JP2004106147A - レンズ研削加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、穴開け用ドリル等の工具の主軸に対してリムレスレンズの屈折面の穴開け部分を略垂直になるようにさせる構成を有することを特徴としており、リムレスレンズの屈折面に略垂直なフレーム取付け用の穴を開けることができ、取付け用の金具を見栄えよく装着することができるレンズ研削加工装置を提供すること。
【解決手段】眼鏡レンズMLを傾斜可能に挟持するレンズ回転軸23,24と、傾斜させた眼鏡レンズMLにポイントフレーム用穴を開ける穴開け手段(穴開け加工装置200)と、ポイントフレーム用レスレンズの周縁部を研削加工するための研削加工手段(面取砥石224,225)とを有する。
【選択図】    図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポイントフレーム用レンズ(以下、リムレスレンズと略記する)の周縁を研削加工するとともに、ポイントフレーム取付用穴を開けるためのリムレスレンズ用穴開け加工装置及びレンズ研削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、ポイントフレーム用のフレーム取付け用の穴を自動的に開けて、ポイントフレーム用(レンズリムレスレンズ)の周縁を研削加工するレンズ研削加工装置(特許文献1,2参照)や、ポイントフレーム取付用穴を開けるためのリムレスレンズ用穴開け加工装置(特許文献3,4,5参照)が広く知られている。
【0003】
この場合、ポイントフレームをリムレスレンズに取付けるための金具の大きさは一定ではないので、リムレスレンズに穿孔される穴の径の大きさも変えなければならない。
【0004】
また、眼鏡レンズの屈折面に圧接するレンズ押さえ部材に関し、ユニバーサルジョイントを用いたレンズ研削加工装置が広く知られている(特許文献6〜11参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−155945号公報
【特許文献2】
特開2000−218487号公報等
【特許文献3】
特開平8−155806号公報
【特許文献4】
特開平9−290399号公報
【特許文献5】
特開平11−10427号公報
【特許文献6】
特公昭54−11032号公報
【特許文献7】
特開昭57−201160号公報
【特許文献8】
特開平9−225798号公報
【特許文献9】
米国特許第6,231,433号公報
【特許文献10】
欧州公開第995546号公報(A1)
【特許文献11】
特願2001−177335号等
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような先行技術では、穴開け用ドリル等の工具の移動だけでリムレスレンズの屈折面に対して工具の主軸を略垂直に保持することは困難であり、敢えて工具の主軸をリムレスレンズの屈折面に略垂直にしようとすると却って装置の大型化を招いてしまう虞がある。
【0007】
また、単にリムレスレンズを挟持するレンズ回転軸自体を傾動させることにより、工具の主軸に対してリムレスレンズの屈折面を略垂直になるようにさせると、余計に装置が複雑で大型にならざるを得ない。
【0008】
さらに、先行技術では、リムレスレンズの屈折面に略垂直なフレーム取付け用の穴を開けることができないので、取付け用の金具を見栄えよく装着することができず、装用者が望むポイントフレームを完成させることができない。
【0009】
また、単にユニバーサルジョイントを用いたレンズ押さえ部材により、リムレスレンズの屈折面を圧接した状態で、リムレスレンズを傾動させるとしても、堅固に締付けていた状態では、湾曲した屈折面を工具の主軸に対して直角に微調整することは極めて困難であり、仮締めや本締めが容易に可能なレンズ押さえでリムレスレンズを押さえている状態で、湾曲した屈折面を工具の主軸に対して直角に微調整する精密な作業が要求される。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、簡易な構成で、穴開け用ドリル等の工具の主軸に対してリムレスレンズの屈折面の穴開け部分を略垂直になるようにさせる構成を有することを特徴としており、リムレスレンズの屈折面に略垂直なフレーム取付け用の穴を開けることができ、取付け用の金具を見栄えよく装着することができるレンズ研削加工装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、 眼鏡レンズを傾斜可能に挟持するレンズ回転軸と、傾斜させた眼鏡レンズにポイントフレーム用穴を開ける穴開け手段と、ポイントフレーム用レンズの周縁部を研削加工するための研削加工手段とを有するレンズ研削加工装置としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、眼鏡レンズを保持するレンズ回転軸と、該レンズ回転軸に保持された眼鏡レンズの形状を測定するためのレンズ形状測定装置と、前記レンズ形状測定装置の測定結果に基づいて眼鏡レンズを研削加工する演算制御手段と、眼鏡レンズにポイントフレーム取付け用穴を開ける穴開け手段とを有するレンズ研削加工装置において、前記レンズ回転軸に挟持された状態で眼鏡レンズを傾斜させるレンズ傾斜手段として前記レンズ形状測定装置を兼用させると共に、前記演算制御手段は、前記レンズ形状測定装置による測定結果から眼鏡レンズの屈折面の傾斜角度を演算して、該傾斜角度に基づき前記レンズ形状測定装置を介して眼鏡レンズの屈折面の穴開け部分を前記穴開け手段に対して任意の角度になるように前記レンズ回転軸に対して傾斜させ、この傾斜させた眼鏡レンズにポイントフレーム取付け用穴を前記穴開け手段で開けさせるように制御するレンズ研削加工装置としたことを特徴とする。
【0013】
更に、請求項3の発明は、請求項1または2に記載されたレンズ研削加工装置において、前記レンズ回転軸は球関節又は球継手を備えたレンズ保持部を有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは玉型モデル等から玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)及びポイントフレーム取付用穴位置データを読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状データ測定装置)、2はフレーム形状測定装置から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて生地レンズ等から眼鏡レンズ(リムレスレンズを含む)MLを研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
【0015】
また、ポイントフレーム取付用穴位置データは、特開平8−15594号公報または特開2001−166269号公報に記載されたエリアセンサまたは取付穴(孔)位置測定用部材等により非接触式または接触式のいずれかの測定方法により得られる。
【0016】
測定されたポイントフレーム取付用穴位置データは、後述するように、玉型モデル(ポイントフレーム取り付け用穴が付けられた玉型デモ用レンズ)の玉型形状データのレンズ形状情報(θi、ρi)と共にデータメモリ82に記憶される。
<レンズ研削加工装置2>
レンズ研削加工装置2は装置本体(本体ケース)3を有する。この装置本体3の上部には、図1に示したように、手前側から後方に向かうに従って上方に傾斜する上面(傾斜面)3aが設けられていると共に、上面3aの前部側(下部側)に開口する加工室4が形成されている。
【0017】
この加工室4は、斜め上下にスライド操作可能に装置本体3に取り付けられたカバー5で開閉される様になっている。このカバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、グレー等の有色透明)の一枚のガラスや樹脂製のパネルから構成され、装置本体3の前後にスライドする。
【0018】
また、装置本体3の上面3aには、加工室4の側方に位置させた操作パネル6と、加工室4の上部開口より後部側に位置させたL字状の操作パネル7が設けられている。また、上面3aには、L字状の操作パネル7の下部側の部分より後方に位置し且つ操作パネル6、7による操作状態を表示させる表示手段としての液晶表示器(表示装置)8が設けられている。
(操作パネル6)
この操作パネル6は、図2(A)に示すように、眼鏡レンズを後述する一対のレンズ回転軸(レンズ保持軸)23,24によりクランプするための『クランプ』スイッチ6aと、眼鏡レンズの右眼用・左眼用の加工の指定や表示の切換え等を行う『左』スイッチ6b,『右』スイッチ6cと、砥石を左右方向に移動させる『砥石移動』スイッチ6d,6eと、眼鏡レンズの仕上加工が不十分である場合や試し摺りする場合の再仕上又は試し摺り加工するための『再仕上/試』スイッチ6fと、レンズ回転モード用の『レンズ回転』スイッチ6gと、ストップモード用の『ストップ』スイッチ6hとを備えている。これは、実際のレンズ加工に必要なスイッチ群を加工室4に近い位置に配置することで作業者の動作の負担を軽減するためである。
(操作パネル7)
操作パネル7は、図2(B)に示すように、液晶表示器8の表示状態を切り換える『画面』スイッチ7aと、液晶表示器8に表示された加工に関する設定等を記憶する『メモリー』スイッチ7bと、レンズ形状情報(θi,ρi)を取り込むための『データ要求』スイッチ7cと、数値補正等に使用されるシーソー式の『−+』スイッチ7d(『−』スイッチと『+』スイッチとを別々に設けても良い)と、カーソル式ポインタ移動用の『▽』スイッチ7eとを液晶表示器8の側方に配置している。また、ファンクションキーF1〜F6が液晶表示器8の下方に配列されている。
【0019】
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズMLの加工に関する設定時に使用されるほか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
【0020】
各ファンクションキーF1〜F6は、加工に関する設定時(レイアウト画面)においては、ファンクションキーF1はレンズ種類入力用、ファンクションキーF2は加工コース入力用、ファンクションキーF3はレンズ素材入力用、ファンクションキーF4はフレーム種類入力用、ファンクションキーF5は面取り加工種類入力用、ファンクションキーF6は鏡面加工入力用として用いられる。
【0021】
ファンクションキーF1で入力されるレンズ種類としては、『単焦点』、『眼科処方』、『累進』、『バイフォーカル』、『キャタラクト』、『ツボクリ』等がある。尚、『キャタラクト』とは、眼鏡業界では一般にプラスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『ツボクリ』とは、マイナスレンズで屈折度数が大きいものをいう。
【0022】
ファンクションキーF2で入力される加工コースとしては、『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』等がある。
【0023】
ファンクションキーF3で入力される被加工レンズの素材としては、『プラスチック』、『ハイインデックス』、『ガラス』、『ポリカーボネイト』、『アクリル』等がある。
【0024】
ファンクションキーF4で入力される眼鏡フレームFの種類としては、『メタル』、『セル』、『オプチル』、『平』、『溝掘り(細)』、『溝掘り(中)』、『溝掘り(太)』、『ポイント:前金具』、『ポイント:後金具』、『ポイント:複合金具』等がある。
【0025】
なお、この各『溝掘り』とは、ヤゲン加工の一種であるヤゲン溝を示す。また、『ポイント:前金具』の場合には前側屈折面側から眼鏡レンズに穴開け加工が施され、『ポイント:後金具』の場合には後側屈折面側から眼鏡レンズに穴開け加工が施される。また、『ポイント:複合金具』の場合には、眼鏡レンズの鼻当側と耳掛け側にポイントフレームを取り付けるために、鼻当側と耳掛け側の一方に前側屈折面側から眼鏡レンズに穴開け加工が施され、且つ、鼻当側と耳掛け側の他方に後側屈折面側から眼鏡レンズに穴開け加工が施される。このようにポイントフレームの種類に応じて眼鏡レンズに穴開け加工が施される方向が異なる。
【0026】
尚、「前金具」とは図23(a)に示したように眼鏡レンズMLの前側屈折面rfに取り付けられる前金具取付タイプのポイントフレームPf1を意味し、「後金具」とは図23(b)に示したように眼鏡レンズの後側屈折面rbに取り付けられる後金具取付タイプのポイントフレームPf2を意味する。このポイントフレームPf1,Pf2には、眼鏡レンズMLの鼻当側に取り付けられるブリッジ金具Baと、耳掛側のテンプル(図示せず)を回動自在に取り付けるための耳掛け側金具Eがある。
【0027】
また、複合金具とは、図23(c)の如く「鼻当側に後金具取付タイプのポイントフレームPf1を取り付けると共に、耳掛け側に前金具取付タイプのポイントフレームPf2を取り付ける場合」と、図23(c)とは逆に「鼻当側に前金具取付タイプのポイントフレームを取り付けると共に、耳掛け側に後金具取付タイプのポイントフレームを取り付ける場合」がある。
【0028】
ファンクションキーF5で入力される面取り加工種類としては、『なし』、『小』、『中』、『大』、『特殊』等がある。
【0029】
ファンクションキーF6で入力される鏡面加工としては、『なし』、『あり』、『面取部鏡面』等がある。
【0030】
尚、上述したファンクションキーF1〜F6のモードや種別或いは順序は特に限定されるものではない。また、後述する各タブTB1〜TB4の選択として、『レイアウト』、『加工中』、『加工済』、『メニュー』等を選択するためのファンクションキーを設けるなど、キー数も限定されるものではない。
【0031】
