JP3663140B2 - 質量分析方法および質量分析装置 - Google Patents

質量分析方法および質量分析装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析方法および質量分析装置に係り、特にプラズマイオン源を用いた質量分析装置による元素同定の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、質量分析装置によりイオンの同定を行う場合、高分解能質量分析装置で分析する手法(ミリマス法)が広く使われてきた。この手法は、目的とするイオンが存在する質量数を高分解能質量分析装置で走査し、各元素の質量欠損効果によって生ずる微小な質量差(数ミリ〜数十ミリamu)を測定し、その質量数に存在する物質の同定を行っていた。この手法では、各元素イオンの存在量が別個に検出できるため、目的とするイオンの量を容易に判別することができる。このような例としては、特開平11−260310号公報に記載された方法がある。
【0003】
近年、低分解能ではあるが、装置自体が小型であり、また簡略なため比較的安価であるという特徴をもつことから、四重極質量分析計が広く普及し始めている。最近では、このような比較的簡単で、低分解能の四重極質量分析装置によっても、より詳細なイオン分析を行いたいというニーズが高まってきている。
【0004】
しかし、このような装置では質量数における分解能がおよそ数十ミリamu以上と低いため、各元素の微小な質量差を検出することは難しい。そこで一般的には、別のアプローチとして元素の同位体存在比を利用した同定法が用いられている。この方法は、目的のイオンに対して、その含有元素同位体が存在する質量数を数〜数十amuにわたって走査し、元素の同位体存在比と照らし合わせて元素の組成を解析するものである。この例として、特開平8−17391号公報に記載された方法が挙げられる。
【0005】
これらの例は主に分子イオンを対象とした組成解析であるが、特定の元素イオンのみを低分解能の質量分析装置で測定したいという要求もある。このような例としては、特に、厚生省が告示した上水道水質基準がある。この基準を判定するためには、金属元素含有量が数十ppbレベルの濃度から検出できる分析装置が必要である。
【0006】
このような分野における分析装置としては、質量数分解能は比較的低いが、高感度である誘導結合プラズマ法による質量分析装置(ICP-MS)が注目されてきている。
【0007】
このような元素イオン分析の分野においても、低分解能の質量分析装置では、特定質量数に存在する元素がすべて重畳して検出されることになる。このため、未知の試料を測定する場合は、不必要な干渉イオンを除去して、目的の元素イオンのみを抽出することが必要になる。
【0008】
この干渉イオンの除去の手法としては、従来、干渉として考えられる元素をユーザ自身が選定し、その元素を目的の元素と共に測定し、その結果から干渉量を算定して除外していた。
【0009】
特に、分子イオンによる干渉の除去については、特開平10−274640号公報のように、分子イオンに対しての、特定元素の同位体存在比を用いた補正量算出の手法なども紹介されている。この手法では、炭素の質量数12と13の存在比を用いて、炭素の同位体に由来するマスピークを質量スペクトルから取り除く手順が示されている。しかし、炭素以外の元素についてどのようにして干渉を除去するかについては開示されていない。
【0010】
特開平10−274640号公報に開示された手法の場合、ユーザ自身が干渉に対する考慮を払わなければならず、ユーザの考慮不十分による測定失敗を引き起こす場合があった。限られた試料を測定しなければならない微量試料の分析分野においては、このような測定ミスは致命的であり、自動的且つ簡便確実に干渉を除去できる方法が必要であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
元素分析を比較的低分解能の質量分析装置により行う場合には、目的とする元素の同位体質量数に検出されるイオン量を測定し、その検出量から濃度値を定量するのが一般的であるが、各々の元素の同位体のうち、質量数が重複しているものがあるため、測定しようとしている目的の元素同位体質量数に他の元素同位体または分子が重複している場合があり、そのような場合には、測定結果に他の元素イオンまたは分子イオンによる干渉が含まれる結果となる。この干渉を除外するためには、ユーザは質量数が重複している元素あるいは分子を予測し、その元素または分子の量を算出するために、それら干渉イオンの同位体質量数を測定した上で、元素固有の同位体存在比を用いて目的とするイオンに対する干渉量を算出し、除外する必要があった。
【0012】
