JP2004072076A - 露光装置及びステージ装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置及びステージ装置、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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西 健爾
Masahiko Okumura
奥村 正彦
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    • G03F7/70733Handling masks and workpieces, e.g. exchange of workpiece or mask, transport of workpiece or mask

Abstract

【課題】他の露光性能を損なうことなく、スループットの向上を図る。
【解決手段】制御装置50により、ウエハW上の1つの区画領域に対する露光終了後から、次の区画領域の露光のために、ステージ制御系(80、33、78)によってステージRSTとステージWSTの走査方向に関する減速が開始されるまでの期間に、次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報がステージ制御系に送られる。このため、次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報をステージ制御系が上位装置から受け取るために、両ステージを加速前に一旦停止させる必要がなく、その停止時間がない分、スループットの向上が可能となる。この場合、特に支障は生じないので、他の露光性能を損なうことはない。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置及びステージ装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、半導体素子、液晶表示素子などの電子デバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置、該露光装置における露光対象である物体を保持して2次元移動するステージとして好適なステージ装置、並びに前記露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造現場では、従来、波長365nmの水銀ランプのi線を照明光とした縮小投影露光装置、所謂ステッパを使って最小線幅が0.3〜0.35μm程度の回路デバイス(64M(メガ)ビットのD−RAM等)を量産製造していた。その後、半導体素子は、年々高集積化し、それに対応してより解像力の高い露光装置が開発実用化され、現在では、KrFエキシマレーザからの波長248nmの紫外パルスレーザ光、或いはArFエキシマレーザからの波長193nmの紫外パルスレーザ光を照明光とし、回路パターンが描画されたマスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)と感光物体としてのウエハを縮小投影光学系の投影視野に対して相対的に1次元走査することで、ウエハ上の1つのショット領域内にレチクルの回路パターン全体を転写する走査露光動作とショット間ステッピング動作とを繰り返す、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャナ、あるいはスキャニング・ステッパとも呼ばれる)が主流となりつつある。この種のスキャニング・ステッパによると、256M(メガ)ビットD−RAMクラスの集積度を有し、最小線幅が0.25μmの回路デバイスの量産が可能である。更に、現在、1G(ギガ)ビット以上の次世代の回路デバイスを量産製造するための露光装置の開発も行われている。
【0003】
ところで、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置では、ウエハ上の複数のショット領域(以下、適宜「ショット」という)にレチクルのパターンを順次転写するに際し、スループット向上のため、通常レチクルを交互スキャン(往復スキャン)させることで、順次次のショットに対する露光を行う。このため、1つのショットに対するレチクルパターンの転写が終了した後、露光開始前のプリスキャン時(目標速度(露光時の走査速度)までの加速時間+加速終了後に速度が所定の誤差範囲で目標速度に収束するまでの整定時間)の移動距離と同じ距離だけ、露光終了時点から更にレチクルを移動して、レチクルを次ショット露光のための走査開始位置まで戻す動作(オーバースキャン)が必要であり、これに対応して、ウエハを次ショット(前記1つのショットの非走査方向に隣接する別のショット)へステッピングさせる動作に加えて走査方向に移動させる動作も必要となる。
【0004】
かかるウエハのショット間の移動動作は、従来は、次の(1)〜(3)の手順で行われていた。(1)露光終了後にウエハステージ(基板ステージ)を次ショットの走査開始位置と同一の走査方向の座標位置に一旦移動後、(2)次ショットの走査開始位置まで非走査方向にステッピングし、(3)次ショットの露光のための走査を開始する。従って、ウエハは、ほぼコの字の経路に沿って移動されていた。この様な経路を採用していた理由の一つとして、上記(1)と(2)との間、若しくは(2)と(3)との間、又は上記(2)の動作中に、次ショットの露光のために必要となる、制御情報(制御パラメータの設定情報を含む)を、上位装置からステージを制御するステージ制御ユニット(同期制御ユニットを含む)に伝送していたことが挙げられる。ここで、上記の制御情報としては、例えばレチクルステージ、ウエハステージの位置制御に関連する情報、例えば露光に先立って行われる例えばEGA方式のウエハアライメントにより得られるEGAパラメータ(ウエハのX,Y方向のオフセットOx,Oy、ウエハの移動を規定するステージ座標系の直交度w、ウエハの回転誤差θ、ウエハのX,Y方向の拡大縮小(スケーリング)rx,ry)の設定値(これは露光時のウエハの位置を決定するためのデータとなる)、及び露光時の両ステージの位置に関連した補正パラメータ(例えば、レチクルステージあるいはウエハステージ側の移動鏡の曲がり情報)、並びに露光量制御に関するデータ、例えばエキシマレーザのパルスエネルギ密度、パルス発光数等のデータ、更には設定された露光シーケンスデータなどが含まれる。また、場合によっては、ステージ移動時の各機構部のエラー情報なども含まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、露光装置にとってスループット(処理能力)の向上は最も重要な課題の一つであり、これを達成する必要から走査露光時のレチクルの加減速度が例えば0.5G→4G、最高速度も350mm/s→1500mm/sのように大きくなっており、これに伴ってウエハステージの走査露光時の加減速度、最高速度も投影倍率に比例した値となっている。このため、露光の前後に必要となる、プリスキャン時及びオーバースキャン時の移動距離もこれに応じて延ばす必要がある。
【0006】
このため、本来スループットを向上させようとの観点から加減速度、最高速度を増加したにもかかわらず、結果的に却ってスループットを悪化させるおそれがあった。
【0007】
このような背景の下、装置のその他の性能を維持しつつ、結果としてスループットの向上を図ることができる、新たな露光装置の開発が急務となっていた。
【0008】
ところで、前述のプリスキャン及びオーバースキャン動作と前述のウエハステージのショット間ステッピング動作との並行処理及びウエハステージの移動距離の短縮の少なくとも一方を実現すれば、スループットの向上が可能であるものと考えられる。
【0009】
しかしながら、安易に上記の並行処理を行うシーケンスや上記の移動距離が短くなる移動経路を採用すると、レチクルステージとウエハステージの同期精度が悪化して十分な精度の露光が困難になったり、露光前の両ステージの同期整定時間が却って増加したりする、あるいは前述の制御情報の伝送が困難になるなどのおそれがある。
【0010】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたもので、その第1の目的は、他の装置性能を損なうことなく、スループットの向上を図ることができる露光装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、スループットの向上とともに、ステージの駆動系の使用電力を抑えることが可能なステージ装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージ(RST)と;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージ(WST)と;前記両ステージを制御するステージ制御系(80、33、78)と;前記1つの区画領域に対する遅くとも露光終了後から、次の区画領域の露光のために、前記ステージ制御系によって前記両ステージの前記走査方向に関する減速が開始されるまでの期間に、少なくとも次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を前記ステージ制御系に送る制御装置(50)と;を備える露光装置である。
【0014】
これによれば、制御装置により、物体上の1つの区画領域に対する遅くとも露光終了後から、次の区画領域の露光のために、ステージ制御系によって前記両ステージ(マスクステージと物体ステージ)の走査方向に関する減速が開始されるまでの期間に、少なくとも次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報がステージ制御系に送られるようになっている。このため、物体上の1つの区画領域に対する露光終了後から、次の区画領域の露光のための両ステージの同期整定期間までの間に、両ステージを停止させないようなステージ制御系による両ステージの制御シーケンスを採用することが可能となる。すなわち、次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報をステージ制御系が上位装置から受け取るために、両ステージを加速前に一旦停止させる必要がなくなるので、その停止時間がない分、スループットの向上が可能となる。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。また、この場合、ステージ制御系は、上記の走査方向に関する減速時から両ステージの同期制御動作を開始することも可能である。
【0015】
この場合において、請求項2に記載の露光装置の如く、前記制御装置は、前記1つの区画領域に対する露光を行っている時にも、前記設定情報を前記ステージ制御系に送ることとすることができる。
【0016】
この場合において、請求項3に記載の露光装置の如く、前記制御装置は、前記1つの区画領域に対する露光を行っている時から前記設定情報を送る場合には、次及びそれ以降の複数の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を送ることとすることができる。
【0017】
上記請求項1に記載の露光装置において、請求項4に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記次の区画領域の露光前の前記両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することとすることができる。かかる場合には、上記の露光前の両ステージの同期整定の際の整定時間の短縮が可能となるので、一層スループットを向上させることが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージ(RST)と;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージ(WST)と;前記両ステージを制御するステージ制御系(80、33、78)と;前記物体上における前記走査方向に直交する非走査方向の任意の行内の最終区画領域の露光終了後、別の行の最初の区画領域の露光のため、前記ステージ制御系により前記両ステージの移動制御が行われる間に、前記次の行内の複数の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を前記ステージ制御系に送る制御装置(50)と;を備える露光装置である。
【0019】
ここで、「両ステージの移動制御」とは、少なくとも一方のステージについての停止制御をも含む概念である。
【0020】
これによれば、制御装置により、物体上における非走査方向の任意の行内の最終区画領域の露光終了後、別の行の最初の区画領域の露光のため、前記ステージ制御系により両ステージの移動制御が行われる間に、次の行内の複数の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報がステージ制御系に送られる。このため、前述の物体上の1つの区画領域に対する露光終了後から両ステージの減速開始までの時間が短く、その間に次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報の伝送が困難な場合であっても、前記露光終了後から次の区画領域の露光のための両ステージの同期整定期間までの間に、両ステージを停止させないようなステージ制御系による両ステージの制御シーケンスを採用することが可能となる。従って、両ステージを加速前に一旦停止させる必要がなくなるので、その停止時間がない分、スループットの向上が可能となる。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。また、この場合も、ステージ制御系は、上記の走査方向に関する減速時から両ステージの同期制御動作を開始することも可能である。
【0021】
この場合において、請求項6に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記次の行の区画領域毎における露光開始前の前記両ステージの前記同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することとすることができる。かかる場合には、次の行の区画領域毎における露光開始前の両ステージの同期整定の際の整定時間の短縮が可能となるので、一層スループットを向上させることが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージ(RST)と;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージ(WST)と;前記両ステージを制御するステージ制御系(80、33、78)と;前記物体上の前記複数の区画領域の全てを露光するために必要な制御パラメータの設定情報を、前記物体上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる配列情報の検出動作の終了後、第1番目の区画領域の露光が開始されるまでの間に、前記ステージ制御系に送る制御装置(50)と;を備える露光装置である。
【0023】
これによれば、制御装置により、物体上の複数の区画領域の全てを露光するために必要な制御パラメータの設定情報が、物体上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる配列情報の検出動作の終了後、第1番目の区画領域の露光が開始されるまでの間に、ステージ制御系に送られる。このため、第1番目の区画領域の露光が開始された後の露光処理期間中には、前述の制御パラメータの設定情報の伝送処理が不要となるので、物体上の第1番目の区画領域に対する露光開始から最終の区画領域に対する露光の終了までの間、両ステージを停止させないようなステージ制御系による両ステージの制御シーケンスを採用することが可能となる。従って、スループットの向上を図ることができる。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。
【0024】
この場合において、請求項8に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記物体上の区画領域毎に、露光前の前記両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することとすることができる。かかる場合には、物体上の区画領域毎に、露光開始前の両ステージの同期整定の際の整定時間の短縮が可能となるので、一層スループットを向上させることが可能となる。
【0025】
上記請求項1〜8に記載の各露光装置において、請求項9に記載の露光装置の如く、前記制御パラメータは、露光に先立って計測された前記区画領域の配列に関連したパラメータを含み、前記設定情報は、所定のステージ座標系に対する区画領域の配列誤差により生じる区画領域間の移動量の補正値を考慮した情報を含むこととすることができる。
【0026】
この場合において、請求項10に記載の露光装置の如く、前記区画領域の配列誤差は、前記物体の回転誤差、前記物体の移動を規定するステージ座標系の直交度誤差、前記物体のステージ座標系上におけるオフセット、前記物体の拡大縮小誤差の少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージ(RST)と;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージ(WST)と;前記両ステージを制御するとともに、前記物体上の1つの区画領域に対する露光終了後に、前記両ステージが前記走査方向に関して減速される際に、次の区画領域の露光のための前記両ステージの同期制御を開始するステージ制御系と;を備える露光装置である。
【0028】
これによれば、前記両ステージを制御するステージ制御系が、物体上の1つの区画領域に対する露光終了後に、両ステージを走査方向に関して減速する際に、次の区画領域の露光のための両ステージの同期制御を開始する。このため、例えば両ステージの減速終了後に直ちに同期制御を開始する場合に比べても、一層早い時点で露光開始前の両ステージの同期整定が完了し、同期整定時間の短縮によるスループットの向上が可能となる。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。
【0029】
請求項12に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージ(RST)と;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージ(WST)と;前記両ステージを制御するとともに、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間において前記両ステージを前記走査方向に関して減速後に加速する助走動作の際に、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージを制御するステージ制御系(80、33、78)と;を備える露光装置である。
【0030】
これによれば、前記両ステージを制御するステージ制御系により、走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間において両ステージが走査方向に関して減速後に加速される助走動作の際に、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージが制御される。すなわち、この場合の物体ステージ(及びマスクステージ)の加速度曲線は台形状となるため、速度の変化が一定となり、速度零の期間がなく、しかもいわゆる交互スキャンが可能となり、これにより前記助走動作に要する時間の短縮が可能となる。また、この場合、前述のジャーク曲線のピーク(加速度の時間変化率である躍動(ジャーク)の絶対値の最大値)を抑えることが可能となることから、物体ステージの加速度の平均値に対する最大加速度の比を小さくすることができるとともに、加速度の急減な変化及びその頻度を抑制することができる。従って、スループットの向上とともに、物体ステージ(及びマスクステージ)の駆動系、例えばリニアモータなどの使用電力を抑えることも可能となる。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。
【0031】
この場合において、請求項13に記載の露光装置の如く、前記2極化された符号が反転したジャーク曲線は、異なる形状であることとすることができる。
【0032】
この場合において、請求項14に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記区画領域に対する露光終了後の前記減速開始前に前記両ステージが等速移動される後整定期間を、露光開始前の前記両ステージの同期整定期間より長く設定するとともに、区画領域に対する露光終了後のジャーク曲線のピークを露光開始前のジャーク曲線のピークよりも大きく設定することとすることができる。かかる場合には、両ステージの加速終了位置を所定の目標位置に一致させ、かつその加速終了位置での制御遅れ及びそれに起因する両ステージの同期誤差を抑制することができるので、露光前の同期整定時間を短縮することが可能となる。
【0033】
