JP7424595B2 - 識別器の生成方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、機械学習のためのデータ生成方法及び装置、並びに、該データ生成方法及び装置を用いた識別器の生成方法及び装置に関する。
液体クロマトグラフ(LC)装置やガスクロマトグラフ(GC)装置では、試料に対するクロマトグラフ分析を実施することで、該試料に含まれる成分(一般には化合物)に対応するピークが観測されるクロマトグラムを取得する。クロマトグラムにおいて観測されるピークの位置(保持時間)は試料中の成分の種類に対応しているため、そのピーク位置から成分を特定する、つまり定性することができる。また、クロマトグラムにおいて観測されるピークの面積値や高さ値はそのピークに対応する成分の含有量や濃度に対応しているため、ピークの面積値や高さ値からその成分を定量することができる。こうしたことから、クロマトグラムに基く定性や定量の精度を向上させるには、クロマトグラムに現れるピークのピークトップの位置やピークの面積値又は高さ値を精度良く求めることが重要である。
一般にクロマトグラム上のピーク波形は、理想的にはガウス分布に従った形状になる。しかしながら、実際に得られるクロマトグラム上のピークには、様々な要因によりリーディングやテーリングが生じる。また、ベースラインがドリフトしている場合もあるし、分離が不十分であるために、異なる成分に由来する複数のピークが重なっている場合も多い。このような様々な状況において、ピークを的確に検出するとともにピークの面積値や高さ値を精度良く求めることは容易ではなく、従来、ピーク検出のための様々な手法やアルゴリズムが提案され実用に供されている。
例えば非特許文献1には、与えられたクロマトグラムに対し適宜のベースライン補正線を設定するとともに、該ベースライン補正線に基いて重なっているピークを適宜に分離し、分離したそれぞれのピークの面積の積算値を計算する波形処理方法が開示されている。
こうした従来のピーク検出法は、ノイズが比較的微少であることや、信号が定常的であることなど、波形の状態が比較的良好であることを前提としている。そのため、こうした条件を満たさない場合には的確なピーク検出が行えないことも多い。
これに対し、近年、ディープラーニング(深層学習)等の機械学習技術の急速な進展に伴い、クロマトグラム上のピークの自動検出に機械学習を利用する試みが行われている。機械学習を用いたピーク検出法では、予め、多数のクロマトグラム波形とその波形において観測されるピークの正確な位置や面積値、高さ値などの特徴値を含む正解情報とを教師データ(訓練データ又は学習データともいう)とした学習を行うことで、ピーク検出のための識別器を生成しておく。そして、解析対象であるクロマトグラム波形が入力されると、上記識別器を用いた識別処理を行ってピークを検出したり、検出したピークの特徴値を算出したりする。
「ピーク波形処理を確認しましょう」、[online]、株式会社島津製作所、[2019年12月2日検索]、インターネット<URL:http://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/lib/lctalk/23/23lab.htm> 「LabSolutions InsightTM オプションソフトウェア PeakintelligenceTM LC/MS/MSメソッドパッケージ一次代謝物および細胞培養プロファイリング用」、[online]、株式会社島津製作所、[2019年12月2日検索]、インターネット<URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/lcms/m_package/peakintelligence.htm> Alec Radford、ほか2名、「Unsupervised Representation Learning with Deep Convolutional Generative Adversarial Networks」、[online]、[2019年12月2日検索]、インターネット<URL : https://arxiv.org/abs/1511.06434> Ian J. Goodfellow、ほか7名、「Generative Adversarial Nets」、[online]、[2019年12月2日検索]、インターネット<URL : https://arxiv.org/pdf/1406.2661.pdf>
機械学習を利用したピーク検出法において検出精度や面積値又は高さ値の精度を改善するには、学習によって生成される識別器の性能を上げることが重要である。そのためには、できるだけ多くの適切な教師データを利用した学習を行う必要があるものの、試料を実際に分析して教師データを収集するのにはたいへんな手間と時間を要する。特に、試料が生体由来である等の場合には、試料を収集するのにも多大な労力と時間とを要することがしばしばあり、十分に多くの教師データを用意することが困難である。
一般の機械学習においては、実測のデータではなくシミュレータ等で擬似的に作成されたデータを教師データとする方法も知られている。しかしながら、実測データのばらつき等を適切に反映した擬似データを作成することは難しく、特に、機器分析により得られるクロマトグラム波形やスペクトル波形を適切に模擬することができる方法や装置は従来存在しなかった。
