JP2004067879A - 不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱や活性エネルギー線により硬化させるときの硬化性が充分となるように耐加水分解性が向上された不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物を提供する。
【解決手段】不飽和カルボン酸エステル基含有化合物、水、及び、塩基性化合物を必須としてなる不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物であって、該不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物と水との質量比が1/99〜99/1であり、かつ不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が有する不飽和カルボン酸エステル基と塩基性化合物とのモル比が100/0.01〜10である不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物に関する。より詳しくは、多官能モノマーとして塗料、接着剤、インク等の分野において好適に用いることができる不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和カルボン酸エステル基含有化合物は、熱により、また、紫外線や電子線、放射線等の活性エネルギー線照射により、単独で又は他の重合性単量体、オリゴマー、重合体等と容易に重合し、機械的特性、耐熱性、耐候性等に優れた皮膜等を形成することができるものである。このような不飽和カルボン酸エステル基含有化合物は、単官能モノマー若しくは多官能モノマー、又は、オリゴマー、ポリマー等として使用され、反応性希釈剤又は主たる反応性成分として有用である。一方、塗料、接着剤、インク等の分野においては、省資源、環境保全、省エネルギー等の問題から紫外線や電子線等により硬化するものが増加傾向にあり、硬化速度の向上や、硬化物の物性向上のために多官能モノマーが必須とされている。
【0003】
ところで、近年では、環境保全の点から有機溶剤を使用しないで、溶媒又は分散媒体として水を使用することが望まれている。しかしながら、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を水溶液又は水分散体として用いる場合、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が加水分解してしまうことにより、熱や活性エネルギー線により硬化させるときの硬化性が低下するという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、熱や活性エネルギー線により硬化させるときの硬化性が充分となるように耐加水分解性が向上された不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物について種々検討した結果、水を必須としてなると環境保全の点から有利であり、また、塩基性化合物を必須とし、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物と水との質量比と、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が有する不飽和カルボン酸エステル基と塩基性化合物とのモル比とを特定すると、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物において溶媒又は分散媒体として水が使用されているにもかかわらず、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の耐加水分解性が向上し、熱や活性エネルギー線により硬化させるときに不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が硬化速度の向上に充分に寄与することとなり、塗料、接着剤、インク等の分野において硬化速度や硬化物物性の向上と水の使用とを両立することが可能となることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、塩基性化合物として、強塩基と弱酸との反応により生じる塩基性化合物、及び/又は、アミン化合物が好適である。更に、3級アミン化合物、炭酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好適であり、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の耐加水分解性をより向上することができることを見いだした。更に、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が、水溶性の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であると、環境保全や基本性能の点で有利であるが、通常では加水分解しやすく、硬化速度への影響も大きくなるが、このような化合物であっても耐加水分解性が充分に向上することを見いだし、本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本発明は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物、水、及び、塩基性化合物を必須としてなる不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物であって、上記不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物と水との質量比が1/99〜99/1であり、かつ不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が有する不飽和カルボン酸エステル基と塩基性化合物とのモル比が100/0.01〜10である不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物である。
以下に、本発明を詳述する。
【0007】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物、水、及び、塩基性化合物を必須としてなる。
