JP4197122B2 - レオロジー改質剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラリーや水溶液の粘性を制御するレオロジー改質剤に関するものであり、更に詳しくは、土木・建築材料、二次製品材料及び補修材料として使用される粉体を含有してなる水−粉体スラリー等に、粘性及び材料分離抵抗性に優れた性状を与えることのできるレオロジー改質剤、該改質剤を添加することによるレオロジー改質方法、ならびに該改質剤を含有するスラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水と粉体からなるスラリーにおいて粘性等のレオロジー物性を制御するには、水と粉体の比率を調節したり、pH調整剤などにより粒子の分散状態を変えたり、あるいは、吸水性ポリマーを添加して余剰水量を制御したりする等の技術が使われてきた。
【0003】
特に、水溶性高分子化合物をスラリー系に添加して高分子の絡み合いによる増粘作用を利用する技術は、安価に大きな増粘効果を得られるため、土木・建築分野を中心として幅広い用途で実用化されている。例えば、特公平5−39901号ではメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体や、特開平11−189452号ではポリ(エチレンオキサイド)の様な水溶性高分子化合物が、材料の分離抵抗性を高めるために、ペースト、モルタルや水中コンクリート及び高流動コンクリートなどに使用されている。
【0004】
しかしながら、水溶性高分子化合物を使用して効率的な増粘効果を得るためには、ある程度以上の分子量の化合物を用いる必要があり、実際に使用されている化合物は分子量が数十万以上のものがほとんどである。これら分子量の大きい水溶性高分子化合物は、水、粉体と一緒に添加し、時間をかけて混練しないと十分な粘性が発現しにくく、迅速に増粘効果が得られず、また、予め水溶液として使用すると、水溶液の粘度が高く、添加操作等の点で作業性が低下する等の問題がある。
【0005】
また、水溶性高分子をペースト、モルタル及びコンクリートに使用する場合は、粉体の比率が小さい配合(水粉体比30%以上)が多く、水粉体比が大きい配合になるほど経時的な粘性の安定性が低下し、ブリージング水が出る等の材料分離が起りやすい。
【0006】
更に、水系のスラリー系を水相と共存させたい場合、従来の技術ではスラリー系が水相に溶出し、初期のスラリー組成を維持できない場合があった。建築土木分野では、例えば、湖や海の中での打設を目的とするいわゆる水中コンクリートにおいて、水溶性高分子化合物の添加だけでは十分な水中での分離抵抗性が得られず、これを解決するために特公平3−38224号のようにアルカリ金属硫酸塩が併用される。しかしながら、アルカリ金属塩はその添加量によってコンクリートの圧縮強度低下や著しい流動性低下を引き起こし、水中での分離抵抗性の高いコンクリートを安定した品質で製造することは困難な場合がある。また、地盤改良のために水粉体比の高いセメントペースト(いわゆるセメントミルク)を地中に注入するグラウト工法の場合、地下水が湧出した場合に、セメントミルクの組成が不安定になるという課題がある。更に、高分子化合物として共重合体を用いた場合には、セメント等の粉体に吸着してスラリーの分散状態に影響を与え易いという問題もある。流動性を改善するために界面活性剤を用いる技術として、特開平7−166150号の建材用シックナー組合せ物がある。これは高分子化合物である非イオンセルロースエーテルの併用系であり、粘度自体は大きくできるがブリージング水や水中分離抵抗性を改善するには至っていない。
【0007】
上記の問題点を解決する手段として、界面活性剤の増粘作用を用いた提案がなされている。しかし、実際の使用の際、温度変化によりスラリーの粘性が不安定になる等の課題があり、温度変化に対しても安定性を維持できる技術が望まれた。
また、界面活性剤の増粘作用を用いたスラリー系以外の分野として、例えば配管抵抗低減剤としての使用が挙げられ、温度変化に対応した技術として、特開平9−87610号の界面活性剤に特定の官能基を導入する方法が存在するが、炭素数の異なる化合物を組合せたものを配合することで、温度変化への対応を達成する技術は見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、予め水溶液として調製しても、その水溶液の粘度が低く作業性に問題が無く、スラリーを製造する際に短時間の混練で十分な粘性を示し、幅広い温度域での使用が可能であり、更には材料分離抵抗性が安定していて、水粉体比が高い場合や水相と接触しても性状ないしは組成が安定であるスラリーを得るためのレオロジー改質剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の4級塩型カチオン性界面活性剤の少なくとも2種と、アニオン性芳香族化合物又は無機臭素塩とを含有するレオロジー改質剤を使用することにより、上記の課題が解決できることを見出した。
