JP4835694B2 - 測定物質定量方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、一定の測定条件下で標準物質を測定し、検量線をそれぞれGC/MSの装置毎に作成する必要があった。そこで、使用するGC/MSに依存することなく、測定物質を定量することができるGC/MSにおける汎用多成分一斉同定・定量方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような汎用多成分一斉同定・定量方法では、標準物質及び内部標準物質のクロマトグラムのピーク面積比と、標準物質及び内部標準物質の濃度比との関係を示す相対検量線(図3参照)が登録されたデータベースを記憶させるデータベース記憶ステップと、既知の濃度の内部標準物質と測定物質とを同時に測定することにより、内部標準物質と測定物質とのマススペクトルを得る測定ステップと、所定の濃度の内部標準物質のマススペクトルと測定物質のマススペクトルとに基づいて、クロマトグラフを作成して測定物質及び内部標準物質のピーク面積比を算出する算出ステップと、相対検量線に基づいて、測定物質の濃度を算出する測定物質濃度算出ステップとを含む。
なお、内部標準物質としては、GC/MSに対する応答が測定物質と類似し、かつ、測定物質と分離測定可能なものであり、安定同位体化合物及び化学的物理的性質が類似した化合物から選択される。例えば、水素原子を重水素原子に置換した重水素体(D体)等が挙げられる。
また、標準物質としては、例えば、PCBなどの環境汚染物質、食品中残留農薬や乱用薬物等の化学物質等が挙げられる。
また、内部標準物質は一般的には高額であったり、種類によっては入手が困難な場合があり上述の定量方法が利用しにくいことがあった。
さらに、使用する内部標準物質の量と機会とが少なくてすむので、内部標準物質が人体に悪影響を及ぼすものである場合に、その影響を軽減することができる。
上記課題を解決するためになされた本発明の測定物質定量方法は、クロマトグラフ質量分析装置で測定物質を定量する測定物質定量方法であって、標準物質及び登録物質のクロマトグラムのピーク面積比又は高さ比と、標準物質及び登録物質の濃度比との関係を示す相対検量線が登録されたデータベースを記憶させるデータベース記憶ステップと、内部標準物質として、前記登録物質と同一のもの、又は、前記登録物質は水素原子が重水素原子に置換された重水素体でありかつ当該水素原子が重水素原子に置換されていないものを選択して、既知の濃度の内部標準物質を測定することにより、内部標準物質のマススペクトルを得る内部標準物質測定ステップと、内部標準物質のマススペクトルに基づいて、クロマトグラムを作成して内部標準物質のピーク面積又は高さを算出する絶対値算出ステップと、未知の濃度の測定物質を内部標準物質を添加しないで測定することにより、測定物質のマススペクトルを得る測定物質測定ステップと、測定物質のマススペクトルに基づいて、クロマトグラムを作成して測定物質のピーク面積又は高さを算出する測定値算出ステップと、前記登録物質と前記内部標準物質との関係を用いて、前記相対検量線における登録物質に前記内部標準物質を照らすようにして、相対検量線、内部標準物質のピーク面積又は高さ、並びに、測定物質のピーク面積又は高さを用いることにより、測定物質の濃度を算出する測定物質濃度算出ステップとを含むようにしている。
本発明の測定物質定量方法によれば、サンプルに内部標準物質を添加しないで、測定物質を測定することができるため、内部標準物質として測定物質と分離測定可能なものを用いる必要はない。つまり、高価な重水素体(D体)を用いる必要をなくすことができる。
GC1は、カラムオーブン4と、カラムオーブン4に内装されるカラム3と、カラム3の入口端に接続されるサンプル注入部2とからなる。分析対象物質である試料ガス(サンプル)は、キャリアガスに押されてサンプル注入部2からカラム3内に導入されることになる。これにより、試料ガスに含まれる各測定物質は、カラム3内を通過する間に時間軸方向に分離されて、カラム3の出口端に到達することになる。なお、カラム3の出口端は、MS5に接続されている。
CPU11が処理する機能をブロック化して説明すると、測定部21と、面積算出部22と、絶対検量線作成部23と、測定物質算出部24とを有する。測定部21は、検出器10で取得したイオン強度信号をメモリ12のイオン強度信号記憶領域34に蓄積させるとともに、イオン強度信号に基づいて演算処理を実行し、その結果をモニタ画面14aに出力するものである。
また、メモリ12は、標準物質及び登録物質のトータルイオンクロマトグラムのピーク面積比と、標準物質及び登録物質の濃度比との関係を示す相対検量線を登録する相対検量線記憶領域31と、絶対検量線を記憶する絶対検量線記憶領域33と、イオン強度信号記憶領域34とを有する。
測定物質算出部24は、絶対検量線及び測定物質のピーク面積に基づいて測定物質を定量する制御を行うものである。
