JP2004062194A - 持ち方矯正被把持棒および被把持棒の持ち方矯正補助具 - Google Patents

持ち方矯正被把持棒および被把持棒の持ち方矯正補助具 Download PDF

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Abstract

【課題】箸などの被把持棒の持ち方を正しい持ち方に矯正することにより、被把持棒の使用の際に身体に悪影響を及ぼさず、日常的に使用可能で、かつ、使い易くする。
【解決手段】各指を載置または当接させる第1ないし第6当接面が形成されている第1突出部67aと第2突出部67bとを備え、右手で被把持棒として箸60を持つ場合、上記第1当接面69aは、親指の付け根の位置を規定し、上記第5当接面69eは、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定する要に形成されている被把持棒の持ち方矯正補助具66を、箸60に装着することにより、被把持棒として箸60の持ち方を正確に規定することができる。
【選択図】 図21

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペン・鉛筆などの各種筆記具やスプーン・箸などといった被把持棒の持ち方を正しい持ち方に矯正することにより、被把持棒の使用の際に身体に悪影響を及ぼさず、日常的に使用可能で、かつ、使い易くすることができる持ち方矯正被把持棒と、被把持棒に装着することにより上記の効果が得られる被把持棒の持ち方矯正補助具とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被把持棒の正しい持ち方、たとえば、鉛筆の正しい持ち方は、一般に図30に示すような持ち方が適切とされている。この場合、正しい持ち方の要点、すなわち、被把持棒を把持するときの要点としては以下に示すものが挙げられる。
▲1▼鉛筆を把持する位置(筆記具の把持位置)
▲2▼鉛筆を把持したときにできる手の形と力の入れ具合
▲3▼鉛筆を把持したときに鉛筆と紙面とがなす角度(筆記具の把持角度)
なお、上記把持角度とは、紙面に対する筆記具の傾斜角度である。
【0003】
ここで、本発明者が従来から独自に研究を続けて得られた調査結果によると、幼児・学童の約99%、さらに、指導者の約90%(専門職を含む)が筆記具を正しく把持できない状態にある。このような誤った筆記具の持ち方の原因としては、特に、幼児・学童の場合、筆記具を把持する位置の誤り、すなわち、上記要点▲1▼に問題があることが多い。
【0004】
たとえば、鉛筆を正しく把持できない幼児・学童の約80%は、図31(a)・(b)に示すように、鉛筆の先の削りしろ部を把持している。これは、幼児・学童が鉛筆を把持する際に、指が小さく指先に力がないため、保持し易い、削って細くなった部分を無意識に把持するからである。
【0005】
図30に示す正しい持ち方では、筆記具を動かして筆記を行う際には、人差指および中指が主導的な働きを担い、親指は、筆記具を支えるための補助的な働きをすることになる。しかしながら、図31(a)・(b)に示す誤った持ち方では、親指が主導的な働きを担うことになる。この結果、筆記具を滑らかに動かすことが困難となり、文字を上手に書くことができなくなる。
【0006】
加えて、図31(a)・(b)に示す筆記具の持ち方では、親指が人差指より前に出てくることになる。この場合、人差指自体の位置が正しくても、親指が人差指の前に出ているため、人差指の第二関節が尖るように曲がるとともに、小指と薬指とを握り込んでしまう。この結果、腕に余計な負担がかかり、筆記の際に身体に悪影響が及ぼされる。このような悪影響は、肩こりや目、腰、背柱の疲れ、あるいは、腱鞘炎などの病気を招来することになる。
【0007】
つまり、上記要点▲1▼の「筆記具の把持位置」に問題が生じると筆記具の持ち方が誤ったものになるが、さらに、要点▲1▼に問題に伴い要点▲2▼の「手の形と力の入れ具合」にも問題が生じる。このため、上手に文字が書けなくなるとともに、身体にまで悪影響が及ぼされる。さらに、上記要点▲1▼・▲2▼に問題が生じれば、要点▲3▼の「筆記具の把持角度」にも悪影響が及ぼされることは明らかである。
【0008】
そこで、上記の問題点を考慮した従来の被把持棒の持ち方練習具(以下、練習具と略記する)としては、特願平6−157568号に示されたものがある。この練習具101は、弾性材料にて形成され、たとえば、図32(a)・(b)に示すように、筆記具などの被把持棒を装着するための上下方向に貫通した孔102とこの孔102を取り巻く外周部104と孔102の径方向の外方へ突出する突出部103とを有し、この突出部103の少なくとも上面には、上記孔102に装着された被把持棒が把持されたときに親指を載置可能なほぼ平坦な当接面103aが形成されている。
【0009】
上記構成によれば、図32(c)に示すように、上記孔102に被把持棒である、たとえば鉛筆106を適当な位置まで差し込んで把持したとき、この孔102をほぼ円形に取り巻く外周部104に中指と人差指とを当接することができる。また、上記当接面103aに親指を載置し、中指と人差指とを上記外周部104に配することにより、人差指が親指よりも前に位置することになる。
【0010】
これによって、被把持棒を把持するときの手の形が、図30に示すような正しい形に設定される。このため、使用者は、被把持棒の正しい把持位置を維持することができる。また、この状態で把持された被把持棒は、紙面に対して50°〜60°に傾斜した状態となり、正しい把持角度を実現することができる。
【0011】
同様に、正しい箸の持ち方についても、上記筆記具の持ち方と基本的には同じことを言うことができる。すなわち、箸を把持した際には、下方の箸(以下、下方箸とする)がほとんど不動の状態となり、親指、人差指および中指で支持される上方の箸(以下、上方箸とする)が動かされることにより操作されるが、このとき、親指は上方箸に軽く当てがわれているだけである。また、上記人差指と中指の自由度が大きく保証されており、主に人差指と中指によって上方箸が動かされる。このように、正しい箸の持ち方によって、箸を円滑に操作することができる。
【0012】
これに対して、好ましくない箸の持ち方として多く見られる例は、下方箸において、親指よりも箸の先端よりに位置する薬指を正しい位置に置くことができない持ち方である(たとえば、握り箸、交わり箸など)。
【0013】
このような問題点を考慮した従来の箸の持ち方練習具としては実開昭61−176578号公報に開示されたものなどが知られている。また、上記の問題点を考慮した持ち方練習箸としては、従来からしつけ箸と称されるものが知られている。
【0014】
さらに、箸の持ち方練習具としては、特開平9−44078号公報に開示されたものが知られている。この箸の持ち方練習具(以下、単に練習具とする)は、たとえば、図35(a)・(b)に示すように、下方箸を装着するための孔204を有する外周部205と、この外周部205から孔204の径方向の外方へ突出する突出部206とを有している指案内部材202が2個からなっている。上記突出部206の上面206aおよび下面206bは、いずれもほぼ平坦となるように形成されている。
【0015】
この指案内部材202は、図36に示すように、箸201のうちの下方箸201bの先後方向に2個、手のひらの大きさに応じた所定間隔を有して、かつ互いの突出部206・206がほぼ120°の回転角度を有して対向するように嵌着自在に取り付けられている。
【0016】
このように指案内部材202・202が取り付けられた箸を把持すると、各突出部206・206の突出方向に対して親指の付け根付近の指腹部外側、および薬指の先端部付近の指腹部をほぼ直交するように当接させることができる。そのため、下方箸201bを安定して把持することができ、下方箸201bを絶えず不動状態とすることができる。このように下方箸201bが不動状態となると、上方箸201aを支持するための親指・中指・人差指の3本の指先を容易に規定することができる。その結果、箸201を正しく把持することが容易となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記筆記具の正しい持ち方においては、人差指が親指の前に位置しているため、人差指が当接する際に、該人差指の指腹部が筆記具の上側面から若干ずれることになる。これにより、人差指の指腹部全体が筆記具の上側面に当接することができなくなり、筆記具を把持する際に、人差指の当接状態が不安定になる。
【0018】
また、上記特願平6−157568号に示された練習具101は、図32(c)に示すように、筆記具などの被把持棒106を孔102に差し込んだ際に、被把持棒106の上側面に上記外周部104による段差105が生じる。この段差105の位置は、図33に示すように、該筆記具を把持する部分において、人差指が当接する位置に相当する。このため、通常の筆記具においても不安定となる人差指の当接状態は、上記の段差105のためにより不安定となる。
【0019】
人差指の当接状態がより不安定となると、筆記具を動かして筆記を行う際に、人差指が主導的な働きを担うことが困難となる。したがって、上手に文字を書くことができなくなる。さらに、人差指の位置がより不安定になれば、同じく外周部104に接する中指の位置も不安定になるとともに、筆記具に接することのない小指、薬指の位置にも影響が及ぼされるおそれがある。
【0020】
それゆえ、上記練習具101を用いた場合、使用者は、被把持棒の正しい把持位置をある程度は維持することが可能となる。しかしながら、筆記具を長期間使用するなどした場合、正しい把持位置の維持は未だ不十分であるという問題点を招来している。
【0021】
また、上記練習具101などは、筆記具などの被把持棒を正しく把持するための練習用のものである。そのため、練習具101を常時、実用的な筆記に使用することは煩わしく、正しい持ち方が習慣付くまで該練習具101を継続的に使用することが困難であるという問題点も招来している。
【0022】
さらに、被把持棒の正しい持ち方が維持できなければ、被把持棒の使用によって、前述したように腕に余計な負担がかかり、筆記の際に身体に悪影響が及ぼされるという問題点も招来することになる。
【0023】
一方、従来からの箸の持ち方練習具や持ち方練習箸の多くは、上方箸の自由度が小さくなるなどの問題点を有しており、正しい箸の持ち方を習得するための構造としては不十分である。これに対して、特開平9−44078号公報に開示された練習具では、上記の問題点の発生を回避し、正しい箸の持ち方を容易に実現することができる。しかしながら、突出部206により、親指の付け根付近の指腹部外側を規定するだけでは、親指を正確な位置に置くには未だ不十分となっているという問題点を有している。
【0024】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、被把持棒の持ち方を正しい持ち方に矯正することにより、被把持棒の使用の際に身体に悪影響を及ぼさず、日常的に使用可能で、かつ、使い易くすることができる持ち方矯正被把持棒と、被把持棒に装着することにより上記の効果を得ることができる被把持棒の持ち方矯正補助具とを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、上記の課題を解決するために、弾性材料にて形成され、被把持棒として箸を装着するための先端から後端へ貫通した孔が形成される外周部と、この外周部から上記孔の径の外方へ突出する第1突出部と、上記外周部から上記孔の径の外方へ突出する第2突出部とを備えており、さらに、上記各突出部には、各指を載置または当接させる第1ないし第6当接面が形成されており、上記第1当接面は、上記第1突出部において、箸が把持されたときに、該第1突出部の箸における後端側となる部位に形成され、上記第2当接面は、箸の先端側から見て、第1突出部を上方に位置した際に、該第1突出部の向かって左側となる側面と、この側面に連なる上記外周部の側面とによりほぼ平坦な面として形成され、上記第3当接面は、上記先端側から見て、第1突出部を上方に位置した際に、該第1突出部の向かって右側となる側面と、この側面に連なる上記外周部の側面と、該外周部の側面に連なる上記第2突出部における側面とにより、上記第1当接面よりも広い面積を有している面として形成され、上記第4当接面は、上記第2突出部における上記側面と対向する側の側面と、この側面に連なる上記外周部の側面とによる面として形成され、上記第5当接面は、上記第2突出部の上記後端側となる部位に形成され、上記第6当接面は、上記第2突出部の上記先端側となる部位に形成され、さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度が、90°以上180°以下となる範囲内であり、さらに、右手で箸を持つ場合、上記第1当接面は、親指の付け根の位置を規定し、上記第5当接面は、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定し、一方、左手で箸を持つ場合、上記第5当接面が親指の付け根の位置を規定し、上記第1当接面は、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定するように形成されていることを特徴としている。