【0010】
本発明は、(a)炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級塩型カチオン性界面活性剤〔以下、化合物(a)という〕の少なくとも2種と、(b)アニオン性芳香族化合物及び無機臭素塩〔以下、化合物(b)という〕から選ばれる1種以上とを含有する、レオロジー改質剤に関する。
また、本発明は、上記本発明のレオロジー改質剤を、粉体を含有するスラリーに添加する、レオロジー改質剤を含有するスラリーの製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明のレオロジー改質剤の(a)又は(b)の一方の化合物と粉体と水とを含むスラリーを調製し、次いで該スラリーに前記化合物(a)又は(b)の他方の化合物を添加するスラリーの製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明のレオロジー改質剤を含有するスラリー、特に、上記本発明のレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有する水硬性スラリーに関する。
【0011】
本発明に係るレオロジー改質剤は、化合物(a)又は(b)それぞれ単独の水溶液では、水中に、単分子又は会合体・ミセル・液晶等の構造体を形成した状態及びそれらの混在した状態で粘性が低く、化合物(a)の水溶液と化合物(b)の水溶液を混合することで、混合液の粘度が大きく増大でき、増粘効果が幅広い温度領域に渡る点に特徴がある。
【0012】
本発明に係るレオロジー改質剤の必須成分である化合物(a)及び化合物(b)のそれぞれの水溶液は、両者を混合した水溶液よりも粘性が低く、これら化合物を含有するレオロジー改質剤を使用することで、スラリーへの添加操作性は極めて良好なものになる。
【0013】
また、本発明に係るレオロジー改質剤をスラリーに添加すると、スラリーのレオロジーが改質され、短時間の内に当該スラリーの水相が増粘し、その結果、スラリー全体の粘性を迅速に増大させることができる。また、本発明のレオロジー改質剤と水硬性粉体と水とを含有する水硬性スラリーは、材料の分離抵抗性や水中分離抵抗性に優れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
<化合物(a)>
本発明のレオロジー改質剤における化合物(a)としては、対イオン、窒素原子に置換する基、カチオン化窒素の数、環構造の有無など、4級塩型カチオン性界面活性剤の構造的に異なるものが少なくとも2種併用される。つまり、少なくとも、化合物(a)に属するある化合物(a1)と、これに対して構造的に異なる別の化合物(a2)とが用いられる。本発明では、化合物(a)として、炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する化合物であって、該炭化水素基の炭素数が異なる化合物を少なくとも2種併用することが好ましい。炭素数10から26の炭化水素基としては、アルキル基及び/又はアルケニル基、特にアルキルが好ましい。アルキル基及び/又はアルケニル基は直鎖でも分岐鎖でもよい。2種の化合物(a1)と化合物(a2)の重量比は、広い温度領域に渡って増粘効果を発現する観点から、(a1)/(a2)が5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましく、25/75〜75/25が特に好ましい。
【0015】
また、例えば、牛脂やヤシ油などの天然物原料のように、炭化水素基の炭素数が異なる化合物を複数含む混合物を使用する場合は、その炭化水素基組成を変えることなく使用することで、本発明の化合物(a)を得ることができる。対応する温度が調整できるので、異なる構造を持つ4級塩型カチオン性界面活性剤を積極的に配合することが好ましい。
【0016】
化合物(a)としては、例えば、アルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ジメチルエチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ピリジニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)イミダゾリニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ジメチルベンジルアンモニウム塩、等が挙げられ、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロマイド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムブロマイド、オクタデシルピリジニウムクロライド、オクタデシルピリジニウムブロマイド、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシロキシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシロキシトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシロキシトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。