JP4667832B2 - 生体内微量エストラジオールの新規測定法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体由来試料中に微量に含まれるエストラジオール及びエストラジオール誘導体を液体クロマトグラフィー−質量分析計(LC−MS)で測定する方法に関する。
より詳細には、生体由来試料中のエストラジオール及び/又はエストラジオール誘導体に対し、そのフェノール性水酸基をペンタハロゲン化ベンジルもしくはペンタハロゲン化ベンゾイル基で置換した後、17位水酸基に1−低級アルキル−2−ピリジル基を導入し、それをLC−MSで測定する方法に関する。
エストラジオール及びその誘導体は、生体内において極微量で強力な生理作用を示す。これらエストロゲン類の生体内濃度を把握することは、臨床診断及び病態解析の上で極めて重要である。特に、更年期女性においては、血中エストラジオールの濃度が10pg/mLに低下していながら、逆にエストロゲン類が関与する疾患(乳癌、子宮体癌、子宮内膜症など)のリスクが高まる傾向にあることから、生体内の微量なエストロゲンの濃度を正確に把握することは重要である。
近年では、血中エストラジオールの濃度に加えて、生体内のエストロゲン活性をも把握する試みがなされるようになってきており、エストロゲン活性の指標として、例えば、血中バイオアベイラブルエストラジオール(J.Clin. Endocrinol. Metab.,86(1),192-199,2002)や唾液中エストラジオール(The Aging Male,2002(5),203-215)が注目されている。また、エストラジオールの代謝物である3−メトキシ−4−ヒドロキシエストラジオールが卵巣癌を誘発することから、この化合物の生体内濃度を測定し、それを卵巣癌の予防等に役立てる試みがなされている(Carcinogenesis,22(6),905-911,2001)。しかし、それらの指標や代謝物の生体内濃度は5pg/mLときわめて微量であり、濃度を正確に把握するのは困難であるため、それらの指標等が臨床応用されるまでに至っていない。
通常の臨床検査においては、生体由来試料中のエストラジオール及び/又はその誘導体は、125I−又は3H−エストラジオールをリガンドとしたラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫反応(EIA)などの免疫法により定量されているが、免疫法の一般的な定量限界が10pg/mLであることに加えて、血液中にはエストラジオールの構造類似化合物や性ホルモン結合グロブリン(SHBG)蛋白質が共存しているので、使用する定量法により定量値が大きく変動する場合がある。最近になって、シー アイ エス ダイアグノスティック社から、検出感度が1.4pg/mLと極めて高感度のエストラジオールRIA測定キットが発売されたが、この測定キットはエストラジオール 17−β グルクロナイドとの交差性にあまり優れておらず、エストラジオール特異性に問題が残っている。
免疫法以外にも、例えば、LCとエレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization:ESI)−又は大気圧化学イオン化(atmospheric pressure chemical ionization:APCI)−MSを組み合わせる直接定量(宝バイオ社:API 4000TM LC/MS/MS System)が行われているが、この方法では生体内の夾雑物の干渉を受けるという欠点がある。
エストラジオールを誘導体化し、それをLC−MSで測定する試みも行われており、例えば、エストラジオールを蛍光試薬で標識したエストラジオール誘導体を蛍光検出器付LCで測定する方法(J.Chromatogr.,616(2),317-322,1993)、エストラジオールを揮発性誘導体化した後にガスクロマトグラフィー(GC)−MSで測定する方法(J.Steroid Biochem.,28(2),203-213,1987)などが提案されている。しかし、これらの方法の測定限界は20pg/mLであり実用上十分な感度とはいえない。
また、カテコールタイプのエストロンの17位ケトンのp−トルエンスルホンヒドラゾン化(非特許文献1参照)、ジヒドロテストステロンの17位アルコール性水酸基のN−メチルピリジニウム化(特許文献1参照)などの誘導体化及びその誘導体のLC−MS測定も試みられているが、これらの方法における測定限界は100又は50pg/mLである。
非特許文献2には、種々の化合物をペンタフルオロベンジル化することにより、LC−APCI/MSでの検出限界が、例えば、エストロンでは約4pg、2−メトキシエストロンでは約2pgにまで高まることが記載されている。しかしながら、この文献には、エストラジオールの検出限界についての記載がない。また、特許文献2には、エストラジオール等におけるフェノール性水酸基をペンタフルオロベンゾイル化した後、LC−MS/MSにより分析する方法が記載されている。しかしながら、この文献には測定感度が記載されていない。
