JP2004251830A - 質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】MS1、MSn測定を同時に行って得られたデータのマススペクトル出力、表示を簡単に行えるようにしてデータ処理操作の効率を高める。
【解決手段】クロマトグラフ装置から導入された試料をイオン化し、イオンを捕捉可能なイオントラップにより質量分析を行う質量分析装置が使用される。MS1、MSn測定を単位時間内で並行して行い、複数の条件のデータを一時に得る。並列データとして関連づけて得られたMS1データのクロマトグラムデータから、MS1データのマススペクトルに加えて同時に測定した複数のMSnデータのマススペクトルを表示させる。
MS1測定と単位時間内で同時に複数のMSn測定を行うことができるデータ測定方法に伴い複雑化したデータ処理操作を簡便にする。
【選択図】 図6
【解決手段】クロマトグラフ装置から導入された試料をイオン化し、イオンを捕捉可能なイオントラップにより質量分析を行う質量分析装置が使用される。MS1、MSn測定を単位時間内で並行して行い、複数の条件のデータを一時に得る。並列データとして関連づけて得られたMS1データのクロマトグラムデータから、MS1データのマススペクトルに加えて同時に測定した複数のMSnデータのマススペクトルを表示させる。
MS1測定と単位時間内で同時に複数のMSn測定を行うことができるデータ測定方法に伴い複雑化したデータ処理操作を簡便にする。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析計は、測定対象のサンプル分子に様々な方法で電荷を付与し、生成したイオンの質量対電荷比とイオン電流値をマススペクトルデータとして計測する分析装置である。化学物質はそれを構成する原子の種類や数から特徴的な分子量を持っているため、マススペクトルデータを得ることによって各々の物質を特定するための重要な情報を得ることができる。また質量分析計は、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、キャピラリ電気泳動といったクロマトグラフ装置とオンラインで直結することができ、クロマトグラフ装置の高感度かつ豊富な定性情報が得られる検出器として使用することもできる。
【0003】
近年、環境問題や健康に関する関心が高くなり、それによって上水、排水、食品等に含まれる有害有機化合物のチェック、新薬開発における安全性の確認など様々な分野で、クロマトグラフ直結形の質量分析計が使用されるようになってきている。またバイオ分野において、タンパク質やペプチドなどの生体高分子の構造解析においても、質量分析計が多く使用されるようになってきている。ここで分析装置に要求される機能としては、
(1)高感度であり、定量分析ができること。
(2)物質を確実に特定できるだけの十分な定性情報が得られること。また未知試料については、その構造を解析するのに十分な手がかりとなるスペクトル情報が簡単に得られること。
(3)実試料を分析する際には、測定対象外の夾雑物を取り除くための試料調製が必要になるが、この調製の手間を少しでも軽減できること。
(4)農薬の分析等では、測定対象物質が10成分〜60成分程度にも及ぶため、一回の試料注入で、できるだけ多くの物質について一斉分析ができること。
等が挙げられる。
【0004】
この内、特に(2)については、分析対象の試料が決まっている場合は、予め目的の試料の標準物質のマススペクトルデータを測定−登録しておくことが行われる。実試料で得られたクロマトグラム上で各ピークのマススペクトルを出力し、これらについて各々、標準試料との一致検索を行なう。実試料のマススペクトルが、標準試料と高い一致度を持つことをもって、実試料中に特定の試料が存在していることを判断する。また、未知試料の場合は、得られたスペクトルからその試料の分子量情報や部分構造情報などを得ることで、構造推定の際の情報としている。
【0005】
標準試料と実試料のマススペクトルを一致比較する場合、実試料のマススペクトルには標準試料のスペクトルにはない夾雑物由来のピークが混ざってしまうことが多々ある。これが、スペクトル比較による一致度判定の場合、判定結果の精度の面で問題になる。
【0006】
また、質量分析計のイオン源に大気圧イオン化法を使用する場合、得られるマススペクトルは、基本的に試料成分の分子量由来のピークを最大強度とする単純なスペクトルになることが多い。これは試料成分の分子量を確認するためには有効な情報となる。反面、イオン源に電子衝撃法を使用した場合のマススペクトルと比較して開裂イオンのピークが少ないために、高い選択性を持ったスペクトル検索は困難である。これは未知試料の構造情報を得る場合も同様で、分子量情報だけでなく、開裂イオンのピークから、部分構造情報が得られる可能性が少なくなり、情報量が少なくなってしまう。一般的に、大気圧イオン化法は、液体クロマトグラフと接続された時、所謂LC/MSで用いられ、電子衝撃法は、ガスクロマトグラフに接続された時、所謂GC/MSで用いられるイオン源である。即ち、LC/MSでは、一度所定範囲のマススペクトルを得ただけでは、試料成分の特定が非常に困難であり、高度の定性分析が困難である。また未知の化合物についても、構造を推定するための手がかりとなる化合物の部分構造情報を得にくいという問題を有している。
【0007】
上記のような問題を解決しようとした場合、従来は、試料成分毎の特徴的なイオンの質量数を特定し、そのイオンについてMSn分析することで、情報量を増やし定性を行っている。
【0008】
MSn分析を示した例として、特許文献1がある。
MSn分析は、質量分析計に導入されたイオンの内、特定質量数のイオンを選択した後、そのイオンに中性分子との衝突などによりエネルギーを与えて壊し(開裂させ)、その開裂したイオンを質量数毎に順次検出器へ送り出してマススペクトルデータを得るものである。最初に生成したイオンをそのまま検出器に送り出してマススペクトルデータを得る通常の質量分析データをMSデータ、またはMS1データとすると、この分析は、MS1データに更に1段階の反応を加えて得られたデータということでMS2データとなる。また、この特定質量数イオンの選択と、開裂の操作を更に複数回繰り返してから、検出器へ最終的に生成したイオンを送り出してマススペクトルデータを得ることでn=3、4、5といった分析も可能となる。試料成分の分子は、その構造によって開裂を起こし易い部分があり、分子量が同じ試料成分であっても、開裂を起こした後に生成したイオンのマススペクトルデータを比較することで、構造の違う試料成分を区別することが可能になる。これにより、通常のマススペクトルデータでは試料成分の特定に十分な情報を得られない場合でも、MSn分析で得られたマススペクトルデータで特定することができる。また一度特定イオンを選択してから開裂反応を起こさせてスペクトルを得るため、得られたMS2データでは、最初のデータにあった夾雑物由来のピークを排除することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−142196号公報
【特許文献2】
特開2001−249114号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記MSn分析は、夾雑物の除去や定性精度の向上、未知化合物の構造情報取得などの面で大きなメリットを有する。
実際の測定の際には、
(1)MS1データ、MS2あるいはMSnデータを1回1回測定する方法。
(2)MS1データと、予め選択する特定イオン質量数やその他条件を登録しておき、MS2データあるいはMSnデータを交互に繰り返して、1回の試料注入で複数のデータを一時に得る測定方法。
(3)MS1のデータと、イオン選択方法の条件やその他条件を登録しておき、最初に得られたMS1データのマススペクトルを参照して、選択する特定イオンを自動的にデータ処理装置が決定してMS2データを得る。更にMS2データについて同じことを繰り返す。これらの動作を繰り返し行うことで、MSnデータまでのデータを1回の試料注入で一時に得る測定方法。
等のやり方がある。
【0011】
