JP4378079B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高記録密度特性に優れた塗布型磁気記録媒体および、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化にともない、1巻当たり数10〜100GBの記録容量のものが商品化されている。また、今後1TBに迫る大容量バックアップテープが提案されており、その高記録密度化は不可欠である。
【0003】
このような高記録密度化に対応するため、磁気テープを製造するに際しては、微粒子化かつ磁気特性を向上させた磁性粉の使用、磁性粉のさらなる充填性、分散性の向上が必要であり、また、短波長記録になればなるほど、記録、再生時の反磁場による減磁を小さくするために磁性層厚さを小さくすることが必要となってきている。
【0004】
磁性粉の磁気特性の改善にあたっては、磁性層の残留磁化の大きい方が高出力化に望ましい。このため、磁性粉として、従来の酸化物磁性粉やCo含有酸化鉄磁性粉に代わり、強磁性合金粉を用いることが主流になりつつあり、例えば保磁力120kA/m(1500Oe)以上の強磁性合金粉も提案されている(参考特許:特開平5−234064号公報、特開平6−25702号公報、特開平6−139553号公報など)。
【0005】
磁性層の磁気特性を改善するには、強磁性粉の高充填化や分散性の向上が効果的である。強磁性粉の高充填化を図る手段としては、磁性塗料成分を、高固形分濃度状態で高剪断力を付与しながら混練する手法、例えば特許文献1〜特許文献3に開示されているような、連続式2軸混練機を使用した手法などが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−338055号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開平10−308022号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開平7−14158号公報(第2−4頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高密度磁気記録媒体(例えば1TBに迫り、越える大容量に対応)を作製するにあたり、上記のような従来公知の技術では、本発明の平均粒子径が10〜65nmの範囲からなる表面エネルギーや磁気的な凝集力が大きい超微粒子磁性粉に対しては、十分分散させることが困難で、かつ高充填化できなかった。その結果、優れた磁気特性、および優れた平滑性を有する安定な薄層の磁性層を形成することができず、出力や出力対ノイズ比(S/N)を満足させることができなくなってきた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、高密度磁気記録媒体において、1TBに迫り、越える大容量に対応するための出力、S/Nを有する磁気記録媒体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、非磁性支持体の一方の面に、非磁性粉とバインダ樹脂とを含む下塗層と、該下塗層の上に磁性粉とバインダ樹脂とを含む磁性層と、非磁性支持体の他方の面に、非磁性粉とバインダ樹脂とを含むバックコート層を有する磁気記録媒体の製造方法において、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
前記磁性層を、乾燥、カレンダ後の厚さが0.01〜0.15μmの範囲に形成し、前記磁性層形成に用いる磁性塗料を、高速撹拌混合機を用いて、平均粒子径が10〜65nmの範囲の磁性粉末が少なくとも溶剤を含んで湿潤される混合工程と、前記混合湿潤された磁性粉末が連続式2軸混練機の搬送部位にて、樹脂固形分で磁性粉100重量部に対し0〜15重量部の範囲の樹脂液(溶剤のみの場合を含む)と混合された後、混練部位に送られる工程を含む混練工程とを経て製造されることを特徴とする。さらに、前記連続式2軸混練機における搬送部位にて添加する樹脂液の添加量が、高速攪拌混合機にて添加する樹脂固形分と搬送部位にて添加する樹脂固形分との合計量が磁性粉100重量部に対し2〜25重量部にすることが好ましい。このような構成にすれば、薄層磁性層にて高充填化と超平滑化とを両立させることができ、結果として優れた電磁変換特性(出力、S/N)を有する磁気記録媒体が得られる。
【0011】
【発明実施の形態】
本発明では、高い分解能を得るため、磁性層の厚さは0.01〜0.15μmの範囲にあるものが好ましく、0.05〜0.12μmの範囲にあるものがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、磁性層の厚さが0.01μm未満では、十分な出力が得られなかったり、厚さむらが大きくなってノイズが大きくなるためである。磁性層の厚さが0.15μmを越えると、分解能が低下し短波長記録特性が低下する。
【0012】
磁気記録媒体における出力特性やS/N特性を改善するために、磁性層中に含ませる磁性粉の平均粒子径は、10〜65nmの範囲にあるのが好ましく、15〜50nmの範囲がより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満では、粒子の表面エネルギーが大きくなって分散が困難になり、平均粒子径が65nmを越えるとノイズが大きくなるためである。磁性粉としては、強磁性鉄系金属磁性粉や窒化鉄磁性粉,板状の六方晶Ba−フエライト磁性粉等が好ましい。
【0013】
強磁性鉄系金属磁性粉には、Mn 、Zn 、Ni 、Cu 、Co などの遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co 、Ni が好ましく、とくにCo は飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。上記の遷移金属元素の量としては、鉄に対して、5〜50 原子%とするのが好ましく、10〜30 原子%とするのがより好ましい。また、イツトリウム、イツテルビウム、セシウム、プラセオジウム、サマリウム、ランタン、ユ―ロピウム、ネオジム、テルビウムなどから選ばれる少なくとも1 種の希土類元素を含ませても良い。その中でも、ネオジムとサマリウム、テルビウム、イツトリウムを用いたときに、高い保磁力が得られ好ましい。希土類元素の量は鉄に対して0.2〜20 原子%、好ましくは0.3〜15 原子%、より好ましくは0.5〜10 原子%である。