水溶性と増粘効果の観点から、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド等が好ましい。
【0017】
特に、本発明のレオロジー改質剤をコンクリート等に適用する場合、塩害による鉄筋の腐食やコンクリート劣化を防止する観点から、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0018】
塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩として、テトラデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、テトラデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オクタデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、タロートリメチルアンモニウムメトサルフェート、タロージメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、水素化タロートリメチルアンモニウムメトサルフェート、水素化タロージメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、テトラデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、ヘキサデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、オクタデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、タロージメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、等が挙げられる。水溶性と増粘効果の観点から、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、タロートリメチルアンモニウムメトサルフェート等が特に好ましい。塩素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩は、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エチレンオキサイド、炭酸ジメチル等で3級アミンを4級化することで得ることができる。
【0019】
また、化合物(a)の組み合わせとしては、温度0〜50℃付近でも良好なスラリー粘性が得られることから、炭素数12〜18のアルキル基を1個有する4級塩型カチオン性界面活性剤の群から選ばれる化合物と、炭素数16〜22のアルキル基を有する4級塩型カチオン性界面活性剤の群から選ばれる化合物(ただし前の群と同じ化合物ではない)とを配合することが好ましく、増粘効果のある温度領域における粘度変動の観点から、更に炭素数14〜18のアルキル基を1個有する4級塩型カチオン性界面活性剤の群から選ばれる化合物と、炭素数16〜20のアルキル基を有する4級塩型カチオン性界面活性剤の群から選ばれる化合物(ただし前の群と同じ化合物ではない)とを配合することが好ましい。炭素数は2〜4異なる組み合わせが好ましく、2異なる組み合わせが更に好ましい。これらの中でも、(1)炭素数14のアルキル基を有する化合物と炭素数16のアルキル基を有する化合物の組合せ、(2)炭素数14のアルキル基を有する化合物と炭素数18のアルキル基を有する化合物の組合せ、(3)炭素数16のアルキル基を有する化合物と炭素数20のアルキル基を有する化合物の組合せが好ましく、特に、炭素数16のアルキル基を有する化合物と炭素数18のアルキル基を有する化合物の組合せが好ましい(ここでいう化合物とは4級塩型カチオン性界面活性剤である)。
【0020】
<化合物(b)>
本発明では、化合物(b)として、アニオン性芳香族化合物及び無機臭素塩から選ばれる1種以上を用いる。