(1)のやり方の場合は、1回の試料注入で1種類のデータが得られる訳で、マススペクトルを出力したり、クロマトグラムを出力したりするデータ処理操作は比較的単純である。しかし、(2)や(3)のやり方で測定を行う場合は、1回の試料注入で複数の種類の測定データが同時に得られることになる。この複数の条件で得られたデータを併せ持つ場合、データ構造、その処理方法が複雑になる。1回の試料注入で得られたデータであっても、基本的に異なる条件で測定されたデータである以上、各々の条件で得られたデータは、別々の独立したデータのまとまりとして取り扱われる。すなわち各データのマススペクトルを画面表示させる場合は、まず最初に各データについて1個1個指定を行って、得られたイオン強度の時間変化を表示するクロマトグラムデータを表示させる。次に各クロマトグラム上で、マススペクトルを計算−出力したい時間範囲を指定して、マススペクトルを表示させる作業が必要になる。1回の試料注入で、複数の情報をもつデータが一時に得られる測定方法は、試料量や測定時間の少量化短縮化につながる反面、一時に得られるデータの種類が増える。そのため各々のデータについて、それぞれクロマトグラム表示―時間範囲指定―マススペクトル表示の作業を繰り返すことになる。1回の試料注入によって得られたデータの中に、時間変化により複数の試料が観測されている場合は、更に上記の操作をサンプル数分だけ繰り返す必要が発生する。このように(2)、(3)のような測定を日常的に行う場合は、測定操作に要する時間が短縮化される反面、その複雑なデータを処理してスペクトルを確認するデータ処理作業が非常に煩雑になり、測定者の大きな負担となる。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、MS1データとMSnデータ(nは2以上)を組み合わせた測定を行った際、得られる大量の異なる条件のデータに対してよりスムーズ且つ効率的なスペクトルの出力を可能にすることで、データ処理の作業量を軽減する質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法を提供することを特徴とする目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1回の試料注入で、MS1データであるMS1分析のマススペクトルデータと並行して、複数の条件の予め指定してある選択イオンに対するMS2分析のマススペクトルデータ、もしくはMS2データおよびMS3データ、……(以下、MSnデータと表示。nは2以上の整数)を単位時間内で時系列に取得できる測定が可能な質量分析計において、MS1分析のクロマトグラムデータ表示画面から直接、ポインティングデバイスなどの操作でMS1データに引き続いて測定した複数の条件のMS2データ(MSnデータ)など複数のデータの一覧を表示することが可能な質量分析計データ処理の手段および方法を提供する。
【0014】
また1回の試料注入で、MS1分析のマススペクトルデータ(MS1データ)とそのMS1データから自動的にターゲットイオンを選択してMS2分析のマススペクトルデータ(MS2データ)、更にMS2データから、MS3、……(MSn)分析を単位時間内で時系列に行い、すなわち時系列で並行して測定したデータを並行測定データとして記憶し、測定データの画面上への表示に当って、例えばMS1分析のクロマトグラムデータ表示画面から直接、ポインティングデバイスなどの操作でMS1マススペクトルデータに引き続いて測定した複数の条件のMS2マススペクトルデータ(MSnデータ)など複数のデータの一覧を表示することを可能とする質量分析計データ処理の手段および方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例で用いる質量分析装置の装置構成を示す。
本実施例で用いる質量分析装置は、図1に示すように、試料の分離のためのクロマトグラフ装置10と、分離後の試料をイオン化するためのイオン源14と、イオン源14から導かれたイオンを質量分析する質量分析部15と、イオンを検出する検出部16とを備える。クロマトグラフ装置10は、試料の注入を受け付けるための試料導入部11と、試料の成分を分離するための分析カラム13と、試料を搬送するための溶媒を供給するためのポンプ(図示せず)とを備える。試料導入部11と分析カラム13との間、分析カラム13とイオン源14との間は、それぞれ、配管12により連通されている。
【0016】
さらに本実施例の質量分析装置は、制御部17と、データ処理コンピュータであるデータ処理部19とを備える。質量分析部15とイオン源14ならびに制御部17との間、イオン強度を質量数ごとに検出する検出部16とデータ処理部19との間、および、制御部17とデータ処理部19との間は、それぞれ信号線18により接続されている。データ処理部19は、後述する記憶装置23を備える。
【0017】
データ処理部19は、検出部16により検出されたマススペクトルデータを信号線18を介して受け取り、このデータを処理して処理結果を表示画面21に表示する。また、データ処理部19は、予め定められた手順に従い、信号線18を介して、制御部17に制御信号を通知する。また更に、データ処理部19には、操作者が各種設定情報を入力するためのキーボード20や表示画面21上のカーソルを移動させるためのポインティングデバイスを備えた入力部22を具備している。
制御部17は、データ処理部19から通知された制御信号に応じて、質量分析部15の印加電圧などを制御する。
【0018】
本実施例の質量分析装置は、質量分析部15にリング電極と一対のエンドキャップ電極からなるイオントラップを使用する。質量分析部15は、リング電極に高周波電圧を印加することで、リング電極と一対のエンドキャップ電極に囲まれた空間に、三次元四重極電界を形成する。イオン源14でイオン化された試料は、質量分析部15に導かれると、前記空間内に導かれ、形成された三次元四重極電界に一度保持される。その後、MS1データを取得する場合には、印加された高周波電圧を走査することで、低い質量のイオンから順に、検出部16に対して放出され、検出される。検出された信号は、データ処理部19へ送られ、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すトータルイオンクロマトグラム(TIC)として、記録される。また同時に、各時間毎で質量対電荷比(m/z)を横軸としたマススペクトルデータも得られ、記録される。
【0019】
また、MSnデータを取得する場合には、特定質量数のイオンのみを質量分析部15のイオントラップに残し、他のイオンを排除した状態にする。この状態は、エンドキャップ電極に排除したいイオンが共鳴状態となるような高周波電圧を印加することによって容易に作ることが出来る。次にイオントラップ内に残ったイオンの運動に共鳴する周波数の電圧(または極近傍の周波数の電圧)を加えることによって、このイオンにエネルギーを与えてイオンを励起し、衝突誘導開裂反応を起こさせる。その結果開裂したイオンがイオントラップ内に生成される。次に高周波電圧を掃引してイオントラップ内のイオンを放出する。放出したイオンを検出部16で検出することで、上記MS1データと同様に、MS2マススペクトルデータが得られる。更にこのイオン選択、衝突誘導開裂のステップを複数回繰り返すことでMSnマススペクトル、MSnマススペクトルから構成されるMSnクロマトグラフからなるMSnデータを得ることができる。
【0020】
また、MS1データやMSnデータを取得するための1回の質量分析は、1s〜3s/回程度で行うことが出来る。これに対して、クロマトグラフ装置10からの試料の導入は、液体クロマトグラフでは数10分位かけて行われるため、1回の質量分析時間に対して十分長い。また、クロマトグラフ装置10から質量分析部15に導入される試料は、基本的に成分毎に分離されている。質量分析部15で、一度MS1データを取得し、続けてMS2データを取得した場合、これらの分析サイクルは、上記のようにクロマトグラフ装置10からの導入ペースに比べて非常に早いので、クロマトグラフ装置10から導入され分離された成分に対しても、1成分が導入される時間で充分にMSnデータを取得することが可能である。
本発明は、このような、電界制御によって開裂反応を起こすことができるというイオントラップの特徴を利用したものである。
【0021】