【0026】
上記の請求項1記載の構成によれば、第1当接面によって親指の付け根の位置を規定し、第6当接面によって薬指の指腹部の位置を規定することが可能であり、これに加えて、第5当接面によって親指と人差指との間の指の股近傍の位置を規定することになる。そのため、親指の位置をより正しく規定することが可能となっている。
【0027】
また、第2当接面に中指を載置しても構わないため、箸を把持した際に中指の位置の規定も可能となる。そのため、手のひら全体において、正しい箸の持ち方をより正確に規定することができる。その結果、中指の自由度を維持しながら、親指、中指および薬指による下方箸の不動状態を維持しつつ、親指、中指および人差指により上方箸を動かして箸を良好に操作することができる。
【0028】
しかも、上記補助具については、右手で箸を把持する際だけでなく、左手で箸を把持することも可能である。
【0029】
本発明の請求項2記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、上記の課題を解決するために、上記請求項1記載の構成に加えて、上記第1当接面と第6当接面との間の間隔は、親指の付け根と人差指の付け根との間から中指の付け根と薬指の付け根との間までの距離の半分よりも大きく、かつ、親指の付け根と人差指の付け根との間から薬指の付け根までの距離の半分よりも小さい距離となっていることを特徴としている。
【0030】
上記請求項2記載の構成によれば、幼児、学童あるいは大人などの手のひらの大きさは千差万別であるが、持ち方矯正補助具の上記第1当接面と第6当接面との間の間隔を上記所定の距離に設定して形成することによって、使用者の手のひらの大きさに対応した持ち方矯正補助具を得ることができる。そのため、より一層被把持棒を正しい持ち方で把持することができる。
【0031】
また、上記持ち方矯正補助具における被把持棒に平行となる方向の長さを短くするものを用いることによって、該持ち方矯正補助具を、被把持棒の把持部における先端側と後端側とに2個装着して、第1当接面と第6当接面との間の間隔を適宜変化させることが可能である。このとき、上記各当接面の間隔を、上記所定の距離に設定することによって、使用者の手のひらの大きさに対応した持ち方矯正補助具とすることがより容易となり、該持ち方矯正補助具の汎用性を向上させることができる。
【0032】
本発明の請求項3記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、上記の課題を解決するために、上記請求項1記載の構成に加えて、上記外周部、第1突出部および第2突出部には、被把持棒に平行となる方向に直交する方向に、溝状の印が一定の間隔で形成されていることを特徴としている。
【0033】
上記請求項3記載の構成によれば、被把持棒の使用者の手のひらの大きさに応じて、上記持ち方矯正補助具を適当な長さに切断することが可能となる。そのため、上記持ち方矯正補助具の汎用性をより向上させることができる。
【0034】
本発明の請求項4記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、上記の課題を解決するために、上記請求項1記載の構成に加えて、さらに、上記第1突出部および第2突出部における上記先端側の端部をつなぐように設けられる第3突出部と、上記第1突出部および第2突出部における上記後端側の端部をつなぐように設けられる第4突出部とを備えることを特徴としている。
【0035】
上記請求項4記載の構成によれば、第3当接面上において、親指の形状にほぼ合致するような溝部が形成されることになる。そのため、第3当接面に親指を載置すると、溝部に親指を沿わせるだけで親指をより載置し易くなる。それゆえ、幼児・学童などの被把持棒の把持に慣れていない使用者でも、容易に正しい持ち方で被把持棒を把持することができる。
【0036】
本発明の請求項5記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、上記請求項1の構成に加えて、上記第1突出部および第2突出部が互いに平行となるように形成されているか、互いに線対称となるように傾斜して形成されており、かつ、第1突出部および第2突出部により形成される角度が120°となっていることを特徴としている。
【0037】
上記請求項5記載の構成によれば、特に、上記被把持棒が箸である場合には、右利きの使用者だけでなく、左利きの使用者についても好適に用いることが可能となる。そのため、上記持ち方矯正補助具の汎用性を向上させることができる。
【0038】
本発明の請求項6記載の持ち方矯正被把持棒は、上記の課題を解決するために、被把持棒として箸の把持される部位に、箸の断面の中心部から外方へ突出する第1突出部および第2突出部が形成されるとともに、さらに、上記各突出部には、各指を載置または当接させる第1ないし第3当接面が形成されており、上記第1当接面は、上記第1突出部の箸における後端側となる部位に形成され、上記第2当接面は、上記第2突出部の箸における後端側となる部位に形成されている一方、上記第3当接面は、上記第2突出部の箸の先端側となる部位に形成されており、さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度は、90°以上180°以下となる範囲内であり、さらに、右手で箸を持つ場合、上記第1当接面及び第2当接面は、親指の位置を規定し、上記第3当接面は、薬指の位置を規定するように形成されていることを特徴としている。
【0039】
上記請求項6記載の構成によれば、上記被把持棒を把持した際に、親指、人差指、中指の3指と持ち方矯正被把持棒との位置関係は物理的に規定される。このため、特に、上記被把持棒が箸である場合には、正しい持ち方で使用することがより容易にできるとともに、この持ち方を習得することによって、容易に正しい箸の持ち方を身に付けることができる。さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度が上記の範囲内であれば、各突出部に形成されている当接面に各指を適宜当接させることによって、正しい持ち方をより一層容易に実現することができる。しかも、上記の構成では、持ち方矯正被把持棒の使用方向を変化させることによって、該持ち方矯正補助具の使用者が右利きの場合だけでなく、左利きの場合であっても好適に用いることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
〔参考例1〕
本発明の参考例の一形態について、図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0041】
本参考例の形態の筆記具は、親指の位置がわかる突出部をこの筆記具を把持する部分(以下、被把持部とする)に設けるとともに、人差指を被把持部に当接し易くすることにより、特に練習具を使用しなくても正しい持ち方が理解でき、かつ、習慣化できるものである。
【0042】
本参考例の形態の持ち方矯正被把持棒としての筆記具1は、図1(a)に示すように、被把持棒である筆記具本体としてのボールペン2において、被把持部4に突出部3が形成されている。この突出部3は、図1(b)に示すように、たとえば、ボールペン2が六角形状の横断面を有しているとすると、六角形の1つの辺である該ボールペン2の上側面2aと突出部3の上側面3bとが人差指当接面5を形成するようになっている。
【0043】
上記突出部3は、予めボールペン2に形成されている。この突出部3は、ゴム・軟質ウレタン・コルクなどの弾性材料からなっていることが好ましいが特に限定されるものではない。たとえば、突出部3の材料としては、ボールペン2の本体に用いられている材料と同様のものを用いても構わない。つまり、筆記具1を持ったときに被把持部4の違和感が大きいため、該筆記具1が持ち難くなることが回避されればよい。
【0044】
この突出部3のボールペン2における後端側となる部位には、親指を載置可能とする親指当接面3aが形成されている。この親指当接面3aの形状は特に限定されるものではないが、たとえば、図1(a)に示すように、当接される親指の形状に適合した凹面の形状となっていることが好ましい。
【0045】
また、上記突出部3の上側面3bと、該上側面3bに連なるボールペン2の上側面2aとが、その上部に人差指を当接可能とするほぼ平坦な人差指当接面5として形成されている。この人差指当接面5は、元のボールペン2の上側面2aと比較して、上記上側面3bと連なって1つの面状となっているため、より広くなっており、これによって、人差指先端のほぼ指腹部全体が当接し得るようになっている。
【0046】
上記筆記具1の使用方法について以下に説明する。この筆記具1を把持する場合には、図2に示すように、人差指先端の中指側の指腹部を人差指当接面5に当接し、中指第1関節部付近の人差指側の側腹部とをボールペン2の横側面に当接する。さらに、親指第1関節部を親指当接面3aに載置する。
【0047】
これによって、親指、人差指、中指の3指と筆記具1との位置関係が物理的に規定される。したがって、筆記具1の「正しい把持位置」が決定され、「把持したときの手の形」および「適切な把持角度」が設定される。
【0048】
このとき、図2に示す各指の配置では、特に、親指は突出部3の親指当接面3aに軽く接するだけの状態となる。つまり、突出部3は、親指のすべり止めとして機能する。このため、親指に必要以上の力がかけられることは回避される。たとえば、図31(a)・(b)に示すような誤った持ち方における力の配分を10とするとならば、本発明の上記筆記具1では、約半分の5程度の力の配分で筆記することができる。これによって、筆記具1の「力の入れ具合」が適度なものとなる。すなわち、親指は筆記具1を支えるための補助的な働きをすることになる。
【0049】
一方、被把持棒の正しい持ち方では、人差指が親指の前に位置することから人差指先端が筆記具の上側面から若干ずれることになる。このため、従来の筆記具では人差指の当接状態が不安定となっていた。これに対して、本参考例の形態の筆記具1では、突出部3の上側面3bと、該上側面3bに連なるボールペン2の上側面2aとが、ほとんど段差のない平面状の人差指当接面5となっている。すなわち、突出部3の上側面3bは、ボールペン2の上側面2aの延長面として形成される。それゆえ、人差指当接面5は上記のようにもとのボールペン2の上側面2aよりも広くなっている。このため、筆記具1を把持した際に人差指が親指の前に位置しても、人差指の指腹部が全て人差指当接面5に当接することができる。この結果、筆記具1に対する人差指の当接状態が安定化する。
【0050】
したがって、筆記具1を上下に動かすための人差指の運動を安定して行うことが可能となる。さらに、親指および人差指の位置が安定化することによって、筆記具1に対する中指の当接も安定化する。このため、筆記具1を左右に動かすための中指の運動も安定して行うことが可能となる。
【0051】
その結果、上記筆記具1を使用すると、基本となる線を書く場合に、各指に必要以上の力がかけられることが回避され、滑らかに線を書くことができる。したがって、筆記の際に上手に文字を書くことができる。また、各指の当接状態が安定していることにより、被把持棒の正しい持ち方が維持し易くなる。このため、上記筆記具1を長時間使用しても腕に余計な負担がかからなくなり、身体に悪影響が及ぼされることを回避できる。
【0052】
また、本参考例の形態の持ち方矯正被把持棒は、前記のように、突出部3が被把持棒であるたとえばボールペン2に予め形成されている。このため、従来の被把持棒の持ち方矯正練習具(以下、練習具とする)と比較した場合、練習具を装着するなどの煩わしさが回避される。それゆえ、使用者は、筆記具1を筆記具の正しい持ち方の練習用として使用するのみならず、把持し易い筆記具として日常的に使用することができる。さらに、上記筆記具1を日常的に使用することによって、筆記具の正しい持ち方が習慣化され身に付けることができる。
【0053】
加えて、突出部3が弾性材料により形成されていれば、親指および人差指を配したときの感触に違和感が少なくなる。
【0054】
上述したような、筆記具の正しい持ち方をまとめると、次のようになる。
1.親指は、人差指、中指の働きを補助して筆記具を支え、かつ、人差指、中指の運動を妨げることなく自由性を保障するために用いられる。
2.人差指は、上から下方向に書く線(曲線、直線および異方向線)を書く場合に用いられる。
3.中指は、下から上方向に書く線(曲線、直線および異方向線)を書く場合に用いられる。
【0055】
つまり、筆記具を正しく把持して筆記を行うときは、親指、人差指、中指の3指の働きの分担はそれぞれ異なっている。なかでも、親指および人差指の被把持棒に対する位置関係が重要となる。それゆえ、この2本の指の位置関係が残りの指に影響を与えることになる。
