JP2004067887A - 杭工法用水硬性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】既製コンクリート杭の埋め込み工法等において、逸水防止性能に優れた杭工法用水硬性組成物を提供する。
【解決手段】水溶液が特定の粘度挙動を示す第1の水溶性低分子化合物(A)と、該化合物(A)とは異なる第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有するスラリーレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有し、特定方法で測定された貯蔵弾性率の最大値G’maxが50〜10000Paである杭工法用水硬性組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既製コンクリート杭の埋め込み工法、場所打ち杭工法及びモルタル柱列工法等に使用される、水、水硬性粉体を含有してなる杭工法用水硬性組成物及び該組成物を用いた硬化組成物並びに杭の埋込み工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物建設の基礎工事等における代表的な既製コンクリート杭の埋め込み工法では、地盤を掘削攪拌ロッドを用いて支持層まで掘削した後、掘削孔に根固め液を注入し、次に所定の水硬性スラリー(以下、杭周固定液という)を注入しながら掘削攪拌ロッドをゆっくりと引き上げる。そして、その後杭周固定液で満たされた孔中に、既製コンクリートパイルを沈設する。しかしながら、掘削する地盤が砂層、れき層もしくは砂れき層等の透水性の高い地質(透水性地盤)に施工する場合、上述の杭周固定液が地盤に吸い込まれてしまい(以下、逸水という)、施工が困難となるケースがある。また、上述のコンクリート杭の埋め込み工法、場所打ち杭工法及びモルタル柱列工法では、地盤中において地下水の湧出や潮の干満がある場合、孔中に満たした杭周固定液及び場所打ちしたコンクリートのモルタル部分が希釈・流失され、痩せ細ってしまうといった多くのトラブルが発生している。これに対し、吸水膨張性高分子材料(吸水性ポリマー)を配合したり、カルボキシメチルセルロース等のアニオン性水溶性高分子を添加することで逸水防止や上記課題を解決する試みがなされてきたが、吸水性の制御が困難であったり、水溶性高分子の場合、杭周固定液の水硬性が阻害され硬化するまでに地盤に逸水するなどの問題がある。また、逸水防止や崩壊防止策として新聞紙等の紙とアルカリ水溶液を混合し、更にこれを中和させた材料(特開平7−41764号公報)も提案されているが、製造する際に均一な懸濁液を短時間で製造することは困難であった。また、無機材料の観点から、セメント粉体に低活性シリカ質粉体を混合し、粉末度(ブレーン値)を1万cm/g以上にした逸水防止用のセメント(特開平6−24819号公報)が提案されているが、粉砕コストの増大や汎用性に乏しく現実的でないといった課題があった。他にも、濃厚なセメントミルク、あるいはベントナイト等の粘土鉱物を併用した濃厚なセメントミルク、大豆や小豆等を混合する技術もあるがどれも十分な逸水防止効果は得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、既製コンクリート杭の埋め込み工法、場所打ち杭工法、モルタル柱列工法等に使用される杭周固定液において、逸水防止性能に優れた杭工法用水硬性組成物を提供する事を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の性質を満たす異なる2種類の水溶性低分子化合物と水硬性粉体とを含有する杭工法用水硬性組成物を使用することで上記の課題を解決することを見出した。
【0005】
本発明は、第1の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(A)という〕と、化合物(A)とは異なる第2の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(B)という〕とを含有するスラリーレオロジー改質剤であって、化合物(A)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)と化合物(B)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)とを50/50の重量比で混合した水溶液の20℃における粘度が、混合前のいずれの水溶液の粘度よりも少なくとも2倍高くすることができるスラリーレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有し、以下の特性1を満足する杭工法用水硬性組成物に関する。
<特性1>
20℃の該組成物について、コーンプレート(直径50mm、角度0.0398rad、GAP0.0508mm)の角速度ωが1〜10rad/sの範囲で測定した貯蔵弾性率の最大値G’maxが50〜10000Paである。
【0006】
また、本発明は、上記本発明の杭工法用水硬性組成物を硬化させてなる場所打ちコンクリート杭に関する。
【0007】