まず、ステップS101の処理において、標準物質及び登録物質のトータルイオンクロマトグラムのピーク面積比(P’’/P’)と、標準物質及び登録物質の濃度比(C’’/C’)との関係を示す相対検量線(図3参照)が登録されたデータベースを相対検量線記憶領域31に記憶させる(データベース記憶ステップ)。なお、P’’は、標準物質のピーク面積であり、P’は、登録物質のピーク面積であり、C’’は、標準物質の濃度であり、C’は、登録物質の濃度である。
次に、ステップS103の処理において、一定間隔あけて間欠的に連続して繰り返し質量走査を行うことにより、内部標準物質のマススペクトルを得る(内部標準物質測定ステップ)。
その後、ステップS105の処理を終了すれば、本フローチャートを終了させることになる。
まず、ステップS201の処理において、カウンタSnを用いてSn=S1と記憶させる。
次に、ステップS203の処理において、一定間隔あけて間欠的に連続して繰り返し質量走査を行うことにより、各測定物質のマススペクトルを得る(測定物質測定ステップ)。
次に、ステップS205の処理において、絶対検量線に基づいて、測定物質の濃度(c)を算出する(測定物質濃度算出ステップ)。
一方、Sn=Smaxであると判定した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
さらに、使用する内部標準物質の量と機会とが少なくてすむので、内部標準物質が人体に悪影響を及ぼすものである場合に、その影響を軽減することができる。
(1)上述したGC/MS装置100において、登録物質と内部標準物質とは、同一であるものを用いる構成としたが、登録物質は、水素原子を重水素原子に置換された重水素体であり、かつ、内部標準物質は、水素原子を重水素原子に置換されていないものとする構成としてもよい。このとき、内部標準物質のピーク面積=登録物質のピーク面積×Aとなり、Aは定数である。
(2)上述したGC/MS装置100において、内部標準物質の測定回数は1回としたが、サンプルの測定を10回行う毎に、内部標準物質の測定を1回行う構成としてもよい。
5 質量分析装置(MS)
11 CPU(データ処理装置)
12 メモリ(外部記憶装置)
20 コンピュータ
21 測定部
22 面積算出部
23 絶対検量線作成部
24 測定物質算出部
100 ガスクロマトグラフ質量分析装置
Claims (2)
- クロマトグラフ質量分析装置で測定物質を定量する測定物質定量方法であって、
標準物質及び登録物質のクロマトグラムのピーク面積比又は高さ比と、標準物質及び登録物質の濃度比との関係を示す相対検量線が登録されたデータベースを記憶させるデータベース記憶ステップと、
内部標準物質として、前記登録物質と同一のもの、又は、前記登録物質は水素原子が重水素原子に置換された重水素体でありかつ当該水素原子が重水素原子に置換されていないものを選択して、既知の濃度の内部標準物質を測定することにより、内部標準物質のマススペクトルを得る内部標準物質測定ステップと、
内部標準物質のマススペクトルに基づいて、クロマトグラムを作成して内部標準物質のピーク面積又は高さを算出する絶対値算出ステップと、
未知の濃度の測定物質を測定することにより、測定物質のマススペクトルを得る測定物質測定ステップと、
測定物質のマススペクトルに基づいて、クロマトグラムを作成して測定物質のピーク面積又は高さを算出する測定値算出ステップと、
前記登録物質と前記内部標準物質との関係を用いて、前記相対検量線における登録物質に前記内部標準物質を照らすようにして、相対検量線及び内部標準物質のピーク面積又は高さに基づいて、ピーク面積又は高さと濃度との関係を示す絶対検量線を作成することにより、前記絶対検量線におけるピーク面積又は高さに前記測定物質のピーク面積又は高さを代入して、測定物質の濃度を算出する測定物質濃度算出ステップとを含むことを特徴とする測定物質定量方法。 - クロマトグラフ質量分析装置で測定物質を定量する測定物質定量方法であって、
標準物質及び登録物質のクロマトグラムのピーク面積比又は高さ比と、標準物質及び登録物質の濃度比との関係を示す相対検量線が登録されたデータベースを記憶させるデータベース記憶ステップと、
内部標準物質として、前記登録物質と同一のもの、又は、前記登録物質は水素原子が重水素原子に置換された重水素体でありかつ当該水素原子が重水素原子に置換されていないものを選択して、既知の濃度の内部標準物質を測定することにより、内部標準物質のマススペクトルを得る内部標準物質測定ステップと、
内部標準物質のマススペクトルに基づいて、クロマトグラムを作成して内部標準物質のピーク面積又は高さを算出する絶対値算出ステップと、
未知の濃度の測定物質を内部標準物質を添加しないで測定することにより、測定物質のマススペクトルを得る測定物質測定ステップと、
測定物質のマススペクトルに基づいて、クロマトグラムを作成して測定物質のピーク面積又は高さを算出する測定値算出ステップと、
前記登録物質と前記内部標準物質との関係を用いて、前記相対検量線における登録物質に前記内部標準物質を照らすようにして、相対検量線、内部標準物質のピーク面積又は高さ、並びに、測定物質のピーク面積又は高さを用いることにより、測定物質の濃度を算出する測定物質濃度算出ステップとを含むことを特徴とする測定物質定量方法。
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