JP2004030763A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004030763A JP2004030763A JP2002184194A JP2002184194A JP2004030763A JP 2004030763 A JP2004030763 A JP 2004030763A JP 2002184194 A JP2002184194 A JP 2002184194A JP 2002184194 A JP2002184194 A JP 2002184194A JP 2004030763 A JP2004030763 A JP 2004030763A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid
- magnetic
- ultrasonic
- solution
- ferromagnetic powder
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
Abstract
【解決手段】非磁性の支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性塗料が塗設されてなる磁気記録媒体の製造方法。磁性塗料は、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aと、結合剤の溶液Bとからなり、液Aが超音波印加により分散処理され、しかる後に該液Aと前記溶液Bとが混合される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体の製造方法に係り、特に、低ノイズかつ高密度の塗布型磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体の高密度化には、テープ状の媒体では、一般的には、テープ長を長くして(テープ厚さを薄くして) 体積記録密度を上げる手法や、トラック幅を狭めて面積記録密度を上げる手法が、多くのシステムで使われてきた。
【0003】
その結果、テープ厚さが薄くなるに伴い、テープのエッジ強度不足が問題になっており、従来品より高強度で、高価な材質の支持体を使わざるを得ない状況になってきている。また、近年採用されている狭トラック幅化に対応すべく、サーボ技術が開発されているが、この技術は特にリニア系システムでは難しく、開発コストも莫大になる。
【0004】
上記の手法以外に、高密度化の手法として、線記録密度を上げる手法があるが、短波長記録化に伴うC/N(キャリア出力/ノイズ比)の低下が著しく、この手法の採用は見合わせられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課碩】
ところで、高密度化の手法として、最近、高感度のMRヘッドを再生ヘッドとして採用するシステムが増えている。この場合、磁気記録媒体に対して、媒体ノイズの低減と磁性層の極薄層化が要求されている。この媒体ノイズを下げる手法として、微粒でかつ均一な分布の磁性体を使用し、調液の際に磁性体を均一に分散させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、従来の調液法では磁性体と結合剤との初期接触が混練機等によって実施される。この際、凝集した磁性体粉末と高濃度の結合剤溶液とを高い剪断力をかけながら混合するため、微粒子の磁性体を使用した場合は、磁性体の濡れ性が低下して、磁性体の分散性が低下したり、混練で形成された磁性体の凝集が分散後においても解砕できなかったりする問題が発生した。また、磁性体の凝集はノイズ源になるばかりか、極薄の磁性層塗布におけるスジ等の欠陥起因にもなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決し、低ノイズの高密度塗布型磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、非磁性の支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性塗料が塗設されてなる磁気記録媒体の製造方法において、前記磁性塗料は、前記強磁性粉末と溶剤とからなる液Aと、前記結合剤の溶液Bとを含み、前記液Aが超音波印加により分散処理され、しかる後に該液Aと前記溶液Bとが混合されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0009】
本発明によれば、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aが超音波印加により分散処理され、しかる後に溶液Bと混合されるので、強磁性粉末の凝集粒子の解砕ができるとともに、強磁性粉末の凝集が防げるので結合剤の吸着が均一となる強磁性粉末の液が得られる。これにより、低ノイズの高密度塗布型磁気記録媒体に好適な磁性塗料が得られる。
【0010】
すなわち、磁性体の微粒子化に伴い、磁性体の表面積は増大する。そのため、強磁性粉末はより原料作製時に凝集した形態をとりやすくなっている。この磁性体の凝集は空気を内在した形をとっているが、磁性体の表面積が大きいため、結合剤溶液と初期接触した際に瞬時に脱泡することが難しく、磁性体表面の濡れが十分になされない状態になる。
【0011】
一般に圧密等の造粒により、粉体間の脱気を進め、溶液接触時の濡れ性を高める手法があるが、微粒子磁性体で圧密処理すると、その後の磁性塗料の分散処理でも解砕しづらい凝集を形成する問題がある。