上記請求項12に記載の露光装置において、請求項15に記載の露光装置の如く、前記2極化された符号が反転したジャーク曲線は、同一形状であることとすることができる。
【0034】
上記請求項12〜15に記載の各露光装置において、請求項16に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記非走査方向の異なる行の区画領域間における前記両ステージの前記走査方向に関する移動動作の際には、4極化されたジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージを制御することとすることができる。
【0035】
この場合において、請求項17に記載の露光装置の如く、前記4極化されたジャーク曲線は、少なくとも2極が異なる形状であることとすることができる。
【0036】
上記請求項12〜17に記載の各露光装置において、請求項18に記載の露光装置のごとく、前記ステージ制御系は、前記両ステージの前記走査方向に関する前記区画領域間の前記助走動作と並行して、少なくとも2極が異なる形状で、合計で4極化されたジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージを前記非走査方向に関して移動させる区画領域間の移動動作を行うこととすることができる。
【0037】
請求項19に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージ(RST)と;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージ(WST)と;前記両ステージを制御するとともに、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間では、1つの区画領域に対する露光終了後に前記両ステージを前記走査方向に関して等速移動する後整定期間を前記露光終了後の減速開始前に確保し、異なる行間における移動の際には、1つの区画領域に対する露光終了の直後に前記両ステージの減速動作を開始するステージ制御系(80、33、78)と:を備える露光装置である。
【0038】
これによれば、ステージ制御系が、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間では、1つの区画領域に対する露光終了後に前記両ステージを前記走査方向に関して等速移動する後整定期間を、前記露光終了後の減速開始前に確保する一方、異なる行間における移動の際には、前記1つの区画領域に対する露光終了の直後に前記両ステージの減速動作を開始するようになっている。このため、異なる行間における移動の際に前記後整定期間がない分、スループットの向上が可能となる。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。
【0039】
上記請求項1〜19に記載の各露光装置において、請求項20に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記物体上の1つの区画領域に対する露光終了後に、次の区画領域の露光のため、前記両ステージが前記走査方向に関して減速後に加速される助走動作と前記物体ステージが前記走査方向に直交する非走査方向に関して移動する区画領域間の移動動作とが同時並行的に行われ、かつ前記物体ステージの前記非走査方向への移動動作が前記次の区画領域の露光前の前記両ステージの同期整定期間の前に終了するように、前記両ステージを制御することとすることができる。かかる場合には、物体上の1つの区画領域に対する露光終了後に、次の区画領域の露光のため、前記両ステージが前記走査方向に関して減速後に加速される助走動作と物体ステージが非走査方向に関して移動する区画領域間の移動動作とを少なくとも一部オーバーラップさせることができるので、物体ステージの非走査方向に関する上記区画領域間の移動動作の終了後に、両ステージの走査方向に関する加速動作を開始する場合などに比べて、スループットの向上が可能となる。また、両ステージの走査方向に関する助走動作が終了した時点では、物体ステージの非走査方向に関する上記区画領域間の移動動作が終了しているので、ステージ制御系は、同期整定期間では、両ステージの同期整定のみに専念でき、これにより、整定時間の短縮も可能となる。
【0040】
請求項21に記載の発明は、マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;前記両ステージの移動を制御するステージ制御系と;を備え、前記ステージ制御系は、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間においては、前記走査方向の移動動作と前記非走査方向の移動動作との同時並行的な移動動作を、1つの区画領域に対する露光終了後に前記両ステージを前記走査方向に関して等速移動する後整定期間の間に、前記物体ステージに開始させる、ことを特徴とする露光装置である。
【0041】
これによれば、ステージ制御系が、非走査方向の同一行内の区画領域間においては、走査方向の移動動作と非走査方向の移動動作との同時並行的な移動動作を、1つの区画領域に対する露光終了後に両ステージを走査方向に関して等速移動する後整定期間(等速オーバースキャン)の間に、物体ステージに開始させるので、その後整定期間(等速オーバースキャン)分だけ早く非走査方向に発生する加減速制御を終了することができる。これにより、非走査方向のステッピングは、次の区画領域の露光のための走査方向の同期制御の開始より先に終了させることができ、ステージ制御系では、次の区画領域の露光のための同期制御時間(前整定時間)の間は、走査方向の同期制御のみに専念できる。これに加え、同期制御の際に非走査方向の減速の影響が殆どないため、同期整定時間の短縮及びこれに対応して等速オーバースキャン時間(後整定時間)の短縮も可能である。従って、スループットを向上させることが可能である。この場合、特に支障が生じないので、他の装置性能を損なうことはない。
【0042】
この場合において、請求項22に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記物体ステージに、前記同時並行的な移動動作を、次の区画領域に対する露光前の前記両ステージの同期整定期間の開始前まで実行させることとすることができる。
【0043】
この場合において、請求項23に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、同期整定期間の開始前までに、前記非走査方向の移動動作を終了するように前記物体ステージを制御することとすることができる。
【0044】
この場合において、請求項24に記載の露光装置の如く、前記ステージ制御系は、前記物体ステージに、前記同時並行的な移動動作を、前記1つの区画領域に対する露光終了直後から開始させることとすることができる。
【0045】
請求項25に記載の発明は、物体(W)を保持して2次元平面内を移動可能なステージ(WST)と;前記ステージが所定の第1軸方向に関して減速後に加速される第1軸方向移動動作と前記第1軸方向に直交する第2軸方向に関して移動する第2軸方向移動動作とが同時並行的に行われるように前記ステージを制御するとともに、前記第1軸方向移動動作に際して、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記ステージを制御するステージ制御系(80、78)と;を備えるステージ装置である。
【0046】
これによれば、ステージ制御系により、ステージが、第1軸方向に関して減速後に加速される第1軸方向移動動作と第1軸方向に直交する第2軸方向に関して移動する第2軸方向移動動作とが同時並行的に行われ、ステージは、U字状又はV字状の軌跡に沿って移動する。この際、ステージは、第1軸方向移動動作に際しては、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて制御される。この場合のステージの加速度曲線は台形状となるため、速度の変化が一定となり、速度零の期間がなく、これにより第1軸方向移動動作に要する時間の短縮が可能となる。また、この場合、前述のジャーク曲線のピークを抑えることが可能となることから、ステージの加速度の平均値に対する最大加速度の比を小さくすることができるとともに、加速度の急減な変化及びその頻度を抑制することができる。従って、スループットの向上とともに、ステージの駆動系、例えばリニアモータなどの使用電力を抑えることも可能となる。
【0047】
この場合において、請求項26に記載のステージ装置の如く、前記ステージ制御系は、前記第2軸方向移動動作に際しては、少なくとも2極が異なる形状で、合計で4極化されたジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記ステージを制御することとすることができる。
【0048】
請求項27に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項1〜24のいずれか一項に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法である。
【0049】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図10(D)に基づいて説明する。
【0050】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る露光装置10の全体構成が概略的に示されている。この露光装置10は、半導体素子を製造するリソグラフィ装置として現在主流となりつつある、ステップ・アンド・スキャン方式により露光動作を行う投影露光装置である。この露光装置10は、マスクとしてのレチクルRに形成された回路パターンの一部の像を投影光学系PLを介して物体としてのウエハW上に投影しつつ、レチクルRとウエハWとを投影光学系PLの視野に対して1次元方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に相対走査することによって、レチクルRの回路パターンの全体をウエハW上の複数のショット領域(以下、適宜「ショット」と略述する)の各々にステップ・アンド・スキャン方式で転写するものである。
【0051】
この露光装置10は、光源11、露光装置本体12及びこれらの制御系を備えている。
【0052】
前記光源11は、露光用光源であり、例えば出力波長248nmのKrFエキシマレーザ、或いは出力波長193nmのArFエキシマレーザなどのパルスレーザ光源が用いられる。ここで、光源11からの紫外域のパルスレーザ光(以下、適宜「エキシマレーザ光」、「パルス照明光」あるいは「パルス紫外光」ともいう)を露光用照明光として用いるのは、256M〜4Gbitクラス以上の半導体メモリ素子(D−RAM)相当の集積度と微細度とを持つマイクロ回路デバイスの量産製造に必要とされる最小線幅0.25〜0.10μm程度のパターン解像力を得るためである。従って、光源11としてFレーザなどの真空紫外域のパルスレーザ光を出力するレーザ光源を用いても良い。
【0053】
光源11は、通常露光装置本体12が設置される超クリーンルームから隔離された別の部屋(クリーン度の低いサービスルーム)などに設置される。また、露光装置本体12は、内部空間が高度に防塵されるとともに、高精度な温度制御がなされたエンバイロメンタル・チャンバ13の内部に収容され、超クリーンルーム内に設置されている。
【0054】
前記光源11は、不図示の操作パネルと、該操作パネルとインターフェイスされる制御用コンピュータ11Aとを備え、該制御用コンピュータ11Aは通常の露光動作の間は、後述する主制御装置50の指令に応答して光源11のパルス発光を制御する。
【0055】
光源11からのパルスレーザ光(エキシマレーザ光)の波長幅(スペクトル半値幅)は、後述する照明光学系や投影光学系を構成する各種の屈折光学素子に起因した色収差が許容範囲内になるように狭帯域化されている。狭帯域化すべき中心波長の絶対値や狭帯域化幅(0.2pm〜300pmの間)の値は、前記操作パネル上に表示されるとともに、必要に応じて操作パネルから微調整できるようになっている。また操作パネルからはパルス発光のモード(代表的には自励発振、外部トリガー発振、メンテナンス用発振の3つのモード)が設定できる。
【0056】
エキシマレーザを光源とするステップ・アンド・スキャン方式の露光装置の一例は、例えば特開平2−229423号公報、特開平6−132195号公報、特開平7−142354号公報などに開示されている。従って図1の露光装置10においても、上記の各特許公開公報に開示された基礎技術をそのまま、或いは部分的に変更して適用することが可能である。
【0057】
前記露光装置本体12は、照明光学系18(18A〜18R)、レチクルステージRST、投影光学系PL、結像特性補正装置、ステージ装置、ウエハ搬送系及びアライメント系等を備えている。
【0058】
前記照明光学系18は、BMU(ビームマッチングユニット)と呼ばれる光軸調整用の光学系を一部に含む、送光光学系を介して光源11に接続されている。前記送光光学系は、図1に示されるように、一端が光源11に接続され他端がチャンバ13の内部に導入された遮光性の管34と、該管34の他端に接続されたビーム受光系32とを備えている。このビーム受光系32内には、管34を介して導かれた光源11からのエキシマレーザ光が、次に説明する照明光学系の光軸に対して、常に所定の位置関係で入射するように、エキシマレーザ光の照明光学系への入射位置や入射角度を最適に調整する複数の可動反射鏡(図示せず)が設けられている。
【0059】
前記照明光学系18は、図1に示されるように、可変減光器18A、ビーム整形光学系18B、第1フライアイレンズ系18C、振動ミラー18D、集光レンズ系18E、照明NA補正板18F、第2フライアイレンズ系18G、照明系開口絞り板18H、ビームスプリッタ18J、第1リレーレンズ18K、固定レチクルブラインド18L、可動レチクルブラインド18M、第2リレーレンズ18N、照明テレセン補正板(傾斜可能な石英の平行平板)18P、ミラー18Q、及び主コンデンサーレンズ系18R等を備えている。ここで、この照明光学系18の上記構成各部について説明する。
【0060】
可変減光器18Aは、エキシマレーザ光のパルス毎の平均エネルギーを調整するためのもので、例えば減光率が異なる複数の光学フィルタを切り換え可能に構成して減光率を段階的に変更するものや、透過率が連続的に変化する2枚の光学フィルタの重なり具合を調整することにより減光率を連続的に可変にするものが用いられる。この可変減光器18Aを構成する光学フィルタは、主制御装置50によって制御される駆動機構35によって駆動される。
【0061】
ビーム整形光学系18Bは、可変減光器18Aによって所定のピーク強度に調整されたエキシマレーザ光の断面形状を該エキシマレーザ光の光路後方に設けられた後述するダブルフライアイレンズ系の入射端を構成する第1フライアイレンズ系18Cの入射端の全体形状と相似になるように整形して該第1フライアイレンズ系18Cに効率よく入射させるもので、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等で構成される。
【0062】
前記ダブルフライアイレンズ系は、照明光の強度分布を一様化するためのもので、ビーム整形光学系18B後方のエキシマレーザ光の光路上に順次配置された第1フライアイレンズ系18C、集光レンズ18E及び第2フライアイレンズ系18Gから構成される。この場合、第1フライアイレンズ系18Cと集光レンズ18Eとの間には、被照射面(レチクル面又はウエハ面)に生じる干渉縞や微弱なスペックルを平滑化するための振動ミラー18Dが配置されている。この振動ミラー18Dの振動(偏向角)は駆動系36を介して主制御装置50によって制御されるようになっている。
【0063】
第2フライアイレンズ系18Gの入射端側には、照明光の被照射面における開口数の方向性(照明NA差)を調整する照明NA補正板18Fが配置されている。
【0064】
本実施形態のようなダブルフライアイレンズ系と振動ミラー18Dとを組み合わせた構成については、例えば特開平1−235289号公報、特開平7−142354号公報などに詳しく開示されている。
【0065】
前記第2フライアイレンズ系18Gの射出側焦点面の近傍に、円板状部材から成る照明系開口絞り板18Hが配置されている。この照明系開口絞り板18Hには、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に例えば4つの開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り等が配置されている。この照明系開口絞り板18Hは、主制御装置50により制御される不図示のモータ等により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りがパルス照明光の光路上に選択的に設定され、ケーラー照明における光源面形状が輪帯、小円形、大円形、或いは4つ目等に制限される。
【0066】
照明系開口絞り板18H後方のパルス照明光の光路上に、反射率が大きく透過率が小さなビームスプリッタ18Jが配置され、更にこの後方の光路上に、固定レチクルブラインド18L及び可動レチクルブラインド18Mを介在させて第1リレーレンズ18K及び第2リレーレンズ18Nから成るリレー光学系が配置されている。
【0067】
固定レチクルブラインド18Lは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域を規定する所定形状の開口部が形成されている。本実施形態では、この開口部が走査露光時のレチクルRの移動方向(Y軸方向)と直交したX軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状に形成されているものとする。
【0068】
また、固定レチクルブラインド18Lの近傍に走査方向に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド18Mが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド18Mを介して照明領域を更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。この可動レチクルブラインド18Mは、駆動系43を介して主制御装置50によって制御される。
【0069】
前記リレー光学系を構成する第2リレーレンズ18Nの出口部分には、照明テレセン補正板18Pが配置されており、さらにこの後方のパルス照明光の光路上には、第2リレーレンズ18N及び照明テレセン補正板18Pを通過したパルス照明光をレチクルRに向けて反射するミラー18Qが配置され、このミラー18Q後方のパルス照明光の光路上に主コンデンサーレンズ系18Rが配置されている。
【0070】
このようにして構成された照明光学系18の作用を簡単に説明すると、光源11からのエキシマレーザ光が管34、ビーム受光系32を介して照明光学系内に入射すると、このエキシマレーザ光は可変減光器18Aにより所定のピーク強度に調整された後、ビーム整形光学系18Bに入射する。そして、このエキシマレーザ光は、ビーム整形光学系18Bで後方の第1フライアイレンズ系18Cに効率よく入射するようにその断面形状が整形される。次いで、このエキシマレーザ光が第1フライアイレンズ系18Cに入射すると、第1フライアイレンズ系18Cの射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源、すなわち2次光源が形成される。この2次光源(多数の点光源の各々)から発散するパルス紫外光は、振動ミラー18D、集光レンズ系18E、照明NA補正板18Fを介して第2フライアイレンズ系18Gに入射する。これにより、第2フライアイレンズ系18Gの射出側焦点面に多数の微少な光源像を所定形状の領域内に一様分布させた個々の光源像から成る3次光源が形成される。この3次光源から射出されたパルス紫外光は、照明系開口絞り板18H上のいずれかの開口絞りを通過した後、反射率が大きく透過率が小さなビームスプリッタ18Jに至る。
【0071】
このビームスプリッタ18Jで反射された露光光としてのパルス紫外光は、第1リレーレンズ18Kによって固定レチクルブラインド18Lの開口部を一様な強度分布で照明する。但し、その強度分布には、光源11からのパルス紫外光の可干渉性に依存した干渉縞や微弱なスペックルが数%程度のコントラストで重畳し得る。そのためウエハ面上には、干渉縞や微弱なスペックルによる露光量むらが生じ得るが、その露光量むらは先に挙げた特開平7−142354号公報のように、走査露光時のレチクルRやウエハWの移動とパルス紫外光の発振とに同期させて振動ミラー18Dを振ることで平滑化される。
【0072】
こうして固定レチクルブラインド18Lの開口部を通ったパルス紫外光は、可動レチクルブラインド18Mを通過した後、第2リレーレンズ18N及び照明テレセン補正板18Pを通過してミラー18Qによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、主コンデンサーレンズ系18Rを経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の所定の照明領域(X軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な照度分布で照明する。ここで、レチクルRに照射される矩形スリット状の照明光は、図1中の投影光学系PLの円形投影視野の中央にX軸方向(非走査方向)に細長く延びるように設定され、その照明光のY軸方向(走査方向)の幅はほぼ一定に設定されている。