【0056】
これに対して、本参考例の形態では、親指の位置を変える、すなわち、補助的な働きをする親指の指先が当接する部分を規定することにより、主導的な役目をする人差指、中指の働きを自由にすることができる。これによって、5本の指の関節15カ所と手首とを含めた関節を自由自在に動かすことができる。このような手の状態は、文字を書くときの正しい手の動きが行える状態である。
【0057】
さらに、このとき、人差指の当接する人差指当接面5が元の筆記具よりも広い面積を有しているため、人差指の当接状態が安定化し、人差指をより自由に動かすことができる。
【0058】
なお、上記突出部3の形状は、親指が当接できる、上記親指当接面3aに相当する部分が形成され、かつ、人差指当接面5となるほぼ段差のない平面が形成されていれば特に限定されるものではない。しかしながら、筆記具の使用者として幼児・学童を想定する場合は、図2に示すように、親指の形状に適合した凹状の形状を有する親指当接面3aが形成されていることが好ましい。
【0059】
つまり、幼児・学童は筆記具などの被把持棒の使用に不慣れなことが多い。そのため、筆記具を把持する際に、親指や人差指を配する位置を明確にすることによって、幼児・学童は各指の配置をより正確に行うことができる。したがって、幼児・学童にとってより把持し易い筆記具とすることができる。
【0060】
本参考例の形態の持ち方矯正被把持棒の他の例としては、図3(a)に示すように、被把持棒である筆記具本体としてのボールペン2に代えて、シャープペンシル12を用いた筆記具11であってもよい。このとき、上記突出部3に相当する突出部13は、筆記具11の被把持部4に備えられている着脱可能な緩衝材6上に形成されている。つまり、緩衝材6は、親指や人差指を筆記具11の被把持部4に当接させた際に、各指と被把持部4との当接状態を緩和できる材料からなっているものである。なお、緩衝材6の詳細については、参考例2において説明する。
【0061】
上記突出部13は、前述したように、ゴムなどの弾性材料で形成されていることが好ましいが、上記緩衝材6と同じ材質で形成されていることがより好ましい。加えて、突出部13と緩衝材6とが一体化されていてもよい。
【0062】
この突出部13のシャープペンシル12における後端側となる部位には、親指を載置可能とする親指当接面13aが形成されている。この突出部13は、図3(b)に示すように、緩衝材6の上側面と該突出部13の上側面とがほぼ平坦な人差指当接面14を形成するようになっている。
【0063】
従来の筆記具、すなわち、上記突出部13が設けられていないシャープペンシル12のみの筆記具では、図34に示すように、親指が人差指の前に出てくることになる。この状態では、親指や人差指、中指に強い力をかけなければシャープペンシル12を把持することができない。このとき、シャープペンシル12には上記緩衝材6が設けられているが、各指に強い力がかけられているため、緩衝材6によっては、各指のすべりをほとんど抑制することはできない。それゆえ、シャープペンシル12を把持するときの力は軽減されず、腕に余計な負担をかけることになる。
【0064】
これに対して本参考例の形態の筆記具11には、上記緩衝材6に突出部13が設けられている。このため、図2と同様に、筆記具11を持った使用者は、突出部13の親指当接面13aに親指を軽く当接し、かつ、人差指を人差指当接面14に当接するだけで、正しい持ち方ができるようになるとともに、筆記の際に身体に悪影響が及ぼされることを回避できる。しかも、このように各指を配するだけで、該筆記具11をほとんどすべることなく把持することができる。
【0065】
さらに、この状態では、上記突出部13によって、親指、人差指および中指にかけられる力が適度なものになる。このため、筆記具11を把持する際に各指に強い力をかける必要が回避され、従来のシャープペンシル12でほとんど機能しなかったすべり止めとしての緩衝材6は、人差指および中指に対して、すべり止めとして有効に機能することができる。
【0066】
さらに、突出部13は、上述したように、着脱可能な緩衝材6上に形成されているため、上記筆記具11から緩衝材6ごと突出部13を取外すことが可能となる。そのため、たとえば、突出部13が破損して持ち方矯正被把持棒として機能しなくなったとしても、緩衝材6を取り替えることによって突出部13を新しく取り付けることができる。また、緩衝材6として突出部13が形成されていないものに取り替えることもできる。さらに、突出部13の形状を他の形状のものに取り替えることもできる。
【0067】
本参考例の形態の持ち方矯正被把持棒の他の例としては、図4(a)に示すように、被把持棒である筆記具本体として毛筆22を用いた筆記具21であってもよい。
【0068】
上記筆記具21には、前記筆記具1および筆記具11と同様に、突出部23が形成され、該突出部23の毛筆22における後端側となる部位には、親指を載置可能とする親指当接面23aが形成されている。この突出部23は、図4(b)に示すように、毛筆22の上側面と突出部23の上側面とがほぼ平坦な人差指当接面24を形成するようになっている。
【0069】
この場合、人差指および中指の当接は、前記筆記具1または筆記具11の場合と同様であるが、図5に示すように、親指は、毛筆22に対して直交するように突出部23の親指当接面23aに当接される。この状態で把持された毛筆22は、紙面に対して70°〜80°に傾斜した状態で筆記を行うことになる。これによって、正しい持ち方で毛筆を把持することができるとともに、筆記の際に身体に悪影響が及ぼされることを回避できる。
【0070】
本参考例の形態の持ち方矯正被把持棒の他の例としては、図6(a)に示すように、被把持棒である筆記具本体として筆ペン27を用いた筆記具26であってもよい。
【0071】
上記筆記具26には、前記各筆記具と同様に、突出部28が形成され、該突出部28の筆ペン27における後端側となる部位には、親指を載置可能とする親指当接面28aが形成されている。この突出部28は、図6(b)に示すように、筆ペン27の筆ペン外装部27aにおける上側面と突出部28の上側面とがほぼ平坦な人差指当接面29を形成するようになっているが、この筆ペン外装部27aと突出部28とが一体化されていてもよい。
【0072】
さらに、人差指当接面29は、人差指が当接し易いように、人差指の形状に適合したゆるやかな凹部として形成されていてもよい。加えて、人差指が当接しない側の突出部28の側面である下側面は、筆ペン外装部27aの下側面とほぼ平坦な平面を形成する必要はなく、たとえば、親指当接面28aの面積を広くして、より親指を当接し易くするために凸部28bが形成されていてもよい。また、図示しないが、筆ペン外装部27aに中指が当接し易くなるような、たとえば、中指の形状に適合した凹部などが形成されていてもよい。
【0073】
つまり、突出部28は、その上側面が、少なくとも筆ペン27の上側面(すなわち、筆ペン外装部27aの上側面)とほぼ段差のない平坦な人差指当接面29を形成するように形成されていればよく、各指が当接し難くならない限り、その形状および材質は特に限定されるものではない。また、上記のように、親指、あるいは中指が当接し易いような構成が付与されていてもよい。
【0074】
以上のように、本参考例の形態の筆記具は、従来の練習具と比較して、特に人差指が当接し易いものとなっている。そのため、筆記具を持ったときに、各指をより正しい位置に配することができ、筆記具をより正しい持ち方で把持することができる。
【0075】
これに加えて、本参考例の形態の筆記具は、日常的な使用が可能となる実用的なものである。そのため、筆記具の持ち方の矯正および練習に加えて、通常の筆記にも使用することが可能となり、これによって、筆記具の正しい持ち方が習慣化する。また、筆記の際に身体に及ぼされる悪影響のほとんどは、筆記具の持ち方に誤りがあることに由来するものである。それゆえ、上記筆記具を使用することによって、筆記作業に伴う疲れや、腱鞘炎などの病気の招来が回避できる。
【0076】
〔参考例2〕
本発明の他の参考例の形態について図7ないし図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
本参考例の形態では、上記参考例1の持ち方矯正被把持棒において、被把持棒に直接形成されていた突出部が被把持棒から着脱可能とできるような構成となっている。すなわち、上記突出部は、被把持棒の持ち方矯正補助具(以下、補助具と略記する)として形成されており、被把持棒である筆記具とは別体となっている。
【0077】
本参考例の形態の補助具31は、弾性材料にて形成され、たとえば、図7(a)に示すように、筆記具としてたとえばボールペン32を装着するための先端から後端へ貫通した孔34aと、この孔34aを取り巻く外周部34と、この外周部34から上記孔34aの径の外方へ突出する突出部(第1突出部)33とを備えている。
【0078】
この突出部33の上側面と、該突出部33の上側面に連なる上記外周部34の上側面とが、図7(b)に示すように、その上部に人差指を当接可能とするほぼ平坦な人差指当接面(第2当接面)35として形成されている。このとき、人差指当接面35の面積は、後述するように、少なくとも人差指の指腹部の面積にほぼ対応している必要がある。
【0079】
外周部34は、ゴム・軟質ウレタン・コルクなどの弾性材料にて形成されている。たとえば、上記外周部34には、すべり止めとしての緩衝材を用いることができる。また、上記突出部33も外周部34と同様に、弾性材料により形成されていることが好ましい。さらに、上記孔34aは、使用対象として想定される筆記具、たとえば、図7(a)に示すようなボールペン32などの径よりもやや小さく形成されている。
【0080】
なお、外周部34は、図7(a)・(b)に示すような円筒状である必要はなく、被把持棒に装着できるのであれば、たとえば、横断面がC状となった外周部であってもよい。すなわち、上記の人差指当接面35が形成されており、かつ、筆記具に装着可能であるならば、その形状は特に限定されるものではない。
【0081】
また、この突出部33には、筆記具であるボールペン32が把持されたときに、突出部33のボールペン32における後端側となる部位に親指を載置可能とする親指当接面(第1当接面)33aが形成されている。
【0082】
上記補助具31は、図8に示すように、ボールペン32が孔34aに差し込まれ、持った際に補助具31が正しい把持位置となるように装着される。このとき、補助具31を筆記具に装着した場合、被把持部である補助具31の外周部34の径が元のボールペン32における被把持部の径と比較して若干大きくなる程度で、被把持部の軸が太くなりすぎないようになっている。
【0083】
そして、図9に示すように、人差指先端の中指側の指腹部を人差指当接面35に当接し、中指第1関節部付近の人差指側の側腹部とをボールペン32の横側面に当接する。さらに、親指第1関節部を親指当接面33aに載置し、ボールペン32を把持する。これによって、親指、人差指、中指の3指とボールペン32との位置関係を物理的に規定して、正しい持ち方でボールペン32を把持することができる。
【0084】
つまり、本参考例の形態の補助具31は、ボールペン32など通常に用いられている筆記具に装着するだけで、前記参考例1の持ち方矯正被把持棒と同一の効果を得ることができる。特に、本参考例の形態の補助具31は、上記のように弾性材料で形成されているため、異なる形状、具体的には、横断面が円形、正方形、あるいは三角形などの各筆記具に対応することができる。また、用いる筆記具の径が異なっている場合でも、所定の範囲内であれば対応することができる。これによって、親指および人差指を配したときの感触に違和感が少なくなる。加えて、外周部34が緩衝材からなっていれば、補助具31を使用することにより各指にかけられる力が適度なものになるため、筆記具を把持する際にすべり止めの効果を与えることができる。
【0085】
また、本参考例の形態の補助具31は、被把持棒においてその位置を適宜変化させることができる。このため、前記参考例1の持ち方矯正被把持棒と比較して、筆記具を同じ部位で使用することが回避される。そのため、筆記具の特定の部位のみが摩耗するような状態、たとえば、ボールペン32などでは、ボールの受皿部が同一の部位のみ摩耗してインクが出にくくなるなどの問題点が生ずることを抑制することができる。
【0086】
ところで、最近の文具市場の傾向として、把持し易さを特徴とした筆記具の商品化が多くなされている。このような筆記具には、筆記具の被把持部に特別な構成が付与されている。たとえば、ボールペンなどにおいて、該ボールペンにおける被把持部の横断面が三角形の形状にされたり、被把持部にすべり止めの緩衝材が用いられたり、同じく溝が形成されたり、あるいは、被把持部の軸が太くされるなどの商品が販売されている。
【0087】