また、本発明は、地盤を、掘削攪拌ロッドを用いて支持層まで掘削した後、掘削孔に根固め液を注入し、次いで上記本発明の杭工法用水硬性組成物を注入しながら掘削攪拌ロッドを引き上げた後、杭工法用水硬性組成物で満たされた孔中に、既製コンクリートパイルを沈設し、地盤と杭を一体化させる杭の埋込み工法に関する。
【0008】
本発明の水硬性組成物においては、水溶性低分子化合物は、室温において、水中に、単分子又は会合体・ミセル・液晶等の構造体を形成した状態又はそれらの混在した状態で、水と相分離を生じない。相とは、マクロな大きさを持ち、温度、圧力等統計的な物理量が明確に定められる領域をいう(コロイド化学、第1巻、第1版、89〜90頁、1995年10月12日発行、東京化学同人)。
【0009】
特に、本発明の杭工法用水硬性組成物における化合物(A)及び化合物(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及び臭化化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、から選択される。
【0010】
本発明に係る化合物(A)及び化合物(B)は、それぞれ単独の水溶液では、水中に、単分子又は会合体・ミセル・液晶等の構造体を形成した状態及びそれらの混在した状態で水溶液の粘性が低く、化合物(A)の水溶液と化合物(B)の水溶液を混合することで、混合液の粘度が大きく増大できることが好ましく、それにより水硬性組成物に特定の貯蔵弾性率が付与される点に特徴がある。この特定の貯蔵弾性率の範囲の組成物は、地下水等による希釈、流出がなく、また、周辺の地盤への浸透もないため、杭周固定液の痩せや細りや逸水が起こらないと考えられる。
【0011】
従って、本発明に係る化合物(A)及び化合物(B)は、化合物(A)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)と化合物(B)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)とを50/50の重量比で混合した水溶液の20℃における粘度が、混合前のいずれの水溶液の粘度よりも少なくとも2倍高くすることができることが必要である。
【0012】
本発明の水硬性組成物は、上記特性1を満たすものであり、特に化合物(A)又は化合物(B)は各々単独の添加では特性1が発現せず、化合物(A)及び化合物(B)の両方を添加することによって特性1が発現する。
【0013】
化合物(A)及び化合物(B)の組合わせを特定した場合、どちらを化合物(A)としてもよい。以下では、どちらかを化合物(A)とした場合、他方を化合物(B)として便宜上区別する。
【0014】
本発明に係る杭工法用水硬性組成物の必須成分である化合物(A)及び化合物(B)のそれぞれの水溶液は、両者を混合した水溶液よりも粘性が低く、これら化合物を含有するスラリーレオロジー改質剤を使用することで、スラリー系への添加操作性は極めて良好なものになる。
【0015】
この化合物(A)と化合物(B)の組み合わせによるスラリーレオロジー改質剤を添加すると、スラリーの水相中にいわゆる低分子化合物の高次構造体である会合体を形成し、水硬性粉体の周辺をこの会合体で覆うためスラリー全体の粘性が増大すると考えられる。また、この会合体のレオロジー特性は高い粘弾性を有していることが挙げられ、スラリー中における水相で会合体同士が絡み合い3次元の網目状会合体を形成していると考えられる。この特徴により、本発明のスラリー中の水硬性粉体粒子はこの粘弾性の高い網目状の会合体に覆われているため、使用部位に水が存在する場合でも希釈されずに投入、充填できるため、例えば従来の杭周固定液と比べ、地下水等によるスラリーの拡散する量は遙かに少なく、施工箇所の痩せ細りを減少することができる。
【0016】
また、スラリー中で分子会合により網目状会合体を形成するため、スラリーに高い粘性を付与することができる。一般の水溶性高分子が共有結合で繋がっているため、撹拌等のせん断力を受けると結合が切れて低分子化してしまうのに対して、網目状会合体は分子間力による分子会合で大きな構造体を形成しているため、せん断力を受けて会合体が切断されても容易に再結合、再融合し、もとの形状の会合体を再構築すると考えられる。この特長は、水硬性粉体粒子や砂、砂利等が存在するスラリー系には特に有効である。例えば、杭周固定液の製造時の水硬性粉体粒子や砂、砂利等の均一混合や内部摩擦が発生する注入時には会合体が壊れて粘性が顕著に低下するため、上述の作業を容易にすると共に、これら作業が終了し応力が解かれると再び会合体が形成されるので適度な粘性を取り戻し、周辺の地盤に浸透せず、また、材料分離抵抗性を生じるので、逸水防止効果に優れると考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、化合物(A)と化合物(B)と水硬性粉体と水とを含有する杭工法用水硬性組成物が以下の特性1を有することが必要である。すなわち、このレオロジー特性1は、20℃の組成物について、ARES粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック製)でコーンプレート(直径50mm、角度0.0398rad、GAP0.0508mm)を用い、角速度ωが1〜10rad/sの範囲で貯蔵弾性率G’を測定し、そのωの範囲で得られるG’の最大値G’maxが50〜10000Paの範囲である事である。貯蔵弾性率G’maxは、好ましくは100〜10000Pa、より好ましくは400〜7000Pa、更に好ましくは800〜4000Paが作業性の観点から有効である。