【0073】
一方、ビームスプリッタ18Jを透過したパルス照明光は、不図示の集光レンズを介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ46に入射し、そこで光電変換される。そして、このインテグレータセンサ46の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して主制御装置50に供給される。インテグレータセンサ46としては、例えば遠紫外域で感度があり、且つ光源11のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。このインテグレータセンサ46の出力と、ウエハWの表面上でのパルス紫外光の照度(露光量)との相関係数は予め求められて、主制御装置50内のメモリに記憶されている。
【0074】
前記レチクルステージRSTは、図1に示されるように、主コンデンサーレンズ系18Rの下方に配置されたレチクルベース定盤28の上方に配置されている。このレチクルベース定盤28の上面には、不図示のガイドが走査方向(Y軸方向、第1軸方向)に沿って延設されている。また、レチクルベース定盤28の中央部には、開口28aが形成されている。
【0075】
レチクルベース定盤28上には、レチクルRを吸着保持して不図示のガイドに沿ってY方向に移動する前記レチクルステージRSTが配置されている。このレチクルステージRSTは、実際には、レチクル駆動系29を構成するリニアモータ等によって駆動され、レチクルベース定盤28上をY軸方向に大きなストロークで直線移動するレチクル粗動ステージと、該レチクル粗動ステージに対してX軸方向(第2軸方向)、Y軸方向及びθz方向(Z軸回りの回転方向)にボイスコイルモータ(VCM)、ピエゾ素子等によって微小駆動が可能なレチクル微動ステージとを含んで構成されている。レチクル微動ステージ上に前記レチクルRが吸着保持されている。このようにレチクルステージRSTは、2つのステージを含んで構成されるが、以下では、レチクル駆動系29によってY軸方向に沿って大きく駆動されるとともに、X、Y及びθz方向に微小駆動される単一のステージであるものとして説明する。
【0076】
レチクルステージRST上にはレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)30からのレーザビームを反射する移動鏡31が固定されており、レチクルステージRSTの移動面内の位置はレチクル干渉計30によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージRST上にはY軸方向に直交する反射面を有する移動鏡とX軸方向に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、これらの移動鏡に対応してレチクルY干渉計とレチクルX干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡31、レチクル干渉計30として示されている。なお、例えば、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡31の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクルステージRSTの走査方向(本実施形態ではY軸方向)の位置検出に用いられるX軸方向に伸びた反射面の代わりに、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー(例えばレトロリフクタ)を用いても良い。ここで、レチクルY干渉計とレチクルX干渉計の一方、例えばレチクルY干渉計は、測長軸を2軸有する2軸干渉計であり、このレチクルY干渉計の計測値に基づきレチクルステージRSTのY位置に加え、θz方向の回転も計測できるようになっている。
【0077】
レチクル干渉計30によって計測されるレチクルステージRST(即ちレチクルR)の位置情報(又は速度情報)はレチクルステージコントローラ33に送られる。レチクルステージコントローラ33は、基本的にはレチクル干渉計30から出力される位置情報(或いは速度情報)が指令値(目標位置、目標速度)と一致するようにレチクルステージRSTを駆動するレチクル駆動系29を制御する。
【0078】
前記投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る1/4(又は1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている。この投影光学系PLの光軸AXの方向がZ軸方向とされている。この場合、レチクルR上の回路パターン領域のうちのパルス紫外光によって照明された部分からの結像光束が、投影光学系PLを介して、後述するウエハステージWST上のウエハホルダに静電吸着されたウエハW上のレジスト層に1/4又は1/5に縮小されて投影される。
【0079】
なお、投影光学系PLを特開平3−282527号公報に開示されているように屈折光学素子と反射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合わせたいわゆるカタディオプトリック系としても良いことは勿論である。
【0080】
前記結像特性補正装置は、投影光学系PLの各種光学特性(結像性能)を微調整するもので、本実施形態では、投影光学系PL内の物体面に近い位置に設けられ光軸AX方向への微小移動及び光軸AXに直交する面に対する微小傾斜が可能なテレセン部レンズ系G2とこのレンズ系G2を光軸AX方向(傾斜を含む)に微動させる駆動機構96とから成るMACと、該MAC(すなわち駆動機構96)を制御する結像特性補正コントローラ102とを備えている。この結像特性補正装置によると、投影像の倍率又はディストーション(等方的な歪曲収差、又は樽形、糸巻き形、台形等の非等方的な歪曲収差等)を調整することができる。結像特性補正コントローラ102も主制御装置50の管理下にある。なお、主制御装置50又は結像特性補正コントローラ102が、光源11からのエキシマレーザ光の波長のシフト量を制御することにより、投影光学系PLの結像性能を調整することとしても良い。
【0081】
また、投影光学系PL内の像面に近い位置には、投影される像のうち特に像高の大きい部分(投影視野内の周辺に近い部分)に生じ易い非点収差、コマ収差を低減させるための収差補正板G3が配置されている。
【0082】
さらに、本実施形態では、円形視野内の実効的な像投影領域(固定レチクルブラインド18Lの開口部で規定)に形成される投影像に含まれるランダムなディストーション成分を有効に低減させるための像歪み補正板G1が、投影光学系PLのレンズ系G2とレチクルRとの間に配置されている。この補正板G1は、数ミリ程度の厚みを持つ平行な石英板の表面を局所的に研磨し、その研磨部分を通る結像光束を微小に偏向させるものである。このような補正板G1の作り方の一例は、特開平8−203805号公報などに詳細に開示されており、本実施形態においても基本的にはその公報に示された手法を応用するものとする。
【0083】
次に、ステージ装置について説明する。このステージ装置は、図1に示されるように、不図示の架台部を構成する定盤22と、この定盤22上に配置されXY面内で移動可能な物体ステージとしてのウエハステージWSTとを備えている。
【0084】
ウエハステージWSTは、その底面に設けられた不図示の気体静圧軸受けにより定盤22の上面に対して例えば数μm程度クリアランスを介して浮上支持され、Xリニアモータ及びYリニアモータ、あるいは平面モータなどによって、XY2次元平面内で自在に駆動されるようになっている。なお、図1においては、図示の便宜上、上記のリニアモータなどのアクチュエータが駆動系48として図示されている。この駆動系48(すなわち上記のXリニアモータ及びYリニアモータなど)は、ウエハステージコントローラ78によって制御されるようになっている。
【0085】
前記ウエハステージWSTは、図1に示されるように、定盤22上をXY平面内で自在に移動可能な移動ステージ52と、この移動ステージ52上に搭載された駆動機構としてのレベリング駆動機構58と、このレベリング駆動機構58により支持されウエハWを保持するウエハテーブルTBとを備えている。移動ステージ52は、平面視(上方から見て)矩形状に形成されている。
【0086】
前記ウエハテーブルTBは、移動テーブル52上に搭載されたレベリング駆動機構58を構成する3つのアクチュエータZACに支持されている。ウエハテーブルTB上には、ほぼ円形の不図示のウエハホルダが設けられており、このウエハホルダにウエハWが静電吸着され、平坦化矯正されて保持されている。このウエハホルダはウエハWの露光時の熱蓄積による膨脹変形を押さえるために温度制御されている。
【0087】
前記レベリング駆動機構58は、ウエハテーブルTBを正三角形の3つの頂点近傍でそれぞれ支持するとともに各支持点でXY平面に垂直なZ軸方向に独立して駆動可能な3つのアクチュエータ(ピエゾ素子、ボイスコイルモータ等)ZACと、これら3つのアクチュエータZACを独立に制御することによりウエハテーブルTBを光軸AXの方向(Z軸方向)に微動するとともに、XY平面に対して傾斜させるアクチュエータ制御装置56とによって構成される。アクチュエータ制御装置56に対する駆動指令はウエハステージコントローラ78から出力される。
【0088】
なお、図1では図示が省略されているが、投影光学系PLの結像面とウエハW表面とのZ軸方向の偏差(フォーカス誤差)や傾斜(レベリング誤差)を検出するフォーカス・レベリング検出系が投影光学系PLの近傍に設けられ、ウエハステージコントローラ78はフォーカス・レベリング検出系からのフォーカス誤差信号やレベリング誤差信号に応答してアクチュエータ制御装置56に駆動指令を出力する。そのようなフォーカス・レベリング検出系の一例は、特開平7−201699号公報などに詳細に開示されている。なお、このフォーカス・レベリング検出系の出力は、ウエハステージコントローラ78を介して同期制御系80及びこれを介して主制御装置50にも供給されるようになっている。
【0089】
前記ウエハテーブルTBの位置は、レーザ干渉計システム76によって逐次計測されている。これを更に詳述すると、ウエハテーブルTBの−Y側及び+X側の各端面には鏡面加工が施され反射面がそれぞれ形成されている。そして、これらの反射面にレーザ干渉計システム76を構成するYレーザ干渉計、Xレーザ干渉計からのレーザビームがそれぞれ投射され、それぞれの反射光がそれらの干渉計によって個別に受光され、ウエハテーブルTBのY軸方向の位置、X軸方向の位置がそれぞれ計測されている。このように、レーザ干渉計は複数設けられているが、図1ではこれらが代表的にレーザ干渉計システム76として示されている。なお、ウエハテーブルTBに形成された前述の各反射面に代えて、平面ミラーから成る移動鏡を設けても良い。
【0090】
また、上記Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハテーブルTBのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではレーザ干渉計システム76によって、ウエハテーブルTBのX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。また、多軸干渉計は、45°傾いてウエハテーブルTBに設置される反射面を介して、投影光学系PLが載置される架台(不図示)に設置される反射面にレーザビームを照射し、投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に関する相対位置情報を検出するようにしても良い。
【0091】
なお、ウエハテーブルTBのZ軸方向の微小駆動及び傾斜駆動を行うレベリング駆動機構58は、実際には、前述の反射面の下にあるので、ウエハテーブルTBのチルト制御時の駆動量は全て、レーザ干渉計システム76によりモニタすることができる。
【0092】
前記レーザ干渉計システム76によって計測されるウエハテーブルTB(すなわちウエハステージWST)の位置情報はウエハステージコントローラ78に送られる。ウエハステージコントローラ78は、所定の演算によりXY座標位置を求め、この求めた座標位置と位置決めすべき目標位置情報とに基づいてウエハステージWSTを駆動させるための指令信号を駆動系48へ出力する。
【0093】
前記ウエハテーブルTB上には、その表面がウエハWの表面とほぼ同じ高さとなるようにされた基準マーク板FMが設けられている。この基準マーク板FMの表面には後述する各種アライメント検出系によって検出可能な基準マークが形成され、それらの基準マークは、各アライメント検出系の検出中心点のチェック(キャリブレーション)、それら検出中心点と投影光学系の投影中心との距離(ベースライン)の計測、レチクルRのウエハ座標系に対する位置チェック、又はレチクルRのパターン面と共役な最良結像面のZ方向の位置チェック等のために使われる。
【0094】
前記ウエハ搬送系は、不図示のウエハ保管部とウエハステージWSTとの間でウエハWを搬送する。このウエハ搬送系は、所定のローディング位置(受渡し位置)に移動してきたウエハステージWST上のウエハホルダとの間でウエハWの受け渡しを行うロボットアーム(ウエハロード/アンロードアーム)を備えている。
【0095】
本実施形態の露光装置10では、アライメント系として、投影光学系PLを介さないでウエハW上の各ショット領域に形成されたアライメントマークや、基準マーク板FM上の基準マークを光学的に検出するオフアクシス・アライメント検出系ALGが用いられている。このアライメント検出系ALGは、図1に示されるように、投影光学系PLの側方に配置されている。このアライメント検出系ALGは、ウエハW上のレジスト層に対して非感光性の照明光(一様照明又はスポット照明)を対物レンズを通して照射し、アライメントマークや基準マークからの反射光を対物レンズを介して光電的に検出する。光電検出されたマーク検出信号は、信号処理回路68に入力されるが、この信号処理回路68には、ウエハステージコントローラ78、同期制御系80及び主制御装置50を介してレーザ干渉計システム76の計測値が入力されている。そして、信号処理回路68は、上記の光電検出されたマーク検出信号を所定のアルゴリズムの下で波形処理し、この処理結果とレーザ干渉計システム76の計測値とに基づいて、マークの中心がアライメント検出系ALG内の検出中心(指標マーク、撮像面上の基準画素、受光スリット、或いはスポット光等)と合致するようなウエハステージWSTの座標位置(ショットアライメント位置)、或いは検出中心に対するウエハマーク、基準マークの位置ずれ量を求めるようになっている。その求められたショットアライメント位置または位置ずれ量の情報は、主制御装置50に送られ、ウエハステージWSTのアライメント時の位置決め、ウエハW上の各ショット領域に対する露光のための走査開始位置(又は加速開始位置)の設定等に使われる。
【0096】
さらに、本実施形態の露光装置10では、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させるための同期制御系80が、制御系内に設けられている。この同期制御系80は、特に走査露光時に、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させる際に、レチクルステージコントローラ33による駆動系29の制御とウエハステージコントローラ78による駆動系48の制御とを相互に連動させるために、レチクル干渉計30、レーザ干渉計システム76で計測されるレチクルRとウエハWの各位置や各速度の状態をリアルタイムにモニタし、それらの相互の関係が所定のものとなるように管理する。その同期制御系80は、主制御装置50からの各種のコマンドやパラメータの設定情報によって制御される。このように、本実施形態では、同期制御系80、レチクルステージコントローラ33及びウエハステージコントローラ78によって、両ステージRST,WSTを制御するステージ制御系が構成されている。
【0097】
本実施形態の露光装置10では、前記制御系は、実際には、上述した光源11及び露光装置本体12各部のユニット(照明光学系、レチクルステージRST、ウエハステージWST、ウエハ搬送系等)の各々を個別に制御する複数のユニット側コンピュータ(マイクロセッサ等)と、これらのユニット側コンピュータを統括的に制御するワークステーションなどから成る制御装置としての主制御装置50とを備えた分散型システムとして構築されている。
【0098】
本実施形態では、上記の複数のユニット側コンピュータが主制御装置50と連携することによって、複数枚のウエハに対する一連の露光処理が実行される。その一連の露光処理の全体的なシーケンスは主制御装置50によって、不図示のメモリに記憶されたプロセスプログラムと呼ばれる所定の露光条件の設定ファイルに従って統括制御される。
【0099】
プロセスプログラムはオペレータが作成した露光処理ファイル名のもとに、露光すべきウエハに関する情報(処理枚数、ショットサイズ、ショット配列データ、アライメントマーク配置データ、アライメント条件等)、使用するレチクルに関する情報(パターンの種別データ、各マークの配置データ、回路パターン領域のサイズ等)、そして露光条件に関する情報(露光量、フォーカスオフセット量、走査速度のオフセット量、投影倍率オフセット量、各種の収差や像歪みの補正量、照明光学系の開口数やコヒーレンスファクタσ値等の設定値、投影光学系の開口数の設定値等)をパラメータ群のパッケージとして記憶するものである。
【0100】
主制御装置50は、実行指示されたプロセスプログラムを解読してウエハの露光処理に必要な各構成要素の動作を、対応するユニット側コンピュータにコマンドとして次々に指令していく。このとき、各ユニット側コンピュータは1つのコマンドを正常終了すると、その旨のステータスを主制御装置50に送出し、これを受けた主制御装置50はユニット側コンピュータに対して次のコマンドを送るようになっている。
【0101】
次に、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるステージ制御系(ウエハステージコントローラ78、レチクルステージコントローラ33、同期制御系80)によって行われる1つのショット領域の露光の際のウエハステージの基本的な走査手順について図2(A)及び図2(B)を参照しつつ、簡単に説明する。
【0102】
図2(A)には、投影光学系PLの有効フィールドPL’に内接するウエハ上のスリット状の照明領域(レチクルR上の照明領域と共役な領域;以下、「照明スリット」という)STと1つの区画領域としてのショット領域Sとの関係が平面図にて示され、図2(B)には、ステージ移動時間とステージ速度との関係が示されている。なお、実際には、ショット領域Sが照明スリットSTに対して矢印Yの反対方向に移動することで露光が行なわれるが、図2(A)では、図2(B)のステージ移動時間とステージ速度の関係表と対応付けるため、照明スリットSTがショット領域Sに対し移動するように示されている。
【0103】
まず、基本的(一般的な)走査手順としては、ショット領域Sの端部から所定量離れた位置に照明スリットSTの中心Pが位置付けられ、ウエハステージWSTの加速が開始される。このとき、同時にレチクルステージRSTは、ウエハステージWSTと反対向きにかつウエハステージWSTの加速度の投影倍率の逆数倍の加速度で加速が開始されている。そして、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTが所定の速度に近づいた時点で、レチクルRとウエハWの同期制御が開始される。この両ステージWST、RSTの加速開始時点から同期制御の開始時点までの時間Tを、加速時間と呼ぶ。同期制御開始後、ウエハとレチクルの変位誤差が所定の関係になるまでレチクルステージRSTによるウエハステージWSTに対する追従制御が行われ、露光が開始される。この同期制御開始後、露光開始までの時間Tを、整定時間と呼ぶ。
【0104】
上記の加速開始から露光開始までの時間(T+T)がプリスキャン時間と呼ばれる。加速時間Tでの平均加速度をa、整定時間をTとすると、プリスキャン時における移動距離は(1/2)・a・T +a・T・Tで表わされる。
【0105】
また、等速移動により露光が行われる露光時間Tは、ショット長をL、照明スリットSTの走査方向の幅をwとした場合、T=(L+w)/(a・T)となり、移動距離はL+wとなる。
【0106】
この露光時間Tの終了時点でショット領域Sに対するレチクルパターンの転写は終了するが、スループット向上のため、ステップ・アンド・スキャン方式では、通常レチクルRを交互スキャン(往復スキャン)させることで、順次次のショットに対する露光を行うので、前記プリスキャンでの移動距離と同じ距離だけ、露光終了時点から更にレチクルRを移動して、レチクルRを次ショット露光のための走査開始位置まで戻すことが必要である。このとき、ウエハ(ウエハステージ)はレチクル(レチクルステージ)に対応して走査方向に移動されることとなる。このための時間が、等速度オーバースキャン時間(後整定時間)T、減速オーバースキャン時間Tであり、総じて(T+T)がオーバースキャン時間である。このオーバースキャン時間における移動距離は、減速オーバースキャン時間Tにおける減速度をbとすると、−(1/2)・b・T −b・T・Tとなり、この距離が(1/2)・a・T +a・T・TとなるようにT、T、及び減速度bが設定される。