上記の各構成は筆記具を把持し易くするためのものである。たとえば、緩衝材としてはゴムなどの弾性材料が用いられており、指の当接状態を緩和する効果を与える。また、被把持部への溝の形成は、指を当接した際に指腹部と当接面との摩擦を大きくしてすべり止めの効果を与える。さらに、被把持部の横断面を三角形にしたり、被把持部を太くしたりすることは、被把持部を把持し易くする効果を与える。
【0088】
そのため、該構成を有する筆記具は、筆記の際に力を入れても腕に負担がかからなかったり、筆記の際にかける力が軽減されるなどの効果が得られると考えられている。それゆえ、筆記具は把持し易くなり、該筆記具の使用に伴う疲れや書き難さを解消することができるといわれている。
【0089】
このような文具市場の傾向は、前述した筆記の際に身体に及ぼす悪影響が社会問題化していることに由来していると考えられる。しかし、身体に及ぼす悪影響のほとんどは筆記具などの被把持棒の持ち方に誤りがあるためである。このため、筆記具の被把持部に特別な構成を付与しても、被把持棒の持ち方を正しく矯正しない限り、筆記具が把持し易くなることは考えられない。したがって、上記のような把持し易いと言われる筆記具は、人間工学的または医学的見地から考慮しても何ら根拠のないものである。
【0090】
特に、被把持部の軸を太くした筆記具の場合、この筆記具を把持した際に、被把持部の軸が太すぎるため、各指にかけられる力を適宜加減することが困難となる。このような筆記具は、指先に力のない幼児・学童などにとっては把持し易いものとなっているが、各指に適度な力をかけることができる大人にとっては、上記の筆記具を使用すると逆に筆記の妨げとなってしまうことになる。
【0091】
ここで、本参考例の形態の補助具31が装着されたボールペン32などの筆記具は、その被把持部の径が元の筆記具の被把持部の径よりも若干大きくなっている程度である。このため、筆記具の被把持部が太くなりすぎず、筆記具を把持した際に各指にかけられる力を適宜加減することが可能になる。このため、ボールペン32などの筆記具を正しい持ち方で把持することができるとともに、より上手に文字を書くことができる。
【0092】
加えて、上記補助具31は、外周部34が緩衝材からなっていれば、より確実な筆記具のすべり止めとして使用することができる。このため、従来の練習具などと比較して、単なる筆記具の持ち方の練習だけでなく、該筆記具を把持したときのすべり止めとしても機能する、より実用的な被把持棒の持ち方矯正補助具として使用することができる。そのため、上記補助具31を装着したボールペン32などの筆記具の使用者は、日常的に使い易い筆記具として該筆記具を使用することができる。さらに、この筆記具を日常的に使用することで、筆記具の正しい持ち方が習慣化して身に付くことになる。
【0093】
また、本参考例の形態の補助具は、図10(a)・(b)に示すように、突出部37と外周部38とが一体化された補助具36であってもよい。突出部37には、上記補助具31と同様に、親指当接面(または第1当接面)37aが形成されている。また、この突出部37は、図10(b)に示すように、外周部38の上側面と突出部37の上側面とが、ほぼ段差のない人差指当接面(または第2当接面)39を形成するようになっている。さらに、外周部38には、筆記具を装着するための孔38aが形成されている。
【0094】
このとき、図11(a)に示すように、人差指当接面39の面積は、当接される人差指の指腹部40の面積にほぼ対応している必要がある。具体的には、上記補助具36において、外周部38の長さは、図7(a)に示した補助具31と比較して短くなっていても構わないが、外周部38と突出部37とからなる人差指当接面39の面積が、斜線の範囲で示した人差指の指腹部の大部分を覆うようになっていればよい。
【0095】
このような広い面積を有する人差指当接面39であれば、筆記具を正しい持ち方で把持したときに人差指はより当接し易くなる。このため、親指より前に位置することによって、人差指の当接が不安定になることは抑制され、人差指の当接状態がより安定化する。したがって、筆記具を正しい持ち方で把持することが行い易くなる。
【0096】
これに対して、従来の練習具101では、図11(b)に示すように、人差指に当接する外周部104は、上記指腹部40のほぼ半分程度の面積しか有していない。このため、図33に示すように、人差指の当接位置が不安定となる。
【0097】
また、本参考例の形態の補助具は、図12(a)・(b)に示すように、突出部42の下側面が突出して凸部42bを形成している補助具41であってもよい。すなわち、突出部42と外周部43との上側面により形成される人差指当接面(第2当接面)44がほぼ平面となっていて、突出部42に親指当接面(第1当接面)42aとなる部分が形成されていれば、その形状は限定されるものではない。上記凸部42bが形成されていることによって、親指当接面42aの面積が広くなり、より親指を載置し易くなる。
【0098】
さらに、図示しないが、上記親指当接面33a・37a・42aおよび人差指当接面35・39・44には、親指または人差指が当接し易いように、各指の形状に適合したゆるやかな凹部が形成されていてもよい。また、図示しないが、補助具31・36・41に中指が当接し易くなるように、たとえば、中指の形状に適合した凹部などが形成されていてもよい。
【0099】
以上のように、本参考例の形態の被把持棒の持ち方矯正補助具は、通常用いられている筆記具に装着することによって前記参考例1の筆記具と同様の効果を奏することができる。そのため、一つの補助具で様々な筆記具を持ち易くすることができるとともに、たとえば、鉛筆など、使用するにつれてその長さが変化するような筆記具に対しても好適に用いることができる。
【0100】
さらに、上記補助具は、従来の練習具などのように、単に、各指の位置を規定するためだけのものではなく、すべり止めとしても機能する。このため、上記補助具を装着した筆記具の使用者は、筆記具の正しい持ち方の練習だけでなく、日常的に使用する把持し易い筆記具として、該筆記具を使用することができる。さらに、上記筆記具を日常的に使用することによって、筆記具の正しい持ち方が習慣化して身に付くことになる。
【0101】
〔参考例3〕
本発明の他の参考例の形態について図13ないし図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
本参考例の形態では、前記参考例2における被把持棒の持ち方矯正補助具(補助具)において、各指の位置を規定する突出部が複数設けられている場合について説明する。
【0102】
まず、図13(a)・(b)に示すように、本参考例の形態の補助具46は、前記参考例2の補助具31における突出部33に相当する突出部を2つ備えている。この補助具46は、円筒状の外周部48に筆記具を差し込むための孔48aと、外周部48から外側へ突出するように、第1突出部47aおよび第2突出部47bとを備えている。
【0103】
上記第1および第2突出部47a・47bは、それぞれ外周部48の長手方向に沿うように設けられている。これら第1および第2突出部47a・47bは互いに平行となるように設けられていてもよいが、図13(a)に示すように、一方の突出部(第1突出部47a)が上記長手方向に対して若干傾斜するように形成されていてもよい。具体的には、図13(b)に示すように、傾斜している第1突出部47aは、補助具46を筆記具に装着した際における筆記具の先端側となる端部が、第2突出部47bに近接するように傾斜している。
【0104】
換言すれば、上記第1突出部47aと第2突出部47bとは、円筒状の外周部48における断面の円の中心部から放射状に突出しているが、この突出状態は、完全な放射状となっている必要はなく、適宜、放射状となる状態からずれていてもよい。また、上記第1突出部47aと第2突出部47bとによって形成される角度は90°〜180°範囲内であることが好ましく、120°前後であることが特に好ましい。
【0105】
ここで、図13(a)・(b)において、上記補助具46を筆記具に装着した際に、筆記具の先端側となる側を補助具46の前側とする。これに対して、筆記具の後端側となる側を補助具46の後側とする。なお、このような補助具46の前後関係については、図中、矢印で示している。
【0106】
上記第1突出部47aにおける後側の面は、第1当接面49aとなっている。また、図13(b)に示すように、補助具46を前側から見た際に、第1突出部47aを上方に位置した際に、該第1突出部47aにおける向かって左側となる側面と、この側面に連なる外周部48の側面とで、第2当接面49bが形成されている。
【0107】
一方、補助具46を前側から見た際に、第1突出部47aを上方に位置した際に、該第1突出部47aにおける向かって右側となる側面と、この側面に連なる外周部48の側面と、この外周部48の側面に連なる第2突出部47bの側面とで、第3当接面49cが形成されている。また、第2突出部47bにおける上記側面と対向する側の側面と、この側面に隣接する外周部48の側面とで、第4当接面49dが形成されている。
【0108】
なお、上記第2突出部47bの後側の面に第5当接面が形成され、この第5当接面とは対向する側の面、すなわち、第2突出部47bの前側の面には第6当接面が形成されているが、本参考例の形態における筆記具の把持には関与しないため、図13(a)・(b)では省略する。
【0109】
筆記具として鉛筆50を用いた場合に、上記補助具46を使用したとすると、図14(a)・(b)に示すように、2種類の持ち方で把持することができる。まず、図14(a)に示すように、第1の持ち方としては、補助具46を装着した鉛筆50を把持した際に、第1当接面49aに親指を当接し、第2当接面49bに人差指を当接し、第4当接面49dに中指を当接している。
【0110】
この場合、第1当接面49aに親指を載置することにより、人差指および中指の位置が、第2当接面49bおよび第4当接面49dで自然に決定されることになる。そのため、親指、人差指、中指の3指全ての位置が、補助具46一つによって、より正確かつ明確に規定されることになる。このため、該補助具46を装着した鉛筆50では、該鉛筆50の「正しい把持位置」が決定され、「把持したときの手の形」および「適切な把持角度」が設定される。その結果、鉛筆50に対する「力の入れ具合」が適度なものとなる。
【0111】
一方、図14(b)に示すように、第2の持ち方として、第3当接面49cに親指を載置する方法がある。このとき、人差指および中指は、図14(b)では明確に図示していないが、上記第1の持ち方と同様に、第2当接面49bおよび第4当接面49dに当接している。この把持方法によっても、親指、人差指、中指の3指全ての位置が補助具46によって決定されることになる。
【0112】
上記第1の持ち方と第2の持ち方とは、補助具46の使用者の手のひらの大きさによって適宜使い分けることができる。たとえば、手のひらの大きい人の場合、補助具46を装着した鉛筆50を把持する場合に、第2当接面49bに親指を載置すると、補助具46の長手方向の長さが手のひらの大きさより小さくなって、人差指および中指を当接する第2および第4当接面49b・49dに自然に各指が当接しないおそれがある。
【0113】
しかしながら、第1当接面49aに親指を載置すると、図14(a)に示すように、補助具46の長手方向の長さが手のひらの大きさに対応して、人差指および中指を第2および第4当接面49b・49dに自然に当接させることができる。
【0114】
これに対して、児童など手のひらの小さい人の場合には、第1当接面49aに親指を当接させると、補助具46の長手方向の長さが大きすぎることによって、第2および第4当接面49b・49dに当接する人差指および中指の状態が不自然となるおそれがある。
【0115】
一方、第3当接面49cに親指を当接させると、図14(b)に示すように、補助具46を短く把持することになる。そのため、補助具46の長手方向の長さが手のひらよりも大きい場合であっても、親指、人差指、中指の3指全ての位置が補助具46によって決定することができる。
【0116】
しかも、第3当接面49cは、第1当接面49aよりも広い面積を有しているため、幼児・学童のように被把持棒の把持に慣れていない使用者であっても、親指を載置し易くなる。このため、第3当接面49cに親指を載置する把持方法は、手のひらが小さくかつ被把持棒の把持に慣れていない使用者にとって好適な把持方法となっている。
【0117】
このように2つの突出部47a・47bを有する補助具46では、使用者の手のひらの大きさに対応して、適宜、把持方法を変えることができる。そのため、補助具46を手のひらの大きさに合わせたサイズ毎に複数種類製造したり、使用者が被把持棒の使用に慣れているか否かに応じて形状を変化させた複数種類を製造したりする必要がなく、汎用性を向上させることができる。
【0118】
したがって、上記鉛筆50を使用して筆記を行う際に、上記補助具46を用いることによって、必要以上の力がかけられることなく滑らかに文字を書くことができるため、上手な文字を書くことが可能になる。さらに、上記鉛筆50を長時間使用しても腕に余計な負担がかからなくなり、身体に悪影響が及ぼされることが回避される。