本発明は、1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したマススペクトルデータとに並行して測定した選択イオンに対するMSn(nは2以上の整数)分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとが記憶装置に記憶され、MS1およびMSnデータが一つの画面に表示されるようにした質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法において、前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとを並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶し、画面上に、時間軸上で選択されて表示されたMS1およびMSnのいずれかの1つのクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲が指定されると、指定範囲が表示された当該1つのクロマトグラムデータと、当該指定範囲内における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータが一括して表示することを行う。
【0022】
次に、本発明の実施例1の処理の流れを図面を参照して説明する。
実施例1
本実施例は、MS1データおよび選択するイオンの特定質量数を予め設定して行うMS2等のMSnデータを交互に繰り返すことで、これら複数個のデータ測定を単位時間内に時系列的に繰り返すことで、一時に得る。測定してあるデータについて、必要なスペクトルデータを表示させる場合を例にしたものである。
【0023】
図2に本実施例のフローチャートを示す。図2において、測定者が表示するデータを選んで指定したMS1データのMS1クロマトグラムを表示し(S1)、表示されたMS1データのクロマトグラム上で、マススペクトルデータを表示した指定範囲(時間領域)を測定者が指定する(S2)。測定者が指定した指定範囲に含まれるデータのリストを表示する。この例ではMS1データ、MS2データ、MS3データとなる(S3)。リスト内でマススペクトル表示したいデータを指定して表示ボタンをクリックする(S4)。記憶装置23に記憶されたデータを利用してMS1クロマトグラムと、指定した指定範囲内のMS1マススペクトル、MS2マススペクトル、MS3マススペクトルを一画面にまとめて表示する(S5)。表示方法については後述する。
【0024】
まず本実施例では、図3に示すような測定データ群が得られているものとする。図3(a)はデータ構造を示し、図3(b)はデータ再処理初期画面を示す。図3(a)において、試料注入の回数ごとにそれに対応する測定データが1群のまとまった測定データとして記憶装置23(図1参照。記憶媒体、保存媒体)に保管される。しかし、実際には、この1群の測定データの中に、測定条件を変えて測定したデータのまとまりが複数個存在していることになり、測定データは、このような階層構造をとった形で保存されている。MS2測定を行う際は、開裂反応のエネルギーのかけ方の強弱などのパラメータがあるため、図3(a)の測定データ3のように条件を変えてながら複数のMS2測定を並行して行うこともある。
【0025】
測定者は、測定時間中に観測された各成分のスペクトル確認などデータ処理を行う場合、最初に図3(b)の画面で、これからデータ処理を行うデータを画面上で指定し、MS1データのクロマトグラムを表示させる。この際、表示させるクロマトグラムで積算する質量数範囲を指定することができる。測定質量数範囲と同じ範囲の質量数について積算を行い、クロマトグラムを出力する場合は、前述したTIC(Total Ion Chromatogram)と呼ばれるデータになる。出力結果は、図4のように横軸が時間、縦軸がイオン強度のグラフとして表示される。表示されたクロマトグラムは、試料注入後、時間経過に従ってカラムで分離され、イオン源に導入されて逐次イオン化されたイオンの量の変化を示すデータになる。MS1データのクロマトグラムは、特にイオン源で生成したイオンの量を示すデータであり、どの時間に注入した試料に含まれていた成分が観測されているかを示す基準のデータになる。このクロマトグラム上で、測定者がマススペクトルを出力したい特定の時間、または時間範囲を画面入力装置を使用して指定する。指定されると、ソフトウェアは自動的に、その時間に並行して測定したデータの種類をMS1データを含み、画面上に表示させる。
【0026】
図5は、上述のように単位時間内で条件を変えながら交互に繰り返して得られた結果としてのMS1に加えてMS2、MS3、……(MSn)データ(測定データ)を記憶する手法を示す。
単位時間内に時系列的に、すなわち単位時間内に並行計測されたデータは、MS1スペクトル(マススペクトル)がトータルされてMS1のTICデータとして、MS2スペクトルがトータルされてMS2のTICデータとして(すなわち、MSnスペクトルがトータルされてMSnのTICデータとして)記憶されるに当ってMS1データ、MS2、……(MS2)データの間で並行データとして関連づけられて記憶装置に記憶される。
【0027】
このようにして記憶された測定データはデータ処理コンピュータによるデータ処理によってデータ表示画面に、
MS1についてのTICデータ
+
MS1スペクトルデータ、
MS2スペクトルデータ、
……
すなわち
MSnスペクトルデータ
のように表示される。この例によれば、MS1についてのTICデータ表示に加えてMS1スペクトルデータ、およびMSnスペクトルデータが任意に選択されて表示されることになる。この例にあってはMS1についてのTICデータを表示することとしているが、MS1に代えてMS2についてのTICデータ表示とすることも可能である。
【0028】
図6は、データの表示方法を示す。測定データを上述のように並行データとして関連付けして記憶することによって、MS1データであるクロマトグラムからMS1クロマトグラムデータ表示、およびMS1データであるマススペクトル、MS2データであるマススペクトル、……(すなわちMSnデータであるマススペクトル)の表示を行うことができる。この状況を実線の矢印で示す。従来例にあっては、本図で点線の矢印で示すように、MS1クロマトグラムからMS1マススペクトルを表示させ、MS2クロマトグラムからMS2マススペクトルを表示させ(すなわちMSnクロマトグラムからMSnマススペクトルを表示させ)ていた。尚、本図においてデータの従属関係を鎖線の矢印で示す。測定データは従前のようにクロマトグラムとマススペクトルはそれぞれ従属関係にある。
【0029】
図7に示す表示方法は、図6におけるMS1クロマトグラム表示に伴うMS1、MS2、……(すなわちMSn)マススペクトルの表示に代えて、MS2クロマトグラムからMS1、MS2、……(MSn)マススペクトルの表示を行う例を示している。
画面上で、指定範囲を表示して表示ボタンを押して実行すると、図5(マススペクトル表示結果図)に示すように、各MS1データ、MS2データ、MS3データの対応する単位時間範囲のマススペクトルデータがまとまって画面表示される。マススペクトルデータを表示する前に、各データのチェックボックスをオン/オフすることで、表示するデータを限定することも可能である。
【0030】
図9に本実施例によるスペクトル出力結果画面図(b)に対比して、従来の手法によるスペクトル出力結果画面図(a)を示す。従来例にあっては、一画面に表示する場合に、各クロマトグラムに対して1対1の関係でマススペクトルデータが表示されていたので、各マススペクトルデータの表示が小さくならざるを得なかった。これに対して、本実施例にあっては、最上段に、例えばMS1(MSnでもよい)クロマトグラムを表示し、その下側にMS1マススペクトルデータ、MS2マススペクトルデータ、……(すなわちMSnマススペクトルデータ)を並列に表示することができるから各マススペクトルデータ表示を大きくすることができる。
【0031】
実施例2
本実施例は、予め衝突誘導開裂反応を行うために選択する特定イオンを選ぶ条件を登録しておくことで、MS2(すなわちMSn)測定をデータ処理装置が自動的に行う測定を行ったデータについてのデータ処理方法について示したものである。本実施例の実施例1との違いは、1個のMS2測定のデータ中で、実施例1では常に同じ質量数のイオンに対してMS2測定が行われているが、本実施例では、時間経過に伴って、選択するイオンが変わっていく点にある。予め登録しておくイオン選択条件画面の例を図10(イオン選択条件設定画面)に示す。ここで設定される条件は、主に「質量範囲」「強度のNo.」である。「除外ピーク」「信号強度しきい値」は、精度を向上させるためには入力した方が良いが、入力しなくても良い。
【0032】