非特許文献3には、エストロン又はエストラジオールのフェノール性水酸基をダンシル化(5−ジメチルアミノナフタレン−1−イルスルホン化)し、それをLC−MS/MSで測定する方法により、エストラジオールの測定限界として6.3pg/mLを達成できたことが記載されている。しかし、この方法においては、フェノール性又はアルコール性水酸基に対するダンシルクロライドの選択性があまりよくないうえ、ダンシル化した後の化合物の安定性に欠けるという欠点がある。
特開2003−161726号公報 特開2000−88834号公報 J.Chromatogr.,B,780,315-330,2002 Anal.Chem.,72,3007-3013,2000 Clin. Chem.,50(2),373-384,2004
本発明の目的は、生体由来試料中に微量に含まれるエストラジオール及びエストラジオール誘導体をLC−MSで測定する方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、生体内エストラジオール及び生体内エストラジオール誘導体のLC−MS測定用キットを提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、アルカリ条件下ではエストラジオール又はエストラジオール誘導体における水酸基のうち、フェノール性水酸基が選択的にペンタハロゲン化ベンジルエーテル化もしくはペンタハロゲン化ベンゾイルエステル化されること、続いてアルコール性水酸基を1−低級アルキル−2−ピリジニウム化すると、その誘導体がLC−MS法において良好な測定感度を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、生体内エストラジオール及び生体内エストラジオール誘導体のLC−MS測定において、次の工程、すなわち、
i)生体由来試料に対して式:
Figure 0004667832
(式中、X1は、ハロゲン原子を表し;L及びL′は、それぞれ脱離基を表す)で示されるペンタハロゲン化ベンジル化合物もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル化合物をアルカリ条件下で反応させた後、1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジンを反応させる工程、及び
ii)前項i)において調製した反応混合物に含まれる生体内エストラジオール又は生体内エストラジオール誘導体のペンタハロゲン化ベンジルもしくはペンタハロゲン化ベンゾイル及び1−低級アルキル−2−ピリジニウム誘導体をLC−MSで測定する工程、
を含むことを特徴とする、生体内エストラジオール及び生体内エストラジオール誘導体の新規測定法に関する。
更に本発明は、式:
Figure 0004667832
(式中、X1は、ハロゲン原子を表し;L及びL′は、それぞれ脱離基を表す)で示されるペンタハロゲン化ベンジル化合物もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル化合物、及び1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジンを含むことを特徴とする、生体内エストラジオール及び生体内エストラジオール誘導体のLC−MS測定用キットに関する。
本願発明の測定法を用いることにより、生体内に微量に存在するエストラジオール及びエストラジオール誘導体を2pg/mL(定量下限値)のレベルで定量することができる。
なお、エストラジオール又はエストラジオール誘導体におけるすべての水酸基を、ペンタハロゲン化ベンジルエーテルもしくはペンタハロゲン化ベンゾイルエステルのみ、又は1−低級アルキル−2−ピリジニウムのみで誘導体化した場合、LC−MS測定時に2価のイオンが生成し、高感度の測定が困難となる。
本明細書において、「生体内エストラジオール誘導体」とは、例えば、エストリオール、2−ヒドロキシ−3−メトキシエストラジオール、4−ヒドロキシ−3−メトキシエストラジオール、2−メトキシエストラジオール、4−メトキシエストラジオール等の生体内に存在するエストラジオール化合物を挙げることができる。
また、本明細書において、「LC−MS」とは、例えば、LC−MS/MS、LC−ESI−MS/MS及びLC−APCI−MS/MSを挙げることができ、中でもLC−ESI−MS/MSが好ましい。
さらに、本明細書において、「生体由来試料」としては、例えば、血清、唾液、尿、糞、培養細胞、臓器から得られる調製物等を挙げることができる。
本発明において使用することのできる、式:
Figure 0004667832
