明 細 書
ァロマターゼ活性の測定方法及びそれに用いる測定キット
技術分野
[0001] 本発明は、新規で有用なァロマターゼ活性の測定方法及びそれに用いる測定キッ トに関する。
背景技術
[0002] ァロマターゼは、ステロイドホルモン生合成経路の最終段階で、アンドロゲンをエス トロゲンに変換する酵素であり、 cytochrome P— 450 aromとも呼ばれている。ァ ロマターゼは、分子量が 55kDであり、 CYP 19遺伝子にコードされている。ァロマタ ーゼは、生体において広く分布しており、例えば、胎盤、卵巣の顆粒膜細胞、 Sertol i細胞、 Leydig細胞、脳、筋肉、毛髪などに存在している。組織中では、ミクロソーム の膜に存在している。
[0003] 従来から、ァロマターゼと疾患との関係が研究されており、例えば、ァロマターゼが 、乳癌 ·子宮癌等のエストロゲン依存性疾患にも密接に関与することがわ力 ている。 最近では、子宮内膜症、子宮腺筋症及び子宮筋腫などに伴ってァロマターゼが発 現することが報告されている (非特許文献 1参照)。その他に、ァロマターゼと、毛髪 の成長.脱毛との関係が報告されている (特許文献 1参照)。その他に、ァロマターゼ と内分泌撹乱物質 ( 、わゆる環境ホルモン)との関係も注目されて 、る。このような状 況から、ァロマターゼの酵素活性の測定方法が重要となって 、る。
[0004] ァロマターゼ活性の測定方法としては、例えば、下記の方法が開発され、一部は実 際に使用されている。
(1)動物細胞や酵母を用いたインビト口での測定方法 (特許文献 2、非特許文献 2及 び非特許文献 3参照)
(2)トリチウム水遊離アツセィ法 (非特許文献 4参照)
(3)蛍光法 (非特許文献 5参照)
(4)液体クロマトグラフィー法 (非特許文献 6参照)
(5) mRNAによる測定方法 (特許文献 3参照)
特許文献 1:特表平 10— 508828号公報
特許文献 2:特表平 4 - 502261号公報
特許文献 3:特開 2003 - 207509号公報
非特許文献 l :Kitawaki, J. , et. al. Biol. Reprod. , Vol. 57, 514- 519 (1997)
非特許文献 2 : Schenkel et. al. , J. Steroid Biochem, Vol. 33, ppl25 - 131 (1989)
非特許文献 3 : Ponpon D. et. al. , Molecular Endocrinology Vol. 3, ppl477- 1487 (1989)
非特許文献 4 : Bellino, F. L. et. al. , J. Clin. Endocrinol. Metab . , Vol. 44, pp699 (1977)
非特許文献 5 : Stresser, D. M. , et. al. , Anal. Biochem. , Vol. 284 , pp427-430 (2000)
非特許文献 6 :Taniguchi, H. , et. al. , Anal. Biochem. , Vol. 181, ppl67- 171 (1989)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 前記(1)の動物細胞等を用いる方法及び前記(5)の mRNAを用いる方法は、直接 ァロマターゼの活性を測定しないので、測定精度及び信頼性に問題がある。前記(2 )のトリチウム水遊離アツセィ法は、一般的な方法として、広く使用されているが、放射 性ィ匕合物を使用するため、特別の設備、装置を必要とし、また操作も煩雑である。前 記(3)の蛍光法及び前記 (4)の液体クロマトグラフィー法は、操作が煩雑であると 、う 問題がある。そして、これらの従来の測定方法は、月経血等の生体試料中に存在し た状態でのァロマターゼの測定に、そのまま適用することが困難であるという問題を 共通して有する。
[0006] そこで、本発明は、測定精度及び信頼性に優れ、特別の設備、装置を使用する必 要がなぐ操作が簡単であり、かつ生体試料にも簡単に適用可能なァロマターゼ活 性の測定方法及びそれに用いる測定キットの提供を、その目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 前記目的を達成するために、本発明の測定方法は、ァロマターゼ活性の測定方法 であって、下記 (A)工程、(B)工程、(C)工程及び (D)工程を含む測定方法である。
(A)工程:基質であるアンドロステンジオン若しくはその誘導体に対し、ァロマターゼ を作用させて、エストラジオール若しくはその誘導体を生成させる工程。
(B)工程:アルカリ条件下、前記 (A)工程で生成した前記エストラジオール若しくはそ の誘導体を、下記一般式(1)で示されるペンタハロゲンィヒベンジルイヒ合物又は下記 一般式(2)で示されるペンタハロゲンィ匕べンゾィルイ匕合物と反応させる工程。
[化 1]
前記一般式(1)及び(2)において、 Xは、ハロゲン原子を表し、 L及び L'は、それぞ
1
れ脱離基を表す。
(C)工程:前記 (B)工程で生成したペンタハロゲンィ匕べンジルイ匕合物又はペンタハロ ゲンィ匕ベンゾィルイ匕合物による誘導体を、 1—低級アルキル一 2—ハロゲンィ匕ピリジ ンと反応させる工程。
(D)工程:前記 (C)工程にぉ 、て生成した 1—低級アルキル— 2—ピリジ-ゥム誘導 体を測定し、この測定値カもァロマターゼ活性を求める工程。
[0008] 本発明の測定キットは、前記本発明のァロマターゼ活 ¾の測定に用いるキットであ つて、前記一般式(1)で示されるペンタハロゲン化べンジルイヒ合物又は一般式(2) で示されるペンタハロゲンィ匕べンゾィルイ匕合物を含む測定キットである。
発明の効果
[0009] このように、本発明のァロマターゼ活性の測定方法では、ァロマターゼの酵素反応 による生成物であるエストラジオール若しくはその誘導体を直接測定する。このため、 本発明の測定方法は、測定精度及び信頼性に優れ、しかも放射性物質を用いない