【0119】
なお、第3当接面により親指をより載置し易くするために、図15(a)〜(c)に示すように、第3当接面上に親指の形状にほぼ合致するような、立体構造が設けられていてもよい。
【0120】
たとえば、図15(a)に示すように、補助具56には、孔58aを備えている外周部58から互いに平行となるように放射状に突出している第1突出部57aおよび第2突出部57bを備えており、さらに、図15(c)に示すように、第1・第2突出部57a・57bの前側の端部をつなぐように、第3突出部57cを備えている。同様に、第1・第2突出部57a・57bの後側の端部をつなぐように、第4突出部57dを備えている。すなわち、第3・第4突出部57c・57dは、第1・第2突出部57a・57bに対して直交するような方向に設けられている。
【0121】
互いに平行となるように設けられている第1・第2突出部57a・57bと第3・第4突出部57c・57dとによって、図15(b)に示すように、第3当接面59c上において、親指の形状にほぼ合致するような溝部57eが形成されることになる。ここで、第1当接面59a、第2当接面59bおよび第4当接面59dは、図15(a)〜(c)に示すように、上記補助具46と同様の位置となるように、第1・第2突出部57a・57bによって形成されている。
【0122】
このような補助具56の場合では、第3当接面59cに親指を載置すると、図16に示すように、溝部57eに親指を沿わせるだけで親指をより載置し易くなる。それゆえ、幼児・学童などの被把持棒の把持に慣れていない使用者でも、容易に正しい持ち方で鉛筆50(被把持棒)を把持することができる。なお、この補助具56であっても、第1当接面59aに親指を載置する第1の把持方法で使用することが可能である。
【0123】
上記のような、補助具46または補助具56は、鉛筆50(被把持棒)の把持に必要な3指全ての位置をより正確かつ明確に規定することができるため、幼児・学童など筆記具の使用に不慣れな使用者に対して特に有効である。
【0124】
以上のように、本参考例の形態の被把持棒の持ち方矯正補助具は、通常用いられている筆記具に装着することによって前記参考例1の筆記具と同様の効果を奏することができる。そのため、一つの補助具で様々な筆記具を持ち易くすることができるとともに、たとえば、鉛筆など、使用するにつれてその長さが変化するような筆記具に対しても好適に用いることができる。
【0125】
さらに、上記補助具は、従来の練習具などのように、単に、各指の位置を規定するためのものではなく、すべり止めとしても機能する。このため、上記補助具を装着した筆記具の使用者は、筆記具の正しい持ち方の練習だけでなく、日常的に使用する把持し易い筆記具として、該筆記具を使用することができる。さらに、上記筆記具を日常的に使用することによって、筆記具の正しい持ち方が習慣化して身に付くことになる。
【0126】
なお、上記補助具の形状は、突出部が備えられていることにより親指当接面と人差指当接面とに相当する部分が形成され、かつ、該人差指当接面の面積が人差指の指腹部の大きさにほぼ対応していれば特に限定されるものではない。また、その材質や装着状態なども特に限定されるものではなく、使用する対象となる筆記具に応じて適宜選択することができる。さらに、突出部の数も特に限定されるものではなく、補助具を筆記具に装着したとき、各突出部は、筆記具を把持する際に必要な3指の位置を全て規定でき、かつ、該筆記具を把持した際に使用者が違和感を感じることがなければ3つ以上形成されていてもよい。
【0127】
〔参考例4〕
本発明のさらに他の参考例の形態について、図17に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
本参考例の形態では、前記参考例1および参考例2において被把持棒として用いられてきた筆記具に代えて、被把持棒としてスプーンが用いられている。
【0128】
本参考例の形態の持ち方矯正被把持棒は、図17(a)に示すように、被把持棒としてスプーン51を用い、このスプーン51の柄52が把持される部位に突出部53が形成されるとともに、この突出部53のスプーン51における後端側となる部位には、親指を載置可能とする親指当接面53aが形成されている。
【0129】
この突出部53の上側面53bと、該上側面53bに連なるスプーン51の上側面52aとが、図17(b)に示すように、その上部に人差指を当接可能とするほぼ平坦な人差指当接面54として形成されている。
【0130】
上記突出部53は弾性材料により形成されていることが好ましい。これによって、親指および人差指を配したときの感触に違和感が少なくなるとともに、スプーンを把持する際にすべり止めの効果がある。また、上記突出部53は、柄52と同一の材質によって形成されていてもよい。
【0131】
上記スプーン51を使用する際には、人差指先端の中指側の指腹部を人差指当接面54に当接し、中指第1関節部付近の人差指側の側腹部とをスプーン51の横側面に当接する。さらに、親指第1関節部を親指当接面53aに載置し、スプーン51を把持する。これによって、親指、人差指、中指の3指とスプーン51との位置関係を物理的に規定して、正しい持ち方でスプーン51を把持することができる。
【0132】
このとき、人差指当接面54は、前記参考例1における筆記具1などのように、ほとんど段差のない平面状であり、かつ、その面積も、もとのスプーン51の上側面52aよりも広くなっている。このため、人差指の当接状態が安定する。また、親指は突出部53の親指当接面53aに軽く当接していることにより、該親指にも必要以上の力がかけられることはない。したがって、上記のスプーン51を幼児に把持させ、食事に日常的に使用させることによって、スプーンの正しい持ち方が習慣化することになり、また、正しい箸の持ち方、使い方に移行し易くすることができる。
【0133】
なお、図示しないが、通常用いられているスプーンに対して、前記参考例2のような補助具を装着してもよい。これによっても上記のスプーンと同様の効果を得ることができる。また、該補助具は、スプーンの状態に適応させて、その材質や形状を適宜変化させることができる。
【0134】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図18ないし図23に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
本実施の形態では、前記参考例3における被把持棒の持ち方矯正補助具(以下、補助具と略記する)において、被把持棒として用いられてきた筆記具に代えて、被把持棒として箸が用いられている。
【0135】
まず、図18(a)〜(c)に示すように、本実施の形態の補助具61は、図13に示す補助具46と同様に突出部を2つ備えていている。この補助具61は、円筒状の外周部63に箸を差し込むための孔63aと、外周部63から外側へ突出するように、第1突出部62aおよび第2突出部62bとを備えている。
【0136】
上記第1および第2突出部62a・62bは、それぞれ外周部63の長手方向に沿うように設けられている。これら第1および第2突出部62a・62bは、前記補助具46における突出部47a・47bと同様に、図18(b)に示すように、第1突出部62aが上記長手方向に対して若干傾斜するように形成されていてもよい。この傾斜している第1突出部62aは、補助具61を箸に装着した際における箸の先端側となる端部が、第2突出部62bに近接するように傾斜している。
【0137】
換言すれば、上記第1突出部62aと第2突出部62bとは、円筒状の外周部63における断面の円の中心部から放射状に突出しているが、この突出状態は、完全な放射状となっている必要はなく、適宜、放射状となる状態からずれていてもよい。
【0138】
なお、上記第1・第2突出部62a・62bは、後側から前側に向かって先細りするように形成されていてもよい。さらに、第1・第2突出部62a・62bは、外周部63から見て外側へ向かって幅が狭くなるように形成されていてもよい。このように、第1・第2突出部62a・62bの形状を適宜変化させることによって、補助具61をより使い易くすることができる。
【0139】
上記第1突出部62aと第2突出部62bとによって形成される角度は、前記補助具46と同様に90°〜180°範囲内であることが好ましく、120°前後であることが特に好ましい。
【0140】
ここで、図18(a)〜(c)において、前記補助具46と同様に、上記補助具61を箸に装着した際に、箸の先端側となる側を補助具61の前側とする。これに対して、箸の後端側となる側を補助具61の後側とする。なお、このような補助具61の前後関係については、図中、矢印で示している。
【0141】
上記第1突出部62aにおける後側の面は第1当接面64aとなっている。また、上記第2突出部62bの後側の面に第5当接面64eが形成され、この第5当接面64eとは対向する側の面、すなわち、第2突出部62bの前側の面には第6当接面64fが形成されている。
【0142】
なお、前記補助具46と同様の位置に第2、第3および第4当接面が形成されているが、本実施の形態における箸の把持には関与しないため、図18(a)〜(c)では省略する。
【0143】
上記のように、本実施の形態における箸に用いられる補助具61は、各指の当接面が異なるだけで、前記参考例3における筆記具に用いられる補助具46とほぼ同様の構成となっている。そのため、外周部63が備えている孔63aの径が、箸の径にも筆記具の径にも合致するのであれば、前記参考例3の各補助具および本実施の形態の補助具は、箸にも筆記具にも用いることができる汎用性の高いものとなっている。
【0144】
特に、上記外周部が、ゴム、軟質樹脂、またはスポンジなどの弾性材料からなっていれば、孔の径をある程度変化させることができる。そのため、被把持棒の径に多少のばらつきがあったり、被把持棒の部位によって、その径が変化しているような場合であっても、充分に対応することができる。また、上記弾性材料で形成された外周部は、把持した時に使用者にとって違和感が少ないものとなっている。
【0145】
なお、被把持棒として用いられる箸は、先端部が後端部よりも細くなっていることが多い。そのため、上記のように外周部を弾性材料で形成してもよいが、予め、箸の径の変化に合わせた孔を有する外周部としてもよい。
【0146】
また、本実施の形態の補助具としては、図18(a)〜(c)に示す補助具61以外に、図19(a)〜(c)に示す補助具66や、図20(a)〜(c)に示す補助具71であってもよい。ここで、上記補助具66や補助具71は、その外周部および箸を差し込むための孔が箸の形状とほぼ合致するような形状である点が、上記補助具61とは異なっている。
【0147】
具体的には、まず、補助具66では、図19(a)〜(c)に示すように、外周部68の断面形状、すなわち孔68aの形状が正三角形状となっている点が、上記補助具61とは異なっている。この補助具66は、断面形状が三角形状の箸に対して好適に用いられるものとなっている。
【0148】
なお、それ以外の構成は、上記補助具61と同様であり、第1および第2突出部67a・67bは、図19(a)・(b)に示す通り、それぞれ外周部68の長手方向に沿うように、互いに平行となるように設けられている。また、第1および第2突出部67a・67bの形状は、上記補助具61と同様に、先細りしたり幅が狭くなるように形成されていてもよい。
【0149】
図19(a)〜(c)に示すように、上記外周部68の断面形状は正三角形状であるため、第1および第2突出部67a・67bによって形成される角度は、ほぼ120°となっている。上記第1突出部67aにおける後側の面は第1当接面69aとなっており、第2突出部67bにおける後側の面は、第5当接面69eとなっている。また、第2突出部67bにおける前側の面は、第6当接面69fとなっている。
【0150】
一方、補助具71では、図20(a)〜(c)に示すように、外周部73および孔73aの形状は上記補助具61と同様であり、その断面形状が円形状となっている箸に対して好適に用いられるものである。しかしながら、外周部73および第1・第2突出部72a・72bの長手方向に直交する方向に一定の間隔Jで溝状の印(以下、溝状印とする)73bが形成されている点が補助具71とは異なっている。この溝状印73bは、補助具71を適当な長さに切断するために用いられるものである。
【0151】
この溝状印73bは、たとえば、上記間隔Jが5mm〜10mm程度となるように形成されている。このとき、外周部73の厚さKが、たとえば2mm程度であったとすると、溝状印73bの深さMは、約1mm弱程度の深さとなるように形成する。また、このときの溝状印73bの溝幅Nとしては、約1mm弱程度となっている。
【0152】
上記溝状印73bの深さMについては、補助具71を箸に装着したり、取り外したりする際に、溝状印73bで容易に補助具71が切断されないとともに、カッターなどで補助具71を切断する際には、切断のための長さの指標となり得るように形成されている。
【0153】
