JPH11214302A - 走査型露光装置及び走査露光方法 - Google Patents

走査型露光装置及び走査露光方法

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JPH11214302A
JPH11214302A JP10304785A JP30478598A JPH11214302A JP H11214302 A JPH11214302 A JP H11214302A JP 10304785 A JP10304785 A JP 10304785A JP 30478598 A JP30478598 A JP 30478598A JP H11214302 A JPH11214302 A JP H11214302A
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stage
substrate
scanning exposure
pattern
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Takechika Nishi
健爾 西
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    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
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    • G03F7/70216Mask projection systems
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    • GPHYSICS
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    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
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    • G03F7/70716Stages

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細パターンを用いた高精度な露光を高スル
ープットで実現する。 【解決手段】 マスクステージRSTの位置がコーナー
キューブ31Y1、31Y2、31Y3のいずれかが選
択される位置にあれば、干渉計30YでステージRST
のY方向の位置を管理しつつステージRSTと同期して
基板ステージをY方向に移動させることによりマスクR
のパターンを投影光学系PLを介して基板上に転写で
き、マスクを交換することなく、マスク上の複数領域の
パターンを基板上に転写できる。また、ステージRST
のY位置は干渉計30Yによりコーナーキューブを介し
て計測されるので、ステージRSTと基板ステージとの
同期移動に先立って、ステージRSTを回転制御して
も、正確に露光中のステージRSTのY位置の管理が可
能になる。従って、大型マスクを用いることにより大面
積な二重露光を行うことによりスループット及び露光精
度の向上が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型露光装置及
び走査露光方法に係り、更に詳しくは、例えば半導体回
路素子や液晶表示素子等の回路デバイスをリソグラフィ
工程で製造する際に用いられる走査型露光装置及び走査
露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、半導体デバイスの製造現場では、
波長365nmの水銀ランプのi線を照明光とした縮小
投影露光装置、所謂ステッパーを使って最小線幅が0.
3〜0.35μm程度の回路デバイス(64M(メガ)
ビットのD−RAM等)を量産製造している。同時に、
256Mビット、1G(ギガ)ビットD−RAMクラス
の集積度を有し、最小線幅が0.25μm以下の次世代
の回路デバイスを量産製造するための露光装置の導入が
始まっている。
【0003】その次世代の回路デバイス製造用の露光装
置として、KrFエキシマレーザ光源からの波長248
nmの紫外パルスレーザ光、或いはArFエキシマレー
ザ光源からの波長193nmの紫外パルスレーザ光を照
明光とし、回路パターンが描画されたマスク又はレチク
ル(以下、「レチクル」と総称する)と感応基板として
のウエハを縮小投影光学系の投影視野に対して相対的に
1次元走査することで、ウエハ上の1つのショット領域
内にレチクルの回路パターン全体を転写する走査露光動
作と、ショット間ステッピング動作とを繰り返す、ステ
ップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置が有力視
されている。
【0004】かかるステップ・アンド・スキャン方式の
走査型露光装置としては、屈折光学素子(レンズ素子)
と反射光学素子(凹面鏡等)とで構成される縮小投影光
学系を搭載したパーキンエルマー社のマイクラ・スキャ
ン露光装置が、最初に製品化され、市販されている。そ
のマイクラ・スキャン露光装置は、例えば1989年の
SPIE,Vol.1088のp424〜433に詳細
に説明されているように、円弧スリット状に制限された
実効投影領域を介してレチクルのパターンの一部をウエ
ハ上に投影しつつ、レチクルとウエハとを投影倍率(1
/4縮小)に応じた速度比で相対移動させることで、ウ
エハ上のショット領域を露光するものである。
【0005】またステップ・アンド・スキャン方式の投
影露光方式として、エキシマレーザ光を照明光とし、円
形の投影視野を有する縮小投影光学系の実効投影領域を
多角形(六角形)に制限し、その実効投影領域の非走査
方向の両端を部分的にオーバーラップさせる方法、所謂
スキャン&スティッチング法を組合わせたものが、例え
ば特開平2−229423号公報等に開示されている。
また、そのような走査露光方式を採用した投影露光装置
は、例えば特開平4−196513号公報、特開平4−
277612号公報、特開平4−307720号公報等
にも開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
走査型露光装置では、6インチ以下のレチクルが用いら
れており、デバイスルールも0.2μmL/S(ライン
・アンド・スペース)以上であったため、1/4の投影
倍率を有する投影光学系を介して走査露光を行なってい
た。
【0007】しかるに、ステップ・アンド・スキャン方
式の走査型露光装置では、露光はレチクルステージ及び
ウエハステージを所定の走査速度で移動させながら行う
ため、露光開始前にプリスキャン(目標速度(露光時の
走査速度)までの加速+加速終了後に速度が所定の誤差
範囲で目標速度に収束するまでの整定動作)が必要であ
る。また、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露
光装置では、ウエハ上の複数のショット領域(以下、適
宜「ショット」という)にレチクルのパターンを順次転
写する場合、スループット向上のため、通常レチクルを
交互スキャン(往復スキャン)させることで、順次次の
ショットに対する露光を行なう。このため、1つのショ
ットに対するレチクルパターンの転写が終了した後、露
光開始前のプリスキャン時の移動距離と同じ距離だけ、
露光終了時点から更にレチクルを移動して、レチクルを
次ショット露光のための走査開始位置まで戻す動作(オ
ーバースキャン)が必要である。従って、ステップ・ア
ンド・リピート方式等の一括露光装置のショットサイズ
と同等の大きさのショット領域を露光する場合、走査露
光(スキャン露光)前後の上記プリスキャン及びオーバ
ースキャンのために、スループットが反対に落ちる可能
性がある。
【0008】ところが、近年9インチ以上のサイズを有
するレチクルの目処が立ってきており、かかるレチクル
を使用する場合には、上記一括露光装置では、投影光学
系の投影フィールドをレチクルサイズの大型化に合わせ
て大きくすべく、投影光学系を大型化しなければなら
ず、その分コストアップを招く。また、このような大型
の投影光学系であって、ディステーション等の結像特性
の良好なものはその作製が容易ではない。これに対し、
走査露光によりウエハ上に25×50mmのフィールド
を露光できる1/4の投影倍率の投影光学系の作成は容
易であり、スキャン露光装置は一括露光装置に比べ、コ
ストパフォーマンスの点で有利であると言える。
【0009】また、近年におけるデバイスルールは0.
2μmL/S以下であり、このようなパターンをウエハ
上に十分な精度で転写するためには、照明光源としてK
rFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザが用いら
れる。しかし、デバイスルールは、将来は更に小さくな
ることは確実であり、そのようなデバイスルールに対応
可能な次世代露光装置の候補としてX線露光装置、EB
露光装置(電子線露光装置)等が考えられるが、技術的
ハードルの高さ、光露光装置に比べてスループットが著
しく低い等の問題より導入し難いという背景がある。
【0010】また、デバイスに於いても、平坦化技術が
導入されるようになり、パターン段差やレジスト厚が極
めて薄くなってきているため、同一ウエハに2回露光を
行なうことで焦点深度を増やす二重露光法をKrF又は
ArF露光装置に用い、0.1μmL/Sまで露光しよ
うという試みがなされている。しかしながら、二重露光
法は、複数のレチクルを使って露光処理を複数回行う必
要があるため、従来の装置に比べて露光処理に要する時
間が倍以上になり、スループットが大幅に劣化するとい
う不都合がある。
【0011】この反面、二重露光法をKrF又はArF
露光装置に用い、0.1μmL/Sまでの露光を実現す
ることが、256Mビット〜4GビットのDRAMの量
産を目的とする次世代機の開発の有力な選択肢であるこ
とは疑いなく、このためのネックとなる二重露光法の最
大の欠点であるスループットの向上のため新技術の開発
が急務である。
【0012】図19(A)には、投影光学系PLの有効
フィールド内の矩形の照明スリット部ST(斜線部)の
長手方向スリット長とレチクルR6の非走査方向パター
ン長がほぼ同じ従来の走査型露光装置のレチクルステー
ジRST’の平面図が示されている。この装置では、レ
チクルステージRST’の走査方向(矢印Y)方向に直
交する非走査方向の一端には、平面鏡から成る移動鏡1
58が走査方向に沿って延設されており、走査方向の一
端中央部には、コーナーキューブから成る移動鏡159
が設けられている。そして、移動鏡158に2軸の測長
ビームRIXを照射しその反射光を受光する干渉計15
7Xによって、レチクルステージRST’の非走査方向
の位置が計測され、移動鏡159に測長ビームRIYを
照射しその反射光を受光する干渉計157Yによってレ
チクルステージRST’の走査方向の位置が計測される
ようになっている。この場合、走査方向(スキャン)方
向の位置計測用の移動鏡159として、コーナーキュー
ブが用いられ、干渉計157Yから移動鏡159に照射
された測長ビームRIYは移動鏡159、反射鏡16
0、移動鏡159で順次反射され、その移動鏡159か
らの戻り光が、入射光路とほぼ同一の光路を反対向きに
戻るいわゆるダブルパス構成が採用されている。これ
は、レチクルステージRST’に面内の回転があっても
走査方向については正確な測長ができるようにするため
である。この場合、走査方向については、干渉計157
Yからの出射光の光路と戻り光の光路とが殆どずれな
い。即ち、反射鏡160上では変位(=2×L×θ)が
発生するが、同じ光路を戻るためLが長くても受光面で
のレファレンス光束と戻り光束がずれることはない。ま
た、非走査方向については測長ビームRIXの距離L1
を極力短くすることで、戻り光束とレファレンス光束の
ずれ量2Lθを所定以下にすることができる。
【0013】ところで、先に説明したkrFエキシマレ
ーザ又はArFエキシマレーザを露光光源とする走査型
露光装置で二重露光法を用いて0.1μmL/Sまでの
露光(以下、適宜「次世代露光」という)を実現し、そ
の際のスループットを向上させるための有力な手段とし
て、先に述べた9インチレチクルを利用した大面積露光
のためのスティッチング技術や、DOF向上のための二
重露光を行うことが考えられる。すなわち、かかる場合
には、レチクルを交換する時間がいらないため、従来の
露光装置を用いたスティッチングや二重露光法に比べス
ループットの向上を図ることができると考えられる。
【0014】図19図(B)には、9インチレチクルR
9を用いて上記次世代露光を実現する場合を想定したレ
チクルステージRSTの平面図が示されている。この図
19(B)では、スティッチングや二重露光のために、
前記9インチレチクルR9のパターン領域Pを非走査方
向に隣接する100mm×200mmの面積を有する分
割パターン領域P1,P2に分割した状態が示されてい
る。それぞれの分割パターン領域P1,P2の非走査方
向の長さと投影光学系PLの有効フィールド内の矩形照
明スリット部ST(斜線部)の長手方向スリット長とが
ほぼ同じになっている。この図19(B)では、非走査
方向の位置計測用の移動鏡(反射面)158Xのみでは
なく、それぞれの分割パターン領域P1,P2の露光を
行うために、レチクルステージRSTが非走査方向にも
移動する必要があることから、走査方向の位置計測用の
移動鏡158Y’も平面鏡となっている。
【0015】しかしながら、この図19(B)の場合に
は、ウエハの回転角度に応じてレチクルステージRST
を回転させたり、レチクルR9をレチクルステージRS
Tに搭載後、回転方向補正をレチクルステージRST側
で行う場合、干渉計157X、157Yからの測長ビー
ムRIX、RIYが移動鏡158X、移動鏡158Y’
のいずれに対しても垂直に照射しなくなり、レチクルス
テージRSTの位置計測が、不正確あるいは困難になる
おそれがあるという不都合があった。すなわち、図19
(B)の場合には、走査方向、非走査方向のいずれの移
動鏡も平面鏡が用いられており、また、従来装置と比べ
てレチクルステージRSTの移動距離(ストローク)が
長くなる分、測長ビームRIX、RIYの長さL2、L
3が長くなり、移動鏡158X、移動鏡158Y’から
の反射光(戻り光)が大きく傾いてしまうおそれがある
からである。このような場合、ビーム幅<測長ビームの
光軸の受光面での変位(=2×L2×θ)、ビーム幅<
測長ビームの光軸の受光面での変位(=2×L3×θ)
となり、レチクルステージRST側で回転制御を行なう
ことは困難となる。
【0016】また、平面鏡はその長さが長くなると、精
度良く加工するには、大変な手間が掛かり、コストアッ
プの要因ともなっていた。
【0017】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、その目的は微細パターンを用いた高精度な露光を
高スループットで実現することができる走査型露光装置
及び走査露光方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、マスク(R)と基板(W)とを同期移動して、前記
マスクのパターンを投影光学系(PL)を介して前記基
板に転写する走査型露光装置であって、前記投影光学系
の物体面側に配置されるマスクステージ(RST)と;
前記投影光学系の像面側に配置される基板ステージ(W
ST)と;前記マスクステージに設けられ、前記マスク
が同期移動される第1方向と直交する第2方向に沿って
配置される複数のコーナーキューブ(31Y1、31Y
2、31Y3)と;前記第1方向に沿って測長ビーム
(IY)を前記マスクステージに向けて照射するととも
に、前記マスクステージの前記第2方向の位置に応じて
選択される前記複数のコーナーキューブの1つで反射さ
れる測長ビームを受光する第1の干渉計(30Y)とを
備える。
【0019】これによれば、マスクステージにマスクが
同期移動される第1方向(走査方向)と直交する第2方
向(非走査方向)に沿って複数のコーナーキューブが配
置され、第1方向に沿って測長ビームをマスクステージ
に向けて照射するとともに、マスクステージの第2方向
の位置に応じて選択される複数のコーナーキューブの1
つで反射される測長ビームを受光する第1の干渉計を備
えていることから、マスクステージの第2方向の位置に
応じて選択される複数のコーナーキューブの1つからの
反射光に基づいてマスクステージの第1方向の位置を第
1の干渉計により管理することが可能になる。このた
め、マスクステージの第2方向の位置が複数のミラーの
いずれかが選択される位置にあれば、第1の干渉計でマ
スクステージの第1方向の位置を管理しつつマスクステ
ージと同期して基板ステージを第1方向に移動させるこ
とによりマスクのパターンを投影光学系を介して基板上
に転写することが可能になり、マスクを交換することな
く、マスク上の複数の部分領域あるいはマスク上の複数
領域のパターンを投影光学系を介して基板上に転写する
ことが可能になる。また、この場合、マスクステージの
第1方向の位置は第1の干渉計から測長ビームが照射さ
れるコーナーキューブを介して計測されるので、マスク
ステージと基板ステージとの第1方向への同期移動に先
立って(あるいはその同期移動中に)、従来と同様にマ
スクステージを回転制御しても、コーナーキューブから
の戻り光束は固定鏡側からの参照光束と常に重なるた
め、正確に走査露光中のマスクステージの第1方向(走
査方向)の位置管理が可能になる。従って、大型マスク
を用いることにより大面積な露光をスティッチングによ
り実現してスループットの向上を図ることができ、ま
た、マスクステージの回転制御を行なうことにより高精
度な露光が可能となる。また、二重露光等の多重露光を
行う場合にも、マスク交換が不要であるという点からも
スループットの向上、焦点深度の向上による露光精度の
向上が可能になる。
【0020】この場合において、請求項2に記載の発明
の如く、前記マスク(R)のパターンを前記基板(W)
に転写するために、前記マスクステージ(RST)を前
記第1方向に沿って少なくとも1回往復させるととも
に、前記往復移動の間に前記マスクステージを前記第2
方向に沿って移動させる駆動制御系(33,80)とを
更に備え、前記複数のコーナーキューブ(31Y1、3
1Y2、31Y3)の内の2つは、前記マスクステージ
の前記第2方向の移動量に応じた距離だけ離れて配置さ
れることが望ましい。かかる場合には、マスクのパター
ンを基板に転写するために、駆動制御系により、マスク
ステージが第1方向に沿って少なくとも1回往復される
とともに、その往復移動の間にマスクステージが第2方
向に沿って移動されるが、この移動量に応じた距離だけ
第2方向へ離れて複数のコーナーキューブの内の2つが
配置されているので、移動の前後いずれの位置において
も第1の干渉計によるマスクステージの位置管理が確実
に行われ、マスクステージの1回の往復移動の間にマス
ク上の異なる領域のパターンを基板上の同一領域又は異
なる領域に転写することが可能になる。この場合もマス
クの交換が不要である。なお、2つのコーナーキューブ
の第2方向の間隔は、マスクステージの第2方向の移動
量と同じである必要はなく、そのマスクステージの移動
前後でその2つのコーナーキューブにそれぞれ第1の干
渉計の測長ビームが照射されるような距離であればよ
い。
【0021】請求項3に記載の発明は、マスク(R)と
基板(W)とを同期して第1方向に相対移動しつつ、前
記マスクに形成されたパターンを投影光学系(PL)を
介して前記基板上に転写する走査型露光装置であって、
前記マスクを保持して2次元移動可能なマスクステージ
(RST)と;前記基板を保持して前記第1方向に移動
可能な基板ステージ(WST)と;前記マスクステージ
に設けられ、前記第1方向に延びる第1反射面(84
a)と;前記マスクステージに設けられ、前記第1方向
に直交する第2方向に所定間隔で配置された複数のコー
ナーキューブ(31Y1、31Y2、31Y3)と;前
記マスクステージの第2方向の位置に応じ、前記複数の
コーナーキューブの1つに前記第1方向の測長ビーム
(IY)を照射し、その反射光を受光することにより前
記マスクステージの前記第1方向の位置を計測する第1
の干渉計(30Y)と;前記第1反射面に前記第2方向
の測長ビーム(IX1)を照射し、その反射光を受光す
ることにより前記マスクステージの前記第2方向の位置
を計測する第2の干渉計(30X1)とを備える。
【0022】これによれば、マスクステージの第2方向
の位置が第2の干渉計により計測され、この位置に応じ
て第1の干渉計から複数のコーナーキューブの1つに第
1方向の測長ビームが照射され、その反射光を受光する
ことによりマスクステージの第1方向の位置が第1の干
渉計により計測される。従って、上記請求項1に記載の
発明と同様に、マスクを交換することなく、マスク上の
複数の部分領域あるいはマスク上の複数領域のパターン
を投影光学系を介して基板上に転写することが可能にな
り、走査露光中のマスクステージの第1方向(走査方
向)の正確な位置管理が可能になる。従って、大型マス
クを用いるスティッチングにより大面積な露光を実現し
てスループットの向上を図ることができ、また、マスク
ステージの回転制御を行なうことにより高精度な露光が
可能となる。また、二重露光等の多重露光を行う場合に
も、マスク交換が不要であるという点からもスループッ
トの向上、焦点深度の向上による露光精度の向上が可能
になる。
【0023】ここで、「第2方向に所定間隔で配置され
た」とは、第2方向に沿って所定間隔で配置されたとは
異なり、複数のコーナーキューブが必ずしも第2方向の
同一直線上に沿って所定間隔で配置される必要はなく、
第1方向から見て第2方向に所定間隔で配置されていれ
ば足りる趣旨である。また、所定間隔とは一定間隔とは
異なり、予め定めた間隔であれば足りる趣旨である。
【0024】従って、複数のコーナーキューブの配置
は、種々考えられるが、例えば請求項4に記載の発明の
如く、前記複数のコーナーキューブ(31Y1、31Y
2)は、前記マスク上に第2方向に沿って配置された複
数領域(P1、P2)のそれぞれに対応して設けられて
いても良い。かかる場合には、いずれの領域のパターン
を転写するときにも、その領域に対応するコーナーキュ
ーブを用いて第1の干渉計により確実にマスクステージ
の第1位置の管理を正確に行うことが可能である。
【0025】この場合において、請求項5に記載の発明
の如く、前記複数のコーナーキューブは、前記マスクの
第2方向の中央部に配置されたコーナーキューブ(31
Y3)を更に含むことが望ましい。かかる場合には、マ
スク上に単一のパターン領域が形成された通常のマスク
(レチクル)を用いた通常露光、マスク上に複数のパタ
ーン領域が配置されたマスクを用いた二重露光等の多重
露光やスティッチングのいずれにも好適となり、しかも
多重露光をマスク交換なく実現することができる。
【0026】上記請求項3〜5に記載の各発明におい
て、請求項6に記載の発明の如く、前記マスクステージ
(RST)の第2方向の位置情報に応じて前記第1の干
渉計(30Y)をリセットするリセット装置(33)を
更に備えていても良い。かかる場合には、マスクステー
ジの第2方向の移動中に第1の干渉計の測長軸がいずれ
かのコーナーキューブに当たった瞬間に、マスクステー
ジの第2方向の位置情報に応じて前記第1の干渉計をリ
セットすることが可能となる。ここで、リセットとは、
干渉計の計測値を必ずしも零点に戻すこと意味せず、零
以外の所定の値に戻しても良い趣旨である。
【0027】上記請求項3〜6に記載の各発明におい
て、請求項7に記載の発明の如く、前記第2の干渉計
(30X1)の反対側から前記マスクステージ(RS
T)に前記第2方向の測長ビーム(IX2)を照射する
第3の干渉計(30X2)が更に設けられ、前記マスク
ステージが前記第3の干渉計からの測長ビームが照射さ
れる前記第1反射面(84a)と平行な第2反射面(8
4b)を更に有し、前記マスクステージの第2方向の位
置を、前記第2及び第3の干渉計の計測値の少なくとも
一方に基づいて演算する演算装置(33)を更に備えて
いることがより望ましい。かかる場合には、演算装置に
より、マスクステージの第2方向の位置が第2及び第3
の干渉計の計測値の少なくとも一方に基づいて演算され
るので、演算装置では、第2、第3の干渉計の内、それ
ぞれの反射面までの測長ビームがより短くなる方の計測
値を用いてマスクステージの第2方向の位置を演算する
ことができ、マスクステージの回転が計測値に与える影
響が小さくなり、第2方向についてもマスクステージの
位置をより正確に求めることが可能である。また、演算
装置では、第2、第3の干渉計からそれぞれの反射面ま
での測長ビームの長さがほぼ同一である場合には、第
2、第3の干渉計の計測値の差の1/2に基づいてマス
クステージの第2方向の位置を求めることにより、平均
化効果により正確に求めることが可能になる。
【0028】この場合において、請求項8に記載の発明
の如く、前記演算装置(33)は、前記マスクステージ
(RST)の第2方向の位置情報の一種である前記投影
光学系(PL)の投影視野に対向して位置する前記マス
ク(R)上の領域(P1、P2)の情報に応じて、前記
第2及び第3の干渉計の計測値の一方又は両方に基づい
て前記マスクステージの第2方向の位置を求めるように
しても良い。
【0029】上記請求項1〜8に記載の各発明におい
て、請求項9に記載の発明の如く、前記基板ステージ
(WST)上に所定の基準マーク(Mr1、Mr2)を配置
し、前記マスクステージ(RST)の第2方向の位置に
応じて前記第1の干渉計(30Y)をリセットするため
に、前記基準マークを用いて前記マスク(R)と前記基
板ステージ(WST)との位置関係を計測する計測装置
(50,110)を更に備えていても良い。かかる場合
には、計測装置によりマスクステージの第2方向の位置
に応じて第1の干渉計をリセットする際に、基準マーク
を用いてマスクと基板ステージとの位置関係が計測され
るので、マスク上の異なる領域を露光するためマスクス
テージを第2方向に移動してもマスクと基板の重ね合せ
精度が悪化するような不都合が無い。
【0030】上記請求項1〜9に記載の各発明におい
て、請求項10に記載の発明の如く、前記投影光学系
(PL)を支持する第1架台(16)と;前記マスクス
テージ(RST)が配置される第2架台(26,28)
と;前記第1架台を支持する防振装置(20)と;前記
防振装置が配置される床上に設けられるとともに、前記
マスクステージの移動によって生じる反力に応じた力を
前記マスクステージ又は前記第2架台に与えるアクチュ
エータ(74R、74L)を有するフレーム(72)と
を更に備えていても良い。かかる場合には、マスクステ
ージの移動によって生じる反力に応じた力がアクチュエ
ータによりマスクステージ又は第2架台に与えられるの