(液晶表示器8)
液晶表示器8は、『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4によって切り替えられ、下方にはファンクションキーF1〜F6に対応したファンクション表示部H1〜H6を有する。尚、各タブTB1〜TB4の色は独立しており、後述する各エリアE1〜E4を除いた周囲の背景も各タブTB1〜TB4の選択切換と同時に各タブTB1〜TB4と同一の背景色に切り替わる。
【0032】
例えば、『レイアウト』タブTB1とそのタブTB1が付された表示画面全体(背景)は青色、『加工中』タブTB2とそのタブTB2が付された表示画面全体(背景)は緑色、『加工済』タブTB3とそのタブTB3が付された表示画面全体(背景)は赤色、『メニュー』タブTB4とそのタブTB4が付された表示画面全体(背景)は黄色で表示されている。
【0033】
このように、作業毎に色分けした各タブTB1〜TB4と周囲の背景とが同一色で表示されるので、作業者は現在どの作業中であるのかを容易に認識又は確認することができる。
【0034】
ファンクション表示部H1〜H6は、必要に応じたものが適宜表示され、非表示状態の時にはファンクションキーF1〜F6の機能に対応したものとは異なった図柄や数値、或いは、状態等を表示することができる。また、ファンクションキーF1〜F6を操作している際、例えば、ファンクションキーF1を操作している際には、そのファンクションキーF1をクリックする毎にモード等の表示が切り替わっても良い。例えば、ファンクションキーF1に対応する各モードの一覧を表示して(ポップアップ表示)選択操作を向上させることも可能である。また、ポップアップ表示中の一覧は、文字、図形又はアイコン等で表わされる。
【0035】
『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3を選択した状態の時には、アイコン表示エリアE1、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4に区画した状態で表示される。また、『メニュー』タブTB4を選択した状態の時には、全体的に一つのメニュー表示エリアとして表示される。尚、『レイアウト』タブTB1を選択している状態の時には、『加工中』タブTB2と『加工済』タブTB3とを表示せず、レイアウト設定が終了した時点で表示しても良い。
【0036】
尚、上述したような液晶表示器8を用いてのレイアウト設定は、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0037】
<研削加工部10>
更に、装置本体3内には、図3および図4に示すように、上述した加工室4を有する研削加工部10が設けられている。この加工室4は、研削加工部10において固定された周壁11内に形成されている。
【0038】
この周壁11は、図3(a)、図4に示したように左右の側壁11a、11b、後壁11c、前壁11d及び底壁11eを有する。しかも、側壁11a、11bには円弧状のガイドスリット11a1、11b1が形成されている(図3(a)参照)。また、底壁11eは、図3(a)に示したように、後壁11cから手前側下方に円弧状に延びる円弧状底壁(傾斜底壁)11e1と、円弧状底壁11e1の前下端から前壁11dまで延びる下底壁(図示せず)を有する。この下底壁には、円弧状底壁11e1に近接させて下方の廃液タンク(図示せず)まで延びる排水管(図示せず)が設けられている。
【0039】
研削加工部10は、図4および図5に示すように装置本体3に固定されたトレイ12と、このトレイ12上に配置されたベース13を有する。また、研削加工部10は、トレイ12に固定されたベース駆動モータ14と、トレイ12から立ち上げられた支持部12aと、トレイ12に固定されたベース駆動モータ14と、このベース駆動モータ14の出力軸(図示せず)に連動し且つ先端部が支持部12aに回転自在に保持されたネジ軸(送りネジ)15とを備えている。このベース駆動モータ14にはパルスモータが用いられている。
【0040】
更に、研削加工部10は、眼鏡レンズMLの回転駆動系16と、眼鏡レンズMLの研削手段17と、眼鏡レンズMLのコバ厚測定系(コバ厚測定手段)18を備えている。
【0041】
(ベース13)
ベース13は、図5に示したように、トレイ12の後縁部に沿って左右に延びる後側支持部13aと、後側支持部13aの左端部から前側に延びる側方側支持部13bから略V字状に形成されている。この後側支持部13aの左右両端部上にはVブロック状の軸支持部13c,13dが固定され、側方側支持部13bの前端部上にはVブロック状の軸支持部13eが固定されている。
【0042】
また、装置本体3内には、左右に延び、且つ、前後に平行に並設された一対の平行ガイドバー19,20が配設されている。
【0043】
この平行ガイドバー19,20の左右両端部は装置本体3内の左右の部分に取り付けられている。しかも、この平行ガイドバー19,20には、ベース13の側方側支持部13bが軸線方向に沿って左右に進退動可能に軸支されている。
【0044】
更に、ベース13にはガイド部13fが一体に形成されていて、ガイド部13fにはネジ軸(送りネジ)15が螺着されている。そして、ベース駆動モータ14を作動させて、ベース駆動モータ14でネジ軸15を回転駆動することにより、ガイド部13fがネジ軸15の軸線方向に進退動され、ベース13がガイド部13fと一体に移動する様になっている。この際、ベース13が一対の平行ガイドバー19,20に案内されて軸線方向に沿って変位する。
(キャリッジ)
また、軸支持部13c,13d上のV溝部には左右に延びるキャリッジ旋回軸21の両端部が配設されている。22はキャリッジ旋回軸21に取り付けるキャリッジである。このキャリッジ22は、左右に間隔をおいて位置し且つ前後に延びる軸取付用のアーム部22a,22bと、左右に延び且つアーム部22a,22bの後端部間を連設している連設部22cと、連設部22cの左右中央部に後方に向けて突設した支持突部22dから二股形状に形成されている。尚、アーム部22a,22b及び連設部22cはコ字状になっている。このアーム部22a,22b間に加工室4を形成する周壁11が配置されている。
【0045】
そして、このキャリッジ旋回軸21は、支持突部22dを貫通し且つ支持突部22dに保持されていると共に、軸支持部13c,13dに対して回動自在になっている。これにより、キャリッジ22前端部側はキャリッジ旋回軸21を中心に上下回動できるようになっている。尚、キャリッジ旋回軸21は、軸支持部13c,13dに固定して、支持突部22dをキャリッジ旋回軸21に対して回動可能且つ軸線方向に移動不能に保持させても良い。
(レンズ回転軸23,24)
このキャリッジ22は、左右に延び且つ眼鏡レンズ(円形の未加工眼鏡レンズ、即ち円形の被加工レンズ素材)MLを同軸上で挟持する一対のレンズ回転軸(レンズ回転軸)23,24を備えている。
【0046】
レンズ回転軸23は、左右に向けてアーム部22aの先端部を貫通すると共に、アーム部22aの先端部に軸線回りに回転自在に且つ軸線方向に移動不能に保持されている。また、レンズ回転軸24は、左右に向けてアーム部22bの先端部に軸線回りに回転自在に且つ軸線方向に移動調整可能に保持されている。
【0047】
このレンズ回転軸24のレンズ回転軸23とは反対側の端部には、図12に示したように送りネジ24aの頭部24bがレンズ回転軸24に対して相対回転自在に且つ軸線方向に移動不能に保持されている。この頭部24bは、キー24b1とキー溝24b2によりレンズ回転軸24及び送りネジ24aの軸線の回りに回転するのが規制されている。また、この送りネジ24aは雌ネジ筒24cに螺着されている。この雌ネジ筒24cはパルスモータ(駆動モータ)24dの出力軸24d1に取り付けられている。このパルスモータ24dを正転させて雌ネジ筒24cを正転させると、送りネジ24aが図12中左方に変位させられ、パルスモータ24dを逆転させて雌ネジ筒24cを逆転させると、送りネジ24aが図12中右方に変位させられる様になっている。また、レンズ回転軸24にはスプライン部24eが形成されている。このパルスモータ24d及び送りネジ24a等は、キャリッジ22を覆うカバーCAに保持されている。
【0048】
(レンズ回転軸23,24の回転駆動系16)
レンズ回転軸23,24の回転駆動系16は、図5,図12に示したようにキャリッジ22に図示を省略した固定手段で固定されたレンズ回転軸駆動用モータ25と、キャリッジ22に回転自在に保持され且つレンズ回転軸駆動用モータ25の出力軸に連動する動力伝達軸(駆動軸)25aと、動力伝達軸25aの先端に設けられた駆動ギヤ26と、駆動ギヤ26に噛合し且つ一方のレンズ回転軸23に取り付けられた従動ギヤ26aを有する(図10参照)。この場合、駆動ギヤ26にウオームギヤを用い、従動ギヤ26aにウオームホイールを用いている。
【0049】
更に、回転駆動系16は、一方のレンズ回転軸23の外端部(レンズ回転軸24側とは反対側の端部)に固定されたプーリ27と、キャリッジ22に設けられた動力伝達機構28と、他方のレンズ回転軸24の外端部(レンズ回転軸23側とは反対側の端部)に回転自在に保持されたプーリ29とを備えている。
【0050】
このプーリ29は、図12に示したようにレンズ回転軸24のスプライン部24eにスプライン嵌合していると共に、図示を省略した移動規制手段でレンズ回転軸24の軸線が延びる方向に移動不能に設けられている。これによりプーリ29は、レンズ回転軸24に対して軸線方向に相対移動可能に設けられていると共に、レンズ回転軸24が軸線方向に移動調整されたときに、軸線方向の位置が変化しないようになっている。
【0051】
動力伝達機構28は、伝達プーリ28a,28bと、伝達プーリ28a,28bが両端部に固定された伝達軸(動力伝達軸)28cを有する。この伝達軸28cは、レンズ回転軸23,24と平行に配設されていると共に、図示しない軸受でキャリッジ22に回転自在に保持されている。また、動力伝達機構28は、プーリ27と伝達プーリ28aとの間に掛け渡された駆動側ベルト28dと、プーリ29と伝達プーリ28bとの間に掛け渡された従動側ベルト28eとを備えている。
【0052】
レンズ回転軸駆動用モータ25を作動させて動力伝達軸25aを回転させると、動力伝達軸25aの回転が駆動ギヤ26及び従動ギヤ26aを介してレンズ回転軸23に伝達されて、レンズ回転軸23及びプーリ27が一体に回転駆動される。一方、プーリ27の回転は、駆動側ベルト28d,伝達プーリ28a,伝達軸28c,伝達プーリ28b及び従動側ベルト28eを介してプーリ29に伝達され、プーリ29及びレンズ回転軸24が一体に回転駆動される。この際、レンズ回転軸24及びレンズ回転軸23は同期して一体的に回転する様になっている。
(レンズ吸着具300及びレンズ押さえ320)
また、レンズ回転軸23,24の対向端部には図13,図14に示したように取付穴23m,24mがそれぞれ形成され、取付穴23m,24mにはレンズ吸着具300及びレンズ押さえ320がそれぞれ取り付けられている。
・レンズ吸着具300
このレンズ吸着具(レンズ保持部)300は、図13(a),図14に示したように、自在継手(ユニバーサルジョイント)301とレンズ吸着盤302を有する。この自在継手(球関節すなわち球継手)301は、一端部がレンズ回転軸23の端部の取付穴23aに嵌着された取付軸部303と、取付軸部303の他端部に設けられた半球状穴303aに滑り回転可能に係合する第1の半球状部材304と、この第1の半球状部材304の半球状穴304aに滑り回転可能に係合する第2の半球状部材305を有する。
【0053】
そして、半球状穴303aには半径方向に延びるキー溝303bが形成され、半球状穴304aには半径方向に延び且つキー溝303bと直交するキー溝304bが形成されている。しかも、キー溝303bには半球状部材304の外面に突設されたキー304cが係合し、キー溝304bには半球状部材305の外面に突設されたキー305aが係合している。尚、半球状部材305は、半球状穴305b及び半球状穴305bに連設された穴部305cを有する。
【0054】
この様な構成により、第1の半球状部材304は、キー溝303bの延びる方向の回動が許容され、それ以外の方向への回動は規制される。同様に第2の半球状部材305は、キー溝304bの延びる方向の回動が許容され、それ以外の方向への回動は規制される。
【0055】
この第1,第2の半球状部材304,305の中央には貫通孔304d,305dがそれぞれ形成されている。また、取付軸部303内には、半球状穴303aの中央及び貫通孔304d,305dを貫通して半球状部材305の中央内に突出する取付ピン306が設けられている。306aは、取付ピン306の頭部である。この取付ピン306には、外面が半球状穴305bに滑り回転可能に係合する半球状の抜け規制部材307が図示しないビスで固定されている。これにより、半球状部材304,305は、頭部306a及び抜け規制部材307を介して、半球状穴303aと抜け規制部材307の半球状外面との間で遊びなく且つ任意の方向に回動可能に保持されて、取付軸部303から外れないようになっている。しかも、これにより半球状穴303aと半球状部材304及び半球状部材304,305同士はある程度の摩擦をもって互いに係合させられていて、半球状部材304,305は所定以上の力が作用したときに上述したキー溝303b,304bの延びる方向に回動するようになっている。
【0056】
尚、取付軸部303の端面には図13(a),(b)に示したように、溝303eが形成され、レンズ回転軸23内の取付穴23a内には溝303eに係合する凸部23bが形成されている。この溝303e及び凸部23bは、取付軸部303とレンズ回転軸23との周方向への位置決をしている。
【0057】
