JP2004241666A - 計測方法及び露光方法 - Google Patents

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三郎 神谷
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美雪 近藤
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Abstract

【課題】反射面の表面形状の計測を短時間でかつ高精度に行う。
【解決手段】2次元面内で移動鏡MX,MYの反射面にほぼ平行な軸方向にステージWSTを移動している間に反射面の局部的な回転量とステージの回転量とを同時に測定し、ステージがほぼ等速で移動しているときに測定された反射面の局部的な回転量とこれに対応するステージの回転量のみを用いて、前記反射面の形状を算出する。これにより、ステージの加減速に起因する反射面の変形の影響を受けることなく、反射面の表面形状を精度良く、計測することが可能となる。また、ステージを所定間隔で位置決めして位置決めの都度、反射面の局部的な回転量とステージの回転量を計測する場合と異なり、同時測定の開始から終了までの間、ステージの位置決め及びその位置決めの前後での加減速時間が不要となるので、結果的に計測時間の短縮が可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測方法及び露光方法に係り、更に詳しくは、2次元面内を移動可能な移動体に設けられた少なくとも1つの反射面の表面形状を計測する計測方法、及び該計測方法を用いた露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の感光物体(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)などが主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置においては、ウエハを保持して2次元面内を移動可能なウエハステージの位置計測には、例えば波長633nmで連続発振するHe−Neの周波数安定化レーザを光源とした光波干渉計(レーザ干渉計)が用いられている。
【0004】
レーザ干渉計は、その性質上、一次元の計測しかできないため、2次元の座標計測、例えばXY座標の計測を行う場合にはレーザ干渉計を2つ用意する必要がある。そして、ウエハステージに設けられた互いに直交する2つの反射面それぞれに対して2つのレーザ干渉計から垂直に測長ビームを照射し、各反射面の測長ビームの方向の基準点からの距離の変化を計測することで、ウエハステージの2次元の座標位置が求められる。
【0005】
通常、ウエハステージに固定されたX軸方向、Y軸方向にそれぞれ延びる平面鏡(移動鏡とも呼ばれる)の反射面が上記の反射面として用いられる。これらの平面鏡は、ウエハステージの必要移動ストロークに対応して、X軸方向及びY軸方向に長さが必要であり、ウエハステージの位置計測に用いられるものであることから、極めて高い平面度が要求される。
【0006】
しかるに、上記の平面鏡の反射面の平坦度を良好に確保するためには、精度の高い表面加工(鏡面加工)が必要不可欠であり、製作コストが非常に高くなっていた。また、仮に、平坦度の良好な平面鏡を製作しても、これをウエハステージに固定するときに歪みが発生したり、固定後の経時変化により歪みが発生したりすることがあった。さらに、露光装置に要求される露光精度が高くなるにつれ、従来問題とならなかった程度の反射面の表面形状の凹凸が無視できなくなり、近年の露光装置に要求される重ね合わせ精度、アライメント精度などを考慮した場合に、その要求精度を満足するレベルの平坦度を有する平面鏡を製作することは極めて困難となっていた。
【0007】
そこで、平面鏡の反射面の形状を計測し、その計測結果を用いて平面鏡の反射面形状に起因するレーザ干渉計の計測誤差を補正しようとの観点から、出願人は、4軸干渉計によって移動鏡の局所的な傾きを測定し、それを積算して移動鏡の反射面の形状を求める方法を先に提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特許第3295846号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、ウエハステージを一方向に所定間隔でステップ移動して移動位置(計測ポイント)毎に、反射面の表面形状を算出するためのデータを得るという計測方法を採用していたことから、各計測ポイントに対する移動のため、その前後のステップ移動時に加速時間及び減速時間をそれぞれとる必要があるが、これが計測時間を長くする結果を招き、必ずしも満足できるものでないことが、その後判明した。また、計測誤差を抑制するためには、各計測ポイントで位置決めが整定するまで待つ必要があることも判明した。このような理由により、移動鏡の表面形状の計測がスループットを低下させる要因となっていた。また、移動鏡の一端部近傍において、計測誤差が相当大きくなることも判明した。
【0010】
さらに、上述の如く、その計測に長時間を要することから、通常の露光処理動作中には、移動鏡の形状計測を行うことができず、定期的に露光処理動作を停止して、その計測動作を実行する必要があった。この点においても、露光装置のスループットを低下させる要因となっていた。
【0011】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、移動体に設けられた反射面の表面形状の計測能力を向上させることが可能な計測方法を提供することにある。
【0012】
本発明の第2の目的は、移動体の他の動作のスループットを低下させることなく、移動体に設けられた反射面の表面形状の計測を実行することが可能な計測方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第3の目的は、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることが可能な露光方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、2次元面内を移動可能な移動体(WST)に設けられた少なくとも1つの反射面の表面形状を計測する計測方法であって、前記2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向に前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する工程と;前記移動体がほぼ等速で移動しているときに測定された前記反射面の局部的な回転量とこれに対応する移動体の回転量のみを用いて、前記反射面の形状を算出する工程と;を含む計測方法である。
【0015】
これによれば、2次元面内で反射面にほぼ平行な所定軸方向に移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と移動体の回転量とを同時に測定し、移動体がほぼ等速で移動しているときに測定された反射面の局部的な回転量とこれに対応する移動体の回転量のみを用いて、前記反射面の形状を算出するので、移動体の加減速に起因する反射面の変形の影響を受けることなく、反射面の表面形状を精度良く、計測することが可能となる。また、移動体を所定間隔で位置決めして位置決めの都度、反射面の局部的な回転量と移動体の回転量を計測する、上記特許文献1に記載の方法と異なり、前記の同時測定の開始から終了までの間、移動体の位置決め及びその位置決めの前後での加減速時間が不要となるので、結果的に計測時間の短縮が可能となる。従って、本発明によると、移動体に設けられた反射面の表面形状の計測を短時間でかつ高精度に行うことが可能となり、反射面の表面形状の計測能力を時間的な面で向上させることができる。また、上記の加減速時間が不要なことから、前記反射面の局部的な回転量と移動体の回転量との同時測定を、前述の特許文献1に記載の発明などに比べて頻繁に行うことが可能となり、より細かなデータの収集が可能となり、この点において計測精度を向上させることも可能となる。
【0016】
この場合において、前記測定する工程は、前記所定軸方向の一側から他側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第1測定工程と;前記所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第2測定工程と;を含み、前記算出する工程では、前記第1測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データに対応する前記第2測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて(例えば、第1及び第2傾斜データの平均値などに基づいて)前記反射面の形状を算出することとすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、2次元面内を移動可能な移動体(WST)に設けられた少なくとも1つの反射面の形状を計測する計測方法であって、前記2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向の一側から他側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第1測定工程と;前記所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第2測定工程と;前記第1測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データと対応する前記第2測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて(例えば、第1及び第2傾斜データの平均値などに基づいて)前記反射面の形状を算出する工程と;を含む計測方法である。
【0018】
これによれば、2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向の一側から他側へ移動体を移動している間に反射面の局部的な回転量と移動体の回転量とを同時に測定し(第1測定工程)、所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する(第2測定工程)。そして、第1測定工程の測定結果から得られる反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データに対応する第2測定工程の測定結果から得られる反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて(例えば、第1及び第2傾斜データの平均値などに基づいて)反射面の形状を算出する。ここで、第1測定工程及び第2測定工程のいずれにおいても、反射面の局部的な回転量と移動体の回転量とから導き出される反射面の傾きを積算して反射面の表面形状を導き出す手法を採用することができるが、かかる手法を採用した場合、傾きの積算と同時に傾きに含まれる誤差(計測上の誤差、計算上の誤差を含む)も積算されるため、所定軸方向の一側から他側へ移動体を移動している間に得られた傾きデータのみを用いて積算を行う場合には、積算(演算回数)が多くなる反射面の計測終了点側の端部に近づけば近づくほど表面形状に含まれる誤差が大きくなる。