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、ピーク検出のための識別器を生成する際や識別器を評価するために利用可能である、実測データのばらつき等を適切に反映したデータを模擬的に生成することができるデータ生成方法及び装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、そうしたデータ生成方法又は装置を用いて、ピークを精度良く検出するとともに、ピーク面積値や高さ値などの特徴値を精度良く算出することが可能である識別器を得ることができる識別器の生成方法及び装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る識別器の生成方法の一態様は、
分析装置を用い複数の試料を測定することにより複数の信号波形を得るステップと、
前記複数の信号波形からそれぞれに含まれる単一ピークを抽出し、その単一ピークの形状を特徴付ける予め決められた形状パラメータを求めるステップと、
前記形状パラメータを入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を実行することにより、ピーク波形を近似するモデル関数とその関数のパラメータの分布とを含む生成モデルを得るステップと、
前記生成モデルを用いて、複数のピークの重なり及び/又はノイズを含む模擬的な信号波形を生成するステップと、
前記模擬的な信号波形を訓練用又は評価用のデータとした機械学習により、試料を測定して得られた信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を作成するステップと、
を含む。
また上記課題を解決するために成された本発明に係る識別器生成装置の一態様は、本発明に係る上記態様の識別器の生成方法を実施するための装置であり、
分析装置を用い複数の試料を測定することにより得られた複数の信号波形からそれぞれに含まれる単一ピークを抽出し、その単一ピークの形状を特徴付ける予め決められた形状パラメータを求めるパラメータ情報取得部と、
前記形状パラメータを入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を実行することにより、ピーク波形を近似するモデル関数とその関数のパラメータの分布とを含む生成モデルを得る生成モデル取得部と、
前記生成モデルを用いて、複数のピークの重なり及び/又はノイズを含む模擬的な信号波形を生成する模擬波形生成部と、
前記模擬的な信号波形を訓練用又は評価用のデータとした機械学習により、試料を測定して得られた信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を作成する識別器取得部と、
を備える。
本発明において、「信号波形」は試料や計測対象物に対する分析や計測により得られた波形であり、典型的には、クロマトグラフ装置、質量分析装置、核磁気共鳴装置、光学分析装置、X線分析装置などによって得られる、試料中の成分(化合物や元素など)に対応するピークが観測されるクロマトグラム波形やスペクトル波形である。
本発明に係る上記態様の識別器の生成方法及び装置では、例えば、非特許文献3、4等に開示されている、機械学習の一手法である敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network:以下「GAN」と称す)を利用して、信号波形上で観測されるピークについての形状パラメータの変動(ばらつき)に関する分布(確率分布)を学習する。GANによる学習の際には、例えばクロマトグラフ装置で実際に試料を分析することで得られたクロマトグラム波形から抽出された形状パラメータを本物のデータとして与える。GANによる学習の過程で、形状パラメータの頻度(分布)を反映した生成モデル(生成器)を取得することができる。
ここでいう形状パラメータは、例えばピーク高さ、ピーク幅、テーリング度合い、リーディング度合い、などを含むものとすることができ、また、形状パラメータは、ピーク数、隣接するピーク間の距離、信号波形の中央付近にあるピークの位置、などを含むものとすることもできる。一般的にフィッティングを利用したピーク検出では、ピークモデル関数としてEMG(Exponential Modified Gaussian)関数がしばしば用いられる。その理由は、クロマトグラムにおけるピーク波形は理想的にはガウス波形に近いものの、実際にはリーディングやテーリングのために非対称波形になることが多いためである。そこで、例えばピークモデル関数としてEMG関数を用い、該関数のパラメータ(例えばテーリングパラメータ)を上記形状パラメータの一つとして用いることができる。
なお、敵対的学習は必ずしもニューラルネットワークを用いたものである必要はなく(つまりはGANである必要はなく)、ニューラルネットワークに代えて、学習対象のデータに基いて該データの分布を近似できる関数を出力するアルゴリズムを用いてもよい。
また、分析・計測手法は同じであっても、分析対象である試料の種類、又は試料に含まれる成分の種類(範疇)等によって、ピークの形状が大きく相違する場合がある。そうしたピーク形状が大きく異なる複数の信号波形を本物のデータとしてGANによる学習に供しても、学習が適切に行われず、目的とする精度の高い生成モデルを得ることは難しい。従って、本発明では、試料の種類等を限定しない汎用的な分析ではなく、試料の種類や成分の種類、分析の目的、適用分野などを或る程度限定することで、ピーク形状の傾向が近い、つまりは或る程度揃っている信号波形を本物のデータとしたGANの学習を実行する。
本発明によれば、例えば、クロマトグラフ装置で実際に得られるクロマトグラム波形における形状パラメータの分布を、高い精度で以て取得することができる。こうした分布を反映した生成モデルを用いて、合理的なパラメータのばらつきを有するピークが出現する信号波形や、複数のピークが重なり合った信号波形、又はピークにノイズが重畳した信号波形などを模擬的に生成することができる。こうした模擬的な信号波形では、各ピーク開始点及び終了点などのピーク情報が正確に得られている。従って、ピーク検出のための識別器を機械学習によって生成する際の教師データとして又は評価用データとして、こうした模擬的な信号波形を用いることで、労力と時間とを節約しながら、ピーク検出のための識別器の性能を向上させることができる。