【0014】
強磁性鉄系金属磁性粉にホウ素を含ませてもよい。ホウ素を含ませることにより、平均粒子径が50nm以下の粒状ないし楕円状の超微粒子が得られる。また同ホウ素の量は、磁性粉末全体中、鉄に対して0.5〜30 原子%、好ましくは1〜25 原子%、より好ましくは2〜20 原子%である。上記両原子%は、蛍光X線分析により測定される値である(参考特許:特開2001−181754号公報)。
【0015】
窒化鉄磁性粉は,公知のものを用いることができ,形状は針状の他に球状や立方体形状などの不定形のものを用いることができる。粒子径や比表面積については磁気記録用の磁性粉としての要求特性をクリアするためには,限定した磁性粉末の製造条件とすることが必要である(参考特許:特開2000−277311号公報)。
【0016】
強磁性鉄系金属磁性粉および窒化鉄磁性粉の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、80〜200A・m2 /kg(80〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2 /kg(100〜180emu/g)がより好ましい。
【0017】
強磁性鉄系金属磁性粉および窒化鉄磁性粉の平均粒子径としては、10〜65nmが好ましく、15〜50nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満となると、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中での分散が困難になったり、平均粒子径が65nmより大きいと、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるためである。また、この強磁性粉末のBET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。通常100m2 /g以下である。
【0018】
六方晶Ba−フエライト磁性粉の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、40〜70A・m /kg(40〜70emu/g)が好ましい。なお、これらの強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1273.3kA/m(16kOe)での測定値をいうものである。また,粒径(板面方向の大きさ)は10〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。粒径が10nm未満となると、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中への分散が困難になり、50nmを越えると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。なお、上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径)を実測し、100個の平均値により求めたものである。また、板状比(板径/板厚)は2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、六方晶Ba−フエライト磁性粉のBET比表面積は、1〜100m2 /gが好ましく用いられる。
【0019】
一般的に、磁気記録媒体の磁性塗料を製造するにあたって、少なくともニーダ、コンティニアスニーダ等で磁性塗料成分を練りこむ混練工程、サンドミル等の微小メデイア回転型分散装置による分散工程、そして必要に応じ、これらの工程の前後に混合工程が設けられる。
【0020】
本発明では、混練の前工程として高速攪拌混合機による混合工程を、また、連続式2軸混練機を使用する混練工程を設ける塗料製造方法を適用する。これにより、磁性層中の磁性粉の充填性を最大限にまで向上させることができ、高い残留磁化が得られるので好ましい。
【0021】
高速攪拌混合機を使用するのは、単一粒子にまで樹脂を被覆させ均一な表面処理を行うこと、そしてそれに付随して湿潤磁性粉末の搬送性を向上させるためである。高速攪拌混合機を用いてなる湿潤磁性粉末は、磁性粉、樹脂、溶剤およびその他の添加成分により構成される。高速攪拌混合機を使用した混合工程については、公知の方法で行うことができる(参考特許:特開平7−14149号公報、特開2002−275504号公報など)。
【0022】
また、高速攪拌混合機については、本発明では、例えば、ホソカワミクロン社製アグロマスタのような転動流動効果を利用したガス吹上げ式攪拌機、同社製のサイクロミックスやメカノフュージョンシステム、松山重工業社製アキシャルミキサのような回転式混合機、三井鉱山社製ヘンシェルミキサ等を用いることができる。
【0023】
