JP2004037209A - アロマターゼ活性の測定方法、並びにアロマターゼの活性阻害の評価方法、およびそれらの方法のための組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、サイトクロームP450(Cytochrome P450)酵素ファミリーの一つであるアロマターゼの活性測定に関するものであり、また化学物質等のアロマターゼの阻害効果を評価するための方法に関するものである。また本発明はそれらの方法によって測定系を構築する際に使用する組成物に関する。
【解決手段】アロマターゼの活性を測定する方法であって、アロマターゼを作用させた後、生じた生成物を免疫化学的手法により測定することを特徴とするアロマターゼ活性の測定方法。
【解決手段】アロマターゼの活性を測定する方法であって、アロマターゼを作用させた後、生じた生成物を免疫化学的手法により測定することを特徴とするアロマターゼ活性の測定方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイトクロームP450(Cytochrome P450)酵素ファミリーの一つであるアロマターゼの活性測定に関するものであり、また化学物質等のアロマターゼの阻害効果を評価するための方法に関するものである。また本発明はそれらの方法によって測定系を構築する際に使用する組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アロマターゼは主として生殖・性分化・成熟・成長・代謝・維持等に関わる性ホルモン量を調節する酵素であり、ステロイドホルモンの生合成系の最終段階において、アンドロジェンをエストロジェンに変換する。アロマターゼに関する研究はここ数10年進められおり、現在もより新しい手法にて、各種起源のアロマターゼの発現機序・構造・機能・メカニズム・進化機構等が解明されつつある。
【0003】
アロマターゼを活性が阻害されることにより、本来遺伝的に雌である生物が雌化する例が知られている。
例えば特開平04−211315や特開平05−176659などでは、ニワトリの雌の雄化が、トリブチルスズやトリフェニルスズによる貝類の雌化現象(いわゆるインポセックス:Imposex)が、堀口ら(マル、エンバイロ、リサーチ 50巻223−229頁(2000年):Mar. Environ. Res Vol. 50, pp223−229(2000))によって報告されている。人工化学物質による生命の性・生殖への影響はいわゆる内分泌撹乱物質問題として先世紀末より、緊急性のある課題として人類が直面している。
【0004】
アロマターゼはまた乳癌・子宮癌等にも密接に関与する。エストロゲン依存性の癌の進行過程に伴ってアロマターゼは発現し、近年では北脇らが、子宮内膜症・子宮腺筋腫・子宮筋腫などに伴ってアロマターゼが発現することを報告している(北脇ら Biol. Reprod. 57巻 514−519頁(1997年):Kitawaki, J.,et.al. Biol. Reprod., Vol.57,514−519(1997))。彼らは健常者では子宮内膜にアロマターゼが認められないことを、アロマターゼ特異的抗体を用いた免疫染色法にて確認している。またアロマターゼの活性測定は、良性乳腺疾患・乳癌などの治療において、ホルモン感受性の有無の判断、治療方針の決定に有用であるとされている。さらにアロマターゼは胎盤・卵巣・セルトリ細胞・リーデッヒ細胞・脂肪組織・筋肉・毛髪の他、脳にもその存在が確認されており、脳の性分化・性行動にも関与する可能性が指摘されている。
【0005】
アロマターゼはさらに毛髪の成長・脱毛にも関与している。多毛症、脱毛症は男性ホルモンに依存して生じており、アロマターゼの阻害剤を毛髪成長の制御に使用する試みが行なわれている(特表平10−508828)。
【0006】
乳癌・子宮癌等のエストロゲン依存性癌の治療薬あるいは毛髪成長制御剤として、種々のアロマターゼ阻害剤が研究開発されている。例えば現時点で販売・投与されている、アナストロゾールは非選択的非ステロイド性アロマターゼ阻害剤であり、閉経後女性のアロマターゼ阻害によって、副腎皮質から産生されるアンドロゲンがエストロゲンに変換することを抑制し、血漿中のエストロゲンを著明に低下させる。この薬剤は進行性再発乳癌等の治療薬として使用されている。
この様に性ホルモン調節酵素・薬物代謝酵素としての重要性からアロマターゼを標的とした薬物の開発が現在も進められており、より高性能な薬剤の需要が存在し、多くの大学研究機関・製薬メーカーにおいて新しいアロマターゼ阻害剤のスクリーニングが実施されている。
【0007】
アロマターゼはヒト以外にも広く、哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類、イボニシ等の貝類などの無脊椎動物にも広く分布し、根幹的な酵素の一つとして位置づけられている。このことは内分泌撹乱物質として、アロマターゼ阻害能あるいは促進能を有する人工化学物質の影響が、特定の貝類や鳥類のみに限定されるものではなく、ヒト自身にも影響を及ぼす可能性が高いことを意味する。このため、現在人類が大規模に使用している化学物質を全て、アロマターゼヘの影響という観点から見なおすことが急務となっているが、その試験法の煩雑さから、遅々として進んでいないのが現状である。
【0008】
阻害試験法などに使用するために、アロマターゼは組換え技術等によって、昆虫細胞や哺乳動物細胞、酵母、大腸菌などを用いて生産されている(シグルら ビー ビー アール シー 201巻694−700頁(1994年: Sigle R.O., B. B. R. C. Vol. 201, pp201−700(1994) 等)。
【0009】
アロマターゼ活性の測定法としては、シェンケルら(ジャーナル ステロイドバイオケム 33巻125−131頁(1989年):Schenkel et. al., J.Steroid Biochem, Vol.33, pp125−131(1989))らの動物細胞を用いた方法、酵母細胞で発現させたアロマターゼによるスクリーニング方法(ポンポンら モレキュラー エンドクリノロジー 3巻1477−1487頁(1989年): Ponpon D. et. al., Molecular Endocrinology Vol. 3, pp1477−1487(1989))、組換え技術によりアロマターゼを発現する哺乳動物細胞を用いる方法(特表平4−502261)等の細胞を用いた方法がある。これらはインビトロ試験で実施しうるものであるが、細胞全体を使用するため、アロマターゼ蛋白質と試験対象の化学物質の直接の反応性を評価するものではない。 アロマターゼ活性測定法として、アロマターゼ蛋白質そのものの活性を検出する方法としては、ラジオアイソトープラベルされた基質を使用する、トリチウム水遊離アッセイ法(ベリノら ジャーナル クリニ エンドクリノロジー メタボ 44巻699頁(1977年): Bellino, F. L. et. al., J. Clin. Endocrinol. Metab., Vol. 44, pp699(1977))やストレッサーら(アナル バイオケム 284巻427−430頁(2000):Stresser, D.M., et. al., Anal. Biochem., Vol.284, pp427−430(2000))による、アロマターゼによって代謝された後、蛍光性を有する基質を使用する蛍光法がある。 さらに谷口ら(アナル バイオケム 181巻167−171頁(1989年): Taniguchi, H., et. al., Anal. Biochem., Vol.181, pp167−171(1989))による液体クロマトグラフィーによる方法等がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
アロマターゼ活性を測定において、哺乳動物細胞、組換え酵母細胞、組換え昆虫細胞など細胞を用いた場合には、細胞が含む他の代謝酵素の影響を受けることが最も大きな障害となる。アロマターゼ以外に多くのP450酵素は多数の種類細胞内に存在しているが、試験対象の化学物質が、それらの酵素によって代謝される可能性は高く、影響は大きい。また種々の化学物質の、細胞膜透過性は、動物細胞・酵母・大腸菌でそれぞれ異なるため、それぞれの細胞を用いて得た結果で差が認められるため、細胞を用いることによるバイアス込みの実験結果が得られることとなる。
【0011】
トリチウム水遊離アッセイ法においては、比較的取扱い易く、危険性の少ない、トリチウムラベルを使用するものの、放射性化合物を取扱うための、特別の隔離空間・設備を必要とする他、アッセイ廃棄物も放射性化合物を含むため、特別の留意が必要であり、実験の操作性にも制限がある。
【0012】
ストレッサーらによる方法はアロマターゼ活性を測定する場合には、放射性化合物を使用することもなく、多くの問題を生じないが、アロマターゼ阻害剤のスクリーニングにおいては、試験対象の化学物質の非常に多くが自ら蛍光を有するため、化学物質の阻害用量曲線を得る場合に、自己蛍光が測定の妨害となる。多くの化学物質が蛍光を有するためこの方法はスクリーニングとして限界を有する。
【0013】