ため特別の設備、装置を必要としない、簡便な方法である。そして、これらに加え、本 発明の測定方法は、生体試料 (特に、月経血等の体液試料)にも簡単に適用できる 方法である。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 本発明の測定方法は、ァロマターゼの酵素反応で生成するエストラジオール若しく はその誘導体の測定工程 (工程 (B)〜 (D) )に特徴を有する。従来の測定方法では 、通常は 20pgZmLレベル (検出限界は 5pgZmL)であった力 本発明の測定方法 は、微量に存在するエストラジオール若しくはその誘導体を、 2pgZmL (定量下限値 )のレベルで定量することができる。本発明の測定方法のように、ペンタハロゲン化べ ンジルエーテル又はペンタハロゲン化ベンゾィルエステルと、 1 低級アルキル 2 ハロゲンィ匕ピリジンとを併用して、エストラジオール若しくはエストラジオール誘導体 におけるすべての水酸基を誘導体化することにより液体クロマトグラフィ一一質量分 析計 (LC MS)測定時における 2価のイオンの生成が抑制され、より高感度の測定 が可能となる。
[0011] 本発明の前記測定方法において、前記 (D)工程の誘導体の測定は、 LC MSに より実施することが好まし 、。
[0012] 前記基質としては、特に制限されな!、が、前記アンドロステンジオン誘導体として、 例えば、 2 置換アンドロステンジオン、 6 置換アンドロステンジオン、 19 置換ァ ンドロステンジオン、 6, 19 置換アンドロステンジオンがあげられる。
[0013] 前記 2 置換アンドロステンジオンとしては、例えば、 2—ハロアンドロステンジオン 及び 2—アルコキシアンドロステンジオンがあげられる。
[0014] 前記 2—ハロアンドロステンジオンとしては、例えば、 2 a クロ口アンドロステンジォ ン、 2 j8—クロ口アンドロステンジオン、 2 α ブロムアンドロステンジオン及び 2 j8— ブロムアンドロステンジオン等があげられ、この中でも、 2 α ブロムアンドロステンジ オンが好ましい。また、前記 2—アルコキシアンドロステンジオンとしては、例えば、炭 素数 1〜6のアルコキシで 2位が置換されたアンドロステンジオンがあり、このなかでも 、 2 α—メトキシアンドロステンジオン、 2 j8—メトキシアンドロステンジオン、 2 α エト キシアンドロステンジオン及び 2 βーェトキシアンドロステンジオンが好ましい。
[0015] 前記 6 置換アンドロステンジオンとしては、例えば、 6—メチルアンドロステンジォ ン等があげられ、中でも、 6 α—メチルアンドロスター 4ーェン 3, 17 ジオンが好 ましい。
[0016] 前記 19 置換アンドロステンジオンとしては、例えば、 19—ォキソアンドロステンジ オン及び 19 ヒドロキシアンドロステンジオン等があげられる。
[0017] 前記 6, 19 置換アンドロステンジオンとしては、例えば、 6 アルキル— 19—ォキ ソアンドロステンジオン及び 6 アルキル - 19-ヒドロキシアンドロステンジオン等が あげられる。前記アルキル基としては、例えば、前記炭素数 1〜6のアルキル基があ げられ、これは、直鎖状もしくは分岐鎖状のいずれであってもよぐこのようなアルキ ル基としては、例えば、メチル、ェチル、 η—プロピル、イソプロピル、 η—ブチル、イソ ブチル、 s ブチル、 tert—ブチル、 n ペンチル、イソペンチル及び tert ペンチル などを挙げることができる。前記 6, 19 置換アンドロステンジオンとしては、例えば、 6 メチル 19 ォキソアンドロステンジオン、 6 ェチル 19 ォキソアンドロステ ンジオン、 6 メチル 19 ヒドロキシアンドロステンジオン及び 6 ェチル 19ーヒ ドロキシアンドロステンジオン等があげられ、このなかでも、 6—メチル 19—ォキソァ ンドロステンジオンが好ましぐより好ましくは、 6 α メチル 19—ォキソアンドロステ ンジ才ンである。
[0018] 本発明において、前記ァロマターゼは、試料中のァロマターゼであることが好まし い。前記試料は、特に制限されないが、生体由来試料であることが好ましい。前記生 体由来試料は、特に制限されず、例えば、生体組織、体液、培養組織及び培養細胞 等があげられ、中でも生体組織及び体液が好ましい。前記生体組織としては、後述 のエストロゲン依存性疾患に関係する病変部組織及び非病変部組織の少なくとも一 方であることが好ましい。また、前記生体組織としては、例えば、胎盤等がある。前記 体液としては、例えば、血液 (全血)、血清、血漿、リンパ液、腸液、尿、髄液、唾液、 月経血、鼻汁及び涙等が好ましい。
[0019] 本発明のァロマターゼ活性の測定方法において、さらに、前記試料中のエストラジ オールの量 (Ε2)を測定し、これと前記試料中のァロマターゼ活性 (Arom)との比(E 2ZArom若しくは AromZE2)を求めることが好ましい。すなわち、ァロマターゼ活
性に加えて試料中のエストラジオール量を測定し、その比を求めることにより、後述の エストロゲン依存性疾患の診断において、さらに信頼性が高い診断が可能になる。
[0020] 前記エストラジオールの量 (E2)の測定方法は、前述のように測定感度等の観点か ら、下記 (E)工程、(F)工程及び (G)工程を含む測定方法であることが好ましい。 (E)工程:アルカリ条件下、前記試料中のエストラジオール若しくはその誘導体を、下 記一般式(1)で示されるペンタハロゲンィ匕べンジルイ匕合物又は一般式(2)で示され るペンタハロゲンィ匕べンゾィルイ匕合物と反応させる工程。
[化 2]
前記一般式(1)及び(2)において、 Xは、ハロゲン原子を表し、 L及び L'は、それぞ
1
れ脱離基を表す。
(F)工程:前記 (E)工程で生成したペンタハロゲンィ匕べンジルイ匕合物又はペンタハロ ゲンィ匕ベンゾィルイ匕合物による誘導体を、 1—低級アルキル一 2—ハロゲンィ匕ピリジ ンと反応させる工程。