連続式2軸混練機を用いた先行技術としては、特許文献1〜特許文献3が挙げられる。特許文献1および特許文献2では、高充填の磁性塗膜を得るために、高固形分濃度で圧密混錬を行い、最終のサンドミル分散工程に送るための希釈工程を連続式2軸混練機中で段階的に行うことが開示されている。高固形分濃度で圧密混錬を行った混練物は、うまく希釈しないと固い凝集物が残りサンドミル工程でも分散されないからである。このように、これらの文献で開示された技術は、連続式2軸混練機における混練部位の次の希釈部位に関する技術であり、本発明の、混練部位の前の搬送部位にて溶剤または樹脂液を添加する技術とはまったく異なるものである。さらに、これらの文献では、磁性粉が比表面積45m2/gのものを使用しており、本発明が対象としている平均粒子径が10〜65nmの範囲にある超微粒子磁性粉(比表面積が概ね60m2/g以上)よりもかなり大粒子径の磁性粉を対象とした技術であり本発明にあるような超微粒子磁性粉を高充填、高分散するには不十分である。また、特許文献3では、搬送部(スクリュー部)に磁性粉投入口と樹脂液投入口とを有する構成の連続式2軸混練機が開示されており、本発明の連続式2軸混練機の構成と類似しているが、この文献では、本発明の必須の構成要素である、連続式2軸混練機の混練工程に入る前の、磁性粉末が少なくとも溶剤を含んで湿潤される高速撹拌混合機工程が発明の構成要素となっていない、そのために必然的に連続式2軸混練機の原料供給部にて磁性粉、樹脂液を投入する投入口が必要なために、それぞれの投入口が設けられているのであって、後述するところの本発明の狙いである混練部位における樹脂液による緩衝作用は働かない。また、混練工程に入る前の、磁性粉末が少なくとも溶剤を含んで湿潤される高速撹拌混合機工程がないために本発明が対象としている平均粒子径が10〜65nmの範囲にある超微粒子磁性粉に対しては十分な混練が行えず、本発明の目的とする高密度磁気記録媒体の提供は困難であり、本発明とは異なるものである。
【0024】
本発明において、磁性塗料を製造するにあたって使用する連続式2軸混練機の構成を図1に示す。この連続式2軸混練機は、湿潤磁性粉末供給ユニット1と、樹脂液注入ユニット2と、希釈溶剤注入ユニット3〜5と、塗料排出口6と、回転軸7と、スクリュー8と、パドル9と、バレル10〜20とを有する。このうち、バレル10〜11を配置した部分が搬送部位、バレル12〜15を配置した部分が混練部位、バレル16〜17を配置した部分が混練希釈部位、バレル18〜20を配置した部分が希釈部位である。
【0025】
また、連続式2軸混練機については、本発明では、例えば栗本鐵工所製KEX−30、KEX−40、KEX−50、KEX−65、KEX−80、日本製鋼所製TEX30αII、TEX44αII、TEX65αII、TEX77αII、TEX90αII等を用いることができる。
【0026】
前述したように高分解能、高S/Nの磁気記録媒体を得るには、磁性粉の平均粒子径が10nmから65nmの範囲にあることが好ましいが、高速攪拌混合機および連続式2軸混練機を用いた従来の塗料製造過程では、その磁性粉の性能を十分に発揮できず、得られた媒体においては分解能、S/Nが逆に低下した。その理由としては、本発明にある磁性粉は微粒子であるため、予め高速撹拌混合機にて混合を行ったとしても、単一粒子にまで樹脂が被覆できておらず、磁性粉が凝集した状態でバインダ樹脂等が被覆しているため、次工程である連続式2軸混練機の混練部位にていきなり高剪断力を加えると樹脂で被覆されていない磁性粉同士がさらに強固に凝集することになり、その後の、サンドミル等の微小メデイア回転型分散装置による分散工程でも、これらの凝集体が分散できなくなるためである。
【0027】
そこで、本発明者らは平均粒子径が10〜65nmの範囲にある微粒子磁性粉において磁気的なエネルギーを最大限に発揮させるために高充填化し、かつ高分散させる製法について鋭意検討を行ったところ、磁性塗料を得るにあたり、磁性塗料成分を少なくとも高速撹拌混合機にて混合処理し、得られた湿潤磁性粉末を連続式2軸混練機において、樹脂液注入ユニット2から混練にさしかかる前の段階である搬送部位にて、磁性粉100重量部に対し0〜15重量部、さらに好ましくは2.0〜10重量部の樹脂固形分を含む樹脂液を添加して混練ペースト化すれば、前記した凝集現象が起こらず、高剪断力による高分散、高充填ができることを見いだした。このメカニズムについては、以下のように考えられる。搬送部位にて樹脂液を添加した場合、湿潤磁性粉末が搬送部位において添加されたその樹脂液によって包まれることなり、この状態で高剪断力をかけたとしても、湿潤磁性粉末の周りを包んだ樹脂液が緩衝材として作用するために局部的なエネルギーが直接磁性粉にかからなくなる。このことによって、磁性粉同士の凝集を防御することができ、樹脂液で包まれた状態で徐々に、高分散、高充填されていくためと推定される。樹脂液中の樹脂固形分が15重量部を越えると、磁性層中の磁性粉の割合が相対的に小さくなるので、出力が低下する。なお、搬送部位にて添加する樹脂液は、ポリウレタン樹脂液であることが好ましく、樹脂液の固形分濃度は、0〜40重量%であることが好ましい。
【0028】
次に、本発明の磁気記録媒体の構成要素についてさらに詳述する。
<非磁性支持体>
非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、好ましくは、2.0〜7.0μmのものが使用される。より好ましくは2.5〜5.0μm,最も好ましくは3.0〜4.0μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2.0μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7.0μmを越えるとテープ全厚が大きくなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
【0029】
本発明に用いる非磁性支持体の長手方向のヤング率は、6.8GPa(700kg/mm2 )以上が好ましく、8.8GPa(900kg/mm2 )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が6.8GPa(700kg/mm2 )以上がよいのは、長手方向のヤング率6.8GPa(700kg/mm2 )未満では、テープ走行が不安定になるためである。また、ヘリキャルスキャンタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、0.60〜0.80の特異的範囲が好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.65〜0.75の範囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.60〜0.80の特異的範囲がよいのは、0.60未満または0.80を越えると、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。このばらつきは長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が0.70付近で最小になる。さらに、リニアレコーディングタイプでは,長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.70〜1.30が好ましい。このような特性を満足する樹脂フィルムには二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフイルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