「質量範囲」では、MS2分析の対象とすべきイオンの質量範囲が設定される。ここでは質量数200−700が対象として設定されている。「強度のNo.」では、「質量範囲」で設定された領域中のピークで、どのピークをMS2分析すべきかが設定される。ここで入力されている数値は、ピーク強度の高い順で付けられる数値であり、“#1”は、最も強度が高いピークをターゲットイオンとしてMS2分析する、という意味となる。「除外ピーク」では、MS2分析すべきでないピークが設定される。ここでは質量対電荷比(以下、m/zとする)250のイオンが除外ピークと設定されているため、仮に、この質量数のピークが検出されてもMS2分析の対象とはならない。テフロン(テフロンは、デュポンの商品に使用される登録商標)等の配管12の成分が試料に混在して“汚れ”として検出されるような場合、除外ピークの設定は、この様な汚れを除去するのに有効である。「信号強度しきい値」については、MS2分析の対象とすべき信号強度を設定するものであり、ここで値が設定されると、その値以上の信号強度を有するピークのみがMS2分析の対象となる。この値を設定することで、ノイズとなるようなピークを除外することが出来、分析精度や速度を向上させることが可能となる。本実施例では、MS1データを取得するとその都度、質量数範囲200−700のイオンについて強度比較を行い、その中で最も強度の高いイオンの質量数を選択するイオンとして、MS2測定を行う。MS2データについても同じことを繰り返してイオン選択し、次にMS3測定を行う。この方式で測定を行う場合、MS1データのマススペクトルは時間と共に変化するので、MS2測定のために選択するイオンの質量数も時間によって変化していく。MS1データのクロマトグラム上では1本のピークに見えるようなデータでも、実際にはピークの前半と後半で成分が変わり、スペクトルが変化している場合がある。具体的な例を図11(TICおよびマススペクトル表示指定画面)に示す。本実施例では、指定範囲の前半では、質量数400のイオンが最も強度があり、MS2測定のために選択するイオンになるが、後半では、質量数600のイオンが最大強度になるため、前半と後半で異なるイオンのMS2測定が行われている。このような場合は、選択範囲にある条件が異なるデータを一覧にして全て表示させ、その中から表示させたいスペクトルを選択して、表示ボタンをクリックし、マススペクトルを表示させる。表示結果例を図12に示す。実施例1の図8に対応しており、詳細説明は先の実施例の説明を準用する。
【0033】
以上のように、1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したMS1マススペクトルデータとに並行して測定した選択イオンに対するMSn分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとが記憶装置に記憶され、MS1およびMSnデータが一つの画面に表示されるようにした質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法において、前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとが並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶されており、画面上に、時間軸上で予め特定して表示されたMS1のクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲が指定されると、指定範囲が表示された当該MS1のクロマトグラムデータと、当該指定範囲内における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータが一括して表示される質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法が構成される。
【0034】
【発明の効果】
上記に示すように、本発明によれば、1回の試料注入で、通常のMS1データ以外にMS2、MS3など複数の種類のデータ(MSnデータ)が得られるような測定を行って得られたデータに対して、試料がイオン化されて検出されているかどうかを示す、基準データになるMS1データのクロマトグラムを画面表示させ、そのデータ上で、マススペクトル表示させたい領域をポインティングデバイスで選択することで、MS1データのマススペクトルだけでなく並行して測定した複数のMSnデータマススペクトルを、簡単な操作で同時に表示させることが可能になる。複数のMS1、MSnデータを高速で切り替えながら測定することは、イオントラップ方式を使用した質量分析装置だけに可能な方法で、1回の試料注入で、多くのスペクトル情報を得ることができる有用な測定手法が提供される。しかしその反面、得られたデータの情報量が多い分だけ、そのデータ処理操作は煩雑になり、測定者にとって大きな負担となるが、本発明は、この場合のデータ処理操作を簡便化することによって、データ処理操作の効率を上げる測定手法との組み合わせにより、分析全体の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置構成図である。
【図2】実施例1のフローチャート図である。
【図3】(a)実施例1のデータ構造図であり、(b)実施例1のデータ処理初期画面図である。
【図4】実施例1の測定データ2のクロマトグラムを示し、およびマススペクトル表示指定画面を示す図である。
【図5】データ処理部の処理内容を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例のデータ表示方法例を示す図である。
【図7】他のデータ表示方法例を示す図である。
【図8】実施例1のマススペクトル表示結果を示す図である。
【図9】(a)従来方法でのスペクトル出力結果画面図と、(b)本実施例でのスペクトル出力結果画面図を対比して示す図である。
【図10】実施例2のイオン選択条件設定画面の一例を示す図である。
【図11】実施例2のクロマトグラムを示し、およびマススペクトル表示指定画面を示す図である。
【図12】実施例2のマススペクトル表示結果を示す図である。
【符号の説明】
10…クロマトグラフ装置、11…試料導入部、12…配管、13…分析カラム、14…イオン源、15…質量分析部、16…検出器、17…制御部、18…信号線、19…データ処理部、20…キーボード、21…データ表示部、22…ポインティングデバイス、23…記憶装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析計は、測定対象のサンプル分子に様々な方法で電荷を付与し、生成したイオンの質量対電荷比とイオン電流値をマススペクトルデータとして計測する分析装置である。化学物質はそれを構成する原子の種類や数から特徴的な分子量を持っているため、マススペクトルデータを得ることによって各々の物質を特定するための重要な情報を得ることができる。また質量分析計は、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、キャピラリ電気泳動といったクロマトグラフ装置とオンラインで直結することができ、クロマトグラフ装置の高感度かつ豊富な定性情報が得られる検出器として使用することもできる。
【0003】
近年、環境問題や健康に関する関心が高くなり、それによって上水、排水、食品等に含まれる有害有機化合物のチェック、新薬開発における安全性の確認など様々な分野で、クロマトグラフ直結形の質量分析計が使用されるようになってきている。またバイオ分野において、タンパク質やペプチドなどの生体高分子の構造解析においても、質量分析計が多く使用されるようになってきている。ここで分析装置に要求される機能としては、
(1)高感度であり、定量分析ができること。
(2)物質を確実に特定できるだけの十分な定性情報が得られること。また未知試料については、その構造を解析するのに十分な手がかりとなるスペクトル情報が簡単に得られること。
(3)実試料を分析する際には、測定対象外の夾雑物を取り除くための試料調製が必要になるが、この調製の手間を少しでも軽減できること。
(4)農薬の分析等では、測定対象物質が10成分〜60成分程度にも及ぶため、一回の試料注入で、できるだけ多くの物質について一斉分析ができること。
等が挙げられる。
【0004】