上記のように溝状印73bが形成されていれば、被把持棒の使用者の手のひらの大きさに応じて、補助具71を適当な長さに切断することが可能となる。しかも、溝状印73bの深さMは、補助具71の使用において容易に切断されない程度の深さで形成されている。そのため、補助具71の汎用性をより向上させることが可能となる。なお、上述した溝状印73bの形成にかかる各条件(間隔Jや深さM、溝幅Nなど)については、適宜変更できる設計事項であるため、これに限定されるものではない。
【0154】
また、上記補助具61および補助具66と同様に、第1および第2突出部72a・72bは、図20(a)・(b)に示す通り、それぞれ外周部73の長手方向に沿うように、互いに平行となるように設けられている。さらに、第1および第2突出部72a・72bの形状は、上記補助具61と同様に、先細りしたり幅が狭くなるように形成されていてもよい。
【0155】
図20(a)〜(c)に示すように、上記第1突出部72aにおける後側の面は第1当接面74aとなっている。また、上記第2突出部72bの後側の面に第5当接面74eが形成され、この第5当接面74eとは対向する側の面、すなわち、第2突出部72bの前側の面には第6当接面74fが形成されている。
【0156】
ここで、第1・第2突出部72a・72bはその断面がほぼ正方形状となっている。そのため、上記補助具61や補助具66と比較して、第1・第2突出部72a・72bにおける各指の当接面は、より広い面積を有するようになっている。
【0157】
また、第1および第2突出部72a・72bによって形成される角度は、90°〜180°の範囲内であることが好ましく、ほぼ120°であることが特に好ましい。本実施の形態の補助具71については、図20(c)に示すように、突出部72a・72bにより形成されている角度が約120°となっている。
【0158】
上記各補助具(補助具61・66・71)を使用する際には、図21(a)・(b)および図22(a)・(b)に示すように、箸60を把持した場合に下側となる下方箸60bに該補助具を装着する。
【0159】
この箸60に対する補助具の取り付けは、補助具の後側の端部が、箸60の長さのほぼ1/4の位置となるように取り付けることが好ましい。これは、補助具の後側の端部には、箸60を把持した際に親指の位置を決定する第1当接面(第1当接面64a・69a・74a)が形成されており、親指の位置としてこの位置が本来的に好ましいためである。
【0160】
ここで、上記補助具(補助具61・66・71)における第1当接面と第6当接面との間の間隔Lは、手のひらの大きさに応じて親指の側腹付け根および薬指の第1間接の側腹の正しい位置における所定の距離となっている。
【0161】
すなわち、箸60を正しく持つためには、上記間隔Lが、図23に示すように、親指の付け根と人差指の付け根との間の点Pから中指の付け根との間の点Qまでの距離の半分よりも大きく、かつ、親指の付け根と人差指の付け根との間の点Pから手のひらにおける薬指の付け根との間の点Rまでの距離の半分よりも小さい距離となることが好ましい。
【0162】
つまり、
PQ/2≦L≦PR/2
となることが好ましい。
【0163】
幼児、学童あるいは大人などの手のひらの大きさは千差万別であるが、上記間隔Lを上述したような所定の距離となるように、外周部の長さ(箸に平行となる方向の長さ)を設定することによって、使用者の手のひらの大きさに対応した持ち方矯正補助具とすることができる。そのため、より一層被把持棒を正しい持ち方で把持することができる。
【0164】
従来の補助具である特開平9−44708号公報に開示されている補助具(指案内部材)202(図35(a)・(b)および図36に示す)の場合では、図23に示す親指の付け根の位置Sと、薬指の指腹部の位置とを規定するものであった。これに対し、本実施の形態の補助具(補助具61・66・71)では、突出部が2つ形成されていることから、親指と人差指との間の指の股近傍の位置Tをさらに規定することが可能となっているため、より正しい箸の持ち方で箸を使用することができる。
【0165】
たとえば、補助具66では、図21(a)に示すように、第1当接面69aによって親指の付け根の位置Sを規定し、第6当接面69fによって薬指の指腹部の位置を規定することが可能であることは、従来の補助具と同様である。これに加えて、補助具66では、第5当接面79eによって親指と人差指との間の指の股近傍の位置Tを規定することになる(位置SおよびTは図示せず)。そのため、親指の位置をより正しく規定することが可能となっている。
【0166】
また、図示しない第2当接面に中指を載置しても構わないため、箸60を把持した際に中指の位置の規定も可能となる。そのため、手のひら全体において、正しい箸60の持ち方をより正確に規定することができる。その結果、中指の自由度を維持しながら、親指、中指および薬指による下方箸60bの不動状態を維持しつつ、親指、中指および人差指により上方箸60aを動かして箸60を良好に操作することができる。
【0167】
同様に、図22(a)に示すように、補助具71の場合でも、第1当接面74aと第5・第6当接面74e・74fとにより、従来の補助具と比較して、正しい箸60の持ち方をより正確に規定することができる。
【0168】
しかも、上記各補助具(補助具61・66・71)のうち、補助具66および補助具71については、図21(b)および図22(b)に示すように、右手で箸を把持する際だけでなく、左手で箸を把持することも可能である。
【0169】
これは、補助具66および補助具71における各突出部(突出部67a・67bおよび突出部72a・72b)がそれぞれ平行となるように形成されており、かつ、各突出部で形成される角度がほぼ120°であるためである。
【0170】
補助具66について説明すると、図21(a)に示すように、右手で箸60を持つ場合、すなわち、使用者が右利きの場合では、第1突出部67aにおける第1当接面69aによって、上記親指の付け根の位置Sを規定し(図中□の側)、第2突出部における第5当接面69eによって、人差指との間の指の股近傍の位置Tを規定している(図中△の側)。これに対して、左手で箸60を持つ場合、すなわち、使用者が左利きの場合、図21(b)に示すように、第5当接面69eが親指の付け根の位置Sを規定し、第1当接面69aが人差指との間の指の股近傍の位置Tを規定することになる。
【0171】
つまり、左手で箸60を把持する場合には、第1当接面69aと第5当接面69eとの役割が逆転する。一方、薬指の位置を規定する第6当接面69fは、第2突出部67bに形成されているが(図中△の側)、図21(b)に示すように、左手で箸60を持つ場合、第1突出部67aの前側の面が第6当接面69fの役割を果たすことになる(図中□の側)。
【0172】
補助具71についても補助具66と同様であり、図22(a)に示すように、右手で箸60を持つ場合、すなわち、使用者が右利きの場合では、第1当接面74aによって、上記親指の付け根の位置Sを規定し、第2突出部における第5当接面74fによって、人差指との間の指の股近傍の位置Tを規定している。これに対して、左手で箸60を持つ場合、すなわち、使用者が左利きの場合、図22(b)に示すように、第5当接面74eが親指の付け根の位置Sを規定し、第1当接面74aが人差指との間の指の股近傍の位置Tを規定することになる。なお、第6当接面74fについても同様である。
【0173】
このように、補助具における2つの突出部がそれぞれ平行となるように形成されており、かつ、各突出部で形成される角度がほぼ120°であれば、右利きの使用者だけでなく、左利きの使用者についても好適に用いることが可能である。そのため、補助具の汎用性を向上させることができる。さらに、補助具の外周部が、上記のように弾性材料からなっていれば、箸の形状に影響されず、右手でも左手でも使用することが可能である。
【0174】
なお、補助具61は、第1突出部62aと第2突出部62bとが互いに平行となっていないため、使用者が左利きの場合には用いることができない。ただし、第1・第2突出部62a・62bが互いに線対称となるように傾斜しており、かつ、第1・第2突出部62a・62bにより形成される角度がほぼ120°となる場合には、使用者が右利きの場合でも左利きの場合でも好適に用いることができる。
【0175】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図24ないし図27に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
本実施の形態では、前記実施の形態1における被把持棒の持ち方矯正補助具(補助具)において、使用者の手のひらの大きさに対応して各指の位置を規定できるように、より汎用性を向上させた場合について説明する。
【0176】
前記実施の形態1では、補助具における第1当接面と第6当接面との間の間隔Lは、親指の付け根と人差指の付け根との間から中指の付け根と薬指の付け根との間までの距離の半分よりも大きく、かつ、親指の付け根と人差指の付け根との間から薬指の付け根までの距離の半分よりも小さい距離となっている。
【0177】
しかしながら、この間隔Lは、前記の補助具の場合、外周部の長さ(箸に平行となる方向の長さ)により固定されていることになる。そのため、補助具としての汎用性、すなわち、一つの補助具で様々な手のひらの大きさの使用者に対応させるには、あまり適していないことになる。
【0178】
そこで、上記外周部の長さを前記実施の形態1の場合よりも短くし、この短くした補助具を2個用いる。これによって、被把持棒の把持部における先端側と後端側とに上記2個の補助具を装着して、第1当接面と第6当接面との間の間隔Lを適宜変化させることが可能となる。そして、上記各当接面の間隔Lを、上記所定の距離に設定することによって、使用者の手のひらの大きさに対応した持ち方矯正補助具とすることがより容易となり、該持ち方矯正補助具の汎用性を向上させることができる。
【0179】
なお、前記実施の形態1における各補助具のほうが、各当接面の位置が安定しているため、本実施の形態の補助具よりも使用し易いものとなっている。しかしながら、補助具の汎用性を重視した場合、前記実施の形態1における各補助具は不十分である。そこで、本実施の形態における補助具の構成によって、前記補助具とほぼ同一の効果を得ながら、汎用性を向上させることができる。
【0180】
まず、図24(a)〜(c)に示すように、本実施の形態の補助具76は、図19に示す補助具76とほとんど同一の構成を有しているが、外周部78の長さが、補助具76における外周部78の長さよりも短くなっている。その代わりに、上記補助具76は2つ組み合わせて使用することにより、上記補助具76と同様の効果を得るようになっている。
【0181】
上記外周部78の長さは、2個の補助具76・76を互いに連続して並べたときに、2個の補助具76・76全体の長さが、上記所定の間隔Lよりも短くなるように形成されておれば、特に限定されるものではない。
【0182】
この補助具76は、前記補助具66と同様に、三角形状の断面を有する外周部78に箸を差し込むための孔78aと、外周部78から外側へ突出するように、第1突出部77aおよび第2突出部77bとを備えている。
【0183】
上記第1および第2突出部77a・77bは、それぞれ箸に平行となる方向に沿うように、互いに平行となるように設けられている。上記第1突出部77aと第2突出部77bとによって形成される角度は、前記補助具66と同様に、外周部78の断面が正三角形状となっているため、ほぼ120°となっている。
【0184】
上記補助具76における各指の当接面についても、前記補助具76と同様である。ただし、この補助具76・76は、2つ用いることによって、前記補助具66と同様の効果を奏するものとなっている。そのため、一方の補助具76が親指の位置を規定し、他方の補助具76が薬指の位置を規定するようになっている。なお、補助具76・76はどちらも同一の形状を有しているため、下方箸60bに装着する場合には、どちらが先端側に位置しても構わない。
【0185】
上記各当接面としては、具体的には、図24(a)〜(c)に示すように、第1突出部77aの後側の面が第1当接面79aとなっており、第2突出部77bの後側の面が第5当接面79eとなっている。また、第2突出部77bにおける前側の面は、第6当接面79fとなっている。
【0186】
本実施の形態の補助具としては、上記補助具76に限定されるものではなく、図25(a)〜(c)に示すように、外周部の断面が円形状となっている補助具81や、図26(a)〜(c)に示すように、突出部の断面がほぼ正方形状となっている補助具86であってもよい。なお、これら補助具81・86については、上記補助具76とほとんど同一の構成であるため、その説明を省略する。
【0187】
上記補助具76・76を箸60における下方箸60bに装着すると、図27(a)・(b)に示すように、2つの補助具76・76のうち、箸60の後端側に装着される補助具76は、親指の位置を規定する。これに対して、箸60の先端側に装着される補助具76は、中指および薬指の位置を規定する。