化合物(b)のうち、アニオン性芳香族化合物から選ばれるものとして、芳香環を有するカルボン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩が挙げられ、具体的には、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸等であり、これらは塩を形成していても良く、これらを2種以上併用してもよい。ただし、重合体である場合は、重量平均分子量500未満であることが好ましい。
【0021】
また、無機臭素塩から選ばれるものとして、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化水素等が挙げられる。
【0022】
本発明のレオロジー改質剤はスラリーに適用することができる。
本発明においては、化合物(a)と化合物(b)とが会合体を形成し易いという観点から、化合物(a)と組み合わせる化合物(b)は、アニオン性芳香族化合物から選ばれるものが特に好ましい。この組合わせでは、それぞれが濃厚な水溶液でも粘性が低く、また、スラリーの水相中のレオロジー改質剤の有効分濃度が10重量%以下でも優れたスラリーレオロジー改質効果を発現し、また、それぞれが濃厚な水溶液でも粘性が低く、添加時の作業性からも好ましい。この組み合わせでは、極めて低い添加量でスラリーの増粘を達成することができ、更に、イオン強度の高いスラリーにおいても、同様の効果を発現することができ、スラリーによっては、特に水相と接触した場合の材料分離抵抗性が非常に安定するという、従来の増粘剤の使用では得ることのできなかったレオロジー特性を発現する。
【0023】
なかでも、化合物(a)がアルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩の2種以上の混合物であり、化合物(b)が芳香環を有するスルホン酸塩である組み合わせが特に好ましく、スラリーの水相中の化合物(a)と化合物(b)の合計の有効分濃度が5重量%以下でも効果を発現する。特に、水硬性粉体のスラリーに用いる場合は、これらの中でも硬化遅延を起こさない観点から、化合物(b)としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸又はこれらの塩が好ましく、特に、p−トルエンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0024】
本発明に係るレオロジー改質剤として、化合物(a)と化合物(b)とを併用することで特徴的なスラリーレオロジー特性が得られるのは、以下の理由によると考えられる。化合物(a)と化合物(b)とを混合した時に、水相中に短時間で会合体を形成し、効率的に粘性を付与でき、更に、この会合体形成は、スラリー中で均一に形成されることにより余剰水分を完全に補足するため、経時的なブリージング水を抑制することにより、単位水量の多いスラリー配合でも材料分離抵抗性に優れた性状が得られるものと考えられる。また、化合物(a)の炭化水素基の炭素数と構造(直鎖、分岐鎖等)で粘性を発現するために好適な温度が決まるので、炭素数や構造の異なる炭化水素基の化合物(a)を2種以上併用することで、広い温度範囲で粘性の安定化効果が得られるものと考えられる。
【0025】
化合物(a)、化合物(b)は、各化合物単独の濃厚な水溶液でも粘性が低いので、スラリーへの添加前の水溶液の有効濃度を好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上にしておくことにより、貯蔵タンクを小型化できる等の生産性を向上することができる。この有効濃度は生産性の観点から高濃度である程好ましい。
【0026】
本発明のレオロジー改質剤には、界面活性剤を併用することができる。界面活性剤としては、両性界面活性剤や非イオン性界面活性剤が好ましい。特にベタイン系化合物、アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物が好ましい。
【0027】
本発明のレオロジー改質剤には、粘度調整等の為、溶剤を併用することができる。溶剤としては、アルコールやセルソルブ系溶剤が好ましい。
【0028】
本発明のレオロジー改質剤には、本改質剤の性能に支障がなければ他の成分、例えば、分散剤、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、気泡剤、発泡剤、消泡剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひび割れ低減剤、膨張剤、染料、顔料、スケール防止剤、スライム処理薬剤、防腐剤、乳化剤等を含有していてよい。
【0029】
化合物(a)と化合物(b)とをスラリーに添加すればレオロジーが改質されたスラリーが得られるので、本発明に係るレオロジー改質剤の添加形態は特に限定されない。
【0030】