【0019】
これに対し、本発明のように、第1測定工程の測定結果から得られる反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データと対応する第2測定工程の測定結果から得られる反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて反射面の形状を算出する場合には、上記の積算に伴う誤差が全体として平均化される結果として誤差の影響が緩和され、より高精度な反射面の表面形状の算出を行うことが可能となり、反射面の表面形状の計測能力を精度面で向上させることができる。
【0020】
上記請求項1〜3に記載の各計測方法において、反射面の局部的な回転量は、種々の機構を用いて測定することができるが、請求項4に記載の計測方法の如く、前記反射面の局所的な回転量は、光波干渉計(XI,XθI,YI,YθI)により測定されることとすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、2次元面内を移動可能な移動体(WST)に設けられた少なくとも1つの反射面の形状を計測する計測方法であって、前記2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向に前記移動体を移動する間に、前記反射面の一部の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する工程を、複数回行って前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを収集する工程と;前記収集する工程で収集されたデータに基づいて、前記反射面の形状を算出する工程と;を含む計測方法である。
【0022】
これによれば、2次元面内で反射面にほぼ平行な所定軸方向に移動体を移動する間に、反射面の一部の局部的な回転量と移動体の回転量とを同時に測定し、これを複数回行うことで反射面の所定軸方向のほぼ全長にわたる局所的な回転量とこれに対応する移動体の回転量とのデータを収集する。そして、収集されたデータに基づいて、反射面の形状を算出する。このようにすることで、移動体を反射面に平行な所定軸方向に移動する間に、反射面の一部の局所的な回転量と移動体の回転量とを同時に測定するのを、連続的あるいは離散的に行うことによってデータが収集されるので、データの測定のための時間を他の動作と並行して、あるいは他の動作の合間に行うことができ、他の動作の進行を妨げることがない。従って、他の動作のスループットを低下させることがなく、移動体に設けられた反射面の表面形状の計測を実行することが可能となる。
【0023】
この場合において、請求項6に記載の計測方法の如く、前記収集する工程と、算出する工程とを繰り返し、前記算出する工程で前記反射面の形状が算出される度に、前記反射面の形状データを更新する工程を更に含むこととすることができる。
【0024】
上記請求項5及び6に記載の各計測方法において、請求項7に記載の計測方法の如く、前記収集する工程は、前記所定軸方向の一側から他側へ前記移動体を移動している間に、前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを収集する第1収集工程と、前記所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に、前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを収集する第2収集工程とを含み、前記算出する工程では、前記第1収集工程で収集されたデータから得られる前記反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データと対応する前記第2収集工程で収集されたデータから得られる前記反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて(例えば、第1及び第2傾斜データの平均値などに基づいて)前記反射面の形状を算出することとすることができる。
【0025】
上記請求項5〜7に記載の各計測方法において、請求項8に記載の計測方法の如く、前記反射面の局所的な回転量は、光波干渉計(XI,XθI,YI,YθI)により測定されることとすることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記反射面の形状を計測する工程と;前記計測された反射面の形状と、前記反射面を用いて前記移動体の位置を計測する位置計測装置(XI,XθI,YI,YθI)の計測結果とに基づいて前記移動体を移動して、前記移動体上に載置された感光物体(WST)に対してパターンを転写する工程と;を含む露光方法である。
【0027】
これによれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高精度な反射面の形状の計測が行われ、計測された反射面の形状と、反射面を用いて移動体の位置を計測する位置計測装置の計測結果とに基づいて、移動体を移動し、移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する。従って、位置計測装置の計測結果を計測された反射面の表面形状に応じて補正等することにより、理想的な反射面を用いた場合と同様の精度が得られ、露光の際(パターンの転写の際)の移動体の高精度な位置制御が実現される。これにより、重ね合わせ精度の良好なパターンの転写を行うことが可能となり、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることが可能となる。
【0028】
この場合において、請求項10に記載の露光方法の如く、前記計測する工程では、前記反射面の一部の局部的な回転量と前記移動体の回転量との同時測定を、複数回行って前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを得ることとすることができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項5〜8のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記反射面の形状を計測する工程と;前記計測された反射面の形状と、前記反射面を用いて前記移動体の位置を計測する位置計測装置の計測結果とに基づいて前記移動体を移動して、前記移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する工程と;を含む露光方法である。
【0030】
これによれば、請求項5〜8のいずれか一項に記載の高精度な反射面の形状の計測が行われ、計測された反射面の形状と、反射面を用いて移動体の位置を計測する位置計測装置の計測結果とに基づいて、移動体を移動し、移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する。従って、位置計測装置の計測結果を前記計測された反射面の表面形状に応じて補正等することにより、理想的な反射面を用いた場合と同様の精度が得られ、移動体の高精度な位置制御が実現される。これにより、重ね合わせ精度の高い高精度なパターンの転写を行うことが可能となる。また、この場合、前述の反射面の形状の計測を、移動体の他の動作、例えば露光処理工程における動作のスループットを低下させることなく実行することができる。従って、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることが可能となる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項5〜8のいずれか一項に記載の計測方法により、前記反射面の形状を計測する工程と;前記反射面の形状の変化が所定量を超えているか否かを判断する工程と;前記反射面の形状の変化が所定量を超えている場合には、警告を発する工程と;前記警告に応じたメンテナンスが実行されるまで待機する工程と;前記メンテナンス終了後、前記移動体を移動し、該移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する工程と;を含む露光方法である。
【0032】
これによれば、請求項5〜8のいずれか一項に記載の計測方法により反射面の形状を計測するとともに、反射面の形状の変化が所定量を超えているか否かを判断する。そして、前記所定量を超えている場合には、警告を発しメンテナンスが実行されるまで待機する。その後、メンテナンスが終了した段階で、移動体を移動して、該移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する。このため、パターンを精度良く感光物体上に転写することが可能となる。また、この場合、前述の反射面の形状の計測を、移動体の他の動作、例えば露光処理工程における動作のスループットを低下させることなく実行することができる。従って、露光装置のスループットを維持しつつ、高精度なパターンの転写ができるので、最終製品であるデバイスの生産性を向上することが可能である。
【0033】
上記請求項9〜13に記載の各露光方法において、前記計測する工程は、様々なタイミングで行うことができるが、請求項14に記載の露光方法の如く、前記計測する工程のうちの一部(例えばデータの計測など)又は全部は、前記移動体上に載置される感光物体の交換の際に行われることとすることができる。
【0034】
上記請求項9〜14に記載の各露光方法において、請求項15に記載の露光方法の如く、前記計測する工程のうちの少なくとも一部は、所定枚数おきの感光物体の交換の度に行なわれることとすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図4(B)に基づいて説明する。
【0036】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が斜視図にて示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)である。この露光装置100は、照明系10、マスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、感光物体としてのウエハWが搭載される移動体としてのウエハステージWST、及びこれらの制御系等を備えている。