【0188】
このような各指の規定に関しては、前記実施の形態1の補助具66と同様であるが、本実施の形態の補助具76・76では、上記補助具66における外周部68の長さ、すなわち第1当接面69aと第6当接面69fとの間の間隔Lを、補助具76・76間の距離を手のひらの大きさに応じて適宜変化させることによって、設定することができる構成となっている。
【0189】
すなわち、前記実施の形態1においては、たとえば、補助具66では、親指の位置を規定する第1・第5当接面69a・69eと、薬指の位置を規定する第6当接面69fとの間の間隔Lは、外周部の長さによって決定されている(間隔Lについて図示せず)。しかしながら、この外周部の長さが使用者の手のひらの大きさに合致しない場合には、外周部の長さを適宜変化させた補助具を数種類製造するか、図20に示すような補助具71のように、外周部73および第1・第2突出部72a・72bに溝状印73bを形成して、使用者が、補助具71を適当な長さに切断するなどして、上記間隔Lと使用者の手のひらの大きさとを対応させていた。
【0190】
これに対して、本実施の形態の補助具76では、図27(a)に示すように、手のひらの小さい使用者に対しては、補助具76・76の間の距離Vを小さくすることができる。これに対して、図27(b)に示すように、手のひらの大きい使用者に対しては、補助具76・76の間の距離Vを大きくすることができる。このように、補助具76・76間の距離Vを変化させることによって、親指の位置を規定する第1・第5当接面79a・79eと、薬指の位置を規定する第6当接面79fとの間の間隔Lを、使用者の手のひらの大きさに適宜対応させることができる。
【0191】
そのため、前記実施の形態1の各補助具のように、上記間隔Lと使用者の手のひらの大きさを合わせるために数種類の補助具を製造したり、補助具を適宜切断したりする必要がなく、使用者の手のひらに最適な各指の位置の規定を行うことができる。また、本実施の形態の補助具76・81・86はそれぞれ、右利きの使用者であっても左利きの使用者であっても好適に用いることができるものであることはいうまでもない。
【0192】
なお、特開平9−44078号公報に開示されている補助具202(図35(a)・(b)に示す)でも、上記間隔Lを適宜変化させることが可能である。しかしながら、上記補助具202は、突出部が1つしか形成されておらず、また外周部の長さが本実施の形態の補助具と比較して短すぎるので、各指の当接状態を本実施の形態の補助具76・76のように、より正確に規定することができない。それゆえ、本実施の形態の補助具76・76のほうが、従来の補助具よりもより優れた補助具であるといえる。
【0193】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図28および図29に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
本実施の形態の被把持棒は、前記実施の形態1および2における第1・第2突出部に相当する突出部を箸に固定した構成を有している。
【0194】
具体的には、図28(a)・(b)に示すように、被把持棒である箸90における下方箸90bの被把持部となる位置に、該下方箸90bの断面の中心部から放射状に突出している4つの突出部91a・91bおよび突出部92a・92bが形成されている。
【0195】
第1突出部91は、上記突出部91a・91bからなっており、第2突出部92は、上記突出部92a・92bからなっている。上記突出部91aと突出部92aの後側の面が、それぞれ第1当接面94aと第2当接面94e(前記補助具61における第5当接面64eに相当)となっている。また、突出部92bの先端側の面が第3当接面94f(前記補助具61における第6当節面64fに相当)となっている。なお、上記第1・第2突出部91・92の形状は、上述したような構造に限定されるものではない。
【0196】
この箸90を把持すると、図29に示すように、第1・第2当接面94a・94eによって親指の位置が規定される。一方、第3当接面94fによって薬指の位置が規定される(各当接面は明示せず)。これによって、箸90を把持した際に、上方箸90aおよび下方箸90bに対して各指が正しい位置に規定され、正しい持ち方で箸90を把持することができる。
【0197】
しかも、従来の持ち方矯正被把持棒としての箸は、突出部が箸の先端部と後端部にそれぞれ1つしか形成されていないため、各指の当接状態を本実施の形態の箸90のように、より正確に規定することができない。それゆえ、本実施の形態箸90は従来よりもより正確に箸の正しい持ち方を規定することができる。
【0198】
このように、箸に対して、第1・第2突出部が固定されていれば、各指の当接をより安定化することができる。そのため、前記実施の形態1・2の各補助具と比較した場合に、その汎用性には劣るけれども、特に、幼児・学童など、被把持棒の使用に不慣れな使用者にとってより好適なものとなる。
【0199】
さらに、小学校などにおいて実施されている学校給食は教育の一環でもあるため、箸の持ち方についても教育がなされることになるが、この学校給食において、本実施の形態の箸90のような第1・第2突出部が下方箸に固定されている持ち方矯正被把持棒を用いると、より一層、正しい箸の持ち方を身に付け易くすることができる。
【0200】
ここで、本実施の形態の箸90は、前記実施の形態1および2における補助具のように、右利きの使用者のみならず、左利きの使用者に対しても好適に用いることができるものとなっている。これは、箸90の断面が、図28(c)に示すように、正三角形状であるため、第1突出部91および第2突出部92により形成される角度がほぼ120°となっているためである。
【0201】
なお、箸の断面としては、円形状や六角形状であれば、上記各突出部により形成される角度を120°とすることができるが、箸の断面が正方形状であれば、上記角度を120°とすることができない。そのため、右利きの使用者用として製造された箸では、左利きの使用者には用いることができない。このように、箸の断面が正方形状である場合は、前記補助具を箸に装着することで、右手でも左手でも使用することが可能となる。
【0202】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、以上のように、弾性材料にて形成され、被把持棒として箸を装着するための先端から後端へ貫通した孔が形成される外周部と、この外周部から上記孔の径の外方へ突出する第1突出部と、上記外周部から上記孔の径の外方へ突出する第2突出部とを備えており、さらに、上記各突出部には、各指を載置または当接させる第1ないし第6当接面が形成されており、上記第1当接面は、上記第1突出部において、箸が把持されたときに、該第1突出部の箸における後端側となる部位に形成され、上記第2当接面は、箸の先端側から見て、第1突出部を上方に位置した際に、該第1突出部の向かって左側となる側面と、この側面に連なる上記外周部の側面とによりほぼ平坦な面として形成され、上記第3当接面は、上記先端側から見て、第1突出部を上方に位置した際に、該第1突出部の向かって右側となる側面と、この側面に連なる上記外周部の側面と、該外周部の側面に連なる上記第2突出部における側面とにより、上記第1当接面よりも広い面積を有している面として形成され、上記第4当接面は、上記第2突出部における上記側面と対向する側の側面と、この側面に連なる上記外周部の側面とによる面として形成され、上記第5当接面は、上記第2突出部の上記後端側となる部位に形成され、上記第6当接面は、上記第2突出部の上記先端側となる部位に形成され、さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度が、90°以上180°以下となる範囲内であり、さらに、右手で箸を持つ場合、上記第1当接面は、親指の付け根の位置を規定し、上記第5当接面は、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定し、一方、左手で箸を持つ場合、上記第5当接面が親指の付け根の位置を規定し、上記第1当接面は、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定するように形成されている構成である。
【0203】
それゆえ、上記構成では、上記孔に被把持棒を適切な位置まで差し込んで把持することにより、親指、人差指、中指の3指と被把持棒との位置関係が上記持ち方矯正補助具によって物理的に規定される。
【0204】
その結果、第1当接面によって親指の付け根の位置を規定し、第6当接面によって薬指の指腹部の位置を規定することが可能であり、これに加えて、第5当接面によって親指と人差指との間の指の股近傍の位置を規定することになる。そのため、親指の位置をより正しく規定することが可能となっている。
【0205】
また、第2当接面に中指を載置しても構わないため、箸を把持した際に中指の位置の規定も可能となる。そのため、手のひら全体において、正しい箸の持ち方をより正確に規定することができるという効果を奏する。その結果、中指の自由度を維持しながら、親指、中指および薬指による下方箸の不動状態を維持しつつ、親指、中指および人差指により上方箸を動かして箸を良好に操作することができる。
【0206】
しかも、上記補助具については、右手で箸を把持する際だけでなく、左手で箸を把持することも可能である。
【0207】
本発明の請求項2記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、以上のように、上記請求項1記載の構成に加えて、上記第1当接面と第6当接面との間の間隔は、親指の付け根と人差指の付け根との間から中指の付け根と薬指の付け根との間までの距離の半分よりも大きく、かつ、親指の付け根と人差指の付け根との間から薬指の付け根までの距離の半分よりも小さい距離となっている構成である。
【0208】
それゆえ、上記構成では、使用者の手のひらの大きさに対応した持ち方矯正補助具を得ることができる。そのため、より一層被把持棒を正しい持ち方で把持することができる。また、該持ち方矯正補助具の汎用性を向上させることができるという効果を奏する。
【0209】
本発明の請求項3記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、以上のように、上記請求項1記載の構成に加えて、上記外周部、第1突出部および第2突出部には、被把持棒に平行となる方向に直交する方向に、溝状の印が一定の間隔で形成されている構成である。
【0210】
それゆえ、上記構成では、被把持棒の使用者の手のひらの大きさに応じて、上記持ち方矯正補助具を適当な長さに切断することが可能となる。そのため、上記持ち方矯正補助具の汎用性をより向上させることができるという効果を奏する。
【0211】
本発明の請求項4記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、以上のように、上記請求項1記載の構成に加えて、さらに、上記第1突出部および第2突出部における上記先端側の端部をつなぐように設けられる第3突出部と、上記第1突出部および第2突出部における上記後端側の端部をつなぐように設けられる第4突出部とを備える構成である。
【0212】
それゆえ、上記構成では、第3当接面上において、親指の形状にほぼ合致するような溝部が形成されることになるので、親指をより載置し易くなる。それゆえ、幼児・学童などの被把持棒の把持に慣れていない使用者でも、容易に正しい持ち方で被把持棒を把持することができるという効果を奏する。
【0213】
本発明の請求項5記載の被把持棒の持ち方矯正補助具は、以上のように、上記請求項1記載の構成に加えて、上記第1突出部および第2突出部が互いに平行となるように形成されているか、互いに線対称となるように傾斜して形成されており、かつ、第1突出部および第2突出部により形成される角度が120°となっている構成である。
【0214】
それゆえ、上記構成では、特に、上記被把持棒が箸である場合には、右利きの使用者だけでなく、左利きの使用者についても好適に用いることが可能となる。そのため、上記持ち方矯正補助具の汎用性を向上させることができるという効果を奏する。
【0215】
本発明の請求項6記載の持ち方矯正被把持棒は、以上のように、被把持棒として箸の把持される部位に、箸の断面の中心部から外方へ突出する第1突出部および第2突出部が形成されるとともに、さらに、上記各突出部には、各指を載置または当接させる第1ないし第3当接面が形成されており、上記第1当接面は、上記第1突出部の箸における後端側となる部位に形成され、上記第2当接面は、上記第2突出部の箸における後端側となる部位に形成されている一方、上記第3当接面は、上記第2突出部の箸の先端側となる部位に形成されており、さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度は、90°以上180°以下となる範囲内であり、さらに、右手で箸を持つ場合、上記第1当接面及び第2当接面は、親指の位置を規定し、上記第3当接面は、薬指の位置を規定するように形成されている構成である。