で、マスクステージの加減速時の振動が第2架台を介し
て第1架台に伝わるのを防止することができる。この場
合において、前記防振装置が載置されるベースプレート
と;前記ベースプレートと前記フレームとを接続する弾
性体とを更に備えていることが望ましい。かかる場合に
は、弾性体により第1架台とフレームとの相互間で振動
が伝達されるのを防止することができるからである。
【0031】また、上記請求項1〜10に記載の各発明
において、請求項11に記載の発明の如く、前記第1の
干渉計(30Y)の測長ビームは、その延長線が前記投
影光学系(PL)の光軸と交わることが望ましい。かか
る場合には、マスクステージの第1方向の位置をいわゆ
るアッベの誤差なく正確に計測できるからである。
【0032】上記請求項3〜8に記載の各発明におい
て、請求項12に記載の発明の如く、前記第2の干渉計
(30X1)は、前記第2方向に沿って2本の測長ビー
ム(IX11,IX12)を前記第1反射面(84a)に照
射し、前記2本の測長ビームの1つはその延長線が前記
投影光学系(PL)の光軸と交わることが望ましい。か
かる場合には、その延長線が前記投影光学系の光軸と交
わる方の測長ビームによりマスクステージの第2方向の
位置をいわゆるアッベの誤差なく正確に計測でき、2本
の測長ビームにより独立して位置計測を行い、これらの
結果に基づいてマスクステージの回転を計測することが
可能になる。
【0033】また、請求項3〜8に記載の各発明におい
て、第1反射面(84a)はマスクステージ上に平面鏡
から成る移動鏡を設けその反射面を利用しても勿論良い
が、請求項13に記載の発明の如く、前記第1反射面
(84a)は、前記マスクステージ(RST)の側面に
形成されていることが望ましい。かかる場合には、その
分マスクステージを軽量化できるからである。
【0034】請求項14に記載の発明は、マスク(R)
を保持するマスクステージ(RST)と基板(W)を保
持する基板ステージ(WST)とを同期して所定の第1
方向に相対移動させつつ、前記マスクに形成されたパタ
ーンを前記基板に転写する走査露光方法であって、前記
マスクステージに前記第1方向に沿って延設された第1
反射面(84a)に測長ビーム(IX1)を照射しその
反射光を受光して前記マスクステージの第2方向の位置
を管理するとともに、前記マスクステージに設けられた
第1のコーナーキューブ(31Y1)に測長ビーム(I
Y)を照射しその反射光を受光して前記マスクステージ
の第1方向の位置を管理しつつ、前記マスク上の第1領
域(P1)のパターンを前記基板上の所定領域に転写す
る第1走査露光工程と;前記第1反射面に測長ビームを
照射しその反射光を受光して前記マスクステージの第2
方向の位置を管理するとともに、前記マスクステージに
設けられた前記第1のコーナーキューブとは異なる第2
のコーナーキューブ(31Y2)に測長ビーム(IY)
を照射しその反射光を受光して前記マスクステージの第
1方向の位置を管理しつつ、前記マスク上の前記第1領
域の第2方向に隣接された第2領域(P2)のパターン
を前記基板上の前記所定領域に転写する第2走査露光工
程とを含む。
【0035】これによれば、第1走査露光工程では、第
1反射面からの測長ビームの反射光に基づいてマスクス
テージの第2方向の位置を管理し、第1のコーナーキュ
ーブからの測長ビームの反射光に基づいてマスクステー
ジの第1方向の位置を管理しつつ、マスク上の第1領域
のパターンが基板上の所定領域に転写される。このた
め、マスクステージに回転等が存在しても第1走査露光
工程でのマスクステージの位置管理は正確に行われる。
そして、第2走査露光工程では、第1反射面からの測長
ビームの反射光に基づいてマスクステージの第2方向の
位置を管理し、第1のコーナーキューブとは異なる第2
のコーナーキューブからの測長ビームの反射光に基づい
てマスクステージの第1方向の位置を管理しつつ、マス
ク上の第1領域の第2方向に隣接された第2領域のパタ
ーンが基板上の前記所定領域に転写される。このため、
マスクステージに回転等が存在しても第2走査露光工程
でのマスクステージの位置管理は正確に行われる。従っ
て、マスク交換を行うことなく大型マスクを用いること
によりスティッチングや二重露光を実現する場合にもス
ループットの向上を図ることができ、また、マスクステ
ージの回転制御による重ね合わせ精度の向上、焦点深度
の向上による露光精度の向上が可能になる。
【0036】請求項15に記載の発明は、マスク(R)
を第1方向に往復移動して、前記マスク上の前記第1方
向と直交する第2方向に沿って並ぶ第1及び第2領域
(P1及びP2)をそれぞれ照明光で照射するととも
に、前記マスクの移動に同期して基板(W)を移動する
ことにより、前記マスクのパターンを前記基板上に転写
する走査露光方法において、前記マスク上の第1領域
(P1)を前記照明光で照射するために、前記マスクを
保持するマスクステージ(RST)に設けられる第1ミ
ラー(31Y1)に測長ビームを照射する干渉計(30
Y)の出力に基づいて前記マスクステージを前記第1方
向に駆動し、前記マスク上の第2領域(P2)を前記照
明光で照射するために、前記マスクステージに設けられ
る第1ミラーと異なる第2ミラー(31Y2)に前記干
渉計の測長ビームを照射しながら前記マスクステージを
前記第1方向に駆動することを特徴とする。
【0037】これによれば、マスク上の第1領域を照明
光で照射する際には、マスクを保持するマスクステージ
に設けられる第1ミラーに測長ビームを照射する干渉計
の出力に基づいてマスクステージを第1方向に駆動し、
マスク上の第2領域を照明光で照射する際には、マスク
ステージに設けられる第1ミラーと異なる第2ミラーに
干渉計の測長ビームを照射しながらマスクステージを前
記第1方向に駆動する。このように、第1領域の転写に
際しても、第2領域の転写に際しても同一の干渉計によ
りマスクステージの第1方向の位置を管理しつつマスク
ステージが第1方向に駆動され、マスクステージと同期
して基板が駆動されることにより、マスク上の第1領域
と第2領域とが基板上に転写される。この発明によれ
ば、マスクステージの第1方向(走査方向)の位置を計
測するためのミラーとして単一の長い反射面(平面鏡)
でなく、短い反射面(平面鏡等)を用いることができる
ので、その分コストの低減が可能になる。この場合、第
1ミラー、第2ミラーとしてコーナーキューブを用いて
も良い。かかる場合には、マスクステージの第1方向の
位置は干渉計から測長ビームが照射されるコーナーキュ
ーブを介して計測されるので、マスクステージと基板ス
テージとの第1方向への同期移動に先立って(あるいは
その同期移動中に)、従来と同様にマスクステージを回
転制御しても、コーナーキューブからの戻り光束は固定
鏡側からの参照光束と常に重なるため、正確に走査露光
中のマスクステージの第1方向(走査方向)の位置管理
が可能になる。従って、大型マスクを用いることにより
スティッチングによる大面積露光や二重露光等の多重露
光を実現してスループットの向上を図ることができ、ま
た、マスクステージの回転制御を行なうことにより高精
度な露光が可能となる。
【0038】上記請求項15に記載の発明において、請
求項16に記載の発明の如く、前記マスク(R)上の第
1領域(P1)が転写される前記基板(W)上の区画領
域(例えばS1)に、前記マスク上の第2領域(P2)
を重ね合わせて転写して、前記第1領域内の第1パター
ンと前記第2領域内の第2パターンとの合成パターンを
前記区画領域に形成するようにしても良い。かかる場合
には、マスク交換をすることなく、二重露光を実現する
ことができ、スループットの向上、焦点深度の向上によ
る露光精度の向上が可能になる。
【0039】また、上記請求項15又は16に記載の発
明において、請求項17に記載の発明の如く、前記基板
(W)上の複数の区画領域(S1、S2、S3、…)に
前記マスク(R)のパターンを順次転写するために、前
記マスク上の第1領域(P1)を前記複数の区画領域に
順次転写し、かつ前記マスクを前記第2方向に移動した
後で、前記マスク上の第2領域(P2)を前記複数の区
画領域に順次転写するようにしても良い。
【0040】この場合において、請求項18に記載の発
明の如く、前記マスク(R)上の第2領域(P2)を前
記複数の区画領域(S1、S2、S3、…)に転写する
前に、前記照明光の強度分布、即ち照明光を射出する照
明源(例えば2次光源)の形状と大きさの少なくとも一
方を変更しても良い。かかる場合には、マスク上の第1
領域のパターンと第2領域のパターンの露光に適した照
明条件が異なる場合にも、それぞれのパターンに合わせ
て適切な照明条件を設定することができるので、一層露
光精度が向上する。
【0041】上記請求項15に記載の走査露光方法にお
いて、請求項19に記載の発明の如く、前記マスク
(R)上の第1領域(P1)を前記照明光で照射した後
の前記マスクステージ(RST)の減速中(又はマスク
ステージの第1方向の速度成分が零となる前)に、前記
マスクステージを前記第1方向に対して斜めに移動して
も良い。このようにすると、第1領域内のパターンの転
写に続いて第2領域内のパターンを基板上に転写するに
際して、マスクステージがコの字状の経路でなく、これ
より短い経路に沿って移動されるので、移動時間の短縮
によりスループットの向上が可能となる。
【0042】上記請求項15又は19に記載の発明にお
いて、請求項20に記載の発明の如く、前記マスク
(R)上の第2領域(P2)を前記照明光で照射する前
に、前記マスク上の第2領域が前記照明光に近づくよう
に、前記マスクステージ(RST)を前記第1及び第2
方向と交差する方向に加速させても良い。又は、マスク
ステージの第2方向へのステッピング動作が終了する
前、あるいはマスク上の第1領域(P1)を照明光で照
射した後のマスクステージの第2方向の速度成分が零と
なる前に、マスクステージの第1方向への加速を開始す
るようにしても良い。なお、スループットの点からマス
クステージの移動軌跡が放物線状(又はU字状)となる
ようにその移動を制御することが好ましい。
【0043】上記請求項15、19、20に記載の各発
明において、請求項21に記載の発明の如く、前記マス
ク(R)上の第1領域(P1)への前記照明光の照射
と、前記マスク上の第2領域(P2)への前記照明光の
照射との間で、前記マスクステージ(RST)を停止さ
せることなく駆動することが望ましい。かかる場合に
は、マスクステージが停止することがないので、マスク
ステージの移動に要する時間はほぼ最短になる。
【0044】上記請求項15、19、20に記載の各発
明において、請求項22に記載の発明の如く、前記マス
ク(R)上の第1領域(P1)を前記基板(W)上の第
1区画領域に転写する第1走査露光と、前記マスク上の
第2領域(P2)を前記基板上の前記第1区画領域と隣
接する第2区画領域に転写する第2走査露光との間で、
前記基板を保持する基板ステージ(WST)を停止させ
ることなく駆動することが望ましい。かかる場合には、
基板ステージの移動軌跡は必ずしも最短(例えばV字
状)とはならないが、基板ステージが停止することがな
いので、基板ステージの隣接領域間の移動(ステッピン
グ)に要する時間がほぼ最短になるからである。特に、
スティッチングにおいて、マスクステージが停止するこ
となく、かつ基板ステージが停止することなく駆動され
る場合には、第1走査露光の終了から第2走査露光の開
始までの間の時間が最短となる。
【0045】上記請求項22に記載の発明において、請
求項23に記載の発明の如く、前記第2走査露光前に、
前記基板ステージ(WST)を前記第1及び第2方向と
交差する方向に加速させることが望ましい。かかる場合
には、第1及び第2方向に対し斜めに進みながら基板ス
テージが加速される。
【0046】上記請求項15、19、22、23に記載
の各発明において、請求項24に記載の発明の如く、前
記マスクは、前記第2方向に沿って配列される第1及び
第2マスクを含み、前記第1マスクは前記第1領域内の
第1パターンが形成され、前記第2マスクは前記第2領
域内の第2パターンが形成されていても良い。すなわ
ち、マスクステージ上には、複数のマスクが載置されて
いても良い。複数のマスクであってもそれぞれのマスク
のパターンを順次基板上に転写する場合には、前述した
各発明の作用をそのまま奏するからである。
【0047】請求項25に記載の発明は、マスク(R)
を第1方向に往復移動して、前記マスク上の前記第1方
向と直交する第2方向に沿って並ぶ第1及び第2領域
(P1及びP2)をそれぞれ照明光で照射するととも
に、前記マスクの移動に同期して基板(W)を移動する
ことにより、前記マスクのパターンを前記基板上に転写
する走査露光方法において、前記マスク上の第1領域へ
の前記照明光の照射と、前記マスク上の第2領域への前
記照明光の照射との間で、前記マスクを停止させること
なく移動することを特徴とする。これによれば、マスク
の移動軌跡は、必ずしも最短にはならないが、マスクが
停止することがないので、マスク上の第1領域のパター
ンの転写終了から第2領域のパターンの転写開始までの
マスクの移動時間がほぼ最短になる。
【0048】請求項26に記載の発明は、基板(W)上
に回路パターンを転写する走査露光方法であって、前記
回路パターンの第1及び第2分解パターンを有するマス
クを第1方向に移動して、前記第1分解パターンを照明
光で照射するとともに、前記マスクの移動に同期して前
記基板を移動し、前記基板上の区画領域(例えばS1)
に前記第1分解パターンを転写する第1工程と;前記第
1方向に沿って前記マスクを前記第1工程とは逆向きに
移動して、前記第2分解パターンを前記照明光で照射す
るとともに、前記マスクの移動に同期して前記基板を移
動し、前記区画領域に前記第2分解パターンを転写する
第2工程とを含む。これによれば、マスクの1往復の間
に、基板を1往復させるだけで、マスク上の第1分解パ
ターンと第2分解パターンが基板上の同一の区画領域に
重ね合わせて転写される二重露光を実現することがで
き、結果的に第1分解パターンと第2分解パターンとか
ら成る回路パターンが精度良く転写されることになる。
【0049】この場合において、請求項27に記載の発
明の如く、前記第1工程と前記第2工程の間で、前記マ
スクは、前記第1方向、及びそれと直交する第2方向の
速度成分の少なくとも一方が零とならないように移動さ
れることが望ましい。
【0050】請求項28に記載の発明は、少なくとも第
1及び第2パターン(P1及びP2)が形成されたマス
ク(R)と基板(W)とを同期移動して、前記基板上の
複数の区画領域のそれぞれに、前記各区画領域内での転
写位置の異なる前記少なくとも第1及び第2パ夕―ンを
合成したパターンを形成する走査露光方法であって、前
記複数の区画領域の一部に前記第1パターンをステップ
・アンド・スキャン方式でそれぞれ転写し、前記第1パ
ターンの転写後に前記マスクを同期移動方向である第1
方向と直交する第2方向に移動し、前記複数の区画領域
の残りの一部に前記第2パターンをステップ・アンド・
スキャン方式で転写することを特徴とする。
【0051】これによれば、基板上の複数の区画領域の
一部に第1パターンがステップ・アンド・スキャン方式
でそれぞれ転写され、その第1パターンの転写後にマス
クを同期移動方向である第1方向と直交する第2方向に
移動して、複数の区画領域の残りの一部に第2パターン
がステップ・アンド・スキャン方式で転写される。従っ
て、結果的に、マスク交換を行うことなく、基板上の複
数の区画領域のそれぞれに第1パターンと第2パターン
とが繋ぎ合わされた大面積の合成パターンを形成するこ
とができ、マスク交換が不要な分だけスループットの向
上が可能である。また、パターンの転写を投影光学系を
介して行う場合には、作製の容易な投影光学系により大
面積のパターンの転写が可能になるので、コストパフォ
ーマンスの点で有利となる。
【0052】請求項29に記載の発明は、基板(W)上
の復数の区画領域に少なくとも第1及び第2パターン
(P1及びP2)をそれぞれステップ・アンド・スキヤ
ン方式で転写する走査露光方法であって、前記第1パタ
ーンの転写時と前記第2パターンの転写時とで、前記複
数の区画領域の走査露光順序を異ならせることを特徴と
する。
【0053】これによれば、第1パターンの転写時と第
2パターンの転写時とで、複数の区画領域の走査露光順
序を異ならせることから、その走査露光順序を適切に設
定することにより、第1パターンの転写と第2パターン
の転写を同一の走査露光順序で行う場合に比べて、基板
の総移動距離を短くすることが可能となり、その分スル
ープットの向上が可能である。
【0054】例えば、請求項30に記載の発明の如く、
前記第1パターン(P1)の転写時と前記第2パターン
(P2)の転写時とで前記基板(W)の移動経路を逆に
しても良い。かかる場合には、最後の区画領域に対する
第1パターンの転写が終了した時点から、最初の区画領
域に対する第2パターンの転写開始までの基板の移動距
離が非常に短くなり、それに応じて第2パターンの転写
をより早く開始することができるので、その分スループ
ットの向上が可能になる。
【0055】上記請求項29及び30に記載の各発明に
係る走査露光方法において、請求項31に記載の発明の
如く、前記基板(W)上の区画領域に前記少なくとも第
1及び第2パターン(P1及びP2)を重ね合わせて転
写しても良く、あるいは請求項32に記載の発明の如
く、前記基板上の区画領域内で前記少なくとも第1及び
第2パターンの転写位置を異ならせても良い。前者の場
合には、マスクを交換することなく、高スループットで
二重露光を実現することができ、後者の場合には、マス
クを交換することなく、高スループットでいわゆるステ
ィッチング露光を実現することができる。
【0056】また、上記請求項29〜32に記載の各発
明に係る走査露光方向において、請求項33に記載の発
明の如く、前記基板(W)は、前記第1パターン(P
1)、又は前記第2パターン(P2)が前記複数の区画
領域の全てに転写されるまで、前記区画領域の走査露光
時に前記基板が移動される第1方向、及びこれと直交す
る第2方向の両方でその速度成分が零とならないように
移動されることが望ましい。かかる場合には、基板上の
複数の区画領域の全てに第1パターン及び第2パターン
の転写が終了するまで、基板が停止することなく移動さ
れるので、スループットを最も向上させることが可能に
なる。
【0057】この場合において、請求項34に記載の発
明の如く、前記第1及び第2方向のうち、少なくとも第
2方向については、前記第2方向と異なる方向の第1測
長ビ一ム(RIX1)を用いて前記基板の位置制御を行
うことが望ましい。かかる場合には、少なくとも第2方
向(非走査方向)については、これと異なる方向の第1
測長ビームを用いて位置制御が行われる。すなわち、同
期移動方向に対して斜めに交差する方向の第1測長ビー
ムを用いて第2方向の位置制御が行われるので、前記第
1測長ビームに直交する方向の反射面を備えたステージ
であれば如何なる形状のステージでも基板のステージと
して採用することが可能であり、正方形又は長方形状等
の矩形のステージを用いる必要がなく、ステージの形状
の設計の自由度が向上し、結果的に基板のステージを小
型化することが可能になる。
【0058】この場合において、前記第1方向(同期移
動方向)における前記基板の位置制御をも同期移動方向
と異なる方向の測長ビームを用いて行いつつ、露光動作
を行っても良いが、請求項35に記載の発明の如く、前
記第1方向とほぼ平行な第2測長ビーム(RIY)を用
いて、前記第1方向における前記基板(W)の位置制御
を行うことが好ましい。同期移動方向及び非走査方向の
位置制御をともにそれぞれの方向と異なる測長ビームを
用いて行う場合には、同期移動方向、非走査方向のいず
れについても位置制御のために三角関数演算により位置
を求める必要があるが、本発明の場合には、同期移動方
向(第1方向)についてはそのような三角関数演算が不
要となる。
【0059】上記請求項34及び35に記載の各発明に
係る走査露光方法において、請求項36に記載の発明の
如く、前記第1及び第2方向と交差し、かつ前記第1測
長ビーム(RIX1)と異なる方向の第3測長ビーム
(RIX2)を用いて、前記基板(W)の位置制御を行
っても良い。この場合において、第3測長ビームは基板
の第1方向の位置制御に用いても良いが、第1測長ビー
ムとともに第3測長ビームを基板の第2方向の位置制御
に用いても良い。かかる場合には、基板の走査方向の位
置計測と独立して非走査方向の位置計測を行うことがで
きるとともに、平均化効果により高精度な計測が可能と
なるので、位置制御のための演算が簡易化されるととも
により正確な基板の位置制御が可能となる。
【0060】請求項37に記載の発明は、マスク(R)
と基板(W)とを同期移動して、前記マスクのパターン
を前記基板上に転写する走査型露光装置であって、前記
マスクが同期移動される第1方向に沿って延び、かつ前
記マスクを挟んで形成される第1及び第2反射面(84
a及び84b)を有するマスクステージ(RST)と;
前記第1及び第2反射面とそれぞれ直交する測長軸を有
する第1及び第2干渉計(30X1及び30X2)と;
前記第1方向と直交する第2方向に関して、前記第1及
び第2干渉計の少なくとも一方の計測値に基づいて前記
マスクステージを駆動する駆動装置(29、30)とを
備える。
【0061】これによれば、例えば、駆動装置では、第
1及び第2干渉計の内、それぞれの反射面までの測長軸
がより短くなる方の干渉計、すなわちマスクステージの
回転が計測値に与える影響が小さい方の干渉計の計測値
に基づいてマスクステージを第2方向に駆動することが
可能になる。これにより、マスクステージに多少の回転
があってもマスクステージの第2方向の位置をより正確
に求めることが可能である。
【0062】この場合において、請求項38に記載の発
明の如く、前記基板(W)を保持し、互いに延設方向が
鋭角に交差するように配置される第3及び第4反射面
(60a及び60b(又は60c))を有する基板ステ
ージ(WST)と;前記第3及び第4反射面とそれぞれ
直交する測長軸を有する第3及び第4干渉計(76X1
及び76Y(又は76X2))を更に備えていても良
い。
【0063】かかる場合には、第3反射面と第4反射面
の少なくとも一方が、第1方向と直角以外で交差する方
向に延びる。例えば、第3反射面が第1方向に直角以外
で交差するものとし、その第3反射面と第1方向とのな
す角をΘ、その第3反射面の長さをLとすると、この第
3反射面の第1方向成分L1はLcosΘとなる。換言
すれば、基板ステージが第1方向に移動する場合を考え
ると、第1方向に延びる長さL1の反射面に比べて1/
cosΘ(>1)倍だけ長い時間(移動距離)だけ第3
反射面には第3干渉計の測長軸のビームが当たり続け、
切れることがない。従って、第3干渉計を用いて少なく
とも基板ステージ(基板)の非走査方向の位置を制御す
るものとすると、第1方向の反射面に干渉計ビームを照
射して基板の非走査方向の位置を制御する場合ほど、基
板周辺の領域の露光の際のいわゆるプリスキャン又はオ
ーバースキャン距離を見込んで第3反射面を余計に延ば
さなくても、走査方向の移動ストローク全域に渡り非走
査方向の位置制御が可能となる。従って、基板ステージ
の小型化が可能である。この場合、第4反射面は第1方
向以外の方向に設定すれば良く、例えば第1方向に直交
する方向に設定しても良い。
【0064】この場合において、請求項39に記載の発
明の如く、前記第3及び第4反射面(60a及び60b
(又は60c))の一方は、前記基板の同期移動方向、
及びこれと直交する方向の両方と交差する方向に沿って
延設されることが望ましい。かかる場合には、その一方
の反射面を用いて、基板ステージの同期移動方向及びこ
れと直交する方向の位置制御が可能となり、上記請求項
38と同様の理由により、基板ステージの小型化が可能
である。
【0065】上記請求項37に記載の走査型露光装置に
おいて、請求項40に記載の発明の如く、前記基板
(W)を保持し、前記基板の同期移動力向と鋭角に交差
する方向に沿って延びる測長用第1基準面(60a)を
有する基板ステージ(WST)を更に備えていても良
い。この場合、例えば、第1方向と測長用第1基準面と
の成す角をΘ、測長用第1基準面の長さをLとすると、
この測長用第1基準面の第1方向成分L1はLcosΘ
となる。換言すれば、基板ステージが第1方向に移動す
る場合を考えると、第1方向に延びる長さL1の反射面
に比べて1/cosΘ(>1)倍だけ長い時間(移動距
離)だけ第1反射面には測長用のビームが当たり続け、
切れることがない。従って、測長用第1基準面を用いて
少なくとも基板ステージ(感応基板)の非走査方向の位
置を制御するものとすると、従来の四角形ステージの位
置制御の場合のように、基板周辺の領域の露光の際のい
わゆるプリスキャン又はオーバースキャン距離を見込ん
で測長用第1基準面を余計に延ばさなくても、第1方向
の移動ストローク全域に渡り第1方向に直交する第2方
向(非走査方向)の位置制御が可能となる。従って、基
板ステージの小型化が可能である。
【0066】この場合において、請求項41に記載の発
明の如く、前記測長用第1基準面(60a)はその延設
方向に関して、前記基板の走査露光動作における前記基
板ステージの移動範囲のほぼ全域に渡って形成されるこ
とが望ましい。かかる場合には、基板の走査露光動作中
に、測長用第1基準面から測長用ビームが外れることが
ないので、基板ステージの第1方向の移動ストローク全
域に渡り第1方向に直交する第2方向(非走査方向)の
位置制御が可能となる
【0067】上記請求項40及び41に記載の各発明に
係る走査型露光装置において、請求項42に記載の発明
の如く、前記基板ステージは、前記第2方向に延びる測
長用第2基準面(60b)を有していても良い。
【0068】第2方向のみならず、第1方向についても
基板ステージの位置制御は測長用第1基準面を用いて行
うことは可能であるが、かかる場合には、基板ステージ
の第1、第2方向のそれぞれの位置を求めるために三角
関数演算が必要となる。これに対し、本発明の場合に
は、測長用第2基準面を基板ステージの第1方向の位置
制御に用いることにより、第1方向についてはそのよう
な三角関数演算が不要となる。
【0069】上記請求項40〜42に記載の各発明に係
る走査型露光装置において、請求項43に記載の発明の
如く、前記基板ステージは、前記第1方向及び第2方向
の両方と交差し、かつ前記測長用第1基準面(60a)
と異なる方向の測長用第3基準面(60c)を有してい
ることが望ましい。かかる場合には、測長用第3基準面
を基板ステージの第1、第2方向の一方又は両方の位置
計測に用いることができる。特に、第1測長用基準面と
ともに第3測長用基準面を基板ステージの位置計測に用
いた場合には、平均化効果による高精度な位置計測、ひ
いては高精度な位置制御が可能になる。
【0070】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