(G)工程:前記 (F)工程にぉ 、て生成した 1—低級アルキル— 2—ピリジ-ゥム誘導 体を測定し、その値力 前記試料中のエストラジオールの量 (E2)を求める工程。
[0021] なお、このエストラジオールの量 (E2)の測定方法は、前記本発明のァロマターゼ 活性の測定方法の (B)工程、(C)工程及び (D)工程と実質的に同じであるから、使 用する化学物質 (試薬等)、測定操作及び測定条件等は、前記本発明のァロマター ゼの酵素活性の測定方法と同様のものを使用できる。
[0022] 本発明のァロマターゼ活性の測定方法は、その用途を特に制限しないが、エストロ ゲン依存性疾患の診断に用いることが好まし ヽ。前記エストロゲン依存性疾患として は、例えば、月経困難症、不妊症、流産、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、卵 巣チョコレート嚢胞、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、子宮頸癌、 PMS (月経周期に伴い、
心身に変調をきたす症候群)、冠動脈心疾患、脂質代謝異常及び甲状腺機能異常 などがある。
[0023] 本発明の前記測定キットにおいて、さらに、 1 低級アルキル 2 ハロゲンィ匕ピリ ジンを含むことが好ましい。また、本発明の測定キットにおいて、さらに、前記アンド口 ステンジオン若しくはその誘導体を含むことが好ま 、。前記アンドロステンジオン誘 導体としては、前述のものが挙げられ、好ましいものも同様である。また、本発明の測 定キットは、例えば、前記エストロゲン依存性疾患の診断に用いることができる。
[0024] 次に、本発明の診断方法は、エストロゲン依存性疾患の診断方法であって、ァロマ ターゼ活性を測定する測定工程、及び、前記測定値と正常生体試料のそれとを比較 し、これによりエストロゲン依存性疾患の罹患のし易さを判断する判断工程を含み、 前記測定工程が、前記本発明のァロマターゼ活性測定方法である。前記診断には、 例えば、被験者が前記疾患に羅患しているか否かの判定、将来的に前記疾患に羅 患する危険性が存在するか否かの判定、治療後に前記疾患を再発する危険性が存 在するか否かの判定、及び、前記疾患の羅患やその危険性がどの程度であるかの 判定等を含む。
[0025] つぎに、本発明をさらに詳しく説明する。
[0026] 本発明の測定方法において、前記基質は、アンドロステンジオン若しくはその誘導 体であり、前記誘導体は、前述のとおりである。また、これらの基質は、市販品を使用 してもょ 、し、公知の方法で自家調製してもよ 、。
[0027] 本発明において、「エストラジオール誘導体」とは、例えば、エストリオール、 2 ヒド 口キシー 3—メトキシエストラジオール、 4ーヒドロキシー 3—メトキシエストラジオール、 2—メトキシェストラジオール及び 4ーメトキシェストラジオ一ル等を挙げることができる 。これらの誘導体は、例えば、生体内に存在している。その他に、前述のように、アン ドロステンジオン誘導体を基質として使用した場合、ァロマターゼによる酵素反応に より、前記アンドロステンジオン誘導体に由来する「エストラジオール誘導体」が生成 する。
[0028] また、本発明の前記測定方法において、「LC MS」としては、例えば、 LC-MS /MS (液体クロマトグラフィ一一タンデム質量分析計)、 LC-ESI-MS/MS (液
体クロマトグラフィ一一エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析計)及び LC A PCI— MSZMS (液体クロマトグラフィ一一大気圧化学イオン化タンデム質量分析 計)等を挙げることができ、中でも LC— ESI— MSZMSが好ましい。
[0029] 前記一般式(1)で示す前記ペンタハロゲンィ匕ベンジルイ匕合物において、 Xは、ハ
1 ロゲン原子を表し、 Lは、脱離基を表す。 Xは、具体的には、フッ素原子、臭素原子、
1
塩素原子、ヨウ素原子を表す。脱離基 Lとしては、ハロゲン原子、トシルォキシ、メシ ルォキシ、若しくはトリフルォロメタンスルホニルォキシ基などの脱離基を挙げることが でき、好適にはハロゲン原子を挙げることができる。このペンタハロゲン化ベンジル化 合物としては、例えば、ペンタフルォ口べンジルクロライド、ペンタフルォロベンジルブ ロマイド、ペンタブロムべンジルクロライド及びペンタブロムべンジルブロマイド等を挙 げることができ、中でも、ペンタフルォ口べンジルブロマイドが好適である。
[0030] 前記一般式(2)で示す前記ペンタハロゲンィ匕べンゾィルイ匕合物にぉ 、ては、 Xは
1
、ハロゲン原子を表し、 Vは、脱離基を表し、好適にはハロゲン原子を挙げることが できる。このペンタハロゲン化ベンゾィル化合物としては、例えば、ペンタフルォ口べ ンゾイルク口ライド、ペンタフルォロベンゾィルブロマイド、ペンタブロムべンゾイルク口 ライド及びペンタブロムベンゾィルブロマイド等を挙げることができ、中でも、ペンタフ ルォロベンゾィルブロマイドが好適である。
[0031] これらのペンタハロゲン化べンジル化合物及びペンタハロゲン化ベンゾィル化合物 は、公知化合物(市販品)を使用してもよいし、または公知化合物力 公知の方法で 合成してちょい。
[0032] 本発明に力かる「1—低級アルキル— 2—ハロゲン化ピリジン」において、低級アル キルは、炭素数 1〜6、好ましくは炭素数 1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル 基を意味する。このような低級アルキル基としては、例えば、メチル、ェチル、 n—プロ ピル、イソプロピル、 n—ブチル、イソブチル、 s ブチル、 tert—ブチル、 n—ペンチ ル、イソペンチル及び tert ペンチルなどを挙げることができ、好適にはメチル、ェチ ル、 n—プロピルを挙げることができる。また、「1—低級アルキル— 2—ハロゲン化ピリ ジン」において、ハロゲンは、具体的には、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素 原子を意味する。「1—低級アルキル— 2—ハロゲンィ匕ピリジン」としては、例えば、 1