【0107】
一般の制御系ではa=−bなので、T=T、T=Tに設定するのが最も容易な制御法となる。
【0108】
次に、本実施形態の露光装置10により、レチクルRのパターンをウエハW上の複数のショット領域に順次転写する際の動作について、主制御装置50(より正確には主制御装置50内のCPU)の処理アルゴリズムを示す図3のフローチャートを中心に、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。ここでは、図4に示されるような複数(例えば76個)のショット領域に対して、同図に示されるような経路で露光を行う場合について説明する。ここで、図4中の経路は、前述の照明スリットSTの中心Pが各ショット上を通過する軌跡を示し、この軌跡中の実線部は、各ショットの露光の際の照明スリットSTの中心P(以下「点P」とも記述する)の経路を示し、点線部は、非走査方向の同一行内の隣接ショット間における点Pの移動軌跡を示し、一点鎖線部は、異なる行間における点Pの移動軌跡を示す。なお、実際には、点Pが固定でウエハWが移動するのであるが、図4においては、説明を分かり易くするため、ウエハW上を点P(照明スリットSTの中心)が移動するかのように図示されている。
【0109】
まず、図3のフローチャートの処理に先立って、主制御装置50により各ユニットコンピュータを介して、不図示のレチクル顕微鏡、ウエハテーブルTB上の基準マーク板FM、及びアライメント検出系ALGを用いたレチクルアライメント、アライメント検出系ALGのベースライン計測、及びウエハアライメント(EGA等)等の準備作業が行われる。
【0110】
なお、上記のレチクルアライメント、ベースライン計測等については、例えば特開平7−176468号公報等に詳細に開示され、また、EGAについては、特開昭61−44429号公報等に詳細に開示されており、公知であるから詳細説明は省略する。
【0111】
このような準備作業が終了すると、図3のフローチャートがスタートする。
【0112】
まず、ステップ102において、露光対象のショットが属する行の番号を示すカウンタn及び行内のショット番号を示すカウンタmをともに1に初期化する(1←m、1←n)。
【0113】
次のステップ104で、ウエハ上のファーストショット、すなわち1行目の1番目のショットの露光に必要な各種設定情報を、同期制御系80に伝送する。ここで、各種設定情報には、前述したレチクルステージ、ウエハステージの位置制御に関連する制御情報、例えば露光に先立って行われる例えばEGA方式のウエハアライメントにより得られるEGAパラメータ(ウエハのX,Y方向のオフセットOx,Oy、ウエハの移動を規定するステージ座標系の直交度誤差w、ウエハの回転誤差θ、ウエハのX,Y方向の拡大縮小(スケーリング)誤差rx,ry)の設定値(これは露光時のウエハの位置を決定するためのデータとなる)、及び露光時の両ステージの位置に関連した補正パラメータ(例えば、レチクルステージ(あるいはウエハステージ)側の移動鏡の曲がり情報)、並びに露光量制御に関するデータ、例えばエキシマレーザのパルスエネルギ密度、パルス発光数等のデータ、更には設定された露光シーケンスデータなどが含まれる。また、場合によっては、ステージ移動時の各機構部のエラー情報なども含まれる。
【0114】
次のステップ106では、同期制御系80に対してレチクルステージRST及びウエハステージWSTの移動を指示する。
【0115】
上記の主制御装置50からの指示に基づき、同期制御系80では、ウエハW上のファーストショットの露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハWを移動させるためウエハステージコントローラ78に指示を与える。これにより、ウエハステージコントローラ78によってウエハ駆動系48を介してウエハステージWSTが上記の加速開始位置に移動される。次いで、同期制御系80では、干渉計システム76及びレチクル干渉計30の計測値をモニタしつつ、ウエハステージコントローラ78、レチクルステージコントローラ33をそれぞれ介して前述したレチクル駆動系29及びウエハ駆動系48を制御し、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY軸方向の相対走査を開始する。
【0116】
このとき、主制御装置50は、ステップ108で、両ステージRST、WSTの目標走査速度への加速が終了するのを待っている。そして、両ステージRST、WSTの加速が終了すると、光源11の発光を開始する。
【0117】
この光源11の発光開始とほぼ同時に、同期制御系80では、両ステージRST、WSTの露光前同期整定動作を開始している。
【0118】
このように、両ステージRST、WSTの同期整定が完了して露光が開始されるのに先立って、光源1の発光は開始されているが、主制御装置50によりレチクル干渉計30の計測値に基づいて、レチクルステージRSTと同期して可動レチクルブラインド18Mの所定のブレードの移動が制御され、レチクルRのパターン領域外の余分な部分が露光されるのが防止されているのは、通常のスキャニング・ステッパと同様である。
【0119】
そして、両ステージRST、WSTが等速同期状態に達すると、照明光学系18からの紫外パルス光によってレチクルRのパターン領域が照明され始め、前述の走査露光が開始される。
【0120】
同期制御系80は、特に上記の走査露光時には、レチクルステージRSTのY軸方向の移動速度VrとウエハステージWSTのY軸方向の移動速度Vw(=Vy)とが、投影光学系PLの投影倍率(1/4倍あるいは1/5倍)に応じた速度比に維持されるように同期制御を行う。
【0121】
そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が紫外パルス光で逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上のファーストショットの走査露光が終了する。これにより、レチクルRのパターンが投影光学系PLを介してファーストショットに縮小転写される。
【0122】
上記の走査露光中、主制御装置50は、ステップ112で露光が終了するのを待っている。
【0123】
そして、上記のようにしてファーストショットの走査露光が終了すると、ステップ112での判断が肯定され、ステップ114に進んでレーザ光の照射を停止する。この照射停止は、光源11の発光そのものを停止しても良いし、光源11内の不図示のシャッタを閉鎖しても良い。
【0124】
次のステップ116では、カウンタmを参照して、そのカウント値mが第n行目(ここでは第1行目)の最後のショット番号であるか否かを、例えばショットマップに基づいて判断する。ここでは、m=1であるため、ここでの判断は否定され、ステップ118に進んでカウンタmを1インクリメントした後、ステップ120に移行し、第n行目第m番目のショット(ここでは、第1行目第2番目のショット、すなわちセカンドショット)の露光に必要な各種設定情報を、同期制御ユニット80に伝送する。この各種設定情報の伝送は、同期制御系80によって、露光終了直後の走査方向に関するウエハステージWST及びレチクルステージRSTの等速オーバースキャン(後整定)動作が行われている間に行われる。このため、同期制御系80では、送られてきた各種設定情報を無理なく受け取り内部メモリに記憶することができる。
【0125】
上記の設定情報の伝送後、主制御装置50では、ステップ122で第1モードの両ステージRST、WSTの移動(以下、「第1モードの移動」と略述する)を、同期制御系80に指示した後、ステップ108に戻り、両ステージRST、WSTの目標走査速度への加速が終了するのを待つ。
【0126】
このステップ108の待ち状態の間、同期制御系80によって、第1モードの移動動作が実行される。以下、この第1モードの移動動作について、詳述する。<第1モードの移動動作>
ここでは一例として、図5に示されるような同一行に位置する隣接ショット、ファーストショットS、セカンドショットSを順次露光する場合の、ショット間における両ステージの移動動作について説明する。
【0127】
図6(A)には、この第1モードの移動動作におけるウエハステージWSTの走査方向(Y軸方向)に関するジャーク(jerk)曲線J(t)が実線で示され、非走査方向(X軸方向)に関するジャーク曲線J(t)が点線で示されている。ここで、ジャークとは、加速度の変化する割合、すなわち位置の時間による3階微分のことである。
【0128】
また、図6(B)には、図6(A)に対応するウエハステージWSTの走査方向に関する加速度曲線A(t)が実線で示され、非走査方向に関する加速度曲線A(t)が点線で示されている。また、図6(C)には、図6(A)及び図6(B)に対応するウエハステージWSTの走査方向に関する速度曲線V(t)が実線で示され、非走査方向に関する速度曲線V(t)が点線で示されている。また、図6(D)には、図6(A)〜図6(C)に対応するウエハステージWSTの走査方向に関する変位曲線P(t)が実線で示され、非走査方向に関する変位曲線P(t)が点線で示されている。また、これら図6(A)〜図6(D)において、横軸は時間(t)を示す。
【0129】
なお、この第1モードの移動動作では、レチクルステージRSTは、上記のジャーク(jerk)曲線J(t)、加速度曲線A(t)、速度曲線V(t)及び変位曲線P(t)の投影倍率の逆数倍の大きさの各時間変化曲線に従って移動するので、詳細説明は省略する。
【0130】
ここで、本実施形態では、実際には、図6(A)のジャーク曲線に基づいて、速度又は位置の指令値が同期制御系80によって生成され、この指令値に従ってウエハステージコントローラ78によってウエハ駆動系48を介してウエハステージWSTが制御されるが、以下では、説明を分かり易くするために、図6(C)の速度曲線を中心として、適宜他の図面を参照して説明を行う。
【0131】
まず、走査方向(スキャン方向)について考える。前述のようにしてショットSの露光が終了した時点t(このとき点Pは、図5中の点Aの位置にある)から等速オーバースキャン時間T経過した時点t(=t+T)に、ウエハステージWSTは減速(図5中の+Y方向に速度を有する時の−Y方向の加速)を開始する。減速開始後、その減速度が徐々に大きくなって(−Y方向の加速度がその絶対値が大きくなって)所定の一定値(−Aa)となり、その後一定時間ΔT、その一定値を維持する(図6(B)参照)。但し、減速開始時点tから時間Ty5の間が減速時間である。
【0132】
このとき、図5中の点A(0,Ay)を基準点としてウエハステージWSTは、図6(C)に示されるように、露光終了時点tから時間Tの間一定速度Vscanで+Y方向に進み、その後は、時間T経過の時点tを時間の基準点として、図6(C)の速度曲線V(t)に従った速度で時間Ty5だけ更に+Y方向に進む。この時間Ty5が経過した時点tで、別の区画領域としてのショットSに対するプリスキャンが開始される分岐点B(Bx,By)となる(図5参照)。
【0133】
その後、ウエハステージWSTは、加速開始点tを時間の基準として、−Y方向に速度曲線V(t)に従った速度で時間Ty1の間加速される。
【0134】
上記の時間(Ty5+Ty1)の間、ジャーク曲線J(t)は、図6(A)に示されるように、中央部にジャーク=0の区間を挟んだ下側凸の山形(谷)と上側凸の山形とが存在する形状の曲線、すなわち2極化された符号が反転した曲線となっている。
【0135】
すなわち、第1モードの移動動作では、かかるジャーク曲線J(t)を、あるショットに対する露光の終了後、次のショットに対する露光のための同期整定期間(T)の前までのウエハステージWSTの走査方向に関する助走動作に際しての指令値の基本とするので、対応する期間では、加速度曲線A(t)が、図6(B)中に実線で示されるような台形状となっている。このため、この助走期間に関しては、該期間中の最高減速度(最大瞬間減速度)、あるいは最高加速度(最大瞬間加速度)の絶対値Aymax=Aaと、平均加速度の絶対値Ayaveとの間には、
Ayave<Aymax=Aa<2Ayave
の関係が成立する。
【0136】
一方、図7(A)〜図7(D)には、図6(A)〜図6(D)に対応して、従来の露光装置におけるウエハステージのジャーク曲線、加速度曲線、速度曲線、変位曲線(これらの図において横軸は時間である)が、比較例として示されている。図7(A)を見ると、上記のウエハステージの走査方向に関する助走動作が行われる期間において、ジャーク曲線として4極化したジャーク曲線が用いられていることがわかる。このため、加速度曲線が、対応する期間では、図7(B)中に実線で示されるようなほぼ三角形状となっている。このため、この助走期間に関しては、最高加速度(最大瞬間加速度)又は最大減速度(最大瞬間減速度)の絶対値Aymaxと、平均加速度の絶対値Ayaveとの間には、
Aymax≒2Ayave
の関係が成立していた。
【0137】
これより、本実施形態の露光装置10では、最大加速度(又は最大減速度)の絶対値に対する平均加速度(又は平均減速度)の絶対値の比率が向上する、換言すれば、最大加速度(又は最大減速度)を抑制することが可能になり、これにより、その加速(又は減速)の際にウエハステージWSTを駆動するリニアモータなどのアクチュエータあるいはその駆動アンプなどの小型化、及び消費電力の低減による発熱の抑制などが可能となっている。レチクルステージRST側でも、これと同様の効果が得られ、さらに、レチクルステージRST側ではジャークの変動(急激な変化やその変化の頻度)が抑制されるので、レチクルRのずれの発生をも効果的に抑制することができる。
【0138】
上記の如くして加速が行われ、図6(B)中に示される時点tになると、ウエハステージWSTが目標走査速度である−Vscan(ここで負号は、−Y方向の速度という意味である)に達し、その後、レチクルRとウエハWの同期制御期間としての時間Tを経て、露光が開始される。露光時間TはT=(ショット長Ly+照明スリット幅w)/Vscanで表わされる。
【0139】
次に非走査方向(非スキャン方向)の移動動作(ショット間ステッピング動作)を考える。図6(C)に示されるように、ショットSの露光が終了した時点tで直ちに、速度曲線V(t)に従ってウエハステージWSTの−X方向への加速が開始される。そして、加速開始から時間Tx5が経過した時点で最高速度である−Vxmax(ここで負号は−X方向の速度であることを意味する)に達する。このとき、ウエハステージWSTのX座標は、−Bxであり、点Pは、図5中の点B(Bx,By)にある。次いで、その時点から速度曲線V(t)に従って減速(−X方向に速度を有する時の+X方向の加速)を開始する。そして、減速開始時点(加速終了時点)から時間Tx1が経過すると減速が終了し速度0となる(すなわち非スキャン方向に関する移動を停止する)。このとき、ウエハステージのX座標は、−Lx(Lxはステッピング長である)となっており、P点は図5中の点C(Lx,Cy)に達している。
【0140】
すなわち、スキャン方向に関しては、図6(C)に示されるように、前ショットの露光終了時点tから時間(T+Ty5+Ty1)が経過した時点tで次ショットの露光のための加速が終了するが、非スキャン方向に関しては図6(C)に示されるように、前ショットの露光終了時点から時間(Tx5+Tx1)が経過した時点では加減速が終了しており、これより、仮にTy1=Tx1かつTy5=Tx5が成り立つとすると、スキャン方向の整定時間Tにおける同期制御開始よりTだけ早くステッピング動作が終了することが分かる。この時ウエハステージWSTの軌跡は、図5に示されるように放物線状となる。
【0141】
上述したスキャン方向の整定時間における同期制御開始より非スキャン方向のステッピング動作が早く終了するとは、スキャン方向の速度がゼロとなる点、すなわち減速が終了して次ショットの露光のための加速が開始される点である図5のB点(Bx,By)のX座標BxがショットSとSの境界よりS寄りとなるように、ウエハステージWSTのスキャン方向のオーバースキャン及びプリスキャン動作に並行して、非スキャン方向の移動動作(ステッピング動作)が行われるように、ウエハステージコントローラ78及び同期制御系80が、ウエハステージWSTのX、Yそれぞれの方向の移動を制御するようになっているということである。
【0142】
上記の非走査方向のステッピングの際のジャーク曲線J(t)は、図6(A)に点線で示されるように、異なる形状で相互に逆向きのジャーク曲線が2組含まれ、合計で4極化されたジャーク曲線となっており、かつこのジャーク曲線にはジャーク零の区間が含まれていない。すなわち、この場合、図6(B)及び図6(C)からも明らかなように非走査方向に関しては加速度A(t)、及び速度V(t)が常に変化しており、非走査方向に関してウエハステージWSTは常に移動している。換言すれば、ウエハステージWSTは途中で停止することなく、スキャン方向の助走動作と並行してステッピング動作を行う。
【0143】
従って、ほぼ最短時間でウエハステージWSTのショット間移動動作(走査方向及び非走査方向を含む)が可能となり、スループットの向上が可能となる。
【0144】
ところで、前述の如く、プリスキャン時間にはレチクルRをウエハWに完全に追従させるための整定時間Tが含まれるため、非スキャン方向に関する加減速制御はできるだけ整定時間Tの開始時点より早く終了していることが望ましい。これを実現するため、本実施形態では、ウエハステージコントローラ78及び同期制御系80では、図6(C)からも明らかなように、露光終了に続くウエハステージWSTのスキャン方向での等速オーバースキャン時間Tの間に、ウエハステージWSTの非スキャン方向での移動動作を開始することとしており、その等速オーバースキャン時間T分だけ早く非スキャン方向に発生する加減速制御を終了するような制御を行っている。すなわち、非走査方向のステッピングは、走査方向の同期制御の開始より先に終了しているので、同期制御系80では、整定時間Tの間は、スキャン方向の同期制御のみに専念できる。これに加え、同期制御の際に非走査方向の減速の影響が殆どないため、同期整定時間Tの短縮及びこれに対応して等速オーバースキャン時間(後整定時間)Tの短縮も可能であり、この点においてもスループットの向上が可能である。
【0145】
図3の説明に戻り、上で説明した第1モードの移動動作が行われている間、主制御装置50では、前述の如く、ステップ108で両ステージRST、WSTの加速が終了するのを待っている。そして、上記の第1モードの移動動作が終了すると、ステップ108の判断が肯定され、以後ステップ110→112→114→116→118→120→122→108のループにおける処理(判断を含む)を、ステップ116における判断が肯定されるまで繰り返す。これにより、第n行目の第2番目のショット(この場合第1行目の第2番目のショット(セカンドショット)から第n行目(この場合第1行目)の最後のショットのそれぞれに対して、交互スキャンにて走査露光がそれぞれ行われ、それらのショットに対してレチクルRのパターンが順次転写される。
【0146】
このようにして、第1行目の最後のショットに対する走査露光が終了すると、ステップ116における判断が肯定され、ステップ124に移行する。
【0147】
ステップ124では、カウンタmを1に初期化するとともに、カウンタnを1インクリメントする(m←1、n←n+1)。
【0148】
次のステップ126では、カウンタnを参照して、そのカウント値nが最終行番号Nより大きいか否かを判断する。この場合、n=2であるから、このステップ126における判断は否定され、ステップ128に進んでn行目(この場合2行目)の第1番目のショットの露光に必要な各種設定情報を、同期制御系80に伝送した後、ステップ130に進んで第2モードの両ステージRST、WSTの移動(以下、「第2モードの移動」と略述する)を、同期制御系80に指示した後、ステップ108に戻り、両ステージRST、WSTの目標走査速度への加速が終了するのを待つ。このステップ108の待ち状態の間、同期制御系80によって、第2モードの移動動作が実行される。以下、この第2モードの移動動作について、説明する。
【0149】
<第2モードの移動動作>
この第2モードの移動動作は、図4中に一点鎖線で示される、異なる行間における点Pの移動軌跡に対応する、最終行以外の行(非走査方向に並ぶ複数のショットから成る行)内の最終ショット(便宜上「ショットA」と呼ぶ)の露光終了後、異なる行(次の行)の最初のショット(便宜上「ショットB」と呼ぶ)の露光開始前に行われる両ステージの移動動作である。
【0150】
この異なる行間の移動動作では、ウエハのスキャン露光前の加速条件とレチクルのスキャン前の加速条件とを合わせる必要があるため、ウエハステージは露光開始に先立って、非スキャン方向のみでなくスキャン方向に関しても一旦停止する必要がある。
【0151】
このため、上記のショットA、B間におけるウエハステージWSTの走査方向に関する移動動作のシーケンスとしては、ショットAの露光後の等速オーバースキャン(後整定)→ショットAの露光のための走査開始位置に対応する位置(露光後の減速終了位置)まで移動→ショットBの露光のための走査開始位置(加速開始位置)までの移動→その加速開始位置で停止→加速→露光前の同期整定の手順が通常は採用される。この場合、前述した従来の走査方向に関する区画領域間の助走動作と同様に、ジャーク曲線が4極化されることになる。