また、本発明によれば、ピークを高い精度で検出したり、ピーク面積値や高さ値等の特徴値を精度良く算出したりすることができる。それによって、従来のピーク検出法では適切に検出できないピークを検出することができるほか、ピーク面積値等を利用した成分の定量精度を向上させることができる。
本発明に係るデータ生成方法を利用したLC装置の一実施形態の概略構成図。 本発明に係るデータ生成装置の一実施形態の機能ブロック構成図。 図2に示したデータ生成装置における敵対的学習実行部の機能ブロック構成図。 図1に示したLC装置に用いられる識別器を生成する学習装置の機能ブロック構成図。 GANの入力データ(本物データ)の一例を示す図。 GANの出力データ(偽データ)の一例を示す図。 ピーク波形の生成結果の一例を示す図。 波形シミュレータの動作説明のための波形図。
以下、本発明に係るデータ生成装置及び該装置を利用した識別器生成装置の一例を、添付図面を参照して説明する。
以下の例では、解析対象の信号波形はクロマトグラム波形であり、データ解析によって、クロマトグラム上で観測されるピークを検出するとともに、該ピークのピークトップの位置(保持時間)及びピーク面積値(又は高さ値)を求めるものとする。
[一実施形態のLC装置の全体構成及び概略動作]
図1は、本発明に係るデータ生成装置を利用したLC装置の一実施形態の全体構成図である。
図1において、測定部10は、移動相容器11と、移動相を吸引して略一定の流速(又は流量)で送給するポンプ12と、移動相中に試料液を注入するインジェクタ13と、試料液に含まれる成分を保持時間に応じて分離するカラム14と、カラム14から溶出する溶出液中の成分を検出する検出器15と、を含む。検出器15としては例えば、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器等の光学検出器や質量分析装置などを用いることができる。
データ解析部20は、検出器15から出力される検出信号をデジタル化して処理する機能を有し、データ収集部21、ピーク検出処理部22、定性・定量解析部23などの機能ブロックを含む。ピーク検出処理部22は、識別モデル記憶部221、ピーク決定部222などの機能ブロックを含む。識別モデル記憶部221には、予め機械学習によって生成されたピーク検出のための識別モデルが格納される。このデータ解析部20には、ユーザインターフェイスとしての入力部24と表示部25とが接続されている。
一般に、データ解析部20の実体は汎用のコンピュータであり、該コンピュータにインストールされた専用のソフトウェア(コンピュータプログラム)を該コンピュータで実行することにより、図1に示したような各機能ブロックの機能が達成されるようにすることができる。
このLC装置においてポンプ12は、移動相容器11に貯留されている移動相を吸引し、略一定流速で以てカラム14に送給する。インジェクタ13は、図示しない制御部からの指示に応じた所定のタイミングで、予め用意されている試料液を所定量だけ移動相中に注入する。注入された試料液は移動相の流れに乗ってカラム14に導入され、試料液に含まれる各種の成分はカラム14を通過する間に時間方向に分離されて溶出する。検出器15は溶出液に含まれる成分を検出し、その成分の量に応じた強度の検出信号を時々刻々と出力する。
データ解析部20においてデータ収集部21は、上記検出信号を所定時間間隔でサンプリングしてデジタルデータに変換し、記憶装置に記憶する。この記憶されるデータがクロマトグラム波形を構成するデータ(クロマトグラムデータ)であり、検出器15において検出された成分はクロマトグラム上でピークとして観測される。ピーク検出処理部22はクロマトグラムデータを受けて有意なピークを検出し、検出したピークのピークトップの位置(時間)とピークの面積値(又は高さ値)を求める。定性・定量解析部23は、クロマトグラム上の各ピークの位置の情報から成分を特定するとともに、予め作成された検量線を利用して、ピーク面積値(又は高さ値)から各成分の含有量を算出する。つまり、定性・定量解析部23は、試料に含まれる各成分の定性と定量とを実施し、その結果を表示部25に出力する。
[ピーク検出方法及びピーク特徴値の算出方法]
本実施形態のLC装置では、解析対象であるクロマトグラムに現れているピークを検出しその特徴値としてのピーク面積値を得るために、機械学習によって生成された識別モデルを利用する。
図4は、識別モデルを作成するために用いられる学習装置のブロック構成図である。
この学習装置は、教師データ生成部50、学習実行部51、識別モデル構築部52を含む。教師データ生成部50はさらに下位の機能ブロックとして、ランダムノイズ発生部501、生成器502、ノイズ加算部503を含む。生成器502としては、後述するように、GANによる学習で作成された生成器41を用いる。なお、上記学習装置の実体もコンピュータであり、コンピュータにインストールされた所定のプログラムを実行することで、図4に示した各機能ブロックが具現化される。
一般的に、機械学習によってピーク検出のための識別モデルを作成する際には、作業者が事前にラベル(正解の情報)を付与した教師データを用いた教師あり学習又は半教師有り学習のいずれかが行われる。ラベルとは、正確なピークトップの位置(時間)、ピーク面積値、高さ値などである。しかしながら、人の手によるラベル付けの作業が加わると、手間が掛かるだけでなく、誤ったラベル付けをして学習効果を低下させるおそれがある。これを避けるために、予め正解が既知であるシミュレーションデータを教師データとして用いて学習を行う手法が知られている。図4に示した学習装置における教師データ生成部50は、そうした教師データを模擬的に生成するための波形シミュレータである。