更に、レンズ吸着盤302は、半球状部材305の穴部305cに嵌合された金属製の軸部302aと、軸部302aに固着されたゴム製の吸着カップ302bを有する。この軸部302aの周面には回動規制ピン302cが突設され、穴部305cには回動規制溝305dが形成されている。そして、この回動規制溝305dには回動規制ピン302cが係合して、軸部302aと半球状部材305の相対回転を規制している。尚、この回動規制溝305dは一端が半球状部材305の端面に開口している。
・レンズ押さえ320
このレンズ押さえ(レンズ保持部)320は、図13(a),図14に示したように、自在継手(ユニバーサルジョイント)321とレンズ押さえ部材322を有する。この自在継手(球関節すなわち球継手)321は、一端部がレンズ回転軸24の端部の取付穴24aに嵌着された取付軸部323と、取付軸部323の他端部に設けられた半球状穴323aに滑り回転可能に係合する半球状部材324を有する。この半球状部材324の中央には貫通孔324aが形成されている。また、レンズ回転軸24内には、半球状穴323aの中央を貫通して半球状部材324の中央内に突出する取付ピン325が設けられている。325aは取付ピン325の頭部である。
【0058】
この取付ピン325には、外面が半球状穴324aに滑り回転可能に係合する半球状の抜け規制部材326が図示しないビスで固定されている。これにより、半球状部材324は、頭部325a及び抜け規制部材307を介して、半球状穴323aと抜け規制部材307の半球状外面との間で遊びなく且つ任意の方向に回動可能に保持されて、取付軸部323から外れないようになっている。
【0059】
これにより半球状穴323aと半球状部材324はある程度の摩擦をもって互いに係合させられていて、半球状部材324は所定以上の力が作用したときに回動できるようになっている。尚、半球状部材304と半球状部材324は、図24〜図26に示したように同一の球状部材の一部分であることが望ましい。また、半球状部材305は、上述したようにして半球状部材304から突出しているが、半球状部材304から突出しないように半球状部材304内に配置することもできる。図24〜図26は、半球状部材305の図示は省略したが、半球状部材305を半球状部材304から突出しないように半球状部材304内に配置した例を示したものである
(レンズ回転軸23,24の加工室4への配設構造)
上述した周壁11のガイドスリット11a1,11b1は、キャリッジ旋回軸21を中心に円弧状に形成されている。そして、ガイドスリット11a1、11b1には、キャリッジ22に保持させたレンズ回転軸23,24の互いに対向する端部が挿通されている。これによりレンズ回転軸23,24の対向端部は周壁11で囲まれた加工室4内に突出している。
【0060】
また、側壁部11aの内壁面には図3(a)に示したように円弧状で断面ハット状のガイド板P1が取り付けられ、側壁部11bの内壁面には図4に示したように円弧状で断面ハット状のガイド板P2が取り付けられている(図3(b)参照)。このガイド板P1,P2にはガイドスリット11a1,11b1に対応して円弧状に延びるガイドスリット11a2′,11b2′が形成されている。
【0061】
そして、側壁部11aとガイド板P1との間にはガイドスリット11a1,11a2′を閉成するカバー板11a2が前後及び上下に移動可能に配設され、側壁部11bとガイド板P2との間にはガイドスリット11b1,11b2′を閉成するカバー板11b2が前後及び上下に移動可能に配設されている。また、レンズ回転軸23,24はカバー板11a2,11b2をそれぞれ摺動自在に貫通している。これによりカバー板11a2,11b2はレンズ回転軸23,24にそれぞれ軸線方向に相対移動可能に取り付けられている。
【0062】
しかも、ガイド板P1にはガイドスリット11a1,11a2′の上下に位置してガイドスリット11a1,11a2′の上下縁に沿う円弧状のガイドレールGa,Gbが設けられ、ガイド板P2にはガイドスリット11b1,11b2′の上下に位置してガイドスリット11b1,11b2′の上下縁に沿う円弧状のガイドレールGc,Gdが設けられ、
そして、カバー板11a2はガイドレールGa,Gbに上下を案内されて円弧状に上下移動できる様になっており、カバー板11b2はガイドレールGc,Gdに上下を案内されて円弧状に上下移動できる様になっている。
【0063】
そして、キャリッジ22のレンズ回転軸23が円弧状のカバー板11a2を摺動自在に貫通して、レンズ回転軸23、側壁部11a1,ガイド板P1及びカバー板11a2の組み付け性を良くし、キャリッジ22のレンズ回転軸24が円弧状のカバー板11b2を摺動自在に貫通して、レンズ回転軸24、側壁部11b1,ガイド板P2及びカバー板11b2の組み付け性を良くしている。
【0064】
また、カバー板11a2とレンズ回転軸23との間はシール部材Saを介してシールされていると共に、カバー板11a2はレンズ回転軸23にシール部材Sa,Saを介して保持されている。更に、カバー板11b2とレンズ回転軸24との間はシール部材Sbを介してシールされていると共に、カバー板11b2はレンズ回転軸24にシール部材Sb,Sbを介して軸線方向に相対移動可能に保持されている。これにより、レンズ回転軸23及び24がガイドスリット11a1,11a2′及び11b1,11b2′に沿って上下に円弧状に回動すると、カバー板11a2,11b2もレンズ回転軸23,24と一体に上下に移動できる。尚、シール部材Saは、カバー板11a2に保持させるか、周縁部をカバー板11a2と側壁部11aとの間及びカバー板11a2とガイド板P1との間に配設するかして、レンズ回転軸23が軸線方向に移動したとき、レンズ回転軸23の軸線方向に移動しないようにしても良い。また、同様にシール部材Sbは、カバー板11b2に保持させるか、周縁部をカバー板11b2と側壁部11bとの間及びカバー板11b2とガイド板P2との間に配設するかして、レンズ回転軸24が軸線方向に移動したとき、レンズ回転軸24の軸線方向に移動しないようにしても良い。
【0065】
なお、側壁部11a1とガイド板P1は円弧状のカバー板11a2と密着するように接近しており、側壁部11b1とガイド板P2は円弧状のカバー板11b2は密着するように接近している。
【0066】
さらに、加工室4内のガイド板P1,P2は、後側壁11c及び下底壁(図示せず)の近傍まで延設して、上下端が測定子41の側方及び研削砥石35の上近傍あたりで切れるようにすることにより、ガイド板P1,P2の上下端を加工室4内に開放して、研削液が側壁部11a1,11b1の内面に沿って流れるようにすることにより、側壁部11a1とガイド板P1との間及び側壁部11b1とガイド板P2との間に研削液が溜まることがないようになっている。
【0067】
そして、キャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心に上下回動して、レンズ回転軸23,24がガイドスリット11a1,11b1に沿って上下動したとき、カバー板11a2,11b2もレンズ回転軸23,24と一体に上下動して、ガイドスリット11a1,11b1がカバー板11a2,11b2で常時閉成された状態となっていて、周壁11内の研削液等が周壁11の外側に漏れないようになっている。尚、このレンズ回転軸23,24の上下動に伴い、眼鏡レンズMLが研削砥石35に対して接近・離反する。
【0068】
尚、眼鏡レンズMLの生地レンズ等のレンズ回転軸23,24への装着時並びに研削加工終了後の離脱時には、レンズ回転軸23,24がガイド溝11aの中間位置に位置するように、キャリッジ22が上下方向の回動中心に位置させられるようになっている。また、キャリッジ22は、コバ厚測定時及び研削加工時に眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて上下回動制御されて傾斜させられる。
(研削手段17)
この研削手段17は、メインのレンズ周縁研削手段と、補助のレンズ周縁加工手段を有する。
・メインのレンズ周縁研削手段
このメインのレンズ周縁研削手段は、図4に示したようにトレイ12に固定された砥石駆動モータ30と、砥石駆動モータ30の駆動がベルト31を介して伝達される伝達軸32と、伝達軸32の回転が伝達される砥石軸部33と、砥石軸部33に固定された研削砥石35を有する。尚、この研削砥石35は、符号を省略した粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石等を有する。この粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石は、軸線方向に並設されている。
・補助のレンズ周縁加工手段は
また、補助のレンズ周縁加工手段は、図3,図4に示したように穴開け加工装置200及び補助加工装置201を有する。この穴開け加工装置(穴開け手段)200及び補助加工装置201は、図7に示したように、共通の加工具支持機構202及び一部共通の加工具駆動手段203を有する。
<加工具支持機構202>
この加工具支持機構202は、図7に示したように側壁11aに揺動回転可能に取り付けられた回動アーム204と(図3,図4参照)、回動アーム204を揺動(上下回動)させる揺動駆動手段(回動駆動手段)205を有している。
(回動アーム204)
この回動アーム204は、レンズ加工装置の加工室4の一側部内に配置されている。しかも、この回動アーム204は、図7および図11に示すように、アーム本体206を有する。このアーム本体206は一面に開口する空間206aを有する。また、回動アーム204の一端部(自由端部である上端部)すなわちアーム本体206の一端部(自由端部)には側壁206bの外面から突出する中空のドリル取付用のアーム部207が設けられ、アーム部207内には空間206aと同方向に開口する空間207aが形成されている。この空間206a及び207aは連通路208を介して互いに連通させられている。
【0069】
また、回動アーム204は、アーム本体206の開口に着脱可能に取り付けられて空間206aを閉成している蓋体209と、アーム部208の開口に着脱可能に取り付けられて空間207aを閉成している蓋体210を有する。しかも、この蓋体209及び210の一端部には軸受筒部211,212が一体に設けられている。
【0070】
このアーム本体206の基部(他端部である下端部)には、回転支持筒(筒体)213の一端が固定されている。この回転支持筒(筒体)213は軸受け214,215を介して側壁11aおよび装置本体3内の支持壁216にそれぞれ回転自在に支持されている。215aは、側壁11aに固定されていて、軸受215を側壁11aに回転自在に支持している軸受支持筒体である。
(揺動駆動手段205)
この揺動駆動手段205は、支持壁216に固定されたパルスモータ等の駆動モータ217と、駆動モータ217の出力軸217aに取り付けられたギヤ(ピニオン)218と、ギヤ218に噛合し且つ回転支持筒213に固定されたギヤ219を有する。これにより、駆動モータ217の回転が出力軸217a,ギヤ218,219を介して回転支持筒213に伝達され、回転支持筒213及び回動アーム204が一体に回動させられる。しかも、駆動モータ217を正転させることにより、回動アーム204の一端部が上方に回動させられ、駆動モータ217を逆転させることにより、回動アーム204の一端部が下方に回動させられる。
<穴開け加工装置200及び補助加工装置201の加工具>
(穴開け加工装置200の加工具)
この穴開け加工装置200は、一端部がアーム部208にスラストベアリング220aを介して回転自在に保持され且つ中間部が軸受筒部212に回転自在に保持されたスピンドル220と、このスピンドル220に着脱可能に取り付けられた穴開け工具(加工具)としてドリル221を有する。このドリル221のスピンドル220への取付は、テーパ嵌合でも良いし、チャック等を用いても良い。また、このドリル221には、異なる径のドリル部221a,221bを有する特殊ドリルが用いられている。尚、形状が円形でない穴開けを行う場合には、ドリル221に代えてエンドミルやリーマ等の穴開け工具(加工具)がスピンドル220に取り付けられる。
(補助加工装置201の加工具)
この補助加工装置201は、軸受筒部211にベアリング222を介して回転自在に保持された回転軸(工具取付軸)223と、回転軸223に取り付けられた加工具としての面取砥石(研削加工手段)224,225と、回転軸223に取り付けられた加工具としての溝掘カッター226を有する。尚、227は基端部が軸受筒部211の外周面に着脱可能に取り付けられた樋状の加工具のカバーである。
<加工具駆動手段203>
この加工具駆動手段203は、支持壁216に固定されたパルスモータ等の駆動モータ228を有する。この駆動モータ228の出力軸(回転軸)229は、回転支持筒213内にベアリング230を介して回転自在に保持されていると共に、先端部が回動アーム204の空間206a内に配設されている。
【0071】
また、加工具駆動手段203は、出力軸209の先端部に取り付けられたプーリ231と、回転軸223に設けられたプーリ232と、プーリ231,232間に掛け渡されたベルト233を有する。この駆動モータ228からベルト233,プーリ232までの動力伝達機構は、穴開け加工装置200及び補助加工装置201の加工具、即ちドリル221,面取砥石224,225及び溝掘カッター226の共通の加工具駆動手段BD1を構成している。
【0072】
この構成により、駆動モータ228の回転は、出力軸229,プーリ231,ベルト233,プーリ232を介して回転軸223に伝達される。これにより、回転軸223が回転駆動されて、回転軸223に取り付けられた面取砥石224,225及び溝掘カッター226が回転駆動される様になっている。
【0073】