【0018】
本発明に用いられる化合物(A)と化合物(B)は、化合物(A)の粘度100mPa・s以下の水溶液Sと、化合物(B)の粘度100mPa・s以下の水溶液Sとを混合すると、その粘度が混合前のいずれの水溶液の粘度よりも少なくとも2倍高くすることができる性質を有することが必要であり、より好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍、更に好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも500倍高くすることができることである。
【0019】
ここで、水溶液の粘度は、20℃の条件でB型粘度計(No.3ローター、1.5r.p.mから12r.p.m)で測定されたものをいう。この場合、前記の粘度挙動は、1.5r.p.m.から12r.p.m.の回転数の何れかで発現されればよい。
【0020】
化合物(A)及び化合物(B)の水溶液の20℃における粘度と両者を混合したときの粘度が、上記要件を満たしている範囲で、化合物(A)及び化合物(B)の濃度を決めることができ、化合物(A)及び化合物(B)を特定した場合に好ましい範囲を決めることができるが、組成物に添加する場合の濃度範囲を広く選択できることを考慮して、それぞれが、0.01〜50重量%の範囲で濃度を決めることができる化合物(A)及び化合物(B)を選ぶことが好ましい。
【0021】
本発明に係る化合物(A)と化合物(B)は、イオン強度の高い杭工法用水硬性組成物でも良好なレオロジー特性を付与できる。
【0022】
本発明の杭工法用水硬性組成物に含有される化合物(A)と化合物(B)の有効分の重量比は、(A)/(B)=5/95〜95/5であることが好ましく、20/80〜80/20がより好ましい。また、水硬性粉体の含有量は組成物中で0.01〜80重量%であることが好ましく、特に25〜70重量%が好ましい。
【0023】
本発明の杭工法用水硬性組成物では、化合物(A)と化合物(B)の有効分合計の含有量が水100重量部に対して0.01〜20重量部、更に0.1〜15重量部、特に0.3〜10重量部の範囲であることが逸水防止の点から好ましい。
【0024】
本発明に係る化合物(A)及び化合物(B)は、本発明で規定する挙動を満たすものであれば、どのようなものを組み合わせてもよいが、作業性及び組成物系の分散性の安定性の観点から、化合物(A)及び化合物(B)は、それぞれ分子量(無機化合物の場合は式量)が1000以下、好ましくは700以下、更に好ましくは500以下、また重合体の場合は重量平均分子量(例えば、ゲルーパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリエチレンオキシド換算)が500未満、好ましくは400以下、更に好ましくは300以下であることが望まれる。また、化合物(A)の水溶液と化合物(B)の水溶液も室温において、水中に、単分子又は会合体・ミセル・液晶等の構造体を形成した状態及びそれらの混在した状態で、水と相分離しないことが好ましい。
【0025】
本発明に係る化合物(A)と化合物(B)は、杭工法用水硬性組成物が前記した挙動を示すものであれば、どのようなものを組み合わせてもよいが、好ましい例として、化合物(A)及び化合物(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及び臭化化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、から選ばれるものが挙げられる。
【0026】
両性界面活性剤から選ばれるものとして、ベタイン型両性界面活性剤が好ましく、ドデカン酸アミドプロピルベタイン・オクタデカン酸アミドプロピルベタイン・ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、粘度発現の観点からドデカン酸アミドプロピルベタインが好ましい。
【0027】
アニオン性界面活性剤から選ばれるものとして、エチレンオキサイド付加型アルキル硫酸エステル塩型界面活性剤が好ましく、POE(3)ドデシルエーテル硫酸エステル塩、POE(2)ドデシルエーテル硫酸エステル塩、POE(4)ドデシルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられ、塩はナトリウム塩等の金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0028】
これらの中でも、杭工法用水硬性組成物の水相中の固形分(有効分)濃度が20重量%以下でも効果を発現するドデカン酸アミドプロピルベタインとPOE(3)ドデシルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミンもしくはPOE(3)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムの組合わせが好ましい。なお、POEはポリオキシエチレンの略であり、( )内はエチレンオキサイド平均付加モル数である(以下同様)。