【0030】
<下塗層>
下塗層の厚さは、0.2〜2.2μmの範囲であることが好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2未満では、磁性層への潤滑剤の供給が不十分になったり、磁性層の平滑化効果が小さくなるためである。
【0031】
下塗層には、導電性改良の目的でカーボンブラック、テープ剛性の制御を目的に酸化鉄を添加する。下塗層が、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、平均粒子径10〜100nmのカーボンブラックを15〜35重量%、平均長軸径0.05〜0.20μm、平均短軸径5〜200nmの非磁性の酸化鉄を35〜83重量%含有させると、ウエット・オン・ウエットで、その上に形成し、遠赤外線乾燥した磁性層の厚さむらが小さくなるので好ましい。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であるが、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には平均粒子径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。
【0032】
下塗層には、カーボンブラックや非磁性の酸化鉄を添加するのが好ましい。下塗層に添加するカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。平均粒子径が5〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、平均粒子径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。CB添加量は、CBの粒子径によって異なるが、当該下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、15〜35重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15〜80nmのCBを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20〜50nmのCBを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなると共に、遠赤外線乾燥した磁性層の厚さむらが小さくなる。
【0033】
また、下塗層に添加する非磁性の酸化鉄としては、針状の場合、平均長軸径0.05〜0.20μm、平均短軸径5〜200nmのものが好ましく、粒状または無定形のものでは、平均粒子径5〜200nmが好ましい。なお、針状のものが磁性層の配向がよくなるのでより好ましい。添加量は、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、35〜83重量%が好ましい。この範囲の平均粒子径(針状の場合は短軸径)が好ましいのは、平均粒子径が5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜強度が低下するためである。また、前記下塗層と磁性層からなる塗布層のヤング率を検討した結果、塗布層のヤング率にも最適範囲があり、塗布層のヤング率が非磁性支持体の長手方向と幅方向におけるヤング率の平均値を40〜200%の範囲にすると、テープの耐久性が大きく、且つテープ−ヘッド間のタッチがよくなり、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が小さくなることを見出した。50〜150%の範囲がより好ましく、60〜120%の範囲がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは40%未満では塗布膜の耐久性が小さくなり、200%を越えるとテープ−ヘッド間のタッチが悪くなるためである。なお、下塗層と磁性層からなる塗布層のヤング率の制御には、カレンダ条件による制御法を用いる。
【0034】
さらに、下塗層のヤング率は、磁性層のヤング率の80〜99%が好ましい。下塗層のヤング率が磁性層のそれより低い方がよいのは、下塗層が一種のクッションの作用をするためである。
【0035】
<潤滑剤>
下塗層と磁性層からなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われる。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付く等の副作用があるためである。
【0036】
磁性層には強磁性粉末に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープ走行時の摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.5重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起こりやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えるとヘッドに貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