で示されるペンタハロゲン化ベンジル化合物においては、X1は、ハロゲン原子を表し;Lは、脱離基を表す。X1は、具体的には、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子を表す。また脱離基Lとしては、ハロゲン原子;トシルオキシ、メシルオキシ、もしくはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離基を挙げることができ、好適にはハロゲン原子を挙げることができる。このペンタハロゲン化ベンジル化合物としては、例えば、ペンタフルオロベンジルクロライド、ペンタフルオロベンジルブロマイド、ペンタブロモベンジルクロライド、ペンタブロモベンジルブロマイド等を挙げることができ、中でも、ペンタフルオロベンジルブロマイドが好適である。
また、本発明において使用することのできる式:
Figure 0004667832
で示されるペンタハロゲン化ベンゾイル化合物においては、X1は、ハロゲン原子を表し、L′は、脱離基を表し、好適にはハロゲン原子を挙げることができる。このペンタハロゲン化ベンゾイル化合物としては、例えば、ペンタフルオロベンゾイルクロライド、ペンタフルオロベンゾイルブロマイド、ペンタブロモベンゾイルクロライド、ペンタブロモベンゾイルブロマイド等を挙げることができ、中でも、ペンタフルオロベンゾイルブロマイドが好適である。
これらのペンタハロゲン化ベンジル化合物及びペンタハロゲン化ベンゾイル化合物は、公知化合物であるか、又は公知化合物から公知の方法で合成することができる。
更に、本発明において使用することのできる「1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジン」において、低級アルキルは、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を意味する。このような低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチルなどを挙げることができ、好適にはメチル、エチル、n−プロピルを挙げることができる。また、「1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジン」において、ハロゲンは、具体的には、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子を意味する。しかして、「1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジン」としては、例えば、1−メチル−2−フルオロピリジン、1−エチル−2−フルオロピリジン、1−プロピル−2−フルオロピリジン、1−メチル−2−クロロピリジン、1−メチル−2−ブロモピリジン、1−エチル−2−クロロピリジン、1−エチル−2−ブロモピリジン等を挙げることができる。この中でも特に、1−メチル−2−フルオロピリジンが好ましい。この1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジンも、公知化合物であるか、又は公知化合物から公知の方法で合成することができる。
本発明の測定法について、以下に具体的に説明する。
試料の調製
血清試料の調製方法については、後記実施例において詳述するが、簡易カラムクロマトグラフィーにより分離精製する一般的調製方法を適宜選択して用いることができる。
また、唾液、尿、糞、培養細胞、臓器から得られる調製物等の試料の調製方法も、血清の場合とほぼ同様な手法を用いることができる。
ペンタハロゲン化ベンジル誘導体もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体の調製
上記で調製した試料をアセトニトリル等の不活性溶媒に溶解し、アルカリ条件下でペンタハロゲン化ベンジル化合物もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル化合物を反応させることにより、上記で調製した試料中のエストラジオール及び/又はエストラジオール誘導体をペンタハロゲン化ベンジル誘導体もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体に変換する(エストラジオールについての例を下記ステップ−1に示す)。
Figure 0004667832

(式中、Xは、ハロゲン原子を表し;L及びL′は、それぞれ脱離基を表す)
この反応は、−10℃乃至60℃の範囲内の温度で行うことができ、好ましくは5℃乃至40℃の範囲内の温度が適している。また、ペンタハロゲン化ベンジル化合物もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル化合物の使用割合は、特に制限されるものではないが、一般に、生体由来試料1mL又は1gに対して0.2mg乃至20mgとすることができ、好ましくは1mg乃至4mgが適している。さらに、アルカリ条件下とは、反応液のpHを8〜13、好ましくは9〜11の範囲とすることを意味し、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基の中から、反応液を上記pHの範囲にするのに十分な種類および量の塩基を適宜選択して用いることができる。ここで、本反応は、アルカリ条件下で行うことによって、エストラジオール及び/又はエストラジオール誘導体における水酸基のうちフェノール性水酸基が選択的にペンタハロゲン化ベンジルエーテル化もしくはペンタハロゲン化ベンゾイルエステル化されるため、最終的に得られる1−低級アルキル−2−ピリジニウム誘導体をLC−MSで高感度で測定することが可能となる。