[ピーク検出用識別モデルの生成方法]
次に、生成器502の作成方法について説明する。
クロマトグラムにおいて試料中の成分に対応するピーク波形は、形状パラメータZと保持時間tとを引数にとる関数f(t,Z)で表すことができる。ここで、形状パラメータZは例えば、ピークの幅やテーリングの度合いなどである。一般的には、クロマトグラムにおいて観測されるピーク波形に対するモデル関数としてはEMG関数などが用いられる。従って、EMG関数をモデル関数として、その関数の形状パラメータの分布を学習することも可能である。但し、ここでは、こうした明示的なモデル関数を用いること無く、ピーク波形を表す関数自体とその関数が持ちうる形状の分布(形状パラメータの分布)とを同時に学習する手法を用いて、クロマトグラフ装置やその分析の適用分野の特性等に合わせたモデル関数とその形状パラメータの分布とを求める場合を例として挙げる。
図2は、ピークモデル関数と形状パラメータ分布とを推定する波形情報推定装置の一実施形態の概略構成図である。この装置は、実測データ入力部30、ピーク波形抽出部31、敵対的学習実行部32、生成モデル決定部33などの機能ブロックを含む。この装置の実体はコンピュータであり、コンピュータにインストールされた所定のプログラムを実行することで、図2に示した各機能ブロックが具現化される。図3は、図2中の敵対的学習実行部32で使用されるGANの機能ブロック構成図である。なお、これら装置は、図1に示したLC装置のデータ解析部20に含まれるようにしてもよいが、それとは別体であってもよい。
図2及び図3に示す波形情報推定装置では、GANによる敵対的学習の際の本物データとして、実測で得られたクロマトグラム波形を用いる。即ち、図1に示したLC装置の測定部10又はこれと同等のLC装置で、実際に試料を測定することで取得されたクロマトグラム波形を本物データとして利用する。但し、クロマトグラム上のピーク波形といっても、試料の種類つまりは成分の種類、解析の適用分野や目的、LC分離条件等によって、ピーク波形形状に大きな差異が生じる場合がある。具体的には、テーリングが大きくなる傾向にある場合とテーリングが殆ど現れない傾向にある場合との両方を解析の対象としようとすると、形状パラメータの分布の幅が広すぎてその分布の精度が低下するなどの問題が生じる。そこで、解析の適用分野などを絞ることによって、こうした問題を回避することができる。
具体的には、ここでは、解析対象の分野を生体由来の代謝物の解析に限定する。即ち、試料は生体試料であり、試料中の成分は代謝物である。もちろん、これは一例であって、ここで述べる手法は、様々な試料、成分、解析目的について適用可能である。
図2に示す装置において、実測データ入力部30は、実測により得られた多数のクロマトグラムデータを読み込む。ピーク波形抽出部31は、入力された各クロマトグラムデータから、例えばSN比が極端に低いピークや分離が不十分であるピークなどを除去し、波形形状が良好であるピークを抽出する。そして、抽出したピークのテーリング(又はリーディング)度合いやピーク幅、SN比といったピークに関する形状パラメータの少なくとも一つを求める。また、ピーク単体の形状ではなく、複数のピークを含み得るクロマトグラム波形の特徴的な形状パラメータとして、クロマトグラム波形中のピーク数、波形の時間軸の中心付近にあるピークの位置、隣接するピーク同士の間の距離、などの少なくともいずれか一つを併せて求める。後者の形状パラメータは、クロマトグラム波形においてピークの位置を決める際に利用される。
なお、例えば保持時間とピーク幅とに比例関係があるといったパラメータ間の相関が予測できる場合には、後述する学習が容易に行われるようにするために、予めピーク幅を保持時間で正規化するといったパラメータ間の相関を弱める正規化処理を行うことができる。
上記のようにしてピーク波形抽出部31は、多数の単一ピーク波形の形状パラメータ及びクロマトグラム波形を特徴付ける形状パラメータを取得する。敵対的学習実行部32は、良好な波形形状を有する単一ピークを本物データとしたGANによる学習を実施する。図3に示すように、敵対的学習実行部32は、ランダムノイズ発生部40、生成器41、データ選択部42、識別器43、判定部44、更新処理部45、を含む。ここでは、生成器41及び識別器43にはいずれも、非特許文献3、4に記載されているようなニューラルネットワークを用いる。
学習時に、生成器41は、ニューラルネットワークにより、ランダムノイズ発生部40から入力されるノイズに基いて偽データ、つまり偽のピーク波形を生成するための、時間を引数とする関数を作成する。そして、この作成された関数に、時刻(時間経過)を示す入力を与えることにより、観測データ(本物データ)と同じ長さの偽のピーク波形データを生成する。データ選択部42は、生成器41から出力される偽のピーク波形データと上記本物データとを交互に切り替えて識別器43に入力する。識別器43は、入力されたデータが本物か否かを識別し、判定部44はその識別結果が正しいか否か、つまり、本物データが識別器43に入力されたときにはそれが本物であると識別したか否か、一方、偽データが識別器43に入力されたときにはそれが偽物であると識別したか否か、を判定する。
更新処理部45は、判定部44による判定結果に基いて、生成器41と識別器43の性能がそれぞれ向上するようにニューラルネットワークの係数を更新する。周知のように、GANでは、このように生成器41と識別器43とを競わせながら、それぞれの性能が向上するように学習を実行する。具体的には、本物データにできるだけ近い偽データを生成可能な関数を生成するように、生成器41におけるニューラルネットワークを学習させる一方、本物データと偽データとを正しく識別できるように、識別器43におけるニューラルネットワークを学習させる。
