基材として現在最も多く利用されている亜鉛−ニッケルめっき鋼板と冷間圧延鋼板(SPC)、そしてあまり利用されていない亜鉛めっき鋼板である。結果を示す図1を見れば明らかであるが、pHが5〜10ぐらいのマイルドな環境下では、各鋼板にあまり腐食における差が生じていないが、pH10を越えるとその差が非常に大きくなっていることが解った。
 そこで、亜鉛めっき鋼板に着目した場合、pHが10を超えるアルカリ域で防錆性が極端に悪くなるので、アルカリ域における防錆性が高い防錆剤、顔料もしくはイオン種を検討するためにケイ酸イオン、モリブデン酸イオン、リン酸イオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよび亜鉛イオンについてpH11における腐食減量を測定した。その実験は後述の実験2に記載されている。その結果は図2を見れば明らかであるが、ケイ酸イオンの腐食抑制効果が極めて高いことが解る。
 前述のように、ケイ酸イオンが高い防錆性能をpHが高いアルカリ域で発揮することが解ったので、そのケイ酸イオン濃度はどれぐらい必要なのかについて検討した。その実験は実験3として後述する。この実験結果は図3、図4に記載している。この結果から明らかなように、pH12でも、また12.6でもケイ酸イオン濃度が約50ppmを超える範囲で高い防錆性能を発揮することがわかる。この実験3では、ケイ酸イオンのほかにアルミニウムイオンの存在による効果の促進作用も同時に見ているが、ケイ酸イオンとアルミニウムイオンが同時にあるときに高い防錆作用を示すことも確認できる。
 本発明では、上記考察に基づいて、亜鉛めっき鋼板に好適な高い防錆性を示すカチオン電着塗料に到達した。以下その塗料を詳細に説明する。
 一般にカチオン電着塗料は、カチオン性のエポキシ樹脂とその樹脂の硬化剤を基本的成分としており、その他に顔料や添加剤を含み、水性媒体中に分散したものである。本発明のカチオン電着塗料は、前述のとおりその有用性が判明したケイ酸化合物を含有することを特徴としている。
 ここでケイ酸化合物とは、アルカリ性水溶液中でケイ酸イオンを溶出する化合物である。具体的には、ケイ酸化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したケイ酸イオンの平衡濃度50ppm〜3000ppm、好ましくは100ppm以上を有する化合物をいう。この溶出するケイ酸イオンの平衡濃度が50ppm未満であると、十分な耐食効果が得られず、より低い場合はより顕著となる。
 さらに、ケイ酸化合物は、pH12以下のアルカリ性水溶液中ではケイ酸イオン溶出量は多くないが、pH12以上においてケイ酸イオン溶出量が増大する化合物が好ましい。このような化合物を含有するカチオン電着塗料組成物は、強アルカリ条件下で腐食されやすい性質を有する、亜鉛めっき鋼板のカチオン電着塗装法に適しているからである。
 ケイ酸を含む化合物には、一般的に塗料に配合される顔料に分類されるものもあるが、本発明のケイ酸化合物は上記範囲の溶出平衡濃度を有するものをいい、それ以外のものは顔料に分類される。即ち、上記範囲の溶出平衡濃度を有しない顔料は本発明でいうケイ酸化合物には含まれない。本発明で用いるケイ酸化合物の例としては、ケイ酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。ここで一般にシリカは二酸化ケイ素を主成分とする固体状物質をいうが、ケイ酸を溶出する能力はシリカの形状等により異なり得ると考えられる。本発明においては、ケイ酸化合物として多孔質であるシリカ粒子を使用することが好ましい。シリカ粒子が多孔質であることによってその内部表面が大きくなり、その結果、シリカ粒子からケイ酸イオンが多く溶出すると考えられるためである。多孔質であるシリカ粒子として、いわゆる湿式法を用いてケイ酸ソーダと酸とを混合することにより得られる、富士シリシア化学株式会社から市販されているサイリシアが挙げられる。
 ケイ酸化合物は、固体状物質で後述する顔料の一部を構成するとも考えることができる。その場合、後述する顔料の一部が本発明のケイ酸化合物と置きかえられるものと考えることができる。従って、上記ケイ酸化合物の配合量は、顔料に対して1〜60質量%であることが好ましく、さらには3〜40質量%、特に5〜25質量%であることが好ましい。60質量%を超えて添加することは、分散ペーストの安定性が不良となる欠点を有することとなる。逆に、1質量%より少ない量の添加は、ケイ酸化合物の添加による効果(耐食効果)が不十分となる。本発明のケイ酸化合物を顔料の一部と考えないで、添加剤として捉えることも可能であり、その場合電着塗料中への配合量は、塗料の樹脂固形分100質量部に対し、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは3〜10質量部である。添加量の多い場合と少ない場合の欠点は前述の顔料の一部と考える場合と同じである。但し、添加剤として考える場合は、顔料の添加量が必然的に少なくなる。
 所望により、ケイ酸化合物に加えて、アルミニウム化合物を併用することもできる。またケイ酸化合物に加えて、マグネシウム化合物を併用することもできる。さらに、ケイ酸化合物にアルミニウム化合物とマグネシウム化合物を加えて併用することもできる。アルミニウムイオン、マグネシウムイオンによる亜鉛めっき鋼板腐食減量抑制効果も高いからである(実験2参照)。また、ケイ酸イオンとアルミニウムイオンが同時にあるときに高い防錆作用が示される(実験3参照)。
 本発明で使用するアルミニウム化合物は、アルカリ性水溶液中でアルミニウムイオンを溶出する化合物である。具体的には、本発明で使用するアルミニウム化合物は、アルミニウム化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したアルミニウムイオンの平衡濃度50ppm〜3000ppm、好ましくは100ppm以上を有する化合物をいう。アルミニウムを含有する化合物には、一般的に顔料に分類されるものもあるが、本発明のアルミニウム化合物は上記範囲の溶出平衡濃度を有するものをいい、上記の溶出濃度を有しない顔料は本発明でいうアルミニウム化合物には含まれない。
 使用できるアルミニウム化合物として、例えばアルミナ、水酸化アルミニウム、アルミニウム粉末、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