【0029】
カチオン性界面活性剤から選ばれるものとして、4級塩型カチオン性界面活性剤が好ましく、4級塩型のカチオン性界面活性剤としては、構造中に、10から26個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルキル基を、少なくとも1つ有しているものが好ましい。例えば、アルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ピリジニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)イミダゾリニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルプロピルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。水溶性と増粘効果の観点から、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド等が好ましい。また、増粘効果の温度安定性の観点から、化合物(A)又は化合物(B)の一方として、上記のアルキル基の炭素数の異なるカチオン性界面活性剤を2種類以上併用することが好ましい。
【0030】
特に、塩害による鉄筋の腐食やコンクリート劣化を防止する観点から、塩素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0031】
塩素等のハロゲンを含まない4級塩として、アンモニウム塩やイミダゾリニウム塩等が挙げられ、具体的にはヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オクタデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、タロートリメチルアンモニウムメトサルフェート、タロージメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムメトサルフェート、ヘキサデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、オクタデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、ヘキサデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネート、オクタデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネート、タロージメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、タロージメチルヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネート、等が挙げられる。塩素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩は、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、炭酸ジメチルで3級アミンを4級化することで得ることができる。
【0032】
アニオン性芳香族化合物から選ばれるものとして、芳香環を有するカルボン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩が挙げられ、具体的には、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸等であり、これらは塩を形成していていも良く、これらを2種以上併用してもよい。ただし、重合体である場合は、重量平均分子量(例えば、ゲルーパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリエチレンオキシド換算)500未満であることが好ましい。
【0033】
臭化化合物から選ばれるものとして、無機塩が好ましく、NaBr、KBr、HBr等が挙げられる。
【0034】
本発明においては、化合物(A)と化合物(B)とが会合体を形成し易いものが、それぞれ濃厚な水溶液でも粘性が低く、また、杭工法用水硬性組成物の水相中の化合物(A)と化合物(B)の有効分濃度が低くても優れた効果を発現し、また、それぞれが濃厚な水溶液でも粘性が低く、添加時の作業性からも好ましい。本発明では、化合物(A)と化合物(B)の有効分濃度が10重量%以下の極めて低い添加量で杭工法用水硬性組成物の増粘を達成することができ、特に水相と接触した場合の材料分離抵抗性が非常に安定するという、従来の増粘剤の使用では得ることのできなかったレオロジー特性を発現する点で、化合物(A)が4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤から選ばれるものであり、化合物(B)がアニオン性芳香族化合物又は臭化化合物から選ばれるものである組合わせが特に好ましい。
【0035】