上述したようなGANにおける学習によって、生成器41は本物のピーク波形にきわめて近いピーク波形を生成するようになるが、その学習の過程で、そのピーク波形を近似するモデル関数とその関数のパラメータの分布とを含む生成モデルが得られる。生成モデル決定部33は、敵対的学習実行部32が上述したようなGANにおける学習を実施した結果に基いて、ピーク波形を模擬的に生成するための生成モデルを決定する。この生成モデルは生成器41自体であるとともに、ピーク波形形状を表すモデル関数とその形状パラメータの分布という波形情報でもある。
図5は、GANによる学習の際に使用する本物データの一部を示す図である。一方、図6は、生成器41により生成される偽データの一部を示す図である。これらを比較すれば分かるように、適切な数及び品質の本物データを与えたうえでGANによる学習を行うことによって、本物データにきわめて近い(実質的には区別できない)偽データを出力可能な生成モデルを得ることができる。
なお、一般的に知られているGANは、固定長のベクトルである入力に対して出力を得るものであるが、入力を固定長のベクトルとした場合、ピーク幅が大きく変動したときなどに、スケーリングを行ってベクトル長を合わせるといった面倒な処理が必要となる。また、一般的に、ピーク波形の形状は微分値が連続的に単調であるという強い制約があるが、その制約を学習に活かすことができないため、生成器41が生成する波形の初期値が本来のピークの形状とは著しく異なってしまい、その結果、適切な形状のピーク波形を出力可能な状態に至るまでに長い学習時間を要する可能性が高い。このように、生成器41の出力が学習すべきデータの形状になるのに時間を要する場合には、GANによる学習が失敗することが経験的に知られている。
そこで、こうした事態を回避するため、生成器41に含まれるニューラルネットワークでは歪んだ時間を返す関数s(t,Z)を作成し、生成器41ではこの関数を用いたGauss(s(t,Z))という関数を生成するものとし得る。なお、これら関数の引数tには、本物データのベクトルサイズと同じサイズを有するtを入力し、学習対象である波形ベクトルと同じサイズのデータを生成するようにしている。もちろん、生成器41に含まれるニューラルネットワークでは、一般的なGauss関数やEMG関数を用いることもできる。
これにより、直接的には波形ベクトルの分布を学習しながら、時間歪みパラメータ関数s(t,Z)の分布を学習することができる。即ち、一般的なGANでは、「ベクトル」対「ベクトル」の学習しかできないのに対し、本発明の手法では、「時系列関数」対「ベクトル」の学習が可能であるようにGANが拡張されている。
また、より好ましくは、s(t,Z)≒tで示される分布となるように、関数s(t,Z)のネットワークにスキップドコネクション(スキップ接続)を用いるか、又は、s(t,Z)=t+s’(t,Z)として、s’(t,Z)が0付近の値を適切な幅でとるようにネットワーク重みのパラメータの初期値分布を調整するとよい。
また、釣り鐘状関数の裾が重いなどの、強度に対して略一様に掛かる歪みがある場合も考えられる。その場合には、強度補正ニューラルネットワーク関数i(y)を使用し、生成器41としてi(Gauss(s(t,Z))を用いることも有用である。
一方、識別器43としては一般的なニューラルネットワークを用いても構わないが、ここでは、ガウス関数のような釣り鐘形状の波形をよりよく捉えられるように、一次元コンボリューション層と線形結合層とを持つネットワークを用いている。
上記説明において、敵対的学習実行部32の本質的な目的は、データ点群の分布に一致する分布を学習することであり、上記例ではその学習の手法としてGANを用いていた。非特許文献3、4に示されているように、GANではニューラルネットワークを使用するのが一般的であるが、非特許文献3の記載からも明らかであるように、ニューラルネットワークに代えて、微分(勾配)を用いて関数を最適化できる適宜のアルゴリズムを使用することができる。
また、ここでは、観測波形Dと形状パラメータZから生成される関数fの分布との類似度としてKL(Kullback-Leibler)距離を利用しているが、KL距離以外にも、JS(Jensen-Shannon)距離やWasserstein距離などの、分布の一致度合いを評価する様々な指標を用いることができる。
上述したようにして、実測のクロマトグラフ上で観測されるピーク波形に基いて該波形を模擬的に生成する生成モデル、つまりはモデル関数と形状パラメータの分布情報とを取得することができる。
図4中に示した生成器502は、上述した生成モデルを利用したものであり、入力されたノイズに基いて、クロマトグラム上のピーク波形に形状がきわめて近い偽の波形を出力する。この偽の波形は、モデル関数がf(t,Z)であり、そのモデル関数の形状パラメータが所定の確率分布に従って変形されたものである。学習装置では、ランダムノイズ発生部501で発生させたノイズを生成器502に入力し、上述したように形状パラメータの分布に従った形状のピーク波形を求める。
図7(A)、(B)は、生成器502で生成される単一のピーク波形の形状の一例である。このピーク波形の形状は、時間を引数とする関数の形式で得られるので、ピーク幅及び高さを自由に変更することが可能である。
ノイズ加算部503は、上記ピーク波形に対し適宜のバックグラウンドノイズ成分を加算して教師データとする。一方、ノイズ付加前のピークが正解のピーク波形であるから、それが教師データに対応するラベルとなる。
