JP2004042505A - タイヤ成形用金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全体鋳型2の形状に組み合わされた部分鋳型1のプロファイル面の所定箇所に、板厚が0.08mm以下の間仕切り板5を、間仕切り板5の一方の先端部が鋳枠3の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を部分鋳型1のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定し、部分鋳型1を間仕切りした状態で鋳造し、得られた鋳物8から間仕切り板5を取り外してピース鋳物9に分割し、ピース鋳物9を、ピース鋳物9相互間に空気抜きのための間仕切り板の板厚に対応した間隙10を形成した状態で、タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ成形用金型の製造方法に関する。さらに詳しくは、石膏鋳造法を用いて、部分金型相互間に形成される隙間等に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出することができるスリットベントタイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することができるタイヤ成形用金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ成形用金型は、タイヤのデザイン(表面形状)がシャープなコーナー部やブレードと称する薄肉の突起物を数多く有する複雑な形状であることに対応して、複雑な形状の形成に適した鋳造によって製造される場合が多い。
【0003】具体的な鋳造法としては、石膏等の崩壊性鋳型を用い低圧鋳造や重力鋳造して鋳物を得る石膏鋳造法又はセラミックモールド法や、鋼材等の非崩壊性鋳型を用い加圧鋳造して鋳物を得るダイキャスト法等を挙げることができる。
【0004】このような鋳造によって製造されるタイヤ成形用金型は、通常、部分金型に分割され、タイヤ成形時にこれらの部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられている。このような金型の分割方法としては、中心軸方向に2個の部分金型に分割する方法(2Pモールド)、及び円周に沿って、7〜11個の部分金型に分割する方法(セクショナルモールド)があるが、製造条件等に応じて適宜選択することができる。
【0005】例えば、石膏鋳造法を用いて2Pモールドのタイヤ成形用金型を製造する場合は、図43(a)〜(h)に示すように、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有するマスターモデル101を機械加工等によって形成し(図43(a))、このマスターモデル101の反転形状であるゴム型102を形成し(図43(b))、ゴム型102を用いて、その反転形状である部分鋳型103を必要個数形成し(図43(c))、各部分鋳型103を乾燥(焼成)させ、これを組み立てることができるように端面を切断する角度加工を行い(図43(d))、各部分鋳型103を組み立てることで1リング分の全体鋳型104を形成する(図43(e))。このようにして形成された全体鋳型104を、定盤108上に設置し、鋳枠105で囲い、全体鋳型104と鋳枠105との間隙に合金溶湯106を流し込み(図43(f))、合金溶湯106を硬化させることによって(図43(g))、所望のタイヤ形状の反転形状を有するタイヤ成形用金型107を製造していた(図43(h))。
【0006】また、石膏鋳造法を用いてセクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する場合は、図44(a)〜(j)に示すように、所望のタイヤ形状を円周方向に数分割した大きさの基本形状であるマスターモデル111を機械加工等によって形成し(図44(a))、このマスターモデル111の反転形状であるゴム型112を形成し(図44(b))、ゴム型112を用いて、その反転形状である部分鋳型113を必要個数形成し(図44(c))、各部分鋳型113を乾燥(焼成)させ、これを組み立てることができるように端面を切断する角度加工を行い(図44(d))、各部分鋳型113を組み立てることで1リング分の全体鋳型114を形成する(図44(e))。この際、反転形状の鋳物116に対応する各部分金型(セクター)118の端面(セクター端面)に加工代119を確保することができるように、部分鋳型113の両端部にも加工代をつけておき、必要に応じてダミー鋳型115を組み込むことで所定のリング直径に全体鋳型114を組み立てる。このようにして形成された全体鋳型114を、定盤120上に設置し、鋳枠121で囲い、全体鋳型114と鋳枠121との間隙に合金溶湯122を流し込み、合金溶湯122を硬化させる(図44(f)及び図44(g))。このようにして得られた鋳物116から全体鋳型114を取り外し(図44(h))、各セクター118に分割し、底面部をフライス加工して倒れ補正を行い、端面部をフライス加工し、外周面を旋盤(ターニング)加工して(図44(i))、タイヤ成形用金型123を製造していた(図44(j))。
【0007】また、セクショナルモードのタイヤ成形用金型を製造する方法には、図44(g)に示したような、セクター端面に加工代119を確保した状態で鋳造する方法以外に次のような方法がある。まず、上述した方法によって部分鋳型124を形成し、部分鋳型124を全体鋳型125を組み合わせる工程において加工代119を確保することなく、即ち、セクター端面に余剰部分が形成されない状態で組み合わせ、このように構成された全体鋳型125を定盤126上に設置し、鋳枠127で囲い、全体鋳型125と鋳枠127との間隙に合金溶湯128を流し込み(図45(a)及び図45(b))、所望の形状の鋳物129を鋳造する(図45(c))。このようにして得られた鋳物129を型バラシし、鋳物129の背面の余剰部分を機械加工し(図45(d))、ワイヤ放電加工機等を用いて部分金型(セクター)130に分割し(図45(e)及び図45(f))、得られた部分金型(セクター)130を型合わせしてタイヤ成形用金型131を製造する(図45(g))。
【0008】一方、ダイキャスト法を用いて、タイヤ成形用金型を製造する場合は、図46(a)〜(f)に示すように、所望のタイヤ形状を数十分割した大きさの形状の原型(ダイキャスト型)132を、鋼材等を用いて形成し(図46(a))、原型132を鋳枠133で囲み、溶湯134を加圧注湯して加圧鋳造を行い(図46(b))、ピース鋳物135を形成する(図46(c)及び図46(d))。以上の工程を、必要なピース数分繰り返して行い、複数の複製鋳物を形成する。次に、各ピース鋳物135を必要外周形状に機械加工し、機械加工した各ピース鋳物135を、バックモールド136内に配設してタイヤ成形用金型137を製造する(図46(e)及び図46(f))。図46(e)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型137を示し、図46(f)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型137を示している。
【0009】ダイキャスト法においては、鋼材等から形成した非崩壊性の原型132(図46(a)参照)を鋳型として用いられるために、原型132(図46(a)参照)の形状としては、所望のタイヤ形状をアンダーカットのない大きさまで分割しなければならない。例えば、図47に示すように、ダイキャスト型132にアンダーカット形状がある場合は、ピース鋳物135がアンダーカット形状138に入り込み、ダイキャスト型132からの脱型が不可能となる。このようにダイキャスト法では、鋳物の脱型時のアンダーカットを回避するために、微小ピース形態で鋳物を形成し、加工してリング形態に組み込む(アッセンブル)ことが必須となる。
【0010】上述した2種類の鋳造方法には、それぞれに利点と不都合とがあり、結局は、タイヤの用途、製造コスト等を考慮して使い分けられているのが現状である。
【0011】例えば、上述した石膏鋳造法は、石膏鋳型の段階での鋳型組み立て、及び形状修正が可能であるため、タイヤ成形用金型の最終形状レベルの、継ぎ目のない一体鋳物を寸法精度高く製作できる利点を有する。また、石膏鋳造法の場合、2Pモールドで2リング、セクショナルモールドで1リングで、1セット分のタイヤ成形用金型の鋳造を完結させられるのに対し、ダイキャスト法では多数回(通常50〜200回)に分けて鋳造しなければ、1セット分の鋳造が完了しない。このようなことから、リング鋳物としての寸法精度を考えた場合は、石膏鋳造法により得られた鋳物は、各部の寸法バラツキが小さく抑えられるのに対し、ダイキャスト法による鋳物は、鋳造回数分のバラツキの影響が現われ、寸法バラツキが大きくなることがある。
【0012】また、ダイキャスト法は、アンダーカット形状を付与することが不可能なのに対して、石膏鋳造法は崩壊性鋳型を用いていることから、アンダーカット形状に対しても自由度高く対応することができる。
【0013】一方、鋳物の凝固形態から考察すると、石膏鋳造法は、石膏鋳型が断熱素材であるために、溶湯の凝固は鋳物の背面側から意匠面側に向かって起こるため、肝心な意匠面側に鋳造欠陥を生じることがあるが、ダイキャスト法は、意匠面側からも凝固が起こるため、鋳造欠陥が生じづらいという利点を有している。
【0014】鋳物(タイヤ成形用金型)の製造コストの面では、鋳型の製作コストの比較となる。数千個以上の同一鋳物を大量に製造する場合は、ダイキャスト法がコスト的にメリットを有する場合があるが、タイヤ成形用金型の製造においては、このような大量生産を行うケースは殆ど無く、鋳型を安価に形成することができる石膏鋳造法に利点がある。また、石膏鋳造法は、完成形態に近い鋳物を製造することができることから、後加工に掛かるコストを低くすることができる。
【0015】このような製造方法により製造されたタイヤ成形用金型を用いたタイヤの成形は、通常、成形前(デザインを施される前)の重合ゴム素材等からなるタイヤ原材料(グリーンタイヤ)を、タイヤ成形用金型に押圧することによる成形(コンプレッション成形)により行われている。