谷口らによる液体クロマトグラフィーによる方法は、放射性化合物を使用することもなく、阻害剤スクリーニングの場合においても、液体クロマトグラフィーにより分離分析のため、試験対象物質の自己蛍光の影響も、原理的にありえない。しかしながらクロマトグラフィーによる分析の前に、除蛋白操作・分離操作を必要とするため煩雑であり、さらに一度に多くのサンプルを分析することができないという難点を有する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、放射性化合物を使用することなく、試験対象の化学物質の自己蛍光の影響を受けることがなく、煩雑な操作を必要としない、ハイスループットに適したアロマターゼ活性の測定方法、アロマターゼ活性の阻害剤のスクリーニング方法につき鋭意努力検討した結果、アロマターゼによって変換されて生じた生成物を、免疫化学的に測定することで諸問題が解決されることに想到し、本願発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち本発明は、
(1) アロマターゼの活性を測定する方法であって、アロマターゼを作用させた後、生じた生成物を免疫化学的手法により測定することを特徴とするアロマターゼ活性の測定方法。
(2) アロマターゼ活性を測定する際に、評価すべき化学物質を同時に共存させ、生じる生成物の量の変化を免疫化学的手法により測定し、評価すべき化学物質の効果を評価することを特徴とする測定方法。
(3) 免疫学的手法が、生成物を特異的に認識する抗体を利用することを特徴とする(1)、(2)の測定方法。
(4) 生成物を特異的に認識する抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法から少なくとも一つの手法を利用することを特徴とする、(1)〜(3)の測定方法。
(5) 基質が、アンドロジェンに類別されるものであることを特徴とする請求項1〜4の測定方法。
(6) アロマターゼ活性測定に使用する基質がテストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、7−エトキシ−3−シアノクマリン、7−メトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ベンジロキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、ジベンジルフルオレセイン、7−エトキシ−4−トリフルオロメチルクマリンであることを特徴とする(1)〜(5)の測定方法。
(7) アロマターゼ反応の間あるいはアロマターゼ反応後、アロマターゼが固定化されることを特徴とする、(1)〜(6)の方法。
(8) アロマターゼ反応終了後、アロマターゼとその他のアロマターゼ反応組成物とが分離されることを特徴とする(1)〜(7)の方法。
(9) アロマターゼ反応後、アロマターゼの活性を抑制するために、加熱処理あるいは阻害剤を添加することを特徴とする(1)〜(8)の方法。
(10) 抗体が魚類・両性類・鳥類・爬虫類、哺乳類由来のポリクローナル抗体あるいは、モノクローナル抗体であることを特徴とする(3)〜(9)の方法。
(11) アロマターゼが貝類・軟体動物・魚類・両性類・鳥類・爬虫類・哺乳類由来であることを特徴とする(1)〜(10)の方法。
(12) アロマターゼが遺伝子組換えで生産されていることを特徴とする(1)〜(11)の方法。
(13) 抗体が固定化されていることを特徴とする(1)〜(12)の方法。
(14) アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系をアロマターゼ反応時に共存させることを特徴とする、(1)〜(13)の方法。
(15) アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系が、グルコース6リン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素を含むことを特徴とする、(1)〜(14)の方法。
(16) アロマターゼ反応の基質が、抗体による免疫反応に実質的に影響を及ぼさない濃度に調節されていることを特徴とする、(1)〜(15)の方法。
(17)次に示す(1)〜(3)を含む試薬組成物であって、アロマターゼが、ある物質が意図している作用効果に及ぼす影響の度合いを測定する為の試薬組成物。
(1)アロマターゼ
(2)ある物質が、アロマターゼによって作用を受け、生じた生成物を、特異的に認識する抗体
(3)(2)に記載の抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法のいずれか1つの方法による測定を可能にする試薬組成物。
(18) 特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化プレートあるいは特異抗体固定化(生成物架橋結合蛋白質)金薄膜チップ、特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化水晶振動子チップ、反応用緩衝液、特異抗体液、抗体試料希釈液、標準品、標識量を定量するための酵素基質液などから適宜選択される組成物を構成パーツとするキットであって、アロマターゼが、ある物質が意図している作用効果に及ぼす影響の度合いを測定する為のキット。
(19) 非ステロイド性化学物質を評価対象とする(2)〜(17)の方法。
(20) アロマターゼ反応時のアンドロジェン性の基質濃度が0.05nM〜500μMであることを特徴とする(2)〜(19)の方法。
に関するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とするアロマターゼの形態としては、純化され活性のある蛋白以外に、動物組織・植物組織・微生物から部分精製、粗精製あるいは未精製抽出物が使用可能である。
【0017】
本発明のアロマターゼ阻害剤のスクリーニングに使用する、アロマターゼの給源としては、ヒト・ラット・マウスなどの哺乳類由来のもの、ニワトリなど鳥類由来のもの、ワニなどの爬虫類由来のもの、カエルなどの両性類由来のもの、マス・メダカなど魚類由来のもの、貝類・軟体動物等の無脊椎動物由来のものを使用することができる。また本発明での測定対象としてのアロマターゼは、ヒト・ラット・マウスなどの哺乳類、ニワトリなど鳥類、ワニなどの爬虫類、カエルなどの両性類、マス・メダカなど魚類、貝類等の無脊椎動物から採取した生体試料中及びそれらを部分精製・高度精製したものに含まれる。
【0018】
本発明における免疫化学的測定方法としては、アロマターゼによって変換された生成物を特異的な抗体を利用した、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法などを選択することができる。酵素免疫測定法として、生成物をハプテンとして酵素と結合させた、酵素標識体と固相化された生成物特異的抗体とを組み合わせた競合法か、生成物を牛血清アルブミン等と架橋結合させたものを固相化し、酵素標識された生成物特異的抗体を組合せた競合法を使用することができる。またこれらの方法を適宜変更して応用することが可能である。これらの酵素免疫測定競合法においては、アロマターゼによって変換されて生じた生成物が多いほど、最終的に検出する酵素標識体は少なくなり、結果として得られるシグナルは小さくなる。表面プラズモン共鳴法を利用する場合は、使用する金薄膜表面に、生成物特異的抗体または生成物を牛血清アルブミン等と架橋結合したものを、固定化して使用することができる。微量示差熱測定法の場合は、生成物と抗体との反応時に生じる微量熱量を直接測定することができる。水晶振動共鳴法の場合は水晶振動子上に生成物特異的抗体または生成物を牛血清アルブミン等と架橋結合したものを、固定化して使用することができる。
【0019】
本発明の免疫化学的測定において使用する抗体とは、免疫グロブリンの各クラス、すなわちIgG、IgM、IgE、IgA、IgDのことを言い、各抗体は魚類・両性類・爬虫類・哺乳類のものを使用することができる。また抗体はこれら各種動物の生体液から得られたポリクローナルなものであっても、ハイブリドーマより産生されたモノクローナルものでも、遺伝子工学的に製造されたものであってもよい。さらには抗体は全体の分子であっても、結合部分の活性を保持しえれば、Fab、(Fab)2、Fab’、Fv,scFvあるいはミニボデイなどいかなる形態のフラグメントであってもよい。それらの抗体は生成物に対して、測定時においてアロマターゼによる生成物に対して十分に高い特異性を有することが必要である。 多数の化学物質と交差反応性を有する抗体を用いる場合も、本発明は包含するが、その場合アロマターゼ阻害活性の評価対象化学物質の種類は限定される可能性が高いであろう。
【0020】
本発明でいう競合法とは、特異的抗体の結合対象である生成物Aの標識体(A−L)を、A特異的抗体(Ig)が固定化された担体上で、アロマターゼによって生成された(A)と(A−L)の競合反応を行なわせた後、遊離の(A−L)もしくは固相に結合した(A−L)の標識(L)の量を計測する、測定系のことをいう。図1に標識として酵素(ペルオキシダーゼ)を用いた競合法測定系の例を示す。あるいは図2の様に、シグナルを生じない蛋白質(B)とAを架橋結合した複合体(A−B)を固定化した担体を用いて、標識抗体(Ig−L)とアロマターゼによって生成された(A)を競合反応させる系も可能である。この場合遊離の(Ig−L)もしくは担体と結合した(Ig−L)の標識(L)の量を計測する。特異的抗体を固相化したものと酵素標識生成物を用いた測定系において得られる、アロマターゼ阻害のドーズレスポンスカーブ(用量曲線)を図3に模式的に示す。
【0021】
本発明において表面プラズモン共鳴法、水晶振動共鳴法を用いた場合の測定原理を図4および図8に示す。これらの方法の場合、特異的抗体を金薄膜表面あるいは水晶振動子上に固定化するか、シグナルを生じない蛋白質(B)とAを架橋結合した複合体(A−B)を金薄膜表面あるいは水晶振動子上に固定化するかいずれかである。