生成器502は、実測のピーク波形の形状変化を的確に反映した形状パラメータの確率分布を情報として有しているから、目的とする解析分野に応じたピーク形状の変化を正確に模擬した波形を出力することができる。もちろん、教師データ生成部50では、生成する波形の数に制約がない。そのため、図4に示した学習装置では、多数の良好な教師データを用いた学習によって、性能の高い識別モデルを効率良く構築することができる。こうして作成された識別モデルが、本実施形態のLC装置における識別モデル記憶部221に格納される。それによって、本実施形態のLC装置では、測定によって得られたクロマトグラムにおいて観測されるピークを的確に検出することができ、またピークの面積値や高さ値などの特徴値も精度良く算出することができる。
図4に示す教師データ生成部50において、複数のピークが観測される模擬的なクロマトグラム波形を教師データとして生成する場合には、生成器502において図8(A)に示すような所定のピーク形状分布に基くピークを複数発生させる。同様に、与えられたデータから求められたピーク数、波形の時間軸の中心付近にあるピークの位置、隣接するピーク同士の間の距離などの形状パラメータの分布に基いて、ピーク数や各ピークの位置を決めることで、複数のピークを組み合わせた混合ピーク波形を形成する。その混合ピーク波形に、SN比などの形状パラメータの分布に基いたバックグラウンドノイズ(図8(B)参照)を加算することで、図8(C)に示すような模擬的なクロマトグラム波形を生成する。こうしたクロマトグラム波形を教師データとすることで、重なりがある複数のピークを検出するとともに該複数のピークの面積値や高さ値などの特徴量を出力可能な識別モデルを構築することができる。
また、教師データ生成部50は、学習の際の教師データを生成するのみならず、学習によって作成された識別モデルを評価する(又はテストする)際に使用される評価データを生成するためにも用いることができる。
また一般に、ピーク波形形状を学習する際には十分に多くの教師データが必要である。そのため、かなり広い分野(ターゲット)の試料について得られたデータを用いて、ピーク波形形状の学習が実行されることがある。例えば、LC装置で言えば、血液、尿などの特定の生体試料を対象とした特定の物質の分析ではなく、生体試料一般の分析によって得られたデータが学習に用いられる場合がある。即ち、本発明に係るピーク検出を実際に適用しようとしている分野よりも広い分野のデータセットが教師データに含まれる場合がある。この場合、実際に適用する分野のサンプルデータに対応するパラメータ点の近傍のみをシミュレーションするようにデータ拡充を行うことも当然に考えられる。即ち、広い分野を対象とするピーク形状パラメータの分布を学習しておき、目的とする狭い分野の試料についてのピーク群はピーク形状パラメータ分布の中のどの範囲に集中しているかを調べ、その範囲に限定した形状パラメータ分布に基いてシミュレーションデータを作るようにすることができる。
また、上述したように、実際の応用では、隣接するピークの裾部が重なった混合ピーク等を扱う必要がある場合が多いが、LC装置、GC装置等の分析装置の多くでは、分析における線形性が確保されているものとみなせる。そのため、解析対象がクロマトグラム波形である場合、混合ピークの信号値は、複数の単一ピークに対応する信号値を単純に加算したものとみなしても構わない。
上記実施形態は本発明をLC装置に適用した例であるが、LC装置やGC装置以外の様々な分析装置で得られる信号波形を処理又は解析する際に本発明を適用することができることは明らかである。
具体的には、質量分析装置で得られるマススペクトル、核磁気共鳴装置で得られる核磁気共鳴スペクトル、光学分析装置で得られる吸光スペクトルや反射スペクトル等の光学的スペクトル、X線分析装置で得られるX線エネルギスペクトルなどのピーク検出にも本発明を利用することができる。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)本発明に係るデータ生成方法の一態様は、信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を機械学習により作成する際に用いられるデータを模擬的に生成するデータ生成方法であって、コンピュータにより、
前記識別器を作成するための機械学習を行う目的の分野に絞って収集された複数の信号波形から、その信号波形の形状を特徴付ける予め決められた形状パラメータの頻度情報を求めるパラメータ頻度情報取得ステップと、
前記形状パラメータの頻度情報を利用して、複数のピークの重なり及びノイズを含み得る模擬的な信号波形を生成する模擬波形生成ステップと、
を実行し、前記模擬的な信号波形を機械学習の訓練用又は評価用のデータとして提供する。
(第2項)第1項に記載のデータ生成方法において、前記パラメータ頻度情報取得ステップでは、前記複数の信号波形からそれぞれ得られる形状パラメータを入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を実行することで、形状パラメータの頻度情報を含む生成モデルを取得し、前記模擬波形生成ステップでは、前記生成モデルを用いて模擬的な信号波形を生成するものとすることができる。
(第9項)本発明に係るデータ生成装置の一態様は、信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を機械学習により作成する際に用いられるデータを模擬的に生成するデータ生成装置であって、
前記識別器を作成するための機械学習を行う目的の分野に絞って収集された複数の信号波形から、その信号波形の形状を特徴付ける予め決められた形状パラメータの頻度情報を求めるパラメータ頻度情報取得部と、
前記形状パラメータの頻度情報を利用して、複数のピークの重なり及びノイズを含み得る模擬的な信号波形を生成する模擬波形生成部と、