【0037】
<磁性層>
磁性層(下塗層の場合も同様)に用いるバインダ樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂、ニトロセルロース樹脂などのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂とを組み合わせたものが挙げられる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン樹脂などがある。
【0038】
官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 [Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩]、−OH、−NR' R''、−N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の樹脂が使用される。このような樹脂を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
【0039】
これらの樹脂は、強磁性粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0040】
これらの樹脂とともに、樹脂中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、樹脂100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
【0041】
また、磁性層には従来公知の研磨材を添加することができるが、これらの研磨材としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイド、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上のものが単独または組み合わせで使用されるが、これらの中でもアルミナは高硬度で少量の添加量でヘッドクリーニング効果に優れるため特に好ましい。研磨材の粒子径としては、0.01〜0.1μmと薄い磁性層では、通常、平均粒子径で0.002〜0.15μmとすることが好ましく、平均粒子径0.005〜0.10μmがより好ましい。添加量は強磁性粉末に対して5〜20重量%が好ましい。より好ましくは8〜18重量%である。
【0042】
さらに、本発明の磁性層には導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができるが、これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。平均粒子径が5〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が5nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、200nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。添加量は強磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.5〜4重量%である。
【0043】
<バックコート層>
本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的としてバックコート層を設けることができる。バックコート層の厚さは0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。カーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックには、平均粒子径が5〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、平均粒子径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、平均粒子径が100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%、平均粒子径300〜400nmの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は、バックコート層中の全無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。表面粗さRaは3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
【0044】
また、バックコート層には、強度向上を目的に、平均粒子径が0.05〜0.6μmの酸化鉄を添加するのが好ましく、0.08〜0.5μmがより好ましい。添加量はバックコート層中の全無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、平均粒子径が0.1〜0.6μmのアルミナをバックコート層中の全無機粉体重量を基準にして0.5〜5重量%添加すると、さらにバックコート層の強度が向上する。
【0045】
バックコート層に用いるバインダ樹脂としては、前述した磁性層や下塗層に用いるバインダ樹脂と同じものを使用できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は、通常、前記カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。前記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
【0046】
バックコート層には、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用する。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常、10〜50重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。前記範囲が好ましいのは、10重量部未満ではバックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0047】