【0022】
本発明における生成物特異抗体あるいは生成物−蛋白質架橋複合体を固定化するための不溶性担体としては、ポリスチレン・ナイロン・ポリカーボネートなどプラスチック、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、デキストラン、セファロース、ニトロセルロース、ガラス、濾紙などが使用可能である。各担体には各種の官能基(ヒドラジド基、アルキルアミノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)が導入されていてもよい。担体の形状としては、マイクロタイタープレート、膜、シート、チップ、ビーズなど操作性のよいものを使用することができる。各不溶性担体の吸着可能力・結合能力はあらかじめ確認できている方が好ましいが、それらの情報は必ずしも必須ではない。本発明では、固相担体作製時に、共有結合によるカップリングも実施可能である。カップリング試薬としては、グルタルアルデヒド、カルボジイミドなどが用いられる。
【0023】
本発明における抗体固相あるいは生成物−蛋白質架橋複合体を固定化する際に使用する吸着液のベース緩衝液としては、10mM りん酸緩衝液(150mMNaCl含有:pH7.2)、50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)、10mMトリス塩酸緩衝液(150mM NaCl含有:pH8.5)など、一般的に用いられているものを、抗体あるいは生成物−蛋白質架橋複合体の安定性が保持されるpH範囲内(pH3.0〜10.0:好ましくはpH5.0〜9.0)で使用することができる。塩の種類、緩衝液の濃度は示した例に限定されるものではなく、適宜変更することができ、レセプターの種類によっては、KCl、MgCl2、MnCl2、あるいは微量の重金属塩等を0.01mM〜300mMの範囲で添加することが可能である。吸着・結合反応後、牛血清アルブミンやカゼイン・ゼラチンなどを、非特異的反応防止の為にブロッキング剤として0.01%〜10%(W/V)の範囲で使用することができる。このブロック剤のベース緩衝液としては吸着液に使用したりん酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液の他に、マレイン酸、乳酸などの有機酸緩衝液を10mM〜300mMの範囲で使用することができる。pHは測定系に関連するレセプター(抗体を含む)の安定化に最もふさわしい範囲を選択できるが、一般的にはpH5.0〜pH8.5で使用することが多い。また固定化後の安定化のためにサッカロース・グルコース・デキストランなどの糖類を安定化剤として0.01%〜20%(W/V)の範囲で適宜添加することができる。
【0024】
測定系に関与する抗体あるいは生成物−蛋白質架橋複合体を固定化させる時の濃度としては、0.1pg(ピコグラム)/ml〜1mg/mlの範囲を使用することができる。より好ましくは10pg/ml〜50μg/mlを、さらに好ましくは0.1μg/mL〜10μg/mLを選択することができる。
【0025】
吸着・結合時に必要な時間としては、5分〜72時間が選択可能であるが、より好ましくは1時間〜36時間が選択できる。 インキュベートする温度としては、1℃〜45℃が選択可能であるが、より好ましくは2℃〜37℃が選択できる。
【0026】
本発明で不溶性担体に抗体または生成物−蛋白質架橋複合体を吸着させた後、適宜10mM りん酸緩衝液(150mM NaCl含むpH7.2)などの洗浄液で洗浄することができる。洗浄剤にはツイーン20やトリトンX−100など、温和な非イオン界面活性剤等などを適宜加えることもできる。
【0027】
アロマターゼ活性測定に使用する基質としては、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、7−エトキシ−3−シアノクマリン、7−メトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ベンジロキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、ジベンジルフルオレセイン、7−エトキシ−4−トリフルオロメチルクマリンなどを使用することができる。
【0028】
アロマターゼ活性測定に使用する抗体としては、抗17β−エストラジオール抗体、抗エストロン抗体など、基質が代謝された生成物を特異的に認識する抗体であれば、使用に制限はない。本発明の免疫化学的測定において使用する抗体は、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、水晶振動共鳴法の場合、不溶性担体に固定化して使用しても良いし、固定化せず溶液状態で使用しても良い。微量示差熱測定法での抗体の使用は、固定化する必要性はない。酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、水晶振動共鳴法で、抗体を不溶性担体に固定化することなく、溶液状態で使用する場合は、生成物を架橋結合した蛋白質(生成物―BSAコンジュゲート等)を不溶性担体に固定化することが必要となる。
【0029】
アロマターゼ活性阻害効果を評価する際に、反応後、アロマターゼ反応時、アロマターゼは固定化されていても良い。またアロマターゼ反応後、不溶性担体に固定化されたアロマターゼ特異的抗体により補足・固定化し、反応系外に除去しても良い。また予めアロマターゼをビオチン化しておき、アロマターゼ反応後、不溶性担体に固定化されたストレプトアビジンにて反応系外に除去しても良い。あるいはアロマターゼ活性阻害効果を評価する際に、反応後、アロマターゼの活性を抑制するために、加熱処理をすることができる。あるいは反応後、既知のアロマターゼの阻害剤を添加することができる。
【0030】
アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系としては、NADPHを産生することができる酵素系であれば限定されることはないが、アロマターゼ反応及びアロマターゼ反応後の免疫反応に影響を与えないことが望ましい。この様な酵素系としては、グルコース6リン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)(以下NADP+とも記載)とグルコース6リン酸脱水素酵素の組合せ、イソクエン酸、NADP+とイソクエン酸脱水素酵素の組合せなどがある。
【0031】
アロマターゼ反応の基質は、極めて多量に存在する場合、アロマターゼ反応後の免疫化学反応に影響を与える場合がある。このため実質的に影響が出ないレベルにまで、基質の量を調節することが好ましい。
具体例として、アロマターゼの基質としてテストステロンを、特異抗体として抗17βエストラジオール抗体を選択した場合、抗17βエストラジオールの特異性が非常に高く、テストステロンに対する交差反応性が極めて低い場合においても、一般に酵素反応として使用する際の基質濃度(1mM〜100mM)では、特異的抗体にとって量的に極めて過剰であり、抗17β−エストラジオール抗体と17β−エストラジオールの免疫反応に影響を及ぼす場合がある。この場合基質濃度としてテストステロン濃度を減じることで、実質的に免疫反応に影響が出ないようにすることができる。他のアンドロジェン基質も、生成物特異的抗体の性能にもよるが、アロマターゼ反応時の基質濃度が0.05nM〜500μMであることが好ましい場合がある。
【0032】
アロマターゼ反応のもう一つの電子伝達体としての基質は、NADPHとして直接反応系に、一般に使用される0.1mM〜10.0mMの範囲で添加することが可能である。あるいはNADP+として添加し、上述の再生系の組合せを添加しても良い。グルコース6リン酸、NADP+、グルコース6リン酸脱水素酵素の組合せの場合、それぞれ 0.2mM〜20mM、0.1mM〜5.0mM、0.1ユニット/ml〜20ユニット/mlの範囲で使用可能である。より好ましくはそれぞれ 0.5mM〜10mM、0.5mM〜3.0mM、0.5ユニット/ml〜10ユニット/mlの範囲で使用可能である。なおグルコース6リン酸、NADP+、NADPHはナトリウム塩、カリウム塩等の形で使用することができ、酵素類は高純度精製品・部分精製品・硫安懸濁品等を使用することができる。
【0033】
免疫化学的測定として酵素免疫測定法を用いる場合、標識用酵素として、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、リゾチーム等、一般の酵素免疫測定法に使用されているものを制限なく利用できる。また適宜それら選択した酵素に応じて、テトラメチルベンチジン(TMB)、o−フェニレンジアミン、2,2−アジノジ−(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム(ABTS)、p−ニトロフェニルリン酸、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド等の各種酵素に対応した基質が使用できる。
【0034】
アロマターゼ反応及び免疫化学的反応においては、評価対象とする化学物質の溶解性を高めるため、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を含むことができる。それらの有機溶媒はアロマターゼ反応及び免疫化学反応に影響しない範囲か、影響を無視できる範囲で使用することができる。ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドは、およそ0.1〜20%、好ましくは0.2%〜10%、より好ましくは 0.2%〜5%で使用することができる。