また、化合物(A)がアルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩であり、化合物(B)が芳香環を有するスルホン酸塩である組み合わせが特に好ましく、組成物の水相中の有効分濃度が5重量%以下でも効果を発現する。特に、硬化遅延を起こさない観点から、化合物(B)としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸又はこれらの塩が好ましく、特に、p−トルエンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0036】
本発明に係る杭工法用水硬性組成物として、化合物(A)と化合物(B)と水硬性粉体とを併用することで特徴的なスラリーレオロジー特性が得られるのは、以下の理由によると考えられる。
【0037】
化合物(A)と化合物(B)とを混合した時に、水相中に短時間で会合体を形成し、効率的に粘性を付与でき、更に、この会合体形成は、杭工法用水硬性組成物中で均一に形成されることにより水硬性粉体を補足するため、地盤に注入後の痩せ細りが少ないものと考えられる。
【0038】
化合物(A)と化合物(B)は、低分子化合物であっても杭工法用水硬性組成物中で分子会合を起こす事で高分子状の大きな網目状会合体を形成するため、杭工法用水硬性組成物に高い粘性と分離抵抗性を付与することができると考えられる。
【0039】
なかでも、4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、アニオン性芳香族化合物又は臭化化合物から選ばれる化合物との組み合わせで使用すると、スラリーの水相中に細かく分岐した会合体を形成すると考えられる。
【0040】
また、一般の水溶性高分子が共有結合で繋がっているため、繰返しせん断力を受けると結合が切れて低分子化してしまうのに対して、かかる会合体は、水相が強い応力を受けると、会合体構造が破壊されるので、過度の応力が抑制され、応力が減少すると、再び会合体が形成されると考えられる。これにより、杭工法用水硬性組成物に適度な粘性を付与するという特徴を有する。
【0041】
かかる特徴を生かせば、杭工法用水硬性組成物の撹拌、注入、圧送で受ける強いせん断に対しても、せん断から解き放たれると会合体が再形成を起こすため、高いせん断抵抗性を杭工法用水硬性組成物に付与出来る。例えば、過度の内部摩擦が発生することを抑制しつつ杭工法用水硬性組成物の製造や輸送、ポンプ圧送を行い、製造あるいは輸送後の杭工法用水硬性組成物に適度な粘性を付与することができる。
【0042】
さらに、化合物(A)及び化合物(B)を含有する杭工法用水硬性組成物中の水硬性粉体粒子は粘弾性の高い網目状会合体に覆われているため、使用部位に水が存在する場合でも希釈されずに投入、充填でき杭周固定液の痩せ細りを防止できる。
【0043】
化合物(A)として両性界面活性剤から選ばれるものを、化合物(B)としてアニオン性界面活性剤から選ばれるものを使用する場合や、化合物(A)としてカチオン性界面活性剤から選ばれるものを、化合物(B)としてアニオン性芳香族化合物から選ばれるもの又は臭化化合物から選ばれるものを使用する場合は、各化合物単独の濃厚な水溶液でも粘性が低いので、スラリー系への添加前の水溶液の有効分濃度を好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上にしておくことにより、貯蔵タンクを小型化できる等の生産性を向上することができる。
【0044】
化合物(A)と化合物(B)とをスラリーに添加すればレオロジーが改質された杭工法用水硬性組成物が得られるので、本発明に係る杭工法用水硬性組成物の調製方法は特に限定されないが、以下に、本発明の杭工法用水硬性組成物の好ましい調製方法を説明する。
【0045】
本発明に係る化合物(A)及び化合物(B)は、それぞれ極めて低粘度の水溶液の状態のものでも、混合すると大きな粘性を発現するものが好適に使用されるので、操作性の観点から、スラリー系に添加するときに、それぞれが、使用する温度において100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下の粘度の水溶液の状態で使用することが好ましい。
【0046】
本発明では、杭工法用水硬性組成物が特定の貯蔵弾性率を持つ2種の化合物を、スラリーのレオロジー改質剤として使用することが好ましい。かかる2種の化合物を化合物(A)、化合物(B)とすると、化合物(A)と化合物(B)のいずれか一方の化合物を水硬性粉体と水を含有するスラリーに添加し、該スラリーに他方の化合物を添加することができる。
【0047】
また、化合物(A)又は化合物(B)は、水硬性粉体と水を含有するスラリー中に任意の順番で混合できるので、一方の化合物をスラリー中に適当な段階で添加し、粘性が必要となる段階で該スラリーに他方を添加するのが作業性の観点から好ましい。また、添加するときの化合物(A)又は化合物(B)の状態は、液状でも粉末状でもよい。
【0048】
本発明の杭工法用水硬性組成物を、カチオン性界面活性剤から選ばれるものとアニオン性芳香族化合物又は臭化化合物から選ばれるものの組合わせで使用する場合には、水硬性粉体粒子の水和反応を制御でき、スラリー攪拌時の巻込み気泡を抑制する観点から、アニオン性芳香族化合物又は臭化化合物をスラリー中に先に添加し、後からカチオン性界面活性剤を添加するのが好適である。
【0049】