 アルミニウム化合物をケイ酸化合物と併用する場合、上記配合量において、ケイ酸化合物の一部をアルミニウム化合物に置き換えて使用することとなる。ケイ酸化合物とアルミニウム化合物の配合比は、100/10〜100/1000、好ましくは100/50〜100/100の範囲である。ケイ酸化合物およびアルミニウム化合物の含有量は、電着塗料の樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは3〜10質量部である。
 本発明で使用するマグネシウム化合物は、アルカリ性水溶液中でマグネシウムイオンを溶出する化合物である。具体的には、本発明で使用するマグネシウム化合物は、マグネシウム化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したマグネシウムイオンの平衡濃度50ppm〜3000ppm、好ましくは100ppm以上を有する化合物をいう。マグネシウムを含有する化合物には、一般的に顔料に分類されるものもあるが、本発明のマグネシウム化合物は上記範囲の溶出平衡濃度を有するものをいい、上記の溶出濃度を有しない顔料は本発明でいうマグネシウム化合物には含まれない。
 使用できるマグネシウム化合物として、例えば水酸化マグネシウム、マグネシウム粉末、リン酸マグネシウム等が挙げられる。
 マグネシウム化合物をケイ酸化合物と併用する場合、上記配合量において、ケイ酸化合物の一部をマグネシウム化合物に置き換えて使用することとなる。ケイ酸化合物とマグネシウム化合物の配合比は、100/10〜100/1000、好ましくは100/50〜100/100の範囲である。ケイ酸化合物およびマグネシウム化合物の含有量は、電着塗料の樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量 
 アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物をケイ酸化合物と併用する場合、上記配合量において、ケイ酸化合物の一部をアルミニウム化合物およびマグネシウム化合物に置き換えて使用することとなる。ケイ酸化合物とアルミニウム化合物およびマグネシウム化合物との配合比は、100/10〜100/1000、好ましくは100/50〜100/100の範囲である。ケイ酸化合物、アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物の含有量は、電着塗料の樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは3〜10質量部である。
 本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は、ケイ酸化合物等(ケイ酸化合物および所望によりアルミニウム化合物および/またはマグネシウム化合物を含むものをいう)以外に、カチオン性のエポキシ樹脂、硬化剤および必要に応じて顔料や添加剤を含むものである。以下、それぞれの成分について説明する。
 カチオン性エポキシ樹脂
 本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
 カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
 ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
 特開平5−306327号公報第0004段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂として用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
 エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネートとポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
 特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
 二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されている。
 これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
 これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
 カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。本発明の1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
 具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよい。
 硬化剤
 本発明で使用する硬化剤は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネートが好ましく、ここでポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
 ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
 ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーも硬化剤として使用してよい。
 ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであることが好ましい。形成される塗膜が耐候性に優れるからである。
 脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートの好ましい具体例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添TDI、水添MDI、水添XDI、IPDI、ノルボルナンジイソシアネート、それらの二量体(ビウレット)、三量体(イソシアヌレート)等が挙げられる。
 ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
 ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、及びホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
 カチオン性エポキシ樹脂と硬化剤とを含むバインダーは、一般に、電着塗料組成物の全固形分の25〜85質量%、好ましくは40〜70質量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。
 顔料
 電着塗料組成物には着色剤として一般に顔料を含有させる。本発明の電着塗料組成物にも通常用いられる顔料を配合してもよい。本明細書でいう「顔料」とは、前述のケイ酸化合物、アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物を除いたものをいう。例えば、クレーやタルクなどはアルミニウムやケイ酸を含むが、これらは溶出平衡濃度が所定範囲を満足しないので、顔料として扱う。使用し得る顔料の例としては、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等が挙げられる。
 顔料は、一般に、電着塗料組成物の全固形分の1〜35質量%、好ましくは10〜30質量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。前述のように、本発明に用いるケイ酸化合物等は、固体成分で顔料の一部と考えることもできるので、その場合は上記顔料の配合量の一部分をケイ酸化合物等にする。ケイ酸化合物等を添加剤として捉える場合には、顔料の配合量は少なくなり、塗料固形分の0.01〜15質量%、好ましくは0.2〜2質量%となる。
 但し、本発明の電着塗料を無鉛性カチオン電着塗料とする場合は、鉛を含む耐食性付与剤、例えば、塩基性ケイ酸鉛、塩基性硫酸鉛、鉛丹、及びシアナミド鉛のような鉛系防錆顔料は使用しないか、または使用しても希釈塗料(電着浴へ加えられる状態)の鉛イオン濃度が100ppm以下となるような量で使用すべきである。鉛イオン濃度が高いと環境に有害であるからである。
 顔料分散ペースト
 顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を顔料分散樹脂と呼ばれる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
 顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂ワニスと共に水性媒体中に分散させて調製する。本発明では、顔料と共にケイ酸化合物等も分散ペースト化するのが好ましい。顔料分散樹脂ワニスとしては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂ワニスは5〜40質量部、顔料は10〜30質量部の固形分比で用いる。
 上記顔料分散用樹脂ワニスおよび顔料を、樹脂固形分100質量部に対し10〜1000質量部混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて、顔料分散ペーストを得る。
 電着塗料組成物
 本発明の電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤、及びシリカ粒子を含む顔料分散ペーストを水性媒体中に分散することによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂の分散性を向上させるために中和剤を含有させる。中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。その量は少なくとも20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する量である。
 硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級又は/及び3級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂の硬化剤に対する固形分質量比で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
 電着塗料は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレタン開裂触媒を含むことができる。鉛を実質的に含まないものが好ましいため、その量はブロックポリイソシアネート化合物の0.1〜5質量%とすることが好ましい。
 電着塗料は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び顔料などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
 本発明の電着塗料組成物は当業者に周知の方法で被塗物に電着塗装され、硬化塗膜を形成する。このカチオン電着塗料組成物を用いて電着塗装を行う場合の被塗物は、予め、浸漬、スプレー方法等によりリン酸亜鉛処理等の表面処理の施された導体であることが好ましいが、この表面処理が施されていないものであっても良い。また、導体とは、電着塗装を行うに当り、陰極になり得るものであれば特に制限はなく、金属基材が好ましい。
 電着が実施される条件は一般的に他の型の電着塗装に用いられるものと同様である。印加電圧は大きく変化してもよく、1ボルト〜数百ボルトの範囲であってよい。電流密度は通常約10アンペア/m2〜160アンペア/m2であり、電着中に減少する傾向にある。
 電着後、被膜を昇温下に通常の方法、例えば焼付炉中、焼成オーブン中あるいは赤外ヒートランプで焼付ける。焼付け温度は変化してもよいが、通常約140℃〜180℃である。
実験例、製造例および実施例
 以下の実験、製造例および実施例は、限定でなく例示目的のみで与えられる。これらにおいて「部」および「%」は特記しない限り質量基準による。「エポキシ当量」「アミン当量」は固形分当りの数値を示す。
 実験1(鋼板別の腐食)
 表面積22.5cm2の、亜鉛めっき鋼板、冷間圧延鋼板(SPC)および亜鉛−ニッケルめっき鋼板(Zn−Ni)の試験片を作成し、それらの質量を測定した。5%NaCl水溶液をそれぞれpH3〜13に調整した。これらのpH調整5%NaCl水溶液に、上記試験片を50℃、5日間浸漬した。その後、試験片を取り出して乾燥し、浸漬後の質量を測定して浸漬前の質量と比較し、減少分を腐食減量とした。結果を図1に示す。