【0016】このようなコンプレッション成形の成形過程においては、グリーンタイヤを金型に押圧したときに、骨やブレード等の凹凸が形成された金型の表面とグリーンタイヤとの間に閉じた空間(閉塞空間)が形成され、成形中に閉塞空間内の空気が排出されず、最終的に得られるタイヤ成形品に気泡が内包されて、いわゆる「ベア」と呼ばれる気泡欠陥が発生するという問題がある。
【0017】上述の「ベア」の発生を防止するためには、通常、金型から空気を抜く方法を講じることにより対処している。
【0018】このような空気抜きの方法としては、従来から、3種類の方法(ベントホールタイプ、スリットベントタイプ、及び開閉弁タイプ)が採用されている。
【0019】ベントホールタイプは、金型に、閉塞空間に連通する空気抜き孔(ベントホール)を設け、このベントホールを経由させて閉塞空間内の空気を外部に排出する方法で、金型そのものの製造コストが安価であるとともに、保守、点検についても、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、ドライアイスペレット等のメディアを高圧空気で吹き付ける、簡易なブラスト法を採用することが可能であるという利点がある。しかし、ベントホールタイプを用いた場合には、空気の排出に伴って、ベントホール中にタイヤ原材料(グリーンタイヤ)も流出するため、最終的なタイヤ成形品(タイヤ製品)にスピュー(ひげ状の突起部)が形成され、タイヤ成形品としての外観や初期走行性能が損なわれるという不都合もある。
【0020】スリットベントタイプは、部分金型を全体金型に組み立てた際の、部分金型相互間に形成される隙間、又は所定箇所に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出する方法で、タイヤ成形品としての外観性に優れ、また、初期の走行性能に支障をきたすことはないという利点がある。しかし、ノンスピュータイプ又はスリットベントタイプを用いた場合には、金型そのものの製造コストが高くなるという不都合がある。
【0021】開閉弁タイプのタイヤ成形用金型は、金型に開口したベントホールに、開閉弁機構を付与して、開状態の弁から閉塞空間内の空気を外部に排出し、排出完了とともに弁を遮断してタイヤ原材料(グリーンタイヤ)のベントホール中への侵入を防止することができる。この開閉弁タイプは、前述した、ベントホールタイプやスリットベントタイプのタイヤ成形用金型の有する問題点を克服したものであるが比較的新しい技術で広く普及するに至っていない。
【0022】上述した3種類の方法の中では、ジグソーパズルのようなタイヤ成形用金型の分割模様が、タイヤ外観に対して一種の審美性をも与えるといった固定観念もあり、現在でもノンスピュー(スピューレス)のタイヤ成形用金型としては、スリットベントタイプが一般的に用いられている。
【0023】しかしながら、このスリットベントタイプのタイヤ成形用金型は、ピース状の部分金型を組み立てた際の隙間から空気を排出する構成となっているために、その製造方法としては、ダイキャスト法を用いて製造されているが、前述したように、ダイキャスト法においては、ピース鋳物毎に加工を行わなければならず、コスト高になるという問題があった。
【0024】また、石膏鋳造法を用いて、ダイキャスト法のようにピース鋳物を個々に鋳造して、スリットベントタイプのタイヤ成形用金型を製造することも当然可能であるが、大きく且つ完成形態に近く鋳造して、後加工を少なくするという石膏鋳造法の利点が失われてしまうという問題があった。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、石膏鋳造法を用いて、部分金型相互間に形成される隙間等に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出することができるスリットベントタイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することができるタイヤ成形用金型の製造方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明は、以下のタイヤ成形用金型を提供するものである。
【0027】
[1] タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型を形成し、前記全体鋳型を鋳枠で囲い前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記タイヤの反転型であるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記全体鋳型の形状に組み合わされた前記部分鋳型のプロファイル面の所定箇所に、板厚が0.08mm以下の間仕切り板を、前記間仕切り板の一方の先端部が前記鋳枠の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を前記部分鋳型のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定して、前記部分鋳型を間仕切りし、前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に前記溶湯を流し込み硬化させて、前記間仕切り板を鋳包んだ状態で前記全体鋳型の反転型である鋳物を鋳造し、前記鋳物の外周面を機械加工し、前記鋳物から前記間仕切り板を取り外して、前記鋳物をピース鋳物に分割し、前記ピース鋳物を、前記ピース鋳物相互間に空気抜きのための前記間仕切り板の板厚に対応した間隙を形成した状態で、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
【0028】
[2] タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型を形成し、前記全体鋳型を鋳枠で囲い前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記タイヤの反転型であるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記全体鋳型の形状に組み合わされた前記部分鋳型のプロファイル面の所定箇所に、壁厚が0.08mm以下の間仕切り筒を、前記間仕切り筒の一方の先端部が前記鋳枠の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を前記部分鋳型のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定して、前記部分鋳型の一部を区画し、前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に前記溶湯を流し込み硬化させて、前記間仕切り筒を鋳包んだ状態で前記全体鋳型の反転型である鋳物を鋳造し、前記鋳物の外周面を機械加工し、前記鋳物から前記間仕切り筒を取り外して、前記鋳物をピース鋳物に分割し、前記ピース鋳物を、前記ピース鋳物相互間に空気抜きのための前記間仕切り筒の壁厚に対応した間隙を形成した状態で、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
【0029】
[3] 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒が、前記鋳型の表面部近傍を除いた鋳包まれる部分の表面に、可塑性を有するとともに前記溶湯に対して溶損、融着しない材質の板状部材を固定されてなる前記[1]又は[2]に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0030】
[4] 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒が、その鋳包まれる部分に交叉した状態で、前記溶湯に対して溶損、融着しない材質の位置決め部材原型を固定されてなり、前記鋳物に形成される前記位置決め部材原型の反転型である凹部に前記位置決め部材原型と同一形状の位置決め部材を挿入して前記ピース鋳物を位置決めし、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせる前記[1]〜[3]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0031】
[5] 前記鋳物の外周面を機械加工する前に、前記鋳物を外力により変形させて、その外周面の真円度を矯正する前記[1]〜[4]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0032】
[6] 前記鋳物の外周面を機械加工する前に、前記鋳物の直径の拡張矯正を行うとともに、その外周面の機械加工によって前記ピース鋳物に分割し、前記ピース鋳物相互間の前記間隔の増加分を、対応する肉厚のアルミ合金板を前記ピース鋳物の側面に固定する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0033】
[7] 前記鋳物の外周面を機械加工する前に、前記鋳物の直径の縮小矯正を行うとともに、その外周面の機械加工によって前記ピース鋳物に分割する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0034】
[8] 前記部分鋳型として、発泡石膏材料からなるものを用いる前記[1]〜[7]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0035】
[9] 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒として、鋼板又はニッケル合金からなるものを用いる前記[1]〜[8]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0036】
