JP5333089B2 - クロマトグラフ用データ処理装置 - Google Patents

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本発明は、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)で得られるクロマトグラム、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)で得られるマスクロマトグラムやトータルイオンクロマトグラムなど、各種クロマトグラムのデータを処理するデータ処理装置に関する。
GC/MSやLC/MSでは、クロマトグラフにより目的試料に含まれる各種成分を時間方向に分離し、その分離された成分を質量分析部においてそれぞれイオン化して質量電荷比に応じて分離して検出する。例えば質量分析部において所定の質量電荷比の範囲(質量範囲)を繰り返し走査しつつ、クロマトグラフにおいて試料を導入した時点から所定時間が経過するまで測定を続行することにより、所定の質量範囲のマススペクトルデータが繰り返し得られる。こうして得られたデータに基づいて、横軸を時間、縦軸を強度(イオン強度)としたマスクロマトグラムを、所定の質量範囲の各質量電荷比において作成することができる。また、質量電荷比に依らず、得られたイオンの強度を合算することにより、トータルイオンクロマトグラムを作成することができる。
このようなGC/MSやLC/MSにおいて試料中の或る測定対象化合物の含有の有無を調べるには、測定対象化合物由来の質量電荷比のマスクロマトグラムに着目し、測定対象化合物の出現予測時間範囲に有意なピークが存在するか否かを確認するようにしている。例えば農薬分析や薬物分析などを行う際には、使用が禁止されている化合物を測定対象化合物とし、上記方法で測定対象化合物の含有の有無を調べることで試料のスクリーニングを実施する。測定対象化合物の出現予測時間範囲に有意なピークが存在するか否かの判断は、まず、その出現予測時間範囲において、予め設定した検出条件を満たすピークを自動的に検出し、次いで、その検出されたピークが有意なものであるか否かを判定する、という手順で行われる。
或るピークが有意であるか否かの判定は、通常、ピークのSN比の結果に基づいて行われる。例えば、計算されたピークのSN比が予め設定された閾値以上であればそのピークは有意であると判断し、そのピークに対応した測定対象化合物が含まれていると結論付ける。一方、計算されたピークのSN比が閾値未満であればそのピークは測定対象化合物由来のピークではなく、ノイズ等に起因する無意味なピークであると判断する(例えば特許文献1など)。
従来のデータ処理では、上記のようにピークのSN比を計算するときの信号値(S)としては検出されたピークのピークトップの強度値が用いられ、ノイズ値(N)は測定対象化合物の出現予測時間範囲の中でピーク区間(ピーク開始点からピーク終了点までの間)を除いた全ての測定点の値を使用して計算される。ところが、そのノイズ値を計算するノイズ区間に、ピーク検出されなかった夾雑成分が存在すると、その夾雑成分の影響がノイズ値に現れる。そのため、ノイズ値が真値よりも大きい値になってしまい、結果的にピークのSN比が見かけ上悪くなって、測定対象化合物が含まれているにも拘わらず含まれていないと誤った判定を下す場合がある。
そのため、従来、こうした問題を回避するために、オペレータが処理対象のクロマトグラムを表示画面上で確認し、測定対象化合物の出現予測時間範囲の中で夾雑成分の影響が見られない部分を見い出し、該測定対象化合物の含有の有無を判定するためのノイズ値を計算する時間範囲として手動で設定するようにしている。しかしながら、従来のこうしたピークSN比評価方法では次のような問題がある。
(1)農薬分析や薬物分析では測定対象化合物が数百にも及ぶことがあり、そうした場合に、それら1つ1つについてオペレータがクロマトグラムを確認してノイズ時間範囲を設定するのは大きな負担である。また、作業効率が悪く、スループットも低い。
(2)ノイズ時間範囲の設定の仕方はオペレータによって異なるため、複数のオペレータが処理した結果は必ずしも同一になるとは限らない。特にオペレータの経験や技量によって大きな差異が生じることがあり、スクリーニングの精度低下の一因となる。
特願2005−221276号公報(明細書[0020]-[0021]及び図2)
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、多数の測定対象化合物の含有の有無を、高い精度で克つ効率的に判定することができるクロマトグラフ用データ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、クロマトグラフ分析又はクロマトグラフ質量分析により得られたクロマトグラムデータを処理するクロマトグラフ用データ処理装置において、