 図1より、冷間圧延鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板に比べて、亜鉛めっき鋼板はアルカリ性条件下で腐食が大きいことが解る。
 実験2(アルカリ域での各イオン種の効果)
 表面積22.5cm2の、亜鉛めっき鋼板の試験片を、ケイ酸、モリブデン酸、リン酸、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛からなるイオン種のうち1種を含有する5%NaCl水溶液(pH11に調整)に、50℃、5日間浸漬した。その後、試験片を取り出して乾燥し、浸漬後の質量を測定して浸漬前の質量と比較し、減少分を腐食減量とした。結果を図2に示す。
 図2より、ケイ酸イオンによる腐食減量抑制効果が、特に低濃度下で極めて高いことが解る。さらにアルミニウムイオン、マグネシウムイオンによる腐食減量抑制効果も高いことが解る。
 実験3(ケイ酸イオンおよびアルミニウムイオンの共存効果)
 表面積22.5cm2の、亜鉛めっき鋼板の試験片を、ケイ酸、アルミニウムのいずれか一方または両方を含有する5%NaCl水溶液(pH12、12.6)に、50℃、5日間浸漬した。その後、試験片を取り出して乾燥し、浸漬後の質量を測定して浸漬前の質量と比較し、減少分を腐食減量とした。結果を図3、図4に示す。
 図3、図4より、ケイ酸イオンとアルミニウムイオンが共存するときに、腐食減量抑制効果が高いことが解る。
 製造例1(カチオン性エポキシ樹脂の製造)
 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート(質量比=8/2)92部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)95部およびジブチルスズジラウレート0.5部を仕込んだ。その混合物を攪拌しながら、メタノール21部を添加した。その反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温し、その後30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル57部を滴下漏斗により滴下した。更にビスフェノールA−プロピレンオキシド5モル付加体(商品名ニューポールBP−5P、三洋化成社製)42部を添加した。反応は主に60〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
 次に、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)365部を、上記の反応混合物に加えて125℃まで昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部を添加し、エポキシ当量410になるまで130℃で反応させた。
 続いて、ビスフェノールA87部を加えて120℃で反応させ、エポキシ当量1190とした。その後、上記反応混合物を冷却し、ジエタノールアミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およびアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるまで希釈し、カチオン性エポキシ樹脂(樹脂固形分80%)を得た。
 製造例2(ブロックポリイソシアネート硬化剤の合成)
 製造例1と同様のフラスコに、2,5−および2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(三井東圧社製、イソシアネート当量103)723部、MIBK333部およびジブチルスズジラウレート0.01部を仕込んだ。得られた反応混合物を70℃まで昇温し、その反応混合物が均一に溶解した後、メチルエチルケトオキシム610部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を70℃に保持したまま、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで反応を継続させて、メチルエチルケトオキシムブロックポリイソシアネート硬化剤を得た。(樹脂固形分80%)
 製造例3(スルホニウム基を有する顔料分散樹脂ワニスの製造)
 攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)222.0部を入れ、MIBK39.1部で希釈した後、ジブチルスズジラウレート0.2部を加えた。その後、50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌しながら、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することにより、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDIが得られた。
 適当な反応容器に、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル・カンパニー社製)382.2部とビスフェノールA117.8部を仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱した。その反応混合物を150〜160℃で約1時間反応させ、次いで120℃に冷却した後、上記で調整された2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)209.8部を加えた。140〜150℃で1時間反応させた後、ポリアルキレンオキサイド化合物205部を加え、60〜65℃に冷却した。そこへ、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール408.0部、脱イオン水144.0部、ジメチロールプロピオン酸134部を加え、酸価が1となるまで65〜75℃で反応させ、エポキシ樹脂に3級スルホニウム基を導入し、脱イオン水1595.2部を加えて3級化を終了させることにより、3級スルホニウム基を含有する顔料分散樹脂ワニスを得た(固形分30%)。
 製造例4(顔料分散ペーストの製造)