ーメチノレー 2—フノレオ口ピリジン、 1ーェチノレー 2—フノレオ口ピリジン、 1 プロピノレー 2—フルォロピリジン、 1—メチル 2—クロ口ピリジン、 1—メチル 2—ブロムピリジン 、 1ーェチルー 2—クロ口ピリジン及び 1ーェチルー 2—ブロムピリジン等を挙げること ができる。この中でも特に、 1—メチル 2—フルォロピリジンが好ましい。この「1—低 級アルキル— 2—ハロゲンィ匕ピリジン」も、公知化合物(市販品)を使用してもよいし、 または公知化合物から公知の方法で合成してもよ!/、。
[0033] つぎに、本発明のァロマターゼ活性の測定方法について、以下に具体例を挙げて 説明する。
[0034] 本発明のァロマターゼ活性の測定方法は、ァロマターゼにより、基質であるアンド口 ステンジオン若しくはその誘導体を、エストラジオール若しくはその誘導体に変換し、 その生成量を測定することにより前記ァロマターゼ活性を測定する。
[0035] 前記ァロマターゼとしては、試料中に存在する形態のものであってもよいし、試料か ら抽出して精製したものであってもよい。例えば、血液、月経血及び胎盤等の生体試 料を使用する場合は、そのまま酵素として使用してもよいし、緩衝液で希釈等し、これ を酵素液として使用してもよい。前記基質としては、前述のものが使用できるが、その なかでも、 2 a—ブロムアンドロステンジオン及び 6 a—メチル一 19 ォキソアンド口 ステンジオンを使用することが好ましい。このような誘導体を使用することで、測定感 度がさらに向上する。
[0036] また、酵素反応の条件は、特に制限されな!、が、温度は、例えば、 20〜70°Cの範 囲、好ましくは 20〜50°Cの範囲、より好ましくは 30〜45°Cの範囲であり、最適には、 約 37。Cであり、 pHは、例えば、 pH4. 5〜9. 0の範囲、好ましくは pH6. 5〜8. 0の 範囲、より好ましくは pH7. 0〜7. 8の範囲であり、最適には、約 pH7. 2である。反応 は緩衝液中で行うことが好ましぐ例えば、リン酸バッファー、グッドのバッファ一等が ある。また、ァロマターゼの反応には、酸素が必要であるが、酸素は、空気中若しくは 液中から自然に供給されるものを利用すればよい。また、ァロマターゼの反応には、 NADPHが必要であるので、これを反応系に添加することが好ましい。 NADPHは、 ナトリウム塩、カリウム塩等の塩の形態であってもよい。 NADPHの添カ卩量は、反応液 全体に対し、例えば、 0. 1〜: LOmgであり、好ましくは 0. 5〜5mgであり、より好ましく
は 0. 8〜2mgであり、最適には約 lmgである。なお、反応液全体の量は、例えば、 約 lmLまたは約 lgである。酵素反応の停止は、一般的な方法を適用でき、例えば、 高温や薬剤でァロマターゼを失活させる方法、至適 PHから外れた pHに反応液を調 整する等の手法が適用できる。そして、ァロマターゼ活性は、その酵素反応により生 成したエストラジオール若しくはその誘導体を測定することにより、求めることができる 。なお、ァロマターゼの酵素反応では、エストラジオール若しくはその誘導体に加え、 エストロン若しくはその誘導体も生成するため、 NaBHを用いて処理することが好ま
4
しい。前記処理には、例えば、 NaBHメタノール溶液が使用できる。
4
[0037] つぎに、生成したエストラジオール若しくはその誘導体の測定方法を、具体例を挙 げて説明する。
[0038] ペンタハロゲン化べンジル誘導体又はペンタハロゲン化ベンゾィル誘導体の調製
前記酵素反応液をァセトニトリル等の不活性溶媒に溶解し、アルカリ条件下でペン タハロゲン化べンジル化合物又はペンタハロゲン化ベンゾィル化合物を反応させるこ とにより、上記で調製した試料中のエストラジオール若しくはエストラジオール誘導体 をペンタハロゲン化べンジル誘導体又はペンタハロゲン化ベンゾィル誘導体に変換 する(エストラジオールにっ 、ての例を下記ステップ 1 (式(3) )に示す)。
[0039] [化 3]
(前記式 (3)中、 Xは、ハロゲン原子を表し、 L及び L'は、それぞれ脱離基を表す)
1
この反応は、例えば、 10〜60°Cの範囲内の温度で行うことができ、好ましくは 5
〜40°Cの範囲内の温度が適している。また、ペンタハロゲン化べンジル化合物又は ペンタハロゲンィ匕べンゾィルイ匕合物の使用割合は、特に制限されるものではな 、が、 例えば、生体由来試料 lmL又は lgに対して 0. 2〜20mgとすることができ、好ましく は l〜4mgが適している。さらに、アルカリ条件下とは、反応液の pHを 8〜13、好まし くは 9〜11の範囲とすることを意味し、例えば、水酸ィ匕カリウム、水酸化ナトリウム及び 炭酸カリウムなどの塩基の中から、反応液を上記 pHの範囲にするのに十分な種類 及び量の塩基を適宜選択して用いることができる。ここで、本反応は、アルカリ条件下 で行うことによって、エストラジオール及び Z又はエストラジオール誘導体における水 酸基のうちフエノール性水酸基が選択的にペンタハロゲン化べンジルエーテル化又 はペンタハロゲンィ匕ベンゾィルエステルイ匕されるため、最終的に得られる 1—低級ァ ルキル 2—ピリジ-ゥム誘導体を LC MSを用 、て高感度で測定することが可能と なる。