a)クロマトグラム上で目的化合物に対応するピーク検出を行い、検出されたピークの強度を信号値として求める信号値算出手段と、
b)前記目的化合物に対して設定された探索時間範囲内で該時間範囲よりも狭い時間幅であるノイズ時間幅を該ノイズ時間幅よりも狭い時間幅ずつ時間方向にずらしつつ、前記ノイズ時間幅に含まれるクロマトグラムデータを用いてノイズ値を計算するという処理を繰り返すことにより、その探索時間範囲における最小のノイズ値を求めるノイズ値算出手段と、
c)前記信号値算出手段により得られた信号値と前記ノイズ値算出手段により得られたノイズ値とから、目的化合物に対するピークのSN比を計算するピークSN比算出手段と、
を備え、前記ピークSN比算出手段により算出されたSN比に基づいて、そのピークに対応した目的化合物の含有の有無を判断するようにしたことを特徴としている。
ここでいうクロマトグラムとは、クロマトグラフ分析で取得される通常のクロマトグラムのほか、クロマトグラフ質量分析により取得されるトータルイオンクロマトグラム、マスクロマトグラムを含む。また、クロマトグラフはガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフのいずれも含む。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置では、好ましくは、前記探索時間範囲と前記ノイズ時間幅との少なくとも一方をオペレータが入力設定するためのパラメータ設定手段、をさらに備える構成とするとよい。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置において、信号値算出手段は、目的化合物のピークの予測保持時間に対して所定のマージンを見込んで設定される時間範囲においてピーク検出を実行し、ピークが見い出されたならば、そのピークトップの強度を信号値として取得する。ピーク検出は従来の周知の方法を用いればよく、所定のピーク検出条件の下でピークが見い出せない場合には、その目的化合物が含まれないと判断できる。
ノイズ値算出手段は、その目的化合物について、例えば上記のようにパラメータ設定手段を介して設定された探索時間範囲内で、ノイズ時間幅を該ノイズ時間幅よりも狭い時間幅ずつ時間方向にずらしつつ、そのノイズ時間幅に含まれるクロマトグラムデータを用いてノイズ値を計算する。このとき、信号値算出手段によりピーク検出がなされた区間、つまりそのピークの開始点から終了点までの間の区間についてはノイズ値計算から除外してもよいが、あえて除外しなくても問題ない。ノイズ値の計算方法も特に限定されず、例えば、そのノイズ時間幅内の信号の最大強度と最小強度との差を求める方法、そのノイズ時間幅内の信号値の標準偏差を求める方法、などがある。ノイズの種類(原因)によってノイズ計算方法を変更したほうがよい場合もあるから、予め用意された複数のノイズ計算方法の中からオペレータが適宜の方法を選択できるようにしてもよい。
ノイズ値が小さいほど、夾雑成分の影響を受けていない信号領域であると推測できる。そこでノイズ値算出手段は、探索時間範囲内でノイズ時間幅の位置をずらす毎に算出されたノイズ値の中で最小のものをその探索時間範囲におけるノイズ値とする。SN比算出手段は、上記信号値算出手段により得られたピークの信号値と上記ノイズ値算出手段により得られたノイズ値(つまり、その探索時間範囲内の最小のノイズ値)とからピークのSN比を計算する。例えばこうして算出されたSN比の値が表示部などに出力され、オペレータはその値を確認し、例えばSN比が所定の閾値以上である場合にそのピークに対応した目的化合物が含有されていると判断する。
また、そうした判断をオペレータが下さずに、前記ピークSN比算出手段により算出されたSN比に基づいて、そのピークに対応した目的化合物の含有の有無を判断する含有判定手段を備え、自動的に目的化合物の有無が判断されるようにしてもよい。
多数の目的化合物の含有の有無をそれぞれ調べる(スクリーニングする)場合には、各化合物について、上記の信号値算出手段、ノイズ値算出手段、及び、ピークSN比算出手段による処理を繰り返せばよい。また、マスクロマトグラムデータを処理対象とする場合には、必要に応じて適宜、異なる質量電荷比のマスクロマトグラムについて同様の処理を繰り返せばよい。