【0035】
本発明でいう測定用キットとは、上述の生成物を特異的に認識する抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法などによる測定を可能にする各種の試薬群(固相化された担体を含む)のことである。具体的には特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化プレートあるいは特異抗体固定化(生成物架橋結合蛋白質)金薄膜チップ、特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化水晶振動子チップ、反応用緩衝液、特異抗体液、抗体試料希釈液、標準品、標識量を定量するための酵素基質液などから適宜選択される組成物を組合せたセットをいう。
【0036】
本発明でいう非ステロイド性化学物質とは、いわゆるステロイド骨格を有しない、アミノグルテチミド、ナフトフラボンなどをいう。ステロイド骨格を有する化学物質のうちあるものは、アロマターゼの生成物質と構造的に類似するため、生成物特異的抗体に対して若干交差反応性を有する場合がある。これらの場合得られる阻害効果は、低く見積られ、偽陰性の結果を生じる可能性がある。こうした化学物質を評価する場合、特にアロマターゼのみを除いた測定系にて評価した結果と合わせて、化学物質の阻害効果を論じなければならない。しかしながらアロマターゼ阻害剤のうち、薬剤として開発されるものは、種々の理由からステロイド骨格を有しないものも多く、本発明は特に非ステロイド性アロマターゼ阻害剤のスクリーニングに有用である。また内分泌撹乱物質として問題になっている物質の多くは芳香環を有するが、非ステロイド性のものが多く、本発明は特に内分泌撹乱物質のスクリーニングにも有用である。
【実施例】
本発明の実施における望ましい態様を実施例として以下に述べる。
【0037】
[実施例1]
【0038】
(抗エストラジオール抗体固定化プレートの作製)
エストラジオールの3位の位置を利用して架橋された蛋白質を抗原として得た、精製抗エストラジオール抗体を、1μg/mlとなるように50mM炭酸緩衝液(pH9.6)に希釈し(抗体吸着液)、コーニングコースター社製のマクロタイタープレート(96ウエルタイプ:材質はポリスチレン)に1ウエルあたり100μLづつ分注した。分注後プレート表面をシールし、4℃にて終夜静置した。翌日抗体吸着液を除去し、1ウエルあたり10mMりん酸緩衝液(pH7.2;150mM NaClを含む) 200μLにて3回洗浄した。洗浄後10mMりん酸緩衝液(pH7.2;150mM NaClを含む:りん酸緩衝液1)をベースとし、0.2%カゼイン、10%サッカロースを含むブロッキング溶液 200μLを1ウエルづつ満たした。ブロッキング液を満たした後プレートを4℃にて終夜静置し、翌日ブロッキング液除去後16時間の真空乾燥を実施した。真空乾燥したプレートは減圧化にて保管袋に密封し、以下の測定に供するまで4℃にて保存した。
(アロマターゼの測定)
ジェンテスト(GENTEST)社製の組換えヒトアロマターゼを、100mMりん酸緩衝液(pH7.2 ;0.1%BSAを含む:りん酸緩衝液2)にて希釈し、各濃度系列を作製した。この各濃度系列 25μLと、りん酸緩衝液2をベースとした、グリセロール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下G6PDHとも記載)(0.5ユニット/ml)、MgCl2 4.13mM、NADP・2Na1.63mM、G6P・Na 4.13mM、テストステロン62.5μMの反応混合液 100μL 及び りん酸緩衝液2 25μLをポリプロピレン製アッセイプレート(96ウエル)中にて混合し、37℃にて20分間反応させた。この反応液を50μLとり、10mMりん酸緩衝液(pH7.2 ;0.1%BSAを含む:りん酸緩衝液3)をベースとしたペルオキシダーゼ標識エストラジオール(E2−HRP)50μLと、抗エストラジオール抗体固定化プレート上にて混合し、4℃にて1時間反応させた。反応後ツイン20 0.1%を含むりん酸緩衝液1 200μLにてプレートを3回洗浄後、テトラメチルベンチジンを含む酵素反応溶液100μLを加え、37℃にて20分間インキュベートした。この後1N 硫酸100μLにて酵素反応をとめ、450nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーにて測光し、データ処理を実施した。ヒトアロマターゼの各濃度系列と得られる吸光度の関係を図5に示す。アロマターゼの濃度と吸光度は非常に高い相関性をもっており、本実施例の方法により吸光度のデータより試料中のアロマターゼ活性が測定できることが示されている。
【0039】
[実施例2]
(化学物質のアロマターゼへの阻害効果の評価 ▲1▼)
ジェンテスト(GENTEST)社製の組換えヒトアロマターゼ溶液を、りん酸緩衝液2にて約1600倍に希釈し、このアロマターゼ溶液 25μLと、りん酸緩衝液2をベースとした、G6PDH(0.5ユニット/ml)、MgCl2 4.13mM、NADP・2Na 1.63mM、G6P・Na 4.13mM、テストステロン62.5μMの反応混合液 100μL 及び りん酸緩衝液2をベースとした25μLのαナフトフラボン0μM〜3.2μM溶液を、ポリプロピレン製アッセイプレート(96ウエル)中にて混合し、37℃にて20分間反応させた。この反応液を50μLとり、以後実施例1と同様の操作を実施し、各αナフトフラボン溶液濃度と450nmでの吸光度の関係を求めた。図6にその対応関係を示す。αナフトフラボンの量の増加に伴って、アロマターゼの阻害が強くなり、生成するエストラジオール量が少なくなり、酵素免疫測定法でのシグナル量が増加していることが判る。
【0040】
[実施例3]
(化学物質のアロマターゼへの阻害効果の評価 ▲2▼)
実施例2のαナフトフラボンにかえて、0〜9μMのアミノグルテチミド溶液を用いて同様の操作を実施し、各アミノグルテチミド溶液濃度と450nmでの吸光度の関係を求めた。図6にその対応関係を示す。アミノグルテチミドの量の増加に伴って、実施例2同様にアロマターゼの阻害が強くなり、生成するエストラジオール量が少なくなり、酵素免疫測定法でのシグナル量が増加していることが判る。
【発明の効果】
本発明により、放射性化合物を用いることなく、簡便・迅速に効率よくアロマターゼ活性を測定することができる。また本発明により、放射性化学物質を用いることなく、簡便・迅速にかつ効率的に多数の化学物質のアロマターゼ阻害活性の評価を実施することができる。本発明はこれらの簡便・迅速性より、特にアロマターゼを標的とする薬剤および撹乱化学物質の評価に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で包含する競合法(抗体を固定化)の酵素免疫測定法での測定原理を模式的に示す。
【図2】本発明で包含する競合法(生成物−蛋白質架橋複合体)の酵素免疫測定法での測定原理を模式的に示す。
【図3】本発明で阻害剤をスクリーニングする際に得られるドーズレスポンスカーブのモデルを模式的に示す。
【図4】本発明で包含する表面プラズモン共鳴法、水晶振動法での測定原理(生成物特異的抗体を固定化する場合)を模式的に示す。
【図5】実施例1での、ヒトアロマターゼの各濃度系列と得られる吸光度の関係を示す。
【図6】実施例2での、各αナフトフラボン溶液濃度と450nmでの吸光度の関係をを示す。
【図7】実施例3での、各アミノグルテチミド溶液濃度と450nmでの吸光度の関係を示す。
【図8】本発明で包含する表面プラズモン共鳴法、水晶振動法での測定原理(生成物−蛋白質を固定化する場合)を模式的に示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイトクロームP450(Cytochrome P450)酵素ファミリーの一つであるアロマターゼの活性測定に関するものであり、また化学物質等のアロマターゼの阻害効果を評価するための方法に関するものである。また本発明はそれらの方法によって測定系を構築する際に使用する組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アロマターゼは主として生殖・性分化・成熟・成長・代謝・維持等に関わる性ホルモン量を調節する酵素であり、ステロイドホルモンの生合成系の最終段階において、アンドロジェンをエストロジェンに変換する。アロマターゼに関する研究はここ数10年進められおり、現在もより新しい手法にて、各種起源のアロマターゼの発現機序・構造・機能・メカニズム・進化機構等が解明されつつある。
【0003】
アロマターゼを活性が阻害されることにより、本来遺伝的に雌である生物が雌化する例が知られている。
例えば特開平04−211315や特開平05−176659などでは、ニワトリの雌の雄化が、トリブチルスズやトリフェニルスズによる貝類の雌化現象(いわゆるインポセックス:Imposex)が、堀口ら(マル、エンバイロ、リサーチ 50巻223−229頁(2000年):Mar. Environ. Res Vol. 50, pp223−229(2000))によって報告されている。人工化学物質による生命の性・生殖への影響はいわゆる内分泌撹乱物質問題として先世紀末より、緊急性のある課題として人類が直面している。
【0004】