【0152】
但し、本実施形態の第2モードの移動動作では、上記のショットAの露光後の後整定期間をなくしている。以下、この理由を説明する。
【0153】
図8(A)〜図8(D)には、上記ショットAとショットBと同様の異なる行のショット間における、前ショットの露光後の減速が終了した時点以後のウエハステージWSTの走査方向に関するジャーク曲線J(t)、加速度曲線A(t)、速度曲線V(t)、変位曲線P(t)が、時間を横軸として、それぞれ示されている。
【0154】
図8(A)から明らかなように、この第2モードの移動動作では、移動開始直後の2極化された符号が反転した一組のジャーク曲線を構成する、+側に凸のジャーク曲線と−側に凸のジャーク曲線との間に、時間Tのジャーク零の区間が設けられ、移動終了直前の2極化された符号が反転した一組のジャーク曲線を構成する、−側に凸のジャーク曲線と+側に凸のジャーク曲線との間に、時間Tのジャーク零の区間が設けられている。このため、各組のジャーク曲線に対応する加速度曲線は、図8(B)のような台形状の曲線と成っており、前述と同様に最大加速度(の絶対値)が、抑えられた形状となっている。これにより、異なる行のショット間における、ウエハステージWSTの移動動作に際して加速時に必要な電力を抑制することができる。
【0155】
この場合、意識的に最大加速度の絶対値Amaxを抑え、加速度が一定の時間Tを2箇所確保しているので、走査方向の助走に要する時間が必要以上に長くならないように、前述の後整定期間をなくしたものである。
【0156】
このようにしても、スループットに対する悪影響は殆ど無い。実質、図4をみても判る様に、仮にショット数が76ショットあったとしても、上記の行間の移動シーケンスを使用する箇所は9箇所に過ぎないからである。
【0157】
なお、レチクルステージRSTは、前述したショットAに対する露光後の減速終了位置までウエハステージWSTが移動した時点で、走査開始位置への移動を終了することができるので、この場合には、ウエハステージWSTのショットB露光前の加速が開始されるまで停止していれば良い。
【0158】
なお、図8(A)〜図8(D)では、図示が省略されているが、上記の停止期間後に、前述の図6(A)〜図6(D)と同様にしてウエハステージWSTの加速が開始され、これと同期してレチクルステージRSTの加速が開始されることになる。
【0159】
図3の説明に戻り、同期制御系80によって、上述した第2モードの移動動作が行われている間、主制御装置50では、前述の如く、ステップ108で両ステージRST、WSTの加速が終了するのを待っている。そして、上記の第2モードの移動動作が終了すると、ステップ108の判断が肯定され、以後、第2行目の第1番目のショットから最終行(第N行)の最後のショットSに対する露光が終了するまで、上記ステップ108以下の処理が繰り返される。
【0160】
このようにして、ウエハW上のショットの走査露光とショット間のステッピング動作とが、完全交互スキャンにて繰り返し行われ、ウエハW上の最終ショットであるショットSに対するレチクルRのパターンの転写が終了すると、ステップ126における判断が肯定され、本ルーチンの一連の処理を終了する。
【0161】
本実施形態の場合、図4に示されるような経路で、順次交互にスキャン露光が行なわれる。この場合、総露光行が偶数行なので、図4の左下のショットSより露光が開始され、最初の1行が左→右の順で露光されると、次の行は右→左へと交互にステッピングが行なわれ、最終的に左上のショットSの露光が終了した時点で、所定のウエハ交換位置までウエハステージWSTが移動するという動作を繰り返すというシーケンスとなる。上記の交互スキャンの際に、同一行間の隣接ショット間では、前述した効率の良いウエハステージWSTのショット間移動制御が行われる。
【0162】
a. 以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置10によると、主制御装置50により、ウエハW上の1つのショット領域に対する露光終了後から、次のショット領域の露光のために、ステージ制御系(80,33,78)によって前記両ステージRST、WSTの走査方向に関する減速が開始されるまでの期間に、次のショット領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報がステージ制御系を構成する同期制御系80に送られるようになっている(図3のステップ120、128参照)。このため、ウエハ上の1つのショット領域に対する露光終了後から、次のショット領域の露光のための両ステージRST、WSTの同期整定期間までの間に、両ステージRST,WSTを停止させないようなステージ制御系(80,33,78)による両ステージの制御シーケンスを採用することが可能となる。すなわち、次のショット領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報をステージ制御系が上位装置から受け取るために、両ステージを加速前に一端停止させる必要がなくなるので、その停止時間がない分、スループットの向上が可能となる。この場合において、同期制御系80独自で常時サンプリングが可能なレチクル干渉計30、レーザ干渉計システム76及び前述のフォーカス・レベリング検出系からの情報以外の必要な情報は全て、上記のタイミングで伝送される。勿論、同期制御系80の処理速度の向上により、移動鏡曲がり等の情報に基づいて必要な補正値を演算する機能を同期制御系80側に持たせることも可能であるが、同期制御のため必要とされる応答速度も高速化してきているので、キャリブレーションや初期設定情報、ユーザの設定情報等でステージの制御に使用するパラメータの設定情報は全て主制御装置50(上位ユニット)にて予め演算処理し、ステージ制御情報や露光情報と同様に、同期制御に関連したパラメータの設定情報は行列式として最も高速処理できる状態にしてから同期制御系80に受け渡すようにすることが、高速処理の実現のためには望ましい。
【0163】
なお、本実施形態の露光装置10では、上述の如く、次のショット領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を、ウエハ上の1つのショット領域に対する露光終了後から、同期制御系80に送るように構成している。しかしながら、ハード構成上可能であるならば(例えば同期制御系の処理速度が一段と高速であるなど)、上記設定情報の送信を、ウエハ上の1つのショット領域に対する露光終了後からではなくその露光動作が行われている最中にも行うようにしても良い(露光中に設定情報の送信を開始するようにしても良い)。更には、本発明はこれに限られるものではなく、上記の如くハード構成上可能であれば、任意のタイミング(例えば前記1つのショット領域に対する露光前の同期制御動作中(前整定中))で前記設定情報の送信を開始するようにしても良い。なお、上述のように、露光中、又は同期制御動作中に情報送信を開始する場合には、次のショット領域以降の複数のショット領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報をも送信するように構成しておくことが望ましい。
【0164】
b. また、本実施形態の露光装置10によると、ステージ制御系(80,33,78)は、ウエハW上の1つのショット領域に対する露光終了後に、両ステージRST、WSTを走査方向に関して減速する際に、次のショット領域の露光のための両ステージの同期制御を開始する。このため、例えば両ステージの減速終了後に直ちに同期制御を開始する場合に比べても、一層早い時点で露光開始前の両ステージの同期整定が完了し、同期整定時間の短縮によるスループットの向上が可能となる。
【0165】
c. また、本実施形態の露光装置10によると、ステージ制御系(80,33,78)は、次のショット領域の露光前の両ステージRST,WSTの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージRST、WSTの位置設定を終了することができる。このため、露光前の両ステージRST、WSTの同期整定の際の整定時間(同期整定時間)の短縮が可能となるので、一層スループットを向上させることが可能となる。
【0166】
d. また、本実施形態の露光装置10によると、図6(A)〜図6(D)を見るとわかるように、ステージ制御系(80,33,78)により、走査方向に直交する非走査方向の同一行内のショット領域間において両ステージRST、WSTが走査方向に関して減速後に加速される助走動作の際に、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいてウエハステージWST(及びレチクルステージRST)が走査方向に関して制御される。すなわち、この場合のウエハステージWSTの加速度曲線は図6(B)に示されるような台形状となるため、図6(C)のように速度の変化が一定となり、速度零の期間がなく、しかもいわゆる交互スキャンが可能となり、これにより前記助走動作に要する時間の短縮が可能となる。また、この場合、図6(A)のようにジャーク曲線のピーク(加速度の時間変化率である躍動(ジャーク)の絶対値の最大値)を抑えることが可能となることから、ウエハステージWSTの加速度の平均値に対する最大加速度の比を小さくすることができるとともに、加速度の急減な変化及びその頻度を抑制することができる。従って、スループットの向上とともに、ウエハステージWSTの駆動系、例えばリニアモータなどの使用電力を抑えることも可能となる。
【0167】
e. また、本実施形態の露光装置10によると、主制御装置50からの指示に応じ、ステージ制御系(80、33,70)が、走査方向に直交する非走査方向の同一行内のショット領域間では、1つのショット領域に対する露光終了後に両ステージを走査方向に関して等速移動する後整定期間(等速オーバースキャン期間)を露光終了後の減速開始前に確保し(図6(C)中のT参照)、異なる行間における移動の際には、1つのショット領域に対する露光終了の直後に両ステージの減速動作を開始するようになっている(図8(B)参照)。このため、異なる行間における移動の際に後整定期間がない分、スループットの向上が可能となる。
【0168】
f. さらに、本実施形態の露光装置10によると、ステージ制御系(80、33,70)は、図6(C)からもわかるように、ウエハW上の1つのショット領域に対する露光終了後に、次のショット領域の露光のため、両ステージRST、WSTが走査方向に関して減速後に加速される助走動作とウエハステージWSTが走査方向に直交する非走査方向に関して移動するショット領域間の移動動作とが同時並行的に行われ、かつウエハステージWSTの非走査方向への移動動作が次のショット領域の露光前の両ステージRST、WSTの同期整定期間の前に終了するように、両ステージを制御する。このため、ウエハW上の1つのショット領域に対する露光終了後に、次のショット領域の露光のため、両ステージが走査方向に関して減速後に加速される助走動作とウエハステージWSTが非走査方向に関して移動するショット領域間の移動動作とを少なくとも一部オーバーラップさせることができるので、ウエハステージの非走査方向に関するショット領域間の移動動作の終了後に、両ステージの走査方向に関する加速動作を開始する場合などに比べて、スループットの向上が可能となる。また、この場合、ステージ制御系は、同期整定期間では、両ステージの同期整定のみに専念できるので、整定時間の短縮も可能となる。
【0169】
また、本実施形態に係るステージ装置、すなわちウエハステージWST及びその駆動系並びにその制御系(80、78)に着目して見ると、ステージ制御系(80、78)により、ウエハステージWSTが、Y軸方向(第1軸方向)に関して減速後に加速されるY軸方向移動動作とY軸方向に直交するX軸方向(第2軸方向)に関して移動する第2軸方向移動動作とが同時並行的に行われ、ウエハステージWSTは、U字状又はV字状の軌跡に沿って移動する。この際、ウエハステージWSTは、図6(A)からもわかるように、Y軸方向移動動作に際しては、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて制御される。この場合のウエハステージWSTの加速度曲線は台形状となるため(図6(B)参照)、速度の変化が一定となり、速度零の期間がなく(図6(C)参照)、これによりY軸方向移動動作に要する時間の短縮が可能となる。また、この場合、ジャーク曲線のピークを抑えることが可能となることから、ウエハステージの加速度の平均値に対する最大加速度の比を小さくすることができるとともに、加速度の急減な変化及びその頻度を抑制することができる。従って、スループットの向上とともに、ウエハステージの駆動系、例えばリニアモータなどの使用電力を抑えることも可能となる。この場合、前記ステージ制御系は、X軸方向移動動作に際しては、少なくとも2極が異なる形状で、合計で4極化されているジャーク曲線に従った指令値に基づいてウエハステージを制御する(図6(A)参照)。
【0170】
なお、上記実施形態では、主制御装置50が、ウエハW上のショット領域を露光する毎に次のショット領域の露光のために必要な各種設定情報(制御パラメータの設定情報を含む)を、同期制御系80に伝送する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。上記実施形態の露光装置10において、例えば図3のステップ128に代えて、図8(B)に示されるように加速度零の比較的長い区間を有する行間の移動(周辺ショットにおける折り返しのための行間での移動)時に次の行内に存在する全てのショットの露光に必要な前述の各種設定情報を、主制御装置50が全て1コマンドで同期制御系80に伝送する(受け渡す)処理を行う処理ステップを採用することとしても良い。かかる場合には、主制御装置50により、ウエハW上における非走査方向の任意の行内の最終ショット領域の露光終了後、別の行の最初のショット領域の露光のため、ステージ制御系(80、33、78)によって両ステージRST、WSTの移動制御が行われる間に、次の行内の複数のショット領域の露光のために必要な各種設定情報(制御パラメータの設定情報を含む)がステージ制御系(より正確には同期制御系80)に送られる。
【0171】
このため、ウエハW上の1つのショット領域に対する露光終了後から両ステージの減速開始までの時間が短く、その間に次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報の伝送が困難な場合であっても、露光終了後から次のショット領域の露光のための両ステージの同期整定期間までの間に、両ステージを停止させないようなステージ制御系による両ステージの制御シーケンスを採用することが可能となる。従って、両ステージを加速前に一旦停止させる必要がなくなるので、その停止時間がない分、スループットの向上が可能となる。また、この場合も、ステージ制御系は、上記の走査方向に関する減速時から両ステージの同期制御動作を開始することも可能である。
【0172】
上述した行間の移動(周辺ショットにおける折り返しのための行間での移動)時に次の行内に存在する全てのショットの露光に必要な前述の各種設定情報を、主制御装置50が全て1コマンドで同期制御系80に伝送する場合にも、同期制御系80独自で常時サンプリングが可能なレチクル干渉計30、レーザ干渉計システム76及び前述のフォーカス・レベリング検出系からの情報以外の必要な情報は全て、上記のタイミングで伝送することとし、同期制御に関連したパラメータの設定情報は行列式として最も高速処理できる状態にしてから同期制御系80に受け渡すようにすることが、高速処理の実現のためには望ましい。また、ステージ制御系は、次の行のショット領域毎における露光開始前の両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することが、前述と同様の理由から望ましい。
【0173】
この他、上記実施形態の露光装置10において、同期制御系80が有するメモリに余裕がある場合は、主制御装置50は、ウエハW上の複数(例えば76個)のショット領域の全てを露光するために必要な制御パラメータの設定情報を、ウエハ上の各ショット領域の所定点との位置合わせに用いられる配列情報の検出動作、例えば前述したウエハアライメントの終了後、ファーストショットの露光が開始されるまでの間に、同期制御系80に送ることとしても良い。この場合には、前述した図3のステップ120、128の処理が不要となる。また、この場合、ファーストショットの露光が開始された後の露光処理期間中には、前述の制御パラメータの設定情報の伝送処理が不要となるので、ウエハW上のファーストショットに対する露光開始から最終のショットに対する露光の終了までの間、両ステージを停止させないようなステージ制御系による両ステージの制御シーケンスを採用することが可能となり、スループットの向上が可能となる。また、ステージ制御系は、ショット領域毎における露光開始前の両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することが、前述と同様の理由から望ましい。
【0174】
なお、同期制御系(同期制御ユニット)80の処理速度が一段と高速であれば、前述の情報の受け渡しを、同期制御系80による両ステージの同期制御動作と並行して行うことも可能である。従って、これまでに説明したいずれのタイミングで前述の情報の受け渡しを主制御装置50と同期制御系80との間で行うかの選択は、同期制御系のメモリの容量や、高速処理の能力(処理速度)や、同期制御系の設計の容易さなどを総合的に判断して決定すれば良い。
【0175】
なお、上記実施形態の露光装置10では、上述した制御パラメータの設定情報の伝送処理上の工夫に加え、特に両ステージの制御に関し、前述したb.〜f.のような種々の工夫を同時に行っているが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。すなわち、上記a.及びb.〜f.のような種々の工夫のいずれかを単独で、あるいは任意に組み合わせて行うこととしても良い。
【0176】
なお、上記実施形態では、ウエハWの非走査方向への加速は、1つのショットの走査露光終了後の走査方向の等速移動時に開始されているが、これに限らず、ウエハWの非走査方向への加速をウエハWの減速中に開始するようにしても良い。この場合、ウエハWは、次のショットの走査露光前に、走査方向と交差する方向に沿って加速されて、走査方向の移動速度がウエハWの感度特性に応じた速度に設定されているので、露光中はその速度を維持しレチクルを同期制御すれば良いので、制御が容易である。
【0177】
なお、上記実施形態の露光装置10で行われる、ウエハW上の複数のショット領域S、S、……にレチクルRのパターンを順次転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光方法において、レチクルRの往復移動によってレチクルRのパターンが転写されるウエハW上の任意の2つのショット領域、例えばショットS、Sの走査露光間でウエハWを停止することなく移動することが望ましい。この場合には、ウエハW上の順次レチクルRのパターンが転写される隣接領域例えばショットS、Sの走査露光間でウエハWが停止することがないので、その部分に関してはより一層スループットが向上するからである。この意味からすれば、ウエハWは、レチクルRのパターンを転写すべきウエハW上の最後のショット領域の走査露光が終了するまで、ウエハWの走査方向及び非走査方向の少なくとも一方の速度成分が零とならないように移動されることがより望ましい。かかる場合には、結果的に複数ショット領域の全てにステップ・アンド・スキャン方式の走査露光が行われる間ウエハが停止することがないので、最もスループットが向上するからである。
【0178】
ところで、例えば図6(A)及び図6(B)などからも想像されるように、ショット間移動時において、ウエハステージ及びレチクルステージの走査方向に関しては、スキャン速度、加速時間を固定していても、ジャーク内分比(加速時間(又は減速時間)に対する、ジャークが零でない時間の比率)を変更すると、最大瞬間加速度はそれに伴って変化する。
【0179】
かかる点に着目して、本発明者等は、ショット間移動時における走査方向に関するステージのジャーク、加速度、速度、及び変位曲線の定式化を行った。以下、これについて説明する。
【0180】
まず、最初に、上記実施形態の第1モードの移動動作と同様の減速と加速のプロファイルが対称形をなしている場合(以下、「第1のスキャン加速制御方法」と呼ぶ)について説明する。この場合のウエハステージの走査方向に関するジャーク曲線、加速度曲線、速度曲線、及び変位曲線が、図9(A)〜図9(D)に、それぞれ示されている。
【0181】
入力変数として、スキャン速度V〔m/s〕、加速時間T〔s〕、ジャーク内分比Rを指定するものとする。
【0182】
但し、加速時間Tやジャーク内分比Rの代わりに、最大瞬間加速度Aを指定することもできる。
【0183】
この場合、A、V、T、Rの関係は次式(1)、(2)で与えられる。
【0184】
【数1】
Figure 2004072076
【0185】