また、加工具駆動手段203は、回転軸223に設けられたプーリ234と、スピンドル220の一端部に設けられたプーリ235と、プーリ234,235に掛け渡されたベルト236を有する。この構成により、回転軸223まで伝達された回転は、プーリ234,ベルト236及びプーリ235を介してスピンドル220に伝達される。これによりスピンドル220が回転駆動されて、スピンドル220に取り付けられたドリル221が回転駆動されるようになっている。<軸間距離調整手段43>
ところで、図6に示すように、レンズ回転軸23,24と砥石軸部33との間は軸間距離調整手段(軸間距離調整機構)43によって調整されるようになっている。
【0074】
軸間距離調整手段43は、図6に示したように軸線が砥石軸部33の同一軸線上に位置する回転軸34を有する。この回転軸34は図5の支持突部13eのV溝上に回転自在に支持される。
【0075】
また、軸間距離調整手段43は、回転軸34に保持させたベース盤56と、ベース盤56に取り付けられ且つ上面から斜め上方に延びる一対の平行なガイドレール57,57と、ガイドレール57と平行且つ回動可能にベース盤56に設けられたスクリュー軸(送りネジ)58と、ベース盤56の下面に設けられてスクリュー軸58を回転させるパルスモータ59と、スクリュー軸58が螺着され且つガイドレール57,57に上下動自在に保持された受台60を有する。
【0076】
更に、軸間距離調整手段43は、受台60の上方に配設され且つガイドレール57,57に上下動自在に保持されたレンズ回転軸ホルダー61と、ガイドレール57,57の上端を保持し且つスクリュー軸58の上端部を回転自在に保持する補強部材62を備えている。このレンズ回転軸ホルダー61は、キャリッジ22の自重と図示しない圧力調整機構により、常時下方に回動付勢されて受台60に押し付けられるようになっている。また、この受台60にはレンズ回転軸ホルダー61が当接したのを検出するセンサSが取り付けられている。
【0077】
そして、パルスモータ59を正転又は逆転させてスクリュー軸58を正転又は逆転させることにより、受台60がスクリュー軸58によりガイドレール57,57に沿って上昇又は降下させられると、レンズ回転軸ホルダー61は受台60と一体に上昇又は降下させられる。これによりキャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心にして回動する。
<コバ厚測定系18>
レンズ形状測定装置としてのコバ厚測定系(レンズコバ厚測定装置)18は、図3(a),図4 に示したように、加工室4の後縁上部に配設された測定子41と、レンズ回転軸23,24と平行に設けられ且つ一端が測定子41と一体に設けられた測定軸42aと、側壁11bの後縁側上部に近接させて加工室4の外側に配設された測定部(測定子移動量検出部)42を有する。この測定軸42aは側壁11bを貫通して加工室4の内外に突出している。
(測定子41)
測定子41は、図3(a),図49に示したように、フィーラー保持部材100を有すると共に、一対のフィーラー101,102を有する。フィーラー保持部材100は、左右に延びる連設部100aと、連設部100aの左右両端部に同方向に向けて突設した平行な対向片100b,100cを有する。また、フィーラー101,102は、円柱状に形成されていると共に、対向片100b,100cの先端部に対向して取り付けられている。
【0078】
また、フィーラ保持部材100は、図4に示したように側壁11bを貫通して左右に延びる測定軸42aに取り付けられている。この測定軸42aは、側壁11bの外側に配設された測定部42に左右に移動可能に保持されている。この測定子41と測定部42は図16に示したようにコバ厚形状測定手段Bを構成している。
(測定部42)
この測定部42は、図16に示したように、複数の符号240で示したフレームを有する。図では、説明の便宜上、フレームを複数の符号で示したが、実際には複数の部材からなる一つのフレームである。
【0079】
また、測定部42は、測定軸42aに回転自在に保持され且つ測定軸42aの軸線方向に相対移動不能に保持された支持筒241と、支持筒241をフレーム240に対して軸線方向に進退移動可能に所定位置に保持するスプリング242,243を有する。
【0080】
更に、測定部42は、軸線方向への移動をマグネスケール244と、測定子41を使用位置と不使用位置との間で回動させる測定子回動手段245と、測定子41を測定軸42aの軸線方向に強制的に駆動する測定軸進退駆動手段246を有する。
【0081】
マグネスケール244は、フレーム240に保持された磁気スケール244aと、支持筒241と一体に設けられて磁気スケール244aの磁界分布を読み取る読取ヘッド244bを有する。これにより、測定軸42aの軸線方向への測定子41の移動量が読み取られるようになっている。
【0082】
測定子回動手段245は、フレーム240に保持された駆動モータ247と、駆動モータ247の出力軸247aに取り付けられたアーム248と、測定軸42aの端部に取り付けられたアーム249と、測定軸42aと平行にアーム249に一体に保持され且つアーム248を摺動自在に貫通する連結軸250を有する。これにより、駆動モータ247の回転がアーム248,249及び連結軸250を介して測定軸42aに伝達されて、この測定軸42aが軸線回りに回動させられる様になっている。この際、駆動モータ247による測定軸42aの回動範囲は、測定子41を起立状態の収納位置と水平に倒した使用位置とに位置との範囲で行うようにさせる。
【0083】
測定軸進退駆動手段246は、測定軸42aに設けられたラック251と、フレーム240に回転自在に保持され且つラック251に噛合するギヤ(ピニオン)252と、フレーム240に保持されたパルスモータ等の駆動モータ253と、駆動モータ253に連動する歯車回転機構254と、歯車回転機構254とギヤ252との接続の断続を行わせる電磁クラッチ255を有する。この構成では、電磁クラッチ255がONしているときに駆動モータ253の正転又は逆転させると、駆動モータ253の正回転又は逆回転が歯車伝達機構254,電磁クラッチ255,ギヤ252及びラック251を介して測定軸42aに伝達されて、測定軸42aが軸線方向に進退駆動されるようになっている。尚、ラック251の各歯は測定軸42aの周方向に環状に延びている。これにより、測定軸42aが回転しても軸線方向におけるラック251とギヤ252との噛合位置が変化しない。
【0084】
(制御回路)
上述の操作パネル6,7(即ち、操作パネル6,7の各スイッチ)は、図17に示したように、CPUを有する演算制御回路(演算制御手段)80に接続されている。また、この演算制御回路80には、記憶手段としてのROM81、記憶手段としてのデータメモリ82、RAM83が接続されていると共に、補正値メモリ84が接続されている。
【0085】
更に、演算制御回路80には、表示用ドライバ85を介して液晶表示器8が接続されていると共に、パルスモータドライバ(パルスモータ駆動回路)86が接続されている。このパルスモータドライバ86は、演算制御回路80により作動制御されて、研削加工部10等における各種駆動モータ、即ち、ベース駆動モータ14,レンズ回転軸駆動用モータ25,パルスモータ24d,59,駆動モータ217,駆動モータ228,駆動モータ253等を作動制御する様になっている。
【0086】
更に、演算制御回路80には、モータドライバ(モータ駆動回路)86aを介して砥石駆動モータ30が接続されていると共に、電磁クラッチ255が接続されている。
【0087】
更に、演算制御回路80には、通信ポート88を介して図6のフレーム形状測定装置1が接続され、フレーム形状測定装置(玉型形状測定装置)1からのフレーム形状データ,レンズ形状データ、ポイントフレーム取付用穴位置データ等の玉型形状データが入力されるようになっている。
【0088】
しかも、演算制御回路80には、マグネスケール244からの測定信号(測定子移動量検出信号)が入力される様になっている。
【0089】
この演算制御回路80は、ベース駆動モータ14の駆動パルスやフレーム形状測定装置1からの玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて作動制御されるレンズ回転軸駆動用モータ25,パルスモータ59等の駆動パルスと、測定部42からの移動量検出信号等から、玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面(図9中、眼鏡レンズの左側の面)の座標位置と後側屈折面(図9中、眼鏡レンズの右側の面)の座標位置をそれぞれ求めて、この求めた玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置と後側屈折面の座標位置からコバ厚Wiを演算により求めるようになっている。
【0090】
そして、演算制御回路80は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ82の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う様になっている。
【0091】
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTnとすると、期間T1,T3…Tnの間で囲う制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4…Tn−1の間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データ及びポイントフレーム取付用穴位置データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができるようになっている。
【0092】
また、上述のROM81にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラムが記憶され、データメモリ82には複数のデータ記憶領域が設けられている。また、RAM83には、現在加工中の加工データを記憶する加工データ記憶領域83a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域83b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域83cが設けられている。
【0093】
尚、データメモリ82には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEPROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
更に、この演算制御回路80は、データメモリ82に記憶されたポイントフレーム取付用穴位置データに基づいて上述の穴径可変手段および穴形状可変手段の制御を行う。即ち、穴開け工具のリムレスレンズに対する位置決め、穴開け工具の回転速度、穴開け工具とリムレスレンズとの間の相対移動およびその移動速度並びにその移動の態様を自動的に制御する。
【0094】
尚、穴径可変手段によりリムレスレンズに穴を開ける場合、穴開け工具、即ち特殊ドリルは所定の回転速度で回転されるが、穴形状可変手段によりリムレスレンズに穴を開ける場合には、穴開け工具、即ち、リーマ或いはエンドミルは回転せず、穴開け工具とリムレスレンズとを相対移動、例えば、リムレスレンズを二次元或いは三次元的に移動するように制御する。このようにしてリムレスレンズに異なる穴径の穴或いは形状の異なる穴を自動的に形成することができる。
【0095】
この穴径可変手段および穴形状可変手段の操作は上述の操作パネル6、7に設けられた操作ボタン(図示せず)によって行われる。
[作用]
次に、この様な構成の演算制御回路80を有するレンズ研削加工装置および上述の穴径或いは穴形状可変手段の作用を説明する。
(1)眼鏡レンズMLのレンズ回転軸23,24間への保持
この様な構成においては、自在継手301及びレンズ押さえ320はレンズ回転軸23,24の対向端部に予め取り付けられている。そして、自在継手301とレンズ押さえ320との間に眼鏡レンズMLを保持させる場合には、操作パネル6,7の操作により、演算制御回路80によりパルスモータ24dを作動制御させて、レンズ回転軸24をレンズ回転軸23から離反させる方向に駆動させ、自在継手301とレンズ押さえ320との間隔を図24に示したように広げておく。
【0096】
一方、円形で未加工の眼鏡レンズMLを吸着カップ302に吸着させたレンズ吸着盤302を用意しておく。そして、このレンズ吸着盤302の軸部302aを自在継手301の半球状部材305に設けた穴部305cに嵌合させる。この際、軸部302の回動規制ピン302cを半球状部材305の回動規制溝305dに係合させて、軸部302aと半球状部材305の相対回転を規制させる。
【0097】
尚、図24に示したように軸部302aの端面に回動規制溝(位置決溝)302dを設けた従来のレンズ吸着盤302を用いる構成をとることもできる。この場合には、穴部305cに回動規制溝302dに係合する回動規制凸部を設けることで、軸部302aと半球状部材305との軸線回りの相対回転を規制できる。図24は、この様にして自在継手(球継手、球関節)301にレンズ吸着盤(レンズ取付盤)を取り付けた概略説明図である。
【0098】
また、レンズ吸着盤302は、ゴム等の吸着カップ302を用いることなく、接着又は粘着剤を用いて眼鏡レンズを保持するタイプでも良い。しかも、レンズ吸着盤302は、図25に示したように半球状部材304,324の端面の径と略同じにすることもできる。
【0099】
この後、操作パネル6,7の操作により、演算制御回路80によりパルスモータ24dを作動制御させて、レンズ回転軸24をレンズ回転軸23側に接近させる方向に駆動させる。この際、自在継手301とレンズ押さえ320との間隔を狭めさせ、自在継手301のレンズ吸着盤302に保持させた眼鏡レンズMLの後側屈折面にレンズ押さえ320を所定の圧力で当接させることにより、眼鏡レンズMLを自在継手301とレンズ押さえ320との間で図25の如く締付挟持させる。この際の締付力はパルスモータ24dの駆動電流等を検出することで検知できる。また、この締付力は圧力センサ等で検出しても良い。この締付力は、例えば本締めとして略60kg程度とする。