この内、特に(2)については、分析対象の試料が決まっている場合は、予め目的の試料の標準物質のマススペクトルデータを測定−登録しておくことが行われる。実試料で得られたクロマトグラム上で各ピークのマススペクトルを出力し、これらについて各々、標準試料との一致検索を行なう。実試料のマススペクトルが、標準試料と高い一致度を持つことをもって、実試料中に特定の試料が存在していることを判断する。また、未知試料の場合は、得られたスペクトルからその試料の分子量情報や部分構造情報などを得ることで、構造推定の際の情報としている。
【0005】
標準試料と実試料のマススペクトルを一致比較する場合、実試料のマススペクトルには標準試料のスペクトルにはない夾雑物由来のピークが混ざってしまうことが多々ある。これが、スペクトル比較による一致度判定の場合、判定結果の精度の面で問題になる。
【0006】
また、質量分析計のイオン源に大気圧イオン化法を使用する場合、得られるマススペクトルは、基本的に試料成分の分子量由来のピークを最大強度とする単純なスペクトルになることが多い。これは試料成分の分子量を確認するためには有効な情報となる。反面、イオン源に電子衝撃法を使用した場合のマススペクトルと比較して開裂イオンのピークが少ないために、高い選択性を持ったスペクトル検索は困難である。これは未知試料の構造情報を得る場合も同様で、分子量情報だけでなく、開裂イオンのピークから、部分構造情報が得られる可能性が少なくなり、情報量が少なくなってしまう。一般的に、大気圧イオン化法は、液体クロマトグラフと接続された時、所謂LC/MSで用いられ、電子衝撃法は、ガスクロマトグラフに接続された時、所謂GC/MSで用いられるイオン源である。即ち、LC/MSでは、一度所定範囲のマススペクトルを得ただけでは、試料成分の特定が非常に困難であり、高度の定性分析が困難である。また未知の化合物についても、構造を推定するための手がかりとなる化合物の部分構造情報を得にくいという問題を有している。
【0007】
上記のような問題を解決しようとした場合、従来は、試料成分毎の特徴的なイオンの質量数を特定し、そのイオンについてMSn分析することで、情報量を増やし定性を行っている。
【0008】
MSn分析を示した例として、特許文献1がある。
MSn分析は、質量分析計に導入されたイオンの内、特定質量数のイオンを選択した後、そのイオンに中性分子との衝突などによりエネルギーを与えて壊し(開裂させ)、その開裂したイオンを質量数毎に順次検出器へ送り出してマススペクトルデータを得るものである。最初に生成したイオンをそのまま検出器に送り出してマススペクトルデータを得る通常の質量分析データをMSデータ、またはMS1データとすると、この分析は、MS1データに更に1段階の反応を加えて得られたデータということでMS2データとなる。また、この特定質量数イオンの選択と、開裂の操作を更に複数回繰り返してから、検出器へ最終的に生成したイオンを送り出してマススペクトルデータを得ることでn=3、4、5といった分析も可能となる。試料成分の分子は、その構造によって開裂を起こし易い部分があり、分子量が同じ試料成分であっても、開裂を起こした後に生成したイオンのマススペクトルデータを比較することで、構造の違う試料成分を区別することが可能になる。これにより、通常のマススペクトルデータでは試料成分の特定に十分な情報を得られない場合でも、MSn分析で得られたマススペクトルデータで特定することができる。また一度特定イオンを選択してから開裂反応を起こさせてスペクトルを得るため、得られたMS2データでは、最初のデータにあった夾雑物由来のピークを排除することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−142196号公報
【特許文献2】
特開2001−249114号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記MSn分析は、夾雑物の除去や定性精度の向上、未知化合物の構造情報取得などの面で大きなメリットを有する。
実際の測定の際には、
(1)MS1データ、MS2あるいはMSnデータを1回1回測定する方法。
(2)MS1データと、予め選択する特定イオン質量数やその他条件を登録しておき、MS2データあるいはMSnデータを交互に繰り返して、1回の試料注入で複数のデータを一時に得る測定方法。
(3)MS1のデータと、イオン選択方法の条件やその他条件を登録しておき、最初に得られたMS1データのマススペクトルを参照して、選択する特定イオンを自動的にデータ処理装置が決定してMS2データを得る。更にMS2データについて同じことを繰り返す。これらの動作を繰り返し行うことで、MSnデータまでのデータを1回の試料注入で一時に得る測定方法。
等のやり方がある。
【0011】
(1)のやり方の場合は、1回の試料注入で1種類のデータが得られる訳で、マススペクトルを出力したり、クロマトグラムを出力したりするデータ処理操作は比較的単純である。しかし、(2)や(3)のやり方で測定を行う場合は、1回の試料注入で複数の種類の測定データが同時に得られることになる。この複数の条件で得られたデータを併せ持つ場合、データ構造、その処理方法が複雑になる。1回の試料注入で得られたデータであっても、基本的に異なる条件で測定されたデータである以上、各々の条件で得られたデータは、別々の独立したデータのまとまりとして取り扱われる。すなわち各データのマススペクトルを画面表示させる場合は、まず最初に各データについて1個1個指定を行って、得られたイオン強度の時間変化を表示するクロマトグラムデータを表示させる。次に各クロマトグラム上で、マススペクトルを計算−出力したい時間範囲を指定して、マススペクトルを表示させる作業が必要になる。1回の試料注入で、複数の情報をもつデータが一時に得られる測定方法は、試料量や測定時間の少量化短縮化につながる反面、一時に得られるデータの種類が増える。そのため各々のデータについて、それぞれクロマトグラム表示―時間範囲指定―マススペクトル表示の作業を繰り返すことになる。1回の試料注入によって得られたデータの中に、時間変化により複数の試料が観測されている場合は、更に上記の操作をサンプル数分だけ繰り返す必要が発生する。このように(2)、(3)のような測定を日常的に行う場合は、測定操作に要する時間が短縮化される反面、その複雑なデータを処理してスペクトルを確認するデータ処理作業が非常に煩雑になり、測定者の大きな負担となる。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、MS1データとMSnデータ(nは2以上)を組み合わせた測定を行った際、得られる大量の異なる条件のデータに対してよりスムーズ且つ効率的なスペクトルの出力を可能にすることで、データ処理の作業量を軽減する質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法を提供することを特徴とする目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1回の試料注入で、MS1データであるMS1分析のマススペクトルデータと並行して、複数の条件の予め指定してある選択イオンに対するMS2分析のマススペクトルデータ、もしくはMS2データおよびMS3データ、……(以下、MSnデータと表示。nは2以上の整数)を単位時間内で時系列に取得できる測定が可能な質量分析計において、MS1分析のクロマトグラムデータ表示画面から直接、ポインティングデバイスなどの操作でMS1データに引き続いて測定した複数の条件のMS2データ(MSnデータ)など複数のデータの一覧を表示することが可能な質量分析計データ処理の手段および方法を提供する。
【0014】
また1回の試料注入で、MS1分析のマススペクトルデータ(MS1データ)とそのMS1データから自動的にターゲットイオンを選択してMS2分析のマススペクトルデータ(MS2データ)、更にMS2データから、MS3、……(MSn)分析を単位時間内で時系列に行い、すなわち時系列で並行して測定したデータを並行測定データとして記憶し、測定データの画面上への表示に当って、例えばMS1分析のクロマトグラムデータ表示画面から直接、ポインティングデバイスなどの操作でMS1マススペクトルデータに引き続いて測定した複数の条件のMS2マススペクトルデータ(MSnデータ)など複数のデータの一覧を表示することを可能とする質量分析計データ処理の手段および方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例で用いる質量分析装置の装置構成を示す。