この場合の内部変数は、第1折れ点時刻T、第2折れ点時刻T、及びジャークの最大値(前半)Jであり、それぞれ次式(3)、(4)、(5)で表される。
【0186】
【数2】
Figure 2004072076
【0187】
この場合、式(4)より、ジャーク内分比Rは、R=T/Tである。
【0188】
この場合の各区間のジャーク、加速度、速度、変位は、以下の通りである。
第1区間(0≦t≦T
【0189】
【数3】
Figure 2004072076
【0190】
第2区間(T≦t≦T
【0191】
【数4】
Figure 2004072076
【0192】
第3区間(T≦t≦T)
【0193】
【数5】
Figure 2004072076
【0194】
第4区間(T≦t≦2T)
【0195】
【数6】
Figure 2004072076
【0196】
この第1のスキャン加速制御方法によると、前述した如く、減速完了から加速開始の間にスキャン軸停止時間がなく、スループットの向上が可能であると共に、平均加速度に対して、最大瞬間加速度を2倍以下に抑えることができ、これによりアクチュエータやアンプの小型化、及びその設計の自由度の向上が可能となる。また、この場合、レチクルステージ側ではこれらに加えてレチクルの位置ずれをも効果的に抑制することができる。
【0197】
次に、減速と加速のプロファイルが非対称である場合(以下、「第2のスキャン加速制御方法」と呼ぶ)について説明する。この場合のウエハステージの走査方向に関するジャーク曲線、加速度曲線、速度曲線、及び変位曲線が、図10(A)〜図10(D)に、それぞれ示されている。
【0198】
この場合、入力変数として、スキャン速度V〔m/s〕、減速時間T〔s〕、加速時間T〔s〕、減速ジャーク内分比R、及び加速ジャーク内分比Rを指定するものとする。
【0199】
但し、減速時間T、加速時間T、ジャーク内分比R、Rの代わりに、最大瞬間加速度Aを指定することもできる。
【0200】
この場合、A、V、T、T、R、Rの関係は、次式(22)、(23)、(24)で与えられる。
【0201】
【数7】
Figure 2004072076
【0202】
この場合の内部変数は、減速ジャーク内分比R、減速ストロークL〔m〕、加速ストロークL〔m〕、等速時間T〔s〕、第1折れ点時刻T、第2折れ点時刻T、減速終了加速開始時刻T、第4折れ点時刻T、第5折れ点時刻T、加速終了時刻T’、減速開始からの経過時間t〔s〕、加速終了までの残り時間t〔s〕、ジャーク最大値(減速時)J〔m/s〕、及びジャーク最大値(加速時)J〔m/s〕であり、それぞれ次式(25)〜(38)で表される。
【0203】
【数8】
Figure 2004072076
【0204】
この場合、減速ジャーク内分比Rは、R=(T−T)/(T−T)、加速ジャーク内分比R=(T’−T)/(T’−T)である。
【0205】
この場合の各区間のジャーク、加速度、速度、変位は、以下の通りである。
第1区間(0≦t≦T
【0206】
【数9】
Figure 2004072076
【0207】
第2区間(T≦t≦T
【0208】
【数10】
Figure 2004072076
【0209】
第3区間(T≦t≦T
【0210】
【数11】
Figure 2004072076
【0211】
第4区間(T≦t≦T
【0212】
【数12】
Figure 2004072076
【0213】
第5区間(T≦t≦T
【0214】
【数13】
Figure 2004072076
【0215】
第6区間(T≦t≦T
【0216】
【数14】
Figure 2004072076
【0217】
第7区間(T≦t≦T’(=T))
【0218】
【数15】
Figure 2004072076
【0219】
以上のように定式化される第2のスキャン加速制御方法は、加速度曲線Acc(t)は、図10(B)に示されるように山が1つの台形状であり、かつ図10(A)に示されるジャーク曲線が2極化された符号が反転したものとなっており、この点は、前述の第1のスキャン加速制御方法と同様である。但し、減速と加速のプロファイルは非対称である。すなわち、減速領域と加速領域のジャーク曲線の形状は相互に異なっている。この場合、減速領域では、スループットに配慮して、大きなジャークで減速を行い、露光直前の加速領域ではその後の同期整定期間の短縮を考慮してジャークを小さく抑えている。但し、加速領域と減速領域とでジャークが異なることで、減速領域でのストローク(変位に相当)と加速領域でのストロークとに差が生じないように、すなわち交互スキャン時の走査開始位置と走査終了位置とが一致するように、減速開始直前の等速オーバースキャン時間Tを長めに設定して調整を図っている。このため、両ステージの加速終了位置を所定の目標位置に一致させ、かつその加速終了位置での制御遅れ及びそれに起因する両ステージの同期誤差を抑制することができるので、露光前の同期整定時間を短縮することが可能となる。
【0220】
従って、前述した第1の実施形態の露光装置10において、第1モードの移動動作時のウエハステージWSTのスキャン方向制御、レチクルステージRSTのスキャン方向制御にこの第2のスキャン加速制御方法を適用することとしても良い。このようにすると、露光前のジャークの最大値が抑制されているので、レチクルステージとウエハステージとの同期精度が向上するとともに、同期整定時間の短縮によるスループットの向上も可能である。さらに、等速オーバースキャン時間を長めに設定できるので、前述した主制御装置50からの同期制御系80に対する各種設定情報の伝送時間を長く確保することができる。このため、上記第1の実施形態に比べてもより多くの情報を伝送することが可能となり、それらの情報に基づいて一層精度良く、レチクルとウエハとの同期制御を行うことが可能となる。
【0221】
なお、前述の第1のスキャン加速制御方法及び第2のスキャン加速制御方法のいずれを採用する場合にも、ステージ制御系は、非走査方向の異なる行の区画領域間における前記助走動作の際には、4極化されているジャーク曲線に従った指令値に基づいてウエハステージを制御することとすることができる。この場合において、前記4極化されているジャーク曲線は、少なくとも2極が異なる形状であることとすることができる。
【0222】
また、これまでに説明した種々の方法による両ステージの制御に関し、前記ステージ制御系は、前記両ステージの前記ショット領域間の前記助走動作と並行して、少なくとも2極が異なる形状で、合計で4極化されているジャーク曲線に従った指令値に基づいてウエハステージを非走査方向に関して移動させるショット領域間の移動動作を行うこととすることができる。
【0223】
ところで、本願の発明者(西)は、主として二重露光の際のスループットを向上させようとの観点から、ウエハステージ(基板ステージ)を2つ備え、一方のウエハステージ上のウエハに対する露光動作中に、他方のウエハステージ上でウエハ交換、アライメント等の他の動作を並行して行なう露光装置を先に提案した(特開平10−163097号公報、特開平10−163098号公報等参照)。これらの公報に記載の露光装置は、二重露光でなく、通常の露光に用いれば、二重露光の場合より更にスループットが向上することは明らかである。また、これらの公報に記載の露光装置に、上記第1の実施形態で説明した走査露光方法を採用すると、通常露光及び二重露光のいずれの場合であっても、更に一層スループットの向上を図ることが可能である。
【0224】
ところで、主制御装置50などの上位ユニットから同期制御系80などに伝送される設定情報には、前述の如く、ステージ移動時の各機構部のエラー制御に関する情報をも含めることができる。かかるエラー制御に関する情報などの情報をより積極的、かつ有効に利用することを目的としてなされたのが、次の第2の実施形態である。
【0225】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図11〜図15に基づいて説明する。
【0226】
図11には、第2の実施形態に係る露光装置110の概略構成が示されている。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この露光装置110は、いわゆるステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置である。
【0227】
この露光装置110は、物体としてのウエハW1、W2をそれぞれ保持して独立して2次元方向に移動する物体ステージとしての2つのウエハステージWST1、WST2を備えたステージ装置101、このステージ装置101の上方に配置された投影光学系PL、投影光学系PLの上方でマスクとしてのレチクルR1(又はR2)を主として所定の走査方向、ここではY軸方向(図11における紙面直交方向)に駆動するレチクル駆動機構、レチクルR1(又はR2)を上方から照明する照明光学系18及びこれら各部を制御する制御系等を備えている。
【0228】
前記ステージ装置101は、不図示の架台部を構成する定盤22と、この定盤22上に配置されXY面内で移動可能な前記2つのウエハステージWST1、WST2と、ウエハステージWST1、WST2の位置を計測する干渉計システムとを備えている。
【0229】
ウエハステージWST1、WST2は、それぞれの底面に設けられた不図示の気体静圧軸受けにより定盤22の上面に対して例えば数μm程度クリアランスを介してそれぞれ浮上支持され、Xリニアモータ及びYリニアモータ、あるいは平面モータなどのアクチュエータを含むウエハステージ駆動系によって、XY2次元平面内で独立してかつ自在に駆動されるようになっている。ウエハステージ駆動系は、図11のステージ制御装置160によって制御されるようになっている。
【0230】
前記ウエハステージWST1、WST2上には、不図示のウエハホルダを介してウエハW1、W2が静電吸着又は真空吸着等により固定されている。ウエハホルダは、前述のレベリング機構58と同様の不図示のレベリング駆動機構によって、XY平面に直交するZ軸方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動されるようになっている。また、ウエハステージWST1、WST2の上面には、種々の基準マークが形成された基準マーク板FM1、FM2がウエハW1、W2とそれぞれほぼ同じ高さになるように設置されている。これらの基準マーク板FM1、FM2は、例えば各ウエハステージの基準位置を検出する際に用いられる。
【0231】
また、図12に示されるように、ウエハステージWST1のX軸方向一側の面(図11における左側面)120とY軸方向一側の面(図11における紙面奥側の面)121とは、鏡面仕上げがなされた反射面となっており、同様に、ウエハステージWST2のX軸方向他側の面(図11における右側面)122とY軸方向一側の面123とは、鏡面仕上げがなされた反射面となっている。これらの反射面に、後述する干渉計システムを構成する各測長軸(BI1X、BI2X等)の干渉計ビームが投射され、その反射光を各干渉計で受光することにより、各反射面の基準位置(一般には投影光学系側面やアライメント検出系の側面に固定ミラーを配置し、そこを基準面とする)からの変位を計測し、これにより、ウエハステージWST1、WST2の2次元位置がそれぞれ計測されるようになっている。なお、干渉計システムの測長軸の構成については、後に詳述する。
【0232】
投影光学系PLのX軸方向の両側には、図11に示されるように、同じ機能を持ったオフアクシス(off−axis)方式のアライメント検出系124a、124bが、投影光学系PLの光軸中心(レチクルパターン像の投影中心と一致)よりそれぞれ同一距離だけ離れた位置に設置されている。これらのアライメント検出系124a、124bは、LSA(Laser Step Alignment)系、FIA( Filed Image Alignment)系、LIA(Laser Interferometric Alignment )系の3種類のアライメントセンサを有しており、基準マーク板上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行うことが可能である。
【0233】
ここで、LSA系は、レーザ光をマークに照射して、回折・散乱された光を利用してマーク位置を計測する最も汎用性のあるセンサであり、従来から幅広いプロセスウエハに使用される。FIA系は、ハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測するセンサであり、アルミ層やウエハ表面の非対称マークに有効に使用される。また、LIA系は、回折格子状のマークに周波数をわずかに変えたレーザ光を2方向から照射し、発生した2つの回折光を干渉させて、その位相からマークの位置情報を検出するセンサであり、低段差や表面荒れウエハに有効に使用される。
【0234】
本第2の実施形態では、これら3種類のアライメントセンサを、適宜目的に応じて使い分け、ウエハ上の3点の一次元マークの位置を検出してウエハの概略位置計測を行ういわゆるサーチアライメントや、ウエハ上の各ショット領域の正確な位置計測を行うファインアライメント等を行うようになっている。
【0235】
この場合、アライメント検出系124aは、ウエハステージWST1上に保持されたウエハW1上のアライメントマーク及び基準マーク板FM1上に形成された基準マークの位置計測等に用いられる。また、アライメント検出系124bは、ウエハステージWST2上に保持されたウエハW2上のアライメントマーク及び基準マーク板FM2上に形成された基準マークの位置計測等に用いられる。
【0236】
これらのアライメント検出系124a、124bを構成する各アライメントセンサからの情報は、アライメント制御装置180によりA/D変換され、デジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置が検出される。この結果が主制御装置190に送られ、主制御装置190からその結果に応じてステージ制御装置160に対し露光時の同期位置補正等が指示されるようになっている。
【0237】
また、図示は省略されているが、投影光学系PL、アライメント検出系124a、124bのそれぞれには、上記特開平10−163098号公報に開示されるような、合焦位置を調べるためのオートフォーカス/オートレベリング(AF/AL)計測機構が設けられている。
【0238】
次に、レチクル駆動機構について、図11及び図12に基づいて説明する。
【0239】
このレチクル駆動機構は、レチクルベース定盤28上をレチクルR1、R2を保持してXYの2次元方向に移動可能なレチクルステージRSTと、このレチクルステージRSTを駆動する不図示のリニアモータ等から成る駆動系29と、レチクルステージRSTに固定された移動鏡31を介してレチクルステージRSTの位置を計測するレチクルレーザ干渉計30とを備えている。
【0240】
これを更に詳述すると、レチクルステージRSTには、図12に示されるように、2枚のレチクルR1、R2がスキャン方向(Y軸方向)に直列に設置できるようになっており、このレチクルステージRSTは、不図示の気体静圧軸受け等を介してレチクルベース定盤28上に浮上支持され、駆動系29によりX軸方向の微小駆動、θz方向の微小回転及びY軸方向の走査駆動がなされるようになっている。なお、駆動系29は、リニアモータを駆動源とする機構であるが、図11では図示の便宜上及び説明の便宜上から単なるブロックとして示されている。この場合、レチクルステージRST上のレチクルR1、R2が例えば二重露光の際に選択的に使用され、いずれのレチクルについてもウエハ側と同期スキャンできるような構成となっている。
【0241】
レチクルステージRST上には、X軸方向の他側(+X側)の端部に、レチクルステージRSTと同じ素材(例えばセラミックス等)から成る平行平板移動鏡31xがY軸方向に延設されており、この移動鏡31xのX軸方向の他側の面には鏡面加工により反射面が形成されている。この移動鏡31xの反射面に向けて測長軸BI6Xで示される干渉計(図示省略)からの干渉計ビームが照射され、その干渉計ではその反射光を受光して基準面に対する相対変位を計測することにより、レチクルステージRSTの位置を計測している。ここで、この測長軸BI6Xを有する干渉計は、実際には独立に計測可能な2本の干渉計光軸を有しており、レチクルステージのX軸方向の位置計測と、ヨーイング量の計測が可能となっている。この測長軸BI6Xを有する干渉計の計測値は、後述するウエハステージ側の測長軸BI1X、BI2Xを有する干渉計116、118からのウエハステージWST1、WST2のヨーイング情報やX位置情報に基づいてレチクルとウエハの相対回転(回転誤差)をキャンセルする方向にレチクルステージRSTを回転制御したり、X方軸向同期制御を行ったりするために用いられる。
【0242】
一方、レチクルステージRSTの走査方向(スキャン方向)であるY軸方向の他側(図11における紙面手前側)には、一対のコーナーキューブミラー31y、31yが設置されている。そして、不図示の一対のダブルパス干渉計から、これらのコーナーキューブミラー31y、31yに対して図12に測長軸BI7Y、BI8Yで示される干渉計ビームが照射され、レチクルベース定盤28上の反射面(不図示)にコーナーキューブミラー31y、31yより戻され、そこで反射したそれぞれの反射光が同一光路を戻り、それぞれのダブルパス干渉計で受光され、それぞれのコーナーキューブミラー31y、31yの基準位置(レファレンス位置で前記レチクルベース定盤28上の反射面)からの相対変位が計測される。そして、これらのダブルパス干渉計の計測値が図11のステージ制御装置160に供給され、その平均値に基づいてレチクルステージRSTのY軸方向の位置が計測される。このY軸方向位置の情報は、ウエハ側の測長軸BI3Yを有する干渉計の計測値に基づくレチクルステージRSTとウエハステージWST1又はWST2との相対位置の算出、及びこれに基づく走査露光時の走査方向(Y軸方向)のレチクルとウエハの同期制御に用いられる。
【0243】
このように、本第2の実施形態では、測長軸BI6Xで示される干渉計及び測長軸BI7Y、BI8Yで示される一対のダブルパス干渉計の合計3つの干渉計によって図11に示されるレチクルレーザ干渉計30が構成されている。
【0244】
次に、ウエハステージWST1、WST2の位置を管理する干渉計システムについて、図11〜図13を参照しつつ説明する。
【0245】
これらの図に示されるように、投影光学系PLの投影中心とアライメント検出系124a、124bのそれぞれの検出中心とを通るX軸に沿ってウエハステージWST1のX軸方向一側の面には、図11の干渉計116からの測長軸BI1Xで示される干渉計ビームが照射され、同様に、X軸に沿ってウエハステージWST2のX軸方向の他側の面には、図11の干渉計118からの測長軸BI2Xで示される干渉計ビームが照射されている。そして、干渉計116、118ではこれらの反射光を受光することにより、各反射面の基準位置からの相対変位を計測し、ウエハステージWST1、WST2のX軸方向位置を計測するようになっている。
【0246】
ここで、干渉計116、118は、図12に示されるように、各3本の光軸を有する3軸干渉計であり、ウエハステージWST1、WST2のX軸方向の計測以外に、チルト(ローリング(θy回転)計測及びヨーイング(θz回転)の計測が可能となっている。この場合、ウエハステージWST1、WST2のZ軸方向の微小駆動及び傾斜駆動を行う不図示のレベリング駆動機構は、実際には、反射面(120〜123)の下にあるので、ウエハステージのチルト制御時の駆動量は全て、これらの干渉計116、118によりモニタすることができる。
【0247】
なお、測長軸BI1X、BI2Xの各干渉計ビームは、ウエハステージWST1、WST2の移動範囲の全域で常にウエハステージWST1、WST2に当たるようになっており、従って、X軸方向については、投影光学系PLを用いた露光時、アライメント検出系124a、124bの使用時等いずれのときにもウエハステージWST1、WST2の位置は、測長軸BI1X、BI2Xの計測値に基づいて管理される。
【0248】
また、図12及び図13に示されるように、投影光学系PLの投影中心(光軸AX)でX軸と垂直に交差する測長軸BI3Yを有する干渉計132と、アライメント検出系124a、124bのそれぞれの検出中心(SX)でX軸とそれぞれ垂直に交差する測長軸BI4Y、BI5Yをそれぞれ有する干渉計131、133とが設けられている。
【0249】
本実施形態の場合、投影光学系PLを用いた露光時のウエハステージWST1、WST2のY軸方向位置計測には、投影光学系PLの投影中心、すなわち光軸AXを通過する測長軸BI3Yの干渉計132の計測値が用いられ、アライメント検出系124aの使用時のウエハステージWST1のY軸方向位置計測には、アライメント検出系124aの検出中心、すなわち光軸SXを通過する測長軸BI4Yの干渉計131の計測値が用いられ、アライメント検出系124b使用時のウエハステージWST2のY方向位置計測には、アライメント検出系124bの検出中心、すなわち光軸SXを通過する測長軸BI5Yの干渉計133の計測値が用いられる。
【0250】
従って、各使用条件により、Y軸方向の干渉計測長軸がウエハステージWST1、WST2の反射面より外れる事となるが、少なくとも一つの測長軸、すなわち測長軸BI1X、BI2XはそれぞれのウエハステージWST1、WST2の反射面から外れることがないので、使用する干渉計光軸が反射面上に入った適宜な位置でY側の干渉計のリセットを行うことができる。
【0251】