【0100】
この様にして締め付けることで、半球状穴303aと半球状部材304及び半球状部材304,305同士はある程度以上の摩擦をもって互いに係合させられていて、半球状部材304,305は所定以上の力(研削加工時の回転方向への力や面取砥石による研削加工時の研削力)が作用してもキー溝303b,304bの延びる方向に回動するのが防止される。同様に、締付力により半球状穴323aと半球状部材324はある程度以上の摩擦をもって互いに係合させられて、半球状部材324は所定以上の力が作用しても回動するのが防止される。
【0101】
この様な状態で眼鏡レンズMLはレンズ回転軸23,24間に保持される。
(2)レンズ形状データの読み込み
演算制御回路80は、測定子41を使用しない状態では駆動モータ247を作動制御して、測定子41を起立状態の収納位置位置させている。
【0102】
そして、スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路80はフレーム形状測定装置1からデータ読み込みがあるか否かを判断する。
【0103】
即ち、演算制御回路80は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1からレンズ形状情報(θi,ρi)及びポイントフレーム取付用穴位置データのデータをRAM83のデータ読み込み領域83bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されると共に、レイアウト画面が液晶表示器8に表示される。
(3)加工データの算出
次に、演算制御回路80は、測定前に電磁クラッチ255をOFFさせて測定軸42aが軸線方向に自由に移動できる状態にする。また、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動制御してキャリッジ22をネジ軸15によりその軸線方向に進退駆動制御させ、眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23,24と一体にその軸線方向に移動させ、眼鏡レンズMLを測定子41のフィーラー101,102の中央に対応させる。
【0104】
この後、演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御することにより、キャリッジ22の前端部を上昇させて、キャリッジ22のレンズ回転軸23,24をガイドスリット11a1,11b2に沿って上方に回動させ、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLを上方に円弧状に回動させる。次に、演算制御回路80は、駆動モータ247を作動制御して測定軸42aを回動させ、測定子41を起立状態の収納位置から水平に倒した使用位置に回動させ、眼鏡レンズMLの両側に測定子41にフィーラー101,102を臨ませる。
【0105】
この状態で、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動制御してキャリッジ22をネジ軸15によりその軸線方向に駆動制御させ、眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23,24と一体にその軸線方向で且つ眼鏡レンズMLを測定子41のフィーラー101側に移動させて、眼鏡レンズMLの前側屈折面をフィーラー101に接触させると共に、接触位置よりも更に移動させて停止させる。
【0106】
そして、演算制御回路80は、この様にしてフィーラー101を図26に示したように眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLの前側屈折面に当接(接触)させた後、玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいてレンズ回転軸駆動用モータ25及びパルスモータ59を作動制御することにより、フィーラー101と眼鏡レンズMLの前側屈折面とを玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて相対的に接触移動させる。
【0107】
この際、フィーラー101は前側屈折面の湾曲に従って左右に移動させられ、この左右への移動量が測定軸42aを介して測定部42により測定される。即ち、フィーラー101の左右への移動量が測定部42のマグネスケール244により測定される。
【0108】
この測定部42のマグネスケール244からの測定信号は演算制御回路80に入力され、演算制御回路80はマグネスケール244からの測定信号に基づいて玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置を求める。
【0109】
同様に演算制御回路80は、測定部42を作動制御して、フィーラー102を眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLの前側屈折面に図27の如く当接(接触)させると共に、玉型形状データ(θi,ρi)に基づいてレンズ回転軸駆動用モータ25及びパルスモータ59を作動制御することにより、フィーラー102と眼鏡レンズMLの後側屈折面とを玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて相対的に接触移動させる。この際、フィーラー101は後側屈折面の湾曲に従って左右に移動させられ、この左右への移動量が測定軸42aを介してマグネスケール244により測定される。このマグネスケール244からの測定信号は演算制御回路80に入力され、演算制御回路80はマグネスケール244からの測定信号に基づいて玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの後側屈折面の座標位置を求める。
【0110】
この様な前側屈折面の座標位置や後側屈折面の座標位置を求めるより具体的な方法は、特願2001−30279号に開示のものが採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0111】
そして、この求めた玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置と後側屈折面の座標位置からコバ厚Wiを演算により求める。
【0112】
この後、演算制御回路80は、眼鏡レンズの処方箋に基づく瞳孔間距離PDやフレーム幾何学中心間距離FPD等のデータ、上寄せ量等から、玉型形状データ(θi,ρi)に対応する眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)を求めて、加工データ記憶領域83aに記憶させる。この様な測定終了後は、演算制御回路80により駆動モータ247を作動制御して、測定子41は収納位置まで起立させる。
(4)研削加工
この後、演算制御回路80は、モータドライバ86aにより砥石駆動モータ30を作動制御して、研削砥石35を図6中、時計回り方向に回転駆動制御する。
この研削砥石35は、上述したように粗研削砥石(平砥石),ヤゲン砥石,仕上砥石等を有する。
【0113】
一方、演算制御回路80は、加工データ記憶領域83aに記憶させた加工データ(θi′,ρi′)に基づいて、パルスモータドライバ86を介してレンズ回転軸駆動モータ25を駆動制御し、レンズ回転軸23,24及び眼鏡レンズMLを図6中半時計回り方向に回転制御する。
【0114】
この際、演算制御回路80は、加工データ記憶領域83aに記憶させた加工データ(θi′,ρi′)に基づいて、まずi=0の位置でパルスモータドライバ86を作動制御することによりパルスモータ59を駆動制御して、スクリュー軸58を逆転させ、受台60を所定量ずつ降下させる。この受台60の降下に伴い、レンズ回転軸ホルダー61がキャリッジ22の自重の下に受台60と一体に降下する。
【0115】
この降下に伴って図18(a)に示したように未加工で円形の眼鏡レンズMLが研削砥石35の研削面35aに当接した後は、受台60のみが降下させられる。この降下により受台60がレンズ回転軸ホルダー61から下方に離反すると、この離反したことがセンサSにより検出され、このセンサSからの検出信号が演算制御回路80に入力される。この演算制御回路80は、センサSからの検出信号を受けた後、更にパルスモータ59を駆動制御して、受台60を所定量だけ微小に降下させる。
【0116】
これにより、加工データ(θi′,ρi′)のi=0において、研削砥石35が眼鏡レンズMLに図28に示したように接触して、眼鏡レンズMLが所定量研削される。この研削に伴いレンズ回転軸ホルダー61が降下して受台60に当接すると、センサSがこれを検出して検出信号を出力し、この検出信号が演算制御回路80に入力される。
【0117】
この演算制御回路80は、この検出信号を受けると、加工データ(θi′,ρi′)のi=1において、i=0の場合と同様に、眼鏡レンズMLを研削砥石35により研削加工させる。そして、演算制御回路80は、この様な制御をi=n(360°)行って、加工データ(θi′,ρi′)の角度θi′毎に動径ρi′となるように眼鏡レンズMLの周縁を研削砥石35の符号を省略した粗研削砥石により研削加工する。これにより、図18(b)に示したように、斜線cで示した部分が研削除去されて、図18(c)に示された様な玉型形状の眼鏡レンズMLが形成される。
【0118】
尚、玉型形状情報(θi,ρi)と、後述する穴開け加工位置Pa(θa,ρa)及びPb(θb,ρb)は、演算制御回路80により求めることができる。
従って、図18(a′)に示したようにポイントフレーム用レンズ(未加工で円形の眼鏡レンズML)に穴開け加工を最初に行って、取付穴400,401を形成した後、図18(b′)の如くポイントフレーム用レンズの周縁の斜線cで示した部分を研削加工して、図18(c′)の眼鏡レンズMLを得ることで、加工作業の工程を削減できる。
【0119】
この図18(c)の様に眼鏡レンズMLの周縁を加工した後において、穴開け装置により眼鏡レンズMLに図18(d)に示すような取付穴400,401を開ける場合、穴開け加工位置からレンズ周縁部までの距離が短いため、レンズの厚さが薄くなる程、眼鏡レンズの周縁に穴開け加工装置で取付穴400,401を開けると、眼鏡レンズMLの周縁部に割れや欠けが生じ易くなる。
【0120】
しかしながら、未加工の円形の眼鏡レンズMLを研削加工する前に、図18(a′)の様に、未加工の円形の眼鏡レンズMLに穴開け加工装置で取付穴400,401を開ける場合、穴開け加工位置からレンズ周縁部までの距離が長くなるため、割れや欠けが生じにくくなり、高精度な穴開け加工を実現し、加工作業の信頼性を高めることができる。
(面取加工)
この玉型形状の眼鏡レンズMLが形成された後は、この眼鏡レンズMLの周縁のコバ端が面取砥石244,245で面取加工される。この面取加工は次の様にして行われる。
【0121】
演算制御回路80は、駆動モータ217を正転させることにより、回動アーム204の一端部を上方に回動させ、回動アーム204の先端を所定量上昇させて、回転軸223に取り付けられた面取砥石224,225を所定位置まで上昇させる。
【0122】
一方、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を駆動制御して、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズMLのコバ端を面取砥石224の周面に対応させる。また、演算制御回路80は、レンズ回転軸駆動用モータ25を駆動制御してレンズ回転軸23,24を同期回転させることにより、眼鏡レンズMLを加工データ(θi′,ρi′)に基づいて角度θ0の部分で面取砥石224に対応させる。
【0123】
この状態で演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御して、レンズ回転軸23,24及び眼鏡レンズMLを降下させる。この降下により眼鏡レンズMLの角度θ0の部分が面取砥石224の周面に当接すると、センサSがこれを検出して、この検出信号が演算制御回路80に入力される。そして、演算制御回路80は、この検出信号を受けるとパルスモータ59の駆動を停止させる。この位置が眼鏡レンズMLの面取加工の為の基準位置となる。
【0124】
そして、演算制御回路80は、パルスモータ59を駆動制御してレンズ回転軸23,24及び眼鏡レンズMLを所定量上昇させることにより、面取砥石224から眼鏡レンズMLを離反させた後、駆動モータ228を駆動制御して、この駆動モータ228を回転駆動させる。この駆動モータ228の回転は、出力軸229,プーリ231,ベルト233,プーリ232を介して回転軸223に伝達される。これにより、回転軸223が回転駆動されて、回転軸223に取り付けられた面取砥石224,225及び溝掘カッター226が回転駆動される。
【0125】
この状態で、基準位置と加工データ(θi′,ρi′)に基づいて、ベース駆動モータ14,レンズ回転軸駆動用モータ25,パルスモータ59を駆動制御することにより、面取砥石224を眼鏡レンズMLのコバ端に当接させて、眼鏡レンズMLのコバ端の面取加工(粗)面取研削を行う。
【0126】
この後、同様にして仕上用の面取砥石225で眼鏡レンズMLの面取を行わせる。
(5)穴開け加工