このような組成物において、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物及び塩基性化合物は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、このような組成物の形態としては、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物や塩基性化合物等が水に溶解した水溶液であってもよく、水中に分散されたエマルションであってもよい。
【0008】
上記不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物においては、塩基性化合物により不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の加水分解が抑制され、該不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の作用効果が充分に発揮されることになる。
【0009】
本発明で用いることができる塩基性化合物としては、特に限定されるものではないが、周期律表Ia族(アルカリ金属)、IIa族(アルカリ土類金属)の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、例えば、酢酸塩、炭酸塩又はこれらの水和物、錯塩、アンモニウム塩等があり、また、アミン化合物等も用いることができる。
【0010】
その具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等の水酸化物;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩;安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム等の安息香酸塩;リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等のリン酸塩;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の3級アミン化合物;アニリン及びピリジン等を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種のみの使用でもよく、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、強塩基と弱酸との反応により生じる塩基性化合物、及び/又は、アミン化合物が好ましく、更に3級アミン化合物、炭酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を特に好ましく使用することができる。
強塩基と弱酸との反応により生じる塩基性化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムが好適である。またアミン化合物としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが好適である。
【0011】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物と水との質量比(不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の質量/水の質量)が1/99〜99/1である。より好ましくは、水に対する不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の質量比(不飽和カルボン酸エステル基含有化合物の質量/水の質量)が3/97以上であり、また、95/5以下である。更に好ましくは、4/96以上であり、また、90/10以下である。
【0012】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物においてはまた、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物、水及び塩基性化合物の合計量が、組成物100質量%中、50質量%以上であることが好ましい。また、より好ましくは、70質量%以上である。
【0013】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物においては、上記不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が有する不飽和カルボン酸エステル基と塩基性化合物とのモル比が100/0.01〜10である。すなわち組成物中の塩基性化合物に対する不飽和カルボン酸エステル基のモル比(不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が有する不飽和カルボン酸エステル基のモル数/塩基性化合物のモル数)が100/0.01〜100/10である。塩基性化合物に対する不飽和カルボン酸エステル基のモル比は、好ましくは、100/0.05以上であり、また、100/5以下である。より好ましくは、100/0.1以上であり、また、100/3以下である。
【0014】
本発明における不飽和カルボン酸エステル基含有化合物としては、不飽和カルボン酸とアルコールとの反応により形成される不飽和カルボン酸エステルの構造を有する化合物であればよいが、このような反応により形成される化合物に限定されるものではない。このような化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物((メタ)アクリロイル基含有化合物)、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステル等があるが、これらの中で特に(メタ)アクリロイル基含有化合物が好ましく、また、本発明の作用効果を充分に発揮することができることから、水溶性の化合物であることが好ましい。すなわち本発明における不飽和カルボン酸エステル基含有化合物としては、水溶性の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(水溶性(メタ)アクリロイル基含有化合物)であることが好ましい。なお、本明細書中、水溶性とは、水に10質量%以上可溶であることを意味する。
【0015】