なお、上記Y計測用の測長軸BI3Y、BI4Y、BI5Yの各干渉計132、131、133は、各2本の光軸を有する2軸干渉計であり、ウエハステージWST1、WST2のY軸方向の計測以外に、チルト(ピッチング(θx回転))計測が可能となっている。本実施形態では、干渉計116、118、131、132、133の合計5つの干渉計によって、ウエハステージWST1、WST2の2次元座標位置を管理する干渉計システムが構成されている。
【0252】
さらに、図11に示される主制御装置190には、ウエハステージWST1、WST2の移動を管理するための条件式(例えば、干渉化条件)等が記憶されたメモリ191が設けられている。
【0253】
また、本第2の実施形態では、後述するように、ウエハステージWST1、WST2の内の一方が露光シーケンスを実行している間、他方はウエハ交換、ウエハアライメントシーケンスを実行するが、この際に両ステージ同士が干渉しないように、各干渉計の出力値に基づいて主制御装置190の指令に応じてステージ制御装置160により、ウエハステージWST1、WST2の移動が管理されている。
【0254】
前記制御系は、装置全体を統括的に制御する主制御装置190を中心に、この主制御装置190の配下にある露光量制御装置170及びステージ制御装置160等から構成されている。
【0255】
ここで、制御系の上記構成各部の動作を中心に本実施形態の露光装置110の露光時の動作について説明する。
【0256】
まず、ステージ制御装置160により、主制御装置190の指示に応じてレチクルR1(又はR2)とウエハW1(又はW2)、すなわちレチクルステージRSTとウエハステージWST1(又はWST2)の同期走査(スキャン制御)が開始される。この同期走査は、前述した干渉計システムの測長軸BI3Yと測長軸BI1X又はBI2X及びレチクルレーザ干渉計30の測長軸BI7Y、BI8Yと測長軸BI6Xの計測値をモニタしつつ、ステージ制御装置160によってレチクル駆動部29及びウエハステージの駆動系を制御することにより行われる。
【0257】
そして、両ステージが所定の許容誤差以内に等速度制御された時点で、露光量制御装置170では、光源11のパルス発光を開始させる。これにより、照明光学系18からの照明光により、その下面にパターンがクロム蒸着されたレチクルR1(又はR2)の矩形の照明領域IA(図12参照)が照明され、その照明領域IA内のパターンの像が投影光学系PLにより1/4(又は1/5)倍に縮小されて、その表面にフォトレジストが塗布されたウエハW1(又はW2)上に投影され、その縮小像(部分等立像)がウエハ上に形成される。ここで、図12からも明らかなように、レチクルR1(又はR2)上のパターン領域に比べ照明領域IAの走査方向のスリット幅は狭く、上記のようにレチクルR1(又はR2)とウエハW1(又はW2)とを同期走査することで、パターンの全面の像がウエハ上のショット領域に順次形成される。
【0258】
ここで、前述したパルス発光の開始と同時に、露光量制御装置170は、振動ミラー18Dを駆動させ、レチクルR1(又はR2)上のパターン領域が完全に照明領域IA(図12参照)を通過するまで、すなわちパターンの全面の像がウエハ上のショット領域に形成されるまで、連続してこの制御を行うことで2つのフライアイレンズ系で発生する干渉縞のムラ低減を行う。
【0259】
また、上記の走査露光中にショットエッジ部でのレチクルR1(又はR2)上の遮光領域よりも外に照明光が漏れないように、レチクルR1(又はR2)とウエハW1(又はW2)のスキャンと同期して可動ブラインド18Mが駆動系43によって駆動制御されており、これらの一連の同期動作がステージ制御装置160により管理されている。
【0260】
上述した走査露光(スキャン露光)中、特開平10−163098号公報に開示される如く、レジスト感度に対応した積算露光量となるように、主制御装置190又は露光量制御装置170では、照射エネルギや発振周波数の可変量について全て演算を行い、光源11内に設けられた減光システムを制御することによって照射エネルギや発振周波数を可変させたり、光源11内のシャッタや振動ミラーを制御したりするように構成されている。
【0261】
更に、本実施形態の露光装置110では、ウエハステージWST1との間でウエハの交換を行う第1の搬送システムと、ウエハステージWST2との間でウエハ交換を行う第2の搬送システムとが設けられている。
【0262】
第1の搬送システムは、図14に示されるように、左側のウエハローディング位置にあるウエハステージWST1との間で後述するようにしてウエハ交換を行う。この第1の搬送システムは、Y軸方向に延びる第1のローディングガイド182、このローディングガイド182に沿って移動する第1のスライダ186及び第2のスライダ187、第1のスライダ186に取り付けられた第1のアンロードアーム184、第2のスライダ187に取り付けられた第1のロードアーム188等を含んで構成される第1のウエハローダと、ウエハステージWST1上に設けられた3本の上下動部材から成る第1のセンターアップ181とから構成される。
【0263】
ここで、この第1の搬送システムによるウエハ交換の動作について、簡単に説明する。
【0264】
ここでは、図14に示されるように、左側のウエハローディング位置にあるウエハステージWST1上にあるウエハW1’と第1のウエハローダにより搬送されてきたウエハW1とが交換される場合について説明する。
【0265】
まず、主制御装置190では、ウエハステージWST1上の不図示のウエハホルダのバキュームを不図示のスイッチを介してオフし、ウエハW1’の吸着を解除する。
【0266】
次に、主制御装置190では、不図示のセンターアップ駆動系を介してセンターアップ181を所定量上昇駆動する。これにより、ウエハW1’が所定位置まで持ち上げられる。この状態で、主制御装置190では、不図示のウエハローダ制御装置に第1のアンロードアーム184の移動を指示する。これにより、ウエハローダ制御装置により第1のスライダ186が駆動制御され、第1のアンロードアーム184がローディングガイド182に沿ってウエハステージWST1上まで移動してウエハW1’の真下に位置する。
【0267】
この状態で、主制御装置190では、センターアップ181を所定位置まで下降駆動させる。このセンターアップ181の下降の途中で、ウエハW1’が第1のアンロードアーム184に受け渡されるので、主制御装置190ではウエハローダ制御装置に第1のアンロードアーム184のバキューム開始を指示する。これにより、第1のアンロードアーム184にウエハW1’が吸着保持される。
【0268】
次に、主制御装置190では、ウエハローダ制御装置に第1のアンロードアーム184の退避と第1のロードアーム188の移動開始を指示する。これにより、第1のスライダ186と一体的に第1のアンロードアーム184が図14の−Y方向に移動を開始すると同時に第2のスライダ187がウエハW1を保持した第1のロードアーム188と一体的に+Y方向に移動を開始する。そして、第1のロードアーム188がウエハステージWST1の上方に来たとき、ウエハローダ制御装置により第2のスライダ187が停止されるとともに第1のロードアーム188のバキュームが解除される。
【0269】
この状態で、主制御装置190ではセンターアップ181を上昇駆動し、センターアップ181によりウエハW1を下方から持ち上げさせる。次いで、主制御装置190ではウエハローダ制御装置にロードアームの退避を指示する。これにより、第2のスライダ187が第1のロードアーム188と一体的に−Y方向に移動を開始して第1のロードアーム188の退避が行われる。この第1のロードアーム188の退避開始と同時に主制御装置190では、センターアップ181の下降駆動を開始してウエハW1をウエハステージWST1上の不図示のウエハホルダに載置させ、当該ウエハホルダのバキュームをオンにする。これにより、ウエハ交換の一連のシーケンスが終了する。
【0270】
第2の搬送システムは、同様に、図15に示されるように、右側のウエハローディング位置にあるウエハステージWST2との間で上述と同様にしてウエハ交換を行う。この第2の搬送システムは、Y軸方向に延びる第2のローディングガイド192、この第2のローディングガイド192に沿って移動する第3のスライダ196及び第4のスライダ200、第3のスライダ196に取り付けられた第2のアンロードアーム194、第4のスライダ200に取り付けられた第2のロードアーム198等を含んで構成される第2のウエハローダと、ウエハステージWST2上に設けられた不図示の第2のセンターアップとから構成される。
【0271】
次に、図14及び図15に基づいて、2つのウエハステージWST1、WST2による並行処理について説明する。
【0272】
図14には、ウエハステージWST2上のウエハW2を投影光学系PLを介して露光動作を行っている間に、左側ローディング位置にて上述の様にしてウエハステージWST1と第1の搬送システムとの間でウエハの交換が行われている状態の平面図が示されている。この場合、ウエハステージWST1上では、ウエハ交換に引き続いて後述するようにしてアライメント動作が行われる。なお、図14において、露光動作中のウエハステージWST2の位置制御は、干渉計システムの測長軸BI2X、BI3Yの計測値に基づいて行われ、ウエハ交換とアライメント動作が行われるウエハステージWST1の位置制御は、干渉計システムの測長軸BI1X、BI4Yの計測値に基づいて行われる。
【0273】
この図14に示される左側のローディング位置ではアライメント検出系124aの真下にウエハステージWST1の基準マーク板FM1上の基準マークが来るような配置となっている。このため、主制御装置190では、アライメント検出系124aにより基準マーク板FM1上の基準マークを計測する以前に、干渉計システムの測長軸BI4Yの干渉計131のリセットを実施している。
【0274】
上述したウエハ交換、干渉計131のリセットに引き続いて、サーチアライメントが行われる。そのウエハ交換後に行われるサーチアライメントとは、ウエハW1の搬送中になされるプリアライメントだけでは位置誤差が大きいため、ウエハステージWST1上で再度行われるプリアライメントのことである。具体的には、ステージWST1上に載置されたウエハW1上に形成された3つのサーチアライメントマーク(図示せず)の位置をアライメント検出系124aのLSA系のセンサ等を用いて計測し、その計測結果に基づいてウエハW1のX、Y、θ方向の位置合わせを行う。このサーチアライメントの際の各部の動作は、主制御装置190により制御される。
【0275】
このサーチアライメントの終了後、ウエハW1上の各ショット領域の配列座標を求めるEGA方式のウエハアライメント(ファインアライメント)が行われる。具体的には、干渉計システム(測長軸BI1X、BI4Y)により、ウエハステージWST1の位置を管理しつつ、設計上のショット配列データ(アライメントマーク位置データ)をもとに、ウエハステージWST1を順次移動させつつ、ウエハW1上の所定のサンプルショットのアライメントマーク位置をアライメント検出系124aのFIA系のセンサ等で計測し、この計測結果とショット配列の設計座標データに基づいて最小自乗法による統計演算により、全てのショット配列データを演算する。なお、このEGAの際の各部の動作は主制御装置190により制御され、上記の演算は主制御装置190により行われる。なお、この演算結果は、基準マーク板FM1の基準マーク位置を基準とする座標系に変換しておくことが望ましい。
【0276】
本実施形態の場合、アライメント検出系124aによる計測時に、露光時と同じAF/AL機構の計測、制御によるオートフォーカス/オートレベリングを実行しつつアライメントマークの位置計測が行われ、アライメント時と露光時との間にステージの姿勢によるオフセット(誤差)を生じさせないようにすることができる。
【0277】
ウエハステージWST1側で、上記のウエハ交換、アライメント動作が行われている間に、ウエハステージWST2側では、2枚のレチクルR1、R2を使い、露光条件を変えながら連続してステップ・アンド・スキャン方式により二重露光が行われる。
【0278】
具体的には、前述したウエハW1側と同様にして、事前にEGA方式のファインアライメントが行われており、この結果得られたウエハW2上のショット配列データ(基準マーク板FM2上の基準マークを基準とする)に基づいて、順次ウエハW2の隣接ショットへのショット間移動(ステッピング)動作が行われ、ウエハW2上の各ショット領域に対して順次前述したスキャン露光が行われる。上記のショット間移動動作の際に、前述した第1の実施形態中で説明したのと同様のウエハステージWST2の移動制御が行われる。また、本第2の実施形態においても、ウエハ上のショット領域の露光に際してのレチクルステージとウエハステージとの同期制御のために必要な各種設定情報(制御パラメータの設定情報を含む)は、前述した第1の実施形態で説明したのと同様に、各ショット領域に対する露光終了直後の等速オーバースキャン時間中にショット領域毎に、あるいは異なる行のショット間の移動動作中に次の行の一行分毎に、主制御装置190からステージ制御装置160に伝送されるようになっている。この場合も、ステージ制御装置160で常時サンプリングが可能なレチクル干渉計30、レーザ干渉計システム及び前述のAF/AL計測機構からの情報以外の必要な情報は全て、上記のタイミングで主制御装置190が伝送することとし、同期制御に関連したパラメータの設定情報は行列式として最も高速処理できる状態にしてからステージ制御装置160に受け渡すようにすることが、高速処理の実現のためには望ましい。また、ステージ制御装置160は、ショット毎における露光開始前の両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することが、同期整定時間の短縮及びスループットの向上のためには望ましい。
【0279】
上述のようなウエハW2上の全ショット領域に対する露光がレチクル交換後にも連続して行われる。具体的な二重露光の露光順序としては、例えばウエハW1の各ショット領域をレチクルR2を使って順次スキャン露光を行った後、レチクルステージRSTを走査方向に所定量移動してレチクルR1を露光位置に設定した後、上記と逆の順序でスキャン露光を行う。この時、レチクルR2とレチクルR1では露光条件(AF/AL、露光量)や透過率が異なるので、レチクルアライメント時にそれぞれの条件を計測し、その結果に応じて条件の変更を行う必要がある。
【0280】
このウエハW2の二重露光中の各部の動作も主制御装置190によって制御される。
【0281】
上述した図14に示す2つのウエハステージWST1、WST2上で並行して行われる露光シーケンスとウエハ交換・アライメントシーケンスとは、先に終了したウエハステージの方が待ち状態となり、両方の動作が終了した時点で図15に示す位置までウエハステージWST1、WST2が移動制御される。そして、露光シーケンスが終了したウエハステージWST2上のウエハW2は、右側ローディングポジションでウエハ交換がなされ、アライメントシーケンスが終了したウエハステージWST1上のウエハW1は、投影光学系PLの下で露光シーケンスが行われる。
【0282】
図15に示される右側ローディングポジションでは、左側ローディングポジションと同様にアライメント検出系124bの下に基準マーク板FM2上の基準マークが来るように配置されており、前述のウエハ交換動作とアライメントシーケンスとが実行される事となる。勿論、干渉計システムの測長軸BI5Yの干渉計のリセット動作は、アライメント検出系124bによる基準マーク板FM2上のマーク検出に先立って実行されている。
【0283】
なお、上記の一連の並行処理動作の過程で行われる主制御装置190による干渉計のリセット動作は、上記特開平10−163098号公報に開示される動作と全く同様であり、公知であるから詳細な説明は省略する。
【0284】
以上説明したように、本第2の実施形態の露光装置110によると、各ウエハに対する露光を行うためのレチクルステージRSTの走査方向の移動動作と並行して行われる、ウエハステージWST1、WST2のショット間移動動作の際に、前述した第1の実施形態中で説明したのと同様のウエハステージWST1、WST2の移動制御が行われるので、ウエハステージWST1、WST2のショット間移動時間の短縮により、高スループットによる二重露光を実現することができる。この理由は、例えば特開平10−163098号公報にも開示されるように、ダブルウエハステージを備えた露光装置では、例えば、各処理時間をT1(ウエハ交換時間)、T2(サーチアライメント時間)、T3(ファインアライメント時間)、T4(1回の露光時間)とした場合に、T1、T2、T3とT4とを並列処理しながら二重露光を行う場合には、8インチウエハの場合、露光時間の方が大きいため該露光時間が制約条件となって全体のスループットが決まるが、本第2の実施形態では、ウエハステージWST1、WST2のショット間移動時間の短縮により、露光時間T4の短縮が可能だからである。
【0285】
また、本第2の実施形態では、複数枚のレチクルR1、R2を使って二重露光を行う場合、高解像度とDOF(焦点深度)の向上効果が得られる。また、本第2の実施形態では一方のウエハステージ上の露光動作と、他方のウエハステージ上のアライメント、ウエハ交換動作等の同時並行処理によりスループットを大幅に改善できるため、スループットを低下させることなく高解像度とDOFの向上効果とを得ることができる。
【0286】
勿論、本第2の実施形態の露光装置110では、二重露光でない通常の露光を行う場合には、前述した第1の実施形態と同等の効果が得られる他、2つのウエハステージ上の同時並行処理により、スループットを更に向上させることができる。
【0287】
本第2の実施形態のように、2つのウエハステージWST1、WST2を使って異なる動作を同時並行処理する場合、一方のステージで行われる動作が他方のステージの動作に影響(外乱)を与える可能性がある。このような場合、上記特開平10−163098号公報の図11〜図13及びその説明部分に開示されるような2つのステージWST1、WST2上で行われる動作のタイミング調整を行うことが望ましい。例えば、2つのウエハステージの加減速のタイミングの調整を図り、例えば一方のウエハステージ上のウエハに対する走査露光中に、他方のウエハステージ上ではウエハのアライメント計測動作を行う等で、お互いに影響を与えられない(あるいは影響が少ない)動作同士を並行して行うなどである。
【0288】
説明が前後したが、本第2の実施形態の露光装置110では、ウエハステージWST1、WST2同士の衝突を回避するために、次のような工夫がなされている。
【0289】
すなわち、主制御装置190からステージ制御装置160に対して特に1行分毎又はウエハ1枚分毎の制御情報を伝送する場合には、その伝送される情報の中には、ステージ移動時の各機構部のエラーに関する情報(エラー検知のため、あるいはその対処のための情報)や、例えば両ウエハステージの予想位置座標なども含めることとしている。このため、前述の並行処理動作中に、アライメントが行われている一方のウエハステージに露光が行われている他方のウエハステージの移動範囲内で停止するような何らかのエラーが生じた場合などに、ステージ制御装置160では、前記一方のウエハステージと前記他方のウエハステージとが衝突しないように、両者の距離が所定距離以内となった段階で他方のウエハステージを緊急停止させることができる。
【0290】
なお、上記第2の実施形態では、本発明に係るステージ装置を二重露光法を用いてウエハの露光を行う装置に適用した場合について説明したが、同様の技術であるスティッチングにも適用でき、この場合には、一方のウエハステージ側で2枚のレチクルにて2回露光を行う間に、独立に可動できる他方のウエハステージ側でウエハ交換とウエハアライメントを並行して実施することにより、通常の露光装置によるスティッチングよりも高いスループットが得られる。
【0291】
しかしながら、本発明に係るステージ装置の適用範囲がこれに限定されるものではなく、一重露光法により露光する場合にも本発明は好適に適用できるものである。
【0292】
また、上記第2の実施形態では、アライメント動作及びウエハ交換動作と、露光動作とを並行処理する場合について述べたが、これに限らず、例えば、ベースラインチェック(BCHK)、ウエハ交換が行われる度に行うキャリブレーション等のシーケンスについても同様に露光動作と並行処理するようにしても良い。
【0293】
なお、上記各実施形態では露光用照明光として波長が100nm以上の紫外光、具体的はKrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光あるいはFレーザ光(波長157nm)などを用いる場合ついて説明したが、これに限らず、例えばg線、i線などのKrFエキシマレーザと同じ遠紫外域に属する遠紫外(DUV)光などを用いることもできる。なお、YAGレーザの高調波などを用いても良い。
【0294】
さらに、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。なお、単一波長発振レーザとしては例えばイッテルビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0295】