この方法では、ユーザが干渉の影響の考慮を誤ったり、あるいはまったく考慮しなかった場合、干渉量はそのまま測定誤差となる。そこで、確実且つ簡便な方法により干渉量を除去できる方法が必要であった。
【0013】
また、元素分析に使用するような質量分析装置では、スループット向上などの観点から目的の質量数のみをスキャンするような使い方をするため、他元素の干渉を確認する目的だけのために広範囲にわたる質量数範囲をスキャンするような使用方法は現実的ではなく、干渉を除外するために必要な質量数を適切に選択できる手段が必要であった。
【0014】
本発明の目的は、特定の元素同位体イオン量の測定に際し、他元素イオンが目的の元素イオンに干渉する場合であっても、目的とするイオン量を簡便にかつ短時間に測定することができる質量分析方法および質量分析装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するための本発明の特徴は、測定すべき元素を第1の測定対象として設定するステップと、予め記憶された元素の同位体情報を用いて前記設定された第1の測定対象に干渉する元素を検索するステップと、当該検索により干渉する元素が存在する場合、当該干渉元素の同位体の中から第2の測定対象を選択するステップと、前記第1の測定対象と第2の測定対象の測定を行うステップと、前記第2の測定対象のイオン量測定結果を用いて前記第1の測定対象のイオン量を算出するステップとを有するようにした質量分析方法を行うことである。
【0016】
また更なる本発明の特徴は、試料をイオン化するイオン源と、イオン源によってイオン化された試料を質量分析する質量分析部と、質量分析された試料イオンを検出する検出部と、各部の設定及び検出結果の表示を行うための表示部及び入力部を備えたデータ処理部とを有する質量分析装置において、前記データ処理部は、元素の同位体および同位体存在比の情報が格納された記憶部を有し、且つ、前記表示部に、測定すべき元素を指定するための元素選択領域と、当該元素選択領域で選択された元素の同位体を表示する同位体情報領域とを備え、前記同位体情報領域に表示された同位体の中から何れかを選択することにより、測定対象を決定することである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の質量分析装置として、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)への実装例を挙げ、図面を参照して説明する。
【0018】
図2に、本装置の概略構成図を示す。本装置は、主に分析計装置部1と、コンピュータ部2から成る。
【0019】
分析計装置部1では、プラズマトーチ5およびプラズマガス10および高周波電源4によって生成されたプラズマ中に、試料8を霧化ガス9によって霧状噴出することで試料のイオン化を行う。イオン化した試料は、質量分析装置6により質量数毎に選別され、イオン検知器7で電気信号に変換される。高周波電源4、質量分析装置6、イオン検知器7は、装置制御回路3により制御される。コンピュータ部2は、CRTなどのディスプレイや各種情報を記憶するメモリ、ユーザが情報を入力するためのキーボードやポインティングデバイスを備えており、ユーザからの測定条件の設定や、イオン検知器7で測定した結果表示等を行う。
【0020】
本発明においては、測定に先立って、コンピュータ部2の表示画面上に図5に示す画面を表示し、ユーザが同位体等の情報を確認したり、測定したい特定の元素イオンを予め選択設定することができる。図5の表示画面は、ユーザサポートのために使用され、測定の際に表示させる必要は必ずしも無く、図5の画面を用いなくても測定は可能である。
【0021】
図5の表示画面は、元素選択ボタン50、同位体情報51、干渉イオン情報52、干渉分子イオン情報53、元素固有の情報54等の各表示ウインドウを備えている。また元素選択ボタン50を拡大したものを図6、同位体情報51を拡大したものを図7、干渉イオン情報52を拡大したものを図8、干渉分子イオン情報53を拡大したものを図9、元素固有の情報54を拡大したものを図10に示す。
【0022】
図5の設定画面では、設定時に元素選択ボタン50で目的の元素を選択することにより(具体的には、マウス等のポインティングデバイスで表示されたカーソルを移動し、クリックすることで選択を行う)、選択された元素の同位体情報51、干渉イオン情報52、元素固有の情報54が瞬時に表示される仕組みになっており、ユーザが得ようとする目的の元素情報が即座に得られるようになっている。これらの図では、例として、元素番号56のバリウム(Ba)を選択した時の表示画面を示している。
【0023】