本実施例で用いる質量分析装置は、図1に示すように、試料の分離のためのクロマトグラフ装置10と、分離後の試料をイオン化するためのイオン源14と、イオン源14から導かれたイオンを質量分析する質量分析部15と、イオンを検出する検出部16とを備える。クロマトグラフ装置10は、試料の注入を受け付けるための試料導入部11と、試料の成分を分離するための分析カラム13と、試料を搬送するための溶媒を供給するためのポンプ(図示せず)とを備える。試料導入部11と分析カラム13との間、分析カラム13とイオン源14との間は、それぞれ、配管12により連通されている。
【0016】
さらに本実施例の質量分析装置は、制御部17と、データ処理コンピュータであるデータ処理部19とを備える。質量分析部15とイオン源14ならびに制御部17との間、イオン強度を質量数ごとに検出する検出部16とデータ処理部19との間、および、制御部17とデータ処理部19との間は、それぞれ信号線18により接続されている。データ処理部19は、後述する記憶装置23を備える。
【0017】
データ処理部19は、検出部16により検出されたマススペクトルデータを信号線18を介して受け取り、このデータを処理して処理結果を表示画面21に表示する。また、データ処理部19は、予め定められた手順に従い、信号線18を介して、制御部17に制御信号を通知する。また更に、データ処理部19には、操作者が各種設定情報を入力するためのキーボード20や表示画面21上のカーソルを移動させるためのポインティングデバイスを備えた入力部22を具備している。
制御部17は、データ処理部19から通知された制御信号に応じて、質量分析部15の印加電圧などを制御する。
【0018】
本実施例の質量分析装置は、質量分析部15にリング電極と一対のエンドキャップ電極からなるイオントラップを使用する。質量分析部15は、リング電極に高周波電圧を印加することで、リング電極と一対のエンドキャップ電極に囲まれた空間に、三次元四重極電界を形成する。イオン源14でイオン化された試料は、質量分析部15に導かれると、前記空間内に導かれ、形成された三次元四重極電界に一度保持される。その後、MS1データを取得する場合には、印加された高周波電圧を走査することで、低い質量のイオンから順に、検出部16に対して放出され、検出される。検出された信号は、データ処理部19へ送られ、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すトータルイオンクロマトグラム(TIC)として、記録される。また同時に、各時間毎で質量対電荷比(m/z)を横軸としたマススペクトルデータも得られ、記録される。
【0019】
また、MSnデータを取得する場合には、特定質量数のイオンのみを質量分析部15のイオントラップに残し、他のイオンを排除した状態にする。この状態は、エンドキャップ電極に排除したいイオンが共鳴状態となるような高周波電圧を印加することによって容易に作ることが出来る。次にイオントラップ内に残ったイオンの運動に共鳴する周波数の電圧(または極近傍の周波数の電圧)を加えることによって、このイオンにエネルギーを与えてイオンを励起し、衝突誘導開裂反応を起こさせる。その結果開裂したイオンがイオントラップ内に生成される。次に高周波電圧を掃引してイオントラップ内のイオンを放出する。放出したイオンを検出部16で検出することで、上記MS1データと同様に、MS2マススペクトルデータが得られる。更にこのイオン選択、衝突誘導開裂のステップを複数回繰り返すことでMSnマススペクトル、MSnマススペクトルから構成されるMSnクロマトグラフからなるMSnデータを得ることができる。
【0020】
また、MS1データやMSnデータを取得するための1回の質量分析は、1s〜3s/回程度で行うことが出来る。これに対して、クロマトグラフ装置10からの試料の導入は、液体クロマトグラフでは数10分位かけて行われるため、1回の質量分析時間に対して十分長い。また、クロマトグラフ装置10から質量分析部15に導入される試料は、基本的に成分毎に分離されている。質量分析部15で、一度MS1データを取得し、続けてMS2データを取得した場合、これらの分析サイクルは、上記のようにクロマトグラフ装置10からの導入ペースに比べて非常に早いので、クロマトグラフ装置10から導入され分離された成分に対しても、1成分が導入される時間で充分にMSnデータを取得することが可能である。
本発明は、このような、電界制御によって開裂反応を起こすことができるというイオントラップの特徴を利用したものである。
【0021】
本発明は、1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したマススペクトルデータとに並行して測定した選択イオンに対するMSn(nは2以上の整数)分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとが記憶装置に記憶され、MS1およびMSnデータが一つの画面に表示されるようにした質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法において、前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとを並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶し、画面上に、時間軸上で選択されて表示されたMS1およびMSnのいずれかの1つのクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲が指定されると、指定範囲が表示された当該1つのクロマトグラムデータと、当該指定範囲内における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータが一括して表示することを行う。
【0022】
次に、本発明の実施例1の処理の流れを図面を参照して説明する。
実施例1
本実施例は、MS1データおよび選択するイオンの特定質量数を予め設定して行うMS2等のMSnデータを交互に繰り返すことで、これら複数個のデータ測定を単位時間内に時系列的に繰り返すことで、一時に得る。測定してあるデータについて、必要なスペクトルデータを表示させる場合を例にしたものである。
【0023】
図2に本実施例のフローチャートを示す。図2において、測定者が表示するデータを選んで指定したMS1データのMS1クロマトグラムを表示し(S1)、表示されたMS1データのクロマトグラム上で、マススペクトルデータを表示した指定範囲(時間領域)を測定者が指定する(S2)。測定者が指定した指定範囲に含まれるデータのリストを表示する。この例ではMS1データ、MS2データ、MS3データとなる(S3)。リスト内でマススペクトル表示したいデータを指定して表示ボタンをクリックする(S4)。記憶装置23に記憶されたデータを利用してMS1クロマトグラムと、指定した指定範囲内のMS1マススペクトル、MS2マススペクトル、MS3マススペクトルを一画面にまとめて表示する(S5)。表示方法については後述する。
【0024】
まず本実施例では、図3に示すような測定データ群が得られているものとする。図3(a)はデータ構造を示し、図3(b)はデータ再処理初期画面を示す。図3(a)において、試料注入の回数ごとにそれに対応する測定データが1群のまとまった測定データとして記憶装置23(図1参照。記憶媒体、保存媒体)に保管される。しかし、実際には、この1群の測定データの中に、測定条件を変えて測定したデータのまとまりが複数個存在していることになり、測定データは、このような階層構造をとった形で保存されている。MS2測定を行う際は、開裂反応のエネルギーのかけ方の強弱などのパラメータがあるため、図3(a)の測定データ3のように条件を変えてながら複数のMS2測定を並行して行うこともある。
【0025】
測定者は、測定時間中に観測された各成分のスペクトル確認などデータ処理を行う場合、最初に図3(b)の画面で、これからデータ処理を行うデータを画面上で指定し、MS1データのクロマトグラムを表示させる。この際、表示させるクロマトグラムで積算する質量数範囲を指定することができる。測定質量数範囲と同じ範囲の質量数について積算を行い、クロマトグラムを出力する場合は、前述したTIC(Total Ion Chromatogram)と呼ばれるデータになる。出力結果は、図4のように横軸が時間、縦軸がイオン強度のグラフとして表示される。表示されたクロマトグラムは、試料注入後、時間経過に従ってカラムで分離され、イオン源に導入されて逐次イオン化されたイオンの量の変化を示すデータになる。MS1データのクロマトグラムは、特にイオン源で生成したイオンの量を示すデータであり、どの時間に注入した試料に含まれていた成分が観測されているかを示す基準のデータになる。このクロマトグラム上で、測定者がマススペクトルを出力したい特定の時間、または時間範囲を画面入力装置を使用して指定する。指定されると、ソフトウェアは自動的に、その時間に並行して測定したデータの種類をMS1データを含み、画面上に表示させる。