〜図17に基づいて説明する。
【0071】図1には、本発明の一実施形態の走査型露
光装置10の斜視図が示され、図2には、その内部構成
が概略的に示されている。この走査型露光装置10は、
半導体素子を製造するリソグラフィ装置として現在主流
となりつつある、ステップ・アンド・スキャン方式によ
り露光動作を行う投影露光装置である。この走査型露光
装置10は、マスクとしてのレチクルR(図2参照)に
描画された回路パターンの一部の像を投影光学系PLを
介して基板としてのウエハW上に投影しつつ、レチクル
とウエハWとを投影光学系PLの視野に対して1次元方
向(ここではY方向)に相対走査することによって、レ
チクルRの回路パターンの全体をウエハW上の複数のシ
ョット領域の各々にステップ・アンド・スキャン方式で
転写するものである。
【0072】この走査型露光装置10は、図1に示され
るように、エキシマレーザ光源11と、露光装置本体1
2と、それらを統括制御する主制御システムとしての制
御ラック14とで構成されている。エキシマレーザ光源
11は、通常露光装置本体12が設置される超クリーン
ルームから隔離された別の部屋(クリーン度の低いサー
ビスルーム)に設置される。また、露光装置本体12
は、通常、超クリーンルーム内に設置され、内部空間が
高度に防塵されるとともに、高精度な温度制御がなされ
たエンバイロメンタル・チャンバに収納されているが、
図1ではこのチャンバ内に収納された本体構造のみが概
略的に示されている。
【0073】次に、これら図1及び図2に基づいてエキ
シマレーザ光源11、露光装置本体12及び制御ラック
14の構成について説明する。
【0074】前記エキシマレーザ光源11は、操作パネ
ル11Aを備えている。また、エキシマレーザ光源11
には、該操作パネル11Aとインターフェイスされる制
御用コンピュータ11B(図1では図示せず、図2参
照)が内蔵され、この制御用コンピュータ11Bは通常
の露光動作の間は、露光装置制御用のミニコンピュータ
から成る主制御装置50の指令に応答してエキシマレー
ザ光源11のパルス発光を制御する。
【0075】エキシマレーザ光源11は、露光光源とし
て用いられるもので、例えば波長248nmのKrFエ
キシマレーザ光、或いは波長193nmのArFエキシ
マレーザ光をパルス発光する。ここで、エキシマレーザ
光源11からの紫外域のパルスレーザ光を露光用照明光
として用いるのは、256Mビット〜4Gビットクラス
以上の半導体メモリ素子(D−RAM)相当の集積度と
微細度とを持つマイクロ回路デバイスの量産製造に必要
とされる最小線幅0.25〜0.10μm程度のパター
ン解像力を得るためである。
【0076】そのパルスレーザ光(エキシマレーザ光)
の波長幅は、露光装置の照明系や投影光学系PLを構成
する各種の屈折光学素子に起因した色収差が許容範囲内
になるように狭帯化されている。狭帯化すべき中心波長
の絶対値や狭帯化幅(0.2pm〜300pmの間)の
値は、前記操作パネル11A上に表示されるとともに、
必要に応じて操作パネル11Aから微調整できるように
なっている。また操作パネル11Aからはパルス発光の
モード(代表的には自励発振、外部トリガー発振、メン
テナンス用発振の3つのモード)が設定できる。
【0077】このように、エキシマレーザを光源とする
露光装置の一例は、特開昭57−198631号公報、
特開平1−259533号公報、特開平2−13572
3号公報、特開平2−294013号公報等に開示さ
れ、エキシマレーザ光源をステップ・アンド・スキャン
露光に利用した露光装置の一例は、特開平2−2294
23号公報、特開平6−132195号公報、特開平7
−142354号公報等に開示されている。従って図1
の走査型露光装置10においても、上記の各特許公報に
開示された基礎技術をそのまま、或いは部分的に変更し
て適用することが可能である。
【0078】前記露光装置本体12は、第1架台として
の架台部16、レチクルステージRST、照明光学系1
8、投影光学系PL、結像特性調整装置(以下、「LC
/MAC系」と呼ぶ)、ステージ装置1、ウエハ搬送ロ
ボット19及びアライメント系等を備えている。
【0079】これを更に詳述すると、図1に示されるよ
うに、架台部(第1架台)16は、床面上に4つの防振
装置20を介して支えられている。各防振装置20は、
露光装置本体12の自重を不図示のエアシリンダ(防振
パッド)を介して支えるとともに、露光装置本体12全
体の傾き、Z方向の変位、及び露光装置本体全体の図1
におけるX,Y方向の変位を、不図示の制御系によるフ
ィードバック制御やフィードフォワード制御によりアク
ティブに補正するためのアクチュエータと各種のセンサ
類とを備えている。この種のアクティブ防振装置につい
ては、例えば特開平9−74061号公報等に開示され
ている。
【0080】架台部16は、床面に平行な定盤22とこ
の定盤22に対向して上方に設けられた支持板部24と
を備え、その形状は内部を空洞にした箱状とされてい
る。支持板部24は、中央に円形の開口部が形成された
矩形の板状部材から成り、この中央開口部内に投影光学
系PLが当該支持板部24に直交した状態で挿入されて
いる。そして、この投影光学系PLは、その外周部の一
部に設けられたフランジ部を介して支持板部24に保持
されている。
【0081】支持板部24の上面には、投影光学系PL
を囲むように4本の脚部26が立設されている。これら
の4本の脚部26の上部には、当該4本の脚部26に支
持されると共にこれらの上端を相互に接続するレチクル
ベース定盤28が設けられている。これら4本の脚部2
6とレチクルベース定盤28とによって第2コラム(第
2架台)が構成されている。また、支持板部24の上面
には、図1では図示が省略されているが、実際には、図
3に示されるような第2コラムとは別の第1フレーム4
0が立設されており、この第1フレーム40に照明光学
系18の一部(射出端部の近傍)が支持されている。こ
の第1フレーム40の照明光学系18の射出端部に対向
する部分には、開口部40aが設けられている。
【0082】レチクルベース定盤28の中央部には、開
口28a(図2参照)が形成されている。この開口28
aに対向して照明光学系18の射出端部が配置されてい
る。また、レチクルベース定盤28上には、大型マスク
として9インチサイズのレチクルRをバキューム及び静
電吸着等により吸着保持してXY2次元平面内を自在に
移動するレチクルステージRSTが配置されている。こ
のレチクルステージRST上の不図示の静電チャック等
による吸着の強さは、4Gレベルの加速度が作用しても
レチクルRに全く横シフト等が発生しない程度の強さと
なっている。
【0083】本実施形態では、レチクルステージRST
は磁気浮上型2次元平面モータによって駆動されるよう
になっている。但し、図2においては、図示及び説明の
便宜上、この磁気浮上型2次元平面モータが駆動系29
として図示されている。この場合、レチクルステージR
STは、投影光学系PLの光軸AX回りの回転方向(θ
方向)にも駆動系29によって微少駆動が可能な構成と
なっている。なお、レチクルステージRSTの位置計測
システムは、本実施形態の特徴的構成部分であるから、
これについては、後に詳述する。
【0084】前記照明光学系18は、図1に示されるよ
うに、ビーム受光系32をその背面部に収納し、このビ
ーム受光系32とこれに接続された遮光性の管34とか
ら成るBMU(ビームマッチングユニット)を介してエ
キシマレーザ光源11に接続されている。BMUを構成
するビーム受光系32内には、管34を介して導かれた
エキシマレーザ光源11からのエキシマレーザ光(以
下、適宜「パルス照明光」又は「パルス紫外光」とも呼
ぶ)が、照明光学系18の光軸に対して、常に所定の位
置関係で入射するように、エキシマレーザ光の照明光学
系18への入射位置や入射角度を最適に調整する複数の
可動反射鏡(図示せず)が設けられている。
【0085】照明光学系18は、図2に示されるよう
に、可変減光器18A、ビーム整形光学系18B、第1
フライアイレンズ系18C、振動ミラー18D、集光レ
ンズ系18E、照明NA補正板18F、第2フライアイ
レンズ系18G、照明系開口絞り板18H、ビームスプ
リッタ18J、第1リレーレンズ18K、固定レチクル
ブラインド18L、可動レチクルブラインド18M、第
2リレーレンズ18N、照明テレセン補正板(傾斜可能
な石英の平行平板)18P、ミラー18Q、及び主コン
デンサーレンズ系18R等を備えている。ここで、この
照明光学系18の上記構成各部について説明する。
【0086】可変減光器18Aは、エキシマレーザ光の
パルス毎の平均エネルギーを調整するためのもので、例
えば減光率が異なる複数の光学フィルタを切り換え可能
に構成して減光率を段階的に変更するものや、透過率が
連続的に変化する2枚の光学フィルタの重なり具合を調
整することにより減光率を連続的に可変にするものが用
いられる。この可変減光器18Aを構成する光学フィル
タは、主制御装置50によって制御される駆動機構35
によって駆動される。
【0087】ビーム整形光学系18Bは、可変減光器1
8Aによって所定のピーク強度に調整されたエキシマレ
ーザ光の断面形状を該エキシマレーザ光の光路後方に設
けられた後述するダブルフライアイレンズ系の入射端を
構成する第1フライアイレンズ系18Cの入射端の全体
形状と相似になるように整形して該第1フライアイレン
ズ系18Cに効率よく入射させるもので、例えばシリン
ダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等
で構成される。
【0088】前記ダブルフライアイレンズ系は、照明光
の強度分布を一様化するためのもので、ビーム整形光学
系18B後方のエキシマレーザ光の光路上に順次配置さ
れた第1フライアイレンズ系18Cと、集光レンズ18
Eと、第2フライアイレンズ系18Gとから構成され
る。この場合、第1フライアイレンズ系18Cと集光レ
ンズ18Eとの間には、被照射面(レチクル面又はウエ
ハ面)に生じる干渉縞や微弱なスペックルを平滑化する
ための振動ミラー18Dが配置されている。この振動ミ
ラー18Dの振動(偏向角)は駆動系36を介して主制
御装置50によって制御されるようになっている。
【0089】第2フライレンズ系18Gの入射端側に
は、照明光の被照射面における開口数の方向性(照明N
A差)を調整する照明NA補正板18Fが配置されてい
る。
【0090】本実施形態のようなダブルフライアイレン
ズ系と振動ミラー18Dとを組み合わせた構成について
は、例えば特開平1−235289号公報、特開平7−
142354号公報に詳しく開示されている。
【0091】前記第2フライアイレンズ系18Gの射出
面の近傍に、円板状部材から成る照明系開口絞り板18
Hが配置されている。この照明系開口絞り板18Hに
は、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る
開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファク
タであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞
り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及
び変形光源法用に例えば4つの開口を偏心させて配置し
て成る変形開口絞り等が配置されている。この照明系開
口絞り板18Hは、主制御装置50により制御される不
図示のモータ等により回転されるようになっており、こ
れによりいずれかの開口絞りがパルス照明光の光路上に
選択的に設定され、ケーラー照明における光源面形状が
輪帯、小円形、大円形、或いは4つ目等に制限される。
【0092】照明系開口絞り板18H後方のパルス照明
光の光路上に、反射率が大きく透過率が小さなビームス
プリッタ18Jが配置され、更にこの後方の光路上に、
固定レチクルブラインド18L及び可動レチクルブライ
ンド18Mを介在させて第1リレーレンズ18K及び第
2リレーレンズ18Nから成るリレー光学系が配置され
ている。
【0093】固定レチクルブラインド18Lは、レチク
ルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカ
スした面に配置され、レチクルR上の照明領域を規定す
る所定形状の開口部が形成されている。本実施形態で
は、この開口部が走査露光時のレチクルRの移動方向
(Y方向)と直交したX方向に直線的に伸びたスリット
状又は矩形状に形成されているものとする。
【0094】また、固定レチクルブラインド18Lの近
傍に走査方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動
レチクルブラインド18Mが配置され、走査露光の開始
時及び終了時にその可動レチクルブラインド18Mを介
して照明領域を更に制限することによって、不要な部分
の露光が防止されるようになっている。この可動レチク
ルブラインド18Mは、駆動系43を介して主制御装置
50によって制御される。
【0095】リレー光学系を構成する第2リレーレンズ
18Nの出口部分には、照明テレセン補正板18Pが配
置されており、さらにこの後方のパルス照明光の光路上
には、第2リレーレンズ18N及び照明テレセン補正板
18Pを通過したパルス照明光をレチクルRに向けて反
射するミラー18Qが配置され、このミラー18Q後方
のパルス照明光の光路上に主コンデンサーレンズ系18
Rが配置されている。
【0096】ここで、上述のようにして構成された照明
光学系18の作用を簡単に説明する。エキシマレーザ光
源11からのエキシマレーザ光が管34、ビーム受光系
32を介して照明光学系18内に入射すると、このエキ
シマレーザ光は可変減光器18Aにより所定のピーク強
度に調整された後、ビーム整形光学系18Bに入射す
る。そして、このエキシマレーザ光は、ビーム整形光学
系18Bで後方の第1フライアイレンズ系18Cに効率
よく入射するようにその断面形状が整形される。次い
で、このエキシマレーザ光が第1フライアイレンズ系1
8Cに入射すると、第1フライアイレンズ系18Cの射
出端側に多数の2次光源が形成される。これらの多数の
点光源の各々から発散するパルス紫外光は、振動ミラー
18D、集光レンズ系18E、照明NA補正板18Fを
介して第2フライアイレンズ系18Gに入射する。これ
により、第2フライアイレンズ系18Gの射出端に多数
の微少な光源像を所定形状の領域内に一様分布させた個
々の光源像から成る多数の2次光源が形成される。この
多数の2次光源から射出されたパルス紫外光は、照明系
開口絞り板18H上のいずれかの開口絞りを通過した
後、反射率が大きく透過率が小さなビームスプリッタ1
8Jに至る。
【0097】このビームスプリッタ18Jで反射された
露光光としてのパルス紫外光は、第1リレーレンズ18
Kによって固定レチクルブラインド18Lの開口部を一
様な強度分布で照明する。但し、その強度分布には、エ
キシマレーザ光源11からのパルス紫外光の可干渉性に
依存した干渉縞や微弱なスペックルが数%程度のコント
ラストで重畳し得る。そのためウエハ面上には、干渉縞
や微弱なスペックルによる露光量むらが生じ得るが、そ
の露光量むらは先に挙げた特開平7−142354号公
報のように、走査露光時のレチクルRやウエハWの移動
とパルス紫外光の発振とに同期させて振動ミラー18D
を振ることで平滑化される。
【0098】こうして固定レチクルブラインド18Lの
開口部を通ったパルス紫外光は、可動レチクルブライン
ド18Mを通過した後、第2リレーレンズ18N及び照
明テレセン補正板18Pを通過してミラー18Qによっ
て光路が垂直下方に折り曲げられた後、主コンデンサー
レンズ系18Rを経て、レチクルステージRST上に保
持されたレチクルR上の所定の照明領域(X方向に直線
的に伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な
照度分布で照明する。ここで、レチクルRに照射される
矩形スリット状の照明光は、図1中の投影光学系PLの
円形投影視野の中央にX方向(非走査方向)に細長く延
びるように設定され、その照明光のY方向(走査方向)
の幅はほぼ一定に設定されている。
【0099】一方、ビームスプリッタ18Jを透過した
パルス照明光は、不図示の集光レンズを介して光電変換
素子よりなるインテグレータセンサ46に入射し、そこ
で光電変換される。そして、このインテグレータセンサ
46の光電変換信号が、後述するピークホールド回路及
びA/D変換器を介して主制御装置50に供給される。
インテグレータセンサ46としては、例えば遠紫外域で
感度があり、且つエキシマレーザ光源11のパルス発光
を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフ
ォトダイオード等が使用できる。このインテグレータセ
ンサ46の出力と、ウエハWの表面上でのパルス紫外光
の照度(露光量)との相関係数は予め求められて、主制
御装置50内のメモリに記憶されている。
【0100】前記投影光学系PLとしては、ここでは、
物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方が
テレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や螢石
を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから
成る1/4(又は1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用
されている。そして、レチクルR上の回路パターン領域
のうちのパルス紫外光によって照明された部分からの結
像光束が、投影光学系PLを介して、後述するウエハス
テージWST上のウエハホルダに静電吸着(又は真空吸
着)されたウエハW上のレジスト層に1/4又は1/5
に縮小されて投影される。
【0101】なお、投影光学系PLを特開平3−282
527号公報に開示されているように屈折光学素子と反
射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合
わせたいわゆるカタディオプトリック系としてもよいこ
とは勿論である。
【0102】次に、図4を参照しつつレチクルステージ
RSTの位置計測システムについて詳述する。図4
(A)には、レチクルベース定盤28近傍の平面図が示
され、図4(B)には、矢印B方向から見たレチクルベ
ース定盤28近傍の側面図が示されている。
【0103】図4(A)に示されるように、投影光学系
PLの視野ST(レチクルブラインドで規定される最大
限のスリット状照明領域と一致)は100mm×32m
m(ウエハW上の4倍)しかなく、9インチレチクルR
上に非走査方向(X方向)に隣接した第1領域P1、第
2領域P2(これらはともに100mm×200mm
m)又は点線で示される中心領域P3(100mm×2
00mm)のいずれか1つの領域しか1回のスキャン露
光では露光できない。
【0104】これらの領域P1、P2、P3の全ての露
光(ウエハW上へのパターンの転写)を行うには、レチ
クルステージRSTを、図4(A)に示される領域P1
の露光位置を基準として50mm(点線で示される中心
領域P3の場合)又は100mm(領域P2の場合)だ
け、非スキャン方向にシフトする必要がある。
【0105】このため、レチクルステージRSTのY方
向の一端側(図4(A)における下端側)の側面には、
領域P1、P2、P3のぞれぞに対応して第1ミラーと
しての第1のコーナーキューブ31Y1、第2ミラーと
しての第2のコーナーキューブ31Y2、第3のコーナ
ーキューブ31Y3が設けられている。この場合、3つ
のコーナーキューブ31Y1、31Y2、31Y3は5
0mm間隔でX方向に沿って配置されているが、これに
限らず、予め定められた間隔(通常、この間隔はレチク
ルステージRST上のレチクルのパターン配置に応じて
定められる)であればどのような間隔でもよい。
【0106】レチクルベース定盤28上には、図4
(A)に示されるように、上記3つのコーナーキューブ
31Y1、31Y2、31Y3のいずれか1つにY方向
の測長ビームIYを照射し、その反射光を受光すること
によりレチクルステージRSTの走査方向の位置を計測
する第1の干渉計としてのレチクルY干渉計30Yが固
定されている。この場合、走査方向(スキャン)方向の
位置計測用の移動鏡として、コーナーキューブ31Y
1、31Y2、31Y3が用いられ、例えば図4(A)
に示される非走査方向位置にレチクルステージRSTが
ある状態では干渉計30YからレチクルステージRST
に向けて照射された測長ビームIYは、コーナーキュー
ブ31Y1、反射鏡82、コーナーキューブ31Y1で
順次反射され、そのコーナーキューブ31Y1からの戻
り光が、入射光路とほぼ同一の光路を反対向きに戻るい
わゆるバブルパス構成が採用されている。このため、レ
チクルステージRSTにθ回転があっても走査方向につ
いては正確な測長ができるようになっている。この場
合、レチクルY干渉計30Yの測長軸(コーナーキュー
ブ31Y1に対する入射光と戻り光の中心位置)は、投
影光学系PLの光軸中心と交わるようになっている。ま
た、レチクルY干渉計30Yからの測長ビームIYのZ
方向の位置はレチクルRの下面(パターン形成面)と一
致している。このため、レチクルRの走査方向の位置
は、アッベの誤差なく正確に計測される。
【0107】レチクルステージRSTの非走査方向(X
方向)の両側面は、鏡面加工が施され、Y方向に延びる
第1反射面84a、第2反射面82bが形成されてい
る。これらの反射面に対向して、レチクル定盤28上の
非走査方向(X方向)の両端部には、第2の干渉計とし
てのレチクルX干渉計30X1、第3の干渉計としての
レチクルX干渉計30X2がそれぞれ設けられている。
これらのレチクルX干渉計30X1、30X2として
は、ともに2本の測長ビーム(測長ビームIX11,IX
12、及び測長ビームIX21,IX22)を第1、第2反射
面84a、84bに照射する2軸干渉計が用いられてい
る。これらのレチクルX干渉計30X1、30X2の測
長軸(各2本の測長ビームの中心位置)は、投影光学系
PLの光軸中心と交わるようになっている。また、これ
らのレチクルX干渉計30X1、30X2からの測長ビ
ームIYのZ方向の位置はレチクルRの下面(パターン
形成面)と一致している(図4(B)参照)。このた
め、非走査方向のレチクルステージRSTの位置もアッ
ベ誤差なく正確に計測される。
【0108】次に、上記のようにして構成されたレチク
ルステージRSTの位置計測システムの動作を説明す
る。
【0109】(a) まず、レチクルR上の第1領域P
1のパターンをウエハW上に転写する走査露光の場合に
ついて説明する。この場合、図4(A)に示されるよう
に、一方のレチクルX干渉計30X1から測長ビームI
X11、IX12をレチクルステージRSTの第1反射面8
4aに照射し、それぞれの反射光を受光することにより
それぞれの測長ビームIX11、IX12の照射位置での第
1反射面84aのX方向位置を計測(測長)し、その計
測値X1、X2の平均値によりレチクルステージRST
の非走査方向の位置が求められる。この平均値の演算
は、レチクルX干渉計30X1からの出力が入力される
レチクルステージコントローラ33(図2参照)によっ
て求められる。この場合、レチクルステージコントロー
ラ33では、X1、X2の差に基づいてレチクルステー
ジRSTのθ回転をも求めることができるようになって
いる。一方、レチクルステージRSTの走査方向の位置
は、レチクルY干渉計30Yが第1のコーナーキューブ
31Y1に測長ビームIYを照射し、その反射光を受光
することによって計測される。
【0110】(b) また、レチクルR上の第2領域P
2のパターンをウエハW上に転写する走査露光の場合に
は、レチクルステージRSTが駆動系29によって図4
(A)の状態から100mmだけ+X方向に駆動された
状態で走査露光が行われる。この場合、他方のレチクル
X干渉計30X2から測長ビームIX21、IX22をレチ
クルステージRSTの第2反射面84bに照射し、それ
ぞれの反射光を受光することによりそれぞれの測長ビー
ムIX21、IX22の照射位置での第2反射面84bのX
方向位置を計測(測長)する。その計測値X3、X4の
平均値によりレチクルステージRSTの非走査方向の位
置が、前述と同様にレチクルステージコントローラ33
によって求められる。レチクルステージコントローラ3
3では、同様に、X3、X4の差に基づいてレチクルス
テージRSTのθ回転をも求めることができる。一方、
レチクルステージRSTの走査方向の位置は、レチクル
Y干渉計30Yが第2のコーナーキューブ31Y2に測
長ビームIYを照射し、その反射光を受光することによ
って計測される。
【0111】(c) また、レチクルR上の第3領域P
3のパターンをウエハW上に転写する走査露光の場合に
は、レチクルステージRSTが駆動系29によって図4
(A)の状態から50mmだけ+X方向に駆動された状
態で走査露光が行われる。この場合、レチクルステージ
RSTの非走査方向の位置は、レチクルX干渉計30X
1、30X2を用いて計測される。すなわち、上記
(a)、(b)のレチクルX干渉計30X1、30X2
によるレチクルステージRSTの計測を同時に行う。そ
して、レチクルステージコントローラ33では、レチク
ルX干渉計30X1、30X2の計測値、X1、X2、
X3、X4を用いて次式によりレチクルステージRST
の非走査方向の位置を求める。
【0112】X=[{(X1+X2)/2}−{(X3
+X4)/2}]/2
【0113】また、この場合、レチクルステージコント
ローラ33では、レチクルステージRSTの回転を求め
る場合には、測長ビームIX11,IX12の間隔、測長ビ
ームIX21,IX22の間隔をLとして、次式の演算によ
り求める。
【0114】 θ={(X1−X2)/L+(X4−X3)/L}/2
【0115】一方、レチクルステージRSTの走査方向
の位置は、レチクルY干渉計30Yが第3のコーナーキ
ューブ31Y3に測長ビームIYを照射し、その反射光
を受光することによって計測される。
【0116】これまでの説明から明らかなように、本実
施形態では、レチクルRのパターンをウエハW上に転写
する走査露光時には、レチクルステージRSTの走査方
向の位置が第1、第2、及び第3のコーナーキューブ3
1Y1、31Y2、31Y3のいずれか1つを用いて計
測されるので、レチクルステージRSTのθ回転(ある
いは回転誤差)等があってもレチクルステージRSTの
走査方向の位置を正確に計測することができる。また、
測長ビームの対向する反射面までの距離が短くなる方の
レチクルX干渉計の計測値を用いてレチクルステージR
STの非走査方向の位置が求められるので、レチクルス
テージRSTのθ回転が微小である限り、第1、第2反