本発明の杭工法用水硬性組成物は、特定の貯蔵弾性率により特定できるが、さらに化合物(A)及び化合物(B)のそれぞれが、天然物由来(例えば牛脂由来の化合物)等の混合物ではなく、単一の化合物である場合は、化合物(A)と化合物(B)との会合体を効率良く形成させる観点から、モル比を規定して混合することが好ましい。
【0050】
本発明の杭工法用水硬性組成物においては、化合物(A)と化合物(B)のモル比(有効分モル比)は、化合物(A)と化合物(B)の組み合わせによって増粘効果の高い領域が異なり、目的とする増粘の程度に応じて適宜決めればよいが、特に化合物(A)及び化合物(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及び臭化化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、から選ばれる場合は、得られる粘度と会合体の形状の観点から、化合物(A)/化合物(B)=1/20〜20/1、好ましくは1/20〜4/1、より好ましくは1/3〜2/1、特に好ましくは1/1〜2/3が適している。
【0051】
更に、本発明の杭工法用水硬性組成物は、イオン強度の高いスラリー系でも良好なレオロジー特性を維持できることから、水相の電導度が、0.01〜80mS/cmの範囲、好ましくは0.1〜60mS/cm、特に好ましくは1〜40mS/cmであるスラリーであることが好ましい。
【0052】
本発明に係る化合物(A)及び化合物(B)は、水溶液又は粉末のどちらの状態で使用してよく、特に、本発明の杭工法用水硬性組成物ではどちらの形態を用いても良好なスラリーレオロジー特性を付与することができる。化合物(A)及び化合物(B)とを予め粉末状にして使用すれば、プレミクス用途等における作業性が良好となる。ただし、スラリーを所望の粘性に調整できるようにすることを考慮すると、化合物(A)と化合物(B)とを杭工法用水硬性組成物の構成水硬性粉体に予め表面処理しない使用方法が好ましい。
【0053】
本発明の杭工法用水硬性組成物は、取扱いやすさ及び硬化物性の観点から水/水硬性粉体比30〜300%、好ましくは50〜250%、より好ましくは60〜200%で適用できる。この組成物に含有される水硬性粉体としては、水和反応により硬化する物性を有する水硬性粉体を用いる。例えば普通ポルトランドセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、高ビーライト含有セメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、シリカフュームセメントなどの水硬性粉体セメントや石膏が挙げられる。また、フィラーも水硬性粉体と併用して用いることができ、例えば炭酸カルシウム、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム、ベントナイト、クレー(含水珪酸アルミニウムを主成分とする天然鉱物:カオリナイト、ハロサイト等)が挙げられる。これらの粉体は単独でも、混合されたものでもよい。更に、必要に応じてこれらの粉体に骨材として砂や砂利、及びこれらの混合物が添加されてもよい。また、土に適用することもできる。
【0054】
更に、本発明に係る化合物(A)及び/又は化合物(B)と水硬性粉体とをプレミクスし、本発明の杭工法用水硬性組成物を調製する為の水硬性粉体組成物を調製することができる。
【0055】
また、本発明の杭工法用水硬性組成物においては、化合物(A)と化合物(B)と水硬性粉体のスラリー中の有効分濃度は、目的とする増粘の程度に応じて適宜決めればよいが、化合物(A)と化合物(B)を、予め調製されたスラリーに添加する、スラリー製造時に添加する、等の方法により、本発明の杭工法用水硬性組成物が得られる。特に、化合物(A)又は化合物(B)の一方の化合物と水硬性粉体と、水硬性粉体と水とを含むスラリーを調製し、次いで該スラリーに前記化合物(A)又は化合物(B)の他方の化合物を添加する方法は、作業性から好ましい。
【0056】
本発明の杭工法用水硬性組成物は膨張材を含有することが好ましい。本発明で使用する膨張材とは、セメントと水を混合した場合、水和反応によりエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)や水酸化カルシウム(CaOH)などの結晶を生成してセメントペースト、モルタル及びコンクリートを膨張させる作用のある混和材であって、主にエトリンガイト系及び石灰系が使用される。本発明において、膨張材は、地盤中の地下水や海水等により杭工法用水硬性組成物のペースト成分が、若干の希釈流出を受けても、その膨張作用により杭とその周囲の地盤との間に隙間を作らずに、密着させる効果がある。
【0057】
本発明の杭工法用水硬性組成物における膨張材の使用量は、膨張性と強度の点から、水硬性粉体100重量部に対して5〜50重量部、更に10〜30重量部が好ましい。
【0058】
本発明の杭工法用水硬性組成物は分散剤を含有しても良い。分散剤は、減水剤としてリグニンスルホン酸塩及びその誘導体、オキシカルボン酸塩、ポリオール誘導体、高性能減水剤及び高性能AE減水剤として、ナフタレン系(花王(株)製:マイテイ150)、メラミン系(花王(株)製:マイテイ150V−2)、ポリカルボン酸系(花王(株)製:マイテイ3000、NMB社製:レオビルドSP、日本触媒社製:アクアロックFC600、アクアロックFC900)、アニオン界面活性剤系として、ポリカルボン酸型界面活性剤(花王(株)製:ポイズシリーズ)等が挙げられる。その中でも、ポリカルボン酸系高性能減水剤及びポリカルボン酸型界面活性剤が杭工法用水硬性組成物の流動性と粘性を両立出来るという点で好適である。