なお、目的化合物のピークを検出する時間範囲と最小のノイズ値を探索する探索時間範囲とは同一でもよいが、必ずしも同一である必要はない。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置によれば、各目的化合物について探索時間範囲とノイズ時間幅とが与えられさえすれば、その条件の下で、夾雑成分の影響を受けていないと推測されるノイズ算出区間が自動的に選択され、その区間に含まれるクロマトグラムデータに基づくノイズ値を利用したピークのSN比が計算される。したがって、オペレータ自らがクロマトグラムを確認して、ノイズ値算出のために夾雑成分の影響のない区間を抽出するような面倒な作業は不要になり、オペレータの負担が軽減されるとともに作業効率の改善によりスループットが向上する。また、ノイズ算出区間の設定がオペレータの判断に依存しないので、目的化合物の含有の有無の判断のばらつきがなくなり、常に同じ基準で正確な判断が可能となる。特に、残留農薬スクリーニングや禁止薬物スクリーニングなど、膨大な数の化合物の含有の有無を調べる必要がある場合でも、作業時間を大幅に短縮化し、且つ、そのスクリーニングの精度を向上させることができる。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置を適用したGC/MSの一実施例の全体構成図。 本実施例のGC/MSにおける測定対象化合物のスクリーニング処理の手順を示すフローチャート。 図2中のステップS3の処理の詳細フローチャート。 最適ノイズ算出区間探索のためのパラメータの一例を示す図。 最適ノイズ算出区間探索の動作を説明するための模式図。 ピークSN比算出処理結果の一例を示す図。
以下、本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置について一例を挙げて詳細に説明する。図1は本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置を適用したGC/MSの一実施例の全体構成図である。
このGC/MSは、試料に対して分析を実行してデータを収集するために、GC部1とMS部5とを備える。GC部1において、ヘリウム等のキャリアガスが一定流量で試料気化室3を経てカラム4に供給される。所定のタイミングでインジェクタ2から試料気化室3に微量の試料液が注入されると、該試料液は短時間で気化し、キャリアガス流に乗ってカラム4に導入される。そして、カラム4を通過する間に、試料に含まれる各種成分は分離され、時間的にずれてカラム4出口から流出する。カラム4から流出する試料ガスはMS部5においてイオン源6に導入され、試料ガス中成分分子は例えば電子イオン化法や化学イオン化法などによりイオン化される。発生したイオンは四重極質量フィルタ等の質量分離器7に導入され、質量分離器7によりイオンは質量電荷比m/zに応じて分離されて検出器8に到達する。例えば質量分離器7が四重極質量フィルタである場合には、四重極質量フィルタへの印加電圧を所定範囲で繰り返し走査することで、検出器8に到達するイオンの質量電荷比が走査される。
検出器8は到達したイオンの量に応じた検出信号を出力し、検出信号はA/D変換器9でデジタルデータに変換されてデータ処理部10に入力される。データ処理部10は、クロマトグラム作成部11、ピークSN比計算部12、化合物含有判定部13、化合物含有判定パラメータ記憶部14、などを機能ブロックとして含む。データ処理部10は制御部15と接続され、入力部18から入力された化合物含有判定パラメータが制御部15を介して化合物含有判定パラメータ記憶部14に格納され、また制御部15を介してクロマトグラムや化合物含有判定部13の判定結果などが表示部17の画面上に表示される。図示しないが、制御部15はGC部1及びMS部5の動作を制御する。
なお、データ処理部10及び制御部15の実体はパーソナルコンピュータであり、そのコンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することにより、それぞれの機能を実現するものとすることができる。
本実施例のGC/MSでは、多数の測定対象化合物が含まれる可能性がある試料を分析し、その分析により収集されるデータ(クロマトグラムデータ)を用いて各測定対象化合物の含有の有無を調べるスクリーニング(例えば残留農薬スクリーニング)が実行される。図2はそのスクリーニング処理の手順を示すフローチャート、図3は図2中のステップS3の処理の詳細フローチャート、図4は最適ノイズ算出区間探索のためのパラメータの一例を示す図、図5は最適ノイズ算出区間探索の動作を説明するための模式図である。以下、これら図を用いて、本実施例のGC/MSに特徴的な測定対象化合物スクリーニング処理について説明する。
まず、オペレータは入力部18より、化合物含有判定パラメータとして少なくとも測定対象化合物毎に探索時間範囲とノイズ時間幅とを入力する(ステップS1)。入力された上記パラメータは、データ処理部10の化合物含有判定パラメータ記憶部14に保存される。図に一例を示すように、探索時間範囲は探索開始時間と探索終了時間を一組としたものである。なお、同一種の測定対象化合物を対象とするスクリーニングでは、1回、上記のようなパラメータを設定すれば、そのパラメータを利用して多数の試料のスクリーニングを実施することができる。また、オペレータが入力することなく、予めデータベースに登録された値などを用いるようにしてもよい。