これら各表示ウインドウの中で、同位体情報51は、元素選択ボタン50で選択された元素の同位体に関する情報が表示される。コンピュータ部2では、図3に示すような元素・同位体情報を記憶しており、同位体情報51に表示される情報は、図3の内容に基づいている。また、同位体情報51では、ユーザが複数の同位体を有する元素の内、標準的に測定したい同位体を「推奨同位体」として選択できる。ここで選択されると、測定時に推奨同位体を測定するよう設定される。選択は、具体的には、[推奨]欄にチェックマークを付けることで行われる。図7には、m/z=137,138を選択した例を示す。また同位体情報51においては、特定の同質量数の元素の干渉を除去したい時などに、干渉元素の除去法などを定義することができる「強度算出式」の編集を行うことができる。
【0024】
干渉イオン情報52では、選択した元素の質量数に重複する他の元素同位体の情報が示される。この情報も図3の元素・同位体情報に基づいている。特に干渉の補正が困難であるなどの理由から、測定対象から外したい質量数がある場合、「スキップ質量数」として選択することで、測定をスキップさせる(測定を行わない)ことができる。具体的には、[スキップ]欄にチェックマークを付けることで選択を行う。
【0025】
干渉分子イオン情報53では、干渉イオン情報52に干渉分子についても表示させるかを選択する。この干渉分子イオン情報は、あらかじめ塩素イオン系、硝酸イオン系、硫酸イオン系、環境水の4つの系統に分けて、標準的に干渉が起こりうる分子イオンが登録されており、その他にユーザが最大4つまで任意の干渉分子イオンを設定する事ができる。これらの項目を選択する事により、干渉イオン情報52に干渉分子イオン情報を表示させる事が可能である。
【0026】
元素固有の情報54では、選択した元素についての分析上の留意点や、ユーザが設定可能なメモが表示される。
【0027】
次に、実際に試料を測定する場合の例を説明する。
【0028】
まずユーザが分析計装置部1に試料をセットして、コンピュータ部2にどの元素イオンを測定するかの指示を与える。この指示を行う元素選択画面の例を図11に示す。また図11の元素選択ボタン61を拡大したものを図12、同位体情報62を拡大したものを図13、測定イオン63を拡大したものを図14、干渉イオン情報64を拡大したものを図15、干渉分子イオン情報65を拡大したものを図16に示す。
【0029】
図11の画面では、まず元素選択ボタン61で、測定する元素を選択する。このとき、選択された元素について、選択した元素の同位体に関する情報が同位体情報62に、選択した元素の質量数に重複する他の元素同位体や分子イオンの情報が干渉イオン情報64に、それぞれ瞬時に表示される。これらの情報も図3の元素・同位体情報に基づいている。
【0030】
次に、選択した元素の中で測定すべき同位体を、同位体情報62で選択する。具体的には、[測定]欄にチェックマークを付けることで選択が行われる。この時、事前に図5の画面によって推奨同位体が設定されていれば、元素選択ボタン61で元素が選択された時に、[推奨]欄にチェックされた同位体が自動的に[測定]の選択がなされるようになっている。図13には、図5(図7)の画面で推奨同位体として設定されたm/z=137,138の同位体がそのまま測定対象として選択されている例を示す。したがって、通常測定する質量数を推奨同位体として設定しておけば、測定時には元素選択ボタン61で元素を選択するだけでよい。もちろん、[推奨]以外にも測定したいm/zがある場合は、図13の画面上からユーザが手動で選択することもできる。逆に、選択を外すこともできる。この場合、推奨同位体の設定が外れるなどの影響はない。
【0031】
この同位体情報62での選択により、選択された同位体が、測定イオン63に測定イオンとして表示される。この選択を元素毎に繰り返す事により、ユーザは測定対象となる元素イオンを設定することができる。
【0032】
干渉分子イオン情報65は、図9の干渉分子イオン情報53と同様に、干渉イオン情報64に干渉分子イオン情報を表示させたい場合に選択するものである。
【0033】
上記のような設定と同時に、どのような条件で測定するかの指示もこの画面上で行うが、ここでは説明を省略する。
【0034】
上記のような図11による測定の指示が成されると、コンピュータ部2では、測定対象の元素イオンに干渉する他の元素イオンがないかチェックを行い、干渉イオンが存在する場合は、測定対象の元素イオンの質量数と共に、干渉している元素イオン量を算出するために必要な質量数を測定するよう分析計装置部1へ命令を送る。分析計装置部1はセットされた試料につき指示された質量数のイオン量を測定し、イオン量測定結果をコンピュータ部2に送る。コンピュータ部2では、この結果に対して、干渉イオンの選択で判定した干渉イオン情報に基づき、干渉を除去する演算を行う。ここで測定対象元素のイオン量のみを抽出し、結果としてユーザに目的とするイオン量の測定値を示す。