【0012】
本発明の磁性塗料の調製法を使えば、強磁性粉末を溶剤に浸漬させた状態で超音波分散処理することにより、磁性体凝集中の脱気、及び、超音波のキャビテーションによる磁性体凝集の解砕の双方が同時に行えるため、二次凝集のサイズが小さく、かつ磁性体表面が溶剤に覆われて濡れ性が高まった液状態を作ることができる。
【0013】
この状態の液Aに結合剤の溶液Bを混合することにより、磁性体と結合剤との初期接触を均一にできるようになる。その結果、分散処理後に凝集ブツが少なく、磁気的に磁性体同士が結合していない磁性塗料を作製することができる。
【0014】
本発明において、前記強磁性粉末は長軸長さが10〜100nmの針状粒子であることが好ましい。また、本発明において、前記強磁性粉末は板径が10〜50nmの板状粒子であることが好ましい。このような形状の強磁性粉末に本発明を適用すれば、低ノイズの高密度塗布型磁気記録媒体に好適な磁性塗料が得られるからである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る磁気記録媒体の製造方法に使用される磁性塗料の製造装置10の好ましい形態について詳説する。図1は、磁性塗料の製造装置10の全体構成図であり、図2は、このうち超音波分散系16に使用される超音波分散機40の詳細断面図である。
【0016】
磁性塗料の製造装置10は、上流より、液A用超音波分散装置11、A液供給系12、B液供給系14、超音波分散系16、サンドミル分散系18、及び、磁性塗布液作製系20とより構成される。なお、A液供給系12とB液供給系14とは並行して設けられ、超音波分散系16の直前で合流するように配管される。
【0017】
液A用超音波分散装置11は、液Aと溶液Bとが混合される前に、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aを超音波印加により分散処理するための装置であり、バッチ式処理形態、フロー式処理形態のいずれの処理形態でもよい。すなわち、溶剤に浸漬させた強磁性粉末に超音波分散処理で発生するキャビテイ(空洞)をより多く、より均一に当てられるように液濃度や超音波分散での周波数、照射面積、循環回数等を設定できるものであればよい。図示の液A用超音波分散装置11はバッチ式処理形態のものである。
【0018】
液A用超音波分散装置11がバッチ式処理形態のものである場合、超音波の周波数は15〜1000KHzが好ましく採用できる。発生するキャビティの数の点では高周波が好ましく、発生するキャビティの破裂力の点からは低周波が好ましい。この点より、異なる周波数の超音波分散処理を併用することにより、より効果的に凝集した磁性体を解砕できる。
【0019】
単一の周波数で超音波分散処理をする場合は、周波数20〜40KHzで所定時間(消費電力)をかけることにより磁性体の解砕が可能である。周波数20KHzと40kHzとを比較した場合は、40kHzの方が超音波の照射面積を広げられる余地が大きく、かつ、液中のキャビティの生成破裂数が多い点で好ましい。周波数40kHzのバッチ型超音波分散機としては、市販の各種超音波洗浄機等を使用できる。メーカー等は特に限定されない。
【0020】
なお、超音波分散処理をバッチ式処理形態で行なう際に、超音波の照射面積より小さい径を有するガラス製、プラスチック製等の密閉容器に処理前の液Aを入れて、超音波照射部の上に配することが好ましい。又、超音波の照射面積より大きい径を有する容器に処理前の液Aを入れる場合はスターラで攪拌をする形をとることがより好ましい。
【0021】
液A用超音波分散装置11がフロー式処理形態のものである場合、フロー処理用の市販の超音波分散機の周波数は20kHz前後が一般的である。したがって、液Aの循環回数を確保することにより液中のキャビティの生成破裂数を確保し、凝集した磁性体の解砕を促進することが好ましい。また、液A用超音波分散装置11を直列に複数個設ける構成も採用できる。又、磁性体の沈降対策として高流量で処理することが好ましい。
【0022】
この種の超音波分散機としては、たとえば、日本精機製作所製のフロー型超音波分散機、商品名:US−1200TCVPが使用できる。この装置の仕様は、周波数が20KHz、MAX振幅が30μm、定格出力が1200W、照射部とホルダとの間隔が3mm、等である。この超音波分散機は、超音波の照射ゾーンが直径50mmの円状であり、照射面積を大きく確保できる点より好ましい。
【0023】
液Aを供給するA液供給系12と溶液Bを供給するB液供給系14とは、いずれも液槽と液供給手段等より構成される。すなわち、A液供給系12においては、液槽21と、液槽21内に先端が配されるスターラ22と、液槽21からの給液配管23と給液ポンプ24とより構成される。同様に、B液供給系14においては、液槽25と、液槽25内に先端が配されるスターラ26と、液槽25からの給液配管27と給液ポンプ28とより構成される。
【0024】
上記のA液供給系12とB液供給系14とに使用される各種構成部材は、公知の各種部材が使用できる。ただし、磁気記録媒体の磁性塗料という液の性質より、コンタミネーションを生じず、腐食が生じない材質のものを採用することが好ましい。
【0025】
超音波分散系16において、フロー型の超音波分散機40、60及び62が3台直列に設けられている。これら3台には、同一仕様の装置が採用されている。これらの超音波分散機40、60及び62は装置の下面から液が供給され、装置の側面から液が排出される構成のものである。このように3台の超音波分散機40、60及び62を直列に設けることにより、強磁性粉末の凝集粒子を確実に解砕できるとともに、強磁性粉末と結合剤との均ーな混合が可能になる。