[0041] 上記ステップ 1と同様の方法により調製されるペンタハロゲンィ匕べンジル誘導体 又はペンタハロゲン化ベンゾィル誘導体としては、例えば、エストラジオール 3—ぺ ンタフルォロベンジルエーテル、ェストラジオ一ルー 3—ペンタフルォ口べンゾィルェ ステル、 2—メトキシェストラジオ一ルー 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル、 2 ェ トキシエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル、 2 クロ口エストラジ オール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル、 2 ブロムエストラジオール 3 ぺ ンタフルォロベンジルエーテル、 3—メトキシェストラジオ一ルー 2 ペンタフルォ口べ ンジルエーテル、 4ーメトキシェストラジオ一ルー 3—ペンタフルォ口べンジルエーテ ル、 3—メトキシ 4 ヒドロキシエストラジオール 4 ペンタフルォ口べンジルエー テル、 6—メチルエストラジオール 3—ペンタフルォ口べンジルエーテル及び 6—ェ チルェストラジオ一ルー 3—ペンタフルォ口べンジルエーテル等を挙げることができる
[0042] ピリジニゥム誘導体の調製
上記ステップー1の方法により調製したエストラジオール若しくはエストラジオール誘 導体のペンタハロゲン化べンジル誘導体又はペンタハロゲン化ベンゾィル誘導体は 、ジクロロメタン等の不活性溶媒に溶解した後、トリェチルァミン等の塩基性触媒の存
在下で、 1 低級アルキル 2—ハロゲンィ匕ピリジンと反応させることにより、ピリジ- ゥム誘導体へと変換することができる(エストラジオールにっ 、ての例を下記ステップ 2 (式 (4) )に示す)。
[化 4]
(前記式 (4)中、 X及び Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、 Rは、低級ァ
1 2
ルキル基を表す。 )
[0044] この反応は、例えば、 - 10〜60°Cの範囲内の温度で行うことができ、好ましくは 5 〜40°Cの範囲内の温度が適している。また、反応溶媒としては、一般的な不活性有 機溶媒、例えば、クロ口ホルム、ジクロロメタン、ァセトニトリル及び酢酸ェチル等を使 用することができる。
[0045] また、エストラジオール若しくはエストラジオール誘導体のペンタハロゲン化べンジ ル誘導体又はペンタハロゲン化ベンゾィル誘導体に対する 1 低級アルキル 2— ノ、ロゲンィ匕ピリジンの使用割合は、特に制限されるものではないが、例えば、試料( 酵素反応液) lmL又は lgに対して 0. 2〜20mgとすることができ、好ましくは l〜4m gが適している。
[0046] 上記ステップ 2と同様の方法により調製されるピリジ-ゥム誘導体としては、例え ば、エストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O メチルピリジ 二ゥム、
エストラジオール 3 ペンタフルォロベンゾィルエステル 17— O メチルピリジニ ゥム、
2 メトキシエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O—メチ ルピリジ-ゥム、
2 エトキシエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O—メチ ルピリジ-ゥム、
2 クロ口エストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O メチル ピリジニゥム、
2 ブロムエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O メチル ピリジニゥム、
3 メトキシエストラジオール 2 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O—メチ ルピリジ-ゥム、
4ーメトキシエストラジオール 3 ペンタフルォロペンジルエーテル 17— O—メチ ルピリジ-ゥム、
3ーメトキシ 4 ヒドロキシエストラジオール 4 ペンタフルォ口べンジルエーテル
17— O—メチルピリジ-ゥム、
6 メチルエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O メチル ピリジニゥム、
6 ェチルエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O—メチ ルピリジ-ゥム等を挙げることができる。
[0047] また、本発明の測定方法における LC— MS測定は、一般的な方法により行うことが できる。
[0048] そして、この測定により、生成したエストラジオール若しくはその誘導体の量を求め 、これカもァロマターゼの酵素活性を求めることができる。酵素活性の表現の仕方は 特に制限されず、例えば、後述の実施例に示す表現がある。また、酵素活性を求め る際に、検量線を使用してもよい。
[0049] なお、例えば、血清試料、月経血試料、胎盤試料等の生体試料中のエストラジオ ール若しくはその誘導体の量を測定する場合は、そのまま測定に供しても良いし、そ
の試料を処理して測定試料を調製してもよい。その処理方法としては、例えば、緩衝 液で希釈する処理や、簡易カラムクロマトグラフィーにより分離精製する一般的調製 方法を適宜選択して用いることができる。
[0050] つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、 下記の実施例等に限定されない。
実施例 1
[0051] 本実施例は、 2 a—ブロムアンドロステンジオンを基質として使用し、ァロマターゼ の酵素活性を測定した例である。
[0052] (1) ァロマターゼ酵素反応(2 ブロムエストロジェンの調製)
ァロマターゼ酵素液として、胎盤ミクロノームの燐酸緩衝液溶液 (pH7. 2、タンパク 質量として 50 μ g/500 μ L)を準備した。この溶液にニコチンアデ-ンジヌクレオチ ド還元型水溶液(NADPH、 lmg/450 μ L)及び 2 a ブロムアンドロステンジオン のメタノール溶液(1. 5 gZ50 L)を加えて総量 1. OmLとし、 37°Cで振とうしなが ら 15分間インキュベートして、酵素反応させた。
[0053] (2) 2 ブロムエストラジオールの調製