また、上記各実施形態の露光装置において、露光用照明光としては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことは勿論である。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行なわれている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置も本発明の適用範囲に含まれるものである。
【0296】
また、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも本発明を適用することができる。例えば電子線露光装置として、例えばマスク上で互いに分離した250nm角程度の多数のサブフィールドに回路パターンを分解して形成し、マスク上で電子線を第1方向に順次シフトさせるとともに、第1方向と直交する第2方向にマスクを移動するのに同期して、分解パターンを縮小投影する電子光学系に対してウエハを相対移動し、ウエハ上で分解パターンの縮小像を繋ぎ合せて合成パターンを形成するマスク投影方式の露光装置を用いることができる。
【0297】
ところで、上記各実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(スキャニング・ステッパ)に本発明が適用された場合について説明したが、例えばミラープロジェクション・アライナ、プロキシミティ方式の露光装置(例えばX線が照射される円弧状照明領域に対してマスクとウエハとを一体的に相対移動する走査型のX線露光装置)などにも本発明を適用できる。
【0298】
また、投影光学系は縮小系だけでなく等倍系、又は拡大系(例えば液晶ディスプレイ製造用露光装置など)を用いても良い。さらに、投影光学系は屈折系、反射系、及び反射屈折系のいずれであっても良い。なお、露光用照明光の波長によって光学素子(特に屈折素子)に使用可能な硝材やコーティング材の種類が制限され、かつ硝材毎にその製造可能な最大口径も異なるので、露光装置の仕様から決定される露光波長やその波長幅(スペクトル半値幅)、及び投影光学系のフィールドサイズや開口数などを考慮して、屈折系、反射系、及び反射屈折系のいずれかを選択することになる。
【0299】
―般に、露光波長が190nm程度以上であれば、硝材として合成石英と蛍石とを用いることができるので、反射系、及び反射屈折系は言うに及ばず、屈折系も比較的容易に採用することができる。また、波長が200nm程度以下の真空紫外光では、その狭帯域化された波長幅によっては屈折系をも用いることができるが、特に波長が190nm程度以下では、硝材として蛍石以外に適当なものがなく、かつ波長の狭帯化も困難になることから、反射系、又は反射屈折系を採用するのが有利である。さらにEUV光では、複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射素子のみからなる反射系が採用される。なお、電子線露光装置では電子レンズ及び偏向器からなる電子光学系が用いられる。また、真空紫外域の露光用照明光ではその減衰を低減する気体(例えば窒素、ヘリウムなどの不活性ガス)で光路を満たすか、あるいはその光路を真空とし、EUV光、又は電子線ではその光路を真空とする。
【0300】
さらに、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、角型のガラスプレート上に液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、プラズマディスプレイや有機ELなどの表示装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置、さらにはマスク又はレチクルの製造に用いられる露光装置などにも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、プロキシミティ方式のX線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、光露光装置(DUV光やVUV光)などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、あるいは水晶などが用いられる。また、EUV露光装置では反射型マスクが用いられ、プロキシミティ方式のX線露光装置、又はマスク投影方式の電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0301】
また、本発明に係るステージ装置は前述した露光装置を始めとする、半導体素子などのマイクロデバイスの製造工程で使用されるリソグラフィ装置だけでなく、例えばレーザリペア装置、検査装置などにも適用できる。さらに、マイクロデバイスの製造工程で使用される各種装置以外であっても本発明を適用できる。
【0302】
《デバイス製造方法》
次に上述した各実施形態の露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0303】
図16には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図16に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0304】
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0305】
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0306】
図17には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図17において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0307】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0308】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0309】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記各実施形態の露光装置が用いられるので、高いスループットにて、レチクルのパターンをウエハW上の各ショット領域に転写することができる。この結果、高集積度のデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能になる。
【0310】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の露光装置によれば、他の装置性能を損なうことなく、スループットの向上を図ることができるという優れた効果がある。
【0311】
また、本発明のステージ装置によれば、スループットの向上とともに、ステージの駆動系の使用電力を抑えることができるという効果がある。
【0312】
また、本発明のデバイス製造方法によれば、デバイスの生産性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、投影光学系の有効フィールドに内接するウエハ上のスリット状の照明領域とショット領域Sとの関係を示す平面図、図2(B)は、ステージ移動時間とステージ速度との関係を示す線図である。
【図3】図1の主制御装置50の処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の露光装置でウエハW上の複数のショット領域に対する露光を行う際の照明スリット中心の移動軌跡を示す図である。
【図5】図5(A)は、ショットS,S,Sを順次露光する場合のウエハ上照明スリットSTの中心Pが各ショット上を通過する軌跡を示す図であり、図5(B)は、ステージ移動時間とステージ速度との関係を示す線図である。
【図6】図6(A)は、第1モードの移動動作における、ウエハステージのジャーク曲線を示す図、図6(B)は第1モードの移動動作におけるウエハステージの加速度曲線を示す図、図6(C)は、第1モードの移動動作におけるウエハステージの速度曲線を示す図、図6(D)は、第1モードの移動動作におけるウエハステージWSTの変位曲線を示す図である。
【図7】図7(A)は、従来の露光装置(従来装置)における、ウエハステージのジャーク曲線を示す図、図7(B)は従来装置におけるウエハステージの加速度曲線を示す図、図7(C)は、従来装置におけるウエハステージの速度曲線を示す図、図7(D)は、従来装置におけるウエハステージの変位曲線を示す図である。
【図8】図8(A)は、第2モードの移動動作における、ウエハステージのジャーク曲線を示す図、図8(B)は第2モードの移動動作におけるウエハステージの加速度曲線を示す図、図8(C)は、第2モードの移動動作におけるウエハステージの速度曲線を示す図、図8(D)は、第2モードの移動動作におけるウエハステージWSTの変位曲線を示す図である。
【図9】図9(A)は、第1のスキャン加速制御方法における、ウエハステージの走査方向に関するジャーク曲線を示す図、図9(B)は、ウエハステージの走査方向に関する加速度曲線を示す図、図9(C)は、ウエハステージの走査方向に関する速度曲線を示す図、図9(D)は、ウエハステージの走査方向に関する変位曲線を示す図である。
【図10】図10(A)は、第2のスキャン加速制御方法における、ウエハステージの走査方向に関するジャーク曲線を示す図、図10(B)は、ウエハステージの走査方向に関する加速度曲線を示す図、図10(C)は、ウエハステージの走査方向に関する速度曲線を示す図、図10(D)は、ウエハステージの走査方向に関する変位曲線を示す図である。
【図11】第2の実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図12】2つのウエハステージとレチクルステージと投影光学系とアライメント検出系の位置関係を示す斜視図である。
【図13】図11の装置における定盤近傍を示す概略平面図である。
【図14】2つのウエハステージを使ってウエハ交換・アライメントシーケンスと露光シーケンスとが行われている状態を示す平面図である。
【図15】図14のウエハ交換・アライメントシーケンスと露光シーケンスとの切り換えを行った状態を示す図である。
【図16】デバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図17】図16のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…露光装置、33…レチクルステージコントローラ(ステージ制御系の一部)、66…同期制御系(ステージ制御系の一部)、78…ウエハステージコントローラ(ステージ制御系の一部)、80…同期制御系(ステージ制御系の一部)、101…ステージ装置、110…露光装置、160…ステージ制御装置(ステージ制御系)、190…主制御装置(制御装置)、W…ウエハ(物体)、R…レチクル(マスク)、WST…ウエハステージ(物体ステージ)、WST1、WST2…ウエハステージ(物体ステージ)、RST…レチクルステージ(マスクステージ)。

Claims (27)

  1. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージを制御するステージ制御系と;
    前記1つの区画領域に対する遅くとも露光終了後から、次の区画領域の露光のために、前記ステージ制御系によって前記両ステージの前記走査方向に関する減速が開始されるまでの期間に、少なくとも次の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を前記ステージ制御系に送る制御装置と;を備える露光装置。
  2. 前記制御装置は、前記1つの区画領域に対する露光を行っている時にも、前記設定情報を前記ステージ制御系に送ることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記制御装置は、前記1つの区画領域に対する露光を行っている時から前記設定情報を送る場合には、次及びそれ以降の複数の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を送ることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記ステージ制御系は、前記次の区画領域の露光前の前記両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  5. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージを制御するステージ制御系と;
    前記物体上における前記走査方向に直交する非走査方向の任意の行内の最終区画領域の露光終了後、別の行の最初の区画領域の露光のため、前記ステージ制御系により前記両ステージの移動制御が行われる間に、前記次の行内の複数の区画領域の露光のために必要な制御パラメータの設定情報を前記ステージ制御系に送る制御装置と;を備える露光装置。
  6. 前記ステージ制御系は、前記次の行の区画領域毎における露光開始前の前記両ステージの前記同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  7. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージを制御するステージ制御系と;
    前記物体上の前記複数の区画領域の全てを露光するために必要な制御パラメータの設定情報を、前記物体上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる配列情報の検出動作の終了後、第1番目の区画領域の露光が開始されるまでの間に、前記ステージ制御系に送る制御装置と;を備える露光装置。
  8. 前記ステージ制御系は、前記物体上の区画領域毎に、露光前の前記両ステージの同期整定期間の前までに、前記設定情報に応じた両ステージの位置設定を終了することを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
  9. 前記制御パラメータは、露光に先立って計測された前記区画領域の配列に関連したパラメータを含み、前記設定情報は、所定のステージ座標系に対する区画領域の配列誤差により生じる区画領域間の移動量の補正値を考慮した情報を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
  10. 前記区画領域の配列誤差は、前記物体の回転誤差、前記物体の移動を規定するステージ座標系の直交度誤差、前記物体のステージ座標系上におけるオフセット、前記物体の倍率誤差の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
  11. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージを制御するとともに、前記物体上の1つの区画領域に対する露光終了後に、前記両ステージが前記走査方向に関して減速される際に、次の区画領域の露光のための前記両ステージの同期制御を開始するステージ制御系と;を備える露光装置。
  12. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージを制御するとともに、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間において前記両ステージを前記走査方向に関して減速後に加速する助走動作の際に、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージを制御するステージ制御系と;を備える露光装置。
  13. 前記2極化された符号が反転したジャーク曲線は、異なる形状であることを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
  14. 前記ステージ制御系は、前記区画領域に対する露光終了後の前記減速開始前に前記両ステージが等速移動される後整定期間を、露光開始前の前記両ステージの同期整定期間より長く設定するとともに、区画領域に対する露光終了後のジャーク曲線のピークを露光開始前のジャーク曲線のピークよりも大きく設定することを特徴とする請求項13に記載の露光装置。
  15. 前記2極化された符号が反転したジャーク曲線は、同一形状であることを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
  16. 前記ステージ制御系は、前記非走査方向の異なる行の区画領域間における前記両ステージの前記走査方向に関する移動動作の際には、4極化されたジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージを制御することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の露光装置。
  17. 前記4極化されたジャーク曲線は、少なくとも2極が異なる形状であることを特徴とする請求項16に記載の露光装置。
  18. 前記ステージ制御系は、前記両ステージの前記走査方向に関する前記区画領域間の前記助走動作と並行して、少なくとも2極が異なる形状で合計で4極化されたジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記物体ステージを前記非走査方向に関して移動させる区画領域間の移動動作を行うことを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載の露光装置。
  19. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージを制御するとともに、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間では、1つの区画領域に対する露光終了後に前記両ステージを前記走査方向に関して等速移動する後整定期間を前記露光終了後の減速開始前に確保し、異なる行間における移動の際には、1つの区画領域に対する露光終了の直後に前記両ステージの減速動作を開始するステージ制御系と:を備える露光装置。
  20. 前記ステージ制御系は、前記物体上の1つの区画領域に対する露光終了後に、次の区画領域の露光のため、前記両ステージが前記走査方向に関して減速後に加速される助走動作と前記物体ステージが前記走査方向に直交する非走査方向に関して移動する区画領域間の移動動作とが同時並行的に行われ、かつ前記物体ステージの前記非走査方向への移動動作が前記次の区画領域の露光前の前記両ステージの同期整定期間の前に終了するように、前記両ステージを制御することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の露光装置。
  21. マスクと物体とを所定の走査方向に同期移動して、前記物体上の複数の区画領域に前記マスクのパターンを順次転写する露光装置であって、
    前記マスクを保持して少なくとも前記走査方向に移動可能なマスクステージと;
    前記物体を保持して2次元平面内を移動可能な物体ステージと;
    前記両ステージの移動を制御するステージ制御系と;を備え、
    前記ステージ制御系は、前記走査方向に直交する非走査方向の同一行内の区画領域間においては、前記走査方向の移動動作と前記非走査方向の移動動作との同時並行的な移動動作を、1つの区画領域に対する露光終了後に前記両ステージを前記走査方向に関して等速移動する後整定期間の間に前記物体ステージに開始させる、ことを特徴とする露光装置。
  22. 前記ステージ制御系は、前記物体ステージに、前記同時並行的な移動動作を、次の区画領域に対する露光前の前記両ステージの同期整定期間の開始前まで実行させる、ことを特徴とする請求項21に記載の露光装置。
  23. 前記ステージ制御系は、同期整定期間の開始前までに、前記非走査方向の移動動作を終了するように前記物体ステージを制御することを特徴とする請求項22に記載の露光装置。
  24. 前記ステージ制御系は、前記物体ステージに、前記同時並行的な移動動作を、前記1つの区画領域に対する露光終了直後から開始させることを特徴とする請求項23に記載の露光装置。
  25. 物体を保持して2次元平面内を移動可能なステージと;
    前記ステージが所定の第1軸方向に関して減速後に加速される第1軸方向移動動作と前記第1軸方向に直交する第2軸方向に関して移動する第2軸方向移動動作とが同時並行的に行われるように前記ステージを制御するとともに、前記第1軸方向移動動作に際して、2極化された符号が反転したジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記ステージを制御するステージ制御系と;を備えるステージ装置。
  26. 前記ステージ制御系は、前記第2軸方向移動動作に際しては、少なくとも2極が異なる形状で、合計で4極化されたジャーク曲線に従った指令値に基づいて前記ステージを制御することを特徴とする請求項25に記載のステージ装置。
  27. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程では、請求項1〜24のいずれか一項に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
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