また本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物を塗料、接着剤、インク等の用途において熱や活性エネルギー線により硬化させるときに硬化速度や硬化物物性を向上させるために用いる場合には、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が、(メタ)アクリロイル基等の官能基を2個以上有する多官能性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基以外の官能基としては、ビニルエーテル基、N−ビニル基、スチレン、アリル基、エポキシ基、オキセタン基、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、アクリルアミド、プロペニルエーテル等が好適であり、これらの1種を有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
【0016】
上記水溶性(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、多価アルコールと,(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸の誘導体とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートが好適である。このような製造方法により製造された不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、本発明の好ましい形態の1つである。
【0017】
上記多価アルコールとしては、2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、例えば、2価アルコールとしては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール及びそれらの共重合体、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、及び、これらの誘導体等が使用できる。また更に、硬化性や硬化物物性を向上させるためには、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセリンや、ソルビトール、ラクトース等の糖類及びこれらの誘導体等の3個以上の水酸基を有する多価アルコールが好適である。多価アルコールの誘導体としては、多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させた化合物が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記(メタ)アクリル酸の誘導体としては、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル等の多価アルコールとエステル交換反応が容易な(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸オリゴマーが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
上記多価アルコール及び(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸の誘導体の使用量としては、多価アルコールの水酸基1当量に対して(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸の誘導体を通常1〜2倍当量程度とすることが好ましい。1倍当量未満であると、エステル化反応時間が長くなり、また得られる多官能(メタ)アクリレート中の残留触媒量が増大する他、高分子量物等の副生成物が増大するおそれがある。2倍当量を超えると、過剰の(メタ)アクリル酸を使用することとなり経済的に不利となるおそれや、反応生成物から未反応(メタ)アクリル酸やその誘導体を除去する困難性が増大するおそれがある。より好ましくは1.1〜1.5倍当量である。
【0020】
上記エステル化反応に用いる酸触媒としては、従来公知の各種のものを用いることができ、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が好適である。触媒の使用量としては、エステル化反応の時間及び温度等により適宜設定することになるが、通常は多価アルコール並びに(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸の誘導体の合計100質量部に対して0.1質量部以上とすることが好ましく、また、10質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、1質量部以上であり、また、7質量部以下である。
【0021】
上記有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の各種の不活性溶媒が好適であり、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら有機溶媒の使用により、エステル化反応時に生成する水の系外への除去が容易になり反応時間を短縮することができる。
【0022】
上記エステル化反応の反応条件としては、反応温度は、通常50〜130℃とすることが好ましく、より好ましくは80〜120℃である。また、反応時間としては、得られる多官能(メタ)アクリレートが高エステル化物となることから、5〜15時間とすることが好ましい。
【0023】
上記エステル化反応においては、(メタ)アクリル酸の重合を防止するため重合防止剤を使用してもよく、微量の酸素又は空気を反応液中にバブリングしてもよい。重合防止剤としては、ハイドロキノン等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;フェノチアジン;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類が好適である。
【0024】
上記エステル化反応により多官能(メタ)アクリレートを主成分とする反応生成物が得られるが、該エステル化反応生成物は不純物として未反応原料、エステル化に用いた酸触媒やその誘導体を含有しているため、未反応原料及び残留触媒の除去工程、すなわち反応生成物の精製工程を行うことが好ましい。
【0025】