本発明に係るレオロジー改質剤は、化合物(a)及び(b)がそれぞれ極めて低粘度の水溶液の状態のものでも、混合すると大きな粘性を発現するので、操作性の観点から、スラリーに添加するときに、それぞれが、使用する温度において100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下の粘度の水溶液の状態で使用することが好ましい。
【0031】
本発明では、化合物(a)と化合物(b)とをスラリーに添加するスラリーのレオロジー改質方法が提供される。その場合、化合物(a)と化合物(b)のいずれか一方の化合物をスラリーに添加し、該スラリーに他方の化合物を添加することができる。
【0032】
また、化合物(a)又は(b)はスラリー中に任意の順番で混合できるので、一方の化合物をスラリー中に適当な段階で添加し、粘性が必要となる段階で該スラリーに他方を添加するのが作業性の観点から好ましい。また、添加するときの化合物(a)又は(b)の状態は、液状でも粉末状でもよい。
【0033】
本発明のレオロジー改質剤を、セメントなどの水硬性粉体を使用したスラリーに使用する場合には、セメント粒子の水和反応を制御でき、スラリー攪拌時の巻込み気泡を抑制する観点から、化合物(b)をスラリー中に先に添加し、後から化合物(a)を添加するのが好適である。
【0034】
本発明のレオロジー改質剤においては、化合物(a)の分子と化合物(b)の分子が会合体を形成してレオロジー改質効果を発現することから、化合物(a)と化合物(b)の比率はモル比を用いるのが適切である。化合物(a)と化合物(b)のモル比(有効分モル比)は、目的とする増粘の程度に応じて適宜決めればよいが、得られる粘度と会合体の形状の観点から、化合物(a)/化合物(b)=1/20〜4/1、好ましくは1/3〜2/1、特に好ましくは1/1〜2/3が適している。ここでのモル比は、〔化合物(a)に属する全ての化合物のモル数の合計〕/〔化合物(b)に属する全ての化合物のモル数の合計〕のように算出する。
【0035】
また、本発明のレオロジー改質剤においては、化合物(a)と化合物(b)のスラリー中の有効濃度は、低い添加量でも大きな増粘を発現するので、化合物(a)と化合物(b)との有効分の合計が、スラリーの水相中の有効濃度で0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%となるように、スラリーに添加することが好ましい。
【0036】
本発明における化合物(a)及び化合物(b)は、水溶液又は粉末のどちらの状態でも使用してよく、特に、本発明のレオロジー改質剤ではどちらの形態でも良好なスラリーレオロジー特性を付与することができる。化合物(a)及び化合物(b)とを予め粉末状にして使用すれば、粉末で化合物(a)又は化合物(b)の一方を粉体と予備混合する等により、スラリー調製の作業性が良好となる。ただし、スラリーを所望の粘性に調整できるようにすることを考慮すると、化合物(a)と化合物(b)とをスラリーの構成粉体であるフィラー等に予め表面処理しない使用方法が好ましい。
【0037】
本発明のレオロジー改質剤は、水粉体比(水/粉体の重量比)30〜300%のスラリーに好適に適用できる。このスラリーを製造する際の粉体としては、水和反応により硬化する物性を有する水硬性粉体を用いることができる。例えばセメントや石膏が挙げられる。また、フィラーも用いることができ、例えば炭酸カルシウム、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム、ベントナイト、クレー(含水珪酸アルミニウムを主成分とする天然鉱物:カオリナイト、ハロサイト等)が挙げられる。これらの粉体は単独でも、混合されたものでもよい。更に、必要に応じてこれらの粉体に骨材として砂や砂利、及びこれらの混合物が添加されてもよい。また、酸化チタン等の上記以外の無機酸化物系粉体のスラリーや土に適用することもできる。
【0038】
更に、本発明における化合物(a)及び/又は化合物(b)と水硬性粉体とをプレミクスし、本発明のレオロジー改質剤を含有する水硬性粉体組成物を調製することができる。
【0039】
本発明のレオロジー改質剤を、予め調製された粉体を含有するスラリーに添加する、粉体を含有するスラリー製造時に添加する、等の方法により、本発明の改質剤を含有するスラリーが得られる。特に、化合物(a)又は(b)の一方の化合物と粉体、例えばセメント等の水硬性粉体と水とを含むスラリーを調製し、次いで該スラリーに前記化合物(a)又は(b)の他方の化合物を添加する方法は、作業性から好ましい。また、化合物(a)及び(b)の有効分の合計がスラリーの水相中の有効濃度で0.01〜20重量%、更に0.1〜15重量%、特に0.1〜10重量%になるように用いることが好ましい。
【0040】
【実施例】