【0059】
本発明の杭工法用水硬性組成物における分散剤の含有量は、一般に水硬性粉体に対して有効成分で0.01〜5重量%、更に0.05〜3重量%が好ましい。
【0060】
本発明の杭工法用水硬性組成物に含有される化合物(A)と化合物(B)の他に、他の既存の増粘剤をすることができる。他の既存の増粘剤としては、例えばセルロース誘導体、ポリアクリル系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニールアルコール、ガム系多糖類、微生物発酵多糖類等が挙げられる。
【0061】
本発明の杭工法用水硬性組成物は、本剤の性能に支障がなければ他の成分、例えば、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、気泡剤、発泡剤、消泡剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひび割れ低減剤、染料、顔料等を含有していてよい。
【0062】
本発明の杭工法用水硬性組成物には骨材を混合することができ、骨材には細骨材や粗骨材が使用でき、特に限定されるものではないが、吸水率が低くて骨材強度が高いものが好ましい。粗骨材としては、川、陸、山、海、石灰砂利、これらの砕石、高炉スラグ粗骨材、フェロニッケルスラグ粗骨材、軽量粗骨材(人工及び天然)及び再生粗骨材等が挙げられる。細骨材としては、川、陸、山、海、石灰砂、珪砂及びこれらの砕砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、軽量細骨材(人工及び天然)及び再生細骨材等が挙げられる。
【0063】
本発明の杭工法用水硬性組成物に骨材を混合して硬化されてなる硬化組成物は、例えば、現場で杭を製造する場所打ちコンクリート杭、モルタル柱列等にも使用できる。
【0064】
本発明の杭工法用水硬性組成物を用いる工法の例として、地盤を、掘削攪拌ロッドを用いて支持層まで掘削した後、掘削孔に根固め液を注入し、次いで本発明の杭工法用水硬性組成物を注入しながら掘削攪拌ロッドを引き上げた後、杭工法用水硬性組成物で満たされた孔中に、既製コンクリートパイルを沈設し、地盤と杭を一体化させる杭の埋込み工法が挙げられる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の杭工法用水硬性組成物を用いた杭周固定液は、逸水防止効果に優れる。
【0066】
【実施例】
実施例
(1)杭工法用水硬性組成物の調製
表1の化合物(A)及び化合物(B)の水溶液の混合前後の粘度を表2に示した。ただし、比較例1−2〜1−4では、水溶液S又は水溶液Sの代替として等量の水を用いた。
表1の化合物(A)及び化合物(B)を、表3又は表4の配合に対して用いて、以下の方法で杭工法用水硬性組成物を調製した。すなわち、水、セメント(普通ポルトランドセメント、比重3.16)と、表5又は表6に示す量の化合物(A)を攪拌翼付攪拌機(ナショナルハンドミキサーMK−H3、松下電器産業株式会社製)で30秒間攪拌した後、表5又は表6に示す量の化合物(B)を添加し60秒間攪拌し、調製した。なお、表5中の添加量は組成物中の水相(水、化合物(A)及び化合物(B)の合計量)における濃度である(以下同様)。
【0067】
(2)評価
(2−1)貯蔵弾性率(G’及びG’max
化合物(A)と化合物(B)とを含有する杭工法用水硬性組成物の貯蔵弾性率G’を測定した。貯蔵弾性率G’は、ARES粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック製)で、コーンプレート(直径:50mm、角度:0.0398rad、GAP:0.0508mm)を用い、ひずみ1.0%、測定範囲0.0628〜62.8rad/s、20℃の条件で測定した。その結果から角速度ωが1〜10rad/sにおけるG’maxを下記の基準で評価した。
(G’maxの評価)
◎;G’maxが800〜4000Pa
○:G’maxが400〜7000Pa(ただし、◎の範囲のものを除く)
△:G’maxが50〜10000Pa(ただし、◎及び○の範囲のものを除く)
×:G’maxが50Pa未満又は10000Pa超
【0068】
(2−2)逸水防止試験方法
13Lバケツに砂(表面水1%)をスコップで2杯入れ、手で軽く押し固め、内径28.5mm外径34.0mm長さ300mmの塩ビ管を1cm埋める。さらに、スコップで砂を2杯、塩ビ管の内部に入らないようにバケツに投入し、手で軽く押し固める。この操作を繰返し、砂上面から塩ビ管が10cm出るようにする。塩ビ管の開口から調製した杭工法用水硬性組成物172.4mL(砂中塩ビ管の体積)を入れ、塩ビ管を砂の壁面が崩壊しないようにゆっくりと引き抜く。その後、杭工法用水硬性組成物の沈降が完全に停止した時点で沈下深さ(cm)を測定し、下記の基準で評価した。
(沈下深さの評価)
◎:沈下深さが6cm未満
○:沈下深さが6cm以上8cm未満
△:沈下深さが8cm以上16cm未満