上記精製工程としては、中和処理を行う中和処理工程を含むことが好ましい。中和処理工程では、反応生成物に塩基性物質を添加して、未反応原料である残存アクリル酸やその誘導体、酸触媒を中和することになる。塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸塩が好適である。これらの中でも、副反応が少なく、取り扱いが容易なことから、アルカリ金属水酸化物が好適であり、水酸化ナトリウム等が好適である。塩基性物質は、水溶液として添加されるが、水溶液の濃度としては、通常は1〜30質量%とすることが好ましく、30質量%を超える水溶液を用いると、得られた多官能(メタ)アクリレートが加水分解されて収率が低下するおそれがある。より好ましくは、10〜20質量%である。塩基性物質の使用量としては、得られた反応生成物中のアクリル酸やその誘導体及び酸触媒を完全に中和できる量であればよく、これらアクリル酸等の残存量(酸価により決定)により適宜設定すればよいが、一般的には反応生成物の酸価に対し、通常10%程度過剰量までの塩基性物質の水溶液を使用すればよい。
【0026】
上記中和処理工程において、中和処理されたアクリル酸やその誘導体等のアルカリ金属塩は、多官能(メタ)アクリレートを含む有機層から水抽出されることになる。ここで、中和廃水は除去しておくことが好ましい。なお、中和処理は、エステル化反応に使用しうる有機溶媒を更に加えて行ってもよい。
【0027】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、上述した必須成分以外の成分として、光重合開始剤、顔料や染料等の着色剤、顔料等の分散安定剤、無機充填剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、浸透剤、pH調整剤、金属封鎖剤、防菌防カビ剤、界面活性剤、可塑剤、有機溶剤、消泡剤等を1種又は2種以上含んでいてもよい。
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物の製造方法としては、組成物中に不飽和カルボン酸エステル基含有化合物、水及び塩基性化合物が含まれることになる限り特に限定されず、これらの成分の所定量及び必要に応じて用いられるその他の成分を混合することにより行うことができる。
【0028】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、不飽和カルボン酸エステル基濃度が0.78mol/kgとなるように調整した該組成物を50℃で7日間静置した後の該組成物の酸価上昇が、2.5mgKOH/g以下であることが好ましく、このような組成物は本発明の好ましい形態の1つである。2.5mgKOH/gを超えると、耐加水分解性が充分ではなくなり、組成物を各種用途に用いることができなくなるおそれがある。より好ましくは、50℃で7日間静置した後の該組成物の酸価上昇が、2mgKOH/g以下であることであり、更に好ましくは、1.5mgKOH/g以下であることである。
【0029】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、水が溶媒として使用されていることから、環境保全の点で優れ、また、耐加水分解性が向上されたものであることから、熱や活性エネルギー線により硬化させるときに硬化速度や硬化物物性を充分に向上させることが可能である点で優れたものであり、塗料、接着剤、インク等の分野において有用であり、反応性希釈剤等や主たる反応性成分として好適に用いることができるものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「質量部」を意味するものとする。
【0031】
〔合成例1〕
攪拌機、ガス導入管、Dean−Stark型油水分離器及び温度計を備えたフラスコに、PEG400(分子量400のポリエチレングリコール)400部、アクリル酸288部、パラトルエンスルホン酸・1水和物6.88部、フェノチアジン0.14部、トルエン138部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。還流温度が120℃になるように適宜トルエンを追加しながら脱水縮合によるエステル化を進行させた。反応終了後、過剰のアクリル酸を減圧にて除去し、更に陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、商品名「アンバーライト IRA96SB−AG」)を適量加えて残留しているアクリル酸とパラトルエンスルホン酸・1水和物を取り除いた。固形物をろ過した後、トルエンを70℃、1.33×10〜4.00×10kPaで除去し、アクリル酸エステル(PEG400−2A)を得た。
【0032】
〔合成例2〕
攪拌機、ガス導入管、Dean−Stark型油水分離器及び温度計を備えたフラスコに、PEG600(分子量600のポリエチレングリコール)1モルにプロピレンオキシド4モル付加したもの832部、アクリル酸288部、パラトルエンスルホン酸・1水和物11.2部、フェノチアジン0.22部、トルエン224部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。以下合成例1と同様の操作を行い、アクリル酸エステル(PEG600−4PO−2A)を得た。
【0033】
〔合成例3〕
攪拌機、ガス導入管、Dean−Stark型油水分離器及び温度計を備えたフラスコに、グリセリン1モルにエチレンオキシド15モル付加したもの722部、アクリル酸432部、パラトルエンスルホン酸・1水和物11.5部、フェノチアジン0.23部、トルエン231部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。以下合成例1と同様の操作を行い、アクリル酸エステル(GLY−15EO−3A)を得た。
【0034】
〔合成例4〕
攪拌機、ガス導入管、Dean−Stark型油水分離器及び温度計を備えたフラスコに、ポリグリセリン(阪本薬品社製、商品名「ポリグリセリン#750」)1モルにエチレンオキシド100モル付加したもの5150部、アクリル酸1440部、パラトルエンスルホン酸・1水和物65.9部、フェノチアジン1.32部、トルエン1318部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。以下合成例1と同様の操作を行い、アクリル酸エステル(PGLY−100EO−10A)を得た。
【0035】
〔合成例5〕
