JP5242512B2 - コンクリート組成物の製造方法とその装置 - Google Patents
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Description
このコンクリート組成物は、セメント、水、粗骨材、細骨材に、コンクリート用化学混和剤を配合するとともに、増粘性混和剤として、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物とを組み合わせて成る2液性の増粘性混和剤を用いて作製される。
前記第1の水溶性低分子化合物と第2の水溶性低分子化合物とがコンクリート中にある一定の割合で混入されると、第1の水溶性低分子化合物と第2の水溶性低分子化合物とが電気的に配列して擬似ポリマーを形成することより、増粘性混和剤は増粘剤として機能する。これにより、例えば、シールド直打ち工法に好適に用いられる、流動性や早強性に優れるとともに、優れた耐水性を有するコンクリート組成物を得ることができる。
これは、第1の水溶性低分子化合物と第2の水溶性低分子化合物とを同時に添加すると、第1の水溶性低分子化合物と第2の水溶性低分子化合物とが不均質な状態で擬似ポリマーを形成してしまうので、擬似ポリマーを均質な状態で形成させて所望の特性を得るためには長時間の混練が必要となるためである。また、第1の水溶性低分子化合物を先に加えると、混練の際に泡が発生してコンクリート組成物中の空気量が多くなり、強度の低下や比重の減少等が起こる場合があるからである。
しかしながら、第1の水溶性低分子化合物は粘性が高く、計量器内に残存し易いため、現状では、必ずしも、正確な計量ができているとはいえなかった。そのため、従来のように、第1の水溶性低分子化合物を計量する計量器から直接に混練機に第1の水溶性低分子化合物を供給する方法では、第1の水溶性低分子化合物の配合量と第2の水溶性低分子化合物の配合比が異なってしまったり、単位水量が予定よりも足りなくなったりして、所望の特性が得られない場合があった。
また、本願発明は、前記希釈水の量を前記第1の水溶性低分子化合物の添加量の1.5倍〜3倍としたので、混練水の量を不要に減らすことなく、第1の水溶性低分子化合物の粘度を適度に低下させることができる。したがって、混練機に投入される第1の水溶性低分子化合物の添加量が減少するのを防ぐことができるとともに、セメントと細骨材と第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤とに適度な混練水を混合して混練することができる。
また、本願発明は、前記コンクリート用化学混和剤として、前記増粘性添加剤との相溶性に優れたカルボキシル基含有ポリエーテル系減水剤を用いたので、優れた流動性や早強性を確実に発揮させることができる。
このような構成のコンクリート組成物の製造装置を用いることにより、請求項1に記載のコンクリート組成物の製造方法を確実に実現できるので、例えば、シールド直打ち工法に好適に用いられる、流動性や早強性に優れるとともに、優れた耐水性を有するコンクリート組成物を確実に製造することができる。
図1は、本実施の形態に係るコンクリート組成物の製造装置1を示す図で、同図において、10はセメント・骨材供給部、20は水・添加剤供給部、30は混練部、40は材料供給制御手段である。
セメント・骨材供給部10はセメントサイロ11と、セメント計量器12と、砂ホッパー13と、砂計量器14と、砂利ホッパー15と、砂利計量器16とを備える。
水・添加剤供給部20は水槽21と、水タンク22と、第1及び第2の増粘剤タンク23A,23Bと、第1及び第2の計量器24A,24Bと、化学混和剤タンク25と、第3の計量器26と、水計量器27とを備える。
混練部30は混練機としてのコンクリートミキサー31を備える。
セメント計量器12は、セメントサイロ11から図示しないポンプにより搬送された早強ポルトランドセメントを予め設定した重量だけ計量するもので、この計量された早強ポルトランドセメント(以下、セメントという)は、セメント計量器12の下部に設けられた排出弁12mから排出されて、コンクリートミキサー31に投入される。
砂計量器14と砂利計量器16は、それぞれ、砂ホッパー13と砂利ホッパー15とから、図示しない計量コンベヤにより搬送された、砂(細骨材)と砂利(粗骨材)を予め設定した重量だけ計量するもので、この計量された砂(細骨材)と砂利(粗骨材)は、それぞれ、各計量器14,16の下部に設けられた排出弁14m,16mから排出されて、コンクリートミキサー31に投入される。