 サンドグラインドミルに、製造例3で得られた顔料分散樹脂ワニスを固形分で60部、カーボンブラック2.0部、表1に記載の顔料を100.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸アルミニウム18.0部及びイオン交換水221.7部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た。
Figure 2004107654
*1焼成カオリン:DRY BRANCH KAOLIN社製、グロマックスJDF。
*2シリカ粒子:富士シリシア化学株式会社製 サイリシア530。
*3アルミニウム化合物:帝国化工株式会社製、K−ホワイト♯84S(リン酸アルミニウム)。
*4比較シリカ粒子:US Silica 社製、ミニシルNo.5。
 表1で用いた焼成カオリン、ケイ酸化合物(シリカ粒子)、アルミニウム化合物および比較シリカ粒子の1質量%をそれぞれpH12のアルカリ水溶液中に添加し、50℃、3日後の溶出したケイ酸イオンおよびアルミニウムイオンの平衡濃度を測定した。結果を表2に示す。アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウムをイオン交換水に添加し、pH12に調整することにより作成した。
Figure 2004107654
 実施例1
 製造例1のカチオン性エポキシ樹脂と製造例2のブロックポリイソシアネート硬化剤を固形分配合比75:25で均一に混合した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%になるように添加した。これに氷酢酸を加えて中和率43.0%となるように中和し、更にイオン交換水を加えてゆっくり希釈した。固形分が36.0%となるように減圧化でMIBKを除去することにより、メインエマルションを得た.このメインエマルション1500.0部および製造例4(表1の配合1)により得た顔料分散ペースト541.7部をイオン交換水1949.3部及びジブチルスズオキサイド9.0部と混合して、固形分20.0%のカチオン電着塗料を調整した。樹脂固形分100質量部あたりのケイ酸化合物の含有量は6.67質量部であった。
 実施例2
 表1の配合1より得た顔料分散ペーストの代わりに配合2より得た顔料分散ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。樹脂固形分100質量部あたりのケイ酸化合物の含有量は13.3質量部であった。
 実施例3
 表1の配合1より得た顔料分散ペーストの代わりに配合3より得た顔料分散ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。樹脂固形分100質量部あたりのケイ酸化合物およびアルミニウム化合物の含有量はそれぞれ6.67質量部であった。
 比較例1
 表1の配合1より得た顔料分散ペーストの代わりに配合4より得た顔料分散ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。
 比較例2
 表1の配合1より得た顔料ペーストの代わりに配合5より得た顔料ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。
 電着塗膜の評価
 塩水浸耐食性
 カチオン電着塗料組成物を、電気亜鉛めっき処理した鋼板に乾燥塗膜の膜厚が5μmおよび7μmになるように電着を行った。これを160℃で25分焼き付けて得られたカチオン電着塗膜を、5%食塩水に55℃で22日間浸漬した後、ブリスタの面積の割合を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
 ◎: 10%以下
 ○: 10〜20%
 △: 20〜30%
 ×: 30%以上
Figure 2004107654
5%NaCl水溶液中における各鋼板の腐食減量を表すグラフである。 5%NaCl水溶液(pH11)中における各イオン種の効果を表すグラフである。 5%NaCl水溶液(pH12、12.6)中における、ケイ酸イオンおよびアルミニウムイオンの共存効果を表すグラフである。 5%NaCl水溶液(pH12、12.6)中における、ケイ酸イオンおよびアルミニウムイオンの共存効果を表すグラフである。

Claims (5)

  1.  ケイ酸化合物を1質量%含有するpH12のアルカリ性水溶液中に溶出したケイ酸イオンの平衡濃度が50ppm〜3000ppmであるケイ酸化合物を含有する、亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物。
  2.  カチオン性エポキシ樹脂、その硬化剤および顔料を含むカチオン電着塗料組成物において、さらにケイ酸化合物を含有し、該ケイ酸化合物がケイ酸化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したケイ酸イオンの平衡濃度50ppm〜3000ppmを有する、亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物。
  3.  さらにアルミニウム化合物を含有し、該アルミニウム化合物がアルミニウム化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したアルミニウムイオンの平衡濃度50ppm〜3000ppmを有する、請求項1または2に記載の亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物。
  4.  さらにマグネシウム化合物を含有し、該マグネシウム化合物がマグネシウム化合物1質量%含有pH12のアルカリ性水溶液中に溶出したマグネシウムイオンの平衡濃度50ppm〜3000ppmを有する、請求項1〜3いずれかに記載の亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物。
  5.  前記ケイ酸化合物、アルミニウム化合物またはマグネシウム化合物が塗料中に合計量で樹脂固形分100質量部あたり0.5〜20質量部の量で含有される、請求項1〜4いずれかに記載の亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物。
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