【0035】
ここで、この一連の処理を、図1をもとに、元素イオン138Ba(質量数138のバリウムを示す。以下同様の記述を用いる。)を測定する場合を例にとり説明する。
【0036】
まず、ユーザが138Baを測定するために、コンピュータ部2から図11の設定画面を用いて、138Baを測定するよう入力(11)を行う。この選択により、ユーザが目的とする質量数138で、ユーザ指定の元素以外に存在する元素を、図3で示した元素・同位体情報の中から検索(12)する。もし判定(13)にて目的の元素イオンに干渉がなければ、そのまま目的の質量数のみを測定(16)して、その結果を表示(20)する。
【0037】
138Baの例の場合、図3の元素・同位体情報によれば、同じ質量数138として138La(ランタン)および138Ce(セリウム)が存在することが判明する。
【0038】
元素の同位体存在比率は定まっていて既知であることから、この干渉している元素イオン量は、質量数138以外の同位体イオンを測定することで算出できる。すなわち、138Laを求める場合は、138Laの同位体である139Laを測定し、その存在量に(0.089/99.911)を掛けることにより138Laの存在量を推定することができる。つまり、干渉元素のイオン量を求めるためには、干渉元素の同位体を少なくとも1つ定めて測定する必要がある。そのため、この同位体質量数を抽出(14)し、その中から適切な質量数を選択する(15)という処理を行う。
【0039】
このとき、仮にLaが試料に存在しなかった場合は、139Laはイオンが検出されない、すなわち測定イオン量は0であるはずなので、この計算を行っても138Laの推定イオン量は0となり、干渉はないということが判明する。
【0040】
同様に、Ceの干渉イオン量についても算出することができる。Ceの場合は、同位体が複数存在するため、この中から1つを選択することとなるが、ここでさらに他の元素による干渉がある同位体を選択してしまうと、その干渉している元素をも算出しなければならなくなるため、(15)で選択する同位体としては、他の元素による干渉がない同位体が良い。従ってこの条件から、140Ceを選択する。
【0041】
上記の処理を行った結果、質量数138の他に、139および140の測定が必要と判断し、これらの質量数のイオン量を測定(16)する。分析計装置部1では、セットされた試料で指定された質量数138、139、140を測定し、その結果をコンピュータ部2へ返す。
【0042】
その後、コンピュータ部2では、受け取った各質量数のイオン量をもとに、各元素イオンの存在比を抽出し(17)、干渉イオン量を算出する(18)。算出法は以下の通りである。
138Laのイオン量=質量数139のイオン量×(138Laの存在比÷139Laの存在比)
138Ceのイオン量=質量数140のイオン量×(138Ceの存在比÷140Ceの存在比)
【0043】
干渉イオン量が算出されると、次に目的の元素イオン量を算出するために、干渉を除外する計算(19)を行う。算出法は以下の通りである。
138Baのイオン量=質量数138の総イオン量−138Laのイオン量−138Ceのイオン量
【0044】
これにより、干渉が除外された138Baのイオン量を算出結果として表示(20)する。
【0045】
ここで、質量数138=5000カウント、質量数139=2000カウント、質量数140=1200カウントの測定値が得られた場合の例を図4を用いて説明する。この場合の計算式は以下の通りとなる。
Figure 0003663140
【0046】
これにより、138Baのイオン量が4994.81カウントと算出される。ここで、(1)式の1.80が質量数138におけるLaの干渉量であり、3.39が質量数138におけるCeの干渉量である。
【0047】
また、測定結果の表示例を図17に示す。この表示例では説明のため、ユーザが選択した138Ba以外にもすべての測定元素イオンについて表示している。元素71の列では、測定した元素イオンの一覧が表示される。ピークm/z72の列では、測定した各元素イオンのピーク質量数が示されている。強度73の列では、その質量数における信号強度の実測値が表示されている。この値は、測定対象イオン量に対する干渉の除外を行う前の値であり、質量数138=5000カウント、質量数139=2000カウント、質量数140=1200カウントであることがわかる。分解能74の列では、測定したイオンの質量数ピークがどの程度の幅を持っているかの指標であり、本発明とは特に関係ない。補正強度75の列は、各元素の同位体存在比を用いて干渉量の除外を行った結果である。この中で、138Baの値が目的とする結果であり、干渉量が除外された値として4994.81が示されている。また、付加情報として、基準比76の列に各元素の同位体存在比を、濃度77の列に簡易的な定量濃度値を、干渉イオン強度78の列に干渉する他元素同位体の強度をそれぞれ表示している。