酵素反応後、反応容器を氷冷下で冷却した。酵素反応で 2—ブロムエストロン及び 2 ブロムエストラジオールの両者が生成するので、前者を 2—ブロムェストラジオ一 ルへ変換させるため、 NaBHメタノール溶液(15mgZmL)を 200 μ L加え、室温で
4
10分間放置した。ついで、 0. 05Ν塩酸水(ImL)で反応を停止させた後、内部標準 物質として重水素標識エストラジオール 200pgを添カ卩し、エーテルでステロイド画分 を抽出、溶媒を留去した。
[0054] (3) 2 ブロムエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテルの調製 得られた残留物をァセトニトリル 50 Lに溶解し、ついで 0. 8%水酸化カリウムのェ タノ一ル溶液 50 μ Lを加えて反応液の ρΗを 11とし、 5%ペンタフルォロベンジルブ口 マイド溶液 50 Lを加え、 50°Cで 1時間加温した。反応液を水で希釈後、エーテル で抽出し、溶媒を留去した。
[0055] (4) 2 ブロムエストラジオール 3 ペンタフルォ口べンジルエーテル 17— O メチルピリジ-ゥムの調製
得られた残留物に 2%の 1ーメチルー 2—フルォロピリジンのジクロロメタン溶液 200 μ L及び 5%トリェチルァミンのジクロロメタン溶液 30 Lをカ卩え、室温で 90分間放置 した。ついで、溶媒を留去した後、 25%メタノール水溶液 1. 25mLに溶解し、予めメ タノール 6mL及び水 6mLで調製した Bond Elut C カラムに負荷した。水 lmL、 3
18
%アンモニア水 3mL、メタノール 2mL及び 0. 01%ギ酸7メタノール混液(1: 1)で順 次洗浄した後、 10%ギ酸 Zァセトニトリル(1 : 4)混液 3. 5mLで溶出した。溶出液を 減圧下で留去した後、 0. 05%ギ酸 Zァセトニトリル(1 : 1)混液 100 /z Lに溶解した。
[0056] (5) LC MSZMS法による測定
前記(4)の工程で得た液から、 10 Lをサンプルとして採取し、これを LC— MSZ MS測定に使用した。 LC— MSZMSは、液体クロマトグラフィー装置(アジデント 11 00型)に接続したマススぺクトロメータ(日本アプライドバイォシステム社製) API400 0を用い、 ESI法で測定した。 LCと MSの測定条件は、下記に示すとおりである。この 測定では、前記酵素反応の条件下で、 2 α ブロムアンドロステンジオン力 生成し た 2—ブロムエストラジオールのピリジ-ゥム誘導体のピーク面積を測定し、それと内 部標準物質とのピーク面積比を算出し、これから 2—ブロムエストラジオール濃度を 求めた。測定は、 3回行い、その平均値を算出した。その結果を、下記表 1に示す。 なお、ァロマターゼの酵素活性は、タンパク質 lOOmgとしての前記胎盤ミクロソーム において、インキュベーション時間(15分間)中に生成したエストラジオールの量 (pg )として表した。したがって、ァロマターゼの酵素活性の単位は、「PgZl5分間 Zioo mgタンパク質」となる。
[0057] (測定条件)
(1) LCの条件
カラム: Docosil (内径 2mm X長さ 100mm、センシュ科学社製)
流量: 0. 4mLZ分
(2) MSの条件
機種: API4000
モード: ESI+ (SRM)
Declustenng potential: D5V
Entrance Potential: 8V
Collison energy: 40V
Collison cell exit potential: 10V
測定イオン
親イオン(M/Z) : 624. 2 (1. S. . M/Z 547. 0)
娘イオン(MZZ) : 110. 0 (1. S. . M/Z 109. 8)
[0058] (比較例 1)
ァロマターゼ酵素反応において、基質及び NADPHを添加せずに、酵素反応を行 つた。これ以外は、前記実施例と同様にしてァロマターゼの酵素活性を測定した。そ の結果を、下記表 1に示す。
[0059] (比較例 2)
ァロマターゼ酵素反応において、 NADPHを添加せずに、酵素反応を行った。これ 以外は、前記実施例と同様にしてァロマターゼの酵素活性を測定した。その結果を、 下記表 1に示す。
[0060] [表 1] エス卜ラジオ一ル生成量
( R / 1 5分, 1 0 O m gタンパク質)
実施例 1 7 3 3 4 .
比較例 1 1 9 .
比較例 2 1 2 . 前記表 1からわかるように、実施例 1では、ァロマターゼの酵素反応によって、ェスト ラジオールが大量に生成し、これによつてァロマターゼの酵素活性が測定できた。こ れに対し、比較例 1及び 2では、エストラジオールは微量であった。
実施例 2
[0062] 本実施例は、 6 a—メチルアンドロスター 4 ェン一 3, 17 ジオン(MeAD)を基 質として使用し、試料中のァロマターゼの酵素活性を測定した例である。
[0063] (1)検量線の作成
6 α—メチル 1, 3, 5 (10)—エス卜ラ卜リエン一 3, 17 j8—ジオール(0、 1、 3、 10
、 30、 100及び 300pg)に、リン酸緩衝液 (pH7. 2、 l/15mol/L) lmL及び内標 準物質(1 , 3, 5 ( 10)エストラトリェン一 3— ol— 17—オン一 2, 4, 16, 16— d (El
4
— d ) (CDN Isotopes社製)) 200pgを添カ卩し、ジェチルエーテルで抽出した。溶
4
媒を乾固して、後述の(3)及び (4)と同様にして 6 α メチルエストラジオール 3— ペンタフルォロベンジルォキシ一 17 β—2—メチルピリジ-ゥムエーテル(MeE2— PFBZPY)誘導体を調製し、 LC MSZMSで測定した。
[0064] (2) ァロマターゼ酵素反応