<その他>
例えば、上述の磁気記録媒体(磁気テープ)を1リールに巻装し、これをケース本体内に収めて磁気テープカートリッジを作製すれば、1巻当たりの容量が大きく、MR再生ヘッドを使用した場合の再生出力、S/Nが高い、コンピュータあるいはハードディスクドライブ等のバックアップ用テープとして好適な磁気テープカートリッジを実現することができる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
実施例1:
≪下塗塗料成分≫
(1)
・酸化鉄粉末(平均粒子径:0.11×0.02μm) 68部
・アルミナ(α化率:50%、平均粒子径:0.07μm) 8部
・カーボンブラック(粒径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2部
・塩化ビニル共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10 4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 1.4部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
【0049】
≪磁性塗料成分≫
(1)混練希釈工程
・強磁性鉄系金属粉(磁性粉)
(Co/Fe:24at%、
Y/(Fe+Co):7.9at%、
Al/(Fe+Co):4.7wt%、
σs:120A・m2 /kg(120emu/g)、
Hc:175kA/m(2190Oe)、
pH:9.5、平均粒子径:60nm)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体(PVC)
(含有−SO3 Na基:0.7×10- 当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU)
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・α−アルミナ(平均粒子径:0.07μm )(アルミナ)
・カーボンブラック(CB)
(平均粒子径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
・メチルアシッドホスフェート(MAP)
・パルミチン酸アミド(PA)
・ステアリン酸n−ブチル(SB)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
・メチルエチルケトン
・トルエン
(2)配合工程
・ポリイソシアネート(PI)
・シクロヘキサノン
【0050】
上記の下塗塗料成分において(1)を回分式ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。
【0051】
これとは別に、上記の磁性塗料成分(1)の内で所定量を予め高速攪拌混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練したのち、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに磁性塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
【0052】
表1に具体的な配合組成を示した。
表1に示す攪拌組成配合にて三井鉱山製ヘンシェルミキサにより羽根周速20m/sで30分間混合湿潤処理を行う。得られた湿潤磁性粉末を、湿潤磁性粉末供給ユニット1から連続式2軸混練機に投入し、搬送部位に繋がる樹脂液注入ユニット2から、ポリエステルポリウレタン樹脂溶液5部(30%溶液)を注入し混練する。以下、注入ユニット3〜5より溶剤を連続的に注入し、混練希釈し、固形分濃度50部のペーストを得た。ついで、パルミチン酸アミド、ステアリン酸n−ブチルを添加し固形分濃度35部まで希釈後、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに磁性塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
【0053】
上記の下塗塗料を、芳香族ポリアミドフイルム(厚さ3.9μm、MD=11GPa、MD/TD=0.70、商品名:ミクトロン、東レ製)からなる非磁性支持体(ベースフィルム)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが1.1μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダ処理後の磁性層の厚さが0.13μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0054】
≪バックコート層用塗料成分≫
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 80部
・カーボンブラック(平均粒子径:370nm) 10部
・酸化鉄(平均粒子径:0.4μm) 10部
・ニトロセルロース 45部
・ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部
・シクロヘキサノン 260部
・メチルエチルケトン 525部
・トルエン 260部
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。
【0055】
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196kN/mの条件で鏡面化処理し、磁気シートをコアに巻いた状態にて70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ製トレシー(商品名)を用い、走行テンション30gで処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。