表1に示す化合物を用いて、水溶液及びスラリーに対するレオロジー改質効果を評価した。
(1)水溶液系
表1の化合物を合計濃度が1.0重量%となるように水に添加し、10秒間攪拌翼付攪拌機で攪拌したものの粘度を所定温度で測定した。ただし、化合物c−1は10秒間では均一にならなかったので、均一になるまで撹拌し、その粘度を測定した。なお、2種の化合物を併用したものは、両者のモル比が1:1となるように用いた。粘度は、B型粘度計(東京計器、DVM−B、Cローター、0.6〜12r/min)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0041】
(2)セメントスラリー系
表1の化合物をスラリー中の水中濃度が合計で表3に示した量となるように仕込み、混練した。なお、2種の化合物を併用したものは、両者のモル比が1:1となるように用いた。2種の化合物を併用した場合の混錬方法は、まず、セメント(400g)と化合物(b)の水溶液を500mlステンレスカップ中でハンドミキサーにより30秒混合し、次いでこれに化合物(a)の水溶液を混合し、ハンドミキサーで60秒混合した。ここで、化合物(a)の水溶液と化合物(b)水溶液は合計で400g使用した。この場合、スラリーの水は化合物(a)及び(b)の水溶液由来のものだけである。また、化合物c−1を用いる場合は、セメント400gと化合物c−1を充分混合したものに、水400gを添加しハンドミキサーで180秒間混合した。
得られたスラリーについて、温度と粘度の関係を測定した。粘度は混練直後のスラリーを、粘度計付属の容器に別けて、各温度中で一定温度になるまで(約10分)静置後測定した。B型粘度計(東京計器、DVM−B、Cローター、0.6〜12r/min、3分間)を用いて測定した。また、得られたスラリーについて、以下の方法で分離抵抗性を評価した。結果を表3に示す。
【0042】
<分離抵抗性の評価>
上記セメントスラリー系で調製したスラリーを10g計り取り、20℃の水道水400mLが入った500mLビーカーに静かに沈殿させる。スラリーが水中に舞い上がった状態を目視(肉眼)にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:水相が完全に透明であり、沈降したスラリーの全体が確認できる。
○:底に沈降したスラリーの全体が確認できる。
×:水相が濁り、ビーカーの底が見えない。
【0043】
【表1】
Figure 0004197122
【0044】
【表2】
Figure 0004197122
【0045】
【表3】
Figure 0004197122
【0046】
表2の水溶液系では、本発明品は5〜40℃の範囲で粘度がほぼ一定であるのに対し、化合物(a)に1種の4級塩型カチオン性界面活性剤を用いた比較品1−1〜1−3では、温度によって増粘の効果が異なっている。また、メチルセルロースを用いた比較品1−4では粘度が低下している。
表3のセメントスラリー系でも、温度と粘度の関係は表2と同様な傾向があり、更に化合物(a)と化合物(b)を用いた本発明品は分離抵抗性にも優れている。比較品2−1〜2−2は、分離抵抗性は良いが、温度による粘度の変動が激しい。

Claims (6)

  1. (a)炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級塩型カチオン性界面活性剤の少なくとも2種と、(b)アニオン性芳香族化合物及び無機臭素塩から選ばれる1種以上とを含有し、水粉体比30〜300%のスラリーに適用される、レオロジー改質剤。
  2. 請求項1記載のレオロジー改質剤を、粉体を含有するスラリーに添加する、レオロジー改質剤を含有する水粉体比30〜300%のスラリーの製造方法。
  3. レオロジー改質剤を、(a)と(b)の有効分の合計がスラリーの水相中の有効分濃度で0.01〜20重量%となるように、スラリーに添加する請求項2記載のスラリーの製造方法。
  4. (a)炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級塩型カチオン性界面活性剤の少なくとも2種と、(b)アニオン性芳香族化合物及び無機臭素塩から選ばれる1種以上とを含有するレオロジー改質剤の(a)又は(b)の一方の化合物と粉体と水とを含むスラリーを調製し、次いで該スラリーに前記化合物(a)又は(b)の他方の化合物を添加する水粉体比30〜300%のスラリーの製造方法。
  5. 請求項1記載のレオロジー改質剤を含有する、水粉体比30〜300%のスラリー。
  6. 請求項1記載のレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有する、水粉体比30〜300%の水硬性スラリー。
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