まず、被験者力も月経血を採取し、等量のリン酸緩衝液(lZl 5molZL、 pH7. 2) と混合し、ホモジェナイズして試料を調製した。つぎに、ヒト胎盤ミクロソームを、 0. 5 %BSAを含むリン酸緩衝液 (pH7. 2、 l/15mol/L)に溶解し、この溶液をヒト胎 盤ミクロノームの添加量が 0. 5 gとなるよう〖こ、前記試料 400 Lに添加し、酵素溶 液を調製した。前記酵素溶液 0. 8mLに、基質(MeAD、 20 ^ πιο1/^ 50%メタノ ール水溶液) 0. lmL及び補酵素(j8— NADPH (オリエンタル酵母製)、 lmg、リン 酸緩衝液) 0. lmLをカ卩えて総量 1. OmLとし、 37°Cで振とうしながらインキュベート( 60分間)して、酵素反応させた。酵素反応後、反応容器を氷冷下で冷却し、その状 態で内部標準物質(1 , 3, 5 ( 10)エストラトリェン—3— ol— 17 オン—2, 4, 16, 1 6— d (El— d ) (CDN Isotopes社製)) 200pgを添カ卩し、ジェチノレエーテノレでステ
4 4
ロイド画分を抽出し、溶媒を乾固した。
[0065] (3) 6 a メチルエストラジオールー3 ペンタフルォ口べンジルォキシ 17 β
2—メチルピリジ-ゥムエーテル(MeE2— PFBZPY)の調製
得られた残留物に NaBH (2. 5mg/0. 25mLメタノール溶液)を添カ卩し、室温で
4
約 10分間放置後、精製水 lmLをカ卩えて Bond Elut C (200mg、 Varian製)に
18
負荷した。精製水 lmL及び 30%ァセトニトリル水溶液 2mLで洗浄後、 70%ァセトニ トリル水溶液 2. 5mLで溶出した。
[0066] 前記溶出液を溶媒乾固後、残渣を AcN 0. 05mLで溶解してペンタフルォロベン ジルブロマイド Zァセトニトリル(1 : 19)溶液 0. 05mL及び 0. 8%KOHエタノール溶 液 0. 05mLを添カ卩し、 52〜53°Cで 1時間反応させた。溶媒を乾固後、 2%2 -Fluo ro― 1— methylpyridinium p— Toluenesulfonateのジクロロメタン懸淘 ¾¾0. 2m
L及び 10%トリェチルァミンのジクロロメタン溶液 0.03mLをカ卩えて室温で 1.5時間 反応させた。
[0067] 前記反応液を溶媒乾固後、残渣をメタノール 0.25mLで溶解し、精製水 lmLをカロ えて Bond Elut C に負荷した。精製水 lmL、 0.3%アンモニア水 3mL、 MeOH
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3mL、及び 0.01%ギ酸水溶液 ZMeOH(l:l)混液 3mLで順次洗浄し、その後 、 10%ギ酸水溶液 ZAcN (1:9)混液 2.5mLで溶出した。
[0068] (4) LC MSZMS法による測定
前記(2)の工程で得た溶出液を溶媒乾固後、移動相(0.05%ギ酸溶液 Z (ァセト 二トリル:メタノール =10:3))100 1^に溶解し、 10 Lをサンプルとして採取し、こ れを LC MSZMS測定に使用した。 LC MSZMSは、液体クロマトグラフィー装 置(商品名:アジデント 1100型)に接続したマススぺクトロメータ(日本アプライドバイ ォシステム社製) API4000(商品名)を用い、 ESI法で測定した。 LCと MSの測定条 件は、下記に示すとおりである。この測定では、前記酵素反応の条件下で、 MeE2- PFBZPYのピーク面積を測定し、それと内部標準物質とのピーク面積比を算出し、こ れカも MeE2濃度を求めた。測定は、 2回行い、それぞれァロマターゼ酵素活性を算 出した。その結果を、測定値とあわせて下記表 1に示す。なお、ァロマターゼの酵素 活性は、タンパク質 lmgとしての前記胎盤ミクロソームにおいて、インキュベーション 時間(60分間)中に生成した MeE2(Mw286.4)の量 (pmol)として表した。したが つて、ァロマターゼの酵素活性の単位は、「pmol/60分間/ lmgタンパク質」となる
[0069] (測定条件)
(l)HPLCの条件
カラム:商品名 XTerra MS C (3. 、内径 2. lmm X長さ 100mm、 Waters
18
製)
移動相: 0.05%ギ酸溶液 Z (ァセトニトリル:メタノール = 10: 3)
0.0〜0.5分; 35:65→0:100
0.5〜2.5分; 0:100
2.5〜6.0分; 35:65
カラム温度: 40°C 流量: 0.4mLZ分
注入量:
Run Time :6.0分
(2) MSの条件
機種: API4000
イオン化法: ESI (Positive)
CAD :4psi
CUR : lOpsi
Gasl : 30psi
Gas2 :65psi
lonSpray Voltage : 5000V イオン電源温度: 500°C
Declustering potential: 65V Entrance Potential: 9.0V Collison energy :45V
Collison cell exit potential: 13V IQl:-9.0
測定イオン(mZz) :558. 3/353. 1 [表 2]
サンプル Me E 2 (pg) ァロマ夕ーゼ酵素活性
No. 1回目 2回目
1 8. 54 7. 66 8. 57
2 8. 79 7. 91 8. 86
3 9. 93 9. 05 10. 18
4 9. 51 8. 63 9. 70
5 9. 15 8. 27 9. 28
6 10. 71 9. 68 10. 91
7 8. 19 7. 16 7. 97
8 7. 44 6. 41 7. 10
9 9. 48 8. 45 9. 47
10 11. 14 10. 11 11. 41
11 9. 60 8. 56 9. 64
12 10. 15 9. 11 10. 28
13 9. 50 8. 46 9. 52
14 7. 81 6. 77 7. 55
15 8. 54 7. 50 8. 40
[0071] 前記表 2に示すように、本発明の測定方法によれば、安定して優れた精度でァロマ ターゼの酵素活性を測定できる。