[10] 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒として、その鋳包まれる部分に貫通孔を有してなるものを用いる前記[1]〜[9]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明(第一の発明及び第二の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0038】まず、本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。図1(a)に示すように、本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型1を形成し、図1(b)に示すように、複数の部分鋳型1をタイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型2を形成し、図1(c)に示すように、全体鋳型2を鋳枠3で囲い、全体鋳型2と鋳枠3との間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって、図1(d)に示すようなタイヤの反転型であるタイヤ成形用金型4を製造する方法であって、図2(a)に示すように、複数の部分鋳型1をタイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型2を形成した際に、図2(b)及び図2(c)に示すように、全体鋳型2の形状に組み合わされた部分鋳型1のプロファイル面の所定箇所に、のぞましくは、意匠上の空気の溜まりやすい閉塞空間を横断するように、板厚が0.08mm以下の間仕切り板5を、間仕切り板5の一方の先端部が鋳枠3(図1(c))の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を部分鋳型1のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定して、部分鋳型1を間仕切りし、図2(d)に示すように、全体鋳型2を、定盤6上に設置し、鋳枠3で囲い、全体鋳型2と鋳枠3との間隙に溶湯7を流し込み硬化させて、図2(e)に示すように、間仕切り板5を鋳包んだ状態で全体鋳型2の反転型である鋳物8を鋳造し、得られた鋳物8の外周面を機械加工し、図2(f)に示すように、鋳物8から間仕切り板5を取り外して、鋳物8をピース鋳物9に分割し、図2(g)に示すように、ピース鋳物9を、ピース鋳物9相互間に空気抜きのための間仕切り板の板厚に対応した間隙10を形成した状態で、タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とする。
【0039】具体的には、まず、図3(a)に示すような全体鋳型2を形成する。本実施の形態においては、タイヤの形状を上下に2分割した2Pモールのタイヤ成形用金型を製造するための全体鋳型2を示している。全体鋳型2を形成する材料としては、発泡石膏や非発泡の石膏を用いることができ、特に、全体鋳型2に間仕切り板5(図2(c)参照)を打ち込むことから、鋳型内部に材料逃げ空間となる気泡が無数に存在している発泡石膏を用いることが好ましい。このような発泡石膏から形成された全体鋳型2は、間仕切り板5(図2(c)参照)を打ち込む際の抵抗が少なく、打ち込まれた間仕切り板5(図2(c)参照)により排出されるべき石膏材が気泡内に逃げることで鋳型欠損を生じることがない。
【0040】次に、図3(b)及び図3(c)に示すように、鋼材等からなる板素材11を所望の形状、のぞましくは、意匠上の空気の溜まりやすい閉塞空間を横断するように曲げ加工して、全体鋳型2(図3(a)参照)を円周方向で分断するための間仕切り板5を形成する。この間仕切り板5の厚さとしては、0.08mm以下とすることが好ましく、0.005〜0.08mmとすることがさらに好ましい。このように構成することによって、得られたタイヤ成形用金型4(図1(d)参照)において、間仕切り板5によって形成された間隙10(図2(g)参照)を、空気を排出するためのスリットとして利用することができるとともに、タイヤ原材料(グリーンタイヤ)がスリットに入り込むことを防止することができる。また、このような間仕切り板5の材料としては、0.08mm以下の板厚であっても全体鋳型2(図3(a)参照)に容易に挿し込むことができる強度を有し、比較的安価に均一な板厚のものを入手でき、且つ、アルミ合金に鋳包ませた際に溶損及び融着しないものでなければならないことから、鋼材又はニッケル合金を好適例として挙げることができる。
【0041】また、間仕切り板5は、曲げ加工することなく平板の状態で用いることもできるが、所望の形状に曲げ加工することによって、タイヤ成形用金型4(図1(d)参照)における、空気を排出するスリット部分の面積を多くすることができる。
【0042】また、間仕切り板5の表面に、カーボン系やボロンナイトライド系の離型剤を塗布することによって、得られた鋳物から間仕切り板5を容易に取り外すことができる。
【0043】次に、図3(d)に示すように、全体鋳型2の形状に組み合わされた部分鋳型1のプロファイル面の所定箇所に、間仕切り板5を、間仕切り板5の一方の先端部が鋳枠3(図2(d)参照)の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を各部分鋳型1のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定する。間仕切り板5の先端部が鋳枠3(図2(d)参照)の内表面から10mm未満であると、鋳造時に、各間仕切り板5間で溶湯の流れ込み量やリング内での湯回り状態に差を生じ鋳造欠陥を生ずることがあり、また、鋳物の凝固・冷却収縮挙動時に、破損や形状の変形が起こり易くなるために好ましくなく、また、50mmを超えると、溶湯の凝固時間が長くなり鋳造欠陥を生ずることがあり、また、鋳造時に、材料のロスが多くなり過ぎるために好ましくない。
【0044】間仕切り板5は、全体鋳型2にそのまま打ち込むこともできるが、ホルダー12等を用いて間仕切り板5を固定して、全体鋳型2に打ち込むことが好ましい。また、間仕切り板5に超音波振動等を与えながら打ち込みを行ってもよい。
【0045】図3(e)に示すように、全体鋳型2内への間仕切り板5の打ち込み量は、間仕切り板5を支えられる必要最低限であればよい。また、打ち込み位置は、鋳型プロファイル面を完全に分断し、且つ得られる鋳物製品をほぼ全域に渡って分断できるような位置とする。
【0046】図3(f)に示すように、全体鋳型2の全周、即ち、本実施の形態においては360°に渡って、間仕切り板5を打ち込む。図3(f)においては、図面の都合上、間仕切り板5の枚数は少なめに示されているが、この枚数に限定されることはなく、全体鋳型2に打ち込むことができれば、間仕切り板5を打ち込む枚数に制限はない。
【0047】次に、間仕切り板5を打ち込んだ全体鋳型2を、図4(a)に示すように、鋳枠3で囲み、全体鋳型2と鋳枠3との間隙に溶湯7を流し込み鋳造する。この際、間仕切り板5と鋳枠3内面間に10〜50mm程度の隙間を設けることが好ましく、このように構成することによって、鋳造時の正常な湯流れを確保することができるとともに、鋳造後の鋳物8(図2(f)参照)で、間仕切り板5で分割されたピース鋳物9(図2(f)参照)の連結力を確保することができる。本実施の形態においては、溶湯としてアルミニウム溶湯を用いている。
【0048】次に、図4(b)に示すように、全体鋳型2(図4(a)参照)を高圧水洗浄などで崩壊除去し、得られた鋳物8を旋盤13に設置し、押湯の除去と、背面側の形状出し加工を行う。この際、図4(c)に示すように、得られた鋳物8の一部の箇所にピース連結部14となる部分(アルミ合金連続形状部)を残すように旋盤加工する。
【0049】次に、図4(d)に示すように、一旦鋳物8を旋盤13から取り外し、この鋳物8を上下転倒させて専用ホルダー15に嵌め込み、再度旋盤13に設置して、ピース連結部14を切削加工する。この工程は旋盤13ではなく、フライス盤を用いて加工してもよい。
【0050】鋳造で鋳包まれた間仕切り板5は、図4(e)に示すように、アルミ合金等の鋳物8と融着しない材料から形成されているため、上述したようにピース連結部14を切削除去することによって、各ピース鋳物(部分金型)9を簡単に分離することができる。このようにして得られた各ピース鋳物9をバックモールドに嵌め込みタイヤ成形用金型を製造する。
【0051】このように構成することによって、図4(f)に示すように、部分金型9相互間に形成される隙間10に形成されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出することができるスリットベントタイプのタイヤ成形用金型を、ダイキャスト法のように各ピース鋳物9を個別に製造することなく、タイヤ成形用金型の最終形状に近い全体鋳型2(図3(a)参照)を用いる石膏鋳造法によって、簡易且つ効率的に低コストで製造することができる。
【0052】また、図5(a)に示すように、本実施の形態に用いられる間仕切り板5は、間仕切り板5の鋳型打ち込み部に、肉盗み16を設けた形状のものや、図5(b)に示すように、全体鋳型2(図3(f)参照)に打ち込み易くするための刃17を設けた形状のものであってもよい。
【0053】また、図6に示すように、間仕切り板5として、製品部18側内に貫通孔19を穿設したものを用いて、全体鋳型に打ち込んでもよい。この貫通孔19内に鋳造された連結部を介して、左右のピース鋳物9(図4(f)参照)が連結した状態となる。このように構成することによって、外周面加工を完了しても、各ピース鋳物9(図4(f)参照)が連結したリング状態で維持されるため、ピース連結部9(図4(f)参照)を切削加工する際に、専用ホルダー15(図4(d)参照)が不用となる。切削加工後のピース鋳物9(図4(f)参照)の分離は、この貫通孔19内に形成された連結部を叩き折ればよい。このため、貫通孔19の直径は、切削加工中もピース鋳物9(図4(f)参照)をリング状態に保持することができ、且つ簡単に叩き折れる程度、例えば、φ5〜φ20mm程度であることが好ましい。