射面84a、84bが平面ミラーであっても計測不能状
態に陥ることがないようになっている。
【0117】上述した如く、本実施形態では、3つのコ
ーナーキューブ30Y1、30Y2、30Y3、第1、
第2反射面84a、84bから成る移動鏡と、レチクル
Y干渉計30Y、2つのレチクルX干渉計30X1、3
0X2とによってレチクルステージRSTの位置計測シ
ステムが構成されるが、図2においては、これらが代表
的にレチクルレーザ干渉計30、移動鏡31として示さ
れている。
【0118】本実施形態では、上記の如くしてレチクル
レーザ干渉計30の計測値に基づいてレチクルステージ
コントローラ33によって、レチクルステージRSTの
X,Y,θ方向の位置計測がそれぞれ行われる。そし
て、レチクルステージコントローラ33は、基本的には
干渉計30から出力される位置情報(或いは速度情報)
が指令値(目標位置、目標速度)と一致するようにレチ
クルステージRSTを移動させる駆動系(磁気浮上型2
次元平面モータ)29を制御する。
【0119】ところで、走査露光の対象となるパターン
領域を切り換える際には、レチクルステージRSTを非
走査方向(X方向)に移動させる必要があるが、この途
中でレチクルY干渉計30Yからの測長ビームIYが、
いずれのコーナーキューブにも当たらなくなるので、レ
チクルY干渉計30Yによる位置計測が不可能な状態と
なる。このため、本実施形態では、干渉計の計測ができ
ない間ラフにレチクル位置をモニタするセンサ(図示省
略)にて制御され、更にリセット装置として機能するレ
チクルステージコントローラ33が、レチクルX干渉計
30X1、30X2の計測値をモニタしつつ、レチクル
ステージRSTの非走査方向の位置に応じてレチクルY
干渉計30Yをリセットするようになっている。ここ
で、干渉計のリセットとは、干渉計の計測値を所定の値
に戻すことを意味し、必ずしも零点に戻すことを意味し
ない。また、上記のレチクル位置をラフにモニタするセ
ンサとしては、例えばレチクルステージRSTの反射面
84a(又は84b)の下半分に所定ピッチの格子マー
クを形成し、この格子マークに対して不図示の光源系か
ら振動数が僅かに異なる一対の光束を極めて小さい入射
角で対称な方向から投射し、その格子マークが形成され
た面上にY軸方向に所定速度で移動する干渉縞を生じさ
せ、その格子マークからX軸方向に発生する回折光の合
成光束を受光して、その合成光束の光電変換信号の位相
変化に基づいてレチクルステージRSTの位置を計測す
るヘテロダイン方式のセンサを用いることができる。
【0120】この場合、レチクルステージコントローラ
33では次に走査露光の対象となるレチクルR上の領域
(P1、P2、P3内の所定の領域)に対応するコーナ
ーキューブ31YにレチクルY干渉計30Yからの測長
ビームIYが当たるようになった直後にレチクルY干渉
計30Yをリセットするようにしても良いが、本実施形
態では、レチクルステージRSTの非走査方向の移動中
にレチクルステージRSTが微妙に走査方向(Y方向)
に位置ずれしたり、あるいはθ回転したりするおそれの
あることを考慮して、この干渉計のリセットに先立っ
て、後述するレチクルアライメント及びベースライン計
測を行うようになっている。
【0121】なお、非走査方向には、レチクルX干渉計
30X1、30X2からの測長ビームが常に第1反射
面、第2反射面に当たっているので、レチクルステージ
コントローラ33ではいずれか一方の干渉計の計測値、
又は両者の計測値を必要に応じて選択すれば良い。
【0122】さらに、本実施形態の走査型露光装置10
では、図1及び図2では図示を省略したが、実際には、
走査露光の際に質量RmのレチクルステージRSTの等
速移動の前後のプリスキャン時、オーバースキャン時に
発生する加減速度Arに応じて、質量Rmのレチクルス
テージRSTからレチクルベース定盤28に作用する反
力−Ar×Rmが脚部26を介して架台部16に伝わら
ないようにするために、アクチュエータとしてのリアク
ションアクチュエータ74が設けられている。
【0123】このリアクションアクチュエータ74は、
図3に示されるように、架台部16を支えるベース板B
Sに対し弾性体70でラフに位置決めされたフレームと
してのリアクションフレーム72によって支持されてお
り、レチクルステージRST,レチクルベース定盤28
等の重量によって決定される重心部とほぼ同じ高さに配
置されている。
【0124】リアクションアクチュエータ74として
は、実際には、図4(A)に示されるように、非走査方
向の両側に一対のリアクションアクチュエータ74L、
74Rが設けられているが、図3ではこれらが代表的に
リアクションアクチュエータ74として示されている。
このリアクションアクチュエータ74は、レチクルステ
ージRSTの加減速時に、上記重心の横シフト及び回転
をキャンセルするように反力と反対の力をレチクルベー
ス定盤28に与えるように、不図示の制御装置により制
御されるようになっており、これによりレチクル加減速
時の振動が脚部26を介して架台部16に伝わらないよ
うになっている。かかるリアクションアクチュエータ
は、本実施形態の如く磁気浮上型2次元リニアアクチュ
エータ等を用いる場合には、送りねじ方式のレチクルス
テージを用いる場合より、その必要性及び効果が高いも
のと言える。リアクションアクチュエータ74は、ここ
では一例としてボイスコイルモータを用いて構成されて
いる。但し、本実施形態の如く磁気浮上型2次元平面モ
ータによりレチクルステージRSTの駆動系が構成され
ている場合には、その平面モータを構成するコイルの一
部を固定子として共用するリニアアクチュエータにより
リアクションアクチュエータを構成し、レチクルステー
ジを移動する駆動系(アクチュエータ)と前記第2架台
に力を与えるアクチュエータとの一部構成要素を兼用し
てもよい。
【0125】前記LC/MAC系は、投影光学系PLの
各種光学特性(結像性能)を微調整するもので、本実施
形態では、図2に示されるように、投影光学系PL内の
物体面に近い位置に設けられ光軸方向への微小移動及び
光軸直交面に対する微小傾斜が可能なテレセン部レンズ
系G2とこのレンズ系G2を光軸方向(傾斜を含む)に
微動させる駆動機構96とから成るMACと、投影光学
系PL内の外気に対して密封された特定の空気間隔室
(密封室)内の気体圧力をパイプ94を介して例えば±
20mmHg程度の範囲内で加減圧することによって投影像
の結像倍率を微調整するレンズコントローラ102とを
含んで構成されている。前記MACは投影像の倍率又は
ディストーション(等方的な歪曲収差、又は樽形、糸巻
き形、台形等の非等方的な歪曲収差等)を調整すること
ができる。
【0126】この場合、レンズコントローラ102はレ
ンズ系G2の駆動機構96に対する制御系にもなってお
り、レンズ系G2の駆動によって投影像の倍率を変える
か、投影光学系PL内の密封室の圧力制御によって投影
像の倍率を変えるかを切替え制御したり、或いは併用制
御したりする。レンズコントローラ102も主制御装置
50の管理下に置かれている。
【0127】但し、波長193nmのArFエキシマレ
ーザ光源を照明光とした場合は、照明光路内と投影光学
系PLの鏡筒内とが窒素ガスやヘリウムガスで置換され
るため、投影光学系PL内の特定の空気間隔室内の屈折
率を変更しにくいので、この空気間隔室内の圧力を加減
圧する機構を省略しても良い。
【0128】また、投影光学系PL内の像面に近い位置
には、投影される像のうち特に像高の大きい部分(投影
視野内の周辺に近い部分)に生じ易いアス・コマ収差を
低減させるためのアス・コマ収差補正板G3が含まれて
いる。
【0129】さらに、本実施形態では、円形視野内の実
効的な像投影領域(固定レチクルブラインド18Lの開
口部で規定)に形成される投影像に含まれるランダムな
ディストーション成分を有効に低減させるための像歪み
補正板G1が、投影光学系PLのレンズ系G2とレチク
ルRとの間に配置されている。この補正板G1は、数ミ
リ程度の厚みを持つ平行な石英板の表面を局所的に研磨
し、その研磨部分を通る結像光束を微小に偏向させるも
のである。このような補正板G1の作り方の一例は、特
開平8−203805号公報に詳細に開示されており、
本実施形態においても基本的にはその公報に示された手
法を応用するものとする。
【0130】次に、ステージ装置1について説明する。
このステージ装置1は、図1及び図2に示されるよう
に、前記架台部(第1架台)16を構成する定盤22
と、この定盤22上にXY面内で相対移動可能に支持さ
れた可動型定盤38と、この可動型定盤38上にXY面
内で該可動型定盤38に対して相対移動可能に支持され
た基板ステージとしてのウエハステージWSTとを備え
ている。
【0131】ウエハステージWSTは、投影光学系PL
下方で可動型定盤38上に設けられた第1の平面磁気浮
上型リニアアクチュエータ42(図7(B)参照)によ
って浮上支持されるとともに、投影光学系PLの光軸A
Xと直交するXY2次元平面内で自在に駆動されるよう
になっている。また、可動型定盤38は、ウエハステー
ジWSTと同様に、定盤22上に設けられた第2の平面
磁気浮上型リニアアクチュエータ44(図7(B)参
照)によって浮上支持されるとともに、XY2次元平面
内で自在に駆動されるようになっている。なお、図2に
おいては、図示の便宜上、上記の平面磁気浮上型リニア
アクチュエータ42、44が纏めて駆動系48として図
示されている。この駆動系48、すなわち平面磁気浮上
型リニアアクチュエータ42、44は、ウエハステージ
コントローラ78によって制御されるようになってい
る。なお、可動型定盤38の制御方法、役割等について
は後に詳述する。
【0132】前記ウエハステージWSTは、可動型定盤
38上をXY2次元平面内で自在に移動可能な移動ステ
ージ52と、この移動ステージ52上に搭載されたレベ
リング駆動機構58と、このレベリング駆動機構58に
より支持されウエハWを保持する第1プレートとしての
基板テーブルTBとを備えている。
【0133】移動ステージ52は、本実施形態では正三
角形状に形成され、その一端面がレチクルステージRS
Tの走査方向であるY軸方向(第1軸方向)に直交する
向きで可動型定盤38上に配置されている。
【0134】前記基板テーブルTBは、移動ステージ5
2と全く同一形状の正三角形状に形成され、平面視で見
て移動テーブル52に重なる状態でレベリング駆動機構
58を構成する3つのアクチュエータZACに支持され
ている。この基板テーブルTB上には、ほぼ円形のウエ
ハホルダ54が設けられており(図5(C)参照)、こ
のウエハホルダ54にウエハWが静電吸着され、平坦化
矯正されて保持されている。このウエハホルダ54はウ
エハWの露光時の熱蓄積による膨脹変形を押さえるため
に温度制御されている。
【0135】前記レベリング駆動機構58は、基板テー
ブルTBを正三角形の3つの頂点近傍でそれぞれ支持す
るとともに各支持点でXY平面に垂直なZ方向に独立し
て駆動可能な3つのアクチュエータ(ピエゾ、ボイスコ
イルモータ等)ZACX1、ZACX2、ZACY(図
5(A)参照)と、これら3つのアクチュエータZAC
X1、ZACX2、ZACYを独立に制御することによ
り基板テーブルTBを光軸AXの方向(Z方向)に微動
するとともに、XY平面に対して傾斜させるアクチュエ
ータ制御装置56とによって構成される。アクチュエー
タ制御装置56に対する駆動指令はウエハステージコン
トローラ78から出力される。
【0136】なお、図2では図示が省略されているが、
投影光学系PLの結像面とウエハW表面とのZ方向の偏
差(フォーカス誤差)や傾斜(レベリング誤差)を検出
するフォーカス・レベリングセンサが投影光学系PLの
近傍に設けられ、ウエハステージコントローラ78はそ
のセンサからのフォーカス誤差信号やレベリング誤差信
号に応答してアクチュエータ制御装置56に駆動指令を
出力する。そのようなフォーカス・レベリング検出系の
一例は、特開平7−201699号公報に詳細に開示さ
れている。
【0137】ウエハステージWST、すなわち基板テー
ブルTBの図5(A)の各干渉計ビームの方向の位置
は、図2に示されるレーザ干渉計システム76によって
逐次計測され、その位置情報はウエハステージコントロ
ーラ78に送られる。ウエハステージコントローラ78
は、所定の演算によりXY座標位置を求め、この求めた
座標位置と位置決めすべき目標位置情報とに基づいてウ
エハステージWSTを駆動させるための指令信号を駆動
系48へ出力する。
【0138】ここで、図5(A)〜(C)を用いて上記
レーザ干渉計システム76の具体的な構成について詳述
する。
【0139】図5(A)には、レーザ干渉計システム7
6を構成する干渉計76X1、76Y、76X2及びそ
れら3つの干渉計からの干渉計ビームRIX1、RI
Y、RIX2が基板テーブルTBとともに平面図にて示
されている。
【0140】この図5(A)からもわかるように、本実
施形態では、基板テーブルTBは平面視で正三角形状に
形成され、その3つの側面にはそれぞれ鏡面加工がなさ
れて反射面60a、60b、60cが形成されている。
そして、干渉計76Yは、走査方向であるY軸方向の干
渉計ビームRIYを反射面60bに垂直に照射し、その
反射光を受光することにより、基板テーブルTBのY軸
方向位置(或いは速度)を計測するようになっている。
また、干渉計76X1は、Y軸方向に対して所定角度θ
1(θ1はここでは−60°)傾斜した方向の干渉計ビ
ームRIX1を反射面60aに垂直に照射し、その反射
光を受光することにより干渉計ビームRIX1の方向の
位置(或いは速度)を計測するようになっている。同様
に、干渉計76X2は、Y軸方向に対して所定角度θ2
(θ2はここでは+60°)傾斜した方向の干渉計ビー
ムRIX2を反射面60cに垂直に照射し、その反射光
を受光することにより干渉計ビームRIX2の方向の位
置(或いは速度)を計測するようになっている。
【0141】ところで、ウエハステージWSTのXY移
動や基板テーブルTBの微動によってXY面内で生じ得
る微小回転誤差(ヨーイング成分も含む)が露光精度に
悪影響を与えることを考慮して、本実施形態ではレーザ
干渉計システム76を構成する各干渉計としては、複数
軸の干渉計が用いられている。
【0142】図5(B)には、干渉計76Yからの干渉
計ビームRIYが該干渉計を構成する一部の光学系とと
もにより詳細に示されている。この図5(B)に示され
るように、基板テーブルTBの反射面60bには、干渉
計76Yから射出された平面視で見て2軸の測長ビーム
である第1、第2の測長ビームRIY1 、RIY2 が照
射されている。これらの測長ビームRIY1 、RIY2
は、同一水平面上でX方向に所定距離離れて反射面60
bに垂直に照射されている。このらの測長ビームRIY
1 、RIY2 は、不図示の光源から射出されて直線偏光
光束として、それぞれ偏光ビームスプリッタ62A,6
2Bを透過後、λ/4板64A,64Bを介して円偏光
となり反射面60bを照射する。その戻り光は、再びλ
/4板64A,64Bを透過後最初の偏光条件と直交し
た直線偏光光束となり、偏光ビームスプリッタ62A,
62Bにてそれぞれ反射され、コーナーキューブ部66
A,66Bに入射する。ここで、3面にて反射した光束
は再び偏光ビームスプリッタ62A,62B、λ/4板
64A,64Bを通過して円偏光になって反射面60b
に達する。そして、その反射光がλ/4板64A,64
Bを通過する際に最初と同じ偏光条件の直線偏光となっ
て偏光ビームスプリッタ62A,62Bを通過後、入射
光束と平行に干渉計本体側に戻るようになっている。す
なわち、各測長ビームRIY1 、RIY2 による計測は
いわゆるダブルパス構成によって行われるようになって
いる。
【0143】前記戻り光束は、干渉計本体部内で不図示
の固定鏡からの参照ビームの戻り光束と重なり、それら
の重なり光束の干渉縞をカウントすることで、通常の倍
の精度で基板テーブルTBの反射面60bの図5(B)
中の一点鎖線で示す軸Y1 、Y2 上の位置をそれぞれ独
立に計測可能となっている。また、これらの測長ビーム
RIY1 、RIY2 による計測値の差に基づいて基板テ
ーブルTBの回転を求めることができる。
【0144】しかし、回転計測ができるのみでは、特
に、本実施形態のように、基板テーブル側面を鏡面加工
して移動鏡とする構成の場合には、十分でない。このよ
うな場合には、干渉計からの測長ビームをウエハW表面
と同一高さに設定できないからである。かかる点を考慮
して、図5(C)に示されるように、干渉計76Yから
は測長ビームRIY1 (又はRIY2 )の照射位置から
XY平面に直交する面方向(下向)に所定距離離れた位
置に照射される第3の測長ビームRIY3 が照射されて
いる。従って、測長ビームRIY1 (又はRIY2 )と
測長ビームRIY3 との差に基づいて基板テーブルTB
のXY面に対する傾斜を求めることができる。
【0145】かかる意味からすれば、測長ビームRIY
1 又はRIY2 の照射位置からそれぞれXY平面に直交
する面方向(下向)に所定距離離れた位置に、第3の測
長ビーム、第4の測長ビームをそれぞれ照射するように
しても良い。すなわち、基板テーブルTBのXY面内の
回転及びXY面内に対する傾斜を求めることができるよ
うに、反射面60b上で、同一直線状にない少なくとも
3本の測長ビームを干渉計76Yから反射面60bに照
射するような構成が望ましい。また、当然ながら、計測
精度の向上のためには、第3、第4の測長ビームによる
計測もいわゆるダブルパス構成であることが望ましい。
【0146】その他の干渉計76X1、76X2も上記
の干渉計76Yと同様に、3本の測長ビームを反射面6
0a、反射面60cに照射し、それぞれの反射光を受光
することにより反射面60a、反射面60cの各測長ビ
ームの照射ポイントの各測長ビーム方向の位置をそれぞ
れ独立して計測するようになっている。図5(A)にお
いては、干渉計76X1、76X2、76Yからのそれ
ぞれ3本(又は4本)の測長ビームが、代表的に干渉計
ビームRIX1、RIX2、RIYとして示されている
ものである。
【0147】この場合、図5(A)に示されるように、
正三角形状のウエハテーブルTBの各側面の反射面60
a,60b,60cに、干渉計76X1,76Y,76
X2が少なくも各3本の測長ビームからな成る干渉計光
束を垂直に照射し、各干渉計光束の対向する位置にチル
ト,Z方向を駆動するためのアクチュエータZACX
1,ZACY,ZACX2が配置され、それぞれの干渉
計により計測された対応する反射面のチルト角度に応じ
てアクチュエータZACX1,ZACY,ZACX2を
独立に制御できるため、高いチルト駆動制御応答が得ら
れる構成となっている。
【0148】図2に戻り、基板テーブルTBの一部に
は、投影光学系PLを通して投影されるレチクルR上の
テストパターンの像やアライメントマークの像を光電検
出するための空間像検出器KESが固定されている。こ
の空間像検出器KESは、その表面がウエハWの表面の
高さ位置とほぼ同じになるように取り付けられている。
ただし実際には、基板テーブルTBをZ方向の全移動ス
トローク(例えば1mm)の中心に設定したときに、投
影光学系PLの結像面と空間像検出器KESの表面とが
合致するように設定されている。
【0149】空間像検出器KESは、露光量計測、照度
ムラ計測、結像特性計測等に用いられるものである。こ
こで、空間像検出器KESの構成及びそれを用いた結像
特性計測について詳述する。図6には、図2中の基板テ
ーブルTB上に取り付けられた空間像検出器KESの構
成とそれに関連した信号処理系の構成が概略的に示され
ている。
【0150】この図6において、空間像検出器KES
は、基板テーブルTB上のウエハWの表面とほぼ同じ高
さ(例えば±1mm程度の範囲)になるように設けられ
た遮光板140、その遮光板140の所定位置に形成さ
れた数十μm〜数百μm程度の矩形開口(ナイフエッジ
開口)141、開口141を透過した投影光学系PLか
らの結像光束を大きなNA(開口数)で入射する石英の
光パイプ142、及び光パイプ142によってほぼ損失
なく伝送される結像光束の光量を光電検出する半導体受
光素子(シリコンフォトダイオード、PINフォトダイ
オード等)143等を備えている。
【0151】本実施形態の如く、露光用照明光をエキシ
マレーザ光源11から得る場合、空間像検出器KESの
受光素子143からの光電信号は、エキシマレーザ光源
11のパルス発光に応答したパルス波形となる。すなわ
ち、投影光学系PLの物体面に設置された不図示のテス
トレチクル上のある物点からの像光路をMLeとする
と、その像光路MLeが空間像検出器KESの矩形開口
141に合致するように基板テーブルTB(即ちウエハ
ステージWST)をX,Y方向に位置決めした状態で、
図2中のエキシマレーザ光源11をパルス発光させる
と、受光素子143からの光電信号も時間幅が10〜2
0ns程度のパルス波形となる。
【0152】これを考慮して、本実施形態では、空間像
検出器KESの信号処理系内に、受光素子143からの
光電信号を入力し増幅するとともに、前述したレーザ干
渉計システム76のレシーバ76Eで作られる10nm
毎の計数用パルス信号に応答してサンプル動作とホール
ド動作とを交互に行うサンプルホールド回路(以下「S
/H回路」という)150Aが設けられている。この
他、上記信号処理系内には、S/H回路150Aの出力
をデジタル値に変換するA−D変換器152Aと、その
デジタル値を記憶する波形メモリ回路(RAM)153
Aと、波形解析用コンピュータ154とを備えている。
また、この場合、RAM153Aのアドレスカウンタと
してレーザ干渉計システム76から送られてくる10n
m毎の計数用パルス信号を計数するアップダウンカウン
タ151が設けられている。
【0153】本実施形態では、エキシマレーザ光源11
の制御用コンピュータ11B(図2参照)は、レーザ干
渉計システム76からの計測値に基づきウエハステージ
コントローラ78で演算され、後述する同期制御系8
0、主制御装置50に送られる座標位置情報に応じてパ
ルス発光のトリガを行う。すなわち、本実施形態ではエ
キシマレーザ光源11のパルス発光が基板テーブルTB
の座標位置に応じて行われ、そのパルス発光に同期して
S/H回路150Aが受光素子143からのパルス信号
波形のピーク値をホールドするようになっている。そし
て、このS/H回路150Aでホールドされたピーク値
は、A−D変換器152Aによってデジタル値に変換さ
れ、そのデジタル値は波形メモリ回路(RAM)153
Aに記憶される。RAM153Aの記憶動作時の番地
(アドレス)は、前記アップダウンカウンタ151によ
って作られ、基板テーブルTBの位置とRAM153A
の記憶動作時の番地(アドレス)とが一義的に対応付け
られる。
【0154】ところで、エキシマレーザ光源11からの
パルス光のピーク強度は各パルス毎に数%程度の変動が
ある。そこで、その変動による像計測精度の劣化を防止
するために、本実施形態の信号処理回路内には、図6に
示されるように、前述した照明光学系内に設けられた強
度検出用の光電検出器(インテグレータセンサ)46か
らの光電信号(パルス波形)が入力されるS/H回路1
50B(これは前記SH回路150Aと同様の機能を有
する)と、該S/H回路150Bの出力をデジタル値に
変換するA−D変換器152Bと、そのデジタル値を記
憶する波形メモリ回路(RAM)153B(記憶動作時
のアドレス生成はRAM153Aと共通)とが設けられ
ている。
【0155】これによって基板テーブルTBの位置とR
AM153Bの記憶動作時の番地(アドレス)とが一義
的に対応付けられた状態で、エキシマレーザ光源11か
らの各パルス光のピーク強度がRAM153Bに記憶さ
れる。
【0156】以上のようにして各RAM153A,15
3Bに記憶されたデジタル波形は波形解析用のコンピュ
ータ(CPU)154に読み込まれ、RAM153Aに
記憶された像強度に応じた計測波形がRAM153Bに
記憶された照明パルス光の強度ゆらぎ波形で規格化(除
算)される。規格化された計測波形は波形解析用コンピ
ュータ154内のメモリに一時的に保持されるととも
に、計測すべき像強度の中心位置が各種の波形処理プロ
グラムによって求められる。
【0157】本実施形態では、空間像検出器KESの開
口141のエッジを使ってテストレチクル上のテストパ
ターン像を検出するので、波形解析用コンピュータ15
4によって解析される像の中心位置は、テストパターン
像の中心と開口141のエッジとがXY面内で合致する
場合にレーザ干渉計システム76によって計測される基
板テーブルTB(ウエハステージ14)の座標位置とし
て求まる。
【0158】こうして解析されたテストパターン像の中
心位置の情報は主制御装置50に送られ、主制御装置5
0はテストレチクル上の複数点(例えば理想格子点)に
形成されたテストパターンの各投影像の位置を順次計測
するための動作を、エキシマレーザ光源11の制御用コ
ンピュータ11B、ウエハステージコントローラ78、
及び波形解析用コンピュータ154に指示する。
【0159】上記のようにして、空間像検出器KESに
よって投影光学系PLの結像性能や照明光学系の照明特
性を計測し、その計測結果に基づいて図2中に示した各
種の光学要素や機構を調整することができる。
【0160】更に、本実施形態の基板テーブルTB上に
は、その表面がウエハWの表面の高さ位置とほぼ同じに
なるようにされた基準マーク板FMが設けられている
(図7(A)参照)。この基準マーク板FMの表面には
後述する各種アライメント系によって検出可能な基準マ
ークが形成され(これについては後述する)、それらの
基準マークは、各アライメント系の検出中心点のチェッ
ク(キャリブレーション)、それら検出中心点間のベー
スライン長の計測、レチクルRのウエハ座標系に対する
位置チェック、又はレチクルRのパターン面と共役な最
良結像面のZ方向の位置チェック等のために使われる。
なお、上記基準マークは、前述したKESの表面に形成
すれば、同一基準板でX,Y,Zチルト方向のキャリブ
レーションが可能となるので、各基準板に対応した累積
誤差を軽減することができる。また、基準マーク板FM
を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測につ
いては後述する。
【0161】図1に示されるウエハ搬送ロボット19
は、不図示のウエハ載置部からウエハステージWSTま
でウエハWを搬送するウエハ搬送系の一部を構成するも
ので、所定のローディング位置(受渡し位置)に移動し
てきたウエハステージWSTのホルダとの間でウエハW
の受け渡しを行うロボットアーム(ウエハロード/アン
ロードアーム)21を備えている。
【0162】本実施形態の走査型露光装置10では、ア
ライメント系として、投影光学系PLを介さないでウエ
ハW上の各ショット領域毎に形成されたアライメントマ
ークや、基準マーク板FM上の基準マークを光学的に検
出するオフアクシス・アライメントセンサ(アライメン