【0026】
図2において、超音波分散機40の液槽42は円筒状の容器であり、下端部に逆Y型配管30の真直部(液供給部)32が接続されている。そして、側面上部の1箇所には配管38(液排出部)が接続されている。逆Y型配管30は、先端が二又に分岐しており、液Aよりの配管34と溶液Bよりの配管36とが合流して真直部32となる。
【0027】
このような逆Y型の配管構成とすることにより、液Aと溶液Bとが混合された後、所定時間を経過してから超音波分散機40の液槽42に流入し超音波が印加される。したがって、同様の作用を奏することができれば、この逆Y型配管30をT型(逆T型または横T型)形状の配管に代えても同様の機能が得られる。
【0028】
超音波分散機40の液槽42の上端部は、後述する振動子44のフランジ50により塞がれて密閉容器を形成する。この液槽42の内部には円柱状の振動子44が配置され、液槽42内部を通過する液体に超音波が印加できるようになっている。なお、フランジ50は振動子44と一体に形成されている。
【0029】
振動子44の上端部にはコンバータ46が固着されており、コンバータ46にはパワーサプライ48より給電がなされる。したがって、超音波分散機40が起動されると、コンバータ46により超音波振動が励起され、振動子44により液槽42内に超音波が印加される。
【0030】
本構成の超音波分散機40においては、振動子44の下端と液槽42の底面との間隔が3mmとなるように構成されている。この構成の超音波分散機40では、超音波が有効に印加される部分は振動子44の下端より下側に半球状をなすゾーン52(図2のハッチング部分)であり、これ以外のゾーンでの超音波の効果はゾーン52より遥かに劣る。
【0031】
既述のように、超音波分散機40の下流には超音波分散機60及び62が相次いで配される。この超音波分散機60及び62は、既述のように超音波分散機40と同一の構成であるので、説明を省略する。ただし、それぞれの超音波分散機60及び62の上流側に接続される配管は、真直状の配管である点で超音波分散機40と相違する。
【0032】
以上に記載したようなフロー型の超音波分散機40、60及び62としては、たとえば、既述の日本精機製作所製のフロー型超音波分散機、商品名:US−1200TCVPが使用できる。この装置の仕様は、既述したゆえ省略する。
【0033】
また、超音波分散機40、60及び62の入・出側の配管内径は14mmであり、逆Y型配管30の真直部(液Aと溶液Bとの混合部から液槽42の入口まで)の配管容積は3cm3 である。
【0034】
図1において、超音波分散系16の下流の配されるサンドミル分散系18は、液槽70と、液槽70内に先端が配されるスターラ72と、液槽70からの給液配管74と給液ポンプ76と、サンドミル分散機78と、サンドミル分散機78から液槽70への戻り配管80とより構成される。
【0035】
このサンドミル分散系18において、超音波分散系16より流入した液は、サンドミル分散機78により繰り返し循環されるとともに、その一部が下流の磁性塗布液作製系20に供給されるような構成となっている。
【0036】
このサンドミル分散系18は、液Aと溶液Bとの混合液の強磁性粉末を更に分散させることを目的とするもので、これに使用される各種構成部材は、公知の各種部材が使用できる。ただし、磁気記録媒体の磁性塗料という液の性質より、コンタミネーションを生じず、腐食が生じない材質のものを採用することが好ましい。
【0037】
サンドミル分散系18の下流の配される磁性塗布液作製系20は、液槽82と、液槽82内に先端が配されるスターラ84と、液槽84からの給液配管86と、フィルタ88と、フィルタ88からの配管90とより構成される。また、液槽82では、潤滑剤及び溶剤よりなるC液と、添加剤溶液(カーボンブラックと研磨剤よりなる)であるD液が新たに加えられるようになっている。
【0038】
この磁性塗布液作製系20において、磁性塗料は最終的に調合され、フィルタ88を経ることにより、異物が除去され、磁性塗料として塗布工程に供給されることとなる。
【0039】
以下、磁性塗料の製造装置10を使用した磁性塗料の製造について説明する。本発明に使用される強磁性粉末としては、各種の材料が使用できるが、強磁性粉末が六方晶フェライトである場合は、板径が、好ましくは10〜50nm、より好ましくは10〜35nmで、板比が2以上のものが、強磁性粉末が強磁性金属粉末である場合は、長軸長が、好ましくは10〜100nm、より好ましくは10〜60nmで、軸比が2以上のものが使用できる。この強磁性粉末のパーティクルサイズとしては、平均一次粒子体積が10000nm3 以下のものが、好ましく使用できる。
【0040】
液Aにおいて、強磁性粉末を浸漬する溶剤は、シキロへキサノンを含む溶液が好ましい。シキロヘキサノンの含有率は全溶剤量の30〜100重量%であることが好ましい。シキロヘキサノン以外の溶液としては、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸ブチル等を使用することが好ましい。
【0041】
液Aの液濃度は、5〜80重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、25〜50重量%が更に好ましい。液濃度の上限は浸透しやすさから規定され、液濃度の下限は超音波分散の効率により規定される。