試料に対しGC/MS分析が実行されることでリアルタイムに収集されるデータ又は既に収集されて記憶部などに保存されているデータに対するスクリーニング処理が開始されると、データ処理部10においてクロマトグラム作成部11は、収集されたデータに基づいてクロマトグラム(特定の質量電荷比のマスクロマトグラム又はトータルイオンクロマトグラム)を作成する。ピークSN比計算部12はクロマトグラムに対し次の手順でピークSN比の計算を実行する。
まず測定対象化合物毎に、予測保持時間を元に設定されるピーク検出時間範囲内でピーク検出を実行し、ピークが検出されたならばそのピークトップの強度値を求めてその測定対象化合物に対する信号値とする(ステップS2)。ピーク検出は従来から知られている方法(例えば特開2004−184148号公報の記載参照)を用いることができ、通常、ピークが検出されると、ピークの開始時刻、ピークトップの出現時刻、ピークの終了時刻が得られる。ピークの開始時刻から終了時刻までがピーク区間である。なお、ピーク検出時間範囲は上記の探索時間範囲と同一でもよいが、必ずしも同一である必要はない。このピーク検出処理により、例えば図4に示した化合物A、B、Cのそれぞれについてピークが検出され、それらピークのピークトップの強度値が信号値として求まる。
次に、測定対象化合物毎に適切なノイズ算出区間を探索しノイズ値を求める(ステップS3)。図3により詳細に説明すると、ピークSN比計算部12は化合物含有判定パラメータ記憶部14から或る1つの測定対象化合物に対する探索時間範囲[ts,te]及びノイズ時間幅rを取得する(ステップS10)。例えば、化合物AのピークSN比を求める際には、探索時間範囲:[6.48(分),7.48(分)]、ノイズ時間幅:0.1(分)が取得される。次に、その探索開始時間tsを変数Xに設定し、X〜X+rの区間、つまりts〜ts+rのノイズ算出区間に含まれる測定点(クロマトグラムデータ)を取得する(ステップS11、S12)。但し、X〜X+rのノイズ算出区間にピーク区間が重なる場合には、このノイズ算出区間は処理から除外する(ステップS13)。
最初の上記ステップS11〜S13の処理により、図5中に[1]で示すノイズ算出区間が設定され、その区間内のクロマトグラムデータが収集される。続いて、この収集されたデータからそのノイズ算出区間におけるノイズ値を計算する(ステップS14)。ノイズ値の算出方法は特に限定されず、例えば任意に設定された区間における信号強度の最大値と最小値との差(つまりピークtoピーク値)を求める方法、任意に設定された区間における信号強度の標準偏差(つまり実効値)を求める方法、などが代表的なものである。
次に、算出されたノイズ値がその探索時間範囲においてこれまでに得られたノイズ値の中で最小であるか否かを判定し(ステップS15)、最小であればそのときのノイズ算出区間X〜X+rを暫定ノイズ算出区間として内部メモリに一時的に記憶する(ステップS16)。一方、ステップS15においてそのときのノイズ値が最小でなければステップS16をパスしてステップS17へ進む。この場合、内部メモリの暫定ノイズ算出区間は更新されない。そして、変数Xをインクリメントする(ステップS17)。ここでいうインクリメントは、探索開始時間ts直後の測定点から順に1測定点ずつ、時間的に後方にずらすことを意味する。そして、X+rが探索終了時間teを超えているか否かを判定し(ステップS18)、超えていなければステップS12に戻って上記処理を繰り返す。
即ち、図5中に[1]で示すノイズ算出区間のノイズ値が算出されると、次に[2]で示すノイズ算出区間のノイズ値が算出される。こうして1測定点ずつノイズ値を計算する時間幅rのノイズ算出区間がずらされ、各ノイズ算出区間におけるノイズ値が計算されて最小値を与えるノイズ算出区間が暫定ノイズ算出区間としてメモリに残される。上述したようにピークが検出された区間はノイズではないので除外されるが、計算上は、あえて除外する処理を行わなくても、みかけ上ノイズ値が大きくなるので、結果的にはこのピーク区間は除外されることになる。
ステップS18でX+rが探索終了時間teを超えていると判定されると、探索時間範囲内で時間幅rの区間を設定できなくなるから、ステップS19に進み、その時点でメモリに格納されている暫定ノイズ算出区間を正式なノイズ算出区間と決定し、その区間に対するノイズ値を取得する。これにより、1つの測定対象化合物に対する適切なノイズ値が求まる。