本発明の増粘性混和剤は、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物とを組み合わせて成る2液性の増粘性混和剤であるので、これら第1及び第2の水溶性低分子化合物は、それぞれ、別個に貯蔵しておく必要がある。
第2の増粘剤タンク23Bには前記第2の水溶性低分子化合物が貯蔵される。この第2の水溶性低分子化合物は、第2の増粘剤タンク23Bに設けられたポンプ23pにより、第2の計量器24Bに供給される。前記第2の水溶性低分子化合物としては、芳香環を有するスルフォン酸塩が好ましく、特に、アルキルアリルスルホン酸塩を主成分とする添加剤が好ましい。
第3の計量器26は、化学混和剤タンク25から供給されるコンクリート用化学混和剤を予め設定した重量だけ計量するもので、この計量されたコンクリート用化学混和剤は、第3の計量器26の下部に設けられた排出弁26mから排出されて、水計量器27に投入される。
ここで、単位水量は、混練水と希釈水と第1及び第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤との総量をいう。なお、この単位水量の値は、細骨材及び粗骨材が乾燥状態にあるとしたときの理論値で、実際に使用する水の量は、細骨材及び粗骨材の表面に付着している水の量を別途測定し、この水の量を前記単位水量から差し引いた値となる。
一方、第2の計量槽27bには、第2の計量器24Bで計量された第2の水溶性低分子化合物と、第3の計量器26で計量されたコンクリート用化学混和剤と、水タンク22から供給される混練水とが投入される。混練水は、セメントと骨材とを混練するために用いる水のうち、前記希釈水を除く水を指す。これら第2の水溶性低分子化合物、コンクリート用化学混和剤、及び、混練水とは、単位水量の計量後に、第2の排出弁27nから排出されて、コンクリートミキサー31に投入される。
材料供給制御手段40はセメント計量器12、砂計量器14、及び、砂利計量器16の各排出弁12m,14m,16mと、第1〜第3の計量器24A,24B,26の各排出弁24m,24n,26mと、水タンク22の排出弁22m,22nと、水計量器27の排出弁27m,27nとの開閉のタイミングを制御して、セメント、砂(細骨材)、砂利(粗骨材)、希釈水で希釈された第1の水溶性低分子化合物、及び、混練水とこの混練水に添加された第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤とを、予め設定した所定の順序で、コンクリートミキサー31に投入する制御を行う。コンクリートミキサー31への投入は、(1)セメントと細骨材、(2)第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水、(3)粗骨材、(4)第1の水溶性低分子化合物と希釈水の順に行う。なお、投入は、先に投入した材料を所定時間混練した後に行う。
セメント・骨材供給部10は、セメント計量器12、砂計量器14、及び、砂利計量器16を用いて、予め設定された配合量のセメント、砂(細骨材)、砂利(粗骨材)を計量する。そして、計量されたセメントと砂とをコンクリートミキサー31に投入する。
一方、水・添加剤供給部20では、第1の計量器24Aで第1の水溶性低分子化合物を計量し、第2の計量器24Bで第2の水溶性低分子化合物を計量し、第3の計量器26でコンクリート用化学混和剤を計量した後、水計量器27で、希釈水量と単位水量とを計量する。
始めに、水タンク22の第1の排出弁22mを開いて、水タンク22から第1の計量槽27aに、希釈水となる水を投入しながら水計量器27の槽内(ここでは、第1の計量槽27aのみ)の水量を計量し、計量された水量が予め設定された希釈水の水量がw1になった時点で、水タンク22の第1の排出弁22mを閉じて、水タンク22からの水の投入を停止する(ステップS1)。これにより、希釈水の水量を計量できる。
この希釈水の量としては、第1の水溶性低分子化合物の添加量waの1.5倍〜3倍とすることが好ましい。これにより、混練水の量を不要に減らすことなく、第1の水溶性低分子化合物の粘度を適度に低下させることができる。
次に、この第1の計量槽27aに、第1の計量器24Aで計量した添加量waの第1の水溶性低分子化合物を投入する(ステップS2)。
最後に、水タンク22の第2の排出弁22nを開いて、水タンク22から第2の計量槽27bに、混練水となる水を投入しながら水計量器27の槽内(今度は、第1の計量槽27aと第2の計量槽27bの両方)の水量を計量し、計量された水量が予め設定された単位水量Wになった時点で、水タンク22の第2の排出弁22nを閉じて、水タンク22からの水の投入を停止する(ステップS4)。これにより、混練水の水量w2と単位水量Wとを計量できる。