ト光学系)が設けられている。このアライメント光学系
ALGは、図2に示されるように、投影光学系PLの側
方に配置されている。このアライメント光学系ALG
は、ウエハW上のレジスト層に対して非感光性の照明光
(一様照明又はスポット照明)を対物レンズを通して照
射し、アライメントマークや基準マークからの反射光を
対物レンズを介して光電的に検出する。光電検出された
マーク検出信号は、信号処理回路68に入力されるが、
この信号処理回路68には、ウエハステージコントロー
ラ78、同期制御系80及び主制御装置50を介してレ
ーザ干渉計システム76の計測値が入力されている。そ
して、信号処理回路68は、上記の光電検出されたマー
ク検出信号を所定のアルゴリズムの下で波形処理し、こ
の処理結果とレーザ干渉計システム76の計測値とに基
づいて、マークの中心がアライメント光学系ALG内の
検出中心(指標マーク、撮像面上の基準画素、受光スリ
ット、或いはスポット光等)と合致するようなウエハス
テージWSTの座標位置(ショットアライメント位
置)、或いは検出中心に対するウエハマーク、基準マー
クの位置ずれ量を求めるようになっている。その求めら
れたアライメント位置または位置ずれ量の情報は、主制
御装置50に送られ、ウエハステージWSTのアライメ
ント時の位置決め、ウエハW上の各ショット領域に対す
る走査露光の開始位置の設定等に使われる。
【0163】また、本実施形態の走査型露光装置10で
は、図2に示されるように、レチクルステージRSTの
上方に、レチクルアライメントを行うためのレチクル顕
微鏡110が設けられている。レチクル顕微鏡110
は、実際には非走査方向に沿って所定間隔で2つ配置さ
れているが、図2では、紙面奥側のレチクル顕微鏡11
0が手前側のレチクル顕微鏡110の陰に隠れているた
め、1つしか図示されていない。
【0164】さらに、本実施形態の走査型露光装置10
では、レチクルステージRSTとウエハステージWST
とを同期移動させるための同期制御系80が、制御系内
に設けられている。この同期制御系80は、特に走査露
光時に、レチクルステージRSTとウエハステージWS
Tとを同期移動させる際に、レチクルステージコントロ
ーラ33による駆動系29の制御とウエハステージコン
トローラ78による駆動系48の制御とを相互に連動さ
せるために、レチクルレーザ干渉計30、干渉計システ
ム76で計測されるレチクルRとウエハWの各位置や各
速度の状態をリアルタイムにモニタし、それらの相互の
関係が所定のものとなるように管理する。その同期制御
系80は、主制御装置50からの各種のコマンドやパラ
メータによって制御される。
【0165】次に、図1に示される制御ラック14の構
成について説明する。
【0166】制御ラック14は、エキシマレーザ光源1
1及び露光装置本体12各部のユニット(照明光学系1
8、レチクルステージRST、ウエハステージWST、
搬送ロボット19等)の各々を個別に制御する分散型シ
ステムとして構築され、エキシマレーザ光源11を含む
各ユニット制御用のプロセッサ・ボードの複数を収納す
るプロセッサ・ボード・ラック部104、各プロセッサ
・ボードを統括的に制御する主制御装置(ミニコンピュ
ータ)50(図2参照)を収納するラック部、そしてオ
ペレータとのマン・マシン・インターフェイス用の操作
パネル106、及びディスプレイ108等を収納するラ
ック部等を積み重ねたシングル・ラック構成となってい
る。この制御ラック14によってエキシマレーザ光源1
1及び露光装置本体12の全体的な動作が管理される。
【0167】プロセッサ・ボード・ラック部104内の
各プロセッサ・ボードにはマイクロプロセッサ等のユニ
ット側コンピュータが設けられ、これらのユニット側コ
ンピュータが主制御装置(ミニコンピュータ)50と連
携することによって複数枚のウエハの一連の露光処理が
実行される。
【0168】その一連の露光処理の全体的なシーケンス
は主制御装置50内の不図示のメモリに記憶された所定
のプロセスプログラムに従って統括制御される。
【0169】プロセスプログラムはオペレータが作成し
た露光処理ファイル名のもとに、露光すべきウエハに関
する情報(処理枚数、ショットサイズ、ショット配列デ
ータ、アライメントマーク配置データ、アライメント条
件等)、使用するレチクルに関する情報(パターンの種
別データ、各マークの配置データ、回路パターン領域の
サイズ等)、そして露光条件に関する情報(露光量、フ
ォーカスオフセット量、走査速度のオフセット量、投影
倍率オフセット量、各種の収差や像歪みの補正量、照明
系のσ値や照明光NA等の設定、投影光学系のNA値設
定等)をパラメータ群のパッケージとして記憶するもの
である。
【0170】主制御装置50は、実行指示されたプロセ
スプログラムを解読してウエハの露光処理に必要な各構
成要素の動作を、対応するユニット側コンピュータにコ
マンドとして次々に指令していく。このとき、各ユニッ
ト側コンピュータは1つのコマンドを正常終了すると、
その旨のステータスを主制御装置50に送出し、これを
受けた主制御装置50はユニット側コンピュータに対し
て次のコマンドを送る。
【0171】このような一連の動作のなかで、例えば、
ウエハ交換のコマンドが主制御装置50から送出される
と、ウエハステージWSTの制御ユニットであるウエハ
ステージコントローラ78と、ウエハ搬送ロボット19
の制御ユニットとが協同して、ウエハステージWSTと
アーム21(ウエハW)とは図1のような位置関係に設
定される。
【0172】さらに主制御装置50内のメモリには、複
数のユーティリティソフトウェアが格納されている。そ
のソフトウェアの代表的なものは、投影光学系や照明
光学系の光学特性を自動的に計測し、投影像の質(ディ
ストーション特性、アス・コマ特性、テレセン特性、照
明開口数特性等)を評価するための計測プログラム、
評価された投影像の質に応じた各種の補正処理を実施す
るための補正プログラムの2種類である。
【0173】次に、可動型定盤38の役割及びその制御
方法について、図7(A)、(B)を参照しつつ説明す
る。図7(A)には、定盤22付近の概略平面図が示さ
れ、図7(B)には図7(A)の矢印A方向から見た概
略正面図が示されている。図7(A)では、ウエハステ
ージWSTが矢印Bの距離だけ移動した時の加減速によ
る可動型定盤38への反力による可動型定盤38の移動
距離が矢印Cにて示されている。
【0174】可動型定盤38の上面には、ウエハステー
ジWSTの下面に設けられた不図示の永久磁石とともに
平面磁気浮上型リニアアクチュエータ42を構成する複
数のコイル(図示省略)がXY2次元方向に張り巡らさ
れている。そして、ウエハステージWSTは、平面磁気
浮上型リニアアクチュエータ42によって可動型定盤3
8の上方に浮上支持されるととももに、前記コイルに流
す電流を制御することにより任意の2次元方向に駆動さ
れる構成となっている。
【0175】同様に、定盤22の上面には、可動型定盤
38の下面に設けられた不図示の永久磁石とともに平面
磁気浮上型リニアアクチュエータ44を構成する複数の
コイル(図示省略)がXY2次元方向に張り巡らされて
いる。そして、可動型定盤38は、平面磁気浮上型リニ
アアクチュエータ44によって定盤22の上方に浮上支
持されるととももに、前記コイルに流す電流を制御する
ことにより任意の2次元方向に駆動される構成となって
いる。
【0176】この場合、ウエハステージWSTと可動型
定盤38、可動型定盤38と定盤22とは、それぞれ非
接触のため、それぞれの間の摩擦が非常に小さくなって
いる結果、ウエハステージWST、可動型定盤38を含
む系全体として運動量保存則が成立する。
【0177】従って、ウエハステージWSTの質量を
m、可動型定盤38の質量をMとし、ウエハステージW
STが可動型定盤38に対し速度vで移動すると、運動
量保存則から可動型定盤38は、これと反対方向にV=
mv/(M+m)の速度で定盤12に対し移動すること
となる。しかるに、加速度は速度の時間微分であるか
ら、ウエハステージWSTが加速度aで移動した場合
(力F=maが作用した場合)、可動型定盤38は力F
の反力により逆方向にA=ma/(M+m)の加速度を
受けることとなる。
【0178】この場合、ウエハステージWSTは可動型
定盤38上に載っているので、該ウエハステージWST
は、定盤22に対しv×{1−m/(M+m)}の速
度、従ってa×{1−m/(M+m)}の加速度で移動
する。このため、ウエハステージWSTの質量m(重量
mg)と可動型定盤38の質量M(重量Mg)とが近い
と所望のウエハステージWSTの加速度、最高速度を得
られなくなる。また、移動距離は速度に比例するため、
可動型定盤38の移動量が大きくなり、フットプリント
が悪化することとなる。
【0179】例えば、m:M=1:4とすると、12イ
ンチウエハ全面露光のために300mmウエハステージ
WSTを移動したい場合、前記式V=mv/(M+m)
より、300mmの1/5である60mm分の可動型定
盤38のストロークを確保することが必要になる。
【0180】そこで、本実施形態では、ウエハステージ
加速度、最高速度、フットプリントの悪化を1桁以下に
抑えるため、ウエハステージWSTの質量mと可動型定
盤38の質量Mの比がm:M=1:9以下になるよう
に、すなわちウエハステージWSTの重量が可動型定盤
38の重量の1/9以下になるように設定している。
【0181】また、可動型定盤38の必要ストロークを
小さくするために、ウエハステージコントローラ78で
は、可動型定盤38駆動用の平面磁気浮上型リニアアク
チュエータ44に対する制御応答を露光,アライメント
時とその他の時とで可変するようにしている。
【0182】これを更に詳述する。露光の際は、ウエハ
ステージWSTとレチクルステージRSTが同期して移
動するが、可動型定盤38駆動用の平面磁気浮上型リニ
アアクチュエータ44の制御応答を数Hzにて制御すれ
ば、数十Hzで制御されるウエハステージWST駆動用
の平面磁気浮上型リニアアクチュエータ42の可動型定
盤38に対する反力には殆ど追従できず、運動量保存則
から可動型定盤38が自由に運動してその反力を吸収し
てしまい、その反力の影響が外部に及ばない。
【0183】また、ウエハステージコントローラ78で
は、レチクルステージRSTの位置やウエハステージW
STの位置の変化にて露光装置本体12が全体的に傾い
た場合に、平面磁気浮上型リニアアクチュエータ44の
制御応答を数Hzにて制御することにより、その傾き方
向に可動型定盤38が移動する低周波位置ずれを防止す
るようになっている。
【0184】また、m:M=1:9に設定しても、ウエ
ハステージWSTが300mmフルに移動すれば、可動
型定盤38も30mm程度反対方向に動くが、ショット
露光間の非スキャン方向ステッピング長はせいぜい30
mm程度なので、その時の可動型定盤38の移動は3m
m程度である。そこで、本実施形態では、ウエハステー
ジコントローラ78が、スキャン露光後の同期制御性能
に影響を及ぼさないウエハステージ減速時(非スキャン
方向ステッピング加速時)に可動型定盤38駆動用の平
面磁気浮上型リニアアクチュエータ44のステッピング
と同方向応答周波数を数十Hzに上げ、可動型定盤38
の定盤22に対するXY方向の相対移動の位置を検出す
る位置計測装置としてのリニアエンコーダ45(図7
(B)参照)を用いたフィードバック制御により、可動
型定盤38がステッピング前の元の位置に戻るように制
御するようになっている。これにより、可動型定盤38
の移動量を小さくすることが可能となり(図7(A)中
の仮想線38’参照)、更に、その間可動型定盤38と
定盤22が固定状態と考えることができるので、ウエハ
加速度、最高速度も10%向上させることができる。
【0185】このような制御方法は、それ以外のアライ
メント間でのウエハステージWSTの移動や、ウエハを
交換する際のローディング位置への移動時にも同様に適
用することができる。
【0186】また、架台部16を支持する防振装置20
には、床振動等の高周波振動防止のためのエアパット及
び、それに伴う低周波振動除去のためのリニアアクチュ
エータが搭載されているが、レチクルステージRST、
ウエハステージWSTの位置により僅かに装置が傾くこ
とがある。この場合、防振装置20を構成する前記リニ
アアクチュエータに所定の電圧をかけ続けて傾きを修正
する必要があるが、常時アクチュエータに負荷をかける
ので、アクチュエータ等の部品の寿命を縮めることにな
る。このような場合に、本実施形態では、ウエハステー
ジコントローラ78が上記の如くして可動型定盤38を
所定量移動させて、装置全体の重心を強制することで、
装置傾きを修正し、リニアアクチュエータに負荷がかか
らないようにすることができ、アクチュエータ等の部品
の寿命を延ばすことが可能になる。
【0187】上記のような種々の工夫により、本実施形
態では、可動型定盤38の形状及びその移動範囲を、ウ
エハステージWSTの形状と移動範囲に応じて、図7
(A)中の実線及び仮想線でそれぞれ示すような頂点の
無い三角形状としている。この場合、ウエハステージW
STのスキャン方向(走査方向)は図7(A)中の紙面
上下方向である。本実施形態では、定盤22をほぼ正方
形に形成し、これを支持する4つの防振装置20を剛性
を上げるために4角形の配置としているが、スペースを
有効に生かすために、定盤22の形状を図7(A)中の
仮想線38’で示されるのと同様の形状にし、防振装置
20を図7(A)中の点線20’で示されるような3点
配置としても良い。これにより、明らかに、フットプリ
ントを改善することが可能である。但し、この場合に
は、防振装置の剛性を上げることが必要である。
【0188】次に、走査露光に先立って行われるレチク
ルアライメント及びベースライン計測について、図8及
び図9を用いて説明する。
【0189】図8(A)には、レチクルステージRST
上に保持された9インチサイズのレチクルRの平面図が
示されている。この図8(A)に示されるように、レチ
クルRには、パターン領域Pを区画する遮光帯EBのY
方向の一端側にX方向に沿って、3つのレチクルアライ
メントマークMR1、MR2、MR3が形成されている。
【0190】一方、基準マーク板FM上には、図9に示
されるように、第1基準マークMr1,Mr2と、第2基準
マークMwとが所定の位置関係で形成されている。そこ
で、例えば、レチクルR上の領域P1の走査露光に先立
って、レチクルアライメント及びベースライン計測を次
のようにして行う。
【0191】すなわち、主制御装置50では、レチクル
ステージコントローラ33を介して2つのレチクル顕微
鏡110でレチクルアライメントマークMR1、MR2を同
時に計測可能な位置までレチクルステージを移動すると
ともに、基準マーク板FM上の第1基準マークMr1,M
r2を前記レチクルアライメントマークMR1、MR2と同時
に2つのレチクル顕微鏡110で計測可能な位置までウ
エハステージコントローラ78を介してウエハステージ
WSTを駆動する。このときの、2つのレチクル顕微鏡
110と基準マーク板FM、及びアライメントセンサA
LGとの相対位置関係が図9に示されている。この場
合、図9からも明らかなように、アライメントセンサA
LGにより第2基準マークMwが計測される。すなわ
ち、このような位置関係で基準マーク板FM上に第1基
準マークMr1,Mr2と第2基準マークMwとが形成さ
れ、2つのレチクル顕微鏡110とアライメントセンサ
ALGとの位置関係が定められている。
【0192】そして、主制御装置50は、図9の状態
で、アライメントセンサALGを用いて第2基準マーク
Mwに対するアライメントセンサALGの指標Maの中
心の位置ΔWを計測し、これとほぼ同時に2つのレチク
ル顕微鏡110を用いて第1基準マークMr1,Mr2に対
するレチクルアライメントマークMR1,MR2の位置ΔR
を計測する。
【0193】この場合、第1基準マークMr1,Mr2から
第2基準マークMwまでの距離Lは既知であるから、レ
チクルアライメントマークMR1,MR2で代表されるレチ
クルR上の第1領域P1の投影位置からアライメントセ
ンサALGの検出中心(すなわち指標Maの中心)まで
の距離、すなわちベースライン量BLを求めることがで
きる。図9から明らかなように、この求めるベースライ
ン量BLは、各量の符号(矢印の方向)を考慮して、次
式で与えられる。
【0194】BL=L+ΔW−ΔR
【0195】そこで、主制御装置50では、上記ΔW,
ΔRの計測の後、上式の演算を行なって、レチクルR上
の第1領域P1の投影位置とアライメントセンサALG
の検出中心(すなわち指標Maの中心)までの距離(相
対位置関係)を算出する。
【0196】上記と全く同様にして、レチクルR上の領
域P2の走査露光に先立って、レチクルアライメント及
びベースライン計測が行われる。但し、この場合には、
レチクルアライメントマークMR2,MR3がレチクルアラ
イメントに用いられる。
【0197】なお、例えば図8(B)に示されるよう
に、レチクルR上の第1領域P1と第2領域P2との境
界に遮光帯EBが存在する場合には、レチクルアライメ
ントマークMR4、MR5、MR6をそれぞれの領域P1、P
2の長手方向の中央部の遮光帯EB上に設けても良い。
同様に、パターン領域内にレチクルアライメントマーク
を設けても支障がないような場合には、その領域内にレ
チクルアライメントマークを設けても良い。
【0198】次に、レチクルステージRSTとウエハス
テージWSTとを走査方向(Y方向)に相対移動させる
ステージ制御系(ウエハステージコントローラ78、レ
チクルステージコントローラ33、同期制御系80)に
よって行われる1つのショット領域の1回の露光の際の
ウエハステージの基本的な走査手順について図10を参
照しつつ、簡単に説明する。
【0199】図10(A)には、投影光学系PLの有効
フィールドPL’に内接するウエハ上のスリット状の照
明領域(レチクルR上の照明領域と共役な領域;以下
「照明スリット」という)STと1つの区画領域として
のショット領域S1との関係が平面図にて示され、図1
0(B)には、ステージ移動時間とステージ速度との関
係が示されている。なお、実際には、ショット領域S1
が照明スリットSTに対して矢印Yの反対方向に移動す
ることで露光が行なわれるが、ここでは、図10(B)
のステージ移動時間とステージ速度の関係表と対応付け
るため、ウエハ上照明スリットSTがショット領域S1
に対し移動するように示されている。
【0200】まず、基本的(一般的な)走査手順として
は、ショット領域S1のショット端から所定量離れた位
置に照明スリットSTの中心Pが位置付けられ、ウエハ
ステージWSTの加速が開始される。ウエハステージW
STが所定の速度に近づいた時点で、レチクルRとウエ
ハWの同期制御が開始される。このウエハステージの加
速開始時点から同期制御の開始時点までの時間t1を、
加速時間と呼ぶ。同期制御開始後、ウエハとレチクルの
変位誤差が所定の関係になるまでレチクルステージRS
Tによる追従制御が行われ、露光が開始される。この同
期制御開始後、露光開始までの時間t2を、整定時間と
呼ぶ。
【0201】上記の加速開始から露光開始までの時間
(t1+t2)がプリスキャン時間と呼ばれる。加速時
間t1での平均加速度をa、整定時間をt2とすると、
プリスキャン時における移動距離は(1/2)・a・t
2 +a・t1・t2で表わされる。
【0202】また、等速移動により露光が行われる露光
時間t3は、ショット長をL、照明スリットSTの走査
方向の幅をwとした場合、t3=(L+w)/(a・t
1)となり、移動距離はL+wとなる。
【0203】このt3の終了時点でショット領域S1に
対するレチクルパターンの転写は終了するが、スループ
ット向上のため、ステップ・アンド・スキャン方式で
は、通常レチクルRを交互スキャン(往復スキャン)さ
せることで、順次次のショットに対する露光を行なうの
で、前記プリスキャンでの移動距離と同じ距離だけ、露
光終了時点から更にレチクルRを移動して、レチクルR
を次ショット露光のための走査開始位置まで戻す(従っ
て、これに対応してウエハWも走査方向に移動させる)
ことが必要である。このための時間が、等速度オーバー
スキャン時間t4、減速オーバースキャン時間t5であ
り、総じて(t4+t5)がオーバースキャン時間であ
る。このオーバースキャン時間における移動距離は、減
速オーバースキャン時間t5における減速度をbとする
と、−(1/2)・b・t52 −b・t5・t4とな
り、この距離が(1/2)・a・t12 +a・t1・t
2となるようにt4、t5、減速度bが設定される。
【0204】一般の制御系ではa=−bなので、t1=
t5、t2=t4に設定するのが最も容易な制御法とな
る。このように、スキャン露光では等速同期スキャンを
行なうために、プリスキャン距離及び、オーバースキャ
ン距離が必要となり、ウエハ周辺ショットを露光する場
合であっても、プリスキャン及びオーバースキャン時の
間で干渉計光束が反射面(移動鏡)から外れることがあ
ってはならない。そのため、反射面をその分長くしてお
く必要がある。
【0205】次に、図10(C)を用いて本実施形態に
おける基板テーブルTBの各反射面の長さの設定につい
て説明する。図10(C)には、ウエハステージWST
(基板テーブルTB)が矢印Y方向にスキャンすること
でウエハ周辺のショット領域Sを露光する場合のウエハ
周辺ショットSと移動鏡長延長分(L0,L1+L2,
L3)との関係が示されている。この図10(C)にお
いて、干渉計ビームRIX1、RIX2の延長線がウエ
ハW外周と交差する時の反射面60a、60cの長さが
最低必要な反射面の長さとなる。これに、ショットSが
ウエハW外周に欠けた状態で露光できるとした時の欠け
分仮想ショット長をL3、前述したプリスキャン及びオ
ーバースキャンに要する距離をL1+L2、干渉計ビー
ムをXY面内で2本の測長ビームとした場合の該2本の
測長ビームの中心位置(点線部)と各測長ビームの中心
までの距離と各ビーム半径と所定のマージンとの総和を
L0とすると、反射面の延長分はL0+L1+L2+L
3となり、その値が基板テーブルTBの三角形の頂点よ
りも小さくなるように、反射面の長さが設定されてい
る。これにより、スキャン露光時に反射面から測長ビー
ムが外れるという不都合を防止している。但し、ウエハ
外周でのショットはショット長L分完全に露光する必要
は無いので、ウエハ上に露光される部分のみを露光する
ように制御することで、移動鏡の延長分をL0+L1+
L2としても良い。
【0206】1つのショット領域の露光の際のウエハス
テージの基本的な走査手順は、先に説明した通りである
が、隣接した複数のショット領域に順次レチクルパター
ンを転写する場合のウエハステージWST(基板テーブ
ルTB)の移動制御方法について、次に詳述する。ここ
では、一例として図11(A)に示される隣接したショ
ットS1,S2,S3を順次露光する場合について説明
する。
【0207】図11(A)は、ショットS1,S2,S
3を順次露光する場合のウエハ上照明スリットSTの中
心Pが各ショット上を通過する軌跡を示したものであ
る。この図11(A)から明らかなように、ウエハステ
ージコントローラ78及び同期制御系80では、スキャ
ン方向(Y方向)へのウエハステージWSTのプリスキ
ャン及びオーバースキャンと、非スキャン方向(X方
向)へのウエハステージWSTのステッピングを同じタ
イミングで行っている。これによって、ウエハステージ
WSTのショット間の移動距離を短縮し、従ってこれに
要する移動時間を短縮し、スループットの向上を図るた
めである。
【0208】ところで、前述の如く、プリスキャン時間
にはレチクルRをウエハWに完全に追従させるための整
定時間t2が含まれるため、非スキャン方向に関する加
減速制御はできるだけ整定時間t2の開始時点より早く
終了していることが望ましい。これを実現するため、本
実施形態では、ウエハステージコントローラ78及び同
期制御系80では、露光終了に続くウエハステージWS
Tのスキャン方向での等速オーバスキャン時間t4の間
に、ウエハステージWSTの非スキャン方向でのステッ
ピングを開始することとしており、その等速オーバスキ
ャン時間t4分だけ早く非スキャン方向の加減速制御を
終了するような制御を行う。図11(B)には、この場
合のウエハステージWSTのスキャン方向の速度Vyと
時間の関係が示され、図11(C)にはそれに対応した
非スキャン方向の速度Vxと時間の関係が示されてい
る。このウエハステージの移動制御方法によると、整定
時間t2の間はスキャン方向の同期制御のみに専念でき
るので、整定時間t2(従ってt4も)の短縮が可能と
なる。
【0209】ここで、ステッピング方向をX軸、スキャ
ン方向をY軸とし、ショットS1の露光時スキャン速度
を−VY、ステッピング時最高速度をVXとした場合に
ついて、時間配分を各軸について具体的に考えるものと
する。
【0210】まずスキャン方向について考えると、ショ
ットS1の露光が終了して等速オーバスキャン時間t4
後に、ウエハステージWSTは減速(図11(A)中の
−Y方向に速度を有する時の+Y方向の加速)を開始す
る。このときの減速度をayとすると、図11(A)中
の点O(0,0)を基準点としてウエハステージWST
は、時間t4の間に−VY・t4だけスキャン方向に進
み、その後は、時間t4経過の時点を時間の基準点とし
て、−VY・t+(1/2)・ay・t2 というように
変化し、−VY・t+(1/2)・ay・t2 =−VY
・t・(1/2)を満足する時点、すなわちt=ty
=VY/ay(図11(B参照)となった時点で別の区
画領域としてのショットS2に対するプリスキャンが開
始される分岐点B(図11(A)参照)となる。その後
加速期間は、加速開始点を時間の基準として1/2・a
y・t2 の軌跡を取り、ty 1=VY/ayとなるまで
加速し続け、その後、レチクルRとウエハWの同期制御
期間としてのt2を経て、露光が開始される。露光時間
t3はt3=(ショット長Ly+照明スリット幅w)/
VYで表わされる。この時ウエハステージWSTの軌跡
は、放物線状となる。実際の放物線は、y=x2 又はy
=√xにて表されるが、ここではtを消去すると、x2
と√xが含まれる関数となるので、便宜上放物線状と
は、これらの関数も含めたものを示している。
【0211】次にステッピング方向を考えると、ショッ
トS1の露光が終了後すぐに、ウエハステージWSTは
加速を開始する。加速度をaxとすると、ウエハステー
ジWSTのX座標は図11(A)中の点0を基準点とし
て(1/2)・ax・t2 となり、t=tx 5=VX/
ax(図11(C)参照)にて最高速度に達する。ここ
で、ステッピング長Lx≦ax・tx 2 の場合は、t
x 5=(Lx/ax)の時点から減速(+X方向に速度
を有する時の−X方向の加速)を開始する。その後減速
期間は減速開始点を時間の基準点として、ax・tx
・t−(1/2)・ax・t2 のように変化し、ax・
x 5・t−(1/2)・ax・t2 =(1/2)・a