【0054】また、図7に示すように、タイヤ半径方向、及び円周方向に対してアンダーカットのない形状に曲げ加工した間仕切り板5を用いた場合は、図8に示すように、得られるタイヤ成形用金型の各ピース鋳物9の組み合わせ面20にはアンダーカット形状がなく、図9(a)及び図9(b)に示すように、各ピース鋳物9をタイヤ成形用金型の半径方向A、及び円周方向Bのどちらでも嵌め合わせることができる。
【0055】また、図10に示すように、タイヤ円周方向のみにアンダーカットを有する形状に曲げ加工した間仕切り板5を用いた場合は、図11に示すように、得られるタイヤ成形用金型の各ピース鋳物9の組み合わせ面20の円周方向に、アンダーカット形状を有し、図12(a)及び図12(b)に示すように、各ピース鋳物9をタイヤ成形用金型の半径方向Aには嵌め合わせることができるが、円周方向Bには外すことができない。
【0056】このようにアンダーカット形状を有する間仕切り板5(図10参照)を用いることによって、ピース鋳物9を組み立てた後に、外部からの支持や固定等をすることなく、リング状にピース鋳物9間を仮接合しておくことができ、ピース鋳物9の取り扱い時の作業性を向上させることができる。具体的には、各ピース鋳物9を、一塊として容易に持ち運ぶことができる。また、各ピース鋳物9の組み合わせ面20(図11参照)に複雑な曲面を容易に付与させることができることから、スリット長さを長く設定することができ、得られるタイヤ成形用金型4(図1参照)の空気抜き性能を向上させることができる。但し、2Pモールドのタイヤ成形用金型4(図1参照)を製造する際に、360°全周に対してアンダーカット形状を設定すると、鋳物3(図4(e)参照)をピース鋳物9(図4(e)参照)に型バラシすることができなくなるために、図13(a)及び図13(b)に示すように、鋳物3の少なくとも1個のピース鋳物9は、その両端面が平行となるように形成しなければならない。
【0057】また、部分鋳型1(図1(a)参照)を形成するために用いられるマスターモデル(原型)は、既に製造されたタイヤ成形用金型用のマスターモデル(原型)をそのまま流用することができる。
【0058】また、本実施の形態においては、図14に示すように、間仕切り板5が、全体鋳型2の表面部近傍を除いた鋳包まれる部分の表面に、可塑性を有するとともに溶湯に対して溶損、融着しない材質の板状部材21を固定されてなることが好ましい。例えば、板状部材21として、図15に示すように、鋼材、ニッケル合金、又はグラスファイバー系の断熱材等を間仕切り板5の形状に対応させて曲げ加工した空気逃げ用補助板21aを用いることができる。空気逃げ用補助板21aの材料として鋼材又はニッケル合金を用いた場合は、間仕切り板5と抵抗溶接等で接合することができ、グラスファイバー系の断熱材を用いた場合は、間仕切り板5と水ガラスやエチルシリケート系の接着剤で接合することができる。
【0059】また、図14に示すように、板状部材21が固定された間仕切り板5を、全体鋳型2に打ち込んで固定する際には、間仕切り板5の板状部材21によって覆われていない部分を全て打ち込むのではなく、板状部材21によって覆われていない部分が、全体鋳型2の表面に0.5〜2.0mm程度残るように打ち込む。このように構成することによって、図16に示すように、得られる鋳物8の、意匠面22から2mm以下の領域におけるスリットの幅を狭く、それ以外の領域におけるスリットの幅を広くすることができる。タイヤ成形時にグリーンタイヤが入り込むことを防止するためには、意匠面22のごく狭い領域のみが狭いスリット幅であればよく、それ以外の領域は、空気の流通がよくなるように、なるべく広い幅寸法のスリットとなっていることが好ましい。
【0060】また、本実施の形態においては、図17に示すように、全体鋳型2に打ち込まれた間仕切り板5が、その鋳包まれる部分に交叉した状態で、溶湯に対して溶損、融着しない材質の位置決め部材原型23を固定されてなり、得られた鋳物(図示せず)に形成される位置決め部材原型23の反転型である凹部に位置決め部材原型23と同一形状の位置決め部材を挿入してピース鋳物を位置決めし、タイヤの反転型形状となるように組み合わせることが好ましい。この際、位置決め部材原型23は、少なくともタイヤの半径方向か、円周方向(接線方向)に対してアンダーカットがない形状とする。
【0061】位置決め部材原型23を形成する材料は、アルミニウム溶湯に対して溶損、融着等の起こらないものであればどのようなものを用いてもよく、例えば、鋼材、ニッケル合金、石膏、セラミック材等を用いることができる。鋼材又はニッケル合金等を用いた場合は、間仕切り板5と抵抗溶接等で接合することができ、石膏又はセラミック材を用いた場合は、間仕切り板5と水ガラスやエチルシリケート系の接着剤で接合することができる。
【0062】このような位置決め部材原型23を固定した間仕切り板5を用いて製造した各ピース鋳物9(図4(e)参照)は、位置決め部材原型23に対応する領域に、位置決め部材原型の反転型である凹部を有し、この凹部に、位置決め部材原型23と同形状の位置決め部材を挿入することで、容易に各ピース鋳物9(図4(e)参照)を位置決めし、固定することができる。本実施の形態においては、間仕切り板5に、2個の位置決め部材原型23を固定しているが、位置決め部材原型23の個数及び固定位置はこれに限定されることはない。また、図18に示すように、位置決め部材原型23の形状は板状に限定されることはなく、円錐形状であってもよい。
【0063】また、本実施の形態においては、鋳物8(図4(e)参照)の外周面を機械加工する前に、鋳物8(図4(e)参照)を外力により変形させて、その外周面の真円度を矯正することが好ましい。外周面の真円度を矯正することなく、リング鋳物の背面加工を行いピース鋳物9(図4(e)参照)に分割してしまうと、リング鋳物9(図4(e)参照)の真円度状態が、そのままの形でピース鋳物9(図4(e)参照)に反映されてしまうことになり、ピース鋳物9(図4(e)参照)の組み立て工程において、個々のピース鋳物9(図4(e)参照)の背面部を切削し、真円度を矯正しながら組み立てなければならず、非常に手間の掛かる作業を行わなければならない。
【0064】このために、得られた鋳物8(図4(e)参照)をピース鋳物9(図4(e)参照)に分割する前に、意匠面の真円度状態を測定し、その真円度が、例えば、図19(a)に示すように、基準真円度24に対してズレがある場合は、リング鋳物25に外力を与えて、局部的に変形させることで、図19(b)に示すように、リング鋳物25状態での真円度特性を鋳放し状態より向上させて、この後に外周加工してピース鋳物分割する。真円度特性を向上させる方法としては、重り、例えば、分銅等を所定の高さから落下させる衝突方式や、所定の角度位置からの振り下ろしによる振り子式ハンマーの打撃方式等の運動エネルギーを比較的精度高くコントロールできる方法を好適に用いることができる。この図19(a)及び(b)は、該当部位の半径を小さくする場合を示したものである。
【0065】図20は、リング鋳物25外周面部を打撃し、リング鋳物25に外力を加えることで真円度を回復させる方法の一例を示したものである。架台26上の所定の高さにリング鋳物25を配設し、このリング鋳物25の内壁部に固定ハンマー27を設置し、固定ハンマー毎、リング鋳物25を架台26上に落下させ、リング鋳物25の外周面部を架台26の底面部に打ち付けて、その部位の半径寸法を大きくして、リング鋳物25の真円度を矯正する。このような方法によれば、リング鋳物25の自重と落下させる高さの関係で運動エネルギーが定義されるため、リング鋳物25の機械特性を把握しておけば比較的高い精度で真円度を矯正することができる。この図20は、該当部位の半径を大きくする場合を示したものである。
【0066】また、本実施の形態においては、図21(a)〜(c)に示すように、鋳物25の外周面を機械加工する前に、鋳物25の直径の拡張矯正を行うとともに、図23に示すように、その外周面の機械加工によってピース鋳物9に分割し、ピース鋳物9相互間の間隔の増加分を、対応する肉厚のアルミ合金板29をピース鋳物の側面に固定してもよい。
【0067】具体的には、図21(a)に示すように、鋳造により得られたアルミ合金製のリング鋳物25の意匠面部各部の直径(内径)を測定し、その測定結果、例えば、φd1及びφd2が、狙い寸法に対して小さく、許容公差を外れていた場合は、図21(b)に示すように、リング鋳物25の押湯部分30等必要最低限の外周部分を切削除去した後に、図21(c)に示すように、カム式エキスパンダー28等の内径拡張機を用いて、リング鋳物25の内径を拡張させる。カム式エキスパンダー28以外の内径拡張方法としては、図示は省略するが、リング鋳物を、所定の温度に昇温して熱膨張で内径を拡張させた状態で、室温状態の鋼材等で形成された拘束リングを内径側に嵌め込み、リング鋳物毎、室温まで冷却させた後に、拘束リングを除去して内径を拡張する熱間サイジング法等がある。
【0068】この後に、図2(e)〜(g)に示した工程と同様にして、リング鋳物9を分割する。このようにして得られたピース鋳物9をバックモールドに嵌め込み組み立てた場合、図22に示すように、隣接するピース鋳物9により構成されるピース間スリット幅(内径拡張後のピース位置)T1が、狙い寸法(内径拡張前のピース位置)T0に対して大きくなり、許容誤差範囲を逸脱してしまう場合がある。
【0069】このような場合は、図23に示すように、隣り合い配置される少なくとも一方のピース鋳物9の側面に、スリット幅寸法増大量(T1−T0)分の板厚のアルミ合金板29を、貼り付け・固定し、意匠面22からはみ出した分のアルミ合金板29をデザインに沿ってトリミングする。貼り付け・固定方法としては、摩擦溶融接合(Friction Stirring Weld)等を用いることができる。但し、この場合、タイヤ幅方向線に対して有限の角度を持ったスリットにおいては、狙い寸法T0より狭くなってしまうことになるために、その部位のみケミカルエッチング(ケミカルミリング)等で肉厚除去する。
【0070】直径拡張量をΔD、リングの円周方向ピース分割数をNとすると、前述したスリット幅増大量ΔWの理論値は、下記式(1)を用いて算出することができる。
【0071】
【数1】
ΔW=ΔD×π/N…(1)
【0072】前記式(1)に示すように、直径拡張量ΔDが小さく、リング鋳物25(図21(a)参照)の円周方向ピース分割数Nが大きい場合は、スリット幅増大量ΔWは極めて小さい値となることが多く、このような場合は、図24に示すように、複数ピース鋳物9を1ヶのピースと見なして、挟み込むアルミ合金板29の板厚を厚くして作業性を向上せることができる。
【0073】上述したようなピース鋳物9間にスリット幅増大量分のアルミ合金板25を挟み込む必要があるのは、基本的に、リング鋳物25(図21(a)参照)を直径拡張矯正したことによって、スリット幅寸法が、狙い値である0.005〜0.08mm程度から逸脱してしまった場合のみである。通常、直径拡張量ΔDは0.1〜1.0mm程度、リング鋳物25(図21(a)参照)の円周方向ピース分割数は50〜200程度であることから、ピース間スリット幅増大量の理論値は、0.002〜0.062mmとなる。例えば、全体鋳型2(図3(f)参照)に打ち込む間仕切り板5(図3(f)参照)の板厚を0.05mmとすると、直径拡張量ΔDが、おおよそ0.5mm以下であれば、リング鋳物9状態で直径拡張矯正をした段階で、スリット幅寸法が狙い値の範囲内となるためピース鋳物9間にアルミ合金板29を挟み込む必要はない。全体鋳型2(図3(f)参照)に打ち込む間仕切り板5(図3(f)参照)の板厚を厚く、リング鋳物25(図21(a)参照)の円周方向ピース分割数を少なくしなければならない場合で大きな直径拡張量を必要とする場合においては、スリット幅寸法が大きくなるために、アルミ合金板29を挟み込み、スリット幅を調整することが必要となる。
【0074】また、本実施の形態においては、図25(a)〜(c)に示すように、リング鋳物25の外周面を機械加工する前に、リング鋳物25の直径の縮小矯正を行うとともに、その外周面の機械加工によってピース鋳物に分割してもよい。
【0075】例えば、図25(a)に示すように、鋳造により得られたアルミ合金製のリング鋳物25の意匠面部各部の直径(内径)を測定し、その測定結果、例えば、φd1及びφd2が、狙い寸法に対して大きく、許容公差を外れていた場合は、図25(b)に示すように、リング鋳物25の押湯部分30等を切削除去し、外周面をテーパ状に機械加工した後に、図25(c)に示すように、室温の状態で、リング鋳物25を定盤31上に固定し、固定したリング鋳物25の外周部に、リング鋳物25の外周部の形状と同形状をその内面に有する鋼材等から形成された拘束リング32を配設し、これらを熱処理炉に投入する。リング鋳物25の直径縮小は、リング鋳物25と拘束リング32との熱膨張率の差を利用することから、リング鋳物25の内径、温度設定、及び保持時間で直径縮小量を管理することができる。
【0076】この後に、図2(e)〜(g)に示した工程と同様にして、リング鋳物9を分割する。このように構成することによって、個々のピース鋳物9は円周方向に圧縮塑性変形し、所望の大きさのタイヤ成形用金型を得ることができる。また、リング鋳物25に鋳包まれる材間仕切り板5が、鋼材又はニッケル合金から形成されたものであれば、材間仕切り板5は、圧縮塑性変形を殆どしないため、ピース間スリット幅寸法を維持したまま、リング鋳物25の直径のみを小さくすることができる。
【0077】次に、本発明(第一の発明)の他の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。
【0078】本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、まず、図26(a)に示すように、複数の部分鋳型41をタイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型42を形成する。この全体鋳型42は、図2(a)に示した全体鋳型2と同様の方法及び材料を用いて形成することができる。
【0079】次に、図26(b)に示すように、鋼材又はニッケル合金を材料とした板厚が0.08mm以下の間仕切り板43を形成する。間仕切り板43には、少なくとも一つの貫通孔44を穿設する。
【0080】次に、図26(c)に示すように、全体鋳型42に、間仕切り板43を水平に打ち込み固定して、部分鋳型41を間仕切りする。この際、間仕切り板43の先端部が鋳枠の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、部分鋳型41のプロファイル面に垂直となるように固定する。図26(d)に示すように、全体鋳型42の全周に対して、同様に間仕切り板43を固定して、全ての部分鋳型41を間仕切りする。この際、隣接する間仕切り板43間の隙間や段差等が極小となるようにすることが好ましい。
【0081】次に、図26(e)に示すように、全体鋳型42を、定盤45上に設置し、鋳枠46で囲い、全体鋳型42と鋳枠46との間隙に溶湯47を流し込み硬化させて、間仕切り板43を鋳包んだ状態で全体鋳型42の反転型である鋳物を鋳造する。
【0082】次に、図26(f)に示すように、得られた鋳物48の外周面を、旋盤49を用いて機械加工する。
【0083】次に、図26(g)に示すように、機械加工した鋳物48の外周側からプラスチックハンマー等で振動させてピース鋳物50に分割する。本実施の形態においては、間仕切り板43で分断されたピース鋳物50は貫通孔51によって部分的に一体化されているため、図26(f)に示した機械加工の際に、余剰部分となる外周面を全て切削することができる。この後に、図26(h)に示すように、鋳込まれた間仕切り板43(図26(d)参照)を取り外し、バックモールド52に各ピース鋳物50を固定してタイヤ成形用金型53を製造する。
【0084】このように構成することによって、石膏鋳造法を用いて、ピース鋳物(部分金型)50相互間に形成される隙間等に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出することができるスリットベントタイプのタイヤ成形用金型53を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0085】また、本実施の形態に用いられる間仕切り板43(図26(b)参照)に、図14に示した板状部材21や、図17に示した位置決め部材原型23を設置して用いてもよい。
【0086】また、本実施の形態においては、図19(a)〜図26に示したような、リング鋳物25の外周面の真円度を矯正する方法等を併用して用いることもできる。
【0087】次に、本発明(第二の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、まず、図27(a)に示すように、複数の部分鋳型61をタイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型62を形成する。この全体鋳型62は、図2(a)に示した全体鋳型2と同様の方法及び材料を用いて形成することができる。
【0088】次に、図27(b)に示すように、全体鋳型62の形状に組み合わされた部分鋳型61のプロファイル面の所定箇所に、壁厚が0.08mm以下の間仕切り筒63を、間仕切り筒63の先端部が鋳枠の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、部分鋳型61のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定して、部分鋳型61の一部を区画する。この工程を、全体鋳型62の全周に渡って行う。
【0089】また、このような間仕切り筒63の材料としては、0.08mm以下の板厚であっても全体鋳型62に容易に挿し込むことができる強度を有し、比較的安価に均一な板厚のものを入手でき、且つアルミ合金に鋳包ませた際に溶損及び融着しないものでなければならないことから、鋼材又はニッケル合金を好適例として挙げることができる。
【0090】また、間仕切り筒63の表面に、カーボン系やボロンナイトライド系の離型剤を塗布することによって、得られた鋳物を容易に分離することができる。
【0091】次に、図27(c)に示すように、間仕切り筒63を打ち込んだ全体鋳型62を鋳枠64で囲み、全体鋳型62と鋳枠64との間隙に溶湯65を流し込み鋳造する。この際、間仕切り筒63と鋳枠64内面間に10〜50mm程度の隙間を設けることが好ましい。このように構成することによって、鋳造時の正常な湯流れを確保することができるとともに、鋳造後の鋳物で、間仕切り筒63で分割されたピース鋳物の連結力を確保することができる。本実施の形態においては、溶湯65としてアルミニウム溶湯を用いている。
【0092】図27(d)に示すように、全体鋳型を高圧水洗浄等で崩壊除去し、得られた鋳物66を旋盤に設置し、押湯の除去と、背面側の形状出し加工を行う。
【0093】図27(e)〜(h)に示すように、所望の形状に加工され鋳物66から、間仕切り筒63と、間仕切り筒63によって区画された小区画鋳物67とを分離し、鋳物66と小区画鋳物67とをバックモールド(図示せず)に固定してタイヤ成形用金型を形成する。本実施の形態においては、間仕切り筒63の壁厚に対応した間隙68が、空気抜きのためのスリットとなる。
【0094】このように構成することによって、石膏鋳造法を用いて、部分金型相互間に形成される隙間等に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出することができるスリットベントタイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することができる。
【0095】上述した間仕切り筒63は、図28に示すように、板状の部材69を、曲げ型70に押し当てながら曲げ加工することによって形成することができる。このように形成することによって、図29に示すように、間仕切り筒63に曲げ型70を配設した状態で、間仕切り筒63を全体鋳型62に打ち込むことができ、全体鋳型62への打ち込みが容易になるとともに、間仕切り筒63の変形を有効に防止することができる。