【0026】
図5は、上述のように単位時間内で条件を変えながら交互に繰り返して得られた結果としてのMS1に加えてMS2、MS3、……(MSn)データ(測定データ)を記憶する手法を示す。
単位時間内に時系列的に、すなわち単位時間内に並行計測されたデータは、MS1スペクトル(マススペクトル)がトータルされてMS1のTICデータとして、MS2スペクトルがトータルされてMS2のTICデータとして(すなわち、MSnスペクトルがトータルされてMSnのTICデータとして)記憶されるに当ってMS1データ、MS2、……(MS2)データの間で並行データとして関連づけられて記憶装置に記憶される。
【0027】
このようにして記憶された測定データはデータ処理コンピュータによるデータ処理によってデータ表示画面に、
MS1についてのTICデータ
+
MS1スペクトルデータ、
MS2スペクトルデータ、
……
すなわち
MSnスペクトルデータ
のように表示される。この例によれば、MS1についてのTICデータ表示に加えてMS1スペクトルデータ、およびMSnスペクトルデータが任意に選択されて表示されることになる。この例にあってはMS1についてのTICデータを表示することとしているが、MS1に代えてMS2についてのTICデータ表示とすることも可能である。
【0028】
図6は、データの表示方法を示す。測定データを上述のように並行データとして関連付けして記憶することによって、MS1データであるクロマトグラムからMS1クロマトグラムデータ表示、およびMS1データであるマススペクトル、MS2データであるマススペクトル、……(すなわちMSnデータであるマススペクトル)の表示を行うことができる。この状況を実線の矢印で示す。従来例にあっては、本図で点線の矢印で示すように、MS1クロマトグラムからMS1マススペクトルを表示させ、MS2クロマトグラムからMS2マススペクトルを表示させ(すなわちMSnクロマトグラムからMSnマススペクトルを表示させ)ていた。尚、本図においてデータの従属関係を鎖線の矢印で示す。測定データは従前のようにクロマトグラムとマススペクトルはそれぞれ従属関係にある。
【0029】
図7に示す表示方法は、図6におけるMS1クロマトグラム表示に伴うMS1、MS2、……(すなわちMSn)マススペクトルの表示に代えて、MS2クロマトグラムからMS1、MS2、……(MSn)マススペクトルの表示を行う例を示している。
画面上で、指定範囲を表示して表示ボタンを押して実行すると、図5(マススペクトル表示結果図)に示すように、各MS1データ、MS2データ、MS3データの対応する単位時間範囲のマススペクトルデータがまとまって画面表示される。マススペクトルデータを表示する前に、各データのチェックボックスをオン/オフすることで、表示するデータを限定することも可能である。
【0030】
図9に本実施例によるスペクトル出力結果画面図(b)に対比して、従来の手法によるスペクトル出力結果画面図(a)を示す。従来例にあっては、一画面に表示する場合に、各クロマトグラムに対して1対1の関係でマススペクトルデータが表示されていたので、各マススペクトルデータの表示が小さくならざるを得なかった。これに対して、本実施例にあっては、最上段に、例えばMS1(MSnでもよい)クロマトグラムを表示し、その下側にMS1マススペクトルデータ、MS2マススペクトルデータ、……(すなわちMSnマススペクトルデータ)を並列に表示することができるから各マススペクトルデータ表示を大きくすることができる。
【0031】
実施例2
本実施例は、予め衝突誘導開裂反応を行うために選択する特定イオンを選ぶ条件を登録しておくことで、MS2(すなわちMSn)測定をデータ処理装置が自動的に行う測定を行ったデータについてのデータ処理方法について示したものである。本実施例の実施例1との違いは、1個のMS2測定のデータ中で、実施例1では常に同じ質量数のイオンに対してMS2測定が行われているが、本実施例では、時間経過に伴って、選択するイオンが変わっていく点にある。予め登録しておくイオン選択条件画面の例を図10(イオン選択条件設定画面)に示す。ここで設定される条件は、主に「質量範囲」「強度のNo.」である。「除外ピーク」「信号強度しきい値」は、精度を向上させるためには入力した方が良いが、入力しなくても良い。
【0032】
「質量範囲」では、MS2分析の対象とすべきイオンの質量範囲が設定される。ここでは質量数200−700が対象として設定されている。「強度のNo.」では、「質量範囲」で設定された領域中のピークで、どのピークをMS2分析すべきかが設定される。ここで入力されている数値は、ピーク強度の高い順で付けられる数値であり、“#1”は、最も強度が高いピークをターゲットイオンとしてMS2分析する、という意味となる。「除外ピーク」では、MS2分析すべきでないピークが設定される。ここでは質量対電荷比(以下、m/zとする)250のイオンが除外ピークと設定されているため、仮に、この質量数のピークが検出されてもMS2分析の対象とはならない。テフロン(テフロンは、デュポンの商品に使用される登録商標)等の配管12の成分が試料に混在して“汚れ”として検出されるような場合、除外ピークの設定は、この様な汚れを除去するのに有効である。「信号強度しきい値」については、MS2分析の対象とすべき信号強度を設定するものであり、ここで値が設定されると、その値以上の信号強度を有するピークのみがMS2分析の対象となる。この値を設定することで、ノイズとなるようなピークを除外することが出来、分析精度や速度を向上させることが可能となる。本実施例では、MS1データを取得するとその都度、質量数範囲200−700のイオンについて強度比較を行い、その中で最も強度の高いイオンの質量数を選択するイオンとして、MS2測定を行う。MS2データについても同じことを繰り返してイオン選択し、次にMS3測定を行う。この方式で測定を行う場合、MS1データのマススペクトルは時間と共に変化するので、MS2測定のために選択するイオンの質量数も時間によって変化していく。MS1データのクロマトグラム上では1本のピークに見えるようなデータでも、実際にはピークの前半と後半で成分が変わり、スペクトルが変化している場合がある。具体的な例を図11(TICおよびマススペクトル表示指定画面)に示す。本実施例では、指定範囲の前半では、質量数400のイオンが最も強度があり、MS2測定のために選択するイオンになるが、後半では、質量数600のイオンが最大強度になるため、前半と後半で異なるイオンのMS2測定が行われている。このような場合は、選択範囲にある条件が異なるデータを一覧にして全て表示させ、その中から表示させたいスペクトルを選択して、表示ボタンをクリックし、マススペクトルを表示させる。表示結果例を図12に示す。実施例1の図8に対応しており、詳細説明は先の実施例の説明を準用する。
【0033】
以上のように、1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したMS1マススペクトルデータとに並行して測定した選択イオンに対するMSn分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとが記憶装置に記憶され、MS1およびMSnデータが一つの画面に表示されるようにした質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法において、前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとが並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶されており、画面上に、時間軸上で予め特定して表示されたMS1のクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲が指定されると、指定範囲が表示された当該MS1のクロマトグラムデータと、当該指定範囲内における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータが一括して表示される質量分析計データ処理装置およびデータ処理方法が構成される。