【0042】
液A用超音波分散装置11により超音波分散処理がなされた液Aは、A液供給系12の液槽21に入れられ、スターラ22で攪拌される。
【0043】
B液供給系14において、結合剤の溶液Bの濃度は、液粘度がビスメトロンで10Pa・s(100P)以下とするのが好ましく、1Pa・s(10P)以下とするのがより好ましく、0.1Pa・s(1P)以下とするのが最も好ましい。
【0044】
液Aと溶液Bとを混合する際の、溶液Bの磁性体に対する結合剤比率は100重量部に対して0.5〜30重量部とするのが好ましく、2〜15重量部とするのがより好ましい。また、膜強度確保の点、分散性確保の点等より、必要な結合剤は分散進度に伴い途中で添加していくことが、分散効率を高めることができるので好ましい。
【0045】
磁性塗料の製造装置10による磁性塗料の処理速度は、装置のサイズ、各液の濃度、各液の組成等によりそれぞれ異なるが、たとえば、磁性塗料の製造装置10の超音波分散系16の入口に当る逆Y型配管30において、液Aと溶液Bとをそれぞれ流量500g/分で混合できる。この場合、逆Y型配管30が既述の構成であれば(真直部の配管容積が3cm3 )、液Aと溶液Bとが混合された後、0.18〜0.32秒(混合液比重1〜1.8g/cc)経過してから超音波が印加されることとなる。
【0046】
磁性塗料の製造装置10によって得られた磁性塗料による磁気記録媒体の製造は、公知の各種製法が採用できる。たとえば、磁性塗料の塗布手段としては、アプリケーション系では、ローラ塗布方法、ディップ塗布方法、ファウンテン塗布方法等が、計量系では、エアーナイフ塗布方法、ブレード塗布方法、バー塗布方法等が採用できる。また、アプリケーション系と計量系とを同一の部分で担当するものとして、エクストルージョン塗布方法、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法等が採用できる。
【0047】
製造される磁気記録媒体の磁性層の厚さは、乾膜で0.02〜3μmが好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。また、磁性層と非磁性支持体との間に非磁性粉末と結合剤を主体とした非磁性層を設けた層構成とするのが好ましい。特に、磁性層を薄層とする構成では、凝集した磁性体の解砕による塗布スジの低減が可能になるので、短波長領域でのC/N低下を抑制して媒体性能を向上させるだけでなく、生産性を向上できるというメリットもある。
【0048】
以上、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0049】
たとえば、本実施形態の例では、液A用超音波分散装置11としてバッチ式処理形態のものが採用されているが、超音波分散系16で使用されているような、フロー型の超音波分散機40等を採用する形態でもよい。
【0050】
また、超音波分散系16において、フロー型の超音波分散機40、60、62が、サンドミル分散系18において、サンドミル分散機78が、それぞれ採用されているが、それらの処理順を逆転させたり、サンドミル分散系18の後に更に超音波分散系を入れることもできる。又、液Aと液Bを混合する超音波分散機40に代えて他の方式の混合手段を各種採用できる。他の方式の混合手段としては、ディゾルバー型攪拌機、ホモミクサー攪拌機、薄層旋回型高速攪拌機(たとえば、特殊機化工業社製)等が挙げられる。
【0051】
【実施例】
次に、本発明の実施例を、比較例と対比して説明する。なお、以下の各例において、「部」の表示は「重量部」 を意味する。
【0052】
以下の各例は、磁性層と非磁性支持体との間に非磁性粉末と結合剤を主体とした非磁性中間層を設けた層構成を採用した。
【0053】
そして、本発明の実施例である例1は、図1に示される構成の磁性塗料の製造装置10の液A用超音波分散装置11で強磁性粉末と溶剤とからなる液Aに超音波を印加して分散処理し、その後、結合剤の溶液Bと混合し分散処理がなされた磁性塗料を使用した例である。
【0054】
これに対し、比較例である例2は、強磁性粉末として板径26nm、板比3のバリウムフェライトを使用して、磁性液の調液に際してオープンニーダーにより強磁性粉末と結合剤溶液を接触させ、混練して液を作製した上で、分散処理がなされた磁性塗料を使用した例である。
【0055】
比較例である例3は、例1(実施例)と異なり、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aに超音波による分散処理をすることはせず、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aと、結合剤の溶液Bとをディゾルバー型攪拌機により攪拌混合するとともに、サンドミル分散機で処理がなされた磁性塗料を使用した例である。
【0056】
以下、例1〜例3の各構成について、共通する部分は一括して、それぞれ異なる部分は個別に説明する。
【0057】
(1)非磁牲中間層の構成(例1〜例3で共通)
非磁性粉体 α−Fe2 O3 80部
平均長軸長 0.1μm
BET法による比表面積 48m2 /g
pH8、 Fe2 O3 含有量 90パーセント以上
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理剤Al2 O3
カーボンブラック 20部