【0096】図29においては、間仕切り筒63の区画面71が四角形となるように曲げ加工した間仕切り筒63を示しているが、これに限定されることはなく、区画面71が、円、楕円等の曲線形状や、その他の多角形となるように曲げ加工してもよい。また、間仕切り筒63の側面形状は、アンダーカットがないように曲げ加工する。
【0097】また、本実施の形態においては、図19(a)〜図26に示したような、リング鋳物25の外周面の真円度を矯正する方法等を併用して用いることもできる。
【0098】これまでに説明した本発明(第一の発明及び第二の発明)の各実施の形態において、石膏鋳造法を用いた製造方法について説明したが、従来から用いられているセラミックモールド法等の製造方法に応用して、タイヤ成形用金型を製造することができる。例えば、セラミックモールド法を用いた場合は、石膏鋳型と比較してセラミック鋳型は機械的強度が高く、間仕切り板等を鋳型に打ち込むことができない場合は、ピース鋳型間に挟み込む方法を用いることで、本発明をそのまま用いることができる。また、1リング分の同時鋳造は困難であるが、本発明をダイキャスト法に応用して用いることもできる。
【0099】また、本発明(第一の発明)は、スリットベントタイプ以外のセクショナルモールドのタイヤ成形用金型の製造方法に対して応用することができる。具体的には、図46に示したような、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を、セクター端面に余剰部分を残さないように鋳物を製造する方法において、図30に示すように、リング状に組み立てた石膏鋳型の各セクターの端面72に間仕切り板73を打ち込み、得られたリング鋳物から間仕切り板73を抜き取ることによって、各ピース鋳物77に容易に分割することができる。このように構成することによって、従来の製造方法で行われていた、リング鋳物のセクターの端面72を機械加工して切断する工程を省略することができる。
【0100】但し、この場合は、間仕切り板73の板厚は、セクター端面クリアランス分とする必要がある。セクター端面クリアランスとは、図31に示すように、部分金型(セクターブロック)74とバックモールド75との熱膨張量差をいう。例えば、部分金型74をアルミ合金から形成し、バックモールド75を鉄系材料から形成した場合、通常、バックモールド75への部分金型74の組み込み(アッセンブル)加工作業は、室温で行われるのに対し、実際のタイヤ成形は、150〜200℃に加熱した状態で行われるために、室温で組み込み加工をした時点で、部分金型74の端面76を隙間なく密着した状態で仕上げると、タイヤ成形時の使用温度(150〜200℃)では、アルミ合金製の部分金型74の方が、より大きな熱膨張をするため、部分金型74の端面76がバックモールド75からはみ出し、面圧を優先的に受けてしまうこととなる。このため、強度の低いアルミ合金から形成された部分金型74が、先にダレやツブレ等の変形を生じ易くなる。
【0101】このセクター端面クリアランスは、タイヤ成形用金型の内径やアルミ合金材質にもよるが、通常のセクショナルモールドでは、セクター端面クリアランス1箇所当り、0.15〜0.30mmほどの幅を設定している。
【0102】このため、本発明(第一の発明)を応用して、上述したように機械加工をすることなく、ピース鋳物から間仕切り板73を抜き取るだけで各ピース鋳物に分割してタイヤ成形用金型を製造する場合は、セクター端面クリアランス量に相当する厚さの間仕切り板73、具体的には、0.15〜0.30mm程度の厚さのものを用いることが好ましい。
【0103】また、このようにしてタイヤ成形用金型を製造する場合は、図30に示すように、間仕切り板73の厚さが厚くなることから、間仕切り板73を部分鋳型77に打ち込む方式から、図32(a)及び図32(b)に示すように、間仕切り板73を部分鋳型77に挟み込む方式に変更することが好ましい。このように構成することによって、間仕切り板73を打ち込むことによる、部分鋳型77の欠損の発生を防止するとともに、間仕切り板73を打ち込んだ部位のデザインズレの発生を防止することができる。また、セクター端面にサイプブレード(図示せず)が掛かる場合でも、セクター分割後に、サイプブレード(図示せず)の鋳包み部の補強を行う必要がない。このため、全体鋳型の段階で、分割されるサイプブレード(図示せず)の形状及び寸法を厳密に定義することができ、鋳包み部の形状を変化させて、鋳包み強度を容易に向上させることができる。
【0104】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。全実施例を通じて、図33(a)及び図33(b)に示すような、意匠面81を有するタイヤ成形用金型80を形成した。このタイヤ成形用金型81は、タイヤサイズが205/60R13の2Pモールドタイプで、S、M、Lの3種類の基本ピッチで、Sピッチが9個、Mピッチが9個、Lピッチが6個の計24ピッチの部分金型から構成されている。また、サイプブレード等の鋳包みは行わなかった。
【0105】また、タイヤ成形用金型80の基本製法としては石膏鋳造法を用い、設定収縮率を11/1000〜15/1000とし、各部位によって多少変化させた。石膏鋳型の材料は、USG社製のハイドロパーム発泡石膏を、混水率を70重量%、発泡増量を60%で調合したものを用いた。鋳造用合金は、AC4C合金(7%Si、1%Cu、0.5%Fe、0.4%Mg、残Al)を用い、鋳込み方法は、重力鋳造(流し込み方式)とした。
【0106】(実施例1)
図34(a)及び図34(b)に示すように、3種類の間仕切り板82a、82b、82cを、各24枚、合計72枚形成し、部分鋳型をリング状に組み立てた全体鋳型84の所定箇所に打ち込んだ。各間仕切り板82a、82b、82cは、厚さ0.04mmのSUS631(ステンレス鋼)を用いて、金型製品部85に対して外周が5mmずつ大きくなるように形成し、各種類の間仕切り板82a、82b、82cの曲げ幅がW1≒30mm、W2≒40mm、W3≒50mmとなるように曲げ加工し、曲げ加工した間仕切り板82a、82b、82cを、ケミウッド(合成木材)で製作したホルダー(図示せず)で挟み込み、超音波振動を与えながら全体鋳型84に打ち込んだ。また、全体鋳型84に打ち込む前に、各間仕切り板82a、82b、82cの表面にカーボンスプレーを塗布した。また、各間仕切り板82a、82b、82cを打ち込んだことによる全体鋳型84の欠損は、生石膏を用いて修正した。
【0107】このようにして、各間仕切り板82a、82b、82cを打ち込んだ状態の全体鋳型84を再度乾燥させ、各間仕切り板82a、82b、82cの端部から約40mm離れた位置にリング状の鋳枠(鋳鋼製)を配設し、AC4C合金溶湯(670℃)を鋳造した。得られた鋳物は、図2(d)〜(f)に示した工程と同様な工程を経て外周加工を行い、72個のピース鋳物に分割した。
【0108】このようにして製造したピース鋳物を、所定のバックモールドに、縦横が10mm、厚さが0.04mmのゲージ鋼板をシムとして挟み込んで組み付けてタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を製造した。得られたタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)は、間仕切り板82が鋳包まれた部位が、0.03〜0.05mm程度の均一なスリットをとなり、良好な空気抜き特性を有するものであった。
【0109】(実施例2)
図35に示すように、厚さ0.04mmのSUS631(ステンレス鋼)を用い、区画面(端面)87が30×30mm、長手方向の長さが60〜70mmの間仕切り筒86を24個形成した。
【0110】図36(a)及び図36(b)に示すように、リング状に組み立てた全体鋳型84に、1ピッチにつき1個の割合で間仕切り筒86を打ち込み、その後は実施例1と同様にして鋳造を行った。
【0111】得られた鋳物の外周面を機械加工し、間仕切り筒86で囲まれた部位を分離し、間仕切り筒86のみ破棄した後、バックモールドに組み付けてタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を製造した。このようにして製造したタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)は、間仕切り筒86によって区画された部位が、0.04〜0.05mm幅の四角形の閉空間スリットとなり、良好な空気抜き特性を有するものであった。
【0112】(実施例3)
本実施例は、図34(b)に示した間仕切り板82と同様に構成された間仕切り板82に、図37(a)及び図37(b)に示すように、鋳包み部側、全体鋳型84の表面から約3mmの位置に、厚さ1mmのセラミックファイバー製の空気逃げ形状用の肉盗み88を貼り付けたものを用いた以外は、実施例1と同様の方法でタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を製造した。このようにして得られたタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)は、意匠面側から3mm内側に、幅約2mmの空気逃げ部が形成され、良好な空気抜き特性を有するものであった。
【0113】(実施例4)
本実施例は、図34(b)に示した間仕切り板82と同様に構成された間仕切り板82に、図38(a)及び図38(b)に示すように、Sh(ショルダー)側,CL(センターライン)側に各1個ずつ位置決め部材原型89を設置した以外は、実施例1と同様の方法でタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を製造した。Sh側の位置決め部材原型89aは、図39(a)及び図39(b)に示すように、SUS631(ステンレス鋼)の3つの角部材90a、90b、90cを石定盤上で同一平面形状となるように組み立て、水ガラス水溶液で接合して形成した。また。CL側の位置決め部材原型89bは、図40(a)及び図40(b)に示すように、SUS631(ステンレス鋼)の3つの角部材90d、90e、90fを石定盤上で同一平面形状となるように組み立て、水ガラス水溶液で接合して形成した。また、間仕切り板82への固定も水ガラス水溶液を用いて行った。