【0037】
前記照明系10は、図1では、その一部のみしか図示されていないが、実際には、光源、及び照明光学系を含み、その内部に配置された視野絞り(マスキングブレード又はレチクルブラインドとも呼ばれる)で規定される矩形又は円弧状の照明領域IARに照明光ILを照射し、回路パターンが形成されたレチクルRを均一な照度で照明する。照明系10と同様の照明系は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されている。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはFレーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。
【0038】
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着又は静電吸着などにより固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ及びボイスコイルモータ等を含む不図示のレチクルステージ駆動部によって、照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能(Z軸回りの回転(θz回転)を含む)であるとともに、所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
【0039】
レチクルステージRSTのXY面内の位置(θz回転を含む)は、該レチクルステージRSTの+X側,+Y側にそれぞれ形成された(あるいは固定された)反射面にレーザビームを照射するX軸レチクルレーザ干渉計44X及びY軸レーザ干渉計44Yによって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。以下においては、これらのレーザ干渉計を纏めて、レチクル干渉計RIと呼ぶものとする。
【0040】
レチクル干渉計RIからのレチクルステージRSTの位置情報は主制御装置50に供給される。主制御装置50は、レチクルステージRSTの位置情報に基づいて不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
【0041】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/5又は1/4)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。
【0042】
投影光学系PLの+X側近傍には、アライメント検出系ASが配設されている。このアライメント検出系ASは、オフアクシス(off−axis)方式のマーク検出系である。このアライメント検出系ASとしては、本実施形態では、画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系のアライメントセンサが用いられている。このアライメント検出系ASは、光源(例えばハロゲンランプ)及び結像光学系、検出基準となる指標マークが形成された指標板、及び撮像素子(CCD)等を含んで構成されている。そして、アライメント検出系ASでは、光源からのブロードバンド(広帯域)光により検出対象であるマークを照明し、このマーク近傍からの反射光を結像光学系を介して指標からの光とともにCCDで受光する。このとき、マークの像が指標の像とともにCCDの撮像面に結像される。そして、CCDからの画像信号(撮像信号)に所定の信号処理を施すことにより、検出基準点である指標マークの中心を基準とするマークの位置を計測する。
【0043】
なお、FIA系に限らず、コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出したり、その対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数)を干渉させて検出したりするアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。
【0044】
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの下方で不図示のベースの上方に配置され、リニアモータ等を含む不図示のウエハ駆動部によって、XY面内(θz回転を含む)で自在に駆動される。また、ウエハステージWSTは、ウエハ駆動部を構成するアクチュエータによって、Z軸方向、及びXY面に対する傾斜方向(X軸回りの回転方向(θx方向)及びY軸回りの回転方向(θy方向))へ微小駆動される。なお、ウエハ駆動部はZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向に加えて、ウエハステージWSTをXY面内で微小駆動するアクチュエータを備えていても良い。
【0045】
ウエハステージWSTの上面には、不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。また、ウエハステージWSTの上面には、アライメント検出系ASのベースライン計測に用いられる基準マークその他の基準マークが形成された基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMはその表面がウエハWとほぼ同一高さとされている。
【0046】
更に、ウエハステージWSTの−X側端部及び+Y側端部それぞれには、Y軸方向に延びる反射面を有する移動鏡(平面鏡)MXと、X軸方向に延びる反射面を有する移動鏡(平面鏡)MYがそれぞれ固設されている。移動鏡MXの反射面には、X軸方向の位置(距離変化)を検出する干渉計XIからの測長軸BXで示される測長ビームが垂直に投射され、移動鏡MYの反射面にはY軸方向の位置を検出する干渉計YIからの測長軸BYで示される測長ビームが垂直に投射される。測長軸BXはX軸と平行であり、測長軸BYはY軸と平行であり、これら両者は、投影光学系PLの光軸AXで直交する(あるいは垂直に交差する)ようになっている。
【0047】
更に、一方の移動鏡MXの反射面には、X軸θ干渉計XθIからY軸方向に所定間隔隔てたX軸方向に平行な2本のビームBXθ1、BXθ2がそれぞれ垂直に投射され、X軸θ干渉計XθIはそれらの反射光を受光してビームBXθ1、BXθ2相互の光路差を計測する。更に、θ干渉計XθIは、2本のビームBXθ1、BXθ2のY軸方向の間隔で規定された範囲で移動鏡MXの回転量を計測する。
【0048】
他方の移動鏡MYの反射面には、Y軸θ干渉計YθIからX軸方向に所定間隔隔てたY軸方向に平行な2本のビームBYθ1、BYθ2が垂直に投射され、Y軸θ干渉計YθIはビームBYθ1、BYθ2相互の光路差を計測する。更に、θ干渉計YθIは、2本のビームBYθ1、BYθ2のX軸方向の間隔で規定された範囲で移動鏡MYの回転量を計測する。
【0049】
図2(A)には、前記干渉計XIの構成の一例をY軸方向から見た図が示されている。干渉計XIは、不図示の光源、該光源から射出されるレーザビーム1Xの光路上に配置された偏光ビームスプリッタ2X、該ビームスプリッタ2Xの+Z側にXY面に対して45°の傾斜角で斜設されたミラー6X、該ミラー6Xの+X側に配置された1/4波長板(以下「λ/4板」と呼ぶ)3B、前記ビームスプリッタ2Xの+X側に配置されたλ/4板3A、ビームスプリッタ2Xの−Z側に配置されたコーナーキューブ5X、及びビームスプリッタ2Xの−X側に配置されたレシーバ10X等を備えている。
【0050】
この干渉計XIによると、不図示の光源から射出された周波数差を有するとともに、互いに直交した偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)を含むHe−Neレーザビーム1Xは、偏光ビームスプリッタ2Xに入射し、ここで偏光方向によって移動鏡MXへ向かうビーム(すなわち、前述の測長軸BXで示される測長ビーム)BXと、ミラー6Xを介して投影光学系PLの鏡筒8に固定された参照鏡(固定鏡)7Xへ向うビーム(以下、「参照ビーム」と呼ぶ)BXrとに分けられる。ビームスプリッタ2Xで反射された参照ビームBXr(S偏光)は、ミラー6Xで反射され、λ/4板3Bを通過して円偏光となって参照鏡7Xの下半分に投射される。この参照ビームBXr(円偏光)は、参照鏡7Xで反射され、元の光路を逆向きに戻る。このとき、参照鏡7Xで反射された反射ビームはλ/4板3Bを再度通過することによって入射光(送り光)と直交した偏光方向のP偏光に変換され、ミラー6Xで反射された後、偏光ビームスプリッタ2Xを透過してコーナーキューブ5Xに至る。この参照ビームBXr(P偏光)は、コーナーキューブ5Xの反射面で反射されて逆向きに折り返され、再びビームスプリッタ2Xを透過(通過)し、さらにミラー6X、λ/4板3Bを順次通過し、この際に円偏光に変換されて参照鏡7Xの上半分に達する。この参照鏡7Xで反射された参照ビームBXr(円偏光)は、λ/4板3Bを再度通過する際にS偏光に変換され、ミラー6X、偏光ビームスプリッタ2Xで順次反射され、レシーバ10Xに入射する。
【0051】
一方、ビームスプリッタ2Xを透過した測長ビームBX(P偏光)は、λ/4板3Aを通過して円偏光に変換された後、移動鏡MXの下半分に投射される。この移動鏡MXで反射された測長ビームBX(円偏光)は、λ/4板3Aを通過してS偏光に変換され、ビームスプリッタ2Xで下方に反射され、コーナーキュー5Xの反射面で反射されて逆向きに折り返され、再びビームスプリッタ2Xで反射されて、λ/4板3Aを通過して円偏光に変換され、移動鏡MXの上半分に投射される。この移動鏡MXで反射された測長ビームBX(円偏光)は、λ/4板3Aを通過してP偏光に変換され、ビームスプリッタ2Xを通過して前述した参照ビームBXr(S偏光)と同軸に合成されてレシーバ10Xに入射する。レシーバ10Xは、移動鏡MXからの反射ビーム(測長ビームBX(P偏光))と、参照鏡7Xからの反射ビーム(参照ビームBXr(S偏光))とを、偏光方向を合わせて互いに干渉させ、それらの反射ビーム(光源から射出されたレーザビーム1Xに含まれる周波数差を有する互いに直交した偏光成分と実質的に同一のビーム)の周波数差を利用して、ヘテロダイン方式で2つの光路(測長ビームBXの光路と参照ビームBXrの光路)の光路長の差(光路差)を検出する。このような光路差の検出が、移動鏡MXのX軸方向の位置の変化に応じて行われることにより、結果的に測長ビームBXの光路と参照ビームBXrの光路差の変化が検出されることになる。
【0052】
図1に戻り、前記干渉計YIについても、上述した干渉計XIと同様、ビームスプリッタ、ミラー、レシーバ、λ/4板等を含んで構成されている。なお、干渉計YIも、具体的には図2(A)で説明した干渉計XIと同様の構成となっているので、具体的な構成についてはその説明を省略するものとする。
【0053】
前記θ干渉計XθIは、図2(B)に示されるように、不図示の光源、該光源から射出されるレーザビーム11Xの光路上に設けられた偏光ビームスプリッタ(以下、適宜「ビームスプリッタ」と略述する)12X、該ビームスプリッタ12Xの+X側にXZ面に対して傾斜角45°で斜設されたミラー15X、該ミラーの+Y側にミラー15Xと同様に斜設されたミラー16X、該ミラー16Xの+X側に配置されたλ/4板14B、前記偏光ビームスプリッタ12Xの−Y側に前記ミラー15Xの向きとは直交する向きで配置されたミラー13X、該ミラー13Xの+X側に配置されたλ/4板14A、及び偏光ビームスプリッタ12Xの+Y側に配置されたレシーバ17X等を備えている。
【0054】
このθ干渉計XθIによると、不図示の光源から射出された周波数差を有するとともに、互いに直交した偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)を含むHe−Neレーザビーム11Xは、ビームスプリッタ12Xで反射又は透過することにより2つに分岐され、ビームスプリッタ12Xで反射したS偏光のビームはミラー13Xで反射された後、λ/4板14Aを介して円偏光のビームBXθ1となって移動鏡MXの1点に対して垂直に投射される。ビームスプリッタ12Xを透過したP偏光のビームはミラー15X、16Xで順次反射された後、λ/4板14Bを通過して円偏光のビームBXθ2となって移動鏡MXの別の点に対して垂直に投射される。ここでビームBXθ1とビームBXθ2はX軸に対して平行であり、Y軸方向の間隔は移動鏡MXの反射面上でSX(10mm〜数十mm程度)に設定されている。
【0055】
移動鏡MXで反射されたビームBXθ1(円偏光)は、λ/4板14Aを再度通過してP偏光のビームとなった後、ミラー13Xで反射され、さらにビームスプリッタ12Xを透過してレシーバ17Xに入射する。一方、移動鏡MXで反射されたビームBXθ2(円偏光)は、λ/4板14Bを再度通過してS偏光のビームとなった後、ミラー16X、15Xで順次反射され、ビームスプリッタ12Xに至る。そして、このビーム(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ12Xで反射されて、前述のP偏光のビームと同軸に合成されてレシーバ17Xに入射する。
【0056】
レシーバ17Xは、入射したビームBXθ1の反射ビーム(P偏光)と、ビームBXθ2の反射ビーム(S偏光)とを、偏光方向を合わせて互いに干渉させ、それらの反射ビーム(光源から射出されたレーザビーム11Xに含まれる周波数差を有する互いに直交した偏光成分と実質的に同一のビーム)の周波数差を利用して、ヘテロダイン方式で2つの光路(ビームBXθ1の光路とビームBXθ2の光路)の光路長の差(光路差)を検出する。このような光路差の検出が、移動鏡MXのθz方向の姿勢の変化に応じて行われることにより、結果的にビームBXθ1の光路とビームBXθ2の光路差の変化が検出されることになる。
【0057】
なお、θ干渉計XθIは上記説明では省略したが、実際には干渉計XI及び干渉計YIと同様に参照鏡(固定鏡)を基準として、移動鏡MXの2点での光路差を計測するようになっている。
【0058】
図1に戻り、他方のθ干渉計YθIについても、ビームスプリッタ、ミラー、λ/4板、レシーバ等を含んで構成されているが、上記θ干渉計XθIと同様の構成であるので、その詳細な説明は省略するものとする。
【0059】
なお、上記各干渉計の構成は一例であり、その他の構成を採用することも可能である。要は、2本のビームBXθ1、BXθ2の光路差の変化量及び2本のビームBYθ1、BYθ2の光路差の変化量が求められれば良い。例えば、θ干渉計XθI,YθIの代わりに、干渉計XI又はYIと同一構成の一対の干渉計を、その測長軸が上記間隔だけ離れるように、移動鏡MX,MYにそれぞれ対応して配置し、それらの計測値と上記間隔とから移動鏡MX,MYの反射面の局所的な回転量とウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)とを求めるようにしても良い。この場合、X軸とY軸の各々で、その一対の干渉計のみを用いることとし、干渉計XI,YIを設けなくても良い。なお、前述の参照鏡7Xなどは必ずしも投影光学系PLに設けなくても良いし、ウエハステージWSTのX軸回りの回転量(ピッチング量)やY軸回りの回転量(ローリング量)の計測に用いられる干渉計を追加しても良い。
【0060】
上述した干渉計XI、YI、XθI、YθIそれぞれのレシーバからの計測信号(検出信号)は、図1の主制御装置50に送られる。
【0061】
本実施形態の露光装置100によると、通常のスキャニング・ステッパと同様に、レチクルアライメント及び前述したアライメント検出系ASのベースライン計測、並びにEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式等のウエハアライメントなどの所定の準備作業の後、レチクル干渉計RI及びウエハ干渉計(XI,XθI、YI,YθI)の計測値に基づいて、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを移動しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれ、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRの回路パターンが転写される。
【0062】
そして、ウエハステージWST上のウエハWに対する露光が終了した段階で、不図示のウエハ交換機構によりウエハステージWST上で露光済みのウエハと次の露光対象であるウエハとの交換が行われる。このようにして、ウエハ交換→前述のウエハアライメントなど→ステップ・アンド・スキャン方式の露光が順次繰り返し行われることにより、多数枚のウエハに対する露光処理が行われる。
【0063】
本実施形態の露光装置100では、所定枚数、例えば1ロット(1ロットは例えば25枚又は50枚など)おきのウエハの交換の度に、すなわち1ロットの最終のウエハに対する露光が終了し、そのウエハと次のロットの先頭のウエハとの交換を行う際に、主制御装置50によってウエハステージWST上の移動鏡MX、MYの反射面の表面形状の計測が行われるようになっている。
【0064】
以下、この反射面の表面形状の計測方法について詳細に説明する。
【0065】
図3には、ウエハステージWST上のウエハに対する露光動作が終了したときの位置(露光終了位置)にあるウエハステージWSTが符号WSTで示され、ウエハ交換が行われる位置(ウエハ交換位置)にあるウエハステージWSTが符号WSTで示されている。以下では、説明の便宜上、露光終了位置を露光終了位置WSTと表記し、ウエハ交換位置をウエハ交換位置WSTと表記するものとする。
【0066】
本実施形態の露光装置100では、前ロットの最終のウエハを次ロットの先頭のウエハに交換する場合(以下、「ロット先頭のウエハ交換時」と呼ぶ)以外のウエハ交換時には、通常と同様に、ウエハステージWSTの露光終了位置WSTからウエハ交換位置WSTまで移動、及びウエハ交換位置WSTから露光開始位置までの移動は、ウエハステージWSTの移動距離がほぼ最短となるような経路に沿って行われる。
【0067】
一方、ロット先頭のウエハ交換時には、ウエハステージWSTは、まず、主制御装置50により、図4(A)に示されるように、露光終了位置WSTから符号WSTで示される中間位置(以下、中間位置WSTと表記する)に向けてX軸方向に沿って移動される。そして、この移動の間に、主制御装置50により移動鏡MYの反射面の表面形状を算出するためのデータが取得される。
【0068】
すなわち、主制御装置50は、干渉計XI、YIの計測値をモニタしつつ、ウエハステージWSTを、上述の如く、露光終了位置WSTから中間位置WSTまで−X方向に移動する。この移動は、移動開始後の加速、等速移動、移動終了直前の減速の順で行われる。この場合の加速域、減速域は僅かであり、殆どが等速域である。
【0069】
上記のウエハステージWSTの移動中、主制御装置50は、干渉計XIの計測値の所定回数おきのサンプリングのタイミングに同期して、干渉計YθI及びXθIの計測値をサンプリングし、次のようにして、移動鏡MYの反射面の表面形状算出のための第1の凹凸量(第1傾斜データ)の算出を行う。
【0070】
ここで、図5に基づき、移動鏡MYの反射面の第1の凹凸量の算出方法について説明する。
【0071】
なお、前述したように、θ干渉計は実際には固定鏡(前述の参照鏡)を基準にして移動鏡MX、MYの反射面の回転量を計測しているが、ここでは説明を簡単にするために、θ干渉計YθIは図5に示されるように仮想的に固定された基準線RYを基準に移動鏡MYの局部的な回転量を検出するものとして説明を行う。
【0072】
図5において、基準線RYと移動鏡MYの距離をYa(干渉計YIで計測している値)とし、その位置での移動鏡MYの局部的な回転量(傾斜角、曲り角)をθY(x)とする。θ干渉計YθIは、基準線RY上でX軸方向にSYだけ離れた2点で、移動鏡MYまでの距離Yθ1とYθ2を計測し、両距離の差分Yθ(x)を計測する。すなわち、次式(1)で示される差分Yθ(x)を計測する。
【0073】
Yθ(x)=Yθ2−Yθ1 ……(1)
【0074】
ここで、主制御装置50は、移動鏡MYがX軸方向の基準点Oxにあるとき、すなわち移動鏡MYの反射面上の固定された点Oに、干渉計YIの測長ビームが入射している時点から計測を開始しているものとする。なお、この時点は、ウエハステージWSTが加速を終了した時点である。このとき、主制御装置50は、干渉計YI及びθ干渉計XθIの計測値をともに零リセットしているものとする。
【0075】
図5の下半部には、このリセットの様子が視覚的に示されている。
【0076】
この場合において、移動鏡の局部的な回転量(傾斜角)θY(x)は多くとも1〜2秒程度の微小角であり、間隔SYは10mmから数十mmであるので、角度θY(x)は次式(2)にて近似することが可能である。
【0077】
θY(x)=Yθ(x)/SY ……(2)
【0078】
一方、移動鏡MYの位置Oxにおける反射面のY座標値を基準(ΔY(x)=0)とする凹凸量ΔY(x)は、基準点Oxをx=0として、次式(3)にて求めることができる。
【0079】
【数1】
Figure 2004241666
【0080】
但し、実際には、移動中には、ウエハステージWSTにヨーイングが発生し得るため、ΔY(x)は、移動鏡MYの反射面の傾斜による凹凸の他に、ヨーイング量による誤差分を含んでいる。従って、そのヨーイング量による誤差分を上式(3)で求められる値から差し引く必要がある。
【0081】
この場合、ウエハステージWSTはX軸方向に一次元移動するだけなので、θ干渉計XθIの2本のビームBXθ1、BXθ2は移動鏡MXの反射面上の実質的に同一の点にそれぞれ投射され続ける。この場合、θ干渉計XθIの計測値は前述の如く基準点Oxでリセットされているので、位置xでのθ干渉計XθIの値は、基準点Oxを基準としたウエハステージWSTのヨーイング量Xθ(x)となる。
【0082】
そこで、反射面の凹凸量ΔY(x)を算出するのに用いたθ干渉計YθIの計測値θY(x)に対応するθ干渉計XθIによる計測値Xθ(x)を用いて、次式(4)のような補正演算を行なうことにより、移動鏡MYの反射面の真の凹凸量DY1(x)を求める。
【0083】
【数2】
Figure 2004241666
【0084】
そこで、主制御装置50では、上式(4)の演算を、データθY(x)及びXθ(x)をサンプリングする毎に行い、各サンプリング点に対応する移動鏡MYの反射面の第1の凹凸量DY1(x)をメモリ内に格納する。
【0085】
このとき、上式(4)の演算の対象となる、最終のサンプリングデータは、x=Lに対応するデータであるものとする。x=Lとなる時点は、ウエハステージWSTが減速を開始した点に一致しているものとする。
【0086】
次に、主制御装置50は、図4(B)に示されるように、干渉計XI、YIの計測値をモニタしつつ、ウエハステージWSTを、中間位置WSTからウエハ交換位置WSTに向けて+Y方向に移動する。この移動も、移動開始後の加速、等速移動、移動終了直前の減速の順で行われる。この場合の加速域、減速域は僅かであり、殆どが等速域である。
【0087】
上記のウエハステージWSTの移動中、主制御装置50は、干渉計YIの計測値の所定回数おきのサンプリングのタイミングに同期して、干渉計YθI及びXθIの計測値を同時にサンプリングし、そのサンプリングの度に、前述と同様にして、移動鏡MXの反射面の第1の凹凸量(第1傾斜データ)の算出を行う。
【0088】
すなわち、主制御装置50は、θ干渉計XθIの計測値をXθ(y)、θ干渉計XθIの2本のビームの間の間隔をSX(図2(B)参照)として、反射面の局部的な回転量、すなわち傾斜角(曲り角)θX(y)を次式(5)に従って算出するとともに、θ干渉計YθIの計測値をYθ(y)として、次式(6)に基づいて、移動鏡MXの反射面の第1の凹凸量DX1(y)を求める。
【0089】
θX(y)=Xθ(y)/SX ……(5)
【0090】
【数3】
Figure 2004241666
【0091】
以上のようにして、主制御装置50は、各サンプリング点に対応する移動鏡MXの反射面の第1の凹凸量DX1(y)を求め、メモリ内に格納する。
【0092】
このとき、上式(6)の演算の対象となる、最終のサンプリングデータは、y=L’に対応するデータであるものとする。y=L’となる時点は、ウエハステージWSTが減速を開始した点に一致しているものとする。
【0093】
その後、ウエハ交換位置WSTにおいて、不図示のウエハ交換機構により、ウエハステージWST上の前ロットの最終ウエハと次ロットの先頭のウエハとの交換が行われる。
【0094】
ウエハ交換の終了後、主制御装置50は、ウエハステージWSTを、次ロットの先頭のウエハに対する露光開始位置まで移動するが、その際に、上述した露光終了位置WSTからウエハ交換位置WSTへの移動経路とは逆の経路を辿って、ウエハステージWSTを、露光終了位置WSTに移動する。
【0095】
すなわち、主制御装置50は、まず、ウエハステージWSTを、図4(B)とは反対の経路で、ウエハ交換位置WSTから中間位置WSTまで+Y方向に移動し、この移動中における等速移動の間に計測されたデータのみを用いて、前述と同様の手順で、移動鏡MXの反射面の第2の傾斜データとしての第2の凹凸量DX2(y)を算出し、メモリに記憶する。この場合、移動鏡MXの反射面の第2の凹凸量DX2(y)は、次式(7)に基づいて算出される。
【0096】
【数4】
Figure 2004241666
【0097】
次いで、主制御装置50は、図4(A)とは反対の経路で、ウエハステージWSTを中間位置WSTから露光終了位置WSTまで+X方向に移動し、この移動中における等速移動の間に計測されたデータのみを用いて、前述と同様の手順で、移動鏡MYの反射面の第2の傾斜データとしての第2の凹凸量DY2(x)を算出し、メモリに記憶する。この場合、移動鏡MYの反射面の第2の凹凸量DY2(x)は、次式(8)に基づいて算出される。
【0098】
【数5】
Figure 2004241666
【0099】
その後、主制御装置50は、ウエハ交換前のウエハステージの移動の際に算出された移動鏡MX、MYの第1の凹凸量のデータDX1(y),DY1(x)と、これに対応する、ウエハ交換後の移動の際に算出された移動鏡MX、MYの第2の凹凸量のデータDX2(y),DY2(x)を用いて、次式(9)、(10)に基づいて、移動鏡MX、MYの真の反射面の表面形状(凹凸量)DY(x)、DX(y)を算出する。
【0100】
DX(y)=(DX1(y)+DX2(y))/2 ……(9)
DY(x)=(DY1(x)+DY2(x))/2 ……(10)
【0101】
上記のように移動鏡MX、MYの反射面の第1の凹凸量(第1傾斜データ、すなわち往路データ)と第2の凹凸量(第2傾斜データ、すなわち復路データ)とを平均化することで、往路のみのデータを用いて反射面の表面形状(凹凸量)を求める従来例に比べて、計測精度を格段に向上させることができる。すなわち、上述の如く、反射面の部分的な曲がり量(傾斜角)を積算(積分)することにより凹凸量を求めるという手法を採用した場合、往路のみのデータを用いる場合には、前述の式(2)、式(5)の近似の際の誤差が積算される結果、反射面の端部近傍に近づくほど算出結果に大きな誤差が含まれるが、往路データと復路データとを平均することで、移動鏡のいずれの部分においても、その誤差を同程度の値にすることができ、その誤差の影響を緩和することができる。
【0102】
具体的には、一方向への移動中(等速移動中)に例えばN点で測定し、N個の局部的な回転量(傾き角)のデータを積算する場合、その積算値に含まれる誤差は、一般に正規分布に従い、積算値の真の値からの乖離量(誤差)の大きさは、その標準偏差で表すことができる。1つ1つのデータに含まれる誤差の分布の分散をσとすると、m点目(1≦m≦N)においては、積算値に含まれる誤差の分布の分散は、mσとなるので、標準偏差は√m・σとなる。すなわち、積算値には√mに比例する誤差が含まれることとなる。従って、N点目においては、√Nに比例する誤差が含まれることとなる。
【0103】
これに対し、本実施形態のように、ウエハステージWSTを往復して得られた往路データ及び復路データを平均化することにより、移動鏡の真の表面形状を算出すれば、端からm点目(1≦m≦N)の形状誤差は、(√m+√(N−m+1)/2)に比例するので、N点目(反射面の一方の端部の計測点)では、形状誤差は、(√N+1)/2に比例する。従って、往路データのみを用いた場合(N点目の誤差の比例定数√N)と往復データを平均化した場合(比例定数(√N+1)/2)との差は、(√N−1)/2となり、この値はNが1より大きい整数の場合には常に正の値となるので、移動鏡の端部近傍における反射面の表面形状の計測誤差は、往路データのみを用いる場合に比べて明らかに小さくなり、その計測誤差が緩和されることとなる。
【0104】
本実施形態の露光装置100では、主制御装置50が、上述したような移動鏡MX、MYの反射面の表面形状の計測を、ロット先頭のウエハの交換毎に行い、表面形状の計測結果を逐次更新する。
【0105】
そして、あるロットのウエハに対する露光処理動作中は、ウエハアライメント及び露光動作等のウエハステージWSTの移動に際し、ウエハステージWSTのX軸方向の位置に応じて、Y軸干渉計YIの計測値を、そのロットの先頭で計測した(又は更新した)表面形状DY(x)を用いて補正することとし、ウエハステージWSTのY軸方向の位置に応じて、X軸干渉計XIの計測値を、そのロットの先頭で計測した(又は更新した)表面形状DX(y)を用いて補正する。
【0106】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100の主制御装置50が実行する移動鏡(MX又はMY)の反射面の表面形状の計測方法によると、XY2次元面内で移動鏡(MX又はMY)の反射面にほぼ平行な所定軸(Y軸又はX軸)方向にウエハステージWSTを移動している間に、反射面の局部的な回転量(傾き)とウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)とが同時に測定される。そして、ウエハステージWSTがほぼ等速で移動しているときに測定された移動鏡の反射面の局部的な回転量とこれに対応するウエハステージWSTの回転量のみを用いて、反射面の形状が算出される。従って、ウエハステージWSTの加減速に起因する反射面の変形の影響を受けることなく、反射面の表面形状を計測することが可能である。この場合、ウエハステージの加速時や減速時などでは、反射面の局部的な回転量とウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)との同時測定は、行っても行わなくても良い。要は、反射面の表面形状の算出に、ウエハステージWSTがほぼ等速で移動するときに測定されたデータのみが用いられれば良い。
【0107】
また、反射面の局部的な回転量(傾き)とウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)との同時測定を開始した後、測定終了までの間、ウエハステージWSTの位置決め動作(停止動作)が不要となるので、その位置決めの前後での加減速時間が不要となり、その分、計測時間の短縮が可能である。
【0108】
また、本実施形態の露光装置100の主制御装置50が実行する移動鏡(MX又はMY)の反射面の表面形状の計測方法によると、XY2次元面内で移動鏡(MX又はMY)の反射面にほぼ平行な所定軸(Y軸又はX軸)方向の一側から他側へウエハステージWSTを移動している間に移動鏡の反射面の局部的な回転量とウエハステージの回転量(ヨーイング)とが同時に測定され、所定軸方向の他側から一側へウエハステージWSTを移動している間に移動鏡の反射面の局部的な回転量とウエハステージの回転量(ヨーイング)とが同時に測定される。そして、一側から他側へウエハステージWSTを移動する際に測定される測定結果から得られる反射面の部分的な傾斜データである第1の凹凸量(往路データDX1(y)又はDY1(x))と、該傾斜データに対応する他側から一側へウエハステージWSTを移動する際に測定される測定結果から得られる反射面の部分的な傾斜データである第1の凹凸量(復路データDX2(y)、DY2(x))との平均値に基づいて反射面の形状が算出される。この結果、各凹凸量を算出する際に行われた前述の積算に伴う誤差が全体として平均化される結果として誤差の影響が緩和され、より高精度な反射面の表面形状の算出を行うことが可能となり、反射面の表面形状の計測能力を精度面で向上させることができる。
【0109】
また、本実施形態の露光装置100によると、前述の如くして高精度な移動鏡MX、MYの反射面の形状の計測が行われ、その計測された反射面の形状と、反射面を用いてウエハステージWSTの位置を計測するレーザ干渉計XI、YIの計測結果とに基づいて、ウエハステージWSTの位置を制御しつつ、ウエハステージWST上に載置されたウエハW上の各ショット領域に対してレチクルRのパターンがステップ・アンド・スキャン方式で転写される。従って、理想的な(フラットな)反射面を用いた場合と同様の精度が得られ、ウエハステージWSTの高精度な位置制御が実現される。これにより、重ね合わせ精度の良好なパターンの転写を行うことが可能となり、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることが可能となる。
【0110】
この場合において、上記の反射面の表面形状の計測結果に基づく、レーザ干渉計XI、YIの計測結果の補正は、露光時のみでなく、それに先立って行われるウエハアライメント時にも行われるので、ウエハアライメント精度の向上も可能である。
【0111】
また、本実施形態の露光装置100では、主制御装置50により、上記の移動鏡の表面形状の計測が、ロット先頭のウエハ交換の際に、ウエハステージの移動経路を通常と僅かに異ならせて行われるので、特にスループットを低下させることもないとともに、その表面形状の算出結果(計測結果)に基づいて表面形状が逐次更新されるので、長期にわたり、ウエハステージWSTの位置制御性を精度良く保つことができる。
【0112】
なお、上記実施形態では、移動鏡MX、MYの反射面の表面形状算出のための各データのサンプリングを、それぞれの往路、復路について、途中でウエハステージWSTを停止させることなく、所定のサンプリング間隔で行う場合について説明したが、これに限らず、途中でウエハステージWSTを停止させる動作が数回程度含まれていても良い。この場合、その停止位置を境界として複数区間に分け、区間毎にウエハステージWSTの等速移動中に、反射面の局部的な回転量(傾き)とウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)との同時測定を所定のサンプリング間隔で行っても良い。かかる場合であっても、データのサンプリングをウエハステージWSTの等速移動中に行うので、位置決めの整定を待ってデータの取り込みを行う場合に比べてその測定時間の短縮が可能である。
【0113】
また、上記実施形態では、反射面の局部的な回転量(傾き)とウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)との同時測定のみならず、その測定したデータを用いた前述の第1の凹凸量、第2の凹凸量の算出をも、ウエハステージWSTの移動中に行うものとしたが、これに限らず、上記の同時測定のみをウエハステージWSTの移動中に行い、その測定したデータ及びウエハステージWSTの位置とを互いに関連づけてメモリ内に格納しておき、後で、往路、復路のそれぞれについて必要な演算を行っても良いし、あるいは、反射面の真の表面形状の算出に必要な往路復路のデータをメモリ内に蓄積した後、全ての演算を纏めて一度に行うようにしても良い。
【0114】
なお、上記実施形態では、ウエハステージWSTをX軸方向およびY軸方向に関して往復移動しつつ、往路の計測データのうちのウエハステージWSTが等速移動中にサンプリングされた測定データ及び復路の測定データのうちのウエハステージWSTが等速移動中に測定された測定データを用いて反射面の表面形状(第1傾斜データ、第2傾斜データ)を算出し、それらのデータを平均化することで反射面の表面形状を算出するものとしたが、本発明がこれに限られるものではなく、例えば、ウエハステージの等速移動時以外(例えば加減速時)にサンプリングされたデータを用いても良い。かかる場合であっても、往路でサンプリングした測定データと復路でサンプリングした測定データを用いて、前述と同様にして反射面の表面形状を求めることにより、前述の平均化による誤差の影響の軽減は可能である。
【0115】
また、上記実施形態では、往路と復路とでウエハステージWSTの同一座標点で前述のデータ(反射面の局部的な回転量とウエハステージWSTの回転量のデータ)のサンプリングが行われることを前提としたが、これは説明の複雑化を避ける観点からこのようにしてものであり、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、往路と復路とで、異なる座標点で反射面の局部的な回転量とウエハステージWSTの回転量のサンプリングを行うことも可能である。この場合には、往路データと復路データとの平均化演算に先立って、各サンプリングデータを用いて算出した往路データ(第1の凹凸量)と復路データ(第2の凹凸量)の一方をウエハステージWSTのX座標、又はY座標を独立変数とする関数に近似し、その関数に他方のデータのサンプリングが行われた座標値を代入して、その点における凹凸量を求め、その値を用いて前述の平均化演算を行うようにしても良い。あるいは、サンプリング時の座標値が最も近い往路データ(第1の凹凸量)と復路データ(第2の凹凸量)とで平均化演算を行うようにしても良い。
【0116】
また、上記実施形態では、ウエハステージWSTをX,Yの両軸方向に往復移動しつつ、移動鏡の反射面の表面形状を計測することとしたが、これに限らず、例えば、X軸方向(又はY軸方向)のみ往復移動して計測し、Y軸方向(又はX軸方向)は一側から他側にのみ移動して計測することとしても良い。更に、移動鏡の反射面の表面形状の計測に要する時間を短縮するという観点からは、X、Y軸のいずれに関しても一側から他側にのみ移動して計測することとしても良い。かかる場合であっても、ウエハステージWSTのほほ等速移動時にサンプリングした前述の各データを用いて移動鏡反射面の表面形状を算出することにより、ウエハステージWSTの加減速に起因する反射面の変形の影響を受けることなく、反射面の表面形状を精度良く、計測することが可能である。また、上記の加減速時間が不要なことから、前記反射面の局部的な回転量とウエハステージWSTの回転量との同時測定を、前述の特許文献1に記載の発明などに比べて頻繁に行うことが可能となり、より細かなデータの収集が可能となり、この点において計測精度を向上させることも可能である。
【0117】
また、上記実施形態では、前ロットの最終ウエハの露光終了後、次ロットの先頭のウエハに交換する際に、移動鏡MX,MYの反射面の表面形状の計測を行うこととしたが、これに限らず、ロットの途中のウエハ交換の際に、行っても良い。すなわち、ウエハ交換とは関係なく、ロット毎等の適宜な時に、ウエハステージWSTをX軸方向、又はY軸方向に等速で駆動して、上記実施形態と同様に、移動鏡MX,MYの反射面の表面形状を計測することとしても良い。
【0118】
なお、上記実施形態では、露光終了位置からX軸方向一側(−X側)への移動を開始したが、本発明がこれに限られるものではなく、露光終了位置から干渉計XθIのビームが当たらなくなるぎりぎりの位置までX軸方向他側(+X側)へ移動した後に、計測のためのX軸方向一側(−X側)へのウエハステージWSTの移動を開始しても良い。
【0119】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について、図6に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この第2の実施形態の露光装置は、主制御装置50によって実行される、ウエハステージWST上の移動鏡MX,MYの反射面の表面形状の計測方法及び計測のタイミングが前述した第1の実施形態の露光装置と異なるのみで、装置構成などは前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下では重複説明を避ける観点から、相違点を中心として説明する。
【0120】
図6には、ウエハステージWSTの平面図が示されている。この図6に示されるように、ウエハステージWST上に載置されたウエハW上には前層までの露光によりN個のショット領域S(i=1〜N)がマトリクス状に形成されている。
【0121】
ウエハWに対する第2層目以降の露光動作においては、ステップ・アンド・スキャン方式で露光が行われ、ショット領域S〜Sに対して、レチクルRのパターンが重ね合わせて転写される。このステップ・アンド・スキャン方式での露光の際の投影光学系PLの投影中心(光軸)のウエハWに対する相対的な移動経路の一部が図6中のウエハ上に記載されている(図6の経路R参照)。なお、実際には、投影光学系PLが固定で、ウエハステージWSTが移動するのであるが、図示の便宜上、及び説明を分かり易くする観点から、図6においては投影光学系PLが移動するかのように図示されている。
【0122】
この経路Rにおいては、走査開始位置(加速開始位置)PからウエハステージWSTの+Y方向の加速が開始され、ショット領域Sに露光領域(前述の照明領域IARに共役な照明光ILのウエハ上の照射領域)の前端が掛かる直前にウエハステージWST(及びレチクルステージRST)が等速移動状態となる。そして、等速移動中に露光が行われた後、露光領域の全体(後端)がショット領域から外れた段階で露光が終了するとともにウエハステージWSTの減速が開始され、所定位置Pにて停止する。なお、走査露光の開始直後及び終了直前ではそれぞれ露光領域の一部がショット領域から外れるが、実際には前述のレチクルブラインドなどによってショット領域の外側に照明光が照射されるのを防止している。
【0123】
その後、ウエハステージWSTは、−X方向へのステッピング動作を開始する。このステッピングにおいては、加速→等速→減速移動を行って、次のショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)Pまで移動し、停止する。これ以降は、上記と同様に経路Rに沿ってウエハステージWSTが移動され、露光動作とステッピング動作が繰り返され、ウエハW上のショット領域S〜Sに対していわゆる完全交互スキャン方式でレチクルRのパターンが転写される。
【0124】
ところで、本第2の実施形態の露光装置では、主制御装置50は、露光動作及びステッピング動作におけるウエハステージWSTの移動中に、上記第1の実施形態と同様の、移動鏡MX,MYの表面形状を算出するためのデータ(移動鏡の局所的な回転量及びウエハステージWSTの回転量(ヨーイング))のサンプリングを行う。
【0125】
すなわち、主制御装置50は、走査露光中にウエハステージWSTのY軸方向の位置を計測する干渉計YIの計測値の所定回数おきのサンプリングのタイミングに同期して、移動鏡MXの局所的な回転量を計測する干渉計XθI及びウエハステージWSTの回転量(ヨーイング)を計測する干渉計YθIの計測値を、サンプリングするとともに、それらの計測値を相互にかつ、干渉計YIの計測値に対応付けてメモリに記憶する。
【0126】
また、主制御装置50は、ステッピング動作中におけるウエハステージWSTの等速移動中に、ウエハステージWSTのX軸方向の位置を計測する干渉計XIの計測値の所定回数おきのサンプリングのタイミングに同期して、移動鏡MYの局所的な回転量を計測する干渉計YθIの計測値及びウエハステージの回転量(ヨーイング)を測定する干渉計XθIの計測値を、サンプリングするとともに、それらの計測値を相互にかつ、干渉計XIの計測値に対応付けてメモリに記憶する。
【0127】
このような各データサンプリングを露光動作及びステッピング動作の度に繰り返し行い、移動鏡MX,MYのそれぞれについて、往路、復路のそれぞれで反射面の長手方向ほぼ全域にわたって、反射面の表面形状の算出に用いられるデータが収集できたときに、前述した式(4)、(6)、(7)、(8)にそれぞれ基づいて、反射面の表面形状をそれぞれ算出することとする。
【0128】
ここで、各計測点について計測されるデータの数に差異が生ずることとなるが、このような場合には、最新のデータを用いることとしても良いし、平均値を用いても良い。
【0129】
そして、主制御装置50は、前述の式(4)、(8)の演算をともに実行できた時点の後に、式(10)の演算を実行して、移動鏡MYの反射面の表面形状を算出し、予めメモリ内に記憶されている表面形状データを更新する。また、前述の式(5)、(7)の演算をともに実行できた時点の後に、式(9)の演算を実行して、移動鏡MXの反射面の表面形状を算出し、予めメモリ内に記憶されている表面形状データを更新する。
【0130】
その後、主制御装置50は、次に更新が行われるまでの間、更新された反射面の表面形状に基づいて、ウエハステージWSTの位置を管理する。
【0131】
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態の露光装置によると、主制御装置50は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光処理に際して通常行われる、ウエハステージWSTのX軸方向への移動(ステッピング動作)及びY軸方向への移動(露光動作)中に、移動鏡MX,MYの反射面の一部の局部的な回転量とウエハステージWSTの回転量との同時測定を、複数回行って反射面のX軸方向(又はY軸方向)のほぼ全長にわたる局所的な回転量とこれに対応するウエハステージWSTの回転量とのデータを収集する。そして、収集されたデータに基づいて、反射面の形状を算出するので、データ収集に要する時間を露光動作等とは別に設ける必要が無く、計測工程が露光工程の進行を妨げるのを抑制することができる。
【0132】
また、本第2の実施形態では、基本的には前述した第1の実施形態と同様の手法により、移動鏡MX、MYの反射面の表面形状の計測が行われるので、反射面の形状を精度良く計測することができ、その計測された反射面の形状と、反射面を用いてウエハステージWSTの位置を計測するレーザ干渉計XI、YIの計測結果とに基づいて、ウエハステージWSTを移動し、ウエハステージWST上のウエハに対してパターンが転写される。従って、理想的な反射面を用いた場合と同様の精度が得られ、移動体の高精度な位置制御が実現される。これにより、スループットを低下させることなく、重ね合わせ精度の良好なパターンの転写を行うことが可能となる。従って、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることが可能となる。
【0133】
また、本第2の実施形態では、露光処理シーケンスの途中であっても、移動鏡の反射面の表面形状の算出が行われる場合があり、このような場合には、表面形状が更新された直後から、干渉計の補正を該更新された表面形状に基づいて行うことができるので、ウエハ1枚を完全に無駄にすること等がなく、露光装置の歩留まりを向上することが可能である。
【0134】
なお、上記第2の実施形態では、露光動作中及びステッピング動作中にデータの収集を行うこととしたが、本発明がこれに限られるものではなく、ウエハ交換時のウエハステージの移動中や、アライメントの際のステージの移動中など様々なタイミングで行うことが可能である。
【0135】
なお、上記第2の実施形態では、ショット領域間のステッピングをY軸方向に沿った方向の移動により行うこととしたが、これに限らず、露光中心がウエハW上にU字状の軌跡を描くような移動によりステッピングを行うこととしても良い。この場合に、U字状にステッピングすることで、X軸側の移動鏡MXの表面形状を頻繁に計測できない場合には、露光動作及びステッピング中には、Y軸側の移動鏡MYの表面形状のみを計測することとし、X軸側については別途計測時間をとるようにしても良い。または、ステッピング動作中(少なくとも加減速中)にはその表面形状の計測を行わなくても良い。
【0136】
また、上記第2の実施形態では、往路データと復路データが算出された段階で、それらの平均化をすることにより反射面の表面形状を算出し、主制御装置50のメモリに記憶された表面形状を更新することとしたが、これに限らず、往路データのみ、復路データのみが算出された段階で表面形状を更新することとしても良い。また、例えば往路データのみが算出された場合には、メモリに記憶されている反射面の表面形状を算出する際に用いた復路データを用いて、平均化処理を行うこととしても良く、更に、復路データのみが算出された場合にも、同様の処理を行うこととすれば良い。
【0137】
なお、上記各実施形態では、移動鏡MX,MYの反射面の表面形状に応じて、位置計測装置としての干渉計の計測値を補正するものとして説明したが、本発明がこれに限られるものではない。すなわち、例えば、上記各実施形態で説明した計測方法と同様の計測方法で移動鏡MX,MYの反射面の表面形状を計測し、該計測結果と、所定の閾値とを比較して、表面形状の計測結果が前記閾値を超えていた場合に、主制御装置50により、不図示の表示装置等を介して、ユーザ(オペレータ)にメンテナンスを促すような警告を発するようにしても良い。この場合、主制御装置50は、警告を発した後、メンテナンスが終了するまでの間待機し、メンテナンス終了後、移動鏡MX,MYの反射面の表面形状が修復された状態で、露光動作を再開する。
【0138】
さらに、上記各実施形態では、反射面の表面形状に応じて干渉計の計測値を補正するものとしたが、本発明がこれに限られるものではない。例えば、ウエハステージを移動すべき目標位置を反射面の表面形状に応じて補正するなどして、ウエハステージの移動を補正制御することとしても良い。この場合、移動鏡反射面の表面形状が真の平面でないことによる影響を受けることなく、干渉計XI、YIの測長軸で規定されるXY座標系と、実際のウエハステージの移動を規定する座標系とが略一致するようなウエハステージの移動制御が行なわれればよい。
【0139】
なお、上記各実施形態では、光波干渉計を用いて反射面の局所的な回転量を算出することとしたが、これに限らず、他の計測装置、すなわち例えばオートコリメータ方式を利用して、平行光束を移動鏡の反射面に投射し、その反射光束の反射方向の変化を光電検出する構成の計測装置を採用することとしても良い。
【0140】
また、ウエハステージWST(移動体)の回転量についても、上記各実施形態のように、光波干渉計を用いて計測することとしても良いし、上記と同様にオートコリメータ方式を利用した計測装置など種々の構成の計測装置を採用することとしても良い。
【0141】
なお、上記各実施形態では、ウエハステージWST上に移動鏡が設けられた場合について、説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、移動鏡の反射面に代えて、ウエハステージの端面を鏡面加工して、反射面を形成しても良い。この場合であっても、反射面の表面形状を完全に平坦に加工するのが難しい場合には、上記各実施形態で説明した反射面の表面形状の計測方法を採用することが精度及びスループット等の面から好ましい。
【0142】
また、上記各実施形態では、ウエハステージWSTの移動鏡の反射面の表面形状の計測に本発明の計測方法を採用した場合について説明したが、レチクルステージの計測に、ウエハステージWST側と同様の計測装置を用いる場合には、レチクルステージの移動鏡の反射面の計測に本発明の計測方法を採用することが可能である。
【0143】
なお、上記各実施形態では、ウエハステージWSTの移動鏡の反射面の表面形状の計測において、往路データと復路データを用いた表面形状の計測方法を、(i)等速移動中の測定データのみを用いる、(ii)反射面の一部のデータを測定する工程を、その計測区間の少なくとも一部を異ならせて繰り返し行うという2つの発明それぞれと組み合わせた計測方法について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、往路データと復路データを用いた表面形状の計測方法を単独で行う方法(すなわち、所定軸方向にステップ移動しつつ計測した往路データ、及びこれに対応する復路データを平均化する計測方法)を採用することとしても良い。
【0144】
なお、上記各実施形態では、ウエハステージWSTをX軸方向、Y軸方向の両方向に沿って移動している間に、測定することとしたが、XY2次元面内を直線的に移動している間であれば、いずれの方向に移動している間であっても、測定することは可能である。
【0145】
なお、上記各実施形態では、ウエハステージを1つのみ有するシングルステージタイプの露光装置に限らず、ウエハステージを2つ有するツインステージタイプの露光装置、更にはウエハステージを多数有するマルチステージタイプの露光装置に本発明の計測方法及び露光方法を適用することとしても良い。
【0146】
また、上記各実施形態では、ウエハステージが互いに直交する2つの反射面を備えているものとしたが、これに限らず、反射面を1つ又は3つ以上備えることとしても良い。例えば、ウエハステージに3つの反射面をコの字(Uの字)状に設けても良いし、あるいは所定方向に延設される反射面が複数に分割されていても良い。
【0147】
なお、上記各実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ光源(出力波長248nm)などの紫外光源、Fレーザ、ArFエキシマレーザ等の真空紫外域のパルスレーザ光源、あるいは水銀ランプなどを用いるものとしたが、これに限らず、Arレーザ光源(出力波長126nm)などの他の真空紫外光源を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。さらに、照明光ILとして紫外光などだけでなく、X線(EUV光を含む)又は電子線やイオンビームなどの荷電粒子線などを用いても良い。
【0148】
なお、上記各実施形態では、投影光学系に対する負担をあまり重くすることなく、より大面積のパターンを高精度にウエハ上に転写可能であるという走査露光方式の利点に着目し、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないことは勿論である。すなわちステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置にも本発明は好適に適用でき、同様に、デフォーカスのない高精度な露光が可能となる。
【0149】
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記各実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0150】
なお、上記各実施形態では、本発明の計測方法が半導体製造用の露光装置で実行された場合について説明したが、これに限らず、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子、有機EL、マイクロマシン、DNAチップなどを製造するための露光装置などにも本発明は広く適用できる。
【0151】
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。
【0152】
なお、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸露光装置に本発明を適用しても良い。
【0153】
さらに、プロキシミティ方式の露光装置やミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用しても良く、要はその構成に関係なく感光物体を保持する移動体を備えていれば、いかなる露光装置についても本発明を適用することができる。
【0154】
さらに、上記各実施形態では、本発明の計測方法が露光装置にて実行される場合について説明したが、露光装置以外の検査装置、加工装置などの装置であっても、本発明の計測方法は、好適に適用できるものである。
【0155】
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。従って、その半導体デバイスを生産性良く製造することが可能となる。
【0156】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜4に記載の各計測方法によると、移動体に設けられた反射面の表面形状の計測能力を向上させることができるという効果がある。
【0157】
また、請求項5〜8に記載の各計測方法によると、移動体の他の動作のスループットを低下させることなく、移動体に設けられた反射面の表面形状の計測を実行することができるという効果がある。
【0158】
また、請求項9〜15に記載の各露光方法によると、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2(A)は、干渉計XIの構成を具体的に示す図であり、図2(B)は、干渉計XθIの構成を具体的に示す図である。
【図3】ロット先頭のウエハ交換に際して、移動鏡の反射面の表面形状を計測する方法を説明するための図(その1)である。
【図4】図4(A)、図4(B)は、ロット先頭のウエハ交換に際して、移動鏡の反射面の表面形状を計測する方法を説明するための図(その2)である。
【図5】移動鏡MYの反射面の表面形状を計測する方法を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態にかかる、ウエハステージに設けられた移動鏡の反射面の表面形状を計測する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
W…ウエハ(感光物体)、WST…ウエハステージ(移動体)、XI,XθI,YI,YθI…干渉計(位置計測装置、光波干渉計)。

Claims (14)

  1. 2次元面内を移動可能な移動体に設けられた少なくとも1つの反射面の表面形状を計測する計測方法であって、
    前記2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向に前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する工程と;
    前記移動体がほぼ等速で移動しているときに測定された前記反射面の局部的な回転量とこれに対応する移動体の回転量のみを用いて、前記反射面の形状を算出する工程と;を含む計測方法。
  2. 前記測定する工程は、
    前記所定軸方向の一側から他側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第1測定工程と;
    前記所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第2測定工程と;を含み、
    前記算出する工程では、前記第1測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データに対応する前記第2測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて前記反射面の形状を算出することを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
  3. 2次元面内を移動可能な移動体に設けられた少なくとも1つの反射面の形状を計測する計測方法であって
    前記2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向の一側から他側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第1測定工程と;
    前記所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に前記反射面の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する第2測定工程と;
    前記第1測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データに対応した前記第2測定工程の測定結果から得られる前記反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて前記反射面の形状を算出する工程と;を含む計測方法。
  4. 前記反射面の局所的な回転量は、光波干渉計により測定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の計測方法。
  5. 2次元面内を移動可能な移動体に設けられた少なくとも1つの反射面の形状を計測する計測方法であって、
    前記2次元面内で前記反射面にほぼ平行な所定軸方向に前記移動体を移動する間に、前記反射面の一部の局部的な回転量と前記移動体の回転量とを同時に測定する工程を、複数回行って前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを収集する工程と;
    前記収集する工程で収集されたデータに基づいて、前記反射面の形状を算出する工程と;を含む計測方法。
  6. 前記収集する工程と、算出する工程とを繰り返し、前記算出する工程で前記反射面の形状が算出される度に、前記反射面の形状データを更新する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の計測方法。
  7. 前記収集する工程は、前記所定軸方向の一側から他側へ前記移動体を移動している間に、前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを収集する第1収集工程と、前記所定軸方向の他側から一側へ前記移動体を移動している間に、前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを収集する第2収集工程とを含み、
    前記算出する工程では、前記第1収集工程で収集されたデータから得られる前記反射面の部分的な第1傾斜データと、該第1傾斜データに対応した前記第2収集工程で収集されたデータから得られる前記反射面の部分的な第2傾斜データとに基づいて前記反射面の形状を算出することを特徴とする請求項5又は6に記載の計測方法。
  8. 前記反射面の局所的な回転量は、光波干渉計により測定されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の計測方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記反射面の形状を計測する工程と;
    前記計測された反射面の形状と、前記反射面を用いて前記移動体の位置を計測する位置計測装置の計測結果とに基づいて前記移動体を移動して、前記移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する工程と;を含む露光方法。
  10. 前記計測する工程では、前記反射面の一部の局部的な回転量と前記移動体の回転量との同時測定を、複数回行って前記反射面の前記所定軸方向のほぼ全長にわたる前記局所的な回転量とこれに対応する前記移動体の回転量とのデータを得ることを特徴とする請求項9に記載の露光方法。
  11. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記反射面の形状を計測する工程と;
    前記計測された反射面の形状と、前記反射面を用いて前記移動体の位置を計測する位置計測装置の計測結果とに基づいて前記移動体を移動して、前記移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する工程と;を含む露光方法。
  12. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の計測方法により、前記反射面の形状を計測する工程と;
    前記反射面の形状の変化が所定量を超えているか否かを判断する工程と;
    前記反射面の形状の変化が所定量を超えている場合には、警告を発する工程と;
    前記警告に応じたメンテナンスが実行されるまで待機する工程と;
    前記メンテナンス終了後、前記移動体を移動し、該移動体上に載置された感光物体に対してパターンを転写する工程と;を含む露光方法。
  13. 前記計測する工程のうちの少なくとも一部は、前記移動体上に載置される感光物体の交換の際に行われることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の露光方法。
  14. 前記計測する工程のうちの少なくとも一部は、所定枚数おきの感光物体の交換の度に行なわれることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の露光方法。
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