【0048】
次に、図1で示した処理フロー以外の他の処理フローの例を図18を用いて説明する。
【0049】
この処理フローの特徴は、干渉イオン量を求める際に、干渉イオンにさらに干渉イオンがある場合の処理を行うものである。例として、113Cd(カドミウム)を測定する場合で説明する。
【0050】
まず、ユーザが113Cdを測定するために、コンピュータに113Cdを測定するよう入力(11)を行う。この選択により、ユーザが目的とする質量数113中で、ユーザ指定の元素以外に存在する元素を、図3に示す元素・同位体情報の中から検索(12)する。次に、検索結果を用いて、目的とする質量数に干渉イオンが存在するかを判別する(13)。干渉イオンが無い場合は、目的質量数を測定し(16)、結果を表示する(20)。
【0051】
113Cdの場合には、質量数113には113In(インジウム)が存在することが判明する。したがって、干渉イオンである113Inの同位体の質量数を抽出し(14)、干渉除外の算出を行うために測定すべき質量数を選択する(15)。ここで、113Inの同位体としては115Inしかないため、(15)では質量数115が選択されるが、115Inには115Sn(スズ)という他の干渉イオンが存在する。このような場合は、115Snの他の同位体イオン量を測定して115Snの干渉量を算出した上で、質量数115のイオン量から差し引くことにより115Inを算出することができ、ひいては113Cdを算出することができる。
【0052】
このように、干渉イオンに対してさらに干渉がある場合は、その干渉を差し引くために、干渉イオン量が確定するまで再帰的に計算することが必要である。そこで、干渉イオン量を算出するために(15)で選択した質量数にさらに干渉がないかを(21)で判定し、干渉がある場合はその元素について、さらに(14)、(15)で干渉イオン量を算出するための質量数選択の処理をおこない、干渉がなくなるまでこれを続ける。
【0053】
この例の場合、上記処理より質量数113、115に加え、Snの干渉イオン量を算出するために、干渉がなくもっとも存在比が高い、質量数118を測定する。
【0054】
また、結果を算出するときは、まず干渉がない元素イオン量を算出し、その後、干渉している元素イオンの量を確定していく。この例では、質量数113、115、118を測定した後、以下のような手順で算出を行う。
【0055】
115Snのイオン量=質量数118のイオン量×(115Snの存在比÷118Snの存在比)
115Inのイオン量=質量数115のイオン量−115Snのイオン量
113Inのイオン量=115Inのイオン量×(113Inの存在比÷115Inの存在比)
113Cdのイオン量=質量数113のイオン量−113Inのイオン量
【0056】
このように、干渉しているイオン量を順番に算出していくことで、目的とする113Cdのイオン量を求めることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、四重極質量分析計等のような比較的低分解能の質料分析装置によって元素分析を行う場合であっても、干渉同位体の除外を自動的に算出することで、ユーザが目的とする測定結果を容易に得ることができる。また煩雑な計算を自動化することにより、計算ミスをなくすことができる。したがって、質量分析装置による元素分析の同定に関して、より使い易いシステムをユーザに提供することができる。
【0058】
さらに、元素同位体情報を拡張し、分子イオンの情報を取り入れることにより、分子イオンの干渉についても同様の演算による干渉の除外を行うことができるため、より高度な干渉の除外を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による干渉除外処理の処理フローを示す図である。
【図2】 本発明で用いられる装置の概略構成図である。
【図3】 コンピュータ部に記憶される元素・同位体情報の例である。
【図4】 138Baのイオン量測定における干渉イオン量の関係である。
【図5】 元素・同位体情報画面の例である。
【図6】 図5の元素選択ボタン50の拡大図である。
【図7】 図5の同位体情報51の拡大図である。
【図8】 図5の干渉イオン情報52の拡大図である。
【図9】 図5の干渉分子イオン情報53の拡大図である。
【図10】 図5の元素固有の情報54の拡大図である。
【図11】 測定時元素選択画面の例である。