上記ステップ−1と同様の方法により調製されるペンタハロゲン化ベンジル誘導体もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体としては、例えば、次のものを挙げることができる。
エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル、
エストラジオール−3−ペンタフルオロベンゾイルエステル、
2−メトキシエストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル、
3−メトキシエストラジオール−2−ペンタフルオロベンジルエーテル、
4−メトキシエストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル、
3−メトキシ−4−ヒドロキシエストラジオール−4−ペンタフルオロベンジルエーテル等。
ピリジニウム誘導体の調製
上記ステップ−1の方法により調製したエストラジオール及び/又はエストラジオール誘導体のペンタハロゲン化ベンジル誘導体もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体は、ジクロルメタン等の不活性溶媒に溶解した後、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下で、1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジンと反応させることにより、ピリジニウム誘導体へと変換することができる(エストラジオールについての例を下記ステップ−2に示す)。
ステップ−2
Figure 0004667832

(式中、X及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、Rは、低級アルキル基を表す。)
この反応は、−10℃乃至60℃の範囲内の温度で行うことができ、好ましくは5℃乃至40℃の範囲内の温度が適している。また、反応溶媒としては、一般的な不活性有機溶媒、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル等を使用することができる。
また、エストラジオール及び/又はエストラジオール誘導体のペンタハロゲン化ベンジル誘導体もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体に対する1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジンの使用割合は、特に制限されるものではないが、一般に、生体由来試料1mL又は1gに対して0.2mg乃至20mgとすることができ、好ましくは1mg乃至4mgが適している。
上記ステップ−2と同様の方法により調製されるピリジニウム誘導体としては、例えば、次のものを挙げることができる。
エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム、
2−メトキシエストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム、
3−メトキシエストラジオール−2−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム、
4−メトキシエストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム、
3−メトキシ−4−ヒドロキシエストラジオール−4−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム等。
また、本発明の測定方法におけるLC−MS測定は、一般的な方法により行うことができる。
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 ヒト血清中の生体内微量物質の測定
1−1 ヒト血清試料の調製
ヒト全血より得た血清試料1000μLにエーテル5mLを加え、10分間振とうし、遠心分離(4℃、1500×G、5分間)した。これを凍結して上清を分取し、溶媒を留去した。
1−2 エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテルの調製
前項1−1で得た残留物をアセトニトリル50μLに溶解し、次いで、水酸化カリウムのエタノール溶液(1→125)50μLを加えて反応液のpHを約10とし、次に5%ペンタフルオロベンジルブロマイド溶液50μLを加え、50℃で1時間加温した。反応液を水で希釈後、エーテルで抽出し、溶媒を留去した。