混練水の水量w2は、w2=W−(w1+wa+wb+wc)により求めることができる。
なお、ステップS1は必ずステップS2の前に行うことが好ましいが、ステップS2とステップS3では計量を行わないので、ステップS3を、ステップS1とステップS2との間に行ったり、最初にステップS3を行い、次に、ステップS1とステップS2とを行うようにしても何ら問題ない。
空練りの終了後には、第2の計量槽27bから、第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水とが、コンクリートミキサー31に投入され、所定時間(ここでは、約20秒)混練される。
次に、セメント・骨材供給部10で計量された砂利(粗骨材)がコンクリートミキサー31に投入され、所定時間(ここでは、約30秒)混練される。
最後に、第1の計量槽27aから、希釈水で希釈された第1の水溶性低分子化合物がコンクリートミキサー31に投入され、所定時間(ここでは、約30秒)混練される。
コンクリートミキサー31で混練されたコンクリート組成物は、コンクリートシュート32からミキサー車33に搭載され、打設現場まで搬送される。
また、第1の水溶性低分子化合物は、希釈水で希釈され粘度が低下しており、コンクリートミキサー31中で均一に分散し易いので、増粘性混和剤の増粘機能を早期にかつ均質に発揮させることができる。したがって、所望の配合比のコンクリート組成物を効率よく製造することができるとともに、第1の計量槽27aからコンクリートミキサー31までの配管内への第1の水溶性低分子化合物の付着を防止できるので、所望の配合比のコンクリート組成物を確実に製造することができる。
また、本発明のコンクリート組成物の製造装置1は、シールド工法の直打ち工法用だけでなく、通常のコンクリートとして使用する場合や、ダムや橋脚、湾岸用のコンクリートを製造する場合にも適用可能である。
また、希釈した第1の水溶性低分子化合物をコンクリートミキサー31に投入する方法として、別途第1の水溶性低分子化合物を希釈して第1の増粘剤タンク23Aに貯蔵し、第1の計量器24Aにて第1の水溶性低分子化合物の希釈液を計量する方法も考えられるが、第1の増粘剤タンク23Aに希釈液を補充する方法では、補充の方法が難しいだけでなく、希釈の度合いが安定しないので、本例のように、水計量器27の第1の計量槽27aにて第1の水溶性低分子化合物を希釈することが好ましい。
図3は、本発明による製造装置を用いて製造されるコンクリート組成物の配合量を示す表である。なお、表において、増粘剤Aは第2の水溶性低分子化合物で、増粘剤Bは第1の水溶性低分子化合物である。
セメントCとしては、早強ポルトランドセメント(密度;3.14g/cm3)を用い、この早強ポルトランドセメント543kg/m3に、川砂から得られた細骨材S(密度;2.63g/cm3)584kg/m3を加え、10秒間空練りした後、コンクリート用化学混和剤AD(花王株式会社製、カルボキシル基含有ポリエーテル系減水剤、商品名「マイティ4000FA」)17.4kg/m3と、第2の水溶性低分子化合物であるアルキルアリルスルホン酸塩を主成分とする増粘剤A(花王株式会社製、商品名「ビスコトップ100FA」)7.6kg/m3とに、単位水量Wが190kg/m3になるように計量した混練水142.4kg/m3を加えたものを配合して20秒間練り混ぜる。
混練後、この混練物に、川砂から得られた粒径が13mm以下の粗骨材G(密度;2.56g/cm3)931kg/m3を加えて30秒間混練し、最後に、第1の水溶性低分子化合物であるアルキルアンモニウム塩を主成分とする増粘剤B(花王株式会社製、商品名「ビスコトップ100FB」)7.6kg/m3を希釈水15kg/m3で希釈したものを添加して再度混練し、コンクリート組成物を作製した。
なお、単位水量Wは190kg/m3であり、水セメント比(W/C)は35%である。
作製されたコンクリート組成物につき、高流動性、早強性、耐水性を調べたところ、図4の表に示すように、流動性については、従来の高流動コンクリートや水中コンクリートと同等の特性を持ちながら、水中コンクリートよりも早強性に優れ、高流動コンクリートよりも耐水性に優れたコンクリート組成物を得ることができた。
10 セメント・骨材供給部、11 セメントサイロ、12 セメント計量器、
13 砂ホッパー、14 砂計量器、15 砂利ホッパー、16 砂利計量器、
20 水・添加剤供給部、21 水槽、22 水タンク、23A 第1の増粘剤タンク、23B 第2の増粘剤タンク、24A 第1の計量器、24B 第2の計量器、
25 化学混和剤タンク、26 第3の計量器、27 水計量器、
30 混練部、31 コンクリートミキサー、32 コンクリートシュート、