×:沈下深さが16cm以上
【0069】
また、杭工法用水硬性組成物が沈降すると共に追加投入し、沈降が停止した時点までに投入した最終投入量を必要投入量(mL)として測定し、下記の基準で評価した。
(必要投入量の評価)
◎:必要投入量が50mL未満
○:必要投入量が50mL以上150mL未満
△:必要投入量が150mL以上250mL未満
×:必要投入量が250mL以上
【0070】
(2−3)膨張性試験方法
JIS A 6202「コンクリート用膨張材」に準じる。すなわち、杭工法用水硬性組成物から、一軸拘束器具と4cm×4cm×16cm型枠を用いて供試体を作り、材令24時間で脱型し、長さLを測定する。材令7日まで水中養生を行い、材令7日の長さLを測定し、養生前後の長さの変化率〔(L−L)/L〕を求め、以下の基準で評価した。尚、化合物(A)と化合物(B)のモル比は1:1、合計添加量は0.5重量%とした。
(膨張性の評価)
○:長さの変化率が7×10−4
△:長さの変化率が3×10−4超7×10−4以下
×:長さの変化率が3×10−4以下
【0071】
【表1】
Figure 2004067887
【0072】
【表2】
Figure 2004067887
【0073】
【表3】
Figure 2004067887
【0074】
【表4】
Figure 2004067887
【0075】
表3、4中の配合成分は以下のものである。
・水:水道水
・セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、密度3.16g/cm
・ベントナイト:豊潤工業製
・膨張材:エトリンガイト系膨張材(市販品)
【0076】
【表5】
Figure 2004067887
【0077】
*実施例1−13では、比較品1を0.05重量%併用した。
**混合水溶液の増粘は、化合物(A)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)と化合物(B)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)とを50/50の重量比で混合した水溶液の20℃における粘度を測定したものであり、混合前のいずれの水溶液の粘度よりも少なくとも2倍高くできるものを表2に示した結果から「○」とした(以下同様)。
【0078】
【表6】
Figure 2004067887
【0079】
実施例2−1〜2−11の杭工法用水硬性組成物は、何れもG’maxが50〜10000Paの範囲にあった。

Claims (7)

  1. 第1の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(A)という〕と、化合物(A)とは異なる第2の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(B)という〕とを含有するスラリーレオロジー改質剤であって、化合物(A)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)と化合物(B)の水溶液S(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)とを50/50の重量比で混合した水溶液の20℃における粘度が、混合前のいずれの水溶液の粘度よりも少なくとも2倍高くすることができるスラリーレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有し、以下の特性1を満足する杭工法用水硬性組成物。
    <特性1>
    20℃の該組成物について、コーンプレート(直径50mm、角度0.0398rad、GAP0.0508mm)の角速度ωが1〜10rad/sの範囲で測定した貯蔵弾性率の最大値G’maxが50〜10000Paである。
  2. 化合物(A)及び化合物(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及び臭化化合物から選ばれる化合物(B)の組合わせ、から選択される請求項1記載の杭工法用水硬性組成物。
  3. 化合物(A)と化合物(B)との有効分のモル比が化合物(A)/化合物(B)=1/20〜20/1である請求項1又は2記載の杭工法用水硬性組成物。
  4. さらに、膨張材を含有する請求項1〜3いずれか記載の杭工法用水硬性組成物。
  5. 化合物(A)と化合物(B)の有効分合計の含有量が水100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲である請求項1〜4いずれか記載の杭工法用水硬性組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の杭工法用水硬性組成物を硬化させてなる場所打ちコンクリート杭。
  7. 地盤を、掘削攪拌ロッドを用いて支持層まで掘削した後、掘削孔に根固め液を注入し、次いで請求項1〜5いずれか記載の杭工法用水硬性組成物を注入しながら掘削攪拌ロッドを引き上げた後、杭工法用水硬性組成物で満たされた孔中に、既製コンクリートパイルを沈設し、地盤と杭を一体化させる杭の埋込み工法。
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