アロマターゼはまた乳癌・子宮癌等にも密接に関与する。エストロゲン依存性の癌の進行過程に伴ってアロマターゼは発現し、近年では北脇らが、子宮内膜症・子宮腺筋腫・子宮筋腫などに伴ってアロマターゼが発現することを報告している(北脇ら Biol. Reprod. 57巻 514−519頁(1997年):Kitawaki, J.,et.al. Biol. Reprod., Vol.57,514−519(1997))。彼らは健常者では子宮内膜にアロマターゼが認められないことを、アロマターゼ特異的抗体を用いた免疫染色法にて確認している。またアロマターゼの活性測定は、良性乳腺疾患・乳癌などの治療において、ホルモン感受性の有無の判断、治療方針の決定に有用であるとされている。さらにアロマターゼは胎盤・卵巣・セルトリ細胞・リーデッヒ細胞・脂肪組織・筋肉・毛髪の他、脳にもその存在が確認されており、脳の性分化・性行動にも関与する可能性が指摘されている。
【0005】
アロマターゼはさらに毛髪の成長・脱毛にも関与している。多毛症、脱毛症は男性ホルモンに依存して生じており、アロマターゼの阻害剤を毛髪成長の制御に使用する試みが行なわれている(特表平10−508828)。
【0006】
乳癌・子宮癌等のエストロゲン依存性癌の治療薬あるいは毛髪成長制御剤として、種々のアロマターゼ阻害剤が研究開発されている。例えば現時点で販売・投与されている、アナストロゾールは非選択的非ステロイド性アロマターゼ阻害剤であり、閉経後女性のアロマターゼ阻害によって、副腎皮質から産生されるアンドロゲンがエストロゲンに変換することを抑制し、血漿中のエストロゲンを著明に低下させる。この薬剤は進行性再発乳癌等の治療薬として使用されている。
この様に性ホルモン調節酵素・薬物代謝酵素としての重要性からアロマターゼを標的とした薬物の開発が現在も進められており、より高性能な薬剤の需要が存在し、多くの大学研究機関・製薬メーカーにおいて新しいアロマターゼ阻害剤のスクリーニングが実施されている。
【0007】
アロマターゼはヒト以外にも広く、哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類、イボニシ等の貝類などの無脊椎動物にも広く分布し、根幹的な酵素の一つとして位置づけられている。このことは内分泌撹乱物質として、アロマターゼ阻害能あるいは促進能を有する人工化学物質の影響が、特定の貝類や鳥類のみに限定されるものではなく、ヒト自身にも影響を及ぼす可能性が高いことを意味する。このため、現在人類が大規模に使用している化学物質を全て、アロマターゼヘの影響という観点から見なおすことが急務となっているが、その試験法の煩雑さから、遅々として進んでいないのが現状である。
【0008】
阻害試験法などに使用するために、アロマターゼは組換え技術等によって、昆虫細胞や哺乳動物細胞、酵母、大腸菌などを用いて生産されている(シグルら ビー ビー アール シー 201巻694−700頁(1994年: Sigle R.O., B. B. R. C. Vol. 201, pp201−700(1994) 等)。
【0009】
アロマターゼ活性の測定法としては、シェンケルら(ジャーナル ステロイドバイオケム 33巻125−131頁(1989年):Schenkel et. al., J.Steroid Biochem, Vol.33, pp125−131(1989))らの動物細胞を用いた方法、酵母細胞で発現させたアロマターゼによるスクリーニング方法(ポンポンら モレキュラー エンドクリノロジー 3巻1477−1487頁(1989年): Ponpon D. et. al., Molecular Endocrinology Vol. 3, pp1477−1487(1989))、組換え技術によりアロマターゼを発現する哺乳動物細胞を用いる方法(特表平4−502261)等の細胞を用いた方法がある。これらはインビトロ試験で実施しうるものであるが、細胞全体を使用するため、アロマターゼ蛋白質と試験対象の化学物質の直接の反応性を評価するものではない。 アロマターゼ活性測定法として、アロマターゼ蛋白質そのものの活性を検出する方法としては、ラジオアイソトープラベルされた基質を使用する、トリチウム水遊離アッセイ法(ベリノら ジャーナル クリニ エンドクリノロジー メタボ 44巻699頁(1977年): Bellino, F. L. et. al., J. Clin. Endocrinol. Metab., Vol. 44, pp699(1977))やストレッサーら(アナル バイオケム 284巻427−430頁(2000):Stresser, D.M., et. al., Anal. Biochem., Vol.284, pp427−430(2000))による、アロマターゼによって代謝された後、蛍光性を有する基質を使用する蛍光法がある。 さらに谷口ら(アナル バイオケム 181巻167−171頁(1989年): Taniguchi, H., et. al., Anal. Biochem., Vol.181, pp167−171(1989))による液体クロマトグラフィーによる方法等がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
アロマターゼ活性を測定において、哺乳動物細胞、組換え酵母細胞、組換え昆虫細胞など細胞を用いた場合には、細胞が含む他の代謝酵素の影響を受けることが最も大きな障害となる。アロマターゼ以外に多くのP450酵素は多数の種類細胞内に存在しているが、試験対象の化学物質が、それらの酵素によって代謝される可能性は高く、影響は大きい。また種々の化学物質の、細胞膜透過性は、動物細胞・酵母・大腸菌でそれぞれ異なるため、それぞれの細胞を用いて得た結果で差が認められるため、細胞を用いることによるバイアス込みの実験結果が得られることとなる。
【0011】
トリチウム水遊離アッセイ法においては、比較的取扱い易く、危険性の少ない、トリチウムラベルを使用するものの、放射性化合物を取扱うための、特別の隔離空間・設備を必要とする他、アッセイ廃棄物も放射性化合物を含むため、特別の留意が必要であり、実験の操作性にも制限がある。
【0012】
ストレッサーらによる方法はアロマターゼ活性を測定する場合には、放射性化合物を使用することもなく、多くの問題を生じないが、アロマターゼ阻害剤のスクリーニングにおいては、試験対象の化学物質の非常に多くが自ら蛍光を有するため、化学物質の阻害用量曲線を得る場合に、自己蛍光が測定の妨害となる。多くの化学物質が蛍光を有するためこの方法はスクリーニングとして限界を有する。
【0013】
谷口らによる液体クロマトグラフィーによる方法は、放射性化合物を使用することもなく、阻害剤スクリーニングの場合においても、液体クロマトグラフィーにより分離分析のため、試験対象物質の自己蛍光の影響も、原理的にありえない。しかしながらクロマトグラフィーによる分析の前に、除蛋白操作・分離操作を必要とするため煩雑であり、さらに一度に多くのサンプルを分析することができないという難点を有する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、放射性化合物を使用することなく、試験対象の化学物質の自己蛍光の影響を受けることがなく、煩雑な操作を必要としない、ハイスループットに適したアロマターゼ活性の測定方法、アロマターゼ活性の阻害剤のスクリーニング方法につき鋭意努力検討した結果、アロマターゼによって変換されて生じた生成物を、免疫化学的に測定することで諸問題が解決されることに想到し、本願発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち本発明は、
(1) アロマターゼの活性を測定する方法であって、アロマターゼを作用させた後、生じた生成物を免疫化学的手法により測定することを特徴とするアロマターゼ活性の測定方法。
(2) アロマターゼ活性を測定する際に、評価すべき化学物質を同時に共存させ、生じる生成物の量の変化を免疫化学的手法により測定し、評価すべき化学物質の効果を評価することを特徴とする測定方法。
(3) 免疫学的手法が、生成物を特異的に認識する抗体を利用することを特徴とする(1)、(2)の測定方法。
(4) 生成物を特異的に認識する抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法から少なくとも一つの手法を利用することを特徴とする、(1)〜(3)の測定方法。
(5) 基質が、アンドロジェンに類別されるものであることを特徴とする請求項1〜4の測定方法。
(6) アロマターゼ活性測定に使用する基質がテストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、7−エトキシ−3−シアノクマリン、7−メトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ベンジロキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、ジベンジルフルオレセイン、7−エトキシ−4−トリフルオロメチルクマリンであることを特徴とする(1)〜(5)の測定方法。
(7) アロマターゼ反応の間あるいはアロマターゼ反応後、アロマターゼが固定化されることを特徴とする、(1)〜(6)の方法。
(8) アロマターゼ反応終了後、アロマターゼとその他のアロマターゼ反応組成物とが分離されることを特徴とする(1)〜(7)の方法。
(9) アロマターゼ反応後、アロマターゼの活性を抑制するために、加熱処理あるいは阻害剤を添加することを特徴とする(1)〜(8)の方法。
(10) 抗体が魚類・両性類・鳥類・爬虫類、哺乳類由来のポリクローナル抗体あるいは、モノクローナル抗体であることを特徴とする(3)〜(9)の方法。