複数の測定対象化合物のノイズ値を求める場合には、測定対象化合物毎に図3に示した処理を実行することでそれぞれノイズ値を計算する。このようなノイズ値を計算するための最適なノイズ算出区間の探索とノイズ値の決定とは、オペレータによる操作や判断に依ることなく、自動的に遂行される。
図2に戻ると、各測定対象化合物の信号値とノイズ値とが求まったならば、測定対象化合物毎に信号値とノイズ値とからSN比を計算する(ステップS4)。これにより、図6に一例を示すように、化合物毎に、ノイズ値、信号値、SN比が求まる。次に、化合物含有判定部13は化合物毎に、算出されたSN比を閾値と比較し、SN比が閾値以上である場合にステップS2で検出されたピークが有意であり、その測定対象化合物が試料に含まれていると判断する。一方、SN比が閾値未満であればステップS2で検出されたピークは例えば夾雑成分などに由来するノイズであり、その測定対象化合物が試料に含まれていないと判断する(ステップS5)。ここでピークの有意性を判断する基準となる閾値は、例えば化合物含有判定パラメータの1つとして予めオペレータが設定しておくことが可能である。また化合物毎に閾値を変えることも可能である。
このようにして試料中に含まれる可能性のある測定対象化合物が、実際に含まれるか否かが自動的に判断された結果は、例えば一覧表などの形式で表示部17(又は図示しない印刷出力部)から出力される。それによって、オペレータ自らはクロマトグラムを確認して夾雑成分の影響を受けない区間を見つけるといった面倒な操作を行うことなく、多数の測定対象化合物のスクリーニング結果を得ることができる。
上記説明では、SN比を求めた後に該SN比に基づく化合物の含有の有無の判定まで自動で行うようにしていたが、例えば図6に示したような各化合物のSN比の計算結果を表示部17や印刷出力部から出力し、オペレータがそれを見て各測定対象化合物の含有の有無を判断するようにしてもよい。即ち、図1に示した構成で、データ処理部10が化合物含有判定部13を有しておらず、その機能をオペレータ自身が行うようにしてもよい。
また、上記実施例では異なる質量電荷比のマスクロマトグラムを考慮していなかったが、例えば1乃至複数の測定対象化合物毎に異なる質量電荷比のマスクロマトグラムを対象として同様の処理を実行するようにしてもよい。特に数百にも及ぶ多数の化合物の一斉分析を行う際には、このような手法が採用されることが多い。
また、上記実施例では本発明に係るデータ処理装置をGC/MSに適用していたが、LC/MSでもよく、また、検出器が質量分析計ではない、GCやLCにも本発明を適用できることは明らかである。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本願発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…GC部
2…インジェクタ
3…試料気化室
4…カラム
5…MS部
6…イオン源
7…質量分離器
8…検出器
9…A/D変換器
10…データ処理部
11…クロマトグラム作成部
12…ピークSN比計算部
13…化合物含有判定部
14…化合物含有判定パラメータ記憶部
15…制御部
17…表示部
18…入力部

Claims (2)

  1. クロマトグラフ分析又はクロマトグラフ質量分析により得られたクロマトグラムデータを処理するクロマトグラフ用データ処理装置において、
    a)クロマトグラム上で目的化合物に対応するピーク検出を行い、検出されたピークの強度を信号値として求める信号値算出手段と、
    b)前記目的化合物に対して設定された探索時間範囲内で該時間範囲よりも狭い時間幅であるノイズ時間幅を該ノイズ時間幅よりも狭い時間幅ずつ時間方向にずらしつつ、前記ノイズ時間幅に含まれるクロマトグラムデータを用いてノイズ値を計算するという処理を繰り返すことにより、その探索時間範囲における最小のノイズ値を求めるノイズ値算出手段と、
    c)前記信号値算出手段により得られた信号値と前記ノイズ値算出手段により得られたノイズ値とから、目的化合物に対するピークのSN比を計算するピークSN比算出手段と、
    を備え、前記ピークSN比算出手段により算出されたSN比に基づいて、そのピークに対応した目的化合物の含有の有無を判断するようにしたことを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ用データ処理装置であって、
    前記探索時間範囲と前記ノイズ時間幅との少なくとも一方をオペレータが入力設定するためのパラメータ設定手段、をさらに備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
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