【0034】
【発明の効果】
上記に示すように、本発明によれば、1回の試料注入で、通常のMS1データ以外にMS2、MS3など複数の種類のデータ(MSnデータ)が得られるような測定を行って得られたデータに対して、試料がイオン化されて検出されているかどうかを示す、基準データになるMS1データのクロマトグラムを画面表示させ、そのデータ上で、マススペクトル表示させたい領域をポインティングデバイスで選択することで、MS1データのマススペクトルだけでなく並行して測定した複数のMSnデータマススペクトルを、簡単な操作で同時に表示させることが可能になる。複数のMS1、MSnデータを高速で切り替えながら測定することは、イオントラップ方式を使用した質量分析装置だけに可能な方法で、1回の試料注入で、多くのスペクトル情報を得ることができる有用な測定手法が提供される。しかしその反面、得られたデータの情報量が多い分だけ、そのデータ処理操作は煩雑になり、測定者にとって大きな負担となるが、本発明は、この場合のデータ処理操作を簡便化することによって、データ処理操作の効率を上げる測定手法との組み合わせにより、分析全体の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置構成図である。
【図2】実施例1のフローチャート図である。
【図3】(a)実施例1のデータ構造図であり、(b)実施例1のデータ処理初期画面図である。
【図4】実施例1の測定データ2のクロマトグラムを示し、およびマススペクトル表示指定画面を示す図である。
【図5】データ処理部の処理内容を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例のデータ表示方法例を示す図である。
【図7】他のデータ表示方法例を示す図である。
【図8】実施例1のマススペクトル表示結果を示す図である。
【図9】(a)従来方法でのスペクトル出力結果画面図と、(b)本実施例でのスペクトル出力結果画面図を対比して示す図である。
【図10】実施例2のイオン選択条件設定画面の一例を示す図である。
【図11】実施例2のクロマトグラムを示し、およびマススペクトル表示指定画面を示す図である。
【図12】実施例2のマススペクトル表示結果を示す図である。
【符号の説明】
10…クロマトグラフ装置、11…試料導入部、12…配管、13…分析カラム、14…イオン源、15…質量分析部、16…検出器、17…制御部、18…信号線、19…データ処理部、20…キーボード、21…データ表示部、22…ポインティングデバイス、23…記憶装置。
Claims (8)
- 1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したマススペクトルデータとに並行して測定した選択イオンに対するMSn(nは2以上の整数)分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとが記憶装置に記憶され、MS1およびMSnデータが一つの画面に表示されるようにした質量分析計データ処理装置において、
前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとが並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶されており、
画面上に、時間軸上で選択されて表示されたMS1およびMSnのいずれかの1つのクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲が指定されると、指定範囲が表示された当該1つのクロマトグラムデータと、当該指定範囲内における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータが一括して表示されること
を特徴とする質量分析計データ処理装置。 - 1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したMS1マススペクトルデータとに並行して測定した選択イオンに対するMSn分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとが記憶装置に記憶され、MS1およびMSnデータが一つの画面に表示されるようにした質量分析計データ処理装置において、
前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとが並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶されており、
画面上に、時間軸上で予め特定して表示されたMS1のクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲が指定されると、指定範囲が表示された当該MS1のクロマトグラムデータと、当該指定範囲内における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータが一括して表示されること
を特徴とする質量分析計データ処理装置。 - 請求項1または2において、1個のMS1マススペクトルデータの中で、常に同じ質量数のイオンに対してMSn測定が行われたMSnマススペクトルデータであることを特徴とする質量分析計データ処理装置。
- 請求項1または2において、1個のMSnマススペクトルデータの中で、時間・経過に伴って、選択するイオンが変わって測定されたMSnマススペクトルデータであることを特徴とする質量分析計データ処理装置。
- 1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したMS1データとに並行して測定した選択イオンに対するMSn分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとを記憶装置に記憶し、MS1およびMSnデータを一つの画面に表示するようにした質量分析計データ処理方法において、
前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとが並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶し、
画面上に、時間軸上で選択して表示したMS1およびMS2のいずれかの1つのクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲を指定し、指定範囲が表示された当該1つのクロマトグラムデータと、当該指定範囲における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータを一括して表示すること
を特徴とする質量分析計データ処理方法。 - 1回の試料注入で、MS1分析結果を示すMS1データであって、時間軸上でイオン信号強度の変移を表すクロマトグラムデータと、各時間単位毎に取得したMS1データとに並行して測定した選択イオンに対するMSn分析結果を示すMSnデータであるマススペクトルデータと、MSnデータのクロマトグラムデータとを記憶装置に記憶し、MS1およびMSnデータを一つの画面に表示するようにした質量分析計データ処理方法において、
前記並行して測定した時に、MS1データと、MSnデータとが並行データであると関連づけて前記記憶装置に記憶し、
画面上に、時間軸上で表示したMS1のクロマトグラムデータについてイオン信号強度の範囲を指定し、指定範囲が表示された当該MS1のクロマトグラムデータと、当該指定範囲における測定されたMS1およびMSnマススペクトルデータを一括して表示すること
を特徴とする質量分析計データ処理方法。 - 請求項5または6において、1個のMS1マススペクトルデータの中で、常に同じ質量数のイオンに対してMSn測定が行われたMSnマススペクトルデータであることを特徴とする質量分データ処理方法。
- 請求項5または6において、1個のMSnマススペクトルデータの中で、時間・経過に伴って、選択するイオンが変わって測定されたMSnマススペクトルデータであることを特徴とする量分析計データ処理方法。
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