実施例 3
[0072] 本実施例は、本発明の測定方法の測定精度及び感度を示す例である。なお、比較 例として、トリチウム水遊離アツセィ法により同様の測定を行った。
[0073] ヒ卜月台盤ミクロソームの添カロ量を、 0.0.01、 0.02、 0.05及び 0.10 μ gとし、基質
(MeAD)の濃度を 2/z molZLとした以外は、前記実施例 2と同様にして MeE2量を 測定し、前記測定値力 ァロマターゼの酵素活性を算出し、その平均値を、標準誤 差及び変動係数 (CV)とあわせて下記の表 3に示す。
[0074] (比較例 3)
酵素溶液 0.5mLに基質(lj8— 3H— Androst—4— ene— 3, 17— dione(3H— AD) (PerkinElmer製; 0.5/zCi)0. lmL及び補酵素( j8— NADPH lmg)0.1 mLをカ卩え、 37°Cで 60分間インキュベートした。次いで、エタノール 2mLを添加して 反応を止め、氷冷下で 15分間放置後、遠心分離 (4°C、 3000rpm、 10分)し、その 上清に精製水 lmLを加えた。クロロフオルム 2mLで水層を 2回洗浄(4°C、 3000 rp
m、 5分)した後、活性炭約 lOOmgを添加し、室温で 20分間放置した。遠心分離 (4 。C、 3000rpm、 10分)した上清 0.85mLにシンチレーター(クリアゾル II、ナカラィテ スク製) 4mLをカ卩えて液体シンチレーシヨンカウンター(Aloka製;商品名 LSC2000 )で放射能を計測した。下記の表 3に示す各ヒト胎盤ミクロソーム量において MeE2量 を測定し、その結果を下記の表 3に示す。
[0075] [表 3] クロソー -ム 実施例 3 比較例 3
ill g) Me E 2 ( f mo 1 ) JH-Wa t e r ( f mo 1 )
0 5. 8±0. 5 (c v 8. 8 %) 2. 9 ± 0. 4 (c v 1 2. 4%)
0 . 0 1 6. 2 ± 0. 4 (c v 5. 8 ) 2. 8 ± 0. 2 (c v 9. 0%)
0 . 02 7. 6± 0. 3 (c v4. 0%) 3. 3 ± 0. 7 (c v 22. 7%)
0 . 0 5 8. 8± 0. 8 (c v 8. 9%) 3. 4± 0. 2 (c v 6. 4%)
0 . 1 0 1 1. 6 ± 2. 3 (c v 1 9. 7 %) 4. 5± 1. 0 (c v 22. 5 %)
[0076] 前記表 3に示すように、本発明の測定方法は、比較例 3の方法と比べて、精度及び 感度が優れていた。また、本発明の測定方法と比較例の方法とは、良好な正の相関 (R2=0.9645)を示した。したがって、本発明の測定方法は、測定精度及び信頼性 に優れるといえる。
実施例 4
[0077] 本実施例は、本発明の測定方法の日差再現性を示す例である。
[0078] 測定日を変えて 3回行った以外は、実施例 2と同様して、 MeE2量を測定し、それを 用いてァロマターゼの酵素活性を算出した。その結果を、下記表 4に示す。
[0079] [表 4]
ァロマタ一ゼの酵素活性
平均値土標準誤差 変動係数
8. 57
8. 86
4 4 1 10. 18 9. 32±0. 65 6. 9
9. 70
9. 28
i o 0 •. 91
7.時 5 97
時
4一 2 7. 10 9. 37± 1. 85 19. 7
9. 47
1 1. 41
9. 64
10. 28
4- 3 9. 52 9. 08± 1. 09 12. 0
7. 55
8. 40
[0080] 前記表 4に示すように、ァロマターゼの酵素活性の日差変動は 20%以下であった ことから、本発明の測定方法は、安定して優れた精度でァロマターゼの酵素活性を 測定できる。
実施例 5
[0081] 本実施例は、種々の温度で保存した試料を用いてァロマターゼの酵素活性を測定 した例である。
[0082] 予め、 4°Cで 0.5又は 2時間、室温 2時間、及び 70°Cで 1又は 3週間のそれぞれの 条件で保存した試料を使用し、試料の量を 0.15mLとした以外は、実施例 2と同様 にして測定した。その結果 (n=3)について、 4°Cで 0.5時間保存した場合の活性値 を 100とした場合における相対値とあわせて下記表 5に示す。
[0083] [表 5] 試料保存条件 ァロマターゼの酵素活性 温度 ) 時間 I定値 _( )_
間 16. 67土 2. 44 100. 0
15. 02±0. 98 90. 1
[0084] 前記表 5に示すように、様々な条件で保存した試料であっても、本発明の測定方法 によれば、精度よくァロマターゼの酵素活性を測定できた。
実施例 6
[0085] 本実施例は、エストロゲン依存性疾患患者及び健常者の経血を使用し、ァロマター ゼの酵素活性を使用した例である。
[0086] エストロゲン依存性疾患患者群 (n= 7)及び健常者 (n= 5)につ ヽて、前記実施例
2と同様にしてァロマターゼの酵素活性を測定した。その結果を表 6に示す。
[0087] [表 6] ァロマターゼの酵素活性
S 無
エストロゲン依存性疾患患者 6 1
健常者 Q 5
[0088] 前記表 6に示すように、本発明の測定方法は、偽陽性もなぐ精度よくァロマターゼ の酵素活性を測定できることから、子宮内膜症等のエストロゲン依存性疾患の診断に 適用できる。
産業上の利用可能性
[0089] 本発明のァロマターゼの酵素活性の測定方法は、その用途が制限されず、例えば 、生物学、医学、農学、薬学、生化学等の広い分野に適用可能であり、特に、月経困 難症、不妊症、流産、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、卵巣チョコレート嚢胞、 卵巣癌、乳癌、子宮体癌、子宮頸癌、 PMS (月経周期に伴い、心身に変調をきたす 症候群)、冠動脈心疾患、脂質代謝異常及び甲状腺機能異常等のエストロゲン依存 性疾患の診断に、好ましく適用できる。