x・tx 5・tとなる時点、すなわち減速開始点から時
間tx 5を経過する時点まで減速して停止する。
【0212】すなわち、スキャン方向は、図11(B)
に示されるように、前ショットの露光終了時点からt4
+ty 5+ty 1+t2で次ショットの露光を開始する
が、ステッピング方向には図11(C)に示されるよう
に、前ショットの露光終了時点からtx 5+t4+tx
1の時点では加減速が終了しており、これより、ty
=tx 1,ty 5=tx 5とした場合、前述の如くt2
=t4であることを考慮すると、スキャン方向の整定時
間t2における同期制御開始よりt4だけ早くステッピ
ング動作が終了することが分かる。
【0213】このことを、別の表現にすれば、スキャン
方向の速度がゼロとなる点、すなわち減速が終了して次
ショットの露光のための加速が開始される点である図1
1(A)のB点(Bx,By)のX座標Bxがショット
S1とS2の境界よりS2寄りとなるように、ウエハス
テージWSTのスキャン方向のオーバースキャン及びプ
リスキャン動作に並行して、非スキャン方向のステッピ
ング動作が行われるように、ウエハステージコントロー
ラ78及び同期制御系80が、ウエハステージWSTの
X、Yそれぞれの方向の移動を制御するようになってい
るということである。
【0214】また、今までの説明ではステッピング時の
加速度を±axとしていたが、加速時のaxに対し減速
時の加速度を−bxとし、|−bx|<axとなる条件
に設定すれば、加速時と減速時とで加速度の大きさを同
一にした場合と比べると、ステッピング時間は長くかか
るものの、減速時の加速度の大きさそのものが小さくな
るので、その減速に伴うウエハステージWSTを含む装
置振動自体を小さく抑えられるという効果がある。従っ
て、非スキャン方向ステッピングが終了した時点におけ
る整定時間が短くなる。
【0215】また、上記の説明では、ステッピング長L
x≦ax・tx 2 の場合を説明したが、Lx>ax・
x 2 の場合、tx 6=(Lx−ax・tx 2 )/
VXを満足する時間tx6だけ最高速度VXにて走査後
に減速動作に入るようにウエハステージWSTのX方向
位置を制御すればよいこととなる。但し、いずれにして
もt4+ty 5+ty 1≧tx 5+tx 6+tx 1とな
るように加速度ax,最高速度VXを設定することが重
要である。このようにすれば、ステッピング時間は全て
プリスキャン及びオーバスキャンと並行動作されること
となり、スループットが向上する。
【0216】すなわち、上記の図11(A)〜(C)を
用いて説明したウエハステージWST(基板テーブルT
B)の移動制御方法を採用した走査露光方法によると、
レチクルRとウエハWとを走査方向であるY方向(第1
方向)に同期移動して、ショットS1が走査露光された
後、X方向(非走査方向)に関する、ショットS1に隣
接するショットS2の位置にウエハWが到達する前に
(ショット間の非走査方向のステッピング終了する前の
減速中に)ウエハWの走査方向の加速が開始され、レチ
クルRのパターンでショットS2が走査露光される。換
言すれば、ショットS1の露光の終了後にショットS2
への移動が開始されるがこの途中で走査方向についての
ウエハの加速が開始されるので、ショットS2への非走
査方向の移動時間に該ショットS2の露光のための走査
方向加速時間を完全にオーバーラップさせることがで
き、ショットS2の位置にウエハWが到達してからショ
ットS2の露光のための走査方向の加速が開始される従
来例に比べてスループットを向上させることができるこ
とは明らかである。
【0217】なお、図11の場合には、ウエハWの非走
査方向への加速は、ショットS1の走査露光終了後の走
査方向の等速移動時に開始されているが、これは走査方
向の整定時間t2における同期制御開始よりt4だけ早
くステッピング動作が終了することを意図してこのよう
にしたものであり、これに限らず、ウエハWの非走査方
向への加速をウエハWの減速中に開始するようにしても
良い。
【0218】この場合において、ウエハWは、ショット
S2の走査露光前に、走査方向と交差する方向に沿って
加速されて、走査方向の移動速度がウエハWの感度特性
に応じた速度に設定されているので、露光中はその速度
を維持しレチクルを同期制御すれば良いので、制御が容
易である。
【0219】また、図11の(B)、(C)から明らか
なように、ウエハWは、ショットS1の走査露光とショ
ットS2の走査露光との間で、走査方向の移動速度と非
走査方向の移動速度との少なくとも一方が零とならない
ように移動されるので、ショットS1の走査露光とショ
ットS2の走査露光との間で、停止することなく移動が
行われ、その分スループットが向上する。
【0220】また、図11(A)から明らかなように、
ウエハWは、ショットS1の走査露光とショットS2の
走査露光との間で、走査方向の移動速度が零となるB点
のX方向の位置がショットS1よりもショットS2に近
くなるように移動されていることから、上記の如く、シ
ョットS1とショットS2との間のウエハWの非走査方
向の加速度と減速度とが等しい場合であっても、必ずシ
ョットS2露光の開始前のある一定時間(上記の例では
t2)前には非走査方向の速度がゼロとなっている。従
って、ショットS1の走査露光とショットS2の走査露
光との間のウエハWの非走査方向の加速後の減速度を大
きくする必要がなく、露光開始時点でこの影響が残るこ
とがなく同期整定時間が不要に長くなることがない。
【0221】但し、ウエハWは、ショットS1の走査露
光とショットS2の走査露光との間で、図11(A)に
示されるような移動軌跡で移動させる必要はなく、例え
ば、ショットS1の走査露光終了後にウエハWの走査方
向の速度成分が零となるウエハの非走査方向の位置(B
点のX方向の位置)を、ショットS2のX方向位置より
もショットS1側とし、かつショットS2を走査露光す
るために、走査方向及び非走査方向に対して斜めにウエ
ハWを移動しても良い。あるいは、ショットS1の走査
露光とショットS2の走査露光との間で、ショットS1
の走査露光終了後の走査方向の速度成分が零となるウエ
ハWの非走査方向位置(B点のX方向の位置)が、ショ
ットS1の非走査方向の位置とショットS2の非走査方
向の位置との間になるようにウエハWを移動しても良
い。これらの場合には、ショットS1の走査露光が終了
すると、ウエハWは走査方向速度を減速しつつ非走査方
向への移動が行われ、ウエハWは曲線状(又は直線状)
の経路に沿って走査方向及び非走査方向に対し斜めに移
動される。従って、ショットS1の走査露光終了後のウ
エハWの移動軌跡は従来のコ字経路に比べて短くなり、
最短距離に近い経路でウエハWが移動され、その分スル
ープットの向上が可能となる。なお、この場合、ウエハ
Wの移動軌跡はV字状であっても良いが、ショットS1
の走査露光とショットS2の走査露光との間でウエハW
を停止することなく移動して、その軌跡を放物線状(又
はU字状)とすることが望ましい。
【0222】また、図11(A)、(図11(C))か
ら明らかなように、ショットS1の走査露光後に、走査
方向及び非走査方向と交差する方向にウエハWを加速
後、所定時間(t2+α)走査方向に定速移動した後に
露光を開始するので、ウエハWの非走査方向の速度成分
が走査露光に影響を与えることがない。
【0223】また、この場合、ウエハWの走査方向及び
非走査方向と交差する方向への移動中に、従ってウエハ
Wの非走査方向の速度成分が零となる前に、レチクルR
の加速が開始されるので、ウエハが定速移動に移ってか
らレチクルRの加速が開始される場合に比べて、レチク
ルRとウエハWとが等速同期状態になるまでの時間が短
縮され、その分スループットの向上が可能である。な
お、前記の加速度、減速度(負の加速度)は、動作中の
平均加減速のことを指し、加減速を円滑に行うための加
減速マップ制御においても本実施形態と同等の効果があ
ることは言うまでもない。
【0224】次に、図12を用いて、図2の干渉計シス
テムを構成する干渉計76X1、76Y、76X2の測
長ビームの装置中での配置及びウエハステージコントロ
ーラ78による基板テーブルTBのX、Y位置及び回転
の演算方法等について詳述する。図12は、ウエハWを
交換するためのローディングポジションにウエハステー
ジWSTが位置する可動型定盤38近傍の平面図であ
る。
【0225】この図12に示されるように、XY座標系
(ステージ座標系)上でのウエハステージWSTの位置
をモニタするための干渉計76X1,76Y,76X2
は、平面視でそれぞれ測長ビームを2本有し、これら各
2本の測長ビームは、ヨーイング計測用にそれぞれ2本
の独立した光束として基板テーブルTBの3つの反射面
60a、60b、60cを照射している(なお、傾斜方
向計測用の干渉計測長ビームは図示が省略されてい
る)。
【0226】干渉計76X1,76X2からそれぞれ射
出される一方の測長ビーム(測長軸RIX11、測長軸R
IX21の測長ビーム)の延長線及び、干渉計76Yから
射出している2本の測長ビームの中心線の延長線が交差
する位置に投影光学系PLの光軸が位置しており、ま
た、干渉計76X1,76X2からそれぞれ射出してい
る残りの測長ビーム(測長軸RIX12、測長軸RIX22
の測長ビーム)の延長線が交差する位置であって、干渉
計16Yから射出している2本の測長ビームの中心線の
延長線が交差する位置に、アライメント光学系ALGの
検出中心が位置している。
【0227】この場合、ウエハステージコントローラ7
8では、常に、干渉計76Yから射出される2本の測長
ビームによるY軸方向位置の計測値y1,y2の平均値
(y1+y2)/2を基板テーブルTBのY位置として
算出する。すなわち、干渉計76Yの実質的な測長軸
は、投影光学系PLの光軸及びアライメント光学系AL
Gの検出中心を通るY軸である。この干渉計76Yから
射出される2本の測長ビームは、いかなる場合にも基板
テーブルTBの反射面60bから外れることがないよう
になっている。また、基板テーブルTBの回転(ヨーイ
ング)は、干渉計76X1,76X2、76Yのいずれ
の各2つの計測値を用いても求めることはできるが、後
述するように、アライメントの際に干渉計76X1,7
6X2の測長ビームの1本が基板テーブル反射面から外
れる可能性があるため、ウエハステージコントローラ7
8では、基板テーブルTBの回転も干渉計76Yから射
出される2本の測長ビームによるY軸方向位置の計測値
のy1,y2の差に基づいて演算するようになってい
る。なお、干渉計76X1,76X2、76Yのそれぞ
れの計測値に基づいて各々回転を求められる場合には、
ウエハステージコントローラ78では、それぞれ求めた
回転量の任意のいずれか、あるいは任意の2つ又は3つ
の加算平均により回転を求めるようにしても良い。
【0228】また、本実施形態では、干渉計76X1
は、Y軸方向に対して所定角度θ1(θ1はここでは−
60°)傾斜した方向の干渉計ビームRIX1を反射面
60aに垂直に照射し、干渉計76X2は、Y軸方向に
対して所定角度θ2(θ2はここでは+60°)傾斜し
た方向の干渉計ビームRIX2を反射面60cに垂直に
照射する。
【0229】従って、干渉計ビームRIX1の反射光に
基づいて計測される計測値をX1、干渉計ビームRIX
2に基づいて計測される計測値をX2とすると、次式
(1)により、ウエハステージWSTのX座標位置を求
めることができる。 X={(X1/sinθ1)−(X2/sinθ2)}×(1/2)…(1)
【0230】この場合、干渉計ビームRIX1とRIX
2とは、Y軸に関して対称な方向となっているので、s
inθ1=sinθ2=sinθであるから、 X=(X1−X2)/(2sinθ)…(1)’ によりウエハステージWSTのX座標位置を求めること
ができる。
【0231】但し、いわゆるアッベ誤差が生じないよう
にすることが重要であるから、ウエハステージコントロ
ーラ78では、露光時には干渉計76X1、76X2か
ら投影光学系PLの光軸に向けてそれぞれ射出される測
長ビームRIX11,RIX21による計測値を用いて、上
式(1)’によりウエハステージWSTのX位置を演算
し、アライメント時には干渉計76X1、76X2から
アライメント光学系ALGの検出中心に向けてそれぞれ
射出される測長ビームRIX12,RIX22による計測値
を用いて、上式(1)’によりウエハステージWSTの
X位置を演算するようになっている。
【0232】但し、ウエハステージWSTの走査方向に
対して、反射面60a、60cの傾きが予め定められた
角度(θ1+90°)、(θ2−90°)にそれぞれな
るように設定する必要がある。予め反射面60a、60
cの傾きがそのようになるように調整し、その後、ウエ
ハステージWST上の基準マーク板FMを用いたレチク
ルアライメント時にθ1及びθ2の残留傾き差を計測
し、その差分に基づいて、上記式(1)又は(1)’で
求めたXを補正することで安定したステージ位置の計測
を行なうことができる。
【0233】また、本実施形態の場合、従来の2方向干
渉計と異なり、相互に120°回転した位置に各干渉計
光束があるので、一方向から干渉計光路用空調を行なう
と、少なくとも1ヶ所はウエハステージWSTの影に隠
れて空調が困難となる。そのため、3ヶ所の内、少なく
とも2ヶ所に対して独立に空調を行なう吹き出し口をを
設けており、3ヶ所の干渉計光束に対し淀みなく温調さ
れた気体を送風できるような構成となっている。この送
風方法としては干渉計側からステージに向けて送風する
光束平行空調方法と、光束の上から下に向けて送風する
光束直交空調方法があるが、熱源の位置に応じて熱源が
風下にくるように、各軸独立に空調方法を選択すれば良
い。
【0234】《第1の露光方法》次に、本実施形態の走
査型露光装置10におけるウエハ交換から露光終了まで
の動作を、図4(A)及び図8(A)に示されるレチク
ルR上の第1領域P1内の第1パターンを、ウエハW上
のショット領域S1、S2、……に順次転写した後、第
2領域P2内の第2パターンを、前記ショット領域S
1、S2、……に重ねて転写する二重露光の場合を例に
とって、ウエハステージWSTに関する動作を中心とし
て図12〜図15を参照しつつ説明する。
【0235】図12に示されるウエハローディング位置
では、干渉計システム76の全ての干渉計からの全ての
測長ビームが基板テーブルTBのそれぞれの反射面に照
射されている。これは、ウエハ交換と同時に前述した如
く、基準マーク板FM上の第1基準マークMr1、Mr2を
投影光学系PL内を透過する露光光を用いる前記一対の
レチクル顕微鏡110で観察すると同時に、第2基準マ
ークMwをアライメント光学系(オフアクシス・アライ
メントセンサ)ALGにより観察できるように、基準マ
ーク板FMを基板テーブルTBの三角形頂点部の一端に
配置したため、このときに測長ビームが基板テーブルT
Bのそれぞれの反射面から外れないようにしたものであ
る。これにより、ウエハ交換時に、前述したレチクル
アライメント及びベースライン計測、第2領域P2の
露光終了後、第1領域の露光のためのレチクルY干渉計
30Yのリセット動作、アンロードされる露光済みウ
エハの露光の際に、反射面(移動鏡)からその測長ビー
ムが外れたアライメント光学系ALG用の干渉計のリセ
ット動作を、同時に行なうことが可能になっている。な
お、このレチクルアライメント、ベースライン計測には
特開平7−176468号公報に開示されるクイックア
ライメントモードを使用しても良い。図12において、
実線は、ウエハW上の1回のスキャンで露光可能なショ
ットを示し、また、四角形の破線は、プリスキャン、オ
ーバースキャンでウエハステージWSTが移動しなけれ
ばならない位置を示している。
【0236】上記のウエハ交換、干渉計リセット、レチ
クルアライメント及びベースライン計測が終了した時点
でアライメント、例えば特開昭61−44429号公報
に開示されるエンハンスト・グローバル・アライメント
(EGA)によるサンプルアライメントが実行される。
すなわち、ウエハステージWSTは、図13のウエハW
上に記入された矢印(→)に従った順序で、ウエハ上の
少なくとも3つのショット(図13では8個のショッ
ト)にそれぞれ形成されたアライメントマークがアライ
メント光学系ALGで検出されるように移動されるとと
もに、各マーク検出位置におけるウエハステージWST
の位置、すなわちアライメント光学系ALGの検出中心
点(又は光軸)を測長軸が通る干渉計の計測値を用い
て、代表的な複数のマークの位置を計測する。この場合
のアライメントマークの計測順序は次のようにして決め
られる。
【0237】すなわち、ローディング位置、総露光ショ
ット行が偶数行か、奇数行か等の要素を、勘案し、最も
スループットが早い完全交互スキャンでの二重露光を行
なうことを前提に、基準マーク板FMでの計測後、その
位置に近いショットからアライメントが開始され露光開
始ショット位置に近い位置でアライメントが終了するよ
うな効率の良い(処理時間が早い)アライメントマーク
の計測順序をウエハステージコントローラ78では決定
するのである。
【0238】上記の計測順序に従ったEGA計測が終了
すると、ウエハステージコントローラ78によりウエハ
ステージWSTの位置計測に用いる干渉計の測長軸が露
光用干渉計光軸(測長ビームRIX11,測長ビームRI
X21による測長軸)に切り換えられた後、ウエハW上の
複数ショット領域に対するレチクルR上の第1領域P1
の転写のための、ステップ・アンド・スキャン方式の露
光が開始される。この場合、図14にも示されるよう
に、総露光行が偶数行なので、左下より露光が開始さ
れ、順次交互にスキャン露光が行なわれる。最初の1行
が左→右の順で露光されると、次の行は右→左へと交互
にステッピングが行なわれ、最終的に図15のように左
上の露光が終了した時点で、レチクルR上の第1領域P
1の転写のための走査露光(第1走査露光)が終了す
る。
【0239】次いで、レチクルR上の第2領域P2の転
写のための準備動作が行われる。この準備動作として
は、先に説明した〜と同様の動作、すなわち、前述
したレチクルアライメント及びベースライン計測、第1
領域P1の露光終了後、第2領域の露光のためのレチク
ルY干渉計30Yのリセット動作、及び必要な場合に
は、第1領域露光の際に、反射面(移動鏡)からその測
長ビームが外れたアライメント光学系ALG用の干渉計
のリセット動作に加え、照明条件の変更などが含まれ
る。
【0240】ここで、照明条件の変更は、例えば、第1
領域P1内のパターンがL/S密集パターンであり、第
2領域P2のパターンがコンタクトホール又は孤立パタ
ーン等である場合には、それぞれのパターンで最適な照
明条件が異なるので、図2の照明系開口絞り板18Hを
回転させて、例えば輪帯照明条件から照明系N.A.が
小さくなるような小σ照明条件に変更するなどによって
行われる。すなわち、この照明条件の変更とは、レチク
ルRを照射するスリット状照明光(照明ビーム)の強度
分布、換言すればその照明光を射出する照明源(フライ
アイレンズによって形成される2次光源)の形状と大き
さの少なくとも一方を変更することを意味する。これに
より、レチクルR上の第1領域P1のパターンと第2領
域P2のパターンの露光に適した照明条件が異なる場合
に、それぞれのパターンに合わせて適切な照明条件を設
定し、一層露光精度を向上させることが可能になる。
【0241】次いで、先に計測したEGA計測の結果を
用いて、上記第1走査露光のときと逆の経路でウエハス
テージWSTの移動を行いつつ、第2領域P2のパター
ン転写のためのステップ・アンド・スキャン方式の走査
露光を行う。これにより、ウエハW上の既に第1領域P
1の第1パターンが転写されている全てのショット領域
に、第2領域P2の第2パターンが重ねて転写(重ね焼
き)される。そして、最後のショット(すなわち、ショ
ットS1)の露光が終了すると、図12のウエハ交換位
置までウエハステージWSTが移動し、それ以後は、次
のウエハに対して同様の動作が繰り返される。上記の交
互スキャンの際に、レチクルステージRSTは走査方向
の往復移動を繰り返すのみであるが、ウエハステージW
STに対しては前述した効率の良いステッピング制御が
行われることは、図14及び図15からも分かる通りで
ある。
【0242】なお、上記のレチクルRとウエハWとを同
期移動して、ウエハW上の複数のショット領域S1、S
2、S3、……にレチクルRのパターンを順次転写する
ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光方法におい
て、レチクルRの往復移動によってレチクルRのパター
ンが転写されるウエハW上の任意の2つのショット領
域、例えばショットS1、S2の走査露光間でウエハW
を停止することなく移動することが望ましい。この場合
には、ウエハW上の順次レチクルRのパターンが転写さ
れる隣接領域、例えばショットS1、S2の走査露光間
でウエハWが停止することがないので、その部分に関し
てはより一層スループットが向上するからである。
【0243】この意味からすれば、ウエハWは、レチク
ルRのパターンを転写すべきウエハW上の最後のショッ
ト領域の走査露光が終了するまで、ウエハWの走査方向
及び非走査方向の少なくとも一方の速度成分が零となら
ないように移動されることがより望ましい。かかる場合
には、結果的に複数ショット領域の全てにステップ・ア
ンド・スキャン方式の走査露光が行われる間ウエハが停
止することがないので、最もスループットが向上するか
らである。なお、本実施形態では、レチクル上の第1領
域の各ショットへの転写と第2領域の各ショットへの転
写との間で照明条件を変更するものとしたが、そのレチ
クル上の第1領域と第2領域のパターンによってはその
照明条件を変更せず、例えば投影光学系PLの開口数の
みを変更するだけでも良いし、あるいは照明条件と投影
光学系PLの開口数の両方を変更するようにしても良
い。
【0244】《第2の露光方法》本実施形態の走査型露
光装置10における通常の二重露光の動作の流れは、上
述したとおりであるが、これに限らず、次のような変則
的な二重露光も可能である。すなわち、レチクルR上の
第1領域P1の第1パターンと、第2領域P2の第2パ
ターンを順次同一のショット領域S1に重ねて転写し、
次いで、次のショット領域S2に、前と逆の順序で第2
領域P2の第2パターン、第1領域P1の第1パターン
を重ね焼きするという二重露光の場合である。
【0245】この場合、同一のショット領域Sの露光の
間は、前とは逆に、ウエハステージWSTが走査方向
(Y方向)について往復移動を行う間に、レチクルステ
ージRSTは、前述した通常の二重露光の場合の隣接す
るショット領域S1とS2とを露光する間のウエハステ
ージWSTと同様の経路に沿って往復移動する。図16
(A)には、この場合のレチクルR(レチクルステージ
RST)の移動軌跡Tが示されている。なお、実際に
は、レチクルRが照明スリットSTに対して軌跡Tとは
反対に移動することで露光が行なわれるのだが、ここで
は、説明の便宜上レチクルR上を照明スリットST(中
心Q)がレチクルRに対し移動するように示されてい
る。この軌跡Tに沿った移動は、図11の(B)、
(C)で説明したウエハステージWSTの制御と同様
に、レチクルステージRSTの走査方向、非走査方向の
速度制御を行うことにより達成される。
【0246】なお、露光対象となるレチクルR上の領域
を第1領域P1からP2(あるいはその反対)に切り換
える際に、先に説明したようにレチクルY干渉計30Y
が計測不能状態に陥るが、この変則的な二重露光の際に
は、予め実験的に第1領域P1から第2領域P2(ある
いはその反対)に切り換えた際の、それぞれの場合のレ
チクルステージRSTの走査方向位置の変化を計測し
て、それを補正データとしてメモリに記憶しておく。そ
して、実際の露光の際には、領域切り換え前のレチクル
Y干渉計30Yの計測値を記憶し、領域切り換え後にレ
チクルY干渉計30Yをリセットした瞬間のレチクルス
テージRSTのY座標を、前記の領域切り換え前のレチ
クルY干渉計30Yの計測値と上記補正値とから求めら
れる値として、走査方向の位置計測を行うようにしてい
る。
【0247】ここで説明した変則的な二重露光は、例え
ば図16(B)に示されるような、第1領域P1に所定
ピッチ(例えば2μm)のY方向L/Sパターンが形成
され、第2領域P2にこれを1/2ピッチY方向にずら
した同一ピッチのY方向L/Sパターンが形成されてい
るような場合の二重露光に最適である。この変則的な二
重露光では第1領域のパターン転写と第2領域のパター
ン転写との間で、照明条件の変更を行う必要がなく、そ
の変更によるスループットの低下がないからである。図
16(B)の場合、ウエハW上には、最終的に、投影光
学系PLの縮小倍率を1/4とすると、0.25μmの
L/Sパターンが形成される。また、本方法では、レチ
クルR上の第1パターンと第2パターンとを順次ウエハ
W上のショット領域S1に転写した後で、次のショット
領域S2に、前と逆の順序で第2パターンと第1パター
ンとを転写するものとしたが、レチクルR上の第2領域
P2を照明光で照射した後に、移動軌跡が放物線状とな
るようにレチクルステージRSTの移動を制御して、2
つのショット領域の走査露光間でレチクルステージRS
Tを停止することなく駆動しても良い。これにより、ウ
エハW上の各ショット領域に対してレチクルR上の第1
パターンと第2パターンとが同一順序で転写されるとと
もに、ウエハW上の最後のショット領域の走査露光が終
了するまでレチクルステージRSTが停止することなく
駆動されることになる。さらに、前述した第1の露光方
法と同様に、隣接する2つのショット領域間でウエハス
テージWSTの移動軌跡が放物線状となるようにその移
動を制御して、2つのショット間でウエハステージWS
Tを停止することなく駆動するようにしても良い。
【0248】《第3の露光方法》この他、本実施形態の
走査型露光装置10によると、レチクルR上の第1領域
P1、第2領域P2のパターンをウエハW上の非走査方
向の隣接領域にそれぞれ転写する繋ぎ合せ露光(スティ
ッチング露光)も可能である。この場合には、前述した
通常の二重露光(第1の露光方法)の際のウエハステー
ジWSTの移動制御と、変則的な二重露光方法(第2の
露光方法)の際のレチクルステージRSTの移動制御と
を同時にかつ同期させて行うことにより達成される。こ
の場合には、レチクルR上の第1領域P1、第2領域P
2のパターンが繋ぎ合わされた大面積のパターンが、ウ
エハW上に形成される。
【0249】《第4の露光方法》更に、本実施形態の走
査型露光装置10によると、上記第1の露光方法を応用
した次のような繋ぎ合せ露光も可能である。すなわち、
この場合には、例えばウエハW上の上述したショット領
域S1,S2、S3,S4、……の内の非走査方向に隣
接する2ショット領域を1区画領域とする大面積の区画
領域(以下、区画領域SS1、SS2、SS3、……と
呼ぶ)を想定する。そして、各区画領域SS1、SS