(11) アロマターゼが貝類・軟体動物・魚類・両性類・鳥類・爬虫類・哺乳類由来であることを特徴とする(1)〜(10)の方法。
(12) アロマターゼが遺伝子組換えで生産されていることを特徴とする(1)〜(11)の方法。
(13) 抗体が固定化されていることを特徴とする(1)〜(12)の方法。
(14) アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系をアロマターゼ反応時に共存させることを特徴とする、(1)〜(13)の方法。
(15) アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系が、グルコース6リン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素を含むことを特徴とする、(1)〜(14)の方法。
(16) アロマターゼ反応の基質が、抗体による免疫反応に実質的に影響を及ぼさない濃度に調節されていることを特徴とする、(1)〜(15)の方法。
(17)次に示す(1)〜(3)を含む試薬組成物であって、アロマターゼが、ある物質が意図している作用効果に及ぼす影響の度合いを測定する為の試薬組成物。
(1)アロマターゼ
(2)ある物質が、アロマターゼによって作用を受け、生じた生成物を、特異的に認識する抗体
(3)(2)に記載の抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法のいずれか1つの方法による測定を可能にする試薬組成物。
(18) 特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化プレートあるいは特異抗体固定化(生成物架橋結合蛋白質)金薄膜チップ、特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化水晶振動子チップ、反応用緩衝液、特異抗体液、抗体試料希釈液、標準品、標識量を定量するための酵素基質液などから適宜選択される組成物を構成パーツとするキットであって、アロマターゼが、ある物質が意図している作用効果に及ぼす影響の度合いを測定する為のキット。
(19) 非ステロイド性化学物質を評価対象とする(2)〜(17)の方法。
(20) アロマターゼ反応時のアンドロジェン性の基質濃度が0.05nM〜500μMであることを特徴とする(2)〜(19)の方法。
に関するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とするアロマターゼの形態としては、純化され活性のある蛋白以外に、動物組織・植物組織・微生物から部分精製、粗精製あるいは未精製抽出物が使用可能である。
【0017】
本発明のアロマターゼ阻害剤のスクリーニングに使用する、アロマターゼの給源としては、ヒト・ラット・マウスなどの哺乳類由来のもの、ニワトリなど鳥類由来のもの、ワニなどの爬虫類由来のもの、カエルなどの両性類由来のもの、マス・メダカなど魚類由来のもの、貝類・軟体動物等の無脊椎動物由来のものを使用することができる。また本発明での測定対象としてのアロマターゼは、ヒト・ラット・マウスなどの哺乳類、ニワトリなど鳥類、ワニなどの爬虫類、カエルなどの両性類、マス・メダカなど魚類、貝類等の無脊椎動物から採取した生体試料中及びそれらを部分精製・高度精製したものに含まれる。
【0018】
本発明における免疫化学的測定方法としては、アロマターゼによって変換された生成物を特異的な抗体を利用した、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法などを選択することができる。酵素免疫測定法として、生成物をハプテンとして酵素と結合させた、酵素標識体と固相化された生成物特異的抗体とを組み合わせた競合法か、生成物を牛血清アルブミン等と架橋結合させたものを固相化し、酵素標識された生成物特異的抗体を組合せた競合法を使用することができる。またこれらの方法を適宜変更して応用することが可能である。これらの酵素免疫測定競合法においては、アロマターゼによって変換されて生じた生成物が多いほど、最終的に検出する酵素標識体は少なくなり、結果として得られるシグナルは小さくなる。表面プラズモン共鳴法を利用する場合は、使用する金薄膜表面に、生成物特異的抗体または生成物を牛血清アルブミン等と架橋結合したものを、固定化して使用することができる。微量示差熱測定法の場合は、生成物と抗体との反応時に生じる微量熱量を直接測定することができる。水晶振動共鳴法の場合は水晶振動子上に生成物特異的抗体または生成物を牛血清アルブミン等と架橋結合したものを、固定化して使用することができる。
【0019】
本発明の免疫化学的測定において使用する抗体とは、免疫グロブリンの各クラス、すなわちIgG、IgM、IgE、IgA、IgDのことを言い、各抗体は魚類・両性類・爬虫類・哺乳類のものを使用することができる。また抗体はこれら各種動物の生体液から得られたポリクローナルなものであっても、ハイブリドーマより産生されたモノクローナルものでも、遺伝子工学的に製造されたものであってもよい。さらには抗体は全体の分子であっても、結合部分の活性を保持しえれば、Fab、(Fab)2、Fab’、Fv,scFvあるいはミニボデイなどいかなる形態のフラグメントであってもよい。それらの抗体は生成物に対して、測定時においてアロマターゼによる生成物に対して十分に高い特異性を有することが必要である。 多数の化学物質と交差反応性を有する抗体を用いる場合も、本発明は包含するが、その場合アロマターゼ阻害活性の評価対象化学物質の種類は限定される可能性が高いであろう。
【0020】
本発明でいう競合法とは、特異的抗体の結合対象である生成物Aの標識体(A−L)を、A特異的抗体(Ig)が固定化された担体上で、アロマターゼによって生成された(A)と(A−L)の競合反応を行なわせた後、遊離の(A−L)もしくは固相に結合した(A−L)の標識(L)の量を計測する、測定系のことをいう。図1に標識として酵素(ペルオキシダーゼ)を用いた競合法測定系の例を示す。あるいは図2の様に、シグナルを生じない蛋白質(B)とAを架橋結合した複合体(A−B)を固定化した担体を用いて、標識抗体(Ig−L)とアロマターゼによって生成された(A)を競合反応させる系も可能である。この場合遊離の(Ig−L)もしくは担体と結合した(Ig−L)の標識(L)の量を計測する。特異的抗体を固相化したものと酵素標識生成物を用いた測定系において得られる、アロマターゼ阻害のドーズレスポンスカーブ(用量曲線)を図3に模式的に示す。
【0021】
本発明において表面プラズモン共鳴法、水晶振動共鳴法を用いた場合の測定原理を図4および図8に示す。これらの方法の場合、特異的抗体を金薄膜表面あるいは水晶振動子上に固定化するか、シグナルを生じない蛋白質(B)とAを架橋結合した複合体(A−B)を金薄膜表面あるいは水晶振動子上に固定化するかいずれかである。
【0022】
本発明における生成物特異抗体あるいは生成物−蛋白質架橋複合体を固定化するための不溶性担体としては、ポリスチレン・ナイロン・ポリカーボネートなどプラスチック、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、デキストラン、セファロース、ニトロセルロース、ガラス、濾紙などが使用可能である。各担体には各種の官能基(ヒドラジド基、アルキルアミノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)が導入されていてもよい。担体の形状としては、マイクロタイタープレート、膜、シート、チップ、ビーズなど操作性のよいものを使用することができる。各不溶性担体の吸着可能力・結合能力はあらかじめ確認できている方が好ましいが、それらの情報は必ずしも必須ではない。本発明では、固相担体作製時に、共有結合によるカップリングも実施可能である。カップリング試薬としては、グルタルアルデヒド、カルボジイミドなどが用いられる。
【0023】
本発明における抗体固相あるいは生成物−蛋白質架橋複合体を固定化する際に使用する吸着液のベース緩衝液としては、10mM りん酸緩衝液(150mMNaCl含有:pH7.2)、50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)、10mMトリス塩酸緩衝液(150mM NaCl含有:pH8.5)など、一般的に用いられているものを、抗体あるいは生成物−蛋白質架橋複合体の安定性が保持されるpH範囲内(pH3.0〜10.0:好ましくはpH5.0〜9.0)で使用することができる。塩の種類、緩衝液の濃度は示した例に限定されるものではなく、適宜変更することができ、レセプターの種類によっては、KCl、MgCl2、MnCl2、あるいは微量の重金属塩等を0.01mM〜300mMの範囲で添加することが可能である。吸着・結合反応後、牛血清アルブミンやカゼイン・ゼラチンなどを、非特異的反応防止の為にブロッキング剤として0.01%〜10%(W/V)の範囲で使用することができる。このブロック剤のベース緩衝液としては吸着液に使用したりん酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液の他に、マレイン酸、乳酸などの有機酸緩衝液を10mM〜300mMの範囲で使用することができる。pHは測定系に関連するレセプター(抗体を含む)の安定化に最もふさわしい範囲を選択できるが、一般的にはpH5.0〜pH8.5で使用することが多い。また固定化後の安定化のためにサッカロース・グルコース・デキストランなどの糖類を安定化剤として0.01%〜20%(W/V)の範囲で適宜添加することができる。