【0056】
実施例2〜4:
磁性塗料の製造組成を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例2〜4のコンピュータ用テープを作製した。
【0057】
実施例5:
磁性塗料の製造組成を表1の条件に、また磁性粉を下記の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例5のコンピュータ用テープを作製した。
・強磁性鉄系金属粉(磁性粉)
(Co/Fe:24at%、
Y/(Fe+Co):12.7at%、
Al/(Fe+Co):4.7wt%、
σs:116A・m2 /kg(116emu/g)、
Hc:170kA/m(2130 Oe)、
pH:9.5、平均粒子径:45nm)
【0058】
実施例6:
磁性塗料の製造組成を表1の条件に、また磁性粉を下記の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例6のコンピュータ用テープを作製した。
・Ne−Fe−B系金属磁性粉(磁性粉)
(Nd/Fe :2.4at%、
B/Fe :9.1at%、
σs:132A・m2/kg(132emu/g)、
Hc=192kA/m(2400 Oe)、
平均粒子径:25nm)
【0059】
比較例1〜3
磁性塗料の製造組成を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして比較例1〜3のコンピュータ用テープを作製した。
【0060】
比較例4:
磁性塗料の製造組成を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして比較例4のコンピュータ用テープを作製した。比較例4では溶剤を含まずに、羽根周速20m/sで10分間高速攪拌混合を行った。
【0061】
評価の方法は、以下のように行った。
<磁性層の表面粗さ>
ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置New View5000による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5.0μmで測定した。測定視野は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平均表面粗さをRaとして求めた。
【0062】
<再生出力と出力対ノイズ>
再生出力と出力対ノイズ(S/N)は、薄手テープ用に改造したLTOドライブを用いて記録(記録波長0.37μm)・再生することによって求めた。再生出力と出力対ノイズは、比較例1テープを基準とし、これとの相対値(dB)で表した。
【0063】
<分解能>
上記LTO改造ドライブを用いて記録波長0.37μmでの再生出力をHF出力とし、記録波長1.48μmでの再生出力をLF出力とし、これらの比(HF出力/LF出力)を分解能とした。測定値は、比較例1のテープを基準とし、これらの相対値(%)で表した。
表1に、以上の結果を示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004378079
【0065】
Ra: 磁性層表面の中心線平均表面粗さRa
S/N: 出力対ノイズ
【0066】
表1を見ると明らかなように、本発明の実施例1〜6に係るコンピュータ用テープ(磁気記録媒体)は、比較例1〜4に係るコンピュータ用テープに比べて、電磁変換特性に優れている。特にMRヘッド(磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッド)を使用した場合の再生出力や、出力対ノイズ(S/N)比が高いこともわかる。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高い再生出力およびS/N等を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体が得られる。これにより、例えば1TBに迫り、越える大容量に対応できるコンピュータ等用のバックアップテープを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する連続式2軸混練機の構成図である。
【符号の説明】
1 湿潤磁性粉末供給ユニット
2 樹脂液注入ユニット
3、4、5 希釈溶剤注入ユニット
6 塗料排出口
7 回転軸
8 スクリュー
9 パドル
10、11 バレルの搬送部位
12、13、14、15 バレルの混練部位
16、17 バレルの混練希釈部位
18、19、20 バレルの希釈部位

Claims (2)

  1. 非磁性支持体の一方の面に、非磁性粉とバインダ樹脂とを含む下塗層と、該下塗層の上に磁性粉とバインダ樹脂とを含む磁性層と、非磁性支持体の他方の面に、非磁性粉とバインダ樹脂とを含むバックコート層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性層を、乾燥、カレンダ後の厚さが0.01〜0.15μmの範囲に形成し、前記磁性層の形成に用い磁性塗料を、高速撹拌混合機を用いて平均粒子径10〜65nmの磁性粉末が少なくとも溶剤を含んで混合湿潤される混合工程と、前記混合湿潤された磁性粉末が連続式2軸混練機の搬送部位にて、樹脂固形分で磁性粉100重量部に対し0〜15重量部の範囲の樹脂液(溶剤のみの場合を含む)と混合された後、混練部位に送られる工程を含む混練工程とを経て製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記高速攪拌混合機にて添加する樹脂固形分と搬送部位にて添加する樹脂固形分との合計量が磁性粉100重量部に対し2〜25重量部である事を特徴とする、請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法
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