を備え、前記模擬的な信号波形を機械学習の訓練用又は評価用のデータとして提供する。
(第10項)第9項に記載のデータ生成装置において、前記パラメータ頻度情報取得部は、前記複数の信号波形からそれぞれ得られる形状パラメータを入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を実行することで、形状パラメータの頻度情報を含む生成モデルを取得し、前記模擬波形生成部は、前記生成モデルを用いて模擬的な信号波形を生成するものとすることができる。
第1項及び第2項に記載のデータ生成方法、並びに、第9項及び第10項に記載のデータ生成装置では、例えば、クロマトグラフ装置で得られるクロマトグラム波形を高い精度で模擬するためのモデル関数や、その形状パラメータ、例えばピークのテーリング度合い、ピーク幅などの分布の情報を、高い確度で以て取得することができる。これにより、実際に得られる信号波形のばらつきを正確に反映し、且つ、各ピーク開始点及び終了点などのピーク情報が正確に得られている、模擬的な信号波形を、自在に生成することができる。従って、教師データ等を作成するための労力と時間とを節約しながら、信号波形で観測されるピークを検出するための識別器の性能を向上させることができる。
(第3項)第1項又は第2項に記載のデータ生成方法において、前記パラメータ頻度情報取得ステップでは、信号波形から孤立したピークで且つSN比が基準値以上であるピークを抽出して該ピークに関する形状パラメータを求めるものとすることができる。
(第11項)また同様に、第9項又は第10項に記載のデータ生成装置において、前記パラメータ頻度情報取得部は、信号波形から孤立したピークで且つSN比が基準値以上であるピークを抽出して該ピークに関する形状パラメータを求めるものとすることができる。
第3項に記載のデータ生成方法及び第11項に記載のデータ生成装置によれば、GANなどの敵対的学習によって得られる生成モデルの精度を向上させることができる。
(第4項)第3項に記載のデータ生成方法において、前記ピークに関する形状パラメータは、ピーク高さ、ピーク幅、ピークのテーリング度合い、のいずれか1つを含むものとすることができる。
(第12項)また第11項に記載のデータ生成装置において、前記ピークに関する形状パラメータは、ピーク高さ、ピーク幅、ピークのテーリング度合い、のいずれか1つを含むものとすることができる。
第4項に記載のデータ生成方法及び第12項に記載のデータ生成装置によれば、適切なピークに関する形状パラメータを学習させることで、生成モデルの精度を向上させることができる。
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載のデータ生成方法において、前記形状パラメータは、ピーク数、隣接するピーク間の距離、及び、信号波形の中央付近にあるピークの位置、を含み、前記模擬波形生成ステップでは、これらの形状パラメータの頻度情報により模擬的な信号波形におけるピーク位置を決定するものとすることができる。
(第13項)第9項~第12項のいずれか1項に記載のデータ生成装置において、前記形状パラメータは、ピーク数、隣接するピーク間の距離、及び、信号波形の中央付近にあるピークの位置、を含み、前記模擬波形生成部は、これらの形状パラメータの頻度情報により模擬的な信号波形におけるピーク位置を決定するものとすることができる。
第5項に記載のデータ生成方法及び第13項に記載のデータ生成装置によれば、複数のピークの重なりなどを精度良く模擬した信号波形を生成することができる。
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載のデータ生成方法において、前記模擬波形生成ステップでは、前記生成モデルを用いて生成された1又は複数のピークを含む波形にノイズを加算することによって模擬的な信号波形を生成するものとすることができる。
(第14項)また第9項~第13項のいずれか1項に記載のデータ生成装置において、前記模擬波形生成部は、前記生成モデルを用いて生成された1又は複数のピークを含む波形にノイズを加算することによって模擬的な信号波形を生成するものとすることができる。
第6項に記載のデータ生成方法及び第14項に記載のデータ生成装置によれば、比較的ノイズが多い信号波形を正確に模擬した教師データを取得することができる。それによって、ピークの検出精度やピーク面積値等の算出精度が高い生成モデルを得ることができる。
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載のデータ生成方法において、前記目的の分野に絞って収集された複数の信号波形は、特定の種類の試料に対する分析により得られたクロマトグラム波形又はスペクトル波形であるものとすることができる。
(第15項)また第9項~第14項のいずれか1項に記載のデータ生成装置において、前記目的の分野に絞って収集された複数の信号波形は、特定の種類の試料に対する分析により得られたクロマトグラム波形又はスペクトル波形であるものとすることができる。
第7項に記載のデータ生成方法及び第15項に記載のデータ生成装置によれば、クロマトグラム波形やスペクトル波形の形状パラメータのばらつきが小さくなるので、それだけ高い精度の生成モデルを作成することができ、模擬的な信号波形の正確性も向上する。
(第8項)第8項に係る発明の一態様は、第1項~第7項のいずれか1項に記載のデータ生成方法を用いた識別器の生成方法であって、前記模擬波形生成ステップで生成された模擬的な信号波形を訓練用データとした機械学習により、信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を作成する学習ステップ、を実行するものとすることができる。