【0024】
測定系に関与する抗体あるいは生成物−蛋白質架橋複合体を固定化させる時の濃度としては、0.1pg(ピコグラム)/ml〜1mg/mlの範囲を使用することができる。より好ましくは10pg/ml〜50μg/mlを、さらに好ましくは0.1μg/mL〜10μg/mLを選択することができる。
【0025】
吸着・結合時に必要な時間としては、5分〜72時間が選択可能であるが、より好ましくは1時間〜36時間が選択できる。 インキュベートする温度としては、1℃〜45℃が選択可能であるが、より好ましくは2℃〜37℃が選択できる。
【0026】
本発明で不溶性担体に抗体または生成物−蛋白質架橋複合体を吸着させた後、適宜10mM りん酸緩衝液(150mM NaCl含むpH7.2)などの洗浄液で洗浄することができる。洗浄剤にはツイーン20やトリトンX−100など、温和な非イオン界面活性剤等などを適宜加えることもできる。
【0027】
アロマターゼ活性測定に使用する基質としては、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、7−エトキシ−3−シアノクマリン、7−メトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ベンジロキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、ジベンジルフルオレセイン、7−エトキシ−4−トリフルオロメチルクマリンなどを使用することができる。
【0028】
アロマターゼ活性測定に使用する抗体としては、抗17β−エストラジオール抗体、抗エストロン抗体など、基質が代謝された生成物を特異的に認識する抗体であれば、使用に制限はない。本発明の免疫化学的測定において使用する抗体は、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、水晶振動共鳴法の場合、不溶性担体に固定化して使用しても良いし、固定化せず溶液状態で使用しても良い。微量示差熱測定法での抗体の使用は、固定化する必要性はない。酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、水晶振動共鳴法で、抗体を不溶性担体に固定化することなく、溶液状態で使用する場合は、生成物を架橋結合した蛋白質(生成物―BSAコンジュゲート等)を不溶性担体に固定化することが必要となる。
【0029】
アロマターゼ活性阻害効果を評価する際に、反応後、アロマターゼ反応時、アロマターゼは固定化されていても良い。またアロマターゼ反応後、不溶性担体に固定化されたアロマターゼ特異的抗体により補足・固定化し、反応系外に除去しても良い。また予めアロマターゼをビオチン化しておき、アロマターゼ反応後、不溶性担体に固定化されたストレプトアビジンにて反応系外に除去しても良い。あるいはアロマターゼ活性阻害効果を評価する際に、反応後、アロマターゼの活性を抑制するために、加熱処理をすることができる。あるいは反応後、既知のアロマターゼの阻害剤を添加することができる。
【0030】
アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系としては、NADPHを産生することができる酵素系であれば限定されることはないが、アロマターゼ反応及びアロマターゼ反応後の免疫反応に影響を与えないことが望ましい。この様な酵素系としては、グルコース6リン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)(以下NADP+とも記載)とグルコース6リン酸脱水素酵素の組合せ、イソクエン酸、NADP+とイソクエン酸脱水素酵素の組合せなどがある。
【0031】
アロマターゼ反応の基質は、極めて多量に存在する場合、アロマターゼ反応後の免疫化学反応に影響を与える場合がある。このため実質的に影響が出ないレベルにまで、基質の量を調節することが好ましい。
具体例として、アロマターゼの基質としてテストステロンを、特異抗体として抗17βエストラジオール抗体を選択した場合、抗17βエストラジオールの特異性が非常に高く、テストステロンに対する交差反応性が極めて低い場合においても、一般に酵素反応として使用する際の基質濃度(1mM〜100mM)では、特異的抗体にとって量的に極めて過剰であり、抗17β−エストラジオール抗体と17β−エストラジオールの免疫反応に影響を及ぼす場合がある。この場合基質濃度としてテストステロン濃度を減じることで、実質的に免疫反応に影響が出ないようにすることができる。他のアンドロジェン基質も、生成物特異的抗体の性能にもよるが、アロマターゼ反応時の基質濃度が0.05nM〜500μMであることが好ましい場合がある。
【0032】
アロマターゼ反応のもう一つの電子伝達体としての基質は、NADPHとして直接反応系に、一般に使用される0.1mM〜10.0mMの範囲で添加することが可能である。あるいはNADP+として添加し、上述の再生系の組合せを添加しても良い。グルコース6リン酸、NADP+、グルコース6リン酸脱水素酵素の組合せの場合、それぞれ 0.2mM〜20mM、0.1mM〜5.0mM、0.1ユニット/ml〜20ユニット/mlの範囲で使用可能である。より好ましくはそれぞれ 0.5mM〜10mM、0.5mM〜3.0mM、0.5ユニット/ml〜10ユニット/mlの範囲で使用可能である。なおグルコース6リン酸、NADP+、NADPHはナトリウム塩、カリウム塩等の形で使用することができ、酵素類は高純度精製品・部分精製品・硫安懸濁品等を使用することができる。
【0033】
免疫化学的測定として酵素免疫測定法を用いる場合、標識用酵素として、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、リゾチーム等、一般の酵素免疫測定法に使用されているものを制限なく利用できる。また適宜それら選択した酵素に応じて、テトラメチルベンチジン(TMB)、o−フェニレンジアミン、2,2−アジノジ−(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム(ABTS)、p−ニトロフェニルリン酸、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド等の各種酵素に対応した基質が使用できる。
【0034】
アロマターゼ反応及び免疫化学的反応においては、評価対象とする化学物質の溶解性を高めるため、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を含むことができる。それらの有機溶媒はアロマターゼ反応及び免疫化学反応に影響しない範囲か、影響を無視できる範囲で使用することができる。ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドは、およそ0.1〜20%、好ましくは0.2%〜10%、より好ましくは 0.2%〜5%で使用することができる。
【0035】
本発明でいう測定用キットとは、上述の生成物を特異的に認識する抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法などによる測定を可能にする各種の試薬群(固相化された担体を含む)のことである。具体的には特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化プレートあるいは特異抗体固定化(生成物架橋結合蛋白質)金薄膜チップ、特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化水晶振動子チップ、反応用緩衝液、特異抗体液、抗体試料希釈液、標準品、標識量を定量するための酵素基質液などから適宜選択される組成物を組合せたセットをいう。
【0036】
本発明でいう非ステロイド性化学物質とは、いわゆるステロイド骨格を有しない、アミノグルテチミド、ナフトフラボンなどをいう。ステロイド骨格を有する化学物質のうちあるものは、アロマターゼの生成物質と構造的に類似するため、生成物特異的抗体に対して若干交差反応性を有する場合がある。これらの場合得られる阻害効果は、低く見積られ、偽陰性の結果を生じる可能性がある。こうした化学物質を評価する場合、特にアロマターゼのみを除いた測定系にて評価した結果と合わせて、化学物質の阻害効果を論じなければならない。しかしながらアロマターゼ阻害剤のうち、薬剤として開発されるものは、種々の理由からステロイド骨格を有しないものも多く、本発明は特に非ステロイド性アロマターゼ阻害剤のスクリーニングに有用である。また内分泌撹乱物質として問題になっている物質の多くは芳香環を有するが、非ステロイド性のものが多く、本発明は特に内分泌撹乱物質のスクリーニングにも有用である。
【実施例】
本発明の実施における望ましい態様を実施例として以下に述べる。
【0037】
[実施例1]
【0038】
(抗エストラジオール抗体固定化プレートの作製)
エストラジオールの3位の位置を利用して架橋された蛋白質を抗原として得た、精製抗エストラジオール抗体を、1μg/mlとなるように50mM炭酸緩衝液(pH9.6)に希釈し(抗体吸着液)、コーニングコースター社製のマクロタイタープレート(96ウエルタイプ:材質はポリスチレン)に1ウエルあたり100μLづつ分注した。分注後プレート表面をシールし、4℃にて終夜静置した。翌日抗体吸着液を除去し、1ウエルあたり10mMりん酸緩衝液(pH7.2;150mM NaClを含む) 200μLにて3回洗浄した。洗浄後10mMりん酸緩衝液(pH7.2;150mM NaClを含む:りん酸緩衝液1)をベースとし、0.2%カゼイン、10%サッカロースを含むブロッキング溶液 200μLを1ウエルづつ満たした。ブロッキング液を満たした後プレートを4℃にて終夜静置し、翌日ブロッキング液除去後16時間の真空乾燥を実施した。真空乾燥したプレートは減圧化にて保管袋に密封し、以下の測定に供するまで4℃にて保存した。