【図12】 図11の元素選択ボタン61の拡大図である。
【図13】 図11の同位体情報62の拡大図である。
【図14】 図11の測定イオン63の拡大図である。
【図15】 図11の干渉イオン情報64の拡大図である。
【図16】 図11の干渉分子イオン情報65の拡大図である。
【図17】 測定結果表示の例である。
【図18】 本発明の他の干渉除外処理の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
1…分析計装置部、2…コンピュータ部、3…装置制御回路、
4…高周波電源、5…プラズマトーチ、6…質量分析装置、
7…イオン検知器、8…試料、9…霧化ガス、10…プラズマガス、
50、61…元素選択ボタン、51、62…同位体情報、
52、64…干渉イオン情報、53、65…干渉分子イオン情報、
54… 元素固有の情報。

Claims (8)

  1. 試料をイオン化して質量分析を行い、質量数毎のイオン量を測定する質量分析方法において、
    測定すべき元素を第1の測定対象として設定するステップと、
    予め記憶された元素の同位体情報を用いて前記設定された第1の測定対象に干渉する元素を検索するステップと、
    当該検索により干渉する元素が存在する場合、当該干渉元素の同位体の中から第2の測定対象を選択するステップと、
    前記第1の測定対象と第2の測定対象の測定を行うステップと、
    前記第2の測定対象のイオン量測定結果を用いて前記第1の測定対象のイオン量を算出するステップを有することを特徴とする質量分析方法。
  2. 試料をイオン化して質量分析を行い、質量数毎のイオン量を測定する質量分析方法において、
    測定すべき元素を第1の測定対象として設定を行うステップと、
    予め記憶された元素の同位体情報を用いて前記設定された第1の測定対象に干渉する元素を検索するステップと、
    当該検索により干渉する元素が存在する場合、当該干渉元素の同位体の中から他の干渉元素が存在しない同位体を検索し、第2の測定対象として選択するステップと、
    前記第1の測定対象と第2の測定対象の測定を行うステップと、
    前記第2の測定対象のイオン量測定結果を用いて前記第1の測定対象のイオン量を算出するステップを有することを特徴とする質量分析方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1の測定対象は、画面上に表示された元素名を選択し、当該選択された元素の同位体を表示し、表示された同位体中から選択されることを特徴とする質量分析方法。
  4. 請求項1または2において、
    前記第1の測定対象の干渉元素が複数存在する場合には、前記第2の測定対象は、複数選択されることを特徴とする質量分析方法。
  5. 請求項4において、
    前記第2の測定対象のイオン量から前記第1の測定対象に干渉している干渉元素のイオン量を算出し、第1の測定対象の質量数で測定されたイオン量から、当該干渉元素のイオン量を差引くことで前記第1の測定対象のイオン量を算出することを特徴とする質量分析方法。
  6. 試料をイオン化するイオン源と、イオン源によってイオン化された試料を質量分析する質量分析部と、質量分析された試料イオンを検出する検出部と、各部の設定及び検出結果の表示を行うための表示部及び入力部を備えたデータ処理部とを有する質量分析装置において、
    前記データ処理部は、元素の同位体および同位体存在比の情報が格納された記憶部を有し、且つ、前記表示部に、測定すべき元素を指定するための元素選択領域と、当該元素選択領域で選択された元素の同位体を表示する同位体情報領域とを備え、
    前記同位体情報領域に表示された同位体の中から何れかを選択することにより、前記データ処理部は、第1の測定対象を決定し、決定された第1の測定対象に干渉する元素を前記表示部に表示し、表示された干渉元素の同位体から第2の測定対象を決定し、前記第1の測定対象と第2の測定対象の測定を行い、前記第2の測定対象のイオン量測定結果を用いて前記第1の測定対象のイオン量を算出することを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項6において、
    前記表示部に、前記同位体情報領域で選択された同位体の干渉イオン情報を表示する干渉イオン情報領域を備えたことを特徴とする質量分析装置。
  8. 請求項7において、
    前記同位体情報領域及び前記干渉イオン情報領域に表示される情報は、前記記憶部に格納された情報を基に表示されることを特徴とする質量分析装置。
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