【0114】得られたタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)は、位置決め部材原型89が鋳包まれた部位が鋳出しダボ溝を有しているために、位置決め部材原型89と同形状の組み込み用ダボを鋳出しダボ溝に嵌め込むことで各部分金型(ピース金型)を容易に固定することができた。
【0115】(実施例5)
実施例1と同様の方法でリング鋳物を鋳造し、リング鋳物の真円度状態を測定したところ0.25mmであった。このリング鋳物の半径が大きくなっている箇所を、振り子式ハンマーの衝撃負荷により外周側から叩き込み真円度を0.15mmに矯正し、矯正したリング鋳物の外周面を機械加工してピース鋳物に分割した。このようにして得られたピース鋳物をバックモールドに組み込みタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を製造した。このタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)の真円度は、0.18mmとなり、真円度の高いものであった。
【0116】(実施例6)
実施例1に用いた全体鋳型を、直径が0.4mm小さくなるように組み立て、この全体鋳型を用いて実施例1と同様の方法でリング鋳物を鋳造した。図41に示すように、得られたリング鋳物91の押湯部分を切断し、背面部を20mmほど余肉を付けた状態に機械加工した後、リング鋳物91の上部92及び下部93の内部を、カム式エキスパンダー(図21(c)参照)で拡張矯正し、リング鋳物91の内径を拡張させた。このリング鋳物91の外周面を機械加工してピース鋳物に分割した後、バックモールドに組み込みタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を製造した。
【0117】内径を拡張させる前のリング鋳物91は、図面寸法からの平均内径のズレが0.5〜0.6mmで、その真円度が0.25mmであるのに対し、内径を拡張させた後の鋳物91は、図面寸法からの平均内径のズレが0.1〜0.2mmとなり、その真円度が0.18mmとなっていた。
【0118】本実施例によれば、内径の小さいリング鋳物91を作ってしまった場合であっても、上述した内径の拡張矯正により、所望の形状のタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を容易に製造することができた。
【0119】(実施例7)
実施例1に用いた全体鋳型を、直径が0.4mm大きくなるように組み立て、この全体鋳型を用いて実施例1と同様の方法でリング鋳物を鋳造した。図42に示すように、得られたリング鋳物94の押湯部分を切断し、背面部95を、垂直方向に対して10°の傾斜をもたせた状態に機械加工した。機械加工したリング鋳物94を、その背面部95と同じ内面形状を有する鋳鋼製のリングに嵌め込み固定し、300℃に設定した熱処理炉で2時間加熱した。その後、鋳鋼製のリングに固定した状態で空冷し、リング鋳物94の内径縮小矯正を行った。
【0120】内径縮小矯正前のリング鋳物94は、図面寸法からの平均内径のズレが0.2〜0.3mmで、その真円度が0.25mmであるのに対し、内径縮小矯正後の鋳物94は、図面寸法からの平均内径のズレが0.0〜0.1mmとなり、その真円度が0.26mmとなっていた。
【0121】本実施例によれば、内径の大きいリング鋳物94を作ってしまった場合であっても、上述した内径縮小矯正により、所望の形状のタイヤ成形用金型80(図33(a)参照)を容易に製造することができた。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、石膏鋳造法を用いて、部分金型相互間に形成される隙間等に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出することができるスリットベントタイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、タイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(d)である。
【図2】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、タイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(g)である。
【図3】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、全体鋳型に間仕切り板を打ち込む工程を工程順に示す説明図(a)〜(f)である。
【図4】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、鋳物を機械加工してタイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(g)である。
【図5】本発明(第一の発明)の一の実施の形態に用いられる間仕切り板を示す斜視図であって、(a)は肉盗みを有する間仕切り板を示し、(b)は刃を有する間仕切り板を示す。
【図6】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、間仕切り板を全体鋳型に打ち込む工程を示す斜視図である。
【図7】本発明(第一の発明)の一の実施の形態に用いられる、曲げ加工された間仕切り板を示す斜視図である。
【図8】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成されたピース鋳物を示す斜視図である。
【図9】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成されたピース鋳物を取り外す工程を示す説明図(a)及び(b)である。
【図10】本発明(第一の発明)の一の実施の形態に用いられる、アンダーカットを有する形状に曲げ加工された間仕切り板を示す斜視図である。
【図11】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成されたピース鋳物を示す断面図である。
【図12】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成されたピース鋳物を取り外す工程を示す説明図(a)及び(b)である。
【図13】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成された鋳物から、ピース鋳物を取り外す工程を示す説明図(a)及び(b)である。
【図14】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、板状部材を固定した間仕切り板が打ち込まれた鋳型を示す斜視図である。
【図15】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、板状部材を固定した間仕切り板を示す斜視図である。
【図16】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成された各ピース鋳物の断面図である。
【図17】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、位置決め部材原型を固定した間仕切り板が打ち込まれた鋳型を示す斜視図である。
【図18】円錐形状の位置決め部材原型を固定した間仕切り板が打ち込まれた鋳型を示す斜視図である。
【図19】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、リング鋳物の真円度と基準真円度を示す平面図(a)及び(b)である。
【図20】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、真円度を回復させる方法を示す断面図である。
【図21】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、鋳物の直径を拡張矯正する工程を工程順に示す断面図(a)〜(c)である。
【図22】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、拡張矯正した後のピース鋳物のスリットを示す断面図である。
【図23】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、アルミ合金板を固定したピース鋳物のスリットを示す断面図である。
【図24】本発明(第一の発明)の一の実施の形態に用いられる、アルミ合金板を固定したピース鋳物を示す平面図である。
【図25】本発明(第一の発明)の一の実施の形態における、鋳物の直径を縮小矯正する工程を工程順に示す断面図(a)〜(c)である。
【図26】本発明(第一の発明)の他の実施の形態における、タイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(h)である。
【図27】本発明(第二の発明)の一の実施の形態における、タイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(h)である。
【図28】本発明(第二の発明)の一の実施の形態に用いられる間仕切り筒を形成する工程を示す斜視図である。
【図29】本発明(第二の発明)の一の実施の形態における、間仕切り筒を鋳型に打ち込む工程を示す斜視図である。
【図30】本発明(第一の発明)の一の実施の形態に用いられるリング状に組み立てた石膏鋳型を示す断面図である。
【図31】本発明(第一の発明)の一の実施の形態によって形成された部分金型(セクターブロック)とバックモールドを示す斜視図である。
【図32】本発明(第一の発明)の一の実施の形態を応用したセクショナルモールドのタイヤ成形用金型の製造方法における、鋳型に間仕切り板を挟み込む工程を工程順に示した説明図(a)及び(b)である。