また、上述のように玉型形状に研削され且つ面取りされた眼鏡レンズMLがポイントフレーム用である場合、図18(d)に示したように眼鏡レンズMLの鼻当側にブリッジ取付用の取付穴(ポイントフレーム取付用穴)400を開ける必要があると共に、テンプル側にテンプル取り付け用の取付金具を取り付けるための取付穴(ポイントフレーム取付用穴)401を開ける必要がある。尚、ブリッジには鼻当が取り付けられている。
【0127】
従って、加工前にポイントフレーム用の眼鏡レンズの加工であることを操作パネル6,7により演算制御回路80に入力しておく。これにより、演算制御回路80は、眼鏡レンズMLの周縁を加工データ(θi′,ρi′)に基づいて玉型形状に研削加工し終わると、穴開け加工の準備動作に入る。以下、この穴開け加工の準備動作を図22を用いて説明する。
(穴開け加工位置の算出)
即ち、演算制御回路80は、眼鏡レンズMLの周縁の研削加工が終了すると、測定により求めた玉型形状データ(θi,ρi)におけるコバ厚Wiの変化から眼鏡レンズMLの前側屈折面の曲率変化φiを求める。
【0128】
一方、演算制御回路80は、取付穴400及び401を開ける穴開け加工位置Pa(θa,ρa)及びPb(θa,ρb)を玉型形状データ(θi,ρi)及び眼鏡レンズMLの前側屈折面の曲率変化φiから求める。ここで、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)及びPb(θa,ρb)の算出方法は同じであるので、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)の算出方法について説明し、穴開け加工位置及びPb(θa,ρb)の求め方については説明を省略する。
【0129】
この取付穴400の加工位置が図21では穴開け加工位置Pa(θa,ρa)に対応する場合について説明する。この穴開け加工位置Pa(θa,ρa)に対応するコバ端の位置がPj(θj,ρj)であるとして玉型形状データ(θi,ρi)から求められた場合、このコバ端Pj(θj,ρj)の動径ρjからΔxだけ眼鏡レンズMLの加工中心O方向への点Paが図22の穴開け加工位置Pa(θa=θj,ρa)となる。
【0130】
尚、曲率変化φiは、穴開け加工位置Pa(θa=θj,ρa)の前後を測定子41で予め測定しておくこともできる。実際には、玉型形状データ(θi,ρi)を求めた後、この玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて穴開け加工位置Pa(θa=θj,ρa)を求めて、この穴開け加工位置Pa(θa=θj,ρa)を中心に測定子41を眼鏡レンズMLに対して動径方向に相対移動させて、曲率変化φiを求める。この移動は、キャリッジ22の先端部をパルスモータ59により昇降させることで実行できる。従って、曲率変化φiは、測定子41を穴開け加工位置Pa(θa=θj,ρa)を通って動径方向に移動させたときの、測定子41のレンズ回転軸23,24の軸線Z方向への移動位置ΔZiをメモリに記憶させておき、この移動位置ΔZiから求める。
【0131】
そして、ドリル221により眼鏡レンズMLに取付穴400を開ける際、ドリル221の軸線が眼鏡レンズMLの穴開け加工位置Pa(θa,ρa)位置における接線と直交するように、眼鏡レンズMLを測定子41を用いて傾斜させるための傾斜角度βを穴開け加工位置Pa(θa,ρa)と前側屈折面の曲率から求める。ここで、レンズ回転軸23,24の軸線をZとし、この軸線Zと直交する方向をY軸とすると、βはY軸に対する傾斜角度である。
【0132】
この際、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)において眼鏡レンズMLをどのくらいどの方向に移動させれば、ドリル221の軸線が眼鏡レンズMLの穴開け加工位置Pa(θa,ρa)位置における接線と直交するかの移動データを求める。尚、ドリル221の軸線はレンズ回転軸23,24の軸線Zと平行に配置されるとして考える。
【0133】
この状態で、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)における前側屈折面の接線をQ1、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)における前側屈折面の法線をQ2、法線Q2と軸線Zの為す角度をγとすると、法線Q2が軸線Zと平行となる状態が、眼鏡レンズMLをY軸に対して角度β(=γ−α)だけ傾斜させたとき、穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)となる。この穴開け加工位置Pa(θa,ρa)における法線Q2と軸線Zとの為す角度は玉型形状データ(θi,ρi)及び眼鏡レンズMLの前側屈折面の曲率変化φiから求めることができる。
【0134】
ここで眼鏡レンズMLのレンズ回転軸23,24の軸線Z上における厚さの中心をOとすると、この中心Oを中心に眼鏡レンズMLが傾斜させられるので、この中心Oを「0」位置とし、この中心Oから穴開け加工位置Pa(θa,ρa)までのZ方向の位置をZ1とし、中心Oから穴開け加工位置Pa(θa,ρa)までの距離をraとし、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)におけるraとρaとの為す角度をαとする。
【0135】
また、眼鏡レンズMLを角度βだけ傾斜させたとき、穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)のY方向の変化をΔρaとし、中心Oから穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)までのZ方向の位置をZ2として、移動データρa′及びZ方向への移動量Δzを求める。このΔzは、
Δz=|Z1|+|Z2|=Z1+sinβ=Z1+sinγ
として求めることができる。また、ra及びZ1は、
Z1=ra・sinα
の関係がある。故に、raは
ra=Z1/sinα
となる。また、ρa′は、
Figure 2004106147
として求められる。
(フィーラー102による後側屈折面の押圧移動量ΔZa)
そして、眼鏡レンズMLを移動データρa′及びZ方向への移動量Δzに基づいて傾斜させるには、測定子41のフィーラー102を眼鏡レンズMLの後側屈折面に当接させて前側に移動させる必要がある。
【0136】
ここで、眼鏡レンズMLが傾斜していない状態では、眼鏡レンズMLの後側屈折面における穴開け加工位置Pa(θa,ρa)の部分のZ軸方向の位置Z3が、眼鏡レンズMLのコバ端Pj(θj,ρj)における後側屈折面の位置と後側屈折面の曲率変化から求めることができる。また、この位置におけるコバ厚Waもコバ端(θj,ρj)におけるコバ厚Wjと後側屈折面の曲率変化φj及び前側屈折面の曲率変化φiから求めることができる。尚、眼鏡レンズMLの玉型形状データ(θi,ρi)に基づく測定後に、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)のZ軸方向の位置Z3及びコバ厚Waは測定子41により測定により求めておいても良い。
【0137】
また、眼鏡レンズMLを角度βだけ傾斜させたときの、眼鏡レンズMLの軸線Z平行な方向におけるコバ厚をWa′とすると、コバ厚Wa′は、
Wa′=Wa・cosγ
として求めることができる。そして、このコバ厚Wa′位置における眼鏡レンズMLの後側屈折面の軸線Z方向における位置Z4は
Z4=Z2−Wa・cosγ
として求めることができる。従って、眼鏡レンズMLの後側屈折面を穴開け加工位置Pa(θa,ρa)の部分において前側屈折面側に移動量ΔZaだけ押圧変位させることにより、眼鏡レンズMLを角度βだけ傾斜させることができる。
【0138】
この移動量ΔZaは、
Figure 2004106147
として求めることができる。
【0139】
この傾斜角度や移動データは穴開け加工位置Pb(θb,ρb)についても同様に求める。
(眼鏡レンズMLの仮締)
次に演算制御回路80は、パルスモータ24dを作動制御させて、レンズ回転軸24をレンズ回転軸23から僅かに離反する方向に駆動させて、自在継手301とレンズ押さえ320との間隔を僅かに広げさせ、自在継手301のレンズ吸着盤302に保持させた眼鏡レンズMLの後側屈折面に対するレンズ押さえ320の押圧力を図29の如く例えば10kg(尚、この数値は一例であり、これよりも大きくすることあり、又は逆に小さくすることもある。これは、眼鏡レンズの厚さによっても変えることができる。)程度に緩めて、眼鏡レンズMLを自在継手301とレンズ押さえ320との間で仮締め状態とさせる。この際、レンズ回転軸23,24の延びる方向に眼鏡レンズMLが軽い力で押されると、自在継手301及び321が回動して、眼鏡レンズMLが押された方向に傾斜させられる状態となっている。
(眼鏡レンズMLの穴あけの為の傾斜調整)
次に、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動制御してキャリッジ22をネジ軸15によりその軸線方向に進退駆動制御させ、眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23,24と一体にその軸線方向に移動させ、眼鏡レンズMLを測定子41のフィーラー101,102の中央に対応させる。
【0140】
この後、演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御することにより、キャリッジ22の前端部を上昇させて、キャリッジ22のレンズ回転軸23,24をガイドスリット11a1,11b2に沿って上方に回動させ、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLを上方に円弧状に回動させる。
【0141】
次に、演算制御回路80は、駆動モータ247を作動制御して測定軸42aを回動させ、測定子41を起立状態の収納位置から水平に倒した使用位置に回動させ、眼鏡レンズMLの両側に測定子41にフィーラー101,102を臨ませる。また、これと共に、演算制御回路80は、電磁クラッチ255をONさせて測定軸42aをパルスモータである駆動モータ253により軸線方向に進退駆動できる状態にする。
【0142】
しかも、演算制御回路80は、レンズ回転軸駆動用のモータ25を作動制御して、動力伝達軸25aの回転を駆動ギヤ26及び従動ギヤ26aを介してレンズ回転軸23に伝達させ、レンズ回転軸23及びプーリ27を一体に回転駆動させる。このプーリ27の回転は、駆動側ベルト28d,伝達プーリ28a,伝達軸28c,伝達プーリ28b及び従動側ベルト28eを介してプーリ29に伝達され、プーリ29及びレンズ回転軸24が一体に回転駆動される。この制御に際して演算制御回路80は、レンズ回転軸23,24(即ち眼鏡レンズML)の回転角θaとフィーラー102の先端が対応するようにする。
【0143】
更に、演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御してキャリッジ22の先端部をレンズ回転軸23,24と共に昇降制御して、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズMLの穴開け加工位置Pa(θa,ρa)における動径ρaにフィーラー102の先端が対応するようにする。
【0144】
この状態で、演算制御回路80は、駆動モータ253を作動制御して、駆動モータ253の回転を歯車伝達機構254,電磁クラッチ255,ギヤ252及びラック251を介して測定軸42aに伝達することにより、測定軸42aを進退駆動制御して、測定子41のフィーラー102を眼鏡レンズMLの後側屈折面側に移動させると、フィーラー102の先端が穴開け加工位置Pa(θa,ρa)に対応する位置で図20の実線の如く眼鏡レンズMLの後側屈折面に接触させられる。
【0145】
そして、演算制御回路80は、この様にしてフィーラー102を眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLの後側屈折面に当接(接触)させた後、更に駆動モータ253を作動制御して、眼鏡レンズMLの後側屈折面における穴開け加工位置Pa(θa,ρa)に対応する部分をフィーラー102により移動量ΔZaだけ図20の破線で示した位置まで押圧変位させる。これにより、眼鏡レンズMLの前側屈折面における穴開け加工位置Pa(θa,ρa)の部分が角度βだけ傾斜して、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)が穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)まで移動させられる。
【0146】
これにより眼鏡レンズMLの前側屈折面の穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)における法線Q2が軸線Z及びドリル221の軸線と平行になり、即ち穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)における接線Q1とドリル221の軸線が直交し得る状態となる。
(本締め)
次に、演算制御回路80は、駆動モータ253を作動制御してフィーラー102の先端が後側屈折面から所定量離反するように測定軸42aを軸線方向に駆動した後、駆動モータ247を作動制御して測定軸42aを回動させ、測定子41を使用位置から起立した収納位置に回動させ、眼鏡レンズMLの両側から測定子41のフィーラー101,102を外す。
【0147】
この状態で、演算制御回路80は、パルスモータ24dを作動制御させて、レンズ回転軸24をレンズ回転軸23に接近する方向に駆動させて、自在継手301とレンズ押さえ320との間隔を僅かに狭めさせ、自在継手301のレンズ吸着盤302に保持させた眼鏡レンズMLの後側屈折面に対するレンズ押さえ320の押圧力を強めて、眼鏡レンズMLを自在継手301とレンズ押さえ320との間で本締め状態とさせる。この際の締付力は、例えば60kg程度とする。