(第16項)また第16項に係る発明の一態様は、第9項~第15項のいずれか1項に記載のデータ生成装置を用いた識別器生成装置であって、前記模擬波形生成部により生成された模擬的な信号波形を訓練用データとした機械学習によって、信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を作成する学習部、を備えるものとすることができる。
第8項に記載の識別器の生成方法及び第16項に記載の識別器生成装置によれば、クロマトグラム波形等において観測されるピークを精度良く検出し、該ピークの面積値や高さ値を精度良く算出することができる識別器が得られる。それによって、ピークの検出漏れや誤検出を低減することができるとともに、ピーク面積値や高さ値に基く定量の精度を向上させることができる。
10…測定部
11…移動相容器
12…ポンプ
13…インジェクタ
14…カラム
15…検出器
2…ピーク検出処理部
20…データ解析部
21…データ収集部
22…ピーク検出処理部
221…識別モデル記憶部
222…ピーク決定部
23…定性・定量解析部
24…入力部
25…表示部
30…実測データ入力部
31…ピーク波形抽出部
32…敵対的学習実行部
33…生成モデル決定部
40…ランダムノイズ発生部
41…生成器
42…データ選択部
43…識別器
44…判定部
45…更新処理部
50…教師データ生成部
501…ランダムノイズ発生部
502…生成器
503…ノイズ加算部
51…学習実行部
52…識別モデル構築部

Claims (12)

  1. 分析装置を用い複数の試料を測定することにより複数の信号波形を得るステップと、
    前記複数の信号波形からそれぞれに含まれる単一ピークを抽出し、その単一ピークの形状を特徴付ける予め決められた形状パラメータを求めるステップと、
    前記形状パラメータを入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を実行することにより、ピーク波形を近似するモデル関数とその関数のパラメータの分布とを含む生成モデルを得るステップと、
    前記生成モデルを用いて、複数のピークの重なり及び/又はノイズを含む模擬的な信号波形を生成するステップと、
    前記模擬的な信号波形を訓練用又は評価用のデータとした機械学習により、試料を測定して得られた信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を作成するステップと、
    を含む識別器の生成方法。
  2. 前記形状パラメータを求めるステップでは、信号波形から、孤立したピークで且つSN比が基準値以上である単一ピークを抽出して該ピークに関する形状パラメータを求める、請求項1に記載の識別器の生成方法。
  3. 前記形状パラメータは、ピーク高さ、ピーク幅、ピークのテーリング度合い、のいずれか1つを含む、請求項に記載の識別器の生成方法。
  4. 前記形状パラメータは、ピーク数、隣接するピーク間の距離、及び、信号波形の中央付近にあるピークの位置、を含み、前記模擬的な信号波形を生成するステップでは、これらの形状パラメータの分布により模擬的な信号波形におけるピーク位置を決定する、請求項1に記載の識別器の生成方法。
  5. 前記模擬的な信号波形を生成するステップでは、前記生成モデルを用いて生成された1又は複数のピークを含む波形にノイズを加算することによって模擬的な信号波形を生成する、請求項1に記載の識別器の生成方法。
  6. 前記複数の信号波形は、特定の種類の試料に対する分析により得られたクロマトグラム波形又はスペクトル波形である、請求項1に記載の識別器の生成方法。
  7. 分析装置を用い複数の試料を測定することにより得られた複数の信号波形からそれぞれに含まれる単一ピークを抽出し、その単一ピークの形状を特徴付ける予め決められた形状パラメータを求めるパラメータ情報取得部と、
    前記形状パラメータを入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を実行することにより、ピーク波形を近似するモデル関数とその関数のパラメータの分布とを含む生成モデルを得る生成モデル取得部と、
    前記生成モデルを用いて、複数のピークの重なり及び/又はノイズを含む模擬的な信号波形を生成する模擬波形生成部と、
    前記模擬的な信号波形を訓練用又は評価用のデータとした機械学習により、試料を測定して得られた信号波形において観測されるピークを検出するための識別器を作成する識別器取得部と、
    を備える識別器生成装置。
  8. 前記パラメータ情報取得部は、信号波形から、孤立したピークで且つSN比が基準値以上である単一ピークを抽出して該ピークに関する形状パラメータを求める、請求項に記載の識別器生成装置。
  9. 前記形状パラメータは、ピーク高さ、ピーク幅、ピークのテーリング度合い、のいずれか1つを含む、請求項に記載の識別器生成装置。
  10. 前記形状パラメータは、ピーク数、隣接するピーク間の距離、及び、信号波形の中央付近にあるピークの位置、を含み、前記模擬波形生成部は、これらの形状パラメータの分布により模擬的な信号波形におけるピーク位置を決定する、請求項に記載の識別器生成装置。
  11. 前記模擬波形生成部は、前記生成モデルを用いて生成された1又は複数のピークを含む波形にノイズを加算することによって模擬的な信号波形を生成する、請求項に記載の識別器生成装置。
  12. 前記複数の信号波形は、特定の種類の試料に対する分析により得られたクロマトグラム波形又はスペクトル波形である、請求項に記載の識別器生成装置。
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