攪拌機、ガス導入管、Dean−Stark型油水分離器及び温度計を備えたフラスコに、D(−)−ソルビトール1モルにエチレンオキシド60モル付加したもの2822部、アクリル酸864部、パラトルエンスルホン酸・1水和物36.9部、フェノチアジン0.74部、トルエン737部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。以下合成例1と同様の操作を行い、アクリル酸エステル(SOR−60EO−6A)を得た。
【0036】
〔合成例6〕
攪拌機、ガス導入管、コンデンサー及び温度計を備えたフラスコに、PEG600(分子量600のポリエチレングリコール)1モルにプロピレンオキシド4モル付加したもの832部、アクリル酸エチル400部、パラトルエンスルホン酸・1水和物12.3部、フェノチアジン0.25部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃に加熱した。コンデンサーの温度を90℃に調節し、生成したエタノールを留去してエステル交換反応を行った。反応終了後、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、商品名「アンバーライト IRA96SB−AG」)を適量加えて残留しているパラトルエンスルホン酸・1水和物を取り除いた。固形物をろ過した後、過剰のアクリル酸エチルを減圧にて除去し、アクリル酸エステル(PEG600−4PO−2AE)を得た。
【0037】
〔合成例7〕
攪拌機、ガス導入管、コンデンサー及び温度計を備えたフラスコに、PEG400ジグリシジルエーテル514部、アクリル酸148部、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド2.0部、メトキノン0.33部を仕込み、空気を吹き込みながら110℃に加熱して酸価が10以下になるまでエステル化反応を行った。反応終了後、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、商品名「アンバーライト IRA96SB−AG」)を適量加えて残留しているアクリル酸を除去し、固形物をろ過してエポキシアクリレート(PEG400DGE−2A)を得た。
【0038】
〔実施例1〜21、比較例1〜7〕
上記の合成例に従って合成されたアクリル酸エステル及びエポキシアクリレート、水、光重合開始剤としてのイルガキュアー2959(商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)を表1〜4に示す割合にて混合し、下記に示す各種試験を行った。それらの試験結果を表1〜4にまとめて示す。
【0039】
<加水分解性試験>
表1〜4に示す配合で調合した組成物の酸価を、配合直後に電位差滴定装置(滴定液:0.1規定水酸化ナトリウム)にて測定した後、それらの組成物を密封容器に入れて50℃の恒温器に7日間保管し、再び酸価を測定した。このようにして測定された配合直後と50℃7日後の酸価の差を加水分解の度合いの指標とした。
【0040】
<硬化性試験>
表1〜4に示す組成物を密封容器に入れて50℃の恒温器に7日間保管した後、ガラス板上に200μmの厚みで塗布した。これを100℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させ、UV照射装置(ウシオ電機社製、商品名「PM25C−100」、250W超高圧水銀灯、主波長365nm)にてUVを照射し、100mJ/cmごとに表面硬化性を指触で評価した。
○:タックフリー △:指紋がつく ×:べたつく
【0041】
<硬化物の耐水性試験>
表1〜4に示す組成物を密封容器に入れて50℃の恒温器に7日間保管した後、ガラス板上に200μmの厚みで塗布した。これを100℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させ、UV照射装置(ウシオ電機社製、商品名「PM25C−100」、250W超高圧水銀灯、主波長365nm)を用いて4J/cmのエネルギーで硬化させた。得られた塗膜を25℃のイオン交換水に10分間浸漬した後の硬化塗膜の状態を目視で評価した。
〇:変化なし △:膨潤 ×:溶解
【0042】
【表1】
Figure 2004067879
【0043】
【表2】
Figure 2004067879
【0044】
【表3】
Figure 2004067879
【0045】
【表4】
Figure 2004067879
【0046】
【発明の効果】
本発明の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、上述の構成からなり、水が溶媒として使用され、かつ耐加水分解性が向上されたものであることから、環境保全の点と硬化速度及び硬化物物性の向上とにおいて有利であり、塗料、接着剤、インク等の分野における反応性希釈剤や主たる反応性成分として好適に用いることができるものである。

Claims (4)

  1. 不飽和カルボン酸エステル基含有化合物、水、及び、塩基性化合物を必須としてなる不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物であって、
    該不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物は、不飽和カルボン酸エステル基含有化合物と水との質量比が1/99〜99/1であり、かつ不飽和カルボン酸エステル基含有化合物が有する不飽和カルボン酸エステル基と塩基性化合物とのモル比が100/0.01〜10である
    ことを特徴とする不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物。
  2. 前記塩基性化合物は、強塩基と弱酸との反応により生じる塩基性化合物及び/又はアミン化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物。
  3. 前記塩基性化合物は、3級アミン化合物、炭酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物。
  4. 前記不飽和カルボン酸エステル基含有化合物は、水溶性の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の不飽和カルボン酸エステル基含有化合物を含む組成物。
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