【0148】
この様にして締め付けることで、半球状穴303aと半球状部材304及び半球状部材304,305同士はある程度以上の摩擦をもって互いに係合させられていて、半球状部材304,305は所定以上の力(研削加工時の回転方向への力や面取砥石による研削加工時の研削力)が作用してもキー溝303b,304bの延びる方向に回動するのが防止される。同様に、締付力により半球状穴323aと半球状部材324はある程度以上の摩擦をもって互いに係合させられて、半球状部材324は所定以上の力が作用しても回動するのが防止される。
(穴開け加工)
この状態で、演算制御回路80は、レンズ回転軸駆動用のモータ25を作動制御して、眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)が図19の如くドリル221側に位置するように、レンズ回転軸23,24(即ち眼鏡レンズML)を回転させる。この際、ドリル221が動径ρaに基づいて所定量だけ眼鏡レンズML側に移動させられたときに、眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)がドリル221の先端に対応するように、レンズ回転軸23,24(即ち眼鏡レンズML)を回転させる。
【0149】
そして、演算制御回路80は、駆動モータ217を正転させることにより、回動アーム204の一端部を上方に回動させ、ドリル221の先端を所定量上昇させて、ドリル221の先端を眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)に対応させる。この位置で演算制御回路80は、駆動モータ228を作動させてドリル221を回転駆動させる。
【0150】
次に、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動させて、キャリッジ22及びレンズ回転軸23,24を眼鏡レンズMLと共にレンズ回転軸23,24の軸線Z方向に駆動し、ドリル221の先端を眼鏡レンズMLの前側屈折面の加工位置Pa′(θa,ρa′)に向けて移動させる。この移動に伴いドリル221は、眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)に当接させらて、穴開け加工を行う。
【0151】
この穴開け加工が終了すると、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を逆転させて、キャリッジ22及び眼鏡レンズMLを原状に復帰させることにより、ドリル221を眼鏡レンズMLから離反させる。次に、駆動モータ217を逆転させて回動アーム204の一端部を下方に回動させ原状に復帰させる。
【0152】
この後、演算制御回路80は、眼鏡レンズMLの加工位置Pb(θb,ρb)についても同様な穴開け制御を行う。
【0153】
尚、以上説明した実施例では、ポイントフレーム取付用穴を眼鏡レンズMLの前側屈折面側から開けるようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ポイントフレーム取付用穴を眼鏡レンズMLの後側屈折面側から開けるようにしても良い。
【0154】
また、ドリル221の軸線と眼鏡レンズMLの屈折面の穴開け位置の接線が略垂直になるように設定したが、このドリル221の軸線と眼鏡レンズMLの屈折面の穴開け位置の接線との為す角度を任意の角度に設定することもできる。例えば、ドリル221の軸線と眼鏡レンズMLの屈折面の穴開け位置の接線との角度は、ポイントフレーム取付用穴がコバ端と平行になるように穴開けを行うような角度に設定することもできる。
【0155】
【発明の実施の形態2】
[構成]
上述した実施例では、測定軸進退駆動手段246により測定軸42aを軸線方向に進退駆動して、眼鏡レンズMLの傾斜調整を行わせるようにしたが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、図30〜図38に示した発明の実施の形態2のようにしても良い。尚、発明の実施の形態2の基本的な構成は発明の実施の形態1と同じであるので、その図示は省略してあるが、発明の実施の形態1の構成を用いて発明の実施の形態2を説明する。
【0156】
図30において、測定子41は使用位置に倒された状態となっている。この使用位置の測定子41の連設部100aには、加工室4を形成する図3,図4の後壁11cに対向する係合凹部100dが形成されている。また、図3,図4の後壁11cには、係止部材(移動規制部材、ロック部材)100eが測定子41の係合凹部100dに対して進退自在に且つ測定軸42aの軸線の延びる方向に移動不能に保持されている。
【0157】
しかも、この係止部材100eは、駆動手段であるソレノイド100fにより測定子41の係合凹部100dに係合させられる様になっている。この駆動手段には、ソレノイド以外の手段を用いることもできる。例えば、モータにより駆動されるピニオンでラックを進退動させることにより、係止部材100eを進退動させるようにすることもできる。
[作用]
(眼鏡レンズの測定子41に対する配置)
この構成において、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動制御してキャリッジ22をネジ軸15によりその軸線方向に進退駆動制御させ、眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23,24と一体にその軸線方向に移動させ、眼鏡レンズMLを測定子41のフィーラー101,102の中央に対応させる。
【0158】
この後、演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御することにより、キャリッジ22の前端部を上昇させて、キャリッジ22のレンズ回転軸23,24をガイドスリット11a1,11b2に沿って上方に回動させ、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLを上方に円弧状に回動させる。
(測定子41のロック)
次に、演算制御回路80は、駆動モータ247を作動制御して測定軸42aを回動させ、測定子41を起立状態の収納位置から水平に倒した使用位置に回動させ、眼鏡レンズMLの両側に測定子41にフィーラー101,102を臨ませる。
【0159】
この状態において演算制御回路80は、ソレノイド100fを作動制御させて係止部材100eを係合凹部100dに向けて進出させる。これにより、係止部材100eが図30(a)の如く係合凹部100dに係合させられ、測定子41が測定軸32aの延びる方向に移動不能な状態にされる。
(眼鏡レンズMLの仮締)
次に演算制御回路80は、パルスモータ24dを作動制御させて、レンズ回転軸24をレンズ回転軸23から僅かに離反する方向に駆動させて、自在継手301とレンズ押さえ320との間隔を僅かに広げさせ、自在継手301のレンズ吸着盤302に保持させた眼鏡レンズMLの後側屈折面に対するレンズ押さえ320の押圧力を図29の如く例えば10kg(尚、この数値は一例であり、これよりも大きくすることあり、又は逆に小さくすることもある。これは、眼鏡レンズの厚さによっても変えることができる。)程度に緩めて、眼鏡レンズMLを自在継手301とレンズ押さえ320との間で仮締め状態とさせる。
【0160】
この際、レンズ回転軸23,24の延びる方向に眼鏡レンズMLが軽い力で押されると、自在継手301及び321が回動して、眼鏡レンズMLが押された方向に傾斜させられる状態となっている。
(傾斜調整)
しかも、演算制御回路80は、レンズ回転軸駆動用のモータ25を作動制御して、動力伝達軸25aの回転を駆動ギヤ26及び従動ギヤ26aを介してレンズ回転軸23に伝達させ、レンズ回転軸23及びプーリ27を一体に回転駆動させる。このプーリ27の回転は、駆動側ベルト28d,伝達プーリ28a,伝達軸28c,伝達プーリ28b及び従動側ベルト28eを介してプーリ29に伝達され、プーリ29及びレンズ回転軸24が一体に回転駆動される。この制御に際して演算制御回路80は、レンズ回転軸23,24(即ち眼鏡レンズML)の回転角θaとフィーラー102の先端が対応するようにする。
【0161】
更に、演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御してキャリッジ22の先端部をレンズ回転軸23,24と共に昇降制御して、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズMLの穴開け加工位置Pa(θa,ρa)における動径ρaにフィーラー102の先端が対応するようにする。この穴開け加工位置Pa(θa,ρa)は例えば耳側である。
【0162】
この状態で、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動させて、キャリッジ22及びレンズ回転軸23,24を眼鏡レンズMLと共にレンズ回転軸23,24の軸線Z方向(図30(a)の矢印Za1で示した方向)に駆動し、眼鏡レンズMLの後側屈折面における穴開け加工位置Pa(θa,ρa)に対応する部分を図30(b)の如くフィーラー102により移動量ΔZaだけ押圧変位させる。これにより、眼鏡レンズMLの前側屈折面における穴開け加工位置Pa(θa,ρa)の部分が角度βだけ傾斜して、穴開け加工位置Pa(θa,ρa)が穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)まで移動させられる。
【0163】
この結果、眼鏡レンズMLの前側屈折面の穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)における法線Q2が軸線Z及びドリル221の軸線と平行になり、即ち穴開け加工位置Pa′(θa,ρa′)における接線Q1とドリル221の軸線が直交し得る状態となる。
(本締め)
次に、演算制御回路80は、パルスモータ24dを作動制御させて、レンズ回転軸24をレンズ回転軸23に接近する方向に駆動させて、自在継手301とレンズ押さえ320との間隔を僅かに狭めさせ、自在継手301のレンズ吸着盤302に保持させた眼鏡レンズMLの後側屈折面に対するレンズ押さえ320の押圧力を強めて、眼鏡レンズMLを自在継手301とレンズ押さえ320との間で本締め状態とさせる。この際の締付力は、例えば60kg程度とする。
【0164】
この様にして締め付けることで、半球状穴303aと半球状部材304及び半球状部材304,305同士はある程度以上の摩擦をもって互いに係合させられていて、半球状部材304,305は所定以上の力(研削加工時の回転方向への力や面取砥石による研削加工時の研削力)が作用してもキー溝303b,304bの延びる方向に回動するのが防止される。同様に、締付力により半球状穴323aと半球状部材324はある程度以上の摩擦をもって互いに係合させられて、半球状部材324は所定以上の力が作用しても回動するのが防止される。
(測定)
この状態で演算制御回路80は、ソレノイド100fを作動制御して、係止部材100eを係止凹部100dから抜き外し、測定軸42aの軸線方向への測定子41の移動規制を解除する。
【0165】
次に、演算制御回路80は、パルスモータ59を作動制御することにより、キャリッジ22の前端部を上昇させて、キャリッジ22のレンズ回転軸23,24をガイドスリット11a1,11b2に沿って上方に回動させ、レンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLを上方に円弧状に回動させる。これにより、測定子41のフィーラー102が図31の如く矢印Y1で示した如く眼鏡レンズMLの後側屈折面に沿って眼鏡レンズMLの中心側に移動する。この際、回転角θaにおいてフィーラー102の眼鏡レンズMLの中心方向への移動位置の変化動径ρn(n=0,1,2,3・・・j)の変化は、パルスモータ59の駆動によるレンズ回転軸23,24の昇降量から求めることができる。
【0166】
また、測定子41のフィーラー102が眼鏡レンズMLの後側屈折面に沿って眼鏡レンズMLの中心側に移動すると、測定子41が眼鏡レンズMLの後側屈折面により測定軸42aの軸線方向に矢印Za2で示した如く進退移動させられる。この測定軸42aの軸線方向への測定子41の移動位置は、マグネスケール244により検出されて、軸方向変化位置Zn(n=0,1,2,3・・・j)として検出される。
【0167】
そして、演算制御回路80は、変化動径ρnと軸方向変化位置Znをデータメモリ82に傾斜情報(ρn,Zn)として記憶させ、傾斜情報(ρn,Zn)から眼鏡レンズMLの傾斜調整量が先に求めた傾斜量となっているか否かを判断する。
【0168】
演算制御回路80は、傾斜情報(ρn,Zn)から眼鏡レンズMLの傾斜調整量が先に求めた傾斜量となっていると判断すると、駆動モータ253を作動制御してフィーラー102の先端が後側屈折面から所定量離反するように測定軸42aを軸線方向に駆動した後、駆動モータ247を作動制御して測定軸42aを回動させ、測定子41を使用位置から起立した収納位置に回動させ、眼鏡レンズMLの両側から測定子41のフィーラー101,102を外して、図32(a)の状態とする。
【0169】
また、演算制御回路80は、傾斜情報(ρn,Zn)から眼鏡レンズMLの傾斜調整量が先に求めた傾斜量となっていないと判断したときは、傾斜情報(ρn,Zn)から眼鏡レンズMLの傾斜調整量が先に求めた傾斜量となるまで再度上述したした傾斜調整を行う。そして、叙述したように眼鏡レンズMLの両側から測定子41のフィーラー101,102を外して、図32(a)の状態とする。(穴開け加工)