(アロマターゼの測定)
ジェンテスト(GENTEST)社製の組換えヒトアロマターゼを、100mMりん酸緩衝液(pH7.2 ;0.1%BSAを含む:りん酸緩衝液2)にて希釈し、各濃度系列を作製した。この各濃度系列 25μLと、りん酸緩衝液2をベースとした、グリセロール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下G6PDHとも記載)(0.5ユニット/ml)、MgCl2 4.13mM、NADP・2Na1.63mM、G6P・Na 4.13mM、テストステロン62.5μMの反応混合液 100μL 及び りん酸緩衝液2 25μLをポリプロピレン製アッセイプレート(96ウエル)中にて混合し、37℃にて20分間反応させた。この反応液を50μLとり、10mMりん酸緩衝液(pH7.2 ;0.1%BSAを含む:りん酸緩衝液3)をベースとしたペルオキシダーゼ標識エストラジオール(E2−HRP)50μLと、抗エストラジオール抗体固定化プレート上にて混合し、4℃にて1時間反応させた。反応後ツイン20 0.1%を含むりん酸緩衝液1 200μLにてプレートを3回洗浄後、テトラメチルベンチジンを含む酵素反応溶液100μLを加え、37℃にて20分間インキュベートした。この後1N 硫酸100μLにて酵素反応をとめ、450nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーにて測光し、データ処理を実施した。ヒトアロマターゼの各濃度系列と得られる吸光度の関係を図5に示す。アロマターゼの濃度と吸光度は非常に高い相関性をもっており、本実施例の方法により吸光度のデータより試料中のアロマターゼ活性が測定できることが示されている。
【0039】
[実施例2]
(化学物質のアロマターゼへの阻害効果の評価 ▲1▼)
ジェンテスト(GENTEST)社製の組換えヒトアロマターゼ溶液を、りん酸緩衝液2にて約1600倍に希釈し、このアロマターゼ溶液 25μLと、りん酸緩衝液2をベースとした、G6PDH(0.5ユニット/ml)、MgCl2 4.13mM、NADP・2Na 1.63mM、G6P・Na 4.13mM、テストステロン62.5μMの反応混合液 100μL 及び りん酸緩衝液2をベースとした25μLのαナフトフラボン0μM〜3.2μM溶液を、ポリプロピレン製アッセイプレート(96ウエル)中にて混合し、37℃にて20分間反応させた。この反応液を50μLとり、以後実施例1と同様の操作を実施し、各αナフトフラボン溶液濃度と450nmでの吸光度の関係を求めた。図6にその対応関係を示す。αナフトフラボンの量の増加に伴って、アロマターゼの阻害が強くなり、生成するエストラジオール量が少なくなり、酵素免疫測定法でのシグナル量が増加していることが判る。
【0040】
[実施例3]
(化学物質のアロマターゼへの阻害効果の評価 ▲2▼)
実施例2のαナフトフラボンにかえて、0〜9μMのアミノグルテチミド溶液を用いて同様の操作を実施し、各アミノグルテチミド溶液濃度と450nmでの吸光度の関係を求めた。図6にその対応関係を示す。アミノグルテチミドの量の増加に伴って、実施例2同様にアロマターゼの阻害が強くなり、生成するエストラジオール量が少なくなり、酵素免疫測定法でのシグナル量が増加していることが判る。
【発明の効果】
本発明により、放射性化合物を用いることなく、簡便・迅速に効率よくアロマターゼ活性を測定することができる。また本発明により、放射性化学物質を用いることなく、簡便・迅速にかつ効率的に多数の化学物質のアロマターゼ阻害活性の評価を実施することができる。本発明はこれらの簡便・迅速性より、特にアロマターゼを標的とする薬剤および撹乱化学物質の評価に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で包含する競合法(抗体を固定化)の酵素免疫測定法での測定原理を模式的に示す。
【図2】本発明で包含する競合法(生成物−蛋白質架橋複合体)の酵素免疫測定法での測定原理を模式的に示す。
【図3】本発明で阻害剤をスクリーニングする際に得られるドーズレスポンスカーブのモデルを模式的に示す。
【図4】本発明で包含する表面プラズモン共鳴法、水晶振動法での測定原理(生成物特異的抗体を固定化する場合)を模式的に示す。
【図5】実施例1での、ヒトアロマターゼの各濃度系列と得られる吸光度の関係を示す。
【図6】実施例2での、各αナフトフラボン溶液濃度と450nmでの吸光度の関係をを示す。
【図7】実施例3での、各アミノグルテチミド溶液濃度と450nmでの吸光度の関係を示す。
【図8】本発明で包含する表面プラズモン共鳴法、水晶振動法での測定原理(生成物−蛋白質を固定化する場合)を模式的に示す。
Claims (20)
- アロマターゼの活性を測定する方法であって、アロマターゼを作用させた後、生じた生成物を免疫化学的手法により測定することを特徴とするアロマターゼ活性の測定方法。
- アロマターゼ活性を測定する際に、評価すべき化学物質を同時に共存させ、生じる生成物量の変化を免疫化学的手法により測定し、評価すべき化学物質の効果を評価することを特徴とする測定方法。
- 免疫学的手法が、生成物を特異的に認識する抗体を利用することを特徴とする請求項1、2の測定方法。
- 生成物を特異的に認識する抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法から少なくとも一つの手法を利用することを特徴とする、請求項1〜3の測定方法。
- 基質が、アンドロジェンに類別されるものであることを特徴とする請求項1〜4の測定方法。
- アロマターゼ活性測定に使用する基質がテストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、7−エトキシ−3−シアノクマリン、7−メトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ベンジロキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、ジベンジルフルオレセイン、7−エトキシ−4−トリフルオロメチルクマリンであることを特徴とする請求項1〜5の測定方法。
- アロマターゼ反応の間あるいはアロマターゼ反応後、アロマターゼが固定化されることを特徴とする、請求項1〜6の方法。
- アロマターゼ反応終了後、アロマターゼとその他のアロマターゼ反応組成物とが分離されることを特徴とする請求項1〜7の方法。
- アロマターゼ反応後、アロマターゼの活性を抑制するために、加熱処理あるいは阻害剤を添加することを特徴とする請求項1〜8の方法。
- 抗体が魚類・両性類・鳥類・爬虫類、哺乳類由来のポリクローナル抗体あるいは、モノクローナル抗体であることを特徴とする請求項3〜9の方法。
- アロマターゼが貝類・軟体動物・魚類・両性類・鳥類・爬虫類・哺乳類由来であることを特徴とする請求項1〜10の方法。
- アロマターゼが遺伝子組換えで生産されていることを特徴とする請求項1〜11の方法。
- 抗体が固定化されていることを特徴とする請求項1〜12の方法。
- アロマターゼ反応に必要なニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(還元型)(以下NADPHとも記載)を補完する再生系をアロマターゼ反応時に共存させることを特徴とする、請求項1〜13の方法。
- アロマターゼ反応に必要なNADPHを補完する再生系が、グルコース6リン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素を含むことを特徴とする、請求項1〜14の方法。
- アロマターゼ反応の基質が、抗体による免疫反応に実質的に影響を及ぼさない濃度に調節されていることを特徴とする、請求項1〜15の方法。
- 次に示す(1)〜(3)を含む試薬組成物であって、アロマターゼが、ある物質が意図している作用効果に及ぼす影響の度合いを測定する為の試薬組成物。
(1)アロマターゼ
(2)ある物質が、アロマターゼによって作用を受け、生じた生成物を、特異的に認識する抗体
(3)(2)に記載の抗体を用いて、酵素免疫測定法、表面プラズモン共鳴法、微量示差熱測定法、水晶振動共鳴法のいずれか1つの方法による測定を可能にする試薬組成物。 - 特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化プレートあるいは特異抗体固定化(生成物架橋結合蛋白質)金薄膜チップ、特異抗体(生成物架橋結合蛋白質)固定化水晶振動子チップ、反応用緩衝液、特異抗体液、抗体試料希釈液、標準品、標識量を定量するための酵素基質液などから適宜選択される組成物を構成パーツとするキットであって、アロマターゼが、ある物質が意図している作用効果に及ぼす影響の度合いを測定する為のキット。
- 非ステロイド性化学物質を評価対象とする請求項2〜17の方法。
- アロマターゼ反応時のアンドロジェン性の基質濃度が0.05nM〜500μMであることを特徴とする請求項2〜19の方法。
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