【図33】全実施例において製造されたタイヤ成形用金型の形状を示す説明図(a)及び(b)である。
【図34】実施例1における、全体鋳型に間仕切り板が打ち込まれた状態を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図35】実施例2に用いられた間仕切り筒を示す斜視図である。
【図36】実施例2における、全体鋳型に間仕切り筒が打ち込まれた状態を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図37】実施例3における、全体鋳型に間仕切り板が打ち込まれた状態を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図38】実施例4における、全体鋳型に間仕切り板が打ち込まれた状態を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図39】実施例4に用いられる位置決め部材原型を形成する工程を示す斜視図である。
【図40】実施例4に用いられる位置決め部材原型を形成する工程を示す斜視図である。
【図41】実施例6に用いられるリング鋳物を示す断面図である。
【図42】実施例7に用いられるリング鋳物を示す断面図である。
【図43】従来の石膏鋳造法による、2Pモールドのタイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(h)である。
【図44】従来の石膏鋳造法による、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(j)である。
【図45】従来の石膏鋳造法による、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する別の工程を工程順に示す説明図(a)〜(g)である。
【図46】従来のダイキャスト法による、タイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図(a)〜(f)である。
【図47】アンダーカット形状を有するダイキャスト型と、これを用いて製造されたピース鋳物を示す断面図である。
【符号の説明】
1…部分鋳型、2…全体鋳型、3…鋳枠、4…タイヤ成形用金型、5…間仕切り板、6…定盤、7…溶湯、8…鋳物、9…ピース鋳物、10…間隙、11…板素材、12…ホルダー、13…旋盤、14…ピース連結部、15…専用ホルダー、16…肉盗み、17…刃、18…製品部、19…貫通孔、20…組み合わせ面、21…板状部材、21a…空気逃げ用補助板、22…意匠面、23…位置決め部材原型、24…基準真円、25…リング鋳物(鋳物)、26…架台、27…固定ハンマー、28…カム式エキスパンダー、29…アルミ合金板、30…押湯部分、31…定盤、32…拘束リング、41…部分鋳型、42…全体鋳型、43…間仕切り板、44…貫通孔、45…定盤、46…鋳枠、47…溶湯、48…鋳物、49…旋盤、50…ピース鋳物(部分金型)、51…貫通孔、52…バックモールド、53…タイヤ成形用金型、61…部分鋳型、62…全体鋳型、63…間仕切り筒、64…鋳枠、65…溶湯、66…鋳物、67…小区画鋳物、68…間隙、69…板状の部材、70…曲げ型、71…区画面、72…セクターの端面、73…間仕切り板、74…部分金型(セクターブロック)、75…バックモールド、76…端面、77…部分鋳型、80…タイヤ成形用金型、81…意匠面、82a,82b,82c…間仕切り板、84…全体鋳型、85…金型製品部、86…間仕切り筒、87…区画面(端面)、88…肉盗み、89,89a,89b…位置決め部材原型、90a,90b,90c,90d,90e,90f…角部材、91…リング鋳物、92…上部、93…下部、94…リング鋳物、95…背面部、101…マスターモデル、102…ゴム型、103…部分鋳型、104…全体鋳型、105…鋳枠、106…合金溶湯、108…定盤、107…タイヤ成形用金型、111…マスターモデル、112…ゴム型、113…部分鋳型、114…全体鋳型、115…ダミー鋳型、116…鋳物、118…部分金型(セクター)、119…加工代、120…定盤、121…鋳枠、122…合金溶湯、123…タイヤ成形用金型、124…部分鋳型、125…全体鋳型、126…定盤、127…鋳枠、128…合金溶湯、129…鋳物、130…部分金型(セクター)、131…タイヤ成形用金型、132…原型(ダイキャスト型)、133…鋳枠、134…溶湯、135…ピース鋳物、136…バックモールド、137…タイヤ成形用金型、138…アンダーカット形状、A…半径方向、B…円周方向。
Claims (10)
- タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型を形成し、前記全体鋳型を鋳枠で囲い前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記タイヤの反転型であるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、
前記全体鋳型の形状に組み合わされた前記部分鋳型のプロファイル面の所定箇所に、板厚が0.08mm以下の間仕切り板を、前記間仕切り板の一方の先端部が前記鋳枠の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を前記部分鋳型のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定して、前記部分鋳型を間仕切りし、
前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に前記溶湯を流し込み硬化させて、前記間仕切り板を鋳包んだ状態で前記全体鋳型の反転型である鋳物を鋳造し、
前記鋳物の外周面を機械加工し、前記鋳物から前記間仕切り板を取り外して、前記鋳物をピース鋳物に分割し、
前記ピース鋳物を、前記ピース鋳物相互間に空気抜きのための前記間仕切り板の板厚に対応した間隙を形成した状態で、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。 - タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせて全体鋳型を形成し、前記全体鋳型を鋳枠で囲い前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記タイヤの反転型であるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、
前記全体鋳型の形状に組み合わされた前記部分鋳型のプロファイル面の所定箇所に、壁厚が0.08mm以下の間仕切り筒を、前記間仕切り筒の一方の先端部が前記鋳枠の内表面から10〜50mmの距離を保持した状態で、他方の先端部を前記部分鋳型のプロファイル面に垂直な方向に打ち込み固定して、前記部分鋳型の一部を区画し、
前記全体鋳型と前記鋳枠との間隙に前記溶湯を流し込み硬化させて、前記間仕切り筒を鋳包んだ状態で前記全体鋳型の反転型である鋳物を鋳造し、
前記鋳物の外周面を機械加工し、前記鋳物から前記間仕切り筒を取り外して、前記鋳物をピース鋳物に分割し、
前記ピース鋳物を、前記ピース鋳物相互間に空気抜きのための前記間仕切り筒の壁厚に対応した間隙を形成した状態で、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。 - 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒が、前記鋳型の表面部近傍を除いた鋳包まれる部分の表面に、可塑性を有するとともに前記溶湯に対して溶損、融着しない材質の板状部材を固定されてなる請求項1又は2に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒が、その鋳包まれる部分に交叉した状態で、前記溶湯に対して溶損、融着しない材質の位置決め部材原型を固定されてなり、前記鋳物に形成される前記位置決め部材原型の反転型である凹部に前記位置決め部材原型と同一形状の位置決め部材を挿入して前記ピース鋳物を位置決めし、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせる請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記鋳物の外周面を機械加工する前に、前記鋳物を外力により変形させて、その外周面の真円度を矯正する請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記鋳物の外周面を機械加工する前に、前記鋳物の直径の拡張矯正を行うとともに、その外周面の機械加工によって前記ピース鋳物に分割し、前記ピース鋳物相互間の前記間隔の増加分を、対応する肉厚のアルミ合金板を前記ピース鋳物の側面に固定する請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記鋳物の外周面を機械加工する前に、前記鋳物の直径の縮小矯正を行うとともに、その外周面の機械加工によって前記ピース鋳物に分割する請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記部分鋳型として、発泡石膏材料からなるものを用いる請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒として、鋼板又はニッケル合金からなるものを用いる請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
- 前記間仕切り板又は前記間仕切り筒として、その鋳包まれる部分に貫通孔を有してなるものを用いる請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
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