【0216】
それゆえ、上記構成では、上記被把持棒を把持した際に、親指、人差指、中指の3指と持ち方矯正被把持棒との位置関係は物理的に規定される。このため、特に、上記被把持棒が箸である場合には、正しい持ち方で使用することがより容易にできるとともに、この持ち方を習得することによって、容易に正しい箸の持ち方を身に付けることができる。さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度が上記の範囲内であれば、各突出部に形成されている当接面に各指を適宜当接させることによって、正しい持ち方をより一層容易に実現することができる。しかも、上記の構成では、持ち方矯正被把持棒の使用方向を変化させることによって、該持ち方矯正補助具の使用者が右利きの場合だけでなく、左利きの場合であっても好適に用いることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の参考例の一形態である持ち方矯正被把持棒である筆記具を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した筆記具のA−A線矢視断面図である。
【図2】図1に示した筆記具の使用状態を示す説明図である。
【図3】(a)は、持ち方矯正被把持棒の他の例である筆記具を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した筆記具のB−B線矢視断面図である。
【図4】(a)は、持ち方矯正被把持棒のさらに他の例である筆記具を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した筆記具のC−C線矢視断面図である。
【図5】図4に示した筆記具の使用状態を示す説明図である。
【図6】(a)は、持ち方矯正被把持棒のさらに他の例である筆記具を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した筆記具のD−D線矢視断面図である。
【図7】(a)は、本発明の参考例の他の形態である被把持棒の持ち方矯正補助具を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した補助具のE−E線矢視断面図である。
【図8】図7に示した補助具をボールペンに適用した場合の装着状態を示す説明図である。
【図9】図7に示した補助具をボールペンに適用した場合の使用状態を示す説明図である。
【図10】(a)は、被把持棒の持ち方矯正補助具の他の例を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した補助具のF−F線矢視断面図である。
【図11】(a)は、図10に示した被把持棒の持ち方矯正補助具における人差指当接面と人差指の指腹部との面積の比較を示す説明図であり、(b)は、従来の把持棒の持ち方矯正練習具における外周部と人差指の指腹部との面積の比較を示す説明図である。
【図12】(a)は、被把持棒の持ち方矯正補助具のさらに他の例を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した補助具のG−G線矢視断面図である。
【図13】(a)は、被把持棒の持ち方矯正補助具のさらに他の例を示す説明図であり、(b)は、(a)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図14】(a)は、図13に示した補助具を鉛筆に適用した場合の第1の持ち方による使用状態を示す説明図であり、(b)は、第2の持ち方による使用状態を示す説明図である。
【図15】(a)・(b)は、図13に示した被把持棒の持ち方矯正補助具の変形例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図16】図15(a)〜(c)に示した補助具を鉛筆に適用した場合の第2の持ち方による使用状態を示す説明図である。
【図17】(a)は、本発明の参考例の他の形態を示す持ち方矯正被把持棒としてのスプーンを示す説明図であり、(b)は、(a)に示したスプーンのH−H線矢視断面図である。
【図18】(a)・(b)は、被把持棒の持ち方矯正補助具のさらに他の例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図19】(a)・(b)は、図18に示した被把持棒の持ち方矯正補助具の変形例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図20】(a)・(b)は、図18に示した被把持棒の持ち方矯正補助具の他の変形例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態および断面の状態を示す説明図である。
【図21】(a)は、図19に示した補助具を箸に適用した場合において、箸を右手で把持している際の使用状態を示す説明図であり、(b)は、上記箸を左手で把持している際の使用状態を示す説明図である。
【図22】(a)は、図20に示した補助具を箸に適用した場合において、箸を右手で把持している際の使用状態を示す説明図であり、(b)は、上記箸を左手で把持している際の使用状態を示す説明図である。
【図23】図18ないし図20に示した補助具における第1当接面と第6当接面との間の所定間隔を算出するための説明図である。
【図24】(a)・(b)は、被把持棒の持ち方矯正補助具のさらに他の例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図25】(a)・(b)は、図24に示した被把持棒の持ち方矯正補助具の変形例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図26】(a)・(b)は、図24に示した被把持棒の持ち方矯正補助具の変形例を示す説明図であり、(c)は、(a)・(b)に示した補助具を前側から見た状態を示す説明図である。
【図27】(a)・(b)は、図24に示した補助具を箸に適用した場合の使用状態を示す説明図である。
【図28】(a)・(b)は、持ち方矯正被把持棒のさらに他の例を示す説明図であり、(c)は、(a)に示した持ち方矯正被把持棒のW−W線矢視断面図である。
【図29】図28に示した持ち方矯正被把持棒の使用状態を示す説明図である。
【図30】鉛筆の正しい持ち方を示す説明図である。
【図31】(a)および(b)は、鉛筆の誤った持ち方を示す説明図である。
【図32】(a)は、従来の被把持棒の持ち方矯正練習具の正面図であり、(b)は、(a)に示した従来の練習具の側面図であり、(c)は、(a)および(b)に示した従来の練習具を鉛筆に適用した場合の装着状態を示す説明図である。
【図33】図32(a)〜(c)に示した従来の練習具を鉛筆に適用した場合の使用状態を示す説明図である。
【図34】従来の筆記具の使用状態を示す説明図である。
【図35】(a)は、従来の被把持棒の持ち方矯正練習具の正面図であり、(b)は、(a)に示した従来の練習具の側面図である。
【図36】図35(a)・(b)に示した従来の練習具を箸に適用した場合の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1  筆記具(持ち方矯正被把持棒)
2  ボールペン(被把持棒)
3  突出部
3a 親指当接面
4  被把持部
5  人差指当接面
6  緩衝材
31  被把持棒の持ち方矯正補助具(補助具)
32  ボールペン(被把持棒)
33  突出部(第1突出部)
33a 親指当接面(第1当接面)
34  外周部
35  人差指当接面(第2当接面)
40  人差指の指腹部
46  被把持棒の持ち方矯正補助具(補助具)
47a 第1突出部
47b 第2突出部
48  外周部
49a 第1当接面
49b 第2当接面
49c 第3当接面
49d 第4当接面
50  鉛筆(被把持棒)
51  スプーン(持ち方矯正被把持棒)
53  突出部
53a 親指当接面
54  人差指当接面
60  箸(被把持棒)
66  被把持棒の持ち方矯正補助具(補助具)
67a 第1突出部
67b 第2突出部
68  外周部
69a 第1当接面
69e 第5当接面
69f 第6当接面
71  被把持棒の持ち方矯正補助具(補助具)
72a 第1突出部
72b 第2突出部
73  外周部
73b 溝状の印
74a 第1当接面
74e 第5当接面
74f 第6当接面
90  箸(持ち方矯正被把持棒)
91  第1突出部
92  第2突出部

Claims (6)

  1. 弾性材料にて形成され、被把持棒として箸を装着するための先端から後端へ貫通した孔が形成される外周部と、この外周部から上記孔の径の外方へ突出する第1突出部と、上記外周部から上記孔の径の外方へ突出する第2突出部とを備えており、
    さらに、上記各突出部には、各指を載置または当接させる第1ないし第6当接面が形成されており、
    上記第1当接面は、上記第1突出部において、箸が把持されたときに、該第1突出部の箸における後端側となる部位に形成され、
    上記第2当接面は、箸の先端側から見て、第1突出部を上方に位置した際に、該第1突出部の向かって左側となる側面と、この側面に連なる上記外周部の側面とによりほぼ平坦な面として形成され、
    上記第3当接面は、上記先端側から見て、第1突出部を上方に位置した際に、該第1突出部の向かって右側となる側面と、この側面に連なる上記外周部の側面と、該外周部の側面に連なる上記第2突出部における側面とにより、上記第1当接面よりも広い面積を有している面として形成され、
    上記第4当接面は、上記第2突出部における上記側面と対向する側の側面と、この側面に連なる上記外周部の側面とによる面として形成され、
    上記第5当接面は、上記第2突出部の上記後端側となる部位に形成され、
    上記第6当接面は、上記第2突出部の上記先端側となる部位に形成され、
    さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度が、90°以上180°以下となる範囲内であり、
    さらに、右手で箸を持つ場合、上記第1当接面は、親指の付け根の位置を規定し、上記第5当接面は、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定し、
    一方、左手で箸を持つ場合、上記第5当接面が親指の付け根の位置を規定し、上記第1当接面は、親指と人差し指との間の指の股近傍の位置を規定するように形成されていることを特徴とする被把持棒の持ち方矯正補助具。
  2. 上記第1当接面と第6当接面との間の間隔は、親指の付け根と人差指の付け根との間から中指の付け根と薬指の付け根との間までの距離の半分よりも大きく、かつ、親指の付け根と人差指の付け根との間から薬指の付け根までの距離の半分よりも小さい距離となっていることを特徴とする請求項1記載の被把持棒の持ち方矯正補助具。
  3. 上記外周部、第1突出部および第2突出部には、被把持棒に平行となる方向に直交する方向に、溝状の印が一定の間隔で形成されていることを特徴とする請求項1記載の被把持棒の持ち方矯正補助具。
  4. さらに、上記第1突出部および第2突出部における上記先端側の端部をつなぐように設けられる第3突出部と、
    上記第1突出部および第2突出部における上記後端側の端部をつなぐように設けられる第4突出部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の被把持棒の持ち方矯正補助具。
  5. 上記第1突出部および第2突出部が互いに平行となるように形成されているか、互いに線対称となるように傾斜して形成されており、かつ、第1突出部および第2突出部により形成される角度が120°となっていることを特徴とする請求項1に記載の被把持棒の持ち方矯正補助具。
  6. 被把持棒として箸の把持される部位に、箸の断面の中心部から外方へ突出する第1突出部および第2突出部が形成されるとともに、
    さらに、上記各突出部には、各指を載置または当接させる第1ないし第3当接面が形成されており、
    上記第1当接面は、上記第1突出部の箸における後端側となる部位に形成され、
    上記第2当接面は、上記第2突出部の箸における後端側となる部位に形成されている一方、
    上記第3当接面は、上記第2突出部の箸の先端側となる部位に形成されており、
    さらに、上記第1突出部と第2突出部とによって形成される角度は、90°以上180°以下となる範囲内であり、
    さらに、右手で箸を持つ場合、上記第1当接面及び第2当接面は、親指の位置を規定し、上記第3当接面は、薬指の位置を規定するように形成されていることを特徴とする持ち方矯正被把持棒。
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