この状態で、演算制御回路80は、レンズ回転軸駆動用のモータ25を作動制御して、眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)が図19の如くドリル221側に位置するように、レンズ回転軸23,24(即ち眼鏡レンズML)を回転させる。この際、ドリル221が動径ρaに基づいて所定量だけ眼鏡レンズML側に移動させられたときに、眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)がドリル221の先端に対応するように、レンズ回転軸23,24(即ち眼鏡レンズML)を回転させる。
【0170】
そして、演算制御回路80は、駆動モータ217を正転させることにより、回動アーム204の一端部を上方に回動させ、ドリル221の先端を所定量上昇させて、ドリル221の先端を眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)に対応させる。この位置で演算制御回路80は、駆動モータ228を作動させてドリル221を回転駆動させる。
【0171】
次に、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を作動させて、キャリッジ22及びレンズ回転軸23,24を図33の矢印Za3で示したように眼鏡レンズMLと共にレンズ回転軸23,24の軸線Z方向(左方)に駆動し、ドリル221の先端を眼鏡レンズMLの前側屈折面の加工位置Pa′(θa,ρa′)に向けて移動させる。この移動に伴いドリル221は、図34の如く眼鏡レンズMLの加工位置Pa′(θa,ρa′)に当接させらて、穴開け加工を行う。
【0172】
この穴開け加工が終了すると、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14を逆転させて、キャリッジ22及び眼鏡レンズMLを図35(a)の矢印Za4で示したようにZ軸方向(右方)に変位させて原状に復帰させることにより、ドリル221を眼鏡レンズMLから離反させる。次に、駆動モータ217を逆転させて回動アーム204の一端部を下方に回動させ原状に復帰させる。これにより眼鏡レンズMLの耳側に図35(a),(b)の如く取付穴400が形成される。
【0173】
この後、演算制御回路80は、眼鏡レンズMLの鼻側の加工位置Pb(θb,ρb)例えば鼻側についても同様な穴開け制御を行う。
【0174】
即ち、図36(a)に示したようにレンズ回転軸23,24による眼鏡レンズMLの締付力を上述と同様に仮締めの略10Kg程度にすると共に、眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23,24と一体に矢印Za1方向に駆動して、眼鏡レンズMLの後側屈折面をフィーラー1012でΔZだけ押圧させ、眼鏡レンズMLを図36(b)の如く傾斜させる。
【0175】
次に、上述と同様にレンズ回転軸23,24による眼鏡レンズMLの締付力を上述と同様に本締めの略60Kg程度にした後、測定子41のフィーラー102により眼鏡レンズMLの後側屈折面の曲率形状を測定して、眼鏡レンズMLの傾斜を求め、眼鏡レンズMLの傾斜調整量が先に求めた傾斜量となったとき、そして、上述したように眼鏡レンズMLの両側から測定子41のフィーラー101,102を外す。
【0176】
この後、上述と同様にして図37の如く矢印Za3方向に眼鏡レンズMLを移動させることにより、ドリル221により眼鏡レンズMLの鼻側の加工位置Pb(θb,ρb)に開けた後、図38の矢印Za4で示したようにドリル221を上述した様に眼鏡レンズMLから離反させることにより、取付穴401が図38(b)の如く形成される。
【0177】
以上説明したように、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、眼鏡レンズMLを傾斜可能に挟持するレンズ回転軸23,24と、傾斜させた眼鏡レンズMLにポイントフレーム用穴(ポイントフレーム取付用の取付穴)を開ける穴開け手段(穴開け加工装置200)と、ポイントフレーム用レンズ(リムレスレンズ)の周縁部を研削加工するための研削加工手段(面取砥石224,225)とを有する。
【0178】
この構成によれば、簡易な構成で、穴開け加工装置200に穴開け用ドリル等の工具を用いた場合に、この工具の主軸に対してポイントフレーム用レンズの屈折面の穴開け部分を略垂直になるようにさせることができる。しかも、ポイントフレーム用レンズの屈折面に略垂直なポイントフレーム用穴を開けることで、取付け用の金具を見栄えよく装着することができる。
【0179】
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、眼鏡レンズを保持するレンズ回転軸23,24と、該レンズ回転軸23,24に保持された眼鏡レンズMLの形状を測定するためのレンズ形状測定装置Bと、レンズ形状測定装置Bの測定結果に基づいて眼鏡レンズMLを研削加工する演算制御手段(演算制御回路80)と、眼鏡レンズMにポイントフレーム用穴を開ける穴開け手段(穴開け加工装置200)とを有する。しかも、このレンズ研削加工装置は、前記レンズ回転軸23,24に挟持された状態で眼鏡レンズMLを傾斜させるレンズ傾斜手段としてレンズ形状測定装置Bを兼用している。更に、このレンズ研削加工装置の演算制御手段(演算制御回路80)は、前記レンズ形状測定装置Bによる測定結果から眼鏡レンズMLの屈折面の傾斜角度βを演算して、該傾斜角度βに基づきレンズ形状測定装置Bを介して眼鏡レンズMLの屈折面の穴開け部分(穴開け加工位置Pa,Pb)を前記穴開け手段(穴開け加工装置200)による穴開け方向に対して任意の角度(実施例では直角)になるように前記レンズ回転軸23,24に対して傾斜させ、この傾斜させた眼鏡レンズMLにポイントフレーム取付け用穴を前記穴開け手段(穴開け加工装置200)で開けさせるように制御する様になっている。
【0180】
この構成によれば、簡易な構成で、穴開け加工装置200に穴開け用ドリル等の工具を用いた場合に、この工具の主軸に対してポイントフレーム用レンズ(リムレスレンズ)の屈折面の穴開け部分を任意の角度(実施例では略垂直)になるようにさせることができる。しかも、レンズ回転軸23,24に挟持された状態で眼鏡レンズMLを傾斜させるレンズ傾斜手段としてコバ厚及び屈折面の曲率形状等を測定するレンズ形状測定装置Bを兼用しているので、レンズ傾斜手段を別途設ける必要がなく、構成が簡単となる。その上、レンズ形状測定装置による測定結果から眼鏡レンズMLの傾斜角βを求める様にしているので、傾斜角βを正確に求めて、眼鏡レンズMLにポイントフレーム取付け用穴を開ける際に、穴開け加工位置Pa,Pbにおける接線に対して穴開け用の工具の主軸を正確に垂直にさせることができる。この様にして、ポイントフレームレンズ(リムレスレンズ)の屈折面に略垂直なフレーム取付用穴を開けることで、取付け用の金具を見栄えよく装着することができる。
【0181】
さらに、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、レンズ回転軸23,24は球関節又は球継手(自在継手301,321)を備えたレンズ保持部(レンズ吸着具300,レンズ押さえ320)を有する。この構成によれば、ポイントフレーム取付用穴を開ける際に、穴開け用の工具の主軸を眼鏡レンズの屈折面の穴開け位置における接線に対して垂直にするために眼鏡レンズMLを傾斜させる場合、簡単な構成でレンズ回転軸23,24間に保持させた眼鏡レンズを容易に傾斜調整することができる。
【0182】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、ポイントフレーム(リムレスレンズ)の屈折面に任意の角度(略垂直を含む)のフレーム取付用穴を開けることができ、取付け用の金具を見栄えよく装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るレンズ研削加工装置とフレーム形状測定装置との関係を示す説明図である。
【図2】(A)は図1のレンズ研削加工装置の下側の操作パネルの説明図、(B)は図1にレンズ研削加工装置の上側の操作パネル及び液晶表示器の表示例を示す説明図である。
【図3】(a)は図1に示したレンズ研削加工装置の加工室の説明図、(b)はレンズ回転軸と加工室の側壁との関係を示す断面図である。
【図4】図3の加工室をベース上に配置した状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示したレンズ回転軸を支持するキャリッジ及びベースを説明するための斜視図である。
【図6】図4に示したキャリッジを昇降制御する手段の説明図である。
【図7】図3,図4に示した補助のレンズ周縁加工手段を面取砥石の回転軸に沿う部分で断面して示した断面図である。
【図8】図3,図4に示した補助のレンズ周縁加工手段を面取砥石の回転軸及び穴開用のドリルの軸線を含む平面で断面して示した断面図である。
【図9】図7のA1−A1線に沿う断面図である。
【図10】図3,図4の補助のレンズ周縁加工手段と測定子との関係を示す部分配置説明図である。
【図11】図7の回動アームの蓋体及び加工具を取り外した状態の説明用の斜視図である。
【図12】図5に示したキャリッジの他の構成の説明図である。
【図13】(a)は眼鏡レンズをレンズ回転軸に保持している部分の断面図、(b)は(a)の取付軸部とレンズ回転軸の回転規制の構造をレンズ回転軸内から見た説明図である。
【図14】図13(a)のA2−A2線に沿う断面図である。
【図15】図14のレンズ吸着具300の自在継手を右側から見た概略説明図である。
【図16】図3,図4の測定子に連動する測定部の概略説明図である。
【図17】図1〜図16に示したレンズ研削加工装置の制御回路図である。
【図18】(a)は未加工の円形の眼鏡レンズ、(b)は(a)の眼鏡レンズ研削のための説明図、(c)は(b)の研削部を研削した後の眼鏡レンズの説明図、(d)は(c)の眼鏡レンズにポイントフレーム取付用の取付穴を開ける位置の説明図、(a′)は未加工の円形の眼鏡レンズにポイントフレーム取付用の取付穴を開けた説明図、(b′)は(a′)の眼鏡レンズ研削のための説明図、(c)は(b)の研削部を研削した後の眼鏡レンズの説明図である。
【図19】図1〜図17のレンズ研削加工装置により穴開け加工の説明図である。
【図20】図1〜図17のレンズ研削加工装置による穴開け加工前の眼鏡レンズの傾斜調整のための説明図である。
【図21】図20の傾斜調整のための眼鏡レンズの穴開け加工位置の説明図である。
【図22】図20の眼鏡レンズの傾斜調整のためのデータを求めるための説明図である。
【図23】眼鏡レンズに取り付けられるポイントフレームの説明図である。
【図24】レンズ回転軸への眼鏡レンズ取付のための作用説明図である。
【図25】レンズ回転軸による眼鏡レンズ締付時の作用説明図である。
【図26】眼鏡レンズ測定ための作用説明図である。
【図27】眼鏡レンズ測定ための作用説明図である。
【図28】眼鏡レンズ研削ための作用説明図である。
【図29】眼鏡レンズ仮締めの作用説明図である。
【図30】眼鏡レンズの傾斜調整のための作用説明図である。
【図31】眼鏡レンズの傾斜調整後の測定のための作用説明図である。
【図32】(a)は眼鏡レンズの傾斜調整後の状態を示す説明図、(b)は(a)の眼鏡レンズの右側面図である。
【図33】眼鏡レンズの穴開け加工のための作用説明図である。
【図34】眼鏡レンズの穴開け加工のための作用説明図である。
【図35】(a)は眼鏡レンズの穴開け加工後の状態を示す説明図、(b)は(a)の右側面図である。
【図36】(a),(b)は眼鏡レンズの傾斜調整の為の他の例を示す作用説明図、(c)は(a)の眼鏡レンズの右側面図である。
【図37】眼鏡レンズの穴開け加工のため他の例を示す作用説明図である。
【図38】(a)は眼鏡レンズの穴開け加工後の状態の他の例を示す説明図、(b)は(a)の右側面図である。
【符号の説明】
2・・・レンズ研削加工装置
23,24・・・レンズ回転軸
80・・・演算制御回路(演算制御手段)
200・・・穴開け加工装置(穴開け手段)
224,225・・・面取砥石(研削加工手段)とを有する。
301,321・・・自在継手(ユニバーサルジョイント)
B・・・コバ厚形状測定手段
ML・・・眼鏡レンズ
β・・・傾斜角度

Claims (3)

  1. 眼鏡レンズを傾斜可能に挟持するレンズ回転軸と、
    傾斜させた眼鏡レンズにポイントフレーム用穴を開ける穴開け手段と、
    ポイントフレーム用レンズの周縁部を研削加工するための研削加工手段とを有することを特徴とするレンズ研削加工装置。
  2. 眼鏡レンズを保持するレンズ回転軸と、
    該レンズ回転軸に保持された眼鏡レンズの形状を測定するためのレンズ形状測定装置と、
    前記レンズ形状測定装置の測定結果に基づいて眼鏡レンズを研削加工する演算制御手段と、
    眼鏡レンズにポイントフレーム取付け用穴を開ける穴開け手段とを有するレンズ研削加工装置において、
    前記レンズ回転軸に挟持された状態で眼鏡レンズを傾斜させるレンズ傾斜手段として前記レンズ形状測定装置を兼用させると共に、
    前記演算制御手段は、前記レンズ形状測定装置による測定結果から眼鏡レンズの屈折面の傾斜角度を演算して、該傾斜角度に基づき前記レンズ形状測定装置を介して眼鏡レンズの屈折面の穴開け部分を前記穴開け手段に対して任意の角度になるように前記レンズ回転軸に対して傾斜させ、この傾斜させた眼鏡レンズにポイントフレーム取付け用穴を前記穴開け手段で開けさせるように制御することを特徴とするレンズ研削加工装置。
  3. 請求項1または2に記載されたレンズ研削加工装置において、
    前記レンズ回転軸は球関節又は球継手を備えたレンズ保持部を有することを特徴とするレンズ研削加工装置。
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