1−3 エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウムの調製
前項1−2で得た残留物をジクロロメタン20μLに溶解し、これに1−メチル−2−フルオロピリジンのジクロロメタン溶液(1→50)200μL及びトリエチルアミンのジクロロメタン溶液(1→10)30μLを加え、室温で90分間反応した。次いで、溶媒を留去した後、薄めたメタノール(1→4)1.25mLに溶解し、あらかじめメタノール6mL及び水6mLで調製したBond Elut C18カラムに負荷した。水1mL、0.3%アンモニア水3mL、メタノール2mL及び0.01%ギ酸/メタノール混液(1:1)3mLで洗浄した後、アセトニトリル/10%ギ酸混液(4:1)3.5mLで溶出した。溶出液を減圧下で留去した後、0.05%ギ酸/アセトニトリル混液(1:3)100μLに溶解した。
1−4 LC−MS/MS法による測定
前項1−3で得た液のうちの25μLをLC/MS測定に使用した。
LC−MS/MSは、液体クロマトグラフィー装置(アジデントテクノロジー、HP1100)に接続したマススペクトロメータ Quattro−IIを用い、ESI法で測定した。
LCとMSの測定条件を、下記表1に示す。
Figure 0004667832
MSで測定した場合、エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル17−O−メチルピリジニウムのマススペクトルは、m/z544.4に前駆イオンが検出された。この前駆イオンについて更にMS測定を行うと、m/z110.1に強い強度を示すスペクトルが得られた(図1)。
そこでm/z544.4を前駆イオンとして、生成イオンm/z110.1をSRM(selected reaction monitoring)クロマトグラム測定したところエストラジオール1pgが検出できた(図2)。なお、内部標準物質には重水素で標識したエストラジオール(16,16,17−d体)を用いた。この条件で得られた検量線の一例を示す(図3)。エストラジオール1〜1000pgの濃度範囲において相関係数0.9987と良好な直線を得た。
実施例2
実施例1と同様にして、種々の生体由来試料について、そのピリジニウム誘導体のピーク面積を測定し、それと内部標準物質とのピーク面積比を算出しエストラジオール濃度を求めた。その結果を下記表2に示す。
Figure 0004667832
下記表3は、上記表2のデータをまとめたものである。
Figure 0004667832
上記の結果より、本発明の方法を用いると、生体由来試料中のエストラジオール及びエストラジオール誘導体を1〜1000pgの濃度範囲で定量することができることが示された。
図1は、エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウムのマススペクトル(前駆イオンm/z544.4、前駆イオンからの生成イオンm/z110.1)である。 図2の上段と中段のグラフは、内部標準物質(エストラジオール16、16、17d−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム)1pgのSRMクロマトグラムであって、上段は111.2のイオンピークを、中段は110.2のイオンピークをそれぞれ取り出したものである。また、図2の下段のグラフは、エストラジオール−3−ペンタフルオロベンジルエーテル 17−O−メチルピリジニウム1pgのSRMクロマトグラムである。 図3は、本発明の方法により測定されるエストラジオールについての、1〜1000pgでの検量線である。

Claims (4)

  1. 生体内エストラジオール及び生体内エストラジオール誘導体のLC−MS測定において、次の工程、すなわち、
    i)生体由来試料に対して式:
    Figure 0004667832

    (式中、X1は、ハロゲン原子を表し;L及びL′は、それぞれ脱離基を表す)で示されるペンタハロゲン化ベンジル化合物もしくはペンタハロゲン化ベンゾイル化合物をアルカリ条件下で反応させた後、1−低級アルキル−2−ハロゲン化ピリジンを反応させる工程、及び
    ii)前項i)において調製した反応混合物に含まれる生体内エストラジオール又は生体内エストラジオール誘導体のペンタハロゲン化ベンジルもしくはペンタハロゲン化ベンゾイル及び1−低級アルキル−2−ピリジニウム誘導体をLC−MSで測定する工程、
    を含むことを特徴とする、生体内エストラジオール及び生体内エストラジオール誘導体の測定法。
  2. L又はL′が、ハロゲン原子を表す、請求項1記載の測定方法。
  3. 生体由来試料が、血清、唾液、尿、糞、培養細胞又は臓器である、請求項1又は2に記載の測定法。
  4. LC−MS測定において、MSのイオン化がESIにより行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定法。
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