平均一次粒子径 16μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法による比表面積 250m2 /g
揮発分 1.5%
塩化ビニル共重合体 8部
日本ゼオン社製MR−110
ポリエステルポリウレタン樹脂 4部
ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1
SO3 Na基 1×10−4eq/g含有 Tg 65℃
フェニルホスホン酸 3部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 100部
上記の非磁性中間層の塗料は、ステアリン酸とブチルステアレートを除く各成分をオープンニーダで混練したのち、横型循環タイプのピン型サンドミル分散機(2Lタイプ)に小径ジルコニアビーズ(径0.5mm) をビーズ充填率80%で詰めて、ピン先端周速が12m/秒で、流量0.5kg/分で分散滞留時間が60分になるよう分散処理した。
【0058】
分散した液にポリイソシアネートを3部加え、更にステアリン酸とブチルステアレートを1部ずつ添加し、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンで溶解した液(メチルエチルケトン:シクロヘキサノン=36部:24部)を添加攪拌して、固形分濃度28%、溶剤比率がメチルエチルケトン:シクロヘキサノン=6:4である非磁性塗布液を作製した。この非磁性塗布液は1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し調整した。
【0059】
(2)磁性層の構成(磁性液と添加剤溶液とを示す。他は省略する)
a)添加剤ペースト液(添加剤溶液)(例1〜例3で共通)
α−アルミナ( 粒子サイズ0.18μm) 4.5部
カーボンブラック( 粒子サイズ0. 10μm) 0.5部
MR110 0.45部
シクロヘキサノン 9.2部
添加剤ペースト液は、カーボンブラック:アルミナ:MR110:シクロヘキサノン=5:45:4.5:50.5の比率とし、このペースト液を磁性液とは別にフロー型の超音波分散機(1200W、周波数2 0 KHz、照射部面の直径50mm、照射部とホルダーとの間隔3mm、振幅30μm)を用いて流量300g/分で2パス処理した。
【0060】
実施例の磁性塗布液作製は、液Aとして、強磁性粉末:シクロヘキサノン=100部:150部の比率になるように配合して行なった。前攪拌として、内径50mmの円筒状容器(底面はフラット、厚さ2mm、素材はガラス、高さ100mm、蓋付き)に液A(混合液)を100g入れ、BRANSON社製の超音波洗浄機、型番:BRANSONIC220(仕様:125W、照射面の直径50mmで発振部が2箇所、周波数40KHz)に水を張りながら、上記混合液を入れた円筒状容器を配して処理した。
【0061】
超音波洗浄機の発振部の真上に円筒状容器を配し、溶剤浸漬後(混合後)1分以内に超音波処理を実施した。超音波処理時間は30分とした。
【0062】
別途、溶液Bとして、ディゾルバー型攪拌機により作製した、MR110:シクロヘキサノン:メチルエチルケトン=10:20:20(液固形分濃度20%)の結合剤溶液を準備しておいた。
【0063】
液Aと溶液Bとの混合は、ディゾルバー型攪拌機により周速18m/秒で30分攪拌混合し、分散処理を行なった。
【0064】
その後、サンドミル分散系18において、この混合液を構型循環タイプ(2Lタイプ)のピン型サンドミル分散機78で処理した。処理条件は、小径ジルコニアビーズ(径0.5mm) をビーズ充填率80%で詰めて、ピン先端周速が10m/秒で、流量0.5kg/分で分散滞留時間が30分になるようにして分散処理した。
【0065】
[例2]
比較例として、強磁性粉末として板径26nm、板比3のバリウムフェライトを使用して、磁性液の調液に際してオープンニーダーにより強磁性粉末と結合剤溶液を接触させ、混練して液を作製した上で、分散処理を行なった。強磁性粉末の調合比率は例1と同様である。
【0066】
より詳細には、強磁性粉末、結合剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンをオープンニーダで混練したのち、横型循環タイブのピン型サンドミル分散機(2Lタイプ)に小径ジルコニアビーズ(径0.5mm) をビーズ充填率80%で詰めて、ピン先端周速が10m/秒で、流量0.5kg/分で分散滞留時間が30分になるようにして分散処理した。
【0067】
[例3]
比較例として、液Aの超音波分散処理をすることはせず、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aと、結合剤の溶液Bとをディゾルバー型攪拌機により周速18m/秒で攪拌混合するとともに、サンドミル分散機で処理した。すなわち、ディゾルバー型攪拌機と横型循環タイプのピン型サンドミル分散機とを配管で連結し、流量5kg/分で循環させ、30分処理を行なった。強磁性粉末の調合比率は例1と同様である。
【0068】
次に、図1に示される磁性塗布液作製系20において、上記例1〜例3の磁性液と既述の添加剤ペースト液とを混合して磁性塗料を作成する工程について説明する。
【0069】
磁性塗布液作製系20の液槽82に磁性塗布液と添加剤ペースト液を入れ、スターラ84により混合、攪拌し、更にステアリン酸0.5部とブチルステアレート1.5部をメチルエチルケトン50部とシクロヘキサノン30部で溶解した液を添加、攪拌して磁性塗布(磁性塗料)を作製した。磁性塗布液は1μmの平均孔径を有するフィルター88を用いて濾過し調整した。
