JP3995316B2 - ホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法 - Google Patents

ホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は血中に存在するホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法に関する。
【0002】
【従来技術の問題点】
各種の癌において細胞核内に局在する癌関連物質が細胞の癌化に伴い過剰に発現することが知られている。一方、腫瘍免疫機構により癌細胞が破壊される結果、担癌生体の血中に過剰に発現した癌関連物質が遊離し、体液性抗体の産生を誘発することが知られている。ヒストンやp53などに対する自己抗体はそのような例である(文献1〜3)。これらの自己抗体も癌の診断への応用が試みられてきた。その理由は抗原が微量しか存在しない場合でも、その抗原に対して産生される抗体量は生体内で増幅されているので測定が容易であり、癌の早期発見につながると期待されるためである。しかしながら、これらの自己抗体の測定は、実際には陽性率が低く、癌と非癌との判別が困難なものが多かった。
【0003】
ヒストンやp53同様に細胞核内に局在し、癌において過剰発現している蛋白質としては各種ステロイドホルモンレセプターが知られてるが、ステロイドホルモンのレセプターであるアンドロゲンレセプター(AR)やエストロゲンレセプター(ER)に対する自己抗体は、健常人の血中にもごく微量ながら存在する。たとえばARは血清1μlあたり数fmolのオーダーで存在し、女性よりも男性の方が濃度が高いことが知られている(文献4,5)。しかしながら、これらのホルモンレセプターに対する自己抗体と疾患との関連を明らかにした例は知られていない。
【0004】
一方、乳癌、前立腺癌等のホルモン標的臓器由来の癌の多くはホルモンレセプターを発現していて、癌の発生あるいは増殖・進展過程において種々のホルモンが影響を与えている。これらの癌はホルモン依存性癌と呼ばれ、ホルモン療法が有効であることが知られている。たとえば、乳癌の一部にはERやプロゲステロンレセプター(PgR)を発現しているものがあり、そのような例では抗ホルモン剤の投与や、卵巣摘出等のホルモン療法が有効である。したがって乳癌ではホルモンレセプターの発現の有無が診断上重要であり、手術や生検で摘出した組織を検体としてホルモンレセプターの測定が行われている。そのためにこれらのホルモンレセプター測定用に各種の抗体が開発されてきた(文献6,7)。しかしながら、ホルモンレセプターを発現しているホルモン依存性癌患者の血液中に遊離のホルモンレセプターが存在しているか否か、また、それらのホルモンレセプターに対する自己抗体が存在するか否かについて言及した例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、血中のホルモンレセプターに対する自己抗体の測定方法を確立し、より簡易で早期発見が可能な癌の診断方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者らはホルモン依存性癌患者の血中にホルモンレセプターに対する自己抗体が多量に出現することを見いだし、以下に示すホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法を発明した。
【0006】
(1)血中に存在するホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法。
(2)ホルモンレセプターがエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、またはアンドロゲンレセプターであることを特徴とする(1)の検出方法。
(3)癌がホルモン依存性癌であることを特徴とする(2)の検出方法。
(4)ホルモン依存性癌が乳癌、前立腺癌、あるいは卵巣癌であることを特徴とする(3)の検出方法。
(5)自己抗体の測定方法が免疫学的方法であることを特徴とする(1)から(4)の検出方法。
(6)免疫学的測定方法が競合法、またはサンドイッチ法であることを特徴とする(5)の検出方法。
(7)化学合成、または遺伝子組み換えによって得られたホルモンレセプターの部分ペプタイドを用いることを特徴とする(5)から(6)の検出方法。
(8)ホルモンレセプターの部分ペプタイドを不溶性担体に固相化して用いることを特徴とする(7)の検出方法。
【0007】
本発明は、血中のホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法であり、測定対象となるのは、具体的にはエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、またはアンドロゲンレセプターに対する自己抗体である。これらのホルモンレセプターに対する自己抗体は健常人の血中にも微量ながら存在するが、前記のホルモンレセプターを発現している一部の癌の患者血中においては顕著に増大する。
【0008】
これらのホルモンレセプターを発現している癌はホルモン依存性癌と呼ばれ、ホルモンが癌の発生あるいは増殖・進展過程に影響している。ホルモン依存性癌としては乳癌、前立腺癌、あるいは卵巣癌の一部がこれに属する。
【0009】
血中の自己抗体の測定方法としては、免疫学的測定法が適している。すなわち、ヒトのホルモンレセプターを動物に免疫して得た抗体を用いて、この抗体と検体中の自己抗体とをホルモンレセプターに対して競合させる競合法や、抗体が2分子の抗原と結合できることを利用して、ホルモンレセプターに結合した自己抗体に対してさらに第2のホルモンレセプターや、抗ヒトIgGを結合させて、形成される免疫複合体を検出するサンドイッチ法が代表的であり、本発明においてはどちらの方法も適用可能である。
【0010】
免疫学的測定において使用するホルモンレセプターは、ヒトの組織から抽出精製したものでも、遺伝子組み換えや化学合成等により人工的に製造したものでもかまわない。しかし、以下に述べる理由により遺伝子組み換えや化学合成によって得られるホルモンレセプターの部分ペプタイドを用いるのが好ましい。
【0011】
第一にホルモンレセプターをヒトの組織から抽出し精製するのは、材料の入手が困難な上に作業も手間がかかる。また、一定の品質を持つものが得にくい。第二に癌関連物質に対する自己抗体の中にはモノクローナルな抗体も見いだされることから(文献8,9)、抗原である癌関連物質は、分子全体ではなく特定の領域のみが多量に発現している可能性が高いためである。また、遺伝子組み換えや化学合成によって得られる合成ペプタイドは、必要に応じて後述するような固相との反応や標識物質との結合に必要な官能基やリンカー分子を導入することも可能である。
【0012】
競合法においてもサンドイッチ法においてもホルモンレセプターを固相に結合させておく必要があるが、固相化方法は公知の蛋白質の固相化方法を用いることができる。すなわちマイクロプレート、ポリスチレンビーズ等の固相に物理吸着や架橋剤によりホルモンレセプターを結合させておく。必要に応じて官能基やリンカー分子を導入したホルモンレセプターを用いて固相との結合を強固にしたり、ホルモンレセプターの反応性を損なわないようにすることもできる。
【0013】
また、競合法においては検体中の自己抗体と競合する抗体を、サンドイッチ法においては抗ヒトIgGや固相化しない方のホルモンレセプターを検出可能なように標識しておく。標識に際しても公知の免疫学的検出方法で用いられる標識物質、標識方法を用いることができる。標識物質としてはたとえば125I、3H等の放射性物質、パーオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素、蛍光物質、発光物質等が使用可能である。標識方法は標識物質に応じて適宜選択される。
【0014】
また、被標識物質は直接標識されている必要はない。被標識物質に特異的に結合する物質を標識しておいて、それを被標識物質に結合させる間接的な標識方法も適用可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の癌の検出方法を、ARに対する自己抗体を競合法により測定する場合を例に具体的な実施の形態を説明する。
【0016】
抗原となるホルモンレセプターは合成ペプタイドを使用することにし、公知のARのアミノ酸配列から親水性の高い領域を選択し、20残基前後の部分ペプタイドを化学合成した。ただし、癌において異常発現している領域までは特定できないので、数種類の部分ペプタイドを合成し、反応性の良好なものを選択することが必要である。
【0017】
合成ペプタイドの反応性の確認は以下の手順で行う。
1)合成ARペプタイド抗原を物理吸着により、マイクロタイタープレートに固相化する。
2)第一反応
合成ARペプタイド抗原固相化プレートの各ウェルにホルモンレセプターに対する自己抗体価が高いと思われる患者血清を加えてインキュベーションする。
3)第二反応
ウェル内の溶液を吸引除去後各ウェルを洗浄し、酵素標識抗ヒトIgG抗体溶液を加えインキュベーションする。
4)第三反応
ウェル内の溶液を吸引除去後各ウェルを洗浄し、発色剤と基質を加えインキュベーションする。
5)反応停止
反応停止液を加えて発色反応を停止する。
6)吸光度の測定
各ウェルの吸光度を測定する。
【0018】
合成したペプタイドを用いて抗体を作成した。先に述べた理由により本発明において使用する抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもさし支えない。合成したペプタイドを常法により家兎に免疫し、抗AR家兎ポリクローナルIgG抗体を得た。こうして得られた抗体は、直接放射性同位元素や酵素で標識して用いることもできるが、本発明の実施例ではさらに市販の酵素標識抗家兎抗体を結合させて検出することにした。
【0019】
抗AR自己抗体の測定は、以下の手順で行った。
1)合成ARペプタイド抗原を物理吸着により、マイクロタイタープレートに固相化する。
2)第一反応
合成ARペプタイド抗原固相化プレートの各ウェルに抗AR家兎ポリクローナルIgG抗体溶液と、検体または抗AR自己抗体標準血清を加えてインキュベーションする。
3)第二反応
ウェル内の溶液を吸引除去後各ウェルを洗浄し、酵素標識抗家兎IgGラット抗体溶液を加えインキュベーションする。
4)第三反応
ウェル内の溶液を吸引除去後各ウェルを洗浄し、発色剤と基質を加えインキュベーションする。
5)反応停止
反応停止液を加えて発色反応を停止する。
6)吸光度の測定
各ウェルの吸光度を測定する。
7)血中AR自己抗体値の算出
抗AR自己抗体標準血清の吸光度と比較して、検体中のAR自己抗体値を算出する。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、血中のホルモンレセプターに対する自己抗体を測定することで癌、特にホルモン依存性の癌を検出することが可能である。癌組織に由来し、本来血中に存在しない物質に対する自己抗体を測定する癌の検出方法は従来も存在したが、本発明の自己抗体の測定ではより高感度に癌を検出することが可能である。
【0021】
健常人においても血中に微量のホルモンレセプターに対する自己抗体が存在することは知られていたが、ホルモン依存性癌の患者においてホルモンレセプターに対する抗体が増加し、診断に応用可能であることを示したのは本発明が初めてである。また、乳癌においてホルモン療法を行うためにホルモンレセプターの測定が行われているが、これは存在が明らかになった癌についてホルモン療法が適用可能かどうかを調べるためのものであり、本発明とは本質的に異なるものである。
【0022】
【実施例】
実施例1:ARペプタイド抗原の作製
1.各種ARペプタイドの合成
ARペプタイド抗原はARのアミノ酸配列のA、D、Hドメインの中から親水性の高い領域をひとつずつ選択し、そのうちの20残基をFmoc法で化学合成し、AドメインのペプタイドをペプタイドAとし、D、HドメインのペプタイドをそれぞれペプタイドD、ペプタイドHとした。
【0023】
2.AR抗原固相化マイクロタイタ−プレートの作製
上記3種の合成ARペプタイド抗原の0.1M炭酸緩衝液(pH9.0)溶液をポリ塩化ビニルマイクロタイタープレート(Dynex Technologies製、PVC Microtiter"U"Bottom Plates)のA列の12ウェルにペプタイドAを各ウェルに31.3μg/ウェルになるように加えた。同様にB列にペプタイドDを、C列にペプタイドHを加え、4℃で48時間インキュベーションする。各ウェルの抗原溶液を回収し、マイクロプレート洗浄機(ライフテック製、ミニラボウォッシャー)を用いて1mlの0.1M炭酸緩衝液(pH9.0)で2回洗浄する。その後、1%BSA 0.05M Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を各ウェルに満たしてシールをし、アッセイを行うまでこの状態で4℃で保存した。
【0024】
3.第一反応
上記合成ARペプタイド抗原固相化プレートの各ウェルのTris−HCl緩衝液を吸引除去後、縦の列の各ウェルに1種類の検体を分注するようにして、ホルモンレセプターに対する自己抗体価が高いと思われる患者から採取した10種の血清検体を10μlずつ各ウェルに分注する。1%BSA 0.1%EDTA・2Na PBS緩衝液(pH7.4)90μlを各ウェルに加え、37℃で2時間反応させる。
【0025】
4.第二反応
第一反応終了後ウェル内の溶液を吸引除去し、マイクロプレート洗浄機を用いて生理食塩水2mlにて各ウェルを2回洗浄し、ホースラディッシュパーオキシダーゼ標識抗ヒトIgGウサギ抗体(ZYMED製)を1%BSA PBS緩衝液(pH7.4)にて2000倍希釈した溶液を各ウェルあたり100μl加え、37℃で1時間30分反応させる。
【0026】
5.第三反応
第二反応終了後ウェル内の溶液を吸引除去し、マイクロプレート洗浄機を用いて生理食塩水2mlにて各ウェルを3回洗浄し、発色剤ABTS(2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]二アンモニウム塩,ナカライテスク製)濃度が3mg/mlになるように0.1Mクエン酸りん酸緩衝液(pH4.0)で溶解し、そこに基質として20%過酸化水素水を0.04%の濃度で加える。この溶液を各ウェルあたり100μl加え、37℃30分反応させる。
【0027】
6.反応停止
第三反応終了後、0.1%アジ化ナトリウムを含む0.1Mクエン酸りん酸緩衝液(pH4.0)を各ウェルあたり100μl加え、反応を停止する。
各ウェルの発色を波長420nmで吸光度を測定し、もっとも吸光度の高かったペプタイドAを検体測定用に使用することにした。
【0028】
実施例2:AR抗体の測定
AR抗体の測定はマイクロプレート固相化AR合成ペプタイド抗原に対するARの血中自己抗体と抗ヒトAR家兎抗体との競合結合反応に基づいた酵素免疫測定法(EIA)で行った。
【0029】
1.抗AR家兎ポリクローナルIgG抗体の作製
実施例1で作製したペプタイドAをフロイントのコンプリート・アジュバントと等量混合し、充分乳化させた後に家兎に免疫した。免疫は2週間毎に行い、4ケ月後に一部採血して得られる抗血清を、40%硫安分画〜透析〜濃縮し抗AR家兎ポリクローナルIgG抗体とした。
【0030】
2.AR抗原固相化マイクロタイタ−プレートの作製
実施例1で作製したペプタイドAの0.1M炭酸緩衝液(pH9.0)溶液をポリ塩化ビニルマイクロタイタープレートの各ウェルに31.3μg/ウェルになるように加え、4℃で48時間インキュベーションする。各ウェルの抗原溶液を回収し、マイクロプレート洗浄機を用いて1mlの0.1M炭酸緩衝液(pH9.0)で2回洗浄する。その後、1%BSA 0.05M Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を各ウェルに満たしてシールをし、アッセイを行うまでこの状態で4℃で保存した。
【0031】
3.標準AR抗体の調製
血清中のAR抗体が高濃度を示した乳癌患者血清を1%BSA 0.05M PBS緩衝液(pH7.4)にて、2倍から128倍まで倍々希釈を行い、原血清を128U/mlとし、AR標準抗体としては1U/ml(原血清128倍希釈)から64U/ml(原血清2倍希釈)までを用いた。
【0032】
4.血中AR抗体の測定方法
1)第一反応
2.で作製したペプタイドA固相化プレートの各ウェルのTris−HCl緩衝液を吸引除去後、各ウェルに1%BSA 0.1%EDTA・2Na PBS緩衝液(pH7.4)にて2000倍に希釈した抗AR家兎ポリクローナルIgG抗体90μlと標準AR抗体血清または被検血清10μlを加え、37℃で2時間反応させる。
【0033】
2)第二反応
第一反応終了後ウェル内の溶液を吸引除去し、マイクロプレート洗浄機を用いて生理食塩水2mlにて各ウェルを2回洗浄し、ホースラディッシュパーオキシダーゼ標識抗家兎IgGラット抗体(ZYMED製)を1%BSA PBS緩衝液(pH7.4)にて2000倍希釈した溶液を各ウェルあたり100μl加え、37℃で1時間30分反応させる。
【0034】
3)第三反応
第二反応終了後ウェル内の溶液を吸引除去し、マイクロプレート洗浄機を用いて生理食塩水2mlにて各ウェルを3回洗浄し、発色剤ABTS濃度が3mg/mlになるように0.1Mクエン酸りん酸緩衝液(pH4.0)で溶解し、そこに基質として20%過酸化水素水を0.04%の濃度で加える。この溶液を各ウェルあたり100μl加え、37℃30分反応させる。
【0035】
4)反応停止
第三反応終了後、0.1%アジ化ナトリウムを含む0.1Mクエン酸りん酸緩衝液(pH4.0)を各ウェルあたり100μl加え、反応を停止する。
【0036】
5)吸光度の測定
各ウェルの発色を波長420nmで吸光度を測定する。
【0037】
6)血中AR抗体値の算出
標準AR抗体を含まない時の吸光度に対する各AR抗体標準濃度の吸光度の割合(阻害率%)を算出し、AR抗体阻害標準曲線を描く。次に、標準AR抗体を含まない時の吸光度に対する各検体の吸光度の阻害率を計算し、その阻害率をAR抗体阻害標準曲線に照らし合わせ、各検体血清中のAR抗体濃度を求める。
【0038】
健常人の測定結果をもとにカットフ値を4U/mlに設定し、乳癌と前立腺癌の陽性率を算出した。
【0039】
【表1】
Figure 0003995316
【0040】
表1に示したように、乳癌患者と前立腺癌患者での陽性率はそれぞれ53.6%、76.9%であったが、健常人と前立腺肥大症の陽性率はともに0%であった。
【0041】
実施例3:ERペプタイド抗原の作製
1.各種ERペプタイド抗原の作製
ERペプタイド抗原はERアミノ酸配列のA/B、D、Fドメインの中から親水性の高い領域をひとつずつ選択し、そのうちの20残基をFmoc法で化学合成し、A/BドメインのペプタイドをペプタイドA/Bとし、D、FドメインのペプタイドをそれぞれペプタイドD、ペプタイドFとした。実施例1と同様の方法で、ペプタイドA/B、D、Fをマイクロタイタープレートにそれぞれ固相化し、ホルモンレセプターに対する自己抗体価が高いと思われる患者血清との反応性からペプタイドDを選択した。
【0042】
実施例4:ER抗体の測定
ER抗体の測定はAR抗体の測定と同様にマイクロプレート固相化ER合成ペプタイド抗原に対するERの血中自己抗体と抗ヒトER家兎抗体との競合結合反応に基づいた酵素免疫測定法(EIA)で行った。
【0043】
1.抗ER家兎ポリクローナルIgG抗体の作製
実施例3で作製したペプタイドDをフロイントのコンプリート・アジュバントと等量混合し、充分乳化させた後に家兎に免疫した。免疫は2週間毎に行い、4ケ月後に一部採血して得られる抗血清を、40%硫安分画〜透析〜濃縮し抗ER家兎ポリクローナルIgG抗体とした。
【0044】
2.ER抗原固相化マイクロタイタ−プレートの作製
実施例3で作製したペプタイドDの0.1M炭酸緩衝液(pH9.0)溶液をポリ塩化ビニルマイクロタイタープレートの各ウェルに31.3μg/ウェルになるよう0.1M炭酸緩衝液pH9.0にて調製し、4℃で48時間インキュベーションする。各ウェルの抗原溶液を回収し、マイクロプレート洗浄機を用いて1mlの0.1M炭酸緩衝液(pH9.0)で2回洗浄する。その後、1%BSA 0.05MTris−HClpH8.0)緩衝液を各ウェルを満たしてシールをし、アッセイを行うまでこの状態で4℃で保存した。
【0045】
3.標準ER抗体の調製
血清中のER抗体が高濃度を示した乳癌患者血清を1%BSA 0.05M PBS緩衝液(pH7.4)にて、2倍から128倍まで倍々希釈を行い、原血清を128U/mlとし、ER標準抗体としては1U/ml(原血清128倍希釈)から64U/ml(原血清2倍希釈)までを用いた。
【0046】
4.血中ER抗体の測定方法
1)第一反応
上記ペプタイドD固相化プレートの各ウェルのTris−HCl緩衝液を吸引除去後、各ウェルに1%BSA 0.1%EDTA・2Na PBS緩衝液(pH7.4)にて2000倍に希釈した抗AR家兎ポリクローナルIgG抗体90μlと標準AR抗体血清または被検血清10μlを加え、37℃で2時間反応させる。
【0047】
2)第二反応
第一反応終了後ウェル内の溶液を吸引除去し、マイクロプレート洗浄機を用いて生理食塩水2mlにて各ウェルを2回洗浄し、ホースラディッシュパーオキシダーゼ標識抗家兎IgGラット抗体を1%BSA PBS緩衝液(pH7.4)にて2000倍希釈した溶液を各ウェルあたり100μl加え、37℃で1時間30分反応させる。
【0048】
3)第三反応
第二反応終了後ウェル内の溶液を吸引除去し、マイクロプレート洗浄機を用いて生理食塩水2mlにて各ウェルを3回洗浄し、発色剤ABTS濃度が3mg/mlになるように0.1Mクエン酸りん酸緩衝液(pH4.0)で溶解し、そこに基質として20%過酸化水素水を0.04%の濃度で加える。この溶液を各ウェルあたり100μl加え、37℃30分反応させる。
【0049】
4)反応停止
第三反応終了後、0.1%アジ化ナトリウムを含む0.1Mクエン酸りん酸緩衝液pH4.0を各ウェルあたり100μl加え、反応を停止する。
【0050】
5)吸光度の測定
各ウェルの発色を波長420nmで吸光度を測定する。
【0051】
6)血中ER抗体値の算出
標準ER抗体を含まない時の吸光度に対する各ER抗体標準濃度の吸光度の割合(阻害率%)を算出し、ER抗体阻害標準曲線を描く。次に、標準ER抗体を含まない時の吸光度に対する各検体の吸光度の阻害率を計算し、その阻害率をER抗体阻害標準曲線に照らし合わせ、各検体血清中のER抗体濃度を求める。
【0052】
健常人の測定結果をもとにカットフ値を3U/mlに設定し、乳癌と前立腺癌の陽性率を算出した。
【0053】
【表2】
Figure 0003995316
【0054】
表2に示したように、乳癌患者と前立腺癌患者での陽性率はそれぞれ54.5%、40.0%であったが、健常人の陽性率は0%であった。
【0055】
参考文献
1.特開平4−32766
2.特表平7−505719
3.特開平9−229933
4.Pro.N.A.S. 82, 8345-8348(1985)
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6.特表昭63−500895
7.特公平6−13558
8.腫瘍マーカー研究会誌 8, 43-45(1992)
9.Cancer 9, 2205-2211(1985)

Claims (5)

  1. 血中に存在するエストロゲンレセプターまたはアンドロゲンレセプターに対する自己抗体の測定による乳癌あるいは前立腺癌の検出方法。
  2. 自己抗体の測定方法が免疫学的測定方法であることを特徴とする請求項1の検出方法。
  3. 免疫学的測定方法が競合法、またはサンドイッチ法であることを特徴とする請求項の検出方法。
  4. 化学合成、または遺伝子組み換えによって得られたホルモンレセプターの部分ペプタイドを用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
  5. ホルモンレセプターの部分ペプタイドを不溶性担体に固相化して用いることを特徴とする請求項の検出方法。
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