33 ミキサー車。
Claims (5)
- セメント、水、細骨材、粗骨材に、コンクリート用化学混和剤と、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物とを組み合わせて成る増粘性混和剤とを添加して混練するコンクリート組成物の製造方法であって、
前記第1の水溶性低分子化合物とこの第1の水溶性低分子化合物を希釈する希釈水とを収納する第1の計量槽と、この第1の計量槽から前記第1の水溶性低分子化合物と希釈水とを排出する第1の排出弁と、
前記第2の水溶性低分子化合物と前記コンクリート用化学混和剤と混練水とを収納する第2の計量槽と、この第2の計量槽から前記第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水とを排出する第2の排出弁とを備えた水計量器を使用し、
予め計量した希釈水を第1の計量槽に投入して計量する第1の工程と、
この希釈水が投入された第1の計量槽に予め計量した第1の水溶性低分子化合物を投入する第2の工程と、
予め計量した第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤とを第2の計量槽に投入する第3の工程と、
前記第1〜第3の工程の全ての工程が終了した後に、前記第2の計量槽に混練水を投入して、単位水量である、前記混練水と希釈水と第1及び第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤との総量を計量する第4の工程と、
前記第4の工程の後に設けられて、混練機に予め投入されて混合されたセメントと細骨材とに、前記第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水とを添加して混練する第5の工程と、
前記第5の工程の後に設けられて、前記混練機に前記第1の水溶性低分子化合物と希釈水とを投入して混練する第6の工程とを備えたことを特徴とするコンクリート組成物の製造方法。 - 前記第5の工程と前記第6の工程との間に、前記混練機に、粗骨材を投入して混練する工程を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート組成物の製造方法。
- 前記希釈水の量を前記第1の水溶性低分子化合物の添加量の1.5倍〜3倍としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート組成物の製造方法。
- 前記コンクリート用化学混和剤を、カルボキシル基含有ポリエーテル系減水剤としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコンクリート組成物の製造方法。
- セメント、水、細骨材、粗骨材に、コンクリート用化学混和剤と、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物とを組み合わせて成る増粘性混和剤とを添加して混練する混練機を備えたコンクリート組成物の製造装置であって、
前記第1の水溶性低分子化合物の添加量を計量する第1の計量器と、
前記第2の水溶性低分子化合物の添加量を計量する第2の計量器と、
前記コンクリート用化学混和剤の添加量を計量する第3の計量器と、
水計量器と、
前記水計量器に混練水と希釈水とを供給する水タンクと、
材料供給制御手段とを備え、
前記水計量器は、
前記第1の計量器で計量された第1の水溶性低分子化合物とこの第1の水溶性低分子化合物を希釈する希釈水とを収納する第1の計量槽と、この第1の計量槽から前記第1の水溶性低分子化合物と希釈水とを排出する第1の排出弁と、
前記第2の計量器で計量された第2の水溶性低分子化合物と前記第3の計量器で計量されたコンクリート用化学混和剤と混練水とを収納する第2の計量槽と、この第2の計量槽から前記第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水とを排出する第2の排出弁とを備え、
材料供給制御手段は、
セメントと細骨材の混練後に、前記第2の排出弁を開放して、前記第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水とを前記混練機に排出し、
前記セメントと細骨材と第2の水溶性低分子化合物とコンクリート用化学混和剤と混練水との混練後に、前記第1の排出弁を開放して、前記第1の水溶性低分子化合物と希釈水とを前記混練機に排出する制御を行うことを特徴とするコンクリート組成物の製造装置。
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