【0070】
磁気記録媒体としての磁気テープは、以下の工程で製造した。非磁性の支持体として、厚さ5.2μmでAFMの粗さスペクトルで波長4.3μmの粗さ成分強度が0.03nm2 のポリエステルナフタレートを使用した。
【0071】
非磁性層塗布液の乾燥後の厚さが1.5μmになるように、更にその直後に、その上に磁性層の乾燥後の厚さが0.1μmになるように、この支持体上に同時重層塗布を行なった。非磁性層と磁性層の両層がまだ湿潤状態にあるうちに3000Gの磁力をもつコバルト磁石と1500Gの磁力をもつソレノイドにより配向させて乾燥させた後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダー装置で、温度85°C、線圧力350kg/cm、速度50m/分の条件で処理を行い、6.35mmの幅にスリット処理して磁気テープを製造した。
【0072】
この例1〜例3の磁気テープの評価を以下の2項目において実施した。すなわち、ブツの数とクラスターサイズである。
【0073】
ブツの数は、所定面積あたりの斑点状凝集ブツの数を光学顕微鏡によりカウントして評価した。500倍の視野で8視野分の数を合計してブツ数とした。なお、500倍の視野で8視野分の面積は0.1768mm2 に該当する。
【0074】
例1(本発明の実施例)では、ブツ数は1個であった。これに対し比較例である例2、例3では、ブツ数はそれぞれ140個、40個であった。
【0075】
クラスターサイズは、MFM(磁気力顕微鏡)により測定した。例1(本発明の実施例)では、クラスターサイズは10000nm2 であった。これに対し比較例である例2、例3では、クラスターサイズはそれぞれ29000nm2 、17000nm2 であった。
【0076】
以上、本発明の実施例と比較例とを比較した場合、例1(本発明の実施例)は例2(比較例)に比べて、磁性層表面を光学顕微鏡で観察した際の斑点状の凝集ブツの個数が少なく、また、MFMによる磁化クラスターサイズも小さいことが解り、本発明の効果が確認できる。
【0077】
例3(比較例)は、例2(比較例)に比べてブツの個数が少なく、また、MFMによる磁化クラスターサイズも小さいことが解るが、本発明の実施例と比べると明らかに劣ることが解る。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、強磁性粉末と溶剤とからなる液Aが超音波印加により分散処理され、しかる後に溶液Bと混合されるので、強磁性粉末の凝集粒子の解砕ができるとともに、強磁性粉末の凝集が防げるので結合剤の吸着が均一となる強磁性粉末の液が得られる。これにより、低ノイズの高密度塗布型磁気記録媒体に好適な磁性塗料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に使用される磁性塗料の製造装置の全体構成図
【図2】超音波分散系に使用される超音波分散機の詳細断面図
【符号の説明】
10…磁性塗料の製造装置、11…液A用超音波分散装置、12…A液供給系、14…B液供給系、16…超音波分散系、18…サンドミル分散系、20…磁性塗布液作製系
Claims (1)
- 非磁性の支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性塗料が塗設されてなる磁気記録媒体の製造方法において、
前記磁性塗料は、前記強磁性粉末と溶剤とからなる液Aと、前記結合剤の溶液Bとを含み、
前記液Aが超音波印加により分散処理され、しかる後に該液Aと前記溶液Bとが混合されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002184194A JP4450544B2 (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 磁気記録媒体の製造方法 |
US10/601,593 US7297363B2 (en) | 2002-06-25 | 2003-06-24 | Method for producing magnetic recording medium |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002184194A JP4450544B2 (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004030763A true JP2004030763A (ja) | 2004-01-29 |
JP4450544B2 JP4450544B2 (ja) | 2010-04-14 |
Family
ID=31180168
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002184194A Expired - Fee Related JP4450544B2 (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4450544B2 (ja) |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184194A patent/JP4450544B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4450544B2 (ja) | 2010-04-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Homola et al. | Novel magnetic dispersions using silica stabilized particles | |