2、SS3、……それぞれの非走査方向の一側半分の領
域に、レチクルR上の第1領域P1内の第1パターンを
順次転写した後、上記各区画領域SS1、SS2、SS
3……それぞれの残りの領域(非走査方向他側半分の領
域)にレチクルRの第2領域P2内の第2パターンを順
次転写することにより、最終的に区画領域SS1、SS
2、SS3、……内にレチクルR上の第1領域P1、第
2領域P2のパターンが繋ぎ合わされた大面積のパター
ンをそれぞれ形成するのである。この第4の露光方法
は、区画領域間のウエハステージWSTの非走査方向の
ステッピング距離が第1の露光方法の2倍になるという
違いはあるが、基本的には上記第1の露光方法と同様に
して実現される。
【0250】この場合において、ウエハW上にレチクル
Rの第2領域P2内の第2パターンを順次転写する区画
領域の順序を、上記と逆にしても良い。この場合には、
第1パターンP1の転写終了後、第2パターンの転写開
始までの間のウエハステージWSTの移動距離が非常に
短いので、第2パターンの転写を短時間で開始すること
ができ、その分スループットが向上するという利点もあ
る。
【0251】いずれにしても、第1の露光方法と同等の
効果が得られる他、より小さな口径の投影光学系を用い
て大面積パターンをウエハ上へ高精度に転写することが
可能になるので、大口径で結像特性の良好な投影光学系
の作製が困難であることを考慮すると、コストパフォー
マンスが良く、将来的な実用価値が高い露光方法の1つ
であると言える。
【0252】上記の第2、第3の露光方法において、レ
チクルR上の第1領域P1を照明光で照射した後のレチ
クルステージRSTの減速中、又はレチクルステージR
STの走査方向(Y方向)の速度成分が零となる前に、
レチクルステージRSTを走査方向に対して斜めに移動
しても良い。このようにすると、第1領域内のパターン
の転写に続いて第2領域内のパターンをウエハW上に転
写するに際して、レチクルステージRSTがコの字状の
経路でなく、これより短い経路に沿って移動されるの
で、移動時間の短縮によりスループットの向上が可能と
なる。
【0253】また、レチクルR上の第2領域P2を照明
光で照射する前に、レチクルR上の第2領域P2が照明
光に近づくように、レチクルステージRSTを走査方向
及び非走査方向と交差する方向に加速させても良い。又
は、レチクルステージRSTの非走査方向(X方向)へ
のステッピング動作が終了する前、あるいはレチクルR
上の第1領域P1を照明光で照射した後のレチクルステ
ージRSTの非走査方向の速度成分が零となる前に、レ
チクルステージRSTの走査方向への加速を開始するよ
うにしても良い。なお、スループットの点からレチクル
ステージRSTの移動軌跡が放物線状(又はU字状)と
なるようにその移動を制御することが好ましい。
【0254】また、上記の第2、第3の露光方法におい
て、レチクルR上の第1領域P1への照明光の照射と、
レチクルR上の第2領域P2への照明光の照射との間
で、レチクルステージRSTを停止させることなく駆動
することが望ましい。かかる場合には、レチクルステー
ジRSTが停止することがないので、レチクルステージ
の移動に要する時間はほぼ最短になる。
【0255】また、上記の第3の露光方法においては、
レチクルR上の第1領域P1をウエハW上のショット領
域S1に転写する第1走査露光と、レチクルR上の第2
領域をウエハW上のショット領域S2に転写する第2走
査露光との間で、ウエハステージWSTを停止させるこ
となく駆動することが望ましい。かかる場合には、ウエ
ハステージWSTの移動軌跡は必ずしも最短とはならな
いが、ウエハステージWSTが停止することがないの
で、ウエハステージWSTの隣接領域間の移動(ステッ
ピング)に要する時間がほぼ最短になるからである。特
にスティッチングにおいて、レチクルステージRSTが
停止することなく、かつウエハステージWSTが停止す
ることなく駆動される場合には、第1走査露光の終了か
ら第2走査露光の開始までの間の時間が最短となる。ま
た、第2走査露光前に、ウエハステージWSTを走査方
向及び非走査方向と交差する方向に加速させることが望
ましい。この場合、走査方向及び非走査方向に対し斜め
に進みながらウエハステージWSTが加速される。
【0256】以上説明したように、本実施形態に係る走
査型露光装置10によると、レチクルステージRSTの
非走査方向の位置が干渉計30X1、30X2の少なく
とも一方により計測され、この位置に応じて干渉計30
Yから3つのコーナーキューブ31Y1、31Y2、3
1Y3の1つに走査方向の測長ビームIYが照射され、
その反射光を受光することによりレチクルステージRS
Tの走査方向の位置が干渉計30Yにより計測され、レ
チクルステージRSTの走査方向の位置を干渉計30Y
により管理することが可能になる。このため、レチクル
ステージRSTの非走査方向の位置がコーナーキューブ
のいずれかが選択される位置にあれば、干渉計30Yで
レチクルステージRSTの走査方向の位置を管理しつつ
レチクルステージRSTと同期してウエハステージWS
Tを走査方向に移動させることにより、レチクルRのパ
ターンを投影光学系PLを介してウエハW上に転写する
ことが可能になり、レチクルRを交換することなく、レ
チクルR上の複数の部分領域あるいはレチクルR上の複
数領域のパターンを投影光学系PLを介してウエハW上
に転写することが可能になる。
【0257】また、この場合、レチクルステージRST
の走査方向の位置は干渉計30Yから測長ビームIYが
照射されるコーナーキューブを介して計測されるので、
レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの走
査方向の同期移動に先立って(あるいはその同期移動中
に)、従来と同様にレチクルステージRSTを回転制御
しても、コーナーキューブからの戻り光束は固定鏡側か
らの参照光束と常に重なるため、正確に走査露光中のレ
チクルステージRSTの走査方向の位置管理が可能にな
る。従って、レチクルRを交換することなく、レチクル
R上の複数の部分領域あるいはレチクルR上の複数領域
のパターンを投影光学系PLを介してウエハW上に転写
することが可能になり、走査露光中のレチクルステージ
RSTの第1方向(走査方向)の正確な位置管理が可能
になる。従って、大型レチクルを用いるスティッチング
により大面積な露光を実現してスループットの向上を図
ることができ、また、レチクルステージRSTの回転制
御を行なうことにより高精度な露光が可能となる。さら
に、二重露光を行う場合にも、レチクル交換が不要であ
るという点からもスループットの向上、焦点深度の向上
による露光精度の向上が可能になる。
【0258】また、本実施形態では、コーナーキューブ
31Y1、31Y2、31Y3は、レチクルR上の領域
P1、P2、P3のそれぞれに対応して設けられている
ことから、いずれの領域のパターンを転写するときに
も、その領域に対応するコーナーキューブを用いて干渉
計30YによりレチクルステージRSTの走査方向の位
置の管理を確実にかつ正確に行うことが可能である。ま
た、コーナーキューブ31Y3は、レチクルRの非走査
方向の中央部に配置されていることから、通常のレチク
ル(単一のパターン領域を有するレチクル)を用いた通
常露光、レチクルR上に複数のパターン領域が配置され
たレチクルを用いた二重露光等の多重露光、スティッチ
ング露光のいずれにも対応が可能である。
【0259】また、上記実施形態では、レチクルステー
ジRSTの非走査方向の位置情報に応じて干渉計30Y
をリセットする機能をレチクルステージコントローラ3
3が有していることから、レチクルステージRSTの非
走査方向の移動中に干渉計30Yの測長軸がいずれかの
コーナーキューブに当たった瞬間に、レチクルステージ
WSTの非走査方向の位置情報に応じて干渉計30Yを
リセットすることが可能である。
【0260】更に、レチクルステージRSTの非走査方
向の両側面に第1反射面84a、第2反射面84bが設
けられ、これらに対向して干渉計30X1、30X2が
設けられ、レチクルステージコントローラ33が、干渉
計30X1、30X2の内、それぞれの反射面までの測
長ビームがより短くなる方の計測値を用いてレチクルス
テージRSTの非走査方向位置を演算する。このため、
レチクルステージRSTの回転が計測値に与える影響が
小さくなり、非走査方向についてもレチクルステージR
STの位置をより正確に求めることが可能である。
【0261】また、本実施形態では、ウエハステージW
ST上に基準マーク板FMが配置され、レチクルステー
ジRSTの非走査方向の位置に応じて干渉計30Yをリ
セットするために、主制御装置50がレチクル顕微鏡1
10、アライメント光学系ALGのそれぞれにより基準
マーク板FM上の基準マークを計測することにより、レ
チクルRとウエハステージWSTとの位置関係を計測す
るようになっていることから、通常露光、通常の二重露
光の際に、レチクルR上の異なる領域を露光するためレ
チクルステージRSTを非走査方向に移動してもレチク
ルとウエハWの重ね合せ精度が悪化するような不都合が
無い。
【0262】また、本実施形態では、レチクルステージ
RSTの移動によって生じる反力に応じた力をレチクル
ステージRST又は第2架台(26、28)に与えるア
クチュエータ74R、74Lを有するフレーム72を備
えていることから、レチクルステージRSTの移動によ
って生じる反力に応じた力がアクチュエータ74R、7
4LによりレチクルステージRST又は第2架台に与え
られるので、レチクルステージRSTの加減速時の振動
が第2架台を介して架台部16に伝わるのを防止するこ
とができる。
【0263】また、上記第2、第3の露光方法の場合、
レチクルRのパターンをウエハWに転写するために、駆
動制御系(これはステージ制御系を構成するレチクルス
テージコントローラ33、同期制御系80によって構成
される)により、レチクルステージRSTが走査方向に
沿って少なくとも1回往復されるとともに、その往復移
動の間にレチクルステージRSTが非走査方向に沿って
移動されるが、この移動量に応じた距離だけ非走査方向
へ離れて2つのコーナーキューブ31Y1、31Y2が
配置されているので、移動の前後いずれの位置において
も干渉計30YによるレチクルステージRSTの位置管
理が確実に行われ、レチクルステージRSTの1回の往
復移動の間にレチクルR上の異なる領域のパターンをウ
エハW上の同一領域又は異なる領域に転写することが可
能になる。この場合もレチクルの交換が不要である。
【0264】また、本実施形態の走査型露光装置10に
よると、前記第1の露光方法、第3の露光方法あるいは
通常の走査露光を行う場合、レチクルRとウエハWの露
光前のウエハ助走(加速時間)によるプリスキャン及
び、ウエハの露光後の等速移動時間と減速時間によるオ
ーバスキャンと同期して次のショットを露光するための
ウエハの非走査方向(非スキャン方向)へのステッピン
グを行い、非スキャン方向へのステッピング動作が、ウ
エハプリスキャンから露光動作に移るまでの整定時間前
には終了することととしたので、走査露光前後のプリス
キャン、オーバースキャン時間を隣のショットにステッ
ピングするステッピング時間に完全にオーバーラップさ
せることができ、プリスキャン、オーバースキャン動作
と隣のショットにステッピングするステッピング動作と
が別々に行われていた従来例に比べて、スループットを
向上させることができる。また、整定時間ではスキャン
方向のウエハとレチクルとの同期制御のみを行えば良い
ので結果的に整定時間を短縮することができ、その分ス
ループットを向上させることが可能となる。
【0265】また、本実施形態では、ウエハの露光後の
等速移動時間と減速時間によるオーバスキャンに対応す
る部分の非スキャン方向加速度が、ウエハ助走(加速時
間)によるプリスキャンに対応する部分の非スキャン方
向負の加速度より絶対値が大きくなるような制御も可能
なので、高加速によるボディの揺れ等を同期制御のため
の整定時間前には完全に減衰させられるため、その分制
御性が良くなり、スループットを向上させることが可能
となる。
【0266】また、本実施形態に係る走査型露光装置1
0によると、露光時に、ウエハWの非走査方向の位置
を、走査方向であるY軸に対してそれぞれθ1、θ2の
角度を成す2つの異なる方向に光軸を有する干渉計76
X1、76X2の計測値に基づいて演算で求め、ウエハ
Wの走査方向の位置はY軸方向の測長軸を有する干渉計
76Yにて測長を行なうようにしたので、基板テーブル
TB(従ってウエハステージWST)の形状を三角形状
(上記実施形態では正三角形状)にすることが可能とな
る。これにより、図17に示されるように、高加減速、
最高速度上昇時にも従来の四角形形状のステージst3
に比べて、ウエハステージWSTの軽量化を図れるとと
もに、フットプリントを改善し、スループットを向上さ
せることができる。図17は、干渉計多軸化及びプリス
キャン、オーバースキャンによって図中に矢印(→)に
て表示される干渉計光軸がケラレないようにするための
移動鏡距離悪化分Dx,Dyにより、四角形形状ステー
ジst3が、ウエハを保持するために必要最低限の大き
さの四角形形状ステージst1に比べて著しく大きくな
っているのに対し、本実施形態のステージWSTでは同
じDx,Dyの距離悪化分があってもステージ形状は、
四角形形状ステージst3に比べてはるかに小さいもの
で済むことを示している。
【0267】また、ウエハステージWSTの走査方向の
位置を計測する干渉計76Yの計測値に基づきウエハス
テージWSTのヨーイングを算出するようにしたので、
そのヨーイング量を露光時のウエハステージ回転誤差と
してレチクルRを保持するレチクルステージ側で補正す
ることが可能であるから、ウエハステージWSTに回転
制御機構が不要となり、その分ウエハステージを軽量化
することができる。
【0268】また、干渉計76X1、76X2のそれぞ
れの1光軸(測長ビームRIX11,測長ビームRIX2
1)の延長した交点は投影光学系PLの光軸と一致し、
それぞれ他方の光軸(測長ビームRIX12, 測長ビーム
RIX22)の延長した交点はアライメント光学系ALG
の検出中心と一致させているので、露光時及びアライメ
ント時にもアッベ誤差のないステージ位置の計測が可能
となり、重ね合わせ精度が向上する。
【0269】また、干渉計76X1、76Y、76X2
はウエハWを保持するウエハステージWSTのそれぞれ
異なる側面に形成された反射面60a,60b,60c
との距離を測長し、ウエハ周辺のショットの露光時に、
レチクルRとウエハWの相対走査時の際にウエハの助
走,等速移動までの整定時間によるプリスキャン距離及
び、ウエハWの露光後の等速移動時間及び減速時間によ
るオーバスキャン距離により各干渉計光軸がウエハステ
ージWSTのそれぞれ異なる反射面60a,60b,6
0cから外れないように、ウエハステージWSTの加速
度及び、最高速度、整定時間を決定することとしたの
で、余分に反射面を延ばす必要がない。このため、ウエ
ハステージ(基板テーブルTB)の3つの側面の範囲内
に反射面を設定できるので、ウエハステージWSTのバ
ランスが良くなり、ステージ剛性を高めることが可能と
なり、その結果、ウエハステージのフォーカス,チルト
制御応答を向上させることができる。
【0270】また、前記各干渉計76X1、76Y、7
6X2の光軸が前記ウエハステージのそれぞれ異なる反
射面60a,60b,60cから外れないウエハステー
ジ上の位置に、ベースライン計測、結像特性計測、照射
量計測を行なう基準マーク板FM及び空間像検出器KE
Sを配置することとしたので、基準マーク板FM及び空
間像検出器KESによる計測のために移動鏡(あるいは
反射面)を延ばす必要が無くなることもウエハステージ
WSTの軽量化につながる。
【0271】また、ウエハステージWSTを駆動するた
めの駆動系が設置された可動型定盤38はウエハステー
ジWSTの移動時加減速に伴う反力に応じて移動するよ
うに構成したので、ウエハステージWSTの重心移動に
よる偏荷重を可動型定盤38の重心移動によりキャンセ
ルすることが可能となり、これにより防振装置20の負
荷を軽減することができるとともに、偏荷重によるボデ
ィの歪を最小限に抑えることが可能となり、レチクルR
とウエハWの位置決め精度を向上させることができる。
【0272】また、前記可動型定盤38は数Hzの応答
周波数で駆動制御可能であり、ウエハステージWSTの
移動の際の加減速時にはその反力を打ち消すように駆動
制御し、また、ステージ姿勢(偏荷重)により可動型定
盤38が任意の方向に移動しないように前記応答周波数
で制御することもできるので、レチクルの位置可変や、
環境変化による偏荷重の防止が可能となる。
【0273】更に、ウエハステージWSTの重量が可動
型定盤38の重量の1/9以下になるように設定されて
いるので、可動型定盤38がウエハステージWSTの移
動時加減速に伴う反力に応じて移動する距離が、ウエハ
ステージWSTの移動距離の1/10以下になり、可動
型定盤38の必要移動範囲を小さく設定することができ
る。
【0274】また、位置制御精度を必要とする露光及び
アライメント前の可動型定盤38の応答周波数と、それ
以外の応答周波数を可変とし、可動型定盤38は2方向
の位置がリニアエンコーダ45によってモニタされてお
り、位置制御精度を必要とする露光及びアライメント以
外の駆動動作時に可動型定盤38の位置を所定の位置に
補正することとしたので、ウエハ加減速時の反作用にて
可動型定盤38が逆方向に移動する距離を1桁以上少な
くすることができる。すなわち、露光及びアライメント
時に高精度で制御することが可能な上に、その他の条件
にて可動型定盤38の位置を任意の位置に設定し直すこ
とが可能となり、フットプリントを小さくすることがで
きる。
【0275】なお、上記実施形態では、レチクルステー
ジRSTの走査方向の位置を計測するためのミラーとし
てコーナーキューブを用いる場合について説明したが、
本発明に係る走査露光方法の実現のためには、これに限
らず、短い反射面(平面鏡等)を用いても良い。この場
合は、従来の平面ミラーに比べてその製作が容易である
ことからその分コストの低減が可能になる。
【0276】また、上記実施形態では、レチクルR上に
第1領域、第2領域の2つの領域が存在する二重露光用
レチクルについて説明したが、これに限らず、より小径
の投影光学系PLを用いて、レチクルR上に3つ以上の
細長い領域(あるいは分割領域)が存在するような場合
であっても、本発明は同様に適用できることは言うまで
もない。
【0277】また、上記実施形態では、レチクルステー
ジRST上に、単一のレチクルRが保持された場合につ
いて説明したが、例えば非走査方向に沿ってレチクルR
1とR2とを配列し、レチクルR1には第1領域P1内
の第1パターンが形成され、レチクルR2には第2領域
P2内の第2パターンが形成されていても良い。複数の
レチクルであってもそれぞれのレチクルのパターンを順
次ウエハW上に転写する場合には、前述した実施形態の
作用をそのまま奏する。
【0278】なお、上記実施形態では、ウエハステージ
WSTの移動方法を図11(A)〜(C)を用いて詳細
に説明したが、本発明がこれに限定されないことは勿論
である。先の説明中と同一の符号をもって、他の例を説
明すれば、ショットS1の走査露光終了後に、ウエハW
の走査方向の移動速度が零となるまで、ウエハWを減速
させつつ走査方向と交差する方向に移動し、かつショッ
トS2の走査露光前に、ウエハWを加速させつつ走査方
向と交差する方向に移動しても良い。このようにすれ
ば、ショットS1の走査露光終了後に、ウエハWはV字
状の経路に沿って移動されるので、最短距離に近い経路
でウエハWが移動され、その分スループットの向上が可
能となる。あるいは、ショットS1の走査露光終了後の
ウエハWの減速中、及びショットS2の走査露光前のウ
エハWの加速中に、ウエハWを走査方向及び非走査方向
と交差する方向に移動しても良い。かかる場合にも、結
果的にウエハWはV字状の経路に沿って移動されるの
で、最短距離に近い経路でウエハWが移動され、その分
スループットの向上が可能となる。
【0279】これらの場合も、ウエハWは、ショットS
1の走査露光とショットS2の走査露光との間で停止す
ることなく移動されることが望ましいことは言うまでも
ない。
【0280】なお、上記実施形態では、ウエハステージ
WSTとして正三角形状のステージを採用し、これに合
わせて3つの異なる方向からそれぞれウエハステージW
STの位置を計測する3つの干渉計76X1、76Y、
及び76X2から成る干渉計システム76を採用した場
合について説明したが、これは、本発明の目的であるス
ループットの向上をより効果的に達成しようとの観点か
らこのようにしたものであって、本発明がこれに限定さ
れないことは勿論である。すなわち、通常の正方形、長
方形のウエハステージであっても、本発明は上記実施形
態と同様に好適に適用でき、スループットの向上という
効果は、程度の差こそあれ十分に得られるものである。
【0281】また、上記実施形態では、ウエハステージ
WSTが移動ステージ52、レベリング駆動機構、基板
テーブルTB等を備えた場合について説明したが、本発
明がこれに限定されることはなく、例えば、単なる板状
の部材を基板ステージとして用いても構わない。かかる
板状部材であっても、いわゆる2次元平面モータ等を用
いれば、XY平面に対する傾斜駆動、Z方向駆動は可能
だからである。
【0282】また、上記実施形態では、第1、第2反射
面84a、84bをレチクルステージRSTの側面に形
成し、反射面60a、60b、60cの全てを基板テー
ブルTBの側面に鏡面加工にて形成する場合について説
明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、い
ずれか任意の1つ又は2つを平面鏡から成る移動鏡の反
射面にて構成しても構わないことは勿論である。
【0283】また、上記実施形態では、第1の干渉計と
してのレチクルY干渉計30Y、第2、第3の干渉計と
してのレチクルX干渉計30X1、30X2が全て第2
架台上に設けられる場合について説明したが、これに限
らず、これらの干渉計の少なくとも1つを図3に示され
るような第1フレーム40のような別のフレームに設け
ても良い。
【0284】なお、上記実施形態では、投影光学系PL
として、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レ
ンズ)のみで構成される縮小投影レンズを用いる場合に
ついて説明したが、本発明がこれに限定されることはな
く、その他のタイプの投影光学系であっても全く同様に
適用できるものである。そこで、図18を参照して、そ
の他のタイプの投影光学系について簡単に説明する。
【0285】図18(A)は、屈折光学素子(レンズ
系)GS1〜GS4、凹面鏡MRs、ビームスプリッタ
PBSを組み合わせた縮小投影光学系であり、この系の
特徴はレチクルRからの結像光束を大きなビームスプリ
ッタPBSを介して凹面鏡MRsで反射させて再びビー
ムスプリッタPBSに戻し、屈折レンズ系GS4で縮小
率を稼いで投影像面PF3(ウエハW)上に結像する点
であり、詳しくは特開平3−282527号公報に開示
されている。
【0286】図18(B)は、屈折光学素子(レンズ
系)GS1〜GS4、小ミラーMRa、凹面鏡MRsを
組み合わせた縮小投影光学系であり、この系の特徴は、
レチクルRからの結像光束を、レンズ系GS1,GS
2,凹面鏡MRsからなるほぼ等倍の第1結像系PL
1、偏心配置の小ミラーMRa、そしてレンズ系GS
3,GS4で構成されてほぼ所望の縮小率を持った第2
結像系PL2を通して投影像面PF3(ウエハW)上に
結像させる点であり、詳しくは特開平8−304705
号公報に開示されている。
【0287】なお、上記実施形態では、アライメント光
学系としてオフアクシス・アライメントセンサALGを
用いる場合について説明したが、これに限らず、TTL
(スルー・ザ・レンズ)タイプ等のオンアクシス・アラ
イメント光学系を用いても勿論良い。かかる場合には、
干渉計76Yと同様に、干渉計76X1、76X2から
射出している2本の光束(測長ビーム)の中心線の延長
線が交差する位置に投影光学系PLの光軸が位置するよ
うにし、3ヶ所全ての2軸光束で計測した結果の差分の
平均値によりウエハステージヨーイングを決定すれば、
ヨーイング計測精度が1/√3に向上する。
【0288】また、上記実施形態ではダブルフライアイ
レンズ系を用いるものとしたが、1つのフライアイレン
ズ(又はロッド型インテグレータ)のみを用いても良い
し、あるいはフライアイレンズとロッド型インテグレー
タとを組み合わせて用いても良い。このロッド型インテ
グレータが配置される照明光学系では、そのσ値の変更
や輪帯照明などの変形照明を実現するために、例えばロ
ッド型インテグレータよりも光源側に配置される少なく
とも1つの光学素子(レンズエレメント)を移動、又は
交換して、ロッド型インテグレータの入射面上での照明
光の強度分布を変更すればよい。
【0289】さらに、上記実施形態では露光用照明光と
して波長が100nm以上の紫外光、具体的はKrFエ
キシマレーザ又はArFエキシマレーザを用いる場合つ
いて説明したが、これに限らず、例えばg線、i線など
のKrFエキシマレーザと同じ遠紫外域に属する遠紫外
(DUV)光、あるいはArFエキシマレーザと同じ真
空紫外域に属するF2 レーザ(波長157nm)などの
真空紫外(VUV)光を用いることができる。F2 レー
ザを光源とする走査型露光装置では、投影光学系として
反射屈折光学系が採用されるとともに、照明光学系や投
影光学系に使われる光学素子(レンズエレメント)が全
て蛍石となり、かつF2 レーザ光源、照明光学系及び投
影光学系内の空気はヘリウムガスで置換されるととも
に、照明光学系と投影光学系との間、及び投影光学系と
ウエハの間などもヘリウムガスで満たされる。また、F
2 レーザを用いる露光装置では、蛍石、フッ素がドープ
された合成石英、フッ化マグネシウム、及び水晶などの
いずれか1つで作られたレチクルが使用される。
【0290】なお、エキシマレーザの代わりに、例えば
波長248nm、193nm、及び157nmのいずれ
かに発振スペクトルを持つYAGレーザなどの固体レー
ザの高調波を用いるようにしても良い。
【0291】また、DFB半導体レーザ又はファイバー
レーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レ
ーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリ
ビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅
し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調
波を用いても良い。
【0292】例えば、単一波長レーザの発振波長を1.
51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が18
9〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波
長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が
出力される。特に、発振波長を1.544〜1.533
μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nm
の範囲内の8倍高調波、すなわちArFエキシマレーザ
とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.
57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が15
7〜158nmの範囲内の10倍高調波、すなわちF2
レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0293】また、発振波長を1.03〜1.12μm
の範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範
囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.
099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が
157〜158nmの範囲内の7倍高調波、すなわちF
2 レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。な
お、単一波長発振レーザとしてはイットリビウム・ドー
プ・ファイバーレーザを用いる。
【0294】また、上記実施形態の走査型露光装置にお
いて、露光用照明光としては波長100nm以上の光に
限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことは
勿論である。例えば、近年、70nm以下のパターンを
露光するために、SORやプラズマレーザを光源とし
て、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEU
V(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、
その露光波長(例えば13.5nm)の基で設計された
オール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEU
V露光装置の開発が行なわれている。この装置において
は、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してス
キャン露光する構成が考えられるので、かかる装置も本
発明の適用範囲に含まれるものである。
【0295】なお、上記実施形態では、EUV露光装置
などでチャンバ内が真空になることをも想定してステー
ジの駆動系を磁気浮上型リニアアクチュエータとし、チ
ャック系にも静電吸着方式を用いる等の工夫を行なって
いるが、露光波長が100nm以上の光露光装置におい
ては、エアフローによるステージ駆動系や吸着にバキュ
ームを用いても構わない。
【0296】ところで、投影光学系は縮小系だけでなく
等倍系、又は拡大系(例えば液晶ディスプレイ製造用露
光装置など)を用いても良い。また、プロキシミティ方
式の走査型露光装置、例えばX線が照射される円弧状照
明領域に対してマスクとウエハとを一体的に相対移動す
るX線露光装置などにも本発明を適用できる。
【0297】さらに、半導体素子の製造に用いられる露
光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレ
イの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレ
ート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用
いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転
写する露光装置、撮像素子(CCDなど)の製造に用い
られる露光装置などにも本発明を適用することができ
る。また、レチクル又はマスクを製造するために、ガラ
ス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写す
る露光装置にも本発明を適用できる。
【0298】また、半導体デバイスは、デバイスの機能
・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づい
たレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエ
ハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置に
よりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、
デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディ
ング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を
経て製造される。
【0299】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る走査
型露光装置及び走査露光方法によれば、微細パターンを
用いた高精度な露光を高スループットで実現することが
できるという従来にない優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の走査型露光装置を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の走査型露光装置の内部構成を概略的に示
す図である。
【図3】リアクションアクチュエータ及びリアクション
フレームを説明するための図である。
【図4】(A)はレチクルベース定盤近傍の平面図、
(B)は(A)の矢印B方向から見たレチクルベース定
盤近傍の側面図である。
【図5】図2のレーザ干渉計システムをより詳細に説明
するための図であって、(A)はレーザ干渉計システム
を構成する3つの干渉計からの干渉計ビームを基板テー
ブルTBとともに示す平面図、(B)は干渉計76Yか
らの干渉計ビームを該干渉計を構成する一部の光学系と
ともにより詳細に示す図、(C)は干渉計76Yからの
測長ビームRIY1 (又はRIY2 )と測長ビームRI
3 の位置関係を説明するための図である。
【図6】基板テーブル上に取り付けられた空間像検出器
の構成とそれに関連した信号処理系の構成を概略的に示
す図である。
【図7】可動型定盤の役割及びその制御方法について説
明するための図であって、(A)は定盤付近の概略平面
図、(B)は(A)の矢印A方向から見た概略正面図で
ある。
【図8】(A)は9インチレチクルの一例を示す平面
図、(B)は9インチレチクルの他の一例を示す平面図
である。
【図9】レチクルアライメント及びベースライン計測を
説明するための図である。
【図10】(A)は投影光学系の有効フィールドに内接
するウエハ上のスリット状の照明領域とショット領域S
1との関係を示す平面図、(B)はステージ移動時間と
ステージ速度との関係を示す線図、(C)はウエハ周辺
のショット領域Sを露光する場合のウエハ周辺ショット
Sと移動鏡長延長分との関係を説明するための図であ
る。
【図11】(A)はショットS1,S2,S3を順次露
光する場合のウエハ上照明スリットSTの中心Pが各シ
ョット上を通過する軌跡を示す図、(B)は(A)の場
合のウエハステージのスキャン方向の速度と時間の関係
を示す線図、(C)はそれに対応した非スキャン方向の
速度と時間の関係を示す線図である。
【図12】ウエハWを交換するためのローディングポジ
ションにウエハステージが位置するときの可動型定盤近
傍の平面図である。
【図13】アライメント計測の際のウエハステージの移
動の様子を示す可動型定盤近傍の平面図である。
【図14】露光開始時の位置にウエハステージが位置す
るときの可動型定盤近傍の平面図である。
【図15】第1領域の露光終了時の位置にウエハステー
ジが位置するときの可動型定盤近傍の平面図である。
【図16】(A)は変則的な二重露光を行う際のレチク
ルR(レチクルステージRST)の移動記載を示す図、
(B)は変則的な二重露光に最適なレチクル上の第1領
域と第2領域のパターンの一例を示す図である。
【図17】本実施形態の効果を説明するための図であっ
て、干渉計多軸化及びプリスキャン、オーバースキャン
に起因する移動鏡距離悪化分があっても、本実施形態の
ウエハステージが従来の四角形形状ステージに比べ、小
型にできることを示す図である。
【図18】(A)は投影光学系を反射屈折光学系とした
一例を示す図、(B)は投影光学系を反射屈折光学系と
したその他の例を示す図である。
【図19】(A)は従来例のレチクルステージの平面
図、(B)は発明が解決しようとする課題を説明するた
めの図であって、9インチレチクルを用いた場合のレチ
クルステージの平面図である。
【符号の説明】
10…走査型露光装置、16…架台部(第1架台)、2
0…防振装置、26…支柱(第2架台の一部)、28…
レチクルベース定盤(第2架台の一部)、30Y…レチ
クルY干渉計(第1の干渉計)、30X1…レチクルX
干渉計(第2の干渉計)、30X2…レチクルX干渉計
(第3の干渉計)、31Y1…コーナーキューブ(第1
ミラー)、31Y2…コーナーキューブ(第2ミラ
ー)、31Y3…コーナーキューブ、33…レチクルス
テージコントローラ(駆動制御系の一部、リセット装
置、演算装置)、50…主制御装置(計測装置の一
部)、72…リアクションフレーム(フレーム)、74
R、74L…リアクションアクチュエータ(アクチュエ
ータ)、78…ウエハステージコントローラ(駆動制御
系の一部)、80…同期制御系(駆動制御系の一部)、
84a…第1反射面、84b…第2反射面、110…レ
チクル顕微鏡(計測装置の一部)、R…レチクル(マス
ク)、W…ウエハ(基板)、PL…投影光学系、RST
…レチクルステージ(マスクステージ)、WST…ウエ
ハステージ(基板ステージ)、P1…第1領域、P2…
第2領域、FM…基準マーク板、Mr1、Mr2…第1基準
マーク、Mw…第2基準マーク、S1、S2、S3…シ
ョット(区画領域)。

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクと基板とを同期移動して、前記マ
    スクのパターンを投影光学系を介して前記基板に転写す
    る走査型露光装置であって、 前記投影光学系の物体面側に配置されるマスクステージ
    と;前記投影光学系の像面側に配置される基板ステージ
    と;前記マスクステージに設けられ、前記マスクが同期
    移動される第1方向と直交する第2方向に沿って配置さ
    れる複数のコーナーキューブと;前記第1方向に沿って
    測長ビームを前記マスクステージに向けて照射するとと
    もに、前記マスクステージの前記第2方向の位置に応じ
    て選択される前記複数のコーナーキューブの1つで反射
    される測長ビームを受光する第1の干渉計とを備える走
    査型露光装置。
  2. 【請求項2】 前記マスクのパターンを前記基板に転写
    するために、前記マスクステージを前記第1方向に沿っ
    て少なくとも1回往復させるとともに、前記往復移動の
    間に前記マスクステージを前記第2方向に沿って移動さ
    せる駆動制御系とを更に備え、 前記複数のコーナーキューブの内の2つは、前記マスク
    ステージの前記第2方向の移動量に応じた距離だけ離れ
    て配置されることを特徴とする請求項1に記載の走査型
    露光装置。
  3. 【請求項3】 マスクと基板とを同期して所定の第1方
    向に相対移動しつつ、前記マスクに形成されたパターン
    を投影光学系を介して前記基板上に転写する走査型露光
    装置であって、 前記マスクを保持して2次元移動可能なマスクステージ
    と;前記基板を保持して前記第1方向に移動可能な基板
    ステージと;前記マスクステージに設けられ、前記第1
    方向に延びる第1反射面と;前記マスクステージに設け
    られ、前記第1方向に直交する第2方向に所定間隔で配
    置された複数のコーナーキューブと;前記マスクステー
    ジの第2方向の位置に応じ、前記複数のコーナーキュー
    ブの1つに前記第1方向の測長ビームを照射し、その反
    射光を受光することにより前記マスクステージの前記第
    1方向の位置を計測する第1の干渉計と;前記第1反射
    面に前記第2方向の測長ビームを照射し、その反射光を
    受光することにより前記マスクステージの前記第2方向
    の位置を計測する第2の干渉計とを備える走査型露光装
    置。
  4. 【請求項4】 前記複数のコーナーキューブは、前記マ
    スク上に第2方向に沿って配置された複数領域のそれぞ
    れに対応して設けられていることを特徴とする請求項3
    に記載の走査型露光装置。
  5. 【請求項5】 前記複数のコーナーキューブは、前記マ
    スクの第2方向の中央部に配置されたコーナーキューブ
    を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の走査型露
    光装置。
  6. 【請求項6】 前記マスクステージの第2方向の位置情
    報に応じて前記第1の干渉計をリセットするリセット装
    置を更に備える請求項3〜5のいずれか一項に記載の走
    査型露光装置。
  7. 【請求項7】 前記第2の干渉計の反対側から前記マス
    クステージに前記第2方向の測長ビームを照射する第3
    の干渉計が更に設けられ、 前記マスクステージが前記第3の干渉計からの測長ビー
    ムが照射される前記第1反射面と平行な第2反射面を更
    に有し、 前記マスクステージの第2方向の位置を、前記第2及び
    第3の干渉計の計測値の少なくとも一方に基づいて演算
    する演算装置を更に備えることを特徴とする請求項3〜
    6のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
  8. 【請求項8】 前記演算装置は、前記マスクステージの
    第2方向の位置情報の一種である前記投影光学系の投影
    視野に対向して位置する前記マスク上の領域の情報に応
    じて、前記第2及び第3の干渉計の計測値の一方又は両
    方に基づいて前記マスクステージの第2方向の位置を求
    めることを特徴とする請求項7に記載の走査型露光装
    置。
  9. 【請求項9】 前記基板ステージ上に所定の基準マーク
    を配置し、 前記マスクステージの第2方向の位置に応じて前記第1
    の干渉計をリセットするために、前記基準マークを用い
    て前記マスクと前記基板ステージとの位置関係を計測す
    る計測装置を更に備えることを特徴とする請求項1〜8
    のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
  10. 【請求項10】 前記投影光学系を支持する第1架台
    と;前記マスクステージが配置される第2架台と;前記
    第1架台を支持する防振装置と;前記防振装置が配置さ
    れる床上に設けられるとともに、前記マスクステージの
    移動によって生じる反力に応じた力を前記マスクステー
    ジ又は前記第2架台に与えるアクチュエータを有するフ
    レームとを更に備えたことを特徴とする請求項1〜9の
    いずれか一項に記載の走査型露光装置。
  11. 【請求項11】 前記第1の干渉計の測長ビームは、そ
    の延長線が前記投影光学系の光軸と交わることを特徴と
    する請求項1〜10のいずれか一項に記載の走査型露光
    装置。
  12. 【請求項12】 前記第2の干渉計は、前記第2方向に
    沿って2本の測長ビームを前記第1反射面に照射し、前
    記2本の測長ビームの1つはその延長線が前記投影光学
    系の光軸と交わることを特徴とする請求項3〜8のいず
    れか一項に記載の走査型露光装置。
  13. 【請求項13】 前記第1反射面は、前記マスクステー
    ジの側面に形成されていることを特徴とする請求項3〜
    8のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
  14. 【請求項14】 マスクを保持するマスクステージと基
    板を保持する基板ステージとを同期して所定の第1方向
    に相対移動させつつ、前記マスクに形成されたパターン
    を前記基板に転写する走査露光方法であって、 前記マスクステージに前記第1方向に沿って延設された
    第1反射面に測長ビームを照射しその反射光を受光して
    前記マスクステージの第2方向の位置を管理するととも
    に、前記マスクステージに設けられた第1のコーナーキ
    ューブに測長ビームを照射しその反射光を受光して前記
    マスクステージの第1方向の位置を管理しつつ、前記マ
    スク上の第1領域のパターンを前記基板上の所定領域に
    転写する第1走査露光工程と;前記第1反射面に測長ビ
    ームを照射しその反射光を受光して前記マスクステージ
    の第2方向の位置を管理するとともに、前記マスクステ
    ージに設けられた前記第1のコーナーキューブとは異な
    る第2のコーナーキューブに測長ビームを照射しその反
    射光を受光して前記マスクステージの第1方向の位置を
    管理しつつ、前記マスク上の前記第1領域の第2方向に
    隣接された第2領域のパターンを前記基板上の前記所定
    領域に転写する第2の走査露光工程とを含む走査露光方
    法。
  15. 【請求項15】 マスクを第1方向に往復移動して、前
    記マスク上の前記第1方向と直交する第2方向に沿って
    並ぶ第1及び第2領域をそれぞれ照明光で照射するとと
    もに、前記マスクの移動に同期して基板を移動すること
    により、前記マスクのパターンを前記基板上に転写する
    走査露光方法において、 前記マスク上の第1領域を前記照明光で照射するため
    に、前記マスクを保持するマスクステージに設けられる
    第1ミラーに測長ビームを照射する干渉計の出力に基づ
    いて前記マスクステージを前記第1方向に駆動し、 前記マスク上の第2領域を前記照明光で照射するため
    に、前記マスクステージに設けられる第1ミラーと異な
    る第2ミラーに前記干渉計の測長ビームを照射しながら
    前記マスクステージを前記第1方向に駆動することを特
    徴とする走査露光方法。
  16. 【請求項16】 前記マスク上の第1領域が転写される
    前記基板上の区画領域に、前記マスク上の第2領域を重
    ね合わせて転写して、前記第1領域内の第1パターンと
    前記第2領域内の第2パターンとの合成パターンを前記
    区画領域に形成することを特徴とする請求項15に記載
    の走査露光方法。
  17. 【請求項17】 前記基板上の複数の区画領域に前記マ
    スクのパターンを順次転写するために、前記マスク上の
    第1領域を前記複数の区画領域に順次転写し、かつ前記
    マスクを前記第2方向に移動した後で、前記マスク上の
    第2領域を前記複数の区画領域に順次転写することを特
    徴とする請求項15又は16に記載の走査露光方法。
  18. 【請求項18】 前記マスク上の第2領域を前記複数の
    区画領域に転写する前に、前記照明光の強度分布を変更
    することを特徴とする請求項17に記載の走査露光方
    法。
  19. 【請求項19】 前記マスク上の第1領域を前記照明光
    で照射した後の前記マスクステージの減速中に、前記マ
    スクステージを前記第1方向に対して斜めに移動するこ
    とを特徴とする請求項15に記載の走査露光方法。
  20. 【請求項20】 前記マスク上の第2領域を前記照明光
    で照射する前に、前記マスク上の第2領域が前記照明光
    に近づくように、前記マスクステージを前記第1及び第
    2方向と交差する方向に加速させることを特徴とする請
    求項15又は19に記載の走査露光方法。
  21. 【請求項21】 前記マスク上の第1領域への前記照明
    光の照射と、前記マスク上の第2領域への前記照明光の
    照射との間で、前記マスクステージを停止させることな
    く駆動することを特徴とする請求項15、19、20の
    いずれか一項に記載の走査露光方法。
  22. 【請求項22】 前記マスク上の第1領域を前記基板上
    の第1区画領域に転写する第1走査露光と、前記マスク
    上の第2領域を前記基板上の前記第1区画領域と隣接す
    る第2区画領域に転写する第2走査露光との間で、前記
    基板を保持する基板ステージを停止させることなく駆動
    することを特徴とする請求項15、19、20のいずれ
    か一項に記載の走査露光方法。
  23. 【請求項23】 前記第2走査露光前に、前記基板ステ
    ージを前記第1及び第2方向と交差する方向に加速させ
    ることを特徴とする請求項22に記載の走査露光方法。
  24. 【請求項24】 前記マスクは、前記第2方向に沿って
    配列される第1及び第2マスクを含み、前記第1マスク
    は前記第1領域内の第1パターンが形成され、前記第2
    マスクは前記第2領域内の第2パターンが形成されるこ
    とを特徴とする請求項15、19、22、23のいずれ
    か一項に記載の走査露光方法。
  25. 【請求項25】 マスクを第1方向に往復移動して、前
    記マスク上の前記第1方向と直交する第2方向に沿って
    並ぶ第1及び第2領域をそれぞれ照明光で照射するとと
    もに、前記マスクの移動に同期して基板を移動すること
    により、前記マスクのパターンを前記基板上に転写する
    走査露光方法において、 前記マスク上の第1領域への前記照明光の照射と、前記
    マスク上の第2領域への前記照明光の照射との間で、前
    記マスクを停止させることなく移動することを特徴とす
    る走査露光方法。
  26. 【請求項26】 基板上に回路パターンを転写する走査
    露光方法であって、 前記回路パターンの第1及び第2分解パターンを有する
    マスクを第1方向に移動して、前記第1分解パターンを
    照明光で照射するとともに、前記マスクの移動に同期し
    て前記基板を移動し、前記基板上の区画領域に前記第1
    分解パターンを転写する第1工程と;前記第1方向に沿
    って前記マスクを前記第1工程とは逆向きに移動して、
    前記第2分解パターンを前記照明光で照射するととも
    に、前記マスクの移動に同期して前記基板を移動し、前
    記区画領域に前記第2分解パターンを転写する第2工程
    とを含む走査露光方法。
  27. 【請求項27】 前記第1工程と前記第2工程の間で、
    前記マスクは、前記第1方向、及びそれと直交する第2
    方向の速度成分の少なくとも一方が零とならないように
    移動されることを特徴とする請求項26に記載の走査露
    光方法。
  28. 【請求項28】 少なくとも第1及び第2パターンが形
    成されたマスクと基板とを同期移動して、前記基板上の
    複数の区画領域のそれぞれに、前記各区画領域内での転
    写位置の異なる前記少なくとも第1及び第2パ夕―ンを
    合成したパターンを形成する走査露光方法において、 前記複数の区画領域の一部に前記第1パターンをステッ
    プ・アンド・スキャン方式でそれぞれ転写し、前記第1
    パターンの転写後に前記マスクを同期移動方向である第
    1方向と直交する第2方向に移動し、前記複数の区画領
    域の残りの一部に前記第2パターンをステップ・アンド
    ・スキャン方式で転写することを特徴とする走査露光方
    法。
  29. 【請求項29】 基板上の復数の区画領域に少なくとも
    第1及び第2パターンをそれぞれステップ・アンド・ス
    キヤン方式で転写する走査露光方法において、 前記第1パターンの転写時と前記第2パターンの転写時
    とで、前記複数の区画領域の走査露光順序を異ならせる
    ことを特徴とする走査露光方法。
  30. 【請求項30】 前記第1パターンの転写時と前記第2
    パターンの転写時とで前記基板の移動経路を逆にするこ
    とを特徴とする請求項29に記載の走査露光方法。
  31. 【請求項31】 前記基板上の区画領域に前記少なくと
    も第1及び第2パターンを重ね合わせて転写することを
    特徴とする請求項29又は30に記載の走査露光方法。
  32. 【請求項32】 前記基板上の区画領域内で前記少なく
    とも第1及び第2パターンの転写位置を異ならせること
    を特徴とする請求項29又は30に記載の走査露光方
    法。
  33. 【請求項33】 前記基板は、前記第1パターン、又は
    前記第2パターンが前記複数の区画領域の全てに転写さ
    れるまで、前記区画領域の走査露光時に前記基板が移動
    される第1方向、及びこれと直交する第2方向の両方で
    その速度成分が零とならないように移動されることを特
    徴とする請求項29〜32のいずれか一項に記載の走査
    露光方法。
  34. 【請求項34】 前記第1及び第2方向のうち、少なく
    とも第2方向については、前記第2方向と異なる方向の
    第1測長ビ一ムを用いて前記基板の位置制御を行うこと
    を特徴とする請求項33に記載の走査露光方法。
  35. 【請求項35】 前記第1方向とほぼ平行な第2測長ビ
    ームを用いて、前記第1方向における前記基板の位置制
    御を行うことを特徴とする請求項34に記載の走査露光
    方法。
  36. 【請求項36】 前記第1及び第2方向と交差し、かつ
    前記第1測長ビームと異なる方向の第3測長ビームを用
    いて、前記基板の位置制御を行うことを特徴とする請求
    項34又は35に記載の走査露光方法。
  37. 【請求項37】 マスクと基板とを同期移動して、前記
    マスクのパターンを前記基板上に転写する走査型露光装
    置であって、 前記マスクが同期移動される第1方向に沿って延び、か
    つ前記マスクを挟んで形成される第1及び第2反射面を
    有するマスクステージと;前記第1及び第2反射面とそ
    れぞれ直交する測長軸を有する第1及び第2干渉計と;
    前記第1方向と直交する第2方向に関して、前記第1及
    び第2干渉計の少なくとも一方の計測値に基づいて前記
    マスクステージを駆動する駆動装置とを備える走査型露
    光装置。
  38. 【請求項38】 前記基板を保持し、互いに延設方向が
    鋭角に交差するように配置される第3及び第4反射面を
    有する基板ステージと;前記第3及び第4反射面とそれ
    ぞれ直交する測長軸を有する第3及び第4干渉計を更に
    備えたことを特徴とする請求項37に記載の走査型露光
    装置。
  39. 【請求項39】 前記第3及び第4反射面の一方は、前
    記基板の同期移動方向、及びこれと直交する方向の両方
    と交差する方向に沿って延設されることを特徴とする請
    求項38に記載の走査型露光装置。
  40. 【請求項40】 前記基板を保持し、前記基板の同期移
    動力向と鋭角に交差する方向に沿って延びる測長用第1
    基準面を有する基板ステージを更に備えたことを特徴と
    する請求項37に記載の走査型露光装置。
  41. 【請求項41】 前記測長用第1基準面はその延設方向
    に関して、前記基板の走査露光動作における前記基板ス
    テージの移動範囲のほぼ全域に渡って形威されることを
    特徴とする請求項40に記載の走査型露光装置。
  42. 【請求項42】 前記基板ステ一ジは、前記第2方向に
    延びる測長用第2基準面を有することを特徴とする請求
    項40又は41に記載の走査型露光装置。
  43. 【請求項43】 前記基板ステージは、前記第1及び第
    2方向の両方と交差し、かつ前記測長用第1基準面と異
    なる方向の測長用第3基準面を有することを特徴とする
    請求項40〜42のいずれか一項に記載の走査型露光装
    置。
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