JP6046189B2 (ja) | 六方晶フェライト粉末および磁気記録媒体 | |
US7635499B2 (en) | Method of manufacturing magnetic recording medium | |
JP4450544B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP4450543B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP3924781B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2004030764A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
US7297363B2 (en) | Method for producing magnetic recording medium | |
JP2004292948A (ja) | 磁性粒子の製造方法及び磁性粒子並びに磁気記録媒体 | |
KR950009545B1 (ko) | 자성도료의 제조방법 | |
JP4583861B2 (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPS61238362A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法及びその装置 | |
JP2005243191A (ja) | 磁性塗料の製造方法と、磁気記録媒体の製造方法 | |
JP3835722B2 (ja) | 磁性塗料および磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2005262052A (ja) | 被分散液の分散処理方法及び装置 | |
JPS61229236A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS6236472A (ja) | 磁性塗料の製造方法 | |
US8801496B2 (en) | Reducing agglomeration of particles while manufacturing a lapping plate using oil-based slurry | |
JPS61248230A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2004146041A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP3890431B2 (ja) | 磁気記録用塗布液の製造方法 | |
JPS6053572A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP4378079B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2004220649A (ja) | 分散装置および磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS6054726A (ja) | 液体の混合・分散装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050222 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060719 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060814 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061013 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20070112 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070205 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070404 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20070601 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20070622 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100126 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4450544 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130205 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140205 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |